説明

虫吸引装置

【課題】ビニルハウス等の開口面に備えられて、長期的に安定して害虫駆除性能及び通風性を発揮することができるを提供する。
【解決手段】開口面5に備えられて通風用空隙4を形成するとともに、その外周面21に孔部22が設けられる吸虫管2と、吸虫管2の端部23に接続されて内部を減圧することにより孔部22を通じて外気を吸引する吸引部3と、で構成される。また吸虫管2が棒状直管であり、複数の吸虫管が開口面5に備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虫吸引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビニルハウス等では内部空間に対する通風性を確保するため、その開口面に通風用空隙を形成することが一般的であるが、その間隔が0.4mm程度であると、実質的に通風性を確保することができない。一方、間隔が1mm以上であると、通風性は確保できるものの、コナジラミ類やアザミウマ類をはじめとした体長1mm以下の体躯の小さい害虫をビニルハウス等に入れてしまう可能性がある。
【0003】
これに対し、通風性と害虫駆除を兼ね備えた技術として特開2000−217446号公報(特許文献1)に記載されているネットが知られている。
【0004】
これは、熱接着性繊維からなる糸条が、編織物に形成され、さらに前記糸条の交点が熱接着されて目合いが0.4〜3mmであるネットが、ビニルハウスの開口面に備えられて通風用空隙を形成するものであって、熱接着性繊維が1〜15重量%の紫外線吸収剤を含有させることで、物理的に害虫を駆除するだけでなく、害虫忌避効果をも併せ持ち、ハウスなど農業施設内への害虫侵入が抑制されるネットを提供するものである。
【特許文献1】特開2000−217446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ネットに紫外線吸収剤を保持させたものは、その染み出し及び変質によって長期的な害虫駆除性能が劣化する可能性がある
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、ビニルハウス等の開口面に備えられて、長期的に安定して害虫駆除性能及び通風性を発揮することができる虫吸引装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、開口面に備えられて通風用空隙を形成するとともに、その外周面に孔部が設けられる吸虫管と、吸虫管の端部に接続されて内部を減圧することにより孔部を通じて外気を吸引する吸引部と、で構成される虫吸引装置である。
【0007】
また請求項2に記載された発明は、吸虫管が棒状直管であり、複数の吸虫管が開口面に備えられることを特徴とする請求項1に記載の虫吸引装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載された発明によれば、通風用空隙により通風性を確保することができ、かつ、孔部を通じて外気を吸引しているので、通風用空隙を通過する小さい害虫を吸引することができる。
【0009】
請求項2に記載された発明によれば、吸虫管が棒状直管であることから圧力損失が少なく、外気の吸引量のばらつきが小さくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本願発明の一実施形態として、本願の請求項1〜2に対応した虫吸引装置について図1〜4により説明する。
【0011】
本実施形態の虫吸引装置は、図1〜4に示す如く、開口面5に備えられて通風用空隙4を形成するとともに、その外周面21に孔部22が設けられる吸虫管2と、吸虫管2の端部23に接続されて内部を減圧することにより孔部22を通じて外気を吸引する吸引部3と、で構成される虫吸引装置1である。
【0012】
また吸虫管2が棒状直管であり、複数の吸虫管が開口面5に備えられる。
【0013】
以下、本実施形態による虫吸引装置を、より具体的詳細に説明する。
【0014】
最初に、虫吸引装置1であるが、図2に示す如く、吸虫管2と、吸虫管2の開放された端部23に備えられた吸引チューブ32と、吸引チューブ32の他端に備えられて吸引チューブ32及び吸虫管2の内部を減圧する吸引ポンプ31とで、構成される。
【0015】
吸虫管2は、図3に示す如く、棒状直管で内部が中空であるアクリルパイプで、その外周面21に複数の孔部22が設けられている。またその端部の一方は開放されており、他方は封止されている。
【0016】
本実施形態では、図4に示す如く、体長1mm未満の微小昆虫の侵入を防止することを目的として、内径2mm、外径3.5mmのアクリルパイプを、中心間隔8.8mm(通風用空隙4となる間隔が5.3mm)で略平行に配置し、吸虫管2と略直交する2本の固定用パイプ61、62によって吸虫管2の両端近傍が固着され、この状態でビニルハウス等の開口部5に備えられることとなる。
【0017】
この間隔で設置することにより、吸虫管2が備えられた開口面5の全体において吸虫管2の占める面積の割合が40%未満となり、十分な通気を確保することができる。ここで、吸虫管2の占める面積の割合と、通気性(風下/風上風速比)を表1に示す。これより、吸虫管2の占める面積が40%未満であれば、十分な通気性が確保されることが分かる。
【0018】
【表1】

【0019】
なお、吸虫管2の材質、長さ、外径、内径、孔部の内径、数、間隔は、吸虫管2が備えられる開口部5の大きさ、駆除対象である害虫の種類によって任意に設計することが可能である。吸虫管2の材質としては、アクリルの他、ポリカーボネート、ポリエチレン、塩化ビニル、ABS樹脂、MCナイロン、フッ素樹脂、ポリプロピレン等の樹脂材料や、アルミ合金、銅合金、ステンレス鋼、チタン、鉄合金等の金属材料を例示することができる。
【0020】
吸引チューブ32は、中空のシリコンチューブであり、上述の通り、各吸虫管2の開放された端部23と吸引ポンプ31の図示しない吸い込み部とをつなぐものである。
【0021】
吸引ポンプは市販のものであり、図示しない吸い込み部と吸引チューブとの間に設けられた図示しないトラップで虫を補足し、トラップに備えられた開閉弁で減圧レベルを調節するものである。減圧レベルは吸虫管2及び吸引チューブ32の圧力損失、駆除対象である害虫の種類によって任意に設定することができる。
【0022】
トラップは、例えば空気は通すが、駆除対象の害虫は通さないような、細かな目の網や不織布により構成され、なるべく多くの不要小動物を捕集できるような大きさに形成されたフィルタである。またこのトラップは、吸引チューブ32の末端に簡単に着脱することができるように構成されており、捕集した害虫をフィルタごと廃棄できるようになっている。
【0023】
以上に示すごとく、本実施形態によれば、通風用空隙4により通風性を確保することができ、かつ、孔部22を通じて外気を吸引しているので、通風用空隙4を通過する小さい害虫を吸引することができる。
【0024】
また本実施形態によれば、吸虫管2が棒状直管であることから圧力損失が少なく、外気の吸引量のばらつきが小さくなる。
【0025】
なお、本実施形態では、吸虫管2が棒状直管であり、複数の吸虫管2が開口面5に備えられるものとしたが、開口面5に備えられて通風用空隙4を形成するものであれば、これに限られず、例えば、図5に示す如く、吸虫管2を、一本のアクリルパイプをU字状に折り曲げ加工したものでもよい。この場合、吸引チューブ32の本数を減らすことができ、取付作業が容易となる。
【0026】
また、図6に示す如く、吸虫管2が格子状となるように組合せてもよい。この場合、固定用パイプ61、62が不要となるとともに、通風用空隙4の大きさを二次元で制御することができ、より確実に害虫を駆除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願発明の一実施形態における虫吸引装置の取付図
【図2】本願発明の一実施形態における虫吸引装置の斜視図
【図3】本願発明の一実施形態における吸虫管と吸引部の斜視図
【図4】本願発明の一実施形態における通風用空隙の説明図
【図5】本願発明の他の実施形態における虫吸引装置の斜視図
【図6】本願発明の他の実施形態における虫吸引装置の斜視図
【符号の説明】
【0028】
1 虫吸引装置
2 吸虫管
21 外周面
22 孔部
23 端部
3 吸引部
4 通風用空隙
5 開口面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口面に備えられて通風用空隙を形成するとともに、その外周面に孔部が設けられる吸虫管と、吸虫管の端部に接続されて内部を減圧することにより孔部を通じて外気を吸引する吸引部と、で構成される虫吸引装置。
【請求項2】
吸虫管が棒状直管であり、複数の吸虫管が開口面に備えられることを特徴とする請求項1に記載の虫吸引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−89431(P2007−89431A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280969(P2005−280969)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】