説明

記録/読出装置およびラベルプリンタ

【課題】 印字および記録・読出の制御が容易な記録装置・読出装置およびラベルプリンタを提供する。
【解決手段】 アンテナを介して非接触状態でリード/ライト可能なICを有するICタグ20からの読出しを行う読出装置、ICタグ20に書込みを行う記録/読出装置に関する。本装置10は、前記ICに書込みを行う書込手段28を備えており、前記ICタグ付ラベル14を挟むように、前記書込/読出手段28のアンテナ40と、磁性体35とを配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送受信機( リーダ・ライタ) と非接触方式でデータの送受信を行う非接触リードライト式IC( ICタグ:RFID) を有するICタグ付ラベルを搬送しながら、前記ICに電気的に書き込みを行う記録装置、前記ICの情報を読出す読出装置、ならびに、該記録装置および/または読出装置を備えたラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、前記ICチップに非接触で電気的なリード/ライトを行う非接触リードライト式ICを有するICタグ付ラベルが開発されている。このICタグ付ラベルは、ICチップに多量の情報を記録でき、電磁結合や電磁誘導にて非接触で情報を送受信できる上、偽造が困難なためセキュリティにも優れている。
【0003】
一方、ICチップに記録(記憶)された内容は人間の視覚やバーコードリーダーでは読みとれないため、ICタグをラベルとを一体化したICタグ付ラベルとし、ラベルの表面に印字した文字やバーコードを人間の視覚、OCRやバーコードリーダなどで読み取り可能とする利用形態が拡大しつつある(特許文献1〜3)。
【特許文献1】特開2003−132330(第2頁,図2)
【特許文献2】特開2003−11939(図6)
【特許文献3】特開2003−159838(第1頁,図1)
【0004】
前記各特許文献に開示されたICタグ付ラベルに印字を行うラベルプリンタは、文字等を印字する印字手段と、該印字手段の他にICタグと通信する非接触書込・読取手段( リーダ・ライタ) を備えている。該リーダ・ライタは通信用アンテナを有しており、この通信用アンテナを用いてICタグのアンテナ回路を介して通信し、ICチップに情報を書き込んだり、ICチップに記録された情報を読み取っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記印字手段の印字ヘッドは、金属部品等を多く含む基板を有している上、板金製の筐体により覆われている。そのため、電磁結合や電磁誘導により情報の送受信を行う際に、前記印字ヘッドとリーダ・ライタが近接して配置されていると、前記金属部分において損失する電流損が生じたり電磁波の反射や吸収が生じる。
【0006】
したがって、従来は印字ヘッドとリーダ・ライタとをラベルの搬送方向に互いに離して配置していたので、印字と記録の双方が完了するまで、ラベルに印字する情報と、ICに記録する情報とを記録部から消去せずに保存し、印字および記録の制御を行う必要がある。その結果、印字および記録の制御が面倒になる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、印字および記録・読出の制御が容易な記録装置、読出装置およびラベルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の記録/読出装置は、アンテナを介して非接触状態でリード/ライト可能なICを有し、搬送されるICタグ付ラベルの書込みおよび/または読出し行う記録/読出装置において、前記ICに書込みおよび/または読出しを行う書込手段および/または読出手段を備え、前記ICタグ付ラベルを挟むように、前記書込手段および/または読出手段のアンテナと、磁性体とを配置したことを特徴とする。
【0009】
一方、本発明のラベルプリンタは、アンテナを介して非接触状態でリード/ライト可能なICを有し、搬送されるICタグ付ラベルの書込みおよび/または読出しと印字とを行うラベルプリンタにおいて、前記ICタグ付ラベルの表面に可視情報を印字する印字ヘッドと、前記ICの書込みおよび/または読出しを行う書込手段および/または読出手段とを備え、前記ICタグ付ラベルを挟むように、前記書込手段および/または読出手段のアンテナと、磁性体とを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
これらの記録装置、読出装置およびラベルプリンタは、磁性体が磁路を形成し、アンテナからの磁束が磁性体を通り易くなるので、印字ヘッドなどの他の機器の表面において損失する電流損等が小さくなる。そのため、書込みおよび/または読出し可能な距離の範囲が拡がる。
また、ラベル自体に磁性体を塗布するのと異なり、装置に磁性体を設けるので、ラベルのコストアップを招くおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好ましいラベルプリンタの実施例においては、前記書込手段および/または読出手段のアンテナと前記印字ヘッドとは、前記ICタグ付ラベルの搬送路を挟むように配置され、前記印字ヘッドの筐体における前記ICタグ付ラベルに対面する部位が前記磁性体に覆われている。
これにより、印字ヘッドの金属製の筐体等の金属部分による悪影響を確実に防止し得る。
【0012】
本発明のラベルプリンタにおいては、前記磁性体が、磁性シートからなり、該磁性シートが前記印字ヘッドに貼付されているのが好ましい。
これにより、市販の磁性シートを切り貼るだけの簡単な作業で本発明を実現できるから、装置コストが安価になる。
【実施例1】
【0013】
以下、添付図面に従って本発明に係るラベルプリンタの好ましい一実施例について説明する。
ICタグ付ラベル14:
まず、本ラベルプリンタに用いるICタグ付ラベルについて説明する。
図1(a)はラベル用紙12の縦断面を示す概念図、(b)はラベル用紙12の印字面(表面)を示す正面図である。図1(a)に示すように、ラベル用紙12は、帯状に形成された台紙(剥離紙)16に、多数のICタグ付ラベル14、14、…が所定の間隔で粘着されて構成されている。
【0014】
ICタグ付ラベル14は、印字可能な用紙からなるラベル部15とICタグ20とを備えている。ラベル部15の裏面には粘着材17が塗布されており、ICタグ20は、該粘着材17によってラベル部15に粘着されている。一方、ICタグ20の裏面にも粘着材17が塗布されており、台紙16を剥離することにより、前記ラベル部15およびICタグ20が一体となったICタグ付ラベル14を商品等に貼付することが可能である。
図1(b)に示すように、ラベル部15の表面には、たとえば、商品名、加工日、加工時刻、種別、原産地およびバーコードなどが印字される。
【0015】
図1(c)は、ICタグ付ラベル14の裏面図である。図1(c)に示すように、ICタグ20は、制御回路やメモリなどからなるICチップ22と、たとえばプリントされたコイルなどからなるアンテナ回路24とを備えている。
ICチップ22のメモリには、たとえば、識別番号、加工日、加工時刻、種別および原産地など、前記ラベル部15の印字内容と同一ないし同等な内容が書き込まれて記録(記憶)される。なお、ICチップ22のメモリには、予めシリアルな個別コードだけが書き込まれ、印字内容とは異なる情報のみが書き込まれている場合もある。この場合、個別コードに対応する種々の情報を上位のコンピュータ等が記憶していてもよい。また、ICチップ22には、製品コードや個別コードなど印字内容よりも多くの情報が記録されていてもよい。
なお、以下の説明では、ラベル部15に印字される内容を「印字データ」と呼び、一方、ICチップ22のメモリに記録される内容を「書込データ」と呼ぶ。
【0016】
プリンタ10:
図2はプリンタ10の要部の概略構造を示す断面図である。同図に示すように、プリンタ10は、ICタグリーダ・ライタ(ICタグ読取/書込手段)28および印字手段30等から構成されている。
【0017】
ラベル用紙12は、印字手段30のプラテンローラ36を回転駆動することにより、図示しないラベルロールから繰り出され、リーダ・ライタ28によってICタグ20に所定の書込データが書き込まれると共に、印字手段30によってラベル部15に所定の印字データが印字される。
【0018】
印字手段30:
前記印字手段30は、互いに対向して配置されたプラテンローラ36と印字ヘッド(サーマルヘッド)38とによって構成される。このプラテンローラ36とサーマルヘッド38との間には、前記ラベル用紙12が供給される。そして、サーマルヘッド38の加熱部39を発熱させることにより、ラベル部15を感熱発色させて、ラベル部15の表面に可視情報を印字する。なお、印字手段30の印字方式は、感熱発色式に限定するものではなく、熱転写式やインクジェット式であってもよい。
【0019】
前記印字ヘッド38は、前記加熱部39と共に、該加熱部39の制御を行う印字制御部が実装された制御基板33、および該制御基板33を覆う板金製の筐体34を備えている。
【0020】
リーダ・ライタ28:
前記リーダ・ライタ28はアンテナ40を備えている。リーダ・ライタ28のアンテナ40は、印字ヘッド38の下方近傍に設けられており、したがって、アンテナ40と印字ヘッド38とは、ラベル用紙12の搬送路を挟むように互いに対面する位置に配置されている。なお、リーダ・ライタ28の制御部28aは、前記アンテナ40から離れた位置に配置されていてもよい。
【0021】
リーダ・ライタ28は、リーダ・ライタ制御部を備えており、該リーダ・ライタ制御部は、前記アンテナ40と、図1(c)のICタグ20のアンテナ回路24とを介してICチップ22と通信し、ICチップ22に情報を書き込んだり、ICチップ22から情報を読み取る。前記情報の書込みおよび/または読出しは、前記ICタグ付ラベル14の搬送中(移動中)に行ってもよいし、あるいは、前記ラベル14の搬送を一時停止している間に行ってもよい。
【0022】
前記印字制御部および前記リーダ・ライタ制御部は、図2のラベルプリンタ制御部25に、図示しないインターフェイスを介して、それぞれ接続されている。
ラベルプリンタ制御部25は、たとえば、マイクロコンピュータからなり、CPU26およびメモリ27を備えている。メモリ27には商品マスタが設けられている。商品マスタには、前記印字データや書込データなどを含む商品情報が予め記憶されている。なお、前記商品情報は、上位のコンピュータからその都度受信するようにしてもよい。
【0023】
磁性シート35:
印字ヘッド38の下面、すなわち、ICタグ付ラベル14に対面する部位には、磁性シート(磁性体)35が貼付されている。
図3は、印字ヘッド38を裏面から見た斜視図である。
図3に示すように、印字ヘッド38の筐体34は、二点鎖線で示すICタグ付ラベル14に対面する部位が前記磁性シート35によって覆われている。磁性シート35の貼付範囲としては、その幅方向の長さが少なくともICタグ20のアンテナ回路24の幅Wよりも大きく設定されるのが好ましい。一方、磁性シート35の長手方向の貼付範囲は、前記筐体34の長手方向(矢印で示すICタグ付ラベル14の搬送方向)を覆い、かつ、加熱部39を覆わない長さLに設定するのが好ましい。
【0024】
磁性シート35としては、たとえば、フェライトの微粉末を軟質樹脂シートに練り込んだものを採用でき、貼付するために粘着材の層を有するものが好ましい。磁性シート35として採用できる市販品としては、たとえば、TDK(登録商標)株式会社の磁性シートなどを用いることができる。
【0025】
ICタグ付ラベル14の発行:
図2の前記CPU26は、メモリ27から当該商品に対応する書込データおよび印字データを読み出し、これらのデータを各々、リーダ・ライタ28および印字手段30に送信し、リーダ・ライタ28によって書込データが書き込まれると共に、印字手段30によってラベル部15に印字データが印字される。
【0026】
ここで、前記磁性シート35は印字ヘッド38に貼付されているので、前記磁性シート35がラベル用紙12を介してリーダ・ライタ28のアンテナ40に対面しているから、磁性シート35が磁路を形成し、アンテナ40からの磁束が磁路を通り易くなる。したがって、ICタグ20への書き込みおよび読み取り可能な距離の範囲が拡がる。
特に、印字ヘッド38の筐体34など、金属部分による悪影響を確実に防止し得る。そのため、印字ヘッド38とリーダ・ライタ28とを互いに近づけて配置することができるから、印字と記録の双方をほぼ同時に行うことができる。したがって、印字および記録の制御が著しく容易になる。
また、磁性シート35の装着は、市販の磁性シートを切り貼るだけの簡単な作業であるから、装置コストが安価になる。
【0027】
ところで、たとえば、印字ヘッド38の上流にリーダ・ライタ28を搬送方向に離して配置すると、リーダ・ライタ28で書き込みと読み取りを行った後に、印字ヘッド38で印字を行うことになる。一方、処理すべき印字と記録のデータが全て処理されると、何ら印字も記録もなされていないラベル用紙12がプラテンローラ36まで送られることになる。そのため、ラベル用紙12に無駄が生じる。
これに対し、本実施例のように印字ヘッド38に対面する位置にリーダ・ライタ28を配置すれば、かかるラベル用紙12の無駄が生じない。
【0028】
つぎに、本発明の効果を明瞭にするために試験例および比較例を示す。
試験例:印字ヘッド38の筐体34に磁性シート35を貼付すると共に、前記印字ヘッド38にリーダ・ライタ28のアンテナ40を対面して配置し、該リーダ・ライタ28と筐体34との距離を変化させて、読み取り可能な距離を測定した。
比較例:磁性シート35に代えて樹脂シートを貼付した以外は試験例と同様に読み取り可能な距離を測定した。
前記比較例では、前記距離の範囲が6〜10mmと極めて狭い範囲であったのに対し、前記試験例では前記範囲が0〜30mm程度に拡がった。
【0029】
ところで、ラベル部15に印字される産地名は、たとえば、「アメリカ産豚肉・小間切」など商品名内に入っていることが多く、その設定登録に時間がかかる。また、商品毎に同一産地名を使う事が多く、メモリ27の記憶領域を多く必要とするという問題点がある。また、産地名は、商品名の前か後ろに付けて記憶させる事が多い。
一方、産地マスタを別途設けた場合でも、同一産地名を、全角文字や半角文字、枠囲み、下線付き、反転文字などで印字を行う場合、その種類を商品毎に登録する必要があった。
【0030】
そこで、産地マスタがあり、商品毎に産地を設定できるラベルプリンタなどの器物において、商品マスタ内に産地の副情報として、商品毎に印字位置(商品の左/右/上/下)を設定できるようにする。たとえば、印字位置情報の設定例としては、以下の内容がある。
0:器物の設定通り(器物の設定モードの設定に従う)
1:商品名の右
2:商品名の左
3:商品名の下
4:商品名の上
【0031】
また、商品マスタ内に産地の副情報として、商品毎に全角/半角の制御と文字飾りの制御(強調/反転/下線/枠囲み)を指定できるようにする。たとえば、全角/半角情報の設定例としては以下の内容がある。
0:全角(基本型)
1:半角(品名の文字数が多い時に指定)
【0032】
さらに、たとえば、飾り情報の設定例としては以下の内容がある。
0:ノーマル
1:強調
2:反転
3:下線
4:枠囲み
【0033】
上記の内容は、上流に本部のコンピュータが存在する場合には、当該本部のコンピュータでも設定できるように、本部のコンピュータから送信される電文内に当該内容を追加する。この時、本部から指定しない場合は、各内容に“0”が設定される仕組みにしておき、標準形で動作するようにする。
また、POPやコメント等の他のマスタについても応用することができる。
【0034】
このように、マスタを1種類登録するだけで、使用できる為、登録が簡単になる。また、1つのマスタで商品毎に色々な印字が可能となる。
さらに、産地名が1種類で済むため、メモリを節約することができる。
【0035】
ところで、従来のラベルプリンタには、履歴モードが無く、少し前に処理した商品の呼出番号を簡単に呼び出す手段がなかった。そのため、パック数や、重量、金額等の集計を調べる場合、集計モードに入らないと見られない。
【0036】
そこで、呼び出した品番の履歴モードを作成する。たとえば、通常画面において、「呼出No. 」の横に「データ」(履歴)タッチボタンを設ける。「データ」ボタンとしては、「当日」や、「前日」、「前々日」などがあり、当該「データ」ボタンの何れかにタッチすることにより、当該指定された日の履歴データが表示される。
【0037】
たとえば、データ(履歴)のタッチパネルを押す時に展開する画面では、画面上の呼出No. をタッチすると、通常画面に戻り、その品番が呼び出される。呼出No. 順にソートされる。一方、「前日」や「前々日」がタッチされると、同じグループの前日や前々日のデータが呼び出される。なお、前日や前々日のデータが無い場合には、エラー表示がなされる。なお、「時間帯別」ボタンにタッチすると、時間帯別に作業した個数が表示される。
【0038】
その他の条件としては、集計のデータは、3日間経過するとクリアされる。前記クリアのタイミングとしては、電源立ち上げ時にクリア対象となるデータを削除してもよいし、カレンダーを変えて仕越作業する場合には、その日付で集計を取るようにしてもよい。
また、データ(履歴)機能のON・OFF切換を設定可能にしてもよい。
さらに、ファンクションキーから集計モードに入ることを可能としてもよい。かかる場合には、通常画面で、全ての集計を見られるようにすることができる。
【0039】
ここで、8dot/mm のサーマルヘッドと、12dot/mmのサーマルヘッドとが切換可能なラベルプリンタにおいて、8dot/mm のサーマルヘッドのドット密度を基準としたラベルフォーマットを、12dot/mmのサーマルヘッドで印字すると、ドット密度が異なるため、縮小された印字になってしまうという不具合が発生する。一方、12dot/mmのサーマルヘッドのドット密度を基準としたラベルフォーマットを8dot/mm のサーマルヘッドで印字すると、ラベルサイズよりもはみ出して印字されてしまう。
【0040】
そこで、8dot/mm から12dot/mmへソフト的に変換する変換テーブルを設ける。前記変換テーブルは、8dot/mm で仕様したフォントサイズを12dot/mmで印字すると同等フォントサイズになるように予め設定されている。
以下に前記変換テーブルの一例を示す。
(8dot/mm ) :(12dot/mm)
フォント16×16:フォント24×24
フォント22×22:フォント33×33
フォント24×24:フォント36×36
フォント32×32:フォント48×48
JAN細バー2dot :JAN細バー4dot
【0041】
設定モード等でサーマルヘッドのドット密度を設定すると、前記変換テーブルによって全てのフォーマットが指定したドット密度に対応するフォントに変換される。なお、この変換テーブルは、設定モードで任意に変更可能とし、ヘッド密度を切り替えると、一括で初期値が入るが、ユーザー側でラベル印字結果を見ながら変更や調整を行うことも可能である。
このように、変換テーブルを設けることにより、1種類のラベルフォーマットで複数種類のドット密度に対応することができる。
【0042】
ところで、サーマル印字機能が付いているラベルプリンタや計量器等において、印字された文字等の縦横比は、文字の見やすさを重視して、11:1の比率に固定されている。しかし、当該印字比率11:1では、2次元コードであるQRコードの規格と合致していないため、読取不能なコードが印字されることになるため、印字することができない。また、ユーザーが希望する印字比率に対応する場合には、ソフトの変更を行わなければならず、ユーザー先で容易に変更することができない。
【0043】
そこで、印字比率の切り替えを可能とするプログラムを搭載する。たとえば、かかる切り替え機能により、11:1などの任意の印字比率と、1:1の印字比率とを切り替えて印字することができる。
なお、印字フォーマットにより、印字比率の切り替えを行うようにしてもよい。たとえば、印字フォーマットに印字比率の設定を予め記憶しておき、フォーマットの切り替えや、フォーマットにリンクされたラベルカセットの交換などで印字比率を任意に切り替えるようにしてもよい。さらに、2次元コードを印字するフォーマットのみ、印字比率1:1で印字するようにしてもよい。また、2次元コード以外は任意の印字比率で印字できるようにしてもよい。
前記印字比率の切り替えは、切換キー等で行うようにしてもよい。また、印字比率によって最適に印字(発色する)できる印字テーブルを備えていてもよい。
【0044】
このように、印字したい文字や、2次元コード、印字フォーマット等に応じて、印字比率を変更することができる。また、印字比率を変更する毎に印字テーブルを選択することにより、印字比率に最適な印字を行うことができる。
【0045】
従来のラベルプリンタは、ラベルを交換または装着するとき、事前にラベルサイズを確認し、ラベルフォーマットを設定する必要があった。設定されているフォーマットと装着されているラベルサイズが異なると、ラベルサイズエラーが発生し、ラベル発行ができなくなる。その時、ラベルサイズに合ったラベルフォーマットが容易に選択・変更が出来ないため、速やかにラベル発行を行うことができない。
【0046】
そこで、以下の3つの機能をラベルプリンタに付加する。
ラベルサイズからフォーマットを検索し、設定する機能。
ラベルサイズエラー発生時、フォーマットを自動的に変更する機能。
ラベルサイズエラー発生時、フォーマットの登録を行う機能。
【0047】
以下に、当該プリンタの運用方法について説明する。
1)空送りキーを数回押すことにより、ラベルセンサにおいてラベル長・ラベルギャップ幅を検出する。
2)その検出した結果と、現在、設定されているラベルフォーマットのラベル長・ラベルギャップとを比較する。
3)設定されているラベルフォーマットのラベル長・ラベルギャップが異なる場合、登録されているラベルフォーマットをマスター内から検索して、自動的にフォーマットを変更する。
4)ラベルサイズから検索したラベルフォーマットが複数存在する場合、選択画面を表示し、選択可能にする。また、フォーマットのレイアウト確認も行える。
5)検出したラベルサイズのフォーマットがマスターにない場合、その場でフォーマットの登録を行うことができる。
6)自動的にラベルサイズを検出する機能がない場合には、ラベルサイズエラー発生時、現在設定されているラベルフォーマットが表示され、ラベルサイズの変更・フォーマットの変更を行うことができる。
7)このラベルサイズからフォーマットを指定する機能は、エラー発生のときのみではなく、通常のラベルフォーマット設定でも行うことができる。
【0048】
このようにすれば、事前にラベルサイズを確認することなく、ラベルフォーマット設定を容易に行うことができる。また、ラベルサイズエラー発生時に、容易にラベルフォーマット設定を行え、速やかに、ラベル発行を行うことができる。
【0049】
ラベルプリンタにおいて、通常発行方向のラベルの搬送と、逆転方向へのラベルの搬送では、印字部(サーマルヘッドとプラテンローラでラベルを挟んでいる部分)の滑りが異なり、同寸法のラベルであっても搬送距離に差が生じる。特に、近年の生産性向上の為の高速化や、印字品質向上の為の高精度化、多種類のラベルの使用を実現する為の多様化などにより、上記の搬送距離の差は大きくなると共にラベルの種類により不定量になる。
【0050】
そこで、ラベル印字発行使用方法により、下記設定(通常搬送方向のみと逆転発行時の補正)を選択可能とする。
・高速化:ラベル搬送スピード(印字スピード)毎の補正を行う。
・多様化:ラベル種類毎の補正を行う。たとえば、ラベルサイズ(天地)毎の補正や、バックフィード量による補正、材質(表面摩擦抵抗)毎の補正を行う。
なお、上記設定は事前に登録し、各項目の呼出により運用可能であるが、ラベルフォーマットやカセットNo. などに連動して設定しておけば補正の自動呼出が可能となる。
【0051】
一般的なラベルプリンタで使用される消耗品であるラベルや、リボン、フィルム等の残量や寿命を確認する方法は、センサによるニアエンド検出やエンド検出方法を採用している。しかし、この方法では、精度良く残量を知ることができない。また、特開2001−354343では、印字する際に、残枚数情報を書き換えているため、ユーザが消耗品を手でちぎったりするという事態が起きた場合、ラベルの残枚数が合わなくなったりするという欠点が存在した。
【0052】
そこで、ラベルや、リボン、フィルム等の消耗品にICタグを貼り付ける。ラベルであれば100枚や10枚といった単位毎に、リボンやフィルムであれば100mや10mといった単位ごとにICタグを貼り付ける。
一方、ラベルプリンタ本体にICタグのリーダを取り付ける。取り付け位置は、全タグを読み取れる位置とする。必要に応じてタグを読み取り、読み取ったタグの数により、残枚数を知ることができる。残枚数が設定値以下になれば、ニアエンドにする。
【0053】
たとえば、ラベル1巻が1500枚巻のラベルを100枚単位で残量管理を行う場合について例示して説明する(なお、リボンやフィルムであっても同様である)。
1)ラベルにICタグを予め貼り付けておく。1500枚巻なのでタグは15枚(残り1枚目、101枚目……1401枚目)。
2)ラベルプリンタ本体にICタグのリーダを取り付ける。
3)ラベルプリンタ本体のリーダは、印字、空送毎、もしくはその他の必要に応じて、ラベルに貼り付けられているタグを読み取る。たとえば、読み取ったタグの数が10枚であったとすると、ラベルの残枚数は、901枚〜1000枚の間にある。なお、ラベル残枚数によってニアエンド信号を出力することも可能である。
最後の1枚のタグが読み取り可能エリアから外れた時点で、残枚数を計算し(残枚数=ヘッドまでの距離÷ラベル長)その枚数を印字した時点でラベルエンドの出力も可能になる。
【0054】
これにより、ラベル等の消耗品をユーザが途中で切った時にも、残枚数の管理ができる。また、タグを貼り付ける枚数を増やせば、より正確な残枚数管理を行うことができる。さらに、最後の1枚にICタグを貼り付けることにより、ラベルエンドも確実に検出することができる。
【0055】
なお、前述の実施例1では、磁性体として磁性シートを用いたが、磁性シートに限らず磁性体であれば良く、たとえば、軟磁性材料や強磁性材料などのペースト状物を印字ヘッドに塗布してもよい。
ここで、「軟磁性材料」とは、強磁性材料のうちで、透磁率μが高く、保磁力の低いものをいい、高透磁率材料ともいう。
かかる「軟磁性材料」としては、前記フェライトの他に、たとえば、鉄を主体とするものや、一般にパーマロイと呼ばれる鉄とニッケルとの合金磁性材料などを用いることができる。鉄を主体とするものてとしては、純鉄やケイ素鋼板などを用いることができる。
【0056】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、前述の実施例では、ラベルプリンタを例示して説明したが、本発明の適用可能な装置は、ICタグの情報を読出す読出装置や、ICタグに情報を書き込む記録装置や、書込みおよび読出しの双方を行う記録読出装置であってもよい。また、前記ラベルプリンタは、ICタグへの書込みまたはICタグからの読出しのうち、少なくとも一方を行う手段を備えていてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ICタグ付ラベルに書き込みまたは読出しを行う記録/読出装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】(a),(b)は本発明のラベルプリンタに用いるラベル用紙の概略縦断面図および正面図、(c)はICタグ付ラベルの裏面図である。
【図2】ラベルプリンタの要部を示す概略構成図である。
【図3】印字ヘッドを裏面から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
10:ラベルプリンタ(記録装置、読出装置)
14:ICタグ付ラベル
20:ICタグ
22:ICチップ
24:アンテナ回路
28:リーダ・ライタ(書込手段および読出手段)
34:筐体
35:磁性シート(磁性体)
38:印字ヘッド
40:アンテナ(書込手段および読出手段のアンテナ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して非接触状態でリード/ライト可能なICを有し、搬送されるICタグ付ラベルの書込みおよび/または読出し行う記録/読出装置において、
前記ICに書込みおよび/または読出しを行う書込手段および/または読出手段を備え、
前記ICタグ付ラベルを挟むように、前記書込手段および/または読出手段のアンテナと、磁性体とを配置した記録/読出装置。
【請求項2】
アンテナを介して非接触状態でリード/ライト可能なICを有し、搬送されるICタグ付ラベルの書込みおよび/または読出しと印字とを行うラベルプリンタにおいて、
前記ICタグ付ラベルの表面に可視情報を印字する印字ヘッドと、
前記ICの書込みおよび/または読出しを行う書込手段および/または読出手段とを備え、
前記ICタグ付ラベルを挟むように、前記書込手段および/または読出手段のアンテナと、磁性体とを配置したラベルプリンタ。
【請求項3】
請求項2において、前記書込手段および/または読出手段のアンテナと前記印字ヘッドとは、前記ICタグ付ラベルの搬送路を挟むように配置され、前記印字ヘッドの筐体における前記ICタグ付ラベルに対面する部位が前記磁性体に覆われていることを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項4】
請求項2もしくは3において、前記磁性体は、磁性シートからなり、該磁性シートが前記印字ヘッドに貼付されているラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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