説明

蒸解釜におけるスケール付着抑制方法

【課題】 パルプ蒸解工程の蒸解釜における炭酸カルシウムを含むスケールの付着抑制方法を提供する。
【解決手段】 パルプ蒸解工程の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法であって、(1)(a)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその水溶性塩から選ばれた1種以上と(b)エチレン性不飽和カルボン酸及びその水溶性塩から選ばれた1種以上を構成単位として含み、(a)と(b)をモル比で5:95〜35:65の範囲で含む水溶性共重合体及びその水溶性塩の1種以上と、(2)ホスホン酸及びその水溶性塩の1種以上を重量比で3:7〜7:3の範囲でパルプ蒸解工程の工程水に添加する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙工場のパルプ蒸解工程の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙パルプ製造工程は、一般に木材及びチップを機械力及び化学薬品で処理してパルプを得るパルプ製造工程、回収古紙を離解・脱墨・水洗・漂白して脱墨パルプを得る古紙脱墨パルプ化工程、得られたパルプの洗浄・精選工程、漂白工程、各種薬品を添加して紙料を調成する調成工程、抄紙工程、湿紙水分を除去するプレス工程、そして乾燥工程などからなっている。
【0003】
紙パルプ製造工程における工程水は、原料である木材から多くのカルシウムやシリカ分が溶出し、さらに自然水中からのものが加わって、カルシウムやシリカの濃度が高くなっており、スケールが生成し易い条件にある。例えば、クラフトパルプの製造工程では、水酸化ナトリムと硫化ナトリウムを混合した強アルカリ性の白液を用いて160〜180℃の高温下でパルプ化処理が行われるために木材中に含まれるカルシウム塩類や珪酸塩類が水に溶出し、分散状態で蒸解釜内壁や付帯装置のスクリーン、加熱ヒータ、ウォッシャー及びスクリーンワイヤー等に炭酸カルシウムを含むスケール、例えば炭酸カルシウムを主体としたスケールや炭酸カルシウムとケイ酸カルシウムの複合物のスケール、更には炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウムなどの種々の無機塩類を含む複合スケールなどが付着し、濾過・脱水効率の低下、洗浄性の低下を引き起こしている。
【0004】
スケールの除去は、定期的に操業を一時停止して機械的な剥離・除去、あるいは配管や装置類を洗浄液に浸して洗浄液を循環してスケールを剥離・除去している。この作業は、工程により異なるものの、通常、3ヶ月から6ヶ月に一度の頻度で行われ、一回の作業で1日〜2日を要している。しかし、このような定期的な付着スケールの剥離・除去を行っていても、突発的にスケールの付着が生じ、配管閉塞やスクリーンの目詰まりによる脱水不良を起こすなど操業に支障をきたすことがあり、スケール対策は重要な課題となっている。
【0005】
そこで、操業の安定化とスケール除去作業の低減を目的に種々のスケールの付着抑制方法やスケール抑制剤が提案されてきた。例えば、工程水に有機ホスホン酸類を添加する方法(例えば特許文献1参照)、有機オキシカルボン酸類とホスホン酸類を併用する方法(例えば特許文献2参照)、シリカ−珪酸塩スケールのコントロールにマレイン酸類と(メタ)アクリルアミノメチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリル酸類との共重合体を使用する方法(例えば特許文献3参照)、ホスホン酸と(メタ)アクリル酸系共重合体を使用する方法(例えば特許文献4、5参照)がある。しかし、このような方法でも満足しうるスケール付着抑制効果を得るには至っていない。
【0006】
【特許文献1】特開平1−77693号公報
【特許文献2】特開平3−161585号公報
【特許文献3】特開平4−356580号公報
【特許文献4】特開2002−105891号公報
【特許文献5】特開2003−53389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、パルプ蒸解工程の蒸解釜における炭酸カルシウムを含むスケールの付着を効率良く抑制する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、パルプ蒸解工程の蒸解釜における炭酸カルシウムを含むスケールの付着抑制について鋭意検討した結果、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と不飽和カルボン酸を構成単位として特定の比率で含む水溶性共重合体と、ホスホン酸を特定の比率で用いることによって、炭酸カルシウムのスケール付着が著しく抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、請求項1の発明は、パルプ蒸解工程の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法であって、(1)(a)2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその水溶性塩から選ばれた1種以上と(b)エチレン性不飽和カルボン酸及びその水溶性塩から選ばれた1種以上を構成単位として含み、(a)と(b)をモル比で5:95〜35:65の範囲で含む水溶性共重合体及びその水溶性塩の1種以上と、(2)ホスホン酸及びその水溶性塩の1種以上を重量比で3:7〜7:3の範囲でパルプ蒸解工程の工程水に添加することを特徴とする蒸解釜におけるスケール付着抑制方法である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法であり、エチレン性不飽和カルボン酸がアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法であり、水溶性共重合体が(a)成分と(b)成分をモル比で10:90〜30:70で含むことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか記載の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法であり、ホスホン酸が、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1、2、4−トリカルボン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスケールの付着抑制方法により、蒸解釜に付着する炭酸カルシウムを含むスケールの付着が著しく抑制され、長期に亘り蒸解釜の運転を維持することができる。その結果、パルプ製造に支障を来すことなく、その生産性の維持と安定操業に大きく寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるパルプ蒸解工程の工程水(以下「工程水」とする)は、クラフトパルプ製造における蒸解工程の白液、蒸解釜内の蒸解液、蒸解釜の浸透ゾーン、蒸解ゾーン及び洗浄ゾーンから抽出された蒸解液、抽出された蒸解液を再び蒸解液として使用される循環蒸解液などである。
【0015】
本発明のスケール付着を抑制する対象となるのは、前述の工程水が接する装置・設備類であり、具体的にはチップビン及びチップ輸送装置並びに余熱装置、白液供給ライン、蒸解釜(蒸解釜内壁)、蒸解釜の蒸解液抽出ストレーナー及び抽出ライン、抽出した蒸解液を再び蒸解液として使用するための熱交換器及び蒸解液循環ライン、抽出ライン及び循環ラインのフィルター、配管並びに液送ポンプ(フィーダー)更には工程水の操作に関わり工程水が接する付帯装置・設備を包含する。
【0016】
本発明におけるスケールは炭酸カルシウムを含むスケールであり、具体的には炭酸カルシウム主体のスケール、炭酸カルシウムとケイ酸カルシウムの複合スケール、炭酸カルシウムと炭酸ナトリウム、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、蓚酸カルシウム、硫化鉄などの硫化物等の種々の無機塩類の2つ以上を含む複合スケールがある。
【0017】
本発明で用いる水溶性共重合体(以下「水溶性共重合体」とする)は、構成単位として(a)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその水溶性塩(以下「AMPS」とする)の1種以上と、(b)エチレン性不飽和カルボン酸及びその水溶性塩(以下「不飽和カルボン酸」とする)の1種以上を構成単位として含む水溶性共重合体及びその水溶性塩である。水溶性塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩があり、それらの水溶性の部分中和塩、完全中和塩である。
【0018】
AMPSの水溶性塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩があり、それらの水溶性の部分中和塩、完全中和塩である。また、エチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸などが挙げられ、その水溶性塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩があげられ、それらの水溶性の部分中和塩、完全中和塩である。また、マレイン酸では無水マレイン酸を用いることもできる。
【0019】
水溶性共重合体における(a)AMPSと(b)不飽和カルボン酸の組成比はモル比で5:95〜35:65、好ましくは10:90〜30:70、より好ましくは15:85〜25:75である。水溶性共重合体における(a)AMPSと(b)不飽和カルボン酸の組成比が5:95〜35:65の範囲外ではスケール付着抑制効果は急速に低下し、本発明の効果は十分に得られない。水溶性共重合体には、本発明の効果が損なわれない範囲でこれ以外の成分を構成成分として含んでいてもよい。水溶性共重合体の分子量(平均分子量)は、3,000〜100,000、好ましくは5,000〜50,000である。分子量が3,000より低いと、本発明の目的とするスケール付着抑制効果が充分発揮されないことがあり、分子量100,000以上では粘性が高くなり、取扱性が悪くなることがある。
【0020】
水溶性共重合体は、通常の重合性エチレン性化合物のラジカル重合方法にて製造できる。例えば、AMPSと不飽和カルボン酸をそれぞれ10〜40重量%含む水溶液を50〜70℃に加温し、ラジカル重合開始剤を全モノマー重量に対して0.05〜0.5重量%添加して重合させる。ラジカル重合開始剤としては、一般にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾビス化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、クメンパーオキサイド、ジ−tert−ブチルヒドロパーオキサイド等の過酸化物が使用される。また、必要に応じて連鎖移動剤として、チオグリコール酸及びそのエステル類、β−メルカプトプロピオン酸及びそのエステル類等を添加して、分子量を調整しても良い。得られた共重合体の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定することができる。水溶性共重合体は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩及びその部分中和塩、完全中和塩にすることによって、水溶性を向上させて使用される。これら水溶性塩の調製は、例えばナトリウム塩の場合、撹拌下、水酸化ナトリウム水溶液に本発明の共重合体を徐々に加えて均一な溶液とすることにより、容易に行うことができる。
【0021】
本発明で用いるホスホン酸(以下「ホスホン酸」とする)は、ホスホン基を有する有機ホスホン酸およびその水溶性塩であり、具体的にはアミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1、2、4−トリカルボン酸があり、その水溶性のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩及びその部分中和塩、完全中和塩である。
【0022】
本発明のおける(1)水溶性共重合体と(2)ホスホン酸の添加量は、重量比で(1):(2)=3:7〜7:3、好ましくは(1):(2)=4:6〜6:4(重量比)である。この範囲外では、相乗効果が著しく低下し、本発明の効果を得ることができない。(1)水溶性共重合体及び(2)ホスホン酸は、それぞれ単独で使用してもスケール生成抑制効果及びスケール付着抑制効果を発揮することが知られている。しかし、本発明はAMPSと不飽和カルボン酸を特定比率で共重合して得られた(1)水溶性のAMPS−不飽和カルボン酸共重合体と、(2)ホスホン酸を特定比率で工程水に添加することによって、相乗効果により全く予想し得なかった優れたスケール付着抑制効果が発揮される。その結果、従来、スケール生成抑制効果を期待して行われていたスケールコントロールとして十分なスケール障害の抑制・防止が得られなかったが、スケールの付着防止によりスケールの生成がある程度認められるものの、工程水が接する装置・設備類へのスケールの付着が抑制されてスケール障害の抑制・防止が得られる。
【0023】
(1)水溶性共重合体及び(2)ホスホン酸の添加量は、工程水が接する装置・設備類へのスケールの付着程度、装置・設備類の運転状況などによって異なり一律に決められないが、通常、(1)水溶性共重合体と(2)ホスホン酸の合計量として、工程水に対し0.1〜300mg/L、好ましくは1〜200mg/Lである。
【0024】
(1)水溶性共重合体及び(2)ホスホン酸の使用方法は特に限定されるものではないが、通常、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩及びその部分中和塩、完全中和塩として水溶性を高め、それぞれ1〜40重量%水溶液として調製し使用される。また、(1)水溶性共重合体と(2)ホスホン酸は、別々に添加してもよいが、両者を所定の割合で混合して1液として用いても良い。
【0025】
(1)水溶性共重合体と(2)ホスホン酸の添加場所は、特に限定されるものではなく、生じているスケールの付着状況に応じて適宜選択されれば良い。通常、スケールが付着している箇所に直接添加する方法やスケールの付着箇所の上流に添加する方法がある。具体的に蒸解釜の上部の加熱・浸透・蒸解ゾーンのスケールの付着を抑制する場合には、(1)水溶性共重合体と(2)ホスホン酸を白液供給ラインへ添加する方法や加熱・浸透・蒸解ゾーンの蒸解液抽出−循環ラインへ添加する方法があげられる。また、抽出ストレーナー、抽出ラインや循環ラインのフィルターへのスケールの付着を抑制する場合には、抽出ラインや循環ラインに添加、循環させる方法がある。(1)水溶性共重合体、(2)ホスホン酸の添加は、通常の薬液注入ポンプを用いて、連続添加あるいは間欠添加する方法があり、状況に応じて適宜選択されればよい。
【0026】
(1)水溶性共重合体と(2)ホスホン酸の適用に際して、他の公知のスケールコントロール剤、界面活性剤、スライムコントロール剤、消泡剤等を同時に添加されることがあるが、本発明の効果を妨げない限りにおいて、これらの添加に制約を与えるものではない。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(共重合体1〜21の製造)
500mLの5つ口フラスコに2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸12.4g(0.06モル)、アクリル酸24.5g(0.34モル)、水300gを加え、攪拌下、冷却しながら20wt%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、pHを7に調整した。フラスコ内に窒素ガスを通気しつつ、溶液を50℃に加温し、撹拌下に過硫酸アンモニウム0.5gを投入し、反応を開始させた。6時間反応を続けた後、70℃に加温してさらに2時間維持し、冷却して約12wt%の水溶性共重合体(共重合体−3)水溶液を得た。さらに水を加えて固形分濃度5wt%の水溶性共重合体(共重合体−3)水溶液を調製した。イオンクロマトグラフィーにより残存単量体濃度を測定した結果、未反応の単量体は存在せず、反応率は実質100%であることを確認した。また、ゲル浸透クロマトグラフィーの結果、平均分子量は10,000であった。同様にして表1に記載の共重合体−1〜21の固形分濃度5wt%の水溶性共重合体水溶液を調製した。
【0028】
【表1】

【0029】
(ホスホン酸)
EDTMP:エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸
DETPMP:ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸
HEDP:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
PBTC:2−ホスホノブタン−1、2、4−トリカルボン酸
ATMP:アミノトリメチレンホスホン酸
HMDTMP:ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸
HAP:ヒドロキシホスホノ酢酸
【0030】
(スケール付着抑制試験)
300mLステンレス製オートクレーブに模擬白液(NaOH:8.0重量%、NaCO:3.5重量%、イオン交換水:88.5重量%からなる水溶液)200mlを入れて100℃に加温し、次に共重合体−3の5wt%水溶液:0.1mL及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP):50mgを添加、混合し、さらにカルシウムイオンとして150mg/Lとなるよう塩化カルシウムを添加した。重量既知の100メッシュの金網(8cm×4cm)を浸漬して170℃の加熱し、170℃で1時間静置した。オートクレーブを水道水で浸漬急冷した後、100メッシュの金網を取り出し、純水でかるくすすぎ、100℃の乾燥器で乾燥後、重量を測定し付着したスケール量を定量した。次式でスケール付着抑制率(%)を算出した。スケール付着抑制率(%)が大きいほど好ましい。
結果を表2に示した。
スケール付着抑制率(%)=〔1−(α/β)〕×100
α:共重合体及びホスホン酸添加時の100メッシュの金網への付着量(mg)
β:共重合体及びホスホン酸無添加時の100メッシュの金網への付着量(mg)
【0031】
【表2】

【0032】
本発明のスケール付着抑制方法は、水溶性AMPS−アクリル酸共重合体単独、ホスホン酸のHEDP単独、EDTMP単独の何れよりも優れた炭酸カルシウムのスケール付着抑制効果を示していることが分かる。その効果は、AMPSとアクリル酸が5:95〜35:65の範囲の組成である水溶性AMPS−アクリル酸共重合体が優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ蒸解工程の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法であって、(1)(a)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその水溶性塩から選ばれた1種以上と(b)エチレン性不飽和カルボン酸及びその水溶性塩から選ばれた1種以上を構成単位として含み、(a)と(b)をモル比で5:95〜35:65の範囲で含む水溶性共重合体及びその水溶性塩の1種以上と、(2)ホスホン酸及びその水溶性塩の1種以上を重量比で3:7〜7:3の範囲でパルプ蒸解工程の工程水に添加することを特徴とする蒸解釜におけるスケール付着抑制方法。
【請求項2】
エチレン性不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸から選ばれる1種以上である請求項1記載の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法。
【請求項3】
水溶性共重合体が、(a)成分と(b)成分をモル比で10:90〜30:70で含むことを特徴とする請求項1又は2記載の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法。
【請求項4】
ホスホン酸が、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1、2、4−トリカルボン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸から選ばれる1種以上である請求項1乃至請求項3のいずれか記載の蒸解釜におけるスケール付着抑制方法。

【公開番号】特開2008−88574(P2008−88574A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268114(P2006−268114)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【Fターム(参考)】