説明

試薬容器用梱包箱

【課題】横倒しになったときにも試薬容器の破損を防止することが可能な試薬容器用梱包箱を提供する。
【解決手段】この梱包箱1(試薬容器用梱包箱)は、複数の試薬容器10を横並びに収容する外箱2と、外箱2の内底面2gと複数の試薬容器10の下面10fとの間に設けられた緩衝部材3とを備え、緩衝部材3は、試薬容器10の下面10fを外箱2の内底面2gから離間して配置させる下面支持部31と、試薬容器10側に突出するとともに隣接する複数の試薬容器10の間に配置された側面支持部32とを含み、下面支持部31と側面支持部32とは一体的に構成され、緩衝部材3が外箱2内に収納された状態において下面支持部31は外箱2内での動きが規制されて外箱2内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬容器を収容するための試薬容器用梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を収容する容器を複数収容する梱包箱が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、飲料などの紙製容器を複数収容して輸送するための段ボール製の梱包箱が開示されている。梱包箱は、複数の容器の間に仕切り板を挿入した状態で容器を収容している。この仕切り板は、輸送中の振動などに起因して各容器に加わる衝撃を吸収するように機能していると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−222229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試薬容器は、内部に薬品を収容しているため、輸送時の試薬容器の破損などによる液漏れを抑制し安全に輸送することが強く望まれる。そのために、梱包箱を使用することが考えられるが、試薬容器の破損など内部に収容された試薬容器に対する悪影響が発生しないようにする必要がある。上記特許文献1に記載のような梱包箱は、梱包箱が横倒しになると、内部の容器が上下に重なり、上側の容器の重みの全てが下側の容器にかかってしまい、下側の容器が破損するおそれがあるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、横倒しになったときにも試薬容器の破損を防止することが可能な試薬容器用梱包箱を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における試薬容器用梱包箱は、複数の試薬容器を収容するための試薬容器用梱包箱であって、複数の試薬容器を横並びに収容する外箱と、外箱の内底面と複数の試薬容器の下面との間に設けられた第1緩衝部とを備え、第1緩衝部は、試薬容器の下面を外箱の内底面から離間して配置させる下面支持部と、試薬容器側に突出するとともに隣接する複数の試薬容器の間に配置された側面支持部とを含み、下面支持部と側面支持部とは一体的に構成され、第1緩衝部が外箱内に収納された状態において下面支持部は外箱内での動きが規制されて外箱内に配置される。
【0008】
この発明の一の局面による試薬容器用梱包箱では、上記のように、外箱の内底面と複数の試薬容器の下面との間に設けられた第1緩衝部が、試薬容器の下面を外箱の内底面から離間して配置させる下面支持部と、試薬容器側に突出するとともに隣接する複数の試薬容器の間に配置された側面支持部とを含み、下面支持部と側面支持部とは一体的に構成され、第1緩衝部が外箱内に収納された状態において下面支持部は外箱内での動きが規制されて外箱内に配置されるので、試薬容器用梱包箱が横倒しになったときにも、上側の試薬容器の重みが側面支持部の下面支持部側で受け止められる。これにより、下側の試薬容器にかかる重みを軽減することができ、下側の試薬容器の破損を防止することができる。
【0009】
上記一の局面による試薬容器用梱包箱において、好ましくは、外箱の上面と試薬容器の上面との間に配置され、試薬容器の上面を外箱の上面から離間して配置させる第2緩衝部をさらに備える。このように構成すれば、第2緩衝部により試薬容器が外箱の上面からも離間して配置されるので、外箱の上面の稜部や角部に衝撃が加わる場合にも、試薬容器に衝撃が直接伝わるのを防止することができる。これにより、試薬容器をさらに安全に輸送することができる。
【0010】
上記一の局面による試薬容器用梱包箱において、好ましくは、側面支持部は、隣接する複数の試薬容器の間で、一の試薬容器の側面と対向する第1部材と、他の試薬容器の側面と対向する第2部材とを有し、第1部材と第2部材とは、一体的に形成されている。このように構成すれば、隣接する複数の試薬容器の間に第1部材と第2部材とを介在させることができるので、試薬容器の側面側に作用する振動や衝撃の吸収性を向上させることができる。また、第1部材と第2部材とを一体的に形成することによって、部品点数の増加を抑制することができるので、梱包箱の構造の簡素化を図ることができる。
【0011】
この場合において、好ましくは、側面支持部は、板状部材が山折りされて形成され、第1部材と第2部材とは、山折りされた板状部材の一方側部分と他方側部分とからなる。このように構成すれば、単一の板状部材から、簡単な構造で容易に第1部材と第2部材とを形成することができる。
【0012】
上記一の局面による試薬容器用梱包箱において、好ましくは、下面支持部は、段ボール素材を所定厚みに積層することにより構成されている。このように構成すれば、簡単な構造で容易に下面支持部を形成することができるとともに、積層された段ボール素材により衝撃吸収性を向上させることができる。
【0013】
上記一の局面による試薬容器用梱包箱において、好ましくは、第1緩衝部の側面支持部は、外箱内に配置された状態で試薬容器の試薬情報表示領域に接触しない程度の高さとする。このように構成すれば、試薬容器に設けられた試薬情報が側面支持部により損傷を受けることがない。また、部品材料の使用量をさらに削減することができる。
【0014】
上記第2緩衝部を備える構成において、好ましくは、第2緩衝部は、試薬容器の上面から上方に突出するキャップ部が第2緩衝部および外箱の内側上面と接触するのを抑制するための第1逃がし部を含む。このように構成すれば、構造的に弱くなるキャップ部が第2緩衝部および外箱の内側上面と接触するのが抑制されるので、落下時の衝撃によりキャップ部が損傷を受けるのを抑制することができる。これにより、輸送時の試薬容器の安全性をさらに向上させることができる。
【0015】
上記第2緩衝部を備える構成において、好ましくは、第2緩衝部は、試薬容器の上方に突出する取手部を逃がすための第2逃がし部を含む。このように構成すれば、取手部を有する試薬容器も容易に梱包することができる。
【0016】
上記第2緩衝部が第1逃がし部を含む構成において、好ましくは、外箱は、側面から上側に延びる側面延長部を有し、第2緩衝部は、外箱の側面延長部を複数回折り曲げることにより、外箱に一体的に形成されている。このように構成すれば、第2緩衝部を別途設ける必要がないので、その分、部品点数を削減して梱包箱の構造の簡素化を図ることができる。
【0017】
この場合において、好ましくは、第2緩衝部は、外箱の上下方向の衝撃を支えるための上面支持部を含む。このように構成すれば、第2緩衝部を外箱と一体的に形成した場合にも、上面支持部によって、上下方向の耐衝撃性を高めることができるので、梱包箱の構造の簡素化を図りながら、輸送時の試薬容器の安全性も向上させることができる。
【0018】
上記第2緩衝部が第1逃がし部を含む構成において、好ましくは、第2緩衝部は、下面支持部および側面支持部が外箱の内側上面と試薬容器の上面との間に配置されることにより、第1緩衝部と共用可能に構成されている。このように構成すれば、第1緩衝部と同様に、上方からの衝撃や、側面方向の振動および衝撃などが試薬容器に直接伝わるのを抑制することが可能な第2緩衝部を設けることができる。また、第1緩衝部と第2緩衝部とを共通化することができるので、部品の種類が増加するのを抑制することができる。このため、少ない種類の部品により、組み立て作業をより簡便かつ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態による梱包箱の外観を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による梱包箱の分解斜視図である。
【図3】図4の510−510線に沿った第1実施形態による梱包箱の拡大断面図である。
【図4】図3の500−500線に沿った第1実施形態による梱包箱の断面図である。
【図5】図1に示した梱包箱の第1延長部を折り曲げて上面側を閉じた状態を示した斜視図である。
【図6】図5に示した梱包箱の第2延長部を折り曲げて上面側を閉じた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態による梱包箱の分解斜視図である。
【図8】図9の530−530線に沿った第2実施形態による梱包箱の拡大断面図である。
【図9】図8の520−520線に沿った第2実施形態による梱包箱の断面図である。
【図10】図7に示した第2実施形態による梱包箱の取手逃がし部を説明するための図である。
【図11】図7に示した第2実施形態による梱包箱の梱包手順を説明するための図である。
【図12】図13の550−550線に沿った、本発明の第3実施形態による梱包箱の拡大断面図である。
【図13】図12の540−540線に沿った第3実施形態による梱包箱の断面図である。
【図14】第3実施形態による梱包箱の緩衝部材を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態による梱包箱1の全体構成について説明する。第1実施形態では、試薬容器用梱包箱の一例である梱包箱1に本発明を適用した場合について説明する。
【0022】
第1実施形態による梱包箱1は、図1および図2に示すように、外箱2と、緩衝部材3とを備えている。この梱包箱1は、正四角柱状の六面体形状を有する試薬容器10を2本並べて収容可能に構成されている。なお、緩衝部材3は、本発明における「第1緩衝部」の一例である。
【0023】
図2に示すように、試薬容器10は、検体分析のために使用される試薬(たとえば、溶血剤や希釈液など)を収容している。試薬容器10は、ポリエチレン、紙およびバリアフィルムなどが積層された紙状の複合材により形成されている。試薬容器10は、幅および奥行きL1、高さH1を有し、たとえば1.5リットルの試薬を収容する。試薬容器10の上面10aには、中心から前面10b側(Y2方向側)に外れた位置に取出口11が設けられている。取出口11は、上面10aから上方(Z1方向)に突出するように形成され、開閉用のキャップ12が取り付けられている。各側面(前面10b、側面10c、側面10dおよび背面10e)には、収容する試薬の種類、製品名など、各種の印字(図示省略)が付されている。なお、キャップ12は、本発明における「キャップ部」の一例である。
【0024】
外箱2は、波状の紙材を表裏の紙材により挟むように接着して形成された段ボール製である。外箱2は、試薬容器10を長手方向(X方向)に2本並べて収容可能な横長の六面体形状を有する。外箱2は、上面2a(図1参照)と、前面2bと、側面2cおよび2dと、背面2eと、下面2fとを有する。
【0025】
図3に示すように、外箱2は、外箱2の上面2aと試薬容器10の上面10aとの間に配置された上側緩衝部20を一体的に含んでいる。上側緩衝部20は、試薬容器10の上面10aを外箱2の上面2aから上下方向(Z方向)に離間して配置させるように構成されている。図2に示すように、上側緩衝部20は、前面2bから上方に延びる第1延長部20aと、背面2eから上方に延びる第2延長部20bとがそれぞれ折り曲げられることにより、形成されている。なお、上側緩衝部20は、本発明の「第2緩衝部」の一例である。また、第1延長部20aおよび第2延長部20bは、本発明の「側面延長部」の一例である。
【0026】
図3に示すように、第1延長部20aは、前面2bに連続するY1方向の第1部分21と、第1部分21に連続する下方向(Z2方向)の第2部分22と、第2部分22に連続するY1方向の第3部分23と、第3部分23から上方に延びる第4部分24とを一体的に含んでいる。図2に示すように、第1延長部20aには、長手方向(X方向)に沿って延びる3つの折曲部21a、22aおよび23aが設けられている。これらの折曲部21a、22aおよび23aをそれぞれ、内折り、外折り、外折りすることによって、第2部分22〜第4部分24(図3参照)が形成されている。したがって、図5に示すように、第1延長部20aは、第2部分22〜第4部分24が外箱2の内部に凹状に嵌り込みながら上面側を塞ぐように設けられている。
【0027】
図3に示すように、第2延長部20bは、背面2eに連続するY2方向の第5部分25と、第5部分25に連続する下方向の第6部分26とを一体的に含んでいる。図2に示すように、第2延長部20bには、長手方向(X方向)に沿って延びる折曲部25aが設けられている。この折曲部25aが内折りされ、第2部分22〜第4部分24によって構成される凹部に第6部分26が差し込まれている。これにより、図3に示すように、第5部分25と第1部分21とが、折曲部25aと折曲部21aとでY方向に当接するように構成されている。
【0028】
これらの第1延長部20aと、第2延長部20bとによって、上側緩衝部20は、第2部分22、第3部分23および第4部分24と、第5部分25および第6部分26とからなる断面矩形状の中空梁状構造を有する上面支持部20cを含んでいる。上面支持部20cは、外箱2に加わる上下方向の衝撃を支える機能を有する。すなわち、上下方向の衝撃によって試薬容器10が外箱2内で上方に移動する場合にも、第3部分23が試薬容器10の上面10aを押さえ、上下方向の第2部分22、第4部分24および第6部分26が衝撃を受け止める。
【0029】
なお、前面2bと背面2eとをそれぞれ延長させた第1延長部20a(図2参照)と第2延長部20b(図2参照)とにより上面支持部20cが構成されるため、上面支持部20cは外箱2の内部で長手方向(X方向)の全幅にわたって延びている。このため、上面支持部20cは長手方向の衝撃に対する支持部も兼ねている。また、Y1方向の第1部分21とY2方向の第5部分25とがY方向に当接することにより、短手方向(Y方向)の衝撃に対する支持部が構成されている。
【0030】
さらに、上側緩衝部20は、第3部分23に対して上方に突出する第1部分21および第2部分22により、試薬容器10から上方に突出するキャップ12(取出口11)を逃がすためのキャップ逃がし部20dを含んでいる。第1部分21は、試薬容器10の前面10bからキャップ12の背面10e側端部までの距離D1よりも大きい長さL2を有する。第2部分22は、キャップ12の上面10aからの突出高さH2よりも大きい長さL3を有する。これにより、キャップ12は、上側緩衝部20(第1部分21および第2部分22)とは接触しないように構成されている。ただし、梱包箱1の落下時などには第1部分21がキャップ12の上面10aからの飛び出しを押さえ込む機能を果たすように、突出高さH2と第2部分22の長さL3との差は、ごく小さくなるように設定されている。なお、キャップ逃がし部20dは、本発明の「第1逃がし部」の一例である。
【0031】
また、図2に示すように、外箱2の側面2cおよび側面2dからも、それぞれ、上方に延びる延長部27および28が一体的に設けられている。図1に示すように、延長部27および28がそれぞれ側面2cおよび側面2dの上端部で折り曲げられることにより、延長部27および28は、第1延長部20aおよび第2延長部20bを覆う外箱2の上面を構成している。延長部27および28は、それぞれ接着部27aおよび28aでホットメルトにより第1延長部20aおよび第2延長部20bの上面と接着されて、固定されている。延長部27および28の先端部27bおよび28bは、接着されずに、開梱時のつまみ(把持部)として機能する。
【0032】
図3および図4に示すように、緩衝部材3は、外箱2の内底面2gと2つの試薬容器10の下面10fとの間に設けられている。緩衝部材3は、外箱2と同じ段ボール素材からなる。緩衝部材3は、図2に示すように、一対のブロック状の下面支持部31と、試薬容器10が配置される上方に突出する側面支持部32とを一体的に含んでいる。
【0033】
下面支持部31は、試薬容器10に対応した矩形状の板状形状を有する。このため、緩衝部材3を外箱2内に収納した場合に、下面支持部31の外箱2内での動きが規制され外箱2内で安定配置されることになる。下面支持部31は、同一形状の段ボール板を所定厚みt1になるまで積層させることにより、形成されている。第1実施形態では、下面支持部31は、6枚の段ボール板を積層させ、接着剤を用いて互いに固定させている。これにより、下面支持部31は、試薬容器10の下面10f(図3参照)を外箱2の内底面2gから離間して配置させるように構成されている。
【0034】
図4に示すように、側面支持部32は、X方向に隣接する2つの試薬容器10の間に配置され、試薬容器10の下側部分に対応する領域に設けられている。側面支持部32は、一対の下面支持部31の上面に張り合わされた1枚の段ボール板32aからなる。つまり、緩衝部材3は、合計7層(6層の下面支持部31+1層の側面支持部32の段ボール板32a)の段ボール板からなる。なお、段ボール板32aは、本発明の「板状部材」の一例である。
【0035】
側面支持部32は、X1方向側の試薬容器10の側面10cと対向する左側部分33と、X2方向側の試薬容器10の側面10dと対向する右側部分34とを一体的に含んでいる。すなわち、左側部分33および右側部分34は、段ボール板32aを長手方向の中央部で山折りすることにより、山折りされた段ボール板32aのX1方向側部分(左側部分33)およびX2方向側部分(右側部分34)からなる。側面支持部32は、突出高さH3を有する。ここで、試薬容器10に収容される試薬について、関係法令上、表示が義務づけられている各種情報がある。このような情報は、側面10cおよび側面10dについては、高さHp以上の試薬情報表示領域に表示されている。側面支持部32の突出高さH3は、高さHpよりも小さい。これにより、側面支持部32は、輸送時に側面支持部32が試薬容器10の側面10cおよび10dと接触した場合でも、表示が義務づけられた各種情報の表示を損なうことがないように構成されている。なお、左側部分33は、本発明の「第1部材」および「一方側部分」の一例である。また、右側部分34は、本発明における「第2部材」および「他方側部分」の一例である。なお、側面支持部32の突出高さH3は、試薬容器10の高さH1の半分以下である。
【0036】
次に、図1、図2、図4〜図6を参照して、梱包箱1の梱包手順を説明する。
【0037】
まず、図2および図4に示すように、外箱2の内底面2g上に緩衝部材3を配置する。次に、緩衝部材3の上面に、2つの試薬容器10を長手方向(X方向)に並べて配置する。この際、前面10bが外箱2の前面2b側に配置されるように配置する。
【0038】
次に、図5に示すように、外箱2の第1延長部20aを前面2bの上端部で折り曲げ、折曲部21a、22a(図2参照)および23aをそれぞれ内折り、外折りおよび外折りすることによって、第1延長部20aを外箱2の内面側に嵌め込む。
【0039】
続いて、図6に示すように、第2延長部20bを背面2eの上端部で折り曲げ、折曲部25aを内折りするとともに、第1延長部20aにより形成された凹部(第2部分22〜第4部分24)に第6部分26を嵌め込む。
【0040】
最後に、図1に示すように、延長部27および28をそれぞれ側面2cおよび2dの上端部で折り曲げ、ホットメルトにより接着部27aおよび28aを第1延長部20aおよび第2延長部20bの上面に接着する。これにより、2本の試薬容器10の梱包が完了する。
【0041】
第1実施形態では、上記のように、試薬容器10の下面10fを外箱2の内底面2gから離間して配置させる下面支持部31と、試薬容器10側に突出するとともに隣接する2つの試薬容器10の間に配置された側面支持部32とを含む緩衝部材3を設けることによって、試薬容器10が外箱2内で厚みt1だけ嵩上げされるので、落下時に外箱2の下面2fの稜部や角部に衝撃が加わる場合でも、試薬容器10に衝撃が直接伝わるのを防止することができる。また、下面支持部31が試薬容器10下に配置された状態で側面支持部32が試薬容器10の間に安定して配置されるので、輸送時の振動や転倒時に試薬容器10の側面10cおよび10d側に作用する衝撃も、試薬容器10の間に配置された側面支持部32によって受け止めて吸収することができ、試薬容器10に衝撃が直接伝わるのを防止することができる。特に、外箱2が幅の狭い側面2cまたは2d側に転倒した場合、下側の試薬容器10には上側の試薬容器10からの衝撃も加わるが、側面支持部32の存在により上側の試薬容器10の側面(10cまたは10d)部分を支え、下側の試薬容器10への衝撃を緩和することが可能となる。これらの結果、衝撃に弱い試薬容器10を安全に輸送することができる。さらに、外箱2と緩衝部材3とを段ボール素材により形成することによって、環境に配慮した梱包箱1を提供することが可能である。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、外箱2の上面2aと試薬容器10の上面10aとの間に配置され、試薬容器10の上面10aを外箱2の上面2aから離間して配置させる上側緩衝部20が設けられている。このように構成することによって、上側緩衝部20により試薬容器10が外箱2の上面2aからも離間して配置されるので、外箱2の上面2aの稜部や角部に衝撃が加わる場合にも、試薬容器10に衝撃が直接伝わるのを防止することができる。これにより、試薬容器10をさらに安全に輸送することができる。また、この場合でも、上側緩衝部20を外箱2および緩衝部材3と同様に段ボール素材で形成することによって、たとえば発泡スチロールなどの詰め物を用いる場合と比較して、環境への負荷を低減することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、側面支持部32は、隣接する2つの試薬容器10の間で、X1方向側の試薬容器10の側面10cと対向する左側部分33と、X2方向側の試薬容器10の側面10dと対向する右側部分34とを一体的に含んでいる。このように構成することによって、隣接する試薬容器10の間に左側部分33と右側部分34とを介在させることができるので、試薬容器10の側面10cおよび10d側に作用する振動や衝撃の吸収性を向上させることができる。また、左側部分33と右側部分34とを一体的に形成することによって、部品点数の増加を抑制することができるので、梱包箱1の構造の簡素化を図ることができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、側面支持部32は、段ボール板32aが山折りされて形成され、左側部分33と右側部分34とは、山折りされた段ボール板32aのX1方向側部分(左側部分33)とX2方向側部分(右側部分34)とからなる。このように構成することによって、単一の段ボール板32aから、簡単な構造で容易に左側部分33と右側部分34とを形成することができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、下面支持部31は、段ボール素材を所定厚みt1となるように積層することにより構成されている。このように構成することによって、簡単な構造で容易に下面支持部31を形成することができるとともに、積層した段ボール素材により衝撃吸収性を向上させることができる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、緩衝部材3は、下面支持部31と側面支持部32とを一体的に含む。このように構成することによって、部品点数の増加を抑制することができるので、梱包箱1の構造の簡素化を図ることができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、上側緩衝部20は、試薬容器10の上面10aから上方に突出するキャップ12が上側緩衝部20(すなわち、外箱2の内側上面)と接触するのを抑制するためのキャップ逃がし部20dを含む。このように構成することによって、構造的に弱くなるキャップ12の部分が外箱2内で上側緩衝部20(外箱2の内側上面)と接触するのが抑制されるので、特に衝撃に弱いキャップ12の部分が損傷を受けるのを抑制することができる。これにより、輸送時の試薬容器の安全性をさらに向上させることができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、外箱2は、側面(前面2bおよび背面2e)から上側に延びる第1延長部20aおよび第2延長部20bを有し、上側緩衝部20は、第1延長部20aを折曲部21a、22aおよび23aで複数回折り曲げるとともに、第2延長部20bを折曲部25aで折り曲げることにより、外箱2に一体的に形成されている。このように構成することによって、上側緩衝部20を別途設ける必要がないので、その分、部品点数を削減して梱包箱1の構造の簡素化を図ることができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、上側緩衝部20は、外箱2の上下方向の衝撃を支えるための上面支持部20cを含む。このように構成することによって、上側緩衝部20を外箱2と一体的に形成した場合にも、上面支持部20cによって、上下方向の耐衝撃性を高めることができるので、梱包箱1の構造の簡素化を図りながら、輸送時の試薬容器の安全性も向上させることができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、図7〜図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態における試薬容器10よりも大型で、取手付きの試薬容器110を収容する梱包箱101の例について説明する。梱包箱101は、本発明の「試薬容器用梱包箱」の一例である。
【0051】
第2実施形態による梱包箱101は、図7に示すように、大型の試薬容器110をX方向に2本並べて収容可能な外箱102と、緩衝部材103とを備えている。なお、緩衝部材103は、本発明における「第1緩衝部」の一例である。
【0052】
試薬容器110は、正四角柱状の六面体形状を有する。試薬容器110は、幅および奥行きL4、高さH4を有し、たとえば4リットルの試薬を収容する。なお、取出口111およびキャップ112の寸法は上記第1実施形態と同様であり、試薬容器110の前面110bからキャップ112の背面110e側端部までの距離もD1で共通である。なお、キャップ112は、本発明の「キャップ部」の一例である。
【0053】
大型の試薬容器110には、取手部113が設けられている。取手部113は、シート状形状を有し、両端がそれぞれ、試薬容器110の側面110cおよび110dに接着されている。これにより、取手部113は、試薬容器110の上面110aを上方に跨ぐアーチ状に形成されている。なお、取手部113は、平面的に見て、キャップ112とはオーバーラップしないように、前後方向(Y方向)の中央の位置に配置されている。
【0054】
外箱102は、段ボール製である。外箱102は、大型の試薬容器110をX方向に2本収容可能な大きさに形成されている。
【0055】
図8に示すように、外箱102は、外箱102の上面102aと試薬容器110の上面110aとの間に配置された上側緩衝部120を一体的に含んでいる。上側緩衝部120の構造は、上記第1実施形態の上側緩衝部20とほぼ同様である。すなわち、図7に示すように、上側緩衝部120は、前面102bから上方に延びる第1延長部120aと、背面102eから上方に延びる第2延長部120bとがそれぞれ折り曲げられることにより、形成されている。なお、上側緩衝部120は、本発明の「第2緩衝部」の一例である。また、第1延長部120aおよび第2延長部120bは、本発明の「側面延長部」の一例である。
【0056】
第1延長部120aは、第1部分121と、第2部分122と、第3部分123と、第4部分124とを一体的に含んでおり、折曲部121a、122aおよび123aで折り曲げられる。第2延長部120bは、第5部分125と、第6部分126とを一体的に含んでおり、折曲部125aで折り曲げられる。図8に示すように、これらの各部によって、上面支持部120cおよびキャップ逃がし部120dが構成されている。なお、キャップ逃がし部120dは、本発明における「第1逃がし部」の一例である。
【0057】
ここで、図7に示すように、第2実施形態では、第1延長部120aの第3部分123には、取手逃がし部123bが形成されている。取手逃がし部123bは、第3部分123の長手方向(X方向)の両端部にそれぞれ形成された切り欠きからなる。図10に示すように、取手逃がし部123bは、取手部113の幅(短手方向の幅)W2よりも大きい切り欠き幅W1を有する。取手逃がし部123bは、試薬容器110の収容時に、取手部113を上方に逃がすために設けられている。このため、試薬容器110の取手部113は、取手逃がし部123bを介して、第2部分122〜第4部分124によって構成される凹部内(中空梁状の上面支持部120cの内部)に逃がされる。なお、取手逃がし部123bは、本発明における「第2逃がし部」の一例である。
【0058】
また、図7に示すように、第2実施形態では、第2延長部120bの第6部分126は、第5部分125の所定位置に矩形状の3辺部分からなる切り込み125bと、残りの1辺の折曲部125aとにより、略矩形形状に形成されている。第2部分122〜第4部分124によって構成される凹部に第6部分126が差し込まれると、第5部分125の先端側部分は、第1部分121の上面側に覆い被さる(図11参照)ように配置される。これにより、梱包箱101の開梱時に、第5部分125には第6部分126に対応する略矩形形状の孔が形成されるため、ユーザがこの孔に手をかけて容易に開梱することが可能である。
【0059】
緩衝部材103は、上記第1実施形態の緩衝部材3と寸法が異なるのみであり、緩衝部材3と同じ構造を有する。すなわち、図7および図9に示すように、緩衝部材103は、6枚の段ボール板を積層させて厚みt1に形成した一対の下面支持部131と、下面支持部131の上面に張り合わされた1枚の段ボール板132aからなる側面支持部132とを一体的に含んでいる。
【0060】
第2実施形態による梱包箱101のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0061】
次に、図9〜図11を参照して、第2実施形態による梱包箱101の梱包手順を説明する。
【0062】
まず、図9に示すように、外箱102の内底部に緩衝部材103を配置する。次に、緩衝部材103の上面に、2つの試薬容器110を長手方向に並べて配置する。この際、前面110bが外箱102の前面102b側に配置されるように配置する。
【0063】
次に、図11に示すように、外箱102の第1延長部120aを前面102bの上端部で折り曲げ、折曲部121a、122aおよび123aでそれぞれ折り曲げることによって、第1延長部120aを外箱102の内面側に嵌め込む。このとき、試薬容器110の取手部113は第3部分123により上面110a(図8参照)側に押付けられる。アーチ状の取手部113の余った部分が、第3部分123の両脇の取手逃がし部123b(図10参照)から逃がされる。
【0064】
続いて、第2延長部120bを背面102eの上端部で折り曲げ、折曲部125aを内折りして、第6部分126を凹部(第2部分122〜第4部分124)に嵌め込む。最後に、延長部127および128をそれぞれ第2延長部120b(第5部分125)の上面に接着する。これにより、2本の試薬容器110の梱包が完了する。
【0065】
第2実施形態では、上記のように、試薬容器110の下面110fを外箱102の内底面102gから離間して配置させる下面支持部131と、試薬容器110側に突出するとともに隣接する2つの試薬容器110の間に配置された側面支持部132とを含む緩衝部材103を設けることによって、試薬容器110に衝撃が直接伝わるのを防止することができる。また、輸送時の振動や転倒時に試薬容器110の側面110cおよび110d側に作用する衝撃も、試薬容器110に直接伝わるのを防止することができる。これらの結果、衝撃に弱い試薬容器110を安全に輸送することができる。さらに、外箱102と緩衝部材103とを段ボール素材により形成することによって、樹脂成形容器などを設ける必要がないので、環境に配慮した梱包箱101を提供することが可能である。
【0066】
なお、落下および転倒時の衝撃や輸送時の振動の影響は、試薬容器が大型化し重量が増大するのに伴い大きくなる。このため、本発明は、この第2実施形態による梱包箱101のように、大型の試薬容器を収容するための梱包箱に適用した場合に特に有効である。
【0067】
また、第2実施形態では、上記のように、上側緩衝部120は、試薬容器110の上方に突出する取手部113を逃がすための取手逃がし部123bを含む。このように構成することによって、取手部113を有する試薬容器110も容易に梱包することができる。
【0068】
第2実施形態によるその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
(第3実施形態)
次に、図7、図10および図12〜図14を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上側緩衝部を外箱に一体的に形成した上記第1および第2実施形態とは異なり、上側緩衝部を別部材とし、下側の緩衝部材と共通化した梱包箱201の例について説明する。なお、梱包箱201は、本発明の「試薬容器用梱包箱」の一例である。
【0070】
第3実施形態による梱包箱201は、図12および図13に示すように、大型の試薬容器110をX方向に2本並べて収容可能な外箱202と、2つの緩衝部材203とを備えている。なお、この第3実施形態では、上記第2実施形態と同じ試薬容器110を収容する梱包箱201の例について説明する。
【0071】
外箱202は、段ボール製である。外箱202は、幅(奥行き)L4および高さH4(図7参照)を有する大型の試薬容器110をX方向に2本収容可能な大きさに形成されている。
【0072】
第3実施形態では、図12に示すように、外箱202の前面202bから上方に延びる第1延長部220aと、背面202eから上方に延びる第2延長部220bとには、折曲部や逃がし部は形成されていない。第1延長部220aと第2延長部220bとは、それぞれ外箱202の奥行きL5に対応する長さに形成されており、延長部227および228(図13参照)とともに、外箱202の上面の蓋をするために形成されている。
【0073】
一方、第3実施形態では、2つの緩衝部材203が、それぞれ、外箱202の上面202aと試薬容器110の上面110aとの間の位置(試薬容器110の上側)と、外箱202の内底面202gと2つの試薬容器110の下面110fとの間の位置(試薬容器110の下側)とに設けられている。図14に示すように、2つの緩衝部材203は段ボール製で、同一形状を有し、共通に用いられる。ここでは、説明の便宜上、上側に配置される緩衝部材203を203aとし、下側に配置される緩衝部材203を203bとする。なお、上側の緩衝部材203aおよび下側の緩衝部材203bは、それぞれ、本発明における「第2緩衝部」および「第1緩衝部」の一例である。
【0074】
緩衝部材203は、下面支持部231と、側面支持部232とを一体的に含んでいる。さらに、第3実施形態では、緩衝部材203には、それぞれ切り欠きからなるキャップ逃がし部233と、取手逃がし部234とが形成されている。
【0075】
2つの緩衝部材203は、それぞれの側面支持部232が2つの試薬容器110の間に入り込み、上下に対向するように配置されている。なお、下面支持部231および側面支持部232の構成は、上記第2実施形態と同様である。図12に示すように、上側に配置される緩衝部材203aは、上記第2実施形態の上側緩衝部120と同様に機能する。すなわち、緩衝部材203aの下面支持部231が、上下方向の衝撃を支持する上面支持部220cとして機能する。さらに、図13に示すように、第3実施形態では、緩衝部材203aと203bとによって、側面支持部232も上下に配置されるので、上下一対の側面支持部232により、外箱202が転倒した場合に下側の試薬容器110に作用する衝撃をより良好に吸収することが可能である。
【0076】
図14に示すように、キャップ逃がし部233は、緩衝部材203が上側の緩衝部材203aとして配置された場合に、試薬容器110から上方に突出するキャップ112(取出口111)を逃がす(図12参照)ように形成されている。このため、キャップ逃がし部233は、2つの試薬容器110のキャップ112の配置位置に対応して、緩衝部材203のX方向の両側に1つずつ設けられており、外箱202の前面202b側(Y2方向側)の位置に配置されるように設けられている。キャップ逃がし部233は、試薬容器110の前面110bからキャップ112の背面110e側端部までの距離D1(図12参照)よりも大きい奥行きL6を有する。また、キャップ逃がし部233は、キャップ112の直径D2(図13参照)よりも大きい幅W3を有し、角部が丸みを帯びた略矩形状の切り欠きとなっている。これにより、図12に示すように、キャップ112は、緩衝部材203aおよび外箱202の内側上面202hとは接触しないように構成されている。なお、キャップ逃がし部233は、本発明の「第1逃がし部」の一例である。
【0077】
図14に示すように、取手逃がし部234は、緩衝部材203が上側の緩衝部材203aとして配置された場合に、試薬容器110から上方に突出する取手部113を逃がすように形成されている。このため、取手逃がし部234は、2つの試薬容器110の取手部113(図13参照)の配置位置に対応して、緩衝部材203のX方向の両端に1つずつ設けられており、試薬容器110の前後方向(Y方向)の中央に配置されるように設けられている。図12に示すように、取手逃がし部234は、取手部113の幅(短手方向の幅)W2よりも大きい切り欠き幅W4を有する。これにより、図10に示した第2実施形態の取手逃がし部123bと同じように、取手部113は、長手方向(X方向)の両端部で取手逃がし部234内に逃がされる。なお、取手逃がし部234は、本発明の「第2逃がし部」の一例である。
【0078】
第3実施形態による梱包箱201のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0079】
次に、図12および図13を参照して、第3実施形態による梱包箱201の梱包手順を説明する。
【0080】
まず、図13に示すように、外箱202の内底部に緩衝部材203(203b)を配置する。次に、緩衝部材203bの上面に、2つの試薬容器110を長手方向に並べて配置する。この際、前面110bが外箱202の前面202b側に位置するように配置する。
【0081】
次に、試薬容器110の上面110a側に緩衝部材203(203a)を配置する。この際、キャップ逃がし部233が前面202b側に位置する向きに緩衝部材203を合わせ、側面支持部232を2つの試薬容器110間に差し込むようにして緩衝部材203(203a)を配置する。また、試薬容器110の取手部113の余った部分が、緩衝部材203aの両脇の取手逃がし部234(図14参照)内に逃がされる。
【0082】
続いて、図12に示すように、延長部227および228(図13参照)をそれぞれ側面202cおよび202dの上端部で折り曲げ、緩衝部材203aの上側の蓋をする。さらに、第1延長部220aと第2延長部220bとをそれぞれ前面202bの上端部と背面202eの上端部とで折り曲げ、接着する。これにより、2本の試薬容器110の梱包が完了する。
【0083】
第3実施形態では、上記のように、試薬容器110の下面110fを外箱202の内底面202gから離間して配置させる下面支持部231と、試薬容器110側に突出するとともに隣接する2つの試薬容器110の間に配置された側面支持部232とを含む緩衝部材203(203b)を設けることによって、試薬容器110に衝撃が直接伝わるのを防止することができる。また、輸送時の振動や転倒時に試薬容器110の側面110cおよび110d側に作用する衝撃も、試薬容器110に直接伝わるのを防止することができる。これらの結果、衝撃に弱い試薬容器110を安全に輸送することができる。さらに、外箱202と緩衝部材203とを段ボール素材により形成することによって、樹脂成形容器などを設ける必要がないので、環境に配慮した梱包箱201を提供することが可能である。
【0084】
また、第3実施形態では、上記のように、下面支持部231および側面支持部232を一体的に含む緩衝部材203(203a)が外箱202の内側上面202hと試薬容器110の上面110aとの間に配置されることにより、下側の緩衝部材203bと上側の緩衝部材203aとが共用可能に構成されている。このように構成することによって、下側の緩衝部材203bと同様に、上方からの衝撃や、側面方向の振動および衝撃などが試薬容器110に直接伝わるのを抑制することが可能な上側の緩衝部材203aを設けることができる。この場合でも、下側の緩衝部材203bと上側の緩衝部材203aとを共通化することができるので、部品の種類が増加するのを抑制することができる。このため、少ない種類の部品により、組み立て作業をより簡便かつ効率的に行うことができる。
【0085】
第3実施形態によるその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0086】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0087】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、2本の試薬容器を収容する梱包箱の例を示したが、本発明はこれに限られない。3本以上の試薬容器を収容するように構成してもよい。
【0088】
また、上記第1〜第3実施形態では、ポリエチレン、紙およびバリアフィルムなどが積層された複合材により形成された試薬容器(いわゆる紙パック容器)を収容する梱包箱の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、いわゆるポリ容器のような樹脂成形試薬容器や、樹脂製の袋状試薬容器を収容する梱包箱に適用してもよい。
【0089】
また、上記第1〜第3実施形態では、下側の緩衝部材(3、103、203b)と、上側緩衝部(20、120)または上側の緩衝部材(203a)とを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、下側の緩衝部材だけを設けてもよい。
【0090】
また、上記第1〜第3実施形態では、下側の緩衝部材(3、103、203b)を、外箱とは別部材で設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば上記第1または第2実施形態の上側緩衝部のように、下側の緩衝部材を外箱と一体的に形成してもよい。
【0091】
また、上記第1〜第3実施形態では、側面支持部を、段ボール板を中央部分で山折りすることにより、X1方向側の左側部分と、X2方向側の右側部分とを一体的に含むように形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、側面支持部を、複数の部材で形成してもよい。したがって、左側部分と右側部分とを別体で形成してもよい。
【0092】
また、上記第1〜第3実施形態では、側面支持部の突出高さが試薬容器の側面の印字領域の下限高さよりも小さくなるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、側面支持部の突出高さを試薬容器の高さと略同じとし、側面支持部が試薬容器の側面の略全体を支持するようにしてもよい。
【0093】
また、上記第1〜第3実施形態では、下面支持部を、6枚の段ボール板を積層させて厚みt1となるように形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、下面支持部は、1〜5枚積層させてもよいし、7枚以上積層させてもよい。また、下面支持部を、上記第1実施形態の上側緩衝部のように折り曲げて、梁状やブロック状などに組上げられた段ボール部材により形成してもよい。
【0094】
また、上記第1〜第3実施形態では、上側緩衝部(20、120)または上側の緩衝部材(203a)に、キャップ逃がし部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、キャップ逃がし部を設けなくともよい。キャップ(取出口)が試薬容器の上面から突出しないような試薬容器を収容する場合には、キャップ逃がし部を設ける必要はない。
【0095】
また、上記第3実施形態では、上側の緩衝部材203aと下側の緩衝部材203bとに用いる緩衝部材203を共通化した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上側の緩衝部材と下側の緩衝部材とを、それぞれ専用の緩衝部材としてもよい。この場合には、下側の緩衝部材にキャップ逃がし部や取手逃がし部を形成する必要がなくなる。
【0096】
また、上記第1〜第3実施形態で開示した試薬容器はあくまで一例であり、本発明はこれに限られない。本発明では、どのような形状および内容量の試薬容器を収容してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1、101、201 梱包箱(試薬容器用梱包箱)
2、102、202 外箱
3、103、203b 緩衝部材(第1緩衝部)
10、110 試薬容器
12、112 キャップ(キャップ部)
20、120 上側緩衝部(第2緩衝部)
20a、120a 第1延長部(側面延長部)
20b、120b 第2延長部(側面延長部)
20c、120c 上面支持部
20d、120d、233 キャップ逃がし部(第1逃がし部)
31、131、231 下面支持部
32、132、232 側面支持部
32a 段ボール板(板状部材)
33 左側部分(第1部材、一方側部分)
34 右側部分(第2部材、他方側部分)
123b、234 取手逃がし部(第2逃がし部)
203a 緩衝部材(第2緩衝部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試薬容器を収容するための試薬容器用梱包箱であって、
前記複数の試薬容器を横並びに収容する外箱と、
前記外箱の内底面と前記複数の試薬容器の下面との間に設けられた第1緩衝部とを備え、
前記第1緩衝部は、前記試薬容器の下面を前記外箱の内底面から離間して配置させる下面支持部と、前記試薬容器側に突出するとともに隣接する前記複数の試薬容器の間に配置された側面支持部とを含み、前記下面支持部と前記側面支持部とは一体的に構成され、前記第1緩衝部が前記外箱内に収納された状態において前記下面支持部は前記外箱内での動きが規制されて前記外箱内に配置される、試薬容器用梱包箱。
【請求項2】
前記外箱の上面と前記試薬容器の上面との間に配置され、前記試薬容器の上面を前記外箱の上面から離間して配置させる第2緩衝部をさらに備える、請求項1に記載の試薬容器用梱包箱。
【請求項3】
前記側面支持部は、隣接する前記複数の試薬容器の間で、一の試薬容器の側面と対向する第1部材と、他の試薬容器の側面と対向する第2部材とを有し、
前記第1部材と前記第2部材とは、一体的に形成されている、請求項1または2に記載の試薬容器用梱包箱。
【請求項4】
前記側面支持部は、板状部材が山折りされて形成され、
前記第1部材と前記第2部材とは、山折りされた前記板状部材の一方側部分と他方側部分とからなる、請求項3に記載の試薬容器用梱包箱。
【請求項5】
前記下面支持部は、段ボール素材を所定厚みに積層することにより構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試薬容器用梱包箱。
【請求項6】
前記側面支持部は、前記外箱内に配置された状態で前記試薬容器の試薬情報表示領域に接触しない程度の高さである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試薬容器用梱包箱。
【請求項7】
前記第2緩衝部は、前記試薬容器の上面から上方に突出するキャップ部が前記第2緩衝部および前記外箱の内側上面と接触するのを抑制するための第1逃がし部を含む、請求項2に記載の試薬容器用梱包箱。
【請求項8】
前記第2緩衝部は、前記試薬容器の上方に突出する取手部を逃がすための第2逃がし部を含む、請求項2または7に記載の試薬容器用梱包箱。
【請求項9】
前記外箱は、側面から上側に延びる側面延長部を有し、
前記第2緩衝部は、前記外箱の側面延長部を複数回折り曲げることにより、前記外箱に一体的に形成されている、請求項7または8に記載の試薬容器用梱包箱。
【請求項10】
前記第2緩衝部は、前記外箱の上下方向の衝撃を支えるための上面支持部を含む、請求項9に記載の試薬容器用梱包箱。
【請求項11】
前記第2緩衝部は、前記下面支持部および前記側面支持部が前記外箱の内側上面と前記試薬容器の上面との間に配置されることにより、前記第1緩衝部と共用可能に構成されている、請求項7または8に記載の試薬容器用梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−224350(P2012−224350A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91926(P2011−91926)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】