説明

計量注出容器

【課題】部品点数の増加を抑えつつ、計量された内容物を確実に目的とする被注出部分に注出できる使い勝手の良好な、新規な計量注出容器を提供する。
【解決手段】先端が筒状部11cを通って外界に露出する可動栓13と、天壁を有し本体に着脱可能に取り付けられるキャップとを備え、キャップの周壁の内面に、可動栓のリップ13hに着脱可能に係合するリブを設け、キャップの取り外しに伴う可動栓の引き上げで、シェル11の内側に内容物を供給する一方、可動栓の押し下げで、注出させる計量注出容器であって、可動栓は、シャフト部12bを取り囲む筒状周壁13aによりその内側に貫通孔が形成された筒体からなり、中栓12は、仕切壁12aをシャフト部12b周りに窪ませてなる環状凹部12cを有し、この環状凹部12cを、開閉可能に封止する弾性弁14を一体に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップの取り外しに伴う可動栓の引き上げ操作に次いで容器を倒立させることで、容器からの内容物を一定量だけ計量した後、当該可動栓の押し下げ操作により、かかる計量済みの内容物を小出しに注出することができる計量注出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の計量注出容器には、容器本体の口部の外側に装着される装着筒を有し当該装着筒から上方に膨出するドーム部及び当該ドーム部から起立する筒状部が形成されたシェル部材と、
このシェル部材の内側に嵌合して当該シェル部材と口部とを仕切る仕切壁を有し容器本体の倒立によって当該容器本体の内容物をシェル部材の内側に供給する供給孔が形成された中栓と、
この中栓の仕切壁から起立するシャフト部に沿って上下に移動可能に支持されると共に、先端がシェル部材の筒状部を通って外界に露出する可動栓と、
この可動栓の上側に配置される天壁を有し、容器本体の口部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備え、
このキャップの取り外しに伴う可動栓の引き上げで、当該可動栓の先端注出口に通じる連通孔をシェル部材の筒状部で閉じると共に中栓の供給孔を開いてシェル部材の内側に内容物を供給する一方、当該可動栓の押し下げで、供給孔を閉じると共に前記連通孔をシェル部材の筒状部から開くことでシェル部材内の内容物を先端注出口から注出させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3759428号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術は、シェル部材内に内容物を計量した後、容器本体を倒立させて内容物を注出させる際に、内容物が不意に流出してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記のような事実に鑑みてなされたものでありその目的とするところは、部品点数の増加を抑えつつ、計量された内容物を確実に目的とする被注出部分に注出できる使い勝手の良好な、新規な計量注出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の計量注出器は、口部を有しその内側に内容物が充填される容器本体と、
この容器本体の口部の外側に装着される装着筒を有し当該装着筒から上方に膨出するドーム部及び当該ドーム部から起立する筒状部が形成されたシェル部材と、
このシェル部材の内側に配置されて当該シェル部材と口部とを仕切る仕切壁を有し容器本体の倒立によって当該容器本体の内容物をシェル部材の内側に供給する供給孔が形成された中栓と、
この中栓の仕切壁から起立するシャフト部に沿って上下に移動可能に支持されると共に、先端がシェル部材の筒状部を通って外界に露出する可動栓と、
この可動栓の上側に配置される天壁を有し、容器本体の口部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備え、
このキャップの天壁から当該キャップを閉じたときに可動栓を取り囲む周壁を垂下させると共に、当該周壁の内面に、当該キャップを閉じたときに可動栓の外面から膨出する第1係合部に着脱可能に係合する第2係合部を設け、
キャップの取り外しに伴う可動栓の引き上げで、当該可動栓の筒状周壁に貫設される連通孔をシェル部材の筒状部で閉じると共に中栓の供給孔を開いてシェル部材の内側に内容物を供給する一方、当該可動栓の押し下げで、供給孔を閉じると共に前記連通孔をシェル部材の筒状部から開くことでシェル部材内の内容物を先端注出口から注出させる計量注出容器であって、
この可動栓は、中栓のシャフト部を取り囲む筒状周壁によりその内側に貫通孔が形成された筒体からなり、
当該筒状周壁の内面に、シャフト部に摺動可能に接触する内面シール部を備えると共に、当該筒状周壁にその内側に形成した貫通孔よりなる流路を介して先端注出口に通じる前記連通孔が形成され、
中栓は、仕切壁をシャフト部周りに窪ませてなる環状凹部を有し、この環状凹部を、可動栓を押し下げたときに、当該可動栓の下端部が収納されるように形成すると共に、当該環状凹部に供給孔を形成することで、可動栓の下端部外面を、環状凹部を形作る外筒面に摺動可能に接触して当該供給孔を閉じる外面シール部として機能させ、
更に、当該シャフト部の先端に、可動栓を押し下げたときに、先端注出口を流路から開閉可能に封止する弾性弁を一体に設けたことを特徴とするものである。
【0007】
弾性弁としては、例えば、先端注出口から先端が露出する押圧部を有する弁体と、この弁体をシャフト部の先端に繋げる波形の弾性部とからなるものが挙げられる。当該弾性部によれば、その肉厚、形状などを適宜選択することによって、目的とする弾性力(付勢力)に調整し、適切な密閉性を達成することができる。
【0008】
また、可動栓には、その先端注出口周りに、外向きに膨出する係合用リップを設け、この係合用リップをキャップの裏面から垂下された周壁内面に設けた係合用リブに着脱可能に係合させることで、キャップの取り外しと同時に、可動栓を引き上げるように構成する。更に、可動栓の押し下げに関しても、キャップの裏側に押圧用の突起を設けることで、キャップを閉めたときに、当該突起が可動栓を押し下げるように構成することができる。
【0009】
また、装着筒としては、容器の外側に螺着されるものや、容器の外側に嵌合させるもの等が挙げられるが、容器の外側に嵌合させる場合には、容器の外側から突出する突起が引っ掛かって当該装着筒を係止する段部を形成する係止孔を備えるものが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、キャップの取り外しに伴い可動栓を引き上げた後、その先端注出口が下向きになるように、容器ごと倒立させるに次いで、当該可動栓を再び押し込めば、シェル部材と中栓との間に一定量の内容物を閉じ込めることができる。このため、容器を元の状態に戻しても、閉じ込められた内容物が容器内に戻ることがない。即ち、本発明では、従来と同様の操作で、常に一定量の内容物を計量することができる。
【0011】
しかも、可動栓を押し下げた状態では、当該可動栓の先端注出口が弾性弁で封止されるため、この状態で容器を倒立させても内容物が不意に流出したり、飛散したりすることがなく、目的とする被注出部分に対して、確実に注出することができる。
【0012】
内容物の注出に際しては、可動栓から突出する弾性弁の弁体を押し込めば、従来と同様、かかる計量済みの内容物を、その押し込み時間に応じた小出しの注出が可能となる。
【0013】
また、本発明では、可動栓を筒体とし、中栓のシャフト部の先端に弾性弁を一体に設けているため、この弾性弁の上から可動栓を被せるだけの簡単な組み付け作業により、この可動栓の内側に形成した流路(貫通孔)内に弾性弁を配置することができる。このため、部品点数の増加を抑制することができる。
【0014】
従って、本発明によれば、部品点数の増加を抑えつつ、計量された内容物を確実に目的とする被注出部分に注出できる使い勝手の良好な、新規な計量注出容器を提供することができる。
【0015】
加えて、装着筒に、容器の外側から突出する突起が引っ掛かって当該装着筒を係止する段部を形成する係止孔を設ければ、容器に対する高い嵌合強度が得られるため、口部の開封が阻止されることによって、内容物に対する品質保証の役目も果たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一形態である計量注出容器を側面から示す要部断面図である。
【図2】同形態を、キャップを取り外した状態で示す要部断面図である。
【図3】図2のX−X断面図である。
【図4】(a),(b)はそれぞれ、同形態からの注出が可能な状態及び、その注出時の状態を示す要部断面図である。
【図5】同形態に係るキャップの内装体を一部断面で示す正面図である。
【図6】同形態に係るシェル部材の装着筒の嵌合部を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の計量注出器を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一形態である計量注出容器を側面から示す要部断面図である。また、図2は、同形態の計量注出器10を、キャップ30を取り外した状態で示す要部断面図である。更に、図3は、容器本体20の口部21を省略して示す図2のX−X断面図である。なお、図2は、本発明に従う計量注出容器を図3のY−Y断面に相当する断面にて示す。加えて、図4(a),(b)はそれぞれ、計量注出器10からの注出が可能な状態及び、その注出時の状態を示す要部断面図である。図5は、キャップ30の内装体31を一部断面で示す正面図である。図6はそれぞれ、同形態に係るシェル部材11の装着筒11aの嵌合部と、従来の嵌合部とを示す要部断面図である。
【0019】
符号11は、図1に示すように、容器本体20の口部21の外側に装着される装着筒11aを有し当該装着筒11aから上方に膨出するドーム部11b及び当該ドーム部11bから起立する筒状部11cが形成されたシェル部材である。
【0020】
符号12は、シェル部材11の内側に嵌合して当該シェル部材11と口部21とを仕切る仕切壁12aを有する中栓である。仕切壁12aからは、シャフト部12bが軸線Oに沿って起立する。
【0021】
また、仕切壁12aには、図2に示すように、軸線O(シャフト部12b)周りに下向きに窪んだ環状凹部12cが形成されている。環状凹部12cには、図3に示すように、軸線O周りに間隔を空けて、容器本体20の倒立によって当該容器本体20の内容物をシェル部材11の内側に供給する3つの貫通孔(以下、「供給孔」という)A1が形成されている。本形態の供給孔A1は、図2に示すように、環状凹部12cを形作る内筒部12c1と底部12c2との間の領域に形成されている。
【0022】
なお、本形態では、仕切壁12aの裏面(下面)に、口部21の内側を垂下する筒状部12dが一体に設けられている。この筒状部12dの外面には更に、当該外面の一部から膨出し、口部21の内面を液密状態に保持する環状のシール部12eが一体に設けられている。
【0023】
また、本発明によれば、中栓12がシェル部材11の内側に嵌合することで、シェル部材11と中栓12とを一体化させているが、本形態では、仕切壁12aの外縁上部に軸線O周りに環状の嵌合膨出部12fを形成し、この嵌合膨出部12fを、シェル部材11の装着筒11aとドーム部11bとの連結部内側に環状に設けられた嵌合溝部11dにアンダーカット嵌合(段差による引っ掛かりを伴う嵌合)させることで、かかる一体化を実現している。
【0024】
符号13は、シャフト部12bに沿って上下に移動可能に支持される可動栓である。可動栓13は、その内側に貫通孔が形成された筒体からなる。可動栓13を形作る筒状周壁13aは、シャフト部12bを取り囲む大径の可動栓基部13a1と、この可動栓基部13a1と一体に繋がり、当該可動栓基部13a1よりも小径な可動栓本体部13a2とからなる。
【0025】
筒状周壁13aのうち、可動栓基部13a1の内面には、シャフト部12bに摺動可能に接触する内面シール部13bを備える。また、内面シール部13bよりも上方の貫通孔によって先端注出口A2に通じる流路Cが形成される。内面シール部13bは、可動栓基部13a1の内面からシャフト部12bを取り囲むように環状に膨出することで、シャフト部12bとの間の液密性を確保すると共に、シャフト部12bに沿った可動栓13のスムースな上下動も確保する。
【0026】
可動栓13の流路Cには、可動栓基部13a1と可動栓本体部13a2との内径差によって、軸線O周りに内向きに突出する環状段差13cが形成されている。
【0027】
これに対し、シャフト部12bには、その先端外縁を軸線O周りに環状に窪ませてなる環状段差12gが形成されている。この環状段差12gは、可動栓13の環状段差13cと接触することで、可動栓13の下死点を規定する。可動栓13の先端(以下、「可動栓先端という」)13eは、当該可動栓13が下死点にある状態でも、図1等に示すように、シェル部材11の筒状部11cを通って外界に露出する。
【0028】
また、可動栓13には、図2に示すように、可動栓基部13a1と可動栓本体部13a2との外径差によって、軸線O周りに外向きに突出する環状段差13dが形成されている。
【0029】
これに対し、筒状部11cには、その下端内縁を軸線O周りに環状に窪ませてなる環状段差11eが形成されている。この環状段差11eは、可動栓13の環状段差13dと接触することで、可動栓13の上死点を規定する。これにより、可動栓13が上死点に達しても、当該可動栓13は、図2等に示すように、シェル部材11から抜け落ちることがない。
【0030】
なお、筒状部11cの内面には、可動栓本体部13a2を取り囲んで当該内面の一部から一体に膨出する環状のシール部11fが一体に形成されている。シール部11fは、可動栓本体部13a2に摺動可能に接触することで、可動栓本体部13a2との間の液密性を確保すると共に、シャフト部12bに沿った可動栓13のスムースな上下動も確保する。
【0031】
これに対し、中栓12の環状凹部12cは、図1等に示すように、可動栓13を押し下げたときに、その可動栓基部13a1の下端部を収納するように形成されている。このため、本発明では、可動栓13の下端部外面を、環状凹部12cを形作る外筒部12c3の側面fに摺動可能に接触して当該供給孔A1を閉じるシール部として機能させる。
【0032】
特に、本形態では、図2に示すように、可動栓基部13a1の下端部外面の一部を、その軸線O周りに環状に膨出させ、膨出部13fを設け、この膨出部13fを外面シール部(以下、「外面シール部13f」という)とする。これにより、後述のキャップ30の取り外しに伴う可動栓13の引き上げで、図2に示すように、供給孔A1を開いてシェル部材11の内側に容器21からの内容物を供給する一方、当該キャップ30の取り付けに伴う可動栓13の押し下げで、図1に示すように、供給孔A1を閉じてシェル部材11の内側に容器21からの内容物が供給されることを阻止する。
【0033】
これに対し、可動栓本体部13a2を形作る筒状周壁には、図4に示すように、シェル部材11と中栓12との間に形成された貯留空間Rを流路Cに通じさせる複数の連通孔A3が形成されている。連通孔A3は、可動栓13の引き上げで、図2に示すように、筒状部11cの内面で閉じられるときには、貯留空間R内の内容物を流路Cに導くことなく封止される一方、可動栓13の押し下げで、図4に示すように、貯留空間R内の内容物を当該流路Cに導く。これにより、可動栓13の引き上げで、先端注出口A2に通じる連通孔A3を筒状部11cで閉じた状態で貯留空間Rに内容物を計量した後、当該可動栓13の押し下げで、連通孔A2を筒状部11cから開くことで、計量されたシェル部材11内の内容物を先端注出口A2から注出することができる。
【0034】
符号14は、図4に示すように、シャフト部12bの先端に、可動栓13を押し下げたときに、先端注出口A2を流路Cから開閉可能に封止する弾性弁である。弾性弁14は、弁体14aを有し、この弁体14aが波形の弾性部14bを介して一体成形されている。
【0035】
弁体14aは、図4(a)に示すように、先端注出口A2を形作る先端注出口縁部13gに抜け止め保持されるフランジ部14a1と、このフランジ部14a1に一体に繋がり先端注出口A2から露出する押圧部14a2とからなる。
【0036】
押圧部14a2には、その軸線O周りに複数の切り欠き14a3が形成されている。これにより、弁体14aが弾性部14bからの付勢力に抗して可動栓13の流路C内に押し込まれて、フランジ部14a1が先端注出口縁部13gから離間すると、図4(b)に示すように、流路C内の内容物は、先端注出口A2と切り欠き14a3との間の隙間を経て外界に注出することができる。逆に、弁体14aの押し込みを解除すれば、図4(a)に示すように、弁体14aは弾性部14bからの付勢力により先端注出口A2を封止する。
【0037】
また、可動栓13には、その先端注出口A2周りに、外向きに環状に膨出する係合用リップ(以下、「リップ」という)13hが設けられている。本形態では、リップ13hをキャップ30の裏面から垂下された周壁31b内面に設けた係合用リブ(以下、「リブ」という)30aに着脱可能にアンダーカット嵌合させることで、図2に示すように、キャップ30の取り外しと同時に、可動栓13を引き上げるように構成している。
【0038】
キャップ30は、内装体31と外装体32との二重壁構造である。内装体31は、図5に示すように、計量注出器10の上側に配置される天壁31aを有し、この天壁31aからは、図1に示すように、当該キャップ30を閉じたときに可動栓13を取り囲む周壁31bが一体に垂下している。
【0039】
リブ30aは、図5に示すように、当該周壁31bの内面の一部を軸線O周りに環状に膨出させてなる。これにより、リブ30aは、図1に示すように、キャップ30を閉じたときに可動栓13のリップ13hに着脱可能にアンダーカット嵌合する。
【0040】
更に、キャップ30は、可動栓13の押し下げに関しても、図5に示すように、内装体31の裏側(周壁31bの内面)に押圧用の突起30bを設けることで、キャップ30を閉めたときに、図1に示すように、この押圧用突起30bが可動栓13の先端13eを押し下げるように構成している。
【0041】
なお、本形態では、キャップ30を内装体31と外装体32との二重壁構造とし、この内装体31に、リブ30a及び押圧用突起30bを設けているが、キャップ30は単一部材からなるキャップであってもよい。
【0042】
次に、本形態の作用を説明する。
【0043】
本形態では、図1に示す状態からキャップ30を外すべく、当該キャップ30を回して引き上げると、キャップ30のリブ30aが可動栓13のリップ13hに引っ掛かっているため、可動栓13もいっしょに引き上がる。リブ30aとリップ13hとの引っ掛かりは、一定の力で外れるため、最終的には、図2に示すように、可動栓13を上死点まで引き上げた後、キャップ30は容器本体20の口部21から外れる。
【0044】
この引き上げで、当該可動栓13は、図2に示すように、連通孔A3を筒状部11cで閉じると共に供給孔A1を開く。これにより、その先端注出口A2が下向きになるように、容器本体20ごと倒立させれば、容器本体20内の内容物は、その口部21から供給孔A1を経てシェル部材11と中栓12との間に形成された貯留空間R内に供給される。
【0045】
次いで、可動栓13を被注出部分(被塗布面)に当てる等して再び押し込めば、可動栓13は、その外面シール部13fを介して中栓12の環状凹部12cの外筒部12c3との気密性を確保しながら下降することで、図4(a)に示すように、シェル部材11に押し込まれた状態になり、供給孔A1は、図1及び図4(a)に示すように封止されるものの、連通孔A3は、貯留空間Rを流路Cに連通させる。
【0046】
しかしながら、本形態では、図4(a)に示すように、弁体14aが弾性部14bからの付勢力により先端注出口A2を封止し続ける。これにより、シェル部材11と中栓12との間の貯留空間および流路Cに一定量の内容物を閉じ込めることができる。即ち、本形態では、従来と同様の操作で、常に一定量の内容物を計量することができる。
【0047】
つまり、可動栓13を押し込んだ状態でも、当該可動栓13の先端注出口A2は、図4(a)に示すように弾性弁14で封止されるため、不意に、計量された内容物が先端注出口A2から飛散するようなことがない。
【0048】
内容物の注出に際しては、図4(b)に示すように、可動栓13から突出する弁体14aを被注出部(被塗布面)に押し当てて押し込めば、従来と同様、かかる計量済みの内容物を、その押し込み時間に応じた小出しの注出が可能となる。
【0049】
また、本発明では、可動栓13を筒体としたため、本形態の如く、シャフト部12bの先端に弾性弁14を一体に設けても、この弾性弁14の上から可動栓13を被せるだけの簡単な組み付け作業により、この可動栓13の内側に形成した流路(貫通孔)C内に弾性弁14を配置することができる。
【0050】
従って、本形態によれば、部品点数の増加を抑えつつ、計量された内容物を確実に目的とする被注出部分に注出できる使い勝手の良好な、新規な計量注出器を提供することができる。
【0051】
また本形態は、可動栓13の内面に内面シール部13bを設けると共に、その外面に外面シール部13fを設け、各シール部13b及び13fがそれぞれ、シャフト部12bの外面及び、凹部外筒部12c3の内面に摺動するように構成しているため、中栓11に形成された供給孔A1を効果的に密閉することができ、且つ、可動栓13の安定した上下動を実現できる。
【0052】
加えて、本形態では、装着筒11aを口部21に装着するに際し、図6に示すように、口部21の外面に、全周に亘って連続した環状の係止突起22を設け、当該係止突起22によって装着筒11aを固定している。
【0053】
詳細には、装着筒11aに係止孔hを設けることで、係止段部11gを形成し、この係止段部11gに、係止突起22を引っ掛かけるようにしてアンダーカット嵌合させている。この場合、図6の領域Yに示すように、係止段部11gの先端は、水平に張り出して鋭利な形状となるので、係止突起22を確実に引っ掛けることができ、嵌合強度が向上する。
【0054】
かかる構成によれば、嵌合強度が高まることで、容器本体20の口部21の開封が阻止されることによって、内容物に対する品質保証の役目も果たす。
【0055】
上述したところは、本発明の一形態を示したに過ぎず、特許請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。例えば、可動栓の外観形状は、本形態のような円筒形状ではなく、角形状とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、一定量だけ計量した後、かかる計量済みの内容物を小出しに注出することが求められるものに採用することができ、その内容物には、例えば、育毛剤等の薬液や化粧液等が挙げられる。
【符号の説明】
【0057】
10 計量注出器
11 シェル部材
11a 装着筒
11b ドーム部
11c 筒状部
11d 嵌合溝部
11e 環状段差
11f 環状シール部
11g 係止段部
12 中栓
12a 仕切壁
12b シャフト部
12c 環状凹部
12c1 凹部内筒部
12c2 凹部底部
12c3 凹部外筒部
12e 環状シール部
12f 嵌合膨出部
12g 環状段差
13 可動栓
13a 可動栓筒状周壁
13a1 可動栓基部
13a2 可動栓本体部
13b 内面シール部(可動栓内面側環状シール部)
13c 内側環状段差
13d 外側環状段差
13e 可動栓先端
13f 外面シール部
13g 先端注出口縁部
13h 係合用リップ
14 弾性弁
14a 弁体
14a1 フランジ部
14a2 押圧部
14a3 切り欠き
14b 弾性部
20 計量注出容器
21 容器口部
22 係止突起
30 キャップ
30a 係合用リブ
30b 押圧用突起
31 キャップ内装体
31a 天壁
31b 周壁
32 キャップ外装体
1 供給孔
2 先端注出口
3 連通孔
C 流路
h 係止孔
R 貯留空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有しその内側に内容物が充填される容器本体と、
この容器本体の口部の外側に装着される装着筒を有し当該装着筒から上方に膨出するドーム部及び当該ドーム部から起立する筒状部が形成されたシェル部材と、
このシェル部材の内側に配置されて当該シェル部材と口部とを仕切る仕切壁を有し容器本体の倒立によって当該容器本体の内容物をシェル部材の内側に供給する供給孔が形成された中栓と、
この中栓の仕切壁から起立するシャフト部に沿って上下に移動可能に支持されると共に、先端がシェル部材の筒状部を通って外界に露出する可動栓と、
この可動栓の上側に配置される天壁を有し、容器本体の口部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備え、
このキャップの天壁から当該キャップを閉じたときに可動栓を取り囲む周壁を垂下させると共に、当該周壁の内面に、当該キャップを閉じたときに可動栓の外面から膨出する第1係合部に着脱可能に係合する第2係合部を設け、
キャップの取り外しに伴う可動栓の引き上げで、当該可動栓の筒状周壁に貫設される連通孔をシェル部材の筒状部で閉じると共に中栓の供給孔を開いてシェル部材の内側に内容物を供給する一方、当該可動栓の押し下げで、供給孔を閉じると共に前記連通孔をシェル部材の筒状部から開くことでシェル部材内の内容物を先端注出口から注出させる計量注出容器であって、
この可動栓は、中栓のシャフト部を取り囲む筒状周壁によりその内側に貫通孔が形成された筒体からなり、
当該筒状周壁の内面に、シャフト部に摺動可能に接触する内面シール部を備えると共に、当該筒状周壁にその内側に形成した貫通孔よりなる流路を介して先端注出口に通じる前記連通孔が形成され、
中栓は、仕切壁をシャフト部周りに窪ませてなる環状凹部を有し、この環状凹部を、可動栓を押し下げたときに、当該可動栓の下端部が収納されるように形成すると共に、当該環状凹部に供給孔を形成することで、可動栓の下端部外面を、環状凹部を形作る外筒面に摺動可能に接触して当該供給孔を閉じる外面シール部として機能させ、
更に、当該シャフト部の先端に、可動栓を押し下げたときに、先端注出口を流路から開閉可能に封止する弾性弁を一体に設けたことを特徴とする計量注出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67436(P2013−67436A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−12517(P2013−12517)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2008−270083(P2008−270083)の分割
【原出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】