説明

表記認識による駐車状況通知装置

【課題】カメラが撮影している物理的な方向を検知することが不要な駐車状況通知装置を提供する。
【解決手段】映像信号受信部12は駐車する車両で隠れる駐車区画番号41〜48を撮影するカメラ2からの映像信号を受信し、表記認識部13は受信した映像信号からカメラ2が撮影した駐車区画番号を認識し、制御部10は認識した駐車区画番号の状況から各駐車区画の駐車状況を判定し、情報送信部15は駐車状況に係る情報を表示装置3または所定の宛先へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車する車両の1台毎の区画である駐車区画が複数存在する駐車場において、各駐車区画に車両が駐車しているか否かに係る駐車状況を通知する駐車状況通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車区画が多い駐車場において、駐車場内の空き駐車区画を検知してドライバや駐車場管理者に通知するために、CCDカメラ等で駐車場の上方から全駐車区画を撮影し、コンピュータによる映像処理技術を駆使して各駐車区画に車両が駐車しているか否かを検知する技術がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載されている技術は、駐車場内の複数の駐車区画を撮像するカメラによって撮影した映像から、映像処理により前記駐車区画における駐車・空車判定を行う駐車場の駐/空車判定方法であって、具体的な映像処理としては、駐車区画映像を分割し、複数の分割領域について、駐車車両の映像がかぶる区域と、駐車路面が露出する区域が存在する分割領域を選択し、該選択された領域で相対的な輝度比較を行い、駐車車両の映像がかぶる区域の有無によって、当該駐車区画に車両が駐車しているか否かを判定するものである。
【0004】
しかしながら、この技術は、カメラが向いている駐車区画に車両が駐車しているか否かを映像処理により判定しているが、どの駐車区画についての判定であるかは映像処理では分らない。従って、カメラがどの駐車区画を撮影しているかを知っていることが前提となっており、複数の駐車区画を少数のカメラで撮影する場合、各カメラが撮影している方向(アングル)を検知し、その検知したカメラの方向と映像処理を連携して処理する必要があり、処理が複雑であった。また、カメラを設置する際に、カメラの基準となるアングル調整等が面倒であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−126192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、カメラが撮影している物理的な方向を検知することが不要な駐車状況通知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、駐車する車両の1台毎の区画である駐車区画が複数存在する駐車場における駐車状況通知装置であって、前記駐車区画の所定の箇所に表示されている当該駐車区画を識別する文字または数字または記号による表記を撮影する1以上のカメラから映像信号を受信する映像信号受信手段と、前記受信した映像信号から前記カメラが撮影した表記を認識する表記認識手段と、前記表記認識手段が認識した表記に応じて前記駐車区画の各々の駐車状況を判定する駐車状況判定手段と、前記駐車状況判定手段が判定した駐車状況に係る情報を自装置が備える表示部または所定の情報表示装置または所定の宛先へ通知する駐車状況通知手段と、を有し、前記駐車状況判定手段は、前記表記認識手段が前記表記を認識した場合に当該駐車区画には車両が駐車していないと判定し、前記表記認識手段が前記表記を認識しない場合に当該駐車区画には車両が駐車していると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、映像信号の解析により、駐車中か否かに加え、当該駐車区画を識別する表記を認識するので、カメラが撮影している物理的な方向を検知することが不要な駐車状況通知装置を提供することが出来る。
【0009】
これにより、本駐車状況通知装置と連携するカメラは既に設置されている監視カメラ等を流用することも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明装置の内部ブロック構成図および駐車場の全体図
【図2】駐車状況記憶部14に記憶されているデータの例
【図3】本発明装置の動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(実施例)について、図面を用いて説明する。図1は、本発明装置の内部ブロック構成図および駐車場の全体図であり、1は本発明による駐車状況通知装置(以下、本装置と略す)、2はカメラ、3は表示装置、4は駐車区画群である。
【0012】
この駐車区画群4は車両8台分の駐車区画から成る例であり、各駐車区画には駐車区画を識別する駐車区画番号41〜48(表記は101〜108)が路上に表示されている。
【0013】
なお、この駐車区画を識別する表記は、数字(番号)以外に、文字や記号による表記であってもよい。また表記する場所は路上以外(例えば、弊や看板)でもよく、要は、駐車中の車両でその表記がカメラ2の向きに対して隠れる位置関係であればよい。
【0014】
各駐車区画に車両53〜57が駐車すると、駐車区画番号43〜47(表記は103〜107)は車両53〜57により隠れ、カメラ2から見て死角になる。
【0015】
カメラ2は、駐車区画4を上方から、アングルを変えながら、またはズーム調整して全駐車区画を撮影し、撮影した映像を本装置1へ送信する。図1の例では、車両53〜57が駐車している駐車区画番号43〜47(表記は103〜107)は、車両53〜57で隠れるので、カメラ2にはその駐車区画番号43〜47である表記(103〜107)が映らない。本装置1は、その表記が映らない駐車区画番号43〜47は車両が駐車中であると判定する。
【0016】
カメラ2が1台の場合は、遠隔操作によりアングルおよびズームを制御して、駐車区画群4の全体を空間的にスキャンするようにすればよい。また、カメラ2を複数設置して、駐車区画群4の全体を空間的に分割して各カメラが各分割した領域を撮影するようにしてもよい。
【0017】
本装置1は、制御部10、カメラ制御部11、映像信号受信部12、表記認識部13、駐車状況記憶部14、情報送信部15、車両番号認識部16、契約車両登録部17から構成されている。
【0018】
制御部10は、表記認識部13から通知される情報と駐車状況記憶部14に記憶されている情報から駐車状況を判定すると共に、本装置1の全体の制御を行っている。
【0019】
カメラ制御部11は、カメラ2の制御を行っている。映像信号受信部12は、前記カメラ2からの映像を受信し、表記認識部13及び車両認識部16へ映像信号を転送する。
【0020】
表記認識部13は、映像信号受信部12からの映像信号を元に駐車区画番号41〜48(表記は101〜108)を認識し、認識結果を制御部10へ通知する。
【0021】
車両番号認識部16は、映像信号受信部12からの映像信号を元に駐車中の車両のナンバープレート63〜67から車両番号を認識し、認識結果を制御部10へ通知する。
【0022】
駐車状況記憶部14は、制御部10から通知される駐車区画群4の各駐車区画の駐車状況を記憶している。
【0023】
契約車両登録部17には、駐車区画群4の各駐車区画に対応して、月極めの駐車契約をしている車両の車両番号が登録されている。
【0024】
情報送信部15は、制御部10から通知される駐車区画群4の各駐車区画の駐車状況に係る情報を表示装置3へ送信する。また、駐車契約違反のアラームを通報先(図示せず)へ通報する。
【0025】
表示装置3は、情報送信部15から受信した情報を元に各駐車区画の空き状況を表示する。この表示装置3は、例えば、駐車場の入り口に設置された大型の液晶ディスプレイであって、駐車しようとする車両の運転手は、この表示内容を見て、空いている駐車区画を確認する。なお、表示装置3は、本装置1と一体化してもよい。
【0026】
図2は、駐車状況記憶部14に記憶されているデータの例であり、列141は駐車区画番号、列142は種別(月極め、時間貸)、列143は状態(空き、駐車中)、列144は駐車中の車両の車両番号を示している。
【0027】
図2の例では、駐車区画番号41(表記は101)〜43(表記は103)が月極めの駐車区画であり、それ以外は時間貸しの駐車区画である。そして、月極めの駐車区画番号43(表記は103)に駐車している車両の車両番号(群馬1234)が列144に記憶されている。
【0028】
制御部10は、この車両番号(群馬1234)が契約車両登録部17に登録されている車両番号でなかった場合に、情報送信部15を介して、通報先(例えば管理センタ)へアラームを通報する。なお、図2では、時間貸しの駐車区画に駐車している車両の車両番号は認識していないが、これらの車両の車両番号も認識して、列144に記憶するようにしてもよい。
【0029】
図3は、本装置1の動作フローチャートである。以下、図1および図2を併用して本装置1の動作フローを説明する。本フローは、本装置1と、カメラ2と、表示装置3の電源が投入された状態でスタートする(S300)。
【0030】
本装置1は、カメラ制御部11を介してカメラ2のアングルやズームを制御し、カメラ2が駐車区画群4の全駐車区画番号41〜48(表記は101〜108)を撮影した映像信号を映像信号受信部12で受信する(S310)。
【0031】
受信した映像信号は表記認識部13へ転送され、表記認識部13は、転送されてきた映像信号を映像処理し、駐車区画番号41〜48に対応する表記101〜108のいずれかに対応するイメージデータを認識したか否かを判定する(S320)。
【0032】
この認識は、例えば、表記認識部13内に予め登録してある駐車区画番号41〜48の表記のイメージデータ(図示せず)とパターンマッチング処理し、略一致する表記を抽出するようにすればよい。
【0033】
また、駐車区画番号41〜48に対応する表記101〜108の近傍に、駐車区画を識別する2次元バーコードを路面に記載しておき、この2次元バーコードを撮影した映像データを分析して、駐車区画番号41〜48に対応するコードデータを抽出するようにしてもよい。
【0034】
駐車区画番号41〜48に対応する表記101〜108のいずれかにも対応する表記を認識しない場合(S320,No)、本装置1は、全駐車区画に車両が駐車中であると判断し、満杯である旨を、情報送信部15を介して所定の宛先(例えば、満杯表示灯)へ通報し(S321)、S360へ進む。
【0035】
駐車区画番号41〜48に対応する表記101〜108のいずれかに対応する表記を認識した場合(S320,Yes)、認識した表記に対応する駐車区画の状態を空きとして駐車状況記憶部14に記憶すると共に(S322)、認識しなくなった表記の有無を判定する(S323)。認識しなくなった表記が無ければ(S323,No)、S360へ進む。
【0036】
認識しなくなった表記が有れば(S323,Yes)、認識しなくなった表記に対応する駐車区画を特定し、その区画を駐車中の状態として駐車状況記憶部14に記憶する(S324)。この認識しなくなった駐車区画の特定は、例えば、駐車状況記憶部14に記憶されているデータとの差分をチェックすれば容易に特定可能である。
【0037】
契約車両登録部17を参照し、特定した駐車区画の種別が時間貸であれば、即ち、月極めでなければ(S330,No)、S360へ進む。
【0038】
種別が月極めであれば(S330,Yes)、車両番号認識部16は、駐車中の車両の車両番号を認識する(S331)。この際、カメラ制御部11により、カメラ2のアングルを制御して、その車両のナンバープレートをズームアップするようにしてもよい。
【0039】
そして、制御部10は、契約車両登録部17を参照して、車両番号認識部16が認識した車両番号が契約車両であるか否かを判定する(S340)。契約車両であれば(S340,Yes)、S360へ進む。
【0040】
契約車両でなければ(S340,No)、通報先(例えば、管理センタ)へ、情報送信部15を介してアラームを通報する(S350)。
【0041】
以上の処理を実行した後、制御部10は、駐車状況記憶部14に記憶されている現在の駐車状況を表示装置3へ送信し(S360)、S310に戻って以上の動作を繰り返す。表示装置3は、受信したデータに基づいて、空き情報を表示する。
【0042】
以上説明した通り、本発明によれば、駐車区画の所定の箇所に表示されている駐車区画を特定する文字または数字または記号による表記をカメラで読み取り、カメラからの映像信号を処理して、空きの駐車区画を判定するので、カメラ2のアングルを高精度に制御する必要がないという利点がある。
【0043】
なお、本発明の実施形態において、カメラ2が1台だけ設置されている場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カメラを複数台設置しても良い。その場合、複数のカメラの撮影範囲が重なっていても問題はない。
【0044】
また、本発明の実施形態において、本装置1と表示装置3は別々の装置として説明したが、これらは一体化されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1・・・本発明による駐車状況通知装置
2・・・カメラ
3・・・表示装置
4・・・駐車区画群
10・・・制御部
11・・・カメラ制御部
12・・・映像信号受信部
13・・・表記認識部
14・・・駐車状況記憶部
15・・・情報送信部
16・・・車両番号認識部
17・・・契約車両登録部
41,42,48・・・駐車区画番号
53,54,55,56,57・・・駐車中の車両
63,64,65,66,67・・・ナンバープレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車する車両の1台毎の区画である駐車区画が複数存在する駐車場における駐車状況通知装置であって、
前記駐車区画の所定の箇所に表示されている当該駐車区画を識別する文字または数字または記号による表記を撮影する1以上のカメラから映像信号を受信する映像信号受信手段と、前記受信した映像信号から前記カメラが撮影した表記を認識する表記認識手段と、前記表記認識手段が認識した表記に応じて前記駐車区画の各々の駐車状況を判定する駐車状況判定手段と、前記駐車状況判定手段が判定した駐車状況に係る情報を自装置が備える表示部または所定の情報表示装置または所定の宛先へ通知する駐車状況通知手段と、を有し、
前記駐車状況判定手段は、前記表記認識手段が前記表記を認識した場合に当該駐車区画には車両が駐車していないと判定し、前記表記認識手段が前記表記を認識しない場合に当該駐車区画には車両が駐車していると判定することを特徴とする表記認識による駐車状況通知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車状況通知装置であって、
前記受信した映像信号から駐車している車両のナンバープレートに表記されている車両番号を認識する車両番号認識手段をさらに有することを特徴とする表記認識による駐車状況通知装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車状況通知装置であって、
前記駐車状況判定手段は、車両が駐車していない状態から駐車している状態に変化した駐車区画を検知した場合に、前記車両番号認識手段を起動することを特徴とする表記認識による駐車状況通知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−89158(P2013−89158A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231514(P2011−231514)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】