表示装置の製造方法及び表示装置
【課題】長期に亘って均一な輝度特性を維持することができる表示装置の製造方法及び表示装置を提供する。
【解決手段】映像を表示する表示装置の製造方法であって、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを準備する第1工程と、前記表示領域を複数の分割領域に区分けする第2工程と、前記映像を表示するために前記表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する前記表示領域中の温度分布に対応して、前記分割領域ごとにエイジング条件を設定する第3工程と、前記エイジング条件の下、前記分割領域ごとに前記表示画素をエイジングする第4工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【解決手段】映像を表示する表示装置の製造方法であって、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを準備する第1工程と、前記表示領域を複数の分割領域に区分けする第2工程と、前記映像を表示するために前記表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する前記表示領域中の温度分布に対応して、前記分割領域ごとにエイジング条件を設定する第3工程と、前記エイジング条件の下、前記分割領域ごとに前記表示画素をエイジングする第4工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置の製造方法及び当該製造方法によって製造された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、一般的に、映像を表示するための表示パネルと、表示パネルを駆動する駆動回路基板と、これらを収容並びに保持する筐体と、を備える。駆動回路基板が表示パネルに近接して取り付けられるならば、表示パネル及び駆動回路基板は、筐体内にコンパクトに収容される。
【0003】
駆動回路基板が表示パネルを駆動している間、駆動回路基板は発熱する。駆動回路基板が表示パネルに近接して取り付けられるならば、駆動回路基板からの熱は、表示パネルに伝達されやすくなる。
【0004】
表示装置として、有機EL(エレクトロルミネセンス)ディスプレイが例示される。有機ELディスプレイは、有機EL発光素子を含む。有機EL発光素子の発光層は、熱によって、特に劣化しやすい。したがって、駆動回路基板からの熱による表示パネルの温度上昇下において、有機EL発光素子の輝度は、経時的に低下する。
【0005】
有機EL発光素子の輝度低下は、表示装置が製造された直後の初期発光時において特に顕著である。初期発光時の輝度低下の抑制のために、有機EL発光素子を予めエイジングするエイジング処理が知られている(例えば、特許文献1乃至3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−103068号公報
【特許文献2】特開平1−189889号公報
【特許文献3】特開昭62−143395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のエイジング処理の手法は、映像を表示するための発光素子の輝度低下をもたらす直接的な原因である熱をほとんど考慮していない。したがって、従来のエイジング処理の手法を用いても、表示装置は、長期に亘って均一な画質を維持することができない。
【0008】
本発明は、長期に亘って均一な画質を維持することができる表示装置の製造方法及び当該製造方法から得られた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る映像を表示する表示装置の製造方法は、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを準備する第1工程と、前記表示領域を複数の分割領域に区分けする第2工程と、前記映像を表示するために前記表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する前記表示領域中の温度分布に対応して、前記分割領域ごとにエイジング条件を設定する第3工程と、前記エイジング条件の下、前記分割領域ごとに前記表示画素をエイジングする第4工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の局面に係る表示装置は、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを備え、前記表示領域は、第1領域と、前記映像の表示のために前記表示パネルが駆動されている間、前記第1領域よりも高温となる第2領域と、を含み、前記複数の表示画素は、前記第1領域において前記映像を表示する第1表示画素と、前記第2領域において前記映像を表示する第2表示画素と、を含み、前記複数の表示画素に亘って所定電流が所定期間印加されたときの前記第1表示画素の輝度の降下率と、前記所定電流が前記所定期間印加されたときの前記第2表示画素の輝度の降下率と、の間の差異は、10%以内であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る表示装置は、表示領域中の温度分布に応じたエイジング処理を経て製造されるので、長期に亘って均一な画質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】映像を表示する表示装置の製造方法の概略的なフローチャートである。
【図2】図1に示される製造方法の組立工程において組み立てられる組立体の概略的な正面図である。
【図3】図2に示される組立体の概略的な側面図である。
【図4】図2に示される組立体の概略的な背面図である。
【図5】図2に示される組立体が有する表示領域中で生ずる温度分布を表す概略的な等温線図である。
【図6】図5に示される表示領域中に設定される分割領域の概略図である。
【図7】図5に示される表示領域に設定される他の分割領域の概略図である。
【図8】図1に示される製造方法のエイジング条件設定工程及びエイジング工程の手順を概略的に示すフローチャートである。
【図9】図7に示される分割領域を含む表示領域の概略図である。
【図10】図8に示されるエイジング条件設定工程において用いられるエイジング条件の概略的な表である。
【図11】図8に示されるエイジング処理に要する期間を表す概略的なチャートである。
【図12】図1に示される製造方法に従って製造された表示装置の概略的な斜視図である。
【図13A】図12に示される表示装置の輝度特性を概略的に表すグラフである。
【図13B】エイジング処理を受けない表示装置の輝度特性を概略的に表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、表示装置の製造方法及び当該製造方法に従って製造された表示装置が図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、表示装置の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、表示装置の原理はこれらに何ら限定されるものではない。
【0014】
(表示装置の製造方法)
図1は、映像を表示する表示装置の製造方法の概略的なフローチャートである。図1を用いて、表示装置の概略的な製造方法が説明される。
【0015】
(ステップS100)
表示装置の製造方法において、まず、組立工程(ステップS100)が実行される。組立工程において、映像が表示される表示領域を含む表示パネル及び表示パネルを駆動するための駆動回路基板が用意される。その後、駆動回路基板は、表示パネルに取り付けられる。本実施形態において、組立工程は、第1工程として例示される。表示パネルと駆動回路基板との組立体及び駆動回路基板による表示パネルの駆動下における表示パネルの温度分布は後述される。表示パネルに駆動回路基板が取り付けられた後、ステップS200が実行される。
【0016】
(ステップS200)
ステップS200において、表示領域を複数の分割領域に区分けする区分工程が実行される。本実施形態において、表示領域の複数の分割領域への区分は、駆動回路基板による表示パネルの駆動下における表示パネルの温度分布に基づく。表示領域の複数の分割領域への区分手法は後述される。表示領域が複数の分割領域に区分けされると、ステップS300が実行される。本実施形態において、区分工程は、第2工程として例示される。
【0017】
(ステップS300)
ステップS300において、分割領域ごとにエイジング条件が設定される(エイジング条件設定工程)。上述の如く、表示領域の複数の分割領域への区分は、駆動回路基板による表示パネルの駆動下における表示パネルの温度分布に基づく。したがって、分割領域ごとにエイジング条件が適切に設定されるならば、エイジング条件は、映像を表示するために表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する表示領域中の温度分布に対応することとなる。表示領域に設定された複数の分割領域それぞれに対してエイジング条件が設定されると、ステップS400が実行される。本実施形態において、エイジング条件設定工程は、第3工程として例示される。
【0018】
(ステップS400)
ステップS400において、エイジング条件設定工程において設定されたエイジング条件の下、分割領域毎にエイジング処理が実行される(エイジング工程)。分割領域毎のエイジング処理は、後述される。本実施形態において、エイジング工程は、第4工程として例示される。
【0019】
(組立工程によって組み立てられる組立体)
図2は、上述の組立工程において組み立てられる組立体300の概略的な正面図である。図3は、図2に示される組立体300の概略的な側面図である。図4は、図2に示される組立体300の概略的な背面図である。図2乃至図4を用いて、組立体300が説明される。
【0020】
上述の如く、組立体300は、表示パネル100と駆動回路基板200と、を備える。図2に示される如く、表示パネル100は、矩形状の表示領域110を規定するように行列状(マトリックス状)に配設された複数の表示画素111と、複数の表示画素111それぞれを支持するための基板120と、を含む。図3に示される如く、基板120は、表示領域110が形成される第1面121と、第1面121とは反対側の第2面122と、を含む。
【0021】
図3及び図4に示される如く、組立工程において、駆動回路基板200は、基板120の第2面122に取り付けられる。駆動回路基板200は、複数の表示画素111それぞれに電気的に接続され、複数の表示画素111それぞれを駆動する。本実施形態において、駆動回路基板200は、表示領域110に不均一な温度分布を生じさせる熱源として作用する。尚、表示装置は、映像を表示するために表示パネルに熱を発生し、表示領域に不均一な温度分布を生じさせる他の熱源を有してもよい。本実施形態において、駆動回路基板200は、駆動部として例示される。
【0022】
(表示領域中の温度分布)
図5は、表示領域110中で生ずる温度分布を表す概略的な等温線図である。図1、図4及び図5を用いて、表示領域110中で生ずる温度分布が説明される。
【0023】
図4に示される如く、本実施形態において、駆動回路基板200は、基板120の略中央(即ち、表示領域110の略中央に対応する第2面122)に取り付けられている。したがって、表示領域110が所定輝度(例えば、60cd/m2)で一様に発光されるならば、表示領域110の中央領域は、他の領域と比べて高温となる。尚、駆動回路基板が表示領域の下部領域の近くに取り付けられるならば、表示領域の下部領域が他の領域よりも高温となる。駆動回路基板が表示領域の上部領域の近くに取り付けられるならば、表示領域の上部領域が他の領域よりも高温となる。本実施形態において、表示領域110の中央領域は、第2領域として例示される。中央領域の周囲の領域は、第1領域として例示される。なお、駆動回路基板200は、第2面122に固定されなくともよい。
【0024】
図5に示される等温線図は、区分工程或いはエイジング条件設定工程において、基準として用いられる表示領域110中の温度分布に関する分布データとして例示される。分布データは、組立工程の前に予め取得されてもよい。上述のエイジング条件設定工程において、エイジング条件は、分布データに基づき設定される。
【0025】
分布データは、好適には、本実施形態の表示装置が製造される製造条件と共通する製造条件で製造された他の表示装置から取得される。例えば、分布データを取得するための他の表示装置が、本実施形態の表示装置の表示パネル100と駆動回路基板200との組立工程に用いられた組立ラインで組み立てられるならば、分布データは、表示パネル100と駆動回路基板200との間の取付誤差に起因する誤差をほとんど含まない。或いは、分布データを取得するための他の表示装置が、本実施形態の表示装置の駆動回路基板200と同一の製造ラインで製造された駆動回路基板を備えるならば、分布データは、駆動回路基板の発熱特性に起因する誤差をほとんど含まない。
【0026】
更に好ましくは、温度分布データを取得するために、共通する製造条件下で製造された複数の表示装置が用意される。複数の表示装置の温度分布データが平均化されたデータが区分工程或いはエイジング条件設定工程において、基準として用いられるならば、分割領域及びエイジング条件は、一層、適切に設定される。
【0027】
(分割領域の設定)
図6は、表示領域110中に設定される分割領域の概略図である。図1及び図6を用いて、表示領域110中に設定される分割領域が説明される。
【0028】
図6に示される表示領域110中には、最も小さな領域を取り囲む等温線C1及び等温線C1を取り囲む等温線C2が示されている。等温線C1によって囲まれる領域は、表示領域110中、最も高温となる。以下の説明において、等温線C1によって囲まれる領域は、「高温領域」と称される。等温線C2より外側の領域は、表示領域110中、比較的低温である。以下の説明において、等温線C2より外側の領域は、「低温領域」と称される。等温線C1と等温線C2とによって囲まれる領域は、低温領域と高温領域との間の温度である。以下の説明において、等温線C1と等温線C2とによって囲まれる領域は、「中間領域」と称される。
【0029】
等温線C1,C2に加えて、図6に示される表示領域110中には、等温線C1に外接するように規定された矩形枠F1及び等温線C2に外接するように規定された矩形枠F2が示されている。以下の説明において、矩形枠F1内の領域は、「分割領域D1」と称される。矩形枠F1と矩形枠F2との間の領域は、「分割領域D2」と称される。矩形枠F2よりも外側の領域は、「分割領域D3」と称される。
【0030】
図6に示される如く、等温線C1,C2に外接する矩形枠F1,F2によって分割領域D1乃至D3が規定されるならば、分割領域D1乃至D3それぞれは、表示領域110内の温度分布の温度域に対応することとなる。即ち、分割領域D1は、高温領域の温度域に対応する。分割領域D2は、中間領域の温度域に対応する。分割領域D3は、低温領域の温度域に対応する。
【0031】
高温領域の温度が、「T1」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D1の温度は、「T1」に設定されてもよい。代替的に、高温領域と分割領域D1との間の形状的差異(面積及び/又は形状)に基づく補正値と高温領域の温度「T1」とを用いて、エイジング条件設定工程において、分割領域D1の温度が設定されてもよい。
【0032】
中間領域の温度が、「T2」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D2の温度は、「T2」に設定されてもよい。代替的に、中間領域と分割領域D2との間の形状的差異(面積及び/又は形状)に基づく補正値と中間領域の温度「T2」とを用いて、エイジング条件設定工程において、分割領域D2の温度が設定されてもよい。
【0033】
低温領域の温度が、「T3」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D3の温度は、「T3」に設定されてもよい。代替的に、低温領域と分割領域D3との間の形状的差異(面積及び/又は形状)に基づく補正値と低温領域の温度「T3」とを用いて、エイジング条件設定工程において、分割領域D3の温度が設定されてもよい。
【0034】
図6に示される分割領域D1乃至D3の設定において、等温線C1,C2に外接する矩形枠F1,F2が用いられている。代替的に或いは追加的に、等温線に内接する矩形枠が表示領域を区分するために用いられてもよい。分割領域の設定の基準となる等温線の数は、「1」であってもよく、「2」よりも大きくともよい。分割領域の設定の基準となる等温線の数が大きいならば、エイジング条件設定工程において設定されるエイジング条件に対して、表示領域の温度分布は一層反映される。一方、分割領域の設定の基準となる等温線の数の増大は、エイジング条件設定工程及びエイジング工程を煩雑にすることもあるので、好ましくは、分割領域は、温度分布への適合度とエイジング条件設定工程及びエイジング工程の煩雑さを考慮に入れて設定される。
【0035】
図7は、表示領域110中に設定される他の分割領域の概略図である。図1、図6及び図7を用いて、表示領域110中に設定される分割領域が説明される。
【0036】
図7に示される表示領域110中には、マトリックス状に配列された矩形状の分割領域D11乃至D76が示されている。図7に示される如く、区分工程において、表示領域110中で生ずる温度分布に無関係に、分割領域D11乃至D76が設定されてもよい。区分工程の後のエイジング条件設定工程において、温度分布に対応した温度が分割領域D11乃至D76に割り当てられ、エイジング条件が設定されるならば、表示領域110中の温度分布はエイジング条件に反映されることとなる。
【0037】
例えば、図7に示される分割領域D44は、高温領域に包含される。したがって、高温領域の温度が、「T1」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D11の温度は、「T1」に設定されてもよい。
【0038】
図7に示される分割領域D22は、高温領域と中間領域とを含む。したがって、高温領域の温度が「T1」で表され、且つ、中間領域の温度が「T2」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D22の温度は、「T1」と「T2」との間に設定されてもよい。
【0039】
図7に示される分割領域D11は、低温領域に略包含される。したがって、低温領域の温度が「T3」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D11の温度は、「T3」に設定されてもよい。
【0040】
図7において、表示領域110は、7行×6列のマトリックス状に分割されている。尚、表示領域の分割パターンは、図7に示されるパターンよりも粗くともよく、細かくてもよい。分割パターンが細かく設定されるならば、エイジング条件設定工程において設定されるエイジング条件に対して、表示領域の温度分布は一層反映される。一方、分割パターンの細かさは、エイジング条件設定工程及びエイジング工程を煩雑にすることもあるので、好ましくは、分割パターンは、温度分布への適合度とエイジング条件設定工程及びエイジング工程の煩雑さを考慮に入れて設定される。
【0041】
図6及び図7において、複数の矩形領域によって分割領域が表されている。代替的に、他の形状(三角形領域、円形領域や他の幾何学的形状)の領域によって分割領域が規定されてもよい。
【0042】
(エイジング条件設定工程及びエイジング工程)
図8は、エイジング条件設定工程及びエイジング工程の手順を概略的に示すフローチャートである。図9は、図7と同様に分割領域D11乃至D76に区分された表示領域110の概略図である。図10は、エイジング条件の概略的な表である。図1乃至図3並びに図7乃至図10を用いて、エイジング条件設定工程及びエイジング工程が説明される。
【0043】
(ステップS310)
図1に関連して説明された区分工程において、表示領域110が分割領域D11乃至D76に区分されると、ステップS310が実行される。ステップS310において、図7に関連して説明された如く、所定輝度で表示領域110全体が発光したときに生ずる温度分布を反映した温度データが分割領域D11乃至D76それぞれに割り当てられる。
【0044】
図9には、分割領域D11乃至D76にそれぞれ割り当てられた温度データTD11乃至TD76が示されている。図7に関連して説明された如く、例えば、高温領域に包含される分割領域D44に対して割り当てられた温度データTD44は、他の分割領域よりも高く設定される。低温領域に略包含される分割領域D11に対して割り当てられた温度データTD11は、他の分割領域よりも低く設定される。高温領域と中間領域とを含む分割領域D22に割り当てられた温度データTD22は、温度データTD44と温度データTD11との間の温度に設定される。これらの温度データの関係は、以下の数式で表される。分割領域D11乃至D76にそれぞれに対して温度データTD11乃至TD76が割り当てられると、ステップS320が実行される。
【0045】
(数1)
TD44>TD22>TD11
【0046】
(ステップS320)
ステップS320において、分割領域D11乃至D76にそれぞれに対して、割り当てられた温度データTD11乃至TD76に基づき、エイジング率が設定される。エイジング率は、以下の数式によって定義されてもよい。
【0047】
(数2)
【0048】
上述のエイジング率に対する定義式において、「処理前輝度」とは、エイジング処理の前における表示画素111の輝度を意味する。例えば、「組立工程」の直後において、駆動回路基板200が表示画素111それぞれに対して所定の輝度での発光を指示するための輝度信号を表示パネル100に出力したときに、分割領域D11乃至D76が実際に発光する輝度を意味する。「処理後輝度」とは、エイジング処理後において、同輝度信号の下で発光する分割領域D11乃至D76の実際の輝度を意味する。
【0049】
エイジング条件は、エイジング工程後において表示画素111が発する輝度が、同表示画素111の処理前輝度より低くなるように設定される。したがって、エイジング率は、0%以上100%以下の範囲の値に設定される。尚、上述のエイジング率に対する定義は、例示的である。したがって、エイジングの程度を表す他の適切な定義がエイジング率に対して用いられてもよい。
【0050】
図9には、分割領域D11乃至D76それぞれに対して設定されたエイジング率AR11乃至AR76が示されている。高い温度を表す温度データが割り当てられた分割領域に対して、高いエイジング率が設定される。上述の如く、分割領域D44に割り当てられた温度データTD44は、他の分割領域(例えば、分割領域D22や分割領域D11)よりも高い温度を指し示すので、分割領域D44に設定されるエイジング率AR44は、他の領域に設定されるエイジング率(例えば、分割領域D22に設定されるエイジング率AR22や分割領域D11に設定されるエイジング率AR11)よりも高い。分割領域D11に割り当てられた温度データTD11は、他の分割領域(例えば、分割領域D22や分割領域D44)よりも低い温度を指し示すので、分割領域D11に設定されるエイジング率AR11は、他の領域に設定されるエイジング率(例えば、分割領域D22に設定されるエイジング率AR22や分割領域D44に設定されるエイジング率AR44)よりも低い。分割領域D22に割り当てられた温度データTD22は、上述の如く、分割領域D11に割り当てられた温度データTD11と分割領域D44に割り当てられた温度データTD44との間の温度を指し示す。したがって、分割領域D22に対して、分割領域D11に設定されたエイジング率AR11と分割領域D44に設定されたエイジング率AR44との間の大きさのエイジング率AR22が設定される。
【0051】
図10に示されるように、所定輝度(例えば、「60cd/m2」)の処理前輝度で表示領域110を全体的に発光させたときに、駆動回路基板200が発した熱によって生じた温度分布(図7を参照)に基づき、例えば、分割領域D11において、基準温度(例えば、25℃)に対して10℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D11に対して、「5%」のエイジング率AR11が設定される(即ち、処理前輝度に対して、処理後輝度が5%低下するようにエイジング率AR11が設定される)。例えば、分割領域D22において、基準温度に対して、25℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D22に対して、「14%」のエイジング率AR22が設定される(即ち、処理前輝度に対して、処理後輝度が14%低下するようにエイジング率AR22が設定される)。例えば、分割領域D44において、50℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D44に対して、「32%」のエイジング率AR44が設定される(即ち、処理前輝度に対して、処理後輝度が32%低下するようにエイジング率AR44が設定される)。上述の如く、分割領域D11において、基準温度に対して10℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D11は、第1分割領域として例示される。分割領域D22において、基準温度に対して、25℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D22は、第2分割領域として例示される。分割領域D33において、基準温度に対して、50℃以上の温度上昇が観察されるならば、第3分割領域として例示される。これらのエイジング率の関係は、以下の数式で表される。
【0052】
(数3)
AR44>AR22>AR11
【0053】
上述の説明において、エイジング率の設定のために、基準温度(室温)に対して上昇した温度が用いられている。代替的に、所定輝度(例えば、「60cd/m2」)の処理前輝度で表示領域110を全体的に発光させたときの表示領域110全体の平均温度に対する各分割領域D11乃至D76の温度差がエイジング率の設定に用いられてもよい。
【0054】
分割領域D11乃至D76にエイジング率AR11乃至AR76がそれぞれ設定されると、ステップS410が実行される。尚、ステップS310及びステップS320は、図1に関連して説明されたエイジング条件設定工程に含まれる。ステップS410以降の工程は、エイジング工程に含まれる。
【0055】
(ステップS410)
ステップS410において、分割領域D11乃至D76それぞれに対して、エイジング処理が行われる。本実施形態において、分割領域D11乃至D76は、所定輝度(例えば、「60cd/m2」)で連続的に発光される。代替的に、分割領域D11乃至D76は、所定温度まで一様に加熱されてもよい(加熱処理)。更に代替的に、分割領域D11乃至D76は、120Hz或いは180Hzといった高周波数で駆動されてもよい(高周波駆動処理)。更に代替的に、エイジング処理のために連続的な発光処理、加熱処理及び高周波駆動処理が組み合わされてもよい。分割領域D11乃至D76が、所定期間に亘って、連続的に発光されると、ステップS420が実行される。
【0056】
(ステップS420)
ステップS420において、全ての分割領域D11乃至D76がステップS320で設定されたエイジング率を達成したか否かが判定される。全ての分割領域D11乃至D76が設定されたエイジング率を達成しているならば、エイジング工程は終了する。分割領域D11乃至D76の一部又は全部がエイジング率を達成していないならば、ステップS430が実行される。
【0057】
(ステップS430)
ステップS430において、分割領域D11乃至D76の一部が、設定されたエイジング率を達成しているか、分割領域D11乃至D76全てが設定されたエイジング率を達成していないかが判定される。分割領域D11乃至D76の一部が、設定されたエイジング率を達成しているならば、ステップS440が実行される。その他の場合は、ステップS410が再度実行される。
【0058】
(ステップS440)
ステップS440において、設定されたエイジング率を達成した一部の分割領域に対するエイジング処理が停止される。一方で、設定されたエイジング率を達成していない他の分割領域に対するエイジング処理は継続される。他の分割領域に対して、所定期間、エイジング処理が継続されると、ステップS450が実行される。
【0059】
(ステップS450)
ステップS450において、全ての分割領域D11乃至D76がステップS320で設定されたエイジング率を達成したか否かが判定される。全ての分割領域D11乃至D76が設定されたエイジング率を達成しているならば、エイジング工程は終了する。分割領域D11乃至D76の一部がエイジング率を達成していないならば、ステップS440が再度実行される。
【0060】
図11は、エイジング処理に要する期間を表す概略的なチャートである。図1乃至図3並びに図8、図9及び図11を用いて、エイジング処理に要する期間が説明される。
【0061】
図11のチャートの横軸は、エイジング処理を開始時刻からの経過時間を表す。図11のチャートの縦軸は、図8に関連して説明されたエイジング率の大きさを示す。
【0062】
図8に関連して説明されたステップS410乃至ステップS450の手順に従うならば、高いエイジング率が設定された分割領域(例えば、分割領域D44)に対して、比較的長い期間のエイジング処理(即ち、所定輝度下における発光処理、所定温度における加熱処理及び/又は所定周波数での高周波駆動処理)が行われる。低いエイジング率が設定された分割領域(例えば、分割領域D11)に対して、比較的短い期間のエイジング処理が行われる。この結果、エイジング条件設定工程において設定された条件に従ったエイジング処理が達成される。
【0063】
例えば、比較的大きな値のエイジング率AR44が設定された分割領域D44に対するエイジング処理に時間「t3」を要するならば、エイジング率AR44よりも小さなエイジング率AR11が設定された分割領域D11のエイジング処理に要する時間「t1」は、時間「t3」よりも短くなる。エイジング率AR44とエイジング率AR11との間のエイジング率AR22に設定された分割領域D22のエイジング処理に要する時間「t2」は、時間「t1」よりも長く、且つ、時間「t3」よりも短くなる。
【0064】
本実施形態において、分割領域D11乃至D76ごとに異なるエイジング処理時間が設定される。代替的に、分割領域D11乃至D76ごとに異なる他のエイジング処理条件が設定されてもよい。図8に関連して説明されたステップS410において、比較的大きな値のエイジング率AR44が設定された分割領域D44が、他の領域(例えば、分割領域D11や分割領域D22)よりも高い輝度で発光されてもよい。また、比較的小さな値のエイジング率AR11が設定された分割領域D11が、他の領域(例えば、分割領域D44や分割領域D22)よりも低い輝度で発光されてもよい。エイジング率AR44とエイジング率AR11との間のエイジング率AR22に設定された分割領域D22は、ステップS410において、分割領域D11の発光輝度よりも高く、且つ、分割領域D44の発光輝度よりも低い輝度で発光されてもよい。
【0065】
更に代替的に、図8に関連して説明されたステップS410において、比較的大きな値のエイジング率AR44が設定された分割領域D44は、他の領域(例えば、分割領域D11や分割領域D22)よりも高い温度環境下に曝されてもよい。比較的小さな値のエイジング率AR11が設定された分割領域D11は、他の領域(例えば、分割領域D44や分割領域D22)よりも低い温度環境下に曝されてもよい。エイジング率AR44とエイジング率AR11との間のエイジング率AR22に設定された分割領域D22は、ステップS410において、分割領域D11よりも高く、且つ、分割領域D44よりも低い温度環境下に曝されてもよい。
【0066】
更に代替的に、図8に関連して説明されたステップS410において、比較的大きな値のエイジング率AR44が設定された分割領域D44に対して、他の領域(例えば、分割領域D11や分割領域D22)よりも高い周波数での高周波駆動処理が実行されてもよい。比較的小さな値のエイジング率AR11が設定された分割領域D11に対して、他の領域(例えば、分割領域D44や分割領域D22)よりも低い周波数での高周波駆動処理が実行されてもよい。エイジング率AR44とエイジング率AR11との間のエイジング率AR22に設定された分割領域D22に対して、ステップS410において、分割領域D11よりも高く、且つ、分割領域D44よりも低い周波数での高周波駆動処理が実行されてもよい。
【0067】
上述の如く、分割領域D11乃至D76ごとに発光輝度、温度及び/又は交流電圧の周波数を変更することによって、分割領域D11乃至D76の間でのエイジング処理に要する時間長さの差異が低減される。理想的には、分割領域D11乃至D76ごとの発光輝度、温度及び/又は交流電圧の周波数の調整の結果、分割領域D11乃至D76に亘って、エイジング処理に要する時間長さは略一定となる。
【0068】
エイジング工程が完了した後、駆動回路基板200の設定が調整されてもよい。駆動回路基板200の設定が調整された後、駆動回路基板200は、図8に関連して説明されたエイジング条件に基づき、表示画素111それぞれを駆動するための信号電流を印加することができる。
【0069】
(表示装置)
図12は、表示装置500の概略的な斜視図である。図1乃至5及び図12を用いて、表示装置500が説明される。
【0070】
表示装置500は、図2乃至図4に関連して説明された組立体300に加えて、筐体510を備える。図1に関連して説明されたエイジング工程の後、組立体300は、筐体510内に固定され、表示装置500が完成する。筐体510からは、表示領域110が露出する。
【0071】
図5には、高温領域において映像を表示するために用いられる表示画素111H及び低温領域において映像を表示するために用いられる表示画素111Lが複数の表示画素111として示されている。表示画素111H及び表示画素111Lを用いて、表示装置500の輝度特性が説明される。本実施形態において、表示画素111Lは、第1表示画素として例示される。表示画素111Hは、第2表示画素として例示される。
【0072】
図13A及び図13Bは、表示装置の輝度特性を概略的に表すグラフである。図1、図5、図13A及び図13Bを用いて、表示装置の輝度特性が説明される。
【0073】
図13Aは、図1に関連して説明されたエイジング工程を経て製造された表示装置の輝度特性を表す概略的なグラフである。図13Bは、エイジング工程を経ずに製造された表示装置の輝度特性を表す概略的なグラフである。図13A及び図13Bのグラフの横軸は、表示画素111H,111Lの発光時間を表す。図13A及び図13Bのグラフにおいて、表示画素111H,111Lは、総計、1000時間に亘って発光している。図13A及び図13Bのグラフの縦軸は、所定電流が表示画素111H,111Lに所定時間印加されたときの表示画素111H,111Lの相対輝度を表す。
【0074】
表示画素111H,111Lの輝度は、経時的に低下する。したがって、表示画素111H,111Lの輝度及びこれらの相対輝度は、時間の関数として表現される。以下の数式において、「t」は、時刻を意味する。BH(t)は、時刻「t」における表示画素111Hの輝度を表す。BL(t)は、時刻「t」における表示画素111Lの輝度を表す。RBH(t)は、時刻「t」における表示画素111Hの相対輝度を表す。RBL(t)は、時刻「t」における表示画素111Lの相対輝度を表す。BH(0)は、発光開始時刻における表示画素111Hの輝度を表す。BL(0)は、発光開始時刻における表示画素111Lの輝度を表す。
【0075】
(数4)
【0076】
(数5)
【0077】
エイジング工程の効果の明瞭化のため、表示画素111Lが存する分割領域に対して、エイジング工程は施与されていない。したがって、図13A及び図13Bにおいて表示画素111L(低温領域の表示画素)に対応する曲線は共通である。
【0078】
図13A及び図13Bの表示画素111H(高温領域の表示画素)に対応する曲線を比較すると、エイジング工程が施与されない場合、発光開始時刻から100時間を経過するまでの間に相対輝度RBH(t)は著しく低下することが分かる。一方、エイジング工程が施与されるならば、発光開始時刻から100時間を経過するまでの間の相対輝度RBH(t)の低下は緩和される。
【0079】
以下の数式において、BDH(t)は、表示画素111Hに対する相対輝度の降下率を表す。BDL(t)は、表示画素111Lに対する相対輝度の降下率を表す。
【0080】
(数6)
【0081】
(数7)
【0082】
図13Aに示される表示画素111H,111Lとの間の相対輝度の降下率の差異は、「2%」未満である。尚、高温領域の表示画素の降下率と低温領域の表示画素の降下率との差異が、「10%」以下であるならば、表示領域110中における経時的な輝度変化のばらつき(表示領域110中の温度分布によって規定される領域間での輝度変化のばらつき)に起因する画質の低下は観察されにくい。
【0083】
上述された実施形態に係る表示装置は、以下の製造工程を経て製造される。当該製造工程に従って製造された表示装置は、長期間に亘って、均一な輝度特性を維持することができる。
【0084】
上述された実施形態の一の局面に係る表示装置の製造方法は、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを準備する第1工程と、前記表示領域を複数の分割領域に区分けする第2工程と、前記映像を表示するために前記表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する前記表示領域中の温度分布に対応して、前記分割領域ごとにエイジング条件を設定する第3工程と、前記エイジング条件の下、前記分割領域ごとに前記表示画素をエイジングする第4工程と、を含むことを特徴とする。
【0085】
上記構成によれば、第1工程において、映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルが用意される。第2工程において、表示領域は、複数の分割領域に区分けされる。第3工程において、分割領域ごとにエイジング条件が設定される。第4工程において、表示画素は、分割領域ごとにエイジングされる。分割領域ごとのエイジング条件は、映像を表示するために表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する表示領域中の温度分布に対応するので、表示装置は、長期間に亘って、均一な輝度特性を維持することができる。
【0086】
上記構成において、前記第2工程において、前記表示領域は、前記温度分布の温度域に基づき、前記複数の分割領域に分割されることが好ましい。
【0087】
上記構成によれば、第2工程において、表示領域は、温度分布の温度域に基づき、複数の分割領域に分割されるので、エイジング条件は、表示領域中の温度分布に対応して適切に設定される。
【0088】
上記構成において、表示装置の製造方法は、前記表示パネルと共通する製造条件下で製造された他の表示パネルから前記温度分布に関する分布データを取得する工程を更に含み、前記エイジング条件は、前記分布データに基づき設定されることが好ましい。
【0089】
上記構成によれば、表示装置の製造方法は、表示装置と共通する製造条件下で製造された他の表示装置から温度分布に関する分布データを取得する工程を更に含む。エイジング条件は、分布データに基づき設定されるので、エイジング処理の対象となる表示パネルの温度分布を測定することなく、分割領域の設定がなされる。
【0090】
上記構成において、前記分布データは、前記共通する製造条件下で製造された他の複数の表示パネルから得られた温度分布の平均データであることが好ましい。
【0091】
上記構成によれば、分布データは、共通する製造条件下で製造された他の複数の表示パネルから得られた温度分布の平均データであるので、表示領域は適切に区分される。
【0092】
上記構成において、前記第1工程において準備された前記表示画素が所定の輝度を指示する輝度信号の下において発する処理前輝度よりも、前記第4工程後において前記輝度信号の下、前記表示画素が発する処理後輝度の方が低くなるように、前記エイジング条件が設定されることが好ましい。
【0093】
上記構成によれば、第1工程において準備された表示画素が所定の輝度を指示する輝度信号の下において発する処理前輝度よりも、第4工程後において輝度信号の下、表示画素が発する処理後輝度の方が低くなるように、エイジング条件が設定されるので、表示装置は、長期間に亘って、均一な輝度特性を維持することができる。
【0094】
上記構成において、前記複数の分割領域は、前記熱によって10℃以上の温度上昇が観察される第1分割領域を含み、前記エイジング条件は、前記第1分割領域の処理前輝度に対して、前記第1分割領域の処理後輝度が5%以上低下するように設定されることが好ましい。
【0095】
上記構成によれば、複数の分割領域は、熱によって10℃以上の温度上昇が観察される第1分割領域を含む。エイジング条件は、第1分割領域の処理前輝度に対して、第1分割領域の処理後輝度が5%以上低下するように設定されるので、第4工程の後の発光に伴う急激な輝度低下が抑制される。
【0096】
上記構成において、前記複数の分割領域は、前記熱によって25℃以上の温度上昇が観察される第2分割領域を含み、前記エイジング条件は、前記第2分割領域の処理前輝度に対して、前記第2分割領域の処理後輝度が14%以上低下するように設定されることが好ましい。
【0097】
上記構成によれば、複数の分割領域は、熱によって25℃以上の温度上昇が観察される第2分割領域を含む。エイジング条件は、第2分割領域の処理前輝度に対して、第2分割領域の処理後輝度が14%以上低下するように設定されるので、第4工程の後の発光に伴う急激な輝度低下が抑制される。
【0098】
上記構成において、前記複数の分割領域は、前記熱によって50℃以上の温度上昇が観察される第3分割領域を含み、前記エイジング条件は、前記第3分割領域の処理前輝度に対して、前記第3分割領域の処理後輝度が32%以上低下するように設定されることが好ましい。
【0099】
上記構成によれば、複数の分割領域は、熱によって50℃以上の温度上昇が観察される第2分割領域を含む。エイジング条件は、第2分割領域の処理前輝度に対して、第2分割領域の処理後輝度が32%以上低下するように設定されるので、第4工程の後の発光に伴う急激な輝度低下が抑制される。
【0100】
上記構成において、前記第1工程において、前記表示画素を駆動する駆動部が前記表示パネルに取り付けられ、前記駆動部は、前記第4工程の後、前記エイジング条件に基づき、前記表示画素を駆動するための信号電流を印加することが好ましい。
【0101】
上記構成によれば、第1工程において、表示画素を駆動する駆動部が表示パネルに取り付けられる。駆動部は、第4工程の後、エイジング条件に基づき、表示画素を駆動するための信号電流を印加するので、表示装置は適切に映像を表示することができる。
【0102】
上記構成において、前記第4工程において、前記表示画素は、該表示画素を発光させる発光処理、前記表示画素を加熱する加熱処理及び前記表示画素を所定の周波数で駆動する駆動処理のうち少なくとも1つのエイジング処理を受けることが好ましい。
【0103】
上記構成によれば、第4工程において、表示画素は、表示画素を発光させる発光処理、表示画素を加熱する加熱処理及び表示画素を所定の周波数で駆動する駆動処理のうち少なくとも1つのエイジング処理を受けるので、第4工程の後の発光に伴う急激な輝度低下が抑制される。
【0104】
上記構成において、前記第4工程において、前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも長い期間、前記少なくとも1つのエイジング処理を受け、前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも長い期間、前記少なくとも1つのエイジング処理を受けることが好ましい。
【0105】
上記構成によれば、第2分割領域の表示画素は、第1分割領域の表示画素よりも長い期間、少なくとも1つのエイジング処理を受ける。また、第3分割領域の表示画素は、第2分割領域の表示画素よりも長い期間、少なくとも1つのエイジング処理を受ける。したがって、第1分割領域、第2分割領域及び第3分割領域との間で、長期間に亘って、均一な輝度特性が維持される。
【0106】
上記構成において、前記第4工程において、前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い輝度で発光され、前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い輝度で発光されることが好ましい。
【0107】
上記構成によれば、第2分割領域の表示画素は、第1分割領域の表示画素よりも高い輝度で発光される。また、第3分割領域の表示画素は、第2分割領域の表示画素よりも高い輝度で発光される。したがって、第1分割領域、第2分割領域及び第3分割領域との間で、長期間に亘って、均一な輝度特性が維持される。
【0108】
上記構成において、前記第4工程において、前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い温度環境に曝され、前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い温度環境に曝されることが好ましい。
【0109】
上記構成によれば、第2分割領域の表示画素は、第1分割領域の表示画素よりも高い温度環境に曝される。また、第3分割領域の表示画素は、第2分割領域の表示画素よりも高い温度環境に曝される。したがって、第1分割領域、第2分割領域及び第3分割領域との間で、長期間に亘って、均一な輝度特性が維持される。
【0110】
上記構成において、前記第4工程において、前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い周波数で駆動され、前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い周波数で駆動されることが好ましい。
【0111】
上記構成によれば、第2分割領域の表示画素は、第1分割領域の表示画素よりも高い周波数の交流電流で駆動される。第3分割領域の表示画素は、第2分割領域の表示画素よりも高い周波数の交流電流で駆動される。したがって、第1分割領域、第2分割領域及び第3分割領域との間で、長期間に亘って、均一な輝度特性が維持される。
【0112】
上述された実施形態の一の局面に係る表示装置は、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを備え、前記表示領域は、第1領域と、前記映像の表示のために前記表示パネルが駆動されている間、前記第1領域よりも高温となる第2領域と、を含み、前記複数の表示画素は、前記第1領域において前記映像を表示する第1表示画素と、前記第2領域において前記映像を表示する第2表示画素と、を含み、前記複数の表示画素に亘って所定電流が所定期間印加されたときの前記第1表示画素の輝度の降下率と、前記所定電流が前記所定期間印加されたときの前記第2表示画素の輝度の降下率と、の間の差異は、10%以内であることを特徴とする。
【0113】
上記構成によれば、表示装置は、映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを備える。表示領域は、第1領域と、映像の表示のために表示パネルが駆動されている間、第1領域よりも高温となる第2領域と、を含む。複数の表示画素は、第1領域において映像を表示する第1表示画素と、第2領域において映像を表示する第2表示画素と、を含む。複数の表示画素に亘って所定電流が所定期間印加されたときの第1表示画素の輝度の降下率と、所定電流が所定期間印加されたときの第2表示画素の輝度の降下率と、の間の差異は、10%以内であるので、表示装置は、均一な輝度特性の下、映像を表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
上述の実施形態に係る原理は、映像を表示するための表示装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0115】
100・・・・・・・・・・表示パネル
110・・・・・・・・・・表示領域
111・・・・・・・・・・表示画素
111H・・・・・・・・・表示画素
111L・・・・・・・・・表示画素
500・・・・・・・・・・表示装置
D1乃至D3・・・・・・・分割領域
D11乃至D76・・・・・分割領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置の製造方法及び当該製造方法によって製造された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、一般的に、映像を表示するための表示パネルと、表示パネルを駆動する駆動回路基板と、これらを収容並びに保持する筐体と、を備える。駆動回路基板が表示パネルに近接して取り付けられるならば、表示パネル及び駆動回路基板は、筐体内にコンパクトに収容される。
【0003】
駆動回路基板が表示パネルを駆動している間、駆動回路基板は発熱する。駆動回路基板が表示パネルに近接して取り付けられるならば、駆動回路基板からの熱は、表示パネルに伝達されやすくなる。
【0004】
表示装置として、有機EL(エレクトロルミネセンス)ディスプレイが例示される。有機ELディスプレイは、有機EL発光素子を含む。有機EL発光素子の発光層は、熱によって、特に劣化しやすい。したがって、駆動回路基板からの熱による表示パネルの温度上昇下において、有機EL発光素子の輝度は、経時的に低下する。
【0005】
有機EL発光素子の輝度低下は、表示装置が製造された直後の初期発光時において特に顕著である。初期発光時の輝度低下の抑制のために、有機EL発光素子を予めエイジングするエイジング処理が知られている(例えば、特許文献1乃至3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−103068号公報
【特許文献2】特開平1−189889号公報
【特許文献3】特開昭62−143395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のエイジング処理の手法は、映像を表示するための発光素子の輝度低下をもたらす直接的な原因である熱をほとんど考慮していない。したがって、従来のエイジング処理の手法を用いても、表示装置は、長期に亘って均一な画質を維持することができない。
【0008】
本発明は、長期に亘って均一な画質を維持することができる表示装置の製造方法及び当該製造方法から得られた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る映像を表示する表示装置の製造方法は、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを準備する第1工程と、前記表示領域を複数の分割領域に区分けする第2工程と、前記映像を表示するために前記表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する前記表示領域中の温度分布に対応して、前記分割領域ごとにエイジング条件を設定する第3工程と、前記エイジング条件の下、前記分割領域ごとに前記表示画素をエイジングする第4工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の局面に係る表示装置は、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを備え、前記表示領域は、第1領域と、前記映像の表示のために前記表示パネルが駆動されている間、前記第1領域よりも高温となる第2領域と、を含み、前記複数の表示画素は、前記第1領域において前記映像を表示する第1表示画素と、前記第2領域において前記映像を表示する第2表示画素と、を含み、前記複数の表示画素に亘って所定電流が所定期間印加されたときの前記第1表示画素の輝度の降下率と、前記所定電流が前記所定期間印加されたときの前記第2表示画素の輝度の降下率と、の間の差異は、10%以内であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る表示装置は、表示領域中の温度分布に応じたエイジング処理を経て製造されるので、長期に亘って均一な画質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】映像を表示する表示装置の製造方法の概略的なフローチャートである。
【図2】図1に示される製造方法の組立工程において組み立てられる組立体の概略的な正面図である。
【図3】図2に示される組立体の概略的な側面図である。
【図4】図2に示される組立体の概略的な背面図である。
【図5】図2に示される組立体が有する表示領域中で生ずる温度分布を表す概略的な等温線図である。
【図6】図5に示される表示領域中に設定される分割領域の概略図である。
【図7】図5に示される表示領域に設定される他の分割領域の概略図である。
【図8】図1に示される製造方法のエイジング条件設定工程及びエイジング工程の手順を概略的に示すフローチャートである。
【図9】図7に示される分割領域を含む表示領域の概略図である。
【図10】図8に示されるエイジング条件設定工程において用いられるエイジング条件の概略的な表である。
【図11】図8に示されるエイジング処理に要する期間を表す概略的なチャートである。
【図12】図1に示される製造方法に従って製造された表示装置の概略的な斜視図である。
【図13A】図12に示される表示装置の輝度特性を概略的に表すグラフである。
【図13B】エイジング処理を受けない表示装置の輝度特性を概略的に表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、表示装置の製造方法及び当該製造方法に従って製造された表示装置が図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、表示装置の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、表示装置の原理はこれらに何ら限定されるものではない。
【0014】
(表示装置の製造方法)
図1は、映像を表示する表示装置の製造方法の概略的なフローチャートである。図1を用いて、表示装置の概略的な製造方法が説明される。
【0015】
(ステップS100)
表示装置の製造方法において、まず、組立工程(ステップS100)が実行される。組立工程において、映像が表示される表示領域を含む表示パネル及び表示パネルを駆動するための駆動回路基板が用意される。その後、駆動回路基板は、表示パネルに取り付けられる。本実施形態において、組立工程は、第1工程として例示される。表示パネルと駆動回路基板との組立体及び駆動回路基板による表示パネルの駆動下における表示パネルの温度分布は後述される。表示パネルに駆動回路基板が取り付けられた後、ステップS200が実行される。
【0016】
(ステップS200)
ステップS200において、表示領域を複数の分割領域に区分けする区分工程が実行される。本実施形態において、表示領域の複数の分割領域への区分は、駆動回路基板による表示パネルの駆動下における表示パネルの温度分布に基づく。表示領域の複数の分割領域への区分手法は後述される。表示領域が複数の分割領域に区分けされると、ステップS300が実行される。本実施形態において、区分工程は、第2工程として例示される。
【0017】
(ステップS300)
ステップS300において、分割領域ごとにエイジング条件が設定される(エイジング条件設定工程)。上述の如く、表示領域の複数の分割領域への区分は、駆動回路基板による表示パネルの駆動下における表示パネルの温度分布に基づく。したがって、分割領域ごとにエイジング条件が適切に設定されるならば、エイジング条件は、映像を表示するために表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する表示領域中の温度分布に対応することとなる。表示領域に設定された複数の分割領域それぞれに対してエイジング条件が設定されると、ステップS400が実行される。本実施形態において、エイジング条件設定工程は、第3工程として例示される。
【0018】
(ステップS400)
ステップS400において、エイジング条件設定工程において設定されたエイジング条件の下、分割領域毎にエイジング処理が実行される(エイジング工程)。分割領域毎のエイジング処理は、後述される。本実施形態において、エイジング工程は、第4工程として例示される。
【0019】
(組立工程によって組み立てられる組立体)
図2は、上述の組立工程において組み立てられる組立体300の概略的な正面図である。図3は、図2に示される組立体300の概略的な側面図である。図4は、図2に示される組立体300の概略的な背面図である。図2乃至図4を用いて、組立体300が説明される。
【0020】
上述の如く、組立体300は、表示パネル100と駆動回路基板200と、を備える。図2に示される如く、表示パネル100は、矩形状の表示領域110を規定するように行列状(マトリックス状)に配設された複数の表示画素111と、複数の表示画素111それぞれを支持するための基板120と、を含む。図3に示される如く、基板120は、表示領域110が形成される第1面121と、第1面121とは反対側の第2面122と、を含む。
【0021】
図3及び図4に示される如く、組立工程において、駆動回路基板200は、基板120の第2面122に取り付けられる。駆動回路基板200は、複数の表示画素111それぞれに電気的に接続され、複数の表示画素111それぞれを駆動する。本実施形態において、駆動回路基板200は、表示領域110に不均一な温度分布を生じさせる熱源として作用する。尚、表示装置は、映像を表示するために表示パネルに熱を発生し、表示領域に不均一な温度分布を生じさせる他の熱源を有してもよい。本実施形態において、駆動回路基板200は、駆動部として例示される。
【0022】
(表示領域中の温度分布)
図5は、表示領域110中で生ずる温度分布を表す概略的な等温線図である。図1、図4及び図5を用いて、表示領域110中で生ずる温度分布が説明される。
【0023】
図4に示される如く、本実施形態において、駆動回路基板200は、基板120の略中央(即ち、表示領域110の略中央に対応する第2面122)に取り付けられている。したがって、表示領域110が所定輝度(例えば、60cd/m2)で一様に発光されるならば、表示領域110の中央領域は、他の領域と比べて高温となる。尚、駆動回路基板が表示領域の下部領域の近くに取り付けられるならば、表示領域の下部領域が他の領域よりも高温となる。駆動回路基板が表示領域の上部領域の近くに取り付けられるならば、表示領域の上部領域が他の領域よりも高温となる。本実施形態において、表示領域110の中央領域は、第2領域として例示される。中央領域の周囲の領域は、第1領域として例示される。なお、駆動回路基板200は、第2面122に固定されなくともよい。
【0024】
図5に示される等温線図は、区分工程或いはエイジング条件設定工程において、基準として用いられる表示領域110中の温度分布に関する分布データとして例示される。分布データは、組立工程の前に予め取得されてもよい。上述のエイジング条件設定工程において、エイジング条件は、分布データに基づき設定される。
【0025】
分布データは、好適には、本実施形態の表示装置が製造される製造条件と共通する製造条件で製造された他の表示装置から取得される。例えば、分布データを取得するための他の表示装置が、本実施形態の表示装置の表示パネル100と駆動回路基板200との組立工程に用いられた組立ラインで組み立てられるならば、分布データは、表示パネル100と駆動回路基板200との間の取付誤差に起因する誤差をほとんど含まない。或いは、分布データを取得するための他の表示装置が、本実施形態の表示装置の駆動回路基板200と同一の製造ラインで製造された駆動回路基板を備えるならば、分布データは、駆動回路基板の発熱特性に起因する誤差をほとんど含まない。
【0026】
更に好ましくは、温度分布データを取得するために、共通する製造条件下で製造された複数の表示装置が用意される。複数の表示装置の温度分布データが平均化されたデータが区分工程或いはエイジング条件設定工程において、基準として用いられるならば、分割領域及びエイジング条件は、一層、適切に設定される。
【0027】
(分割領域の設定)
図6は、表示領域110中に設定される分割領域の概略図である。図1及び図6を用いて、表示領域110中に設定される分割領域が説明される。
【0028】
図6に示される表示領域110中には、最も小さな領域を取り囲む等温線C1及び等温線C1を取り囲む等温線C2が示されている。等温線C1によって囲まれる領域は、表示領域110中、最も高温となる。以下の説明において、等温線C1によって囲まれる領域は、「高温領域」と称される。等温線C2より外側の領域は、表示領域110中、比較的低温である。以下の説明において、等温線C2より外側の領域は、「低温領域」と称される。等温線C1と等温線C2とによって囲まれる領域は、低温領域と高温領域との間の温度である。以下の説明において、等温線C1と等温線C2とによって囲まれる領域は、「中間領域」と称される。
【0029】
等温線C1,C2に加えて、図6に示される表示領域110中には、等温線C1に外接するように規定された矩形枠F1及び等温線C2に外接するように規定された矩形枠F2が示されている。以下の説明において、矩形枠F1内の領域は、「分割領域D1」と称される。矩形枠F1と矩形枠F2との間の領域は、「分割領域D2」と称される。矩形枠F2よりも外側の領域は、「分割領域D3」と称される。
【0030】
図6に示される如く、等温線C1,C2に外接する矩形枠F1,F2によって分割領域D1乃至D3が規定されるならば、分割領域D1乃至D3それぞれは、表示領域110内の温度分布の温度域に対応することとなる。即ち、分割領域D1は、高温領域の温度域に対応する。分割領域D2は、中間領域の温度域に対応する。分割領域D3は、低温領域の温度域に対応する。
【0031】
高温領域の温度が、「T1」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D1の温度は、「T1」に設定されてもよい。代替的に、高温領域と分割領域D1との間の形状的差異(面積及び/又は形状)に基づく補正値と高温領域の温度「T1」とを用いて、エイジング条件設定工程において、分割領域D1の温度が設定されてもよい。
【0032】
中間領域の温度が、「T2」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D2の温度は、「T2」に設定されてもよい。代替的に、中間領域と分割領域D2との間の形状的差異(面積及び/又は形状)に基づく補正値と中間領域の温度「T2」とを用いて、エイジング条件設定工程において、分割領域D2の温度が設定されてもよい。
【0033】
低温領域の温度が、「T3」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D3の温度は、「T3」に設定されてもよい。代替的に、低温領域と分割領域D3との間の形状的差異(面積及び/又は形状)に基づく補正値と低温領域の温度「T3」とを用いて、エイジング条件設定工程において、分割領域D3の温度が設定されてもよい。
【0034】
図6に示される分割領域D1乃至D3の設定において、等温線C1,C2に外接する矩形枠F1,F2が用いられている。代替的に或いは追加的に、等温線に内接する矩形枠が表示領域を区分するために用いられてもよい。分割領域の設定の基準となる等温線の数は、「1」であってもよく、「2」よりも大きくともよい。分割領域の設定の基準となる等温線の数が大きいならば、エイジング条件設定工程において設定されるエイジング条件に対して、表示領域の温度分布は一層反映される。一方、分割領域の設定の基準となる等温線の数の増大は、エイジング条件設定工程及びエイジング工程を煩雑にすることもあるので、好ましくは、分割領域は、温度分布への適合度とエイジング条件設定工程及びエイジング工程の煩雑さを考慮に入れて設定される。
【0035】
図7は、表示領域110中に設定される他の分割領域の概略図である。図1、図6及び図7を用いて、表示領域110中に設定される分割領域が説明される。
【0036】
図7に示される表示領域110中には、マトリックス状に配列された矩形状の分割領域D11乃至D76が示されている。図7に示される如く、区分工程において、表示領域110中で生ずる温度分布に無関係に、分割領域D11乃至D76が設定されてもよい。区分工程の後のエイジング条件設定工程において、温度分布に対応した温度が分割領域D11乃至D76に割り当てられ、エイジング条件が設定されるならば、表示領域110中の温度分布はエイジング条件に反映されることとなる。
【0037】
例えば、図7に示される分割領域D44は、高温領域に包含される。したがって、高温領域の温度が、「T1」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D11の温度は、「T1」に設定されてもよい。
【0038】
図7に示される分割領域D22は、高温領域と中間領域とを含む。したがって、高温領域の温度が「T1」で表され、且つ、中間領域の温度が「T2」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D22の温度は、「T1」と「T2」との間に設定されてもよい。
【0039】
図7に示される分割領域D11は、低温領域に略包含される。したがって、低温領域の温度が「T3」で表されるならば、エイジング条件設定工程において、分割領域D11の温度は、「T3」に設定されてもよい。
【0040】
図7において、表示領域110は、7行×6列のマトリックス状に分割されている。尚、表示領域の分割パターンは、図7に示されるパターンよりも粗くともよく、細かくてもよい。分割パターンが細かく設定されるならば、エイジング条件設定工程において設定されるエイジング条件に対して、表示領域の温度分布は一層反映される。一方、分割パターンの細かさは、エイジング条件設定工程及びエイジング工程を煩雑にすることもあるので、好ましくは、分割パターンは、温度分布への適合度とエイジング条件設定工程及びエイジング工程の煩雑さを考慮に入れて設定される。
【0041】
図6及び図7において、複数の矩形領域によって分割領域が表されている。代替的に、他の形状(三角形領域、円形領域や他の幾何学的形状)の領域によって分割領域が規定されてもよい。
【0042】
(エイジング条件設定工程及びエイジング工程)
図8は、エイジング条件設定工程及びエイジング工程の手順を概略的に示すフローチャートである。図9は、図7と同様に分割領域D11乃至D76に区分された表示領域110の概略図である。図10は、エイジング条件の概略的な表である。図1乃至図3並びに図7乃至図10を用いて、エイジング条件設定工程及びエイジング工程が説明される。
【0043】
(ステップS310)
図1に関連して説明された区分工程において、表示領域110が分割領域D11乃至D76に区分されると、ステップS310が実行される。ステップS310において、図7に関連して説明された如く、所定輝度で表示領域110全体が発光したときに生ずる温度分布を反映した温度データが分割領域D11乃至D76それぞれに割り当てられる。
【0044】
図9には、分割領域D11乃至D76にそれぞれ割り当てられた温度データTD11乃至TD76が示されている。図7に関連して説明された如く、例えば、高温領域に包含される分割領域D44に対して割り当てられた温度データTD44は、他の分割領域よりも高く設定される。低温領域に略包含される分割領域D11に対して割り当てられた温度データTD11は、他の分割領域よりも低く設定される。高温領域と中間領域とを含む分割領域D22に割り当てられた温度データTD22は、温度データTD44と温度データTD11との間の温度に設定される。これらの温度データの関係は、以下の数式で表される。分割領域D11乃至D76にそれぞれに対して温度データTD11乃至TD76が割り当てられると、ステップS320が実行される。
【0045】
(数1)
TD44>TD22>TD11
【0046】
(ステップS320)
ステップS320において、分割領域D11乃至D76にそれぞれに対して、割り当てられた温度データTD11乃至TD76に基づき、エイジング率が設定される。エイジング率は、以下の数式によって定義されてもよい。
【0047】
(数2)
【0048】
上述のエイジング率に対する定義式において、「処理前輝度」とは、エイジング処理の前における表示画素111の輝度を意味する。例えば、「組立工程」の直後において、駆動回路基板200が表示画素111それぞれに対して所定の輝度での発光を指示するための輝度信号を表示パネル100に出力したときに、分割領域D11乃至D76が実際に発光する輝度を意味する。「処理後輝度」とは、エイジング処理後において、同輝度信号の下で発光する分割領域D11乃至D76の実際の輝度を意味する。
【0049】
エイジング条件は、エイジング工程後において表示画素111が発する輝度が、同表示画素111の処理前輝度より低くなるように設定される。したがって、エイジング率は、0%以上100%以下の範囲の値に設定される。尚、上述のエイジング率に対する定義は、例示的である。したがって、エイジングの程度を表す他の適切な定義がエイジング率に対して用いられてもよい。
【0050】
図9には、分割領域D11乃至D76それぞれに対して設定されたエイジング率AR11乃至AR76が示されている。高い温度を表す温度データが割り当てられた分割領域に対して、高いエイジング率が設定される。上述の如く、分割領域D44に割り当てられた温度データTD44は、他の分割領域(例えば、分割領域D22や分割領域D11)よりも高い温度を指し示すので、分割領域D44に設定されるエイジング率AR44は、他の領域に設定されるエイジング率(例えば、分割領域D22に設定されるエイジング率AR22や分割領域D11に設定されるエイジング率AR11)よりも高い。分割領域D11に割り当てられた温度データTD11は、他の分割領域(例えば、分割領域D22や分割領域D44)よりも低い温度を指し示すので、分割領域D11に設定されるエイジング率AR11は、他の領域に設定されるエイジング率(例えば、分割領域D22に設定されるエイジング率AR22や分割領域D44に設定されるエイジング率AR44)よりも低い。分割領域D22に割り当てられた温度データTD22は、上述の如く、分割領域D11に割り当てられた温度データTD11と分割領域D44に割り当てられた温度データTD44との間の温度を指し示す。したがって、分割領域D22に対して、分割領域D11に設定されたエイジング率AR11と分割領域D44に設定されたエイジング率AR44との間の大きさのエイジング率AR22が設定される。
【0051】
図10に示されるように、所定輝度(例えば、「60cd/m2」)の処理前輝度で表示領域110を全体的に発光させたときに、駆動回路基板200が発した熱によって生じた温度分布(図7を参照)に基づき、例えば、分割領域D11において、基準温度(例えば、25℃)に対して10℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D11に対して、「5%」のエイジング率AR11が設定される(即ち、処理前輝度に対して、処理後輝度が5%低下するようにエイジング率AR11が設定される)。例えば、分割領域D22において、基準温度に対して、25℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D22に対して、「14%」のエイジング率AR22が設定される(即ち、処理前輝度に対して、処理後輝度が14%低下するようにエイジング率AR22が設定される)。例えば、分割領域D44において、50℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D44に対して、「32%」のエイジング率AR44が設定される(即ち、処理前輝度に対して、処理後輝度が32%低下するようにエイジング率AR44が設定される)。上述の如く、分割領域D11において、基準温度に対して10℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D11は、第1分割領域として例示される。分割領域D22において、基準温度に対して、25℃以上の温度上昇が観察されるならば、分割領域D22は、第2分割領域として例示される。分割領域D33において、基準温度に対して、50℃以上の温度上昇が観察されるならば、第3分割領域として例示される。これらのエイジング率の関係は、以下の数式で表される。
【0052】
(数3)
AR44>AR22>AR11
【0053】
上述の説明において、エイジング率の設定のために、基準温度(室温)に対して上昇した温度が用いられている。代替的に、所定輝度(例えば、「60cd/m2」)の処理前輝度で表示領域110を全体的に発光させたときの表示領域110全体の平均温度に対する各分割領域D11乃至D76の温度差がエイジング率の設定に用いられてもよい。
【0054】
分割領域D11乃至D76にエイジング率AR11乃至AR76がそれぞれ設定されると、ステップS410が実行される。尚、ステップS310及びステップS320は、図1に関連して説明されたエイジング条件設定工程に含まれる。ステップS410以降の工程は、エイジング工程に含まれる。
【0055】
(ステップS410)
ステップS410において、分割領域D11乃至D76それぞれに対して、エイジング処理が行われる。本実施形態において、分割領域D11乃至D76は、所定輝度(例えば、「60cd/m2」)で連続的に発光される。代替的に、分割領域D11乃至D76は、所定温度まで一様に加熱されてもよい(加熱処理)。更に代替的に、分割領域D11乃至D76は、120Hz或いは180Hzといった高周波数で駆動されてもよい(高周波駆動処理)。更に代替的に、エイジング処理のために連続的な発光処理、加熱処理及び高周波駆動処理が組み合わされてもよい。分割領域D11乃至D76が、所定期間に亘って、連続的に発光されると、ステップS420が実行される。
【0056】
(ステップS420)
ステップS420において、全ての分割領域D11乃至D76がステップS320で設定されたエイジング率を達成したか否かが判定される。全ての分割領域D11乃至D76が設定されたエイジング率を達成しているならば、エイジング工程は終了する。分割領域D11乃至D76の一部又は全部がエイジング率を達成していないならば、ステップS430が実行される。
【0057】
(ステップS430)
ステップS430において、分割領域D11乃至D76の一部が、設定されたエイジング率を達成しているか、分割領域D11乃至D76全てが設定されたエイジング率を達成していないかが判定される。分割領域D11乃至D76の一部が、設定されたエイジング率を達成しているならば、ステップS440が実行される。その他の場合は、ステップS410が再度実行される。
【0058】
(ステップS440)
ステップS440において、設定されたエイジング率を達成した一部の分割領域に対するエイジング処理が停止される。一方で、設定されたエイジング率を達成していない他の分割領域に対するエイジング処理は継続される。他の分割領域に対して、所定期間、エイジング処理が継続されると、ステップS450が実行される。
【0059】
(ステップS450)
ステップS450において、全ての分割領域D11乃至D76がステップS320で設定されたエイジング率を達成したか否かが判定される。全ての分割領域D11乃至D76が設定されたエイジング率を達成しているならば、エイジング工程は終了する。分割領域D11乃至D76の一部がエイジング率を達成していないならば、ステップS440が再度実行される。
【0060】
図11は、エイジング処理に要する期間を表す概略的なチャートである。図1乃至図3並びに図8、図9及び図11を用いて、エイジング処理に要する期間が説明される。
【0061】
図11のチャートの横軸は、エイジング処理を開始時刻からの経過時間を表す。図11のチャートの縦軸は、図8に関連して説明されたエイジング率の大きさを示す。
【0062】
図8に関連して説明されたステップS410乃至ステップS450の手順に従うならば、高いエイジング率が設定された分割領域(例えば、分割領域D44)に対して、比較的長い期間のエイジング処理(即ち、所定輝度下における発光処理、所定温度における加熱処理及び/又は所定周波数での高周波駆動処理)が行われる。低いエイジング率が設定された分割領域(例えば、分割領域D11)に対して、比較的短い期間のエイジング処理が行われる。この結果、エイジング条件設定工程において設定された条件に従ったエイジング処理が達成される。
【0063】
例えば、比較的大きな値のエイジング率AR44が設定された分割領域D44に対するエイジング処理に時間「t3」を要するならば、エイジング率AR44よりも小さなエイジング率AR11が設定された分割領域D11のエイジング処理に要する時間「t1」は、時間「t3」よりも短くなる。エイジング率AR44とエイジング率AR11との間のエイジング率AR22に設定された分割領域D22のエイジング処理に要する時間「t2」は、時間「t1」よりも長く、且つ、時間「t3」よりも短くなる。
【0064】
本実施形態において、分割領域D11乃至D76ごとに異なるエイジング処理時間が設定される。代替的に、分割領域D11乃至D76ごとに異なる他のエイジング処理条件が設定されてもよい。図8に関連して説明されたステップS410において、比較的大きな値のエイジング率AR44が設定された分割領域D44が、他の領域(例えば、分割領域D11や分割領域D22)よりも高い輝度で発光されてもよい。また、比較的小さな値のエイジング率AR11が設定された分割領域D11が、他の領域(例えば、分割領域D44や分割領域D22)よりも低い輝度で発光されてもよい。エイジング率AR44とエイジング率AR11との間のエイジング率AR22に設定された分割領域D22は、ステップS410において、分割領域D11の発光輝度よりも高く、且つ、分割領域D44の発光輝度よりも低い輝度で発光されてもよい。
【0065】
更に代替的に、図8に関連して説明されたステップS410において、比較的大きな値のエイジング率AR44が設定された分割領域D44は、他の領域(例えば、分割領域D11や分割領域D22)よりも高い温度環境下に曝されてもよい。比較的小さな値のエイジング率AR11が設定された分割領域D11は、他の領域(例えば、分割領域D44や分割領域D22)よりも低い温度環境下に曝されてもよい。エイジング率AR44とエイジング率AR11との間のエイジング率AR22に設定された分割領域D22は、ステップS410において、分割領域D11よりも高く、且つ、分割領域D44よりも低い温度環境下に曝されてもよい。
【0066】
更に代替的に、図8に関連して説明されたステップS410において、比較的大きな値のエイジング率AR44が設定された分割領域D44に対して、他の領域(例えば、分割領域D11や分割領域D22)よりも高い周波数での高周波駆動処理が実行されてもよい。比較的小さな値のエイジング率AR11が設定された分割領域D11に対して、他の領域(例えば、分割領域D44や分割領域D22)よりも低い周波数での高周波駆動処理が実行されてもよい。エイジング率AR44とエイジング率AR11との間のエイジング率AR22に設定された分割領域D22に対して、ステップS410において、分割領域D11よりも高く、且つ、分割領域D44よりも低い周波数での高周波駆動処理が実行されてもよい。
【0067】
上述の如く、分割領域D11乃至D76ごとに発光輝度、温度及び/又は交流電圧の周波数を変更することによって、分割領域D11乃至D76の間でのエイジング処理に要する時間長さの差異が低減される。理想的には、分割領域D11乃至D76ごとの発光輝度、温度及び/又は交流電圧の周波数の調整の結果、分割領域D11乃至D76に亘って、エイジング処理に要する時間長さは略一定となる。
【0068】
エイジング工程が完了した後、駆動回路基板200の設定が調整されてもよい。駆動回路基板200の設定が調整された後、駆動回路基板200は、図8に関連して説明されたエイジング条件に基づき、表示画素111それぞれを駆動するための信号電流を印加することができる。
【0069】
(表示装置)
図12は、表示装置500の概略的な斜視図である。図1乃至5及び図12を用いて、表示装置500が説明される。
【0070】
表示装置500は、図2乃至図4に関連して説明された組立体300に加えて、筐体510を備える。図1に関連して説明されたエイジング工程の後、組立体300は、筐体510内に固定され、表示装置500が完成する。筐体510からは、表示領域110が露出する。
【0071】
図5には、高温領域において映像を表示するために用いられる表示画素111H及び低温領域において映像を表示するために用いられる表示画素111Lが複数の表示画素111として示されている。表示画素111H及び表示画素111Lを用いて、表示装置500の輝度特性が説明される。本実施形態において、表示画素111Lは、第1表示画素として例示される。表示画素111Hは、第2表示画素として例示される。
【0072】
図13A及び図13Bは、表示装置の輝度特性を概略的に表すグラフである。図1、図5、図13A及び図13Bを用いて、表示装置の輝度特性が説明される。
【0073】
図13Aは、図1に関連して説明されたエイジング工程を経て製造された表示装置の輝度特性を表す概略的なグラフである。図13Bは、エイジング工程を経ずに製造された表示装置の輝度特性を表す概略的なグラフである。図13A及び図13Bのグラフの横軸は、表示画素111H,111Lの発光時間を表す。図13A及び図13Bのグラフにおいて、表示画素111H,111Lは、総計、1000時間に亘って発光している。図13A及び図13Bのグラフの縦軸は、所定電流が表示画素111H,111Lに所定時間印加されたときの表示画素111H,111Lの相対輝度を表す。
【0074】
表示画素111H,111Lの輝度は、経時的に低下する。したがって、表示画素111H,111Lの輝度及びこれらの相対輝度は、時間の関数として表現される。以下の数式において、「t」は、時刻を意味する。BH(t)は、時刻「t」における表示画素111Hの輝度を表す。BL(t)は、時刻「t」における表示画素111Lの輝度を表す。RBH(t)は、時刻「t」における表示画素111Hの相対輝度を表す。RBL(t)は、時刻「t」における表示画素111Lの相対輝度を表す。BH(0)は、発光開始時刻における表示画素111Hの輝度を表す。BL(0)は、発光開始時刻における表示画素111Lの輝度を表す。
【0075】
(数4)
【0076】
(数5)
【0077】
エイジング工程の効果の明瞭化のため、表示画素111Lが存する分割領域に対して、エイジング工程は施与されていない。したがって、図13A及び図13Bにおいて表示画素111L(低温領域の表示画素)に対応する曲線は共通である。
【0078】
図13A及び図13Bの表示画素111H(高温領域の表示画素)に対応する曲線を比較すると、エイジング工程が施与されない場合、発光開始時刻から100時間を経過するまでの間に相対輝度RBH(t)は著しく低下することが分かる。一方、エイジング工程が施与されるならば、発光開始時刻から100時間を経過するまでの間の相対輝度RBH(t)の低下は緩和される。
【0079】
以下の数式において、BDH(t)は、表示画素111Hに対する相対輝度の降下率を表す。BDL(t)は、表示画素111Lに対する相対輝度の降下率を表す。
【0080】
(数6)
【0081】
(数7)
【0082】
図13Aに示される表示画素111H,111Lとの間の相対輝度の降下率の差異は、「2%」未満である。尚、高温領域の表示画素の降下率と低温領域の表示画素の降下率との差異が、「10%」以下であるならば、表示領域110中における経時的な輝度変化のばらつき(表示領域110中の温度分布によって規定される領域間での輝度変化のばらつき)に起因する画質の低下は観察されにくい。
【0083】
上述された実施形態に係る表示装置は、以下の製造工程を経て製造される。当該製造工程に従って製造された表示装置は、長期間に亘って、均一な輝度特性を維持することができる。
【0084】
上述された実施形態の一の局面に係る表示装置の製造方法は、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを準備する第1工程と、前記表示領域を複数の分割領域に区分けする第2工程と、前記映像を表示するために前記表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する前記表示領域中の温度分布に対応して、前記分割領域ごとにエイジング条件を設定する第3工程と、前記エイジング条件の下、前記分割領域ごとに前記表示画素をエイジングする第4工程と、を含むことを特徴とする。
【0085】
上記構成によれば、第1工程において、映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルが用意される。第2工程において、表示領域は、複数の分割領域に区分けされる。第3工程において、分割領域ごとにエイジング条件が設定される。第4工程において、表示画素は、分割領域ごとにエイジングされる。分割領域ごとのエイジング条件は、映像を表示するために表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する表示領域中の温度分布に対応するので、表示装置は、長期間に亘って、均一な輝度特性を維持することができる。
【0086】
上記構成において、前記第2工程において、前記表示領域は、前記温度分布の温度域に基づき、前記複数の分割領域に分割されることが好ましい。
【0087】
上記構成によれば、第2工程において、表示領域は、温度分布の温度域に基づき、複数の分割領域に分割されるので、エイジング条件は、表示領域中の温度分布に対応して適切に設定される。
【0088】
上記構成において、表示装置の製造方法は、前記表示パネルと共通する製造条件下で製造された他の表示パネルから前記温度分布に関する分布データを取得する工程を更に含み、前記エイジング条件は、前記分布データに基づき設定されることが好ましい。
【0089】
上記構成によれば、表示装置の製造方法は、表示装置と共通する製造条件下で製造された他の表示装置から温度分布に関する分布データを取得する工程を更に含む。エイジング条件は、分布データに基づき設定されるので、エイジング処理の対象となる表示パネルの温度分布を測定することなく、分割領域の設定がなされる。
【0090】
上記構成において、前記分布データは、前記共通する製造条件下で製造された他の複数の表示パネルから得られた温度分布の平均データであることが好ましい。
【0091】
上記構成によれば、分布データは、共通する製造条件下で製造された他の複数の表示パネルから得られた温度分布の平均データであるので、表示領域は適切に区分される。
【0092】
上記構成において、前記第1工程において準備された前記表示画素が所定の輝度を指示する輝度信号の下において発する処理前輝度よりも、前記第4工程後において前記輝度信号の下、前記表示画素が発する処理後輝度の方が低くなるように、前記エイジング条件が設定されることが好ましい。
【0093】
上記構成によれば、第1工程において準備された表示画素が所定の輝度を指示する輝度信号の下において発する処理前輝度よりも、第4工程後において輝度信号の下、表示画素が発する処理後輝度の方が低くなるように、エイジング条件が設定されるので、表示装置は、長期間に亘って、均一な輝度特性を維持することができる。
【0094】
上記構成において、前記複数の分割領域は、前記熱によって10℃以上の温度上昇が観察される第1分割領域を含み、前記エイジング条件は、前記第1分割領域の処理前輝度に対して、前記第1分割領域の処理後輝度が5%以上低下するように設定されることが好ましい。
【0095】
上記構成によれば、複数の分割領域は、熱によって10℃以上の温度上昇が観察される第1分割領域を含む。エイジング条件は、第1分割領域の処理前輝度に対して、第1分割領域の処理後輝度が5%以上低下するように設定されるので、第4工程の後の発光に伴う急激な輝度低下が抑制される。
【0096】
上記構成において、前記複数の分割領域は、前記熱によって25℃以上の温度上昇が観察される第2分割領域を含み、前記エイジング条件は、前記第2分割領域の処理前輝度に対して、前記第2分割領域の処理後輝度が14%以上低下するように設定されることが好ましい。
【0097】
上記構成によれば、複数の分割領域は、熱によって25℃以上の温度上昇が観察される第2分割領域を含む。エイジング条件は、第2分割領域の処理前輝度に対して、第2分割領域の処理後輝度が14%以上低下するように設定されるので、第4工程の後の発光に伴う急激な輝度低下が抑制される。
【0098】
上記構成において、前記複数の分割領域は、前記熱によって50℃以上の温度上昇が観察される第3分割領域を含み、前記エイジング条件は、前記第3分割領域の処理前輝度に対して、前記第3分割領域の処理後輝度が32%以上低下するように設定されることが好ましい。
【0099】
上記構成によれば、複数の分割領域は、熱によって50℃以上の温度上昇が観察される第2分割領域を含む。エイジング条件は、第2分割領域の処理前輝度に対して、第2分割領域の処理後輝度が32%以上低下するように設定されるので、第4工程の後の発光に伴う急激な輝度低下が抑制される。
【0100】
上記構成において、前記第1工程において、前記表示画素を駆動する駆動部が前記表示パネルに取り付けられ、前記駆動部は、前記第4工程の後、前記エイジング条件に基づき、前記表示画素を駆動するための信号電流を印加することが好ましい。
【0101】
上記構成によれば、第1工程において、表示画素を駆動する駆動部が表示パネルに取り付けられる。駆動部は、第4工程の後、エイジング条件に基づき、表示画素を駆動するための信号電流を印加するので、表示装置は適切に映像を表示することができる。
【0102】
上記構成において、前記第4工程において、前記表示画素は、該表示画素を発光させる発光処理、前記表示画素を加熱する加熱処理及び前記表示画素を所定の周波数で駆動する駆動処理のうち少なくとも1つのエイジング処理を受けることが好ましい。
【0103】
上記構成によれば、第4工程において、表示画素は、表示画素を発光させる発光処理、表示画素を加熱する加熱処理及び表示画素を所定の周波数で駆動する駆動処理のうち少なくとも1つのエイジング処理を受けるので、第4工程の後の発光に伴う急激な輝度低下が抑制される。
【0104】
上記構成において、前記第4工程において、前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも長い期間、前記少なくとも1つのエイジング処理を受け、前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも長い期間、前記少なくとも1つのエイジング処理を受けることが好ましい。
【0105】
上記構成によれば、第2分割領域の表示画素は、第1分割領域の表示画素よりも長い期間、少なくとも1つのエイジング処理を受ける。また、第3分割領域の表示画素は、第2分割領域の表示画素よりも長い期間、少なくとも1つのエイジング処理を受ける。したがって、第1分割領域、第2分割領域及び第3分割領域との間で、長期間に亘って、均一な輝度特性が維持される。
【0106】
上記構成において、前記第4工程において、前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い輝度で発光され、前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い輝度で発光されることが好ましい。
【0107】
上記構成によれば、第2分割領域の表示画素は、第1分割領域の表示画素よりも高い輝度で発光される。また、第3分割領域の表示画素は、第2分割領域の表示画素よりも高い輝度で発光される。したがって、第1分割領域、第2分割領域及び第3分割領域との間で、長期間に亘って、均一な輝度特性が維持される。
【0108】
上記構成において、前記第4工程において、前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い温度環境に曝され、前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い温度環境に曝されることが好ましい。
【0109】
上記構成によれば、第2分割領域の表示画素は、第1分割領域の表示画素よりも高い温度環境に曝される。また、第3分割領域の表示画素は、第2分割領域の表示画素よりも高い温度環境に曝される。したがって、第1分割領域、第2分割領域及び第3分割領域との間で、長期間に亘って、均一な輝度特性が維持される。
【0110】
上記構成において、前記第4工程において、前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い周波数で駆動され、前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い周波数で駆動されることが好ましい。
【0111】
上記構成によれば、第2分割領域の表示画素は、第1分割領域の表示画素よりも高い周波数の交流電流で駆動される。第3分割領域の表示画素は、第2分割領域の表示画素よりも高い周波数の交流電流で駆動される。したがって、第1分割領域、第2分割領域及び第3分割領域との間で、長期間に亘って、均一な輝度特性が維持される。
【0112】
上述された実施形態の一の局面に係る表示装置は、前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを備え、前記表示領域は、第1領域と、前記映像の表示のために前記表示パネルが駆動されている間、前記第1領域よりも高温となる第2領域と、を含み、前記複数の表示画素は、前記第1領域において前記映像を表示する第1表示画素と、前記第2領域において前記映像を表示する第2表示画素と、を含み、前記複数の表示画素に亘って所定電流が所定期間印加されたときの前記第1表示画素の輝度の降下率と、前記所定電流が前記所定期間印加されたときの前記第2表示画素の輝度の降下率と、の間の差異は、10%以内であることを特徴とする。
【0113】
上記構成によれば、表示装置は、映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを備える。表示領域は、第1領域と、映像の表示のために表示パネルが駆動されている間、第1領域よりも高温となる第2領域と、を含む。複数の表示画素は、第1領域において映像を表示する第1表示画素と、第2領域において映像を表示する第2表示画素と、を含む。複数の表示画素に亘って所定電流が所定期間印加されたときの第1表示画素の輝度の降下率と、所定電流が所定期間印加されたときの第2表示画素の輝度の降下率と、の間の差異は、10%以内であるので、表示装置は、均一な輝度特性の下、映像を表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
上述の実施形態に係る原理は、映像を表示するための表示装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0115】
100・・・・・・・・・・表示パネル
110・・・・・・・・・・表示領域
111・・・・・・・・・・表示画素
111H・・・・・・・・・表示画素
111L・・・・・・・・・表示画素
500・・・・・・・・・・表示装置
D1乃至D3・・・・・・・分割領域
D11乃至D76・・・・・分割領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示装置の製造方法であって、
前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを準備する第1工程と、
前記表示領域を複数の分割領域に区分けする第2工程と、
前記映像を表示するために前記表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する前記表示領域中の温度分布に対応して、前記分割領域ごとにエイジング条件を設定する第3工程と、
前記エイジング条件の下、前記分割領域ごとに前記表示画素をエイジングする第4工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程において、前記表示領域は、前記温度分布の温度域に基づき、前記複数の分割領域に分割されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記表示装置と共通する製造条件下で製造された他の表示装置から前記温度分布に関する分布データを取得する工程を更に含み、
前記エイジング条件は、前記分布データに基づき設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記分布データは、前記共通する製造条件下で製造された他の複数の表示パネルから得られた温度分布の平均データであることを特徴とする請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1工程において準備された前記表示画素が所定の輝度を指示する輝度信号の下において発する処理前輝度よりも、前記第4工程後において前記輝度信号の下、前記表示画素が発する処理後輝度の方が低くなるように、前記エイジング条件が設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記複数の分割領域は、前記熱によって10℃以上の温度上昇が観察される第1分割領域を含み、
前記エイジング条件は、前記第1分割領域の処理前輝度に対して、前記第1分割領域の処理後輝度が5%以上低下するように設定されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記複数の分割領域は、前記熱によって25℃以上の温度上昇が観察される第2分割領域を含み、
前記エイジング条件は、前記第2分割領域の処理前輝度に対して、前記第2分割領域の処理後輝度が14%以上低下するように設定されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の分割領域は、前記熱によって50℃以上の温度上昇が観察される第3分割領域を含み、
前記エイジング条件は、前記第3分割領域の処理前輝度に対して、前記第3分割領域の処理後輝度が32%以上低下するように設定されることを特徴とする請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1工程において、前記表示画素を駆動する駆動部が前記表示パネルに取り付けられ、
前記駆動部は、前記第4工程の後、前記エイジング条件に基づき、前記表示画素を駆動するための信号電流を印加することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記第4工程において、前記表示画素は、該表示画素を発光させる発光処理、前記表示画素を加熱する加熱処理及び前記表示画素を所定の周波数で駆動する駆動処理のうち少なくとも1つのエイジング処理を受けることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記第4工程において、
前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも長い期間、前記少なくとも1つのエイジング処理を受け、
前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも長い期間、前記少なくとも1つのエイジング処理を受けることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記第4工程において、
前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い輝度で発光され、
前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い輝度で発光されることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第4工程において、
前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い温度環境に曝され、
前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い温度環境に曝されることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第4工程において、
前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い周波数で駆動され、
前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い周波数で駆動されることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを備え、
前記表示領域は、第1領域と、前記映像の表示のために前記表示パネルが駆動されている間、前記第1領域よりも高温となる第2領域と、を含み、
前記複数の表示画素は、前記第1領域において前記映像を表示する第1表示画素と、前記第2領域において前記映像を表示する第2表示画素と、を含み、
前記複数の表示画素に亘って所定電流が所定期間印加されたときの前記第1表示画素の輝度の降下率と、前記所定電流が前記所定期間印加されたときの前記第2表示画素の輝度の降下率と、の間の差異は、10%以内であることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
映像を表示する表示装置の製造方法であって、
前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを準備する第1工程と、
前記表示領域を複数の分割領域に区分けする第2工程と、
前記映像を表示するために前記表示パネルを駆動するときに生ずる熱によって発生する前記表示領域中の温度分布に対応して、前記分割領域ごとにエイジング条件を設定する第3工程と、
前記エイジング条件の下、前記分割領域ごとに前記表示画素をエイジングする第4工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程において、前記表示領域は、前記温度分布の温度域に基づき、前記複数の分割領域に分割されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記表示装置と共通する製造条件下で製造された他の表示装置から前記温度分布に関する分布データを取得する工程を更に含み、
前記エイジング条件は、前記分布データに基づき設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記分布データは、前記共通する製造条件下で製造された他の複数の表示パネルから得られた温度分布の平均データであることを特徴とする請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1工程において準備された前記表示画素が所定の輝度を指示する輝度信号の下において発する処理前輝度よりも、前記第4工程後において前記輝度信号の下、前記表示画素が発する処理後輝度の方が低くなるように、前記エイジング条件が設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記複数の分割領域は、前記熱によって10℃以上の温度上昇が観察される第1分割領域を含み、
前記エイジング条件は、前記第1分割領域の処理前輝度に対して、前記第1分割領域の処理後輝度が5%以上低下するように設定されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記複数の分割領域は、前記熱によって25℃以上の温度上昇が観察される第2分割領域を含み、
前記エイジング条件は、前記第2分割領域の処理前輝度に対して、前記第2分割領域の処理後輝度が14%以上低下するように設定されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の分割領域は、前記熱によって50℃以上の温度上昇が観察される第3分割領域を含み、
前記エイジング条件は、前記第3分割領域の処理前輝度に対して、前記第3分割領域の処理後輝度が32%以上低下するように設定されることを特徴とする請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1工程において、前記表示画素を駆動する駆動部が前記表示パネルに取り付けられ、
前記駆動部は、前記第4工程の後、前記エイジング条件に基づき、前記表示画素を駆動するための信号電流を印加することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記第4工程において、前記表示画素は、該表示画素を発光させる発光処理、前記表示画素を加熱する加熱処理及び前記表示画素を所定の周波数で駆動する駆動処理のうち少なくとも1つのエイジング処理を受けることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記第4工程において、
前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも長い期間、前記少なくとも1つのエイジング処理を受け、
前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも長い期間、前記少なくとも1つのエイジング処理を受けることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記第4工程において、
前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い輝度で発光され、
前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い輝度で発光されることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第4工程において、
前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い温度環境に曝され、
前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い温度環境に曝されることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第4工程において、
前記第2分割領域の前記表示画素は、前記第1分割領域の前記表示画素よりも高い周波数で駆動され、
前記第3分割領域の前記表示画素は、前記第2分割領域の前記表示画素よりも高い周波数で駆動されることを特徴とする請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記映像を表示する表示領域を規定する複数の表示画素を含む表示パネルを備え、
前記表示領域は、第1領域と、前記映像の表示のために前記表示パネルが駆動されている間、前記第1領域よりも高温となる第2領域と、を含み、
前記複数の表示画素は、前記第1領域において前記映像を表示する第1表示画素と、前記第2領域において前記映像を表示する第2表示画素と、を含み、
前記複数の表示画素に亘って所定電流が所定期間印加されたときの前記第1表示画素の輝度の降下率と、前記所定電流が前記所定期間印加されたときの前記第2表示画素の輝度の降下率と、の間の差異は、10%以内であることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【公開番号】特開2013−105569(P2013−105569A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247447(P2011−247447)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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