説明

複合酸化物ナノ粒子の製造方法

【課題】環境負荷の小さな水を溶媒とし、高い結晶性と粒子形状制御を実現するアルカリ土類金属と遷移金属の複合酸化物ナノ粒子を提供する。
【解決手段】アルカリ土類金属化合物、例えば、水酸化ストロンチウムや水酸化バリウムと水溶性遷移金属化合物、例えば、チタンペルオキソ乳酸アンモニウムやチタンペルオキソクエン酸アンモニウムとを両親媒性化合物、例えば、オレイン酸やリノール酸及び金属元素非含有塩基性化合物、例えば、テトラメチルアンモニウムやヒドラジンの存在下に、200℃で24時間の条件で水熱反応させ、平均粒径が1〜60nmのアルカリ土類金属と遷移金属の複合酸化物ナノ粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な複合酸化物ナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペロブスカイト型化合物に代表される複合酸化物粒子は強誘電性、熱電変換性、超伝導性、電子・イオン伝導性、触媒機能性などの多くの材料特性を持ち、機能性無機材料及びその原料として広く用いられている。
【0003】
近年、これらの複合酸化物粒子のさらなる高機能化を目的として、その粒子径が100ナノメートル以下の超微粒子(ナノ粒子)が種々検討されている。ナノ粒子の製造方法としては、噴霧熱分解法、共沈法、逆ミセル法、ホットソープ法、ゾルゲル法、ソルボサーマル法、水熱法等の方法が挙げられる。
【0004】
この中で、噴霧熱分解法、共沈法、逆ミセル法では、合成条件により粒子径を制御可能であり、高度に結晶化した粒子が得られるものの、粒子同士が凝集した状態で高温条件で結晶化が行われるため、凝集粒子しか得ることができず、粒子径が大きいものしか得られないという問題点があった。
【0005】
また、ホットソープ法は、高沸点の界面活性剤中で金属酸化物前駆体表面への界面活性剤の吸着、分解を利用して金属酸化物結晶の成長を制御する方法である。ホットソープ法では、ナノ粒子の結晶性、分散性とも良いものが得られるものの、合成のためには通常300℃程度の高温が必要であり、また、溶媒自体が界面活性剤であるために、界面活性剤の分解物などの不純物を取り込みやすいという問題点があった。
【0006】
さらに、ゾルゲル法は、最も一般的に用いられる金属酸化物合成法のひとつであり、多くの研究例がある。具体的には、金属酸化物前駆体である金属アルコキシドを触媒の存在下、加水分解することにより金属酸化物ナノ粒子を得る方法であり、比較的単分散に近いナノサイズの粒子が得られる。しかし、ゾルゲル法では、低温で合成するために結晶性が不十分であり、さらに大量の未反応成分が残存するという問題点があった。
【0007】
前記のような課題を解決し、比較的結晶性が高く、粒子形状もある程度制御可能である方法としてソルボサーマル法(特許文献1〜3)、水熱法(非特許文献1、2)が提案されている。これらはいずれも溶媒と複合酸化物原料をオートクレーブと呼ばれる耐圧容器に封入し、50乃至500℃の高温に置くことで高温高圧下での反応を行うものである。 しかしながら、ソルボサーマル法にあっては、粒子形状が略立方体形状に制御できるものの、反応系中に有機溶媒を含むことが必須であり環境に対する負荷が大きく、また粒子形状の制御も未だ十分とは言い難かった。他方、水熱法においては、水の存在により結晶本来の形状である立方体形状に沿った成長と同時に、界面エネルギーの大きな角の部分から優先的に溶解する反応が起こるため、立方体形状の粒子を得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−269601号公報
【特許文献2】特開2008−030966号公報
【特許文献3】特開2008−230872号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「Journal of Crystal Growth(ジャーナル・オブ・クリスタル・グロース)」、281巻、669ページ、2005年
【非特許文献2】「Journal of the Ceramic Society of Japan(ジャーナル・オブ・ザ・セラミックス・ソサイアティ・オブ・ジャパン)」、103巻、1220ページ、1995年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、種々の方法により複合酸化物ナノ粒子の製造が試みられているが、環境負荷の大きな有機溶媒を使用せず、さらに高い結晶性と粒子本来の形状である立方体形状を得る粒子形状制御を実現している製造方法があるとは言い難い状況であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アルカリ土類金属化合物と水溶性遷移金属化合物とを、両親媒性化合物及び金属元素非含有塩基性化合物の存在下に水熱反応させることにより、粒子サイズ・形状が高度に制御され、さらに粒子の凝集が起こりにくい極めて高品質な複合酸化物ナノ粒子の製造が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明は、アルカリ土類金属化合物と水溶性遷移金属化合物とを、両親媒性化合物及び金属元素非含有塩基性化合物の存在下に水熱反応させることを特徴とする複合酸化物ナノ粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、環境負荷の小さな水を溶媒として用い、結晶化と粒子形状(特には立方体形状)を高度に制御した複合酸化物ナノ粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例1で得られた複合酸化物ナノ粒子の粒子形状を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で用いるアルカリ土類金属化合物は、アルカリ土類金属を含む化合物であれば特に限定されず公知のものを使用することができる。合成される複合酸化物ナノ粒子の性質がより有用である点から、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムを含む化合物が好ましく、さらにはストロンチウムまたはバリウムを含む化合物が好ましい。
【0016】
このような化合物を具体的に例示するならば、水酸化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、ストロンチウムジ(メトキシエトキシド)、ストロンチウムジピバロイルメタノート、ギ酸ストロンチウム、シュウ酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、臭化バリウム、クロラニル酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウム、塩化バリウム、酢酸バリウム、バリウムジ(メトキシエトキシド)、バリウムジピバロイルメタナート、2−エチルヘキサン酸バリウム、フッ化バリウム、ヨウ化バリウム、乳酸バリウム、シュウ酸バリウム、過塩素酸バリウム、ステアリン酸バリウム、硫酸バリウム、チオ硫酸バリウム等を挙げることができる。
【0017】
中でも、水酸化ストロンチウム及び水酸化バリウムは本発明の複合酸化物ナノ粒子を製造する際に障害となる恐れのある酸性基を含有しない点で有用であり、特に好適に用いられる。
【0018】
本発明で用いる水溶性遷移金属化合物は、遷移金属を含む水溶性の化合物を特に制限なく使用することができる。本発明の効果が顕著に現れる点から、3族、4族、5族の遷移金属を含むものが好ましく、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の4族元素を含む水溶性遷移金属化合物及びニオブ、タンタル等の5族元素を含む水溶性遷移金属化合物がより好ましい。
【0019】
本発明において用いることができる水溶性遷移金属化合物としては、三塩化チタン、四塩化チタン等の遷移金属塩化物や硫酸チタニル等の遷移金属硫酸塩、チタンペルオキソクエン酸錯体等の水溶性遷移金属錯体などが挙げられるが、中でも安定性等の観点から水溶性遷移金属錯体がより好ましい。
【0020】
このような水溶性遷移金属錯体としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、2,2’−ビピリジル(bpy)、ジエチレントリアミン四酢酸(DTPA)等のキレート剤;クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、ヒドロアクリル酸、グリセリン酸などのヒドロキシカルボン酸;及び、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、アクリル酸、プロピオン酸、酢酸等のカルボン酸;グリシン、アラニン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン酸等のアミノ酸等により、遷移金属を安定化した錯体を挙げることができる。
【0021】
具体的にはチタンペルオキソクエン酸アンモニウム、チタンペルオキソクエン酸アンモニウム、チタンペルオキソリンゴ酸アンモニウム、チタンペルオキソ酒石酸アンモニウム、チタンペルオキソ乳酸アンモニウム、チタンペルオキソグリコール酸アンモニウム、チタンペルオキソEDTAアンモニウム、タンタルペルオキソクエン酸アンモニウム、タンタルペルオキソリンゴ酸アンモニウム、タンタルペルオキソ酒石酸アンモニウム、タンタルペルオキソ乳酸アンモニウム、タンタルペルオキソEDTAアンモニウム、ニオブペルオキソクエン酸アンモニウム、ニオブペルオキソリンゴ酸アンモニウム、ニオブペルオキソ酒石酸アンモニウム、ニオブペルオキソ乳酸アンモニウム、ニオブペルオキソEDTAアンモニウム、チタンペルオキソセリンアンモニウム、チタンペルオキソシステイン酸アンモニウム等のカルボン酸、アミノ酸、キレート剤等を配位させた錯体等の水溶性遷移金属錯体及びこれらのアンモニウム錯体等が挙げられる。
【0022】
アルカリ土類金属化合物及び水溶性遷移金属化合物は、その量が少な過ぎる場合、得られる複合酸化物ナノ粒子の量が少なくなり、多過ぎる場合には不純物の生成が増えるために、それぞれ0.01mM(ミリモル/リットル)乃至5000mM(ミリモル/リットル)、好ましくは1mM(ミリモル/リットル)乃至2000mM(ミリモル/リットル)の濃度で用いられることが好ましい。
【0023】
また、アルカリ土類金属化合物と水溶性遷移金属化合物の使用量(モル比)は、特に制限されないが、一般的には1:100〜100:1の範囲であり、1:10〜10:1が好ましく、目的とする化合物中の元素同士のモル比が最も好ましい。
【0024】
本発明で用いる両親媒化合物は、化合物中に親水基と疎水基を有していれば特に限定されず公知の化合物を制限なく使用可能である。例えば、アルキルカルボン酸、アルキルスルホン酸、アルキルリン酸化合物等の水中で乖離した場合に陰イオンとなる化合物、アルキルアンモニウム化合物等の水中で乖離した場合に陽イオンとなる化合物、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコールのような水中で乖離しない高分子化合物等が挙げられる。中でも、環境に対する安全性や入手のしやすさから、アルキルカルボン酸、アルキルスルホン酸、アルキルリン酸化合物等の水中で乖離した場合に陰イオンとなる化合物を好ましく用いることができ、特に本発明の複合酸化物ナノ粒子を使用する際に不純物として好ましくない硫黄やリン等を含まない、アルキルカルボン酸がより好ましい。
【0025】
本発明において両親媒性化合物として好適に用いられるアルキルカルボン酸を例示するならば、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸類、α-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。中でも炭素数6〜20の炭化水素鎖を持つ飽和脂肪酸であるカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸や、炭素数6〜20の炭化水素鎖を持つ不飽和脂肪酸であるオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸等が好適に使用される。さらに、本発明に対する効果が特に高く、生体為害性も少ないことからオレイン酸が最も好ましく用いることができる。
【0026】
両親媒性化合物の配合量は特に限定されず、目的とする化合物に応じて適宜設定すれば良いが、配合量が少ない場合、本発明の効果が発揮されず、得られる複合酸化物ナノ粒子の粒子径が大きくなり、逆に多すぎる場合には目的とする物質が得られなくなることがあるため、一般的には原料となるアルカリ土類金属化合物と水溶性遷移金属化合物の合計モル量に対して0.01〜100倍モル量であることが好ましく、さらに0.1〜10倍モル量であることがより好ましい。
【0027】
本発明で用いる金属元素非含有塩基性化合物は、水溶液中で塩基性を示すものであれば特に限定されず公知の化合物を制限なく使用可能である。例えば、4級アンモニウム化合物、アミン化合物、アンモニア、ピリジン及びその誘導体等の金属元素を有さない塩基性有機化合物並びにヒドラジン及びその誘導体を使用することができる。中でも、本発明の複合酸化物粒子の性能に悪影響を及ぼす金属不純物を含まず、扱いが比較的容易である点でヒドラジン及びその誘導体あるいはアミン化合物を用いるのが好ましい。
【0028】
本発明で好ましく用いられる金属元素非含有塩基性化合物を具体的に例示するならばヒドラジン、1−モノメチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1−エチル−2−メチルヒドラジン等のヒドラジン誘導体;メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、エタノールアミン等の1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン等を挙げることができる。中でも、本発明の複合酸化物粒子の形状制御に対する効果がより顕著である点からヒドラジン誘導体がより好ましく、ヒドラジンが最も好ましい。
【0029】
これらの金属元素非含有塩基性化合物は2種以上併用することもできるが、そのうちの1種としてヒドラジン又はその誘導体を使用することが、得られる複合酸化物ナノ粒子の形状を立方体に制御できるために好ましい。
【0030】
金属元素非含有塩基性化合物の配合量は特に限定されず、目的とする化合物に応じて適宜設定すれば良いが、配合量が少ない場合、本発明の効果が発揮されず、得られる複合酸化物ナノ粒子の粒子径が大きくなり、多過ぎる場合には目的とする物質が得られなくなる場合があるため、一般的には原料となるアルカリ土類金属化合物と水溶性遷移金属化合物の合計モル量に対して0.0001〜10000倍モル量であり、1〜1000倍モル量であることが好ましい。
【0031】
本発明の水熱反応に用いる水に特に制限はないが、通常は、例えば、イオン交換水、脱塩水、蒸留水、水道水など、不純物を含まない水を好適に用いることができる。
【0032】
また、本発明で用いる水には、効果を損なわない範囲で他の溶媒を加えることができる。該溶媒は特に制限なく公知の溶媒を用いることができるが、水に対して10体積%以下、好ましくは3体積%以下の有機溶媒を用いることができる。このような溶媒としては、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、フェノール類、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類等が挙げられ、中でもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性有機溶媒が好ましく用いられる。
【0033】
本発明の複合酸化物ナノ粒子の製造方法は、複合酸化物ナノ粒子の原料となるアルカリ土類金属化合物と水溶性遷移金属化合物とを、両親媒性化合物、金属元素非含有塩基性化合物、及び水とともにオートクレーブと呼ばれる耐熱耐圧容器に封入せしめ、一般的には50乃至300℃の条件で0.5乃至72時間保持する方法を採用することができる。
【0034】
反応温度が低すぎると結晶の品質が低くなり、反応温度が高くなり過ぎると得られる粒子が大きくなり粒子形状の制御もできなくなる恐れがあるため、反応温度は一般に50乃至300℃であり、さらに80乃至250℃であることが好ましい。また、反応時間が短すぎると目的とする結晶が得られなくなり、反応時間が長すぎると製造効率が低下するとともに、得られる粒子が大きくなってしまう恐れがあるため、反応時間は一般に0.5乃至72時間であることが好ましい。
【0035】
本発明において、各成分がどのような役割を担っているかは必ずしも明確ではないが、金属元素非含有塩基性化合物は反応系中のpHを制御することで生成する結晶形状を制御していると考えられる。また、両親媒性化合物は反応途中では生成した結晶の表面に吸着することで結晶成長を抑制することで本発明のナノ粒子を得ることに貢献しており、さらに粒子生成後には粒子表面に引き続き留まることで粒子同士の凝集を防止する効果を有していると考えられる。
【0036】
本発明において、反応場となる水のpHは、複合酸化物ナノ粒子の結晶形状の制御の点から7.5〜14に調整することが好ましい。このために配合する金属元素非含有塩基性化合物の量は、該化合物の塩基性の強さに応じて適宜設定すれば良いが、一般的には1μM〜12Mである。pHの具体的な調整方法は、金属元素非含有塩基性化合物を添加しながらpHを随時確認する方法が簡便である。
【0037】
本発明の製造方法で製造した複合酸化物ナノ粒子は、1〜60nm、好ましくは1〜30nm、さらに好ましくは8〜20nmの平均粒子径を有し、立方体の形状であり、一般的には複合酸化物の単一相からなる。また、表面を両親媒性化合物で修飾されているために粒子同士の凝集が起こりにくいという性質を有している。
【0038】
本発明の製造方法により製造される複合酸化物ナノ粒子は、特に限定されず公知の用途に使用可能であるが、例えば、熱電変換材料、光触媒、イオン伝導性材料、強誘電材料、磁性材料、触媒材料、酸素電極材料、圧電材料、焦電材料、非線形光学材料、充填剤等の用途に用いることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれら実施例によって何等限定されるものではない。
【0040】
実施例中に使用した化合物の略称を以下に示す。
(1)アルカリ土類金属化合物
Sr−H: 水酸化ストロンチウム
Sr−N: 硝酸ストロンチウム
Sr−A: 酢酸ストロンチウム
Ba−H: 水酸化バリウム
(2)水溶性遷移金属化合物
TALH: チタンペルオキソ乳酸アンモニウム
TACH: チタンペルオキソクエン酸アンモニウム
TAGH: チタンペルオキソグリコール酸アンモニウム
(3)両親媒性化合物
OA:オレイン酸
LA:リノール酸
SA:ステアリン酸
(4)金属元素非含有塩基性化合物
TMA:テトラメチルアンモニウム
HYD:ヒドラジン
MHYD:1−モノメチルヒドラジン
MA:メチルアミン
実施例1
50mL(ミリリットル)のテフロン(登録商標)容器中に、25mLの水、及び水に対して25mM(ミリモル/リットル)のチタンペルオキソ乳酸アンモニウム(TALH)、25mM(ミリモル/リットル)の水酸化ストロンチウム(Sr−H)を投入し、テトラメチルアンモニウム(TMA)1.8M(モル/リットル)を用いてpHを13.5に調整した。さらに100mM(ミリモル/リットル)のオレイン酸(OA)、4mM(ミリモル/リットル)のヒドラジン(HYD)を投入し、200℃の恒温槽中で24時間加熱処理を行った。
【0041】
得られた粉末を回収し、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「H−800」)により観察倍率30万倍にて観察したところ、平均粒子径10nmの立方体型の粒子が生成しており、粒子同士の凝集がないことが確認された。得られた粒子の透過型電子顕微鏡写真(倍率:30万倍)を図1に示す。また、得られた粉末の結晶は、粉末X線回折装置(リガク社製RINT2100)によりチタン酸ストロンチウムであることが確認された。
実施例2〜13、比較例1及び2
表1に示した原料及び反応条件に代えたこと以外は、実施例1と同様にして水熱反応を行い、複合酸化物を得た。結果を表1及び表2に示した。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ土類金属化合物と水溶性遷移金属化合物とを、両親媒性化合物及び金属元素非含有塩基性化合物の存在下に水熱反応させることを特徴とする複合酸化物ナノ粒子の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−68500(P2011−68500A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218355(P2009−218355)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、知的クラスー創成事業(第二期)「表面機能化による先進ナノ部材の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】