説明

表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤を含む重合体組成物

本発明は、オレフィンから誘導された重合体成分と、二価または三価金属イオンに結合されたヒドロキシ基を含む粒子状鉱物充填剤コアを含有する表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分とを含有する重合体組成物に関し、この粒子状鉱物充填剤コアはその表面に、(i)1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシリル基であって、各々がケイ素に結合された1から3の、独立して1から3の炭素原子を有する短鎖炭化水素基を有する短鎖オルガノシリル基、ならびに(ii)1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシリル基であって、各々が直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、ケイ素に結合された1から3の、独立して8から12の炭素原子を含む長鎖炭化水素基を有する長鎖オルガノシリル基を有し、ここで、この長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの量で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤を含む重合体組成物、およびワイヤー配線および家具を含む様々な用途におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような粒子状鉱物充填剤は、さまざまな疎水性重合体、特にオレフィン系重合体、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンにおいて非ハロゲン系難燃剤として広く使用される。
【0003】
これらの鉱物充填剤は本来親水性なので、鉱物充填剤と疎水性重合体の間には弱い相互作用しかないことが知られている。この弱い相互作用は、これらの鉱物充填剤を混合している重合体の機械的および物理的性質に問題を引き起こす。この物理的な問題のうちのいくつかは、引張り応力とモジュラスの減少、伸び(すなわち歪)の増加、およびメルトフロー特性の増加として現れる。
【0004】
この問題は、鉱物充填剤が典型的には大量に、すなわち重合体の50重量パーセントを超える量で使用されるという事実によって深刻化する。このような大量の混合により、この鉱物充填剤は、重合体の化学的および機械的性質をさらに強く支配する。
【0005】
この問題を緩和するために、粒子状鉱物充填剤を、多くの場合表面修飾剤で表面処理して、重合体基剤と共存させやすくしている。使用されている表面修飾剤のうちのいくつかは、脂肪酸、無水マレイン酸で修飾された重合体、オルガノシランおよびシリコーンである。
【0006】
例えば、エドゥアルド(Eduardo)らの公開されたPCT出願WO/9905688号、アイクラー(Eichler)らの米国特許番号第6,576,160号、シェリング(Schaeling)らの米国公開出願番号第2004/0127602号、およびフカタニ(Fukatani)らの米国特許番号第6,924,334号は、シランを含む様々な表面修飾剤で表面処理した粒子状水酸化マグネシウムを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の望ましくない物理的効果をあまり、または全く与えずに難燃性になる量で重合体に混合することができるように修飾された粒子状鉱物充填剤、特に水酸化マグネシウム鉱物充填剤の必要性は依然として存在している。物理的性質を通例のように悪化させることなく、そのような重合体中の鉱物充填剤の重量パーセントを増加させる必要性もある。
【0008】
さらに、当該技術分野で現在使用される鉱物充填剤は、表面修飾されていても、いなくとも、典型的には高度に吸湿性であり、従って保存および処理の間に著しい量の水を吸収する。この鉱物充填剤に吸収された水は、この水を吸着した鉱物充填剤が混合された重合体の物理的性質に、さらなる問題を引き起こす。したがって、水の吸収に対してより抵抗する鉱物充填剤を含む重合体の特別な必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、1から3の炭素原子の炭化水素基を含む短鎖オルガノシラン表面修飾剤と、8から12の炭素原子の炭化水素基を含む長鎖オルガノシラン表面修飾剤との間の予期しない相乗効果によって、鉱物充填剤の表面の長鎖オルガノシリル基に対する短鎖オルガノシリル基の臨界モル比の範囲内で、短鎖オルガノシランまたは長鎖オルガノシランのいずれか1つだけによって表面修飾された鉱物充填剤の化学的性質と比較して、鉱物充填剤の化学的性質は著しく改善されうることが見出された。改善された鉱物充填剤は、重合体に混合された時、短鎖または長鎖オルガノシランのいずれか1つだけで表面修飾された鉱物充填剤を有する重合体と比較して、充填された重合体の物理的性質を著しく改善する。
【0010】
より具体的には、本発明の実施態様は、ある量の、好ましくは難燃性に効果的な量の、二価または三価金属イオンに結合したヒドロキシ基を有する粒子状鉱物充填剤コアを混合した、オレフィンから誘導された重合体を指向しており、この粒子状鉱物充填剤コアは、その表面に、(i)1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシリル基であって、各々がケイ素に結合された1から3の短鎖炭化水素基を有し、この基が独立して1から3の炭素原子を有するものと、(ii)1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシリル基であって、各々が直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、ケイ素に結合された1から3の長鎖炭化水素基を有し、この基が独立して8から12の炭素原子を含み、ここで、この長鎖オルガノシリル基は、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの量で存在しているものとを有する。
【0011】
別の実施態様において、長鎖オルガノシリル基は、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約3モルパーセントと同じかそれより大きい最小量と、約55モルパーセントまでの最大量とで規定される範囲内に存在する。他の実施態様において、長鎖オルガノシリル基は、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約6モルパーセントと同じかそれより大きい最小量と、約50モルパーセントまたは約45モルパーセントまたは40モルパーセントまでの最大量とで規定される範囲内に存在する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、水酸化マグネシウムのような非ハロゲン系鉱物充填剤成分を、難燃性に効果的な量で重合体組成物に含有させることを可能にするという利点を有し、同時にそのような重合体への鉱物充填剤の既知で有害な物理的効果を緩和するか、または防ぐ。この改善された鉱物充填剤は、物理的性質の通常の悪化を招くことなしに、そのような重合体においてその重量パーセントを増加させることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、対照例C−1(表面修飾なしのMg(OH))、対照例C−2(メチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、対照例C−3(n−オクチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、またはn−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランの50:50重量%配合物(n−オクチルトリエトキシシランの39−40モル%に相当する)の1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%および2.5重量%で表面修飾されたMg(OH)を有する、実施例4−7にそれぞれ対応する鉱物充填剤調合物のいずれかを混合したポリエチレン−エチレン酢酸ビニル(PE−EVA)共重合体の自動破断時の引張り応力(psi)と、自動破断時の伸び(%歪)との変化を示す。
【図2】図2は、対照例C−1(表面修飾なしのMg(OH))、対照例C−2(メチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、対照例C−3(n−オクチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、またはn−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランの50:50重量%配合物(n−オクチルトリエトキシシランの39−40モル%に相当する)の1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%および2.5重量%で表面修飾されたMg(OH)を有する、実施例4−7にそれぞれ対応する鉱物充填剤調合物のいずれかを混合したポリエチレン−エチレン酢酸ビニル(PE−EVA)共重合体の自動破断時のモジュラスの変化を示す。
【図3】図3は、対照例C−1(表面修飾なしのMg(OH))、対照例C−2(メチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、対照例C−3(n−オクチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、またはn−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランの50:50重量%配合物(n−オクチルトリエトキシシランの39−40モル%に相当する)の1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%および2.5重量%で表面修飾されたMg(OH)を有する、実施例4−7にそれぞれ対応する鉱物充填剤調合物のいずれかを混合したポリエチレン−エチレン酢酸ビニル(PE−EVA)共重合体の自動ヤング率の変化を示す。
【図4】図4は、対照例C−1(表面修飾なしのMg(OH))、対照例C−2(メチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、対照例C−3(n−オクチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、またはn−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランの50:50重量%配合物(n−オクチルトリエトキシシランの39−40モル%に相当する)の1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%および2.5重量%で表面修飾されたMg(OH)を有する、実施例4−7にそれぞれ対応する鉱物充填剤調合物のいずれかを混合したポリエチレン−エチレン酢酸ビニル(PE−EVA)共重合体の最大荷重(lbf)時の荷重の変化を示す。
【図5】図5は、対照例C−1(表面修飾なしのMg(OH))、対照例C−2(メチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、対照例C−3(n−オクチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、またはn−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランを重量比10:90、30:70、70:30、90:10および50:50(おおよそ6.7、21.7、60、85および39−40のn−オクチルトリエトキシシランのモルパーセントにそれぞれ相当する)で含むシラン配合物の1.5重量%で表面修飾されたMg(OH)を有する、実施例8−12にそれぞれ対応する鉱物充填剤調合物のいずれかを混合したポリエチレン−エチレン酢酸ビニル(PE−EVA)共重合体の自動破断時の引張り応力(psi)および自動破断時の伸び(%歪)の変化を示す。
【図6】図6は、対照例C−1(表面修飾なしのMg(OH))、対照例C−2(メチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、対照例C−3(n−オクチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、またはn−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランを重量比10:90、30:70、70:30、90:10および50:50(おおよそ6.7、21.7、60、85および39−40のn−オクチルトリエトキシシランのモルパーセントにそれぞれ相当する)で含むシラン配合物1.5重量%で表面修飾されたMg(OH)を有する、実施例8−12にそれぞれ対応する鉱物充填剤調合物のいずれかを混合したポリエチレン−エチレン酢酸ビニル(PE−EVA)共重合体の自動破断時のモジュラス(psi)の変化を示す。
【図7】図7は、対照例C−1(表面修飾なしのMg(OH))、対照例C−2(メチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、対照例C−3(n−オクチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、またはn−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランを重量比10:90、30:70、70:30、90:10および50:50(おおよそ6.7、21.7、60、85および39−40のn−オクチルトリエトキシシランのモルパーセントにそれぞれ相当する)で含むシラン配合物の1.5重量%で表面修飾されたMg(OH)を有する、実施例8−12にそれぞれ対応する鉱物充填剤調合物のいずれかを混合したポリエチレン−エチレン酢酸ビニル(PE−EVA)共重合体の自動ヤング率(psi)の変化を示す。
【図8】図8は、対照例C−1(表面修飾なしのMg(OH))、対照例C−2(メチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、対照例C−3(n−オクチルトリエトキシシラン100%で表面修飾されたMg(OH))、またはn−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランを重量比10:90、30:70、70:30、90:10および50:50(おおよそ6.7、21.7、60、85および39−40のn−オクチルトリエトキシシランのモルパーセントにそれぞれ相当する)で含むシラン配合物の1.5重量%で表面修飾されたMg(OH)を有する、実施例8−12にそれぞれ対応する鉱物充填剤調合物のいずれかを混合したポリエチレン−エチレン酢酸ビニル(PE−EVA)共重合体の最大荷重時の荷重(lbf)の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の重合体組成物は、オレフィンから誘導された重合体成分と、表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分とを含有する。この鉱物充填剤成分は、望ましい物理的および非物理的性質の範囲を与えるのに適した量で含まれてよいが、より好ましくは難燃性に効果的な量で含まれる。
【0015】
特定の実施態様において、本発明の表面修飾された鉱物充填剤は、重合体組成物の全重量の約40重量パーセントから約90重量パーセント、または約50重量パーセントから約70重量パーセントという難燃性になる量で重合体に混合される。
【0016】
使用可能な、オレフィンから誘導された重合体のいくつかの例は、ポリエチレン含有重合体および共重合体、ポリプロピレン含有重合体および共重合体、エチレン−酢酸ビニル(EVA)共重合体、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)共重合体、エチレン−プロピレンゴム(例えば、EPMおよびEPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエン(NBR)、クロロプレンゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、およびポリイソプレンを含む。
【0017】
当該分野で一般に使用される補助的薬剤および添加剤は、重合体組成物に含まれてよい。例えば、もし望むなら、1つもしくはそれ以上の架橋剤、界面活性剤、酸化防止剤(例えば、Irganox 1076のようなヒンダードフェノール系、またはIrgafos 168のような亜リン酸エステル系)、難燃剤(例えば、リン酸エステル系)、安定剤または紫外線吸収剤(例えば、ヒンダードアミン)を重合体組成物に含ませることができる。
【0018】
オレフィンから誘導された重合体を架橋するのに適当な架橋剤、特に過酸化物系の架橋調合物を使用してよく、例えばゼネラル・エレクトリック社(General Electric)から入手可能な商品名XL−Pearl(例えば、XL−Pearl 70M)の架橋調合物の類である。
【0019】
重合体組成物は、適切な物理的性質を有し、難燃化された疎水性の重合体またはプラスチックを必要とする多数の物品に成形してよい。例えば、本重合体組成物は、屋内用および屋外用家具と同様に、ケーブル配線、特に煙の発生が少なく自己消火性のワイヤー配線に使用するのにふさわしい。
【0020】
本発明の表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分は、短鎖および長鎖オルガノシリル基が表面に混在する鉱物充填剤コアを含有する。鉱物充填剤粒子の表面での短鎖オルガノシリル基と長鎖オルガノシリル基との間の相乗効果によって、鉱物充填剤の化学的性質は、短鎖または長鎖オルガノシリル基のいずれか1つだけを備えた時の化学的性質と比較して改善される。さらに、表面修飾された鉱物充填剤の改善された化学的性質は、単一のオルガノシリル基だけで表面修飾された鉱物充填剤を有する同様の重合体と比較して、それらが混合された疎水性の重合体に、改善された物理的および機械的性質を授ける。
【0021】
粒子状鉱物充填剤コアは、水酸化物イオンに形式的に結合された二価および/または三価金属イオンを含有する、技術上で既知の任意の鉱物充填剤成分から成り立ってよい。そのような鉱物充填剤成分のいくつかの種類は、例えばアルカリ土類水酸化物、IIIA族水酸化物、二価および三価の遷移金属水酸化物、それらの水和物、およびそれらの組み合わせと混合物とを含む。
【0022】
適切なアルカリ土類水酸化物の鉱物充填剤コア成分のいくつかの例は、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウムおよび水酸化バリウムを含む。特に適切なアルカリ土類水酸化物は、水酸化マグネシウムである。マグネシウムの適切な水酸化物は、たとえば、水滑石または海水から得られるような天然のMg(OH)タイプ、またはドーソナイト、ハンタイトまたはヒドロマグネサイトのような天然のヒドロキシ炭酸マグネシウムを含む。水酸化マグネシウムは、さらにマーティンスウェルク社(Martinswerk GmbH)から入手可能な、商品名MAGNIFIN(登録商標)の下で市販されている水酸化マグネシウムのような合成型でもあってよい。
【0023】
特に適切なIIIA族水酸化物の鉱物充填剤コア成分は、水酸化アルミニウムである。アルミニウムの適切な水酸化物は、例えばハイドラルジライトまたはギブサイトのような天然のAl(OH)を含む物質、およびベーマイトのようなAlO(OH)を含む物質(ここで、xは可変である)を含む。水酸化アルミニウムは、マーティンスウェルク社から入手可能な商品名MARTIFIN(登録商標)またはMARTINAL(登録商標)の下で市販されている水酸化アルミニウムのような合成型であってもよい。
【0024】
他の適切な粒子状鉱物充填剤コア成分は、例えばアルミン酸カルシウム、二水セッコウ、水酸化第一スズ、水酸化タリウム、および水酸化鉛を含む。
【0025】
粒子状鉱物充填剤コアは、任意の適切な性質を、例えば任意の適切な粒度分布、表面積、密度、または純度を有してよい。例えば、ある実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、おおよそ0.1から50ミクロンの範囲内の粒径、約5から20m/gの間の表面積、約2.0から3.0g/cmの密度、および約80から約99重量パーセントの純度を有する。別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、約0.5から20ミクロンの粒径、約5から20m/gの間の表面積、約2.0から3.0g/cmの密度、および約80から約99重量パーセントの純度を有する。さらに別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、約0.5から2ミクロンの粒径、約5から20m/gの間の表面積、約2.0から3.0g/cmの密度、および約80から約99重量パーセントの純度を有する。
【0026】
多くのそのような粒子状鉱物充填剤は、非常に親水性であり、周囲条件下であまり多くない水を取り込む。一般にこの水は、鉱物充填剤には望ましくなく、鉱物が重合体に混合される前に、乾燥装置の中で加熱することによっておおむね除去される。しかしながら、処理された鉱物充填剤中の少量の結合水の存在は、本発明の目的には受容可能であり、効果的なオルガノシランコーティングの形成には必要でさえある。
【0027】
上述の金属水酸化物の鉱物充填剤成分は、場合によっては1つもしくはそれ以上の金属酸化物成分または他の充填剤物質と組み合わせてよい。いくつかの金属酸化物成分は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、ケイ素、およびジルコニウムの酸化物を含む。他の充填剤物質は、タルク、炭酸カルシウム、および焼成されたもしくは未焼成の粘土を含む。
【0028】
上述の粒子状鉱物充填剤コアは、その表面に、(i)1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシリル基と、(ii)1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシリル基、とを有する。粒子状鉱物充填剤コアの表面は、典型的にはケイ素−酸素−ケイ素結合を通して互いに結合された縮合オルガノシラン分子の網目によって、実質的に覆われる。鉱物充填剤表面のオルガノシリル基は、鉱物充填剤表面の金属原子に(すなわち、共有結合的にケイ素−酸素−金属結合によって)結合されるか、またはその代わりに、適切な相互作用、例えば水素結合、イオン性および/またはファンデルワールス相互作用によって鉱物充填剤表面に会合されるか、または両方の組み合わせであろう。
【0029】
短鎖オルガノシリル基は各々、ケイ素に結合された少なくとも1、そして3までの短鎖炭化水素基を有する。短鎖炭化水素基は、独立して1から3の炭素原子を含み、直鎖または分岐であり、そして飽和または不飽和であってよい。そのような短鎖炭化水素基のいくつかの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ビニル、およびアリルの基を含む。
【0030】
短鎖オルガノシリル基において、ケイ素に結合された短鎖炭化水素基が3未満である場合、短鎖オルガノシリル基のケイ素に結合された残りの基は、炭化水素基以外の適当な基であってよい。例えば、ケイ素に結合された残りの基は、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NR)、ハロゲノ基、アルコキシ基(OR)またはアセトキシ基(RCO−)であってよく、ここで、Rの各々は、水素、および1から6までの炭素原子を含む炭化水素基からなる群から独立して選択される。R基のいくつかの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびフェニルを含む。その代わりに、残りの基の1つもしくはそれ以上は、ケイ素−酸素−金属結合を通して短鎖オルガノシリル基に結合した鉱物充填剤コアの表面の金属原子、またはケイ素−酸素−ケイ素結合を通して結合した別の短鎖オルガノシリル基または長鎖オルガノシリル基であってよい。
【0031】
具体的な実施態様において、短鎖炭化水素基は、1または2の炭素原子を有する任意の上述の短鎖炭化水素基、例えばメチル、エチルまたはビニルの基である。
【0032】
粒子状鉱物充填剤の表面の短鎖オルガノシリル基のいくつかの例は、CH−Si(OR)(OR)(OR)、CHCH−Si(OR)(OR)(OR)、CHCHCH−Si(OR)(OR)(OR)、CHCH(CH)−Si(OR)(OR)(OR)、(CHSi(OR)(OR)、(CHCHSi(OR)(OR)、(CHCHCHSi(OR)(OR)、(CHCH(CH))Si(OR)(OR)、(CHSi(OR)、(CHCHSi(OR)、(CHCHCHSi(OR)、(CHCH(CH))Si(OR)、(CH)(CHCH)Si(OR)(OR)、(CH)(CHCHCH)Si(OR)(OR)、(CH)(CHCH(CH))Si(OR)(OR)、(CHCH)(CHCHCH)Si(OR)(OR)、(CHCH)(CHCH(CH))Si(OR)(OR)、(CH)(CHCHSi(OR)、(CH)(CHCHCHSi(OR)、(CH)(CHCH(CH))Si(OR)、(CH(CHCH)Si(OR)、(CH(CHCHCH)Si(OR)、(CH(CHCH(CH))Si(OR)、(CHCH(CHCHCH)Si(OR)、(CHCH(CHCH(CH))Si(OR)、CH−Si(OR)Cl、CHCH−Si(OR)(OCR)(OR)、およびCHCHCH−Si(OR)(NR)(OR)を含み、ここで、R、R、Rの各々がそれぞれ、粒子状鉱物充填剤コアの表面の二価または三価金属原子、別のオルガノシリル基中のケイ素原子、水素(H)、およびRからなる群から独立して選択され、ここで、上述したように、Rが1から6の炭素原子を含む炭化水素基である。具体的な実施態様において、R、RおよびRの少なくとも1つは、粒子状鉱物充填剤コアの表面の二価または三価金属原子、または別のオルガノシリル基中のケイ素原子である。
【0033】
長鎖オルガノシリル基は各々、ケイ素に結合された少なくとも1、そして3までの長鎖炭化水素基を有する。長鎖炭化水素基は、独立して8から12の炭素原子を含み、直鎖または分岐であり、そして飽和または不飽和であってよい。不飽和の長鎖炭化水素基は、少なくとも1、そして6までの炭素−炭素二重結合を有する。
【0034】
直鎖で飽和の長鎖炭化水素基のいくつかの例は、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、およびn−ドデシルの基を含む。
【0035】
直鎖で不飽和の長鎖炭化水素基のいくつかの例は、1−オクテニル、2−オクテニル、3−オクテニル、4−オクテニル、5−オクテニル、6−オクテニル、7−オクテニル、8−ノネニル、9−デセニル、10−ウンデセニル、11−ドデセニル、1,3−オクタジエニル、1,4−オクタジエニル、1,3,5−オクタトリエニル、および1,3,5,7−オクタテトラエニルの基を含む。ここで、炭化水素基は、オルガノシリル基におけるケイ素原子への炭化水素基の結合から番号をつける(1−イルが基準点の結合である)。
【0036】
分岐で飽和の長鎖炭化水素基のいくつかの例は、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、1,1−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、1,2−ジメチルヘキシル、1,3−ジメチルヘキシル、1,4−ジメチルヘキシル、1,5−ジメチルヘキシル、1−メチルオクチル、2−メチルオクチル、3−メチルオクチル、4−メチルオクチル、5−メチルオクチル、6−メチルオクチル、7−メチルオクチル、6,6−ジメチルヘプチル、1−メチルノニル、2−メチルノニル、3−メチルノニル、4−メチルノニル、5−メチルノニル、6−メチルノニル、7−メチルノニル、8−メチルノニル、7,7−ジメチルオクチル、9−メチルデシル、8,8−ジメチルノニル、10−メチルウンデシル、9,9−ジメチルデシルおよび2,2,3,3−テトラメチルブチルの基を含む。
【0037】
分岐で不飽和の長鎖炭化水素基のいくつかの例は、1−メチル−1−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニル、3−メチル−1−ヘプテニル、6−メチル−1−ヘプテニル、1−メチル−2−ヘプテニル、2−メチル−2−ヘプテニル、3−メチル−2−ヘプテニル、6−メチル−2−ヘプテニル、5,5−ジメチル−2−ヘキセニル、1,1−ジメチル−1−ヘキセニル、1,2−ジメチル−1−ヘキセニル、1−メチル−1,3−ヘプタジエニル、および1,2,3,4−テトラメチル−1,3−ブタジエニルの基を含む。
【0038】
長鎖オルガノシリル基において、ケイ素に結合された長鎖炭化水素基が3未満である場合、ケイ素に結合された残りの基は、炭化水素基以外の任意の適切な基であってよい。例えば、ケイ素に結合された残りの基は、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NR)、ハロゲノ基、アルコキシ基(OR)またはアセトキシ基(RCO−)であってよく、ここで、Rは上に定義したとおりの炭化水素基である。その代わりに、残りの基の1つもしくはそれ以上は、ケイ素−酸素−金属結合を通して短鎖オルガノシリル基に結合した鉱物充填剤コアの表面の金属原子、またはケイ素−酸素−ケイ素結合を通して結合した別の短鎖オルガノシリル基または長鎖オルガノシリル基であってよい。
【0039】
より具体的な実施態様において、長鎖オルガノシリル基は、8から10の炭素原子、またはより具体的には8の炭素原子を有する任意の上述の長鎖炭化水素基を含む。より具体的な実施態様において、長鎖炭化水素基は、8の炭素原子を有する直鎖の(すなわち、n−オクチル)または分岐のアルキル基である。
【0040】
粒子状鉱物充填剤の表面の長鎖オルガノシリル基のいくつかの例は、CH(CH−Si(OR)(OR)(OR)、CH(CH−Si(OR)(OR)(OR)、CH(CH−Si(OR)(OR)(OR)、CH(CH10−Si(OR)(OR)(OR)、(CH(CHSi(OR)(OR)、CH(CH−Si(OR)(OR)(Cl)、CH(CH−Si(OR)(OR)(NHCH)、CH(CH−Si(OR)(OR)(OCCH)およびCH(CH11−Si(OR)(OR)(OR)を含み、ここで、R、R、Rの各々は、粒子状鉱物充填剤コアの表面の二価または三価金属原子、別のオルガノシリル基中のケイ素原子、水素(H)、およびRからなる群から独立して選択され、ここで、Rは、上述のように1から6の炭素原子を含む炭化水素基である。具体的な実施態様において、R、RおよびRの少なくとも1つは、粒子状鉱物充填剤コアの表面の二価または三価金属原子、または別のオルガノシリル基中のケイ素原子である。
【0041】
ある実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、その表面に、1または2の炭素原子を有する任意の上述の短鎖オルガノシリル基を、8から12の炭素原子を有する任意の上述の長鎖オルガノシリル基と組み合せて有することによって表面修飾される。別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、メチルシリル基、すなわちCH−Si(OR)(OR)(OR)(ここで、R,RおよびRは上述のとおり)を、8から12の炭素原子を有する任意の上述の長鎖オルガノシリル基と組み合わせて有することによって表面修飾される。
【0042】
別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、その表面に、1から3の炭素原子を有する任意の上述の短鎖オルガノシリル基を、8から10の炭素原子を有する任意の上述の長鎖オルガノシリル基と組み合わせて有することによって表面修飾される。さらに別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、1から3の炭素原子を有する任意の短鎖オルガノシリル基を、8の炭素原子を有する直鎖または分岐の長鎖オルガノシリル基と組み合わせて有することによって表面修飾される。もっと別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、1から3の炭素原子を有する任意の短鎖オルガノシリル基を、長鎖のn−オクチルシリル基、すなわちCH(CH−Si(OR)(OR)(OR)と組み合わせて有することによって表面修飾される。ここで、R,RおよびRの各々は、上に記述されている。
【0043】
別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、その表面に、1または2の炭素原子を有する任意の短鎖オルガノシリル基を、8から10の炭素原子を有する任意の長鎖オルガノシリル基と組み合わせて有することによって表面修飾される。さらに別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、その表面に、メチルシリル基を、8から10の炭素原子を有する任意の長鎖オルガノシリル基と組み合わせて有することによって表面修飾される。
【0044】
もっと別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、その表面に、1または2の炭素原子を有する任意の短鎖オルガノシリル基を、8の炭素原子を有する任意の長鎖オルガノシリル基と組み合わせて有することによって表面修飾される。別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、その表面に、メチルシリル基を、8の炭素原子を有する任意の長鎖オルガノシリル基と組み合わせて有することによって表面修飾される。さらに別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤コアは、その表面に、メチルシリル基をn−オクチルシリル基と組み合わせて有することによって表面修飾される。
【0045】
本発明のある実施態様において、粒子状鉱物コアの表面の長鎖オルガノシリル基は、長鎖オルガノシリル基および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの最高量で存在することが好ましい。これは、短鎖オルガノシリル基に対する長鎖オルガノシリル基の最大モル比、約1.2:1に相当する。従って、短鎖オルガノシリル基は、少なくとも約45モルパーセントの最少量で存在することが好ましい。
【0046】
例えば、ある具体的な実施態様において、粒子状鉱物コアの表面の長鎖オルガノシリル基は、約40モルパーセントまでの最大量で存在する(短鎖オルガノシリル基に対する長鎖オルガノシリル基の最大モル比、約0.65:1または1:1.5に相当する)。他の実施態様において、粒子状鉱物コアの表面の長鎖オルガノシリル基は、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量に対して、最少量が約3モルパーセントまたは6モルパーセント以上、そして最大量が約55パーセントまたは50モルパーセントまたは45モルパーセントまたは40モルパーセントまで、によって規定される範囲で存在する。
【0047】
具体的な実施態様において、粒子状鉱物充填剤は、その表面で、式n−オクチル−Si(OR)(OR)(OR)のオルガノシリル基と、メチル−Si(OR)(OR)(OR)のオルガノシリル基とが混合しており、ここで、n−オクチル−Si(OR)(OR)(OR)基は約40モルパーセントの量で存在し、そしてメチル−Si(OR)(OR)(OR)基は約60モルパーセントの量で存在する。ここで、R,R,およびRは上に定義されたとおりである。
【0048】
上述の表面修飾された鉱物充填剤は、修飾された、または未修飾のポリジメチルシロキサン含有重合体または共重合体をさらに含むことができる。より詳しくは、ポリジメチルシロキサン含有重合体は、ビニルで修飾されたポリジメチルシロキサンの類に属する重合体、そしてより詳しくは、式CH=CH−(Si(CHO)−Si(CH−CH=CHに従うようなビニル末端ポリシロキサンであってよい。ここで、nは適切な整数か平均数であり、好ましくは5より大きく、そして、例えば10、50、100、500またはそれより大きい数を含む任意の適切な上の数まで、である。ポリジメチルシロキサン含有重合体は、鉱物充填剤の全重量の任意の適切な重量パーセントで含まれてよく、そしてより詳しくは、例えば粒子状鉱物充填剤コア、オルガノシリル基およびポリジメチルシロキサン含有重合体の合計重量の5から25重量パーセント、または10から20重量パーセントで含まれてよい。
【0049】
本発明の表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分は、技術上で既知の任意の方法にしたがって合成することができる。例えば、鉱物充填剤成分は、上述の粒子状鉱物充填剤コアを下記の(i)および(ii)と反応させることを含有するプロセスによって製造してよい。(i)は、式RSi(X)4−m−n−p に入る1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシランであり、ここで、R、RおよびRは、1から3の炭素原子を有する任意の上述の短鎖炭化水素基を独立して表し;m、nおよびpは、m、nおよびpの少なくとも1つが1であるという条件で、各々0または1であり;基Xは、表面のヒドロキシ基と反応して、表面−オキシシラン結合を形成することが可能な基を表し、そしてハロゲノ基、アミノ基(−NR)、ヒドロキシ基(OH)、アルコキシ基(−OR)またはアセトキシ基(RCO−)を含むが、これに限定されない。ここで、Rは、上述のとおり、水素または1から6の炭素原子を有する炭化水素基である。(ii)は、式RSi(X)4−m−n−p の1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシランであり、ここで、R、RおよびRは、8から12の炭素原子を有する任意の上述の長鎖炭化水素基を独立して表し、そしてm、n、pおよびXは上に定義したとおりである。ここで、長鎖および短鎖オルガノシラン化合物は、鉱物充填剤の表面に生成する長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの量であるという相対量で使用される。他の実施態様において、長鎖および短鎖オルガノシラン化合物は、鉱物充填剤の表面に生成する長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約50モルパーセントまたは45モルパーセントまたは40モルパーセントまでの量であるという相対量で使用される。
【0050】
他の実施態様において、長鎖および短鎖オルガノシラン化合物は、鉱物充填剤の表面の長鎖オルガノシリル基のモルパーセントが、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約3モルパーセントまたは6モルパーセント以上であり、そして約55モルパーセントまたは50モルパーセントまたは45モルパーセントまたは40モルパーセントまでの量であるという相対量で使用される。
【0051】
より具体的な実施態様において、粒子状鉱物充填剤成分は、上述の粒子状鉱物充填剤コアを下記の(i)および(ii)と反応させることを含有するプロセスによって製造される。(i)は、式RSi(OR)に入る1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシランであり、ここで、R、およびORは上述のとおりである。(ii)は、式RSi(OR)の1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシランであり、ここで、RおよびORは上述のとおりである。ここで、長鎖オルガノシラン化合物は、短鎖および長鎖オルガノシラン化合物の合計モル量の約55モルパーセントまでの量である。
【0052】
鉱物充填剤コアと反応させるのにふさわしい短鎖オルガノシラン化合物のいくつかの例は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、およびイソプロピルトリエトキシシランを含む。
【0053】
鉱物充填剤コアと反応させるのにふさわしい長鎖オルガノシラン化合物のいくつかの例は、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビス−(n−オクチル)ジエトキシシラン、トリス−(n−オクチル)エトキシシラン、n−オクチルトリ−n−プロポキシシラン、n−オクチルトリイソプロポキシシラン、n−オクチルトリブトキシシラン、n−オクチルトリフェノキシシラン、6−メチルヘプチルトリエトキシシラン、7−ヘプテニルトリエトキシシラン、n−ノニルトリメトキシシラン、n−ノニルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ウンデシルトリエトキシシラン、およびn−ドデシルトリエトキシシランを含む。
【0054】
オルガノシラン化合物と鉱物充填剤とを反応させる際には、オルガノシラン化合物は、任意の適切な重量百分率であってよい。具体的な実施態様において、メチルトリエトキシシランとn−オクチルトリエトキシシランとの混合物は、粒子状鉱物充填剤コアおよびオルガノシラン化合物の合計重量の少なくとも約0.5から約3.0までの重量パーセント、または約1.0から約2.5重量パーセント、または約1.5重量パーセントの量で含まれる。上述の他のオルガノシランを用いて同じ表面被覆率を達成するには、このシランの量は、より高い分子量のシランを使用するときは上方へ調節し、より低い分子量のオルガノシランに対しては下方へ調節することが当然必要ということになる。同様に、より低い比表面積を備えた鉱物充填剤を使用するときは、使用されるオルガノシランの量は下方へ調節することが当然必要ということになる。
【0055】
上述のオルガノシラン化合物は、任意の適切な反応プロセスによって、より典型的には、鉱物充填剤の表面に存在するヒドロキシ基および/または吸着水との加水分解の反応を経て、鉱物充填剤表面と反応させてよい。無機酸または有機酸のような触媒、またはスズ化合物、チタン化合物およびビスマス化合物を含むがこれらに限定されない遷移金属触媒は、反応を促進するために、任意選択で使用してよいが、好まれない。例えば、オルガノシラン化合物および粒子状鉱物充填剤は、適切な時間をかけて、室温、高い温度または低い温度で、一緒にして混合することによって反応させてよい。
【0056】
別の実施態様において、粒子状鉱物充填剤は、高速混合状態で、例えばヘンシェル(Henschel)ミキサーのようなミキサー中で毎分2000から3000回転(rpm)でオルガノシラン化合物の混合物と混合される。そのような高速混合は、粒子状物質が凝集しやすいのを防ぎ、そしてオルガノシランによるより完全な表面修飾を可能にする。
【0057】
オルガノシラン化合物を鉱物充填剤と混合した後に、反応させた混合物は、オルガノシラン同士の、および/または鉱物充填剤表面との、完全な反応をより確実にするために滞留期間の影響下においてよい。例えば、反応させた混合物は、周囲温度(例えば、20℃−30℃)で少なくとも4−5時間、循環空気にさらすか、または代替的におおよそ100℃で1−2時間、循環空気にさらしてよい。
【0058】
アセトンまたはエーテルのような1つもしくはそれ以上の揮発性溶剤は、オルガノシランと鉱物充填剤との間の反応に、任意選択で含ませてよい。しかしながら、そのような溶剤の使用は、典型的には後に続く除去工程が必要になるので、好ましくない。反応中、水、および/または酸のような触媒水溶液の使用も任意選択であるが、それらを使用すると処理した鉱物をさらに乾燥する必要が生じるので、好ましくない。
【0059】
説明の目的で、以下に実施例を述べる。発明の範囲はここに述べられた実施例によって、いかなる意味でも制限されない。
【実施例】
【0060】
実施例1−7
おおよそ2分間、約2000rpmのヘンシェル高強度ミキサーを用いて、4ポンド(4lbまたは1.8キログラム)のMAGNIFIN(登録商標)のような水酸化マグネシウムのバッチを、シラン化合物と混合しないか(対照例C−1)、メチルトリエトキシシランのみと混合(対照例C−2)またはn−オクチルトリエトキシシランのみと混合(対照例C−3)、または、1:1(50:50)の重量比のn−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランと、種々の重量パーセントで混合(調合物4−7)した。対照例C−1を除く各バッチについて、ミキサー中にMAGNIFIN(登録商標)の層(好ましくは4つの層)を形成し、混合前に各層上にオルガノシラン化合物を注入することによって、MAGNIFIN(登録商標)をオルガノシラン化合物と混合した。使用された調合物の概要を、以下の表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1のそれぞれ20グラムの充填剤成分を、滞留期間の影響下におくことなくミキサーから直接採取し、そして、それぞれの量を水が入っているジャーに入れておおよそ30秒間振とうした。各鉱物充填剤の大部分はジャーの底に沈降した。
【0063】
実施例8−12
上述と同じ方法を使用して、MAGNIFIN(登録商標)のような水酸化マグネシウムの4ポンド(1.8kg)のバッチを、27グラム(1.5重量パーセント)のn−オクチルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとの混合物と混合した。この際に、n−オクチルトリエトキシシランのモル百分率を、(実施例4−7で既に示された約40モルパーセント以外の)おおよそ6.7モルパーセント、21.7モルパーセント、60.1モルパーセントおよび85.3モルパーセントに変化させたが、これは実施例8−11の、n−オクチルトリエトキシシラン対メチルトリエトキシシランの重量パーセント比、10:90、30:70、70:30および90:10にそれぞれ対応する。使用された調合物の概要を、以下の表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
別の実験で、表1および表2中の、同一の鉱物充填剤成分の同様な部分をミキサーから直接取り出し、循環する空気を備えた周囲温度のオーブンに48時間静置して、滞留期間の影響下においた。滞留期間中に完全に反応した各鉱物充填剤成分の少量(例えば1−2グラム)を水が入ったジャーに入れて振とうした。C−1を入れたジャー中の鉱物充填剤は、完全に底に沈降したが、一方C−2およびC−3を入れたジャー中の鉱物充填剤は、浮遊したものと底に沈降したものがほぼ等量であった。
【0066】
驚いたことに、表1中の調合物4−7および表2中の調合物8、9および12のように、オルガノシランの全重量に対する重量パーセントにおいて、70パーセント未満(すなわち60モルパーセント未満)の長鎖(n−オクチル)オルガノシランを有するオルガノシランの混合物で処理した水酸化マグネシウム鉱物充填剤は、主として浮遊し、せいぜい少量が沈降しただけだった。調合物4−9または12の沈降成分は、対照例C−2およびC−3のそれより著しく少なかった。
【0067】
さらに予期しなかったことに、オルガノシランの全重量に対する重量百分率において、70パーセント以上(すなわち、60モルパーセント以上)の長鎖(n−オクチル)オルガノシランを含む調合物10および11は、調合物4−9または12よりも多く沈降した。調合物10および11の沈降部分は、調合物4−9および12の沈降部分より著しく多かった。
【0068】
実施例1−12の結果は、第1に、C−2およびC−3を含むシラン処理された鉱物充填剤のすべてが、オルガノシラン化合物で処理されない鉱物充填剤よりも、より疎水性であることを示す。しかし、より意義深いことに、しかも予期しなかったことに、上の実施例1から12の結果は、約60モルパーセント未満の量で長鎖炭化水素基(例えば、n−オクチル)を組み合わせたオルガノシラン化合物と反応させた、処理済み鉱物充填剤(すなわち、調合物4−9および12)は、単一のオルガノシランだけと反応させた鉱物充填剤(すなわち、対照例C−2およびC−3)よりも著しくより疎水性であり、そして、約60モルパーセント以上の量で長鎖炭化水素基(例えば、n−オクチル)を含む調合物(すなわち、調合物C−3、10および11)よりも著しくより疎水性である、という証拠をもたらす。
【0069】
いかなる理論にも拘束されず、粒子状鉱物充填剤を単一のオルガノシラン化合物だけと反応させると、鉱物充填剤表面の一部が未反応のまま残り、従って親水性になると考えられる。対照的に、上述のように組み合わせたオルガノシラン化合物の使用によって、オルガノシリル基のより好ましい充填または分布が鉱物充填剤表面で生じると考えられる。このより好ましい充填または分配は、鉱物充填剤表面の反応してない親水性部分の生成を減少させるか、または防止すると考えられる。
【0070】
上に議論されたように、疎水性重合体中の鉱物充填剤によって引き起こされた物理的な問題は、主として弱い共存性、従って親水性の鉱物充填剤粒子と疎水性重合体との間の弱い物理的相互作用に起因する。従って、本発明によって達成されるように、鉱物充填剤を先行技術よりも疎水性にさせることによって、本発明の表面修飾された鉱物充填剤を混合した難燃性重合体は、先行技術の鉱物充填剤を使用するそのような難燃性の重合体に比較して、物理的性質を改善している。
【0071】
上でも議論されたように、水酸化マグネシウムのような鉱物充填剤は、これまで技術上で既知の疎水性表面修飾剤で被覆された時でさえ著しく吸湿性であることから、今までは難点があった。貯蔵および処理の間に水を吸収する(または吸着する)この能力は、水を吸収した鉱物充填剤を作りだし、その充填剤を重合体中に混合すると重合体の物理的性質に多数の有害な結果を引き起こす。したがって、より高度に疎水性化された本発明の鉱物充填剤は、貯蔵および処理の間、水の吸収に対する高められた抵抗のおかげで、乾燥状態に保つことが容易であり、この充填剤が混合された重合体によりよい物理的性質を与えることができるという付加的な利点をもたらす。
【0072】
下記の実施例は、上に例示された表面修飾された鉱物充填剤を混合した重合体調合物を記述する。
【0073】
実施例13−19
【表3】

【0074】
装置および操作条件
あらかじめ混合された物質は、ヴェルナー&プフライデラー(Werner & Pfleiderer)ZSK30mmの、互いに噛み合う共回転二軸押出機を、飢餓フィード(starve fed)運転して押し出された。押出機への供給流れは、測定用K−トロン(Tron)フィーダーを使用して制御した。押出機中に揮発物質が溜まるのを防ぐために、押出機は大気に対し開口した。これは、押出物中の空隙率を縮小し、そして押出機中の供給流れを制約する背圧の生成を防ぐ。4孔のダイスからの押出物は水で急冷し、空気で乾燥し、カンバーランドペレタイザー(Cumberland pelletizer)でペレット化した。ペレット化した物質を、オーブン中で65℃で一晩乾燥した。乾燥したペレット化バッチは、28トンのアールブルグ(Arburg)1.2オンス射出金型で試験片(ダンベル状(dog bones)) に射出成形した。押出条件を表4にまとめて示す。
【0075】
【表4】

【0076】
機械的特性
成型されたダンベル状試験片を、22℃で48時間熱的に平衡させた。引張強さ、伸び、破断時のモジュラス、モジュラス(自動ヤング)および最大荷重での荷重を、すべてのサンプルについて毎分20.0インチのクロスヘッド速度を使用して、ASTM638にしたがって測定した。メルトフローレート(ASTM1238)は、190℃で21.6kgを使用して、押出プラストメーターで測定した。実施例1−7の鉱物充填剤調合物を混合した重合体試験片の機械的性質を、下記の表5に示す。
【0077】
【表5】

【0078】
表5に示された結果を、機械的性質にしたがって図1から4に示した。表5中の調合物にしたがって、図1は、引張り応力および歪(自動破断時の伸び)の両方の変化を示し、図2は自動破断時のモジュラスの変化、図3は自動ヤング率の変化、そして図4は最大荷重時の荷重の変化を示す。
【0079】
最も意義深いことに、表5および図1−4に示されるように、実施例16−19にしたがってシラン配合物で処理した粒子状水酸化マグネシウムを含む重合体調合物(すなわち、調合物4−7)が、処理してない水酸化マグネシウム(対照例C−1)、またはメチルトリエトキシシランだけで処理した水酸化マグネシウム(対照例C−2)、またはn−オクチルトリエトキシシランだけで処理した水酸化マグネシウム(対照例C−3)のいずれよりも著しく高い引張り応力を示した。引張り応力は、重合体の完全性を反映する最も重要な物理的性質のうちの1つと見なすことができるので、後者の予期しない発見は、疎水性重合体に混合された時、本発明の表面修飾された鉱物充填剤の優れた性質を立証する。
【0080】
実施例16−19(すなわち、調合物4−7)のシラン配合物で処理したサンプルの自動破断のモジュラスと自動ヤング率も、実施例13−15の鉱物充填剤対照調合物C−1、C−2またはC−3をそれぞれ含む重合体調合物よりもさらに著しく高い。実施例16−19の最大荷重の荷重も、対照例の最大荷重の荷重よりも高い。
【0081】
図1−4に見られるように、最も改善された引張り応力、自動破断時のモジュラス、自動ヤング率、および最大荷重時の荷重の特性は、鉱物充填剤調合物5、これは粒子状水酸化マグネシウムに混合したおおよそ1.5重量%のシラン配合物を含むが、この調合物5を含む重合体調合物、実施例17で観察される。
【0082】
実施例20−27
実施例8−12の鉱物充填剤調合物を、上の表4の実施例13−19に要約された同一の操作手順および条件を使用して、表6および7(下記)に示された調合物に従って疎水性重合体に混合した。得られた重合体試験片の機械的性質をテストし、テスト結果を表8に要約した。鉱物調合物5を含む実施例23を参照のために表6−8に示す。
【0083】
【表6】

【0084】
【表7】

【0085】
【表8】

【0086】
図5−8に図示されるように、表8に示された結果を機械的性質にしたがってグラフ化した。表7に要約された実施例(調合物)20−28にしたがって、図5は、引張り応力および歪(自動破断時の伸び)の両方の変化、図6は、自動破断時のモジュラスの変化、図7は、自動ヤング率の変化、そして図8は、最大荷重時の荷重の変化を示す。
【0087】
表8および図5−8から明らかなように、引張り応力および他の性質は、実施例24、25および26のように約60モルパーセントの臨界量以上の長鎖炭化水素基を有するオルガノシランの配合物で表面修飾された鉱物充填剤を含む調合物に比較して、実施例21−23および27のように、60モルパーセント未満の量の長鎖(例えばn−オクチル)炭化水素基を有するオルガノシリル基の配合物で表面修飾された鉱物充填剤を含む重合体調合物では著しく改善される。例えば、実施例24は、対照実施例28(表面修飾なし)、対照実施例20(メチルトリエトキシシラン100%)または対照実施例26(n−オクチルトリエトキシシラン100%)と比較して少しも改善されていない引張り応力特性を示す。
【0088】
このように、本発明の好ましい実施例であると現在考えられる実施例を記述したが、当業者は、発明の趣旨から逸脱することなく、他の、そしてさらなる実施態様を作りだすことができることを悟るであろう。そして、ここに説明された請求項の真の範囲に入るものとして、そのようなさらなる改良および変更のすべてを含むと意図される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体組成物であって、オレフィンから誘導された重合体成分と、二価もしくは三価金属イオンに結合されたヒドロキシ基を含有する粒子状鉱物充填剤コアを含有する表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分とを含有し、前記粒子状鉱物充填剤コアがその表面に、(i)1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシリル基であって、各々がケイ素に結合された、1から3の、独立して1から3の炭素原子を有する短鎖炭化水素基を有する短鎖オルガノシリル基、ならびに(ii)1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシリル基であって、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、ケイ素に結合された、1から3の、独立して8から12の炭素原子を含む長鎖炭化水素基を有する長鎖オルガノシリル基を含有し、ここで、前記長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの量で存在する、重合体組成物。
【請求項2】
前記表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分が、前記オレフィンから誘導された重合体成分および鉱物充填剤成分の合計重量の約50から約70重量パーセントの量である、請求項1に記載の重合体組成物。
【請求項3】
前記オレフィンから誘導された重合体成分が、ポリエチレン含有重合体または共重合体である、請求項1に記載の重合体組成物。
【請求項4】
前記オレフィンから誘導された重合体成分が、ポリプロピレン含有重合体または共重合体である、請求項1に記載の重合体組成物。
【請求項5】
前記オレフィンから誘導された重合体成分が、エチレン−酢酸ビニル共重合体である、請求項1に記載の重合体組成物。
【請求項6】
前記長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約3モルパーセントと同じかそれ以上であり、そして約55モルパーセントまでの量で存在する、請求項1に記載の重合体組成物。
【請求項7】
重合体組成物であって、オレフィンから誘導された重合体成分と、二価または三価金属イオンに結合されたヒドロキシ基を含有する粒子状鉱物充填剤コアを含有する表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分とを含み、前記粒子状鉱物充填剤コアがその表面に、(i)1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシリル基であって、各々がケイ素に結合された、1から3の、独立して1から3の炭素原子を有する短鎖炭化水素基を有する短鎖オルガノシリル基、ならびに(ii)1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシリル基であって、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、ケイ素に結合された、1から3の、8の炭素原子を含む長鎖炭化水素基を有する長鎖オルガノシリル基を含有し、ここで、前記長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの量で存在する、重合体組成物。
【請求項8】
重合体組成物であって、オレフィンから誘導された重合体成分と、二価または三価金属イオンに結合されたヒドロキシ基を含有する粒子状鉱物充填剤コアを含有する表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分とを含み、前記粒子状鉱物充填剤コアがその表面に、(i)1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシリル基であって、各々がケイ素に結合されたメチル基を有する短鎖オルガノシリル基、ならびに(ii)1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシリル基であって、各々が直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、ケイ素に結合された、1から3の、独立して8から12の炭素原子を含む長鎖炭化水素基を有する長鎖オルガノシリル基を含有し、ここで、前記長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの量で存在する、重合体組成物。
【請求項9】
重合体組成物であって、オレフィンから誘導された重合体成分と、二価または三価金属イオンに結合されたヒドロキシ基を含有する粒子状鉱物充填剤コアを含有する表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分とを含み、前記粒子状鉱物充填剤コアがその表面に、(i)1つもしくは以上の短鎖オルガノシリル基であって、各々がケイ素に結合されたメチル基を有する短鎖オルガノシリル基、ならびに(ii)1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシリル基であって、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、ケイ素に結合された、1から3の、8の炭素原子を含む長鎖炭化水素基を有する長鎖オルガノシリル基を有し、ここで、前記長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの量で存在する、重合体組成物。
【請求項10】
ワイヤーケーブルであって、導電体と難燃性コーティングとを含有し、前記難燃性コーティングが、表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分が難燃性になる量で混合された、オレフィンから誘導された重合体を含有し、前記鉱物充填剤成分が、二価または三価金属イオンに結合したヒドロキシ基を含有する粒子状鉱物充填剤コアを含有し、前記粒子状鉱物充填剤コアがその表面に、(i)1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシリル基であって、各々がケイ素に結合された、1から3の、1から3の炭素原子を有する短鎖炭化水素基をする有短鎖オルガノシリル基、ならびに(ii)1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシリル基であって、各々が直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、ケイ素に結合された1から3の、独立して8から12の炭素原子を含む長鎖炭化水素基を有する長鎖オルガノシリル基を有し、ここで、前記長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの量で存在する、ワイヤーケーブル。
【請求項11】
ワイヤーケーブルであって、導電体と難燃性コーティングとを含有し、前記難燃性コーティングが、表面修飾された非ハロゲン系鉱物充填剤成分が難燃性になる量で組み込まれた、オレフィンから誘導された重合体を含有し、前記鉱物充填剤成分が、二価または三価金属イオンに結合したヒドロキシ基を含有する粒子状鉱物充填剤コアを含有し、前記粒子状鉱物充填剤コアがその表面に、(i)1つもしくはそれ以上の短鎖オルガノシリル基であって、各々がケイ素に結合されたメチル基を有する短鎖オルガノシリル基、ならびに(ii)1つもしくはそれ以上の長鎖オルガノシリル基であって、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の、ケイ素に結合された1から3の、8の炭素原子を含む長鎖炭化水素基を有する長鎖オルガノシリル基を有し、ここで、この長鎖オルガノシリル基が、長鎖および短鎖オルガノシリル基の合計モル量の約55モルパーセントまでの量で存在する、ワイヤーケーブル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−540103(P2009−540103A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515456(P2009−515456)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/013786
【国際公開番号】WO2007/146289
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】