表示装置の評価方法
【課題】表示装置における表示特性を適切に評価することを可能とする表示装置の評価方法を提供する。
【解決手段】視感評価結果を用いて予め設定された所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について、色差の測定値を取得する。色基準画像と色比較画像とを対比表示している表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、表示装置についての色差の検知限界値を求める。色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、この評価パラメータを用いて表示装置の表示特性に関する評価を行う。
【解決手段】視感評価結果を用いて予め設定された所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について、色差の測定値を取得する。色基準画像と色比較画像とを対比表示している表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、表示装置についての色差の検知限界値を求める。色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、この評価パラメータを用いて表示装置の表示特性に関する評価を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カラー映像等を表示する表示装置における色再現特性等の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー映像表示が可能なCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示装置の表示特性について、様々な評価手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−135216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、色依存性のある視感度(色変化に対する視感度)を考慮した評価を行うことにより、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価を実現している。しかしながら、このような色再現特性等の表示特性の評価手法について、更なる改善が望まれる。
【0005】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表示装置における表示特性を適切に評価することを可能とする表示装置の評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置の評価方法は、視感評価結果を用いて予め設定された所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について色差の測定値を取得し、色基準画像と色比較画像とを対比表示している表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、表示装置についての色差の検知限界値を求め、色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、この評価パラメータを用いて表示装置の表示特性に関する評価を行うようにしたものである。
【0007】
本開示の表示装置の評価方法では、評価対象の表示装置について色差の測定値が取得されると共に、その表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、表示装置についての色差の検知限界値が求められる。そして、色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価パラメータ(評価数)が求められ、この評価パラメータを用いて表示装置の表示特性に関する評価が行われる。すなわち、色依存性のある視感度を考慮した色差の検知限界値を用いて得られる評価パラメータに基づいて、表示特性の評価が行われる。これにより、このような色依存性のある視感度を考慮せずに評価を行う場合と比べ、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価が実現される。また、色差の測定値を取得する際に用いられる色基準画像が、視感評価結果を用いて予め設定されたものであるため、ユーザ(視聴者)にとって好ましい表示特性を目標値とした評価結果が得られる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の表示装置の評価方法によれば、評価対象の表示装置について色差の測定値を取得し、その表示装置についての色差の主観評価結果を用いて色依存性のある視感度を考慮した色差の検知限界値を求め、色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、この評価パラメータを用いて表示装置の表示特性に関する評価を行うようにしたので、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価を実現することができる。また、色差の測定値を取得する際の色基準画像として、視感評価結果を用いて予め設定されたものを使用するようにしたので、ユーザにとって好ましい表示特性を目標値とした評価結果を得ることができる。よって、表示装置における表示特性を適切に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の一実施の形態に係る表示装置の評価方法を表す流れ図である。
【図2】表示装置における色差の測定手法について説明するための模式図である。
【図3】図2に示した色差測定の際の測定条件の一例を表す図である。
【図4】色差の測定結果の一例を表す図である。
【図5】測定環境の相違による目標値の変化について説明するための模式図である。
【図6】主観評価実験の際に用いられる画像の一例を表す模式図である。
【図7】主観評価実験結果と検知限色差との関係を説明するための特性図である。
【図8】主観評価実験結果から得られた検知限色差の一例を表す図である。
【図9】表示装置において得られた色再現評価数の一例を表す図である。
【図10】図9に示した色再現評価数を色別に示した図である。
【図11】本開示の適用例に係る表示装置を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(色再現評価数を用いた表示装置の色再現特性の評価方法)
2.適用例(色再現評価数を指標として利用した表示装置)
3.変形例
【0011】
<実施の形態>
[表示装置の評価方法の手順]
図1は、本開示の一実施の形態に係る表示装置の評価方法における主要な処理手順を流れ図で表したものである。本実施の形態の表示装置の評価方法は、カラー映像等を表示する表示装置における表示特性を評価するものであり、ここでは、表示装置における色再現特性を評価するようになっている。
【0012】
(色差の測定値の取得:S11)
この評価方法では、まず、例えば図2(A)に示したように、例えば分光放射輝度計2を用いて、評価対象である表示装置1における色差の測定値(色差ΔE*)を取得する(図1のステップS11)。具体的には、例えば図2(B)に示したように、後述する所定の色基準画像31を表示部10上に表示している表示装置1から、その表示光Loutを分光放射輝度計2によって測色することにより、測定値である色差ΔE*を取得する。
【0013】
この際、色基準画像31のサイズとしては、例えば、縦横比(垂直(V)方向のサイズ/水平(H)方向のサイズ)=1/5程度のものを用いることができ、表示部10における背景色としては、例えば20%程度のグレイ色(灰色)を用いることができる。また、後述するように、この色基準画像31は、表示装置1の表示条件に適合するようにその表示条件に応じて設定された画像となっている。
【0014】
ここで、評価対象である表示装置1としては、例えば、CRTやLCD、PDP、有機ELディスプレイなどの各種の方式によるディスプレイを適用することが可能である。また、このようなディスプレイの適用例としても、TV(Television)やPC(Personal Computer)用のモニター等の種々のものが挙げられる。
【0015】
また、本実施の形態における色差ΔE*とは、視聴者(ユーザ)にとって好ましい色再現(目標値)と、表示装置1における実際の色再現(実測値)との間の色差に対応している。換言すると、ここでは色基準画像31における目標値と実測値との色差に対応している。ここで、この色基準画像31は、人間(被験者)による視感評価(視感実験)の結果(視感評価結果)を用いて予め設定された画像である。このような視感評価の際の環境(評価条件)としては、例えば図3に示したような条件が挙げられる。具体的には、ここでは色基準画像31を設定するための評価画像として、標準的な色票であるマクベスチャートに近似した画像(ここでは、「Face」:肌色(#2)に対応,「Green」:木の葉色(#4)に対応,「Sky」:空色(#3)に対応,の3つの記憶色を用いた画像)を用いている。また、被験者としては、視力が正常な20名(男性10名,女性10名)としている。更に、ユーザによって好ましい色再現(輝度や色度の情報)は、表示条件(視聴時の明るさ等の条件)によって変化する。このため、ここでは一般的なリビング環境(画面照度=100[lx],画面白輝度=約160[cd/m2])と、一般的なホームシアター環境(画面照度=3[lx],画面白輝度=約50[cd/m2])との双方で測定を行っている。
【0016】
より具体的には、本実施の形態における色差ΔE*としては、例えば以下の(1)〜(4)式で示したように、均等色空間を想定したCIELABによる色差(以下説明するCIELAB空間における色差値)を用いることができる。詳細には、まず、分光放射輝度計2により得られる三刺激値X,Y,Zからなる(Xi,Yi,Zi)信号に基づいて、図示しないPCなどからなる画像処理部において、以下の(2)〜(4)式を用いて、(輝度L*,彩度C*,色相H*)を算出する。これらの値は、CIE(国際照明委員会)により規定されたCIE L*C*H*色空間(CIELAB色空間)における値である。このCIELAB色空間は、均等色空間として勧告されており、人間の知覚的な色の見えに対して均等性を考慮した空間となっている。
【0017】
そして、上記画像処理部は、これらの(L*,C*,H*)の値を用いて、以下の(1)式により、色差ΔE*を算出する。なお、(1)〜(4)式中において、L*pref,C*pref,hprefはそれぞれ、色基準画像31における輝度L*,彩度C*,色相H*の目標値(好ましい色再現)を意味している。一方、L*disp,C*disp,hdispはそれぞれ、色基準画像31における輝度L*,彩度C*,色相H*の実測値(実際の色再現)を意味している。
【0018】
【数1】
【0019】
ここで、上記(1)式(色差ΔE*の算出式)では、輝度L*,彩度C*,色相H*の要素ごとに、所定の重み付けが設定されているようにしてもよい。すなわち、(1)式中における(ΔL*)2,(ΔC*)2,(ΔH*)2の各項に、個別の重み付け係数が乗算されているようにしてもよい。このように構成した場合、色差ΔE*の算出の際に輝度L*,彩度C*,色相H*の各要素を個別に取り扱うことになるため、より厳密に色差ΔE*を取り扱うことが可能となる。
【0020】
なお、このようにして得られる色差ΔE*は、表示装置1の画質特性に影響されるため、表示している基準色によって異なる値となる。したがって、表示装置1がTV装置である場合、このときのテレビの画質としては、できるだけ画作りされていない画質モード(例えば、カスタムモードやシネマモードなど)を用いるのが好ましい。
【0021】
このようにして、例えば図4(A)〜(D)に示したような色差ΔE*が得られる。具体的には、図4(A)〜(C)はそれぞれ、前述した「Face」,「Green」,「Sky」の3つの記憶色の近似画像(色基準画像31)と、色差ΔE*における輝度L*,彩度C*,色相H*の各要素(ΔL*,ΔC*,ΔH*)との関係を、前述したリビング環境およびホールシアター環境の各々について示している。また、図4(D)では、図4(A)〜(C)の結果を表にまとめて示している。なお、図4(D)中の太線で示した枠線内の条件は、「ユーザにとって好ましい色再現」がリビング環境とホームシアター環境とで異なっている条件を意味している。
【0022】
また、このようにして得られる色基準画像31(ユーザにとって好ましい色再現を規定する色差ΔE*(ΔL*,ΔC*,ΔH*)の目標値)は、例えば図5(A),(B)に示したように、前述したリビング環境とホールシアター環境とで変化することが分かる。
【0023】
(検知限色差(色差限界値)の取得:S12)
次に、以下説明する所定の主観評価実験の結果(主観評価結果)に基づいて、上記画像処理部は、表示装置1についての色差の検知限界値である検知限色差ΔEkを求める(ステップS12)。この検知限色差ΔEkは、差があることを知覚することができる最小の色差値に対応するものであり、後述するように、色依存性のある人間の視感度を考慮した色差値となっている。
【0024】
ここで、上記した主観評価実験は例えば以下のようにして行う。具体的には、まず例えば図6に示したように、表示装置1の表示部10上に、前述した色基準画像32と、それに対する色比較画像(色変換画像)33とを対比表示させる。色比較画像33としては、例えば、前述したマクベスチャートにおける基準色の8色を用いて、輝度(L軸)、彩度(C軸)および色相(H軸)をそれぞれ、所定間隔で色差ΔEを+(プラス)方向および−(マイナス)方向に変化させることによって作成することができる。ここで、上記したマクベスチャートにおける基準色の8色とは、R(赤)(#15),G(緑)(#14),B(青)(#13)の基本3原色と、肌色(#2),空色(#3),木の葉色(#4)の3つの記憶色と、グレイスケールの階調128(#22),階調64(#23)との合計8色のことである。なお、これらのうちのグレイ色(#22,H23)については、色相は変化しないことから、L軸およびC軸のみを変化させることになる。
【0025】
そして、このようにして得られる複数の色比較画像33を、表示部10上に順次表示させたうえで、実験者は、色基準画像32と色比較画像33との色差ΔEを知覚することができるか否かを随時判断するようにする。具体的には、色基準画像32と色比較画像33とが同じ色である(色差ΔEを知覚することができない)と判断した場合には、手元にあるコントロールスイッチにおいて、“Yes”のボタンを押すようにする。一方、色基準画像32と色比較画像33とが異なる色である(色差ΔEを知覚することができる)と判断した場合には、そのコントロールスイッチにおいて、“No”のボタンを押すようにする。なお、このような複数の色変換画像33の順次表示制御や、実験者による回答結果の集計には、例えば図示しないPCを用いて行うようにする。
【0026】
このような主観評価実験としては、例えば、極限法や恒常法、二重上下法などを用いることができる。これらのうち、ここではばらつき精度を考慮して、二重上下法を用いている。この二重上下法は、上記した色比較画像33を順次表示させる際に、色差ΔEを+→−の順で大きい方向から順に変化させて表示していく方法である。基準点に対して軸上の逆の画像が表示されることから、順番の予測が不可能となるため、得られる結果の信頼性が高い主観評価実験の一つして用いられている。
【0027】
以上のような主観評価実験により、例えば図7に示したような結果(主観評価結果)が得られる。この図7において、横軸は、色比較画像33における色差ΔE(L軸,C軸,H軸に沿った色差)を示している。また、縦軸は、実験者により、色基準画像32と色比較画像33とが同じ色である(色差ΔEを知覚することができない)と判断された確率(同じ色に見える確率)を示しており、全く差が分からない場合を100%、完全に差が分かる場合を0%としている。そして、ここでは図中に示したように、この同じに見える確率が50%となるときの色差ΔEの値を、検知限色差ΔEkとして定義している。なお、図中に示した不感帯ΔE0は、この同じに見える確率が100%となるときの色差ΔEの範囲を表している。
【0028】
ここで図8は、前述した基準色(#2〜#4,#13〜#15,#22,#23の8色)ごとの、L軸,C軸,H軸の各軸に沿った検知限色差ΔEk(L),ΔEk(C),ΔEk(H)と、これら8色での検知限色差の平均値とを表に表したものである。ここで、平均値の求め方としては様々な手法が挙げられ、例えば、相加平均や相乗平均、調和平均などを用いることができる。ただし、本実施の形態では一例として均等色空間を前提としているため、検知限色差の形状は楕円体になると予想し、その半径はユークリッド距離になると思われる。そこで、ここでは、検知限色差の平均値として、以下の(5)式で示したように、各検知限色差ΔEk(L),ΔEk(C),ΔEk(H)についての2乗和ルートの平均値で求めた値(検知限色差ΔEk(√))を用いている。この図8により、色ごとおよび軸ごとによって、検知限色差ΔEkの値がそれぞれ異なっていることが分かる。なお、以下の説明では、検知限色差ΔEkとして、上記した検知限色差ΔEk(√)を用いるものとする。ただし、使用する色空間によっては、平均値を求める手法はこれには限られない。
【0029】
【数2】
【0030】
(色再現評価数FRの算出:S13)
次に、ステップS11において得られた測定値としての色差ΔE*と、ステップS12において得られた検知限色差ΔEkとを用いて、上記画像処理部は、以下説明する評価数(評価パラメータ;好ましい色再現評価数FR)を求める(ステップS13)。なお、これらの色差ΔE*と検知限色差ΔEkとの間で、評価に用いた色が完全に一致していない場合には、同じカテゴリカルカラーに属する色が存在するならば、その色に対応する検知限色差値ΔEkを用いるようにすればよい。
【0031】
この色再現評価数FRは、人間の持つ色の変化に対する感度を考慮した評価数であり、上記した測定値としての色差ΔE*が、検知限色差ΔEkの何倍に相当するのかを尺度として定義したものである。具体的には、色再現評価数FRは、以下の(6)式により規定されている。すなわち、この色再現評価数FRにおいて予め規定されている最高値(100点)から、色差ΔE*と検知限色差ΔEkとの比(色差ΔE*/検知限色差ΔEk)である色差比ΔFと、所定の補正係数(調整係数)である色再現係数aとの乗算値を減算することにより、色再現評価数FRが求められるようになっている。ここで、色再現係数aは、色再現評価数FRの値を調整するための補正係数であり、例えば、色再現評価数FRの平均値(平均点)が80点となるように決定される。このようにして求められる色再現評価数FRは、上記したように、最高値(満点)としての100点を基準として、色差ΔE*の値が大きくなるのに応じて(また、検知限色差ΔEkの値が小さくなるのに応じて)、その値(点数)が減少していくようになっている。
【0032】
【数3】
【0033】
また、このときの上記色差比ΔFでは、例えば以下の(7)式に示したように、輝度L*,彩度C*,色相H*の要素ごとに、所定の重み付けが設定されている。すなわち、(7)式中における(ΔL*/ΔEk(L)),(ΔC*/ΔEk(C)),(ΔH*/ΔEk(H))の各項に、個別の重み付け係数k1,k2,k3が乗算されている。これにより、仮に重み付け係数k1=k2=k3の場合であっても、色差比ΔFの算出の際に輝度L*,彩度C*,色相H*の各要素を個別に取り扱うことになるため、より厳密に色差比ΔFを取り扱うことが可能となる。
【0034】
【数4】
【0035】
このような手法により、例えば図9(A),(B)および図10(A)〜(D)に示したような、色再現評価数FRが得られる。具体的には、図9(A)は、表示装置1の一例(TV装置)としての複数種類の表示装置A〜Hにおける、基準色(#2〜#4,#13〜#15,#22,#23の8色)ごとの色再現評価数FRと、これら8色での色再現評価数FRの平均値FRav8とを表に表したものである。また、図9(B)は、図9(A)に示した各色再現評価数FRをグラフに表したものであり、図10(A)〜(D)は、図9(B)に示したグラフを、表示装置A〜Hごとおよび色別に詳細にグラフ化して表したものである。なお、ここでは、上記した色再現係数a=10として色再現評価数FRを求めている。これらの図9および図10により、表示装置A〜Hごとおよび色ごとによって、色再現評価数FRの値がそれぞれ異なっていることが分かる。
【0036】
(表示特性の評価:S14)
次に、このようにして得られた色再現評価数FRに基づいて(指標値として利用して)、例えば上記画像処理部において、表示装置1における表示特性(ここでは、色再現特性)の評価を行う(ステップS14)。具体的には、ここでは色再現評価数FRの大きさに基づいて、表示装置1における色再現特性の評価を行う。すなわち、この色再現評価数FRの値が大きいほど(100点に近い点数であるほど)、その表示装置1における色再現特性が良いと評価することができる。一方、逆にこの色再現評価数FRの値が小さいほど(0点に近い点数であるほど)、その表示装置1における色再現特性が悪いと評価することができる。
【0037】
例えば、上記した図9および図10の例では、8色での平均値HRav8が80点近くの高い値を示す表示装置がある一方、50点程度の低い値を示す表示装置もあることが分かる。また、例えば表示装置Cでは、基本3原色(赤(#15),緑(#14),青(#13))、記憶色3色(肌色(#2),空色(#3),木の葉色(#4))およびグレイ色2色(#22,#23)のそれぞれについて、色再現評価数FRが平均して高い値を示しており、特に色再現特性が良い表示装置であると言える。
【0038】
このようにして本実施の形態では、評価対象の表示装置1について、測定値としての色差ΔE*が取得される。また、その表示装置1についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、表示装置1についての色差の検知限界値(検知限色差ΔEk)が求められる。そして、これらの色差ΔE*および検知限色差ΔEkを用いて評価パラメータ(色再現評価数FR)が求められ、この色再現評価数FRを用いて表示装置1の表示特性(ここでは色再現特性)の評価が行われる。すなわち、色依存性のある視感度を考慮した検知限界色差ΔEkを用いて得られる色再現評価数FRに基づいて表示特性の評価を行っているため、このような色依存性のある視感度を考慮せずに評価を行っている場合と比べ、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価が実現される。また、色差ΔE*の測定値を取得する際に用いられる色基準画像31が、視感評価結果を用いて予め設定されたものであるため、ユーザ(視聴者)にとって好ましい表示特性を目標値とした評価結果が得られる。
【0039】
以上のように本実施の形態では、評価対象の表示装置1について測定値としての色差ΔE*を取得し、その表示装置1についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した検知限界色差ΔEkを求め、これらの色差ΔE*および検知限色差ΔEkを用いて色再現評価数FRを求め、この色再現評価数FRを用いて表示装置1の表示特性(色再現特性)の評価を行うようにしたので、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価を実現することができる。また、色差ΔE*の測定値を取得する際の色基準画像31として、視感評価結果を用いて予め設定されたものを使用するようにしたので、ユーザにとって好ましい表示特性を目標値とした評価結果を得ることができる。ここで、実際のTV装置等の表示装置において必要とされる色再現は、視聴者に好ましく思われる色再現であり、正確な色再現は必ずしも要求されていない場合がある。これらのことから、本実施の形態の手法を用いることにより、表示装置における表示特性を適切に評価することが可能となる。
【0040】
また、このように得られた色再現評価数FRを用いて、例えばTV装置ごとの正確な色再現特性を比較することにより、どの色の再現性を改善すべきかなどを設計の段階で知ることができ、色作り設計にフィードバックすることが可能となる。一方、表示装置のユーザにとっても、この色再現評価数FRの大小により、例えばどのTV装置の色再現特性が優れているかなどを知ることができるという利点がある。すなわち、色再現特性等の表示特性の尺度を共通化することができるため、設計者および消費者がそれぞれ、共通の物差し(指標)を用いて表示装置の表示特性を比較検討することが可能となる。
【0041】
更に、人間の感覚により合致した客観的な表示特性評価が実現されるため、開発や設計段階での品質評価に用いることにより、開発や設計の効率化を図ることが可能となる。
【0042】
<適用例>
続いて、上記実施の形態に係る表示装置の評価方法の適用例について説明する。
【0043】
図11は、上記実施の形態に係る表示装置の評価方法を利用した表示装置(表示装置4)のブロック構成を表したものである。表示装置4は、上記実施の形態で説明した色再現評価数FRを、後述する映像処理部43の設計の際の指標として利用したものである。この表示装置4は、例えば、MPEG(Moving Picture Expert Group)復号部41、照度センサ42、映像処理部43、表示駆動部44および表示部45を備えている。
【0044】
MPEG復号部41は、MPEG信号からなる映像信号Dinに対してMPEG復号化処理を行うことにより、復号化された映像信号D1を生成するものである。
【0045】
照度センサ42は、表示装置4の外部環境の照度を測定するセンサである。
【0046】
映像処理部43は、映像信号D1と、照度センサ42から出力される照度検出値とを用いて、例えば図中に示したような種々の映像信号処理を行うことにより、映像信号処理後の映像信号D2を生成するものである。この映像処理部43は、上記したように、その設計の際に色再現評価数FRを指標として用いて得られたものである。
【0047】
表示駆動部44は、映像信号D2に基づいて表示部45に対する表示駆動を行うものである。表示部45は、このような表示駆動に応じて、映像信号Dinに基づく映像表示を行うものであり、CRTやLCD、PDP、有機ELディスプレイなどの各種の方式によるディスプレイを用いることが可能である。
【0048】
この表示装置4では、上記色再現評価数FRを設計の際の指標として用いているため、従来と比べ、ユーザにとってより好ましい色再現特性を得ることができる。また、色再現特性としては、このような好ましい色再現特性に加え、正確な(正しい)色再現特性が挙げられるが、本開示の評価手法はそのような色再現手法にも応用することが可能である。
【0049】
<変形例>
以上、実施の形態および適用例を挙げて本開示の技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0050】
例えば、上記実施の形態等では、検知限色差ΔEkを求める際に、色基準画像32と色比較画像33とが同じに見える確率(累積出現数)が50%となるときの色差ΔEとして検知限色差ΔEkを定義したが、この場合には限られない。すなわち、この同じに見える確率が50%以外の値になるときの色差ΔEを、検知限色差ΔEkの値として定義するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態等では、色再現評価数FRを求める際に、前述の(6)式で示したように、色再現係数(補正係数)aを用いる場合について説明したが、場合によってはこの色再現係数aを用いないようにしてもよい。すなわち、色再現評価数FRにおける最高値(100点)から、色差ΔE*と検知限色差ΔEkとの比(色差ΔE*/検知限色差ΔEk)である色差比ΔFそのものを減算することにより、色再現評価数FRを求めるようにしてもよい。
【0052】
更に、上記実施の形態等で説明した色再現評価数FRを用いて、例えば表示装置の視野角特性(視認角特性)や照明環境特性を評価するようにしてもよい。すなわち、上記実施の形態では、表示装置の表示特性の一例としての色再現特性を評価しているが、これには限られず、色再現評価数FRを用いて、表示装置の表示特性の他の例としての視野角特性や照明環境特性を評価するようにしてもよい。具体的には、例えば、表示装置に対する測定(すなわち視認)の際の角度変化に応じた色再現評価数FRの変化量に基づいて、表示装置の視野角特性の評価を行うようにすればよい。また、例えば、評価対象である表示装置の外部環境の照度を変化させつつ色差および検知限色差を取得することにより、照明環境特性の評価を行うようにすればよい。
【0053】
加えて、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。
【0054】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
[1]
視感評価結果を用いて予め設定された所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について、色差の測定値を取得し、
前記色基準画像と色比較画像とを対比表示している前記表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、前記表示装置についての色差の検知限界値を求め、
前記色差の測定値と前記色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、
前記評価パラメータを用いて、前記表示装置の表示特性に関する評価を行う
表示装置の評価方法。
[2]
前記色基準画像は、前記表示装置の表示条件に適合するようにその表示条件に応じて設定された画像である
上記[1]に記載の表示装置の評価方法。
[3]
前記色差は、前記色基準画像における目標値と実測値との色差である
上記[1]または[2]に記載の表示装置の評価方法。
[4]
前記評価パラメータにおいて予め規定されている最高値から、前記色差の測定値と前記色差の検知限界値との比(測定値/検知限界値)である色差比と所定の補正係数との乗算値を減算することにより、前記評価パラメータを求める
上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の表示装置の評価方法。
[5]
前記評価パラメータにおいて予め規定されている最高値から、前記色差の測定値と前記色差の検知限界値との比(測定値/検知限界値)である色差比を減算することにより、前記評価パラメータを求める
上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の表示装置の評価方法。
[6]
CIELAB空間における色差値を用いる
上記[4]または[5]に記載の表示装置の評価方法。
[7]
前記色差および前記色差比では、輝度、彩度および色相の要素ごとに、所定の重み付けが設定されている
上記[6]に記載の表示装置の評価方法。
[8]
前記評価パラメータの大きさに基づいて、前記表示装置の色再現特性の評価を行う
上記[1]ないし[7]のいずれかに記載の表示装置の評価方法。
[9]
前記表示装置に対する測定の際の角度変化に応じた前記評価パラメータの変化量に基づいて、前記表示装置の視野角特性の評価を行う
上記[1]ないし[7]のいずれかに記載の表示装置の評価方法。
【符号の説明】
【0055】
1…表示装置(評価対象)、10…表示部、2…分光放射輝度計、31,32…色基準画像、33…色比較画像(色変換画像)、4…表示装置、41…MPEG復号部、42…照度センサ、43…映像処理部、44…表示駆動部、45…表示部、ΔE,ΔE*,ΔEi…色差、ΔEk,ΔEk(L),ΔEk(C),ΔEk(H),ΔEk(√)…検知限色差(色差の検知限界値)、ΔE0…不感帯、a…色再現係数(補正係数)、FR,FRi…色再現評価数、Lout…表示光、Din,D1,D2…映像信号。
【技術分野】
【0001】
本開示は、カラー映像等を表示する表示装置における色再現特性等の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー映像表示が可能なCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示装置の表示特性について、様々な評価手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−135216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、色依存性のある視感度(色変化に対する視感度)を考慮した評価を行うことにより、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価を実現している。しかしながら、このような色再現特性等の表示特性の評価手法について、更なる改善が望まれる。
【0005】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表示装置における表示特性を適切に評価することを可能とする表示装置の評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置の評価方法は、視感評価結果を用いて予め設定された所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について色差の測定値を取得し、色基準画像と色比較画像とを対比表示している表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、表示装置についての色差の検知限界値を求め、色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、この評価パラメータを用いて表示装置の表示特性に関する評価を行うようにしたものである。
【0007】
本開示の表示装置の評価方法では、評価対象の表示装置について色差の測定値が取得されると共に、その表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、表示装置についての色差の検知限界値が求められる。そして、色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価パラメータ(評価数)が求められ、この評価パラメータを用いて表示装置の表示特性に関する評価が行われる。すなわち、色依存性のある視感度を考慮した色差の検知限界値を用いて得られる評価パラメータに基づいて、表示特性の評価が行われる。これにより、このような色依存性のある視感度を考慮せずに評価を行う場合と比べ、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価が実現される。また、色差の測定値を取得する際に用いられる色基準画像が、視感評価結果を用いて予め設定されたものであるため、ユーザ(視聴者)にとって好ましい表示特性を目標値とした評価結果が得られる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の表示装置の評価方法によれば、評価対象の表示装置について色差の測定値を取得し、その表示装置についての色差の主観評価結果を用いて色依存性のある視感度を考慮した色差の検知限界値を求め、色差の測定値と色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、この評価パラメータを用いて表示装置の表示特性に関する評価を行うようにしたので、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価を実現することができる。また、色差の測定値を取得する際の色基準画像として、視感評価結果を用いて予め設定されたものを使用するようにしたので、ユーザにとって好ましい表示特性を目標値とした評価結果を得ることができる。よって、表示装置における表示特性を適切に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の一実施の形態に係る表示装置の評価方法を表す流れ図である。
【図2】表示装置における色差の測定手法について説明するための模式図である。
【図3】図2に示した色差測定の際の測定条件の一例を表す図である。
【図4】色差の測定結果の一例を表す図である。
【図5】測定環境の相違による目標値の変化について説明するための模式図である。
【図6】主観評価実験の際に用いられる画像の一例を表す模式図である。
【図7】主観評価実験結果と検知限色差との関係を説明するための特性図である。
【図8】主観評価実験結果から得られた検知限色差の一例を表す図である。
【図9】表示装置において得られた色再現評価数の一例を表す図である。
【図10】図9に示した色再現評価数を色別に示した図である。
【図11】本開示の適用例に係る表示装置を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(色再現評価数を用いた表示装置の色再現特性の評価方法)
2.適用例(色再現評価数を指標として利用した表示装置)
3.変形例
【0011】
<実施の形態>
[表示装置の評価方法の手順]
図1は、本開示の一実施の形態に係る表示装置の評価方法における主要な処理手順を流れ図で表したものである。本実施の形態の表示装置の評価方法は、カラー映像等を表示する表示装置における表示特性を評価するものであり、ここでは、表示装置における色再現特性を評価するようになっている。
【0012】
(色差の測定値の取得:S11)
この評価方法では、まず、例えば図2(A)に示したように、例えば分光放射輝度計2を用いて、評価対象である表示装置1における色差の測定値(色差ΔE*)を取得する(図1のステップS11)。具体的には、例えば図2(B)に示したように、後述する所定の色基準画像31を表示部10上に表示している表示装置1から、その表示光Loutを分光放射輝度計2によって測色することにより、測定値である色差ΔE*を取得する。
【0013】
この際、色基準画像31のサイズとしては、例えば、縦横比(垂直(V)方向のサイズ/水平(H)方向のサイズ)=1/5程度のものを用いることができ、表示部10における背景色としては、例えば20%程度のグレイ色(灰色)を用いることができる。また、後述するように、この色基準画像31は、表示装置1の表示条件に適合するようにその表示条件に応じて設定された画像となっている。
【0014】
ここで、評価対象である表示装置1としては、例えば、CRTやLCD、PDP、有機ELディスプレイなどの各種の方式によるディスプレイを適用することが可能である。また、このようなディスプレイの適用例としても、TV(Television)やPC(Personal Computer)用のモニター等の種々のものが挙げられる。
【0015】
また、本実施の形態における色差ΔE*とは、視聴者(ユーザ)にとって好ましい色再現(目標値)と、表示装置1における実際の色再現(実測値)との間の色差に対応している。換言すると、ここでは色基準画像31における目標値と実測値との色差に対応している。ここで、この色基準画像31は、人間(被験者)による視感評価(視感実験)の結果(視感評価結果)を用いて予め設定された画像である。このような視感評価の際の環境(評価条件)としては、例えば図3に示したような条件が挙げられる。具体的には、ここでは色基準画像31を設定するための評価画像として、標準的な色票であるマクベスチャートに近似した画像(ここでは、「Face」:肌色(#2)に対応,「Green」:木の葉色(#4)に対応,「Sky」:空色(#3)に対応,の3つの記憶色を用いた画像)を用いている。また、被験者としては、視力が正常な20名(男性10名,女性10名)としている。更に、ユーザによって好ましい色再現(輝度や色度の情報)は、表示条件(視聴時の明るさ等の条件)によって変化する。このため、ここでは一般的なリビング環境(画面照度=100[lx],画面白輝度=約160[cd/m2])と、一般的なホームシアター環境(画面照度=3[lx],画面白輝度=約50[cd/m2])との双方で測定を行っている。
【0016】
より具体的には、本実施の形態における色差ΔE*としては、例えば以下の(1)〜(4)式で示したように、均等色空間を想定したCIELABによる色差(以下説明するCIELAB空間における色差値)を用いることができる。詳細には、まず、分光放射輝度計2により得られる三刺激値X,Y,Zからなる(Xi,Yi,Zi)信号に基づいて、図示しないPCなどからなる画像処理部において、以下の(2)〜(4)式を用いて、(輝度L*,彩度C*,色相H*)を算出する。これらの値は、CIE(国際照明委員会)により規定されたCIE L*C*H*色空間(CIELAB色空間)における値である。このCIELAB色空間は、均等色空間として勧告されており、人間の知覚的な色の見えに対して均等性を考慮した空間となっている。
【0017】
そして、上記画像処理部は、これらの(L*,C*,H*)の値を用いて、以下の(1)式により、色差ΔE*を算出する。なお、(1)〜(4)式中において、L*pref,C*pref,hprefはそれぞれ、色基準画像31における輝度L*,彩度C*,色相H*の目標値(好ましい色再現)を意味している。一方、L*disp,C*disp,hdispはそれぞれ、色基準画像31における輝度L*,彩度C*,色相H*の実測値(実際の色再現)を意味している。
【0018】
【数1】
【0019】
ここで、上記(1)式(色差ΔE*の算出式)では、輝度L*,彩度C*,色相H*の要素ごとに、所定の重み付けが設定されているようにしてもよい。すなわち、(1)式中における(ΔL*)2,(ΔC*)2,(ΔH*)2の各項に、個別の重み付け係数が乗算されているようにしてもよい。このように構成した場合、色差ΔE*の算出の際に輝度L*,彩度C*,色相H*の各要素を個別に取り扱うことになるため、より厳密に色差ΔE*を取り扱うことが可能となる。
【0020】
なお、このようにして得られる色差ΔE*は、表示装置1の画質特性に影響されるため、表示している基準色によって異なる値となる。したがって、表示装置1がTV装置である場合、このときのテレビの画質としては、できるだけ画作りされていない画質モード(例えば、カスタムモードやシネマモードなど)を用いるのが好ましい。
【0021】
このようにして、例えば図4(A)〜(D)に示したような色差ΔE*が得られる。具体的には、図4(A)〜(C)はそれぞれ、前述した「Face」,「Green」,「Sky」の3つの記憶色の近似画像(色基準画像31)と、色差ΔE*における輝度L*,彩度C*,色相H*の各要素(ΔL*,ΔC*,ΔH*)との関係を、前述したリビング環境およびホールシアター環境の各々について示している。また、図4(D)では、図4(A)〜(C)の結果を表にまとめて示している。なお、図4(D)中の太線で示した枠線内の条件は、「ユーザにとって好ましい色再現」がリビング環境とホームシアター環境とで異なっている条件を意味している。
【0022】
また、このようにして得られる色基準画像31(ユーザにとって好ましい色再現を規定する色差ΔE*(ΔL*,ΔC*,ΔH*)の目標値)は、例えば図5(A),(B)に示したように、前述したリビング環境とホールシアター環境とで変化することが分かる。
【0023】
(検知限色差(色差限界値)の取得:S12)
次に、以下説明する所定の主観評価実験の結果(主観評価結果)に基づいて、上記画像処理部は、表示装置1についての色差の検知限界値である検知限色差ΔEkを求める(ステップS12)。この検知限色差ΔEkは、差があることを知覚することができる最小の色差値に対応するものであり、後述するように、色依存性のある人間の視感度を考慮した色差値となっている。
【0024】
ここで、上記した主観評価実験は例えば以下のようにして行う。具体的には、まず例えば図6に示したように、表示装置1の表示部10上に、前述した色基準画像32と、それに対する色比較画像(色変換画像)33とを対比表示させる。色比較画像33としては、例えば、前述したマクベスチャートにおける基準色の8色を用いて、輝度(L軸)、彩度(C軸)および色相(H軸)をそれぞれ、所定間隔で色差ΔEを+(プラス)方向および−(マイナス)方向に変化させることによって作成することができる。ここで、上記したマクベスチャートにおける基準色の8色とは、R(赤)(#15),G(緑)(#14),B(青)(#13)の基本3原色と、肌色(#2),空色(#3),木の葉色(#4)の3つの記憶色と、グレイスケールの階調128(#22),階調64(#23)との合計8色のことである。なお、これらのうちのグレイ色(#22,H23)については、色相は変化しないことから、L軸およびC軸のみを変化させることになる。
【0025】
そして、このようにして得られる複数の色比較画像33を、表示部10上に順次表示させたうえで、実験者は、色基準画像32と色比較画像33との色差ΔEを知覚することができるか否かを随時判断するようにする。具体的には、色基準画像32と色比較画像33とが同じ色である(色差ΔEを知覚することができない)と判断した場合には、手元にあるコントロールスイッチにおいて、“Yes”のボタンを押すようにする。一方、色基準画像32と色比較画像33とが異なる色である(色差ΔEを知覚することができる)と判断した場合には、そのコントロールスイッチにおいて、“No”のボタンを押すようにする。なお、このような複数の色変換画像33の順次表示制御や、実験者による回答結果の集計には、例えば図示しないPCを用いて行うようにする。
【0026】
このような主観評価実験としては、例えば、極限法や恒常法、二重上下法などを用いることができる。これらのうち、ここではばらつき精度を考慮して、二重上下法を用いている。この二重上下法は、上記した色比較画像33を順次表示させる際に、色差ΔEを+→−の順で大きい方向から順に変化させて表示していく方法である。基準点に対して軸上の逆の画像が表示されることから、順番の予測が不可能となるため、得られる結果の信頼性が高い主観評価実験の一つして用いられている。
【0027】
以上のような主観評価実験により、例えば図7に示したような結果(主観評価結果)が得られる。この図7において、横軸は、色比較画像33における色差ΔE(L軸,C軸,H軸に沿った色差)を示している。また、縦軸は、実験者により、色基準画像32と色比較画像33とが同じ色である(色差ΔEを知覚することができない)と判断された確率(同じ色に見える確率)を示しており、全く差が分からない場合を100%、完全に差が分かる場合を0%としている。そして、ここでは図中に示したように、この同じに見える確率が50%となるときの色差ΔEの値を、検知限色差ΔEkとして定義している。なお、図中に示した不感帯ΔE0は、この同じに見える確率が100%となるときの色差ΔEの範囲を表している。
【0028】
ここで図8は、前述した基準色(#2〜#4,#13〜#15,#22,#23の8色)ごとの、L軸,C軸,H軸の各軸に沿った検知限色差ΔEk(L),ΔEk(C),ΔEk(H)と、これら8色での検知限色差の平均値とを表に表したものである。ここで、平均値の求め方としては様々な手法が挙げられ、例えば、相加平均や相乗平均、調和平均などを用いることができる。ただし、本実施の形態では一例として均等色空間を前提としているため、検知限色差の形状は楕円体になると予想し、その半径はユークリッド距離になると思われる。そこで、ここでは、検知限色差の平均値として、以下の(5)式で示したように、各検知限色差ΔEk(L),ΔEk(C),ΔEk(H)についての2乗和ルートの平均値で求めた値(検知限色差ΔEk(√))を用いている。この図8により、色ごとおよび軸ごとによって、検知限色差ΔEkの値がそれぞれ異なっていることが分かる。なお、以下の説明では、検知限色差ΔEkとして、上記した検知限色差ΔEk(√)を用いるものとする。ただし、使用する色空間によっては、平均値を求める手法はこれには限られない。
【0029】
【数2】
【0030】
(色再現評価数FRの算出:S13)
次に、ステップS11において得られた測定値としての色差ΔE*と、ステップS12において得られた検知限色差ΔEkとを用いて、上記画像処理部は、以下説明する評価数(評価パラメータ;好ましい色再現評価数FR)を求める(ステップS13)。なお、これらの色差ΔE*と検知限色差ΔEkとの間で、評価に用いた色が完全に一致していない場合には、同じカテゴリカルカラーに属する色が存在するならば、その色に対応する検知限色差値ΔEkを用いるようにすればよい。
【0031】
この色再現評価数FRは、人間の持つ色の変化に対する感度を考慮した評価数であり、上記した測定値としての色差ΔE*が、検知限色差ΔEkの何倍に相当するのかを尺度として定義したものである。具体的には、色再現評価数FRは、以下の(6)式により規定されている。すなわち、この色再現評価数FRにおいて予め規定されている最高値(100点)から、色差ΔE*と検知限色差ΔEkとの比(色差ΔE*/検知限色差ΔEk)である色差比ΔFと、所定の補正係数(調整係数)である色再現係数aとの乗算値を減算することにより、色再現評価数FRが求められるようになっている。ここで、色再現係数aは、色再現評価数FRの値を調整するための補正係数であり、例えば、色再現評価数FRの平均値(平均点)が80点となるように決定される。このようにして求められる色再現評価数FRは、上記したように、最高値(満点)としての100点を基準として、色差ΔE*の値が大きくなるのに応じて(また、検知限色差ΔEkの値が小さくなるのに応じて)、その値(点数)が減少していくようになっている。
【0032】
【数3】
【0033】
また、このときの上記色差比ΔFでは、例えば以下の(7)式に示したように、輝度L*,彩度C*,色相H*の要素ごとに、所定の重み付けが設定されている。すなわち、(7)式中における(ΔL*/ΔEk(L)),(ΔC*/ΔEk(C)),(ΔH*/ΔEk(H))の各項に、個別の重み付け係数k1,k2,k3が乗算されている。これにより、仮に重み付け係数k1=k2=k3の場合であっても、色差比ΔFの算出の際に輝度L*,彩度C*,色相H*の各要素を個別に取り扱うことになるため、より厳密に色差比ΔFを取り扱うことが可能となる。
【0034】
【数4】
【0035】
このような手法により、例えば図9(A),(B)および図10(A)〜(D)に示したような、色再現評価数FRが得られる。具体的には、図9(A)は、表示装置1の一例(TV装置)としての複数種類の表示装置A〜Hにおける、基準色(#2〜#4,#13〜#15,#22,#23の8色)ごとの色再現評価数FRと、これら8色での色再現評価数FRの平均値FRav8とを表に表したものである。また、図9(B)は、図9(A)に示した各色再現評価数FRをグラフに表したものであり、図10(A)〜(D)は、図9(B)に示したグラフを、表示装置A〜Hごとおよび色別に詳細にグラフ化して表したものである。なお、ここでは、上記した色再現係数a=10として色再現評価数FRを求めている。これらの図9および図10により、表示装置A〜Hごとおよび色ごとによって、色再現評価数FRの値がそれぞれ異なっていることが分かる。
【0036】
(表示特性の評価:S14)
次に、このようにして得られた色再現評価数FRに基づいて(指標値として利用して)、例えば上記画像処理部において、表示装置1における表示特性(ここでは、色再現特性)の評価を行う(ステップS14)。具体的には、ここでは色再現評価数FRの大きさに基づいて、表示装置1における色再現特性の評価を行う。すなわち、この色再現評価数FRの値が大きいほど(100点に近い点数であるほど)、その表示装置1における色再現特性が良いと評価することができる。一方、逆にこの色再現評価数FRの値が小さいほど(0点に近い点数であるほど)、その表示装置1における色再現特性が悪いと評価することができる。
【0037】
例えば、上記した図9および図10の例では、8色での平均値HRav8が80点近くの高い値を示す表示装置がある一方、50点程度の低い値を示す表示装置もあることが分かる。また、例えば表示装置Cでは、基本3原色(赤(#15),緑(#14),青(#13))、記憶色3色(肌色(#2),空色(#3),木の葉色(#4))およびグレイ色2色(#22,#23)のそれぞれについて、色再現評価数FRが平均して高い値を示しており、特に色再現特性が良い表示装置であると言える。
【0038】
このようにして本実施の形態では、評価対象の表示装置1について、測定値としての色差ΔE*が取得される。また、その表示装置1についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、表示装置1についての色差の検知限界値(検知限色差ΔEk)が求められる。そして、これらの色差ΔE*および検知限色差ΔEkを用いて評価パラメータ(色再現評価数FR)が求められ、この色再現評価数FRを用いて表示装置1の表示特性(ここでは色再現特性)の評価が行われる。すなわち、色依存性のある視感度を考慮した検知限界色差ΔEkを用いて得られる色再現評価数FRに基づいて表示特性の評価を行っているため、このような色依存性のある視感度を考慮せずに評価を行っている場合と比べ、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価が実現される。また、色差ΔE*の測定値を取得する際に用いられる色基準画像31が、視感評価結果を用いて予め設定されたものであるため、ユーザ(視聴者)にとって好ましい表示特性を目標値とした評価結果が得られる。
【0039】
以上のように本実施の形態では、評価対象の表示装置1について測定値としての色差ΔE*を取得し、その表示装置1についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した検知限界色差ΔEkを求め、これらの色差ΔE*および検知限色差ΔEkを用いて色再現評価数FRを求め、この色再現評価数FRを用いて表示装置1の表示特性(色再現特性)の評価を行うようにしたので、人間の感覚に合致した客観的な表示特性評価を実現することができる。また、色差ΔE*の測定値を取得する際の色基準画像31として、視感評価結果を用いて予め設定されたものを使用するようにしたので、ユーザにとって好ましい表示特性を目標値とした評価結果を得ることができる。ここで、実際のTV装置等の表示装置において必要とされる色再現は、視聴者に好ましく思われる色再現であり、正確な色再現は必ずしも要求されていない場合がある。これらのことから、本実施の形態の手法を用いることにより、表示装置における表示特性を適切に評価することが可能となる。
【0040】
また、このように得られた色再現評価数FRを用いて、例えばTV装置ごとの正確な色再現特性を比較することにより、どの色の再現性を改善すべきかなどを設計の段階で知ることができ、色作り設計にフィードバックすることが可能となる。一方、表示装置のユーザにとっても、この色再現評価数FRの大小により、例えばどのTV装置の色再現特性が優れているかなどを知ることができるという利点がある。すなわち、色再現特性等の表示特性の尺度を共通化することができるため、設計者および消費者がそれぞれ、共通の物差し(指標)を用いて表示装置の表示特性を比較検討することが可能となる。
【0041】
更に、人間の感覚により合致した客観的な表示特性評価が実現されるため、開発や設計段階での品質評価に用いることにより、開発や設計の効率化を図ることが可能となる。
【0042】
<適用例>
続いて、上記実施の形態に係る表示装置の評価方法の適用例について説明する。
【0043】
図11は、上記実施の形態に係る表示装置の評価方法を利用した表示装置(表示装置4)のブロック構成を表したものである。表示装置4は、上記実施の形態で説明した色再現評価数FRを、後述する映像処理部43の設計の際の指標として利用したものである。この表示装置4は、例えば、MPEG(Moving Picture Expert Group)復号部41、照度センサ42、映像処理部43、表示駆動部44および表示部45を備えている。
【0044】
MPEG復号部41は、MPEG信号からなる映像信号Dinに対してMPEG復号化処理を行うことにより、復号化された映像信号D1を生成するものである。
【0045】
照度センサ42は、表示装置4の外部環境の照度を測定するセンサである。
【0046】
映像処理部43は、映像信号D1と、照度センサ42から出力される照度検出値とを用いて、例えば図中に示したような種々の映像信号処理を行うことにより、映像信号処理後の映像信号D2を生成するものである。この映像処理部43は、上記したように、その設計の際に色再現評価数FRを指標として用いて得られたものである。
【0047】
表示駆動部44は、映像信号D2に基づいて表示部45に対する表示駆動を行うものである。表示部45は、このような表示駆動に応じて、映像信号Dinに基づく映像表示を行うものであり、CRTやLCD、PDP、有機ELディスプレイなどの各種の方式によるディスプレイを用いることが可能である。
【0048】
この表示装置4では、上記色再現評価数FRを設計の際の指標として用いているため、従来と比べ、ユーザにとってより好ましい色再現特性を得ることができる。また、色再現特性としては、このような好ましい色再現特性に加え、正確な(正しい)色再現特性が挙げられるが、本開示の評価手法はそのような色再現手法にも応用することが可能である。
【0049】
<変形例>
以上、実施の形態および適用例を挙げて本開示の技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0050】
例えば、上記実施の形態等では、検知限色差ΔEkを求める際に、色基準画像32と色比較画像33とが同じに見える確率(累積出現数)が50%となるときの色差ΔEとして検知限色差ΔEkを定義したが、この場合には限られない。すなわち、この同じに見える確率が50%以外の値になるときの色差ΔEを、検知限色差ΔEkの値として定義するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態等では、色再現評価数FRを求める際に、前述の(6)式で示したように、色再現係数(補正係数)aを用いる場合について説明したが、場合によってはこの色再現係数aを用いないようにしてもよい。すなわち、色再現評価数FRにおける最高値(100点)から、色差ΔE*と検知限色差ΔEkとの比(色差ΔE*/検知限色差ΔEk)である色差比ΔFそのものを減算することにより、色再現評価数FRを求めるようにしてもよい。
【0052】
更に、上記実施の形態等で説明した色再現評価数FRを用いて、例えば表示装置の視野角特性(視認角特性)や照明環境特性を評価するようにしてもよい。すなわち、上記実施の形態では、表示装置の表示特性の一例としての色再現特性を評価しているが、これには限られず、色再現評価数FRを用いて、表示装置の表示特性の他の例としての視野角特性や照明環境特性を評価するようにしてもよい。具体的には、例えば、表示装置に対する測定(すなわち視認)の際の角度変化に応じた色再現評価数FRの変化量に基づいて、表示装置の視野角特性の評価を行うようにすればよい。また、例えば、評価対象である表示装置の外部環境の照度を変化させつつ色差および検知限色差を取得することにより、照明環境特性の評価を行うようにすればよい。
【0053】
加えて、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。
【0054】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
[1]
視感評価結果を用いて予め設定された所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について、色差の測定値を取得し、
前記色基準画像と色比較画像とを対比表示している前記表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、前記表示装置についての色差の検知限界値を求め、
前記色差の測定値と前記色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、
前記評価パラメータを用いて、前記表示装置の表示特性に関する評価を行う
表示装置の評価方法。
[2]
前記色基準画像は、前記表示装置の表示条件に適合するようにその表示条件に応じて設定された画像である
上記[1]に記載の表示装置の評価方法。
[3]
前記色差は、前記色基準画像における目標値と実測値との色差である
上記[1]または[2]に記載の表示装置の評価方法。
[4]
前記評価パラメータにおいて予め規定されている最高値から、前記色差の測定値と前記色差の検知限界値との比(測定値/検知限界値)である色差比と所定の補正係数との乗算値を減算することにより、前記評価パラメータを求める
上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の表示装置の評価方法。
[5]
前記評価パラメータにおいて予め規定されている最高値から、前記色差の測定値と前記色差の検知限界値との比(測定値/検知限界値)である色差比を減算することにより、前記評価パラメータを求める
上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の表示装置の評価方法。
[6]
CIELAB空間における色差値を用いる
上記[4]または[5]に記載の表示装置の評価方法。
[7]
前記色差および前記色差比では、輝度、彩度および色相の要素ごとに、所定の重み付けが設定されている
上記[6]に記載の表示装置の評価方法。
[8]
前記評価パラメータの大きさに基づいて、前記表示装置の色再現特性の評価を行う
上記[1]ないし[7]のいずれかに記載の表示装置の評価方法。
[9]
前記表示装置に対する測定の際の角度変化に応じた前記評価パラメータの変化量に基づいて、前記表示装置の視野角特性の評価を行う
上記[1]ないし[7]のいずれかに記載の表示装置の評価方法。
【符号の説明】
【0055】
1…表示装置(評価対象)、10…表示部、2…分光放射輝度計、31,32…色基準画像、33…色比較画像(色変換画像)、4…表示装置、41…MPEG復号部、42…照度センサ、43…映像処理部、44…表示駆動部、45…表示部、ΔE,ΔE*,ΔEi…色差、ΔEk,ΔEk(L),ΔEk(C),ΔEk(H),ΔEk(√)…検知限色差(色差の検知限界値)、ΔE0…不感帯、a…色再現係数(補正係数)、FR,FRi…色再現評価数、Lout…表示光、Din,D1,D2…映像信号。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視感評価結果を用いて予め設定された所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について、色差の測定値を取得し、
前記色基準画像と色比較画像とを対比表示している前記表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、前記表示装置についての色差の検知限界値を求め、
前記色差の測定値と前記色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、
前記評価パラメータを用いて、前記表示装置の表示特性に関する評価を行う
表示装置の評価方法。
【請求項2】
前記色基準画像は、前記表示装置の表示条件に適合するようにその表示条件に応じて設定された画像である
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項3】
前記色差は、前記色基準画像における目標値と実測値との色差である
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項4】
前記評価パラメータにおいて予め規定されている最高値から、前記色差の測定値と前記色差の検知限界値との比(測定値/検知限界値)である色差比と所定の補正係数との乗算値を減算することにより、前記評価パラメータを求める
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項5】
前記評価パラメータにおいて予め規定されている最高値から、前記色差の測定値と前記色差の検知限界値との比(測定値/検知限界値)である色差比を減算することにより、前記評価パラメータを求める
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項6】
CIELAB空間における色差値を用いる
請求項4に記載の表示装置の評価方法。
【請求項7】
前記色差および前記色差比では、輝度、彩度および色相の要素ごとに、所定の重み付けが設定されている
請求項6に記載の表示装置の評価方法。
【請求項8】
前記評価パラメータの大きさに基づいて、前記表示装置の色再現特性の評価を行う
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項9】
前記表示装置に対する測定の際の角度変化に応じた前記評価パラメータの変化量に基づいて、前記表示装置の視野角特性の評価を行う
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項1】
視感評価結果を用いて予め設定された所定の色基準画像を表示している評価対象の表示装置について、色差の測定値を取得し、
前記色基準画像と色比較画像とを対比表示している前記表示装置についての色差の主観評価結果を用いて、色依存性のある視感度を考慮した、前記表示装置についての色差の検知限界値を求め、
前記色差の測定値と前記色差の検知限界値とを用いて評価パラメータを求め、
前記評価パラメータを用いて、前記表示装置の表示特性に関する評価を行う
表示装置の評価方法。
【請求項2】
前記色基準画像は、前記表示装置の表示条件に適合するようにその表示条件に応じて設定された画像である
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項3】
前記色差は、前記色基準画像における目標値と実測値との色差である
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項4】
前記評価パラメータにおいて予め規定されている最高値から、前記色差の測定値と前記色差の検知限界値との比(測定値/検知限界値)である色差比と所定の補正係数との乗算値を減算することにより、前記評価パラメータを求める
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項5】
前記評価パラメータにおいて予め規定されている最高値から、前記色差の測定値と前記色差の検知限界値との比(測定値/検知限界値)である色差比を減算することにより、前記評価パラメータを求める
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項6】
CIELAB空間における色差値を用いる
請求項4に記載の表示装置の評価方法。
【請求項7】
前記色差および前記色差比では、輝度、彩度および色相の要素ごとに、所定の重み付けが設定されている
請求項6に記載の表示装置の評価方法。
【請求項8】
前記評価パラメータの大きさに基づいて、前記表示装置の色再現特性の評価を行う
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【請求項9】
前記表示装置に対する測定の際の角度変化に応じた前記評価パラメータの変化量に基づいて、前記表示装置の視野角特性の評価を行う
請求項1に記載の表示装置の評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−98900(P2013−98900A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242175(P2011−242175)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]