説明

試薬の被着を改善した分析用の試験片

分析物、システム、試験片および方法を開示する。一実施例では、基板、導電性材料および導電性材料の隔離部分を含む分析用の試験片を提供する。基板は、一般に、表面が平らであり、第1の端部から第2の端部まで延在している。略平坦な表面に導電性材料が設けられ、相互に離れた複数の電極が定義される。導電性材料の隔離部分は、少なくとも2個の電極間に設けられ、隔離部分は複数の電極と電気通信が行われない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬の被着を改善した分析用の試験片に関する。
【背景技術】
【0002】
流体サンプル中の分析物濃度を決定するための電気化学的方法および装置は、糖尿病などの医療疾患の治療および管理において広く適用される。糖尿病を患う患者はそのような方法を用いて、毎日数回、血液中のグルコース濃度をモニターする場合が多い。
【0003】
電気化学的方法は、一般に電流、電位または蓄積電荷間の相関関係、および分析物の試薬濃度に依存し、概して、分析物と混合したときに荷電キャリアを生成する試薬と関連している。検査を行うための電気化学的バイオセンサーは一般に、使い捨て試験片であり、上部に試薬が設けられ、血液などの生物学的液体と化学的に反応する。試験片は試験測定器と対にして用いられ、試験測定器が分析物と試薬間の反応量を計測し、分析物の濃度を決定するようになっている。電気化学に基づく試験片では、試験片に付いている電気接着パッドを介して電気シグナルを測定器に伝送して、測定器の試験片ポートコネクタ内に接触する。
【0004】
既知の試験片製造技法では、金属被覆ポリマーフィルムの使用とフィルム上の導電性電極パターンの形成に関与する。レーザー剥離または化学的エッチングを含めた適切なエッチング処理を行いフィルムから導電性材料を除去すると電極パターンが所定位置に形成され、露出した基板材料と織り交ざった導電性のある電極パターンが残される。従って、電極パターンは、導電性材料間の露出したフィルムまたは基板材料の隙間によって画定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人はレーザー剥離処理を施して作製されたプロトタイプ試験片の中には、試薬が電極パターン上に均一に被着されていないものがあることを発見した。本出願人はまた、このようなプロトタイプ試験片において、毛管効果によって継続して試薬と電極の検知領域に分析物サンプルを満たす性能が劣っていることを発見した。本出願人はこれらの問題が試験片の性能を落とす原因になると考える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は様々な技術的機能を実装し、従来技術で利用不可能な本発明の様々な実施形態を提供することによってこの問題の解決を得た。一態様において、分析用の試験片は、基板、導電性材料、導電性材料の隔離部分を含む。基板は、一般に、表面が平らであり、第1の端部から第2の端部まで拡張している。略平坦な表面に導電性材料が設けられ、相互に離れた複数の電極が定義される。導電性材料の隔離部分は、少なくとも2個の電極間に設けられ、隔離部分は複数の電極と電気通信が行われない。
【0007】
別の態様では、液体サンプル中の分析物の濃度を測定するための分析物測定システムが提供される。このシステムは、測定器および試験片を含む。計測器は基準電極と作用電極間に試験電圧を印加するための電気回路とシグナルプロセッサを含む。試験は、試験片に液体サンプルを満たす間、毛管現象が支援されるように導電性材料の隔離部分によって分離される基準電極と作用電極を有する基板を含む。
【0008】
さらなる態様において、液体サンプル中の分析物濃度を測定するための試験片が提供される。試験片は、基板材料を含む。基準電極は第1の作用電極が係る基準電極に隣接して基板上に設けられている。第2の作用電極は第1の作用電極に隣接して基板上に設けられている。導電性材料の隔離部分は、第1および第2の作用電極の何れかの近位に、また基準電極の遠位に配置される。
【0009】
さらに別の態様では、分析用の試験片の製造方法が提供される。この方法は基板に導電性材料の層を被着し、導電性材料の層から選択した部分を除去し、少なくとも1つの電気的に隔離された導電性材料からなるアイランドとともに複数の電極を定義することによって達成される。このアイランドは、いずれの電極から約50ミクロン以下の距離を持たせ、電極からアイランドを電気的に隔離する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記または他の実施形態、特徴、利点は、当業者であれば以下に最初に簡単に説明される添付の図とともに以下に詳細に説明する本発明の方法およびシステムの細部を読むと明らかになろう。
【0011】
本明細書に取り込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の好適な実施形態を詳細に説明し、上記の一般的な説明および下記の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明することに役立つ(同様の数値が同様の要素を示している)
【0012】
以下の詳細な説明は図を参照しながら読むことに注意されたい。これらの図では異なる図の同様の要素が同一の符号で示される。図は必ずしも縮尺どおりではなく、選択した実施形態を図示し、本発明の範囲を限定するものではない。詳細な説明は例示的目的のものであって、限定するものではなく、本発明の原理を示す。この説明は、当業者が本発明を作成し、用いることを可能にするために提示され、現在認識される本発明の最良のモードの例示を含み複数の実施形態、適用例、バリエーション、改変、使用を記述する。
【0013】
任意の数値または範囲用に使用される本明細書の用語である「約」(about)または「おおよそ」(approximately)は適切な寸法公差を示し、構成要素の部分または集合が本明細書に記載のとおり、意図する目的のために機能することを可能にする。加えて本明細書で使用される「患者」、「宿主」および「対象」の用語は任意のヒトまたは動物の対象を参照し、ヒトの患者における対象の発明の使用が好ましい実施形態を表す場合でもシステムまたは方法をヒトの使用に制限する意図を持たない。
【0014】
図1および図1Bは試験片90が第1の端部3および第2の端部4を有する例示的な実施形態を図示する。第1または遠位端部3は図1Bに示されるようにバイオセンシング部分を含む。第2または近位端部4は電気接触部分を含む。
【0015】
図1Bにおいて、バイオセンシングの部分がそれぞれ3つの電極10、12、および14とともに提供される。電極は一般に同一の導電性材料であり得る。電極10と12の間には、第1の電気的に隔離されたアイランド52が提供される。同様に第2の電気的に隔離されたアイランド54が電極12と14の間に提供される。同様に第3の電気的に隔離されたアイランド56が第3の電極14に対し遠位位置に、また近位部分4により近い位置で提供される。導電性のあるアイランド52、54および56はそれぞれ一般に1つまたは複数の電極と同一の導電性材料から製造し得る。さらに、各「アイランド」は、試験片90の電極10、12および14から電気的に隔離することが意図している。
【0016】
図1Cに示されているように試験片90は基板上に複数の個別の構成要素を層にして製造し得る。特に、これらの層は導電層50、試薬層22、スペーサー層60および親水性の接着剤塗膜を施した上部層またはカバー80を含んでもよい。試験片90は導電層50および試薬層22が、例として米国特許出願公開番号US20050096409A1号および国際公開番号第WO2004040948A1号、同第WO2004040290A1、同第WO2004040287A1、同第WO2004040285A2、同第WO2004040005A1号、同第WO2004039897A2号、および同第WO2004039600A2号に説明されたスクリーン印刷プロセスを使用して基板5に順番に被着される一連の工程で製造される。別の実施形態では、インクジェット処理を使用して基板5に試薬層22が被着される。インクジェット処理は米国特許第6,179,979号に説明される。しかし、導電層50に試薬22を被着する別の処理には、ドロップオンデマンド処理が含まれる。スペーサー層60および上部層80はロールストックから取り出し、基板5にラミネート処理を施してもよい。別の実施形態において、スパッタリング処理を導電層50に適用し、パターンが導電層50に形成される。レーザー剥離、レーザーエッチング、スクライブなどの機械的手段によって導電層50の10%未満、または一般には6%未満まで表面が除去される。試験片90は図1Cおよび1Dに示されるように遠端部3および近端部4を含む。
【0017】
完全に組み立てられた試験片90は、図1Dに示されるようにインレット82を含み、このインレットから血液サンプルがサンプル受け入れチャンバー84に引き入れられる。インレット82は試験片90の遠位部分3を切削して形成される。血液サンプルをインレット82に適用して、サンプル受け入れチャンバー84を満たし、グルコースを測定することができる。試薬層22に隣接するスペーサー層60のU形開口部の側端はそれぞれサンプル受け入れチャンバー84の壁を定義する。サンプル受け入れチャンバー84の底部分または「フロア」は基板5と導電層50の一部を含む。サンプル受け入れチャンバー84の上部または「ルーフ」は遠位上部層80を含む。
【0018】
試験片90は、図1A、1B、1Cおよび1Dに示されるように導電層50に基準電極10、第1の作用電極12、第2の作用電極14、基準接着パッド11、第1の接着パッド13、第2の接着パッド15および試験片検出接着パッド17が含まれる。基準接着パッド11、第1の接着パッド13、第2の接着パッド15および試験片検出接着パッド17は試験測定器への電気的な接続を提供しデータおよび測定収集が行える。
【0019】
導電層50は第1の隔離部分52、第2の隔離部分54および任意の第3の隔離部分56を含む。第1の隔離部分52および第2の隔離部分54は基板5の疎水性である露出表面積を最小にすることによって均一な試薬の塗布を促進する。第3の隔離部分56はいかなる形状(例えば三角形)であってもよく、毛管力を提供することにより試験片90の充填を促進し、サンプル受け入れチャンバー84に液体を引き入れる。基準電極10および第1の隔離部分52間の距離は約2ミクロンから約50ミクロンであり、約20ミクロンが一般的である。図1Bでは、A1とA2の隙間は電極14と隔離部分56の周辺縁部の間に形成される。A3とA4の隙間は隔離部分54と電極12および14それぞれの端の間に形成される。“A5”と“A6”の隙間は隔離部分52の周辺縁部の間に形成され電極12の周辺縁部は約2ミクロンから約50ミクロンであり、約20ミクロンが一般的である。各隙間A1、A2、A3、A4、A5、A6、他は約2ミクロンから約50ミクロンであり一般には20ミクロンである。隙間は均一の距離値を持つことが好ましいが、他の実施形態では隙間が約2ミクロンから約50ミクロン内であれば不均一な隙間距離を使用し得る。
【0020】
第1の隔離部分52と第2の隔離部分54の幅は一般に約120ミクロンから約200ミクロンである。導電性材料の約20ミクロンの幅ラインがレーザー剥離によって除去され、電極と隔離部分パターンが導電層50に形成される際、導電層50の表面10%未満が基板5から除去される。導電性材料を可能な限り少量除去することによって試験片電極に短絡回路を生じさせることなく基板5と導電層50間の表面エネルギーの差異を低減させる。こうすることによって試薬22が導電層50によく接着する結果となり、試薬の塗布パターンと乾燥した試薬22の耐久性が制御され、それが利点である。
【0021】
導電層50はさらに試験片90の遠端部3に耐静電気バー58を含む。試験片90に血液を充填中試験片90が患者に接触すると耐静電気バー58は導電層50へ静電荷を放散させる。耐静電気バー58は露出した疎水性の基板5の表面積を最小化することによって均一な試薬の塗布を促進し、毛管力を提供することにより試験片90の充填を促進し、サンプル受け入れチャンバー84に液体を引き入れる。
【0022】
図1Cを再度参照すると、基準電極10、第1の作用電極12および第2の作用電極14は「トレース」と呼ばれる電極の拡張によって基準接着パッド11、第1の接着パッド13および第2の接着パッド15にそれぞれ接続される第1の作用電極トレース8は、第1の作用電極12から第1の接着パッド13まで電気的に導通がある経路を提供する。同様に、第2の作用電極トレース9は、第2の作用電極14から第2の接着パッド15まで電気的に導通がある経路を提供し、基準電極トレース7は、基準電極10から基準接着パッド11まで電気的に導通がある経路を提供する。
【0023】
導電層に使用され得る任意の導電材料には、例えばAu、Pd、Ir、Pt、Rh、ステンレス鋼、添加酸化スズ、カーボンなどがある。一実施形態では、導電層の材料として米国特許第5,653,918号で説明されるようにカーボンインクが使用される。別の実施形態では導電層の材料として厚さ約15ナノメートルから約35ナノメートルの金またはパラジウムなどのスパッタ金属が使用される。導電層に金を使用する実施形態では、スパッタ導電層は米国特許第6,716,577号に提示、説明されるように、一般に親水性の材料で塗布され、試薬の塗布を促進する。例示的な親水性材料には、濃度約0.05%から約0.2%の2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムが含まれる。均一な塗布を促進するために界面活性剤も親水性材料を含む金塗布溶液に追加される。例示的な界面活性剤には濃度約0.01%から約0.05%のプルロニック(Pluronic)F87および濃度約0.01%から約0.05%のプルロニック(Pluronic)P103が含まれる。
【0024】
試薬層22は図1Cに示されるように基板5の表面の導電層50の一部に設けられる。本発明の一実施形態では、試薬層22には選択的にグルコースに反応する酵素、媒介物質および希望するpHを維持するための緩衝剤などの化学物質が含まれる。本発明において使用に適した酵素の例として、グルコース・オキシダーゼまたはグルコース・デヒドロゲナーゼの何れかを含む。具体的には、グルコース・デヒドロゲナーゼはピロロキノリン・キノン補助因子(PQQとして省略され、一般にはメトキサチンと呼ばれる)を有する。他のグルコース脱水素酵素補助因子はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NADとして省略)またはフラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FADとして省略)がある。使用に適切な媒介物質の例には、フェリシアニド(媒介物質フェリシアニド)または三塩化ルテニウムヘキサミン([RuIII(NH36]Cl3、ルテニウムヘキサミンと省略される場合がある)。様々な実施形態での使用に適切な緩衝剤の例として、りん酸またはシトラコン酸を含む。様々な実施形態での使用に適切な試薬配合物またはインクの例が米国特許第5,708,247号および同第6,046,051号、国際公開番号WO01/67099および同第WO01/73124号に見出される。
【0025】
一実施形態では、配合物には、pHが約7のりん酸緩衝剤200mMおよび濃度範囲5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは、15%〜20%のルテニウムヘキサミン媒介物質が含まれる(媒介物質の重量÷緩衝剤容量に基づいたパーセント。)媒介物質としてルテニウムヘキサミンを使用するとき、グルコース・オキシダーゼはpH約7で十分高度な活性が得られることからpHを約7に選択した。ルテニウムヘキサミンの上限は溶解性に基づいた。ルテニウムヘキサミン濃度20%を超える酵素インクが配合される場合、ルテニウムヘキサミン固体粒子が試薬層22に存在し、試験中に溶解しなかった。未溶解のルテニウムヘキサミンが存在すると、試験片間の精度が低減する原因となった。酵素インクは、ルテニウムヘキサミン濃度を15%未満にして配合すると、試験電流値は低下した。ルテニウムヘキサミン濃度に少しでも変動があると試験電流値にばらつきが生じ、試験片間のばらつき度が高くなることから、一般に、試験電流値がルテニウムヘキサミン濃度に依存するのは好ましくない。
【0026】
一実施形態では、配合物に酵素の活性が約1500ユニット/mLから約50000ユニット/mLの範囲になり、一般には、18000ユニット/mLである。酵素の活性範囲は、酵素の活性量が上記範囲内に入りグルコース電流が配合物の酵素の活性量に依存しないように選択される。生じたグルコース電流が酵素活性の小さなばらつきに左右されないことを確実にするため酵素の活性は十分に高くすべきである。例えば、酵素の活性が1500ユニット/mL未満の場合、グルコース電流は酵素の活性量に依存するであろう。一方、酵素の活性量が50000ユニット/mLを超える場合、溶解性の問題が生じ、グルコース・オキシダーゼは、配合物中で十分に溶解されない。さらに、配合物に酵素が多すぎると、試験片の価格が高くなってしまう。グルコース・オキシダーゼは、ビオザイム ラボラトリー インターナショナル リミテッド(Biozyme Laboratories International Limited)(米国カリフォルニア州サンディエゴ市所在)が販売している。グルコース・オキシダーゼは、酵素の活性が約250ユニット/mgであり、この酵素の活性ユニットは、pH7および25℃のo−ジアニシジン アッセイに基づく。
【0027】
任意的に、試薬層22は液体サンプルの存在下で試薬層22を導電層50の表面に保持するのに役立つマトリックス材料を含み、疎水性および親水性の両領域を有する。有益なマトリックス材料は、親水性粘土、カオリン、タルク、シリケート、けい藻土またはCab−o−Sil(登録商標) TS−610あるいはCab−o−Sil(登録商標) TS−530(米国ボストン所在のキャボット社(Cabot Corporation))などのシリカを含む。特定の理論に固執することを望まないが、サンプルの存在下でシリカがゲルネットワークを形成し、電極の表面で塗布を有効に維持すると考えられている。他の有益なマトリックス材料には、アルギン酸ソーダ、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニール、ポリマーラテックス材、ポリエーテルスルホン、アクリルおよびメタクリル酸ポリマー;澱粉、セルロースおよび他の天然多糖類(ポリアミド類またはコラーゲン)などのポリマー材が含まれる。有益な塗布製粉の一例は、米国特許第5,708,247号の実施例1で開示される。試薬層22は任意的にアルブミン、蔗糖、トレハロース、マンニトールまたはラクトースなど少なくとも1つの安定剤、粘性を調節するヒドロキシエチルセルロースなどの調節剤、DC1500などの消泡剤およびポリビニルピロリドンまたはポリ酢酸ビニルなど少なくとも1つの湿潤剤も含まれる。
【0028】
例示的な実施形態では、試薬層22は電極の露出表面に対し層としても適用される。液体サンプルに接触する前の試薬層22の厚さは50ミクロンを超えず、通常的には20ミクロンを超えるべきではない。電極の表面に有効に塗布するには、層の厚さは約5ミクロン未満にすべきではなく、通常的には、約7ミクロン未満にしない。
【0029】
図1Cにおいて、スペーサー層60は一般にポリエステルから形成され、熱シール接着剤または感圧接着剤で導電層50に接着される。
【0030】
上部層80は試験片90の遠端部3に位置し、サンプル受け入れチャンバー84の遠位部分(すなわち第2の作用電極14からの下流側部分)は、大気に露出し、試験片90に通気孔を形成する。一実施形態では、上部層80は例えば、アドヒーシブリサーチ社(Adhesives Research Inc.)のARflow 90128などのような親水性接着剤でスペーサー層60に接着されるポリエステル材料である。上部層80は、透明なポリエステルから形成され、サンプル受け入れチャンバー84が十分に満たされたかどうか使用者が視覚的に確認することができる。
【0031】
図2Aを参照すると、試験片100の別の例示的な実施形態が分解透視図で図示されている。試験片100は、基板105に設けられた複数の層を含む。これらの層は導電層150、試薬層122、スペーサー層160および親水性接着塗布が施された上部層180を含む。試験片100は導電層150および試薬層122が、例として米国特許出願公開番号US20050096409A1号および国際公開番号第WO2004040948A1号、同第WO2004040290A1、同第WO2004040287A1、同第WO2004040285A2、同第WO2004040005A1号、同第WO2004039897A2号、および同第WO2004039600A2号に説明されたスクリーン印刷プロセスを使用して基板105に順番に被着される一連の工程で製造される。別の実施形態では、インクジェット処理を使用して基板105に試薬層122が被着される。インクジェット処理は米国特許第6,179,979号に説明される。しかし、導電層150に試薬122を被着する別の処理には、ドロップオンデマンド処理が含まれる。スペーサー層160および上部層180はロールストックから取り出し、基板105にラミネート処理を施す。別の実施形態において、スパッタリング処理を導電層150に適用し、パターンが導電層150に形成される。レーザー剥離、レーザーエッチング、スクライブなどの機械的手段によって導電層150の10%未満、または一般には6%未満まで表面が剥がされる。試験片100は図1Aおよび1Bに示されるように遠端部103および近端部104を含む。
【0032】
完全に組み立てられた試験片100は、図2Bに示されるようにインレット182を含み、このインレットから血液サンプルがサンプル受け入れチャンバー184に引き入れられる。インレット182は試験片100の遠位部分103を切削して形成される。血液サンプルをインレット182に適用して、サンプル受け入れチャンバー184を満たし、グルコースを測定することができる。試薬層122に隣接するスペーサー層160のU形開口部の側端はそれぞれサンプル受け入れチャンバー184の壁を定義する。サンプル受け入れチャンバー184の底部分または「フロア」は基板105と導電層150の一部を含む。サンプル受け入れチャンバー184の上部または「ルーフ」は遠位上部層180を含む。
【0033】
試験片90または100は、一般に均一な導電性材料の層が、好ましくはスパッタ被着で基板の全表面に被着される基板5を提供することによって製造される。次いで、レーザー剥離が導電パターン150を形成するために活用された。一技法では、レーザービームの移動を制御して「A1」、「A2」、「A3」、「A4」、「A4」、「A5」、「A6」などの剥離された隙間を含む電極パターンが、これらの隙間の距離を好ましくは50ミクロン以下、最も好ましくは約20ミクロンにして導電層に形成された。別の実施形態では、電極パターンを定義する開口部のあるマスクが剥離レーザーと基板と導電層の間に挿置され、十分な電力と強度で、例えば100ナノ秒未満にするなど適切な持続時間で導電層を剥離した。レーザー剥離のための様々な技法は、例としてErol C. Harveyらによる“Fabrication Techniques and Their Applications to Produce Novel Micromachined Structures and Devices Using Excimer Laser Projection”、Exitech Ltd., Hanborough Park, Long Hanborough, Oxford, UK, SPIE Vol. 3223, 1997で説明され、使用されるが、参照によって本明細書に組み込まれる。いずれの技法を使用しても、導電層150は、基準電極110、第1の作用電極112、第2の作用電極114、基準接着パッド111、第1の接着パッド113、第2の接着パッド115および試験片検出接着パッド117を含み、図A、2A、2Bに示されるように、導電層または金層に形成される。基準接着パッド111、第1の接着パッド113、第2の接着パッド115および試験片検出接着パッド117は試験測定器への電気的な接続を提供しデータおよび測定収集が行える。
【0034】
導電層150は第1の隔離部分152、第2の隔離部分154および任意の第3の隔離部分156を含む。第1の隔離部分152および第2の隔離部分154は基板105の疎水性である露出表面積を最小にすることによって均一な試薬の塗布を促進する。第3の隔離部分156はいかなる形状(例えば三角形)であってもよく、毛管力を提供することにより試験片100の充填を促進し、サンプル受け入れチャンバー184に液体を引き入れる。第3の隔離部分156は、開口部159をも含み、これを介して導電層150と基板105に通じる。開口部159は、レーザーまたは機械的手段により穿孔して形成し得る。開口部159は試験片のすべてのコンポーネントをラミネートした後に作成され、こうすることで、組立てコストおよびエラーを低減できる。開口部159は約40マイクロメートルから約400マイクロメートルの好ましくは丸型の開口にする。
【0035】
基準電極110と第1の隔離部分152の間の距離は、約2ミクロンから約50ミクロンであり、一般には約20ミクロンである。第1の隔離部分152と第1の作用電極112間の距離は約2ミクロンから約50ミクロンであり、一般には約20ミクロンである。同様に、第1の作用電極112と第2の隔離部分154間の距離、および第2の隔離部分154と第2の作用電極114間の距離は約2ミクロンから約50ミクロンであり、一般には20ミクロンである。また、第2の作用電極114と第3の隔離部分156の間の距離は、約2ミクロンから約50ミクロンであり、一般には約20ミクロンである。第1の隔離部分152と第2の隔離部分154の幅は一般に約120ミクロンから約200ミクロンである。導電性材料の約20ミクロンの幅ラインがレーザー剥離によって除去され、電極と隔離部分パターンが導電層150に形成される際、導電層150の10%未満が基板105から除去される。導電性材料を可能な限り少量除去することによって試験片電極に短絡回路を生じさせることなく基板105と導電層150間の表面エネルギーの差異を低減させる。このようにすることによって乾燥試薬22が導電層150によく接着する結果となり、試薬の塗布パターンと乾燥した試薬パッドの耐久性が制御され、それが利点である。
【0036】
導電層50または150はさらに試験片100の遠端部103に耐静電気バー158を含む。試験片100に血液を充填中試験片100が患者に接触すると耐静電気バー158は導電層150へ静電荷を放散させる。耐静電気バー158は露出した疎水性の基板105の表面積を最小化することによって均一な試薬の塗布を促進し、毛管力を提供することにより試験片100の充填を促進し、サンプル受け入れチャンバー184に液体を引き入れる。
【0037】
図2Aを再度参照すると、基準電極110、第1の作用電極112および第2の作用電極114は「トレース」と呼ばれる電極の拡張によって基準接着パッド111、第1の接着パッド113および第2の接着パッド115にそれぞれ接続される第1の作用電極トレース108は、第1の作用電極112から第1の接着パッド113まで電気的に導通がある経路を提供する。同様に、第2の作用電極トレース109は、第2の作用電極114から第2の接着パッド115まで電気的に導通がある経路を提供し、基準電極トレース107は、基準電極110から基準接着パッド111まで電気的に導通がある経路を提供する。
【0038】
導電層に使用され得る適切な材料は、Au、Pd、Ir、Pt、Rh、ステンレス鋼、添加酸化スズ、カーボンなどがある。一実施形態では、導電層の材料として米国特許第5,653,918号で説明されるようにカーボンインクが使用される。別の実施形態では導電層の材料として厚さ約15ナノメートルから約35ナノメートルの金またはパラジウムなどのスパッタ金属が使用される。導電層として金を使用する実施形態では、一般にスパッタ金を親水性材料とともに塗布し、試薬の塗布が促進される。例示的な親水性は、濃度約0.05%から約0.2%の2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを含む。均一な塗布を促進するために界面活性剤も親水性材料を含む金塗布溶液に追加される。例示的な界面活性剤には濃度約0.01%から約0.05%のプルロニック(Pluronic)F87および濃度約0.01%から約0.05%のプルロニック(Pluronic)P103が含まれる。
【0039】
試薬層122は図2Aに示されるように基板105の導電層150の一部に設けられる。本発明の一実施形態では、試薬層122には選択的にグルコースに反応する酵素および希望するpHを維持するための緩衝剤などの化学物質が含まれる。本発明において使用に適した酵素の例として、グルコース・オキシダーゼまたはグルコース・デヒドロゲナーゼの何れかを含む。具体的には、グルコース・デヒドロゲナーゼはピロロキノリン・キノン補助因子(PQQとして省略され、一般にはメトキサチンと呼ばれる)を有する。他のグルコース脱水素酵素補助因子はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NADとして省略)またはフラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FADとして省略)がある。使用に適切な媒介物質の例には、フェリシアニド(媒介物質フェリシアニド)または三塩化ルテニウムヘキサミン([RuIII(NH36]Cl3、ルテニウムヘキサミンと省略される場合がある)。様々な実施形態での使用に適切な緩衝剤の例として、りん酸またはシトラコン酸を含む。様々な実施形態での使用に適切な試薬配合物またはインクの例が米国特許第5,708,247号および同第6,046,051号、国際公開番号WO01/67099および同第WO01/73124号に見出される。
【0040】
一実施形態では、配合物には、pHが約7のりん酸緩衝剤200mMおよび濃度範囲5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは、15%〜20%のルテニウムヘキサミン媒介物質が含まれる(媒介物質の重量÷緩衝剤容量に基づいたパーセント。)媒介物質としてルテニウムヘキサミンを使用するとき、グルコース・オキシダーゼはpH約7で十分高度な活性が得られることからpHを約7に選択した。ルテニウムヘキサミンの上限は溶解性に基づいた。ルテニウムヘキサミン濃度20%を超える酵素インクが配合される場合、ルテニウムヘキサミン固体粒子が試薬層22に存在し、試験中に溶解しなかった。未溶解のルテニウムヘキサミンが存在すると、試験片から試験片の精密性が低減する原因になると考えられている。酵素インクは、ルテニウムヘキサミン濃度を15%未満にして配合すると、試験電流値は低下した。ルテニウムヘキサミン濃度に少しでも変動があると試験電流値にばらつきが生じ、試験片間のばらつき度が高くなることから、一般に、試験電流値がルテニウムヘキサミン濃度に依存するのは好ましくない。
【0041】
一実施形態では、配合物に酵素の活性が約1500ユニット/mLから約50000ユニット/mLの範囲になり、一般には、18000ユニット/mLである。酵素の活性範囲は、酵素の活性量が上記範囲内に入りグルコース電流が配合物の酵素の活性量に依存しないように選択される。生じたグルコース電流が酵素活性の小さなばらつきに左右されないことを確実にするため酵素の活性は十分に高くすべきである。例えば、酵素の活性が1500ユニット/mL未満の場合、グルコース電流は酵素の活性量に依存するであろう。一方、酵素の活性量が50000ユニット/mLを超える場合、溶解性の問題が生じ、グルコース・オキシダーゼは、配合物中で十分に溶解されない。さらに、配合物に酵素が多すぎると、試験片の価格が高くなってしまう。グルコース・オキシダーゼは、ビオザイム ラボラトリー インターナショナル リミテッド(Biozyme Laboratories International Limited)(米国カリフォルニア州サンディエゴ市所在)が販売している。グルコース・オキシダーゼは、酵素の活性が約250ユニット/mgであり、この酵素の活性ユニットは、pH7および25℃のo−ジアニシジン アッセイに基づく。
【0042】
任意的に、試薬層122は液体サンプルの存在下で試薬層122を導電層150の表面に保持するのに役立つマトリックス材料を含み、疎水性および親水性の両領域を有する。有益なマトリックス材料は、親水性粘土、カオリン、タルク、シリケート、けい藻土またはCab−o−Sil(登録商標) TS−610あるいはCab−o−Sil(登録商標) TS−530(米国ボストン所在のキャボット社(Cabot Corporation))などのシリカを含む。特定の理論に固執することを望まないが、サンプルの存在下でシリカがゲルネットワークを形成し、電極の表面で塗布を有効に維持すると考えられている。他の有益なマトリックス材料には、アルギン酸ソーダ、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニール、ポリマーラテックス材、ポリエーテルスルホン、アクリルおよびメタクリル酸ポリマー;澱粉、セルロースおよび他の天然多糖類(ポリアミド類またはコラーゲン)などのポリマー材が含まれる。有益な塗布製粉の一例は、米国特許第5,708,247号の実施例1で開示される。試薬層122は任意的にアルブミン、蔗糖、トレハロース、マンニトールまたはラクトースなど少なくとも1つの安定剤、粘性を調節するヒドロキシエチルセルロースなどの調節剤、DC1500などの消泡剤およびポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールなど少なくとも1つの湿潤剤も含まれる。
【0043】
例示的な実施形態では、試薬層122は電極の露出表面に対し層としても適用される。液体サンプルに接触する前の試薬層122の厚さは50ミクロンを超えず、通常的には20ミクロンを超えるべきではない。電極の表面に有効に塗布するには、層の厚さは約5ミクロン未満にすべきではなく、通常的には、約7ミクロン未満にしない。
【0044】
図2Aにおいて、スペーサー層160は一般にポリエステルから形成され、熱シール接着剤または感圧接着剤で導電層150に接着される。
【0045】
上部層またはカバー180はスペーサー層160を完全に覆う。一実施形態では、上部層180は例えば、アドヒーシブリサーチ社(Adhesives Research Inc.)のARflow 90128などのような親水性接着剤でスペーサー層160に接着されるポリエステル材料である。上部層は、透明なポリエステルから形成され、サンプル受け入れチャンバー84が十分に満たされたかどうか使用者が視覚的に確認することができる。
【0046】
本出願人は図1Aの同様なデザインに基づいたプロトタイプ(図3A)の試薬分布について別のデザイン(図3B)と比較した場合、より均一になる傾向があり、これによって試薬22への基板5の露出がより大きくなることを発見した。両プロトタイプは本明細書の図3Aおよび3Bに示される。図3Aおよび3Bの両プロトタイプは、同一の基板と導電材を使用して作成された。特に厚さ約0.18ミリメートル(約7ミル)の金スパッタのポリエステルフィルムロールがCPフィルムより、得られる。導電層(この場合、金)の厚さは約15ナノメートルであった。フィルムは縦横、約195mm X 27.5 mm のカード状に切断された。導電層はレーザースクライブまたは好ましくは、広域レーザー剥離、すなわちレーザーと基板の間に挿置されたマスク様の部材を使用しレーザー剥離の何れかを使用してパターン化され電極パターン層50が形成された。それぞれのプロトタイプの両表面は試薬の被着前にエアブラシ技法を使用してMESAおよび界面活性剤で処理された。特に両タイプの試験片に対し、導電層50は未処理であったか、0.1%の2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム溶液(溶剤容量に対する化学物質の重量に基づいた%の濃度)と0.025%プルロニック(Pluronic)F87(またはMESA/F87)で1、2または4層が塗布され表面が親水性になったかの何れかであった。約1%のヒドロキシエチルセルロース、約10%の三塩化ルテニウムヘキサミン、約7.2%のグルコース・オキシダーゼ、約0.033%のプルロニック(Pluronic)P103、約0.017%のプルロニック(Pluronic)F87、およびpH6.9、約0.2Mの燐酸緩衝剤を含む試薬混合液が、例えばBioDotなどの適切な非接触ドロップオンデマンドシステムを使用して電極層に被着された。次いで、赤外線ヒーターを使用して約60℃で約3分間、カードの乾燥処理を行った。乾燥後、カードはスペーサーと親水性上面テープとともにラミネートされ、グルコース・センサーの配列を形成した。
【0047】
図3Aの第1のプロトタイプでは、電極10、12または14の何れかの端と近位の電気的に隔離されたアイランド52、54または56の端の間の隙間「A」は、約20ミクロンである。これとは対照的に、別のプロトタイプ(図3B)の隙間「B」は約200ミクロンであり、基板表面5はさらに露出することができる。隙間のスペースがA(〜20ミクロン)とB(〜200ミクロン)でこのように違うと、試薬が両方のプロトタイプの電極パターンに被着されたとき驚くべき結果が生じる。図3Aと3Bの両方を比較すると、この驚くべき結果が観察される。図3Bの試薬22と比較して、図3Aでは、試薬22がより均一になっていることが観察される。本出願人は、図3Aのプロトタイプでは除去する導電性材料の量を少なくすると、図3Bと比較した場合、下の基板の露出がより小さくなり表面がより均一になると考える。試薬の被着が均一になると分析物液体の分布の均一性が増すことも発見された。その結果、図3Aのプロトタイプに試薬が均一に分布されると分析物の測定プロセスの精度がより高くなると考えられる。
【0048】
実施例−精度の研究
【0049】
この前提を検証するため、図1A〜図1Cに示される電気的に隔離されたアイランド(“CI”)52および54のある試験片(または“CI試験片”)のプロトタイプを電気的に隔離されたアイランド52および54を含まない試験片(または非−CI試験片)のプロトタイプと比較して精度の研究を実施した。CI試験片の導電性のあるアイランド52および54の幅は140ミクロンであり、基準電極または作用電極10または12と導電性のあるアイランドの間の距離は30ミクロンだった。非−CI試験片では、電極間の距離は200ミクロンだった。
【0050】
試験片のバックグラウンド電流のみをテストするため、CI試験片と非−CI試験片の両方が試薬層22を除きすべての層とともに組み立てた。テストの方法は、オープン回路を2秒間、その後3秒間、400mVの電位を試験片に適用することを含む。2秒後に151mMのカリウム・フェリシアニド溶液(媒介物質フェリシアニド)/19mMのフェロシアン化カリウムを各試験片に適用し、5秒後に平均値が測定された。精度の結果(あるいは電流CV%)を表1に示す。
【0051】
表1: 精度の結果

【0052】
表1のデータは、非CI試験片と比較してCI試験片の電流のCV%が著しく改善されることを示す。
【0053】
一般に図4を参照し、図1A〜図1C(または図2A〜図2B)に示される試験片90(または試験片100)は一般に測定器200または電気コネクタ202によって他の電気装置に連結され、接着パッド11、13、15、および17で試験片90の端部に接着パッドで接触して連結するように構成する。測定器200は一般に試験片90の電極用ポテンショスタットまたは他のコンポーネントを含み、電位および/または電流を提供する。測定器は、また試験片のシグナルから分析物の濃度を決定するためのプロセッサ(例:マイクロプロセッサまたはハードウェア)を含む。測定器は、また試験片のシグナルから決定した結果、例えば分析濃度、分析濃度の変動率、および/または分析濃度の閾値逸脱など(例としてhypoまたはhyperglycemia(低血糖症)を含む)表示する試験片ディスプレイ204を含む。
【0054】
本発明は、特定の実施形態および例示の図面に関して記載されてきたが、当業者は、本発明が記載された実施形態または図面に限定されないことを認識する。さらに、上記に記載される方法および工程は、特定の事象が特定の順序で生じることを示しているが、当業者は、特定の工程の順序が改変され得、そしてそのような改変は、本発明の実施形態に従って行われることを理解する。さらに、特定の工程は、可能である場合、並行したプロセスで同時に行われ得、そして上記のように連続して行われ得る。従って、特許請求の範囲に見いだされる本発明の開示または等価物の趣旨の中にある本発明の実施形態が存在する程度において、本発明がまた、これらの実施形態を網羅することが本発明者が意図するところである。最後に本明細書において引用されるすべての刊行物および特許文献は、本明細書において、その全体があたかも各個々の刊行物または特許出願が本明細書に具体的におよび個々に示されるかのごとく参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】図1Aは、例示的な実施形態の試験片を示す図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの試験片の一端のクローズアップトップダウン図である。
【図1C】図1Cは、例示的な実施形態の試験片の上面分解透視図である。
【図1D】図1Dは、組立て終了後の図1Cに図示した試験片の上面図である。
【図1E】図1Eは、図1Aと1Bで図示された例示的な実施形態の試験片の導電層の上面図である。
【図2A】図2Aは、別の例示的な実施形態の試験片の上面分解透視図である。
【図2B】図2Bは、組立て終了後の図2Aに図示した試験片の上面図である。
【図3A】図3Aは、試験片の電極上の好ましい試薬分布を図示する図1Aのデザインに従った一般的なプロトタイプのカラー顕微鏡写真である。
【図3B】図3Bは、好ましくない試薬分布を図示する別のプロトタイプのカラー顕微鏡写真である。
【図4】図4は、図1A〜1Eおよび図2A〜2Bに示された試験片とともに使用可能な例示的な測定器の上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析用の試験片であって、
第1の端部から第2の端部まで延在する略平坦な表面を有する基板と、
前記略平坦な表面に配設され、相互に離間した複数の電極を画定する導電性材料と、
前記複数の電極が電気的に導通しないように少なくとも2つの電極間に配設された導電性材料の隔離部分(isolated portion)と、を含む前記試験片。
【請求項2】
前記隔離部分の幅が約120ミクロンから約200ミクロンである、請求項1に記載の試験片。
【請求項3】
1つの電極と隔離部分間の距離および隔離部分と別の電極間の距離が約2ミクロンから約50ミクロンである、請求項1に記載の試験片。
【請求項4】
導電性材料の10%未満を除去して複数の電極を形成する、請求項1に記載の試験片。
【請求項5】
試験片に被着した液体サンプルで試験片を満たす間、毛管現象が支援されるように第1の端部と前記複数の電極の1つの電極の両方に対して遠位に導電性材料の別の隔離部分をさらに含む、請求項1に記載の試験片。
【請求項6】
電極および導電性材料の隔離部分が親水性材料で塗布される、請求項1の試験片。
【請求項7】
測定器と試験片とを備える液体サンプル中の分析物濃度の測定用分析物の測定システムであって、
前記測定器は、基準電極と作用電極の間に試験電圧を印加するための電気回路と、シグナルプロセッサとを有し、
前記試験片は、液体サンプルで前記試験片を満たす間、毛管現象が支援されるように導電性材料の隔離部分によって分離される基準電極と作用電極を有する基板を有する、測定システム。
【請求項8】
前記隔離部分の幅が約120ミクロンから約200ミクロンであり、基準電極と前記隔離部分の距離および前記隔離部分と作用電極の距離が約2ミクロンから約50ミクロンである請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
導電性材料の10%未満を除去して基準電極と作用電極を、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
液体サンプル中の分析物濃度を測定するための試験片であって、
基板と、
前記基板に配設した基準電極と、
前記基準電極に隣接して、前記基板に配設した第1の作用電極と、
前記第1の作用電極に隣接して、前記基板に配設した第2の作用電極と、
前記第1の作用電極と前記第2の作用電極の何れかの近位で、前記基準電極の遠位に配設した導電性材料の隔離部分と、を含む試験片。
【請求項11】
前記基準電極と前記第1の作用電極の間の第1の隔離部分と、および前記第1の作用電極と前記第2の作用電極の間の第2の隔離部分とをさらに含み、前記基準電極、前記第1の作用電極、前記第2の作用電極および前記導電性材料の隔離部分が親水性材料で塗布されることを特徴とする、請求項10に記載の試験片。
【請求項12】
前記親水性材料が2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを有する、請求項11に記載の試験片。
【請求項13】
前記隔離部分が略三角形部分を有する、請求項10に記載の試験片。
【請求項14】
前記導電性材料の隔離部分と基板に通気孔の開口をさらに有する、請求項10に記載の試験片。
【請求項15】
導電性材料の10%未満を除去して、基準電極と作用電極を形成する、請求項10に記載の試験片。
【請求項16】
前記隔離部分の幅が約120ミクロンから約200ミクロンである、請求項10に記載の試験片。
【請求項17】
前記基準電極と第1の隔離部分の距離および前記第1の隔離部分と作用電極の距離が約2ミクロンから約50ミクロンである、請求項10に記載の試験片。
【請求項18】
分析用の試験片を製造する方法であって、
導電性材料の層を基板に被着するステップと、
導電性材料の層から選択した部分を除去して、導電性材料の少なくとも一つの電気的に隔離(electrically isolated)したアイランドを有する複数の電極を画定するステップと、を含み、
前記アイランドは、前記複数の電極の何れからも約50ミクロン以下の距離離間して、前記電極から前記アイランドを電気的に隔離する、方法。
【請求項19】
前記除去するステップは、100ナノ秒未満の持続時間で前記導電性材料の層を広領域にわたりレーザー剥離するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、表面を親水性にする材料の層で電極と少なくとも1つの電気的に隔離されたアイランドを塗布するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
さらに、少なくとも2つの電極と少なくとも1つのアイランドの上に試薬を被着するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
さらに、導電層にカバー層を被着するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
試薬層の表面、カバー層の壁、チャンバーの上面カバーによって画定されたチャンバーを形成するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記除去するステップは、導電性の層を剥離して、第1の電極と第2の電極と第3の電極を形成し、前記第1の電極と前記第2の電極の間に第1のアイランドを、前記第2の電極と前記第3の電極の間に第2のアイランドを、前記第3の電極の近傍に第3のアイランドを設けるステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに、前記基板と導電性の層にオリフィスを突き刺すステップを含む、請求項24に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−63577(P2009−63577A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225762(P2008−225762)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America