説明

蒸気タービンプラントの廃熱利用設備

【課題】
気タービンプラントの廃熱利用設備にヒートポンプを用いて廃熱回収を行う際に、従来に比べて効率良く廃熱回収が行え、未利用エネルギーの利用効率向上を図る。
【解決手段】
蒸気タービンプラントの廃熱回収設備を、蒸気発生装置であるボイラ1から蒸気を供給する抽気圧力制御機構を有する蒸気タービン4と、この蒸気タービン4の排気側に備える復水器8と、抽気圧力制御機構を有する段落から抽気する加熱器類である脱気器15と、復水器8の循環系統に蒸気発生装置への給水を加熱するヒートポンプ24から構成する。ヒートポンプ24は、前記復水器の循環系統への廃熱を吸熱源とすると共に、ヒートポンプが汲み上げた熱をボイラ1の給水の循環系統に設置する前記加熱器類である脱気器15の上流側に熱回収するように設け、脱気器15の入口水の温度に応じて、脱気器15の圧力を変化させる機構を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気タービンプラントの廃熱利用設備に係り1、特にヒートポンプを使用する抽気圧力制御機構を有する蒸気タービンプラントの廃熱利用設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から火力発電設備や複合発電設備の廃熱を、ヒートポンプで回収し、蒸気タービン復水やボイラ給水に熱回収することが行われている。これらの系統には、脱気器又は給水加熱器などの蒸気を利用した熱交換器が設置されるのが一般的で、しかも熱交換器の出口温水温度は、50〜60℃台から200℃を越える領域である。
【0003】
これに対し、ヒートポンプはその型式にも寄るが、その内部構成機器である凝縮器の出口温水温度が最も高いとされる一重効用蒸気吸収式ヒートポンプの場合でも、温度は90℃台が実用的な上限である。したがって、ヒートポンプを用いて蒸気タービン復水やボイラ給水に熱回収する場合は、ボイラ節炭器入口水を直接加温するのは稀であって、一般的には脱気器又は給水加熱器などの入口水を加温することになる。
【0004】
例えば、蒸気吸収式ヒートポンプを用いて蒸気タービンプラントに未利用エネルギーを回収する装置としては、特許文献1等がある。この特許文献1には、低圧給水加熱器の上流側に設置の蒸気吸収式ヒートポンプで、低圧給水加熱器の入口給水を加熱する例が示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平3−906公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の場合、ヒートポンプでの加温により、直接的に使用蒸気量が減少するのは、これらヒートポンプに蒸気を供給している抽気源の直ぐ高圧側の脱気器又は給水加熱器への蒸気量である。これらの蒸気は、一般的に蒸気タービンの抽気蒸気が使用されるので、抽気蒸気量が減少したとしても、減少の効果は、その抽気蒸気取り出し後の蒸気タービン段落での仕事量に限られることになる。
【0007】
これに対し、多くの産業用蒸気タービン発電設備では、熱併給を行うものが多く、この設備は蒸気タービンに抽気圧力制御機構を有している。このようなプラントの場合、抽気圧力制御段落からは外部へのプロセス蒸気を供給すると共に、構成機器である脱気器又は給水加熱器への抽気蒸気も送っている。抽気圧力制御段の圧力設定は、プロセス蒸気使用先の条件により設定されるので、その蒸気を脱気器又は給水加熱器用蒸気として使用の場合、圧力調節弁にて減圧することが一般的に行われている。
【0008】
このような脱気器又は給水加熱器の入口側の給水を、ヒートポンプで加温しても、そのままの制御機構では、脱気器又は給水加熱器の使用蒸気量が減少するだけになる。
【0009】
本発明の目的は、ヒートポンプを用いて廃熱回収を行う際に、従来に比べて効率良く廃熱回収が行え、未利用エネルギーの利用効率を向上できる気タービンプラントの廃熱利用設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、蒸気タービンプラントの廃熱回収設備を、蒸気発生装置から蒸気を供給する抽気圧力制御機構を有する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの排気側に備える復水器と、抽気圧力制御機構を有する段落から抽気する加熱器類と、前記復水器の循環系統に蒸気発生装置への給水を加熱するヒートポンプとを備えて構成する際に、前記ヒートポンプは、前記復水器の循環系統への廃熱を吸熱源とすると共に、ヒートポンプが汲み上げた熱をボイラの給水の循環系統に設置する前記加熱器類の上流側に熱回収するように設け、前記加熱器の入口水の温度に応じて、加熱器類の圧力を変化させる機構を備えて構成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように蒸気タービンプラントの廃熱利用設備を構成すれば、産業用蒸気タービン発電設備に抽気圧力制御機構を有する熱併給型の蒸気タービンプラントで、ヒートポンプを用いて廃熱回収を行う場合に、従来に比べて効率良く廃熱回収が行えて未利用エネルギーの利用効率を向上できる。しかも、簡単な構成であるので、広く産業用の蒸気タービン発電設備に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の蒸気タービンプラントの廃熱利用設備を、図の実施例を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1に示す本発明の一実施例では、蒸気発生装置であるボイラ1で発生した蒸気は、主蒸気管2、主蒸気加減弁3を経て蒸気タービン4に導かれ、この蒸気タービン4で仕事をし、発電機9で電気エネルギーに変換される。蒸気タービン4に入った蒸気の一部は、例えば抽気加減弁5前の抽気管6から外部に送られ、また抽気加減弁5を通った蒸気タービン4から排気される蒸気は、排気管7を通って復水器8に入る。
【0014】
抽気蒸気圧力は、蒸気タービン4として予め設定してある範囲内であれば、抽気管6からの抽気流量の多少に係らず、蒸気タービン4の主蒸気加減弁3と抽気加減弁5等の抽気圧力制御機構により、発電機9の電気出力を一定に保ったまま、ほぼ一定圧力に制御される。
【0015】
復水器8以降の蒸気の流れは、復水器8で冷却水により冷却されて蒸発潜熱を奪われた蒸気は凝縮水となり、蒸気タービンへの復水としての循環系統となる復水配管10上にある復水ポンプ11で加圧され、復水タンク12に送られる。そして、復水タンク12出口の循環系統となる復水管13に設置の脱気水供給ポンプ14により加圧され、加熱器類である脱気器15に送られて加熱される。
【0016】
脱気器15の加熱蒸気源は、抽気加減弁5前から取り出した抽気管6から分岐し、蒸気減圧弁16で減圧後の蒸気を使用する。減圧する圧力は、蒸気圧力調節器17により脱気器15圧力として必要な一定圧力に制御する。脱気器15以降のボイラ給水は、ボイラ給水管18上にあるボイラ給水ポンプ19で加圧された後、ボイラ1に戻る。
【0017】
系統全体への補給水は、復水タンク12に設置した水位調節器41で水位調節弁42の開度を調節し、ボイラ給水用として処理された処理水を、補給水管20から補給することによって行われる。
【0018】
復水器8の冷却水は、冷却塔22出口の冷却水ポンプ21により、冷却水供給母管25を経て復水器8に送られ、冷却水戻り母管27を通って再び冷却塔22に戻るように循環する。蒸気タービン4から復水器8へ廃熱された排気蒸気の蒸発潜熱分が、復水器8の冷却水を加温し、その加温分の熱エネルギーが冷却塔22で蒸発させられて大気に放熱し、失った冷却水は冷却塔下部水槽23に自動的に補給される。
【0019】
図1の本発明では、一重効用蒸気吸収式のヒートポンプ24を使用した場合の例を示している。復水器8出口の冷却水戻り母管27から吸熱源水供給管28を分岐し、復水器8で蒸気タービン4の排気蒸気の蒸発潜熱と熱交換して温度が上昇した後の冷却水をヒートポンプ24の吸熱源水としている。この吸熱源水は、吸熱源水供給管28に設けた吸熱源水供給ポンプ29で加圧し、ヒートポンプ24の内部の構成機器である蒸発器30に並列に供給する。ヒートポンプ24の蒸発器30からの戻り熱源水は、吸熱源水戻り管26を通り、冷却塔22の入口の冷却水戻り母管27に合流する。
【0020】
ヒートポンプ24の加熱蒸気の供給系統は、蒸気タービン抽気管6から分岐後、ヒートポンプ用蒸気管31に設置した減温器32にて減温した蒸気が、ヒートポンプ24を構成する発生器33に導かれ、最終的にこの内部で凝縮水となる。
【0021】
減温器32で蒸気を減温する減温水は、ボイラ給水ポンプ19出口の給水管18から分岐した減温水管49により取り出され、減温器32出口の蒸気管に設置した温度調節器48にて検知された温度が所定の温度となるように、冷却水戻り母管50により制御される。またヒートポンプ24の蒸気凝縮水は、ドレン出口弁35を有するドレン管34を通って復水器8に回収される。ここでドレン出口弁35は、排出凝縮水が配管内部でフラッシュしないように差圧設定される。
【0022】
ヒートポンプ24入口の蒸気管に設置の調節弁は、出口温水温度調節弁44であり、ヒートポンプ出口復水管43に設置の出口温水温度調節器45で検知した水温が、目標温度となるように出口温水温度調節弁44によって蒸気量を制御する。
【0023】
次に、復水配管側については、ヒートポンプ24により復水器8の冷却水系統から汲み上げられた廃熱は、入口復水管13に回収される。ヒートポンプ24は、脱気水供給ポンプ14の出口側に設置し、復水配管13から入口復水管40で分岐し、ヒートポンプ出口復水管43を経て、再び復水管13に合流する。ここで、復水管13との合流部の三方弁は、ヒートポンプ24の運転時と停止時の切替弁46である。合流後の復水は脱気器15に送られる。なお、ヒートポンプ24に入った復水は、ヒートポンプの内部構成機器である、吸収器36、凝縮器37の順に通過する。
【0024】
ここで、加熱器類である脱気器15の入口復水温度は、復水管13に設置の入口復水温度計39で計測され、脱気器15の入口蒸気圧力は、圧力調節器17により計測される。また、蒸気減圧弁への指令は、演算装置38から圧力を変化させる開度の指示値が与えられる。なお、演算装置38の制御のあり方については後述する。
【0025】
抽気圧力制御機構を有する復水式蒸気タービンを用い、この抽気圧力制御機構を有する段落から抽気している脱気器の入口水側に、蒸気タービンの復水器の循環系統である冷却水系統への廃熱を吸熱源とするヒートポンプを設け、ヒートポンプが汲み上げた熱を、給水管に回収するようにした本発明の効果を、以下に具体的に説明する。
【0026】
対象とする蒸気タービン発電設備の主タービンの入口蒸気条件を3.9MPa(ゲージ圧力。以下は全てゲージ圧力)、400℃、抽気圧力一定制御段の制御圧力を0.65MPaとする。脱気器の蒸気は、この制御段から系外に送気される蒸気管から分岐後の蒸気管に設置の減圧弁にて0.25MPaに減圧後、脱気器に導入され、また蒸気タービンの排気条件を−94.66kPaとする。
【0027】
復水器からボイラまでの給水の経路は、復水器の出口で復水ポンプにより加圧され一旦、復水タンクに集められ、復水タンク出口に設けられた脱気水昇圧ポンプにより脱気器に送水される。脱気器にて蒸気タービン抽気により加熱脱気後、ボイラ給水ポンプによりボイラ節炭器に送水され、補給水は復水タンクへ処理水が補給されるものとする。
【0028】
この場合、脱気器入口給水温度は、ほぼ常温の40℃程度であるのに対し、脱気器出口水は器内圧力の飽和温度となるので、約140℃近い温度となる。この時、脱気器と脱気水供給ポンプ間でヒートポンプによる熱回収を行い、40℃程度の給水を90℃まで加温したとすると、ヒートポンプの運転前後にて脱気器抽気流量は、脱気器にて40℃の給水を140℃に昇温していたものが、90℃の給水を140℃に昇温すれば良いので約50%となるが、脱気器出口給水温度は一定であるため、ボイラ給水温度は変化しない。
【0029】
これに対し、ヒートポンプによる廃熱回収で脱気器入口給水温度が40℃から90℃に上昇したのだから、脱気器の器内圧力を、蒸気タービンの抽気圧力一定制御段の制御圧力である0.65MPa近くの0.60MPaまで減圧弁を開けることで上昇させるとすると、脱気器の器内圧力は約165℃に設定できる。この場合、ヒートポンプ導入前には、脱気器にて40℃の給水を140℃に昇温していたものが、90℃の給水を165℃に昇温することになるので、脱気器蒸気量は約75%となる。
【0030】
脱気器の蒸気量の観点のみからでは、減少幅が小さくなるので利点は小さくなるが、脱気器圧力を上昇させることにより、脱気器出口給水温度を140℃から165℃に上昇可能となる。ここで脱気器の蒸気量の節約分は、蒸気タービンにおいて脱気器への抽気蒸気の供給段落以降の仕事量にしか影響しないが、脱気器の圧力上昇分は、ボイラ入口給水温度上昇となるので、そのままボイラ燃料量の削減、又はボイラ蒸発量を増加することができる。
【0031】
この効果が得られる仕組みを、実施例に適用した場合で、蒸気タービンでの仕事量を示す図2(a)及び(b)を用いて説明する。図2(a)は、ヒートポンプを運転していない抽気圧力一定制御機構を有する復水式蒸気タービンにおけるものであり、蒸気タービン入口蒸気流量は(b−a)で示す主蒸気流量、そのエンタルピは縦軸で示される主蒸気エンタルピである。
【0032】
実施例では、抽気圧力制御段からは、プロセス蒸気と脱気器蒸気が抽気されるので、蒸気タービンからはそれぞれ、(f−g)、(e−f)の流量が減少し、以降の蒸気タービン内部流量は(c−d)となる。抽気圧力制御段と蒸気タービン排気のエンタルピは、図2(a)に示す抽気エンタルピ、排気エンタルピの縦軸値となる。この時の蒸気タービンでする仕事は、a、b、c、d、e、f及びgで囲まれた図形の面積で示される。
【0033】
一方、図2(b)は(a)に対し、ヒートポンプを運転中の蒸気タービンでの仕事量を示しており、本発明を適用しない従来の場合、脱気器入口の復水系統にヒートポンプで未利用の廃熱を回収すると、脱気器入口復水温度が上昇するので、脱気器への蒸気量は減少する。図2(b)のe、d、d′及びfで囲まれた面積である蒸気タービン出力利得Aは、従来で脱気器蒸気量が半分に減少した場合の蒸気タービンでの仕事の増加量である。
【0034】
これに対し、本発明を適用し脱気器圧力を上げることにより、ヒートポンプによる回収温度を高温側に、また回収位置をボイラ入口側にシフトした場合には、主蒸気流量自体を増加することが可能となるので、蒸気タービンでの仕事量の増加は、蒸気タービン出力利得Bに示すi、j、c及びbで囲まれた面積となり、蒸気タービン出力利得Aで示される従来での蒸気タービンでの仕事量の増加よりも大きい増出力効果が得られる。
【0035】
図2(b)では、蒸気量を増加させる場合の効果を示したが、ボイラの蒸発量に余裕がない場合には、蒸発量は変えずに、本発明によるボイラ給水温度の上昇に応じてボイラ燃料量を低減すると言う効果を得ることも可能である。
【0036】
演算装置38の制御を、上記の実施例で図3の脱気器圧力制御の考え方を示す制御フロー図を用いて説明する。蒸気圧力調節器17により計測された脱気器入口蒸気圧力をP1、その脱気器の入口蒸気圧力をP1から演算装置38で計算された脱気器内飽和温度をTs、入口復水温度計39により計測された脱気器入口復水温度をTf、予め設定されている脱気器内飽和温度と脱気器入口復水温度の温度差をTdとする。
【0037】
演算装置38は、実測温度から計算される温度差である(Ts−Tf)と設定温度差であるTdを比較し、(Ts−Tf)=Tdとなるように、蒸気減圧弁16に開度指令を出すものである。即ち、(Ts−Tf)=Tdの制御指令条件に対し、脱気器入口温度Tfが上昇し、実測温度差である(Ts−Tf)が減少傾向を示す場合には、条件を逸脱しないように、演算装置38は蒸気減圧弁16開度を開ける方向に変化させる制御し、逆に(Ts−Tf)が増加傾向を示す場合には、条件を逸脱せぬように演算装置38は、蒸気減圧弁16の開度を変化させる制御をする。
【0038】
予め設定される前期温度差Tdは、脱気器15入口復水流量やボイラ1蒸発量、又は発電機9出力に対して設定され、関数化する。設定温度差Tdの考え方としては、関数化して例えば演算装置38内では、折線関数として内蔵される場合と、閾値温度差を予め決めておき、蒸気減圧弁16の開度を変化させて切替え制御する場合がある。
【0039】
本発明の実施例ではヒートポンプの型式を、一重効用蒸気吸収式のヒートポンプとした例で説明したが、二重効用蒸気吸収式のヒートポンプや圧縮式のヒートポンプなど、他の型式のヒートポンプを使用する場合も同様の効果が得られる。
【0040】
脱気器の内部温度の検知手段は、圧力計で実測した圧力の飽和温度を演算する他に、内部の貯水温度を直接計測でも行える。また、蒸気タービンの抽気圧力制御段からの抽気が、脱気器に至るのではなくて給水加熱器等の他の加熱器類でも同様の効果が得られる。
【0041】
対象とする脱気器又は給水加熱器等の加熱器類の後流側が、直ぐボイラでなくて給水加熱器又は脱気器がある場合においては、その給水加熱器又は脱気器の蒸気流量が削減されるので、類似の効果が期待できる。また、ボイラの蒸発量や蒸気タービン発電機の出力に余裕がある場合には、ボイラの燃料量を節約する代わりに、系外への蒸気供給量や発電出力の増加需要に対応できる。
【0042】
脱気器の圧力の上限として、蒸気タービンの抽気圧力制御段圧力よりも、ボイラ節炭器でのスチーミング発生回避のための給水温度が制約条件となる場合は、ボイラ節炭器の入口温度が、その温度以下となるように脱気器の圧力は制限される。
【0043】
上記の実施例では、復水器の冷却水を冷却塔で冷却するとしているが、河川水や海水による直接冷却の場合も容易に適用でき、河川水や海水による直接冷却の場合に、ヒートポンプに直接吸熱源水として導入に水質上問題がある場合には、非接触式の熱交換器を間に入れ、間接的に吸熱源水を利用できる。
【0044】
蒸気タービンの軸受け冷却設備や復水器の冷却水系統等への廃熱を、ヒートポンプの吸熱源として活用できるし、ヒートポンプの吸熱源水はタービンプラントに限るものではなく、ボイラプラントや系外の未利用エネルギーを利用すること可能である。また、蒸気タービンプラントのサイクルとして、非再熱型の復水タービンとしているが、再熱型の蒸気タービンにおいても、本原理は同様である。
【0045】
更に、主タービンが背圧式の蒸気タービンの場合において、復水器が設置されていない場合についても、ヒートポンプの吸熱源となる廃熱源は、蒸気タービンプラントに限らず考えられ、また、熱の回収先は、補給水系統やボイラ給水系統などの循環系統とすると本発明と同様の効果を得られる。
【0046】
ヒートポンプの蒸気タービン復水系統側に再循環系統を設け、その出口や入口の温度制御を行うこともできるが、ヒートポンプのみならず熱交換器類について再循環流量制御による温度制御は一般的に行われており、簡単に適用できる。また、出入口に新たな水タンク類を追設することによる、急激的な温度変化の抑制についても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例である蒸気タービンプラントの廃熱利用設備のシステムフロー図である。
【図2】本発明の効果を説明するための適用前及び適用の前後の説明図である。
【図3】本発明の蒸気タービンプラントの廃熱利用設備における制御の考え方の制御フロー図である。
【符号の説明】
【0048】
1…、2…主蒸気管、3…主蒸気加減弁、4…蒸気タービン、5…抽気加減弁、6…抽気管、7…排気管、8…復水器、10、13…復水管、12…復水タンク、15…脱気器、16…蒸気減圧弁、17…蒸気圧力調節器、18…ボイラ給水管、19…ボイラ給水ポンプ、21…冷却水ポンプ、22…冷却塔、24…ヒートポンプ、25…冷却水供給母管、26…吸熱源水戻り管、27…冷却水戻り母管、28…吸熱源水供給管、29…吸熱源水供給ポンプ、30…蒸発器、31…蒸気管、32…減温器、33、34、35…発生器、36…吸収器、37…凝縮器、38…演算装置、39…入口復水温度計、40…入口復水管、43…ヒートポンプ出口復水管、44…出口温水温度調節弁、45…出口温水温度調節器、46…復水流量切替え弁、48…入口蒸気温度調節器、49…減温水管、50…冷却水戻り母管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生装置から蒸気を供給する抽気圧力制御機構を有する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの排気側に備える復水器と、抽気圧力制御機構を有する段落から抽気する加熱器類と、前記復水器の循環系統に蒸気発生装置への給水を加熱するヒートポンプとを備えた蒸気タービンプラントの廃熱回収設備において、前記ヒートポンプは、前記復水器の循環系統への廃熱を吸熱源とすると共に、ヒートポンプが汲み上げた熱をボイラの給水の循環系統に設置する前記加熱器類の上流側に熱回収するように設け、前記加熱器の入口水の温度に応じて、加熱器類の圧力を変化させる機構を備えて構成したことを特徴とする蒸気タービンプラントの廃熱利用設備。
【請求項2】
請求項1において、前記ヒートポンプは一重効用蒸気吸収式ヒートポンプであることを特徴とする蒸気タービンプラントの廃熱利用設備。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記加熱器類の圧力を変化させる機構は、前記ヒートポンプと抽気蒸気の圧力調節弁と前記加熱器類に設けた圧力計及びこの入口水温度計とを含むものであることを特徴とする蒸気タービンプラントの廃熱利用設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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