説明

規定色放射を有する照明デバイス

照明デバイス内で使用する、半導体ナノ粒子に基づいた光学的変換層、および同光学的変換層を含む照明デバイス。様々な実施形態において、球状のコア/シェルシード型ナノ粒子(SNP)またはナノロッドシード型ナノ粒子(RSNP)を使用して、高光学濃度(OD)、低再吸収および小さいFRETの優れた組合せを有する変換層を形成する。いくつかの実施形態において、SNPまたはRSNPは、ホストマトリックスを有さない変換層を形成する。いくつかの実施形態において、SNPまたはRSNPは、ポリマーまたはシリコーンなどのホストマトリックス内に埋め込まれる。変換層を極めて薄く作る一方で、光学特性の優れた組合せを提示することができる。SNPまたはRSNPに基づく変換層を含む照明デバイスは、エネルギー的に効率的で優れた規定の色放射を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年1月28日に出願され、「Light source with prescribed colour emission」と題する、特許文献1、および2010年1月28日に出願され、「Phosphor-nanoparticle combination」と題する、特許文献2の優先権を主張し、その両方が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、一般に、半導体ナノ粒子を備える光学デバイスに関し、詳細には、半導体量子閉じ込めナノ粒子を有する変換層を含む、照明デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LED)は、その高エネルギー効率および長寿命に関し、白熱ランプおよび蛍光ランプを超える著しい利点を提供する。LEDは、ディスプレイ、自動車および看板照明ならびに家庭用および街路照明を含む、多様な用途で適用可能である。
【0004】
LEDは、LEDを製造するために使用される無機半導体化合物に応じて、異なる範囲のスペクトルで単色光を放射することができる。しかし、照明業界の非常に大きな部分で必要な、「白色」光は、従来型のLEDを使用して生成することができない。白色光を作り出す現在の解決策としては、様々な色(例えば、赤、緑および青すなわち「RGB」)を有する3つ以上のLEDを使用すること、またはLEDの紫外(UV)または青色発光から広い白色スペクトル放射を生成するため、蛍光体材料(例えば、セリウム:YAG)の色変換層を使用することを含む。しかし、そのような白色光は、ほとんど常に非理想的であり、多くの場合に、改善または補正が必要となる場合がある、望ましくないまたは好ましくない特性を有する。
【0005】
コロイドに基づく半導体量子ドット(QD)は、サイズにより調節可能なQDの狭帯域放射を使用して、複数のLEDの解決策で得られる色域と同様の色域および複数のLEDの解決策で得られる色域よりもさらに良い色域を得る可能性を提供する。QDを組み込んだ変換層が知られており、例えば、特許文献3および特許文献4ならびに特許文献5および特許文献6を参照されたい。しかし、QDに基づく変換層は、課題を有する。課題としては、例えば、再吸収効果に起因する損失が含まれ、これにより、QD放射は、層内の他のQDにより再吸収される。一般に、このことは、より青く放射するQDからの放射を、赤色QDが吸収するため生じることになる。この望ましくないプロセスによって、通常のQD変換層のエネルギー効率が減ることとなり、色組成が変化することにもなる。QDサンプルの固有のサイズ分布が、既に中心色の周りに異なる色をもたらす。したがって、再吸収は、そのような層内で本質的に生じることになる。蛍光体が緑色光を作るための光変換機構の一部として使用されるデバイスにおいて、QD層は、同様に蛍光体からの光を部分的に吸収し、再吸収損失および色変化の両方をもたらすこととなる。
【0006】
いくつかの場合、密集した変換層が求められる。密集したQD変換層には、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)として知られる現象を欠点として持ち、例えば、非特許文献1を参照されたい。FRETは、近接して配置され、より長い波長で放射するアクセプタQDに対し、より短い(例えば、より青色の)波長で放射するドナーQDの間で発生する。ドナー放射遷移ダイポールモーメントとアクセプタ吸収遷移ダイポールモーメントの間に、ダイポール-ダイポール相互作用がある。FRETプロセスの効率は、ドナーの吸収とアクセプタの放射の、スペクトルの重複に依存する。量子ドット間のFRET距離は、典型的には、10nm以下である。FRETプロセスの効率は、非常に距離の影響を受けやすい。FRETによって、色変化(赤方偏移)および光変換の効率の損失をもたらす。
【0007】
コア/シェル型ナノ粒子(NP)が知られている。それらは、1つの種類の材料の「コア」が別の材料の「シェル」によりカバーされるヘテロ構造によって特徴づけられる、個別のナノ粒子である。いくつかの場合、シェルは、「シード」として働くコアを覆って成長し、この場合コア/シェルNPは、「シード型」NPまたはSNPとして知られる。用語「シード」または「コア」は、ヘテロ構造内に含まれる最内部の半導体材料のことを言う。図1は、知られているコア/シェル粒子の概略図を示す。図1Aは、実質的に球状のシェルが、対称的に位置し同様に球状のコアをコーティングするQDを例示する。図1Bは、細長いシェル内に非対称に位置するコアを有する、ロッド形状(「ナノロッド」)SNP(RSNP)を例示する。用語ナノロッドは、ロッド様の形状を有するナノ結晶、すなわち、結晶の第1の(「長さ」)軸に沿って延出して成長することにより形成され、非常に小さい寸法が他の2つの軸に沿って維持されるナノ結晶のことを言う。ナノロッドは、非常に小さな(典型的には、10nm未満の)直径および約6nmから約500nmの範囲であり得る長さを有する。
【0008】
典型的には、コアは、ほぼ球状の形状を有する。しかし、疑似ピラミッド、立方八面体などの様々な形状のコアを使用することができる。典型的なコアの直径は、約1nmから約20nmの範囲である。図1Cは、実質的に球状のシェルが、対称的に位置し同様に球状のコアをコーティングするQDを例示する。粒子直径全体は、コア直径d1よりはるかに大きい、d2である。d1と比較したd2の大きさが、コア/シェルNPの光学的吸収に影響をおよぼす。
【0009】
知られているように、SNPが追加の外部シェルを含むことができ、追加の外部シェルは、より高い量子収量(QY)およびより良い耐久性など、より良い光学的、化学的性質を実現することができる。組合せを調整し、その用途に必要な放射色を実現することができる。第1のシェルの長さは、一般に10nmと200nmの間、特に15nmと160nmの間の範囲であってよい。他の2つの次元(ロッド形状の半径方向の軸)での第1のシェルの厚さは、1nmと10nmの間の範囲であってよい。追加のシェルの厚さは、一般に0.3nmと20nmの間、特に0.5nmと10nmの間の範囲であってよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/299012号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第61/299018号明細書
【特許文献3】米国特許第7264527号明細書
【特許文献4】米国特許第7645397号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0173886号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0162011号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Joseph R. Lakowicz著、「Principles of Fluorescence Spectroscopy」、第2版、Kluwer Academic/Plenum Publishers、New York、1999年、頁367〜443
【非特許文献2】L. Carboneら著、「Synthesis and Micrometer-Scale Assembly of Colloidal CdSe/CdS Nanorods Prepared by a Seeded Growth Approach」、Nano Letters、2007年、7巻(10)、頁2942〜2950
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のQD変換層の多くの欠陥に鑑みて、そのような欠陥のない変換層が必要とされ、そうした変換層を有することは有利であろう。具体的には、(同じ色および異なる色の両方の)再吸収、クラスタリングおよび高い充填効果ならびにFRETを無視できるナノ粒子ベースの薄い変換層が必要とされ、そうした変換層を有することは有利であろう。
【0013】
(定義)
用語「コア材料」は、コアが作られる半導体材料のことを言う。材料は、II-VI、III-V、IV-VI、またはI-III-VI2半導体またはそれらの組合せであってよい。例えば、シード/コア材料は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaAs、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSb、AlAs、AlP、AlSb、Cu2S、Cu2Se、CuInS2、CuInSe2、Cu2(ZnSn)S4、Cu2(InGa)S4、それらの合金およびそれらの混合物から選択することができる。
【0014】
用語「シェル材料」は、非球状の細長いシェルのそれぞれが作られる半導体材料のことを言う。材料は、II-VI、III-V IV-VI、またはI-III-VI2半導体またはそれらの組合せであってよい。例えば、シェル材料は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaAs、GaSb、GaN、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSb、AlAs、AlP、AlSb、Cu2S、Cu2Se、CuInS2、CuInSe2、Cu2(ZnSn)S4、Cu2(InGa)S4、それらの合金およびそれらの混合物から選択することができる。
【0015】
用語「ホストマトリックス」は、SNPまたは他の好適なナノ粒子を組み込む材料のことを言う。ホストマトリックスは、ポリマー(モノマーなどの液体または半固体前駆体材料から形成される)、エポキシ、シリコーン、ガラスまたはシリコーンとエポキシのハイブリッドであってよい。ポリマーの具体的な(しかし限定的でない)例としては、フッ素化ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、ポリアクリル酸ポリマー、ポリアクリロニトリルポリマー、ポリアニリンポリマー、ポリベンゾフェノンポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)ポリマー、シリコーンポリマー、アルミニウムポリマー、ポリビスフェノールポリマー、ポリブタジエンポリマー、ポリジメチルシロキサンポリマー、ポリエチレンポリマー、ポリイソブチレンポリマー、ポリプロピレンポリマー、ポリスチレンポリマーおよびポリビニルポリマー、ポリビニルブチラールポリマーまたはパーフルオロシクロブチルポリマーが挙げられる。
【0016】
用語「リガンド」は、ナノ粒子の外面コーティングのことを言う。コーティングは、SNPを不動態化し、凝塊または凝集を防止し、ナノ粒子間のファンデルワールス結合力に打ち勝つ。通常使用されるリガンドは、ホスフィンおよびトリオクチルホスフィン酸化物(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、トリブチルホスフィン(TBP)などホスフィン酸化物、ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)またはヘキシルホスホン酸(HPA)などのホスホン酸、ドデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)またはオクタデシルアミン(ODA)などのアミン、ヘキサデカンチオールまたはヘキサンチオールなどのチオール、メルカプトプロピオン酸またはメルカプトウンデカン酸などのメルカプトカルボン酸およびミリスチン酸またはパルミチン酸などのその他の酸である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実施形態は、光学的な変換層にその独特の光学特性をもたらす必要な特性を有する、少なくとも1つのSNP種および/または他のナノ粒子を組み込む、光学的な変換層(または単に「層」)を開示する。本発明の実施形態にしたがう1つのそのような層は、今後「SNP変換層」または単に「SNP層」と呼ばれる。SNP層の部分を表す「SNPサブレイヤ」、および複数のSNP層を有する構造を表すSNPマルチレイヤも、今後言及されることになる。同様の用語が、RSNPベースの層に関して、「SNP」を「RSNP」で置き換えて使用されることになる。明確化のため、今後本記載では、「層」は「変換層」と等価である。本発明の実施形態は、光を変換するためのSNP変換層の応用例、具体的には、異なる色の光を作るため、短波長(例えば、青色またはUV)からVIS/NIRレンジのより長い波長へ、LEDの単色放射を変換する応用例をさらに開示する。具体的には、本発明のSNP層は、1つまたは複数のLEDとともに使用され、高エネルギー効率および高CRI(演色評価指数)および所望のCCT(相関色温度)など良好な光学特性を有する白色光デバイスを提供することができる。他の照明の応用例において、SNP層は、大きな色域カバレージ、または特定の色帯域など、必要で有利なスペクトル出力を提供することができる。
【0018】
一実施形態において、SNP層は、本質的に単色で放射する、1つの種類(種)のSNPを含むことができる。別の実施形態において、SNP層は、様々な色で放射する、複数の種類のSNPの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態において、SNP層は、リガンドを有する場合もリガンドを有さない場合もある、ホストマトリックスに組み込まれるSNPを備えることができる。SNP層構造は、いくつかのサブレイヤを含むことができ、サブレイヤのそれぞれは、SNPの混合物を含むことができ、またはサブレイヤのそれぞれは、異なる種類のSNPを含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、SNP層の厚さは、200μm以下でありうる。いくつかの実施形態において、SNP層の厚さは、50μm以下でありうる。いくつかの実施形態において、SNP層の厚さは、2μm以下でありうる。他の実施形態において、SNP層は、約50nmと1000nmの間の範囲の厚さを有することができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、SNP層は、ポリマーマトリックス、エポキシまたは樹脂の中に、高い充填率を有するSNPを含むことができる。いくつかの実施形態において、高い充填率は、最大40%であってよい。いくつかの実施形態において、高い充填率は、最大80%であってよい。いくつかの実施形態において、高い充填率は、最大100%であってよい。
【0021】
本明細書に開示の実施形態にしたがうSNP変換層は、QD変換層において知られておらず、以前に見出されていない、機能性および有利な性質を提供する。本明細書に開示の実施形態にしたがうSNP変換層は、以下を含む。
(1)無視できる再吸収(同じ色および異なる色の両方)。SNP変換層内の再吸収は、赤色吸収が低いので、(QD変換層における再吸収と比較して)著しく減少する。一般に、再吸収は、エネルギーの損失をもたらす。例えば、典型的な0.8のQYを仮定する。単一の再吸収イベントにおいて、QYは、0.8x0.8=0.64に減少する。2回のそのようなイベントにおいて、QYは、0.83=0.51にさらに減少する。この損失は、SNP変換層においては避けられる。したがって、効率が改善される。再吸収は赤方偏移ももたらし、赤方偏移もそのようなSNP変換層において避けられる。無視できる再吸収の態様は、1つの色自体(例えば、赤からより赤い色)にのみ存在するのではなく、緑色放射SNPまたは蛍光体にも存在する。すなわち、QD変換層では、赤色QDが緑色放射を再吸収し、効率の減少および色偏移をもたらすこととなる。SNP変換層では、この再吸収が最小化される。同一の色および異なる色両方の再吸収を避ける機能は、密度が高いか低いかに関わらず、SNP層の独特の特徴である。
(2)青色励起から赤色放射への、エネルギーの非常に効率的な「集中」。SNP変換層は、スペクトル的な意味で、本質的に「光学的アンテナ」の役割を果たす。SNP変換層は、青色および強い赤色フォトルミネセンス(PL)で非常に高い吸収を有し、最小の赤色再吸収を伴うので、SNP変換層は、通常のQD変換層よりもこの役割をはるかに効率的に行う。上記(1)項を参照されたい。
(3)FRET回避または最小化。通常のQD変換層では、FRETの典型的な長さの規模は、約10nmであり、1/R6の依存性を有し、ここで、Rは2つのQD粒子間の距離である。例えば、初期放射QYが0.8である場合、QYは、単一のFRETプロセス後に0.64に減少する。FRETは赤方偏移ももたらすが、赤方偏移はSNP層では避けられる。密度が高いSNP変換層(SNP間の距離が短く、例えば0〜50nm)は、その独特の特性のため、密度が高いQD層で通例遭遇されるFRETに関連する、損失および欠陥を避けることになる。例示的には、本発明の変換層内でSNPに適用される「密度が高い」とは、ホストマトリックス中に分散された、約85%のSNPおよび約15%のリガンドを含みうる。
【0022】
一実施形態において、SNP層はLEDなどの光学デバイス上にコーティングされ、その放射スペクトルを改善しうる。別の実施形態において、別個のSNP層が、同じ目的のため、1つまたは複数のLEDにより放射される光の光路内に配置されてよい。さらに別の実施形態において、複数の異なるSNP変換サブレイヤを備える、層状SNP構造が、LED上にコーティングされてよい。さらに別の実施形態において、層状SNP構造が、LEDによって放射される光の光路内に配置されてよい。いくつかの実施形態において、SNP層は、LEDからカップリング層によって離間されて良く、カップリング層は、空気間隙、短波長(UV、青色)通過フィルタ、長波長(例えば、緑色または赤色)反射フィルタなどの光学フィルタ、または反射によるエネルギー損失を最小化する屈折率整合層であってよい。LEDとSNP層との間の間隔を使用して、例えば、LEDからSNP層への熱の流れに起因する加熱を最小化することができる。
【0023】
LEDとSNP変換層または層状構造の組合せは、照明デバイス(すなわち、家庭用ライト、看板用ライト、車両用ライト、携帯用ライト、バックライトまたは任意の他のライト)で使用することができる。いくつかの実施形態において、照明デバイスは、レンズ、導波路、散乱体、反射素子、屈折素子または回折素子などの光学素子をさらに備えることができる。光学素子は、SNP層と光源との間または光路内のSNP層の前、または層の側面に配置することができる(例えば、散乱光を使用する反射素子)。いくつかの実施形態において、照明デバイスは、LEDおよび1つまたは複数のSNP層に加えて、上のリストからの2つ以上の光学素子の組合せを含むことができる。
【0024】
本発明の非限定的な実施形態が、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】既知のコア/シェル粒子の概略図である。(A)コアQD/シェルQD、(B)RSNP、(C)SNP。
【図2】コア/シェルQD材料対本発明の実施形態で使用されるRSNP材料の光学的吸収および放射の実験結果を示す図である。(A)緑色光用、(B)オレンジ色光用。
【図3】異なる長さを有する3種類の赤色放射SNPの正規化吸収曲線を示す図である。
【図4】FRET効果が、密度が高いQD内で効果があり、密度が高いRSNP内でブロックされる様子を示す、FRET効果を概略的に例示する図である。
【図5】(A)本発明の一実施形態にしたがうSNP層を含む、光変換デバイスを概略的に示す図であり、(B)本発明の別の実施形態にしたがうSNP層を含む、光変換デバイスを概略的に示す図である。
【図6】(A)、(B)本発明のさらに別の実施形態にしたがうSNP層を含む、光変換デバイスを概略的に示す図である。
【図7】本発明の実施形態にしたがうSNP層を含む、照明デバイスを概略的に示す図である。
【図8】本発明の別の実施形態にしたがうSNP層を含む、照明デバイスを概略的に示す図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態にしたがうSNP層を含む、照明デバイスを概略的に示す図である。
【図10】(A)導波路の中に埋め込まれるSNP層を有する導波路に結合されるLEDを示す図であり、(B)導波路の上面に配置されるSNP層を有する導波路に結合されるLEDを概略的に示す図である。
【図11】ポリマーPVB膜に埋め込まれる、33x7nmのCdSe/CdS RSNPを備える変換層の吸収(点線)およびPL(実線)を示す図である。
【図12】(A)追加のBaSO4粒子を備え、PVB膜に埋め込まれる、33x7nmのCdSe/CdS RSNPを備える変換層を備える、455nm青色LEDを備える照明デバイスの光スペクトルを示す図であり、(B)シリコーンRTV膜に埋め込まれる、27x5.5nmのCdSe/CdS RSNPを備える変換層を備える、455nm青色LEDを備える照明デバイスの光スペクトルを示す図である。
【図13】(A)ガラス上で密にスピンコーティングした赤色放射RSNP層の、吸収(点線)およびPLスペクトル(実線)を示す図であり、(B)ガラス上で密にスピンコーティングした緑色放射RSNP層の、吸収(点線)およびPLスペクトル(実線)を示す図である。
【図14】(A)SNP変換層を備える広帯域LEDベースの素子を備える、照明デバイスの正規化光スペクトルを示す図であり、(B)別のSNP変換層を備える広帯域LEDベースの素子を備える、照明デバイスの正規化光スペクトルを示す図である。
【図15】図14A、図14Bの2つの出力をマークして示したCIEチャートである。
【図16】実施例7の膜の、吸収およびPLスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
SNP層、LED光を調節するために使用されるSNP層およびそうした層を含む照明デバイスの実施形態が、ここでより詳細に記載される。具体的には、そのような層の有利な性質および特徴が、図2〜4を参照して、次に記載される。以下に述べる様々なSNP層は、以下の実施例に詳述される手順を使用して調製することができる。
【0027】
ここで、図2A、図2Bへの参照をすると、図2A、図2Bは、既知の従来型のCdSe/ZnSコア/シェルQD層、および本発明の実施形態にしたがう2つの種類のRSNP層、すなわち緑色放射RSNP層(図2A)およびオレンジ色放射RSNP層(図2B)、の吸収と放射との比較を示す。この比較は、450nmの励起波長で一致させた吸収を有するQD層対SNP層の、吸収と正規化された放射との間のものである。緑色RSNP層は、4x27nm(直径x長さ)の寸法を有するCdSe/CdSコア/シェルRSNPを含み、540nmの中心波長(CWL)またはピーク波長において、29nmの半値全幅(FWHM)を有して放射した。オレンジ色RSNP層は、5x40nmの寸法を有するCdSe/CdS RSNP、600nmにおけるCWLおよび28nmのFWHMを含んだ。オレンジ色放射層および緑色放射層の両方は、同様のやり方で調製され、両方とも、42mmの直径を備える190μm厚であった。
【0028】
QDおよびRSNPナノ粒子の両方のPL量子収量(QY)は、同様であり、50%程度であった。これは典型的な値である。他の調製されたサンプルにおいて、QYは、5〜100%、非常にしばしば20〜90%の間、さらに非常にしばしば50〜80%の間の範囲であった。吸収は、相対的光学濃度(OD)単位で測定され、ここで示されるスケールは、便宜上[0 1]の範囲に正規化される。重要なことに、図2Aにおける緑色発光層に関し、放射波長範囲(例えば、520〜550nm)内のQD層のODは、RSNP層のODよりも10倍(0.64対0.065)高い。図2Bにおけるオレンジ色放射層に関するOD差は、さらに高い(0.575対0.037、約15倍)。他の例(図示せず)において、QD層の放射範囲内のODは、RSNP層の放射範囲内のODより3〜30倍高いことが見出された。したがって、自己吸収に起因する損失は、QD層の場合に著しく、RSNP層の場合に無視できる。この性質は、本発明の様々なSNP層で(密度が高いか否かに関わらず)使用され、量子ドットに基づく既存の層よりはるかに優れた製品を提供する。
【0029】
本発明者らは、本発明のSNP層が、青色励起から赤色放射へのエネルギーの、非常に効率的な「集中」の特徴を有することをさらに確認した。SNP層は、スペクトル的な意味で、本質的に「光学的アンテナ」の役割を果たす。SNP層は、青色および強い赤色PLで非常に高い吸収を有し、最小の赤色再吸収を伴うので、SNP層は、通常のQD層よりもこの役割をはるかに効率的に行う。図3を参照されたい。
【0030】
図3は、下記の実施例1に記載されるように調製された3種類のRSNP層の正規化された吸収曲線を示し、それぞれの場合で、異なる全体寸法およびほぼ同様の放射スペクトルを有する、赤色放射RSNP(CdSe/CdS)を備えており、曲線300は、622nm放射を有する5.8x16nm RSNPに関し、曲線302は、625nm放射を有する4.5x45nm RSNPに関し、曲線304は、628nm放射を有する4.5x95nm RSNPに関するものである。これらの曲線は、異なる変換層における集中効果を例示する。吸収曲線は、455nmにおいて、OD1に正規化される。455nmにおける吸収と各放射波長における吸収との「吸収比」は、長さ16、45および95nmのRSNPを有するSNP層に関し、それぞれ1:5、1:12および1:23である。このことは、集中がより長いRSNPを備える層に関しより効率的であり、吸収比がRSNP長を変えることにより「調整可能」であることを示す。ロッド形状でないSNPに関して、シェル対コア直径比を増加することにより、同様の調整を達成することができることに留意されたい。この調整可能性は、SNP層で非常に有用である。というのは、調整可能性によってSNP層が効率的なスペクトルアンテナの役割を果たし、青色光を光源および応用例で所望の赤色光に変換することが可能になるからである。SNP層のこの特殊な特性から得られる追加のパラメータは、SNP層の特殊な特性によって、可視スペクトルの異なるスペクトル領域間の光(例えば、CE:YAGにより放射される緑-黄色とSNPにより放射される赤色)を効率的に平衡させ、必要な特性(CCTおよびCRIなど)を有する光を得ることができることである。
【0031】
本発明者らは、密度の高いSNPを有する層が、密度の高いQDを有する層よりも著しく小さなFRET損失を有することを、さらに確認した。図4は、QDおよびRSNPの密度の高い変換層におけるFRET効果を概略的に例示する。図4Aは、QD変換層の場合に、いくつかのQDがドナー(D、410)の役割を果たし、いくつかがアクセプタ(A、420)の役割を果たし、ドナーとアクセプタの間の典型的な距離が矢印430で表される様子を示す。そのような典型的なQD変換層において、より小さなQDがより大きいQDに対しドナーの役割を果たし、より大きいQDがアクセプタの役割を果たす。典型的な中心間距離は、約10nmのFRET距離の程度であり、このため、FRETがそのような密度の高いQD変換層内で効率的である。図4Bは、SNP層の場合に、特殊な幾何形状によって、他のRSNP 450と、それと比較してわずかに青い色を放射するRSNP 440との間で、平均して大きな距離をもたらす様子を示す。この場合の典型的なコア間距離(460により示される)は、RSNP長のおよそ半分であり、FRET距離を超えるように設計され、FRETプロセスの可能性が著しく減少することをもたらす。
【0032】
繰り返すと、既知のQDは、そのような大きい距離を実現せず、その結果、密度の高い層配置において、QDのFRET損失は固有のものであり、変換効率の減少をもたらす。加えて、密度の高いQD変換層において、FRETプロセスは、放射の赤方偏移をもたらす。対照的に、本明細書において開示されるSNP層において、放射は調整された所望の波長に維持され、必要な色およびより高いエネルギー効率を実現する。
【0033】
再び強調すると、本発明のSNP層の光学特性は、少ない再吸収ならびに小さなエネルギー移動損失および小さな光の色変化に起因する、既存のQD変換層を超える著しい利点を提供する。再吸収を最小化する能力は、より高い吸収(SNPのより長い光路および/またはより高い濃度による)が使用され得ることを意味する。結果として、青色光またはUV LED光の著しい吸収を達成することができ、本明細書において開示されるSNP変換層のスペクトルアンテナ特性によって例示される、より高い効率のデバイスが可能となる。
【0034】
既知のQD変換層において、上に記載のように、QD材料のクラスタの形成が、FRETを介してエネルギー損失をもたらす可能性がある。低い充填でさえクラスタリングは起こる場合があり、一方密度が高くない状態で高い充填が起こる場合がある(後者は極端に高い充填と相関する)。QDはクラスタ内で密度が高いので、隣り合うQD間の距離が小さく、エネルギー移動プロセスが著しくなる可能性がある。これらのことにより、デバイスの放射出力および効率を減少させることになり、光の色出力にも影響をおよぼすことになる。変換層内のSNPクラスタリングは、エネルギー移動損失をもたらさず、したがって効率の損失または光の色出力の変化が避けられる。したがって、SNPに基づくデバイスは、クラスタが形成される場合であっても、機能することになる。このことにより、より薄い層の使用が可能となる。
【0035】
光変換のための既知のQD材料は、FRETによるものなどの機構による損失を避けるため、低充填率でホスト材料(マトリックス)内に埋め込まれる。結果として、QD変換層は厚くなければならないが(典型的には、ほとんどの場合、100μmより厚い)、それでも変換のため青色光の効果的な吸収を達成するための十分な量の材料を含み、それにより、本質的に再吸収損失をもたらす。加えて、厚い層のため、製造方法は正確さが減少し、より資源を消費する。著しく対照的に、高充填率SNP層は、非常に薄く作ることができる。例えば、薄いSNP層は、スピンコーティング堆積技法を使用して製造することができ、層が、それぞれ510nm厚および230nm厚である実施例4および実施例5を参照されたい。一般に、本発明のSNP/RSNP変換層について、吸収および放射を制御して、調整された色および光学特性、出力および効率を提供することができる。密度の高い、高充填の薄いSNP層は、数ミリメートルから数センチメートルおよびさらに長い、大きな長さのスケールにわたって優れた均一性で作ることができるという追加の利点を有する。
【0036】
高充填率SNP層は、ポリマー、エポキシまたは樹脂マトリックスを使用して、または単に密集したSNPの層を有することにより調製することができる。ポリマーまたは添加剤は、酸化または光分解を防止するため、光学的に活性なナノ粒子をカプセル化するためなど、追加の目的の役割を果たし、照明デバイス内に機械的に簡単に組み込むための媒体の役割および層の屈折率および表面粗さに起因する、層からの光抽出も増大させることができる媒体の役割を果たすことができる。ホスト材料(マトリックス)は、層内の散乱を増大させることができる、SiO2、Al、BaSO4またはTiO2などの拡散性粒子のためのマトリックスの役割も果たすことができる。充填率を使用して、SNP層の屈折率を制御することができる。低充填率の層は、1.5ほどの低さおよびさらに低い屈折率を有する場合があり、一方高充填率の層は、1.8およびさらに高い屈折率を有する場合がある。典型的には、1.3〜1.5の屈折率を有するポリマーに関し、屈折率は、約15%の充填率まで変化しない。典型的には、リガンドでは、屈折率は1.8以上であってよい。
【0037】
表1表3は、本発明にしたがい作られた、SNP/RSNP変換層の様々な例示的な実施形態を要約する。有利な物理パラメータおよび光学的性能を有する変換層の他の実施形態が可能であり、本明細書において開示される教示にしたがって作ることができる。したがって、これらの例示的な実施形態は、いずれにしても、本発明を限定するものと考えるべきではない。
【0038】
【表1】

【0039】
表1内のマーキング:
(a)AR赤色は、455nmにおける吸収と580〜700nmの間の波長範囲での最大の吸収との比である。すなわち、AR赤色 = (吸収455nm/最大(吸収580〜700nm)
(b)AR緑色は、455nmにおける吸収と520〜580nmの間の波長範囲での最大の吸収との比である。すなわち、AR緑色 = (吸収455nm/最大(吸収520〜580nm)
(c )ODは、455nmで測定された。
(d)PL赤方偏移は、低OD(<0.1)においてトルエン中で測定されたCWLと、サンプル用に測定されたCWLの間の、ナノメートル単位の差である。
(e)リガンドは、定義中に与えられたリストから選択することができる。
(f)ポリマーは、定義中に与えられたリストから選択することができる。
(g)好適な光学特性および機械特性を有するシリコーンは、様々な民間の供給業者から選択することができる。
【0040】
【表2】

【0041】
表2内のマーキング:
(a)AR緑色は、455nmにおける吸収と520〜580nmの間の波長範囲での最大の吸収との比である。すなわち、AR緑色 = (吸収405nm/最大(吸収520〜580nm)
(b)ODは、405nmで測定された。
(c)PL赤方偏移は、低OD(<0.1)においてトルエン中で測定されたCWLと、サンプル用に測定されたCWLの間の、ナノメートル単位の差である。
(d)リガンドは、定義中に与えられたリストから選択することができる。
(e)ポリマーは、定義中に与えられたリストから選択することができる。
(f)好適な光学特性および機械特性を有するシリコーンは、様々な民間の供給業者から選択することができる。
【0042】
【表3】

【0043】
表3内のマーキング:
(a)AR緑色は、405nmにおける吸収と520〜580nmの間の波長範囲での最大の吸収との比である。すなわち、AR緑色 = (吸収405nm/最大(吸収520〜580nm)
(b)AR赤色は、455nmにおける吸収と580〜680nmの間の波長範囲での最大の吸収との比である。すなわち、AR赤色 = (吸収455nm/最大(吸収580〜680nm)
(C)ODは、580〜680nmで放射するナノ粒子に関して455nmで、520〜580nmで放射するナノ粒子に関して405nmで測定された。
(d)PL赤方偏移は、低OD(<0.1)においてトルエン中で測定されたCWLと、サンプル用に測定されたCWLの間の、ナノメートル単位の差である。
(e)リガンドは、定義中に与えられたリストから選択することができる。
(f)ポリマーは、定義中に与えられたリストから選択することができる。
(g)好適な光学特性および機械特性を有するシリコーンは、様々な民間の供給業者から選択することができる。
【0044】
図5Aは、本発明の一実施形態にしたがうSNP層502aを含む、照明デバイス500aを概略的に示す。好適な光源504a(例示的に、UV光を放射するLED)により作られる光は、SNP層502aに向けられる。層502aは、青色および/またはUVからより長い波長に光を変換するSNPを備える。異なる集団(種類)のSNP(異なるコアまたはシェルサイズまたは材料を有する)は、異なる色を放射することになる。SNP層により放射される色は、光源504aにより作られる光と組み合わされ、または独立して使用されて、異なる光の組合せを形成することができる。放射のスペクトル特性を改善し調整するために、2種類以上のSNP、例えば青色、緑色および赤色放射SNPの混合物(その光は、例示的にRGBとマークされる)を使用することができる。白色光を実現するように様々な色を選択することができる。特定の照明の応用例で所望されるように、他の色の組合せが、SNP変換層を調整することにより生成することができる。
【0045】
図5Bは、本発明の別の実施形態にしたがうSNP層502aを含む、照明デバイス500bを概略的に示す。この実施形態において、好適な光源504bにより作られる光(例示的には、LED放射青色光)は、SNP層502bにより部分的に変換されない(すなわち、影響を受けずに通過する)ままとなる。層502bは、青色およびより短い波長から緑色および赤色に光を変換するSNPを組み込む。層502bは、吸収されない光を調整されたパターンで拡散および混合する、拡散性の構造または粒子をさらに組み込み、層502bに組み込まれるSNPのフォトルミネセンスの、空間的な性質および光学的な性質に一致させる。すなわち、これらの構造は、入射する青色光およびSNP放射される光の両方を散乱し、それによって、組み合わされた光がSNP層を「白色」光として出るとき、組み合わされた光は同じ角度転換を有する。加えて、白色は、LEDの青色光に加えて高品質の緑色光および赤色光を有し、ディスプレイのバックライト用の広い色域を実現する。
【0046】
図6Aは、本発明のさらに別の実施形態にしたがうSNP層602aを含む、照明デバイス600aを概略的に示す。この実施形態において、「混色光」源604aは、SNP層602aにより改善または補正される。層602aは、異なるコアまたはシェルサイズ、異なる材料および/または異なるスペクトル特性を有することができる、複数のSNP種を含む。SNPは、混色光源を改善された混色光に変換する役割を果たす。実施形態において、照明デバイスから出力される改善された混色光は、2500〜6000Kの範囲のCCTを有し、高CRIを有する「白色光」であってよい。別の実施形態において、改善された混色光は、2700〜4500Kの範囲のCCTを有し、高CRIを有する白色光であってよい。光源光が、高CCT(例えば5000〜10000K)を有する白色光であってよい。別法として、光源光が、白色光とは定義できないが、可視スペクトルの範囲内の光を含む光の組合せであってよい。改善点としては、例えば放射に赤色光を加え、このことにより、より低いCCTおよびより良いCRIを実現することが含まれる。
【0047】
図6Bは、本発明のさらに別の実施形態にしたがうSNP層602bを含む、照明変換デバイス600bを概略的に示す。この実施形態において、層602bは、層602a内のように複数のSNP種に加え、光源604bからの吸収されない光を調整されたパターンで拡散および混合する拡散性の構造または粒子を含み、さらに改善された混色光を作る。
【0048】
代替実施形態において、照明デバイスは単一のSNP層の代わりに使用することができる複数のSNP層を含み、SNP層のそれぞれが別個の機能を実現することができる。伝達され放射される光の伝達特性(例えば、均質化)を分散および制御することは、小さなSiO2ビーズなどの屈折粒子、金属粒子などの反射粒子、もしくはBaSO4およびTiO2などの光拡散粒子のいずれかをSNP変換層のうちの1つまたは複数に組み込むことによって、パターニング(例えば拡散性の)層を加えることによって、または層のうちの少なくとも1つの表面をパターニングすることによって達成することができる。
【0049】
図7は、本発明の実施形態にしたがうSNP変換層を含む、照明デバイス700を概略的に示す。デバイス700は、青色またはUV LED光源、任意選択のスペーサ層(またはスペーサとしての空気)704、SNP変換層706、任意選択の封止層708、所望の指向性への光抽出のための任意選択の伝達可能光学素子710、光をコリメートまたは合焦するレンズ712などの任意選択の屈折素子、および大きな角度から補正された出力方向に放射を集めて向けるための、LED素子の背後および周りに配置される任意選択の反射素子714を含む。いくつかの実施形態において、LEDチップからの光抽出を増加させるために、高い充填率を有するSNP層の高い屈折率が好ましい。
【0050】
図8は、本発明の別の実施形態にしたがうSNP層を含む、照明デバイス800を概略的に示す。デバイス800において、光学フィルタ806は、SNP層802とLED放射チップ804の間にある。光学フィルタ806は、短波長820(例えば、青色またはUV)光を透過し、より長い波長(例えば、緑色または赤色)光822を反射するフィルタであり、このことにより、光のリサイクリングおよびより効率的なデバイスを実現する。光のリサイクリングがSNP層内の放射される光の光路を増す一方で、低い自己吸収に起因して、いかなる余分な損失も最小化されることになる。対照的に、QD層を用いると、余分な損失が著しくなる。光源とSNP層の間の光学素子は、光源の特性を整形する、さもなければ制御するためにも使用可能である。デバイス700と同様に、デバイス800は、所望の指向性への光抽出のための任意選択の伝達可能光学素子810、光をコリメートまたは合焦するレンズ812などの任意選択の屈折素子、および大きな角度から補正された出力方向に放射を集めて向けるための、LED素子の背後および周りに配置される任意選択の反射素子814をさらに備える。LED素子からある距離にSNP層を配置することによって、SNP層における光の強度および温度レベルを減少させ、このことによりSNP層の耐久性を増加することができる。
【0051】
図9は、本発明のさらに別の実施形態にしたがうSNP層を含む、照明デバイス900を概略的に示す。デバイス900は、色変換し、かつ光を拡散するようにも働く曲がった光学素子902と適合するよう整形されるSNP層、LED 904、および例えば空間的なパターニングまたは光学的なフィルタリング(例えば、追加のUVフィルタリング)のために使用される追加の層906を含む。SNP層は、薄いが効率的であることができ、このことは、厚いQD変換層の性能を超える著しい長所を表す。
【0052】
図10Aは、その中に埋め込まれるSNP層1006aを有する導波路アセンブリ1004aに結合されるLED 1002aを示す。導波路は、底部における反射層1008a(拡散性または反射性、パターン付けされたまたは均一であってよい)および任意選択の光抽出層1010aを含む。図10Bは、その上部面1008上に配置されるSNP層1006bを有する導波路アセンブリ1004bに結合されるLED 1002b、および任意選択の光抽出層1010bを概略的に示す。両方の実施形態において、SNP層は、導波路の縁部1012aまたは縁部1012bを通り、LEDから来て放射される光によって励起されるよう示される。光が導波路内を伝播するとき、光はSNP層を何度も繰り返し通過する。SNP層内で変換された光は、次いで、数ミリメートルから数センチメートル、数十センチメートルの範囲であり得る、比較的長い距離にわたって導波路を横切って伝達される。この応用例では、SNP層の低自己吸収が、重要な場合がある。なぜなら、光が長い光路を進行するからである。反射および/または拡散光学素子(1008a、1008b、1010a、1010bおよび1012b)は、光が必要でない方向に放射され得る、デバイスの全ての区域に配置することができる。これらの素子は、光を導波路内に戻し、その効率を増加することになる。
【0053】
(実施例)
(実施例1:ポリマーホスト内にRSNP変換層を有し赤色光を提供する照明デバイス)
RSNPを、非特許文献2に記載の手順と同様の手順にしたがって合成した。第1のステップにおいて、3.8nmの直径を有するCdSeコアを合成した。第2のステップにおいて、CdSeコアをシードとして使用して、赤色放射CdSe/CdS RSNPを合成した。結果として得られるRSNPを、トルエン溶液内で測定したとき、33x7nmの寸法を有し、放射最大値が635nmで、30nmのFWHMであった。
【0054】
RSNP変換層を次のように調製した。0.5gのポリ(ビニルブチラール-co -ビニルアルコール-co-ビニルアセテート)(PVB)、強い接着性、光学的な透明度、多くの表面への粘着性、強靱性および可撓性を必要とする用途で通常使用され、Sigma-Aldrich (3 Plaut St.、Rabin Park、Rehovot 76100、イスラエル)から市販されている樹脂を4mlのトルエンに溶解した。12mgのRSNPを1mlのトルエンに溶解し、RSNP溶液を形成した。RSNP溶液を、撹拌しながらポリマー混合物に加えた。混合物を、パターン容器に移し、パターン容器を乾燥器内に入れ、15時間真空にして、その後混合物は固体となった。結果として得られた膜厚は190μmであった。変換層の光学特性を、図11に提示しており、図11では、吸収(点線)およびPL(実線)スペクトルを示す。最大放射は、635nmにおける、30nmのFWHMを有するものである。吸収ODは、455nmで1.18、540nmで0.07、および600〜750nmで<0.046、すなわち455nmで、ODより25分の1未満である。このRSNP層は、したがって青色から赤色放射に光を集中する。
【0055】
RSNP層を、図5Aの照明デバイスと同様の照明デバイスに組み込んだ。照明デバイスにおいて、360nmでのUV LEDを使用して、RSNP層を照射し、635nmでの赤色で光出力を実現した。UV光がRSNP層により非常に効率的に吸収され変換されたので、ごくわずかなUV出力しか検出されなかった。
【0056】
(実施例2:ポリマーホスト内に拡散性RSNP変換層を有し青色光と赤色光の組合せを提供する照明デバイス)
1.3mgのRSNPを1mlのトルエンに溶解し、RSNPをポリマー内で10分撹拌した後、5mgのBaSO4粒子を溶液に加え、さらに15分間撹拌するという変更を施した、実施例1内の手順を使用して、拡散性RSNP変換層を調製した。結果として得られた膜は、光学的な放射を増大し、必要な方向への光の抽出を増加する拡散性の性質を有した。
【0057】
RSNP層を、図5Bに示すように、照明デバイスに組み込んだ。455nmで放射する青色LEDを使用し、RSNP層を照射した。照明出力を測定した。光スペクトルを図12Aに提示する。図12Aは、青色LEDからの青色残部とRSNP変換層からの赤色成分の組合せを示す。
【0058】
(実施例3:シリコーンRTV内にRSNP変換層を有し青色光と赤色光の組合せを提供する照明デバイス)
シリコーンRTV内RSNP層を次のように調製した。1gのRTV615A(Momentive、22 Corporate Woods Boulevard、Albany, NY 12211 米国)を、0.1gのRTV615Bとともに10分間撹拌した。27x5.5nmの全体寸法を有し635nmで放射する、1.5mgのCdSe/CdS RSNPを250μlのトルエン中に溶解した。RSNP溶液を、撹拌しながらシリコーン混合物に加え、気泡が残らなくなるまで真空にした。次いで溶液をガラス基板上に堆積し、別のガラス基板を使用してサンドイッチした。600μm厚のスペーサを、2つのガラス基板間に配置し、所望の膜厚を得た。次いでサンドイッチ構造を、ホットプレート上に150℃で15分間置き、その後、溶液は固体になった。測定された膜厚は600μmだった。
【0059】
RSNP層を、図5Bに示すように、照明デバイスに組み込んだ。455nmで放射する青色LEDを使用し、RSNP層を照射した。照明出力を測定した。光スペクトルを図12Bに提示する。図12Bによって、青色LEDからの455nmでの青色残部とRSNP層からの635nmで30nmのFWHMを有する赤色成分の組合せを示す。
【0060】
(実施例4:薄く密にスピンコーティングしたRSNP変換層を有し赤色光を提供する照明デバイス)
密なRSNP層を次のように調製した。635nmで放射する、35x5.4nm CdSe/CdS RSNPの、トルエン中の、1:4の重量/体積(mg/μL)比を有する溶液を、最初に調製した。20μLの溶液を、ソーダ石灰ガラス基板上にドロップキャストし、2000rpmでのスピンコーティングで広げた。堆積した膜を測定したところ、455nmで0.51の吸収ODおよび360nmで0.9のODを有した。厚さは、表面形状測定装置により測定したところ、0.510μmであった。図13Aは、このRSNP層の、吸収(点線)およびPL(実線)スペクトルを示す。最大放射は、633nmにおける、33nmのFWHMを有するものである。吸収ODは、360nmで0.96、455nmで0.5、540nmで0.035および600〜750nmで0.025であり、後者は、455nmで、ODの20分の1未満である。
【0061】
RSNP層を、図5Aに示すように、照明デバイスに組み込んだ。360nmで、UV LEDを使用して、RSNP層を照射し、633nmで、赤色で光出力を実現した(図示せず)。
【0062】
(実施例5:
薄く密にスピンコーティングしたRSNP変換層を有し緑色光を提供する照明デバイス)
密なRSNP層を次のように調製した。緑色放射、20x3.5nm CdSe/CdS RSNPの、トルエン中で1:5の重量/体積(mg/μL)比を有する溶液を調製した。RSNPを含む20μLの溶液を、ソーダ石灰ガラス基板上にドロップキャストし、2000rpmでのスピンコーティングで広げた。堆積した膜を測定したところ、455nmで0.07の吸収OD、および表面形状測定装置により測定したところ、230nmの厚さを有した。図13Bは、このRSNP層の、吸収(点線)およびPL(実線)スペクトルを示す。最大放射は、540における、33nmのFWHMを有するものである。吸収ODは、360nmで0.165および540nmで0.008であり、後者は、360nmで、ODの20分の1未満である。
【0063】
RSNP層を、図5Aに示すように、照明デバイスに組み込んだ。360nmで、UV LEDを使用して、このRSNP層を照射し、540nmで、赤色で光出力を実現した(図示せず)。
【0064】
(実施例6:RSNP変換層を有し白色光を提供する照明デバイス)
2つのRSNP層のサンプルを、散乱体を有するPVB用に上で記載した方法を使用して調製した(実施例2)。RSNP層CL14Aは、0.5gのPVB内に挿入した10mgの赤色放射RSNPおよび25mgのBaSO4を有した。RSNP層CL14Bは、0.5gのPVB内に挿入した20mgの赤色放射RSNPおよび25mgのBaSO4を有した。2つのサンプルのそれぞれは、190μm厚であり、42mmの直径を有した。
【0065】
RSNP層を、図6Bに示すように、2つの照明デバイスに組み込んだ。両方の照明デバイス内で、RSNP層を、青色LED光源から構成されるLEDモジュールの開口、およびシリコーンマトリックス内の特別に調整されたCe:YAGベースの蛍光体層に配置した。光出力を測定した。層CL14Aおよび層CL14Bを有する照明デバイスに関し、それぞれ図14Aおよび図14Bに光出力を示した。見られる光は、455nmのLEDからの青色光、Ce-YAGベースの蛍光体に関する580nmの周りの広いピーク、およびRSNP層からの赤色光の寄与から構成される。CIE 1931座標を計算しており、CIE色度図上の2つの照明デバイスの場所を図15に示す。CL14AについてのCCTは3420Kであり、CL14BについてのCCTは2730Kであり、一方CL14AについてのCRIは95であり、CL14BについてのCRIは92である。
【0066】
(実施例7:SNP変換層を有し白色光を提供する照明デバイス)
使用したSNPは、3.9nmの直径のCdSeコアおよび8.9nmの全体直径を有する、非ロッド形状のCdSe\CdZnS SNPであった。0.5grのPVBを、4mlのトルエンに溶解した。2mgrのSNPを1mlのトルエンに溶解した。SNP溶液を、撹拌しながらポリマー混合物に加えた。10分の撹拌後、混合物は、光沢ある輝きを有した。次いで、混合物をパターン容器に移し、パターン容器を乾燥器内に入れ、15時間真空にして、その後混合物は固体となった。最終的な膜厚は、190μmであった。図16は、この膜の、吸収(点線)およびPLスペクトルを示す。CWLは626nmにあり、FWHMは33nmである。455における吸収と600〜700nm範囲内の最大の吸収との吸収比は、1:6(0.156から0.026)である。SNP層を、図5Aに示すように、照明デバイスに組み込んだ。360nmで、UV LEDを使用して、このRSNP層を照射し、626nmで、赤色で光出力を実現した(図示せず)。
【0067】
結論として、本発明の様々な実施形態は、SNPに基づく新規な変換層を組み込んだデバイスを提供する。本明細書に開示の変換層は、励起波長での吸収と比較して、放射領域で再吸収が低い特徴を有する。本明細書に開示のSNP/RSNP変換層は、LEDデバイスの性質を増大させるのに好適であり、CCT < 4000Kならびに高いCRI > 80、および > 85さえ有し、特に、CCT < 3500およびCCT約2700Kさえ有しならびにCRI > 89を有する白色放射を実現する。本発明のSNP変換層が埋め込まれたポリマーをさらに調製し、狭いFWHM < 60nmおよびFWHM < 40nmでさえを有する、3つ以上の原色からなるディスプレイ用途用の白色を実現することができる。
【0068】
本発明は、例として提供され、本発明の範囲を限定する意図ではない、本発明の実施形態を参照して記載されてきた。記載の実施形態は様々な特徴を備えており、特徴の全てが本発明の全ての実施形態で必要なわけではない。本発明のいくつかの実施形態は、単に、特徴のうちのいくつか、または特徴の可能な組合せを使用する。記載された発明の実施形態の変形形態、および記載された実施形態で言及されたものとは異なる組合せの特徴を備える本発明の実施形態を、当業者は想到するであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0069】
本明細書内で挙げられた全ての特許、特許出願および公報は、各個の特許、特許出願および公報が、参照により本明細書に組み込まれることを、具体的かつ個別に示す場合と同じ範囲で、特許、特許出願および公報の全体が、ここで参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本出願における任意の参照の引用または特定は、そのような参照が本発明に対し従来技術として入手可能であることを承認するものと解釈するべきではない。
【符号の説明】
【0070】
300 曲線
302 曲線
304 曲線
410 ドナー
420 アクセプタ
430 矢印
440 RSNP
450 RSNP
460 コア間距離
500a 照明デバイス
500b 照明デバイス
502a SNP層
502b SNP層
504a 光源
504b 光源
600a 照明デバイス
600b 照明デバイス
602a SNP層
602b SNP層
604a 混色光源
604b 光源
700 照明デバイス
704 スペーサ層
706 SNP変換層
708 封止層
710 伝達可能光学素子
712 レンズ
714 反射素子
800 照明デバイス
802 SNP層
804 LED放射チップ
806 光学フィルタ
810 伝達可能光学素子
812 レンズ
814 反射素子
820 短波長
822 より長い波長光
900 照明デバイス
902 光学素子
904 LED
906 追加の層
1002a LED
1002b LED
1004a 導波路アセンブリ
1004b 導波路アセンブリ
1006a SNP層
1006b SNP層
1008b 上部面
1008a 底部
1010a 光抽出層
1010b 光抽出層
1012a 縁部
1012b 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が第1の波長の光を放射する照明デバイス内で使用するための光学的変換層であって、580〜700nmの範囲内の中央放射波長(CWL)を有する半導体ナノ粒子のうちの少なくとも1種を備える変換層において、450nmで0.07と2の間の光学濃度(OD)を有し、455nmでの吸収と560〜700nmの範囲内の吸収の最大値との吸収比(AR)が3.5:1より大きく、前記第1の波長の前記光の少なくとも一部を前記第1の波長よりも長い第2の波長の光に変換するために使用され得ることを特徴とする、変換層。
【請求項2】
前記ナノ粒子がシード型ナノ粒子(SNP)である、請求項1に記載の変換層。
【請求項3】
前記シード型ナノ粒子がナノロッドシード型粒子(RSNP)である、請求項2に記載の変換層。
【請求項4】
前記ARが7:1より大きい、請求項1に記載の変換層。
【請求項5】
455nmでの吸収と520〜580nmの波長範囲内の吸収の最大値との間のARが6:1より大きいことをさらに特徴とする、請求項1に記載の変換層。
【請求項6】
約5nmより小さいフォトルミネセンス(PL)偏移を有し、前記PL偏移が、トルエン中でOD < 0.1で測定されるCWLと前記変換層内で測定されるCWLの間の差を表すことをさらに特徴とする、請求項1に記載の変換層。
【請求項7】
いかなるSNP表面にも結合されない、少なくとも1つの過剰な有機リガンドをさらに備える、請求項1に記載の変換層。
【請求項8】
前記層が約2μmより薄い、請求項1に記載の変換層。
【請求項9】
前記層が約0.1μmと約2μmの間の厚さを有する、請求項1に記載の変換層。
【請求項10】
前記半導体がII-VI、III-V IV- VIおよびIII-VI2半導体からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の変換層。
【請求項11】
前記SNPまたはRSNPが、CdSe/CdS、CdSeS/CdS、ZnSe/CdS、ZnCdSe/CdS、CdSe/CdZnS、CdTe/CdS、InP/ZnSe、InP/CdS、InP/ZnSおよびCuInS2/ZnSからなる群から選択される材料を有するコア/シェル構造を有する、請求項2または3に記載の変換層。
【請求項12】
前記SNPまたはRSNPが、CdSe/CdS/ZnS、CdSe/CdZnS/ZnS、ZnSe/CdS/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/CdS/ZnSおよびInP/CdZnS/ZnSからなる群から選択される材料を有するコア/ダブルシェル構造を有する、請求項2または3に記載の変換層。
【請求項13】
前記ナノ粒子を組み込むホスト材料をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の変換層。
【請求項14】
前記ホスト材料がポリマーまたはシリコーンである、請求項13に記載の変換層。
【請求項15】
前記層が約5000μmより薄い、請求項14に記載の変換層。
【請求項16】
前記層が約50μmより薄い、請求項14に記載の変換層。
【請求項17】
前記層が約0.2μmと約5μmの間の厚さを有する、請求項14に記載の変換層。
【請求項18】
ナノ粒子のうちの前記少なくとも1種が複数の種類を含み、各種類が前記第1の波長よりも長い、異なる波長の光への変換を実施する、請求項1から3のいずれか一項に記載の変換層。
【請求項19】
光源が第1の波長の光を放射する照明デバイス内で使用するための光学的変換層であって、520〜580nmの範囲内の中央放射波長(CWL)を有する半導体ナノ粒子のうちの少なくとも1種を備える変換層において、405nmで0.05と2の間の光学濃度(OD)を有し、405nmでの吸収と520〜600nmの範囲内の吸収の最大値との吸収比(AR)が3.5:1より大きく、前記第1の波長の前記光の少なくとも一部を前記第1の波長よりも長い第2の波長の光に変換するために使用され得ることを特徴とする、変換層。
【請求項20】
前記ナノ粒子がシード型ナノ粒子(SNP)である、請求項19に記載の変換層。
【請求項21】
前記シード型ナノ粒子がナノロッドシード型粒子(RSNP)である、請求項20に記載の変換層。
【請求項22】
前記ARが7:1より大きい、請求項19に記載の変換層。
【請求項23】
約5nmより小さいフォトルミネセンス(PL)偏移を有し、前記PL偏移が、トルエン中でOD < 0.1で測定されるCWLと前記変換層内で測定されるCWLの間の差を表すことをさらに特徴とする、請求項19に記載の変換層。
【請求項24】
いかなるSNP表面にも結合されない、少なくとも1つの過剰な有機リガンドをさらに備える、請求項19に記載の変換層。
【請求項25】
前記層が約5μmより薄い、請求項19に記載の変換層。
【請求項26】
前記層が約0.1μmと約5μmの間の厚さを有する、請求項19に記載の変換層。
【請求項27】
前記半導体がII-VI、III-V IV-VIおよびI-III-VI2半導体からなる群から選択される、請求項19から24のいずれか一項に記載の変換層。
【請求項28】
前記SNPまたはRSNPが、CdSe/CdS、ZnSe/CdS、CdSe/CdZnS、CdTe/CdS、InP/ZnSe、InP/CdS、InP/ZnSおよびCuInS2/ZnSからなる群から選択される材料を有するコア/シェル構造を有する、請求項20または21に記載の変換層。
【請求項29】
前記SNPまたはRSNPが、CdSe/CdS/ZnS、CdSe/CdZnS/ZnS、ZnSe/CdS/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/CdS/ZnSおよびInP/CdZnS/ZnSからなる群から選択される材料を有するコア/ダブルシェル構造を有する、請求項20または21に記載の変換層。
【請求項30】
前記ナノ粒子を組み込むホスト材料をさらに備える、請求項20から22のいずれか一項に記載の変換層。
【請求項31】
前記ホスト材料がポリマーまたはシリコーンである、請求項30に記載の変換層。
【請求項32】
前記層が約5000μmより薄い、請求項31に記載の変換層。
【請求項33】
前記層が約50μmより薄い、請求項31に記載の変換層。
【請求項34】
前記層が約0.2μmと約5μmの間の厚さを有する、請求項31に記載の変換層。
【請求項35】
光源が第1の波長の光を放射する照明デバイス内で使用するための光学的変換層であって、520〜700nmの範囲内のそれぞれ異なる中央放射波長を有する半導体ナノ粒子のうちの少なくとも2つの異なる種を備える変換層において、405nmで0.07と2.5の間の光学濃度を有し、405nmでの吸収と520〜700nmの範囲内の吸収の最大値との吸収比が3:1より大きく、前記第1の波長の前記光の少なくとも一部を前記第1の波長よりも長い他の波長の光に変換するために使用され得ることを特徴とする、変換層。
【請求項36】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光学的変換層を備える照明デバイス。
【請求項37】
請求項19から21のいずれか一項に記載の光学的変換層を備える照明デバイス。
【請求項38】
請求項35に記載の光学的変換層を備える照明デバイス。
【請求項39】
前記変換層が第1の波長の前記光源光の変換されない部分を通過させるようになされる、請求項36に記載の照明デバイス。
【請求項40】
(a)第1の波長の光源光を放射する光源と、
(b)580〜700nmの範囲内の中央放射波長を有する半導体ナノ粒子のうちの少なくとも1種を備える変換層であって、455nmで0.07と2の間の光学濃度を有し、455nmでの吸収と560〜700nmの範囲内の吸収の最大値との吸収比が3.5:1より大きく、前記第1の波長の前記光の少なくとも一部を前記第1の波長よりも長い第2の波長の光に変換するために使用されることを特徴とする変換層とを備える、照明デバイス。
【請求項41】
前記ナノ粒子がシード型ナノ粒子である、請求項40に記載の照明デバイス。
【請求項42】
前記シード型ナノ粒子がナノロッドシード型粒子である、請求項41に記載の照明デバイス。
【請求項43】
前記光源が少なくとも1つの発光ダイオードであり、前記変換層が前記照明デバイスの光出力を増大し、CCT < 10000Kを有しCRI > 70を有する白色光を提供する、請求項40に記載の照明デバイス。
【請求項44】
前記光源が少なくとも1つの発光ダイオードであり、前記変換層が前記照明デバイスの光出力を増大し、CCT < 4500Kを有しCRI > 80を有する白色光を提供する、請求項40に記載の照明デバイス。
【請求項45】
(a)第1の波長の光源光を放射する光源と、
(b)520〜580nmの範囲内の中央放射波長を有する半導体ナノ粒子のうちの少なくとも1種を備える変換層であって、405nmで0.05と2の間の光学濃度を有し、405nmでの吸収と520〜600nmの範囲内の吸収の最大値との吸収比が3.5:1より大きく、前記第1の波長の前記光の少なくとも一部を前記第1の波長よりも長い第2の波長の光に変換するために使用されることを特徴とする変換層とを備える、照明デバイス。
【請求項46】
前記ナノ粒子がシード型ナノ粒子である、請求項45に記載の照明デバイス。
【請求項47】
前記シード型ナノ粒子がナノロッドシード型粒子である、請求項46に記載の照明デバイス。
【請求項48】
前記光源が少なくとも1つの発光ダイオード(LED)であり、前記変換層が前記照明デバイスの光出力を増大し、CCT < 10000Kを有しCRI > 70を有する白色光を提供する、請求項45に記載の照明デバイス。
【請求項49】
前記光源が少なくとも1つの発光ダイオード(LED)であり、前記変換層が前記照明デバイスの光出力を増大し、CCT < 4500Kを有しCRI > 80を有する白色光を提供する、請求項45に記載の照明デバイス。
【請求項50】
(a)第1の波長の光源光を放射する光源と、
(b)520〜700nmの範囲内のそれぞれ異なる中央放射波長を有する半導体ナノ粒子のうちの少なくとも2つの異なる種を備える変換層であって、455nmで0.07と2.5の間の光学濃度を有し、405nmでの吸収と520〜700nmの範囲内の吸収の最大値との吸収比が3:1より大きく、前記第1の波長の前記光の少なくとも一部を前記第1の波長よりも長い他の波長の光に変換するために使用されることを特徴とする変換層とを備える、照明デバイス。
【請求項51】
前記ナノ粒子がシード型ナノ粒子である、請求項50に記載の照明デバイス。
【請求項52】
前記シード型ナノ粒子がナノロッドシード型粒子である、請求項51に記載の照明デバイス。
【請求項53】
前記光源が少なくとも1つの発光ダイオードであり、前記変換層が前記照明デバイスの光出力を増大し、CCT < 10000Kを有しCRI > 70を有する白色光を提供する、請求項50に記載の照明デバイス。
【請求項54】
前記光源が少なくとも1つの発光ダイオードであり、前記変換層が前記照明デバイスの光出力を増大し、CCT < 4500Kを有しCRI > 80を有する白色光を提供する、請求項50に記載の照明デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4(A)】
image rotate

【図4(B)】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10(A)】
image rotate

【図10(B)】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2013−518932(P2013−518932A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550545(P2012−550545)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050366
【国際公開番号】WO2011/092646
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(503083166)イサム・リサーチ・デベロツプメント・カンパニー・オブ・ザ・ヘブルー・ユニバーシテイ・オブ・エルサレム・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】