説明

表面処理粉体及びその製造方法並びにそれを含有する化粧料

【課題】撥水性、撥油性に優れ、肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好な表面処理粉体及びこの表面処理紛体を安価かつ簡単な操作で製造すること、並びにこの表面処理粉体を配合した化粧料を提供することにある。
【解決手段】一般式(1)で示されるパーフルオロポリエーテルリン酸と、一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性高分子、または一般式(3)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するカチオン性高分子によって基材粉体の表面が処理されていることを特徴とする表面処理粉体、及びこの表面処理粉体を配合した化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水性、撥油性に優れ、且つ使用感に優れた表面処理粉体および該粉体を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メーキャップ化粧料、日焼け止め化粧料、マスカラ、ネイルエナメル、口紅などの化粧料には、化粧料用粉体として様々な粉体が用いられている。汗、涙、雨、戸外でのスポーツ、海水浴などによる化粧崩れの防止、また衣類や容器などへの色移り防止など、その使用目的に合わせて、撥水性、撥油性をもたせるための表面処理に関する多くの検討がなされており、シリカコートを施した粉体を用いる方法、各種シリコーン誘導体で表面処理した粉体を用いる方法、パーフルオロ基を有する表面処理剤により表面処理をした撥水性、撥油性を有する粉体を用いる方法などが提案されている。
【0003】
パーフルオロアルキル基を有する表面処理剤により表面処理した粉体については、パーフルオロアルキルリン酸により処理する方法が知られている(特許文献1)。また、パーフルオロアルキルリン酸により処理した粉体は伸びが悪い、粉っぽい、皮膚への付着性に乏しいなどという理由から、他の表面処理剤と併用して処理した粉体を利用する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、特定のパーフルオロアルキル基については安全性の問題があるため懸念されていることから、その代替となる紛体の表面処理剤が求められている。
【0004】
それを解決する方法の一つとして、パーフルオロポリエーテル鎖を有する表面処理剤が検討されている。パーフルオロポリエーテル鎖を有する表面処理剤で処理した粉体としては、パーフルオロポリエーテルリン酸エステルで処理された粉体及びそれを含有する化粧料(特許文献3〜4)が報告されている。パーフルオロポリエーテル鎖を有するシラン化合物で処理した紛体としては、パーフルオロポリエーテル変性アミノシラン化合物で処理した紛体(特許文献5)が報告されている。さらには、パーフルオロポリエーテルを含有するアニオン性高分子が報告されている(特許文献6)。しかしながら、これらの表面処理剤を利用した紛体は、撥水性、撥油性などの面で十分のものではなく、皮膚への付着性や感触の点からも十分満足できるものではない。また、安価かつ簡単な操作で表面処理できる表面処理剤で製造した表面処理紛体も望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−112915号公報
【特許文献2】特開2009−269866号公報
【特許文献3】特開2000−128737号公報
【特許文献4】特開2000−309509号公報
【特許文献5】特開2008−214229号公報
【特許文献6】特開2010−121099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、撥水性、撥油性に優れ、肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好な表面処理粉体、及びこの表面処理粉体を安価かつ簡単な操作で製造すること、並びにこの表面処理粉体を配合した化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、本課題に対し鋭意研究を行った結果、一般式(1)で示されるパーフルオロポリエーテルリン酸と、一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性高分子または一般式(3)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するカチオン性高分子とを組み合わせて基材粉体を表面処理することにより撥水性、撥油性、付着性、感触面で、相乗的な効果を見出した。また本発明の表面処理粉体を使用する事により、汗や皮脂による化粧くずれのし難い、また肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好である化粧品が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、撥水性、撥油性に優れ、肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好な表面処理粉体を提供することができる。本発明の表面処理紛体は従来の撥水撥油性粉体とは異なり、化粧品で用いられる種々の粉体との混和性にも優れており、容易に感触に優れた高機能な化粧料を提供することができる。具体的には、汗や水などによる化粧崩れがおこりにくいメーキャップ化粧料や紫外線防御用化粧料、容器や衣服などに色移りしにくい口紅やファンデーションなどの化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の表面処理粉体について詳述する。
【0010】
本発明は、一般式(1);
【化1】

(式中、pは1〜50の整数、qは1〜10の整数、nは1〜5の整数を示す)で表されるパーフルオロポリエーテルリン酸と、一般式(2);
【化2】

(式中、rは1〜50の整数、Rfは一般式(4)、Ruは一般式(5)を示す)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性高分子、または一般式(3);
【化3】

(式中、sは1〜50の整数、Rfは一般式(4)、Ruは一般式(5)を示す)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するカチオン性高分子を併用して基材粉体の表面が処理されていることを特徴とする表面処理粉体を提供するものである。
【0011】
さらに、一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性高分子および一般式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するカチオン性高分子におけるRf(パーフルオロポリエーテル部)は、一般式(4);
【化4】

(式中、xは1〜100の整数、yは1〜100の整数を示す)で表される。
【0012】
一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性高分子および一般式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するカチオン性高分子におけるRu(ウレタン結合部)は、一般式(5);
【化5】

(式中、Aはシクロヘキサン中の官能基で、Aのうち2個はウレタン結合構造を成す同一又は異なる―NH−CO−又は−CH−NH−CO−であり、それ以外は任意に水素又はメチル基を示す。)で表される。
【0013】
本発明は、前記表面処理成分を組み合わせて処理する事により、相乗的に粉体の機能が向上することにある。さらに実施例で詳述するが、これらの製法を制限するものでは無く、湿式法で行う事により、処理の順序により後で処理する処理剤の性質が強く出易いという傾向があるものの、従来では得られない撥油性と感触、付着性、更には他の表面処理粉体との混和性に優れた粉体が得られる。組み合わせ比率、量について制限するものではないが、本発明の表面処理成分は基材粉体100質量部に対して、0.5以上40質量部であることが好ましい。
【0014】
さらに、前記表面処理成分の比率は、5/95から95/5の範囲が好ましく、更に好ましくは10/90から90/10である。
【0015】
本発明に係わる一般式(1)で表されるパーフルオロポリエーテルリン酸は、特許3888902号公報に準じた方法で合成でき、製品名FOMBLIN HC/P2−1000(ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロエチルPEGリン酸)として日光ケミカルズ株式会社より市販されている。一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性高分子は、特開2003−129394号公報に準じた方法で合成でき、製品名FOMBLIN HC/PU−AN5E(ポリウレタン−27)として日光ケミカルズ株式会社より市販されている。一般式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するカチオン性高分子とは、特開2000−302938号公報に準じた方法で合成でき、製品名FOMBLINE HC/PU−CAT5(ポリウレタン−26)として、日光ケミカルズ株式会社より市販されている。
【0016】
表面処理剤を使用して基材粉体の表面を処理する方法は、一般的には湿式法、乾式法の2方法がある。湿式法は溶剤、もしくは水/溶剤溶液に基材粉体を分散し、ここに攪拌しながら、表面処理剤を添加し、均一にコート後ろ過して、乾燥し表面処理粉体を得るものである。乾式法はヘンシェルミキサー、ボールミルなどに基材粉体を加え、溶剤に溶解した表面処理剤を加え、良く混合後乾燥、加熱して処理粉体を得るものである。
【0017】
本発明における表面処理の方法は特に制限するものでは無いが、均質な表面処理をするには湿式法が好ましい。具体的には、一般式(1)で表されるパーフルオロポリエーテルリン酸と、一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を含有するアニオン性高分子はアルカリ性下で、一般式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を含有するカチオン性高分子は酸性下で水に溶解する。したがって、一般式(1)で表されるパーフルオロポリエーテルリン酸と、一般式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を含有するアニオン性高分子で処理するためには基材粉体を水に分散し、pH8.0以上のアルカリ性下で表面処理剤を加え、良く混合して、均質に表面吸着させた後、酸性にし不溶化して表面処理に強く吸着させて、ろ過、乾燥して処理粉体を得ることができる。
同様に、一般式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル鎖を含有するカチオン性高分子で処理するためには基材粉体を水に分散し、pH6.0以下の酸性下で表面処理剤を加え、よく混合して、均質に表面吸着させた後、アルカリ性にし不溶化して表面処理に強く吸着させて、ろ過、乾燥して処理粉体を得ることができる。
【0018】
上述のようにして得られる本発明の表面処理粉体は撥水性、撥油性に優れ、且つ肌への塗布時の感触が滑らかで、肌との付着性にも優れる。
【0019】
また、基材粉体をあらかじめ表面処理助剤で処理することにより、本発明において、より優れた表面処理粉体を得ることができる。表面処理助剤としては、塩化鉄、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム六水和物、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等があり、好ましくは塩化アルミニウム六水和物である。これら表面処理助剤の使用量を限定するものではないが、本発明の効果を損なわずにより優れた表面処理粉体を得るためには、0.1から5質量部程度が好ましい。
【0020】
更に、本発明に係わる基材粉体の表面処理にあたっては、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(1)から(3)以外の表面処理剤を同時又は連続的に基材粉体に表面処理することができる。本発明に使用できる表面処理剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸、トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン、PEG8トリフルオロプロピルジメチコンコポリマー等の本発明に係わる表面処理剤以外のフッ素系化合物、ハイドロジェンシリコーン、アミノシリコーン、反応性オルガノポリシロキサン、アルキルシランなどのシリコーン化合物、有機チタネート、ポリオレフィン、レシチン及び/又はその塩、水添レシチン及び/又はその塩などのレシチン類、アシル化アミノ酸及び/又はその塩、酸性エステル油、脂肪酸及び/又はその塩類、デキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、コラーゲン、高級アルコール、エステル、ワックス、金属石鹸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
上記パーフルオロポリエーテル変性アミノシランは、特開昭58−122979号公報に準じた方法で合成できる。パーフルオロオクチルトリエトキシシランは、Gelest,Inc.製のものを利用できる。炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸は、特開2004−277389号公報に準じた方法で合成できる。トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサンは、信越化学工業社のKF−5002などが利用できる。PEG8トリフルオロプロピルジメチコンは、信越化学工業社のFPD−6131などを利用できる。反応性オルガノポリシロキサンとしては、信越化学工業社のKF99(メチコン)、KF9901(ハイドロジェンジメチコン)等、KF−9908(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)、KF−9909(トリエトキシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン)、KP−574((アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー)、KF―7312(トリメチルシロキシケイ酸とシクロペンタシロキサンの混合物)、KF―9001(トリメチルシロキシケイ酸のデカメチルシクロペンタシロキサン50%溶液)等を使用できる。アルキルシランとしては、ダウコーニング社のZ−6341(オクチルトリエトキシシラン)やデグサ社のF−8261(トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン)等を使用できる。有機チタネートとしては、味の素社のプレンアクトKR−TTS(イソプロピルトリイソステアロイルチタネート)等が使用できる。ポリオレフィンとしては、例えば、特開昭63−179972号公報に記載の公知の化合物や、ポリプロピレンを酸化して得られる酸化ポリエチレン、マレイン化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン等を使用できる。水添レシチン及び/又はその塩類としては、例えば、日光ケミカルズ社のレシノールS−10(水素添加大豆リン脂質)、キユーピー社の卵黄レシチンPL−100P(水素添加卵黄リン脂質)等を使用できる。アシル化アミノ酸及び/又はその塩としては、日光ケミカル社のサルコシネートMN(ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム)、アラニネートLN−30(ラウロイルメチルアラニンナトリウム)、サルコシネートCN−30(ココイルサルコシンナトリウム)、サルコシネートOH(オレオイルサルコシン)等、味の素社のアミソフトHS−21(N−ステアロイル−L−グルタミン酸ニナトリウム)等、SEPPIC社のSEPILIFT DPHP(ジパルミトイルヒドロキシプロリン)等を使用できる。
【0022】
これら表面処理剤の使用量を限定するものではないが、本発明の表面処理剤の特性を損なわない程度に使用することが好ましい。好ましくは0.1から10質量部程度である。
【0023】
本発明に、用いられる基材粉体としては、従来化粧料用粉体として用いられている粉体であれば特に制限されず、例えば、次のような基材粉体が挙げられる。またこれらの基材粉体は1種または2種以上を混合して用いても構わない。
【0024】
酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化クロム、群青、ベンガラ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシュウム、マイカ、セリサイト、タルク、シリカ、カオリン、水酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ホウ素、シリカ−アルミナ粉末、ベントナイト、スメクタイトなどの無機顔料、ナイロンパウダー、ポリウレタンパウダー、ポリメチルメタクリレート、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレン粉体、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンガム、シルクパウダー、カルナバワックス、ライスワックス、デンプン、微結晶セルロースなどの有機粉体、ローダミンB等の有機色素、赤色201号、黒色401号、黄色4号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機着色料、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母などの複合粉体、表面処理がなされている粉体などが挙げられ、形状としては、球状、板状、針状、繊維状など通常化粧料に用いられる形状、粒径であれば構わない。 化粧料に使用可能な基材粉体への被覆量は、基材粉体の種類やその粒子径、吸油量、吸水量、比表面積により異なるが、基材粉体100質量部に対する本発明に係るパーフルオロポリエーテル鎖を有する本発明の表面処理剤の処理量は0.5〜40質量部が好ましく、更に好ましくは1〜20質量部である。0.5質量部より少ないと十分な効果が得られず、多すぎると本発明表面処理剤の特性を失う。
【0025】
次に本発明の化粧料について詳述する。
【0026】
本発明の化粧料は、上述の本発明の表面処理粉体を含有するもので、その剤型は任意であり、一般に従来の化粧料用粉体を含有する化粧料はすべて含まれる。それら化粧料としては、例えば、ファンデーション、白粉、ほほ紅などのフェイシャル化粧料、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、眉墨、口紅、ネイルエナメルなどといったメークアップ化粧料及び日焼け止め化粧品、乳液、ローションなどの基礎化粧料等が挙げられる。また、化粧料の他、皮膚外用剤、医薬用軟膏等にも好適に使用できる。
【0027】
本発明の表面処理粉体の配合量は、化粧料の形態に応じて変動するが、通常、0.01〜99.9質量%である。化粧料として香料等の他の成分を配合させること、また、0.1質量%未満の配合量では本発明に係る表面処理粉体による撥水性、撥油効果及び好ましい感触が十分に表われないことを考え合わせると、表面処理粉体の配合量は、好ましくは0.1〜99質量%の範囲である。なお、化粧料の種類により、例えば固形粉体化粧料には、20〜80質量%、クリーム状化粧料には5〜50質量%、乳液状化粧料には2〜30質量%、ローション類には2〜20質量%を配合するのがさらに好ましい。
【0028】
本発明の化粧料に配合できる、本発明に係わる表面処理粉体以外の成分としては、目的とする化粧料の種類に応じて、通常の化粧料に配合される成分から適宜選択して使用することができる。これらの成分としては、例えば、流動パラフィン、ワセリンなどの炭化水素、植物油脂、ロウ類、合成エステル油、シリコーン系の油相成分、フッ素系の油相成分、高級アルコール類、低級アルコール、脂肪酸類、増粘剤、紫外線吸収剤、粉体、無機・有機顔料、色材、各種界面活性剤、多価アルコール、糖、高分子化合物、生理活性成分、経皮吸収促進剤、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤、各種添加剤等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0029】
本発明の化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。本発明の化粧料用粉体を配合した化粧料は、耐水性・耐皮脂性に優れ、汗及び皮脂等による化粧崩れを防止し、且つ肌上への化粧料の塗布時の感触が滑らかで、付着性に優れ、しっとりした使用感を与えることができる。
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
[実施例1]
1.製造方法
(処理粉体の製造方法1)
ビーカーにセリサイト100gを秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウム水溶液を加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらにFOMBLIN HC/PU−AN5Eを2g加えて30分間混合する。塩酸でPH4.5として、10分間混合後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品1とした。
【0032】
(処理粉体の製造方法2)
ビーカーにセリサイト100gを秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウム水溶液を加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を2g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品2とした。
【0033】
(処理粉体の製造方法3)
ビーカーにセリサイト100gを計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウム水溶液を加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品3とした。
【0034】
(処理粉体の製造方法4)
ビーカーにセリサイト100gを計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウム水溶液を加えてPH10として、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを2g加え、更にFOMBLIN HC/P2−1000を2g加えて、30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5とし、混合後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品4とした。
【0035】
(処理粉体の製造方法5)
ビーカーにセリサイト100gを計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに塩化アルミニウム六水和物を1g加え、攪拌混合しながら水酸化ナトリウムを加えてPH10とし、FOMBLIN HC/P2−1000を2g、更にFOMBLIN HC/PU−AN5Eを2g加えて、30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5とし、混合後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品5とした。
【0036】
(処理粉体の製造方法6)
ビーカーにセリサイト100gを計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに塩化アルミニウム六水和物を1g加え、攪拌混合しながら水酸化ナトリウム水溶液を加えてPH10とし、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を2g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品6とした。
【0037】
(処理粉体の製造方法7)
ビーカーにセリサイト100gを計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに塩化アルミニウム六水和物を1g加え、攪拌混合しながら水酸化ナトリウム水溶液を加えてPH10とし、FOMBLIN HC/P2−1000を2g、更にFOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて、30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品7とした。
【0038】
(処理粉体の製造方法8)
ビーカーにセリサイト100gを計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を4g加えて、30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5とし、混合後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを比較品1とした。
【0039】
(処理粉体の製造方法9)
ビーカーにセリサイト100gを計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを4g加え、30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5とし、混合後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを比較品2とした。
【0040】
(処理粉体の製造方法10)
ビーカーにセリサイト100gを秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を4g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを比較品3とした。
【0041】
2.評価方法
(撥水性、撥油性)試料を平板な容器に入れ、100kg/cmの力で平坦な表面を作り、ここに水滴、スクワラン滴を静かに落として、接触角を測定した。
(付着性)上腕内側部に試料を均質に擦り付け、これを刷毛ではき取った時に付着している様子を肉眼観察し、以下の5点のスコアで評価し、その平均を求めた。
5: 未処理粉体よりも付着性に優れる
4: 未処理粉体よりも比較的付着性に優れる
3: 未処理粉体と同程度
2: 未処理粉体よりも比較的崩れやすい
1: 未処理粉体よりもかなり崩れやすい
(感触)モニター5名で、塗布時の滑らかさを以下の5点のスコアで評価し、その平均を求めた。
5: 未処理粉体よりもかなり良い
4: 未処理粉体より良い
3: 未処理粉体と同程度
2: 未処理粉体よりも比較的劣る
1: 未処理粉体よりもかなり劣る
【0042】
3.評価結果
評価結果を表1に示す。FOMBLIN HC/P2−1000とFOMBLIN HC/PU−AN5E、FOMBLIN HC/P2−1000とFOMBLINE HC/PU−CAT5の併用、処理順序、処理方法を変えても、良好な粉体が得られた。また表面処理助剤として塩化アルミニウム六水和物を加える方法では更に良好な粉体が得られた。さらに、併用表面処理を行った本発明品1および2は、単純表面処理品比較例1、2、3に比べて、撥水性、撥油性、感触のすべてにおいて優れた結果が得られた。

【表1】

【0043】
[実施例2]
1.製造方法
処理粉体は、[実施例1]の(処理粉体の製造方法1)または(処理粉体の製造方法2)に準じて製造した。
【0044】
2.評価方法
(撥水性、撥油性)試料を平板な容器に入れ、100kg/cmの力で平坦な表面を作り、ここに水滴、スクワラン滴を静かに落として、接触角を測定した。
(感触)モニター5名で、塗布時の滑らかさを評価し、以下の5点のスコアで評価し、その平均を求めた。
5: 未処理粉体よりもかなり良い
4: 未処理粉体より良い
3: 未処理粉体と同程度
2: 未処理粉体よりも比較的劣る
1: 未処理粉体よりもかなり劣る
【0045】
3.評価結果
本発明の表面処理剤は、0.5〜40%の処理量において、その効果が現れ、2〜20%の処理量で、撥水性、撥油性に優れ、感触にも優れた粉体が得られた。

【表2】

【0046】
[実施例3]
[実施例2]において、撥水/撥油性が最も優れていた4.0重量%に固定し、FOMBLIN HC/P2−1000とFOMBLIN HC/PU−AN5E、およびFOMBLIN HC/P2−1000とFOMBLINE HC/PU−CAT5の配合比率を変えた表面処理粉体の評価を行った。
【0047】
1.製造方法
処理粉体は、[実施例1]の(処理粉体の製造方法1)または(処理粉体の製造方法2)に準じて製造した。
【0048】
2.評価方法
(撥水性、撥油性)試料を平板な容器に入れ、100kg/cmの力で平坦な表面を作り、ここに水滴、スクワラン滴を静かに落として、接触角を測定した。
(感触)モニター5名で、塗布時の滑らかさを評価し、以下の5点のスコアで評価し、その平均を求めた。
5: 未処理粉体よりもかなり良い
4: 未処理粉体より良い
3: 未処理粉体と同程度
2: 未処理粉体よりも比較的劣る
1: 未処理粉体よりもかなり劣る
【0049】
3.評価結果
結果を表3に示す。FOMBLIN HC/P2−1000に対して、FOMBLIN HC/PU−AN5EまたはFOMBLINE HC/PU−CAT5量が増えるに従って、感触に優れ、撥水撥油性に優れた粉体が得られた。FOMBLIN HC/PU−AN5Eの配合量が0.1重量%以下になると感触が悪く、FOMBLIN HC/P2−1000の配合量が0.1重量%以下になると撥油性が得れず、滑らかな感触も十分得られなかった。
【表3】

【0050】
[実施例4]
本発明でいうパーフルオロポリエーテル鎖を有する化合物と及びパーフルオロポリエーテルリン酸、それに一般式(1)から(3)以外の表面処理剤を別途添加し、併用での評価を行った。
【0051】
1.製造方法
処理粉体は、[実施例1]の(処理粉体の製造方法2)に準じて製造した。
【0052】
2.評価方法
(撥水性、撥油性)試料を平板な容器に入れ、100kg/cmの力で平坦な表面を作り、ここに水滴、スクワラン滴を静かに落として、接触角を測定した。
(感触)モニター5名で、塗布時の滑らかさを評価し、以下の5点のスコアで評価し、その平均を求めた。
5: 未処理粉体よりもかなり良い
4: 未処理粉体より良い
3: 未処理粉体と同程度
2: 未処理粉体よりも比較的劣る
1: 未処理粉体よりもかなり劣る
【0053】
3.評価結果
多くの組み合わせで、シラン単独と同程度の撥水性、撥油性と感触が得られた。本実験においてもパーフルオロポリエーテルリン酸との併用により、相乗的に機能の改善が認められた。
【表4】

【0054】
[実施例5] 化粧下地
1.製造方法
(処理粉体の製造方法11)
ビーカーに(ジフェニルジメチコン/ビニルフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーを100g秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を1g加え30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を3g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品15とした。
【0055】
(処理粉体の製造方法12)
ビーカーに酸化チタンを100g秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を1g加え30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を3g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品16とした。
【0056】
(処理粉体の製造方法13)
ビーカーに酸化鉄を100g秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を1g加え30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を3g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品17とした。
【0057】
2.処方
A 水 残部(質量%)
グリセリン 5
ステアロキシPGヒドロキシPGヒドロキシエチルスルフォン酸Na 2
B パーフルオロアルキル(C4−14)エトキシジメチコン 13
シクロメチコン 10
ジメチコン 6
メトキシケイヒ酸オクチル 4
エタノール 3
イソステアリルグリセリン 3
1−3ブチレングリコール 2
カーボマー(4%水溶液) 2
ナイロン12 2
表面処理(ジフェニルジメチコン/ビニルフェニルジメチコン/
シルセスキオキサン)クロスポリマー(本発明品15) 2
表面処理酸化チタン(本発明品16) 2
表面処理酸化鉄(本発明品17) 2

(調製方法)A相を常温にてホモミキサーにて攪拌しなら、B相を加えて乳化した。
(結果)SPF25/PA++で、撥水性、撥油性に優れ、感触の良い化粧下地を得た。
【0058】
[実施例6] パウダーファンデーション
1.製造方法
(処理粉体の製造方法14)
ビーカーにマイカを100g秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を1g加え30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を3g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品18とした。
【0059】
(処理粉体の製造方法15)
ビーカーにタルクを100g秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を1g加え30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を3g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品19とした。
【0060】
(処理粉体の製造方法16)
ビーカーに合成金雲母を100g秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を1g加え30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を3g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品20とした。
【0061】
2.処方
A)表面処理マイカ(本発明品18) 残部(質量%)
表面処理タルク(本発明品19) 15
表面処理合成金雲母(本発明品20) 10
ナイロン12 10
B)ジメチコン 7
ミリスチン酸イソセチル 5
メトキシケイヒ酸オクチル 5
(ジフェニルジメチコン/ビニルフェニルジメチコン
/シルセスキオキサン)クロスポリマー 3
トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 3
水添ポリイソブテン 3

(調製方法)B成分をよく混和し、A成分を加えて均一になるまでさらに混和し、容器に充填して製品とした。
(結果)SPF25/PA++で、撥水撥油性に優れ、感触の良いファンデーションを得た。
【0062】
[実施例7] リキッドファンデーション
1.製造方法
(処理粉体の製造方法17)
ビーカーに酸化亜鉛を100g秤り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を1g加え30分間混合する。塩酸でPH4.5とした後、FOMBLINE HC/PU−CAT5を3g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品21とした。
【0063】
2.処方
A 精製水 残部(質量%)
ブチレングリコール 5.0
グリセリン 2.0
ペミュレン 0.1
フェノキシエタノール 3.0
B シクロペンタシロキサン 20.0
表面処理酸化チタン(本発明品16) 5.0
表面処理酸化亜鉛(本発明品21) 6.0
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2.0
(アクリルサンアルキル/ジメチコン)コポリマー 2.0
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 2.0
フィトステロールイソステアレート 1.0
色材 0.9

(調製方法)B相をディスパーで良く混合後、均一溶液としたA相にホモミキサー攪拌しながら、加えて乳化した。
(結果)撥水性、撥油性に優れた乳液状ファンデーションを得た。紫外線防御能もSPF20、PA++と高い値を示した。
【0064】
[実施例8] W/O紫外線防御化粧品
1.製造方法
(処理粉体の製造方法18)
ビーカーに酸化亜鉛を100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品22とした。
【0065】
(処理粉体の製造方法19)
ビーカーに酸化チタンを100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品23とした。
【0066】
(処理粉体の製造方法20)
ビーカーにタルクを100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品24とした。
【0067】
(処理粉体の製造方法21)
ビーカーに合成金雲母を100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品25とした。
【0068】
2.処方
A)ジメチコン 10.0
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 5.0
(ジメチコン/メチコン)・コポリマー 6.0
セレシン 5.0
トリオクタン酸トリメチロールプロパン 5.0
セスキイソステアリン酸ソルビタン 4.0
カルナウバロウ 1.0
表面処理酸化亜鉛(本発明品22) 10.0
表面処理酸化チタン(本発明品23) 2.0
表面処理タルク(本発明品24) 2.0
表面処理合成金雲母(本発明品25) 2.0
シクロメチコン 3.0
メトキシケイヒ酸オクチル 3.0
ミネラルオイル 1.0
ワセリン 1.0
B)ジプロピレングリコール 2.0
ヒアルロン酸Na 0.2
水 残部(質量%)

(調製方法)A成分を70℃に加熱し、本発明粉体以外を均一に溶解させた後、ホモミキサーまたはディスパーミキサーでゆっくりと攪拌しながらAにBを徐々に加えた後、強く攪拌して乳化を行う。
(結果)撥水性、撥油性に優れ、使用感の良いW/O型の紫外線防御化粧品が得られた。また本発明処理粉体の分散性は高く、高い紫外線防御能を示した。SPF30、PA+++
【0069】
[実施例9] 紫外線防御機能を有するファンデーション
【0070】
1.製造方法
(処理粉体の製造方法22)
ビーカーにタルクを100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2gとイソプロピルトリイソステアロイルチタネートを1g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品26とした。
【0071】
(処理粉体の製造方法23)
ビーカーに合成金雲母を100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2gとイソプロピルトリイソステアロイルチタネートを1g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品27とした。
【0072】
(処理粉体の製造方法24)
ビーカーに酸化亜鉛を100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2gとイソプロピルトリイソステアロイルチタネートを1g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過する。これを取り出し乾燥機にて100℃で8時間乾燥し、アトマイザー粉砕したものを本発明品28とした。
【0073】
2.処方
表面処理タルク(本発明品26) 残部(質量%)
表面処理合成金雲母(本発明品27) 10
表面処理酸化亜鉛(本発明品28) 5
メトキシケイヒ酸オクチル 6
ミネラルオイル 5
微粒子シリカ 3
フィトステリルイソステレート 3
ジメチコン 3
ナイロン粉末 3
トリエチルヘキサノイン 3
水 3
トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 1
色材 1

(調製方法)下記の成分をヘンシェルミキサーにて均一になるまで混合し、容器に充填して製品とした。
(結果)肌に対する伸び、滑らかさ、付着性に優れ、オイルへの分散性に優れ、色むらの無いファンデーションが得られた。SPF20、PA++
【0074】
[実施例10] プロテクトエマルション
1.製造方法
(処理粉体の製造方法25)
ビーカーに酸化チタンを100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過、乾燥する。これにハイドロジェンシリコーン(信越化学製 KF99)1gを添加してヘンシェルミキサーで粉砕処理し、130℃で加熱処理したものを本発明品29とした。
【0075】
(処理粉体の製造方法26)
ビーカーに酸化鉄を100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過、乾燥する。これにハイドロジェンシリコーン(信越化学製 KF99)1gを添加してヘンシェルミキサーで粉砕処理し、130℃で加熱処理したものを本発明品30とした。
【0076】
2.処方
A 水 残部(質量%)
エタノール 15.0
グリセリン 6.0
ブチレングリコール 3.0
ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルフォン酸Na 1.0
シリコーンコポリオール 1.0
B メトキシケイヒ酸オクチル 5.0
パーフルオロアルキル(C4−14)エトキシジメチコン 5.0
シクロメチコン 5.0
ジメチコン 5.0
イソステアリルグリセリン 2.0
表面処理酸化チタン(本発明品29) 15.0
表面処理酸化鉄(本発明品30) 2.0
C カーボマー 4%水溶液 2.5
PH調整剤 適量
香料 適量
防腐剤 適量

(調製方法)A相をホモミキサーで攪拌しながら、均質に混合、分散されたB相を加えて乳化する。パドル攪拌に変え、C相を加えて粘度調整した。
(結果)分散性、撥水性、撥油性に優れた製剤が得られた。
【0077】
[実施例11] 口紅
1.製造方法
(処理粉体の製造方法27)
ビーカーに酸化チタンを100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過、乾燥する。これにアミノシリコーンを1g添加してヘンシェルミキサーで粉砕処理し、130℃で加熱処理したものを本発明品31とした。
【0078】
(処理粉体の製造方法28)
ビーカーに酸化鉄を100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過、乾燥する。これにアミノシリコーンを1g添加してヘンシェルミキサーで粉砕処理し、130℃で加熱処理したものを本発明品32とした。
【0079】
(処理粉体の製造方法29)
ビーカーにマイカを100g計り取り、精製水100gを加えてよく攪拌する。ここに水酸化ナトリウムを加えてPH10として、FOMBLIN HC/P2−1000を2g加え、30分間混合する。さらに、FOMBLIN HC/PU−AN5Eを1g加えて30分間混合する。塩酸を加えてPH4.5として、FOMBLINE HC/PU−CAT5を1g加え、30分間攪拌後ろ過、乾燥する。これにアミノシリコーンを1g添加してヘンシェルミキサーで粉砕処理し、130℃で加熱処理したものを本発明品33とした。
【0080】
2.処方
ポリブテン 60
リンゴ酸イソステアリル 10
トリオクタノイン 10
パルミチン酸デキストリン 3
トリイソステアリン酸ジグリセリン 3
テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル 3
(ジメチコン/メチコン)コポリマー 2
ジメチコン 2
炭酸カルシウム 1
ミリスチン酸デキストリン 1
表面処理酸化チタン(本発明品31) 1
表面処理酸化鉄(本発明品32) 1
表面処理マイカ(本発明品33) 1
その他色材、香料 残部(質量%)

(調製方法)下記の処方にて、ロールミルを使用して、均一に混和して作成した。
(結果)顔料の分散性に優れ鮮やかな色調の口紅が得られた。付着性に優れ、容器などへの色移りし難いものが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるパ−フルオロポリエーテルリン酸と、一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性高分子または一般式(3)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するカチオン性高分子とを用いて基材粉体の表面が処理されていることを特徴とする表面処理粉体。
【化1】

(式中、pは1〜50の整数、qは1〜10の整数、nは1〜5の整数を示す)

【化2】

(式中、rは1〜50の整数、Rfは一般式(4)、Ruは一般式(5)を示す)

【化3】

(式中、sは1〜50の整数、Rfは一般式(4)、Ruは一般式(5)を示す)
【化4】

(式中、xは1〜100の整数、yは1〜100の整数を示す)
【化5】

(式中、Aはシクロヘキサン中の官能基で、Aのうち2個はウレタン結合構造を成す同一又は異なる―NH−CO−又は−CH−NH−CO−であり、それ以外は任意に水素又はメチル基を示す。)
【請求項2】
前記基材粉体100質量部に対して、一般式(1)で示されるパ−フルオロポリエーテルリン酸と、一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性高分子または一般式(3)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するカチオン性高分子との合計被覆量が0.5〜40質量部であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理粉体。
【請求項3】
一般式(1)で示されるパープルオロポリエーテルリン酸と一般式(2)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性高分子をpH8.0以上のアルカリ性下で処理し、また、一般式(3)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を有するカチオン性高分子をpH6.0以下の酸性下で処理することを特徴とする基材粉体の表面処理方法。
【請求項4】
基材粉体をあらかじめ表面処理助剤で処理することを特徴とする請求項3に記載の基材粉体の表面処理方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の表面処理粉体を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項6】
請求項3または4に記載の製造方法により得られる表面処理粉体を含有することを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2012−51844(P2012−51844A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196440(P2010−196440)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000226437)日光ケミカルズ株式会社 (60)
【出願人】(000228729)日本サーファクタント工業株式会社 (44)
【出願人】(301068114)株式会社コスモステクニカルセンター (57)
【Fターム(参考)】