血漿トロンボモジュリン活性の機能的測定方法
本発明は、トロンボモジュリンの機能的な活性をインビトロで測定するための方法であって、生物学的サンプルからの生物学的な媒体において、コファクター、前記トロンボモジュリンの存在においてトロンビンによるプロテインCの活性化プロテインC(PCa)への活性化を試験することを具備し、当該サンプル血漿に対して、プロテインC系の活性化のために必要な薬剤を添加すること、精製されたプロテインCを添加すること、およびまたフィブリン重合化阻害剤を添加することを具備する方法に関する。本発明は、特に、凝集病態の検出における本方法の適用に関する。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、止血および特定の凝固疾患の分野に関する。
【0002】
本発明は、生物学的サンプルにおける血漿トロンボモジュリンの機能的活性の測定方法に関係する。
【0003】
本発明の方法は、生物学的サンプル、特に患者から採取された血液サンプルを使用して、インビトロにおいて実施される。
【0004】
本発明の方法は、血漿媒体におけるトロンボモジュリンの機能的活性を測定することが可能である。
【0005】
特に、本発明は、血漿媒体におけるトロンボモジュリンの機能的活性を決定する方法であって、例えば、色素生産性または蛍光定量的方法を用いて前記決定が実行される方法を意図する。
【0006】
トロンボモジュリン(TM)は、内皮細胞の膜の不可欠な部分を形成するトロンビン受容体プロテオグリカンである。当該内皮細胞の抗凝固性の一部分の原因となり、それは557アミノ酸タンパク質であり、3つの部分;エンドサイトーシス機序に関与する細胞質内のC末端部分;疎水性膜内部分;および長いペプチド鎖により構成されるN末端部分;からなる。この後者は、4領域を含む:Ser/Thrリッチ領域、続く上皮細胞成長因子(EGF様)と相同の6ドメインの領域、疎水性領域および最後のレクチン様領域(図1)。
【0007】
1981年、オーウェン W.G(Owen W.G.)およびエスモン C.T.(Esmon C T)は、トロンボモジュリンの機能的活性を特徴付け(Proceedings of the National Academy of Science USA, 1981, vol. 78, pages 2249-52 and Journal of Biological Chemistry 1981 vol 256, pages 6632-5)、トロンボモジュリンにより触媒されるトロンビンによる活性化された抗凝固性プロテインCへの血漿性プロテインCの活性化を示した。
【0008】
ヒトトロンボモジュリンのコード配列は、EMBLにおいてリファレンス番号BC035602におけるウェン D.Z(Wen D Z)らとウェイラー Hら(J. Thromb. Haemost. 2003 July, 1(7): 151-24)により1987年に特徴付けられ、且つ同定された。
【0009】
TMは、生体の全ての血管(動脈、静脈、毛細管)およびリンパ管の表面に存在し、特に、胎盤および肺などの豊富に脈管化された臓器において豊富である。また、ケラチノサイト、骨芽細胞、メサンギウム細胞、血小板および好中球によっても発現される。
【0010】
TM合成の調節は、主に、サイクリックAMP、TNFα、IL−1およびレチノイン酸に依存する。
【0011】
TMは、内皮細胞により分泌されず、トロンビンにより分解されない。内皮細胞の異なる種類の攻撃の影響下(多核からのエラスターゼ;サイトカイン、マクロファージ、リポ多糖など)でのみ、内皮細胞性TMは、可溶性形態で循環に遊離されるフラグメントに切断され、それから腎で排出される。一旦切断されると、細胞性TMは、細胞質内およびメソポーラス領域が欠失した可溶性、即ち、血漿性の形態のTMになる(Ishiih et al, 1985, J Clin Invest 76, 2178)。可溶性血漿性TM(TMp)は、内皮細胞の障害の良好なマーカーを構成する。TMの主要な機能は、種々の機序によるトロンビンの凝固源活性に対抗することである。TMと結合する際、トロンビン(Th)は、高次構造的な修飾を受ける。その血液凝固性は失われ、且つその血小板およびフィブリノーゲンに対する親和性が失われる。しかしながら、それは、依然として抗トロンビンピンIII(ATIII)により不活性化される。TM−Th複合体の構造は、コンドロイチン硫酸の存在下で分断される。これらの相互作用が、TMに血漿において循環するThを排除させることを可能にする。このTM−Th複合体が、Sタンパク質の存在下でVaおよびVIIIa因子を阻害するプロテインCの活性化を可能にする;この連続する相互作用および反応が当該プロテインC系を構成する。当該TM−Th複合体は、また、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)に対して結合するプロテインCの活性化、並びに、線溶に関連する血漿性プロカルボキシペプチダーゼ:TAFI(トロンビン活性化線溶阻害剤、thrombin activatable fibrinolysis inhibitor):の活性化において役割を果たす。最終的に、TMはATIIIの存在下で、抗トロンビン活性を有する。炎症における、および細胞増殖/分化におけるTMの役割が惹起される(図2)。
【0012】
従って、トロンボモジュリンは、特に、プロテインCの活性化プロテインC(PCa)への活性化を促進することにより、凝固阻害剤として作用し、それ自身、タンパク質Sコファクターの存在下でVaおよびVIIIa凝固因子を不活性化する。
【0013】
トロンボモジュリンのインビボ合成は、種々の因子、例えば、AMPc、レチノイド、甲状腺ホルモンおよび高体温などにより増大する(Conway E M et al, 1994, J Biol Chem, 269, 22804)。他の薬剤、例えば、サイトカイン、IL−1、TNF、LPSおよびホモシステイン並びに細胞内微小生物(サイトメガロウイルス、ヘルペス、リケッチア)などは、その発現およびその活性化において負の影響を有し、それにより、内皮細胞の凝血原活性の一過性な増大が導かれる。
【0014】
可溶性TM(TMs)のレベルが新生児において高い一方で、その年齢が20〜60才である健康な対象においては、年齢は影響を持たず、しかし、個体の性別は影響し、男性は、女性に比べて顕著に高値であることが観察されている通りである。
【0015】
内皮細胞の障害に関連するTMレベルの上昇は、多数の病理、例えば、DIVC、糖尿病、慢性骨髄性白血病、肝および腎不全など、並びに、子癇全症、血小板減少性血栓性紫斑病、リケッチア、ベーチェット病、ホモシスチン尿症などにおいても記述されている。レベルの減少は、肺動脈高血圧の患者における試験およびメラノーマの進行の間中の試験において観察されている。最後に、TMの遺伝子における変異が記載されており、TMのレベルの減少と関連する。
【0016】
治療レベルにおいては、動物における組み換えTMの灌流が血栓症の発症を阻害する上で効果的であることが判明している。
【0017】
凝固の段階におけるその直接的な影響のために、特に当該プロテインC系の活性化において、トロンボモジュリンの機能的活性を決定するできることは興味深く思われる。
【0018】
トロンボモジュリンの活性化を測定するための試験は、既に、従来において提案されているが、それらは結果として血漿系におけるトロンボモジュリンの活性化を測定するものではなく、細胞系においてのみ測定するものである。最近、血漿媒体試験法がオーリン A.K.( Ohlin A K)らにより記載された(Journal of Thrombosis and Hemostasis, 2005, 3: 976-982)。しかしながら、この文献は、TMの直接的な試験を提案するものではなく、血漿トロンボモジュリンに対するモノクローナル抗体を使用して単離および分離するための第1の工程を必要とするものである。実際、オーリン A.K.らにより記載された当該試験の第1の工程において、当該試験血漿は希釈されてもよいのだが、それはマイクロプレート上でインキュベートされ、そのウェルには、ヒトトロンボモジュリンに対するモノクローナル抗体が含まれる。当該血漿を除去した後に、当該マイクロプレートのウェルは洗浄され、当該抗体に結合したトロンボモジュリンのフラグメントが保存されるのみである。第2の工程において、当該準備されたマイクロプレートのウェルは、活性化プロテインCを得るために必要な当該試薬の存在下にもっていかれる。インキュベーションの後、色素産生性または蛍光定量的な基質が、当該活性化されたプロテインCを明らかにする。
【0019】
当該文献の著者は、トロンボモジュリンの単離および分離の工程を経ることなしに、トロンボモジュリンの活性を血漿中で直接に測定できる試験を作ることが将来において重要であると締め括った。
【0020】
従って、現在は、血漿トロンボモジュリンを試験することは、カルボキシ末端の細胞質領域および膜貫通領域を失った切断された膜タンパク質に想到する可溶性タンパク質の抗原性試験にもっぱら関する。TMは、トロンビンに結合すること、およびプロテインCを活性化することが可能なままであり、これらは繰り返されるEGFモチーフに局在する機能である。
【0021】
抗トロンボモジュリン抗体と可溶性トロンボモジュリンとの間の免疫学的な反応を使用する種々の試験が現在入手可能である。例えば、ダイアグノスティカ・スタゴ(Diagnostica Stago)は、トロンボモジュリンを試験するためのELISA試験(アセラクロム(Aserachrom、登録商標)トロンボモジュリン)を提供する。
【0022】
トロンボモジュリンの機能的な活性のインビトロ試験が有する問題は、本発明が提案する生物学的媒体、特に、血漿媒体におけるトロンボモジュリンの機能的活性を測定する方法、即ち、当該試験生物学的媒体、特に血漿の他の構成物と当該トロンボモジュリンとを分離することなく、それを含む当該生物学的媒体、特に、血漿において含まれる可溶性トロンボモジュリンのインビトロ活性を可能にする方法を提供することにより解決される。
【0023】
言い換えれば、本発明は、生物学的媒体、特に血漿媒体において、当該プロテインC系の活性化に必要な試薬の存在下で、トロンボモジュリンを測定するための試験を提案する。更に、本発明は、生物学的媒体において、特に血漿媒体において、プロテインCを活性化するために必要な当該試薬の影響下での当該サンプルの凝固に関連する問題を解決できる試験を提供する。
【0024】
本発明の方法およびその実施のための手段は、インビトロにおいて実施される生物医学的な研究の状況において使用するために定義される。
【0025】
要約すると、プロテインCのPCaへの活性化は、インビボにおいて、トロンボモジュリンとトロンビン(IIa因子)により血管内皮細胞の表面において形成される当該複合体の活性下で生じる。当該PCaは、次に、プロテインSと複合し、血小板または内皮細胞の表面において、それ自身がリン脂質に結合する。これらのPCa−PS−リン脂質複合体は、VaおよびVIIIa因子の不活性化を触媒し、それにより凝固減少を減速する。
【0026】
従って、本発明は、トロンボモジュリンの機能的活性をインビトロで測定するための方法であって、患者から採取されたサンプルからの生物学的媒体において実施する方法に関する。本発明の特定の実施に従うと、生物学的媒体における当該トロンボモジュリン活性の測定を可能にするサンプルは、血漿サンプルである。本発明の他の特定の実施に従うと、当該トロンボモジュリン活性の測定を可能にする当該サンプルは、全血または脳脊髄液(CRL)または羊水のサンプルである。
【0027】
本発明のインビトロ試験方法は、生物学的サンプル媒体において、プロテインCの活性化プロテインC(PCa)への活性化を測定することを含み、前記活性化は、コファクター、即ち、当該サンプルからのトロンボモジュリンの存在下におけるトロンビンの影響下で実施される。当該測定は、精製された過剰のプロテインCを添加した後に実施される。当該プロテインC系の活性化のために必要な他の試薬も、当該サンプルに対して、フィブリン重合化阻害剤と同様に添加される。
【0028】
特に、本発明は、血漿性トロンボモジュリンの機能的活性のインビトロの測定のための方法であって、血漿媒体における、そのコファクターである前記血漿性トロンボモジュリンの存在下でのトロンビンによるプロテインCの活性化プロテインC(PCa)への活性化を定量することを具備する方法に関する。この方法を実施するために、過剰な精製されたプロテインC、精製された外因性のプロテインCと称されるプロテインCと、並びに当該プロテインC系の活性化のために必要な試薬、およびフィブリン重合化阻害剤とを当該試験血漿に添加する。
【0029】
精製されたプロテインCの添加に変わるものとして、TAFI(血漿性カルボキシペプチダーゼU、この活性化はトロンビンにより触媒され、トロンボモジュリンに対して付着する)の添加が可能であり、それにより、その活性化TAFIの活性(TAFIa)が測定される。当該活性の測定は、トロンボモジュリンの機能的活性化の測定と称され、何故ならばそれが、当該媒体に対して、特に、試験血漿に対して、過剰のプロテインCおよび当該プロテインC系の活性化のために必要な試薬を添加することにより、生物学的媒体、特に、血漿媒体における、当該トロンボモジュリンの活性の測定を可能にするためである。使用される当該過剰のプロテインCは、当該試験の間、当該試験媒体における内因性のプロテインCの存在に関連する何れの定量的または定性的不足を克服するために十分であることが観察されるであろう。言い換えれば、「過剰な外因性のプロテインC」は、本発明の実行において、そのPCa活性の測定が、当該サンプルにおけるプロテインCの量とは独立しているような量で、外因性のプロテインCが添加されることを意味する。
【0030】
本発明の特定の実施に従うと、血漿媒体において実施される当該試験は、患者から採取された生物学的サンプルから得られた血漿サンプルにおいて実施される。
【0031】
本発明に従って測定される当該血漿性トロンボモジュリンは、可溶性タンパク質(可溶性トロンボモジュリンまたはTMs、血漿性トロンボモジュリン、TMpとも称される)であり、これは、切断された膜トロンボモジュリンに相当し、従って、その細胞質内のカルボキシ末端および膜貫通疎水性領域からは分離されたものである。実際、当該可溶性トロンボモジュリンは、依然としてトロンビンに結合することが可能であり、且つプロテインCをPCaに活性化することが可能であり、それは、この活性化機能は、当該タンパク質の繰り返しEGFモチーフに局在化するからである。
【0032】
対照的に、当該トロンボモジュリンの活性が、LCRまたは羊水サンプルにおいて測定される場合、当該トロンボモジュリンはその完全な形態にある(切断型ではない)。
【0033】
当該試験血漿サンプルに対して添加される当該プロテインC系の活性のために必要な試薬は、主に、トロンビン(特に、精製されたヒトα−トロンビン)およびカルシウムイオンであり、これは本発明の種々の実施の態様に依存する。
【0034】
当該カルシウムイオンは、例えば、CaCl2の形態で供給される。
【0035】
更に、本発明に従う血漿性トロンボモジュリンの活性の測定のための方法は、トロンビンと競合し、従って、フィブリノーゲンのフィブリンへの変換をブロックする阻害剤を当該試験サンプルに対して添加することを具備する。
【0036】
本発明に従う血漿性トロンボモジュリンの機能的活性のインビトロにおける測定のための方法は、以下を具備する;
・トロンボモジュリン活性試験用の血漿サンプルを、精製された外因性のプロテインC、トロンビン、カルシウムイオンおよびフィブリン重合化阻害剤と接触させること;
・得られた当該媒体をインキュベートして活性化プロテインCの精製を可能にすること;
・当該活性化プロテインCを機能的に試験すること。
【0037】
特定の本発明の測定方法の実施において、形成された活性化プロテインCの量が、基質におけるその活性度により試験される。特に、この基質は酵素学的基質であり、それは天然物であっても、または合成物であってよく、例えば、それは、色素生産性であっても、または蛍光定量的な基質であってもよい。
【0038】
当該PCaの活性を試験するための適切な基質は、タンパク質基質、例えば、ペプチドであってもよい。
【0039】
本発明の特定の実施において、測定される活性化プロテインCの酵素学的基質は、PCaのアミド分解活性が試験されることを意味する基質である。特に、それは色素生産性の基質または蛍光定量的な基質である。
【0040】
言及され得る本発明に関連する使用に適切な合成基質は、合成オリゴペプチド基質である。言及され得る例は、ダイアグノスチカ・スタゴ(Diagnostica Stago)からの合成基質CBS 42.46 (オリゴペプチド: THC-Pro-Arg-pNa)である。色素生産性基質のもう一つの例は、基質S-2366 (オリゴペプチドピロGlu-Pro-Arg-pNa)またはS-2238 (オリゴペプチドH-D-Phe-Pip-Arg-pNa)である。
【0041】
本発明に関連して、種々のフィブリン重合化阻害剤が選択されてよい。言及できる例は、合成ペプチド阻害剤、例えば、オリゴペプチド阻害剤H-Gly-Pro-Arg-Pro- OH.AcOH (GPRP.AcOH) (ペンタファーム(Pentapharm)からのペファブロック(Pefabloc)(登録商標)FG)である。
【0042】
本発明の特定の実施において、血漿トロンボモジュリンの機能的活性を測定するための方法は、以下の工程を具備する:
a)血漿サンプルを、特に、カルシウムイオンを含み、更にフィブリン重合化阻害剤を含む、プロテインC系を活性下できる媒体中に含まれるトロンビンを含む試薬1と接触させること;
b)工程a)で構成された当該媒体を、精製されたプロテインCを含む試薬2と、そのコファクター、即ち、当該血漿サンプルに含まれるトロンボモジュリンに対して複合されたトロンビンによりPCaに活性化することを可能にするために十分な期間に亘ってインキュベーションすること;
c)活性化されたプロテインCを含む工程b)において構成された当該媒体を、PCaの酵素学的基質と接触させること;
d)当該PCaの当該基質の変換を定量すること。
【0043】
本発明を実行するために使用される当該プロテインCは、精製されたプロテインC、例えば、オーリン A.K.らにより記載された方法を使用して単離されたプロテインCなどである(Ohlin A K et al, J Biol Chem, 1988, 263: 19240-8)。本発明の特定の実施に従うと、使用される当該プロテインCは、精製されたヒトプロテインCである。使用される当該プロテインCは、0.5 μM/l〜2.5μM/lの範囲の濃度で供給され、0.1〜10μM/lの濃度であってさえもよい。
【0044】
当該プロテインCは、「精製された」と称され、それは、その調製の様式についての如何なる言及にも依存せずに、他のタンパク質化合物および夾雑物を実質的に含まないことを示すための語である。
【0045】
供給される当該プロテインCは組み替えタンパク質であってもよい。
【0046】
当該プロテインCはまた、本発明の測定を実行するために精製され、且つ活性化されたその形態で、ダイアグノスチカ・スタゴ(Diagnostica Stago)、エンザイム・リサーチ・ラボラトリーズ(Enzyme Research Laboratories)またはアメリカン・ダイアグノスチックス(American Diagnostics)からも入手可能である。
【0047】
本発明の方法の状態において、当該供給されたトロンビンを、試験血漿に存在するトロンボモジュリンと接触させることは、結果として、トロンビン/トロンボモジュリン複合体の形成に帰着する。
【0048】
トロンビンおよびカルシウムイオンを供給する当該試薬は、カルシウムイオンを含むバッファーに希釈されたトロンビンにより構成されてもよい。当該フィブリン重合化阻害剤はまた、当該バッファーに対して添加されてもよい。ルーチン的にこの種のバッファーに含まれる他の構成物が添加されてもよい。
【0049】
使用されるトロンビンは、ヒト由来が有利である。特に、それは、NIHユニットで表現されるその活性が、当該反応媒体を調製するために使用される試薬中で5〜20NIHの範囲、有利には10NIHであるトロンビンである。
【0050】
従って、構成される当該試薬は、供給されたトロンビンの当該血漿サンプルのトロンボモジュリンとの相互作用と、当該プロテインCの活性化を可能にする。
【0051】
当該試験サンプルが、ヘパリンまたは他の抗凝固剤で治療された患者から採取された場合、従って、当該試験サンプルが、ヘパリンまたは他の抗凝固剤で治療された患者に特有なサンプルである場合に使用される、言及可能な当該構成された試薬の他の成分の例はヘパリン阻害剤または他の抗凝固剤である。
【0052】
しかしながら、仮に、当該サンプルが抗ビタミンKファミリーからの抗凝固剤で治療された患者に由来する場合、現在のところその阻害剤は入手できないので、その抗凝固剤の如何なる阻害剤も添加されない。
【0053】
オウレン・コーラー・バッファー(Owren Koller buffer)に当該サンプルを希釈することの変わりとして、希釈は当業者に公知の通常の選択基準に従って正常血漿中で実施されてもよく、前記血漿がトロンボモジュリン欠乏性を付与されてもよい。当該外因性のトロンビンは、次に、当該血漿並びに精製されたプロテインCおよびフィブリン重合化阻害剤、上述したとおり、当該生物学的サンプルがヘパリンまたは別の阻害剤で治療された患者に由来する場合には、当該ヘパリン阻害剤、仮にそれが他の抗凝固剤である場合には他の阻害剤に対して添加される。当該トロンビンは当該血漿により供給される。
【0054】
当該用語「トロンボモジュリン欠乏性血漿」は、このタンパク質を1%未満で含む血漿を意味する。
【0055】
トロンボモジュリン欠乏性血漿は、それ自身公知の何れかの方法を使用して調製されてもよい。
【0056】
例えば、このタンパク質に対して方向付けられた抗体、例えば、支持体上に固定化された抗体を使用する免疫吸着技術を使用することが可能である。
【0057】
処理されるべき当該血漿は、クエン酸塩加である。
【0058】
当該精製されたプロテインCは、トロンビン/トロンボモジュリン複合体と反応することが可能な条件下で供給され、結果として、当該プロテインCの活性化されたプロテインC(PCa)の形態への活性化を導く。カルシウムイオン並びにリン脂質およびそのコファクター、プロテインSと相互作用しているプロテインCが、その基質と、特に、凝固過程において、Va因子およびVIIIa因子(FVa、FVIIIa)と相互作用することが可能であるのは、この形態、PCaである。従って、Va因子の阻害は、トロンボモジュリンの活性を測定するために試験され得る。
【0059】
活性化されたプロテインCの機能的活性の測定は、得られた試薬と活性化されたプロテインCの酵素学的基質との反応を含む。
【0060】
この基質は、上述した通りであり、それは天然の基質または合成された基質であってもよいことが想起されるであろう。それが天然の基質である場合、それは血漿凝固タンパク質、例えば、FVaまたはFVIIIaであってもよい。或いは、トロンボモジュリンの機能的活性を明らかにする測定される当該基質は、活性化されたTAFI(TAFIa)または活性化されたTAFIのための基質であってもよい。
【0061】
PCaのための酵素学的基質が天然において合成される場合、例えば、ペプチド基質であってもよい。有利には、問題の当該基質は、色素生産性または蛍光定量的基質である。
【0062】
特に、それはPCaのアミド分解活性を試験できる基質であってよい。そのような基質は、例えば、ダイアグノスチカ・スタゴからの合成オリゴペプチド基質CBS 42.46である。他の基質は、上記において例として引用している。
【0063】
トロンボモジュリンの当該機能的活性の定量化のための工程は、当該PCaのための基質の変換の定量化に基づいている。
【0064】
この定量化は、選択された基質の関数として決定される読み取り窓における当該反応混合物の光学密度を測定することにより実行されてよい。
【0065】
本発明の特定の実行に従うと、患者から採取された当該生物学的サンプルから得られた当該血漿は希釈される。例として、当該血漿は、20倍未満で希釈され、例えば、10倍未満、特に1/3または1/4で希釈される。
【0066】
実施される当該希釈は、当該基質の感受性の関数として決定されてもよく;より感受性の高い基質ほど、より高程度に希釈されてよい。
【0067】
本発明の特定の実施において、当該フィブリン重合化阻害剤は、ポリペプチド阻害剤である。特に、当該ポリペプチドは、H-Gly-Pro-Arg-Pro- OH.AcOH (GPRP.AcOH) (ペファブロック(Pefabloc(登録商標)FG、ペンタファーム(Pentapharm)より)であってもよい。この阻害剤は、当該血漿サンプルの希釈の関数として選択された1〜15 g/lの濃度で試験反応において使用されてよい。例として、当該血漿が1/3で希釈され、10g/lのこの阻害剤が有利に使用される。
【0068】
本発明のもう一つの実施において、当該フィブリン重合化阻害剤は、上述下通りの抗フィブリノーゲン抗体である。
【0069】
本発明の特定の実施に従うと、当該トロンボモジュリンの機能的活性の測定は、以下の構成を伴うトロンビンバッファーを使用することを具備する;
NaCl (0.15 mmol/L [ミリモル/リッター])、Tris (20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml)および、
当該血漿サンプルがヘパリンで治療されている患者に由来する場合、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリルレン(10 g/l)。
【0070】
トロンビンを希釈するために適切な何れか他のバッファーが使用されてもよい。
【0071】
活性化されたプロテインCのための当該酵素学的基質は、CBS 42.46、または何れか他の酵素学的基質、特に合成基質であり、当該光学密度は、6〜500秒の読み取り窓内で405nmの波長で読まれればよい。
【0072】
或いは、当該光学密度は、6〜200秒の窓内で波長405nmで記録されればよい。
【0073】
当該基質の濃度は、特にCBS 42.46の濃度は、例えば、当該反応媒体に対して添加されるべき当該試薬において2.5 μM/mlである。
【0074】
当該プロテインCと共に、カルシウムイオンの存在下でのトロンビンとの接触において当該血漿をインキュベートするための当該工程は、約1〜120分、例えば、約600秒の期間に亘り実施されてもよい。
【0075】
従って、本発明の特定の実施において、PCaの機能的活性化を測定するための方法は、以下の条件下で実施される;
・工程a)のために、1/3までに希釈された70μLの血漿サンプルを、フィブリン重合化阻害剤、例えば、GPRP.AcOH (10 g/l)の存在下で、NaCl(0.15 mmol/L)、Tris(20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml)を含み、当該血漿サンプルがヘパリンで治療された患者に由来する場合、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリブレン(10 g/l)を含む、バッファー中に希釈された10NIHのトロンビンの40μLと接触させること、
・工程b)のために、30μLの精製されたプロテインCを、600秒間に亘り、工程a)で構成された当該媒体とインキュベートすること;
・工程c)のために、(当該試薬中)2.5 μM/ml の濃度の活性化プロテインCのための酵素学的基質、例えば、CBS 42.46、の110μLおよび変換された酵素学的基質の定量を6〜500秒内で、波長405nmで当該光学密度を読み取ることにより決定する。
【0076】
本発明の特定の実施において、当該血漿性トロンボモジュリンの機能的活性は、内部コントロールの同じ活性を測定することと並行して測定される。このコントロールは、サンプルと同じ様式で処理された標準血漿から生成されてよい。
【0077】
血漿、トロンビン、精製されたプロテインC、フィブリン重合化阻害剤および基質の量および/または濃度ような当該方法を実施するために当該反応媒体に供給されるべき当該試薬の量および/または濃度は、本出願において挙げられる図から、特に、各試薬の濃度またはその活性の関数(function)のように変化してもよい。好ましくは、当該反応の種々の試薬のそれぞれの最終濃度は、実質的に当該反応媒体に保存される。
【0078】
用語「最終濃度」は、それらが導入された場合にそれらが作用する当該媒体における試薬の濃度を意味する。
【0079】
当業者は、選択された試薬の関数(function)として、濃度および活性を適応できる。説明として、当該試薬の濃度または活性は、本出願において含まれる表示と比べてプラスまたはマイナス50%の量で変動してもよく、例えば、プラスまたはマイナス20%の量で、またはプラスまたはマイナス10%の量で変動してもよいことが注目されるべきである。この変動は、他の試薬とは独立した各試薬に関するものであってよい。
【0080】
特定の実施に従うと、トロンボモジュリンの機能的活性の定量のために、本発明は、当該反応について得られた結果、例えば、当該光学密度についての記録された値を、キャリブレーション曲線からひかれた値と比較することを提案する。このキャリブレーション曲線は、例えば、以下の手段によりトロンボモジュリンの機能的活性を測定することにより得られる;
・オウレン・コラーバッファーに希釈された標準血漿サンプル、例えば、内因性および外因性の凝固経路における公知の凝固因子を通常の統計学的量を含む、正常と呼ばれる血漿。それは、次に、トロンボモジュリン活性のために得られる個々の値の平均値を決定するために、正常血漿サンプルから、またはプールされた正常サンプルから、または個々に試験されるサンプルから得られてもよい。当該凝固因子のための統計学的な正常値は、当業者に公知のマニュアルにある範囲に位置する。例として、正常血漿は、フィブリノーゲン試験、活性化ケファリン時間(cephalin time activated (CTA))、トロンビン時間(TT)、PCおよびV因子において正常であると評価される結果を与える血漿であると考えられる。この点において、参考は、文献「臨床検査室における参考区間をどのように定義および決定するか:承認ガイドライン」(“How to define and determine reference intervals in the clinical laboratory : Approved Guidelines - Second Edition. NCCLS document C28-A2 (ISBN 1-56238-406-6) NCCLS-USA 2000”)に定義される標準に求められてもよい。または
・精製されたTMの増大量に対して加えられるトロンボモジュリンの枯渇した血漿。それは、それ自身公知の方法何れかの方法を使用して、例えば、精製されたTMの添加の前にTMの枯渇を実施するために抗トロンボモジュリン抗体を使用する免疫吸着により、得られてよい。
【0081】
またそれは、正常血漿のプールまたはTMの増大量を添加するTMが欠乏された血漿から、正常な血漿の希釈範囲を形成することも可能である。
【0082】
キャリブレーション曲線を確立するための当該血漿サンプルに対して添加されるトロンボモジュリンは、完全なものであっても、または可能性であってもよい。
【0083】
またそれは、切断型および可溶性の組み換えトロンボモジュリン分子、例えば、バーレックス・バイオサイエンス(Berlex Biosciences, San Francisco, USA)により市販されるソルーリン(Solulin(登録商標))などが関係してもよい。この分子は、内部コントロールを作る、またはキャリブレーション曲線を作るための標準として使用されてもよい。
【0084】
TM活性測定試験の対象とされ得る患者の特徴に依存して、当該コントロール値を得るために使用される血漿サンプルの選択が調節されてもよい。
【0085】
従って、コントロールとして選択される当該サンプルは、年齢、性別、肥満度指数、適切であれば、タバコの量またはアルコール消費量を考慮した試験患者の特徴に近い特徴を有する個体から有利に得られるであろう。
【0086】
また本発明は、血漿媒体における血漿トロンボモジュリンの活性を測定するためのキットであって、以下を具備するキットに関する;
・フィブリン重合化阻害剤を含み、且つカルシウムイオンと、適切であればヘパリン阻害剤を含むバッファーに希釈されたトロンビンを含む試薬1;
・精製されたプロテインC;または代替的にTAFI(トロンビン活性化可能な線溶阻害剤)を含む試薬2;
活性化プロテインCのための酵素学的基質またはTAFIのための特異的な基質を含む試薬3。
【0087】
TAFIa(活性化されたTAFI)を測定することからなるTAFI活性の試験は、例えば、特許WO03/004516に記載され、これは、アラゾホルミル化合物に由来するTAFIaの色素産生性基質を使用する。
【0088】
本発明の特定の実施に従うと、当該キットは、試薬1が、以下の化合物:NaCl (0.15 mmol/L)、Tris (20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml)を基本的に含み、ヘパリンまたは他の抗凝固剤で治療された患者からの血漿サンプルのためのヘパリン阻害剤または前記抗凝固剤の阻害剤、例えば、ポリブレン(10 g/l)およびフィブリン重合化阻害剤を含むことを特徴とする。
【0089】
本発明の特定の実施に従うと、当該フィブリン重合化阻害剤は、1〜15g/Lの濃度で使用されるGPRP.AcOHである。当該濃度は、試験血漿の希釈の程度の関数(function)として決定される。例として、当該血漿が三分の一で希釈される場合、10g/LのGPRP.AcOHが使用される。この阻害剤の使用のための性質および条件は上述した。
【0090】
本発明はまた、上述において限定した通りのキットであって、当該フィブリン重合化阻害剤が抗フィブリノーゲン抗体であるキットに関する。
【0091】
特定の実施において、当該キットは更に本出願に記載された通りに定義される内部コントロールを含む。
【0092】
特定の実施において、当該キットは、トロンボモジュリンの機能的活性のためのキャリブレーション曲線またはそのような曲線をつくるための手段も含む。
【0093】
本発明はまた、凝固例外をインビトロにおいて検出するための方法であって、本出願に記載される通りの血漿媒体におけるトロンボモジュリンの機能的活性を測定することを具備する。それは、トロンボモジュリンの機能的活性のレベルの増加または当該レベルの減少を検出することに関してもよい。
【0094】
成人の対象において、トロンボモジュリンにおける異常な変異(増加または減少)は、血栓症または内皮細胞障害のリスクのマーカーである。
【0095】
この方法の特定の実施に従うと、血漿媒体において測定される当該トロンボモジュリンの機能的活性は、標準血漿を使用して測定されるこの活性のための値と比較される。
【0096】
本発明の特定の実施に従うと、得られた当該値は、標準または正常値と称され、標準血漿サンプルのプールにおけるトロンボモジュリンの機能的活性を試験した後に得られる。
【0097】
本発明の特定の実施に従うと、前記標準値は、個々に試験される正常血漿サンプル(標準)を使用して測定されるトロンボモジュリンの機能的活性の値から確立される。
【0098】
本出願において記載された手段、方法およびキットは、恐らく臨床的病徴と関連するトロンボモジュリンレベルの増加を検出するために使用することが可能である。従って、トロンボモジュリンレベルの増加は、血管内凝固症候群 (DIVC), 糖尿病、慢性骨髄性白血病、肝および腎不全、子癇全症、血小板減少性血栓性紫斑病、リケッチア症、ベーチェット病、ホモシスチン尿症または流産の病徴に関連し得る。
【0099】
本発明のもう一つの実施に従うと、当該手段、方法およびキットは、恐らく臨床的病徴と関連するトロンボモジュリンレゲルの減少を検出するために使用することが可能である。これらの病徴は、肺動脈高血圧 またはメラノーマ または他の疾病の病徴であってよい。
【0100】
本発明のもう一つの実施に従うと、記載された当該手段、方法およびキットは、トロンボモジュリンの遺伝子における変異に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少の検出のために使用される。
【0101】
本発明の他の特徴および利点は、病理学的状態に関連する当該トロンボモジュリンレベルの変動を特に説明する以下の例および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】トロンボモジュリンの組織的構造の図:EGF = 上皮細胞成長因子 (EGF様)。トロンボモジュリンの配列は、ウェイラーおよびイサーマンによる文献に記載されている(Weiler H and Isermann B H in 2003 (Journal of Thrombosis and Haemostasis, vol 1, pages 1515 - 1524)。
【図2】トロンボモジュリン活性化の図: PC プロテインC;PCa 活性化されたプロテインC; Th トロンビン;ATIII-Th 抗トロンビンIII-トロンビン複合体;EPCR-PC 内皮細胞プロテインC受容体−プロテインC;TAFI トロンビン活性可能線溶阻害剤;TAFIa 活性化TAFI; TM トロンボモジュリン;V V因子;Va 活性化V因子。
【図3】試験特異性を示す曲線(Def TM TMの欠乏)。
【図4】病理学的血漿および正常血漿の検出。
【図5】その濃度の関数としてのトロンボモジュリン活性の測定のためのキャリブレーション曲線(DDO)。
【図6】サンプルにおけるプロテインCの量を関数としてのトロンボモジュリン活性の感受性の測定。
【図7】サンプルにおけるII因子の感受性。
【図8】サンプルにおけるTAFIの量の感受性。
【図9】安定性の評価。
【図10】正常妊娠または合併症に罹患した妊娠の女性からの血漿サンプルについてのリン脂質およびTMaの濃度の測定。
【図11】心筋梗塞(MI)に関連するトロンボモジュリンの活性。
【図12】同種移植を受けた患者からのトロンボモジュリンの変化。当該TMa活性は、状態が合併症を伴う状態に変化した患者からのサンプルと状態が良好に変化した患者からのサンプルにおいて試験した。
【0103】
これらの結果を生じる状態は例において記載する。
【実施例】
【0104】
例
1.試験方法
当該トロンボモジュリンの機能的活性を以下の通り1/3に希釈した70μLの血漿サンプルについて試験した。
【0105】
A)反応媒体に供給されるべき試薬
・以下により構成されたトロンビンバッファー中で40 μlの10 NIH トロンビン (即ち、媒体中で1.6 NIH最終濃度):
0.15 mmol/L NaCl
20 mmol/L Tris
2.5 mmol/L CaCl2
5 mg/ml BSA
10 g/l GPRP.AcOH (フィブリン重合化阻害剤)
2 ml/l polybrene, 10 g/l。
【0106】
・30 μl の精製されたプロテインC、100μg/ml、蒸留水1mLに採取。
【0107】
・110μl のPCaのための合成基質(ダイアグノスティカ・スタゴからのCBS 42.46 、2.5μM/ml) 、6 mlの蒸留水/ヒルジンに採取、20 ATU) (即ち、媒体中の最終濃度が1.10μM/ml)。
【0108】
B)プロテインCの活性とPCa試験
当該血漿サンプルを、トロンビンバッファー中でトロンビンと接触させ、37℃でプロテインCと、約600秒間インキュベートし、当該プロテインCを活性化した。
【0109】
得られた媒体を、合成基質と接触させた。
【0110】
当該PCaのアミド分解活性を次に37℃で、6〜500秒の読み取り窓で405nmで光学密度を読み取った。
【0111】
C)測定の特異性の確認
当該PCa活性のための光学密度の測定の特異性を、正常血漿のプールで得た活性と、精製されたTMが添加されたTM欠乏血漿で得た活性とを比較することにより確かめた(例えば、アメリカン・ダイアグノスティカ(American Diagnostica)またはヘマトロジック・テクノロジーズ・Inc,(Haematologic Technologies Inc)から得た)。結果は図3に示し、当該試験の特異性を確認される。
【0112】
D)反復精度の確認
反復精度の測定を実施し、その結果を表1〜3に示す。
【0113】
E)PCaの活性のための値
43例の正常血漿を、本発明の方法を使用してトロンボモジュリン活性のために試験した。その光学密度を測定し、対応するTM活性パーセンテージを表4に示す。これらの測定は、トロンボモジュリンの機能的活性のための正常値のインディケータであると考えられる。
【表4】
【0114】
100%のTM機能的活性は、TMの量として任意に定義されるべきであると考え、それは結果として、トロンビンおよびPCの濃度が2.5mmol/LのCa2+イオンの存在下でそれぞれ10NIHおよび100μg/mLであるときに、0.03μmol/LのPCaの形成を招く。
【0115】
更に、確認された病理に罹患する患者から得た生物学的サンプルから得られた血漿もまた、本発明の方法を使用して当該TM機能的活性について試験した。当該測定は、上述した合成基質を用いた色素生産性試験を使用するSTA−R分析(Diagnostica Stago, France)において実施した。内部および相互試験Cts値はそれぞれ< 4%および< 5%であった。
【0116】
当該試験の反応は、0〜200%の間で直線であった。TM活性のパーセンテージとしての結果は以下の通りであった:糖尿病 (n = 15);130% ± 28:癌(n = 10);155±60:敗血症 (n = 12);173%±56:多数の外傷 (n = 20);185% ±62。
【0117】
これらの結果は表4に示す。
【0118】
II.キャリブレーション曲線の準備の例
トロンボモジュリンの機能的活性を与えるキャリブレーション曲線を作成するために、以下を使用した:
・オウレン・コラーバッファーまたはトロンボモジュリン欠乏物の何れかへの正常血漿のプールを希釈すること;
・またはトロンボモジュリン欠乏血漿への精製されたトロンボモジュリンを過剰負荷すること;
・または、100%レベルのトロンボモジュリン活性を、2.5mmol/LのCa2+の存在下で、トロンビンの濃度が10NIHであり、且つPCの濃度が100μg/mLである場合、0.03μmL/LのPCaの形成に帰着するトロンボモジュリンレベルであることを任意に定義すること。
【0119】
各血漿の希釈は当該構成において1/3で試験した。
【0120】
当該トロンボモジュリンの200%、150%、100%、50%、25%、12.5%および0%の活性に対応して当該血漿プールに対して添加されたTMの濃度を上記の規則を使用して決定した。
【0121】
当該トロンボモジュリンの活性を、PCaの合成基質であるCBS 42.46において決定した。当該PCaのアミド分解活性を、パラ−ニトロアニリンの遊離(黄色)により405nmの波長で測定した。
【0122】
トロンボモジュリン活性の各値(パーセンテージとして)に対応する光学密度を、読み取り窓6〜500、405nmの波長で決定した。
【0123】
キャリブレーション曲線を図5に示す。
【0124】
III.種々の血漿凝固タンパク質に対する、または凝固を防止する試薬に対する試験の感受性の評価
A)ヘパリンに対する感受性
当該感受性は、上述の試験条件下で試験される血漿に対してカルシパリン(calciparine(登録商標))の増加される濃度を添加することにより決定した。
【0125】
カルシパリンの影響を以下の表6に記載するが、それはTMの機能的活性において殆ど影響を示さなかった。
【表6】
【0126】
B)血漿サンプルに含まれるプロテインCのレベルに対する感受性
予め決定された可変性の濃度のプロテインCを含む血漿を上述の方法を使用して試験した。
【0127】
それは以下の通りである:
・プロテインC (カラム 0)の欠乏した血漿;
・程度を変更するためにプロテインCを欠乏させたプールからの血漿 (カラム12.5〜50);
・正常プール(GK (Georges King) プール)からの血漿 (カラム100)。
【0128】
結果(表7および表6)は、当該サンプル中のPCのレベルがTMの機能的活性の値において殆ど影響しないことを示す。
【表7】
【0129】
C)血漿サンプルに含まれるII因子のレベルの感受性
予め決定されたの可変性の濃度のII因子を含む血漿を上述の方法を使用して試験した。
【0130】
これは以下の通りであった:
・II因子が欠乏した血漿(カラム 0);
・程度を変更するためにII因子を欠乏させたプールからの血漿(カラム25〜87.5);
・正常プール(GK プール)からの血漿(カラム 100)。
【0131】
結果(表8および表7)は、当該サンプルのFIIのレベルはTMの機能的活性の値において殆ど影響しないことを示す。
【表8】
【0132】
D)血漿サンプルに含まれるTAFIのレベルに対する感受性
予め決定された可変性の濃度のTAFIを含む血漿を上述の方法を使用して試験した。
【0133】
これは以下の通りであった:
・TAFIが欠乏した血漿;
・程度を変更するためにTAFIを欠乏させたプールからの血漿;
・正常プール(GK プール)からの血漿。
【0134】
結果(表9および表8)は、当該サンプルのTAFIレベルはTMの機能的活性の値において殆ど影響しないことを示す。
【表9】
【0135】
E)安定性の評価
TMの機能的活性の試験は、当該反応の安定性を確立するために間隔をおいた後に、再現した。当該試験は4hの間隔で、同じサンプルにおいて実施され、正確な安定性を有することが示された(表10および図9)。
【表10】
【0136】
PIN 725−17は、マンチェスター(Manchester)により供給された正常血漿、およびバッチPIN 725−17に一致する正常血漿であった。
【0137】
F)読み取り窓
当該光学密度のための読み取り窓は、6〜500秒の窓において、次に、6〜200秒の窓において記録するために調節された。
【0138】
種々の血漿サンプルについて得られた結果は、実質的に等価性があった(表11)。
【0139】
IV.トロンボモジュリン活性の増加と妊婦における胎児の早期喪失との間の相関
早期の胎児喪失は重大な臨床の問題であり、これは必ずしも十分に説明または検出することが出来るとは限らない。解剖学的原因、染色体の原因またはホルモン性の原因とは別に、抗リン脂質症候群(anti-phospholipid syndrome、ATP)が現在まで診断できる唯一の共通の原因である。流産を説明するために提案された機序のうちの1つは、子宮胎盤血栓症による低酸素症である。トロンボモジュリンの活性は、この血栓症における重要なマーカーであるかもしれない。トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する能力を基礎にしたトロンボモジュリン活性についての発明に従う試験は、早期流産を経験した患者におけるコントロール試験において実行された。血栓症の病歴を持たず、(APSに関連しない)早期流産の経験のある患者(N=35)における妊娠の最初の3ヶ月間に亘って採取した血液サンプルから得た結果を、正常に妊娠した同様の年齢群の女性における妊娠の最初の3ヶ月間に得たサンプルから得た結果(N=37)と、妊娠してない正常な患者の同様な年齢群の女性から得たサンプルから得た結果(N=32)を比較した。血液サンプルを、流産直後の患者群から採取した。全ての血液サンプル(クエン酸の109MN中で1:10)を2回攪拌し、その血漿を−80℃にaPTTについての試験およびトロンボモジュリン活性についての試験(Diagnostica Stago, France)まで凍結した。aPTT時間における変更は観察されなかった。トロンボモジュリン活性の平均値は、コントロールについて106±12%であり、これに対して正常妊娠では120±10%、および流産では158±14% (pは0.001未満)であった。追加の試験がこの試験の能力および特異性を決定するためには要求されるが、このパラメーターの決定は、流産の危険のある女性の検出を補助する上で有用な手段であると分かるであろう。当該トロンボモジュリンの活性は、危険に瀕している女性において、より重篤な臨床的症状を防ぐことを意図する医薬の介入を可能にする、妊娠中の高血圧性の合併症を早期に予測する有利なマーカーであるように思われる。
【表11】
【0140】
V.妊娠中のトロンボモジュリンの活性と合併症の間の相関
妊娠中の合併症は、NK(ナチュラルキラー)細胞の活動性と子宮胎盤血栓症を含む。
【0141】
凝固原リン脂質(PPL)は、血管障害の場合において、NK活性の役割を調節し、且つTMaを増加し得る。
【0142】
これらの試験が、妊娠中の合併症を経験に感受性のある女性を検出するための予測的なマーカーであるから、Xa(XaCT−Xa凝固時間)に基づく凝固試験を使用するPPLの濃度の測定およびTMa活性の測定は興味深いかもしれない。血栓症の病歴を持たず、(APSに関連しない)妊娠期間における合併症に遭遇した女性(35)、同年齢群の正常に妊娠している女性(37)、および妊娠が確認されていないおよび妊娠してない女性(32)からの血液サンプルを試験した。
【0143】
当該サンプルは、処理されて、血漿を採取し、これは当該試験まで−80℃で保存された。
【0144】
当該PPLはXaCT試験で測定された。短縮された凝固時間がPPL濃度の上昇を反映した。当該TMa活性を、(上述した通りの)プロテインCの活性化を促進する能力を基礎にした色素生産性試験において測定した。
【0145】
3種類のサンプルにおいて得られた結果の比較(図10)は次のことを示した:
1)XaCT試験について:
35.2±11.8s、50.6±8.6sおよび55±9.2sはそれぞれ、合併症を伴う妊娠した患者、通常妊娠の患者、およびコントロールの患者(p<0.001)についての平均値;
2)TMa活性試験について:
169%±24、119%±16および106%±16はそれぞれ、合併症を伴う妊娠した患者、通常妊娠の患者およびコントロールの患者 (p<0.05)についての平均値。
【0146】
従って、XaCT試験およびTMaの両方が、妊娠中の合併症の危険に瀕している女性を検出する際の予測的なマーカーとして興味深いと思われる。
【0147】
VI.トロンボモジュリン活性の増加と心筋梗塞の間の相関
トロンボモジュリン活性は、正常血漿のプールと、心筋梗塞(MI)に罹患している生存する患者から採取した血漿サンプル、MIに続き死亡した患者から採取した血液サンプルからの血漿サンプルについて測定した。
【0148】
当該測定は、上記のポイントIで記載された通りの条件下で実行された。
【0149】
結果は、MIの場合においてトロンボモジュリン活性の実質的な上昇を示す。
【表12】
【0150】
VII.
トロンボモジュリン活性と骨髄同種移植の間の相関
トロンボモジュリン活性を、骨髄同種移植を受けた患者(小児)から採取された血漿サンプルについて測定した。
【0151】
移植に続きサンプルが採取された時期に依存して、移植後のTM活性は変動した。当該移植が合併症を伴うか、それに対して良好に発生したか否かに依存してTM活性における変化において相違が観察された。
【発明の概要】
【0001】
本発明は、止血および特定の凝固疾患の分野に関する。
【0002】
本発明は、生物学的サンプルにおける血漿トロンボモジュリンの機能的活性の測定方法に関係する。
【0003】
本発明の方法は、生物学的サンプル、特に患者から採取された血液サンプルを使用して、インビトロにおいて実施される。
【0004】
本発明の方法は、血漿媒体におけるトロンボモジュリンの機能的活性を測定することが可能である。
【0005】
特に、本発明は、血漿媒体におけるトロンボモジュリンの機能的活性を決定する方法であって、例えば、色素生産性または蛍光定量的方法を用いて前記決定が実行される方法を意図する。
【0006】
トロンボモジュリン(TM)は、内皮細胞の膜の不可欠な部分を形成するトロンビン受容体プロテオグリカンである。当該内皮細胞の抗凝固性の一部分の原因となり、それは557アミノ酸タンパク質であり、3つの部分;エンドサイトーシス機序に関与する細胞質内のC末端部分;疎水性膜内部分;および長いペプチド鎖により構成されるN末端部分;からなる。この後者は、4領域を含む:Ser/Thrリッチ領域、続く上皮細胞成長因子(EGF様)と相同の6ドメインの領域、疎水性領域および最後のレクチン様領域(図1)。
【0007】
1981年、オーウェン W.G(Owen W.G.)およびエスモン C.T.(Esmon C T)は、トロンボモジュリンの機能的活性を特徴付け(Proceedings of the National Academy of Science USA, 1981, vol. 78, pages 2249-52 and Journal of Biological Chemistry 1981 vol 256, pages 6632-5)、トロンボモジュリンにより触媒されるトロンビンによる活性化された抗凝固性プロテインCへの血漿性プロテインCの活性化を示した。
【0008】
ヒトトロンボモジュリンのコード配列は、EMBLにおいてリファレンス番号BC035602におけるウェン D.Z(Wen D Z)らとウェイラー Hら(J. Thromb. Haemost. 2003 July, 1(7): 151-24)により1987年に特徴付けられ、且つ同定された。
【0009】
TMは、生体の全ての血管(動脈、静脈、毛細管)およびリンパ管の表面に存在し、特に、胎盤および肺などの豊富に脈管化された臓器において豊富である。また、ケラチノサイト、骨芽細胞、メサンギウム細胞、血小板および好中球によっても発現される。
【0010】
TM合成の調節は、主に、サイクリックAMP、TNFα、IL−1およびレチノイン酸に依存する。
【0011】
TMは、内皮細胞により分泌されず、トロンビンにより分解されない。内皮細胞の異なる種類の攻撃の影響下(多核からのエラスターゼ;サイトカイン、マクロファージ、リポ多糖など)でのみ、内皮細胞性TMは、可溶性形態で循環に遊離されるフラグメントに切断され、それから腎で排出される。一旦切断されると、細胞性TMは、細胞質内およびメソポーラス領域が欠失した可溶性、即ち、血漿性の形態のTMになる(Ishiih et al, 1985, J Clin Invest 76, 2178)。可溶性血漿性TM(TMp)は、内皮細胞の障害の良好なマーカーを構成する。TMの主要な機能は、種々の機序によるトロンビンの凝固源活性に対抗することである。TMと結合する際、トロンビン(Th)は、高次構造的な修飾を受ける。その血液凝固性は失われ、且つその血小板およびフィブリノーゲンに対する親和性が失われる。しかしながら、それは、依然として抗トロンビンピンIII(ATIII)により不活性化される。TM−Th複合体の構造は、コンドロイチン硫酸の存在下で分断される。これらの相互作用が、TMに血漿において循環するThを排除させることを可能にする。このTM−Th複合体が、Sタンパク質の存在下でVaおよびVIIIa因子を阻害するプロテインCの活性化を可能にする;この連続する相互作用および反応が当該プロテインC系を構成する。当該TM−Th複合体は、また、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)に対して結合するプロテインCの活性化、並びに、線溶に関連する血漿性プロカルボキシペプチダーゼ:TAFI(トロンビン活性化線溶阻害剤、thrombin activatable fibrinolysis inhibitor):の活性化において役割を果たす。最終的に、TMはATIIIの存在下で、抗トロンビン活性を有する。炎症における、および細胞増殖/分化におけるTMの役割が惹起される(図2)。
【0012】
従って、トロンボモジュリンは、特に、プロテインCの活性化プロテインC(PCa)への活性化を促進することにより、凝固阻害剤として作用し、それ自身、タンパク質Sコファクターの存在下でVaおよびVIIIa凝固因子を不活性化する。
【0013】
トロンボモジュリンのインビボ合成は、種々の因子、例えば、AMPc、レチノイド、甲状腺ホルモンおよび高体温などにより増大する(Conway E M et al, 1994, J Biol Chem, 269, 22804)。他の薬剤、例えば、サイトカイン、IL−1、TNF、LPSおよびホモシステイン並びに細胞内微小生物(サイトメガロウイルス、ヘルペス、リケッチア)などは、その発現およびその活性化において負の影響を有し、それにより、内皮細胞の凝血原活性の一過性な増大が導かれる。
【0014】
可溶性TM(TMs)のレベルが新生児において高い一方で、その年齢が20〜60才である健康な対象においては、年齢は影響を持たず、しかし、個体の性別は影響し、男性は、女性に比べて顕著に高値であることが観察されている通りである。
【0015】
内皮細胞の障害に関連するTMレベルの上昇は、多数の病理、例えば、DIVC、糖尿病、慢性骨髄性白血病、肝および腎不全など、並びに、子癇全症、血小板減少性血栓性紫斑病、リケッチア、ベーチェット病、ホモシスチン尿症などにおいても記述されている。レベルの減少は、肺動脈高血圧の患者における試験およびメラノーマの進行の間中の試験において観察されている。最後に、TMの遺伝子における変異が記載されており、TMのレベルの減少と関連する。
【0016】
治療レベルにおいては、動物における組み換えTMの灌流が血栓症の発症を阻害する上で効果的であることが判明している。
【0017】
凝固の段階におけるその直接的な影響のために、特に当該プロテインC系の活性化において、トロンボモジュリンの機能的活性を決定するできることは興味深く思われる。
【0018】
トロンボモジュリンの活性化を測定するための試験は、既に、従来において提案されているが、それらは結果として血漿系におけるトロンボモジュリンの活性化を測定するものではなく、細胞系においてのみ測定するものである。最近、血漿媒体試験法がオーリン A.K.( Ohlin A K)らにより記載された(Journal of Thrombosis and Hemostasis, 2005, 3: 976-982)。しかしながら、この文献は、TMの直接的な試験を提案するものではなく、血漿トロンボモジュリンに対するモノクローナル抗体を使用して単離および分離するための第1の工程を必要とするものである。実際、オーリン A.K.らにより記載された当該試験の第1の工程において、当該試験血漿は希釈されてもよいのだが、それはマイクロプレート上でインキュベートされ、そのウェルには、ヒトトロンボモジュリンに対するモノクローナル抗体が含まれる。当該血漿を除去した後に、当該マイクロプレートのウェルは洗浄され、当該抗体に結合したトロンボモジュリンのフラグメントが保存されるのみである。第2の工程において、当該準備されたマイクロプレートのウェルは、活性化プロテインCを得るために必要な当該試薬の存在下にもっていかれる。インキュベーションの後、色素産生性または蛍光定量的な基質が、当該活性化されたプロテインCを明らかにする。
【0019】
当該文献の著者は、トロンボモジュリンの単離および分離の工程を経ることなしに、トロンボモジュリンの活性を血漿中で直接に測定できる試験を作ることが将来において重要であると締め括った。
【0020】
従って、現在は、血漿トロンボモジュリンを試験することは、カルボキシ末端の細胞質領域および膜貫通領域を失った切断された膜タンパク質に想到する可溶性タンパク質の抗原性試験にもっぱら関する。TMは、トロンビンに結合すること、およびプロテインCを活性化することが可能なままであり、これらは繰り返されるEGFモチーフに局在する機能である。
【0021】
抗トロンボモジュリン抗体と可溶性トロンボモジュリンとの間の免疫学的な反応を使用する種々の試験が現在入手可能である。例えば、ダイアグノスティカ・スタゴ(Diagnostica Stago)は、トロンボモジュリンを試験するためのELISA試験(アセラクロム(Aserachrom、登録商標)トロンボモジュリン)を提供する。
【0022】
トロンボモジュリンの機能的な活性のインビトロ試験が有する問題は、本発明が提案する生物学的媒体、特に、血漿媒体におけるトロンボモジュリンの機能的活性を測定する方法、即ち、当該試験生物学的媒体、特に血漿の他の構成物と当該トロンボモジュリンとを分離することなく、それを含む当該生物学的媒体、特に、血漿において含まれる可溶性トロンボモジュリンのインビトロ活性を可能にする方法を提供することにより解決される。
【0023】
言い換えれば、本発明は、生物学的媒体、特に血漿媒体において、当該プロテインC系の活性化に必要な試薬の存在下で、トロンボモジュリンを測定するための試験を提案する。更に、本発明は、生物学的媒体において、特に血漿媒体において、プロテインCを活性化するために必要な当該試薬の影響下での当該サンプルの凝固に関連する問題を解決できる試験を提供する。
【0024】
本発明の方法およびその実施のための手段は、インビトロにおいて実施される生物医学的な研究の状況において使用するために定義される。
【0025】
要約すると、プロテインCのPCaへの活性化は、インビボにおいて、トロンボモジュリンとトロンビン(IIa因子)により血管内皮細胞の表面において形成される当該複合体の活性下で生じる。当該PCaは、次に、プロテインSと複合し、血小板または内皮細胞の表面において、それ自身がリン脂質に結合する。これらのPCa−PS−リン脂質複合体は、VaおよびVIIIa因子の不活性化を触媒し、それにより凝固減少を減速する。
【0026】
従って、本発明は、トロンボモジュリンの機能的活性をインビトロで測定するための方法であって、患者から採取されたサンプルからの生物学的媒体において実施する方法に関する。本発明の特定の実施に従うと、生物学的媒体における当該トロンボモジュリン活性の測定を可能にするサンプルは、血漿サンプルである。本発明の他の特定の実施に従うと、当該トロンボモジュリン活性の測定を可能にする当該サンプルは、全血または脳脊髄液(CRL)または羊水のサンプルである。
【0027】
本発明のインビトロ試験方法は、生物学的サンプル媒体において、プロテインCの活性化プロテインC(PCa)への活性化を測定することを含み、前記活性化は、コファクター、即ち、当該サンプルからのトロンボモジュリンの存在下におけるトロンビンの影響下で実施される。当該測定は、精製された過剰のプロテインCを添加した後に実施される。当該プロテインC系の活性化のために必要な他の試薬も、当該サンプルに対して、フィブリン重合化阻害剤と同様に添加される。
【0028】
特に、本発明は、血漿性トロンボモジュリンの機能的活性のインビトロの測定のための方法であって、血漿媒体における、そのコファクターである前記血漿性トロンボモジュリンの存在下でのトロンビンによるプロテインCの活性化プロテインC(PCa)への活性化を定量することを具備する方法に関する。この方法を実施するために、過剰な精製されたプロテインC、精製された外因性のプロテインCと称されるプロテインCと、並びに当該プロテインC系の活性化のために必要な試薬、およびフィブリン重合化阻害剤とを当該試験血漿に添加する。
【0029】
精製されたプロテインCの添加に変わるものとして、TAFI(血漿性カルボキシペプチダーゼU、この活性化はトロンビンにより触媒され、トロンボモジュリンに対して付着する)の添加が可能であり、それにより、その活性化TAFIの活性(TAFIa)が測定される。当該活性の測定は、トロンボモジュリンの機能的活性化の測定と称され、何故ならばそれが、当該媒体に対して、特に、試験血漿に対して、過剰のプロテインCおよび当該プロテインC系の活性化のために必要な試薬を添加することにより、生物学的媒体、特に、血漿媒体における、当該トロンボモジュリンの活性の測定を可能にするためである。使用される当該過剰のプロテインCは、当該試験の間、当該試験媒体における内因性のプロテインCの存在に関連する何れの定量的または定性的不足を克服するために十分であることが観察されるであろう。言い換えれば、「過剰な外因性のプロテインC」は、本発明の実行において、そのPCa活性の測定が、当該サンプルにおけるプロテインCの量とは独立しているような量で、外因性のプロテインCが添加されることを意味する。
【0030】
本発明の特定の実施に従うと、血漿媒体において実施される当該試験は、患者から採取された生物学的サンプルから得られた血漿サンプルにおいて実施される。
【0031】
本発明に従って測定される当該血漿性トロンボモジュリンは、可溶性タンパク質(可溶性トロンボモジュリンまたはTMs、血漿性トロンボモジュリン、TMpとも称される)であり、これは、切断された膜トロンボモジュリンに相当し、従って、その細胞質内のカルボキシ末端および膜貫通疎水性領域からは分離されたものである。実際、当該可溶性トロンボモジュリンは、依然としてトロンビンに結合することが可能であり、且つプロテインCをPCaに活性化することが可能であり、それは、この活性化機能は、当該タンパク質の繰り返しEGFモチーフに局在化するからである。
【0032】
対照的に、当該トロンボモジュリンの活性が、LCRまたは羊水サンプルにおいて測定される場合、当該トロンボモジュリンはその完全な形態にある(切断型ではない)。
【0033】
当該試験血漿サンプルに対して添加される当該プロテインC系の活性のために必要な試薬は、主に、トロンビン(特に、精製されたヒトα−トロンビン)およびカルシウムイオンであり、これは本発明の種々の実施の態様に依存する。
【0034】
当該カルシウムイオンは、例えば、CaCl2の形態で供給される。
【0035】
更に、本発明に従う血漿性トロンボモジュリンの活性の測定のための方法は、トロンビンと競合し、従って、フィブリノーゲンのフィブリンへの変換をブロックする阻害剤を当該試験サンプルに対して添加することを具備する。
【0036】
本発明に従う血漿性トロンボモジュリンの機能的活性のインビトロにおける測定のための方法は、以下を具備する;
・トロンボモジュリン活性試験用の血漿サンプルを、精製された外因性のプロテインC、トロンビン、カルシウムイオンおよびフィブリン重合化阻害剤と接触させること;
・得られた当該媒体をインキュベートして活性化プロテインCの精製を可能にすること;
・当該活性化プロテインCを機能的に試験すること。
【0037】
特定の本発明の測定方法の実施において、形成された活性化プロテインCの量が、基質におけるその活性度により試験される。特に、この基質は酵素学的基質であり、それは天然物であっても、または合成物であってよく、例えば、それは、色素生産性であっても、または蛍光定量的な基質であってもよい。
【0038】
当該PCaの活性を試験するための適切な基質は、タンパク質基質、例えば、ペプチドであってもよい。
【0039】
本発明の特定の実施において、測定される活性化プロテインCの酵素学的基質は、PCaのアミド分解活性が試験されることを意味する基質である。特に、それは色素生産性の基質または蛍光定量的な基質である。
【0040】
言及され得る本発明に関連する使用に適切な合成基質は、合成オリゴペプチド基質である。言及され得る例は、ダイアグノスチカ・スタゴ(Diagnostica Stago)からの合成基質CBS 42.46 (オリゴペプチド: THC-Pro-Arg-pNa)である。色素生産性基質のもう一つの例は、基質S-2366 (オリゴペプチドピロGlu-Pro-Arg-pNa)またはS-2238 (オリゴペプチドH-D-Phe-Pip-Arg-pNa)である。
【0041】
本発明に関連して、種々のフィブリン重合化阻害剤が選択されてよい。言及できる例は、合成ペプチド阻害剤、例えば、オリゴペプチド阻害剤H-Gly-Pro-Arg-Pro- OH.AcOH (GPRP.AcOH) (ペンタファーム(Pentapharm)からのペファブロック(Pefabloc)(登録商標)FG)である。
【0042】
本発明の特定の実施において、血漿トロンボモジュリンの機能的活性を測定するための方法は、以下の工程を具備する:
a)血漿サンプルを、特に、カルシウムイオンを含み、更にフィブリン重合化阻害剤を含む、プロテインC系を活性下できる媒体中に含まれるトロンビンを含む試薬1と接触させること;
b)工程a)で構成された当該媒体を、精製されたプロテインCを含む試薬2と、そのコファクター、即ち、当該血漿サンプルに含まれるトロンボモジュリンに対して複合されたトロンビンによりPCaに活性化することを可能にするために十分な期間に亘ってインキュベーションすること;
c)活性化されたプロテインCを含む工程b)において構成された当該媒体を、PCaの酵素学的基質と接触させること;
d)当該PCaの当該基質の変換を定量すること。
【0043】
本発明を実行するために使用される当該プロテインCは、精製されたプロテインC、例えば、オーリン A.K.らにより記載された方法を使用して単離されたプロテインCなどである(Ohlin A K et al, J Biol Chem, 1988, 263: 19240-8)。本発明の特定の実施に従うと、使用される当該プロテインCは、精製されたヒトプロテインCである。使用される当該プロテインCは、0.5 μM/l〜2.5μM/lの範囲の濃度で供給され、0.1〜10μM/lの濃度であってさえもよい。
【0044】
当該プロテインCは、「精製された」と称され、それは、その調製の様式についての如何なる言及にも依存せずに、他のタンパク質化合物および夾雑物を実質的に含まないことを示すための語である。
【0045】
供給される当該プロテインCは組み替えタンパク質であってもよい。
【0046】
当該プロテインCはまた、本発明の測定を実行するために精製され、且つ活性化されたその形態で、ダイアグノスチカ・スタゴ(Diagnostica Stago)、エンザイム・リサーチ・ラボラトリーズ(Enzyme Research Laboratories)またはアメリカン・ダイアグノスチックス(American Diagnostics)からも入手可能である。
【0047】
本発明の方法の状態において、当該供給されたトロンビンを、試験血漿に存在するトロンボモジュリンと接触させることは、結果として、トロンビン/トロンボモジュリン複合体の形成に帰着する。
【0048】
トロンビンおよびカルシウムイオンを供給する当該試薬は、カルシウムイオンを含むバッファーに希釈されたトロンビンにより構成されてもよい。当該フィブリン重合化阻害剤はまた、当該バッファーに対して添加されてもよい。ルーチン的にこの種のバッファーに含まれる他の構成物が添加されてもよい。
【0049】
使用されるトロンビンは、ヒト由来が有利である。特に、それは、NIHユニットで表現されるその活性が、当該反応媒体を調製するために使用される試薬中で5〜20NIHの範囲、有利には10NIHであるトロンビンである。
【0050】
従って、構成される当該試薬は、供給されたトロンビンの当該血漿サンプルのトロンボモジュリンとの相互作用と、当該プロテインCの活性化を可能にする。
【0051】
当該試験サンプルが、ヘパリンまたは他の抗凝固剤で治療された患者から採取された場合、従って、当該試験サンプルが、ヘパリンまたは他の抗凝固剤で治療された患者に特有なサンプルである場合に使用される、言及可能な当該構成された試薬の他の成分の例はヘパリン阻害剤または他の抗凝固剤である。
【0052】
しかしながら、仮に、当該サンプルが抗ビタミンKファミリーからの抗凝固剤で治療された患者に由来する場合、現在のところその阻害剤は入手できないので、その抗凝固剤の如何なる阻害剤も添加されない。
【0053】
オウレン・コーラー・バッファー(Owren Koller buffer)に当該サンプルを希釈することの変わりとして、希釈は当業者に公知の通常の選択基準に従って正常血漿中で実施されてもよく、前記血漿がトロンボモジュリン欠乏性を付与されてもよい。当該外因性のトロンビンは、次に、当該血漿並びに精製されたプロテインCおよびフィブリン重合化阻害剤、上述したとおり、当該生物学的サンプルがヘパリンまたは別の阻害剤で治療された患者に由来する場合には、当該ヘパリン阻害剤、仮にそれが他の抗凝固剤である場合には他の阻害剤に対して添加される。当該トロンビンは当該血漿により供給される。
【0054】
当該用語「トロンボモジュリン欠乏性血漿」は、このタンパク質を1%未満で含む血漿を意味する。
【0055】
トロンボモジュリン欠乏性血漿は、それ自身公知の何れかの方法を使用して調製されてもよい。
【0056】
例えば、このタンパク質に対して方向付けられた抗体、例えば、支持体上に固定化された抗体を使用する免疫吸着技術を使用することが可能である。
【0057】
処理されるべき当該血漿は、クエン酸塩加である。
【0058】
当該精製されたプロテインCは、トロンビン/トロンボモジュリン複合体と反応することが可能な条件下で供給され、結果として、当該プロテインCの活性化されたプロテインC(PCa)の形態への活性化を導く。カルシウムイオン並びにリン脂質およびそのコファクター、プロテインSと相互作用しているプロテインCが、その基質と、特に、凝固過程において、Va因子およびVIIIa因子(FVa、FVIIIa)と相互作用することが可能であるのは、この形態、PCaである。従って、Va因子の阻害は、トロンボモジュリンの活性を測定するために試験され得る。
【0059】
活性化されたプロテインCの機能的活性の測定は、得られた試薬と活性化されたプロテインCの酵素学的基質との反応を含む。
【0060】
この基質は、上述した通りであり、それは天然の基質または合成された基質であってもよいことが想起されるであろう。それが天然の基質である場合、それは血漿凝固タンパク質、例えば、FVaまたはFVIIIaであってもよい。或いは、トロンボモジュリンの機能的活性を明らかにする測定される当該基質は、活性化されたTAFI(TAFIa)または活性化されたTAFIのための基質であってもよい。
【0061】
PCaのための酵素学的基質が天然において合成される場合、例えば、ペプチド基質であってもよい。有利には、問題の当該基質は、色素生産性または蛍光定量的基質である。
【0062】
特に、それはPCaのアミド分解活性を試験できる基質であってよい。そのような基質は、例えば、ダイアグノスチカ・スタゴからの合成オリゴペプチド基質CBS 42.46である。他の基質は、上記において例として引用している。
【0063】
トロンボモジュリンの当該機能的活性の定量化のための工程は、当該PCaのための基質の変換の定量化に基づいている。
【0064】
この定量化は、選択された基質の関数として決定される読み取り窓における当該反応混合物の光学密度を測定することにより実行されてよい。
【0065】
本発明の特定の実行に従うと、患者から採取された当該生物学的サンプルから得られた当該血漿は希釈される。例として、当該血漿は、20倍未満で希釈され、例えば、10倍未満、特に1/3または1/4で希釈される。
【0066】
実施される当該希釈は、当該基質の感受性の関数として決定されてもよく;より感受性の高い基質ほど、より高程度に希釈されてよい。
【0067】
本発明の特定の実施において、当該フィブリン重合化阻害剤は、ポリペプチド阻害剤である。特に、当該ポリペプチドは、H-Gly-Pro-Arg-Pro- OH.AcOH (GPRP.AcOH) (ペファブロック(Pefabloc(登録商標)FG、ペンタファーム(Pentapharm)より)であってもよい。この阻害剤は、当該血漿サンプルの希釈の関数として選択された1〜15 g/lの濃度で試験反応において使用されてよい。例として、当該血漿が1/3で希釈され、10g/lのこの阻害剤が有利に使用される。
【0068】
本発明のもう一つの実施において、当該フィブリン重合化阻害剤は、上述下通りの抗フィブリノーゲン抗体である。
【0069】
本発明の特定の実施に従うと、当該トロンボモジュリンの機能的活性の測定は、以下の構成を伴うトロンビンバッファーを使用することを具備する;
NaCl (0.15 mmol/L [ミリモル/リッター])、Tris (20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml)および、
当該血漿サンプルがヘパリンで治療されている患者に由来する場合、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリルレン(10 g/l)。
【0070】
トロンビンを希釈するために適切な何れか他のバッファーが使用されてもよい。
【0071】
活性化されたプロテインCのための当該酵素学的基質は、CBS 42.46、または何れか他の酵素学的基質、特に合成基質であり、当該光学密度は、6〜500秒の読み取り窓内で405nmの波長で読まれればよい。
【0072】
或いは、当該光学密度は、6〜200秒の窓内で波長405nmで記録されればよい。
【0073】
当該基質の濃度は、特にCBS 42.46の濃度は、例えば、当該反応媒体に対して添加されるべき当該試薬において2.5 μM/mlである。
【0074】
当該プロテインCと共に、カルシウムイオンの存在下でのトロンビンとの接触において当該血漿をインキュベートするための当該工程は、約1〜120分、例えば、約600秒の期間に亘り実施されてもよい。
【0075】
従って、本発明の特定の実施において、PCaの機能的活性化を測定するための方法は、以下の条件下で実施される;
・工程a)のために、1/3までに希釈された70μLの血漿サンプルを、フィブリン重合化阻害剤、例えば、GPRP.AcOH (10 g/l)の存在下で、NaCl(0.15 mmol/L)、Tris(20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml)を含み、当該血漿サンプルがヘパリンで治療された患者に由来する場合、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリブレン(10 g/l)を含む、バッファー中に希釈された10NIHのトロンビンの40μLと接触させること、
・工程b)のために、30μLの精製されたプロテインCを、600秒間に亘り、工程a)で構成された当該媒体とインキュベートすること;
・工程c)のために、(当該試薬中)2.5 μM/ml の濃度の活性化プロテインCのための酵素学的基質、例えば、CBS 42.46、の110μLおよび変換された酵素学的基質の定量を6〜500秒内で、波長405nmで当該光学密度を読み取ることにより決定する。
【0076】
本発明の特定の実施において、当該血漿性トロンボモジュリンの機能的活性は、内部コントロールの同じ活性を測定することと並行して測定される。このコントロールは、サンプルと同じ様式で処理された標準血漿から生成されてよい。
【0077】
血漿、トロンビン、精製されたプロテインC、フィブリン重合化阻害剤および基質の量および/または濃度ような当該方法を実施するために当該反応媒体に供給されるべき当該試薬の量および/または濃度は、本出願において挙げられる図から、特に、各試薬の濃度またはその活性の関数(function)のように変化してもよい。好ましくは、当該反応の種々の試薬のそれぞれの最終濃度は、実質的に当該反応媒体に保存される。
【0078】
用語「最終濃度」は、それらが導入された場合にそれらが作用する当該媒体における試薬の濃度を意味する。
【0079】
当業者は、選択された試薬の関数(function)として、濃度および活性を適応できる。説明として、当該試薬の濃度または活性は、本出願において含まれる表示と比べてプラスまたはマイナス50%の量で変動してもよく、例えば、プラスまたはマイナス20%の量で、またはプラスまたはマイナス10%の量で変動してもよいことが注目されるべきである。この変動は、他の試薬とは独立した各試薬に関するものであってよい。
【0080】
特定の実施に従うと、トロンボモジュリンの機能的活性の定量のために、本発明は、当該反応について得られた結果、例えば、当該光学密度についての記録された値を、キャリブレーション曲線からひかれた値と比較することを提案する。このキャリブレーション曲線は、例えば、以下の手段によりトロンボモジュリンの機能的活性を測定することにより得られる;
・オウレン・コラーバッファーに希釈された標準血漿サンプル、例えば、内因性および外因性の凝固経路における公知の凝固因子を通常の統計学的量を含む、正常と呼ばれる血漿。それは、次に、トロンボモジュリン活性のために得られる個々の値の平均値を決定するために、正常血漿サンプルから、またはプールされた正常サンプルから、または個々に試験されるサンプルから得られてもよい。当該凝固因子のための統計学的な正常値は、当業者に公知のマニュアルにある範囲に位置する。例として、正常血漿は、フィブリノーゲン試験、活性化ケファリン時間(cephalin time activated (CTA))、トロンビン時間(TT)、PCおよびV因子において正常であると評価される結果を与える血漿であると考えられる。この点において、参考は、文献「臨床検査室における参考区間をどのように定義および決定するか:承認ガイドライン」(“How to define and determine reference intervals in the clinical laboratory : Approved Guidelines - Second Edition. NCCLS document C28-A2 (ISBN 1-56238-406-6) NCCLS-USA 2000”)に定義される標準に求められてもよい。または
・精製されたTMの増大量に対して加えられるトロンボモジュリンの枯渇した血漿。それは、それ自身公知の方法何れかの方法を使用して、例えば、精製されたTMの添加の前にTMの枯渇を実施するために抗トロンボモジュリン抗体を使用する免疫吸着により、得られてよい。
【0081】
またそれは、正常血漿のプールまたはTMの増大量を添加するTMが欠乏された血漿から、正常な血漿の希釈範囲を形成することも可能である。
【0082】
キャリブレーション曲線を確立するための当該血漿サンプルに対して添加されるトロンボモジュリンは、完全なものであっても、または可能性であってもよい。
【0083】
またそれは、切断型および可溶性の組み換えトロンボモジュリン分子、例えば、バーレックス・バイオサイエンス(Berlex Biosciences, San Francisco, USA)により市販されるソルーリン(Solulin(登録商標))などが関係してもよい。この分子は、内部コントロールを作る、またはキャリブレーション曲線を作るための標準として使用されてもよい。
【0084】
TM活性測定試験の対象とされ得る患者の特徴に依存して、当該コントロール値を得るために使用される血漿サンプルの選択が調節されてもよい。
【0085】
従って、コントロールとして選択される当該サンプルは、年齢、性別、肥満度指数、適切であれば、タバコの量またはアルコール消費量を考慮した試験患者の特徴に近い特徴を有する個体から有利に得られるであろう。
【0086】
また本発明は、血漿媒体における血漿トロンボモジュリンの活性を測定するためのキットであって、以下を具備するキットに関する;
・フィブリン重合化阻害剤を含み、且つカルシウムイオンと、適切であればヘパリン阻害剤を含むバッファーに希釈されたトロンビンを含む試薬1;
・精製されたプロテインC;または代替的にTAFI(トロンビン活性化可能な線溶阻害剤)を含む試薬2;
活性化プロテインCのための酵素学的基質またはTAFIのための特異的な基質を含む試薬3。
【0087】
TAFIa(活性化されたTAFI)を測定することからなるTAFI活性の試験は、例えば、特許WO03/004516に記載され、これは、アラゾホルミル化合物に由来するTAFIaの色素産生性基質を使用する。
【0088】
本発明の特定の実施に従うと、当該キットは、試薬1が、以下の化合物:NaCl (0.15 mmol/L)、Tris (20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml)を基本的に含み、ヘパリンまたは他の抗凝固剤で治療された患者からの血漿サンプルのためのヘパリン阻害剤または前記抗凝固剤の阻害剤、例えば、ポリブレン(10 g/l)およびフィブリン重合化阻害剤を含むことを特徴とする。
【0089】
本発明の特定の実施に従うと、当該フィブリン重合化阻害剤は、1〜15g/Lの濃度で使用されるGPRP.AcOHである。当該濃度は、試験血漿の希釈の程度の関数(function)として決定される。例として、当該血漿が三分の一で希釈される場合、10g/LのGPRP.AcOHが使用される。この阻害剤の使用のための性質および条件は上述した。
【0090】
本発明はまた、上述において限定した通りのキットであって、当該フィブリン重合化阻害剤が抗フィブリノーゲン抗体であるキットに関する。
【0091】
特定の実施において、当該キットは更に本出願に記載された通りに定義される内部コントロールを含む。
【0092】
特定の実施において、当該キットは、トロンボモジュリンの機能的活性のためのキャリブレーション曲線またはそのような曲線をつくるための手段も含む。
【0093】
本発明はまた、凝固例外をインビトロにおいて検出するための方法であって、本出願に記載される通りの血漿媒体におけるトロンボモジュリンの機能的活性を測定することを具備する。それは、トロンボモジュリンの機能的活性のレベルの増加または当該レベルの減少を検出することに関してもよい。
【0094】
成人の対象において、トロンボモジュリンにおける異常な変異(増加または減少)は、血栓症または内皮細胞障害のリスクのマーカーである。
【0095】
この方法の特定の実施に従うと、血漿媒体において測定される当該トロンボモジュリンの機能的活性は、標準血漿を使用して測定されるこの活性のための値と比較される。
【0096】
本発明の特定の実施に従うと、得られた当該値は、標準または正常値と称され、標準血漿サンプルのプールにおけるトロンボモジュリンの機能的活性を試験した後に得られる。
【0097】
本発明の特定の実施に従うと、前記標準値は、個々に試験される正常血漿サンプル(標準)を使用して測定されるトロンボモジュリンの機能的活性の値から確立される。
【0098】
本出願において記載された手段、方法およびキットは、恐らく臨床的病徴と関連するトロンボモジュリンレベルの増加を検出するために使用することが可能である。従って、トロンボモジュリンレベルの増加は、血管内凝固症候群 (DIVC), 糖尿病、慢性骨髄性白血病、肝および腎不全、子癇全症、血小板減少性血栓性紫斑病、リケッチア症、ベーチェット病、ホモシスチン尿症または流産の病徴に関連し得る。
【0099】
本発明のもう一つの実施に従うと、当該手段、方法およびキットは、恐らく臨床的病徴と関連するトロンボモジュリンレゲルの減少を検出するために使用することが可能である。これらの病徴は、肺動脈高血圧 またはメラノーマ または他の疾病の病徴であってよい。
【0100】
本発明のもう一つの実施に従うと、記載された当該手段、方法およびキットは、トロンボモジュリンの遺伝子における変異に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少の検出のために使用される。
【0101】
本発明の他の特徴および利点は、病理学的状態に関連する当該トロンボモジュリンレベルの変動を特に説明する以下の例および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】トロンボモジュリンの組織的構造の図:EGF = 上皮細胞成長因子 (EGF様)。トロンボモジュリンの配列は、ウェイラーおよびイサーマンによる文献に記載されている(Weiler H and Isermann B H in 2003 (Journal of Thrombosis and Haemostasis, vol 1, pages 1515 - 1524)。
【図2】トロンボモジュリン活性化の図: PC プロテインC;PCa 活性化されたプロテインC; Th トロンビン;ATIII-Th 抗トロンビンIII-トロンビン複合体;EPCR-PC 内皮細胞プロテインC受容体−プロテインC;TAFI トロンビン活性可能線溶阻害剤;TAFIa 活性化TAFI; TM トロンボモジュリン;V V因子;Va 活性化V因子。
【図3】試験特異性を示す曲線(Def TM TMの欠乏)。
【図4】病理学的血漿および正常血漿の検出。
【図5】その濃度の関数としてのトロンボモジュリン活性の測定のためのキャリブレーション曲線(DDO)。
【図6】サンプルにおけるプロテインCの量を関数としてのトロンボモジュリン活性の感受性の測定。
【図7】サンプルにおけるII因子の感受性。
【図8】サンプルにおけるTAFIの量の感受性。
【図9】安定性の評価。
【図10】正常妊娠または合併症に罹患した妊娠の女性からの血漿サンプルについてのリン脂質およびTMaの濃度の測定。
【図11】心筋梗塞(MI)に関連するトロンボモジュリンの活性。
【図12】同種移植を受けた患者からのトロンボモジュリンの変化。当該TMa活性は、状態が合併症を伴う状態に変化した患者からのサンプルと状態が良好に変化した患者からのサンプルにおいて試験した。
【0103】
これらの結果を生じる状態は例において記載する。
【実施例】
【0104】
例
1.試験方法
当該トロンボモジュリンの機能的活性を以下の通り1/3に希釈した70μLの血漿サンプルについて試験した。
【0105】
A)反応媒体に供給されるべき試薬
・以下により構成されたトロンビンバッファー中で40 μlの10 NIH トロンビン (即ち、媒体中で1.6 NIH最終濃度):
0.15 mmol/L NaCl
20 mmol/L Tris
2.5 mmol/L CaCl2
5 mg/ml BSA
10 g/l GPRP.AcOH (フィブリン重合化阻害剤)
2 ml/l polybrene, 10 g/l。
【0106】
・30 μl の精製されたプロテインC、100μg/ml、蒸留水1mLに採取。
【0107】
・110μl のPCaのための合成基質(ダイアグノスティカ・スタゴからのCBS 42.46 、2.5μM/ml) 、6 mlの蒸留水/ヒルジンに採取、20 ATU) (即ち、媒体中の最終濃度が1.10μM/ml)。
【0108】
B)プロテインCの活性とPCa試験
当該血漿サンプルを、トロンビンバッファー中でトロンビンと接触させ、37℃でプロテインCと、約600秒間インキュベートし、当該プロテインCを活性化した。
【0109】
得られた媒体を、合成基質と接触させた。
【0110】
当該PCaのアミド分解活性を次に37℃で、6〜500秒の読み取り窓で405nmで光学密度を読み取った。
【0111】
C)測定の特異性の確認
当該PCa活性のための光学密度の測定の特異性を、正常血漿のプールで得た活性と、精製されたTMが添加されたTM欠乏血漿で得た活性とを比較することにより確かめた(例えば、アメリカン・ダイアグノスティカ(American Diagnostica)またはヘマトロジック・テクノロジーズ・Inc,(Haematologic Technologies Inc)から得た)。結果は図3に示し、当該試験の特異性を確認される。
【0112】
D)反復精度の確認
反復精度の測定を実施し、その結果を表1〜3に示す。
【0113】
E)PCaの活性のための値
43例の正常血漿を、本発明の方法を使用してトロンボモジュリン活性のために試験した。その光学密度を測定し、対応するTM活性パーセンテージを表4に示す。これらの測定は、トロンボモジュリンの機能的活性のための正常値のインディケータであると考えられる。
【表4】
【0114】
100%のTM機能的活性は、TMの量として任意に定義されるべきであると考え、それは結果として、トロンビンおよびPCの濃度が2.5mmol/LのCa2+イオンの存在下でそれぞれ10NIHおよび100μg/mLであるときに、0.03μmol/LのPCaの形成を招く。
【0115】
更に、確認された病理に罹患する患者から得た生物学的サンプルから得られた血漿もまた、本発明の方法を使用して当該TM機能的活性について試験した。当該測定は、上述した合成基質を用いた色素生産性試験を使用するSTA−R分析(Diagnostica Stago, France)において実施した。内部および相互試験Cts値はそれぞれ< 4%および< 5%であった。
【0116】
当該試験の反応は、0〜200%の間で直線であった。TM活性のパーセンテージとしての結果は以下の通りであった:糖尿病 (n = 15);130% ± 28:癌(n = 10);155±60:敗血症 (n = 12);173%±56:多数の外傷 (n = 20);185% ±62。
【0117】
これらの結果は表4に示す。
【0118】
II.キャリブレーション曲線の準備の例
トロンボモジュリンの機能的活性を与えるキャリブレーション曲線を作成するために、以下を使用した:
・オウレン・コラーバッファーまたはトロンボモジュリン欠乏物の何れかへの正常血漿のプールを希釈すること;
・またはトロンボモジュリン欠乏血漿への精製されたトロンボモジュリンを過剰負荷すること;
・または、100%レベルのトロンボモジュリン活性を、2.5mmol/LのCa2+の存在下で、トロンビンの濃度が10NIHであり、且つPCの濃度が100μg/mLである場合、0.03μmL/LのPCaの形成に帰着するトロンボモジュリンレベルであることを任意に定義すること。
【0119】
各血漿の希釈は当該構成において1/3で試験した。
【0120】
当該トロンボモジュリンの200%、150%、100%、50%、25%、12.5%および0%の活性に対応して当該血漿プールに対して添加されたTMの濃度を上記の規則を使用して決定した。
【0121】
当該トロンボモジュリンの活性を、PCaの合成基質であるCBS 42.46において決定した。当該PCaのアミド分解活性を、パラ−ニトロアニリンの遊離(黄色)により405nmの波長で測定した。
【0122】
トロンボモジュリン活性の各値(パーセンテージとして)に対応する光学密度を、読み取り窓6〜500、405nmの波長で決定した。
【0123】
キャリブレーション曲線を図5に示す。
【0124】
III.種々の血漿凝固タンパク質に対する、または凝固を防止する試薬に対する試験の感受性の評価
A)ヘパリンに対する感受性
当該感受性は、上述の試験条件下で試験される血漿に対してカルシパリン(calciparine(登録商標))の増加される濃度を添加することにより決定した。
【0125】
カルシパリンの影響を以下の表6に記載するが、それはTMの機能的活性において殆ど影響を示さなかった。
【表6】
【0126】
B)血漿サンプルに含まれるプロテインCのレベルに対する感受性
予め決定された可変性の濃度のプロテインCを含む血漿を上述の方法を使用して試験した。
【0127】
それは以下の通りである:
・プロテインC (カラム 0)の欠乏した血漿;
・程度を変更するためにプロテインCを欠乏させたプールからの血漿 (カラム12.5〜50);
・正常プール(GK (Georges King) プール)からの血漿 (カラム100)。
【0128】
結果(表7および表6)は、当該サンプル中のPCのレベルがTMの機能的活性の値において殆ど影響しないことを示す。
【表7】
【0129】
C)血漿サンプルに含まれるII因子のレベルの感受性
予め決定されたの可変性の濃度のII因子を含む血漿を上述の方法を使用して試験した。
【0130】
これは以下の通りであった:
・II因子が欠乏した血漿(カラム 0);
・程度を変更するためにII因子を欠乏させたプールからの血漿(カラム25〜87.5);
・正常プール(GK プール)からの血漿(カラム 100)。
【0131】
結果(表8および表7)は、当該サンプルのFIIのレベルはTMの機能的活性の値において殆ど影響しないことを示す。
【表8】
【0132】
D)血漿サンプルに含まれるTAFIのレベルに対する感受性
予め決定された可変性の濃度のTAFIを含む血漿を上述の方法を使用して試験した。
【0133】
これは以下の通りであった:
・TAFIが欠乏した血漿;
・程度を変更するためにTAFIを欠乏させたプールからの血漿;
・正常プール(GK プール)からの血漿。
【0134】
結果(表9および表8)は、当該サンプルのTAFIレベルはTMの機能的活性の値において殆ど影響しないことを示す。
【表9】
【0135】
E)安定性の評価
TMの機能的活性の試験は、当該反応の安定性を確立するために間隔をおいた後に、再現した。当該試験は4hの間隔で、同じサンプルにおいて実施され、正確な安定性を有することが示された(表10および図9)。
【表10】
【0136】
PIN 725−17は、マンチェスター(Manchester)により供給された正常血漿、およびバッチPIN 725−17に一致する正常血漿であった。
【0137】
F)読み取り窓
当該光学密度のための読み取り窓は、6〜500秒の窓において、次に、6〜200秒の窓において記録するために調節された。
【0138】
種々の血漿サンプルについて得られた結果は、実質的に等価性があった(表11)。
【0139】
IV.トロンボモジュリン活性の増加と妊婦における胎児の早期喪失との間の相関
早期の胎児喪失は重大な臨床の問題であり、これは必ずしも十分に説明または検出することが出来るとは限らない。解剖学的原因、染色体の原因またはホルモン性の原因とは別に、抗リン脂質症候群(anti-phospholipid syndrome、ATP)が現在まで診断できる唯一の共通の原因である。流産を説明するために提案された機序のうちの1つは、子宮胎盤血栓症による低酸素症である。トロンボモジュリンの活性は、この血栓症における重要なマーカーであるかもしれない。トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する能力を基礎にしたトロンボモジュリン活性についての発明に従う試験は、早期流産を経験した患者におけるコントロール試験において実行された。血栓症の病歴を持たず、(APSに関連しない)早期流産の経験のある患者(N=35)における妊娠の最初の3ヶ月間に亘って採取した血液サンプルから得た結果を、正常に妊娠した同様の年齢群の女性における妊娠の最初の3ヶ月間に得たサンプルから得た結果(N=37)と、妊娠してない正常な患者の同様な年齢群の女性から得たサンプルから得た結果(N=32)を比較した。血液サンプルを、流産直後の患者群から採取した。全ての血液サンプル(クエン酸の109MN中で1:10)を2回攪拌し、その血漿を−80℃にaPTTについての試験およびトロンボモジュリン活性についての試験(Diagnostica Stago, France)まで凍結した。aPTT時間における変更は観察されなかった。トロンボモジュリン活性の平均値は、コントロールについて106±12%であり、これに対して正常妊娠では120±10%、および流産では158±14% (pは0.001未満)であった。追加の試験がこの試験の能力および特異性を決定するためには要求されるが、このパラメーターの決定は、流産の危険のある女性の検出を補助する上で有用な手段であると分かるであろう。当該トロンボモジュリンの活性は、危険に瀕している女性において、より重篤な臨床的症状を防ぐことを意図する医薬の介入を可能にする、妊娠中の高血圧性の合併症を早期に予測する有利なマーカーであるように思われる。
【表11】
【0140】
V.妊娠中のトロンボモジュリンの活性と合併症の間の相関
妊娠中の合併症は、NK(ナチュラルキラー)細胞の活動性と子宮胎盤血栓症を含む。
【0141】
凝固原リン脂質(PPL)は、血管障害の場合において、NK活性の役割を調節し、且つTMaを増加し得る。
【0142】
これらの試験が、妊娠中の合併症を経験に感受性のある女性を検出するための予測的なマーカーであるから、Xa(XaCT−Xa凝固時間)に基づく凝固試験を使用するPPLの濃度の測定およびTMa活性の測定は興味深いかもしれない。血栓症の病歴を持たず、(APSに関連しない)妊娠期間における合併症に遭遇した女性(35)、同年齢群の正常に妊娠している女性(37)、および妊娠が確認されていないおよび妊娠してない女性(32)からの血液サンプルを試験した。
【0143】
当該サンプルは、処理されて、血漿を採取し、これは当該試験まで−80℃で保存された。
【0144】
当該PPLはXaCT試験で測定された。短縮された凝固時間がPPL濃度の上昇を反映した。当該TMa活性を、(上述した通りの)プロテインCの活性化を促進する能力を基礎にした色素生産性試験において測定した。
【0145】
3種類のサンプルにおいて得られた結果の比較(図10)は次のことを示した:
1)XaCT試験について:
35.2±11.8s、50.6±8.6sおよび55±9.2sはそれぞれ、合併症を伴う妊娠した患者、通常妊娠の患者、およびコントロールの患者(p<0.001)についての平均値;
2)TMa活性試験について:
169%±24、119%±16および106%±16はそれぞれ、合併症を伴う妊娠した患者、通常妊娠の患者およびコントロールの患者 (p<0.05)についての平均値。
【0146】
従って、XaCT試験およびTMaの両方が、妊娠中の合併症の危険に瀕している女性を検出する際の予測的なマーカーとして興味深いと思われる。
【0147】
VI.トロンボモジュリン活性の増加と心筋梗塞の間の相関
トロンボモジュリン活性は、正常血漿のプールと、心筋梗塞(MI)に罹患している生存する患者から採取した血漿サンプル、MIに続き死亡した患者から採取した血液サンプルからの血漿サンプルについて測定した。
【0148】
当該測定は、上記のポイントIで記載された通りの条件下で実行された。
【0149】
結果は、MIの場合においてトロンボモジュリン活性の実質的な上昇を示す。
【表12】
【0150】
VII.
トロンボモジュリン活性と骨髄同種移植の間の相関
トロンボモジュリン活性を、骨髄同種移植を受けた患者(小児)から採取された血漿サンプルについて測定した。
【0151】
移植に続きサンプルが採取された時期に依存して、移植後のTM活性は変動した。当該移植が合併症を伴うか、それに対して良好に発生したか否かに依存してTM活性における変化において相違が観察された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロンボモジュリンの機能的な活性のインビトロでの測定方法であって、生物学的サンプルからの生物学的媒体において、コファクター、前記トロンボモジュリンの存在下でトロンビンによるプロテインCの活性プロテインC(PCa)への活性化を試験することを具備し、血漿サンプルに対して、プロテインC系の活性化に必要な薬剤を添加すること、精製されたプロテインCを添加すること、および更にフィブリン重合化阻害剤を添加することを具備する方法。
【請求項2】
請求項1に記載のインビトロでトロンボモジュリンの機能的活性化を測定する方法であって、当該試験されるトロンボモジュリンが血漿のトロンボモジュリンであり、前記生物学的サンプルが血漿サンプルであり、当該試験が血漿性の媒体中で実行される方法。
【請求項3】
請求項1または2の方法であって、当該プロテインC系の活性化のために、トロンビンおよびカルシウムイオンを添加する方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の方法であって、当該活性化されたプロテインCの活性が酵素の基質を使用して決定する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、当該活性化されたプロテインCのアミド分解活性が、PCaのための色素生産性または蛍光定量的な基質を用いて試験される方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、合成基質CBS42.26によるパラニトロアニリンの遊離が試験される方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法であって、PCa、例えば、Va因子、VIIIa因子またはTAFIaに依存する阻害を試験する方法。
【請求項8】
請求項2〜7の何れか1項に記載の方法であって、以下の工程を具備する方法;
a)特にカルシウムイオンを含むプロテインC系を活性化でき、更にフィブリン重合化阻害剤を含む媒体に含まれるトロンビンを含む試薬1と、血漿サンプルを接触させることと;
b)そのコファクター、即ち、当該血漿サンプルに含まれるトロンボモジュリンに対して複合されたトロンビンによりPCaに活性化するために十分な期間に亘って、精製されたプロテインCを含む試薬2と、工程a)で構成された当該媒体をインキュベートすることと;
c)当該活性化されたプロテインCを含む工程b)で構成された当該媒体を、PCaのための酵素学的基質と接触させることと;
d)当該PCaのための基質の変換を検出すること。
【請求項9】
請求項2〜8の何れか1項に記載の方法であって、当該血漿サンプルが希釈される、例えば、1/3に希釈される方法。
【請求項10】
請求項1〜8の何れか1項に記載の方法であって、当該フィブリン重合化阻害剤がポリペプチド阻害剤、例えば、H−GlyProArgPro−OH.AcOH(GPRP.AcOH)である方法。
【請求項11】
請求項1〜9の何れか1項に記載の方法であって、当該フィブリン重合化阻害剤が抗フィブリノーゲン抗体である方法。
【請求項12】
請求項8〜11の何れか1項に記載の方法であって、当該血漿サンプルが、ヘパリン、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリブレン(10 g/l)で治療された患者のものであることを特徴とする場合、当該トロンビンバッファーが本質的に以下を含む方法;
NaCl (0.15 mmol/L)、 Tris (20 mmol/L)、 CaCl2 (2.5 mmol/L)、 BSA (5 mg/ml)。
【請求項13】
請求項10または12の何れか1項に記載の方法であって、当該フィブリン重合化阻害剤、GPRP.AcOHが、当該血漿サンプルの希釈に依存して1〜15g/Lの濃度で添加される方法。
【請求項14】
請求項8〜13の何れか1項に記載の方法であって、活性化されたプロテインCのための当該酵素学的基質がオリゴペプチドTHC−Pro−Arg−pNaである方法。
【請求項15】
請求項4〜14の何れか1項に記載の方法であって、当該PCaのための酵素学的基質の変換の定量的な測定が光学密度の記録により実施される方法。
【請求項16】
請求項8〜15の何れか1項に記載の方法であって、当該反応において使用される構成物が、以下の条件下で使用される方法;
・ 工程a)のために、1/3に希釈された血漿サンプルの70μLを、並びに、当該血漿サンプルがヘパリンで治療された患者に由来する場合、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリブレン(10g/L)とフィブリン重合化阻害剤、例えば、GPRP.AcOH(10g/L)の存在下で、NaCl (0.15 mmol/L)、Tris (20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml)を含むバッファーに希釈された40μLの10 NIHのトロンビンと接触させる;
・工程b)のために、30μLの精製されたプロテインCが、600秒の間、工程a)で構成された媒体とインキュベートされる;
・工程c)のために、活性化されたプロテインCのための酵素学的基質の110μL、変換された酵素学的基質の量が、405nmの波長で、6〜500秒の期間の光学密度を記録することにより決定される。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか1項に記載の方法であって、内部コントロールの試験を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか1項に記載の方法であって、当該光学密度について得られた値が、キャリブレーション曲線と比較される方法。
【請求項19】
請求項8〜18の何れか1項に記載の方法であって、当該試験血漿が抗凝固剤、前記抗凝固剤の阻害剤で治療された患者のものであることを特徴とする場合、当該試薬が、フィブリン重合化阻害剤を添加されたトロンボモジュリン欠乏性血漿に含まれるトロンビンである方法。
【請求項20】
生物学的媒体、特に血漿媒体、においてトロンボモジュリンを機能的に側的するためのキットであって、以下を含むキット;
・フィブリン重合化阻害剤を含むバッファーにおいて希釈されたトロンビンを含み、且つカルシウムイオンを含む試薬1;
・精製されたプロテインCを含む試薬2;
・適切であれば、活性化されたプロテインCのための酵素学的基質を含む試薬3。
【請求項21】
請求項20に記載のキットであって、当該血漿サンプルが、当該試薬1が、本質的に以下の化合物を含むキット;NaCl (0.15 mmol/L)、Tris (20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml);および
ヘパリンで治療された患者に由来する場合、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリブレン(10g/L)およびフィブリン重合化阻害剤。
【請求項22】
請求項20または請求項20の何れか1項に記載のキットであって、当該フィブリン重合化阻害剤が、1〜15g/lの濃度で使用されるGPRP.AcOHであるキット。
【請求項23】
生物学的媒体、特に血漿媒体、においてトロンボモジュリン活性を機能的に測定するためのキットであって、以下を含むキット;
・フィブリン重合化阻害剤を含むバッファーに希釈されたトロンビンを含み、且つカルシウムを含む試薬1;
・TAFIを含む試薬2;および適切であれば、
・TAFIの基質を含む試薬3。
【請求項24】
請求項20〜24の何れか1項に記載のキットであって、更に内部コントロールを含むキット。
【請求項25】
請求項19〜23の何れか1項に記載のキットであって、トロンボモジュリンの機能的活性のためのキャリブレーション曲線を含むキット。
【請求項26】
凝固以上のインビトロ検出のための方法であって、請求項2〜20の何れか1項に記載の血漿トロンボモジュリンの機能的活性を測定することを具備する方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法であって、トロンボモジュリンについて測定された機能的活性のレベルと前記活性についての正常値を比較することを具備する方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、当該正常値が、正常血漿サンプルのプールについてトロンボモジュリンの機能的活性を試験した後に得られる正常値である方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、当該正常値が、個々に試験された正常血漿サンプルで測定されたトロンボモジュリンの機能的活性の値から確立される方法。
【請求項30】
請求項1〜19または26〜29の何れか1項に記載の方法であって、血管内凝固症候群(DIVC)、糖尿病、慢性骨髄性白血病、肝および腎不全、子癇前症、血小板減少性血栓性紫斑病、リケッチア症、ベーチェット病、ホモシスチン尿症および流産の症状に関連するトロンボモジュリンのレベルの増加を検出するための方法。
【請求項31】
請求項1〜19または26〜29に記載の何れか1項に記載の方法であって、肺動脈高血圧症またはメラノーマの症状に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少を検出するための方法。
【請求項32】
請求項1〜19または26〜29の何れか1項に記載の方法であって、トロンボモジュリンの遺伝子における変異に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少を検出するための方法。
【請求項33】
請求項20〜25の何れか1項に記載のキットであって、血管内凝固症候群 (DIVC), 糖尿病, 慢性骨髄性白血病, 肝および腎不全, 子癇全症, 血小板減少性血栓性紫斑病, リケッチア症, ベーチェット病, ホモシスチン尿症, および 流産の症状に関連するトロンボモジュリンレベルの増加を検出するためのキット。
【請求項34】
請求項20〜25の何れか1項に記載のキットであって、肺動脈高血圧またはメラノーマの症状に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少を検出するためのキット。
【請求項35】
請求項20〜25の何れか1項に記載のキットであって、トロンボモジュリンの遺伝子の変異に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少を検出するためのキット。
【請求項1】
トロンボモジュリンの機能的な活性のインビトロでの測定方法であって、生物学的サンプルからの生物学的媒体において、コファクター、前記トロンボモジュリンの存在下でトロンビンによるプロテインCの活性プロテインC(PCa)への活性化を試験することを具備し、血漿サンプルに対して、プロテインC系の活性化に必要な薬剤を添加すること、精製されたプロテインCを添加すること、および更にフィブリン重合化阻害剤を添加することを具備する方法。
【請求項2】
請求項1に記載のインビトロでトロンボモジュリンの機能的活性化を測定する方法であって、当該試験されるトロンボモジュリンが血漿のトロンボモジュリンであり、前記生物学的サンプルが血漿サンプルであり、当該試験が血漿性の媒体中で実行される方法。
【請求項3】
請求項1または2の方法であって、当該プロテインC系の活性化のために、トロンビンおよびカルシウムイオンを添加する方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の方法であって、当該活性化されたプロテインCの活性が酵素の基質を使用して決定する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、当該活性化されたプロテインCのアミド分解活性が、PCaのための色素生産性または蛍光定量的な基質を用いて試験される方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、合成基質CBS42.26によるパラニトロアニリンの遊離が試験される方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法であって、PCa、例えば、Va因子、VIIIa因子またはTAFIaに依存する阻害を試験する方法。
【請求項8】
請求項2〜7の何れか1項に記載の方法であって、以下の工程を具備する方法;
a)特にカルシウムイオンを含むプロテインC系を活性化でき、更にフィブリン重合化阻害剤を含む媒体に含まれるトロンビンを含む試薬1と、血漿サンプルを接触させることと;
b)そのコファクター、即ち、当該血漿サンプルに含まれるトロンボモジュリンに対して複合されたトロンビンによりPCaに活性化するために十分な期間に亘って、精製されたプロテインCを含む試薬2と、工程a)で構成された当該媒体をインキュベートすることと;
c)当該活性化されたプロテインCを含む工程b)で構成された当該媒体を、PCaのための酵素学的基質と接触させることと;
d)当該PCaのための基質の変換を検出すること。
【請求項9】
請求項2〜8の何れか1項に記載の方法であって、当該血漿サンプルが希釈される、例えば、1/3に希釈される方法。
【請求項10】
請求項1〜8の何れか1項に記載の方法であって、当該フィブリン重合化阻害剤がポリペプチド阻害剤、例えば、H−GlyProArgPro−OH.AcOH(GPRP.AcOH)である方法。
【請求項11】
請求項1〜9の何れか1項に記載の方法であって、当該フィブリン重合化阻害剤が抗フィブリノーゲン抗体である方法。
【請求項12】
請求項8〜11の何れか1項に記載の方法であって、当該血漿サンプルが、ヘパリン、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリブレン(10 g/l)で治療された患者のものであることを特徴とする場合、当該トロンビンバッファーが本質的に以下を含む方法;
NaCl (0.15 mmol/L)、 Tris (20 mmol/L)、 CaCl2 (2.5 mmol/L)、 BSA (5 mg/ml)。
【請求項13】
請求項10または12の何れか1項に記載の方法であって、当該フィブリン重合化阻害剤、GPRP.AcOHが、当該血漿サンプルの希釈に依存して1〜15g/Lの濃度で添加される方法。
【請求項14】
請求項8〜13の何れか1項に記載の方法であって、活性化されたプロテインCのための当該酵素学的基質がオリゴペプチドTHC−Pro−Arg−pNaである方法。
【請求項15】
請求項4〜14の何れか1項に記載の方法であって、当該PCaのための酵素学的基質の変換の定量的な測定が光学密度の記録により実施される方法。
【請求項16】
請求項8〜15の何れか1項に記載の方法であって、当該反応において使用される構成物が、以下の条件下で使用される方法;
・ 工程a)のために、1/3に希釈された血漿サンプルの70μLを、並びに、当該血漿サンプルがヘパリンで治療された患者に由来する場合、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリブレン(10g/L)とフィブリン重合化阻害剤、例えば、GPRP.AcOH(10g/L)の存在下で、NaCl (0.15 mmol/L)、Tris (20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml)を含むバッファーに希釈された40μLの10 NIHのトロンビンと接触させる;
・工程b)のために、30μLの精製されたプロテインCが、600秒の間、工程a)で構成された媒体とインキュベートされる;
・工程c)のために、活性化されたプロテインCのための酵素学的基質の110μL、変換された酵素学的基質の量が、405nmの波長で、6〜500秒の期間の光学密度を記録することにより決定される。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか1項に記載の方法であって、内部コントロールの試験を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか1項に記載の方法であって、当該光学密度について得られた値が、キャリブレーション曲線と比較される方法。
【請求項19】
請求項8〜18の何れか1項に記載の方法であって、当該試験血漿が抗凝固剤、前記抗凝固剤の阻害剤で治療された患者のものであることを特徴とする場合、当該試薬が、フィブリン重合化阻害剤を添加されたトロンボモジュリン欠乏性血漿に含まれるトロンビンである方法。
【請求項20】
生物学的媒体、特に血漿媒体、においてトロンボモジュリンを機能的に側的するためのキットであって、以下を含むキット;
・フィブリン重合化阻害剤を含むバッファーにおいて希釈されたトロンビンを含み、且つカルシウムイオンを含む試薬1;
・精製されたプロテインCを含む試薬2;
・適切であれば、活性化されたプロテインCのための酵素学的基質を含む試薬3。
【請求項21】
請求項20に記載のキットであって、当該血漿サンプルが、当該試薬1が、本質的に以下の化合物を含むキット;NaCl (0.15 mmol/L)、Tris (20 mmol/L)、CaCl2 (2.5 mmol/L)、BSA (5 mg/ml);および
ヘパリンで治療された患者に由来する場合、ヘパリン阻害剤、例えば、ポリブレン(10g/L)およびフィブリン重合化阻害剤。
【請求項22】
請求項20または請求項20の何れか1項に記載のキットであって、当該フィブリン重合化阻害剤が、1〜15g/lの濃度で使用されるGPRP.AcOHであるキット。
【請求項23】
生物学的媒体、特に血漿媒体、においてトロンボモジュリン活性を機能的に測定するためのキットであって、以下を含むキット;
・フィブリン重合化阻害剤を含むバッファーに希釈されたトロンビンを含み、且つカルシウムを含む試薬1;
・TAFIを含む試薬2;および適切であれば、
・TAFIの基質を含む試薬3。
【請求項24】
請求項20〜24の何れか1項に記載のキットであって、更に内部コントロールを含むキット。
【請求項25】
請求項19〜23の何れか1項に記載のキットであって、トロンボモジュリンの機能的活性のためのキャリブレーション曲線を含むキット。
【請求項26】
凝固以上のインビトロ検出のための方法であって、請求項2〜20の何れか1項に記載の血漿トロンボモジュリンの機能的活性を測定することを具備する方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法であって、トロンボモジュリンについて測定された機能的活性のレベルと前記活性についての正常値を比較することを具備する方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、当該正常値が、正常血漿サンプルのプールについてトロンボモジュリンの機能的活性を試験した後に得られる正常値である方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、当該正常値が、個々に試験された正常血漿サンプルで測定されたトロンボモジュリンの機能的活性の値から確立される方法。
【請求項30】
請求項1〜19または26〜29の何れか1項に記載の方法であって、血管内凝固症候群(DIVC)、糖尿病、慢性骨髄性白血病、肝および腎不全、子癇前症、血小板減少性血栓性紫斑病、リケッチア症、ベーチェット病、ホモシスチン尿症および流産の症状に関連するトロンボモジュリンのレベルの増加を検出するための方法。
【請求項31】
請求項1〜19または26〜29に記載の何れか1項に記載の方法であって、肺動脈高血圧症またはメラノーマの症状に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少を検出するための方法。
【請求項32】
請求項1〜19または26〜29の何れか1項に記載の方法であって、トロンボモジュリンの遺伝子における変異に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少を検出するための方法。
【請求項33】
請求項20〜25の何れか1項に記載のキットであって、血管内凝固症候群 (DIVC), 糖尿病, 慢性骨髄性白血病, 肝および腎不全, 子癇全症, 血小板減少性血栓性紫斑病, リケッチア症, ベーチェット病, ホモシスチン尿症, および 流産の症状に関連するトロンボモジュリンレベルの増加を検出するためのキット。
【請求項34】
請求項20〜25の何れか1項に記載のキットであって、肺動脈高血圧またはメラノーマの症状に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少を検出するためのキット。
【請求項35】
請求項20〜25の何れか1項に記載のキットであって、トロンボモジュリンの遺伝子の変異に関連するトロンボモジュリンのレベルの減少を検出するためのキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−510793(P2010−510793A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538743(P2009−538743)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001955
【国際公開番号】WO2008/081094
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(502425628)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001955
【国際公開番号】WO2008/081094
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(502425628)
【Fターム(参考)】
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