解錠装置および施・解錠装置
【課題】解錠装置の小型化と解錠装置の操作にあたっての利便性の向上が図られた解錠装置を提供する。
【解決手段】解錠装置1は、LED8A〜8Hを有するLEDアレイ8Arと、LEDに光の出射を指示する点灯スイッチ10と、LEDから出射した光を、LEDアレイ8Arの中の一部のLEDに対して選択的に反射させることができるように、LEDアレイ8Arに対して移動可能な反射板17と、反射板17により選択的に反射された光が、LEDアレイ8Arの中の所定のLEDに所定の順番で受光されたか否か判断するマイクロコンピューターとを有する。
【解決手段】解錠装置1は、LED8A〜8Hを有するLEDアレイ8Arと、LEDに光の出射を指示する点灯スイッチ10と、LEDから出射した光を、LEDアレイ8Arの中の一部のLEDに対して選択的に反射させることができるように、LEDアレイ8Arに対して移動可能な反射板17と、反射板17により選択的に反射された光が、LEDアレイ8Arの中の所定のLEDに所定の順番で受光されたか否か判断するマイクロコンピューターとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解錠装置および施・解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、特許文献1、特許文献2に開示されるように、バーコードやテンキー入力による識別コードを用いて解錠を行う解錠装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3−42221号公報
【0004】
【特許文献2】特開2010−126914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バーコードを用いる解錠装置においては、操作者がバーコードを携帯する必要があり、利便性が劣るという問題がある。また、テンキーを備える解錠装置においては、テンキーの設置スペースを広く要し、解錠装置の小型化を阻む要因となりやすいという問題がある。そこで本発明は、利便性がよく小型化を図ることができる解錠装置および施・解錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の解錠装置は、光出射部と、光出射部に光の出射を指示する光出射指示部と、複数の光センサーと、光出射部から出射した光を、複数の光センサーの中の一部の光センサーに対して選択的に反射させることができるように、複数の光センサーに対して移動可能な光反射部と、光反射部により選択的に反射された光が、複数の光センサーの中の所定の光センサーに所定の順番で受光されたか否か判断する判断部とを有することとする。
【0007】
また、解錠装置は、光出射部から出射した光を解錠装置の外部に出射可能とする透光部を有することが好ましい。
【0008】
また、解錠装置は、複数の光センサーは列状に配置され、光反射部または列状に配置された複数の光センサーは、列の方向に沿って移動可能であることとする。
【0009】
また、解錠装置は、複数の光センサーは環状に配置され、光反射部または環状の配置された複数の光センサーは、環に沿って移動可能であることとする。
【0010】
また、解錠装置は、光出射部を解錠装置の動作状態に応じて所定の点灯を行わせる点灯制御部を有することを特徴とする解錠装置。
【0011】
上記課題を解決するため、施・解錠装置において、上述の解錠装置を備えることとする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、解錠装置および施・解錠装置の小型化と解錠装置の操作にあたっての利便性の向上が図られた解錠装置および施・解錠装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の概略の構成を示す図である。
【図2】図1に示す施錠装置の正面図である。
【図3】図1に示す切断線B−Bにおける解錠装置の断面の概略の構成を示す図である。
【図4】図1に示す施・解錠装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図5】図5に示すLEDアレイ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す発光兼受光回路を示す図である。
【図7】発明の実施の形態に係る解錠装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図15】本発明の解錠装置の変形例の構成を示す図である。
【図16】図15に示す切断線C−Cにおける解錠装置の断面の概略の構成を示す図である。
【図17】図15に示す切断線D−Dにおける解錠装置の断面の概略の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る解錠装置1について、解錠装置1を、施錠装置2に組み合わせた施・解錠装置3Aを例にして説明する。図1は、施・解錠装置3Aの概略の構成を示す図である。以下の説明において、図1に示す、X方向を前方、Y方向を上方、そして、Z方向(紙面表面方向)を左方として説明を行う。図2は、施錠装置2を前方向から見たときの正面図である。図1において、施錠装置2については、図2に示す切断線A−Aにおける断面の概略の構成が示されている。図3は、図1に示す切断線B−Bにおける解錠装置1の断面の概略の構成が示されている。なお、図1から図3は、施・解錠装置3Aが、被施錠体Mを施錠していない(解錠状態)ときの構成を示している。
【0015】
(施・解錠装置3Aの構成)
施・解錠装置3Aは、解錠装置1と施錠装置2とを有する。施錠装置2は、後述するように、閂4を被施錠体Mに向かって進出させることにより、被施錠体Mを施錠し、被施錠体Mを施錠している閂4を後方に後退させることで、被施錠体Mを解錠することができる。すなわち、本実施の形態の施錠装置2は、閂4を被施錠体Mに向けて進出させたときが、被施錠体Mを施錠する施錠状態であり、閂4を被施錠体Mから後方に後退させたときが、被施錠体Mを非施錠とする解錠状態である。
【0016】
たとえば、被施錠体Mが自転車であるときは、閂4を前方に向けて進出させた状態とすると、閂4が車輪のスポークの間に入り込み、自転車を施錠することができる。閂4を車輪(被施錠体M)から後方に後退させると、閂4はスポークの間から抜かれ、自転車を非施錠とすることができる。
【0017】
施錠装置2は、後述するように、解錠装置1から送られる解錠信号に基づき、電磁石5が駆動される。また、解錠装置1は、所定の識別コード(暗証コード)が入力されると、施錠装置2に対して解錠信号を出力する。
【0018】
(解錠装置1の構成)
解錠装置1は、ガイド部材としてのガイドカバー6と、スライド摘み7と、光センサーとしてLED(Light Emitting Diode)が複数列状に配置されたLEDアレイ8Arと、基板9(図3参照)と、光出射指示部としての点灯スイッチ10等とを有する。
【0019】
ガイドカバー6は、全体として前後方向に長い矩形状であり、左右方向が上下方向に比べて扁平している平板状を呈している。ガイドカバー6の内側には、左方に開口部11が配置される蟻溝12が形成されている。蟻溝12は、溝の長手方向が前後方向に配置されている。また、蟻溝12は、上下に配置される側壁部13,13と、右方に配置される底面部14と、開口部11を挟んで上下に配置され開口部11に競り出る競出部15,15とにより形成されている。
【0020】
スライド摘み7は、摘み部62と被ガイド部63とを有している。スライド摘み7の摘み部62は、蟻溝12の開口部11から左方に突出させられ、被ガイド部63は、蟻溝12内に保持されている。被ガイド部63は、上下に配置される側壁部13,13により上下方向がガイドされ、底面部14と競出部15,15とにより左右方向がガイドされている。つまり、スライド摘み7は、蟻溝12に沿って前後方向に移動(スライド)可能にガイドカバー6に保持されている。したがって、開口部11から突出している摘み部62を手指で摘まみ、スライド摘み7を、蟻溝12に沿って前後方向に移動(スライド)させることができる。
【0021】
ガイドカバー6の右側には、基板9が配置されている。基板9も、ガイドカバー6と同様に、前後方向に長い矩形状を呈している。基板9には、前後方向に配置される複数のLED(Light Emitting Diode)から構成されるLEDアレイ8Arが実装されている。本実施の形態では、LEDアレイ8Arは、LED8A,8B,8C,8D,8E,8F,8G,8Hの8個のLEDを有している。なお、以下の説明において、LED8A〜8Hの区別なく1つのLEDについて記載するときは、LED8と記載することとする。基板9には、後述する制御回路16(図4)が実装されている。制御回路16により、LEDアレイ8Arの発光および受光の他、解錠信号の出力等の制御が行われる。
【0022】
ガイドカバー6は、透明体(たとえば、透明なポリカーボネイト樹脂)にて形成され、LEDアレイ8Arをガイドカバー6を介して解錠装置1の外部から視認することができるように構成されている。本実施の形態では、スライド摘み7についても透明体(たとえば、透明なポリカーボネイト樹脂)にて形成されている。したがって、スライド摘み7とガイドカバー6とが重なっている部分については、ガイドカバー6およびスライド摘み7を介して解錠装置1の外部からLEDアレイ8Arを視認することができる。
【0023】
スライド摘み7の被ガイド部63には、底面部14と対向する面に光を反射することができる反射板17が備えられている。反射板17は、スライド摘み7を前後方向に移動させたときに、LED8A〜8Hの中のいずれか1つのLED8に対向することができるように、前後方向の幅Wが設定されている。すなわち、反射板17が、同時に、2つ以上のLED8に対向することのないように、反射板17の前後方向の幅Wは、隣接するLED8の内法間隔よりも狭い間隔に設定されている。したがって、スライド摘み7を前後方向に移動させて、反射板17を、LED8A〜8Hの中の任意のLED8に対して選択的に対向させることができる。
【0024】
ガイドカバー6とスライド摘み7との間には、スライド摘み7を移動したときに、反射板17をLED8と対向する位置に位置決めすることができるように、図示を省略するクリック機構が設けられている。クリック機構は、たとえば、ガイドカバー6の底面部14に、LED8の配置に対応させて形成される複数の凹部(図示省略)と、該凹部に嵌合することができるように、スライド摘み7の被ガイド部63に形成される突起部(図示省略)とを用いて構成することができる。
【0025】
点灯スイッチ10は、解錠装置1の外部から操作することができるように、たとえば、ガイドカバー6の上縁部等に配置されている。点灯スイッチ10は、制御回路16に接続されている。制御回路16は、点灯スイッチ10が押下されると、LEDアレイ8Arが所定の発光および受光を行うように、LEDアレイ8Arの駆動制御を行う。
【0026】
(施錠装置2の構成)
次に、施錠装置2の構成について説明する。施錠装置2は、筐体18と、閂4と、コイルバネ19と、スライド爪20と、コイルバネ21と、電磁石5等を有する。
【0027】
閂4は、全体として前後方向に長い杆体状を呈し、上面部には、上方に突出した突起片22が設けられ、後端部には、下方に突出した突起片23が設けられている。また、下面部には、上方に凹む凹部24が形成されている。
【0028】
閂4は、前後方向に移動可能に筐体18に支持されている。筐体18の天板25の内面(下側の面)には、突起片22の前側に当接する前方当接部26と、突起片22の後側に当接する後方当接部27とが形成されている。つまり、突起片22に当接する前方当接部26と後方当接部27がストッパとなり、閂4の前後方向への移動範囲が規制される。言い換えれば、突起片22、前方当接部26および後方当接部27は、閂4の前後方向への抜け止めの構造を構成している。コイルバネ19は、筐体18の前板28と突起片22との間に、閂4を後方に向けて付勢するように配置されている。
【0029】
スライド爪20は、全体として上下方向に長い杆体状を呈し、上端部29と閂4の凹部24とは、閂4の後方への移動を規制するラチェット機構を構成している。つまり、凹部24は、前側に前後方向に対して直交する直交面30を有し、後方に斜面31とを有している。一方、スライド爪20の上端部29には、後方に斜面を向ける斜面32が形成されている。したがって、スライド爪20の上端部29が閂4の凹部24に嵌合している状態において、閂4は、前方への移動は許容されるが、後方への移動はスライド爪20により規制される。
【0030】
スライド爪20の後面部には後方に突出する突起片33が設けられている。筐体18には、スライド爪20を上下方向にガイドするガイド孔34が形成され、スライド爪20の下側の一部が、ガイド孔34に挿入されている。つまり、スライド爪20は、ガイド孔34により上方方向に移動可能に筐体18に支持されている。筐体18の下板35と突起片33との間にはコイルバネ21が配置されている。コイルバネ21は、スライド爪20を上方に向けて付勢している。
【0031】
スライド爪20の前側には電磁石5が配置されている。電磁石5は、制御回路16からの解錠信号により非励磁状態から励磁状態に駆動される。スライド爪20は、鉄材などの磁性材にて形成されている。したがって、電磁石5が励磁されると、スライド爪20は、電磁石5に吸着される。電磁石5とスライド爪20との吸着力は、コイルバネ21によるスライド爪20の上方への付勢力に抗して、スライド爪20を保持することができる強さに設定されている。
【0032】
施錠装置2には、閂4の移動によりオン・オフが行われるスイッチ36,37が備えられている。スイッチ36は、閂4の突起片22が後方当接部27に当接したときに、突起片22の後端面によりオンされる位置に配置されている。つまり、スイッチ36は、閂4の突起片22が後方当接部27に当接したときにオンされ、閂4が前方に移動し、突起片22が後方当接部27から離間するとオフする。スイッチ37は、閂4の突起片22が前方当接部26に当接したときに、突起片23の前端面によりオンされる位置に配置されている。つまり、スイッチ37は、閂4の突起片22が前方当接部26に当接したときにオンされ、閂4が後方に移動し、突起片22が前方当接部26から離間するとオフする。
【0033】
施錠装置2は、解錠装置1の前方、すなわち、被施錠体M側に配置されている。そして、解錠装置1の下側の側壁部13は、前端から後方に向かって一部が切り欠かれたスリット38が形成されている。閂4が後方に退避したときに、閂4の後側の一部がはスリット38に進入することができる。また、閂4がスリット38内に進入している状態で、スライド摘み7を前進させると、スライド摘み7の被ガイド部63の前端部が当接する。したがって、閂4が後方に退避しスリット38内に進入している状態で、スライド摘み7を前進させると、閂4を前方に移動させることができる。
【0034】
(制御回路16)
次に、図4、図5を参照しながら、基板9に実装される制御回路16の構成について説明する。図4は、制御回路16のブロック構成を示す図であり、図5は、LEDアレイ8Arの投受光を制御するLEDアレイ駆動回路39のブロック構成を示す図である。図4に示すように、制御回路16は、制御用のマイクロコンピューター40と、LEDアレイ駆動回路39とを有する。なお、LEDアレイ8Arおよび制御回路16は、電源41により駆動される。マイクロコンピューター40は、CPU42と、プログラムやデーターが記憶されるROM43と、所定のデーターを一時的に記憶するRAM44等を有している。マイクロコンピューター40には、LEDアレイ駆動回路39、点灯スイッチ10、電磁石5、スイッチ36、スイッチ37、書込みスイッチ45が接続されている。
【0035】
LEDは、一般に、光の出射(発光)を行う機能を有するものであるが、本実施の形態におけるLEDアレイ8Arは、以下に説明するように、発光機能に加えて、光センサーとしての機能を果たすことができるように構成されている。つまり、LEDアレイ8Arは光出射部と光センサーとを構成しているもので、特開2001−197253号に開示される構成のLEDアレイ駆動回路を用いて実現することができる。
【0036】
具体的には、LEDアレイ駆動回路39は、図5および図6に示される構成を有する。図6は、LEDアレイ駆動回路39の一部を構成する発光兼受光回路46の構成を示すものであり、発光兼受光回路46により、たとえば、LED8Bに発光および受光を行わせるための回路構成が示されている。先ず、図6を参照して、発光兼受光回路46の構成について説明する。図6の発光兼受光回路46において、所定の電位Eを生じさせる電源41が設けられており、この電源電圧を抵抗47及び抵抗48によって分圧している。そして、LED8Bのカソード側49aにバイアス電圧Vkを与えている。
【0037】
なお、このLED8Bは、PN接合を有する発光ダイオードである。そして、LED8Bのアノード側49bには、MOSFET50のゲート50aが接続されており、これと共にトランジスタ51のコレクタ51aが接続されている。
【0038】
また、MOSFET50のドレイン50bには、負荷抵52が接続されている。そして、この負荷抵52を介して、MOSFET50のドレイン50bが電源11のプラス極に接続されている。また、MOSFET50のソース50cは、帰還抵抗53に接続されている。そして、この帰還抵抗53を介して、MOSFET50のソース50cが電極41のマイナス極に接続されている。
【0039】
ここで、負荷抵52とMOSFET50の間には、LED8Bの受光出力を測定するために分岐した分岐配線54を有しており、この分岐配線54の端部54aで受光出力Voutを測定可能としている。
【0040】
また、トランジスタ51のベース51b には、抵抗55が接続されており、この抵抗55が配線56を介して不図示の制御回路に接続されている。それによって、抵抗55を介して不図示の制御回路から切り替え信号が与えられる構成である。この場合、切り替え信号がhighレベルの時、トランジスタ51はOFFとなり、LED8Bが受光素子として働くこととなる。また、切り替え信号がlowレベルの時、トランジスタ51はONとなり、LED8Bが従来どおり発光素子として働くこととなる。
【0041】
なお、これらトランジスタ51及び抵抗55、配線56および後述するCPU42により、切り替え手段が構成されている。それにより、トランジスタ51のON/OFF作動で、LED8Bを受光素子若しくは発光素子のいずれかに選択的に切り替えることが可能な構成としている。
【0042】
以上のような発光兼受光回路46の作用について、以下に説明する。まず、図5(図4)のCPU42により切り替え信号が発せられて、配線56を介してhighレベルの切り替え信号が入力される場合について説明する。
【0043】
PN接合を有するLED8Bに光が照射されると、PN接合を順方向にバイアスする向きに光起電力を生ずる。この場合、解放光起電力をVoとすると、
Vo=k(T/q)×In(I/Is)
であることが、一般的に知られている。なお、この式において、Isは逆方向の飽和電流、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の電荷、Iは光電流である。
【0044】
一方、光起電力を生ずるためには、エネルギーギャップをEg(ev)としたとき、λ=1240/Eg(nm)の波長以下の光を必要とする。このため、例えばλ=660(nm)の波長で発光する透明部材で封止された赤色LEDを受光素子として使用した場合、660(nm)よりも短波長側に受光感度を持つことになり、660(nm)よりも短波長側ではない赤外領域の波長には感度を持たないことになる。したがって、フォトダイオードにおいて必要とされている視感度補正フィルタを必要とせずに済む。
【0045】
なお、このLED8Bが赤色の封止部材で封止されている場合は、赤色を選択して受光可能となる。同様に、緑色や青色の封止部材でLED8Bが封止されている場合は、それぞれ緑色や青色を選択して受光可能となる。このため、赤色LEDを使用し、赤、緑、青の三原色の封止部材でそれぞれ封止したLED8Bを受光素子として使用したり、LED自体を赤、緑、青のLED8Bとして使用すれば、読み取り対象物の色情報を取り出すことができる。すなわち、図6に示す発光兼受光回路46を3つ併設し、LED8Bとしてそれぞれ異なる色(赤、緑、青)のものを使用することで読み取り対象物の色情報を検出できることとなる。これと共に、この色情報を基にLED8Bを発光させ、その光を集めることによって、読み取り対象物の色を再現することも可能となる。
【0046】
また、透明部材で封止されたLED8Bにおいて、異なる発光波長の物を複数使用してその差をとることにより、波長選択を行うことも可能となる。例えば、660nmの赤色LEDと560nmの緑色LEDの2つの受光量の差を取れば、560nmより短い波長の光による受光量は2つの間で同じとなる。このため、その間の受光量の差の変化を利用すれば、560nmと660nmの間の波長の光量を測定することが可能となる。すなわち、560〜660nmの波長を選択的に抽出することが可能となるのである。
【0047】
また、LED8Bによって発生する解放起電力をVoとし、バイアス電圧をVkとすれば、MOSFET50のゲート50aには、Vo+Vkの電圧が入力電圧として印加される。これによって、MOSFET50が導通可能となり、この入力電圧に比例した電圧がMOSFET50のドレイン50bに出力電圧Voutとして生ずることとなる。
【0048】
続いて、図5において切り替え信号がlowレベルでトランジスタ51がONとなり、LED8Bを発光素子として使用する場合について、以下に説明する。このような使用はLED8Bの通常の使用に相当する。
【0049】
まず、トランジスタ51がONとなることにより、LED8Bには抵抗48を介して電流が供給され、発光する。この場合、抵抗13の値は次式によって与えられる。
R2=(E−Vled)/Imax
【0050】
ここで、R2は、抵抗48の抵抗値、Eは電源41の電圧、VledはLED8Bの順方向電圧、ImaxはLED8Bに流すことが可能な許容電流である。したがって、抵抗47の抵抗値R1は、
R1=R2×{(E/Vk)−1}
となる。
【0051】
上述の切り替え信号のlowレベルを維持すれば、LED8Bは連続点灯することになり、切り替え信号のlowレベルとhighレベルを周期的に繰り返せば、LED8Bは点滅することになる。このように、図6に示した発光兼受光回路46では、LED8Bの受光と発光とを簡単に切り替えることが可能となる。
【0052】
以上のような発光兼受光回路46を用いて、図5に示すように、LEDアレイ駆動回路39が構成されている。
【0053】
まず、LEDアレイ駆動回路39の最小制御ブロック57を構成する場合について説明する。最小制御ブロック57は、読み取り情報を出力可能な最小単位の、情報出力装置として機能を備えるものである。この場合、上述の発光兼受光手段としての発光兼受光回路46に設けられているLED8B,8Cを隣り合うように、2つ並べる。そして、隣り合って設けられた発光兼受光回路46と同列になるように、受光のみを行う受光手段としての受光回路58のLED8A,8Dをこの列の長手方向両端部に位置するように設ける。
【0054】
すなわち、この配列では、それぞれのLED8A、8B,8C,8Dが、この順に受光回路58、発光兼受光回路46、発光兼受光回路46、受光回路58に接続されている。
【0055】
なお、以下の説明では、図5に示すように、受光回路58や発光兼受光回路46を受光回路58−1、発光兼受光回路46−2、発光兼受光回路46−3、受光回路58−4というように、この図において上から並べられた順に符号を付して説明する。
【0056】
これら受光回路58−1,58−4及び発光兼受光回路46−2,46−3は、共に時分割多重化手段としてのマルチプレクサ59に接続されている。マルチプレクサ59は、発光兼受光回路46−2,46−3や受光回路58−1,58−4から発せられた複数の信号を時分割多重方式などで多重化可能な装置である。また、マルチプレクサ59は、マイクロコンピューター40にも接続されている。マイクロコンピューター40は、マルチプレクサ59や発光兼受光回路46に対して制御信号を発するものである。それによって、マルチプレクサ59が制御信号を受信すると、CPU42に存する出力手段としてのA/D入力端子60で各LED8における出力電圧の取り込みを行えるようになっている。
【0057】
すなわち、このマイクロコンピューター40からの信号に基づいて、発光兼受光回路46−2,46−3や受光回路58−1,58−4から出力された出力電圧を、時分割して受信することを可能としている。また、マイクロコンピューター40からの制御信号によって、発光兼受光回路46においては、発光状態と受光状態との切り替えを行う構成となっている。
【0058】
なお、このようなマルチプレクサ59からの多重化による信号の受信を可能とするために、マルチプレクサ59は、A/D入力端子60にも接続されている。
【0059】
また、マイクロコンピューター40は、発光兼受光回路46−2,46−3の配線56と接続している。このため、マイクロコンピューター40が発した発光・受光切り替え信号を発光兼受光回路46−2,46−3で受信して、発光兼受光回路46−2,46−3の発光機能と受光機能とを切り替えるように構成されている。
【0060】
このような最小制御ブロック57を、LED8A〜8DとLED8E〜8Hとが同列となるように、2個並べたものが、LEDアレイ駆動回路39として構成されている。つまり、LEDアレイ駆動回路39は、図1に示すようにLED8A〜8HのLEDを有し、LED8A〜8Dを有する最小制御ブロック57と、LED8E〜8Hを有する最小制御ブロック57とを有する。
【0061】
以上のような構成を有するLEDアレイ駆動回路39の作用について、以下に説明する。
【0062】
まず、マイクロコンピューター40により切り替え信号が発せられて、LED8Bを光源として使用する場合について説明する。この場合、配線56を介してマイクロコンピューター40で発せられたlowレベルの切り替え信号が伝達される。それによって、トランジスタ51がONとなり、LED8Bを発光素子として使用することが可能となる。
【0063】
LED8Bを光源として使用する場合、マイクロコンピューター40はLED8Cにも切り替え信号を同時に伝達し、配線56を介してマイクロコンピューター40からhighレベルの切り替え信号が伝達される。それによって、トランジスタ51はOFFとなり、LED8Cを受光素子として使用することが可能となる(第1の信号伝達工程)。
【0064】
ここで、LED8Bを光源として使用すると、LED8A,8Cでこの光源として使用された光を取り込む(読み取る)ことが可能となる(第1の読み取り工程)。この場合、マイクロコンピューター40は、まずマルチプレクサ59に制御信号aを送り、LED8Aの出力電圧をA/D入力端子60に取り込むようにする。これに続いて、制御信号cを送り、LED8Cの出力電圧をA/D入力端子60で取り込むようにする。すなわち、LED8Bを光源として利用した場合には、これの両隣りのLED8AとLED8Cで光を受光する。そして、受光結果を、LED8A,LED8Cの順で、A/D入力端子60で取り込むようにする(第1の出力工程)。
【0065】
続いて、LED8Cを光源として使用する場合について、説明する。この場合、上述のLED8BとLED8Cの、発光機能と受光機能とが逆の関係になる。すなわち、配線56を介してマイクロコンピューター40で発せられたlowレベルの切り替え信号が伝達される。それによって、トランジスタ51がONとなり、LED8Cを発光素子として使用可能となる。
【0066】
この場合、マイクロコンピューター40はLED8Bにも切り替え信号を同時に伝達し、配線56を介してマイクロコンピューター40からhighレベルの切り替え信号が伝達される。それにより、トランジスタ51はOFFとなり、LED8Bが受光素子として使用可能となる(第2の信号伝達工程)。
【0067】
このLED8Cを光源として使用すると、LED8B,8Dでこの光源として使用された光を取り込む(読み取る)ことが可能となる(第2の読み取り工程)。この場合、マイクロコンピューター40はまずマルチプレクサ59に制御信号bを送り、LED8Bの出力電圧をA/D入力端子60で取り込む。これに続いて、制御信号dを送り、LED8Dの出力電圧をA/D入力端子60で取り込む(第2の出力工程)。それによって、LED8Cの両隣りのLED8BとLED8Dで光を受光することが可能となる。
【0068】
以上の動作により、LED8A〜LED8Dまでの、計4個の出力電圧を得ることが可能となる。そして、この最小制御ブロック57での動作を、他の最小制御ブロック57でも同時にまたは順次に行う。それによって、8個のLED8A〜8Hに対応するライン状の情報の読み取りが可能となる。
【0069】
つまり、LEDアレイ駆動回路39を用いることにより、LEDアレイ8Arの中の1つのLED8に反射板17を対向させた状態で、LED8B,8C,8F,8Gを順次発光させることで、反射板17が、LED8A〜8Hの中のどのLED8に対向させられているかを検出することができる。
【0070】
(施・解錠装置3Aの動作)
次に上述の構成を有する施・解錠装置3Aの動作について、図7に示すフローチャートおよび、図8から図13を参照しながら説明する。図8から図13は、施・解錠装置3Aを施錠および解錠するときの動作状態を示す図である。
【0071】
先ず、図8から図10を参照しながら、被施錠体Mを施錠する際の動作について説明する。図8は、施・解錠装置3Aが解錠状態にあるときの状態を示す図である。すなわち、被施錠体Mは解錠状態である。図8に示す解錠状態では、閂4は、コイルバネ19により後方に付勢され、突起片22が後方当接部27に当接し、被施錠体Mから後方に退避させられている。また、スライド爪20は、コイルバネ21により上方に付勢されているが、閂4の下面61に当接し、上方への移動が規制されている。また、図8に示す解錠状態では、電磁石5は非励磁の状態とされている。
【0072】
施・解錠装置3Aが、解錠状態にあるときに、スライド摘み7を、たとえば、手指で摘まみ前方に移動すると、被ガイド部63の前端部が閂4の後端部に当接する。前端部が閂4の後端部に当接した被ガイド部63を、さらに、コイルバネ19の付勢力に抗して前方に移動し、図9に示すように、突起片22が前方当接部26に当接するまで閂4を前方に移動させる。
【0073】
閂4が、突起片22が後方当接部27に当接している位置から前方当接部26に当接する位置まで移動する間に、凹部24は、スライド爪20の上方を通過する。スライド爪20は、コイルバネ21により上方に付勢されている。そのため、凹部24がスライド爪20の上方を通過する際、スライド爪20の上端部29が凹部24に嵌合する。しかしながら、凹部24と上端部29とは、閂4の前方への移動を許容するラチェット機構を構成している。そのため、スライド爪20は、斜面31(図1参照)と斜面32(図1参照)の作用により、下方に移動され、上端部29は凹部24から下方に退避する。したがって、図9に示すように、閂4は、突起片22が前方当接部26に当接するまで移動することができる。
【0074】
突起片22が前方当接部26に当接するまで、閂4を前方に移動させた後(図9参照)、スライド摘み7を前方に押す力を無くすると、閂4は、コイルバネ19の付勢力により後方に向かって移動する。そして、図10に示すように、閂4が、凹部24とスライド爪20と対向する位置まで移動すると、凹部24に閂4の上端部29が嵌合し、閂4の後方への移動が規制される。
【0075】
図10に示すように、閂4が前方に進出し、閂4が筐体18の前面から突出していると共に、スライド爪20により後方への移動が規制されている状態で、施・解錠装置3Aは、施錠状態となる。つまり、閂4の筐体18の前面から突出した部分が、被施錠体Mである自転車の車輪のスポークの間に入り込み、被施錠体Mは施錠される。
【0076】
続いて、図7および図11から図13を参照しながら、施錠状態にある施・解錠装置3Aを解錠する際の動作について説明する。施・解錠装置3Aは、解錠装置1に入力された識別コードが、予めROM43に記憶されている識別コードに一致する場合に、解錠装置1から施錠装置2に解錠信号の出力が行われる。解錠装置1において、識別コードは、LED8A〜8Hの中のいずれか1つのLED8が、反射板17で反射された光を受光する順番として規定されている。具体的には、たとえば、LED8が受光状態にあるときは[1]、非受光の状態にあるときは[0]とし、また、LED8A〜8Hの8個のLEDで8ビットの構成とし、LED8Hを最上位ビット、LED8Aを最下位ビットとする。この構成において、LED8が、LED8B、LED8G、LED8D、LED8Dの順序で受光された場合は、マイクロコンピューター40では、次のように識別コードを認識する。
【0077】
LED8Bが受光状態となった場合には、マイクロコンピューター40は、LED8から出力される信号を2進数で[0000 0010]と認識する。そして、LED8Gが受光状態となった場合には、LED8から出力される信号は2進数で[0100 0000]と認識する。さらに、LED8Dが受光状態となった場合には、LED8から出力される信号は2進数で[0000 1000]と認識する。したがって、LED8が、LED8B、LED8G、LED8D、LED8Dの順序で受光された場合、マイクロコンピューター40では、順に[0000 0010]、[0100 0000]、[0000 1000]、[0000 1000]の信号を受け、これらの信号の内容(どのLED8が選択されたか)および順序を識別コードとして認識する。なお、[0000 0010]、[0100 0000]、[0000 1000]、[0000 1000]を10進数で表記すれば、[2,64,8,8]となる。つまり、マイクロコンピューター40では、識別コードを[2,64,8,8]として認識すると言い換えることもできる。
【0078】
なお、解錠装置1にLED8A〜8Hに対応して便宜的に1〜8の番号が付されている場合、識別コードが[0000 0010]、[0100 0000]、[0000 1000]、[0000 1000](=[2,64,8,8])のときは、操作者は、識別コードを2744として入力する(2、7、4、4の番号に対応するLED8を選択する)ことになる。
【0079】
識別コードの入力は、反射板17を入力しようとする識別コードに対応するLED8に対向させる度に、点灯スイッチ10を押下することで行うことができる。つまり、図7のステップS10〜ステップS30に示すように、操作者がスライド摘み7を操作し、反射板17を入力しようとする識別コードに対応するLED8に対向させる都度に、点灯スイッチ10を押下すると(ステップS10においてYes)、反射板17が対向しているLED8からマイクロコンピューター40に受光信号が出力される。なお、識別コードの入力は、施・解錠装置3Aが、図11に示すように施錠状態となっている状態で行われる。
【0080】
たとえば、LED8を、LED8B、LED8G、LED8D、LED8Dの順序で選択する場合には、先ず、反射板17がLED8Bに対向するようにスライド摘み7を移動した後、点灯スイッチ10を押下すると(ステップS10においてYes)、LED8B,8C,8F,8Gが順次に点灯する(ステップS20)。そして、反射板17が対向するLED8Bに、反射板17で反射したLED8の光が入射し、LED8Bからマイクロコンピューター40に受光信号が送られる。この受光信号に基づいて、マイクロコンピューター40が、RAM44にLED8Bが選択されたこと(受光したこと)を記憶させる(ステップ20)。
【0081】
次いで、反射板17がLED8Gに対向するようにスライド摘み7を移動した後、点灯スイッチ10を押下すると(ステップS10においてYes)、LED8B,8C,8F,8Gが順次に点灯し(ステップ20)、LED8Gから受光信号がマイクロコンピューター40に送られ、RAM44にLED8Gが選択されたこと(受光したこと)が記憶される(ステップ20)。さらに、反射板17がLED8Dに対向するようにスライド摘み7を移動した後、点灯スイッチ10を2回連続して押下すると(ステップS10においてYes)、点灯スイッチ10の1回の押下毎にLED8B,8C,8F,8Gが順次に点灯し(ステップ20)、点灯スイッチ10が押下される度に、LED8Dから受光信号がマイクロコンピューター40に送られる。RAM44には、LED8Dが2回連続されて選択されたこと(受光したこと)が記憶される(ステップ20)。上述の結果、RAM44には、LED8が、LED8B、LED8G、LED8D、LED8Dの順序で選択されたことが記憶される。
【0082】
識別コードの入力が終わった後、図12に示すように、コイルバネ19の付勢力に抗してスライド摘み7を前方に移動し、突起片33によりスイッチ37をオンさせる(ステップ30)。閂4を、突起片22が前方当接部26に当接するまで前方に移動させたときに、スイッチ37がオンされるように、スイッチ37は配置されている。
【0083】
スイッチ37がオンされると、マイクロコンピューター40は、ステップS10〜ステップS30により入力されRAM44に記憶された識別コードとROM43に予め記憶されている識別コードとが一致しているかを判断する(ステップ40)。ステップ40において、入力された識別コードとROM43に記憶されている識別コードとが一致しない場合(ステップ40においてNo)には、エラー表示を行い(ステップS50)、処理を終了する。
【0084】
エラー表示(ステップS50)が行われた状態で、スライド摘み7を前方に移動させる力を無くすると、閂4は、コイルバネ19の付勢力により後方に移動しようとする。しかしながら、凹部24とスライド爪20のラチェット機構により閂4の後方への移動が規制される。つまり、施・解錠装置3Aは施錠状態が維持される。施・解錠装置3Aの解錠操作を再度行う場合は、上述のステップS10からステップS40に戻って、識別コードの再入力を行う。なお、スイッチ37が押下され、入力された識別コードとROM43に記憶されている識別コードとが照合された後、マイクロコンピューター40は、識別コードの次回の入力に備えて、RAM44に記憶されている識別コードを消去する。
【0085】
一方、ステップ40において、入力された識別コードとROM43に記憶されている識別コードとが一致する場合(ステップ40においてYes)には、マイクロコンピューター40は、電磁石5に対して、電磁石5を励磁する信号を解錠信号として出力する(ステップS60)。この解錠信号により、電磁石5は励磁される(ステップS60)。電磁石5が励磁されると、スライド爪20は電磁石5に吸引保持される。図12に示すように、閂4が前方に進出している状態では、スライド爪20の上端部29は、凹部24の外側に配置され、閂4の下面61により上方への移動が規制されている。つまり、スライド爪20は、図12に示すように、上端部29が、凹部24の外側に配置されている位置で、電磁石5に吸着されている。
【0086】
スライド爪20が、電磁石5に吸着されている状態で、スライド摘み7を前方に移動する力を無くすると、図13に示すように、閂4はコイルバネ19の付勢力により後方に向けて移動させられる。閂4が後方に移動する際に、閂4の凹部24は、スライド爪20の上端部29を通過する。しかしながら、スライド爪20は電磁石5に吸着されているため、図13に示すように、コイルバネ21による上方への付勢力に抗して、スライド爪20の上端部29は、凹部24に嵌合することなく、閂4の下方に載置された状態が保持される。したがって、閂4は、図14に示すように、突起片22が後方当接部27に当接する退避位置まで移動し、施・解錠装置3Aは解錠状態となる。
【0087】
突起片22が後方当接部27に当接するとスイッチ36が、突起片22により押下されオンとなる。スイッチ36のオン信号を受けて(ステップS70においてYes)、マイクロコンピューター40は、電磁石5の励磁を中止する(ステップS80)。
【0088】
上述のステップS50におけるエラー表示は、たとえば、LED8B,8C,8F,8Gを同時に3回点滅する態様とすることができる。また、制御回路16に、発音手段を設けることで、該点滅に併せて、電子音を発音させる構成としてもよい。これに対し、ステップ40において、入力した識別コードとROM43に記憶されている識別コードとが一致した場合には、ステップS45に示すように、一致表示を行う構成としてもよい。一致表示は、たとえば、LED8B,8FとLED8C,8Gとを交互に点滅させる態様とすることができる。また、制御回路16に、発音手段を設けることで、該点滅に併せて、耳ざわりのよい電子音を発音させる構成としてもよい。
【0089】
(本実施の主な効果)
本実施の形態に係る解錠装置1は、光出射部としてのLED8B,8C,8F,8Gと、LED8B,8C,8F,8Gに光の出射を指示する光出射指示部としての点灯スイッチ10と、複数の光センサーとしてのLEDアレイ8Ar(LED8A〜8H)と、LED8B,8C,8F,8Gから出射した光を、LEDアレイ8Arの中の一部のLED8に対して選択的に反射させることができるように、LEDアレイ8Arに対して移動可能な光反射部としての反射板17と、反射板17により選択的に反射された光が、LEDアレイ8Arの中の所定のLED8に所定の順番で受光されたか否か判断する判断部としてマイクロコンピューター40とを有している。
【0090】
解錠装置1は、上述の構成を有することで、反射板17によりLEDアレイ8Arの中の一部のLED8に対して選択的に所定の順番で光を入射させることができる。そして、マイクロコンピューター40により、所定のLED8が所定の順番で受光されたか否かを判断することができる。そのため、マイクロコンピューター40は、該判断に基づいて、マイクロコンピューター40から解錠信号等の所定の信号を出力することができる。
【0091】
なお、上述の実施の形態では、反射板17で反射された光は、1つのLED8のみに入射する構成とされているが、たとえば、反射板17の幅Wを広くし、2以上のLED8に同時に入射する構成としてもよい。かかる構成においては、2以上の所定のLED8に同時に光が受光されたことを、識別コード(識別コードの一部)として扱うことになる。
【0092】
本実施の形態に係る解錠装置1においては、ガイドカバー6およびスライド摘み7が透明体とされている。したがって、LED8B,8C,8F,8Gから出射した光は、透光部であるガイドカバー6およびスライド摘みを透過して解錠装置1の外部に出射することができる。
【0093】
解錠装置1は、上述の構成を有することで、解錠装置1の動作状態に併せて、LED8B,8C,8F,8Gが所定の点灯・点滅動作を行うことができる。そのため、操作者は、LED8B,8C,8F,8Gの点灯・点滅状態により解錠装置1の動作状態を知ることができる。すなわち、LED8B,8C,8F,8Gを表示手段として機能させることができる。なお、ガイドカバー6およびスライド摘み7は、全体を透明樹脂にて形成してもよいが、LED8B,8C,8F,8Gと対向する部分のみ透明樹脂で形成するようにしてもよい。LED8B,8C,8F,8Gと対向する部分のみ透明樹脂で形成することで、ノイズ光がLEDアレイ8Arに入射することを防止することができる。
【0094】
本実施の形態に係る解錠装置1においては、LEDアレイ8Arが、1列の列状に配置されている。そして、反射板17が備えられるスライド摘み7は、ガイドカバー6のガイドを受けて、LED8の配列方向(LEDアレイ8Arの配列方向)に移動可能とされている。すなわち、反射板17が、LEDアレイ8Arの配列方向に移動可能とされている。
【0095】
解錠装置1は、上述のように、反射板17をLEDアレイ8Arの配列方向に移動可能な構成とすることで、反射板17で反射された光を、容易にLEDアレイ8Arの中の所定のLED8に所定の順番で入射させることができる。
【0096】
なお、スライド摘み7を移動することで反射板17をLEDアレイ8Arに対して移動させる代わりに、たとえば、基板9自体を前後方向に移動することにより、LEDアレイ8Arを反射板17に対して移動させ、反射板17で反射された光のLEDアレイ8Arへの入射位置を換える構成としてもよい。
【0097】
本実施の形態に係る解錠装置1においては、LED8B,8C,8F,8Gを解錠装置1の動作状態に応じて所定の点灯を行わせる点灯制御部としてのマイクロコンピューター40を有し、入力された識別コードがROM43に記憶されている識別コードと一致し解錠可能な場合(図7に示すステップS40においてYes)と、一致せずに解錠不可能な場合図7に示すステップS40においてNo)とで、所定の点滅(ステップS45,S50)を行う構成とされている。
【0098】
解錠装置1が、上述の構成を有することで、操作者は、解錠装置1の動作状態を視覚を通じて容易に認識することができる。
【0099】
(変形例)
施・解錠装置は、図15に示す施・解錠装置3Bの構成とすることもできる。図15は、施・解錠装置3Bを操作面側からみた平面図である。図16は、図15に示す切断線C−Cにおける施・解錠装置3Bの断面の概略の構成を示す図である。上述の施・解錠装置3Aは、スライド摘み7により、反射板17の移動と、閂4の移動とを行う構成となっている。これに対し、施・解錠装置3Bは、反射板17の移動をダイヤル摘み70により行い、閂4の移動は、ダイヤル摘み70とは別の部材であるスライド摘み71により行う構成となっている。以下の説明では、施・解錠装置3Bの構成において、上述の施・解錠装置3Aと同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化することとする。なお、以下の説明において、図16に示すX方向を前方、Y方向を上方として説明を行う。
【0100】
施・解錠装置3Bは、解錠装置72と施錠装置2とを有する。解錠装置72は、筐体73と、ダイヤル摘み70と、ダイヤル摘み70を回転自在に支持する支持体74と、回転板75と、反射板17と、複数の光センサーとしてLED8が環状に配列されたLEDアレイ76と、基板9と、光出射指示部としての点灯スイッチ10と、スライド摘み71等とを有する。
【0101】
支持体74は、中心軸Xを中心とする略円板状を呈し、筐体73に対して取り付けられている。支持体74の中心部には、ダイヤル摘み70の軸部77が通され、支持体74は、ダイヤル摘み70を中心軸Xを中心として回転可能に支持している。回転板75は、フランジ部78とスリーブ部79とを有し、ダイヤル摘み70の軸部77は、スリーブ部79に挿入されている。
【0102】
軸部77の外周面には、上下方向に延びる凸条80が形成され、またスリーブ部79の内周面には、上下方向に延びる溝部82が形成されている。軸部77は、スリーブ部79に、凸条80が溝部82に嵌合するように通されている。したがって、軸部77とスリーブ部79とは、凸条80と溝部82とにより互いに周方向に係合し、ダイヤル摘み70を回転させると、回転板75も一体的に回転する。
【0103】
回転板75のフランジ部78は、支持体74の上板部83と下板部84との間に配置されている。したがって、ダイヤル摘み70を回転させると、フランジ部78は上板部83と下板部84との間を中心軸Xの周りに回転することができる。
【0104】
ダイヤル摘み70の下側には、スリーブ部79が嵌合することができる凹部85が形成されている。また、ダイヤル摘み70と回転板75との間には、ダイヤル摘み70と回転板75とに反力を取るコイルバネ86が配置されている。軸部77には、支持体74の下板部84の下側に抜けた部分に、環状の凸条87が形成されている。凸条87は、ダイヤル摘み70の軸部77が、支持体74から上方へ抜けないようにする抜け止めとして機能している。
【0105】
凸条80と溝部82とは上下方向については係合していない。そのため、ダイヤル摘み70をコイルバネ86の付勢力に抗して、下方に押下すると、ダイヤル摘み70は下方に移動し、軸部77も下方に移動する。そして、該押下する力を無くすると、ダイヤル摘み70は、コイルバネ86の付勢力により、凸条87が支持体74に当接する位置に復帰する。
【0106】
支持体74の下方には、基板9が配置され、基板9には、中心軸Xを中心に環状にLED8A〜8Hが環状のLEDアレイ76とし実装されている。また、基板9には、制御回路16(図4)も実装されている。
【0107】
支持体74および回転板75は、透明体(たとえば、透明なポリカーボネイト樹脂)にて形成され、LEDアレイ76を支持体74および回転板75を介して解錠装置1の外部(上方)から視認することができるように構成されている。
【0108】
回転板75の下面には、反射板17が備えられている。反射板17は、ダイヤル摘み70を回転させたときに、LED8A〜8Hの1つのLED8に対向することができるように配置されている。ダイヤル摘み70を回転させると、反射板17をLED8A〜8Hの中の任意のLED8に対して選択的に対向させることができる。
【0109】
なお、回転板75と支持体74との間には、回転板75を回転させたときに、反射板17をLED8と対向する位置に位置決めすることができるように、図示を省略するクリック機構が設けられている。クリック機構は、たとえば、回転板75の下面に、LED8の配置に対応させて形成される複数の凹部(図示省略)と、支持体74の下板部84の上面に形成され、該凹部に嵌合可能な突起部(図示省略)とを用いて構成することができる。
【0110】
軸部77の下方には、点灯スイッチ10が配置され、ダイヤル摘み70が下方に押下され移動したときに、軸部77の先端部88によりオン操作される。
【0111】
解錠装置72の前方には施錠装置2が配置されている。施錠装置2の閂4は、筐体73に前後方向に移動可能に支持されているスライド摘み71を前方に移動することにより、前方に移動することができる。図17は、図15における切断線D−Dにおける断面図であり、スライド摘み71の筐体73への支持構造が示されている。筐体73の板部89には前後方向に延設されるスリット90が形成されている。スライド摘み71は、嵌合部91に筐体73の板部89が嵌合するようにスリット90(図15参照)に通され、スライド摘み71は、スリット90に沿って前後方向に移動可能とされている。スライド摘み71には、筐体73の内部に配置される部分に、閂4に当接する当接部92が設けられている。したがって、スライド摘み71を前方に移動すると、当接部92が閂4の後端部に当接し、閂4を前方に移動することができる。
【0112】
上述の構成を有する施・解錠装置3Bにおいては、施・解錠装置3Aのスライド摘み7に換えてスライド摘み71を前方に移動することで、図8から図10を参照して説明したように、閂4が前方に移動され、被施錠体Mを施錠することができる。
【0113】
施・解錠装置3Aにおいては、識別コードの入力は、スライド摘み7を所定の順番で所定のLED8に移動し、点灯スイッチ10を押下することで行うことができる。これに対し、施・解錠装置3Bにおいては、ダイヤル摘み70を回転し、反射板17を入力しようとする識別コードに対応するLED8に対向させる度に、ダイヤル摘み70を下方に押下し、点灯スイッチ10をオンすることにより、識別コードの入力を行うことができる。施・解錠装置3Bは、識別コードの入力を、スライド摘み7に換えてダイヤル摘み70を用いて行い、また、スイッチ37のオン操作をスライド摘み7に換えてスライド摘み71を用いる点を除いて施・解錠装置3Aと同様である。
【0114】
上述の解錠装置72においては、LEDアレイ76が環状に配置されている。また、反射板17は、ダイヤル摘み70の回転と共に回転する回転板75に備えられ、LEDアレイ76の環状の配置に沿って移動可能とされている。
【0115】
解錠装置72は、上述の構成を有することで、解錠装置1のようにスライド摘み7を用いて識別コードを入力する場合に比べて、解錠装置72のコンパクト化を図ることができる。つまり、解錠装置1のようにスライド摘み7により識別コードを入力する構成とした場合には、スライド摘み7をLEDアレイ8Arの長さ分を移動させる必要がある。すなわち、スライド摘み7の移動スペースを確保する必要がある。これに対し、ダイヤル摘み70を用いて識別コードを入力する構成とした場合には、ダイヤル摘み70の移動スペースを確保する必要がないため、解錠装置72のコンパクト化を図ることができる。解錠装置72においては、スライド摘み71の移動スペースを確保する必要があるが、閂4を移動させるだけのスペースで足りるため、解錠装置1のスライド摘み7に要する移動スペースに比べて少ないものとすることができる。
【0116】
なお、ダイヤル摘み70を回転することで反射板17をLEDアレイ76に対して移動させる代わりに、たとえば、基板9自体を中心軸Xの周りに回転することにより、LEDアレイ76を反射板17に対して移動させ、反射板17で反射された光のLEDアレイ76への入射位置を換える構成としてもよい。
【0117】
上述の解錠装置1および解錠装置72においては、LED8を受光素子としても用いる構成としているが、光センサーとして、LED8の換わりにCCDやフォトダイオード等の受光専用の素子を用いることもできる。この場合には、光出射部としてのLEDとCCDあるいはフォトダイオードとが対で配置される。つまり、LED8A〜8Hの8個のLED8を備える解錠装置1および解錠装置72においては、8対のLEDとCCDあるいはフォトダイオードとが配置される。また、光センサーとしてCCDあるいはフォトダイオードを用いる場合や、LEDを受光素子としてのみ用いる場合は、光出射部は、LEDに限らず、たとえば、ビリケン球、麦球等のフィラメントを用いた光源を使用することもできる。
【0118】
また、光センサーとしてのLEDやCCDあるいはフォトダイオードは、一列、あるいは環状の配置に限らず、十字状、あるいはランダムな配置としてもよい。
【0119】
上述の解錠装置1(72)は、閂4を有する施錠装置2と組み合わされて使用されているが、電気製品の電源スイッチ部を施錠装置として位置づけ、解錠装置1(72)から出力される解除信号により電源スイッチが作動可能な状態とさせる構成とすることもできる。また、解錠装置1(72)から出力される解除信号を、たとえば、駆動開始信号として利用し、モーター等電気製品を駆動制御する構成とすることもできる。
【0120】
解錠装置1(72)には、図4に示すように、識別コードの書き込みスイッチである書込みスイッチ45が設けられている。書込みスイッチ45をオンすると、マイクロコンピューター40は、識別コードの書き込みモードとなる。書き込みモードにおいて、点灯スイッチ10をオンすると、LED8B,8C,8F,8Gが順次に点灯し、点灯スイッチ10をオンする都度に、反射板17で反射された光が入射したLED8が識別コードとして順次ROM43に記憶される。たとえば、反射板17をLED8A、LED8A、LED8C、LED8Eの順で選択する都度に、点灯スイッチ10をオンすると、ROM43には、識別コードとして、LED8A、LED8A、LED8C、LED8Eの順で選択されることが記憶される。スライド摘み7(71)を前方に移動し、スイッチ37をオン操作することで、書き込みモードは終了する。
【0121】
マイクロコンピューター40は、書き込まれた識別コードを解錠のための識別コードと認識する。そのため、スイッチ37がオンされた状態で、電磁石5は励磁され、スライド爪20を吸引する。したがって、閂4は、コイルバネ19の付勢力により後方に移動し、施錠装置2は解錠状態となる。
【0122】
操作者が識別コードを忘れてしまった場合、あるいは、識別コードを変更する場合に、上記の識別コードの書き込みモードを用いることができる。
【0123】
なお、書き込みモードにおいては、新たに識別コードを書き込んだ状態で解錠され、また、既に記憶されている識別コードを変更できるため、書込みスイッチ45は、隠し蓋により覆われ、容易に操作できない位置に配置する。
【符号の説明】
【0124】
1,72 … 解錠装置
3A,3B … 施・解錠装置
6 … ガイドカバー(透光部)
7 … スライド摘み (透光部)
8(8A,8B,8C,8D,8E,8H,8G,8H) … LED(光出射部、光センサー)
8Ar … LEDアレイ(複数の光センサー)
10 … 点灯スイッチ(光出射指示部)
17 … 反射板(光反射部)
40 … マイクロコンピューター(判断部)
74 … 支持体(透光部)
75 … 回転板(透光部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、解錠装置および施・解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、特許文献1、特許文献2に開示されるように、バーコードやテンキー入力による識別コードを用いて解錠を行う解錠装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3−42221号公報
【0004】
【特許文献2】特開2010−126914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バーコードを用いる解錠装置においては、操作者がバーコードを携帯する必要があり、利便性が劣るという問題がある。また、テンキーを備える解錠装置においては、テンキーの設置スペースを広く要し、解錠装置の小型化を阻む要因となりやすいという問題がある。そこで本発明は、利便性がよく小型化を図ることができる解錠装置および施・解錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の解錠装置は、光出射部と、光出射部に光の出射を指示する光出射指示部と、複数の光センサーと、光出射部から出射した光を、複数の光センサーの中の一部の光センサーに対して選択的に反射させることができるように、複数の光センサーに対して移動可能な光反射部と、光反射部により選択的に反射された光が、複数の光センサーの中の所定の光センサーに所定の順番で受光されたか否か判断する判断部とを有することとする。
【0007】
また、解錠装置は、光出射部から出射した光を解錠装置の外部に出射可能とする透光部を有することが好ましい。
【0008】
また、解錠装置は、複数の光センサーは列状に配置され、光反射部または列状に配置された複数の光センサーは、列の方向に沿って移動可能であることとする。
【0009】
また、解錠装置は、複数の光センサーは環状に配置され、光反射部または環状の配置された複数の光センサーは、環に沿って移動可能であることとする。
【0010】
また、解錠装置は、光出射部を解錠装置の動作状態に応じて所定の点灯を行わせる点灯制御部を有することを特徴とする解錠装置。
【0011】
上記課題を解決するため、施・解錠装置において、上述の解錠装置を備えることとする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、解錠装置および施・解錠装置の小型化と解錠装置の操作にあたっての利便性の向上が図られた解錠装置および施・解錠装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の概略の構成を示す図である。
【図2】図1に示す施錠装置の正面図である。
【図3】図1に示す切断線B−Bにおける解錠装置の断面の概略の構成を示す図である。
【図4】図1に示す施・解錠装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図5】図5に示すLEDアレイ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す発光兼受光回路を示す図である。
【図7】発明の実施の形態に係る解錠装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る施・解錠装置の動作状態を示す図である。
【図15】本発明の解錠装置の変形例の構成を示す図である。
【図16】図15に示す切断線C−Cにおける解錠装置の断面の概略の構成を示す図である。
【図17】図15に示す切断線D−Dにおける解錠装置の断面の概略の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る解錠装置1について、解錠装置1を、施錠装置2に組み合わせた施・解錠装置3Aを例にして説明する。図1は、施・解錠装置3Aの概略の構成を示す図である。以下の説明において、図1に示す、X方向を前方、Y方向を上方、そして、Z方向(紙面表面方向)を左方として説明を行う。図2は、施錠装置2を前方向から見たときの正面図である。図1において、施錠装置2については、図2に示す切断線A−Aにおける断面の概略の構成が示されている。図3は、図1に示す切断線B−Bにおける解錠装置1の断面の概略の構成が示されている。なお、図1から図3は、施・解錠装置3Aが、被施錠体Mを施錠していない(解錠状態)ときの構成を示している。
【0015】
(施・解錠装置3Aの構成)
施・解錠装置3Aは、解錠装置1と施錠装置2とを有する。施錠装置2は、後述するように、閂4を被施錠体Mに向かって進出させることにより、被施錠体Mを施錠し、被施錠体Mを施錠している閂4を後方に後退させることで、被施錠体Mを解錠することができる。すなわち、本実施の形態の施錠装置2は、閂4を被施錠体Mに向けて進出させたときが、被施錠体Mを施錠する施錠状態であり、閂4を被施錠体Mから後方に後退させたときが、被施錠体Mを非施錠とする解錠状態である。
【0016】
たとえば、被施錠体Mが自転車であるときは、閂4を前方に向けて進出させた状態とすると、閂4が車輪のスポークの間に入り込み、自転車を施錠することができる。閂4を車輪(被施錠体M)から後方に後退させると、閂4はスポークの間から抜かれ、自転車を非施錠とすることができる。
【0017】
施錠装置2は、後述するように、解錠装置1から送られる解錠信号に基づき、電磁石5が駆動される。また、解錠装置1は、所定の識別コード(暗証コード)が入力されると、施錠装置2に対して解錠信号を出力する。
【0018】
(解錠装置1の構成)
解錠装置1は、ガイド部材としてのガイドカバー6と、スライド摘み7と、光センサーとしてLED(Light Emitting Diode)が複数列状に配置されたLEDアレイ8Arと、基板9(図3参照)と、光出射指示部としての点灯スイッチ10等とを有する。
【0019】
ガイドカバー6は、全体として前後方向に長い矩形状であり、左右方向が上下方向に比べて扁平している平板状を呈している。ガイドカバー6の内側には、左方に開口部11が配置される蟻溝12が形成されている。蟻溝12は、溝の長手方向が前後方向に配置されている。また、蟻溝12は、上下に配置される側壁部13,13と、右方に配置される底面部14と、開口部11を挟んで上下に配置され開口部11に競り出る競出部15,15とにより形成されている。
【0020】
スライド摘み7は、摘み部62と被ガイド部63とを有している。スライド摘み7の摘み部62は、蟻溝12の開口部11から左方に突出させられ、被ガイド部63は、蟻溝12内に保持されている。被ガイド部63は、上下に配置される側壁部13,13により上下方向がガイドされ、底面部14と競出部15,15とにより左右方向がガイドされている。つまり、スライド摘み7は、蟻溝12に沿って前後方向に移動(スライド)可能にガイドカバー6に保持されている。したがって、開口部11から突出している摘み部62を手指で摘まみ、スライド摘み7を、蟻溝12に沿って前後方向に移動(スライド)させることができる。
【0021】
ガイドカバー6の右側には、基板9が配置されている。基板9も、ガイドカバー6と同様に、前後方向に長い矩形状を呈している。基板9には、前後方向に配置される複数のLED(Light Emitting Diode)から構成されるLEDアレイ8Arが実装されている。本実施の形態では、LEDアレイ8Arは、LED8A,8B,8C,8D,8E,8F,8G,8Hの8個のLEDを有している。なお、以下の説明において、LED8A〜8Hの区別なく1つのLEDについて記載するときは、LED8と記載することとする。基板9には、後述する制御回路16(図4)が実装されている。制御回路16により、LEDアレイ8Arの発光および受光の他、解錠信号の出力等の制御が行われる。
【0022】
ガイドカバー6は、透明体(たとえば、透明なポリカーボネイト樹脂)にて形成され、LEDアレイ8Arをガイドカバー6を介して解錠装置1の外部から視認することができるように構成されている。本実施の形態では、スライド摘み7についても透明体(たとえば、透明なポリカーボネイト樹脂)にて形成されている。したがって、スライド摘み7とガイドカバー6とが重なっている部分については、ガイドカバー6およびスライド摘み7を介して解錠装置1の外部からLEDアレイ8Arを視認することができる。
【0023】
スライド摘み7の被ガイド部63には、底面部14と対向する面に光を反射することができる反射板17が備えられている。反射板17は、スライド摘み7を前後方向に移動させたときに、LED8A〜8Hの中のいずれか1つのLED8に対向することができるように、前後方向の幅Wが設定されている。すなわち、反射板17が、同時に、2つ以上のLED8に対向することのないように、反射板17の前後方向の幅Wは、隣接するLED8の内法間隔よりも狭い間隔に設定されている。したがって、スライド摘み7を前後方向に移動させて、反射板17を、LED8A〜8Hの中の任意のLED8に対して選択的に対向させることができる。
【0024】
ガイドカバー6とスライド摘み7との間には、スライド摘み7を移動したときに、反射板17をLED8と対向する位置に位置決めすることができるように、図示を省略するクリック機構が設けられている。クリック機構は、たとえば、ガイドカバー6の底面部14に、LED8の配置に対応させて形成される複数の凹部(図示省略)と、該凹部に嵌合することができるように、スライド摘み7の被ガイド部63に形成される突起部(図示省略)とを用いて構成することができる。
【0025】
点灯スイッチ10は、解錠装置1の外部から操作することができるように、たとえば、ガイドカバー6の上縁部等に配置されている。点灯スイッチ10は、制御回路16に接続されている。制御回路16は、点灯スイッチ10が押下されると、LEDアレイ8Arが所定の発光および受光を行うように、LEDアレイ8Arの駆動制御を行う。
【0026】
(施錠装置2の構成)
次に、施錠装置2の構成について説明する。施錠装置2は、筐体18と、閂4と、コイルバネ19と、スライド爪20と、コイルバネ21と、電磁石5等を有する。
【0027】
閂4は、全体として前後方向に長い杆体状を呈し、上面部には、上方に突出した突起片22が設けられ、後端部には、下方に突出した突起片23が設けられている。また、下面部には、上方に凹む凹部24が形成されている。
【0028】
閂4は、前後方向に移動可能に筐体18に支持されている。筐体18の天板25の内面(下側の面)には、突起片22の前側に当接する前方当接部26と、突起片22の後側に当接する後方当接部27とが形成されている。つまり、突起片22に当接する前方当接部26と後方当接部27がストッパとなり、閂4の前後方向への移動範囲が規制される。言い換えれば、突起片22、前方当接部26および後方当接部27は、閂4の前後方向への抜け止めの構造を構成している。コイルバネ19は、筐体18の前板28と突起片22との間に、閂4を後方に向けて付勢するように配置されている。
【0029】
スライド爪20は、全体として上下方向に長い杆体状を呈し、上端部29と閂4の凹部24とは、閂4の後方への移動を規制するラチェット機構を構成している。つまり、凹部24は、前側に前後方向に対して直交する直交面30を有し、後方に斜面31とを有している。一方、スライド爪20の上端部29には、後方に斜面を向ける斜面32が形成されている。したがって、スライド爪20の上端部29が閂4の凹部24に嵌合している状態において、閂4は、前方への移動は許容されるが、後方への移動はスライド爪20により規制される。
【0030】
スライド爪20の後面部には後方に突出する突起片33が設けられている。筐体18には、スライド爪20を上下方向にガイドするガイド孔34が形成され、スライド爪20の下側の一部が、ガイド孔34に挿入されている。つまり、スライド爪20は、ガイド孔34により上方方向に移動可能に筐体18に支持されている。筐体18の下板35と突起片33との間にはコイルバネ21が配置されている。コイルバネ21は、スライド爪20を上方に向けて付勢している。
【0031】
スライド爪20の前側には電磁石5が配置されている。電磁石5は、制御回路16からの解錠信号により非励磁状態から励磁状態に駆動される。スライド爪20は、鉄材などの磁性材にて形成されている。したがって、電磁石5が励磁されると、スライド爪20は、電磁石5に吸着される。電磁石5とスライド爪20との吸着力は、コイルバネ21によるスライド爪20の上方への付勢力に抗して、スライド爪20を保持することができる強さに設定されている。
【0032】
施錠装置2には、閂4の移動によりオン・オフが行われるスイッチ36,37が備えられている。スイッチ36は、閂4の突起片22が後方当接部27に当接したときに、突起片22の後端面によりオンされる位置に配置されている。つまり、スイッチ36は、閂4の突起片22が後方当接部27に当接したときにオンされ、閂4が前方に移動し、突起片22が後方当接部27から離間するとオフする。スイッチ37は、閂4の突起片22が前方当接部26に当接したときに、突起片23の前端面によりオンされる位置に配置されている。つまり、スイッチ37は、閂4の突起片22が前方当接部26に当接したときにオンされ、閂4が後方に移動し、突起片22が前方当接部26から離間するとオフする。
【0033】
施錠装置2は、解錠装置1の前方、すなわち、被施錠体M側に配置されている。そして、解錠装置1の下側の側壁部13は、前端から後方に向かって一部が切り欠かれたスリット38が形成されている。閂4が後方に退避したときに、閂4の後側の一部がはスリット38に進入することができる。また、閂4がスリット38内に進入している状態で、スライド摘み7を前進させると、スライド摘み7の被ガイド部63の前端部が当接する。したがって、閂4が後方に退避しスリット38内に進入している状態で、スライド摘み7を前進させると、閂4を前方に移動させることができる。
【0034】
(制御回路16)
次に、図4、図5を参照しながら、基板9に実装される制御回路16の構成について説明する。図4は、制御回路16のブロック構成を示す図であり、図5は、LEDアレイ8Arの投受光を制御するLEDアレイ駆動回路39のブロック構成を示す図である。図4に示すように、制御回路16は、制御用のマイクロコンピューター40と、LEDアレイ駆動回路39とを有する。なお、LEDアレイ8Arおよび制御回路16は、電源41により駆動される。マイクロコンピューター40は、CPU42と、プログラムやデーターが記憶されるROM43と、所定のデーターを一時的に記憶するRAM44等を有している。マイクロコンピューター40には、LEDアレイ駆動回路39、点灯スイッチ10、電磁石5、スイッチ36、スイッチ37、書込みスイッチ45が接続されている。
【0035】
LEDは、一般に、光の出射(発光)を行う機能を有するものであるが、本実施の形態におけるLEDアレイ8Arは、以下に説明するように、発光機能に加えて、光センサーとしての機能を果たすことができるように構成されている。つまり、LEDアレイ8Arは光出射部と光センサーとを構成しているもので、特開2001−197253号に開示される構成のLEDアレイ駆動回路を用いて実現することができる。
【0036】
具体的には、LEDアレイ駆動回路39は、図5および図6に示される構成を有する。図6は、LEDアレイ駆動回路39の一部を構成する発光兼受光回路46の構成を示すものであり、発光兼受光回路46により、たとえば、LED8Bに発光および受光を行わせるための回路構成が示されている。先ず、図6を参照して、発光兼受光回路46の構成について説明する。図6の発光兼受光回路46において、所定の電位Eを生じさせる電源41が設けられており、この電源電圧を抵抗47及び抵抗48によって分圧している。そして、LED8Bのカソード側49aにバイアス電圧Vkを与えている。
【0037】
なお、このLED8Bは、PN接合を有する発光ダイオードである。そして、LED8Bのアノード側49bには、MOSFET50のゲート50aが接続されており、これと共にトランジスタ51のコレクタ51aが接続されている。
【0038】
また、MOSFET50のドレイン50bには、負荷抵52が接続されている。そして、この負荷抵52を介して、MOSFET50のドレイン50bが電源11のプラス極に接続されている。また、MOSFET50のソース50cは、帰還抵抗53に接続されている。そして、この帰還抵抗53を介して、MOSFET50のソース50cが電極41のマイナス極に接続されている。
【0039】
ここで、負荷抵52とMOSFET50の間には、LED8Bの受光出力を測定するために分岐した分岐配線54を有しており、この分岐配線54の端部54aで受光出力Voutを測定可能としている。
【0040】
また、トランジスタ51のベース51b には、抵抗55が接続されており、この抵抗55が配線56を介して不図示の制御回路に接続されている。それによって、抵抗55を介して不図示の制御回路から切り替え信号が与えられる構成である。この場合、切り替え信号がhighレベルの時、トランジスタ51はOFFとなり、LED8Bが受光素子として働くこととなる。また、切り替え信号がlowレベルの時、トランジスタ51はONとなり、LED8Bが従来どおり発光素子として働くこととなる。
【0041】
なお、これらトランジスタ51及び抵抗55、配線56および後述するCPU42により、切り替え手段が構成されている。それにより、トランジスタ51のON/OFF作動で、LED8Bを受光素子若しくは発光素子のいずれかに選択的に切り替えることが可能な構成としている。
【0042】
以上のような発光兼受光回路46の作用について、以下に説明する。まず、図5(図4)のCPU42により切り替え信号が発せられて、配線56を介してhighレベルの切り替え信号が入力される場合について説明する。
【0043】
PN接合を有するLED8Bに光が照射されると、PN接合を順方向にバイアスする向きに光起電力を生ずる。この場合、解放光起電力をVoとすると、
Vo=k(T/q)×In(I/Is)
であることが、一般的に知られている。なお、この式において、Isは逆方向の飽和電流、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の電荷、Iは光電流である。
【0044】
一方、光起電力を生ずるためには、エネルギーギャップをEg(ev)としたとき、λ=1240/Eg(nm)の波長以下の光を必要とする。このため、例えばλ=660(nm)の波長で発光する透明部材で封止された赤色LEDを受光素子として使用した場合、660(nm)よりも短波長側に受光感度を持つことになり、660(nm)よりも短波長側ではない赤外領域の波長には感度を持たないことになる。したがって、フォトダイオードにおいて必要とされている視感度補正フィルタを必要とせずに済む。
【0045】
なお、このLED8Bが赤色の封止部材で封止されている場合は、赤色を選択して受光可能となる。同様に、緑色や青色の封止部材でLED8Bが封止されている場合は、それぞれ緑色や青色を選択して受光可能となる。このため、赤色LEDを使用し、赤、緑、青の三原色の封止部材でそれぞれ封止したLED8Bを受光素子として使用したり、LED自体を赤、緑、青のLED8Bとして使用すれば、読み取り対象物の色情報を取り出すことができる。すなわち、図6に示す発光兼受光回路46を3つ併設し、LED8Bとしてそれぞれ異なる色(赤、緑、青)のものを使用することで読み取り対象物の色情報を検出できることとなる。これと共に、この色情報を基にLED8Bを発光させ、その光を集めることによって、読み取り対象物の色を再現することも可能となる。
【0046】
また、透明部材で封止されたLED8Bにおいて、異なる発光波長の物を複数使用してその差をとることにより、波長選択を行うことも可能となる。例えば、660nmの赤色LEDと560nmの緑色LEDの2つの受光量の差を取れば、560nmより短い波長の光による受光量は2つの間で同じとなる。このため、その間の受光量の差の変化を利用すれば、560nmと660nmの間の波長の光量を測定することが可能となる。すなわち、560〜660nmの波長を選択的に抽出することが可能となるのである。
【0047】
また、LED8Bによって発生する解放起電力をVoとし、バイアス電圧をVkとすれば、MOSFET50のゲート50aには、Vo+Vkの電圧が入力電圧として印加される。これによって、MOSFET50が導通可能となり、この入力電圧に比例した電圧がMOSFET50のドレイン50bに出力電圧Voutとして生ずることとなる。
【0048】
続いて、図5において切り替え信号がlowレベルでトランジスタ51がONとなり、LED8Bを発光素子として使用する場合について、以下に説明する。このような使用はLED8Bの通常の使用に相当する。
【0049】
まず、トランジスタ51がONとなることにより、LED8Bには抵抗48を介して電流が供給され、発光する。この場合、抵抗13の値は次式によって与えられる。
R2=(E−Vled)/Imax
【0050】
ここで、R2は、抵抗48の抵抗値、Eは電源41の電圧、VledはLED8Bの順方向電圧、ImaxはLED8Bに流すことが可能な許容電流である。したがって、抵抗47の抵抗値R1は、
R1=R2×{(E/Vk)−1}
となる。
【0051】
上述の切り替え信号のlowレベルを維持すれば、LED8Bは連続点灯することになり、切り替え信号のlowレベルとhighレベルを周期的に繰り返せば、LED8Bは点滅することになる。このように、図6に示した発光兼受光回路46では、LED8Bの受光と発光とを簡単に切り替えることが可能となる。
【0052】
以上のような発光兼受光回路46を用いて、図5に示すように、LEDアレイ駆動回路39が構成されている。
【0053】
まず、LEDアレイ駆動回路39の最小制御ブロック57を構成する場合について説明する。最小制御ブロック57は、読み取り情報を出力可能な最小単位の、情報出力装置として機能を備えるものである。この場合、上述の発光兼受光手段としての発光兼受光回路46に設けられているLED8B,8Cを隣り合うように、2つ並べる。そして、隣り合って設けられた発光兼受光回路46と同列になるように、受光のみを行う受光手段としての受光回路58のLED8A,8Dをこの列の長手方向両端部に位置するように設ける。
【0054】
すなわち、この配列では、それぞれのLED8A、8B,8C,8Dが、この順に受光回路58、発光兼受光回路46、発光兼受光回路46、受光回路58に接続されている。
【0055】
なお、以下の説明では、図5に示すように、受光回路58や発光兼受光回路46を受光回路58−1、発光兼受光回路46−2、発光兼受光回路46−3、受光回路58−4というように、この図において上から並べられた順に符号を付して説明する。
【0056】
これら受光回路58−1,58−4及び発光兼受光回路46−2,46−3は、共に時分割多重化手段としてのマルチプレクサ59に接続されている。マルチプレクサ59は、発光兼受光回路46−2,46−3や受光回路58−1,58−4から発せられた複数の信号を時分割多重方式などで多重化可能な装置である。また、マルチプレクサ59は、マイクロコンピューター40にも接続されている。マイクロコンピューター40は、マルチプレクサ59や発光兼受光回路46に対して制御信号を発するものである。それによって、マルチプレクサ59が制御信号を受信すると、CPU42に存する出力手段としてのA/D入力端子60で各LED8における出力電圧の取り込みを行えるようになっている。
【0057】
すなわち、このマイクロコンピューター40からの信号に基づいて、発光兼受光回路46−2,46−3や受光回路58−1,58−4から出力された出力電圧を、時分割して受信することを可能としている。また、マイクロコンピューター40からの制御信号によって、発光兼受光回路46においては、発光状態と受光状態との切り替えを行う構成となっている。
【0058】
なお、このようなマルチプレクサ59からの多重化による信号の受信を可能とするために、マルチプレクサ59は、A/D入力端子60にも接続されている。
【0059】
また、マイクロコンピューター40は、発光兼受光回路46−2,46−3の配線56と接続している。このため、マイクロコンピューター40が発した発光・受光切り替え信号を発光兼受光回路46−2,46−3で受信して、発光兼受光回路46−2,46−3の発光機能と受光機能とを切り替えるように構成されている。
【0060】
このような最小制御ブロック57を、LED8A〜8DとLED8E〜8Hとが同列となるように、2個並べたものが、LEDアレイ駆動回路39として構成されている。つまり、LEDアレイ駆動回路39は、図1に示すようにLED8A〜8HのLEDを有し、LED8A〜8Dを有する最小制御ブロック57と、LED8E〜8Hを有する最小制御ブロック57とを有する。
【0061】
以上のような構成を有するLEDアレイ駆動回路39の作用について、以下に説明する。
【0062】
まず、マイクロコンピューター40により切り替え信号が発せられて、LED8Bを光源として使用する場合について説明する。この場合、配線56を介してマイクロコンピューター40で発せられたlowレベルの切り替え信号が伝達される。それによって、トランジスタ51がONとなり、LED8Bを発光素子として使用することが可能となる。
【0063】
LED8Bを光源として使用する場合、マイクロコンピューター40はLED8Cにも切り替え信号を同時に伝達し、配線56を介してマイクロコンピューター40からhighレベルの切り替え信号が伝達される。それによって、トランジスタ51はOFFとなり、LED8Cを受光素子として使用することが可能となる(第1の信号伝達工程)。
【0064】
ここで、LED8Bを光源として使用すると、LED8A,8Cでこの光源として使用された光を取り込む(読み取る)ことが可能となる(第1の読み取り工程)。この場合、マイクロコンピューター40は、まずマルチプレクサ59に制御信号aを送り、LED8Aの出力電圧をA/D入力端子60に取り込むようにする。これに続いて、制御信号cを送り、LED8Cの出力電圧をA/D入力端子60で取り込むようにする。すなわち、LED8Bを光源として利用した場合には、これの両隣りのLED8AとLED8Cで光を受光する。そして、受光結果を、LED8A,LED8Cの順で、A/D入力端子60で取り込むようにする(第1の出力工程)。
【0065】
続いて、LED8Cを光源として使用する場合について、説明する。この場合、上述のLED8BとLED8Cの、発光機能と受光機能とが逆の関係になる。すなわち、配線56を介してマイクロコンピューター40で発せられたlowレベルの切り替え信号が伝達される。それによって、トランジスタ51がONとなり、LED8Cを発光素子として使用可能となる。
【0066】
この場合、マイクロコンピューター40はLED8Bにも切り替え信号を同時に伝達し、配線56を介してマイクロコンピューター40からhighレベルの切り替え信号が伝達される。それにより、トランジスタ51はOFFとなり、LED8Bが受光素子として使用可能となる(第2の信号伝達工程)。
【0067】
このLED8Cを光源として使用すると、LED8B,8Dでこの光源として使用された光を取り込む(読み取る)ことが可能となる(第2の読み取り工程)。この場合、マイクロコンピューター40はまずマルチプレクサ59に制御信号bを送り、LED8Bの出力電圧をA/D入力端子60で取り込む。これに続いて、制御信号dを送り、LED8Dの出力電圧をA/D入力端子60で取り込む(第2の出力工程)。それによって、LED8Cの両隣りのLED8BとLED8Dで光を受光することが可能となる。
【0068】
以上の動作により、LED8A〜LED8Dまでの、計4個の出力電圧を得ることが可能となる。そして、この最小制御ブロック57での動作を、他の最小制御ブロック57でも同時にまたは順次に行う。それによって、8個のLED8A〜8Hに対応するライン状の情報の読み取りが可能となる。
【0069】
つまり、LEDアレイ駆動回路39を用いることにより、LEDアレイ8Arの中の1つのLED8に反射板17を対向させた状態で、LED8B,8C,8F,8Gを順次発光させることで、反射板17が、LED8A〜8Hの中のどのLED8に対向させられているかを検出することができる。
【0070】
(施・解錠装置3Aの動作)
次に上述の構成を有する施・解錠装置3Aの動作について、図7に示すフローチャートおよび、図8から図13を参照しながら説明する。図8から図13は、施・解錠装置3Aを施錠および解錠するときの動作状態を示す図である。
【0071】
先ず、図8から図10を参照しながら、被施錠体Mを施錠する際の動作について説明する。図8は、施・解錠装置3Aが解錠状態にあるときの状態を示す図である。すなわち、被施錠体Mは解錠状態である。図8に示す解錠状態では、閂4は、コイルバネ19により後方に付勢され、突起片22が後方当接部27に当接し、被施錠体Mから後方に退避させられている。また、スライド爪20は、コイルバネ21により上方に付勢されているが、閂4の下面61に当接し、上方への移動が規制されている。また、図8に示す解錠状態では、電磁石5は非励磁の状態とされている。
【0072】
施・解錠装置3Aが、解錠状態にあるときに、スライド摘み7を、たとえば、手指で摘まみ前方に移動すると、被ガイド部63の前端部が閂4の後端部に当接する。前端部が閂4の後端部に当接した被ガイド部63を、さらに、コイルバネ19の付勢力に抗して前方に移動し、図9に示すように、突起片22が前方当接部26に当接するまで閂4を前方に移動させる。
【0073】
閂4が、突起片22が後方当接部27に当接している位置から前方当接部26に当接する位置まで移動する間に、凹部24は、スライド爪20の上方を通過する。スライド爪20は、コイルバネ21により上方に付勢されている。そのため、凹部24がスライド爪20の上方を通過する際、スライド爪20の上端部29が凹部24に嵌合する。しかしながら、凹部24と上端部29とは、閂4の前方への移動を許容するラチェット機構を構成している。そのため、スライド爪20は、斜面31(図1参照)と斜面32(図1参照)の作用により、下方に移動され、上端部29は凹部24から下方に退避する。したがって、図9に示すように、閂4は、突起片22が前方当接部26に当接するまで移動することができる。
【0074】
突起片22が前方当接部26に当接するまで、閂4を前方に移動させた後(図9参照)、スライド摘み7を前方に押す力を無くすると、閂4は、コイルバネ19の付勢力により後方に向かって移動する。そして、図10に示すように、閂4が、凹部24とスライド爪20と対向する位置まで移動すると、凹部24に閂4の上端部29が嵌合し、閂4の後方への移動が規制される。
【0075】
図10に示すように、閂4が前方に進出し、閂4が筐体18の前面から突出していると共に、スライド爪20により後方への移動が規制されている状態で、施・解錠装置3Aは、施錠状態となる。つまり、閂4の筐体18の前面から突出した部分が、被施錠体Mである自転車の車輪のスポークの間に入り込み、被施錠体Mは施錠される。
【0076】
続いて、図7および図11から図13を参照しながら、施錠状態にある施・解錠装置3Aを解錠する際の動作について説明する。施・解錠装置3Aは、解錠装置1に入力された識別コードが、予めROM43に記憶されている識別コードに一致する場合に、解錠装置1から施錠装置2に解錠信号の出力が行われる。解錠装置1において、識別コードは、LED8A〜8Hの中のいずれか1つのLED8が、反射板17で反射された光を受光する順番として規定されている。具体的には、たとえば、LED8が受光状態にあるときは[1]、非受光の状態にあるときは[0]とし、また、LED8A〜8Hの8個のLEDで8ビットの構成とし、LED8Hを最上位ビット、LED8Aを最下位ビットとする。この構成において、LED8が、LED8B、LED8G、LED8D、LED8Dの順序で受光された場合は、マイクロコンピューター40では、次のように識別コードを認識する。
【0077】
LED8Bが受光状態となった場合には、マイクロコンピューター40は、LED8から出力される信号を2進数で[0000 0010]と認識する。そして、LED8Gが受光状態となった場合には、LED8から出力される信号は2進数で[0100 0000]と認識する。さらに、LED8Dが受光状態となった場合には、LED8から出力される信号は2進数で[0000 1000]と認識する。したがって、LED8が、LED8B、LED8G、LED8D、LED8Dの順序で受光された場合、マイクロコンピューター40では、順に[0000 0010]、[0100 0000]、[0000 1000]、[0000 1000]の信号を受け、これらの信号の内容(どのLED8が選択されたか)および順序を識別コードとして認識する。なお、[0000 0010]、[0100 0000]、[0000 1000]、[0000 1000]を10進数で表記すれば、[2,64,8,8]となる。つまり、マイクロコンピューター40では、識別コードを[2,64,8,8]として認識すると言い換えることもできる。
【0078】
なお、解錠装置1にLED8A〜8Hに対応して便宜的に1〜8の番号が付されている場合、識別コードが[0000 0010]、[0100 0000]、[0000 1000]、[0000 1000](=[2,64,8,8])のときは、操作者は、識別コードを2744として入力する(2、7、4、4の番号に対応するLED8を選択する)ことになる。
【0079】
識別コードの入力は、反射板17を入力しようとする識別コードに対応するLED8に対向させる度に、点灯スイッチ10を押下することで行うことができる。つまり、図7のステップS10〜ステップS30に示すように、操作者がスライド摘み7を操作し、反射板17を入力しようとする識別コードに対応するLED8に対向させる都度に、点灯スイッチ10を押下すると(ステップS10においてYes)、反射板17が対向しているLED8からマイクロコンピューター40に受光信号が出力される。なお、識別コードの入力は、施・解錠装置3Aが、図11に示すように施錠状態となっている状態で行われる。
【0080】
たとえば、LED8を、LED8B、LED8G、LED8D、LED8Dの順序で選択する場合には、先ず、反射板17がLED8Bに対向するようにスライド摘み7を移動した後、点灯スイッチ10を押下すると(ステップS10においてYes)、LED8B,8C,8F,8Gが順次に点灯する(ステップS20)。そして、反射板17が対向するLED8Bに、反射板17で反射したLED8の光が入射し、LED8Bからマイクロコンピューター40に受光信号が送られる。この受光信号に基づいて、マイクロコンピューター40が、RAM44にLED8Bが選択されたこと(受光したこと)を記憶させる(ステップ20)。
【0081】
次いで、反射板17がLED8Gに対向するようにスライド摘み7を移動した後、点灯スイッチ10を押下すると(ステップS10においてYes)、LED8B,8C,8F,8Gが順次に点灯し(ステップ20)、LED8Gから受光信号がマイクロコンピューター40に送られ、RAM44にLED8Gが選択されたこと(受光したこと)が記憶される(ステップ20)。さらに、反射板17がLED8Dに対向するようにスライド摘み7を移動した後、点灯スイッチ10を2回連続して押下すると(ステップS10においてYes)、点灯スイッチ10の1回の押下毎にLED8B,8C,8F,8Gが順次に点灯し(ステップ20)、点灯スイッチ10が押下される度に、LED8Dから受光信号がマイクロコンピューター40に送られる。RAM44には、LED8Dが2回連続されて選択されたこと(受光したこと)が記憶される(ステップ20)。上述の結果、RAM44には、LED8が、LED8B、LED8G、LED8D、LED8Dの順序で選択されたことが記憶される。
【0082】
識別コードの入力が終わった後、図12に示すように、コイルバネ19の付勢力に抗してスライド摘み7を前方に移動し、突起片33によりスイッチ37をオンさせる(ステップ30)。閂4を、突起片22が前方当接部26に当接するまで前方に移動させたときに、スイッチ37がオンされるように、スイッチ37は配置されている。
【0083】
スイッチ37がオンされると、マイクロコンピューター40は、ステップS10〜ステップS30により入力されRAM44に記憶された識別コードとROM43に予め記憶されている識別コードとが一致しているかを判断する(ステップ40)。ステップ40において、入力された識別コードとROM43に記憶されている識別コードとが一致しない場合(ステップ40においてNo)には、エラー表示を行い(ステップS50)、処理を終了する。
【0084】
エラー表示(ステップS50)が行われた状態で、スライド摘み7を前方に移動させる力を無くすると、閂4は、コイルバネ19の付勢力により後方に移動しようとする。しかしながら、凹部24とスライド爪20のラチェット機構により閂4の後方への移動が規制される。つまり、施・解錠装置3Aは施錠状態が維持される。施・解錠装置3Aの解錠操作を再度行う場合は、上述のステップS10からステップS40に戻って、識別コードの再入力を行う。なお、スイッチ37が押下され、入力された識別コードとROM43に記憶されている識別コードとが照合された後、マイクロコンピューター40は、識別コードの次回の入力に備えて、RAM44に記憶されている識別コードを消去する。
【0085】
一方、ステップ40において、入力された識別コードとROM43に記憶されている識別コードとが一致する場合(ステップ40においてYes)には、マイクロコンピューター40は、電磁石5に対して、電磁石5を励磁する信号を解錠信号として出力する(ステップS60)。この解錠信号により、電磁石5は励磁される(ステップS60)。電磁石5が励磁されると、スライド爪20は電磁石5に吸引保持される。図12に示すように、閂4が前方に進出している状態では、スライド爪20の上端部29は、凹部24の外側に配置され、閂4の下面61により上方への移動が規制されている。つまり、スライド爪20は、図12に示すように、上端部29が、凹部24の外側に配置されている位置で、電磁石5に吸着されている。
【0086】
スライド爪20が、電磁石5に吸着されている状態で、スライド摘み7を前方に移動する力を無くすると、図13に示すように、閂4はコイルバネ19の付勢力により後方に向けて移動させられる。閂4が後方に移動する際に、閂4の凹部24は、スライド爪20の上端部29を通過する。しかしながら、スライド爪20は電磁石5に吸着されているため、図13に示すように、コイルバネ21による上方への付勢力に抗して、スライド爪20の上端部29は、凹部24に嵌合することなく、閂4の下方に載置された状態が保持される。したがって、閂4は、図14に示すように、突起片22が後方当接部27に当接する退避位置まで移動し、施・解錠装置3Aは解錠状態となる。
【0087】
突起片22が後方当接部27に当接するとスイッチ36が、突起片22により押下されオンとなる。スイッチ36のオン信号を受けて(ステップS70においてYes)、マイクロコンピューター40は、電磁石5の励磁を中止する(ステップS80)。
【0088】
上述のステップS50におけるエラー表示は、たとえば、LED8B,8C,8F,8Gを同時に3回点滅する態様とすることができる。また、制御回路16に、発音手段を設けることで、該点滅に併せて、電子音を発音させる構成としてもよい。これに対し、ステップ40において、入力した識別コードとROM43に記憶されている識別コードとが一致した場合には、ステップS45に示すように、一致表示を行う構成としてもよい。一致表示は、たとえば、LED8B,8FとLED8C,8Gとを交互に点滅させる態様とすることができる。また、制御回路16に、発音手段を設けることで、該点滅に併せて、耳ざわりのよい電子音を発音させる構成としてもよい。
【0089】
(本実施の主な効果)
本実施の形態に係る解錠装置1は、光出射部としてのLED8B,8C,8F,8Gと、LED8B,8C,8F,8Gに光の出射を指示する光出射指示部としての点灯スイッチ10と、複数の光センサーとしてのLEDアレイ8Ar(LED8A〜8H)と、LED8B,8C,8F,8Gから出射した光を、LEDアレイ8Arの中の一部のLED8に対して選択的に反射させることができるように、LEDアレイ8Arに対して移動可能な光反射部としての反射板17と、反射板17により選択的に反射された光が、LEDアレイ8Arの中の所定のLED8に所定の順番で受光されたか否か判断する判断部としてマイクロコンピューター40とを有している。
【0090】
解錠装置1は、上述の構成を有することで、反射板17によりLEDアレイ8Arの中の一部のLED8に対して選択的に所定の順番で光を入射させることができる。そして、マイクロコンピューター40により、所定のLED8が所定の順番で受光されたか否かを判断することができる。そのため、マイクロコンピューター40は、該判断に基づいて、マイクロコンピューター40から解錠信号等の所定の信号を出力することができる。
【0091】
なお、上述の実施の形態では、反射板17で反射された光は、1つのLED8のみに入射する構成とされているが、たとえば、反射板17の幅Wを広くし、2以上のLED8に同時に入射する構成としてもよい。かかる構成においては、2以上の所定のLED8に同時に光が受光されたことを、識別コード(識別コードの一部)として扱うことになる。
【0092】
本実施の形態に係る解錠装置1においては、ガイドカバー6およびスライド摘み7が透明体とされている。したがって、LED8B,8C,8F,8Gから出射した光は、透光部であるガイドカバー6およびスライド摘みを透過して解錠装置1の外部に出射することができる。
【0093】
解錠装置1は、上述の構成を有することで、解錠装置1の動作状態に併せて、LED8B,8C,8F,8Gが所定の点灯・点滅動作を行うことができる。そのため、操作者は、LED8B,8C,8F,8Gの点灯・点滅状態により解錠装置1の動作状態を知ることができる。すなわち、LED8B,8C,8F,8Gを表示手段として機能させることができる。なお、ガイドカバー6およびスライド摘み7は、全体を透明樹脂にて形成してもよいが、LED8B,8C,8F,8Gと対向する部分のみ透明樹脂で形成するようにしてもよい。LED8B,8C,8F,8Gと対向する部分のみ透明樹脂で形成することで、ノイズ光がLEDアレイ8Arに入射することを防止することができる。
【0094】
本実施の形態に係る解錠装置1においては、LEDアレイ8Arが、1列の列状に配置されている。そして、反射板17が備えられるスライド摘み7は、ガイドカバー6のガイドを受けて、LED8の配列方向(LEDアレイ8Arの配列方向)に移動可能とされている。すなわち、反射板17が、LEDアレイ8Arの配列方向に移動可能とされている。
【0095】
解錠装置1は、上述のように、反射板17をLEDアレイ8Arの配列方向に移動可能な構成とすることで、反射板17で反射された光を、容易にLEDアレイ8Arの中の所定のLED8に所定の順番で入射させることができる。
【0096】
なお、スライド摘み7を移動することで反射板17をLEDアレイ8Arに対して移動させる代わりに、たとえば、基板9自体を前後方向に移動することにより、LEDアレイ8Arを反射板17に対して移動させ、反射板17で反射された光のLEDアレイ8Arへの入射位置を換える構成としてもよい。
【0097】
本実施の形態に係る解錠装置1においては、LED8B,8C,8F,8Gを解錠装置1の動作状態に応じて所定の点灯を行わせる点灯制御部としてのマイクロコンピューター40を有し、入力された識別コードがROM43に記憶されている識別コードと一致し解錠可能な場合(図7に示すステップS40においてYes)と、一致せずに解錠不可能な場合図7に示すステップS40においてNo)とで、所定の点滅(ステップS45,S50)を行う構成とされている。
【0098】
解錠装置1が、上述の構成を有することで、操作者は、解錠装置1の動作状態を視覚を通じて容易に認識することができる。
【0099】
(変形例)
施・解錠装置は、図15に示す施・解錠装置3Bの構成とすることもできる。図15は、施・解錠装置3Bを操作面側からみた平面図である。図16は、図15に示す切断線C−Cにおける施・解錠装置3Bの断面の概略の構成を示す図である。上述の施・解錠装置3Aは、スライド摘み7により、反射板17の移動と、閂4の移動とを行う構成となっている。これに対し、施・解錠装置3Bは、反射板17の移動をダイヤル摘み70により行い、閂4の移動は、ダイヤル摘み70とは別の部材であるスライド摘み71により行う構成となっている。以下の説明では、施・解錠装置3Bの構成において、上述の施・解錠装置3Aと同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化することとする。なお、以下の説明において、図16に示すX方向を前方、Y方向を上方として説明を行う。
【0100】
施・解錠装置3Bは、解錠装置72と施錠装置2とを有する。解錠装置72は、筐体73と、ダイヤル摘み70と、ダイヤル摘み70を回転自在に支持する支持体74と、回転板75と、反射板17と、複数の光センサーとしてLED8が環状に配列されたLEDアレイ76と、基板9と、光出射指示部としての点灯スイッチ10と、スライド摘み71等とを有する。
【0101】
支持体74は、中心軸Xを中心とする略円板状を呈し、筐体73に対して取り付けられている。支持体74の中心部には、ダイヤル摘み70の軸部77が通され、支持体74は、ダイヤル摘み70を中心軸Xを中心として回転可能に支持している。回転板75は、フランジ部78とスリーブ部79とを有し、ダイヤル摘み70の軸部77は、スリーブ部79に挿入されている。
【0102】
軸部77の外周面には、上下方向に延びる凸条80が形成され、またスリーブ部79の内周面には、上下方向に延びる溝部82が形成されている。軸部77は、スリーブ部79に、凸条80が溝部82に嵌合するように通されている。したがって、軸部77とスリーブ部79とは、凸条80と溝部82とにより互いに周方向に係合し、ダイヤル摘み70を回転させると、回転板75も一体的に回転する。
【0103】
回転板75のフランジ部78は、支持体74の上板部83と下板部84との間に配置されている。したがって、ダイヤル摘み70を回転させると、フランジ部78は上板部83と下板部84との間を中心軸Xの周りに回転することができる。
【0104】
ダイヤル摘み70の下側には、スリーブ部79が嵌合することができる凹部85が形成されている。また、ダイヤル摘み70と回転板75との間には、ダイヤル摘み70と回転板75とに反力を取るコイルバネ86が配置されている。軸部77には、支持体74の下板部84の下側に抜けた部分に、環状の凸条87が形成されている。凸条87は、ダイヤル摘み70の軸部77が、支持体74から上方へ抜けないようにする抜け止めとして機能している。
【0105】
凸条80と溝部82とは上下方向については係合していない。そのため、ダイヤル摘み70をコイルバネ86の付勢力に抗して、下方に押下すると、ダイヤル摘み70は下方に移動し、軸部77も下方に移動する。そして、該押下する力を無くすると、ダイヤル摘み70は、コイルバネ86の付勢力により、凸条87が支持体74に当接する位置に復帰する。
【0106】
支持体74の下方には、基板9が配置され、基板9には、中心軸Xを中心に環状にLED8A〜8Hが環状のLEDアレイ76とし実装されている。また、基板9には、制御回路16(図4)も実装されている。
【0107】
支持体74および回転板75は、透明体(たとえば、透明なポリカーボネイト樹脂)にて形成され、LEDアレイ76を支持体74および回転板75を介して解錠装置1の外部(上方)から視認することができるように構成されている。
【0108】
回転板75の下面には、反射板17が備えられている。反射板17は、ダイヤル摘み70を回転させたときに、LED8A〜8Hの1つのLED8に対向することができるように配置されている。ダイヤル摘み70を回転させると、反射板17をLED8A〜8Hの中の任意のLED8に対して選択的に対向させることができる。
【0109】
なお、回転板75と支持体74との間には、回転板75を回転させたときに、反射板17をLED8と対向する位置に位置決めすることができるように、図示を省略するクリック機構が設けられている。クリック機構は、たとえば、回転板75の下面に、LED8の配置に対応させて形成される複数の凹部(図示省略)と、支持体74の下板部84の上面に形成され、該凹部に嵌合可能な突起部(図示省略)とを用いて構成することができる。
【0110】
軸部77の下方には、点灯スイッチ10が配置され、ダイヤル摘み70が下方に押下され移動したときに、軸部77の先端部88によりオン操作される。
【0111】
解錠装置72の前方には施錠装置2が配置されている。施錠装置2の閂4は、筐体73に前後方向に移動可能に支持されているスライド摘み71を前方に移動することにより、前方に移動することができる。図17は、図15における切断線D−Dにおける断面図であり、スライド摘み71の筐体73への支持構造が示されている。筐体73の板部89には前後方向に延設されるスリット90が形成されている。スライド摘み71は、嵌合部91に筐体73の板部89が嵌合するようにスリット90(図15参照)に通され、スライド摘み71は、スリット90に沿って前後方向に移動可能とされている。スライド摘み71には、筐体73の内部に配置される部分に、閂4に当接する当接部92が設けられている。したがって、スライド摘み71を前方に移動すると、当接部92が閂4の後端部に当接し、閂4を前方に移動することができる。
【0112】
上述の構成を有する施・解錠装置3Bにおいては、施・解錠装置3Aのスライド摘み7に換えてスライド摘み71を前方に移動することで、図8から図10を参照して説明したように、閂4が前方に移動され、被施錠体Mを施錠することができる。
【0113】
施・解錠装置3Aにおいては、識別コードの入力は、スライド摘み7を所定の順番で所定のLED8に移動し、点灯スイッチ10を押下することで行うことができる。これに対し、施・解錠装置3Bにおいては、ダイヤル摘み70を回転し、反射板17を入力しようとする識別コードに対応するLED8に対向させる度に、ダイヤル摘み70を下方に押下し、点灯スイッチ10をオンすることにより、識別コードの入力を行うことができる。施・解錠装置3Bは、識別コードの入力を、スライド摘み7に換えてダイヤル摘み70を用いて行い、また、スイッチ37のオン操作をスライド摘み7に換えてスライド摘み71を用いる点を除いて施・解錠装置3Aと同様である。
【0114】
上述の解錠装置72においては、LEDアレイ76が環状に配置されている。また、反射板17は、ダイヤル摘み70の回転と共に回転する回転板75に備えられ、LEDアレイ76の環状の配置に沿って移動可能とされている。
【0115】
解錠装置72は、上述の構成を有することで、解錠装置1のようにスライド摘み7を用いて識別コードを入力する場合に比べて、解錠装置72のコンパクト化を図ることができる。つまり、解錠装置1のようにスライド摘み7により識別コードを入力する構成とした場合には、スライド摘み7をLEDアレイ8Arの長さ分を移動させる必要がある。すなわち、スライド摘み7の移動スペースを確保する必要がある。これに対し、ダイヤル摘み70を用いて識別コードを入力する構成とした場合には、ダイヤル摘み70の移動スペースを確保する必要がないため、解錠装置72のコンパクト化を図ることができる。解錠装置72においては、スライド摘み71の移動スペースを確保する必要があるが、閂4を移動させるだけのスペースで足りるため、解錠装置1のスライド摘み7に要する移動スペースに比べて少ないものとすることができる。
【0116】
なお、ダイヤル摘み70を回転することで反射板17をLEDアレイ76に対して移動させる代わりに、たとえば、基板9自体を中心軸Xの周りに回転することにより、LEDアレイ76を反射板17に対して移動させ、反射板17で反射された光のLEDアレイ76への入射位置を換える構成としてもよい。
【0117】
上述の解錠装置1および解錠装置72においては、LED8を受光素子としても用いる構成としているが、光センサーとして、LED8の換わりにCCDやフォトダイオード等の受光専用の素子を用いることもできる。この場合には、光出射部としてのLEDとCCDあるいはフォトダイオードとが対で配置される。つまり、LED8A〜8Hの8個のLED8を備える解錠装置1および解錠装置72においては、8対のLEDとCCDあるいはフォトダイオードとが配置される。また、光センサーとしてCCDあるいはフォトダイオードを用いる場合や、LEDを受光素子としてのみ用いる場合は、光出射部は、LEDに限らず、たとえば、ビリケン球、麦球等のフィラメントを用いた光源を使用することもできる。
【0118】
また、光センサーとしてのLEDやCCDあるいはフォトダイオードは、一列、あるいは環状の配置に限らず、十字状、あるいはランダムな配置としてもよい。
【0119】
上述の解錠装置1(72)は、閂4を有する施錠装置2と組み合わされて使用されているが、電気製品の電源スイッチ部を施錠装置として位置づけ、解錠装置1(72)から出力される解除信号により電源スイッチが作動可能な状態とさせる構成とすることもできる。また、解錠装置1(72)から出力される解除信号を、たとえば、駆動開始信号として利用し、モーター等電気製品を駆動制御する構成とすることもできる。
【0120】
解錠装置1(72)には、図4に示すように、識別コードの書き込みスイッチである書込みスイッチ45が設けられている。書込みスイッチ45をオンすると、マイクロコンピューター40は、識別コードの書き込みモードとなる。書き込みモードにおいて、点灯スイッチ10をオンすると、LED8B,8C,8F,8Gが順次に点灯し、点灯スイッチ10をオンする都度に、反射板17で反射された光が入射したLED8が識別コードとして順次ROM43に記憶される。たとえば、反射板17をLED8A、LED8A、LED8C、LED8Eの順で選択する都度に、点灯スイッチ10をオンすると、ROM43には、識別コードとして、LED8A、LED8A、LED8C、LED8Eの順で選択されることが記憶される。スライド摘み7(71)を前方に移動し、スイッチ37をオン操作することで、書き込みモードは終了する。
【0121】
マイクロコンピューター40は、書き込まれた識別コードを解錠のための識別コードと認識する。そのため、スイッチ37がオンされた状態で、電磁石5は励磁され、スライド爪20を吸引する。したがって、閂4は、コイルバネ19の付勢力により後方に移動し、施錠装置2は解錠状態となる。
【0122】
操作者が識別コードを忘れてしまった場合、あるいは、識別コードを変更する場合に、上記の識別コードの書き込みモードを用いることができる。
【0123】
なお、書き込みモードにおいては、新たに識別コードを書き込んだ状態で解錠され、また、既に記憶されている識別コードを変更できるため、書込みスイッチ45は、隠し蓋により覆われ、容易に操作できない位置に配置する。
【符号の説明】
【0124】
1,72 … 解錠装置
3A,3B … 施・解錠装置
6 … ガイドカバー(透光部)
7 … スライド摘み (透光部)
8(8A,8B,8C,8D,8E,8H,8G,8H) … LED(光出射部、光センサー)
8Ar … LEDアレイ(複数の光センサー)
10 … 点灯スイッチ(光出射指示部)
17 … 反射板(光反射部)
40 … マイクロコンピューター(判断部)
74 … 支持体(透光部)
75 … 回転板(透光部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解錠装置において、
光出射部と、
前記光出射部に光の出射を指示する光出射指示部と、
複数の光センサーと、
前記光出射部から出射した光を、前記複数の光センサーの中の一部の光センサーに対して選択的に反射させることができるように、前記複数の光センサーに対して移動可能な光反射部と、
前記光反射部により前記選択的に反射された光が、前記複数の光センサーの中の所定の光センサーに所定の順番で受光されたか否か判断する判断部と、
を有することを特徴とする解錠装置。
【請求項2】
請求項1に記載の解錠装置において、
前記光出射部から出射した光を前記解錠装置の外部に出射可能とする透光部を有することを特徴とする解錠装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の解錠装置において、
前記複数の光センサーは列状に配置され、前記光反射部または前記列状に配置された複数の光センサーは、前記列の方向に沿って移動可能であることを特徴とする解錠装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の解錠装置において、
前記複数の光センサーは環状に配置され、前記光反射部または前記環状の配置された複数の光センサーは、前記環に沿って移動可能であることを特徴とする解錠装置。
【請求項5】
請求項2に記載の解錠装置において、
前記光出射部を前記解錠装置の動作状態に応じて所定の点灯を行わせる点灯制御部を有することを特徴とする解錠装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の解錠装置を備えることを特徴とする施・解錠装置。
【請求項1】
解錠装置において、
光出射部と、
前記光出射部に光の出射を指示する光出射指示部と、
複数の光センサーと、
前記光出射部から出射した光を、前記複数の光センサーの中の一部の光センサーに対して選択的に反射させることができるように、前記複数の光センサーに対して移動可能な光反射部と、
前記光反射部により前記選択的に反射された光が、前記複数の光センサーの中の所定の光センサーに所定の順番で受光されたか否か判断する判断部と、
を有することを特徴とする解錠装置。
【請求項2】
請求項1に記載の解錠装置において、
前記光出射部から出射した光を前記解錠装置の外部に出射可能とする透光部を有することを特徴とする解錠装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の解錠装置において、
前記複数の光センサーは列状に配置され、前記光反射部または前記列状に配置された複数の光センサーは、前記列の方向に沿って移動可能であることを特徴とする解錠装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の解錠装置において、
前記複数の光センサーは環状に配置され、前記光反射部または前記環状の配置された複数の光センサーは、前記環に沿って移動可能であることを特徴とする解錠装置。
【請求項5】
請求項2に記載の解錠装置において、
前記光出射部を前記解錠装置の動作状態に応じて所定の点灯を行わせる点灯制御部を有することを特徴とする解錠装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の解錠装置を備えることを特徴とする施・解錠装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−14973(P2013−14973A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149515(P2011−149515)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(511163713)
【出願人】(596002550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(511163713)
【出願人】(596002550)
【Fターム(参考)】
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