複合パネルの取付構造
【課題】厚みの異なる断熱パネルに対応でき、また、断熱パネルのボルト近傍以外の部分に作用する力に対応し得る複合パネルの取付構造を提供する。
【解決手段】複合パネルの取付構造1は、外壁パネル30と、外壁パネル30の裏面を覆う断熱パネル31とからなる複合パネル12を、建物の軸組の床梁10に取り付けられた定規金物11に取り付ける。複合パネルの取付構造1は、断熱パネル31とその裏面側にある定規金物11との間に介在される保護板13と、保護板13から断熱パネル31を貫通し、保護板13を外壁パネル30に対し固定するタッピングビス40と、を有している。
【解決手段】複合パネルの取付構造1は、外壁パネル30と、外壁パネル30の裏面を覆う断熱パネル31とからなる複合パネル12を、建物の軸組の床梁10に取り付けられた定規金物11に取り付ける。複合パネルの取付構造1は、断熱パネル31とその裏面側にある定規金物11との間に介在される保護板13と、保護板13から断熱パネル31を貫通し、保護板13を外壁パネル30に対し固定するタッピングビス40と、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量気泡コンクリート(ALC)等のコンクリート系の外壁パネルで外壁を構成した建物において、断熱性能の向上を図るため、外壁パネルの裏面に合成樹脂発泡体からなる断熱パネルを貼着し、複合パネルを構成することがある。
【0003】
複合パネルは、建物の梁などの軸組に取り付けられた金物(定規部材)に対して、外壁パネルの貫通ボルトや埋め込みボルトを用いて取り付けられるが、外壁パネルと定規部材との間に断熱パネルが挟み込まれていると、外壁パネルや定規部材に外力が作用した際に、断熱パネルが定規部材から圧縮力を受けて圧壊する恐れがある。そこで、定規部材のある梁部分には、断熱パネルを外壁パネルの裏面に貼着せずに、梁を迂回するように断熱材を配置することが考えられている。しかし、この場合、施工に手間がかかり、材料費も嵩む。また、当該梁に直交するように他の梁が接合されている部分等、断熱材が連続しない部分が生じ、その部分の断熱性が低下してしまう。
【0004】
特許文献1には、外壁パネルの全体に断熱パネルを配置し、外壁パネルを固定するボルトの部分に補強部材を設け、補強部材のプレート(鍔状部分)を、断熱パネルと取付金物との間に配置することが記載されている。これにより、断熱パネルの圧壊を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−036583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記補強部材は断熱パネルの厚みの変更には対応できず、断熱パネルの厚みの変更に応じて、スリーブの長さの異なる補強部材を用意しなければならない。、汎用性に乏しい。また、断熱パネルの補強される位置がボルト近傍に限定されるので、断熱パネルのボルトから離れた位置に作用する圧縮力には対応しきれない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、厚みの異なる断熱パネルに対応でき、また、断熱パネルのボルト近傍以外の部分に作用する圧縮力に対応し得る複合パネルの取付構造を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、外壁パネルと、当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとからなる複合パネルを、建物の軸組に取り付けられた定規部材に取り付ける複合パネルの取り付け構造において、前記断熱パネルとその裏面側にある前記定規部材との間に介在される保護板と、前記保護板から前記断熱パネルを貫通し前記外壁パネルに到達し、前記保護板を前記外壁パネルに固定するビスと、を有する複合パネルの取付構造である。
【0009】
本発明によれば、ビスを用いて保護板を外壁パネルに固定するので、外壁パネルに外力が作用しても、保護板と外壁パネルの間の断熱パネルに直接圧縮力が加わることが防止され、断熱パネルの圧壊が防止される。また、ビスのねじ込み深さを調整することで断熱パネルの厚みの変更にも対応でき、汎用性が高い。さらに、保護板の取り付け位置を自由に選択できるので、断熱パネルの様々な部分に作用する圧縮力に対応し得る。
【0010】
前記外壁パネルは、その裏面に固定されたアンカー板を有し、前記ビスは、前記アンカー板に到達し固定されていてもよい。かかる場合、比較的強度の低い外壁パネルであっても、ビスを外壁パネルに確実に固定できる。
【0011】
前記保護板は、前記断熱パネルに突き刺される爪部を有していてもよい。かかる場合、保護板の面方向のずれを防止できる。
【0012】
前記複合パネルの取付構造は、前記外壁パネルから前記断熱パネルを貫通し当該断熱パネルの裏面側に突出するボルトと、前記断熱パネルの裏面側の前記ボルトに取り付けられ、一部で前記定規部材の裏面側を押さえる裏当て板と、前記裏当て板の裏面側から前記ボルトに締め付けられるナットと、を有し、前記裏当て板と前記断熱パネルとの間に前記保護板があってもよい。かかる場合、例えば複合パネルが外気の負圧等により建物の外側に引っ張られ、それに伴い裏当て板が外側に引っ張られた場合であっても、裏当て板と断熱パネルとの間に保護板があるので、それによる断熱パネルの圧壊を防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異なる厚みの断熱パネルに対応でき、また保護板の取り付け位置も制限されないので、汎用性が向上し、複合パネルの取付構造の生産コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】複合パネルの取付構造の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【図2】複合パネルの取付構造の構成を示す説明図である。
【図3】複合パネルの取付構造におけるビスを示す説明図である。
【図4】アンカー板を有する複合パネルの取付構造の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【図5】アンカー板を有する複合パネルの取付構造の構成を示す説明図である。
【図6】保護板に爪部を設けた場合の複合パネルの取付構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る複合パネルの取付構造1の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【0016】
複合パネルの取付構造1は、例えば図1及び図2に示すように例えば建物の軸組の床梁10と、定規部材としての定規金物11と、複合パネル12と、保護板13と、裏当て板14等を有している。
【0017】
定規金物11は、例えば縦断面がL字形状を有する長尺の部材であり、上下の床梁10に沿って水平方向に延びている。定規金物11は、床梁10に固定された水平片20と、複合パネル12が固定される垂直片21を有している。
【0018】
複合パネル12は、外壁パネル30と、外壁パネル30の裏面(室内側の面、以下同様)の全面を覆う断熱パネル31からなる。外壁パネル30は、例えば軽量気泡コンクリートからなる。
【0019】
断熱パネル31は、例えばフェノール樹脂発泡体(フェノールフォーム)の両面にポリエステル不織布を張り合わせたものである。断熱パネル31の幅寸法及び高さ寸法は、外壁パネル30の幅寸法及び高さ寸法とほぼ等しく対応している。建物の外壁は、複合パネル12が上下左右に並べられて構成されている。
【0020】
保護板13は、例えば方形状を有し、断熱パネル31の裏面に設けられ、一部が断熱パネル31と定規金物11との間に配置されている。保護板13は、例えば断熱パネル31よりも強度が高い鋼板により形成されている。保護板13は、例えば図3に示すように保護板13から断熱パネル31を貫通し外壁パネル30に達するタッピングビス40により外壁パネル30に対し固定されている。このタッピングビス40により保護板13と定規金物11との距離が一定に維持される。タッピングビス40は、例えば保護板13の四隅の四カ所に設けられている。
【0021】
図1に示すように例えば外壁パネル30には、当該外壁パネル30の内部から断熱パネル31及び保護板13を貫通しその裏面側に突出するボルト50が固定されている。ボルト50は、定規金物11に近い位置に設けられている。
【0022】
裏当て板14は、例えば方形状でわずかに屈曲している。裏当て板14は、一部が定規金物11の垂直片21の裏面を覆い、他の部分が保護板13の裏面を覆って、定規金物11と保護板13に跨るようにボルト50に挿入されている。よって、裏当て板14と断熱パネル31との間には保護板13がある。ボルト50の裏当て板14の裏面側には、ワッシャー51及びナット52が取り付けられている。このナット52を締めることによって、複合パネル12が定規金物11の垂直片21に引き寄せられ、床梁10に固定されている。
【0023】
本実施の形態にかかる複合パネルの取付構造1によれば、外壁パネル30や定規金物11に外力が作用しても、外壁パネル30と保護板13がタッピングビス40によって固定されているため、断熱パネル31に直接圧縮力が加わることがなく、断熱パネル31の圧壊が防止される。また、タッピングビス40は、タッピングビス40の長さの範囲であれば、断熱パネル31の厚みが変わっても貫通でき、外壁パネル30と保護板13を固定できる。よって断熱パネル31の厚みの変更に適切に対応でき、汎用性がある。また、断熱パネル31の裏面内における保護板13の取り付け位置を自由に選択できるので、圧縮力が作用しやすい位置に保護板13を設置できる。
【0024】
また、裏当て板14と断熱パネル31との間に保護板13が設けられているので、例えば複合パネル12が外気の負圧等により建物の外側に引っ張られ、それに伴い裏当て板14が外側に引っ張られた場合であっても、裏当て板14の圧力による断熱パネル31の圧壊を防止できる。
【0025】
また、以上の実施の形態で記載した複合パネルの取付機構1において、図4及び図5に示すように外壁パネル30は、その裏面に固定されたアンカー板60を有していてもよい。かかる場合、アンカー板60は、上記保護板13と同様に方形状を有し、ビス61によって外壁パネル30の裏面に固定されている。アンカー板60は、例えば外壁パネル30の本体よりも強度が高い鋼板により形成されている。タッピングビス40は、保護板13から断熱パネル31を貫通しアンカー板60に到達して、保護板13をアンカー板60に固定している。
【0026】
かかる場合、外壁パネル30の強度が比較的弱くても、タッピングビス40を外壁パネル30に確実に固定できる。また、タッピングビス40が圧力を受けた際にタッピングビス40が外壁パネル30内にめり込むことを防止できる。
【0027】
以上の実施の形態において、図6に示すように保護板13は、断熱パネル31に挿入される爪部70を有していてもよい。かかる場合、例えば爪部70は、先端が尖ったピン状に形成され、保護板13の複数個所から断熱パネル31内に刺さっている。こうすることにより、保護板13の横ずれを防止できる。
【0028】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0029】
例えば保護板13の形状は他の形状であってもよい。また保護板13の設置位置も上記例に限られない。タッピングビス40の数や配置も任意に選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、複合パネルの取付構造において、多様な厚みの断熱パネルに対応でき、またボルト近傍以外の部分の断熱パネルの圧壊に対応できるようにする際に有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 複合パネルの取付構造
10 床梁
11 定規金物
12 複合パネル
13 保護板
14 裏当て板
30 外壁パネル
31 断熱パネル
40 タッピングビス
50 ボルト
51 ワッシャー
52 ナット
60 アンカー板
70 爪部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量気泡コンクリート(ALC)等のコンクリート系の外壁パネルで外壁を構成した建物において、断熱性能の向上を図るため、外壁パネルの裏面に合成樹脂発泡体からなる断熱パネルを貼着し、複合パネルを構成することがある。
【0003】
複合パネルは、建物の梁などの軸組に取り付けられた金物(定規部材)に対して、外壁パネルの貫通ボルトや埋め込みボルトを用いて取り付けられるが、外壁パネルと定規部材との間に断熱パネルが挟み込まれていると、外壁パネルや定規部材に外力が作用した際に、断熱パネルが定規部材から圧縮力を受けて圧壊する恐れがある。そこで、定規部材のある梁部分には、断熱パネルを外壁パネルの裏面に貼着せずに、梁を迂回するように断熱材を配置することが考えられている。しかし、この場合、施工に手間がかかり、材料費も嵩む。また、当該梁に直交するように他の梁が接合されている部分等、断熱材が連続しない部分が生じ、その部分の断熱性が低下してしまう。
【0004】
特許文献1には、外壁パネルの全体に断熱パネルを配置し、外壁パネルを固定するボルトの部分に補強部材を設け、補強部材のプレート(鍔状部分)を、断熱パネルと取付金物との間に配置することが記載されている。これにより、断熱パネルの圧壊を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−036583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記補強部材は断熱パネルの厚みの変更には対応できず、断熱パネルの厚みの変更に応じて、スリーブの長さの異なる補強部材を用意しなければならない。、汎用性に乏しい。また、断熱パネルの補強される位置がボルト近傍に限定されるので、断熱パネルのボルトから離れた位置に作用する圧縮力には対応しきれない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、厚みの異なる断熱パネルに対応でき、また、断熱パネルのボルト近傍以外の部分に作用する圧縮力に対応し得る複合パネルの取付構造を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、外壁パネルと、当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとからなる複合パネルを、建物の軸組に取り付けられた定規部材に取り付ける複合パネルの取り付け構造において、前記断熱パネルとその裏面側にある前記定規部材との間に介在される保護板と、前記保護板から前記断熱パネルを貫通し前記外壁パネルに到達し、前記保護板を前記外壁パネルに固定するビスと、を有する複合パネルの取付構造である。
【0009】
本発明によれば、ビスを用いて保護板を外壁パネルに固定するので、外壁パネルに外力が作用しても、保護板と外壁パネルの間の断熱パネルに直接圧縮力が加わることが防止され、断熱パネルの圧壊が防止される。また、ビスのねじ込み深さを調整することで断熱パネルの厚みの変更にも対応でき、汎用性が高い。さらに、保護板の取り付け位置を自由に選択できるので、断熱パネルの様々な部分に作用する圧縮力に対応し得る。
【0010】
前記外壁パネルは、その裏面に固定されたアンカー板を有し、前記ビスは、前記アンカー板に到達し固定されていてもよい。かかる場合、比較的強度の低い外壁パネルであっても、ビスを外壁パネルに確実に固定できる。
【0011】
前記保護板は、前記断熱パネルに突き刺される爪部を有していてもよい。かかる場合、保護板の面方向のずれを防止できる。
【0012】
前記複合パネルの取付構造は、前記外壁パネルから前記断熱パネルを貫通し当該断熱パネルの裏面側に突出するボルトと、前記断熱パネルの裏面側の前記ボルトに取り付けられ、一部で前記定規部材の裏面側を押さえる裏当て板と、前記裏当て板の裏面側から前記ボルトに締め付けられるナットと、を有し、前記裏当て板と前記断熱パネルとの間に前記保護板があってもよい。かかる場合、例えば複合パネルが外気の負圧等により建物の外側に引っ張られ、それに伴い裏当て板が外側に引っ張られた場合であっても、裏当て板と断熱パネルとの間に保護板があるので、それによる断熱パネルの圧壊を防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異なる厚みの断熱パネルに対応でき、また保護板の取り付け位置も制限されないので、汎用性が向上し、複合パネルの取付構造の生産コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】複合パネルの取付構造の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【図2】複合パネルの取付構造の構成を示す説明図である。
【図3】複合パネルの取付構造におけるビスを示す説明図である。
【図4】アンカー板を有する複合パネルの取付構造の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【図5】アンカー板を有する複合パネルの取付構造の構成を示す説明図である。
【図6】保護板に爪部を設けた場合の複合パネルの取付構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る複合パネルの取付構造1の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【0016】
複合パネルの取付構造1は、例えば図1及び図2に示すように例えば建物の軸組の床梁10と、定規部材としての定規金物11と、複合パネル12と、保護板13と、裏当て板14等を有している。
【0017】
定規金物11は、例えば縦断面がL字形状を有する長尺の部材であり、上下の床梁10に沿って水平方向に延びている。定規金物11は、床梁10に固定された水平片20と、複合パネル12が固定される垂直片21を有している。
【0018】
複合パネル12は、外壁パネル30と、外壁パネル30の裏面(室内側の面、以下同様)の全面を覆う断熱パネル31からなる。外壁パネル30は、例えば軽量気泡コンクリートからなる。
【0019】
断熱パネル31は、例えばフェノール樹脂発泡体(フェノールフォーム)の両面にポリエステル不織布を張り合わせたものである。断熱パネル31の幅寸法及び高さ寸法は、外壁パネル30の幅寸法及び高さ寸法とほぼ等しく対応している。建物の外壁は、複合パネル12が上下左右に並べられて構成されている。
【0020】
保護板13は、例えば方形状を有し、断熱パネル31の裏面に設けられ、一部が断熱パネル31と定規金物11との間に配置されている。保護板13は、例えば断熱パネル31よりも強度が高い鋼板により形成されている。保護板13は、例えば図3に示すように保護板13から断熱パネル31を貫通し外壁パネル30に達するタッピングビス40により外壁パネル30に対し固定されている。このタッピングビス40により保護板13と定規金物11との距離が一定に維持される。タッピングビス40は、例えば保護板13の四隅の四カ所に設けられている。
【0021】
図1に示すように例えば外壁パネル30には、当該外壁パネル30の内部から断熱パネル31及び保護板13を貫通しその裏面側に突出するボルト50が固定されている。ボルト50は、定規金物11に近い位置に設けられている。
【0022】
裏当て板14は、例えば方形状でわずかに屈曲している。裏当て板14は、一部が定規金物11の垂直片21の裏面を覆い、他の部分が保護板13の裏面を覆って、定規金物11と保護板13に跨るようにボルト50に挿入されている。よって、裏当て板14と断熱パネル31との間には保護板13がある。ボルト50の裏当て板14の裏面側には、ワッシャー51及びナット52が取り付けられている。このナット52を締めることによって、複合パネル12が定規金物11の垂直片21に引き寄せられ、床梁10に固定されている。
【0023】
本実施の形態にかかる複合パネルの取付構造1によれば、外壁パネル30や定規金物11に外力が作用しても、外壁パネル30と保護板13がタッピングビス40によって固定されているため、断熱パネル31に直接圧縮力が加わることがなく、断熱パネル31の圧壊が防止される。また、タッピングビス40は、タッピングビス40の長さの範囲であれば、断熱パネル31の厚みが変わっても貫通でき、外壁パネル30と保護板13を固定できる。よって断熱パネル31の厚みの変更に適切に対応でき、汎用性がある。また、断熱パネル31の裏面内における保護板13の取り付け位置を自由に選択できるので、圧縮力が作用しやすい位置に保護板13を設置できる。
【0024】
また、裏当て板14と断熱パネル31との間に保護板13が設けられているので、例えば複合パネル12が外気の負圧等により建物の外側に引っ張られ、それに伴い裏当て板14が外側に引っ張られた場合であっても、裏当て板14の圧力による断熱パネル31の圧壊を防止できる。
【0025】
また、以上の実施の形態で記載した複合パネルの取付機構1において、図4及び図5に示すように外壁パネル30は、その裏面に固定されたアンカー板60を有していてもよい。かかる場合、アンカー板60は、上記保護板13と同様に方形状を有し、ビス61によって外壁パネル30の裏面に固定されている。アンカー板60は、例えば外壁パネル30の本体よりも強度が高い鋼板により形成されている。タッピングビス40は、保護板13から断熱パネル31を貫通しアンカー板60に到達して、保護板13をアンカー板60に固定している。
【0026】
かかる場合、外壁パネル30の強度が比較的弱くても、タッピングビス40を外壁パネル30に確実に固定できる。また、タッピングビス40が圧力を受けた際にタッピングビス40が外壁パネル30内にめり込むことを防止できる。
【0027】
以上の実施の形態において、図6に示すように保護板13は、断熱パネル31に挿入される爪部70を有していてもよい。かかる場合、例えば爪部70は、先端が尖ったピン状に形成され、保護板13の複数個所から断熱パネル31内に刺さっている。こうすることにより、保護板13の横ずれを防止できる。
【0028】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0029】
例えば保護板13の形状は他の形状であってもよい。また保護板13の設置位置も上記例に限られない。タッピングビス40の数や配置も任意に選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、複合パネルの取付構造において、多様な厚みの断熱パネルに対応でき、またボルト近傍以外の部分の断熱パネルの圧壊に対応できるようにする際に有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 複合パネルの取付構造
10 床梁
11 定規金物
12 複合パネル
13 保護板
14 裏当て板
30 外壁パネル
31 断熱パネル
40 タッピングビス
50 ボルト
51 ワッシャー
52 ナット
60 アンカー板
70 爪部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁パネルと、当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとからなる複合パネルを、建物の軸組に取り付けられた定規部材に取り付ける複合パネルの取り付け構造において、
前記断熱パネルと、その裏面側にある前記定規部材との間に介在される保護板と、
前記保護板から前記断熱パネルを貫通し前記外壁パネルに到達し、前記保護板を前記外壁パネルに固定するビスと、を有する、複合パネルの取付構造。
【請求項2】
前記外壁パネルは、その裏面に固定されたアンカー板を有し、
前記ビスは、前記アンカー板に到達し固定されている、請求項1に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項3】
前記保護板は、前記断熱パネルに突き刺される爪部を有する、請求項1又は2に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項4】
前記外壁パネルから前記断熱パネルを貫通し当該断熱パネルの裏面側に突出するボルトと、
前記断熱パネルの裏面側から前記ボルトに取り付けられ、一部で前記定規部材の裏面側を押さえる裏当て板と、
前記裏当て板の裏面側から前記ボルトに締め付けられるナットと、を有し、
前記裏当て板と前記断熱パネルとの間に前記保護板がある、請求項1〜3のいずれかに記載の複合パネルの取付構造。
【請求項1】
外壁パネルと、当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとからなる複合パネルを、建物の軸組に取り付けられた定規部材に取り付ける複合パネルの取り付け構造において、
前記断熱パネルと、その裏面側にある前記定規部材との間に介在される保護板と、
前記保護板から前記断熱パネルを貫通し前記外壁パネルに到達し、前記保護板を前記外壁パネルに固定するビスと、を有する、複合パネルの取付構造。
【請求項2】
前記外壁パネルは、その裏面に固定されたアンカー板を有し、
前記ビスは、前記アンカー板に到達し固定されている、請求項1に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項3】
前記保護板は、前記断熱パネルに突き刺される爪部を有する、請求項1又は2に記載の複合パネルの取付構造。
【請求項4】
前記外壁パネルから前記断熱パネルを貫通し当該断熱パネルの裏面側に突出するボルトと、
前記断熱パネルの裏面側から前記ボルトに取り付けられ、一部で前記定規部材の裏面側を押さえる裏当て板と、
前記裏当て板の裏面側から前記ボルトに締め付けられるナットと、を有し、
前記裏当て板と前記断熱パネルとの間に前記保護板がある、請求項1〜3のいずれかに記載の複合パネルの取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−96094(P2013−96094A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237771(P2011−237771)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
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