説明

記録装置

【課題】経路としての機能と、詰まった記録媒体を除去しやすい機能を持ち、より扱いしやすい開閉カバーを備えた記録装置を提供すること。
【解決手段】記録装置は、筐体35に対して開閉自在で、閉状態のとき搬送経路の外周の一部を形成する搬送経路ユニット8と、搬送経路ユニット8に設けられた搬送経路案内レバー43を備える。搬送経路案内レバー43は、搬送経路ユニット8が閉状態のとき、搬送経路に向けて突き出し、用紙30を案内する。また、搬送経路ユニット8が開状態のとき、搬送経路ユニットに収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関し、特に、記録媒体を搬送する搬送経路の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、記録装置は、記録媒体、例えば用紙を収容するカセットから折り返し経路を介して記録ヘッドに案内する搬送経路を備える。そして、カセットと記録ヘッドとの間で記録媒体との間で詰まりが発生した場合に備えて、折り返し経路部分を露出する開閉カバーで、折り返し経路部分を露出させ、詰まった記録媒体を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−228162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉カバーは、折り返し経路を成す外側部分を構成する。開閉カバーは、経路としての機能と、詰まった記録媒体を除去しやすい機能が求められる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、経路としての機能と、詰まった記録媒体を除去しやすい機能を持ち、より扱いしやすい開閉カバーを備えた記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の記録装置は、筐体と、前記筐体に設けられ、記録媒体の搬送経路の内周を形成する搬送経路部と、前記筐体に対して開閉自在で、閉状態のとき前記搬送経路の外周の一部を形成する前記搬送経路ユニットと、前記搬送経路ユニットに設けられ、前記搬送経路ユニットが閉状態のとき、前記搬送経路に向けて突き出し、記録媒体を案内し、前記搬送経路ユニットが開状態のとき、前記搬送経路ユニットに収納される案内部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、搬送経路ユニットを閉じた状態では、記録媒体を案内する案内部材が突き出し、搬送経路ユニットを開いた状態では、案内部材が筐体内に収納され、詰まった用紙を容易に取り除くことができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記搬送経路ユニットは、開閉自在な手差しトレイを備え、前記手差しトレイが開状態のとき、前記案内部材は、前記搬送経路に案内する案内部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記案内部材は、前記搬送経路に向けて突き出した状態で、前記搬送経路ユニットが回動する区間を備え、前記区間後に、前記案内部材は前記搬送経路ユニットに収納されることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記案内部材は、前記筐体に設けられたストッパーを備え、前記搬送経路ユニットが回動され、前記案内部材が前記ストッパーに当接することで、前記案内部材は前記搬送経路ユニットに収納されることを特徴とする。
【0011】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記案内部材は、付勢部材により、前記搬送経路に向けて突き出す方向に付勢されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】プリンターを示す正面から見た斜視図。
【図2】プリンターを示す背面から見た斜視図。
【図3】プリンターを示す背面から見た斜視図で、搬送経路ユニットを開いた斜視図。
【図4】搬送経路の示す断面図。
【図5】搬送経路ユニットの部分断面図。
【図6】搬送経路ユニットの部分斜視図。
【図7】手差しトレイを開いた図。
【図8】搬送経路ユニットを回動させた状態を示す図。
【図9】搬送経路ユニットを回動させた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る記録装置の一例であるプリンターを示す正面から見た斜視図である。図2は、プリンターを示す背面から見た斜視図である。図3は、プリンターを示す背面から見た斜視図で、搬送経路ユニットを開いた斜視図である。図4は、搬送経路の示す断面図である。図5は、搬送経路ユニット8の部分断面図である。図6は、搬送経路ユニット8の部分斜視図である。図7は、手差しトレイ41を開いた図である。図8および図9は、搬送経路ユニット8を回動させた状態を示す図である。
【0014】
図1に示すように、プリンター1は、プラスチックなどの合成樹脂でなる筐体を成す本体2を備えている。本体2は、正面に、給紙カセット挿入口3と、記録された記録媒体である用紙が排紙される排紙口4が形成されている。給紙カセット挿入口3に給紙カセット5が着脱自在に装着される。本体の2の上面には、記録の入力指示や、記録状態を表示するための操作パネル6が設けられている。
【0015】
図2に示すように、本体2は、背面に、搬送経路ユニットの装着口7が形成されている。この装着口7に、開閉カバーを成す開閉自在の搬送経路ユニット8が装着されている。搬送経路ユニット8の外表面は、取っ手として機能する凹部9が形成されている。搬送経路ユニット8は、本体2の内側と対向する内面に、後述する搬送経路を成す搬送面が形成されている。
【0016】
搬送経路ユニット8は、下部に回動軸31(図4参照)を備え、回動自在に本体2に対して開閉する。図3は、搬送経路ユニット8を開いた状態を示す。搬送経路ユニット8が開くと、装着口7が開口し、搬送経路を成すプラスチックなどの合成樹脂でなる内周側搬送経路形成部11を露出させることができる。搬送経路ユニット8は、本体2の背面に対して90度回動させる構成にすることで、装着口7の開口をより大きく開口させることができ、内周側搬送経路形成部11を露出量も大きくすることができる。
【0017】
搬送経路ユニット8を開き、装着口7を開口させることで、用紙が詰まった場合に、この装着口7から詰まった用紙を取り除くことができる。
【0018】
図4は、搬送経路を示す概略の断面図である。本体2の高さ方向における給紙カセット挿入口3と排紙口4との間に、本体2に連結され、搬送経路を構成する内周側搬送経路形成部11が配置される。内周側搬送経路形成部11は、下部内周側搬送経路形成部12と、上部内周側搬送経路形成部13とを、上下組み合わせて構成される。
【0019】
下部内周側搬送経路形成部12は、装着された給紙カセット5の分離斜面14側に開口部15が形成されている。この開口部15を介して、揺動可能な給紙ローラー16が突出する。給紙ローラー16は、図示しないモーターによる駆動手段の動力に基づいて、給紙カセット5に載置された用紙の最上位の用紙を給紙する。給紙ローラー16は、給紙カセット5の載置された最後の一枚を給紙できるように、揺動可能である。また、給紙ローラー16は、給紙カセット5を装着口7より着脱する際に、給紙カセット5の移動を阻害しないように、退避する機能を備えている。また、下部内周側搬送経路形成部12は、本体2の正面側に、第1立上り部17が形成されている。下部内周側搬送経路形成部12の本体2の背面側は、搬送経路ユニット8の外周側搬送経路面20に沿って湾曲して立上る、第2立上り部21が形成されている。
【0020】
上部内周側搬送経路形成部13は、上面に記録ヘッド22が所定の隙間を保ち、対向配置される。この記録ヘッドは、用紙の搬送方向に対して幅方向に往復動する記録ヘッドや、用紙の幅方向に渡り延在するライン型記録ヘッドが好ましい。記録ヘッド22に対して搬送方向の上流側、すなわち搬送経路ユニット8側には、搬送ローラー23が配置され、搬送方向の下流側、すなわち排紙口4側には、排紙ローラー24が配置される。搬送ローラー23および排紙ローラー24は、各々1つで構成されているが、上下でニップするように対を成す搬送ローラーおよび排紙ローラーで構成しても良い。その場合は、下側の搬送ローラーおよび排紙ローラーは、上部内周側搬送経路形成部13より露出するように配置するのが好ましい。
【0021】
また、上部内周側搬送経路形成部13は、本体2の正面側に、低い段差で形成された排紙受け面25と、この排紙受け面25の端部より立下り、第1立上り部17に係合する第1立下り部26が形成されている。また、上部内周側搬送経路形成部13の搬送ローラー23より、本体2の背面側は、搬送経路ユニット8の外周側搬送経路面20に沿って湾曲して立下がり、第2立上り部21に係合する第2立下り部27が形成されている。
【0022】
下部内周側搬送経路形成部12と上部内周側搬送経路形成部13が係合することで、内周側搬送経路を成す内周側搬送経路形成部11が形成される。第2立上り部21と第2立下り部27が係合することで、搬送経路ユニット8の外周側搬送経路面20に沿って湾曲した内周側搬送経路が形成される。
【0023】
図5は、搬送経路ユニット8の部分断面図を示す。図6は、搬送経路ユニット8の部分斜視図を示す。搬送経路ユニット8の筐体35は、側面の下部に回動軸31が突き出して設けられ、本体2に対して回動する。図6に示すように、筐体35の側面には下端から斜めに延びる切り欠き部36が形成される。この切り欠き部36には、本体2から突設したストッパー37が挿入される。また、筐体35は、搬送経路を構成する外周側搬送経路面20が形成され、その上部には、開口部38が形成されている。筐体35の外周側搬送経路面20と反対側である外部への露出側には、収容部39が形成されている。この収容部39には、回動軸40を介して回動自在に開閉する手差しトレイ41が収容されている。
【0024】
筐体35内には、回動軸42を介して回動可能な、案内部材としての搬送経路案内レバー43が設けられている。搬送経路案内レバー43は、一端側が固定台44に固定されたばね45により付勢され、搬送経路案内レバー43の先端が開口部38より突き出されている。搬送経路案内レバー43の先端が開口部38より突き出した状態では、給紙カセット5から給紙された用紙が、外周側搬送経路面20に沿って案内される。そして、用紙は、搬送経路案内レバー43の先端の第1案内部46により、搬送ローラー23に向けて案内される。
【0025】
また、図7に示すように、手差しトレイ41を開くことで、用紙30を搬送経路案内レバー43の先端の第2案内部47により、搬送ローラー23に向けて案内される。
【0026】
図8および図9は、搬送経路ユニット8を回動させた状態を示す。図8に示すように、搬送経路ユニット8が回動軸31を介して回動すると、搬送経路案内レバー43はばね45で付勢された状態で、搬送経路ユニット8が回動する。すなわち、搬送経路案内レバー43の先端は開口部38より突き出した状態のまま、搬送経路ユニット8は回動する。このとき、回動に伴って、搬送経路案内レバー43は、本体2より突設したストッパー37に向かって接近することになる。
【0027】
図9に示すように、図8の状態からさらに搬送経路ユニット8を回動すると、搬送経路案内レバー43はストッパー37に当接する。さらに、搬送経路ユニット8を回動すると、搬送経路案内レバー43は、ばね45の付勢に抗して、回動軸42を中心に回動する。そして、搬送経路案内レバー43の先端は、開口部38から引っ込み、筐体35内に収納される。
【0028】
以上の構成により、作用を説明する。図4に示すように、給紙カセット5を給紙カセット挿入口3に装着する。給紙カセット5に載置された用紙30は、給紙ローラー16により給紙され、給紙カセット5の分離斜面14に当接して、最上位の用紙30が給送される。最上位の用紙30は、搬送経路ユニット8の外周側搬送経路面20と、内周側搬送経路形成部11の対向する面とで形成された折り返し経路に搬送される。搬送経路案内レバー43の先端は、ばね45で付勢されて開口部38より突き出されている。用紙30の先端は、外周側搬送経路面20に沿って搬送され、図5に示す、搬送経路案内レバー43の先端の第1案内部46に当接し、搬送ローラー23に向けて案内される。そして、用紙30は、記録ヘッド22で文字や画像などのデータが記録される。そして、用紙30は、排紙ローラー24により排紙受け面25に排出される。
【0029】
次に、手差しにより用紙に記録する場合は、図7に示すように、手差しトレイ41を開く。手差しトレイ41から挿入された用紙30は、ばね45で付勢されて開口部38より突き出した搬送経路案内レバー43の第2案内部47上を通り、搬送ローラー23に向けて案内される。そして、用紙30は、記録ヘッド22で記録され、排紙ローラー24により排紙受け面25に排出される。
【0030】
給紙カセット5と搬送ローラー23との間で用紙が詰まった場合には、搬送経路ユニット8を回動させ、装着口7を開口し、折り返し経路を露出させる。搬送経路ユニット8を回動させると、図8に示すように、ストッパー37が搬送経路案内レバー43に当接するまでは、搬送経路案内レバー43の先端はばね45の付勢により開口部38より突き出した状態で、搬送経路ユニット8が回動する。ストッパー37が搬送経路案内レバー43に当接すると、図9に示すように、搬送経路ユニット8の回動に伴い、搬送経路案内レバー43はストッパー37を作用点として、ばね45の付勢に抗して、回動軸42を中心に回動する。そして、搬送経路案内レバー43の先端は、開口部38から引っ込み、筐体35内に収納される。これにより、詰まった用紙を除去するために、手を差し出しても、搬送経路案内レバー43に触れることなく、詰まった用紙を除去することができる。
【0031】
詰まった用紙の除去が済めば、搬送経路ユニット8を閉じる方向へ回動させる。搬送経路案内レバー43は、搬送経路ユニット8の回動に伴ってストッパー37から離れると、ばね45の付勢により、搬送経路案内レバー43の先端は開口部38より突き出す。
【0032】
搬送経路案内レバー43は、ばね45の付勢で開口部38より突き出した状態では、図示しない筐体35の内部に設けた規制部で突き出し量を規制することが好ましい。また、搬送経路案内レバー43が筐体35の内部に収納される状態では、図示しない筐体35の内部に設けた他の規制部で移動量を規制してもよい。
【0033】
なお、搬送経路案内レバー43は、手差しトレイ41の幅方向に対応した幅を持つことが好ましい。また、搬送経路案内レバー43を複数に分割して配置しても良い。搬送経路案内レバー43の先端は、三角形状に突き出した複数の突起で構成しても良い。
【0034】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1 プリンター、2 本体、5 給紙カセット、8 搬送経路ユニット、11 内周側搬送経路形成部、14 排出口、22 記録ヘッド、31 回動軸、35 筐体、37 ストッパー、38 開口部、43 搬送経路案内レバー、46 第1案内部、47 第2案内部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられ、記録媒体の搬送経路の内周を形成する搬送経路部と、
前記筐体に対して開閉自在で、閉状態のとき前記搬送経路の外周の一部を形成する前記搬送経路ユニットと、
前記搬送経路ユニットに設けられ、前記搬送経路ユニットが閉状態のとき、前記搬送経路に向けて突き出し、記録媒体を案内し、前記搬送経路ユニットが開状態のとき、前記搬送経路ユニットに収納される案内部材と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記搬送経路ユニットは、開閉自在な手差しトレイを備え、
前記手差しトレイが開状態のとき、前記案内部材は、前記搬送経路に案内する案内部を備えることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記案内部材は、前記搬送経路に向けて突き出した状態で、前記搬送経路ユニットが回動する区間を備え、
前記区間後に、前記案内部材は前記搬送経路ユニットに収納されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の記録装置。
【請求項4】
前記案内部材は、前記筐体に設けられたストッパーを備え、
前記搬送経路ユニットが回動され、前記案内部材が前記ストッパーに当接することで、前記案内部材は前記搬送経路ユニットに収納されることを特徴とする請求項3記載の記録装置。
【請求項5】
前記案内部材は、付勢部材により、前記搬送経路に向けて突き出す方向に付勢されていることを特徴とする請求項4記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−60297(P2013−60297A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201482(P2011−201482)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】