説明

複連計量装置

【課題】 搬送方向および幅方向の双方についてコンパクトな複連計量装置を提供する。
【解決手段】 物品Mを搬送する搬送部3と、搬送部3を駆動する駆動部4と、搬送部3で搬送中の物品Mを計量する計量部5とを備えた計量搬送ユニット1,2を複数並列して備えた複連計量装置に関する。計量部5は、駆動部4、搬送部3および物品Mの重量が負荷されるロバーバル機構10を備えており、複数の計量搬送ユニット1,2は、ロバーバル機構10の上流に駆動部4が配置された第1ユニット1と、ロバーバル機構10の下流に駆動部4が配置された第2ユニット2とを有し、第1ユニット1と第2ユニット2の側面同士を互いに近接して配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量部に搬送部を負荷した計量搬送ユニットを複数台並べて配置した複連計量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャンディ等を1粒ずつ個包装した物品などの場合、搬送能力を上げるために、複連計量装置が採用されることがある。かかる複連計量装置において、個包装した物品は小さいので、搬送部の幅も小さくなる。一方、モータ等の駆動部は搬送部の幅に比べ幅広となる。また、計量部としては、いわゆるフォースバランス式の計量部が採用され、かかるフォースバランス式の計量部は、前記搬送部よりも幅広となる部分が生じる。そのため、搬送される物品の大きさに比べ搬送部同士の間隔が著しく大きくなる。
【0003】
かかる搬送部同士の幅を小さくする発明として、搬送部の過半を計量部から搬送方向に大きく突出させて配置すると共に、前記計量部を千鳥状に配置した複連計量装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−20495号(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1の発明では、前記搬送部同士を幅方向に接近させるために、前記各計量部が搬送部の搬送方向に大きく突出する。そのため、装置全体が搬送方向に著しく大型化する。
【0005】
したがって、本発明の目的は、搬送方向および幅方向の双方についてコンパクトな複連計量装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、物品を搬送する搬送部と、前記搬送部を駆動する駆動部と、前記搬送部で搬送中の物品を計量する計量部とを備えた計量搬送ユニットを複数並列して備えた複連計量装置であって、前記計量部は、前記駆動部、搬送部および物品の重量が負荷されるロバーバル機構を備えており、前記複数の計量搬送ユニットは、前記ロバーバル機構の上流に前記駆動部が配置された第1ユニットと、前記ロバーバル機構の下流に前記駆動部が配置された第2ユニットとを有し、前記第1ユニットと前記第2ユニットの側面同士を互いに近接して配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明において、第1ユニットと第2ユニットの側面同士が互いに近接して配置されており、前記第1ユニットではロバーバル機構の上流に駆動部が配置され、一方、前記第2ユニットでは前記第1ユニットとは逆の配置となっている。したがって、幅の広い駆動部同士が2つのユニットにおいて互いに干渉するおそれがない。その結果、幅方向についての小型化を図り得ると共に、搬送部を搬送方向に突出させる必要もないから、搬送方向に大型化するおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の好ましい態様においては、前記各計量部は、前記ロバーバル機構を介して第1端部に加えられた重量により当該第1端部が変位すると該変位に応じて第2端部が変位するテコ部と、該テコ部の第2端部に電磁力による抗力を加える電磁平衡手段とを更に備えたフォースバランス式の計量部であり、前記第1ユニットは前記ロバーバル機構の下流に前記電磁平衡手段が配置されており、前記第2ユニットは前記ロバーバル機構の上流に前記電磁平衡手段が配置されているのが好ましい。
【0009】
かかるフォースバランス式の計量部は、電磁平衡手段の部分が搬送部よりも幅広となるが、本態様では電磁平衡手段の配置を第1ユニットと第2ユニットとでは反対の位置に設けたから、隣り合うユニットの電磁平衡手段同士が互いに干渉するおそれがない。したがって、幅広のフォースバランス式の計量部を持つユニット同士を搬送方向に突出させることなく、幅方向に密に配置し得る。その結果、搬送方向に大型化することなく、複連計量装置を幅方向に小型化することができる。
【0010】
本発明においては、前記搬送部の一方の端部側に前記駆動部を配置し、前記搬送部の他方の端部側に前記電磁平衡手段を配置することで前記搬送部と駆動部との合成の重心が前記テコ部の支点に近づくようにするのが好ましい。
【0011】
このように、搬送部と駆動部を合成した重心をテコ部の支点に近づけることにより支点のまわりのモーメントが小さくなるので、計量の精度が高くなる。
【0012】
本発明においては、前記各ユニットの電磁平衡手段のコイルが隣のユニットの前記ロバーバル機構に近接して配置されているのが好ましい。
【0013】
このようにコイルが隣のユニットのロバーバル機構に近接しているので、ロバーバル機構を構成する起歪体は、自身のユニットおよび隣のユニットのコイルによって固定側および可動側の双方が加熱される。したがって、全体が昇温するまでの時間が短くなるので、計量の信頼性が高まる。
【0014】
本発明の好ましい態様では、前記複数の計量部が単一のカバーで覆われている。
これにより、計量搬送ユニットごとにカバーを設ける必要がないので、各ユニットを更に密に配置することができるから、更なる小型化を図り得る。
【0015】
本発明においては、前記カバーの上面は平坦に形成され、前記搬送部と前記ロバーバル機構とを連結する連結部材が前記カバーの側壁を貫通しており、前記連結部材と前記カバーとの間にはダイヤフラムが設けられているのが好ましい。
これにより、清掃性および防水性が高まる。
【0016】
また、本発明においては、前記駆動部は前記計量部を挟んで上下位置において搬送部と反対の方向に備えられていてもよい。これにより、上下方向の重心の位置がロバーバル機構に近づいて計量精度の向上が図られる。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
図1〜図3は第1実施例を示す。
図1に示すように、複連計量装置は、複数台の計量搬送ユニット1,2が互いに幅方向に隣接した状態で並んで配置されている。前記各計量搬送ユニット1,2は、物品を搬送する搬送部3、該搬送部3を駆動する駆動部4および前記搬送部3で搬送中の物品を計量する計量部5を備えている。
【0018】
図2の各計量部5は、搬送部3、駆動部4および物品Mの重量が負荷される図3のロバーバル機構10を備えている。図1の前記複数台の計量搬送ユニット1,2は、第1ユニット1および第2ユニット2を包含しており、前記第1ユニット1と第2ユニット2の側面同士が互いに近接して配置されている。
【0019】
つぎに、本発明の特徴の説明に先立って、計量部5の公知の構造について説明する。
図3に示すように、ロバーバル機構10は、いわゆる起歪体10Aで構成されており、一方の端である固定部11が電磁平衡手段20のヨーク21を介して、カバー6の上面に固定されている。前記ロバーバル機構10の他方の端である可動部12には、図2の連結部材51を介して駆動部4のギヤケース41が連結されている。
【0020】
図3の前記ロバーバル機構10を構成する起歪体10Aは、上下に各々、2つのノッチ部13を有しており、可動部12に負荷が加わると、上下一対の平行部14が斜めに傾き、当該可動部12が固定部11に対し下方に変位する。前記起歪体10Aには、テコ部52の力点(第1端部)53および支点54を構成する別のノッチ部が形成されている。前記テコ部52は、前記起歪体10Aの中央付近に固定されたレバー52aを有しており、前記力点53を介して重量(負荷)がテコ部52に加わって、当該力点53が下方に変位すると、該変位に応じて前記レバー52aの自由端部(第2端部)52eが上方に変位する。
【0021】
前記電磁平衡手段20は、縦断面コ字状の前記ヨーク21、永久磁石22およびコイル23を備えており、これらの部品により磁路を形成している。この電磁平衡手段20は、前記テコ部52の力点53に負荷される風袋重量および被計量物である物品M(図2)の重量に応じた電流がコイル23に通電されることにより、前記レバー52aが平衡状態となるように電磁力による抗力を加える。前記平衡状態となったか否かは、センサ5sによって検出され、前記平衡状態における電流値に基づいて、物品の重量が演算される。
【0022】
なお、本実施例では、前記レバー52aの下端にコイル23が固定され、一方、前記カバー6の上面にヨーク21を介して永久磁石22が固定されている。
【0023】
つぎに、本発明の要部について説明する。
図1の前記第1ユニット1においては、ロバーバル機構10の上流(搬送方向の上流)に駆動部4が配置されており、ロバーバル機構10の下流(搬送方向の下流)に電磁平衡手段20が配置されている。一方、前記第2ユニット2においては、前記第1ユニット1とは逆の配置になっている。すなわち、第2ユニット2においては、ロバーバル機構10の下流に駆動部4が配置されており、ロバーバル機構10の上流に電磁平衡手段20が配置されている。これにより、第1ユニット1の電磁平衡手段20のコイル23(図3)が第2ユニット2のロバーバル機構10に近接して配置されると共に、第2ユニット2の電磁平衡手段20のコイル23(図3)が第1ユニット1のロバーバル機構10に近接して配置される。
【0024】
前記複数の前記計量搬送ユニット1,2の計量部5は、1つの前記カバー6に覆われている。このカバー6の構造および搬送部3の支持機構を、図2に示す第1ユニット1を代表して説明する。
【0025】
前記カバー6の側壁61には前記連結部材51が貫通している。前記連結部材51とカバー6の側壁61との間は、ダイヤフラム62が設けられて防水が図られている。なお、カバー6の上面63は、凹凸のない平坦な面で形成されている。
【0026】
前記搬送部3は、コンベヤベルト30を回転させる駆動ローラ31を備えており、該駆動ローラ31がタイミングベルト42を介してモータ(図示せず)の出力軸43に連結されている。前記ギヤケース41には、支持フレーム32を介して搬送部3が支持されている。
【0027】
前記駆動部4は、搬送部3の一方の端部の下方に、当該コンベヤベルト30の一端部から搬送方向に突出しないように配置されている。前記電磁平衡手段20は、搬送部3の他方の端部の下方に、当該コンベヤベルト30の他端部から搬送方向に突出しないように配置されている。このように配置されていることで、搬送部3および駆動部4の合成の重心が図3のテコ部52の支点54に近づく。
【0028】
前記構成においては、図1のように、幅方向に交互に配置された第1ユニット1と第2ユニット2の駆動部4,4が搬送部3の搬送方向の上流および下流端部に交互に配置されているので、互いに干渉せず、しかも、両ユニット1,2の電磁平衡手段20,20も搬送部3の搬送方向の下流および上流に交互に配置されているので、幅方向に大きな電磁平衡手段20,20同士が互いに干渉しない。したがって、幅方向の小型化を図り得ると共に、搬送部3から計量部5が搬送方向に突出しないので、搬送方向にも小型化を図ることができる。
【0029】
さらに、1つのカバー6が複数の計量搬送ユニット1,2を収容しているので、各ユニット1,2を配置するピッチを小さくすることができる。したがって、幅方向についての更なる小型化を図ることができる。
【0030】
特に、1つのカバー6で覆われ、かつ、図2のカバー6の上面63が平坦に形成されているので、清掃性に優れていると共に、ダイヤフラムによるシールにより防水性も向上する。
【0031】
また、ロバーバル機構10は、自身のユニットの電磁平衡手段20に搬送方向に近接しているだけでなく、図1のように、隣のユニットの電磁平衡手段20にも幅方向に近接している。したがって、起歪体10A(図3)が逸早く熱平衡された状態となるので、計量の信頼性が高まる。
【0032】
さらに、図2の搬送部3および駆動部4の合成の重心が、図3の支点54に近づくようにしたので、計量の信頼性を更に高めることができる。
【0033】
図4は計量搬送ユニットの変形例を示す。
この図に示すように、駆動部4は計量部5を挟んで上下位置において搬送部3と反対の方向(下方)に設けられていてもよい。つまり、計量部5の上方に搬送部3が設けられ、計量部5の下方に駆動部4が設けられてもよい。
このような配置により、上下方向の重心位置がロバーバル機構10に近づくので、計量精度が向上する。
【0034】
図5および図6はカバー6の変形例を示す。
これらの図に示すように、各ユニット1,2ごとにカバー6を設け、1つのカバー6により、1つのユニット1(2)を覆ってもよい。この場合、カバーの形状は、図5のように台形であってもよいし、図6のようにT字形であってもよい。
【0035】
図4(b)および図7(a)〜(c)は、計量搬送ユニット1の支持構造の変形例を示す。
たとえば、図4(b)に示すように、連結部材51をカバー6の上面を貫通するように設けてもよい。また、図7(a)〜(c)に示すように、連結部材51をカバー6の下面64を貫通するように設けてもよい。かかる場合には、ダイヤフラム62等の部分にゴミ等が溜まりにくくなるので、清掃性が著しく向上する。
なお、図4(b)および図7(a)〜(c)において、前述の実施例と同一部分ないし相当部分に、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、計量搬送ユニットは、3台ではなく、2台または4台以上であってもよい。また、計量部は電磁平衡手段を有していない計量部であってもよい。
さらに、1つのカバーで複数台のユニットを覆い、別のカバーで別のユニットを覆ってもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1を示す複連計量装置にかかるカバーを断面して示す平面図である。
【図2】(a)は第1ユニットの部分においてカバーを断面した縦断面図、(b)はカバーを断面した第1ユニットの平面図である。
【図3】ヨークを断面した計量部の側面図である。
【図4】カバーを断面した計量搬送ユニットの変形例を示す側面図である。
【図5】複連計量装置の実施例2を示す平面図である。
【図6】複連計量装置の実施例3を示す平面図である。
【図7】カバーを断面した計量搬送ユニットの他の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1:第1ユニット(計量搬送ユニット)
2:第2ユニット(計量搬送ユニット)
3:搬送部
4:駆動部
5:計量部
6:カバー
10:ロバーバル機構
20:電磁平衡手段
51:連結部材
52:テコ部
52e:第2端部
53:力点(第1端部)
54:支点
61:側壁
63:上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、前記搬送部を駆動する駆動部と、前記搬送部で搬送中の物品を計量する計量部とを備えた計量搬送ユニットを複数並列して備えた複連計量装置であって、
前記計量部は、前記駆動部、搬送部および物品の重量が負荷されるロバーバル機構を備えており、
前記複数の計量搬送ユニットは、前記ロバーバル機構の上流に前記駆動部が配置された第1ユニットと、前記ロバーバル機構の下流に前記駆動部が配置された第2ユニットとを有し、
前記第1ユニットと前記第2ユニットの側面同士を互いに近接して配置したことを特徴とする複連計量装置。
【請求項2】
請求項1に記載の複連計量装置であって、
前記各計量部は、前記ロバーバル機構を介して第1端部に加えられた重量により当該第1端部が変位すると該変位に応じて第2端部が変位するテコ部と、該テコ部の第2端部に電磁力による抗力を加える電磁平衡手段とを更に備えたフォースバランス式の計量部であり、前記第1ユニットは前記ロバーバル機構の下流に前記電磁平衡手段が配置されており、前記第2ユニットは前記ロバーバル機構の上流に前記電磁平衡手段が配置されていることを特徴とする複連計量装置。
【請求項3】
請求項2に記載の複連計量装置であって、
前記搬送部の一方の端部側に前記駆動部を配置し、前記搬送部の他方の端部側に前記電磁平衡手段を配置することで前記搬送部と駆動部との合成の重心が前記テコ部の支点に近づくようにしたことを特徴とする複連計量装置。
【請求項4】
請求項2もしくは3に記載の複連計量装置であって、
前記各ユニットの電磁平衡手段のコイルが隣のユニットの前記ロバーバル機構に近接して配置されていることを特徴とする複連計量装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の複連計量装置であって、
前記複数の計量部が単一のカバーで覆われていることを特徴とする複連計量装置。
【請求項6】
請求項5に記載の複連計量装置であって、
前記カバーの上面は平坦に形成され、前記搬送部と前記ロバーバル機構とを連結する連結部材が前記カバーの側壁を貫通しており、
前記連結部材と前記カバーとの間にはダイヤフラムが設けられていることを特徴とする複連計量装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の複連計量装置であって、
前記駆動部は前記計量部を挟んで上下位置において搬送部と反対の方向に備えられていることを特徴とする複連計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−71572(P2006−71572A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258063(P2004−258063)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)