説明

装飾物及びその製造方法

【課題】容易に製造することができるとともに、材料コストを低減することができる装飾物を提供する。
【解決手段】心棒12の外周面に対し帯状の布地22の側縁を接着剤23を用いて螺旋状に巻回する。布地22の前記接着剤23と反対側の側縁を予め該布地22の長手方向に沿って切断除去する。前記布地22を構成する多数の糸13を切断された側縁から解して放射糸群14を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状の被装飾物の表面に放射状の糸群を形成した装飾物として、従来、布地に多数本の毛や糸を埋め込んだり、接着したりした後に、前記布地を被装飾物の表面に接着したものが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の放射状糸群を有する棒状の装飾物の製造方法は、布地に毛や糸を埋め込む作業が必要であるため、製造が非常に面倒であるという問題があった。又、布地に予め毛や糸を埋め込んだものを購入する場合には、材料コストが高くなるという問題もあつた。
【0004】
本発明の目的は、容易に製造することができるとともに、材料コストを低減することができる装飾物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、帯状の布地の一側縁が解されて放射糸群となり、被装飾物の表面に前記帯状の布地の他側縁が接着されていることを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記帯状の布地は、多数の糸群を束ねた複合糸を緯糸及び縦糸として用いて平織りされたものであることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記帯状の布地の他側縁は、棒状の被装飾物の表面に螺旋状に巻回接着されていることを要旨とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、帯状の布地の一側縁を該布地の長手方向に沿って切断除去する行程と、被装飾物の表面に前記布地の他側縁を接着する行程と、前記布地の糸を切断された側縁から解して放射糸群を形成する行程とを含むことを要旨とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、被装飾物の表面に前記布地の他側縁を接着する行程は、両面粘着テープにより行われるものであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、帯状の布地の一側縁が解されて放射糸群となり、被装飾物の表面に前記帯状の布地の他側縁が接着されているので、布地の一側縁を切断して解す作業と、布地の他側縁を被装飾物の表面に接着する作業のみで、容易に装飾物を製造することができる。又、被装飾物に接着する材料として帯状の布地を用いるだけ済むため、材料コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した装飾物及びその製造方法の一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示す棒状の装飾物11は、被装飾物としての心棒12の表面に多数の糸13を放射状に装着して放射糸群14を形成したものである。心棒12の下部には薄手の例えば絹等よりなる布地15が螺旋状に接着されている。
【0011】
次に、上記の装飾物11の製造方法について説明する。
図2に示すように、複数本の綿や紙等の糸13を扁平状に束ねた複合糸21を縦糸及び緯糸として用いて平織りされた帯状の布地22を用意する。複合糸21の糸13の本数は、例えば3〜15本の中から選択される。この布地22の一側縁を鋏により仮想切断線Lに沿って布地22の長手方向に切断して除去する。この工程は、布地22の製造工程に連続して行うようにしてもよい。前記布地22の両側縁は切断しなければ、糸13を解すことができないように織成されている。
【0012】
次に、図3に示すように、布地22の前記切断端縁22aと反対側の他側縁にボンド等の接着剤23を塗布する。その後、図4に示すように、前記心棒12の表面に前記布地22を前記接着剤23を用いて螺旋状に巻回しながら接着する。
【0013】
最後に、前記布地22の切断端縁22aから複合糸21の複数の糸13を図5に示すように解して放射糸群14とする。図5は、糸13が規則正しく解された状態であるが、実際には糸13が不規則に解されて、図1に示す装飾物11となる。この装飾物11は、帯状の布地22の一側縁が解されて放射糸群14となり、心棒12の表面に前記帯状の布地22の他側縁が接着剤23により接着された構成となっている。接着剤23により接着された布地22の他側縁は、複合糸21の糸13が解されることはないが、この布地22の部分は、放射糸群14によって覆われているので、装飾物11には、放射糸群14のみが表れることになる。
【0014】
上記の装飾物11は、例えば、花瓶やクリスマスツリー等に装着して使用することができる。
上記実施形態の装飾物及びその製造方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0015】
(1)上記実施形態では、帯状の布地22の一側縁が解されて放射糸群14となり、被装飾物としての心棒12の表面に前記帯状の布地22の他側縁が接着剤23により接着されている。このため、布地22の一側縁を切断して解す作業と、布地22の他側縁を心棒12の表面に接着する作業のみで、意匠性に富んだ趣のある装飾物11を容易に製造することができる。又、心棒12に接着する材料も帯状の布地22のみで済むため、材料コストを低減することができる。
【0016】
(2)上記実施形態では、糸13が複数本の糸を束ねた複合糸により形成されているので、糸13を解して放射糸群14を容易に形成することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0017】
○図6に示すように、瓶の上部の外周表面に布地22を接着して放射糸群14を形成して装飾物としての瓶31を形成してもよい。
○図7に示すように、心棒12の表面に布地22を複数回円環状に巻回して、各布地22毎に放射糸群14を形成して装飾物としての装飾棒を形成してもよい。
【0018】
○図示しないが、前記接着剤23に代えて、両面粘着テープの粘着剤層を接着してもよい。この場合には、粘着剤層の表面に剥離シートが剥離可能に接着されているので、布地22を被装飾物に接着する際に、剥離シートを剥離する。
【0019】
○図示しないが、布地22の材料として、各種の合成繊維、羊毛或いはその他の材料を用いてもよい。又、不織布や編物、三次元織物を用いてもよい。
○布地22の複合糸21の糸13を解す工程は、布地22を被装飾物に接着する前に行ってもよい。
【0020】
○被装飾物として、例えば、物品を支持する支柱、机、椅子、テーブル、額縁、時計、電気スタンド、或いはその他の各種の被装飾物を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の装飾物の一実施形態を示す正面図。
【図2】帯状の布地の斜視図。
【図3】装飾物の製造工程を説明する帯状の布地の平面図。
【図4】装飾物の製造工程を説明する心棒と帯状の布地の正面図。
【図5】装飾物の製造工程を説明する心棒と帯状の布地の正面図。
【図6】この発明の装飾物の別例を示す正面図。
【図7】この発明の装飾物の別例を示す正面図。
【符号の説明】
【0022】
11…装飾物、13…糸、14…放射糸群、15,22…布地、21…複合糸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の布地の一側縁が解されて放射糸群となり、被装飾物の表面に前記帯状の布地の他側縁が接着されていることを特徴とする装飾物。
【請求項2】
請求項1において、前記帯状の布地は、多数の糸群を束ねた複合糸を緯糸及び縦糸として用いて平織りされたものであることを特徴とする装飾物。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記帯状の布地の他側縁は、棒状の被装飾物の表面に螺旋状に巻回接着されていることを特徴とする装飾物。
【請求項4】
帯状の布地の一側縁を該布地の長手方向に沿って切断除去する行程と、
被装飾物の表面に前記布地の他側縁を接着する行程と、
前記布地の糸を切断された側縁から解して放射糸群を形成する行程と、
を含むことを特徴とする装飾物の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、被装飾物の表面に前記布地の他側縁を接着する行程は、両面粘着テープにより行われるものであることを特徴とする装飾物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−316377(P2006−316377A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140091(P2005−140091)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(505173913)
【Fターム(参考)】