説明

親子シールド掘進機及びトンネルの構築方法

【課題】分岐用トンネル構築にあたっては1つのトンネル掘削で行い本線トンネルへの分岐・合流部では複数のトンネルの接合施工を行うことで、接合施工の簡略化、工期の短縮、工費の削減を図ることのできるシールド掘進機及びトンネルの構築方法。
【解決手段】所定断面のトンネルを掘削形成する親機シールド掘進機12と、親機から発進可能にされた複数の子機シールド掘進機14とを有する親子シールド掘進機であって、親機は、複数の子機収納部32と、子機収納部以外に配置された駆動源により回転可能にされた複数の親機カッタ18を有し、各子機は、親機の子機収納部に収納可能とされ、子機内に配置された駆動源により回転可能とされた子機カッタ106とを有し、各子機を収納した状態で親機カッタ及び子機カッタの駆動により親子シールド掘進機10の掘進を可能とし、親子シールド掘進機の掘進停止後に親機の子機収納部より、子機を発進可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの断面を効率的に変形可能な親子シールド掘進機及びトンネルの構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下構築物の構築方法として、例えば、ほぼ四角形断面のシールド掘進機により地中に複数のトンネルを掘削形成し、該トンネルを軸線方向に複数並設して無端状に連結・止水して、任意形状の連続構造体を構築した後、この連続構造体の内側を掘削して地下空間を構築することが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2633026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような地下構築物の構築方法にあっては、任意形状の連続構造体を構築することができるため、例えば、本線トンネルに対する分岐用トンネルの分岐・合流部の構築に用いると利点を生かすことができる一方、分岐用トンネルも複数のトンネルを接続して、外殻部を先行構築しなければならないため、分岐用トンネルの距離が長くなればなるほど、工期、工費の面で不利となる。
【0005】
本発明の目的は、分岐用トンネル構築にあたっては1つのトンネル掘削で行い本線トンネルへの分岐・合流部では複数のトンネルの接合施工を行うことで、接合施工の簡略化を行い、工期の短縮、工費の削減を図ることのできる親子シールド掘進機及びトンネルの構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の親子シールド掘進機は、所定断面のトンネルを掘削形成する親機シールド掘進機と、前記親機シールド掘進機から発進可能にされた複数の子機シールド掘進機とを有する親子シールド掘進機であって、
前記親機シールド掘進機は、複数の子機収納部と、前記子機収納部以外に配置された駆動源により回転可能にされた複数の親機カッタを有し
前記各子機シールド掘進機は、前記親機シールド掘進機の前記子機収納部に収納可能とされ、前記子機シールド掘進機内に配置された駆動源により回転可能とされた子機カッタとを有し、
前記親機シールド掘進機の子機収納部に各子機シールド掘進機を収納された状態で前記親機カッタ及び子機カッタの駆動により前記親子シールド掘進機の掘進を可能とし、前記親子シールド掘進機の掘進停止後に前記親機シールド掘進機の子機収納部より、前記子機シールド掘進機を発進可能とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、親機シールド掘進機に設けた複数の子機収納部内にそれぞれ子機シールド掘進機を収納した親子シールド掘進機により、親機カッタ及び子機カッタを駆動させて1本のトンネルを構築し、適宜の位置で親子シールド掘進機を停止させ、その状態で親機シールド掘進機より子機シールド掘進機を発進させて子機シールド掘進機の子機カッタを駆動させて掘進することで、子機シールド掘進機により、親子シールド掘進機により構築されるトンネルとは異なる変断面のトンネルを構築することができる。
【0008】
したがって、例えば、親子シールド掘進機により分岐用トンネル部分を構築し、分岐用トンネルが本線トンネルに近づいた状態で親子シールド掘進機を停止させ、そこから複数の子機シールド掘進機を発進させて、各子機シールド掘進機によるトンネル同士を接合しつつ本線トンネルに寄りつかせるようにすることで、分岐・合流部の構築が可能となる。
【0009】
この場合、分岐用トンネルの距離が長くても、分岐用トンネルは親機シールド掘進機によるトンネルの構築によりなされるため、子機シールド掘進機によるトンネル同士の接続は短い距離ですむため、効率的かつ合理的な施工を行うことができる。
【0010】
本発明においては、前記各子機シールド掘進機は、前方に押し出し可能な可動スキンプレート部を有し、前記子機シールド発進時には前記可動スキンプレート部を前方へ押し出し、前記子機シールド掘進機の独立チャンバーを形成可能にされるようにすることができる。
【0011】
このような構成とすることにより、子機シールド掘進機の発進時には可動スキンプレート部を前進させることで、子機シールド掘進機の独立チャンバを容易に確保することができる。
【0012】
本発明においては、前記親機シールド掘進機の子機収納部内面側には、予め各子機シールド掘進機のスキンプレート外面との間をシールするシール材が配設されるようにすることができる。
【0013】
このような構成とすることにより、親機シールド掘進機の子機収納部内側面にシール材を設け、このシール材により、確実に子機シールド掘進機のスキンプレートと子機収納部との間をシールすることができる。
【0014】
本発明においては、前記親子シールド掘進機の掘進時に、親機カッタが子機カッタよりも前方または後方に配され、互いに干渉しないようにカッタ回転を可能とされるようにすることができる。
【0015】
このような構成とすることにより、親子機両カッタの干渉を防止して、子機シールド掘進機の収納、発進に影響を与えることなく掘進が可能となる。
【0016】
この場合、前記親機カッタがスポーク状に形成され、親子シールド掘進機停止時に各子機収納部の位置を避けた位置にスポークを停止可能とされるようにすることができる。
【0017】
このような構成とすることにより、より一層、親子機両カッタの干渉を防止して、子機シールド掘進機の収納、発進に影響を与えることなく掘進が可能となる。
【0018】
本発明にかかるトンネルの構築方法は、前記いずれかに記載の親機シールド掘進機と子機シールド掘進機を有する親子シールド掘進機を用いたトンネルの構築方法であって、
前記親機シールド掘進機の前記子機収納部内に各子機シールド掘進機を収納した状態で、前記親機カッタ及び子機カッタをそれぞれ駆動させて掘進を行い、親子シールド掘進機の断面に相応したトンネルを構築する工程と、
前記親子シールド掘進機の掘進停止後に、各子機シールド掘進機の子機カッタを駆動させて、子機シールド掘進機を前記子機収納部より発進させて、前記親子シールド掘進機の断面に相応したトンネル断面に引き続き、前記子機シールド掘進機の断面に相応したトンネルを構築する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、親機シールド掘進機の子機収納部内に子機シールド掘進機を収納した状態で、親機カッタ及び子機カッタを駆動させて親子シールド掘進機の掘進を行えば、親機シールド掘進機の断面に相応したトンネルを構築することができ、通常のトンネルの掘進を行うことができる。
【0020】
また、親子シールド掘進機による掘進を停止し、親機シールド掘進機から子機カッタを駆動させて子機シールド掘進機を発進させることで、子機シールド掘進機による掘進を行うことができることとなる。
【0021】
この子機シールド掘進機によるトンネルの構築では、複数の分岐トンネルとして構築してもよく、複数のトンネルを連結したものとして構築しても良い。
【0022】
本発明においては、前記親子シールド掘進機により構築されるトンネルは、分岐用トンネルとされ、前記子機シールド掘進機により構築されるトンネルは、複数の子機シールド掘進機により構築されるトンネルを連結して閉断面のトンネルを構築し、閉断面の内部の地山を掘削しつつ本線トンネルに合流する分岐合流拡幅部として形成されるようにすることができる。
【0023】
このような構成とすることにより、分岐用トンネルの距離が長くても、分岐用トンネルは親機シールド掘進機によるトンネルの構築によりなされるため、子機シールド掘進機によるトンネル同士の接続は短い距離ですみ、効率的かつ合理的な施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の一実施の形態にかかる親子シールド掘進機の正面図である。
【図2】図1の親子シールド掘進機の縦断面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】(1)は親子シールド掘進機掘進時の親機シールド掘進機及び子機シールド掘進機の状態を示す断面図、(2)は子機シールド掘進機の発進時における親機シールド掘進機及び子機シールド掘進機の状態を示す断面図である。
【図5】(1)は子機シールド掘進機の部分拡大縦断面図、(2)はそのシール状態の拡大断面図である。
【図6】分岐用トンネルを本線トンネルに接続させた状態を示す平面図である。
【図7】親子シールド掘進機により分岐用トンネルを構築する状態を示す正面図である。
【図8】図7の状態から分岐・合流部を構築する状態を示す正面図である。
【図9】子機シールド掘進機の発進準備状態を示す縦断面図である。
【図10】図9の状態から子機シールド掘進機の発進状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1〜図10は、本発明の一実施の形態にかかる親子シールド掘進機及びトンネルの構築方法を示す図である。
【0027】
図1〜図5は、本実施の形態において用いる親子シールド掘進機を示す図で、図1はその親子シールド掘進機の正面図、図2はその縦断面図である。
【0028】
この親子シールド掘進機10は、所定断面のトンネルを掘削形成する親機シールド掘進機12と、この親機シールド掘進機12から発進可能にされた複数、例えば5機の子機シールド掘進機14とを有する。
【0029】
親機シールド掘進機12は、円形断面の親機シールド掘進機本体16の前面に親機カッタ18を取り付けた隔壁20を有し、親機カッタ18の回転駆動によって切羽の掘削が行われるようになっている。
【0030】
親機カッタ18は、隔壁20の中央部及び外周部に複数、例えば、中央部に1つ、外周部に2つ配設されている。
【0031】
親機シールド掘進機本体16内には、親機カッタ18をそれぞれ回転させる駆動減としての駆動モータ22、シールドジャッキ24、セグメント組立用のエレクター26等が配設されている。
【0032】
親機シールド掘進機本体16には、親機シールド掘進機本体16の前部に隔壁20を貫通して形成された複数、例えば5個の子機収納部32が親機カッタ18位置を避けて設けられている。
【0033】
子機シールド掘進機14は、親機シールド掘進機12の各子機収納部32に収納可能にした子機シールド掘進機本体102と、各子機シールド掘進機本体102の前部に取り付けられて親機シールド掘進機12の隔壁20より前方に配置され、子機シールド掘進機本体102内の駆動減である駆動モータ104により回転可能にされた子機カッタ106とを有している。
【0034】
また、子機シールド掘進機本体102内には、子機カッタ106を回転させる駆動モータ104の他、シールドジャッキ110、セグメント組立用のエレクター112等が配設されている。
【0035】
そして、親機シールド掘進機12の子機収納部32に各子機シールド掘進機本体102を収納した状態で、親機カッタ18及び子機カッタ106の駆動により親子シールド掘進機10の掘進を可能にし、親子シールド掘進機10の掘進停止後に、子機シールド掘進機14の子機カッタ106だけを駆動させることで、図10に示すように、親機シールド掘進機12の子機収納部32内より発進可能にされている。
【0036】
この場合、各子機用シールド掘進機14は、子機シールド掘進機本体102のスキンプレート114が、図4に示すように、可動スキンプレート部114A及び固定スキンプレート部114Bの一部を重合した二重構造とされ、親子シールド掘進機10の掘進時には、図4(1)に示すように、可動スキンプレート部114Aを後退させて親子シールド掘進機10のシールドチャンバ28を確保し、子機シールド掘進機14の発進時には、図4(2)に示すように、可動スキンプレート部114Aを前進させて子機シールド掘進機14のシールドチャンバ116を確保可能にしている。
【0037】
このように、子機シールド掘進機本体102のスキンプレート114を二重構造とし、親子シールド掘進機10の掘進時には可動スキンプレート部114Aを後退させることで、親子シールド掘進機10の掘進時におけるシールドチャンバ28を確保し、かつ、親機カッタ18による掘削の邪魔にならないようにすることができ、また、子機シールド掘進機14による掘進を行う場合には可動スキンプレート部114Aを前進させることで、子機シールド掘進機14掘進用のシールドチャンバ116を容易に確保することができることとなる。
【0038】
この場合、図5(1)及び(2)に示すように、可動スキンプレート部114Aと固定スキンプレート部114Bとの間には、シール材118が配設され、固定スキンプレート部114Bに対して可動スキンプレート部114Aが移動しても、固定スキンプレート部114Bと可動スキンプレート部114Aとの間を確実にシールできるようにしている。
【0039】
また、図5(1)及び(2)に示すように、親機シールド掘進機12の子機収納部32の内側面には、予め各子機シールド掘進機本体102のスキンプレート114の外面との間をシールするシール材120を配設することにより、親機シールド掘進機12の子機収納部32の内側面に設けたシール材120により、確実に子機シールド掘進機本体102のスキンプレート114の外面との間をシールすることができるようになっている。。
【0040】
さらに、本実施の形態では、親子シールド掘進機10の掘進時に、親機シールド掘進機12内に子機シールド掘進機14が収納された状態で、親機カッタ18が子機カッタ106よりも前方または後方に配され、お互いが干渉しないようにカッタ回転可能にされる。
【0041】
具体的には、本実施の形態においては、親機カッタ18は子機カッタ106よりも後退した位置に配設されるようにすることで、両カッタ18、106の干渉を防止して、子機シールド掘進機の収納、発進に影響を与えることなく掘進が可能となるようにしている。
【0042】
そしてさらに、親機カッタ18を、各子機収納部32の位置を避けることができるスポーク状に形成し、親子シールド掘進機10を停止し、子機シールド掘進機14を発進する際には、スポークを子機収納部32を避けた位置に停止させ、発進した子機シールド掘進機14と干渉しないようにしている。
【0043】
なお、子機シールド掘進機本体102は、具体的には、図1及び図3に示すように、断面ほぼ台形3つの子機シールド掘進機本体102Aと、断面円形の2つの子機シールド掘進機本体102Bとからなり、親機シールド掘進機本体16の子機収納部32はそれぞれの子機シールド掘進機本体102A、102Bに対応した形状とされている。
【0044】
断面ほぼ台形の子機シールド掘進機本体102Aには大きな1つの子機カッタ106Aと、小さな2つの子機カッタ106Bが設けられており、円形の子機シールド掘進機本体102Bには1つの子機カッタ106Aが設けられている。
【0045】
また、これら複数の子機シールド掘進機14は、親機シールド掘進機12より発進した後、独立して6本の小径のトンネルを構築するようにしてもよく、あるいは、これら5本のトンネルの内の数本を連結して、これよりも若干大きな複数本のトンネルを構築するようにしてもよく、さらには、親子シールド掘進機10により本線トンネルに向かう分岐用トンネルを構築して、そこから子機シールド掘進機14による5本のトンネルを1本のトンネルに連結して、分岐用トンネルから本線トンネルに接続する分岐・合流部を構築するようにすることもできる。
【0046】
特に、分岐用トンネルの距離が長い場合には、分岐用トンネルは親子シールド掘進機10にて通常の円形シールド掘進機によりトンネルを構築する場合と同様の工程で構築できるため、子機シールド掘進機により各トンネルの接続作業に要する時間、コストを削減して効率的、かつ、合理的な施工を行うことが可能となる。
【0047】
また、子機シールド掘進機14は、3台が台形状をしているため、複数のトンネルの接続幅を小さくして効率よく連結を行うことができる。
【0048】
次に、前述のような親子シールド掘進機10を用いて、分岐用トンネルと本線トンネルへの分岐・合流部とを構築するトンネルの構築方法について、図6〜図10を参照して説明する。
【0049】
図6は、分岐用トンネルから分岐・合流部を経て本線トンネルに接続する状態を示す平面図である。
【0050】
このトンネルの構築方法では、まず、本線トンネル用のシールド掘進機(図示せず)により本線トンネル46を掘削形成する。
【0051】
次いで、本線トンネル46から所定間隔離れた位置で本線トンネル46に沿って分岐用トンネル48を掘削形成する。
【0052】
この分岐用トンネル48の掘削形成に際しては、図7に示すように、親機シールド掘進機12の子機収納部32内に、複数の子機シールド掘進機本体102を収納した状態で、親機シールド掘進機本体16内の駆動モータ22及び子機シールド掘進機本体102内の駆動モータ104にて親機カッタ18及び子機カッタ106を回転させることで親子シールド掘進機10の掘進を行う。
【0053】
この場合、図4(1)に示すように、子機シールド掘進機14の可動スキンプレート部114Aを後退させて親子シールド掘進機10のシールドチャンバ28を形成して掘進を行う。
【0054】
この掘進状態で掘進を行いつつ、分岐用トンネル48を可能な限り本線トンネル46に近接させる。
【0055】
このように分岐用トンネルを親子シールド掘進機10により構築することにより、分岐用トンネル48の距離が長い場合でも、複数のトンネルの接続や複数のトンネルに囲まれた地山の掘削を行うことなく、通常の円形シールド掘進機と同様の掘進作業で行うことができ、短時間、かつ、効率よく分岐用トンネル48を構築することができる。
【0056】
次に、分岐用トンネル48が本線トンネル46に接近した状態で、親子シールド掘進機10の掘進を停止して、親機シールド掘進機12より複数の子機シールド掘進機14を発進させて、図8にも示すように、分岐用トンネル48から本線トンネル46に向けて合流・拡幅部50を構築する。
【0057】
次に、図9に示すように、子機シールド掘進機14の発進の準備を行う。
【0058】
この場合、図4(2)に示すように、子機シールド掘進機14の可動スキンプレート部114Aを前方に移動させて子機シールド掘進機14のシールドチャンバ116を形成して発進可能にする。
【0059】
そして、図10に示すように、子機シールド掘進機14の発進を行う。
【0060】
このようにして、複数の子機シールド掘進機14を親機シールド掘進機12より発進させるようにしている。
【0061】
各子機収納部32より発進した複数の子機シールド掘進機14は、図8に示すように、所定の間隔で本線トンネル46に寄りつきつつ、各トンネル60間を接合して、外殻躯体部62を構築した後、外殻躯体部62により囲まれた内部の土砂を掘削、搬出することで、分岐・合流部50を完成させるようになっている。
【0062】
このように、複数のトンネル60を接合しながら本線トンネル46に合流させることで、本線トンネル46の形状に沿って分岐・合流部50を確実に形成できることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0064】
例えば、前記実施の形態では、親機シールド掘進機及び子機シールド掘進機を断面円形のシールド掘進機を中心にしたものについて説明したが、この例に限らず、方形状、多角形状のものを中心にしたものとすることも可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 親子シールド掘進機
12 親機シールド掘進機
14 子機シールド掘進機
16 親機シールド掘進機本体
18 親機カッタ
20 隔壁
28、116 シールドチャンバ
32 子機収納部
36 子機シールド掘進機本体
46 本線トンネル
48 分岐用トンネル
50 分岐・合流部
102 子機シールド掘進機本体
106 子機カッタ
114 スキンプレート
114A 可動スキンプレート部
118、120 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定断面のトンネルを掘削形成する親機シールド掘進機と、前記親機シールド掘進機から発進可能にされた複数の子機シールド掘進機とを有する親子シールド掘進機であって、
前記親機シールド掘進機は、複数の子機収納部と、前記子機収納部以外に配置された駆動源により回転可能にされた複数の親機カッタを有し
前記各子機シールド掘進機は、前記親機シールド掘進機の前記子機収納部に収納可能とされ、前記子機シールド掘進機内に配置された駆動源により回転可能とされた子機カッタとを有し、
前記親機シールド掘進機の子機収納部に各子機シールド掘進機を収納された状態で前記親機カッタ及び子機カッタの駆動により前記親子シールド掘進機の掘進を可能とし、前記親子シールド掘進機の掘進停止後に前記親機シールド掘進機の子機収納部より、前記子機シールド掘進機を発進可能とされていることを特徴とする親子シールド掘進機。
【請求項2】
前記各子機シールド掘進機は、前方に押し出し可能な可動スキンプレート部を有し、前記子機シールド発進時には前記可動スキンプレート部を前方へ押し出し、前記子機シールド掘進機の独立チャンバーを形成可能にされていること特徴とする請求項1記載の親子シールド掘進機。
【請求項3】
前記親機シールド掘進機の子機収納部内面側には、予め各子機シールド掘進機のスキンプレート外面との間をシールするシール材が配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の親子シールド掘進機。
【請求項4】
前記親子シールド掘進機の掘進時に、親機カッタが子機カッタよりも前方または後方に配され、互いに干渉しないようにカッタ回転を可能とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の親子シールド掘進機。
【請求項5】
前記親機カッタがスポーク状に形成され、親子シールド掘進機停止時に各子機収納部の位置を避けた位置にスポークを停止可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の親子シールド掘進機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の親機シールド掘進機と子機シールド掘進機を有する親子シールド掘進機を用いたトンネルの構築方法であって、
前記親機シールド掘進機の前記子機収納部内に各子機シールド掘進機を収納した状態で、前記親機カッタ及び子機カッタをそれぞれ駆動させて掘進を行い、親子シールド掘進機の断面に相応したトンネルを構築する工程と、
前記親子シールド掘進機の掘進停止後に、各子機シールド掘進機の子機カッタを駆動させて、子機シールド掘進機を前記子機収納部より発進させて、前記親子シールド掘進機の断面に相応したトンネル断面に引き続き、前記子機シールド掘進機の断面に相応したトンネルを構築する工程と、
を含むことを特徴とするトンネルの構築方法。
【請求項7】
前記親子シールド掘進機により構築されるトンネルは、分岐用トンネルとされ、前記子機シールド掘進機により構築されるトンネルは、複数の子機シールド掘進機により構築されるトンネルを連結して閉断面のトンネルを構築し、閉断面の内部の地山を掘削しつつ本線トンネルに合流する分岐合流拡幅部として形成されることを特徴とする請求項6に記載のトンネルの構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−222838(P2010−222838A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71244(P2009−71244)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【出願人】(309036221)三菱重工メカトロシステムズ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】