説明

薬剤耐性菌検出方法

本発明は、試料において、バンコマイシン耐性腸球菌種などの薬剤耐性菌を検出するための方法及びオリゴヌクレオチドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年8月13日に出願された米国特許仮出願第60/964,499号の利益を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
腸球菌属のメンバーは、自然、動物、及び人間に存在するグラム陽性球菌である。腸球菌は、人間の正常な胃腸管及び生殖器官の生理的寄生菌の一部である。既知の種のうち、大腸レンサ球菌(80〜90%)及びエンテロコッカス・フェシウム(5%〜10%)が人間において最も優勢である。腸球菌は、典型的には、人間において病原性ではない。しかしながら、これらは、増大する多剤耐性レベルを示しており(カウフホルト(Kaufhold)及びクライン(Klein)、1995年、細菌学中央報(Zentralblatt. Fuer. Bakterilogie.)、282巻(4号)、507〜518頁;スヴェック(Svec)ら、1996年、疫学・細菌学・免疫学(Epidemiologie Mikrobiologie Imunologie)、45巻、153〜157頁)、院内感染の重要な原因として認識が高まってきている。大腸レンサ球菌感染は、尿路感染症(UTI)、菌血症、心内膜炎、並びに創傷感染及び腹部−骨盤感染を含み、全てのUTIの16%、及び全ての菌血症の8%に達する。
【0003】
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は、二番目に一般的な院内感染の原因として認識されており、それを上回るのは大腸菌のみである。耐性は、染色体を介していてもよく(固有)、又はプラスミド媒介性若しくはトランスポゾン媒介性(獲得)であってもよい。VREは、グラム陽性細菌に対して有効な「最後の手段」の抗生物質とみなされているバンコマイシンを含む、ほぼ全ての入手可能な抗生物質に対する耐性を特徴とする。医師にとって処置選択肢は限られており、ストラテジーには、抗菌剤の組み合わせ又は新しい、実証されていない化合物の使用が含まれる。患者は症状を示すことなくVREに定着され保菌している可能性があり、主要な定着場所は、肛門、腋窩、便、会陰、臍、創傷、フォーリーカテーテル、及び結腸瘻造設部である。
【0004】
高いレベルのバンコマイシン耐性を与える遺伝子である大腸レンサ球菌プラスミド産(plasmid-born)vanAは、in vitroで黄色ブドウ球菌などのグラム陽性の微生物に伝わる可能性がある(レクレルク(Leclercq)ら、1989年、抗菌薬及び化学療法(Antimicrob. Agents Chemother.)33巻、10〜15頁;ノーブル(Noble)ら、1992年、FEMS微生物学レター(FEMS Microbiology Letters)、72巻、195〜198頁)黄色ブドウ球菌、連鎖球菌種、エッゲルセラ・レンタ(Eggerrthella lenta)、及びクロストリジウム・イノキュウムの臨床分離株におけるバンコマイシン耐性が報告されており、バンコマイシン耐性は、バンコマイシン耐性腸球菌から獲得された可能性が最も高かった(疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)、2002年、罹患率及び死亡率週報(Morb. Mortal. Wkly. Rep.)、51巻、565〜567頁;疾病対策予防センター、2002年、罹患率及び死亡率週報、51巻、902頁;ヴァイゲル(Weigel)ら、2003年、サイエンス(Science)、302巻、1569〜1571頁;ヴァイゲルら、2007年、抗菌薬及び化学療法(Antimicrob. Agents Chemother.)、51巻、231〜238頁;メヴィウス(Mevius)ら、1998年、抗菌薬及び化学療法ジャーナル(J. Antimicrob. Chemother.)、42巻、275〜276頁;ポヤルト(Poyart)ら、1997年、抗菌薬及び化学療法(Antimicrob. Agents Chemother.)、41巻、24〜29頁;スティニア(Stinear)ら、2001年、ランセット(Lancet)、357巻、855〜856頁)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
薬剤耐性菌の初期の同定及び治療的介入を目的とする診断ツールへの継続的な需要がある。
【0006】
本発明は、生体試料内の薬剤耐性菌を検出するための方法を含む。例えば、本方法は、増幅された産物を結果として得るために生体試料内に存在する標的ポリヌクレオチドを増幅することを含むことができ、ここで、標的ポリヌクレオチドは、細菌におけるバンコマイシン耐性と関連する。増幅することは少なくとも1つの循環工程を含んでもよく、ここで、循環工程は増幅産物を結果として得るために好適な条件下で生体試料を第1のプライマー及び第2のプライマーと接触させること、及び、増幅された産物とプローブをハイブリダイズさせるために好適な条件下で増幅産物をプローブと接触させることを含む。プローブのTは、第1のプライマーのT及び第2のプライマーのTよりも少なくとも8℃高い。増幅された産物が検出され、ここで、増幅された産物の存在は生体試料内の薬剤耐性菌の存在を示す。
【0007】
標的ポリヌクレオチドは、vanAポリヌクレオチド、例えば配列番号7、又はその一部を含むポリヌクレオチドであってもよい。そのようなポリヌクレオチドを増幅するために用いることができるプライマーの例は、例えば、配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む第1のプライマー、及び配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む第2のプライマーを含み、ここで、プライマー対は配列番号7の一部、好ましくは配列番号7の648〜751ヌクレオチドを増幅する。本方法において有用なプローブは、配列番号3との少なくとも約80%同一性を有する、及び/又は配列番号7と実質的に相補的なプローブを含む。
【0008】
標的ポリヌクレオチドは、vanBポリヌクレオチド、例えば配列番号8、又はその一部を含むポリヌクレオチドであってもよい。そのようなポリヌクレオチドを増幅するために用いることができるプライマーの例は、例えば、配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む第1のプライマー、及び配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む第2のプライマーを含み、ここで、プライマー対は配列番号8の一部、好ましくは配列番号8の492〜630ヌクレオチドを増幅する。本方法において有用なプローブは、配列番号6との少なくとも約80%同一性を有する、及び/又は配列番号8と実質的に相補的なプローブを含む。
【0009】
本方法は、混合物を形成するために生体試料をプローブ、第1のプライマー、及び第2のプライマーと接触させることを含んでもよく、ここで、プライマーは細菌におけるバンコマイシンに対する薬剤耐性と関連する標的ポリヌクレオチドを増幅することができ、ここで、プローブは標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズする。プローブのTは、第1のプライマー及び第2のプライマーのTよりも少なくとも8℃高い薬剤耐性に関連するポリヌクレオチドが生体試料内に存在する場合に、増幅された産物を形成するのに好適な条件に混合物を曝露する。増幅された産物が検出され、ここで、増幅された産物の存在は生体試料内の薬剤耐性菌の存在を示す。
【0010】
本方法は、結果として増幅産物を得るために生体試料内に存在する標的ヌクレオチドを増幅させることを含み、ここで、生体試料は第1のvanAプライマー及び第2のvanAプライマー、第1のvanBプライマー及び第2のvanBプライマー、又はそれらの組み合わせと、結果として増幅産物を得るための好適な条件下で、接触させられる。第1のvanAプライマーは配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含んでもよく、第2のvanAプライマーは配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含んでもよく、ここで、プライマー対は配列番号7の648〜751ヌクレオチドを増幅する。第1のvanBプライマーは配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含んでもよく、第2のvanBプライマーは配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含んでもよく、ここで、プライマー対は配列番号8の492〜630ヌクレオチドを増幅する。増幅された産物は検出され、ここで、増幅された産物の存在は、生体試料内の薬剤耐性菌の存在を示す。
【0011】
本方法は、生体試料を、混合物を形成するために第1のvanAプライマー及び第2のvanAプライマーと、混合物を形成するために第1のvanBプライマー及び第2のvanBプライマーと、又はそれらの組み合わせと、接触させることを含んでもよい。第1のvanAプライマーは配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含んでもよく、第2のvanAプライマーは配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含んでもよく、ここで、プライマー対は配列番号7の648〜751ヌクレオチドを増幅する。第1のvanBプライマーは配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含んでもよく、第2のvanBプライマーは配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含んでもよく、ここで、プライマー対は配列番号8の492〜630ヌクレオチドを増幅する。混合物は、vanAポリヌクレオチド又はvanBポリヌクレオチドが生体試料内に存在する場合に、増幅された産物を形成するのに好適な条件に曝露され、増幅された産物の不在が検出され、ここで、増幅された産物の不在は、生体試料内の薬剤耐性菌の不在を示す。
【0012】
いくつかの態様では、本方法は、生体試料をプローブと接触させることを更に含み、ここで、プローブのTは、第1のプライマーのT及び第2のプライマーのTよりも少なくとも8℃高い。プローブは、フルオロフォア及びクエンチャーを含んでもよい。本方法は、第2のプローブの使用を更に含むこともでき、ここで、第2のプローブは、本方法で用いられるプライマーのTより少なくとも8℃高いTを有する。2つのプローブが用いられる場合、1つのプローブはドナーフルオロフォアを含んでもよく、第2のプローブはアクセプタフルオロフォアを含んでもよい。
【0013】
薬剤耐性菌は、グラム陽性細菌、例えば、ブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌など)又は腸球菌属(大腸レンサ球菌、E.フェシウム、E.アビウム、E.ガリナルム、又はE.デュランスなど)のメンバーであってもよい。本発明の方法は、生体試料を獲得することを更に含むことができる。生体試料は薬剤耐性菌による感染が疑われる個体由来であってもよく、生体試料は糞便物質を含んでもよい。増幅された産物の存否を判断することは、それぞれの循環工程後に実行することができる。
【0014】
本発明は、ポリヌクレオチドを分離するための方法も提供する。本発明は、一本鎖ポリヌクレオチドの混合物を提供すること、及び、ハイブリッドを結果として得るために一本鎖ポリヌクレオチドへのオリゴヌクレオチドの特定のハイブリダイゼーションに好適な条件下で、混合物をオリゴヌクレオチドに曝露することを含むことができる。オリゴヌクレオチドは、配列番号1との少なくとも約80%同一性、配列番号2との少なくとも約80%同一性、配列番号3との少なくとも約80%同一性、配列番号4との少なくとも約80%同一性、配列番号5との少なくとも約80%同一性、又は配列番号6との少なくとも約80%同一性を有する配列から選択されるヌクレオチド配列を含む。ハイブリッドはその後洗浄されて、汚染を除去してもよい。オリゴヌクレオチドは親和性ラベルを含むことができ、オリゴヌクレオチドは曝露前又は後に固相物質に付着することができる。混合物は生体試料から獲得することができ、本方法は、結果として一本鎖ヌクレオチドを得るために、生体試料内に存在するポリヌクレオチドを変性することを更に含むことができる。
【0015】
本発明には、キットも含まれる。キットは、梱包物質、第1のvanAプライマー、第2のvanAプライマー、及びプローブを備えることができ、ここで、プローブのTは、第1及び第2のvanAプライマーのTよりも少なくとも8℃高い。プローブは、配列番号3との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができ、配列番号7にハイブリダイズすることができる。第1のプライマーは配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができ、第2のプライマーは配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができ、ここで、プライマー対は配列番号7の468〜751ヌクレオチドを増幅する。
【0016】
キットは、梱包物質、第1のvanBプライマー、第2のvanBプライマー、及びプローブを備えることができ、ここで、プローブのTは、第1及び第2のvanBプライマーのTよりも少なくとも8℃高い。プローブは、配列番号6との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができ、配列番号8にハイブリダイズすることができる。第1のプライマーは配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができ、第2のプライマーは配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができ、ここで、プライマー対は配列番号8の492〜630ヌクレオチドを増幅する。
【0017】
プローブは、フルオロフォア及びクエンチャーを含むことができる。
【0018】
本発明はまた、分離されたポリヌクレオチドを含み、これらには例えば、配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列(ここで、当該ポリヌクレオチドは配列番号2と共に用いられる際、配列番号7の648〜751ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを増幅する)、配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列(ここで、当該ポリヌクレオチドは配列番号1と共に用いられる際、配列番号7の648〜751ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを増幅する)、配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列(ここで、約139ヌクレオチドの増幅産物を結果として得るために当該ポリヌクレオチドが配列番号5と共に用いられる際、配列番号8の492〜630ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを増幅する)、配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列(ここで、当該ポリヌクレオチドは配列番号4と共に用いられる際、配列番号8の492〜630ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを増幅する)が挙げられる。
【0019】
定義
本明細書において使われる際、用語「ポリヌクレオチド」は、リボンヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、又はペプチド核酸(PNA)のいずれかである、任意の長さの高分子型のヌクレオチドを指し、二本鎖及び一本鎖の両方のRNA、DNA、及びPNAを含む。ポリヌクレオチドは、例えばコード領域、制御領域などの非コード領域を含む、異なる機能を有するヌクレオチド配列を含んでもよい。ポリヌクレオチドは、天然の供給源から直接取得するか、又は組換え技法、酵素の技法、又は化学的技法の助けを用いて調製してもよい。ポリヌクレオチドは、トポロジーにおいて直鎖又は環状であってもよい。ポリヌクレオチドは、例えば、発現ベクター若しくはクローニングベクターなどのベクターの一部、又は断片であることができる。「オリゴヌクレオチド」は、本発明のポリヌクレオチド、典型的にはプライマー及び/又はプローブを指す。
【0020】
「標的ポリヌクレオチド」は、本明細書において使われる際、増幅が所望される目的のポリヌクレオチド配列を含有する。標的配列は、実際の配列に関して既知であっても既知でなくてもよい。
【0021】
「コード領域」は、ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列であり、適切な制御配列の管理下におかれた場合、コード化されたポリペプチドを発現する。コード領域の境界は、通常、5’末端にある翻訳開始コドン及び3’末端にある翻訳終止コドンによって決定される。「制御配列」は、そのヌクレオチド配列が操作可能に連結されているコード配列の発現を制御するヌクレオチド配列である。制御配列の非限定的な例は、プロモーター、エンハンサー、転写開始部位、翻訳開始部位、翻訳終止部位、及び転写ターミネーターを含む。用語「操作可能に連結される」は、構成要素が意図されたように機能することを可能にする関係にあるような、構成要素の並置を指す。制御配列は、コード領域の発現が制御配列と両立する条件下で達成されるように、接合される際に、コード領域に「操作可能に連結される」。
【0022】
「プライマー」は、本明細書において使われる際、標的ポリヌクレオチドの一部に相補的なオリゴヌクレオチドであり、標的ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション後、増幅反応及び増幅産物の合成の開始点として用いることができる。「プライマー対」は、1つの増幅反応に共に用いることができる2つのプライマーを指す。「vanAプライマー」及び「vanBプライマー」は、vanA又はvanBポリヌクレオチドをそれぞれハイブリダイズし、適切な条件下で増幅を開始することができるプライマー対を指す。「プローブ」は、本明細書において使われる際、2つのプライマーを用いて形成される増幅産物の少なくとも一部に相補的なオリゴヌクレオチドである。「vanAプローブ」及び「vanBプローブ」は、vanAプライマー又はvanBプライマーを用いることから生じた増幅産物をハイブリダイズするプローブをそれぞれ指す。
【0023】
用語「相補体」及び「相補的」は、本明細書において使われる際、ポリヌクレオチドの1つのストランド上のアデニンが第2のポリヌクレオチドのストランド上のチミン又はウラシルに塩基対合し、ポリヌクレオチドの1つのストランド上のシトシンが第2のポリヌクレオチドのストランド上のグアニンに塩基対合する場合に、2つの一本鎖ポリヌクレオチド(例えば、プライマー及び標的ポリヌクレオチド)が互いに塩基対合できる能力を指す。2つのポリヌクレオチドは、1つのポリヌクレオチド内のヌクレオチド配列が第2のポリヌクレオチド内のヌクレオチド配列と塩基対合できる場合に、互いに相補的である。例えば、5’−ATGC及び5’−GCATは相補的である。用語「実質的な相補体(substantial complement)」、「実質的に相補的(substantially complementary)」、及び「実質的な相補性(substantial complementarity)」は、本明細書において使われる際、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下で特定のポリヌクレオチドを選択的にハイブリダイズすることが可能であるポリヌクレオチドを指す。ストリンジェントなハイブリダイゼーションは、数多くの、pH、塩及び温度の条件下で起こり得る。pHは、6〜9で、好ましくは6.8〜8.5で変動し得る。塩濃度は0.15Mナトリウム〜0.9Mナトリウムで変動する場合があり、他のカチオンは、ナトリウムについて指定されているイオン強度に等しいイオン強度である限り、用いることができる。ハイブリダイゼーション反応温度は、30℃〜80℃、好ましくは45℃〜70℃で変動する場合がある。更に、室温で、又は室温付近などの、低温で特定のハイブリダイゼーションを促進するために、他の化合物をハイブリダイゼーション反応に加えることができる。温度要件を下げるために想到される化合物には、ホルムアミドがある。したがって、ポリヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションが当該ポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとの間で発生する場合、典型的には第2のポリヌクレオチドに「実質的に相補的」である。本明細書において使われる際、「特定のハイブリダイゼーション」は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下における2つのポリヌクレオチド間でのハイブリダイゼーションを指す。
【0024】
「同一性(identity)」は、プライマー又はプローブなどのオリゴヌクレオチドと、標的ポリヌクレオチド又は増幅産物の少なくとも一部との間の配列類似性を指す。類似性は、2つのポリヌクレオチド(すなわち、プライマー又はプローブのヌクレオチド配列及び参照ヌクレオチド配列)の残渣をそれらの配列の長さに沿った同一のヌクレオチドの数を最適化するために整列することによって決定される。配列の一方又は両方のギャップは、共有されるヌクレオチドの数を最適化するための整列を行う際に許容されるが、それぞれの配列内のヌクレオチドはそれでもなお、それらの適切な順序のままでいなければならない。配列類似性は、典型的には少なくとも約80%同一性、少なくとも約85%同一性、少なくとも約90%同一性、又は少なくとも約95%同一性である。配列類似性は、例えば、GCGFastA(ジェネティクス・コンピューター・グループ(Genetics Computer Group)、ウィスコンシン州マディソン(Madison))、MacVector4.5(コダック/IBIソフトウェア・パッケージ(Kodak/IBI software package))などのシークエンス技法又は当該技術分野において既知の、他の好適なシークエンシングプログラム若しくは方法を用いて、決定することができる。好ましくは、プライマーと標的ポリヌクレオチドとの間、又はプローブと増幅産物との間の配列類似性は、タツソヴァ(Tatusova)ら(1999年、FEMS微生物学レター(FEMS Microbiol Lett.)、174巻、247〜250頁)に記述されるように、及びワールド・ワイド・ウェブ(World Wide Web)、例えば米国立生物工学情報センター(the National Center for Biotechnology Information)、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって維持されるインターネットサイトを通じて入手可能な、BLAST2探索アルゴリズムのBlastnプログラムを用いて決定される。好ましくは、reward for match=1、penalty for mismatch=−2、open gap penalty=5、extension gap penalty=2、gap x_dropoff=50、expect=10、wordsize=11、を含む、全てのBLAST2探索パラメーターの初期値が用いられ、任意でfilterをオンにする。BLAST探索アルゴリズムを用いる2つのヌクレオチド配列の比較において、配列類似性は「同一性」として示される。
【0025】
「ラベル(label)」は、オリゴヌクレオチドに添付されるか(共有結合又は非共有結合)又は添付されることが可能な部分を指し、これらは、オリゴヌクレオチドについての情報(例えば、オリゴヌクレオチドについての記述的又は同定情報)又はラベル付けされたオリゴヌクレオチドが相互作用する(例えば、ハイブリダイズする)別のポリヌクレオチドについての情報を提供するか又は提供可能である。ラベルを用いて、検出可能な(及び任意で定量化可能な)信号を提供することができる。ラベルを用いて、オリゴヌクレオチドを表面に添付することもできる。
【0026】
「フルオロフォア」は、より短い波長の光を吸収した後に特定の波長の光を放射することができる部分である。特定のフルオロフォアによって放射される光の波長は、そのフルオロフォアに特徴的である。したがって、特定のフルオロフォアは、より短い波長の光によってフルオロフォアが励起した後の適切な光によって検出することができる。
【0027】
用語「クエンチャー(quencher)」は、本明細書において使われる際、フルオロフォアから放射されるエネルギーを吸収する、あるいはそうでなければ、蛍光染料が光を放射する能力に干渉する部分を指す。クエンチャーは、フルオロフォアから吸収したエネルギーを、そのクエンチャーに特徴的な信号で再放射することができ、したがってクエンチャーはフルオロフォア(蛍光クエンチャー)として振る舞うこともできる。この現象は、通常、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)として既知である。あるいは、クエンチャーはフルオロフォアから吸収したエネルギーを熱として拡散することもできる(非蛍光クエンチャー)。
【0028】
「生体試料」は、真核生物源又は原核生物源から獲得された試料を指す。真核生物源の例は、ヒト又はネズミ科のメンバー(ラット又はマウスなどのネズミ科の動物)を含む。原核生物源の例は、腸球菌を含む。生体試料は、例えば、単一の細胞の形態、組織の形態、又は液体の形態を取ることができる。細胞又は組織は、インビトロ培養由来とすることができる。
【0029】
ハイブリダイゼーション、ストランド伸長などのような、あるイベントが発生することを「可能にする」条件、又は「好適な」条件は、そのようなイベントが発生するのを妨げない条件である。したがって、これらの条件は、そのイベントを可能にし、増強し、容易にし、かつ/又は促す。当該技術分野において既知であり本明細書に記載されるそのような条件は、例えば、ヌクレオチド配列の性質、温度、及び緩衝条件によって決まり得る。これらの条件は、ハイブリダイゼーション、分裂、又はストランド伸長などの、いずれのイベントが所望されるかによっても決まり得る。
【0030】
「分離された」ポリヌクレオチドは、その自然環境から取り出されたポリヌクレオチドを指す。「精製された」ポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドと天然で関連している他の成分から、少なくとも約60%フリー、好ましくは少なくとも約75%フリー、最も好ましくは少なくとも約90%フリーであるポリヌクレオチドである。
【0031】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、特定の状況下で特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況において、他の実施形態も好まれる可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0032】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が現れる説明及び請求項において制限する意味を持たない。
【0033】
特に指定されない限り、「a」、「an」、「the」、及び「at least one」は、同じ意味で使用され、「1つ以上」を意味する。
【0034】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、など)が包含される。
【0035】
用語「及び/又は」は、列挙した要素の1つ又は全て、あるいは列挙した要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0036】
本発明の上述の「課題を解決するための手段」は、本発明の開示される各実施形態又は全ての実施を記載することを目的としていない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願のいくつかの箇所で、実施例の一覧として説明を提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。いずれの場合にも、記載した一覧は、代表的な群としてのみ役立つものであり、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】vanAコード領域のヌクレオチド配列(配列番号7)。
【図1B】vanBコード領域のヌクレオチド配列(配列番号8)。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、薬剤耐性原核細菌に特有のポリヌクレオチドを検出するための方法を含む。これらの細菌は、vanA又はvanBコード領域を有することによって薬剤耐性である。好ましくは、原核細菌は腸球菌属(本明細書では腸球菌種又は腸球菌と呼ばれる)のメンバー、例えば、大腸レンサ球菌、E.フェシウム、E.アビウム、E.ガリナルム、又はE.デュランス、より好ましくは、大腸レンサ球菌又はE.フェシウムであり、最も好ましくは、大腸レンサ球菌である。薬剤耐性菌の他の例として、黄色ブドウ球菌などのブドウ球菌種、及び連鎖球菌種が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本発明は、増幅技法並びにプライマー及びプローブなどのオリゴヌクレオチドを用いて、バンコマイシン耐性腸球菌に存在するvanA及び/又はvanBコード領域の一部を検出することを目的とする方法を含む。本発明の方法を用いて、生体試料内の薬剤耐性菌の存否を同定することが可能である。いくつかの態様では、増幅技法はリアルタイムアッセイの使用を含む。本発明は、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドも含む。
【0039】
オリゴヌクレオチド
本発明のオリゴヌクレオチドは、vanAコード領域の一部を増幅するために用いることができるプライマーを含む。vanAコード領域の一例は、配列番号7(ジェンバンク(GenBank)受け入れ番号AB247327、図1Aを参照)において開示されている。vanAコード領域の一部を増幅するために有用なプライマーは、配列番号7の領域、好ましくは、配列番号7の約648〜約751のヌクレオチドを含む領域を増幅することができる。結果的に、プライマーのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド約648〜約670、好ましくはヌクレオチド648〜670(配列番号1として本明細書で言及される)に対応することができる。同様に、プライマーのヌクレオチド配列は、約726〜751、好ましくは726〜751のヌクレオチドの相補体(配列番号2として本明細書で言及される)に対応する場合がある。vanAコード領域の一部を増幅するために有用なプライマー対の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:配列番号1及び配列番号2、配列番号1との配列類似性を有するプライマー及び配列番号2、配列番号1及び配列番号2との配列類似性を有するプライマー、並びに配列番号1との配列類似性を有するプライマー及び配列番号2との配列類似性を有するプライマー。
【0040】
本発明のオリゴヌクレオチドは、vanBコード領域の一部を増幅するために用いることができるプライマーを含む。vanBコード領域の一例は、配列番号8(ジェンバンク(GenBank)受け入れ番号AY665551、図1Bを参照)において開示されている。vanBコード領域の一部を増幅するために有用なプライマーは、配列番号8の領域、好ましくは、配列番号8の約492〜約630のヌクレオチドを含む領域を増幅することができる。結果的に、プライマーのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド約492〜約516、好ましくは492〜516(配列番号4として本明細書で言及される)に対応することができる。同様に、プライマーのヌクレオチド配列は、約608〜630、好ましくは608〜630のヌクレオチドの相補体(配列番号5として本明細書で言及される)に対応する場合がある。vanAコード領域の一部を増幅するために有用なプライマー対の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:配列番号4及び配列番号5、配列番号4との配列類似性を有するプライマー及び配列番号5、配列番号4及び配列番号5との配列類似性を有するプライマー、並びに配列番号4との配列類似性を有するプライマー及び配列番号5との配列類似性を有するプライマー。
【0041】
vanA又はvanBのコード領域を増幅するプライマーは、Primer Express(登録商標)(アプライド・バイオシステムス(Applied Biosystems)、カリフォルニア州フォスターシティ(Foser City))、及びIDT(登録商標)OligoAnalyzer3.0(インテグレーテッド・DNA・テクノロジーズ(Integrated DNA Technologies)、アイオワ州コーラルヴィル(Coralville))などのすぐに入手可能なコンピュータプログラムを用いて設計することができる。プライマーを設計する際に考慮できる因子として、融解温度、プライマー長さ、増幅産物の大きさ、及び特異性が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される増幅方法において有用なプライマーは、典型的には、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃又は少なくとも59℃より高い融解温度(T)を有する。プライマーのTは、ウォレス・ルール(Wallace Rule)(ウォレスら、1979年、核酸研究(Nucleic Acids Res.)、6巻、3543〜3557頁)によって、又はIDT Oligo Analyzer3.0などのすぐに入手可能なコンピュータプログラムによって決定することができる。典型的には、プライマー対のプライマーは、4℃以下、3℃以下、2℃以下、又は1℃以下の幅で変動するTを有する。典型的には、2つのプライマーは十分に長く、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズし、かつ細菌、好ましくは腸球菌内に存在する他の非標的ポリヌクレオチド及び増幅反応に存在する可能性がある他のポリヌクレオチドにハイブリダイズしない。プライマー長さは、通常、約15〜約30ヌクレオチド(例えば、15、16、18、20、22、24、26、28、又は30ヌクレオチド)である。
【0042】
本発明において有用なプライマーは、配列番号1、配列番号2、配列番号4、又は配列番号5に対する配列類似性を有することができる。配列類似性を有するそのようなプライマーにおける非相補的ヌクレオチドは、本質的にはプライマー中の任意の場所に位置することができる。いくつかの態様では、シトシン残基又はグアニン残基を保存することが好ましい。例えば、配列番号1に対する配列類似性を有するプライマーにおいて、配列番号1において1つ以上のアデニン残基又はチミン残基を変更し、シトシン残基及びグアニン残基を保存することがより好ましい。好ましくは、配列類似性を有するプライマーの3’末端にある第1のヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4、又は配列番号5にある対応する第1のヌクレオチドと同一である。
【0043】
配列番号1、配列番号2、配列番号4、又は配列番号5との配列類似性を有するプライマーは、適切な条件下で標的ポリヌクレオチドを増幅する活性を有する。配列類似性を有するそのような候補プライマー(すなわち、配列番号1、配列番号2、配列番号4、又は配列番号5と比較されるプライマー)が標的ポリヌクレオチドを増幅する活性を有するか否かは、以下のプロファイルでLightcycler(登録商標)リアルタイムPCRシステム(ロシュ(Roche)、インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis))によって検査することができる:95℃で30秒、その後、95℃で0秒(20℃/秒勾配)、60℃で30秒(20℃/秒勾配)を45サイクル。増幅は、5マイクロリットル(μL)の試料及び5μLの以下の混合物を含有する全体積10μLで実行することができる:2つのプライマー(それぞれ10マイクロモル(μM)で0.5μL)、MgCl(25mMで2μL)及びLightCycler(登録商標)DNA Master Hybridization Probes(10xで1μL、ロシュ(Roche))。配列番号1又は配列番号2のいずれかとの配列類似性を有する候補プライマーを評価するための標的ポリヌクレオチドは、配列番号7のヌクレオチド648〜751を有するポリヌクレオチドである。そのようなヌクレオチド配列は、ATCC 700221(商標)として指示されるエンテロコッカス・フェシウムから獲得された全細胞DNAに存在する。配列番号4又は配列番号5のいずれかとの配列類似性を有する候補プライマーを評価するための標的ポリヌクレオチドは、配列番号8のヌクレオチド492〜630を含むポリヌクレオチドである。そのようなヌクレオチド配列は、ATCC 700802(商標)として指示されるエンテロコッカス・フェシウムから獲得された全細胞DNAに存在する。配列番号1との配列類似性を有する候補プライマーをテストする際、用いられる第2のプライマーは配列番号2である。配列番号2との配列類似性を有する候補プライマーをテストする際、用いられる第2のプライマーは配列番号1である。配列番号4との配列類似性を有する候補プライマーをテストする際、用いられる第2のプライマーは配列番号5である。配列番号5との配列類似性を有する候補プライマーをテストする際、用いられる第2のプライマーは配列番号4である。
【0044】
本発明のプライマーは、追加的なヌクレオチドを更に含むことができる。典型的には、このような追加的なヌクレオチドはプライマーの5’末端に存在し、例えば、制限エンドヌクレアーゼ部位を含むヌクレオチド、ヘアピンループを形成するヌクレオチド、及び、プライマーが、例えばスコーピオンプライマー(scorpions primer)(例えば、ウィトコンベ(Whitcombe)ら、米国特許第6,326,145号、及びウィトコンベ(Whitcombe)ら、1999年、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nat. Biotechnol.)、17巻、804〜817頁を参照)又はアンプリフルーア(amplifluor)プライマー(例えば、ナザレンコ(Nazarenko)ら、1997年、核酸研究(Nucl. Acids Res.)、25巻、2516〜2521頁を参照)として用いられることを可能にする他のヌクレオチドを含む。プライマーがそのような追加的なヌクレオチドを含む際、プライマーが配列番号1、配列番号2、配列番号4、又は配列番号5との配列類似性を有するか否かを判断するのに、その追加的なヌクレオチドは含まれない。同様に、一般的に約10〜約50ヌクレオチドであるプライマーの長さを判断するのに、追加的なヌクレオチドは含まれない。
【0045】
本発明のオリゴヌクレオチドは、vanAプライマー又はvanBプライマーの使用から生じる増幅された産物の少なくとも一部にハイブリダイズするために用いることができるプローブを含む。そのような本明細書で有用なvanAプローブは、配列番号7の約671〜約725のヌクレオチド、好ましくは、配列番号7の684〜712ヌクレオチド、を含む領域にハイブリダイズする。そのような本明細書で有用なvanBプローブは、配列番号8の約517〜約607のヌクレオチド、好ましくはヌクレオチド549〜573を含む領域にハイブリダイズする。
【0046】
典型的には、vanAプローブは、vanAプライマーの特定のセットを用いる本発明の方法において用いるように設計され、vanBプローブは、vanBプライマーの特定のセットを用いる本発明の方法において用いるように設計される。vanAプローブ及びvanBプローブを設計することは、本明細書に記載されるプライマーを設計することと同様な方法で行われる。本明細書に記載される方法に有用なプローブを設計する際に考慮できる因子として、融解温度、長さ、プライマーに関するプローブの位置が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、プローブは、プローブと共に用いられるプライマーの最も高いTよりも高いTを有する。好ましくは、プローブは、プローブと共に用いられるプライマーの最も高いTよりも、少なくとも約8℃高い、少なくとも約8.5℃高い、少なくとも約9℃高い、少なくとも約9.5℃高い、又は少なくとも約10℃高いTを有する。典型的には、より高いTmは、プライマー以前にプローブがハイブリダイズするのを可能にし、それによって、プローブでのそれぞれの増幅産物のラべリングの最大化を助ける。
【0047】
典型的には、プローブは十分に長く、標的ポリヌクレオチド(及び増幅産物)にハイブリダイズし、かつ細菌、好ましくは、腸球菌に存在する他の非標的ポリヌクレオチド、及び増幅反応に存在する可能性がある他のポリヌクレオチドにハイブリダイズしない。プローブ長さは一般的には、約15ヌクレオチド〜約30ヌクレオチドである。好ましくはプローブ及びプローブと共に用いられるプライマーは増幅産物の同じヌクレオチドにハイブリダイズしない。プローブは、増幅された産物の1つのストランドにハイブリダイズし、典型的にはそのストランドにハイブリダイズするプライマーの前に、増幅された産物にハイブリダイズするように設計される。本発明のいくつかの態様では、プローブは、同じストランドにハイブリダイズするプライマーの1、2、3、4、又は5ヌクレオチド以内で、増幅された産物の1つのストランドにハイブリダイズする。2つのプローブの使用を伴う本発明のいくつかの態様では、2つのプローブは好ましくは増幅された産物の同じストランドにハイブリダイズし、2つのプローブは任意で、互いの1、2、3、4、又は5ヌクレオチド以内で、同じ増幅産物にハイブリダイズすることができる。
【0048】
本発明において有用なプローブは、配列番号3、又は配列番号6に対する配列類似性を有することができる。配列類似性を有するそのようなプローブにおける非相補的ヌクレオチドは、本質的にはプローブ中の任意の場所に位置することができる。いくつかの態様では、シトシン残基又はグアニン残基を保存することが好ましい。配列番号3又は配列番号6との配列類似性を有するプローブは、プライマー対のプライマーがハイブリダイズするのと同じ条件下で増幅された産物にハイブリダイズする活性を有する。配列類似性を有するそのような候補プローブ(すなわち、配列番号3又は配列番号6と比較されるプローブ)がこの活性を有するか否かは、候補プローブをプライマー対との増幅反応に含めること、及びアニーリング工程中に候補プローブが増幅産物とのハイブリッドを形成するか否かを判断することによって試験することができる。配列番号3との配列類似性を有する候補プローブを評価するための標的ポリヌクレオチドは、配列番号7のヌクレオチド648〜751を含むポリヌクレオチドであり、配列番号6との配列類似性を有する候補プローブを評価するための標的ポリヌクレオチドは、配列番号8のヌクレオチド492〜630を含むポリヌクレオチドである。配列番号3との配列類似性を有する候補プローブを試験する際、配列番号1及び配列番号2がプライマー対として用いられる。配列番号6との配列類似性を有する候補プローブを試験する際、配列番号4及び配列番号5がプライマー対として用いられる。
【0049】
本発明のプローブは、追加的なヌクレオチドを更に含むことができる。そのような追加的なヌクレオチドは、5’末端、3’末端のいずれか、又は両方に存在することができ、例えばヘアピンループを形成するヌクレオチド、及び、プローブを例えば分子指標として用いることを可能にする他のヌクレオチドを含むことができる。プローブがそのような追加的なヌクレオチドを含む際、プローブが配列番号7又は配列番号8との配列類似性を有するか否かを判断するのに、その追加的なヌクレオチドは含まれない。同様に、一般的に約15〜約30ヌクレオチドであるプローブの長さを判断するのに、追加的なヌクレオチドは含まれない。
【0050】
本発明のオリゴヌクレオチドのヌクレオチドは修飾することができる。そのような修飾は、特定の環境におけるポリヌクレオチドの安定性を向上させるのに有用であり得る。修飾は、核酸主鎖、塩基、糖、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。修飾は、合成、自然発生、又は非自然発生である場合がある。本発明のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドに存在する1つ以上の核酸における修飾を含むことができる。主鎖の修飾の例として、ホスホノアセテート、チオホスホノアセテート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミダート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、及びペプチド核酸が挙げられるが、これらに限定されない(ニールソン(Nielson)ら、米国特許第5,539,082号、エゴーム(Egholm)ら、ネイチャー(Nature)、1993年、365巻、566〜568頁)。核酸塩基の修飾の例として、イノシン、プリン、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル、擬似ウラシル(pseudouracil)、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば、5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば、5−ブロモウリジン)若しくは6−アザピリミジン若しくは6−アルキルピリミジン(例えば、6−メチルウリジン)、又はプロピン修飾が挙げられるが、これらに限定されない。核酸糖修飾の例として、2’−糖修飾、例えば、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ、2’−O−メトキシエチルヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド、又は2’−デオキシヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
オリゴヌクレオチドはラベルを含んでもよい。代表的なラベルとして、フルオロフォアラベル(例えば、クエンチャー又は吸収体など)、非蛍光ラベル、比色分析ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、放射性ラベル、質量修飾基(mass-modifying groups)、親和力ラベル、磁性粒子、抗原、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、フォスファターゼなど)、基質などが挙げられるが、これらに限定されない。ラベルは、蛍光、放射能、比色、重量測定、X線回折又はX線吸収、磁性、酵素活性などによって検出可能な信号を提供することができる。親和力ラベルは、別の分子との特異的相互作用を提供する。親和力ラベルの例は、例えば、抗体のように、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、コレステロール、ポリエチレンオキシ(polyethyleneoxy)、ハプテン、及びペプチドを含む。
【0052】
特定の態様では、ラベルはフルオロフォアである。フルオロフォアラベルとして、フルオレセイン・ファミリー、カルボキシローダミン・ファミリー、シアニン・ファミリー、及びローダミン・ファミリーの染料が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において用いることができる染料の他のファミリーとして、例えば、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの染料、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの染料、クマリン・ファミリーの染料、オキサジン・ファミリーの色素、チアジン・ファミリーの色素、スクアライン・ファミリーの色素、キレート化ランタニド・ファミリーの色素、Alexa FluorJの商品名でモレキュラー・プローブス(Molecular Probes)から入手可能な染料のファミリー、及びBodipyJの商品名でインヴィトロジェン(Invitrogen)(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad))から入手可能な染料のファミリーが挙げられる。フルオレセイン・ファミリーの染料として、例えば、6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、2’,4’,1,4,−テトラクロロフルオレセイン(TET)、2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシローダミン(JOE)、2’−クロロ−5’−フルオロ−7’,8’−縮合フェニル(fused phenyl)−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(NED)、2’−クロロ−7’−フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、及び2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−5−カルボキシ−フルオレセイン(ZOE)が挙げられる。カルボキシローダミン・ファミリーの染料として、テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラプロパノ−6−カルボキシローダミン(ROX)、テキサスレッド、R110、及びR6Gが挙げられる。シアニン・ファミリーの染料として、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、及びCy7が挙げられる。フルオロフォアは、例えば、パーキンエルマー(Perkin-Elmer)(カリフォルニア州フォスターシティ(Foster City))、モレキュラー・プローブス株式会社(Molecular Probes, Inc.)(オレゴン州ユージーン(Eugene))、及びアマシャムGEヘルスケア(Amersham GE Healthcare)(ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway))から市販されている。
【0053】
ラベルは、クエンチャーであってもよい。クエンチャーは、蛍光クエンチャー又は非蛍光クエンチャーであってもよい。蛍光クエンチャーとして、TAMRA、ROX、DABCYL、DABSYL、シアニン染料(ニトロチアゾールブルー(NTB)、アントラキノン、マラカイトグリーン、ニトロチアゾール、及びニトロイミダゾール化合物など)が挙げられるが、これらに限定されない。フルオロフォアから吸収したエネルギーを拡散する代表的な非蛍光クエンチャーとして、ビオサーチ・テクノロジーズ株式会社(Biosearch Technologies, Inc.)(カリフォルニア州ナヴァト(Novato))から商品名ブラックホールJ(Black HoleJ)で入手可能なもの、エポック・バイオサイエンス(Epoch Biosciences)(ワシントン州ボセル(Bothell))から商品名エクリプス・ダークJ(Eclipse DarkJ)で入手可能なもの、アナスペック株式会社(Anaspec, Inc.)(カリフォルニア州サンノゼ(San Jose))から商品名QxlJで入手可能なもの、及びインテグレーテッド・DNA・テクノロジーズ(Integrated DNA Technologies)(アイオワ州コーラルヴィル(Coralville))から商品名アイオワブラックJ(Iowa BlackJ)で入手可能なものが挙げられる。
【0054】
典型的には、フルオロフォア及びクエンチャーは共に用いられ、同じ又は異なるヌクレオチド上に存在する可能性がある。共に対になっている場合、フルオロフォア及び蛍光クエンチャーは、それぞれドナーフルオロフォア及びアクセプタフルオロフォアとして言及することができる。多数の好都合なフルオロフォア/クエンチャー対は、当該技術分野において既知であり(例えば、グレイザー(Glazer)ら、カレント・オピニオン・イン・バイオテクノロジー(Current Opinion in Biotechnology)、1997年、8巻、94〜102頁、チャギ(Tyagi)ら、1998年、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nat. Biotechnol.)、16巻、49〜53頁を参照)、例えば、モレキュラー・プローブス(Molecular Probes)(オレゴン州ジャンクションシティ(Junction City))、及びアプライド・バイオシステムス(Applied Biosystems)(カリフォルニア州フォスターシティ(Foster City))から商業的に容易に入手可能である。種々のアクセプタフルオロフォアと共に用いることができるドナーフルオロフォアの例として、フルオレセイン、ルシファーイエロー、B−フィリコエリトリン、9−アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエローVS、4−アセトアミド−4’−イソチオ−シアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン、スクシンイミジル1−ピレンブチラート、及び4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2−,2’−ジスルホン酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。アクセプタフルオロフォアは、典型的には用いられるドナーフルオロフォアによって決まる。アクセプタフルオロフォアの例として、LCJ−Red 640、LCJ−Red 705、Cy5、Cy5.5、リサミン・ローダミンBスルホニルクロライド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ローダミンxイソチオシアネート、エリトロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、又は他のランタニドイオンのキレート(例えば、ユウロピウム及びテルビウム)が挙げられるが、これらに限定されない。ドナーフルオロフォア及びアクセプタフルオロフォアは、例えば、モレキュラー・プローブス(Molecular Probes)又はシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis))から商業的に容易に入手可能である。
【0055】
ドナーフルオロフォア及びアクセプタフルオロフォアを用いるリアルタイムアッセイに有用なプローブの例として、隣接プローブ(カルドゥーロ(Cardullo)ら、1988年、米国科学アカデミー紀要(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、85巻、8790〜8794頁、ヴィットヴェア(Wittwer)、1997年、バイオテクニックス(BioTechniques)、22巻、130〜131頁)、及びTaqmanプローブ(ホランド(Holland)ら、1991年、米国科学アカデミー紀要(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、88巻、7276〜7280頁、リヴァク(Livak)ら、1995年、PCR応用方法(PCR Methods Appl.)、4巻、357〜62頁)が挙げられるが、これらに限定されない。フルオロフォア及び非蛍光クエンチャーを用いるリアルタイムアッセイに有用なプローブ及びプライマーの例として、分子指標(チャギ(Tyagi)ら、1996年、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nat. Biotechnol.)、14巻、303〜308頁、ヨハンソン(Johansson)ら、2002年、米国化学会誌(J. Am. Chem. Soc.)、124巻、6950〜6956頁)、スコーピオンプライマー(二重鎖スコーピオンプライマーを含む)(ウィトコンベ(Whitcombe)ら、米国特許第6,326,145号、ウィトコンベ(Whitcombe)ら、1999年、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nat. Biotechnol.)、17巻、804〜817頁)、アンプリフルーアプライマー(ナザレンコ(Nazarenko)ら、1997年、核酸研究(Nucl.Acids res.)、25巻、2516〜2521頁)、及び点灯(light-up)プローブ(スヴァンヴィク(Svanvik)ら、2000年、アナリティカル・バイオケミストリー(Anal. Biochem.)、287巻、179〜182頁)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本発明のポリヌクレオチドは、ベクターに存在し得る。ベクターは、別のポリヌクレオチドが、付着したポリヌクレオチドの複製をもたらすように付着することができるプラスミド、ファージ、又はコスミドなどの複製ポリヌクレオチドである。本発明のポリヌクレオチドを含有するベクターの構成体は、当該技術分野において既知の標準のライゲーション技法を用いる。例えば、サムブルック(Sambrook)ら、モレキュラー・クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1989年)を参照のこと。ベクターは、更なるクローニング(ポリヌクレオチドの増幅)、すなわちクローニングベクター、又は、ポリヌクレオチドの発現、すなわち発現ベクターを提供することができる。用語「ベクター」として、プラスミドベクター及びウィルス性ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。ウィルス性ベクターの例として、例えば、アデノウィルスベクター、アデノ関連ウィルスベクター、レンチウィルスベクター、レトロウィルスベクター、及びヘルペスウィルスベクターが挙げられる。典型的には、ベクターは、細菌の宿主、例えば大腸菌において複製可能である。好ましくは、ベクターはプラスミドである。ベクターはまた、配列番号7、又はその一部、好ましくは配列番号7の約648〜約751のヌクレオチドなどのvanAコード領域、又は配列番号8、又はその一部、好ましくは配列番号8の約492〜約630のヌクレオチドなどのvanBコード領域も含むことができる。そのようなベクターは、例えば、制御標的ポリヌクレオチドとして用いることができる。
【0057】
ベクターの選択は、選択マーカー、ベクター複製率などのような、結果として得られる作成物における種々の所望の特性によって決まる。本明細書のベクターのクローニング又は発現に好適な宿主細胞は、原核細胞である。好適な原核細胞として、グラム陰性細菌、例えば、大腸菌などの真正細菌が挙げられる。ベクターは、当業者に既知で、日常的に用いられる方法を用いて宿主細胞に導入することができる。例えば、リン酸カルシウム沈殿、電気穿孔、熱ショック、リポフェクション、顕微注入、及びウィルス媒介核酸転移は、核酸を宿主細胞に導入するための一般的な方法である。更に、裸のDNAは、細胞に直接送ることができる。
【0058】
本発明のポリヌクレオチドは、インビトロ又はインビボで産生することができる。例えば、インビトロ合成のための方法として、従来のDNA/RNA合成器を用いた化学合成が挙げられるが、これに限定されない。合成ポリヌクレオチド及びそのような合成のための試薬の商業的供給者は周知である。インビトロ合成のための方法は、例えば、無細胞系で環状又は線形発現ベクターを用いるインビトロ転写も含む発現ベクターを用いて、細胞内で本発明のポリヌクレオチドを産生することができ、その後、そのポリヌクレオチドは細胞から分離される。
【0059】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、若しくは配列番号4のうちの1つ、又はそれらの断片に含有されるヌクレオチド配列と同一又は十分に同一なポリヌクレオチドは、核酸増幅(PCR)反応のためのプライマーとして用いて、腸球菌属(及び標的ポリヌクレオチド配列との高い配列類似性を有する、腸球菌以外の属に属する細菌からのホモログ及びオルソログをコード化する遺伝子)の薬剤耐性原核細菌に特徴的な標的ポリヌクレオチドを検出することができる。典型的には、これらのプライマーポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、又は配列番号4に示されるヌクレオチド配列のうちの1つと、少なくとも約80%同一〜少なくとも約95%同一である(例えば、少なくとも約80%配列同一性、少なくとも約85%配列同一性、少なくとも約90%配列同一性、又は少なくとも約95%配列同一性を有する)。
【0060】
配列番号3、若しくは配列番号6のうちの1つ、又はそれらの断片に含有されるヌクレオチド配列と同一又は十分に同一なポリヌクレオチドは、核酸検出反応(例えば、ハイブリダイゼーション)のためのプローブとして用いて、腸球菌属(及び標的ポリヌクレオチド配列との高い配列類似性を有する、腸球菌以外の属に属する細菌からのホモログ及びオルソログをコード化する遺伝子)の薬剤耐性原核細菌に特徴的な標的ポリヌクレオチドを検出することができる。典型的には、これらのプローブポリヌクレオチドは、配列番号3、又は配列番号6に示されるヌクレオチド配列のうちの1つと、少なくとも約80%同一〜少なくとも約95%同一である(例えば、少なくとも約80%配列同一性、少なくとも約85%配列同一性、少なくとも約90%配列同一性、又は少なくとも約95%配列同一性を有する)。
【0061】
使用方法
本発明は、薬剤耐性原核細菌、好ましくは、腸球菌属のメンバー、例えば、大腸レンサ球菌、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・アビウム、エンテロコッカス・ガリナルム、又はエンテロコッカス・デュランス、より好ましくは、大腸レンサ球菌又はエンテロコッカス・フェシウム、最も好ましくは、大腸レンサ球菌、に特徴的なポリヌクレオチドを検出するための方法を含む。薬剤耐性菌の他の例として、黄色ブドウ球菌などのブドウ球菌種、及び連鎖球菌種が挙げられるが、これらに限定されない。試料が被験者から獲得されると、本方法を用いて被験者が薬剤耐性菌に感染しているか否かを判断することができる。本発明のこの態様の方法は、典型的には、標的ポリヌクレオチドを本発明のプライマー対と接触させること、ポリヌクレオチドを増幅すること、及び結果として得られる増幅された産物を検出することを含む。
【0062】
本方法で用いられる標的ポリヌクレオチドは、試料内に存在してもよい。試料は、食品試料、飲料試料、発酵ブロス、法医学試料、環境試料(例えば、土壌、汚れ、廃棄物、汚水、又は水)、又は生体試料であってもよい。好ましくは、試料は生体試料である。「生体試料」は、真核生物源又は原核生物源から獲得された試料を指す。真核生物源の例は、ヒト又はネズミ科のメンバー(ラット又はマウスなどのネズミ科の動物)を含む。原核生物源の例として、腸球菌、及び内因性又は組換えのvanA又はvanBコード領域を含有する他の細菌を含む。
【0063】
生体試料は、例えば、単一の細胞の形態、組織の形態、又は液体の形態を取ることができる。細胞又は組織は、インビトロ培養由来とすることができる。動物から獲得される場合、生体試料は、例えば肛門スワブ、直腸スワブ、便の試料、血液、及び/又は体液から獲得することができる。いくつかの態様では、生体試料は、腸球菌感染を有すると疑われる被験者から獲得される。試料は、分離されたポリヌクレオチド、例えば、本明細書で記載されるようなベクター内に存在するポリヌクレオチド、又は本明細書で以下に記載される方法を用いて分離されるポリヌクレオチドであってもよい。
【0064】
試料は、水若しくは有機媒体の中に溶解若しくは分散しているか、又はそこからポリヌクレオチドが水若しくは有機媒体に抽出されている固体試料(例えば、固体組織)であってもよい。例えば、試料は臓器ホモジェネートであってもよい。したがって、試料は先行して抽出されたポリヌクレオチドであってもよい。
【0065】
いくつかの態様では、試料は、存在している細菌、好ましくは腸球菌、を濃縮するために、濃縮ブロスを用いてインキュベートされてもよい。そのような細菌についての試料の感度は、増幅及び検出のためにポリヌクレオチドを抽出する試料調製に先行する集積培養プロセスを含むことによって増強される。試料原料(例えば、生体試料)は、試料中の他の細菌を殺すが抗生物質耐性菌の増殖を可能にする特定の濃度で抗生物質(複数可)を補われた好適な媒体/ブロスを接種するために用いられ、その後、カルチャーは好適な温度(例えば、37℃)である期間(例えば、18〜24時間)インキュベートされる。好ましくは、抗生物質は、例えば4ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)〜8mg/mLの濃度で用いることのできるバンコマイシンである。集積培養プロセスの最後に、目的の細菌を有する試料は、遠心分離、濾過、又は他の好適な方法によってカルチャーの一部から収集され、増幅及び検出を含む本発明の方法に用いられる。
【0066】
ポリヌクレオチドは、不純、部分的に純粋、又は純粋な試料からであってもよい。ポリヌクレオチドは著しく不純な試料からも獲得することができるため、元の試料の純度は重要ではない。例えば、ポリヌクレオチドは、血液、唾液、糞便、又は組織などの生体液の不純な試料から獲得することができる。より高い純度の試料が所望される場合、試料は、本発明の方法を行うのに先立って、当業者に既知の任意の従来の手段によって処理することができる。ポリヌクレオチドは、本明細書で以下に記載される方法を用いて分離することができる。
【0067】
複合生体試料(糞便、血液、食品、組織、痰など)は、固体のくず及び/又は増幅阻害因子を含有する場合がある。固体のくずは、一般的に沈殿又は遠心分離(固体からの分離上清)、濾過などによって除去される。増幅阻害因子は、多くの場合、タンパク質変性剤又はプロテアーゼを用いる処置、希釈などによって除去される。所望されないポリヌクレオチド含有細胞は、選択的な溶菌、分画遠心分離、濾過などによって減らすことができる。
【0068】
特定の細菌、好ましくは腸球菌種は、腸球菌種内に存在する標的ポリヌクレオチドの増幅に先立って、試料から取り出すことができる。例えば、生体試料は、腸球菌と相互作用するが、生体試料内に存在する他の要素とは相互作用しない作用薬によって官能化される基質に曝露することができる。相互作用は、ファンデルワールス相互作用、静電相互作用、親和力バインディング、又は物理的なトラッピングなどの弱い力などの、幅広い多様な機構を介した可逆的な保持である。有用な作用薬の例として、抗腸球菌抗体によって媒介されるものなどの特異的相互作用、及び非特異的相互作用が挙げられるが、これらに限定されない。細菌との非特異的相互作用を媒介するために用いることができる作用薬の例として、例えば、シリカ、ジルコニア、アルミナビーズ、金などの金属コロイド、及び、メルカプト化学を通じて官能化されている金でコーティングされたシートが挙げられる(パータサラティ(Parthasarathy)、米国特許仮出願第60/913,813号、2007年4月25日出願、代理人整理番号第62470US002号)。
【0069】
腸球菌と相互作用する作用薬は、任意の固相物質上に存在することができる。例として、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド、多糖、及びフッ素化ポリマー、並びに、アガロース、ラテックス、セルロース、及びデキストランなどの樹脂が挙げられる。固体物質は、マイクロ流体装置に導入することができる任意の形態、好ましくは粒子状物質(例えば、粒子、ビーズ、マイクロビーズ、マイクロスフェア)又は任意の他の形態(例えば、微小繊維)の形態、を取り得る(パータサラティ(Parthasarathy)、米国特許仮出願第60/913,813号、2007年4月25日出願、代理人整理番号第62470US002号)。
【0070】
増幅反応において用いるのに先立ち、生体試料などの試料に存在するポリヌクレオチドは増幅のために調製することができる。増幅のためのポリヌクレオチド調製処置は、当該技術分野において周知であり、日常的に用いられている。ポリヌクレオチドは、生体試料から抽出することができる。抽出は、典型的にはポリヌクレオチドを放出させるために細菌を溶菌することを含む。本明細書では、溶菌は細胞膜の物理的な破壊である。抽出は、標準的な技法及び試薬の使用によって達成することができる。例として、例えば、煮沸、プロテイナーゼを用いた加水分解、超音波への曝露、洗浄剤、強塩基、又はフェノールクロロホルムなどの有機溶媒(リン(Lin)ら、米国特許第5,620,852号、ケロッグ(Kellogg)ら、米国特許第5,010,183号)が挙げられる。ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドをバインディングするための条件下で磁性ガラス粒子などの粒子を用い、続けて不純物を除去するために洗浄し、その後バインディングされたポリヌクレオチドを取り出すために設計された洗浄を用いて清浄化されたポリヌクレオチドを得ることによって調製することができる(MagNA Pure、国際公開第WO01/37291A1号)。
【0071】
標的として本発明の方法で用いられるポリヌクレオチドは、任意の分子量、及び、一本鎖形状、二本鎖形状、環状、プラスミドなどであってもよい。ポリヌクレオチドの種々のタイプは、互いに分離することができる(例えば、DNAからRNA、又は一本鎖DNAから二本鎖DNA)。例えば、少なくとも長さ約100塩基のポリヌクレオチド、長さ1,000塩基〜10,000塩基のより長い分子、及び、更に最大約3.2メガ塩基の高分子量の核酸を本発明の方法で用いることができる。
【0072】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などのポリヌクレオチド増幅は、ポリヌクレオチドの特定のセグメントの酵素増幅のための方法である。増幅は、以下の基本的な工程のサイクルの繰り返しに基づく。二本鎖ポリヌクレオチドの変性、その後、標的ポリヌクレオチドへのプライマーアニーリング、及びポリメラーゼによるプライマー伸長(ミュリス(Mullis)ら、米国特許第4,683,195号、ミュリス(Mullis)、米国特許第4,683,202号、及びミュリス(Mullis)ら、米国特許第4,800,159号)。プライマーは、DNAの対向するストランドをアニールするように設計され、1つのプライマーのポリメラーゼ触媒された伸長産物が他のプライマーにとって鋳型ストランドとして役立つことができるように配置される。増幅プロセスによって、長さがプライマーの5’末端によって定義される別個のポリヌクレオチド断片が、結果として指数関数的に増加することができる。
【0073】
一般的に、これらの工程は循環工程において達成される。DNA増幅において用いられる典型的な循環工程は、2つの標的温度を伴い、それによって、変性、アニーリング、及び伸長がもたらされる。第1の温度は、二本鎖標的ポリヌクレオチドを分離させて一本鎖に分離するのに十分に高い所定の標的変性温度への上昇である。一般的に、循環工程の標的変性温度は、94℃〜96℃のように、ほぼ92℃〜98℃であり、反応は0秒〜5分間の範囲の時間にわたってこの温度で保たれる。反応混合物の温度は、その後、第2の標的温度まで下げられる。この第2の標的温度によって、プライマー(及び存在する場合にはプローブ(単数又は複数))がDNAの1つのストランドにアニーリング又はハイブリダイズすること、及びDNAポリメラーゼによる伸長産物の合成を促進することが可能になる。一般的に、循環工程の第2の温度は、59℃〜61℃のように、ほぼ57℃〜63℃であり、反応は0秒〜1分間の範囲の時間にわたってこの温度で保たれる。この第2の温度は、使用されるプライマー(及び存在する場合にはプローブ(単数又は複数))及び標的ポリヌクレオチドによって大きく異なり得る。これによって1つの循環工程が完了する。次のサイクルは、その後、反応混合物の温度を変性温度まで上げることによって開始する。典型的には、サイクルは、所望の結果を提供するために繰り返され、これは一定量のDNAを産生するため及び/又は増幅された産物を検出するためであり得る。検出における使用に関して、循環工程の数は、試料の性質によって決まる。例えば、試料がポリヌクレオチドの複雑な混合物である場合、検出に十分な標的ポリヌクレオチドを増幅するためにより多くの循環工程が必要とされる場合がある。一般的に、循環工程は、少なくとも約20回繰り返されるが、40回、60回、又は100回までも繰り返すことができる。当事者によって理解されるように、熱サイクル反応の上記の説明は例示のみのために提供されており、したがって温度、時間及びサイクル数は、熱サイクル反応及び用途の性質によって異なり得る。
【0074】
任意で、第3の温度も循環工程で用いられる。3つの標的温度を使用することによっても、結果的に変性、アニーリング、及び伸長が得られるが、別個の標的温度が変性、アニーリング、及び伸長のために用いられる。3つの標的温度が用いられる場合、アニーリング温度は一般的に、用途によって45℃〜60℃の範囲である。第3の標的温度は、伸長のためであり、典型的には30秒〜10分にの範囲の時間にわたって保持され、アニーリング温度〜変性温度の範囲の温度で生じる。
【0075】
本方法の方法で用いるためのDNAポリメラーゼ及び本発明の組成物は、本発明の方法によるプライマーの効果的な伸長を可能にする。したがって、好ましいポリメラーゼは、標的ポリヌクレオチドに沿ってプライマーの伸長を可能にするポリメラーゼである。好ましくは、ポリメラーゼは耐熱性である。耐熱性ポリメラーゼは、熱安定性であるポリメラーゼであり、すなわちこのポリメラーゼは鋳型に相補的なプライマー伸長産物の形成を触媒し、二本鎖の鋳型核酸の変性をもたらすのに必要な時間にわたって上昇した温度に曝露された際にも不可逆的に変性しない。有用な耐熱性ポリメラーゼは周知であり、日常的に用いられている。耐熱性ポリメラーゼはサームス・フラブス(Thermus flavus)、T.ルバー(T. ruber)、T.サーモフィラス(T. thermophilus)、T.エクアティカス(T. aquaticus)、T.ラクテウス(T. lacteus)、T.ルーベンス(T. rubens)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)及びメタノサーマス・フェルビダス(Methanothermus fervidus)から分離されている。
【0076】
ポリメラーゼは、典型的には標的ポリヌクレオチドにアニールされるプライマーの3’末端において合成を開始し、標的ポリヌクレオチドに沿って5’−方向に進む。ポリメラーゼは、5’〜3’エキソヌクレアーゼ活性を有し、存在する場合、干渉するアニールされたプローブ(単数又は複数)を加水分解して、合成が完了するまでプローブ(単数又は複数)の部分を剥離させることができる。5’〜3’エキソヌクレアーゼ活性を有する好適なポリメラーゼの例として、例えば、Tfi、Taq、及びFastStart Taq(ロシュ(Roche))が挙げられる。他の態様では、プライマー、終止又はプライマー伸長ポリヌクレオチドの劣化を最小化するために、ポリメラーゼは5’〜3’エキソヌクレアーゼ活性をほとんど有しないか全く有しない。このエキソヌクレアーゼ活性は、pH、塩濃度、標的が二本鎖であるか又は一本鎖であるかなどの要素によって決まり得る。これら全ては、当業者に周知である。5’〜3’エキソヌクレアーゼ活性をほとんど有しないか全く有しない好適なポリメラーゼの例として、Klentaq(シグマ(Sigma)、ミズーリ州セントルイス(St. Louis))が挙げられる。
【0077】
典型的には、増幅は、異なる配列を有することができる1つ以上の標的ポリヌクレオチドを、増幅反応を実行するための反応成分を含有する「マスターミックス」と混合すること、及びこの反応混合物を標的ポリヌクレオチドの増幅を可能にする温度条件にさらすことを伴う。マスターミックス内の反応成分は、反応混合物のpHを調節するバッファ、マグネシウムイオン、増幅産物の合成に必要なエネルギー及びヌクレオシドを提供する1つ以上の天然ヌクレオチド(しばしば等しい濃度で存在する、アデニン、シトシン、グアニン、及びチミン又はウラシル)、ポリヌクレオチド合成の開始を容易にするためにターゲットにバインディングするプライマー対、合成されている相補的なストランドにヌクレオチドを加えるポリメラーゼ、及び任意で、1つ以上のプローブを含むことができる。当業者は、本発明の方法を実行するために標的ポリヌクレオチドの存在が要求されないが、首尾よい増幅反応が標的ポリヌクレオチドが不在の場合に発生しないことを理解するであろう。
【0078】
増幅された産物の存否は判定されるか、又は産物の量が測定される。増幅された産物を検出することは、当該技術分野において周知であり、かつ日常的に用いられている標準的な方法によって遂行することができる。検出することは、例えば、複数の増幅サイクルが実行された後、又はそれぞれの増幅サイクルの間(典型的にはリアルタイムとして言及される)に起こる可能性がある。複数の増幅サイクルが実行された後の増幅産物の検出は、例えば、増幅産物をゲル上に分散すること及び予期された増幅産物が存在しているか否かを判定することによって容易に達成される。リアルタイム検出又は増幅産物の定量化を容易にするために、増幅反応において用いられる1つ以上のプライマー及び/又はプローブはラべリングすることができ、増幅産物が存在していることを示す検出可能な信号を発生させるための種々のフォーマットが利用可能である。最も便利なラベルは典型的には、ドナーフルオロフォアラベル、アクセプタフルオロフォアラベル、フルオロフォア、クエンチャー、及びそれらの組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない種々のフォーマットで用いられる蛍光剤である。種々のフォーマットを用いるアッセイの種類は、ラべリングされている1つ以上のプライマー(例えば、スコーピオンプライマー、アンプリフルーアプライマー)、ラべリングされている1つ以上のプローブ(例えば、隣接プローブ、Taqmanプローブ、点灯プローブ、分子指標)又はそれらの組み合わせを含むことができる。当業者は、これらの既知のフォーマットに加えて、新しい種類のフォーマットが日常的に開示されることを理解するであろう。本発明は、方法の種類又は増幅された産物を検出するために用いられるプローブ及び/若しくはプライマーの種類によって限定されない。適切なラベル(例えば、異なるフルオロフォア)を用いて、いくつかの異なるプライマー対(及び、任意で、存在する場合はプローブ)の結果を、単一の反応で結合(多重化)することができる。
【0079】
ラべリングされたプライマー及び/又はプローブを用いる検出の代替として、増幅産物は蛍光DNAバインディング染料などのポリヌクレオチドバインディング染料を用いて検出することができる。例として、例えば、SYBRGreen又はSYBRGold(モレキュラー・プローブス(Molecular Probes))が挙げられる。二本鎖の増幅産物との相互作用の際、そのようなポリヌクレオチドバインディング染料は、好適な波長の光で励起した後、蛍光信号を放出する。ポリヌクレオチド介在染料などのポリヌクレオチドバインディング染料も用いることができる。
【0080】
対照は、増幅反応が実行されるときに含むことができる。対照標的ポリヌクレオチドは、例えば、対照プライマー及び対照プローブを用いて、陽性対照試料(例えば、vanA又はvanB以外の標的ポリヌクレオチド)から増幅することができる。陽性対照試料は、標的vanA又はvanBポリヌクレオチドを増幅するために用いることもできる。そのような対照は、内部で(例えば、それぞれの増幅反応内で)又は別個の試料内で対象の試料と並行して増幅することができる。それぞれの実行は、例えば、標的vanA又はvanBポリヌクレオチドを欠く陰性対照も含むことができる。
【0081】
本発明は増幅された産物の増幅及び検出を遂行するために用いられる装置に限定されないことを理解されたい。例えば、好適な装置は従来の増幅装置、例えばLightcycler(登録商標)リアルタイムPCDシステム(ロシュ(Roche))(ユタ大学研究財団(University of Utah Research Foundation)、国際公開第WO97/46707号、WO97/46714号、WO97/46712号)、MX3005p(ストラタジーン(Stratagene)、カリフォルニア州ラ・ホーヤ(La Jolla))、及びバイオ・ラッド(Bio-Rad)から入手可能な増幅装置を含むことができる。本発明は、マイクロ流体装置と接続して実施されることが好ましい。「マイクロ流体」は、500μm未満、典型的には0.1μm〜500μmの少なくとも1つの内部の断面の寸法、例えば、奥行、横幅、長さ、直径などを有する1つ以上の液体通路、チャンバ、又は導管を有する装置を指す。典型的には、マイクロ流体装置は、複数のチャンバ(例えば、増幅反応チャンバ、充填チャンバなど)を備え、それぞれのチャンバは試料を含有するための体積を画定する。潜在的に好適なマイクロ流体装置のいくつかの例は、米国特許出願公開第2002/0064885号(ベディンガム(Bedingham)ら)、US2002/0048533号(ベディンガムら)、US2002/0047003号(ベディンガムら)、及びUS2003/138779号(パータサラティ(Parthasarathy)ら)、並びに米国特許第6,627,159号(ベディンガムら)、同第6,720,187号(ベディンガムら)、同第6,734,401号(ベディンガムら)、同第6,814,935号(ハームズ(Harms)ら)、同第6,987,253号(ベディンガムら)、同第7,026,168号(ベディンガムら)及び同第7,164,107号(ベディンガムら)に記載されている。
【0082】
本発明は、ポリヌクレオチドを分離、好ましくは、清浄化するための方法も含む。本発明のこの態様の方法は、典型的には、一本鎖ポリヌクレオチドを含有する混合物を提供すること、結果としてハイブリッドを得るために、一本鎖ポリヌクレオチドへのオリゴヌクレオチドの特定のハイブリダイゼーションのための好適な条件下で本発明のオリゴヌクレオチドに混合物を曝露すること、及びそのハイブリッドをハイブリダイズされていない一本鎖ポリヌクレオチドから分離することを含む。そのような方法は、薬剤耐性腸球菌内に存在する標的ポリヌクレオチドの増幅に先立ち試料を調製するために用いることができる。
【0083】
混合物は、試料、好ましくは生体試料から獲得することができる。典型的には、薬剤耐性菌、好ましくは、腸球菌を含有することができる。本明細書で上記に記載したように、試料は抽出によって分離のために調製することができる。混合物内のポリヌクレオチドは、不純(例えば、他の細胞物質及び/又は固形のくずが存在する)、部分的に清浄、又は清浄化されている場合がある。混合物内のポリヌクレオチドは、周知かつ日常的な方法を用いて変性することができる。そのような方法の例として、例えば、加熱、又はアルカリ性条件への曝露が挙げられる。
【0084】
一本鎖ポリヌクレオチドの混合物は、オリゴヌクレオチド及び相補的な一本鎖ポリヌクレオチドの特定のハイブリダイゼーションのための好適な条件下で本発明のオリゴヌクレオチドに曝露される。オリゴヌクレオチドは、典型的にはラベル、好ましくは親和力ラベルを含む。特に有用な従来のハイブリダイゼーションフォーマットは、オリゴヌクレオチドが固体支持体上に固定されるフォーマット(固相ハイブリダイゼーション)及びポリヌクレオチド(一本鎖ポリヌクレオチドとオリゴヌクレオチドとの両方)が全て溶解しているフォーマット(溶液ハイブリダイゼーション)を含む。
【0085】
固相ハイブリダイゼーションフォーマットにおいて、オリゴヌクレオチドは典型的には、ハイブリダイゼーションに先立ち固相物質に付着させられる。溶液ハイブリダイゼーションフォーマットにおいて、オリゴヌクレオチドは典型的には、ハイブリダイゼーションの後、固相物質に付着させられる。両方のフォーマットにおいて、付着は、オリゴヌクレオチドに付着させられる、ラベル、好ましくは親和力ラベルによって媒介される。有用な固相物質の例として、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド、多糖、及びフッ素化ポリマー、並びに、アガロース、ラテックス、セルロース、及びデキストランなどの樹脂が挙げられる。固形物は、マイクロ流体装置に導入することができる任意の形態、好ましくは粒子状物質(例えば、粒子、ビーズ、マイクロビーズ、マイクロスフェア)又は任意の他の形態(例えば、微小繊維)を取り得る(パータサラティ(Parthasarathy)、米国特許仮出願第60/913,813号、2007年4月25日出願、代理人整理番号第62470US002号)。
【0086】
ハイブリダイゼーションは、ラべリングされたオリゴヌクレオチドを実質的に相補的な、好ましくは相補的な、混合物に存在する一本鎖ポリヌクレオチドに選択的にバインディングするのに好適な条件下、例えばストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で実行される。ハイブリダイゼーション反応及びプローブ合成のための一般的な方法は、分子クローニング(Molecular Cloning)(T.マニアティス(T. Maniatis)、E.フリッチュ(E. Fritsch)及びJ.サンブルック(J. Sambrook)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、1982年)に開示されている。好ましくは、ハイブリダイゼーション条件は、6xSSC、5xDenhardtの試薬などのハイブリダイゼーションバッファの使用、0.5%(w/v)SDS、及びブロック試薬100μg/mLサケ精子を含む。ハイブリダイゼーションは、68℃で少なくとも2時間発生することが可能である場合がある。ハイブリダイゼーション(及び、適切である場合、ラべリングされたオリゴヌクレオチドの付着)後、ハイブリダイズされていないポリヌクレオチド、及び存在し得る任意の他の物質は、室温で数回、2xSSC及び0.5%SDSを含有する溶液で洗浄することによって除去することができる。任意で、分離されたポリヌクレオチドは、分離されたポリペプチドを放出させるためにハイブリッドを変性すること、及びバインディングされたオリゴヌクレオチド及び固体支持体を除去することによって清浄化することができる。
【0087】
キット
本発明は、キットを提供し、当該キットは、例えば、プライマー対などの本発明のオリゴヌクレオチド、及び任意でプローブを含むことができる。本発明のキット内に含まれ得る他の構成要素は、マスターミックスなどの従来の試薬、固相支持体、ハイブリダイゼーション溶液、外部の陽性対照及び陰性対照などを含むことができる。
【0088】
キットは典型的には、キットの内容物を収容するのに用いる1つ以上の物理的構造体を意味する梱包物質を含む。梱包物質は、周知の方法で組み立てられ、好ましくは、無菌の、汚染物質を含まない環境を提供することができる。梱包物質は、キットの内容を示すマーキングを有することができる。更に、キットは、キット内の物質をいかに用いるかを示す指示を備えることができる。本明細書で使用するとき、「梱包」という用語は、ガラス、プラスチック、紙、金属箔などの固体マトリックス又は固体物質を意味する。
【0089】
「指示」は、典型的には、試料調製の条件、増幅条件などを含む、本発明の種々の方法を記載する明確な表現を含む。
【0090】
本発明を以下の実施例によって例示する。特定の実施例、物質、量、及び手順が本明細書で記載された本発明の範囲及び趣旨により広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【実施例】
【0091】
(実施例1)
遺伝子特異プライマー及びプローブを用いる、核酸試料におけるvanA遺伝子及びvanB遺伝子の検出
グリコペプチド耐性遺伝子を同定するための、核酸ベースの検出ストラテジーは、試料がグリコペプチド抗生物質による処置を生き延びることができる細菌を含有する試料であるか否かを見分けるためのアッセイにおいて有用であり得る。この実施例において、プライマー及びプローブは、エンテロコッカス・ヘシュウム(ATCC 700221、ヴァージニア州マナッサス(Manassas))、及びバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)としても既知のエンテロコッカス・フィカリス(ATCC 700802、ヴァージニア州マナッサス(Manassas))のvanA遺伝子及びvanB遺伝子を検出するために用いられた。
【0092】
VREは、血液寒天培地に縞目上に塗布され、37℃で20時間インキュベートされた。細胞懸濁液は、TEバッファ(10mM Tris HCl、1mM EDTA、pH8.0)に、1×10コロニー形成単位毎ミリリットル(CFU/mL)にほぼ相当する0.5のマクファーランド(McFarland)標準になるように希釈することによって、生長培地(fresh growth)から準備された。100ミリリットルのこの細胞懸濁液は、MagNA Pure LC DNA分離キットIII(細菌、菌類)キットを用いてMagNA Pure LCシステム(ロシュ(Roche)(インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis))から入手した器具及び試薬)で製造業者の指示に基づき抽出及び分離された。
【0093】
プライマー及びプローブは、インテグレーテッド・DNA・テクノロジーズ(Integrated DNA Technologies)(アイオワ州コーラルヴィル(Coralville))によって合成された。vanAプローブ配列、5’ACTGCAGCCTGATTTGGTCCACCTCGCCA(配列番号3)は、6−カルボキシ−4’,5−ジクロロ−2’,7’−ジメソキシフルオレセイン(JOE)及びBHQ(ブラック・ホール・クエンチャー(BLACK HOLE QUENCHER)、インテグレーテッド・DNA・テクノロジーズ(Integrated DNA Technologies)、アイオワ州コーラルヴィル)によって、それぞれ5’−及び3’−位置において二重標識された。vanBプローブ配列、5’TCCCATGACCGCGCAGCCGACCTCA(配列番号6)は、6−カルボキシフルオレセイン(FAM)及びBHQによって、それぞれ5’−及び3’−位置において二重標識された。プライマー配列及びプローブ配列は表1に列挙されている。
【0094】
【表1】

【0095】
それぞれの試料は、プライマー、プローブ及び酵素の最適化された以下の濃度、並びに熱サイクルプロトコルを用いて、vanA及びvanB遺伝子のためのリアルタイムPCR増幅に曝露された。PCR増幅は、5マイクロリットル(μL)の試料及び5μLの以下の混合物を含有する全体積10μLで実行することができる:2つのプライマー(それぞれ10マイクロモル(μM)で0.5μL)、プローブ(2μMで1μL)、MgCl(25μMで2μL)及びLightCycler(登録商標)DNA Master Hybridization Probes(10xで1mL、ロシュ(Roche)、インディアナ州インディアナポリス)。増幅は、LightCycler(登録商標)2.0リアルタイムPCRシステム(ロシュ(Roche))において、以下のプロトコルを用いて実行された。95℃で30秒(変性);95℃で0秒(20℃/秒勾配)、60℃で20秒(20℃/秒勾配、単一の獲得)の45PCRサイクル。
【0096】
結果は、ロシュ(Roche)のLightCycler(登録商標)2.0リアルタイムPCRシステムによって提供されるソフトウェアを用いて分析された。プライマーは、vanA及びvanB遺伝子を表2及び表3に示されるこの実施例に提示される条件下で首尾よく増幅した。
【0097】
【表2】

【0098】
これらの結果は、vanA遺伝子が、配列番号1、2、及び3のプライマー及びプローブを用いて首尾よく増幅及び検出されたことを示す。
【0099】
【表3】

【0100】
これらの結果は、vanB遺伝子が、配列番号4〜6によって首尾よく増幅及び検出されたことを示す。
【0101】
いくつかの腸球菌の参照ストレインは、これらの既知のバンコマイシン耐性プロファイルが細菌の染色体におけるvanA又はvanB遺伝子の存在に関連しているか否かを判定するために試験された。特に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)(ヴァージニア州マナッサス(Manassas))から購入した腸球菌分離株は、血液寒天培地に縞目上に塗布され、37℃で20時間インキュベートされた。細胞懸濁液は、TEバッファ(10mM Tris HCl、1mM EDTA、pH8.0)に、ほぼ1×10CFU/mLに相当する0.5のマクファーランド(McFarland)標準になるように希釈することによって、生長培地(fresh growth)から調製された。100マイクロリットルのこの細胞懸濁液は、MagNA Pure LC DNA分離キットIII(細菌、菌類)キットを用いてMagNA Pure LCシステム(ロシュ(Roche)、インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis)から入手した器具及び試薬)で製造業者の指示に基づき抽出及び分離された。
【0102】
それぞれの試料は、プライマー、プローブ及び酵素の最適化された以下の濃度、並びに熱サイクルプロトコルを用いて、van遺伝子A及びvanB遺伝子のためのリアルタイムPCR増幅に曝露された。PCR増幅は、5μLの試料及び5μLの以下の混合物を含有する全体積10μLで実行することができる:2つのプライマー(それぞれ10μMで0.5μL)、プローブ(2μMで1μL)、MgCl(25mMで2μL)及びLightCycler(登録商標)DNA Master Hybridization Probes(10×で1μL、ロシュ(Roche)、インディアナ州インディアナポリス)。増幅は、LightCycler(登録商標)2.0リアルタイムPCRシステム(ロシュ(Roche))において、以下のプロトコルを用いて実行された。95℃で30秒(変性);95℃で0秒(20℃/秒勾配)、60℃で20秒(20℃/秒勾配、単一の獲得)の45PCRサイクル。結果は表4において見ることができる。
【0103】
【表4】

【0104】
これらの結果は、配列番号1〜6は、腸球菌の染色体内のvan遺伝子A及びvanB遺伝子に特異的であり、非vanA配列又は非vanB配列にハイブリダイズしないことを示す。
【0105】
本明細書で引用される全ての特許、特許出願、及び出版物、並びに電子的に存在するもの(例えば、及びリファレンス・シーケンス(RefSeq)などに登録されているヌクレオチド配列、並びにスイスプロット(SwissProt)、PIR、PRF、PDBなどに登録されているアミノ酸配列、並びにジェンバンク(GenBank)及びリファレンス・シーケンス(RefSeq)の注釈つきコード領域からの翻訳物を含む)の完全な開示は、参考として組み込まれる。本出願の開示と本明細書に参照として援用される任意の文書の開示(複数可)との間にいずれの不一致が認められる場合にも、本出願の開示が優先される。前述の詳細な説明及び実施例は理解を明確化するためにのみ提示されている。それらから無用の限定を解するべきでない。本発明は、示され記載された厳密な詳細事項に限定されるべきではない。当業者に対して明らかな変形が特許請求の範囲において規定された本発明の範囲に包含されるからである。
【0106】
全ての見出しは読者の利便性のためであって、特記しない場合は、見出しの後に続く文面の意味を制限するために用いているのではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料内の薬剤耐性菌を検出するための方法であって、
増幅された産物を結果として得るために生体試料内に存在する標的ポリヌクレオチドを増幅すること、ここで、前記標的ポリヌクレオチドが、薬剤耐性菌におけるバンコマイシン耐性と関連し、増幅することが少なくとも1つの循環工程を含み、循環工程が、前記増幅された産物を結果として得るために好適な条件下で前記生体試料を第1のプライマー及び第2のプライマーと接触させることと、前記増幅された産物とプローブをハイブリダイズさせるために好適な条件下で前記増幅産物を前記プローブと接触させることとを含み、前記プローブのTが、前記第1のプライマーのT及び前記第2のプライマーのTよりも少なくとも8℃高い;及び
前記増幅された産物を検出すること、ここで、前記増幅された産物の存在が前記生体試料内の薬剤耐性菌の存在を示す
を含む、方法。
【請求項2】
生体試料内の薬剤耐性菌を検出するための方法であって、
増幅された産物を結果として得るために生体試料内に存在する標的ポリヌクレオチドを増幅すること、ここで、前記生体試料が、増幅された産物を結果として得るために好適な条件下で第1のvanAプライマー及び第2のvanAプライマーに接触させられ、前記第1のプライマーが配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記第2のプライマーが配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、プライマー対が配列番号7の648〜751ヌクレオチドを増幅する;及び
前記増幅された産物を検出すること、ここで、前記増幅された産物の存在が前記生体試料内の薬剤耐性菌の存在を示す
を含む、方法。
【請求項3】
生体試料内の薬剤耐性菌を検出するための方法であって、
増幅された産物を結果として得るために生体試料内に存在する標的ポリヌクレオチドを増幅すること、ここで、前記生体試料が、増幅された産物を結果として得るために好適な条件下で第1のvanBプライマー及び第2のvanBプライマーに接触させられ、前記第1のプライマーが配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記第2のプライマーが配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、プライマー対が配列番号8の492〜630ヌクレオチドを増幅する;及び
前記増幅された産物を検出する、ここで、前記増幅された産物の存在が前記生体試料内の薬剤耐性菌の存在を示す
を含む、方法。
【請求項4】
生体試料内の薬剤耐性菌の不在を検出するための方法であって、
混合物を形成するために生体試料をプローブ、第1のプライマー及び第2のプライマーと接触させること、ここで、前記プライマーがバンコマイシンに対する薬剤耐性と関連する標的ポリヌクレオチドを増幅することができ、前記プローブが前記標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズし、前記プローブのTが、前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーのTよりも少なくとも8℃高い;
前記生体試料内に薬剤耐性に関連する前記標的ポリヌクレオチドが存在する場合に、増幅された産物を形成するのに好適な条件に前記混合物を曝露すること;及び
前記増幅された産物の不在を検出すること、ここで、前記増幅された産物の不在が前記生体試料内の薬剤耐性菌の不在を示す
を含む、方法。
【請求項5】
生体試料内の薬剤耐性菌の不在を検出するための方法であって、
混合物を形成するために生体試料を第1のvanAプライマー及び第2のvanAプライマーと接触させること、ここで、前記第1のプライマーが配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記第2のプライマーが配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、プライマー対が配列番号7の648〜751ヌクレオチドを増幅する;
前記生体試料内にvanAポリヌクレオチドが存在する場合に、増幅された産物を形成するのに好適な条件に前記混合物を曝露すること;及び
前記増幅された産物の不在を検出すること、ここで、前記増幅された産物の不在が前記生体試料内の薬剤耐性菌の不在を示す
を含む、方法。
【請求項6】
生体試料内の薬剤耐性菌の不在を検出するための方法であって、
混合物を形成するために生体試料を第1のvanBプライマー及び第2のvanBプライマーと接触させること、ここで、前記第1のプライマーが配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記第2のプライマーが配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、プライマー対が配列番号8の492〜630ヌクレオチドを増幅する;
前記生体試料内にvanAポリヌクレオチドが存在する場合に、増幅された産物を形成するのに好適な条件に前記混合物を曝露すること;及び
前記増幅された産物の不在を検出すること、ここで、前記増幅された産物の不在が前記試料内の薬剤耐性菌の不在を示す
を含む、方法。
【請求項7】
前記細菌が腸球菌のメンバーである、請求項1、2、3、4、5、又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記腸球菌の前記メンバーが大腸レンサ球菌である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記標的ポリヌクレオチドがvanAポリヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のプライマーが配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記第2のプライマーが配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、プライマー対が配列番号7の648〜751ヌクレオチドを増幅する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のプライマーが配列番号1を含み、前記第2のプライマーが配列番号2を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プローブが配列番号3との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、配列番号7にハイブリダイズする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記標的ポリヌクレオチドがvanBポリヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のプライマーが配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記第2のプライマーが配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、プライマー対が配列番号8の492〜630ヌクレオチドを増幅する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のプライマーが配列番号4を含み、前記第2のプライマーが配列番号5を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プローブが配列番号6との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、配列番号8にハイブリダイズする、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
第2のプローブを更に含み、該第2のプローブが前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーのTより少なくとも8℃高いTを有する、請求項1又は4に記載の方法。
【請求項18】
1つのプローブがドナーフルオロフォアを含み、第2のプローブがアクセプタフルオロフォアを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生体試料が薬剤耐性菌による感染が疑われる個体由来である、請求項1、2、3、4、5、又は6に記載の方法。
【請求項20】
前記生体試料が糞便物質を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記生体試料を獲得することを更に含む、請求項1、2、3、4、5、又は6に記載の方法。
【請求項22】
前記検出することが、それぞれの循環工程後に実行される、請求項1、2、3、4、5、又は6に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のvanAプライマーが配列番号1を含み、前記第2のvanAプライマーが配列番号2を含む、請求項2、4、又は10に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のvanBプライマーが配列番号4を含み、前記第2のvanBプライマーが配列番号5を含む、請求項3、6、又は14に記載の方法。
【請求項25】
前記増幅することが、前記生体試料をプローブと接触させることを更に含み、前記プローブのTが、前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーのTよりも少なくとも8℃高い、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項26】
前記増幅することが、前記第1のvanAプライマー、前記第2のvanAプライマー、及びプローブを含む混合物を形成するために前記生体試料を前記プローブと接触させることを更に含み、前記プローブのTが、前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーのTよりも少なくとも8℃高い、請求項5に記載の方法。
【請求項27】
前記増幅することが、前記第1のvanBプライマー、前記第2のvanBプライマー、及びプローブを含む混合物を形成するために生体試料を前記プローブと接触させることを更に含み、前記プローブのTが、前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーのTよりも少なくとも8℃高い、請求項6に記載の方法。
【請求項28】
前記プローブがフルオロフォア及びクエンチャーを含む、請求項1、4、25、26、又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記検出することが、フルオロフォアを検出することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記増幅することが、5’〜3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを含む、請求項1、4、25、26、又は27に記載の方法。
【請求項31】
ポリヌクレオチドを分離するための方法であって、
一本鎖ポリヌクレオチドを含む混合物を提供すること;
ハイブリッドを結果として得るために一本鎖ポリヌクレオチドへのオリゴヌクレオチドの特定のハイブリダイゼーションに好適な条件下で、前記混合物を前記オリゴヌクレオチドに曝露すること、ここで、前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1との少なくとも約80%同一性、配列番号2との少なくとも約80%同一性、配列番号3との少なくとも約80%同一性、配列番号4との少なくとも約80%同一性、配列番号5との少なくとも約80%同一性、又は配列番号6との少なくとも約80%同一性から選択されるヌクレオチド配列を含み、前記オリゴヌクレオチドが親和性ラベルを含む;及び
前記ハイブリッドを洗浄すること
を含む、方法。
【請求項32】
前記曝露後に前記オリゴヌクレオチドを固相物質に付着させることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記オリゴヌクレオチドが、曝露前に固相物質に付着させられることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記混合物が生体試料から獲得される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記生体試料が糞便物質を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
梱包物質、第1のvanAプライマー、第2のvanAプライマー、及びプローブを備えるキットであって、前記プローブのTが、前記第1及び前記第2のvanAプライマーのTよりも少なくとも8℃高い、キット。
【請求項37】
前記プローブが、配列番号3との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、配列番号7にハイブリダイズする、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
梱包物質、第1のvanBプライマー、第2のvanBプライマー、及びプローブを備えるキットであって、前記プローブのTが、前記第1及び前記第2のvanBプライマーのTよりも少なくとも8℃高い、キット。
【請求項39】
前記プローブが、配列番号6との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、配列番号8にハイブリダイズする、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
前記プローブが、フルオロフォア及びクエンチャーを含む、請求項36又は38に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のプライマーが配列番号1を含み、前記第2のプライマーが配列番号2を含む、請求項36に記載のキット。
【請求項42】
前記第1のプライマーが配列番号4を含み、前記第2のプライマーが配列番号5を含む、請求項38に記載のキット。
【請求項43】
梱包物質、第1のvanAプライマー、及び第2のvanAプライマーを備えるキットであって、前記第1のプライマーが配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記第2のプライマーが配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、プライマー対が配列番号7の648〜751ヌクレオチドを増幅する、キット。
【請求項44】
前記第1のプライマーが配列番号1を含み、前記第2のプライマーが配列番号2を含む、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
梱包物質、第1のvanBプライマー、及び第2のvanBプライマーを備えるキットであって、前記第1のプライマーが配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記第2のプライマーが配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含み、プライマー対が配列番号8の492〜630ヌクレオチドを増幅する、キット。
【請求項46】
前記第1のプライマーが配列番号4を含み、前記第2のプライマーが配列番号5を含む、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
配列番号1との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む分離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが配列番号2と共に用いられる際、配列番号7の648〜751ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを増幅する、ポリヌクレオチド。
【請求項48】
配列番号2との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む分離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが配列番号1と共に用いられる際、配列番号7の648〜751ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを増幅する、ポリヌクレオチド。
【請求項49】
配列番号4との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む分離されたポリヌクレオチドであって、約139ヌクレオチドの増幅産物を結果として得るために前記ポリヌクレオチドが配列番号5と共に用いられる際、配列番号8の492〜630ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを増幅する、ポリヌクレオチド。
【請求項50】
配列番号5との少なくとも約80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む分離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが配列番号4と共に用いられる際、配列番号8の492〜630ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを増幅する、ポリヌクレオチド。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2010−536343(P2010−536343A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521113(P2010−521113)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/072840
【国際公開番号】WO2009/032486
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】