説明

血流促進剤、化粧料組成物及び浴用剤組成物

【課題】皮膚に対し刺激性がなく、感触に優れ、効果の持続性に優れ、安定性に優れ、安価でありかつ安全性に優れる血行促進剤、化粧料組成物及び浴用剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】薬用ニンジン由来のサポニンを有効成分として含有する血流促進剤であり、また、前記血流促進剤を含有する化粧料組成物又は浴剤組成物であり、薬用ニンジンとしては薬用ニンジンがオタネニンジン(Panax ginseng C.A.Meyer)が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血流促進剤、化粧料組成物及び浴用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の体表は外界の熱や機械的圧力などの物理的刺激や、化学物質塗布による化学的刺激など、様々な刺激により生理的な反応が起こる。例えば、温湿布などを腰に当てると局所の痛みを和らげ、湯に全身浴すると体表に熱刺激を与えて血液循環や血行が良くなる。最近では血流促進作用に着目し、血流促進作用を有する成分を外用剤としての使用を目的とする製品開発が行われている。
【0003】
従来、血流促進剤としては、トウキ、センキュウ、シャクヤク及びジオウの混合物の抽出物からなる血流促進剤(例えば、特許文献1参照。)や、シトラールを有効成分とする血流促進剤(例えば、特許文献2参照。)や、安息香酸、安息香酸のアルカリ金属塩、ベンズアルデヒド、クミンアルデヒド、ミルテナール、ヒドロキシシトロネラールを有効成分とする血流促進剤(例えば、特許文献3参照。)などが提案されている。
【0004】
一方、薬用ニンジン類が血管拡張作用を有し、薬用ニンジンエキスを配合する浴用剤組成物が生体の血流促進作用や保温効果を有すること(例えば、特許文献4参照。)が知られている。
【0005】
しかし、浴用剤組成物などの外用において、薬用ニンジンエキスに含まれている成分のうち、どの成分が血流促進作用や保温効果に寄与しているかは、まだ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−347898号公報
【特許文献2】特開2000−044467号公報
【特許文献3】特開2000−169326号公報
【特許文献4】特開2009−275004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の浴用剤組成物に対し、より一層の発汗効果を得るためには、浴槽の湯(例えば、200Lの量)に対する使用量を増加させるか、有効成分の1つである生薬成分や無機塩などの配合量を増加する方法等が考えられる。しかしながら、浴用剤組成物の使用量や有効成分の配合量を増加すると、皮膚に対する刺激が強くなったり、また無機塩のアルカリ成分により脱脂されることで肌がザラついたりするという欠点があった。そのうえ、少量で効果を発揮する特定の成分はこれまで知られていなかった。
【0008】
さらに、従来の血流促進剤は、感触性、効果の持続性、物理化学的安定性といった点において未だ満足されるものではなかった。
【0009】
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであり、皮膚に対し刺激性がなく、感触に優れ、効果の持続性に優れ、安定性に優れ、安価でありかつ安全性に優れる血行促進剤、化粧料組成物及び浴用剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明者らは種々の成分について鋭意検討を行った結果、薬用ニンジン由来のサポニンが優れた血流促進効果を示すことを見いだし、本発明を完成させた。
【0011】
本発明は、薬用ニンジン由来のサポニンを有効成分として含有する血流促進剤であり、また、前記血流促進剤を含有する化粧料組成物又は浴剤組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来の血流促進剤、化粧料組成物又は浴用剤組成物に比べ、皮膚に対し刺激性がなく、感触に優れ、効果の持続性に優れ、安定性に優れ、安価でありかつ安全性にも優れた血流促進剤、化粧料組成物及び浴用剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】薬用ニンジン由来のサポニン、薬用ニンジン由来の非サポニン及びさら湯の大腿部血流量の差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の血流促進剤、化粧料組成物及び浴用剤組成物に用いられる薬用ニンジンは、ウコギ科トチバニンジン属の植物であり、サポニンを含有するものである。例えば、オタネニンジン(Panax ginseng C.A.MEYER)、トチバニンジン(Panax japonicus C.A.MEYER)、アメリカニンジン(Panax quinquefolius L.)などが挙げられる。これらの薬用ニンジンのなかでも、オタネニンジン(Panax ginseng C.A.MEYER)が好ましい。
【0016】
本発明の血流促進剤、化粧料組成物及び浴用剤組成物に用いられる薬用ニンジン由来のサポニンは、前記薬用ニンジンの花、実、葉及び根茎のうち少なくともいずれかを用いて、公知の方法で抽出したもので良いが、例えば、薬用ニンジンの根茎から含水エタノール溶液または含水メタノール溶液を使用することにより抽出することができる。具体的には、薬用ニンジンの根茎を溶媒としての含水エタノールまたは含水メタノールを使用して抽出できる。薬用ニンジン根茎1質量部に対して、含水エタノール溶液または含水メタノール溶液10〜20質量部とする。前記抽出の温度条件としては、常温から沸点までの任意の温度で行えるが、抽出効率の面から60〜80℃の温度条件が好ましい。抽出後、不溶性物質をろ過または遠心分離して除去し、得られたろ液または上清から抽出溶媒溶液を留去することにより、薬用ニンジン由来のサポニンを含む混合物を得ることができる。
【0017】
血流促進剤、化粧料組成物及び浴用剤組成物に用いる場合は、薬用ニンジン由来のサポニンを含む混合物のままでも使用可能であるが、必要に応じて、常法により薬用ニンジン由来のサポニンを含む混合物から薬用ニンジン由来のサポニン単体を精製して使用する。
【0018】
精製の方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、溶媒を留去して得られた混合物を2〜5倍量の水に溶解し、ダイアイオンHP−20(三菱化成(株)製)などを用いるカラムクロマトグラフィーに付して、ダイアイオンHP−20の約2〜6倍容量の水で洗浄したのち、樹脂の約2〜6倍容量の含水エタノールまたは含水メタノールを流して薬用ニンジン由来のサポニンを溶出させ、減圧乾固によって薬用ニンジン由来のサポニン混合物の乾固物を得ることができる。得られた薬用ニンジン由来のサポニン混合物を逆相クロマトグラフィーなどにて任意の有機化合物精製法を用いて精製することにより薬用ニンジン由来のサポニン単体を得ることができる。
【0019】
本発明の血流促進剤においては、前記薬用ニンジン由来のサポニンを単独で用いるほか、目的に応じて化粧料組成物又は浴用剤組成物に通常用いられている成分または使用が許容されている成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜配合することができる。このような成分例は各種の美白剤、他の抗酸化剤、細胞賦活剤、保湿剤、紫外線防止剤、浴用剤などが挙げられ、適宜一種単独または二種以上を併用できる。本発明の血流促進剤、化粧料組成物又は浴用剤組成物における薬用ニンジン由来のサポニンの配合量は、血流促進剤、化粧料組成物又は浴用剤組成物の総量を基準として、乾燥固形分換算で0.005質量%(以下、wt%と略する。)以上、10wt%以下が効果の発現性や原価の点から考えて好ましい。特に0.005wt%以上、5wt%以下が製品に配合して応用する際に好ましい。
【0020】
本発明においては、薬用ニンジン由来のサポニンを有効成分とする血流促進剤を化粧料組成物または浴用剤組成物に配合する際に血流促進剤とともに配合する他の成分としては、化粧料組成物、浴用剤組成物のそれぞれにおいて通常使用できるものなら全て使用できるが、効能、効果に応じ以下の物質から適宜選択できる。
【0021】
本発明の化粧料には薬用ニンジン由来のサポニン単体または薬用ニンジン由来のサポニン含有混合物のほかにも、例えば一般に化粧料で用いられている賦形剤、香料などをはじめ、油脂類、界面活性剤、保湿剤、美白剤、pH調整剤、粘結剤類、多価アルコール類、精油及び香料類、増粘剤、防腐剤、本発明の抗酸化剤以外の抗酸化剤、紫外線吸収剤、顔料、植物粉砕物及び生薬類、無機塩類及び無機酸類、洗浄剤、乳化剤などの各種化粧料成分を適宜配合することができる。
【0022】
前記油脂類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えば大豆油、アーモンド油、パラフィン、セタノール、アボガド油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油、ホホバ油、卵黄油、ひまし油、スクワラン、アボガド油、ラノリン、流動パラフィン、白色ワセリンなどの植物性油脂;牛脂、豚脂、馬脂、タートル油、ミンク油、パーセリン油、スクワランなどの動物性油脂;メチルポリシロキサン、ベヘニルアルコール、トリカプリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィンなどの合成油脂などが挙げられる。
【0023】
前記界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ジエタノールアミドなどの陰イオン性界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなどの陽イオン性界面活性剤;グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖エステル、脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0024】
前記保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリオキシグリセリン(26E.O)、ピロリドンカルボン酸ソーダ、パンテテイン−Sスルホン酸塩などの合成保湿剤;ヒアルロン酸、エラスチン、ケラチン、デルマタン硫酸、コラーゲン、胎盤抽出液、ローヤルゼリー、微生物発酵液、例えばキチン、キトサン、ペクチンなどや、その他の植物や動物由来の抽出液などの天然保湿剤などが挙げられる。
【0025】
前記美白剤としては、例えば、アスコルビン酸、アルブチンやこれらの誘導体などのほかにも、胎盤抽出液、その他の植物や動物由来の抽出液などが挙げられる。
【0026】
前記pH調整剤としては、例えばクエン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、りんご酸、クエ
ン酸、安息香酸、クエン酸ナトリウム、フマル酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、などの有機酸、無機酸及びその塩類などが挙げられる。
【0027】
前記粘結剤類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ナトリウム塩、カゼイン、ぺクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ローカストビーンガム、カラギナン、寒天、カーボポールなどが挙げられる。
【0028】
前記多価アルコール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0029】
前記精油及び香料類としては、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、ミカン油、トウヒ、シトロネロール等の天然及び合成香料などが挙げられる。
【0030】
前記増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ベントナイトなどが挙げられる。
【0031】
前記防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、エタノール、デヒドロ酢酸などが挙げられる。
【0032】
前記紫外線吸収剤としては、紫外線を選択的に吸収する性質を有するものであれば特に限定されることはないが、例えば、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、メトキシケイ皮酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸オクチル等が挙げられる。
【0033】
前記顔料としては、例えばベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、ナイロンパウダー、酸化亜鉛、セリサイト、マイカ、タルクなどが挙げられる。
【0034】
前記植物粉砕物及び生薬類としては、レモンの皮、海藻、ヒノキ、ヒバ、フッカス、米ヌカ、シュウブ、ショウキョウ、カンゾウ、チンピ、トウヒ、ユズ、トウキ、ニンジン、ハッカ、ケイヒ、ウバイ、ヨモギ、ドクダミ、モモノハ、カミツレ、アロエ、ジャスミン、ローズヒップ、ラベンダー、グァバ、オウゴン、クコ、レイシ、ニワトコ、アシタバ、ウコギ、ゴボウ、黒ゴマ、黒米等の粉砕物及びその抽出液などが挙げられる。
【0035】
無機塩類及び無機酸類として、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ほう砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、硫黄、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水ケイ酸、メタケイ酸、ホウ酸などが挙げられる。
【0036】
前記洗浄剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、カルボン酸型界面活性剤、アルキル硫酸エステル型界面活性剤、スルホサクシネート型界面活性剤、タウレート系、アシルサルコシン
系、アシル−β−アラニン系等のアシル化アミノ酸型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤等のアニオン界面活性剤、イミダゾリン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型の両性界面活性剤やアルキルサッカライド類、EO付加型界面活性剤等などが挙げられる。
【0037】
前記乳化剤は、化粧品原料として公知の物質を用いることができる。特に好ましいものとして、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンジステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンジイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリントリオレイン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステテアリン酸ソルビタン等のソルビタン分岐脂肪酸エステル、大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、更にこれらのレシチン類を酵素処理によりモノアシル体としたリゾレシチン及び/または水素添加リゾレシチン、ヒドロキシル化したヒドロキシレシチン等のレシチン類、モノイソステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン分岐脂肪酸エステル等を挙げることができる。
【0038】
さらに、本発明の化粧料は、前記のもの以外にも、必要に応じてその他の成分として、乳糖、牛乳、練乳、チタン、タルク等の無機顔料、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロロヘキシジン、グルコン酸クロロヘキシジンなどの殺菌剤、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2,ビタミンB6、ビタミンP、CoQ10、CoQ9、CoQ8などのビタミン類及び補酵素、無水珪酸、合成珪酸アルミニウム等流動化剤及び医薬品組成物、医薬部外品並びに化粧料用タール系色素等を薬用ニンジン由来のサポニン単体または薬用ニンジン由来のサポニン含有混合物を含有する抗酸化剤とともに適宜配合出来る。
【0039】
本発明の化粧料の形態は特に限定されるものではないが、例えばクリーム、乳液、化粧水、エッセンス、洗顔料、クレンジング料、パックなどの基礎化粧料、口紅、ファンデーション、アイカラーなどのメイクアップ化粧料、ボディソープ、石鹸、シャンプー、リンス、コンディショナーなどのトイレタリー製品、毛髪用セット剤などの毛髪用化粧料として用いることができる。
【0040】
本発明の浴用剤組成物には、薬用ニンジン由来のサポニンの他に、必要に応じて、無機塩類、無機酸類、有機酸類、油脂類、粘結剤類、多価アルコール類、保湿剤、殺菌剤、界面活性剤、ビタミン類、香料類、植物粉末及び生薬類(エキス、粉末)、アミノ酸及び医薬品、医薬部外品並びに化粧品用タール系色素等の成分を適宜配合することができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を例示することにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0042】
・試料の調整(薬用ニンジン由来のサポニンの製造)
オタネニンジン(Panax ginseng C.A.Meyer)の乾燥葉500gを適当に粉砕し、80%エタノール水溶液10Lを添加し、7日間浸漬抽出したのち、抽出液1と残渣に分けた。この残渣に再び5Lの80%エタノール水溶液を加えて3日間浸漬抽出したのち、抽出液2を得た。抽出液1と抽出液2を併せ、ろ過した後、ろ液を濃縮し、エタノールを留去した。濃縮液を精製水で再溶解し、水溶液を得た。得た水溶液をダイアイオンHP−20(三菱化成(株)製)を充填したカラムにチャージし、精製水でカラムを洗浄した後、80%エタノール水溶液を流して薬用ニンジン由来のサポニンを溶出させた。溶液からエタノールを除去して、総サポニンとして乾固物44.8gを得た。
【0043】
(実施例1、比較例1)
前記製造法に基づいて得られた薬用ニンジン由来のサポニンについて、入浴での効果を測定した。室温25度、湿度50%の条件の下、湯温41度で15分間の全身浴を行い、入浴前5分間、入浴中15分間、出浴後30分間の1〜2分ごとに測定した。入浴対象は成人8名で、男子5名、女子3名で行った。サンプルは、実施例1、比較例1の浴用剤組成物と浴槽に有効成分を何も添加しない淡水浴(さら湯)について比較した。試料は表1に示す添加濃度となるように調整し、200Lの湯に完全に溶解させて使用した。40℃の湯を浴槽に約200L入れ、入浴効果は、右大腿部血流量を測定した。評価は、テスター8名に対し、25℃、60%の恒温恒湿室にて行い、大腿部血流量はレーザードップラー血流計(ALF−21RD、ADVANCE社)を用いて測定した。評価結果を図1に示す。表1中の数値はgを表し、図1及中の数値はそれぞれの測定値を表す。また同条件にて、入浴中の湯の感触、肌のしっとり感、入浴後の温まり感、肌の状態に関しての官能評価についてもアンケートを実施した。それぞれの評価項目についてVAS法にて評価を行い、100点満点に換算して平均点を取った。その結果を表2に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
図1から明らかなように、大腿部血流量は、実施例1の薬用ニンジン由来のサポニンを添加した場合と、比較例2の薬用ニンジン由来の非サポニンを添加した場合及び比較例1のさら湯での測定結果を比較すると、入浴開始後から、徐々に差が見え始め、入浴8分後には明らかな差となって現れている。出浴直後も薬用ニンジン由来のサポニンを添加した場合の方が、血流量が多いことがわかる。以上の結果より、薬用ニンジン由来のサポニンは優れた血流促進効果を持つことが判った。
【0047】
表2より入浴中の湯の感触、肌のしっとり感、入浴後のあたたまり感、肌の状態について薬用ニンジン由来のサポニンを添加した実施例1の場合の方がさら湯の比較例1及び薬用ニンジン由来の非サポニンを添加した比較例2と比較して高い結果が得られた。
【0048】
以下に、本発明の化粧品組成物及び浴用剤組成物の実施例を示す。組成はWt%で示す。
【0049】
(実施例2、比較例3)
表3の組成から成る浴用剤組成物について実施例2と比較例3とを比べ評価した。製法は通常の浴用剤組成物の方法に準じた。
【0050】
【表3】

【0051】
評価方法は、テスター8人に対し、入浴中の温まり感、湯の感触、入浴後の温まり感、汗のかき方、肌の状態、疲れの取れ具合に関して官能評価を行った。入浴方法は、41℃の湯を浴槽に約200L入れ、実施例2、比較例3の組成からなる浴用剤組成物をそれぞれ25g投入し、10分間入浴した。それぞれの評価項目についてVAS法にて評価を行い、100点満点に換算して平均点を取った。その結果を表4に示す。
【0052】
【表4】

【0053】
以下に、前記実施例1と同様の製造法に基づいて得られた薬用ニンジン由来のサポニンを配合した化粧料組成物の処方例を示す。いずれの実施例においても、本発明における所望の効果が得られた。
【0054】
(実施例3)化粧水 wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 0.1
N−アセチルグルコサミン 0.05
エタノール 7.5
プラセンタエキス 0.05
D−パントテニルアルコール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
フェノキシエタノール 0.3
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.05
エデト酸二ナトリウム 0.05
濃グリセリン 3.5
1,3−ブチレングリコール 2.5
ポリグリセリン 0.5
キサンタンガム 0.5
ソルビット液 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.1
精製水 to100
【0055】
(実施例4)乳液 wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 0.1
D−パントテニルアルコール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
流動パラフィン 11.5
濃グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
ソルビット液 5.0
サラシミツロウ 0.5
親油型モノステアリン酸グリセリル 0.1
ステアリン酸 0.3
メチルポリシロキサン 1.0
ワセリン 1.0
コレステロール 0.02
ベントナイト 0.1
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.3
キサンタンガム 0.2
ベヘニルアルコール 0.3
フェノキシエタノール 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム(2) 0.05
水溶性コラーゲン(F) 0.1
鮭卵巣抽出物 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 0.1
N−アセチルグルコサミン 0.05
精製水 to100
【0056】
(実施例5)クリーム wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 0.1
D−パントテニルアルコール 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
流動パラフィン 4.0
サラシミツロウ 0.5
コレステロール 1.0
メチルシクロポリシロキサン 2.0
ジプロピレングリコール 7.0
親油型モノステアリン酸グリセリル 0.3
セチル硫酸ナトリウム 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム(2) 0.5
水溶性コラーゲン(F) 0.1
フェノキシエタノール 0.5
エデト酸二ナトリウム 0.05
N−アセチルグルコサミン 0.05
精製水 to100
【0057】
(実施例6)栄養クリーム wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 1.0
ステアリン酸 2.5
ステアリルアルコール 8.0
スクワラン 5.0
オクチルドデカノール 7.0
グリセリルモノステアレート 4.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
グリセリン 6.0
ソルビトール 13.0
乳酸カリウム 0.5
精製水 to100
【0058】
(実施例7)リップトリートメント wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 0.1
キャンデリラロウ 12.0
固形パラフィン 8.0
ミツロウ 5.0
カルナバロウ 2.0
ラノリン 14.0
マンニット 15.0
イソプロピルミリステート 10.0
香料 適 量
酸化防止剤 適 量
ヒマシ油 to100
【0059】
(実施例8)パック wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 0.5
タルク 25.0
プロピレングリコール 6.0
塩化カリウム 0.1
香料 適 量
カオリン to100
【0060】
(実施例9)乳液 wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 0.2
ステアリン酸 2.0
セタノール 2.0
ワセリン 2.0
ラノリンアルコール 1.5
流動パラフィン 9.0
スクワラン 3.5
ソルビトール 10.0
トリエタノールアミン 1.0
プロピレングリコール 5.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
精製水 to100
【0061】
(実施例10)栄養クリーム wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 1.0
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 8.0
還元ラノリン 2.0
スクワラン 8.0
オクチルドデカノール 6.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
プロピレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
乳酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.5
精製水 to100
【0062】
(実施例11)スリミングマッサージジェル wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 2.0
グリセリン 60.0
ポリエチレングリコール200 14.0
ポリビニルアルコール 0.2
精製水 to100
【0063】
(実施例12)スリミングマッサージソープ wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 5.0
ラウリン酸 10.0
水酸化カリウム 2.8
ヤシ油脂肪酸カリウム液 30.0
エデト酸2ナトリウム 0.15
メチルセルロース 0.5
ラウリン酸アミノプロピルベタイン液 2.0
グリセリン 8.0
香料 適 量
精製水 to100
【0064】
(実施例13)マッサージ用ジェル wt%
薬用ニンジン由来のサポニン 0.5
カフェイン 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.5
ポリビニルアルコール 3.0
グリセリン 35.0
ポリエチレングリコール400 45.0
エタノール 適 量
防腐剤 適 量
精製水 to100

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬用ニンジン由来のサポニンを有効成分として含有することを特徴とする血流促進剤。
【請求項2】
薬用ニンジンがオタネニンジン(Panax ginseng C.A.Meyer)である請求項1記載の血流促進剤。
【請求項3】
薬用ニンジン由来のサポニンが薬用ニンジンの花、実、葉及び根茎のうち少なくともいずれかの部位を由来とするサポニンである請求項1又は2記載の血流促進剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の血流促進剤を含有する化粧料組成物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の血流促進剤を含有する浴用剤組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−232906(P2012−232906A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100813(P2011−100813)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】