説明

蓄光ネオン管

【課題】電界発光ファイバーの表面を蓄光顔料で覆うことによる電界発光効果とその励起光による蓄光効果との相乗効果を生み出し、強度、取付け性、耐水性、光量等の性能が十分であって、多重被覆による絶縁性の向上と高電界の付与の効果による電界発光ファイバーの長寿命化を提供すること。
【解決手段】電界発光ファイバーおいて、前記ファイバー表層あるいは層間にアルカリ土類アルミン酸塩に賦活剤として希土類元素を含有する蓄光体を層状に形成する蓄光ネオン管とし、交流電力供給用の複数の導線を蓄光体で被覆してなる絶縁電線の内部に配置された電界発光ファイバーと、それらを被覆する蓄光体層を備えている。この蓄光ネオン管は内部に電力供給用の電線を内蔵しているので、複数本を連結して長寸化することができる。これにより許容最大電流値以下の安全電流を供給するとともに、十分な輝度を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
この発明は、電界発光ファイバーを蓄光体で被覆した蓄光ネオン管に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光ファイバーは、電界発光素子をファイバ状に形成したもので、線状の芯電極と、その芯電極の外周に配置された発光層と、発光層の外周に配置された透明電極層と、透明電極層の外周に螺旋状に配置された付加電極と、その外周を覆う被覆とを備えている。芯電極と付加電極は電界発光ファイバの一端において交流電力供給源に接続されており、芯電極と付加電極との間に一定の交流を印加することにより、発光層が発光する。
【0003】
このような電界発光ファイバーは、各種イルミネーションや警告灯などの用途への適用が期待されている。しかし電界発光ファイバーはその直径が2〜3mm程度と細く、強度、光量等に限界がある。また発光層22に用いられている電界発光材料は湿気等に侵されやすいため屋外の用途への適用には限界があった。
【0004】
また電界発光ファイバーの芯電極および付加電極も非常に細いため抵抗が大きく、流し得る交流電流値には限界があった(例えば25〜50mA)。従って必要な輝度を得ることができる電界発光ファイバーの長さも、この許容最大電流値により制約され、例えば直径2.1mmの電界発光ファイバーの許容最大電流値は、周波数にもよるが130Vで50mA、長さは30mが限界であった。供給電流値を許容最大電流値内に抑えたまま電界発光ファイバー長をこれ以上長くしようとすると電流値が不足し、必要な輝度が得られないことになる。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような電界発光ファイバーの実用化における問題を解決し、強度、取付け性、耐水性、光量等の性能が十分であって屋外への適用も可能な電界発光ファイバーを用いた蓄光ネオン管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成する本発明の第1の態様による蓄光ネオン管は、交流電力供給用の導線を蓄光体で被覆してなる絶縁電線と、前記絶縁電線の内部に配置された少なくとも一条の電界発光ファイバーと、前記絶縁電線および前記電界発光ファイバーを被覆する蓄光体を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の第1の態様による蓄光ネオン管によれば、電界発光ファイバーをさらに蓄光体で被覆することにより、電界発光ファイバーの絶縁性および耐環境性を向上することができる。また電界発光ファイバーを複数用い螺旋状に配置することにより単位長当りの光量を増加することができる。さらに被覆材として蓄光体を用いることにより、輝度をさらに向上することができる。
【0008】
本発明の蓄光ネオン管は内部に電力供給用の電線を内蔵しているので、複数の電界発光ファイバーを連結して電力を供給することができるので、各々の電界発光ファイバーの許容最大電流値内の電流で駆動可能な長寸の蓄光ネオン管を提供することができる。
【0009】
本発明の第2の態様による蓄光ネオン管は、上述した第1の態様による蓄光ネオン管の可撓性と輝度を向上させた蓄光ネオン管であって、高効率な発光性能を実現する。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
本発明による蓄光ネオン管は、所定の長さを有するキャブタイヤコードと、キャブタイヤコードの外周に配置された電界発光ファイバーと、その外周を覆う蓄光体層を備えており、さらに端部には交流電源に接続するための端子部が備えられていて、図1の模式図のごとくである。
【0012】
キャブタイヤコードは、電界発光ファイバーに交流電力を供給するための複数本の導線と蓄光体絶縁塗膜から成り、複数本の導線は各端子に接続されている。各端子はインバータ等の駆動回路を介して電源に接続されている。電源は商用の交流電源でも直流電源であってもよい。
【0013】
電界発光ファイバーは、線状の電極と、その電極の内側に配置された発光層と、外周に螺旋状に配置された付加電極と、その外周を覆う蓄光体層を備えている。蓄光体層は電界発光ファイバーを単独で使用する場合には耐候性を高めるためにも活用され厚めが理想的であるが、本発明の蓄光ネオン管においては所定の層厚保で良い。
【0014】
蓄光体層は、電界発光ファイバーを外部環境から保護し且つ電界発光ファイバーの光を遮断せず輝度を向上させる効果を具備する。このような材料としてはアルカリ土類アルミン酸塩に賦活剤として希土類元素を含有する蓄光体が好適である。またこれらに紫外線吸収剤を含有せしめることが好ましい。これにより発光層を保護し蓄光ネオン管の耐候性を高めることができる。
【0015】
一般に電界発光ファイバーが発光する光の周波数(色調)は印加される電圧およびその周波数に依存し、電圧および周波数が一定であれば光の色調も一定であるが、蓄光体層により所望の色の光を演出することができ、蓄光ネオン管の装飾性を高めることができる。
【0016】
以上のように構成される本発明の蓄光ネオン管は、可撓性があり且つ耐候性があるので所望の基材に取付けたりそれ自体を所望の形状に折り曲げて屋内外のイルミネーション等に用いることができる。また蓄光体層を有する電界発光ファイバーを螺旋状或いは複数配置することにより十分な輝度を確保することができる。さらに本発明の蓄光ネオン管は複数を連結して所望の長さにすることができるので、道路工事現場や室内、通路、駐車場などの広い範囲に設置して誘導用表示や警告灯として機能させることも可能である。
【発明の効果】
【0017】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の蓄光ネオン管は電界発光ファイバーへの電力供給用電線を管内に内蔵しているので、電線を接続することにより所望の長さに連結することができ、個々の蓄光ネオン管の電界発光ファイバーに許容最大電流値以下の安全電流を供給し、且つ十分な輝度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による、蓄光体層で覆った電界発光ファイバーを備えた蓄光ネオン管の模式図。
【符号の説明】
1 芯電極
2 蓄光体層
3 電界発光素子層
4 付加電極
5 蓄光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力供給用の複数の導線を、アルカリ土類アルミン酸塩に賦活剤として希土類元素を含有する蓄光体で層状に被覆してなる絶縁電線の内部に配置された電界発光ファイバーと、それらを被覆する前記蓄光体層を備えたことを特徴とする蓄光ネオン管。
【請求項2】
該被覆蓄光体の層の厚みが5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の蓄光ネオン管。
【請求項3】
請求項1ないし2の電界発光ファイバーを複数連結した蓄光ネオン管であって、前記絶縁電線同士が接続されていることを特徴とする蓄光ネオン管。

【図1】
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【公開番号】特開2007−287333(P2007−287333A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220941(P2004−220941)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(599138733)株式会社メディア・コム・インターナショナル (2)
【Fターム(参考)】