説明

触媒担体、その製造方法、及びその使用

本発明は、天然層状ケイ酸塩及びZrO2 を含有する物質を備えるオープンポア触媒担体に関する。比較的長い期間にわたる酢酸アルケニル活量の比較的高いレベルによって特徴づけられる酢酸アルケニル触媒を作製する触媒担体を提供するために、天然層状ケイ酸塩及び正方晶変態のZrO2 を含有する物質を備える触媒担体が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然層状ケイ酸塩及びZrO2 を含有する物質を備えるオープンポア(open pore)(開孔)触媒担体に関する。
【背景技術】
【0002】
酢酸アルケニルは、プラスチックポリマーの合成でブロックを組み立てる重要なモノマーである。酢酸アルケニルを使用する主な分野は、とりわけ、ポリビニル酢酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、並びに、他のモノマー(例えば、エチレン、塩化ビニル、アクリル酸塩、マレイネート、フマル酸塩及びラウリン酸ビニル等)との共重合及び三元重合体の製造である。
【0003】
酢酸アルケニルは、例えば、酸化反応により酢酸及びエチレンから気相で生成され、ここでは、この合成のために用いられる触媒は、好ましくは、活性金属としてPdを、プロモーター(promoter)としてAuを、コプロモーター(co−promoter)としてアルカリ金属成分を、さらに好ましくは酢酸塩の形態のカリウムを含有する。これらの触媒のPd/Auシステムでは、非合金粒子の存在は除外できないが、Pd及びAuの金属は、それぞれの純金属の金属粒子の形態でなく、むしろ、考えうる様々な構成のPd/Au合金粒子の形態で存在する。また、Auの代替物として、例えばCd若しくはBaは、コプロモーターとして用いられ得る。
【0004】
今日では、酢酸アルケニルは、いわゆる殻触媒(シェル触媒)によって主に生成されるが、該殻触媒では、前記貴金属Pd及びAuは、成形体として形成された触媒担体に完全には浸透せず、むしろ、前記触媒担体の成形体の大なり小なりの幅の外側のエリア(殻)にのみ含まれ(EP 565 952 A1、EP 634 214 A1、EP 634 209 A1及びEP 634 208 A1を参照。)、一方でさらに内側の前記触媒担体のエリアには貴金属が存在しない。担体のコア内に活性成分を含浸された触媒(“含浸”)を用いる場合に比して、殻触媒を用いることにより、より選択的な反応のコントロールが、多くの場合に可能となる。
【0005】
酢酸アルケニルを生成するための従来技術で知られている殻触媒は、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、酸化チタン若しくは酸化ジルコニウムをベースとした触媒担体である(EP 839 793 A1、WO 1998/018553 A1、WO 2000/058008 A1及びWO 2005/061107 A1を参照。)。しかしながら、現在では酸化チタン若しくは酸化ジルコニウムをベースとした触媒担体は、ほとんど用いられてないが、それは、これらの触媒担体が、酢酸に対して長期間の耐性を示さず、且つ比較的高価であるからである。Zr懸濁液を塗布された殻触媒の場合には、摩擦抵抗及び機械的安定性に対する問題が生じる。
【0006】
酢酸アルケニルを生成するために現在用いられている触媒の大部分は、カリウム酢酸塩をコプロモーターとして含浸された天然層状ケイ酸塩をベースにして球体として形成されたポーラスアモルファスアルミノケイ酸塩担体上にPd/Auの殻を備えた殻触媒である。
【0007】
そのような酢酸アルケニル殻触媒は、通常、対応する金属前駆体化合物の溶液に前記触媒担体が浸される、いわゆる化学的経路によって、例えば、前記担体を前記溶液に浸すことによって、又は、前記担体がその細孔容積に対応する量の溶液で負荷される初期湿り方法(細孔充填方法)によって生成される。
【0008】
前記触媒のPd/Au殻は、例えば、まず第1ステップでPd塩溶液に前記触媒担体を浸し、それから第2ステップで塩基(例えば、NaOH)を用いて前記触媒担体に水酸化鉛化合物の形態でPd成分を固定することにより生成される。それから、別な第3ステップでは、前記触媒担体がAu塩溶液に浸され、そして、Au成分が塩基によって同様に固定される。貴金属成分を前記触媒担体の外殻に固定した後、前記担体は洗浄され、それから乾燥され、任意に焼成され、そして最後に還元される。このようにして生成されたPd/Au殻は、通常約100μm〜500μmの厚みがある。
【0009】
通常、前記貴金属が担持された触媒担体は、最後の固定若しくは還元工程後に酢酸カリウムが負荷されるが、ここでは、貴金属が負荷される外殻でのみ酢酸カリウムの負荷が行われるというよりもむしろ、前記触媒担体が、前記コプロモーターに完全に含浸される。天然層状ケイ酸塩をベースにしたズードケミー アーゲー社製(ミュンヘン、ドイツ)の“KA-160”と呼ばれる球状の担体は、約160m2 /gのBET表面積を有し、主に触媒担体として用いられる。
【0010】
Pd及びAuをベースにした従来技術で知られている殻触媒、及びKA−160担体によって到達される酢酸アルケニル選択性は、供給されたエチレンに対して約90モル%であり、ここでは、反応生成物の残り10モル%は、基本的に、有機遊離体/生成物の全酸化によって生成されるCO2 である。
【0011】
酢酸アルケニル触媒の活量を増加するために、貴金属の沈着前に、活性金属を有さず且つ天然層状ケイ酸塩をベースにした触媒担体は、まずジルコニウムカチオンで表面をドーピングされる。このため、例えば、すでに形成された触媒担体成形体は、ジルコニウム塩化合物の溶液で含浸され、それから焼成される。そのような触媒は、ジルコニウムがドーピングされていない対応する触媒に比して、酢酸アルケニル生産物に対して増加した活量で特徴づけられる。しかし、この増加した活量は、長時間持続しないが、それは、酢酸アルケニル合成における腐食性の雰囲気のために、前記Zrは、前記触媒担体から比較的急速に放出され、その結果、前記触媒の活性化にもはや利用できないからである。含浸によって適用されるジルコニウムは、改質された担体の焼成後でさえ、プロセスコンディションの下で酢酸に対する耐性が十分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、比較的長い期間にわたる酢酸アルケニル活量の比較的高いレベルによって特徴づけられる酢酸アルケニル触媒を作製し得る触媒担体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、天然層状ケイ酸塩及び正方晶変態のZrO2 を含有する物質を備える第1オープンポア触媒担体によって達成される。
【0014】
意外にも、天然層状ケイ酸塩及びZrO2 を含有する物質を備え、該ZrO2 が正方晶変態で存在するオープンポア触媒担体によって、比較的長い期間にわたる比較的高いレベルの酢酸アルケニルの活量によって特徴づけられる酢酸アルケニル触媒が作製され得ることが発見された。
【0015】
ZrO2 は、3つの変態で存在する。ZrO2 は、室温で単斜晶変態で存在し、1170℃を超えた温度で正方晶変態で存在し、2370℃を超え2690℃の融点までの温度で立方晶変態で存在する。
【0016】
本発明に係る触媒担体では、ZrO2 の高温正方晶変態が室温で安定する。
【0017】
本発明に係る第1触媒担体の好ましい実施形態では、沸騰酢酸中の触媒担体は、前記触媒担体に含有されるZrO2 の重量に対してZrO2 換算で計算される0.06重量%未満のZrを放出する。
【0018】
本発明に係る第1触媒担体に含まれるZrO2 の酢酸での溶解度は、比較的低く、従って、前記触媒担体は、ZrO2 をほとんど失わず、その結果、対応する触媒担体の増加された活量を比較的長い期間保持するために、前記第1触媒担体にZrO2 が比較的少なく含まれていてもよい。また、本発明に係る触媒担体を作製するための本発明に係る方法によって、前記触媒担体に含有されるZrO2 の重量に対して、沸騰した酢酸に溶解できるZrO2 が0.05重量%〜0.0001重量%だけである担体を得ることができることを示すことが可能であった。従って、本発明に係る第1触媒担体の好ましい実施形態において、前記触媒担体は、該触媒担体に含有されるZrO2 の重量に対してZrO2 として計算されるZr0.06重量%未満を、沸騰した酢酸に放出するが、好ましくは、0.05重量%〜0.0001重量%、さらに好ましくは0.01重量%〜0.0003重量%、さらに好ましくは0.008重量%〜0.0005重量%、さらにより好ましくは0.003重量%〜0.0008重量%である。
【0019】
本発明に係る触媒担体のZrの放出を測定するために、パウダー状の乾燥触媒担体10gは、還流条件下において常圧で1時間、96%の沸騰した酢酸250mLで煮られる(分析前)。それから、該触媒担体は、フィルターを介して分離され、乾燥するまでろ液が蒸発され、残った固形残さの質量が測定される。この残渣は、使用された触媒担体の量との対比によって、前記触媒担体がどの程度酢酸に溶解できるかの情報をもたらす。前記固形残さのジルコニウムの含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)によって測定され、これにより、前記触媒担体から放出されたZrの量は、ZrO2 として算出される。前記担体に含有されるジルコニウムはすべて酸化ジルコニウムとして存在することが仮定される。酢酸における担体の溶解度を決定するために使用される試料及び薬の量は、より高い精度に到達するために、要求されれば、同じファクターによる各ケースにおいて、スケールアップされ得る。
【0020】
前記触媒担体の全ジルコニウム濃度は、適切な情報及びICP分析によって測定され、これにより、前記担体における全酸化ジルコニウム含有量が計算される。前記担体に含有されるジルコニウムはすべて酸化ジルコニウムとして存在することが仮定される。前記触媒担体に含有されるZrO2 の全量に対する前記触媒担体の沸騰した酢酸へのZrの放出(ZrO2 として計算)は、以下のようにして算出される。
【0021】
前記触媒担体のZrの放出(ZrO2 の放出として計算)(重量%)=(試料から放出されたZr(ZrO2 として計算)〔g〕/(試料の全酸化ジルコニウム含有量〔%〕×触媒担体試料の量〔g〕)×100重量%
例えば、Zr含有量が7.40重量%である触媒担体10g(10gのZrO2 に対応する)は、酢酸で処理される。Zr0.074gは、前記溶出液で検出される。Zrの放出は、(0.074 g*(123.223)/91.224))/10 g = 0.1%として計算される。
【0022】
さらに、本発明は、上記の目的を達成する第2触媒担体に関する。この第2オープンポア触媒担体は、天然層状ケイ酸塩及びZrO2 を含有する物質を備え、沸騰した酢酸における触媒担体が、前記触媒担体に含有されるZrO2 の重量に対してZrO2 として計算されるZrを0.06重量%未満放出する。
【0023】
本発明に係る第2触媒担体に含まれるZrO2 は、酢酸に対して比較的低い溶解度を有し、その結果、対応する酢酸アルケニル触媒の増加した活量を比較的長い期間保持するために前記触媒担体にZrO2 が比較的少なく含まれていてもよい。本発明に係る触媒担体を作製するための本発明に係る方法によって、前記触媒担体に含有されるZrO2 の重量に対して、沸騰した酢酸に溶解するZrO2 が0.05重量%〜0.0001重量%のみである担体が得られ得る。従って、本発明に係る第2触媒担体の好ましい実施形態において、前記触媒担体は、該触媒担体に含有されるZrO2 の重量に対してZrO2 として計算されるZr0.06重量%未満を、沸騰した酢酸に放出するが、好ましくは、0.05重量%〜0.0001重量%、さらに好ましくは0.01重量%〜0.0003重量%、さらに好ましくは0.008重量%〜0.0005重量%、さらにより好ましくは0.003重量%〜0.0008重量%である。酢酸でのZrの放出は、上述したように求められる。
【0024】
本発明に係る触媒担体の次に好ましい実施形態は、本発明に係る第1及び第2両方の触媒担体に関する。
【0025】
本発明に係る触媒担体の好ましい実施形態において、前記触媒担体に含まれるZrO2 の少なくとも50重量%は、正方晶変態で存在する。本発明に係る触媒担体に含まれる正方晶変態のZrO2 の割合は、X線回折法(XRD)によって測定されるので、前記割合は、本発明に係る触媒担体に含有されるX線回折活性ZrO2 のみを参照する。
【0026】
本発明において、本発明に係る触媒担体に含有されるZrO2 の少なくとも50重量%が、X線回折活性であり、より好ましくは少なくとも70重量%、さらに好ましくは少なくとも80重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%である。
【0027】
本発明に係る触媒担体に含まれる、比較的大きな割合のZrO2 は、正方晶変態で存在する。正方晶の酸化ジルコニウムは、比較的高い比表面積を有する。しかしながら、室温で安定な層は、比較的低い比表面積を有する単斜晶の酸化ジルコニウムである。意外にも、層状ケイ酸塩を含有する担体マトリックスに非ドープの水酸化ジルコニウムを導入し続いて焼成することで、表面リッチな正方晶ZrO2 相は、うまい具合に高い収率で生成され安定した。このように、比較的高い酸化ジルコニウムの比表面積は、比較的あまり高価でないジルコニウムを用いる本発明に係る触媒担体でもたらされる。焼成に続いて、触媒担体にジルコニウム塩溶液を含浸することで得られる、従来技術で知られた触媒担体は、前記ジルコニウムに関しては、X線ではアモルファスである。これは、単に、前記ジルコニウムが、ナノ結晶の粒子の形態及び/又はアモルファスの形態で存在することを意味する。
【0028】
従って、本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態において、本発明に係る触媒担体に含有されるZrO2 の少なくとも50重量%は、正方晶変態で存在し、好ましくは50重量%〜100重量%、より好ましくは70重量%〜99重量%、より好ましくは85重量%〜98重量%、より好ましくは90重量%〜97重量%、より好ましくは92重量%〜96重量%、より好ましくは93重量%〜95重量%である。さらに、前記割合は、前記担体に含有されるX線回折活性ZrO2 による。本発明において特に好ましい正方晶ZrO2 の100重量%の割合は、対応するXRDスペクトルで正方晶ZrO2 からの信号のみが同定され、単斜晶又は立方晶変態のZrO2 からの信号がないことを意味する。
【0029】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態において、前記担体のXRDスペクトルで、30.2°の2θでの信号強度に対する28.2°の2θでの信号強度の比が、1以下、好ましくは0.5未満、好ましくは0.3未満、より好ましくは0.05未満、さらに好ましくは0に等しい。前記担体のXRDスペクトルは、立方晶のZrO2 からの信号がないことがさらに好ましい。単斜晶のZrO2 のもっとも大きな強度(hkl 111)のピークは、28.2°の2θにあり、正方晶のZrO2 のもっとも大きな強度(hkl 101)のピークは、30.2°の2θにある。XRDスペクトルは、いわゆる、XRD−差スペクトルである。本発明に係る触媒担体と、参照触媒担体とのXRDスペクトルを同一条件下で測定し、そして、本発明に係る触媒担体のXRDスペクトルから前記参照触媒担体のXRDスペクトルを差し引くことで、前記XRD差スペクトルは求められる。前記参照触媒担体は、該参照触媒担体にZrが加えられていないこと以外は、本発明に係る触媒担体と同様に作製される。XRDスペクトルは、好ましくは、Bruker AXS社製、model D4 ENDEAVOR、Bragg-Brentano型のX線粉末回折計によって測定される。機器のパラメータは、好ましくは以下のとおりである:Cu Kalpha 1.5406 Å、電流電圧 40kV、電流強度 40mA。また、スキャンパラメータは、以下のとおりである:連続スキャン、5°〜90°の2θ、ステップサイズ=0.03° 2θ、ステップ毎の時間=0.5s、発散スリット=12mm 変数、散乱除去スリット=12mm 変数、試料回転:30rpm。
【0030】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態において、前記ZrO2 は、粒子態で存在する。
【0031】
ZrO2 が、本発明に係る触媒担体に正方晶変態で存在すれば、該ZrO2 が前記担体に粒子態で含有される。そうでなければ、前記ZrO2 は、原則として、例えば前記物質の骨格構造に組み込まれる各ZrO2 ユニットの形態で前記担体に含有され得る。しかし、好ましくは、前記ZrO2 は、本発明に係る触媒担体に粒子態で存在する。それによって、前記物質に前記ZrO2 を安定的に取り込むことと、前記触媒担体に含有されるZrO2 の酢酸へのかなり低い溶解度(Zrの放出)とが確保される。
【0032】
前記ZrO2 は、本発明に係る触媒担体に粒子態で含有されるならば、本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態において、前記ZrO2 は、最大限でも50μmの平均粒子径d50、好ましくは最大限でも30μmの平均粒子径d50、さらに好ましくは最大限でも20μmの平均粒子径d50を有する。平均粒子径d50は、電子顕微鏡法(SEM/EDX)による元素分布によって測定される。このため、前記触媒担体のEDXスペクトルの代表であり、ランダムに選択された1mm×1mmのエリアにおける確認できるZrO2 粒子50個の最大寸法は測定され、d50値はそれらから計算される。前記EDX測定は、Bruker AXS社製のエネルギー分散型分光計が備えられたLEO 1530VP走査型電子顕微鏡で行われる。前記測定のために、前記触媒担体は、切り開かれ、グラファイト試料容器に接着される。130kcpsのマンガンKalpha線のための129eVのエネルギー解像度を有する窒素フリーシリコンドリフトチャンバー検出器(XFlash(登録商標)4010)が、検出器として好ましく使用される。
【0033】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態において、前記ZrO2 は、前記物質に統計的に均一に分散して含有される。
【0034】
前記担体のマトリックスに含有されるZrO2 は、より均一に分散されればされるほど、前記触媒担体の達成可能な機械的安定性がより大きくなることが発見された。また、球体としてだけてなく、中空のシリンダー若しくは三つ葉の形態でも存在するZrO2 の均一分布を有する触媒担体は、よい機械的安定性を有することが発見された。したがって、本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態において、前記ZrO2 は、前記物質に均一に分散され、より好ましくは均質的に若しくは統計的に均一に分散される。
【0035】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態において、前記ZrO2 は、前記触媒担体の重量に対して1重量%〜30重量%の割合で前記触媒担体に含まれる。
【0036】
ZrO2 が、1重量%未満の割合で前記触媒担体に含まれる場合には、本発明に係る対応した触媒の酢酸アルケニルの活量は、少しだけ増加され、一方で、30重量%を越える場合には、該触媒の活量の増加が、酢酸アルケニル選択性の顕著な損失に付随して起こり得る。従って、本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態では、前記ZrO2 は、前記触媒担体の重量に対して1重量%〜30重量%、好ましくは5重量%〜20重量%、より好ましくは8重量%〜15重量%の割合で前記触媒担体に含有されている。
【0037】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記ZrO2 の粒子は、前記担体に均一に分散して含有されており、前記担体は、ZrO2 粒子が透過するネットワークを有さず、若しくは実質的に有さない。
【0038】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記ZrO2 粒子は、前記担体の断面に渡って均一に分散され、該担体は、ZrO2 粒子が透過するネットワークを有さず、若しくは実質的に有さない。
【0039】
本発明に係る触媒担体では、前記ZrO2 の含有量は、前記担体マトリックスにおける浸透限界に到達されないように、前記担体中にて得られるZrO2 の粒子の粒子サイズによって選ばれる。次のEDX写真からの例から明らかなように、前記ZrO2 粒子は、個別のユニットとして本質的に存在し、互いに結びつかず、そして前記担体マトリックスに統計的に均一に分散する。浸透理論(Stauffer D. and Aharony A.: Introduction to Percolation Theory, Taylor and Francis, London, 1994を参照。)の意図の範囲内の浸透限界は、前記触媒担体における前記ZrO2 の濃度に関連した閾値を意味し、ここでは、初めて3次元ZrO2 ネットワークが前記担体を完全に透過する。対応する担体を金属塩溶液に含浸させている間に浸透限界を超えた時には、拡散(漏れ)が、前記ZrO2 ユニットにおいて前記担体マトリックスに生じ、これが、前記担体コアに金属塩溶液をより高く若しくはより不均一に導入するのを導き、さらに、殻触媒の形成を妨害することが想定される。
【0040】
天然層状ケイ酸塩は、本発明に係る前記触媒担体に含有されている。 “天然層状ケイ酸塩”は、“フィロケイ酸塩”という語が前記文献で用いられるが、本発明の枠組み内では、すべてのケイ酸塩の基本ユニット構造を形成する四面体のSiO4が一般式[Si2O5]2-の層で互いに架橋されている、処理され若しくは処理されていない天然資源からのケイ酸塩鉱物を意味する。これらの四面体層は、カチオン、主にAl及びMgが、OH若しくはOに8面体に囲まれる、いわゆる八面体層と交互に起こる。例えば、2層フィロケイ酸塩及び3層フィロケイ酸塩との間で区別される。本発明の枠組み内の好ましい層状ケイ酸塩は、粘土鉱物、特に、カオリナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、マイカ、バーミキュライト及びスメクタイトであり、ここでは、スメクタイトが好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。"層状ケイ酸塩”という語の定義は、例えば、"Lehrbuch der anorganischen Chemie", Hollemann Wiberg, de Gruyter, 102nd edition, 2007 (ISBN 978-3-11-017770-1)又は"Rompp Lexikon Chemie", 10th edition, Georg Thieme Verlag under the headword "Phyllosilikat"(「Rompp」の「o」はウムラウト)で見られる。
【0041】
天然層状ケイ酸塩が担体材料として使用される前に受ける典型的な処理は、特に酸、特に塩酸等の鉱酸を用いた処理、及び/又は焼成を含む。
【0042】
本発明の枠組み内の特に好ましい天然層状ケイ酸塩は、モンモリロナイトであり、それは、ベントナイトの形態で好まれて用いられる。ベントナイトは、主成分としてモンモリロナイト(約50重量%〜90重量%)を含有する様々な粘土鉱物の混合物である。さらに付随の鉱物は、とりわけ、石英、雲母及び長石であろう。
【0043】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記天然層状ケイ酸塩は、酸で活性化された層状ケイ酸塩である。
【0044】
酸で活性化された層状ケイ酸塩は、従来技術において知られている(Rompp Lexikon Chemie, 10th edition, Georg Thieme Verlag, headword "Bentonite")(「Rompp」の「o」はウムラウト)。本発明に係る触媒担体の吸着力を増加するために、前記天然層状ケイ酸塩は、好ましくは、酸で活性化された層状ケイ酸塩の形態で前記担体に存在する。さらに好ましくは、前記酸で活性化された層状ケイ酸塩は、酸で活性化されたモンモリナイトであり、本発明において好ましくは、該モンモリナイトは、酸で活性化されたベントナイトの形態で本発明に係る担体に含有される。
【0045】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、酸性度が1μval/g〜150μval/gである。
【0046】
本発明に係る触媒担体の酸化度は、酢酸及びエテンからの酢酸アルケニルの気相合成に関して対応する触媒の性能に、少なくとも間接的に、有利に影響を与え得る。本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、酸化度が、1μval/g〜150μval/g、好ましくは5μval/g〜130μval/g、より好ましくは10μval/g〜100μval/g、特に好ましくは20μval/g〜60μval/gである。前記担体の酸性度は、例えば、前記担体に酸を含浸させることによって増加され得る。
【0047】
触媒担体の酸化度は、次のようにして測定される:水100mL(pHブランク値を有する)が、細かく砕かれた触媒担体1gに加えられ、抽出が、かき混ぜられながら15分間実施される。0.01NのNaOH溶液を用いた少なくともpH7.0への適定は、次のようにして行われるが、まず、NaOH溶液1mLが抽出物に適下され(1滴/秒)、2分間待ち、pHが読まれ、さらにNaOH1mLが適下される等、ここでは適定が段階的に実施される。用いられた水のブランク値は、測定され、酸化度の計算が補正される。それから、滴定曲線(pHに対する0.01N NaOHの量 mL)がプロットされ、前記滴定曲線のpH7での交点が求められる。pH7での交点に対するNaOH消費量から得られるモル当量は、10-6equiv/g担体で計算される。
【0048】
【数1】

【0049】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、平均孔径が8nm〜30nmである。
【0050】
本発明に係る触媒担体の細孔拡散限界をかなり小さく保つために、本発明に係る触媒のさらに好ましい実施形態では、前記触媒担体は、平均孔径が、7nm〜30nm、好ましくは9.5nm〜20nm、特に好ましくは10.5nm〜15nm、最も好ましくは11.5nm〜13.5nmである。平均孔径は、DIN66134(窒素吸着によるメソポーラス固体の孔径分布及び比表面積の測定(Barrett, Joyner and Halenda (BJH)に従ったプロセス))に従って測定される。
【0051】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態では、前記触媒担体は、比表面積が180m2 /g以下である。
【0052】
本発明に係る触媒担体の比表面積が小さければ小さいほど、触媒の活量が実質的に一定でありつつも、本発明に係る触媒担体を用いて作製された酢酸アルケニル触媒の酢酸アルケニル選択性が高くなることが確立された。従って、本発明に係る触媒担体の特に好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、比表面積が180m2 /g以下、好ましくは160m2 /g以下、特には140m2 /g以下、さらに好ましくは137m2 /g以下、より好ましくは135m2 /g以下、さらにより好ましくは133m2 /g以下、特に好ましくは130m2 /g以下である。本発明に係る担体の比表面積は、窒素によってDIN66131(Brunauer, Emmett and Teller (BET)に従ったガス吸着による固体の比表面積の測定)に従って測定される。
【0053】
本発明に於いてさらに好ましくは、前記触媒担体は、比表面積が60m2 /g〜180m2 /g、好ましくは65m2 /g〜160m2 /g、好ましくは70m2 /g〜150m2 /g、さらに好ましくは75m2 /g〜140m2 /g、より好ましくは75m2 /g〜130m2 /g、最も好ましくは80m2 /g〜120m2 /gである。
【0054】
前記触媒担体の、比表面積の大きさ、平均孔径の大きさ、総細孔容積の大きさ等は、特に使用される天然層状ケイ酸塩の質、層状ケイ酸塩に関係する本質及び量等の酸処理方法、使用される鉱酸の濃度、酸処理持続時間及び温度、成形の圧力、焼成の持続時間及び温度、並びに焼成の雰囲気に依存する。
【0055】
本発明に係る触媒担体は、比較的高い安定性を有する。本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、硬度が30N以上、好ましくは50N〜75N、特に好ましくは55N〜70Nである。前記硬度(圧入硬度)は、球形試料で(直径:5mm)、Dr. Schleuniger Pharmatron AG製(スイス)の8Mタブレット−硬度試験機(8M tablet-hardness testing machine)によって測定される。測定前に、前記試料は、130℃の温度で2時間に渡って乾燥される。前記硬度は、99の試料の平均値として計算される。8M tablet-hardness testing machineの以下に示す選びうるパラメータは、以下のようにセットされる。
硬度(ディメンジョン(dimension)):N
試料からの距離:5.00mm
遅延時間:0.80s
フィードタイプ:6D
速度:0.06mm/s
【0056】
本発明に於いて、本発明に係る触媒担体における天然層状ケイ酸塩の、前記触媒担体の重量に対する割合は、好ましくは50重量%以上、好ましくは55重量%〜99重量%、好ましくは60重量%〜97重量%、更に好ましくは65重量%〜95重量%、さらにより好ましくは70重量%〜90重量%である。
【0057】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、総細孔容積が0.25mL/g〜0.7mL/gである。
【0058】
ジルコニウム塩溶液によってZrO2 を表面ドーピングされた従来技術の触媒担体に比して、本発明に係る触媒担体は、比較的大きな細孔容積を有するが、それは、本発明に係る触媒担体の生成の間でZrO2 が導入された際に、前記担体の細孔が塞がれないからである。本発明に係る触媒担体によって作製された酢酸アルケニル触媒の酢酸アルケニル選択性は、前記触媒担体の総細孔容積に依存することが発見された。従って、前記触媒担体は、総細孔容積が、好ましくは0.25mL/g〜0.7mL/g、より好ましくは0.3mL/g〜0.65mL/g、さらに好ましくは0.30mL/g〜0.50mL/gである。前記総細孔容積は、DIN66134(窒素吸着によるメソポーラス固体の孔径分布及び比表面積の測定(Barrett, Joyner and Halenda (BJH)に従ったプロセス))に従って測定される。
【0059】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体の総細孔容積の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%が、メソポーラス及びマクロポーラスで形成されている。その結果、本発明に係る触媒担体によって作製される酢酸アルケニル触媒、特に比較的大きな殻の厚みを有するPd/Au殻触媒の、拡散限界によって影響される減少した活量は、反対に作用する。「ミクロポーラス」、「メソポーラス」、「マクロポーラス」は、それぞれ直径が2nm未満である孔、直径が2nm〜50nmである孔、直径が50nmを越えた孔を意味する。前記総細孔容積におけるメソポーラス及びマクロポーラスの体積割合は、本発明に係る触媒担体の細孔容積分布を用いて確認されるが、それは、DIN 66134(窒素吸着によるメソポーラス固体の孔径分布及び比表面積の測定(Barrett, Joyner and Halenda (BJH)に従ったプロセス))に従って測定される。
【0060】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、直径が6nm〜50nmである前記担体の細孔によって占められる総細孔容積の割合は、66%を超えて、好ましくは66%〜80%、さらに好ましくは68%〜75%である。前記百分率は、DIN66134(窒素吸着によるメソポーラス固体の孔径分布及び比表面積の測定(Barrett, Joyner and Halenda (BJH)に従ったプロセス))に従って測定される孔径分布から計算される。
【0061】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、かさ密度が0.4g/mL以上、好ましくは0.45g/mL以上、好ましくは0.6g/mL以上、特に好ましくは0.6g/mL〜0.75g/mLである。
【0062】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体に含有される天然層状ケイ酸塩は、SiO2 の含有量が、少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは85重量%〜97重量%である。それによって、前記酢酸アルケニル合成における本発明に係る触媒担体の高耐薬品性が確保される。
【0063】
酢酸及びエテンからの酢酸アルケニルの気相合成では、前記天然層状ケイ酸塩における比較的低いAl2 3 含有量は、ほとんど不利ではなく、一方で、高いAl2 3 含有量では、前記触媒担体の圧入硬度の際立った減少が期待される。従って、本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記天然層状ケイ酸塩は、本発明に係る担体に含有される天然層状ケイ酸塩の重量に対して、Al2 3 を5重量%未満、好ましくは0.1重量%〜3重量%、好ましくは0.3重量%〜2.50重量%含有する。
【0064】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、成形体として形成される。
【0065】
特に、殻触媒の作製に関して、本発明に係る触媒担体は、好ましくは成形体として形成される。原則として、前記触媒担体は、当業者にとって知られ且つ本発明に係る目的にとって適切となるいかなる形態も有しうる。例えば、本発明に係る触媒担体は、球体、シリンダー、穴あきシリンダー、三つ葉、リング、星、トーラス、若しくはらせん構造として形成され、好ましくは球体、穴あきシリンダー、若しくは三つ葉として形成される。
【0066】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、最大サイズが、1mm〜25mm、好ましくは3mm〜15mmである。
【0067】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記触媒担体は、球体として形成される。
【0068】
本発明に係る触媒担体のさらに好ましい実施形態に於いて、前記球体は、直径が2mm〜10mm、好ましくは4mm〜8mmである。
【0069】
本発明に係る触媒担体のさらなる実施形態に於いて、前記触媒担体は、Hf、Ti、Nb、Ta、W、Mg、Re、Y及びFeから選ばれる金属の少なくとも一の酸化物、好ましくはHfO2 がドーピングされる。本発明に係る触媒担体を用いて作製された酢酸アルケニル触媒の活量は、前記ドーピングによって増加され得る。
【0070】
前記触媒担体は、Y2 3 及び/又はHfO2 がドーピングされ得る。前記ZrO2 の酢酸に対する高い抵抗に付随して起こるZrO2 の正方晶変態の高いレベルの安定化は、Y2 3 ドーピングによって確保される。HfO2 ドーピングは、対応する酢酸アルケニル触媒の活量の増加に影響を及ぼす。ZrO2 それ自体は、Y2 3 、HfO2 若しくはHfO2 及びY2 3 とともにドーピングされ得る。前記ドーピングされたZrO2 におけるY2 3 の割合は、1重量%〜8重量%、好ましくは3重量%〜5重量%となり、前記ZrO2 におけるHfO2 の割合は、0.1重量%〜5重量%、好ましくは1重量%〜2重量%となる。しかしながら、本発明に於いて、前記触媒担体に含有されるZrO2 は、正方晶相を安定させるドーピング酸化物を含有せず、特にY2 3 を含有しない。前記正方晶相を安定させる酸化金属をドーピングせずとも、本発明に係る担体における正方晶ZrO2 は安定している。
【0071】
本発明に係る触媒担体の好ましい実施形態において、前記触媒担体におけるドーピング酸化物の割合は、前記触媒担体の重量に対して、1重量%〜20重量%、好ましくは2重量%〜10重量%、さらに好ましくは3重量%〜8重量%である。従来技術で知られているように、前記ドーピングは、例えば表面ドーピングによって行われうるか、若しくは前記金属酸化物は、前記触媒担体のマトリックスに組み入れられ得る。
【0072】
さらに好ましい実施形態において、前記触媒担体の吸水度は、40%〜75%、好ましくは50〜70%であり、水吸収による重量増加として計算される。前記吸水度は、気泡が前記担体試料から抜けなくなるまで30分間、脱イオン水に前記担体試料10gを浸すことによって測定される。それから、過剰水は、静かに移され、この浸された試料は、コットンタオルで拭かれて該試料から付着した水分が取り除かれる。それから、水を負荷された担体は、重量を測定され、前記吸水度が以下のようにして計算される。
(水負荷後の重量(g)−水負荷前の重量(g))×10 = 吸水度(%)
【0073】
また、本発明は、粉末状の天然層状ケイ酸塩及び粉末状の水酸化ジルコニウムを備える混合物を作製する工程と、該混合物を620℃を越えた温度で前記混合物を焼成する工程とを有する方法であり、特に本発明に係る触媒担体を作製するための方法である。
【0074】
本発明に係る方法によって作製された触媒担体は、前記触媒に含まれるZrO2 の酢酸に対する比較的低い溶解度を有し、その結果、対応する酢酸アルケニル触媒の増加した活量を比較的長い期間保持するために前記触媒担体にZrO2 が比較的少なく含まれていてもよい。沸騰した酢酸では、本発明に係る方法によって作製された触媒担体は、前記触媒担体に含まれるZrO2 の重量に対して、前記触媒担体に含まれるZrO2 の酢酸での溶解度が、0.0001重量%以上0.06重量%未満である。前記触媒担体に含まれるZrO2 の酢酸での溶解度は、上述したように測定される。
【0075】
また、本発明に係る方法によって作製された触媒担体に含まれるX線回折活性ZrO2 の50%〜100%は、正方晶変態で存在することが発見された。
【0076】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、前記天然層状ケイ酸塩は、酸で活性化された天然層状ケイ酸塩である。
【0077】
本発明に係る方法では、粉末状の天然層状ケイ酸塩及び粉末状の水酸化ジルコニウムを含有する混合物が作製される。前記天然層状ケイ酸塩は、酸で活性化された天然層状ケイ酸塩であろう。酸で活性化された天然層状ケイ酸塩は、従来技術で知られている(Rompp Lexikon Chemie, 10th edition, Georg Thieme Verlag, headword"Bentonite"を参照。(「Rompp」の「o」はウムラウト。))。それらは、天然層状ケイ酸塩を鉱酸、好ましくは塩酸で処理することによって作製される。
【0078】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、前記粉末状の水酸化ジルコニウムは、0.1μm〜3.0μmのd10値、0.5μm〜10μmのd50値、及び1.0μm〜20μmのd90値を有する。
【0079】
本発明の方法によって作製される触媒担体の機械的安定性は、使用される水酸化ジルコニウムの粒子サイズ分布に依存する。粉末状の水酸化ジルコニウムが本発明に係る方法で使用されれば、0.1μm〜3.0μmのd10値、0.5μm〜10μmのd50値、及び1.0μm〜20μmのd90値を有する触媒担体が得られ、55Nを超えるとても高い機械的安定性によって特徴づけられるが、これは、好ましくは5mmの球体として形成される。しかしながら、概して、前記触媒担体におけるZrO2 の含有量が増加すると、低い機械的安定性が測定され得る。また、5mmを超えたサイズの成形体、若しくはシリンダー状の成形体を使用する場合には、90Nを超え、好ましくは120Nを超える機械的安定性が得られうる。
【0080】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、使用される粉末状の層状ケイ酸塩の平均粒子径d50は、使用される水酸化ジルコニウムの平均粒子径d50よりも大きい。
【0081】
もし、本発明に係る方法で使用される天然層状ケイ酸塩の平均粒子径d50が、使用される水酸化ジルコニウムの平均粒子径d50、少なくとも本発明に係る方法の間に正方晶ZrO2 に変質する大部分の平均粒子径d50よりも大きい場合には、本発明に係る方法によって作製された触媒担体の機械的安定性がより大きくなることが発見された。従って、本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、前記層状ケイ酸塩の平均粒子径が、前記水酸化ジルコニウムの平均粒子径よりも大きい。
【0082】
原材料の平均粒子径d50(d10値及びd90値も)は、標準方法に従ったMaster Sizer (Malvern Instruments, GB)でのレーザーによって測定される(他の測定装置は、例えば、同じ測定原理を使用するHoriba LA 500 (Horiba Ltd., JP)又はHelos (Sympatec GmbH, DE)を含む。)。このため、前記Zr(OH)4 若しくは層状ケイ酸塩試料は、水を有する容器に入れられ、それから、この容器は、測定装置に設置される。測定手順は、自動であり、また、d50値の数学的測定を含む。前記d50値は、粒子サイズ分布の(相対)積算曲線から当然に測定されるが、X軸における積算曲線の50重量%のY座標の交点は、望ましいd50値をもたらす。
【0083】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、焼成は、620℃〜800℃の温度で実施される。
【0084】
前記天然層状ケイ酸塩及び水酸化ジルコニウムを含有する混合物が、620℃〜800℃、好ましくは630℃〜750℃、さらに好ましくは650℃〜700℃の温度で焼成されれば、本発明に係る方法によって作製された触媒担体は、特に酢酸でのZrO2 の低い溶解度によって特徴づけられ、そして酢酸アルケニルの作製方法でのZrの低い損失によって特徴付けられることが発見された。前記水酸化ジルコニウムは、前記混合物の焼成の間にZrO2 に変質される。
【0085】
また、前記触媒担体におけるジルコニウムの収率は、ZrO2 の収率として表されるが、上述した温度範囲での焼成によって特に高くなることが発見された。前記ZrO2 の収率は、最初の焼成後及び鉱酸での処理後の触媒担体のZrO2 の含有量に関係する。前記ZrO2 の収率は、次のようにして測定される。
ZrO2 の収率 = 鉱酸処理後の触媒担体における(ZrO2 に変質した)Zr含有量×得られた触媒担体の量/使用された(ZrO2 に変質した)Zrの量
本発明に係る方法によって作製された触媒担体のZrO2 の収率は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%に達する。
【0086】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態において、前記焼成は、3時間〜24時間に渡って実施される。
【0087】
本発明に係る方法で使用される水酸化ジルコニウムをZrO2 にほぼ完全に転換することと、ZrO2 を正方晶変態にほぼ完全に形成することとを確保するために、本発明に係る方法で使用された混合物は、少なくとも3時間に渡って、好ましくは3時間〜24時間に渡って、さらに好ましくは5時間〜10時間に渡って焼成される。
【0088】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、前記混合物は、焼成前に成形体に成形される。前記混合物は、本発明の目的に適し且つ当業者に知られた、いかなる方法及びいかなる装置によっても成形体に形成され得る。従って、成形体の形成は、例えばタブレットプレスによって実施され得る。
【0089】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、前記混合物は、焼成後に鉱酸で処理される。
【0090】
焼成後に得られる固体混合物をきれいにするために、特に、酢酸に溶解できる残りのZrO2 の大部分を取り除くために、本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、前記混合物は、焼成後に鉱酸で処理される。本発明に係る方法に適切であり且つ当業者にとって知られる、いかなる鉱酸も鉱酸として使用され得る。好ましい鉱酸の例は、塩酸、硝酸、硫酸、及びリン酸であり、好ましくは、各ケースで、pH値が2未満、より好ましくはpH値が1未満である。
【0091】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態では、前記鉱酸は塩酸である。
【0092】
本発明に係る方法から得られる焼成された混合物は、塩酸、例えば10〜30%の塩酸で特に効果的に浄化され得ることが発見された。本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態において、前記鉱酸は塩酸である。
【0093】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態において、この焼成された混合物は、鉱酸による処理後に洗浄される。
【0094】
鉱酸での処理後に、前記鉱酸によって前記天然層状ケイ酸塩から溶解された酸残渣及び成分を、この焼成された混合物から取り除くために、この焼成された混合物は、酸処理後に洗浄され、好ましくは水で洗浄される。
【0095】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態において、この焼成された混合物は、洗浄後に再び焼成される。
【0096】
本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態において、この焼成された混合物は、洗浄後に再び焼成され、好ましくは400℃〜800℃の温度で、さらに好ましくは500℃〜600℃の温度で焼成される。第2焼成工程は、前記物質のZrの放出をさらに減らす効果を有する。
【0097】
また、本発明は、本発明に係る方法に従って得られうる触媒担体に関係する。
【0098】
本発明に係る方法によって得られる触媒担体の好ましい実施形態では、前記触媒担体は、天然層状ケイ酸塩及び正方晶変態のZrO2 を含有し、ここでは、さらに好ましくは、前記触媒担体に含有されるZrO2 の少なくとも50重量%が、正方晶変態で存在し、好ましくは90重量%、より好ましくは95重量%〜100重量%である。
【0099】
さらに、本発明は、図2に係るXRDスペクトルを有する触媒担体に関係する。
【0100】
さらに、本発明は、本発明に係る第1触媒担体の使用と、本発明に係る第2触媒担体の使用と、本発明に係る方法によって得られた触媒担体の使用と、及び酢酸アルケニルの合成のための触媒の作製での図2のXRDスペクトルによって特徴づけられた本発明に係る触媒担体の使用とに関係する。
【0101】
本発明に係る使用の好ましい実施形態では、前記触媒は、酸化数0のPd及びAuが含有される殻の殻触媒である。
【0102】
本発明を説明するために図面を参照しつつ以下の例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】例1に係る本発明に係る第1触媒担体のEDX写真の部分。
【図2】本発明に係る第1触媒担体のXRDスペクトル。
【図3】例1aに係る本発明に係る第2触媒担体のEDX写真の部分。
【図4】例4に係る従来技術の触媒担体のXRDスペクトル。
【図5】例4に係る触媒担体のEDX写真の部分。
【実施例】
【0104】
例1:
層状ケイ酸塩として主な構成物質モンモリロナイトを有し且つ酸で処理され且つ乾燥された粉末状のベントナイト(酸で活性化されたベントナイト)500gは、約1μmのd10値、約5μmのd50値、約7μmのd90値を有する、ZrO2 61.875gに対応する量の市販のZr(OH)4 と、有機結合剤/孔形成薬10gとに混合された。
【0105】
水は、得られた混合物に加えられ、それは、ミキサーで練り物に加工されるが、該練り物から、球状の成形体(d=5mm)が錠剤プレスによる圧力のもとで作製される。硬化のために、前記球体は、乾燥され、5時間に渡って650℃の温度で焼成された。焼成後、前記成形体は、30時間に渡って20%塩酸で処理され、たくさんの水で洗浄され、5時間に渡って600℃の温度で焼成された。このようにして得られた成形体は、表1に示される特徴を有する。
【0106】
【表1】

【0107】
例1に係る触媒担体は半分にされ、半分の切断面はエネルギー分散型X線分光法(EDX)によって測定された。図1は、EDX写真の部分を示す。前記担体マトリックスにおけるZrO2 粒子(ダークスポット)の均一な統計的分布は、明らかに現れる。
【0108】
例1に係る触媒担体は、挽かれて粉にされ、X線回折法によって測定された。得られたXRDスペクトルは、図2に示される。正方晶のZrO2 からの信号のみが、XRDスペクトルで同定され得る。単斜晶若しくは立体晶のZrO2 は、前記スペクトルで同定されない。
【0109】
例1a:
触媒担体は、ZrO2 132gに対応した市販のZr(OH)4 の量が使用されたこと以外は、例1と同様に作製された。このようにして得られた成形体は、表1aに示される特徴を有する。
【0110】
【表1a】

【0111】
例1aに係る触媒担体は、半分にされ、半分の切断面がEDXによって測定された。図3は、EDX写真の部分を示す。前記担体マトリックスにおけるZrO2 粒子(ライトスポット)の均一な統計的分布は、明らかに現れる。
【0112】
例1b:
触媒担体は、前記触媒担体が8時間だけ塩酸で処理されたこと以外は例1と同様に作製された。このようにして得られた成形体は、表1bに示される選ばれた特徴を有する。
【0113】
【表1b】

【0114】
例2:
触媒担体は、成形後に550℃だけで第1焼成が実施されたこと以外は同様に作製された。このようにして得られた成形体は、表2に示される選ばれた特徴を有する。
【0115】
【表2】

【0116】
このようにして得られた担体は、76%だけのZrO2 の収率と、9.6重量%のZrO2 含有量を有する。
【0117】
例3(比較例):
商標名が「KA−160」であり、ズード−ケミー アーゲー(ミュンヘン、ドイツ)から販売されている触媒担体は、表3に示される特徴を有する。
【0118】
【表3】

【0119】
例4(比較例):
(US 5,808,136を参照。)Zr含有量が15.5重量%である酢酸ジルコニウム(ZrO(OAc)2 )の水溶液74.6gは、水約8.5mLで希釈された。例3に係るズード−ケミー アーゲー製の100gの触媒担体KA−160が、上記溶液に含浸された。含浸された担体は、乾燥され、500℃で焼成された。得られた触媒担体は、ジルコニウム含有量が約10重量%である(13.53重量%のZrO2 に対応しているとして計算される。)。前記触媒のさらなる特徴は、表4に示される。
【0120】
【表4】

【0121】
図4は、例4によって作製された触媒担体のXRDスペクトルを示す。前記担体におけるZrが、X線回折活性酸化物の形態で存在しないことは、前記スペクトルから明らかである。
【0122】
例4に係る触媒担体は、半分にされ、半分の切断面は、EDXによって測定された。図5は、EDX写真の部分を示す。粒子を含有する個別のジルコニウムは、見られない。
【0123】
例5(比較例):
触媒担体は、20%硝酸ジルコニル溶液57.8gを水19.7mLで希釈したものが使用されたこと以外は例1と同様にして作製された。このようにして得られた担体の特徴は、表5に示される。
【0124】
【表5】

【0125】
比較の概説:
表6では、例3、4、1及び1aの平均孔径、総細孔容積、前記総細孔容積における特定の孔径の割合が対比される。
【0126】
【表6】

【0127】
例4に係るZrを例3の市販のKA−160担体に後含浸をすることは、総細孔容積の大幅な減少を導き、細孔を狭くする。2nm〜6nmの細孔の割合は、6nmよりも大きいメソポーラスを消費にしてかなり増加する。しかしながら、本発明によって作製され、例1及び1aによる本発明に係る方法によって作製された触媒担体は、例3の触媒担体に比して、12.8重量%又は24.5重量%のZrO2 をドーピングしたにもかかわらず、平均孔径が増加された場合は、メソポーラスの割合が、全体的に高く、若しくは少なくとも匹敵する。
【0128】
例1、1a、1b、2、4、及び5のZrの放出は、表7で対比される。
【0129】
【表7】

【0130】
例1、1a、1b、2の触媒担体は、例4、5に比してZrの放出が明らかに減少している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然層状ケイ酸塩及び正方晶変態のZrO2 を含有する物質を備えてなるオープンポア触媒担体。
【請求項2】
含有されるZrO2 の重量に対して、沸騰した酢酸中で、ZrO2 として計算されたZrを0.06重量%未満放出することを特徴とする請求項1に記載の触媒担体。
【請求項3】
天然層状ケイ酸塩及びZrO2 を含有する物質を備えてなるオープンポア触媒担体であって、
含有されるZrO2 の重量に対して、沸騰した酢酸中で、ZrO2 として計算されたZrを0.06重量%未満放出することを特徴とするオープンポア触媒担体。
【請求項4】
含有される少なくとも50重量%のZrO2 が、正方晶変態で存在することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項5】
前記ZrO2 が、粒子状で存在することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項6】
前記ZrO2 が、前記物質に均一に分散して含有されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項7】
前記ZrO2 が、1重量%〜30重量%の割合で含有されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項8】
前記ZrO2 の粒子が、触媒担体の断面に対して均一に分散されており、ZrO2 粒子が浸透するネットワークを本質的に備えないことを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項9】
前記天然層状ケイ酸塩が、酸で活性化された層状ケイ酸塩であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項10】
酸化度が、1μval/g〜150μval/gであることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項11】
平均孔径が、7nm〜30nmであることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項12】
比表面積が180m2 /g以下であることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項13】
比表面積が180m2 /g〜60m2 /gであることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項14】
硬度が30N以上であることを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項15】
前記天然層状ケイ酸塩の割合が、少なくとも50重量%であることを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項16】
総細孔容積が0.25ml/g〜0.7ml/gであることを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項17】
総細孔容積の少なくとも80%が、メソポーラス及びマクロポーラスから形成されていることを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項18】
かさ密度が0.45g/mLを超えることを特徴とする請求項1〜17の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項19】
前記天然層状ケイ酸塩が、少なくとも65重量%のSiO2 含有量を有することを特徴とする請求項1〜18の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項20】
前記天然層状ケイ酸塩が、Al2 3 を5重量%未満含有することを特徴とする請求項1〜19の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項21】
成形体として形成されることを特徴とする請求項1〜20の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項22】
最大サイズが1mm〜25mmであることを特徴とする請求項1〜21の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項23】
球体であることを特徴とする請求項21又は22に記載の触媒担体。
【請求項24】
前記球体の直径が2mm〜10mmであることを特徴とする請求項23に記載の触媒担体。
【請求項25】
Hf、Ti、Nb、Ta、W、Mg、Re、Y及びFeからなる群より選ばれた金属の少なくとも一の酸化物がドーピングされたことを特徴とする請求項1〜24の何れか一項に記載の触媒担体。
【請求項26】
ドーピング酸化物の割合が、1重量%〜20重量%であることを特徴とする請求項25に記載の触媒担体。
【請求項27】
粉末状の天然層状ケイ酸塩及び粉末状の水酸化ジルコニウムを含有する混合物を作製する工程と、該混合物を620℃を超えた温度で焼成する工程と備える方法。
【請求項28】
前記天然層状ケイ酸塩が酸で活性化された天然層状ケイ酸塩であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記粉末状の水酸化ジルコニウムが、0.1μm〜3.0μmのd10値、0.5μm〜10μmのd50値、及び1.0μm〜20μmのd90値を有することを特徴とする請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記層状ケイ酸塩の平均粒子径が、水酸化ジルコニウムの平均粒子径よりも大きいことを特徴とする請求項27〜29の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記焼成は、620℃〜800℃の温度で実施されることを特徴とする請求項27〜30の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記焼成は、3〜24時間に渡って実施されることを特徴とする請求項27〜31の何れか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記混合物は、前記焼成前に成形体に形成されることを特徴とする請求項27〜32の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記混合物は前記焼成後に鉱酸で処理されることを特徴とする請求項27〜33の何れか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記鉱酸が塩酸であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
焼成された混合物が、鉱酸による処理後に洗浄されることを特徴とする請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
焼成された混合物が洗浄後に再度焼成されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項27〜37の何れか1項に記載の方法によって得られうる触媒担体。
【請求項39】
請求項1〜26の何れか1項に記載の触媒担体、又は酢酸アルケニルの合成のための触媒の作製における請求項38に記載の触媒担体の使用。
【請求項40】
前記触媒が、酸化数0のPd及びAuが含有される殻の殻触媒であることを特徴とする請求項39に記載の使用。

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−510354(P2012−510354A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537891(P2011−537891)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008469
【国際公開番号】WO2010/060637
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(508131358)ズード−ケミー アーゲー (30)
【Fターム(参考)】