説明

試薬調製装置および検体処理システム

【課題】消費電力の低減を図ることが可能な試薬調製装置を提供する。
【解決手段】この試薬調製装置6は、液体を移送するための圧力を生成する空圧部5と、空圧部5により生成された圧力を用いて試薬の調製動作を実行する試薬調製部本体4と、試薬調製部本体4が調製動作を実行しているか否かを判断し、その判断結果に応じて空圧部5による圧力の生成を制御するCPU49aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬調製装置および検体処理システムに関し、特に、検体の測定に用いられる試薬を調製可能な試薬調製装置および検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体の測定に用いられる試薬を調製可能な試薬調製装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、高濃度試薬を収容する試薬定量タンクと、純水を収容する純水定量タンクと、試薬定量タンクから高濃度試薬が移送されるとともに、純水定量タンクから純水が移送されることによって、試薬が調製される調製タンクとを備えた試薬調製装置が開示されている。この試薬調製装置は、陽圧源および陰圧源をさらに備え、陽圧源および陰圧源による陽圧力および陰圧力を用いて、高濃度試薬および純水を移送するように構成されている。しかしながら、上記特許文献1には、消費電力を低減させる技術について、開示も示唆もされていない。
【0004】
その一方、従来、消費電力を低減させる技術が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献2には、検体を収容する試験管に貼付されるバーコードラベル用のバーコードプリンタと、試験管に貼付されたバーコードラベルを読み取るバーコードリーダとを備えた検体前処理システム装置が開示されている。この検体前処理システム装置は、バーコードプリンタおよびバーコードリーダのそれぞれについて、動作していないときに電源をオフにし、動作直前(動作1秒前)に電源をオンにするとともに、動作が終了すると再度電源をオフにするように構成されている。これにより、検体前処理システム装置に用いる試験管に貼付するバーコードラベル用のバーコードプリンタおよびバーコードリーダの消費電力を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−33538号公報
【特許文献2】特開平11−271309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2には、検体前処理システム装置に用いる試験管に貼付するバーコードラベル用のバーコードプリンタおよびバーコードリーダの消費電力を低減させる技術が開示されているだけであり、試薬調製装置の消費電力を低減することについては記載されていない。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、消費電力の低減を図ることが可能な試薬調製装置および検体処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における試薬調製装置は、液体を移送するための圧力を生成する圧力生成部と、圧力生成部により生成された圧力を用いて、第1液体と第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬の調製動作を実行する試薬調製部と、試薬調製部が調製動作を実行しているか否かを判断する実行判断手段と、実行判断手段による判断結果に応じて、圧力生成部による圧力の生成を制御する生成制御手段とを備える。
【0010】
この発明の第1の局面による試薬調製装置では、上記のように、試薬調製部が調製動作を実行しているか否かを判断する実行判断手段と、実行判断手段による判断結果に応じて、圧力生成部による圧力の生成を制御する生成制御手段とを設けることによって、調製動作が実行されていない場合に、圧力生成部により生成する圧力の大きさを減少させて圧力生成部の消費電力を低減させることができる。これにより、試薬調製装置の消費電力の低減を図ることができる。
【0011】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、生成制御手段は、実行判断手段により調製動作が実行されていないと判断された場合に、生成される圧力の大きさが減少するように圧力生成部を制御するように構成されている。なお、本明細書において、圧力の大きさが減少するとは、陽圧力および陰圧力のいずれについても、圧力の大きさがゼロに近づくことを意味する。また、圧力の大きさが減少するとは、圧力の大きさがゼロになることも含む広い意味である。
【0012】
この場合、好ましくは、生成制御手段は、実行判断手段により調製動作が実行されていないと判断された場合に、圧力の生成を停止するように圧力生成部を制御するように構成されている。このように構成すれば、調製動作が実行されていない場合に、圧力生成部による圧力の生成が停止されるので、圧力を生成するための電力をより低減することができる。これにより、試薬調製装置の消費電力をより低減させることができる。また、調製動作が実行されていない場合に圧力生成部による圧力の生成を停止させることによって、常時圧力を生成する場合に比べて圧力生成部の圧力生成機構部(ポンプ部など)や駆動源(モータなど)の寿命を延ばすことができる。
【0013】
上記調製動作が実行されていない場合に、圧力の生成を停止する構成において、好ましくは、圧力生成部は、圧力を生成する圧力生成機構部と、圧力生成機構部を動作させる駆動源と、駆動源に電流を供給するか否かを切り替える切替部とを含み、生成制御手段は、切替部の切り替え動作を制御することによって、圧力の生成を停止するように圧力生成部を制御するように構成されている。このように構成すれば、切替部を切り替えるだけで容易に駆動源への電流の供給を停止することができるので、調製動作が実行されていない場合に、容易に、消費電力を低減することができる。
【0014】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、所定の試薬を用いて検体を測定する測定部に接続され、試薬調製部により調製された所定の試薬を収容する試薬収容部と、試薬収容部に所定量の所定の試薬が収容されているか否かを検知する試薬検知手段とをさらに備え、実行判断手段は、試薬検知手段による検知結果に基づいて、試薬調製部が調製動作を実行しているか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、試薬収容部に所定量の所定の試薬が収容されており、新たに所定の試薬を調製する必要がない場合に、圧力生成部により生成する圧力の大きさを減少させて消費電力の低減を図ることができる。
【0015】
この場合、好ましくは、試薬調製部は、第1液体を収容する第1液体収容部と、第2液体を収容する第2液体収容部とを含み、第1液体収容部に所定量の第1液体が収容されているか否かを検知する第1液体検知手段と、第2液体収容部に所定量の第2液体が収容されているか否かを検知する第2液体検知手段とをさらに備え、実行判断手段は、試薬検知手段による検知結果と、第1液体検知手段による検知結果と、第2液体検知手段による検知結果とに基づいて、試薬調製部が調製動作を実行しているか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、試薬収容部に所定量の所定の試薬が収容されており、新たに所定の試薬を調製する必要がない場合で、かつ、第1液体収容部に所定量の第1液体が収容され、第2液体収容部に所定量の第2液体が収容されており、第1液体収容部および第2液体収容部のそれぞれに第1液体および第2液体を補充する必要がない場合に、圧力生成部により生成する圧力の大きさを減少させて消費電力の低減を図ることができる。
【0016】
上記試薬検知手段を備える構成において、好ましくは、生成制御手段は、実行判断手段により調製動作が実行されていないと判断された場合に、生成される圧力の大きさが減少するように圧力生成部を制御するとともに、圧力生成部により生成される圧力が減少した後、試薬検知手段により所定量の所定の試薬が収容されていないことが検知された場合に、生成される圧力の大きさを増加させるように圧力生成部を制御するように構成されている。このように構成すれば、試薬収容部に所定量の所定の試薬が収容されておらず、新たに所定の試薬を調製する必要がある場合には、圧力の大きさが増加されるので、消費電力の低減を図っている状態から容易に新たに所定の試薬の調製を行なう状態に復帰させて調製動作を再開することができる。
【0017】
上記試薬収容部に所定量の所定の試薬が収容されていない場合に、圧力生成部が圧力の大きさを増加させる構成において、好ましくは、圧力生成部により生成された圧力の大きさを検知する圧力検知手段と、試薬調製部による調製動作を制御する調製制御手段とをさらに備え、調製制御手段は、圧力検知手段により検知された増加後の圧力の大きさが所定範囲内である場合に、試薬調製部による調製動作を再開させるように構成されている。このように構成すれば、圧力の大きさが所定の大きさまで増加されたことを確認した後に調製動作が再開されるので、圧力生成部により生成された所定の大きさの圧力を用いて、所定の試薬の調製動作を確実に再開することができる。
【0018】
上記調製動作が実行されていない場合に、圧力の大きさを減少させる構成において、好ましくは、試薬調製部は、1つの圧力生成部に複数接続されており、生成制御手段は、実行判断手段により1つの圧力生成部に接続されている全ての試薬調製部が調製動作を実行していないと判断された場合に、生成される圧力の大きさが減少するように圧力生成部を制御するように構成されている。このように構成すれば、1つの圧力生成部に接続されている全ての試薬調製部が調製動作を実行していない場合に、圧力生成部により生成する圧力の大きさが減少されるので、1つの圧力生成部に複数の試薬調製部が接続されている場合でも、圧力生成部の消費電力を低減させることができる。
【0019】
上記調製動作が実行されていない場合に、圧力の大きさを減少させる構成において、好ましくは、生成制御手段は、実行判断手段により調製動作が実行されていないと判断されるスタンバイ状態の場合に、生成される圧力の大きさが減少するように圧力生成部を制御するように構成されている。このように構成すれば、試薬調製部がスタンバイ状態で調製動作を実行していない場合に、圧力生成部により生成する圧力の大きさを減少させて圧力生成部の消費電力を低減させることができる。その結果、試薬調製部がスタンバイ状態の場合に試薬調製装置の消費電力を低減させることができる。
【0020】
この発明の第2の局面における検体処理システムは、第1液体と第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を用いて検体を測定する測定部と、液体を移送するための圧力を生成する圧力生成部と、圧力生成部により生成された圧力を用いて所定の試薬の調製動作を実行する試薬調製部と、試薬調製部が調製動作を実行しているか否かを判断する実行判断手段と、実行判断手段による判断結果に応じて、圧力生成部による圧力の生成を制御する生成制御手段とを備える。
【0021】
この発明の第2の局面による検体処理システムでは、上記のように、試薬調製部が調製動作を実行しているか否かを判断する実行判断手段と、実行判断手段による判断結果に応じて、圧力生成部による圧力の生成を制御する生成制御手段とを設けることによって、調製動作が実行されていない場合に、圧力生成部により生成する圧力の大きさを減少させて圧力生成部の消費電力を低減させることができる。これにより、検体処理システムの消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による試薬調製装置の使用状態を示した概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による試薬調製装置を備えた血液検体処理システムの構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による試薬調製装置を備えた血液検体処理システムの試料調製部を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態による試薬調製装置を備えた血液検体処理システムの検出部を示した概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による試薬調製装置を備えた血液検体処理システムのデータ処理部の構成を示したブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による試薬調製装置の構成を示したブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による試薬調製装置の制御部を説明するためのブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態による試薬調製装置の電気的な接続構成を示した概略図である。
【図9】本発明の一実施形態による試薬調製装置の試薬調製処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態による試薬調製装置の試薬調製処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10に示した試薬調製処理動作のステップS15における高濃度試薬およびRO水の供給処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態による試薬調製装置の空圧部動作開始・停止処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態による試薬調製装置の変形例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
まず、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による試薬調製装置6の構成について説明する。なお、本実施形態では、血液検査を行うための血液検体処理システム1の一部として、本発明の一実施形態による試薬調製装置6を使用する場合について説明する。
【0025】
血液検体処理システム1は、図1に示すように、血液の測定を行う機能を有する6つの測定部2と、各測定部2から出力された測定データを分析して分析結果を得る6つのデータ処理部3と、検体の処理に用いられる試薬を調製する3つの試薬調製装置6とにより構成されている。具体的には、試薬調製装置6は、試薬調製部本体4と空圧部5とにより構成されており、1つの空圧部5に3つの試薬調製部本体4が流路により接続されている。また、各試薬調製部本体4のそれぞれに測定部2が2つずつ接続され、各測定部2にはデータ処理部3が1つずつ接続されている。
【0026】
各測定部2は、同様の構成を有しており、フローサイトメトリー法により、血液中の白血球、網状赤血球および血小板の測定を行うように構成されている。また、測定部2は、試薬調製装置6によって調製され、供給される試薬を用いて血液を希釈し、白血球、網状赤血球および血小板の測定を行うように構成されている。さらに、測定部2は、試薬調製装置6によって調製され、供給される上記試薬を洗浄液として用い、後述する試料調製部21に含まれるサンプリングバルブ21bおよび反応チャンバ21c等や、検出部22に含まれるシースフローセル22c等を洗浄するように構成されている。なお、フローサイトメトリー法とは、測定試料を含む試料流を形成するとともに、その試料流にレーザ光を照射することによって、測定試料中の粒子(血球)が発する前方散乱光、側方散乱光および側方蛍光を検出する粒子(血球)の測定方法である。
【0027】
測定部2は、図2に示すように、測定試料調製部21と、測定試料の測定を行う検出部22と、検出部22の出力に対するアナログ処理部23と、表示・操作部24と、測定部2を制御するためのマイクロコンピュータ部25とを備えている。
【0028】
測定試料調製部21は、白血球測定用試料と、網状赤血球測定用試料と、血小板測定用試料とを調製するために設けられている。測定試料調製部21は、図3に示すように、血液が吸引されるサンプリングバルブ21bと、反応チャンバ21cとを含んでいる。採血管21aは、分析対象の血液を収容している。
【0029】
サンプリングバルブ21bは、吸引ピペット(図示せず)により吸引された採血管21aの血液を所定の量だけ定量する機能を有する。また、サンプリングバルブ21bは、吸引された血液に所定の試薬を混合することが可能に構成されている。つまり、サンプリングバルブ21bは、所定量の血液に試薬調製装置6から供給される所定量の試薬が混合された希釈試料を生成可能に構成されている。
【0030】
反応チャンバ21cは、サンプリングバルブ21bから供給される希釈試料に所定の染色液をさらに混合して所定の時間反応させるように構成されている。これにより、測定試料調製部21は、白血球が染色されるとともに赤血球が溶血された、白血球測定用試料を調製する機能を有する。また、測定試料調製部21は、網状赤血球が染色された網状赤血球測定用試料を調製するとともに、血小板が染色された血小板測定用試料を調製する機能を有する。
【0031】
また、測定試料調製部21は、白血球分類測定(以下、「DIFF測定」という)モード時に、白血球測定用試料をシース液とともに測定試料調製部21から後述するシースフローセル22c(図4参照)に供給するように構成されている。また、測定試料調製部21は、網状赤血球測定(以下、「RET測定」という)モード時に、網状赤血球測定用試料をシース液とともに測定試料調製部21からシースフローセル22cに供給するように構成されている。また、測定試料調製部21は、血小板測定(以下、「PLT測定」という)モード時に、血小板測定用試料をシース液とともに測定試料調製部21からシースフローセル22cに供給するように構成されている。
【0032】
検出部22は、図4に示すように、レーザ光を出射する発光部22aと、照射レンズユニット22bと、レーザ光が照射されるシースフローセル22cと、発光部22aから出射されるレーザ光が進む方向の延長線上に配置されている集光レンズ22d、ピンホール22eおよびPD(フォトダイオード)22fと、発光部22aから出射されるレーザ光が進む方向と交差する方向に配置されている集光レンズ22g、ダイクロイックミラー22h、光学フィルタ22i、ピンホール22jおよびAPD(アバランシェフォトダイオード)22kと、ダイクロイックミラー22hの側方に配置されているPD22lとを含んでいる。
【0033】
発光部22aは、シースフローセル22cの内部を通過する測定試料を含む試料流に対して光を出射するために設けられている。また、照射レンズユニット22bは、発光部22aから出射された光を平行光にするために設けられている。また、PD22fは、シースフローセル22cから出射された前方散乱光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル22cから出射された前方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の大きさに関する情報を得ることが可能である。
【0034】
ダイクロイックミラー22hは、シースフローセル22cから出射された側方散乱光および側方蛍光を分離するために設けられている。具体的には、ダイクロイックミラー22hは、シースフローセル22cから出射された側方散乱光をPD22lに入射させるとともに、シースフローセル22cから出射された側方蛍光をAPD22kに入射させるために設けられている。また、PD22lは、側方散乱光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル22cから出射された側方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の核の大きさなどの内部情報を得ることが可能である。また、APD22kは、側方蛍光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル22cから出射された側方蛍光により、測定試料中の粒子(血球)の染色度合いに関する情報を得ることが可能である。また、PD22f、22lおよびAPD22kは、それぞれ、受光した光信号を電気信号に変換する機能を有する。
【0035】
アナログ処理部23は、図4に示すように、アンプ23a、23bおよび23cを含んでいる。また、アンプ23a、23bおよび23cは、それぞれ、PD22f、22lおよびAPD22kから出力された電気信号を増幅および波形処理するために設けられている。
【0036】
マイクロコンピュータ部25は、図2に示すように、制御用プロセッサおよび制御用プロセッサを動作させるためのメモリを有する制御部251と、アナログ処理部23から出力された信号をデジタル信号に変換するA/D変換部252と、A/D変換部252から出力されたデジタル信号に所定の処理を行うための演算部253とを含んでいる。
【0037】
制御部251は、バス254aおよびインターフェース255aを介して測定試料調製部21および検出部22を制御する機能を有する。また、制御部251は、バス254aおよびインターフェース255bを介して表示・操作部24と接続されるとともに、バス254bおよびインターフェース255cを介してデータ処理部3と接続されている。また、演算部253は、インターフェース255dおよびバス254aを介して制御部251に演算結果を出力する機能を有する。また、制御部251は、演算結果(測定データ)をデータ処理部3に送信する機能を有する。
【0038】
データ処理部3は、図1に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、測定部2の測定データを分析するとともに、その分析結果を表示する機能を有する。また、6つのデータ処理部3は、互いに同様の構成を有しており、図5に示すように、制御部31と、表示部32と、入力デバイス33とを含んでいる。
【0039】
制御部31は、測定モード情報を含む測定開始信号およびシャットダウン信号を測定部2に送信する機能を有する。また、制御部31は、図5に示すように、CPU31aと、ROM31bと、RAM31cと、ハードディスク31dと、読出装置31eと、入出力インターフェース31fと、画像出力インターフェース31gと、通信インターフェース31iとから構成されている。CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インターフェース31f、画像出力インターフェース31gおよび通信インターフェース31iは、バス31hによって接続されている。
【0040】
CPU31aは、ROM31bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM31cにロードされたコンピュータプログラムを実行するために設けられている。ROM31bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU31aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0041】
RAM31cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM31cは、ROM31bおよびハードディスク31dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU31aの作業領域として利用される。
【0042】
ハードディスク31dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。後述するアプリケーションプログラム34aも、このハードディスク31dにインストールされている。
【0043】
読出装置31eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体34に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体34には、コンピュータに所定の機能を実現させるためのアプリケーションプログラム34aが格納されている。そして、データ処理部3としてのコンピュータは、その可搬型記録媒体34からアプリケーションプログラム34aを読み出し、そのアプリケーションプログラム34aをハードディスク31dにインストールするように構成されている。アプリケーションプログラム34aとしては、測定部で測定された検体を解析し、解析結果を検体の分析結果として出力する解析プログラムが挙げられる。
【0044】
なお、上記アプリケーションプログラム34aは、可搬型記録媒体34によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってデータ処理部3と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム34aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにデータ処理部3がアクセスして、そのアプリケーションプログラム34aをダウンロードし、これをハードディスク31dにインストールすることも可能である。
【0045】
また、ハードディスク31dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインターフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態のアプリケーションプログラム34aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0046】
入出力インターフェース31fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインターフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェースなどから構成されている。入出力インターフェース31fには、キーボードおよびマウスからなる入力デバイス33が接続されており、ユーザがその入力デバイス33を使用することにより、データ処理部3にデータを入力することが可能である。また、ユーザは、入力デバイス33を用いて、測定モードの選択、測定部2の起動およびシャットダウンを行うことが可能である。
【0047】
画像出力インターフェース31gは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部32に接続されており、CPU31aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部32に出力するようになっている。表示部32は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0048】
試薬調製装置6は、測定部2の測定試料調製部21で用いられる試薬を調製するために設けられている。具体的には、試薬調製装置6は、図6に示すように、外部に設けられたRO水作製部7により作製されたRO水を用いて高濃度試薬を所望の濃度に希釈することによって、血液分析に用いられる試薬を調製するように構成されている。ここで、RO水とは、純水の一種であり、RO(Reverse Osmosis)膜(逆浸透膜)を透過することによって、不純物を取り除かれた水である。また、純水とは、RO水の他に、精製水、脱イオン水、および蒸留水などを含み、不純物を取り除く処理が実施された水であるが、その純度は特に限定されない。また、高濃度試薬は、試薬原液であり、測定部2に供給される試薬よりも含有成分の濃度が高い。
【0049】
3つの試薬調製部本体4は、互いに同様の構成を有しており、図6に示すように、高濃度試薬チャンバ41と、RO水チャンバ42と、2つの希釈チャンバ43および44と、2つのダイアフラムポンプ45aおよび45bと、攪拌チャンバ46と、供給チャンバ47と、表示部48と、試薬調製装置6の各部の動作を制御する制御部49とを含んでいる。また、3つの試薬調製部本体4は、筐体外に設置された共通の空圧部5(図1参照)に接続され、空圧部5から供給される陰圧力および陽圧力を用いて、装置内における各液体の移送を行うように構成されている。また、3つの試薬調製部本体4は、互いに独立して試薬の調製動作を実行することが可能に構成されている。
【0050】
高濃度試薬チャンバ41は、高濃度試薬タンク41aから高濃度試薬が供給されるように構成されている。高濃度試薬チャンバ41には、チャンバ内に所定量の高濃度試薬が収容されていることを検知するためのフロートスイッチ100が設けられている。フロートスイッチ100は、高濃度試薬チャンバ41内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ100のフロート部が下限に到達すると、高濃度試薬タンク41aから高濃度試薬チャンバ41に高濃度試薬が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ100のフロート部が上限に到達すると、高濃度試薬タンク41aから高濃度試薬チャンバ41への高濃度試薬の供給が停止されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ100は、高濃度試薬チャンバ41の上端部近傍に配置されており、高濃度試薬チャンバ41に約300mLの高濃度試薬が貯留されたときに、フロート部が上限に到達するように構成されている。これにより、高濃度試薬チャンバ41には、常時、約300mL貯留されるように高濃度試薬が供給される。
【0051】
また、高濃度試薬チャンバ41は、電磁バルブ200を介して高濃度試薬タンク41aに接続され、電磁バルブ201を介して空圧部5の陰圧源51に接続されている。また、陰圧源51と電磁バルブ201との間には、陰圧源51から供給される陰圧力の大きさを検知する圧力センサ400が設けられている。また、高濃度試薬チャンバ41は、電磁バルブ202の開閉により、大気に開放され、または、閉塞されるように構成されている。また、高濃度試薬チャンバ41は、流路300により、ダイアフラムポンプ45a(45b)から希釈チャンバ43(44)に液体を移送するための流路301に接続されている。また、流路300上には、電磁バルブ203が設けられており、電磁バルブ203は、流路301の近傍に配置されている。具体的には、電磁バルブ203と流路301との間の流路300aの長さは、約15mmの小さい長さに設定されている。また、高濃度試薬チャンバ41に接続される流路300(300a)は、約1.8mmの内径を有しており、流路301は、約4.0mmの内径を有している。
【0052】
RO水チャンバ42は、高濃度試薬を希釈するためのRO水がRO水作製部7から供給されるように構成されている。RO水チャンバ42には、チャンバ内に収容されるRO水が上限量に達したこと、および、下限量に達したことをそれぞれ検知するためのフロートスイッチ101および102が設けられている。フロートスイッチ101(102)は、RO水チャンバ42内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ101のフロート部がRO水チャンバ42の上限量に対応する位置に到達すると、RO水作製部7からRO水チャンバ42へのRO水の供給が停止されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ102のフロート部がRO水チャンバ42の下限量に対応する位置に到達すると、RO水作製部7からRO水チャンバ42にRO水が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。
【0053】
また、フロートスイッチ101は、RO水チャンバ42の上端部近傍に配置されており、RO水チャンバ42に約600mLのRO水が貯留されたときに、フロート部がRO水チャンバ42の上限量に対応する位置に到達するように構成されている。また、フロートスイッチ102は、RO水チャンバ42に貯留されているRO水が約300mLまで減少したときに、フロート部がRO水チャンバ42の下限量に対応する位置に到達するように構成されている。これにより、RO水チャンバ42には、常時約300mL以上約600mL以下のRO水が貯留されることとなる。
【0054】
また、RO水チャンバ42は、チャンバ内のRO水を廃棄可能に構成されている。具体的には、RO水チャンバ42は、電磁バルブ204を介して空圧部5の陽圧源52に接続されているとともに、電磁バルブ205を介して廃棄流路に接続されており、電磁バルブ204および205の両方を開放することによって、陽圧力で内部のRO水が廃棄流路に押し出されるように構成されている。また、陽圧源52と電磁バルブ204との間には、陽圧源52から供給される陽圧力の大きさを検知する圧力センサ401が設けられている。また、RO水チャンバ42は、電磁バルブ206の開閉により、大気に開放され、または、閉塞されるように構成されている。また、RO水チャンバ42は、電磁バルブ207を介してRO水作製部7の後述するRO水貯留タンク7aに接続されている。また、RO水チャンバ42は、電磁バルブ208を介して、流路302によりダイアフラムポンプ45aおよび45bに接続されている。
【0055】
希釈チャンバ43および44は、それぞれ、RO水により高濃度試薬を希釈するために設けられている。また、希釈チャンバ43(44)は、後述するように、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによって送り込まれる約300mLの液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)を収容可能に構成されている。希釈チャンバ43(44)には、チャンバ内に収容された液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)の残量が所定量に到達したことを検知するためのフロートスイッチ103(104)が設けられている。フロートスイッチ103(104)は、希釈チャンバ43(44)内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。希釈チャンバ43(44)は、常時大気開放された状態となるように構成されている。また、希釈チャンバ43(44)は、電磁バルブ209(210)を介して、流路303(304)により流路301に接続されている。流路303(304)は、流路301と同様に、約4mmの内径を有している。なお、電磁バルブ210を閉じた状態で、電磁バルブ209を開放することによって、流路301を介して移送される液体(RO水および高濃度試薬)を希釈チャンバ43に移送することが可能である。一方、電磁バルブ209を閉じた状態で、電磁バルブ210を開放すれば、流路301を介して移送される液体(RO水および高濃度試薬)を希釈チャンバ44に移送することが可能である。すなわち、電磁バルブ209および210は、それぞれ、流路303および304の流路切替部として機能するように構成されている。
【0056】
また、希釈チャンバ43(44)は、電磁バルブ211(212)を介して、攪拌チャンバ46に接続されている。また、希釈チャンバ43(44)と電磁バルブ211(212)との間には、気泡センサ402(403)が設けられている。気泡センサ402(403)は、透過型センサであり、流路を通る気泡を検知するように構成されている。これにより、フロートスイッチ103(104)のフロート部が下限に到達し、かつ、気泡センサ402(403)で気泡が検知されることによって、制御部49により、希釈チャンバ43(44)内の液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)が全て排出されたことを確認することが可能となる。そして、希釈チャンバ43(44)が空になる(チャンバ内の液体が全て排出される)と、空になった希釈チャンバ43(44)に高濃度試薬およびRO水が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。
【0057】
ダイアフラムポンプ45aおよび45bは、互いに同様の構成を有しており、同時に同じ動作を行うように構成されている。ダイアフラムポンプ45a(45b)は、1回の定量動作で液体(高濃度試薬またはRO水)を約6mL(2つのポンプで合計約12mL)(一定量)分定量する機能を有している。また、ダイアフラムポンプ45a(45b)は、電磁バルブ213(215)を介して陰圧源51に接続されているとともに、電磁バルブ214(216)を介して陽圧源52に接続されている。また、陰圧源51と電磁バルブ213(215)との間には、陰圧源51から供給される陰圧力の大きさを検知する圧力センサ400が設けられており、陽圧源52と電磁バルブ214(216)との間には、陽圧源52から供給される陽圧力の大きさを検知する圧力センサ401が設けられている。
【0058】
攪拌チャンバ46は、図6に示すように、約300mLの液体を収容可能に構成されており、希釈チャンバ43(44)から移送される液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)を攪拌するために設けられている。具体的には、攪拌チャンバ46は、屈曲されたパイプ461を有し、希釈チャンバ43(44)から移送される液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)がパイプ461を通過することによって、攪拌チャンバ46の内壁面に沿って攪拌チャンバ46内に流入されるように構成されている。これにより、希釈チャンバ43(44)から移送される液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)が攪拌チャンバ46の内壁面に沿って流動されるので、対流が発生し、容易に、高濃度試薬とRO水とが攪拌される。なお、高濃度試薬とRO水とは、希釈チャンバ43(44)内、および、希釈チャンバ43(44)から攪拌チャンバ46への流路内においても、ある程度攪拌されているが、攪拌チャンバ46を上記のように構成することによって、より確実に攪拌することが可能である。
【0059】
攪拌チャンバ46には、チャンバ内に収容された液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)の残量が所定量に到達したことを検知するためのフロートスイッチ105が設けられている。フロートスイッチ105は、攪拌チャンバ46内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ105のフロート部が下限に到達してチャンバ内が空になると、希釈チャンバ43および44のいずれか一方から攪拌チャンバ46に約300mLの混合液が供給されるように、制御部49により各部が制御される。そして、希釈チャンバ43および44の一方から供給されて攪拌された混合液が攪拌チャンバ46から排出されると、次は、希釈チャンバ43および44の他方から攪拌チャンバ46に約300mLの混合液が供給される。また、攪拌チャンバ46は、電磁バルブ217を介して陰圧源51に接続されているとともに、電磁バルブ218を介して陽圧源52に接続されている。また、陰圧源51と電磁バルブ217との間には、陰圧源51から供給される陰圧力の大きさを検知する圧力センサ400が設けられており、陽圧源52と電磁バルブ218との間には、陽圧源52から供給される陽圧力の大きさを検知する圧力センサ401が設けられている。
【0060】
供給チャンバ47は、測定部2に供給するための所定量の試薬を貯留しておくために設けられている。供給チャンバ47は、約600mLの収容量を有している。供給チャンバ47には、チャンバ内に収容される試薬の残量が約300mLに到達したことを検知するためのフロートスイッチ106が設けられている。また、供給チャンバ47には、供給チャンバ47内に収容される試薬の残量が略ゼロとなったことを検知するためのフロートスイッチ107が設けられている。フロートスイッチ106(107)は、供給チャンバ47内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ106のフロート部は、供給チャンバ47の高さ方向の上端部近傍から中間位置にかけて移動可能に構成されている。フロートスイッチ106のフロート部が供給チャンバ47の高さ方向の中間位置(フロートスイッチ106のフロート部の移動可能範囲における下限位置)まで到達すると、攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に約300mLの所望濃度の試薬が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。これにより、供給チャンバ47には、常時、約300mL以上約600mL以下の所望濃度の試薬が貯留されることとなる。このように供給チャンバ47に所定量の試薬を貯留しておくことによって、迅速に測定部2に試薬を供給可能である。
【0061】
また、フロートスイッチ107のフロート部は、供給チャンバ47の底部近傍で移動可能に構成されている。フロートスイッチ107により、チャンバ内に収容される試薬の残量が略ゼロとなったことを検知した場合には、測定部2への試薬の供給は停止される。これにより、何らかの理由で試薬が供給チャンバ47に移送されなかったとしても、極力測定部2への試薬の供給を継続させながら、測定部2に供給する試薬に気泡が混入することを防止することが可能である。
【0062】
また、供給チャンバ47は、電磁バルブ219を介して攪拌チャンバ46に接続されている。また、供給チャンバ47は、電磁バルブ220を開放することにより、メンテナンス時などにチャンバ内の試薬を廃棄可能に構成されている。また、供給チャンバ47は、常時大気開放された状態となるように構成されている。また、供給チャンバ47は、フィルタ471を介して測定部2に接続されている。フィルタ471は、測定部2に供給される試薬に不純物が混入するのを防止するために設けられている。
【0063】
攪拌チャンバ46と供給チャンバ47との間には、試薬の電気伝導度を測定するための導電率センサ404が設けられている。導電率センサ404は、導電率センサ404が配置された位置における試薬の温度を測定するための温度センサ405を含んでいる。また、導電率センサ404と電磁バルブ219との間には、電磁バルブ221を介して廃棄流路が接続されている。
【0064】
表示部48は、図1に示すように、試薬調製部本体4の外表面に設けられている。また、表示部48は、タッチパネル式の液晶ディスプレイにより構成されている。
【0065】
図7に示すように、制御部49は、CPU49aと、ROM49bと、RAM49cと、データ処理部3に接続される通信インターフェース49dと、試薬調製部本体4の各部に接続されるI/O(Input/Output)部49eと、記憶部49fとを含んでいる。
【0066】
CPU49aは、ROM49bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM49cにロードされたコンピュータプログラムを実行するために設けられている。また、CPU49aは、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、RAM49cを作業領域として利用するように構成されている。
【0067】
次に、試薬の電気伝導度の目標値を求める一般式を以下の式(1)に示す。
【0068】
={X+(A−1)Y}/A・・・・・(1)
上記式(1)において、Zは、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬の25℃における電気伝導度の目標値(ms/cm)、Xは、高濃度試薬の25℃における電気伝導度(ms/cm)、Yは、RO水の25℃における電気伝導度(ms/cm)、Aは、希釈倍率(既知)(本実施形態では25倍)をそれぞれ表す。なお、Xは、高濃度試薬固有の値であり、予め実験などにより得られた既知の値である。
【0069】
また、後述する温度センサ407により得られるRO水の温度、および、温度センサ405により得られる試薬の温度を考慮するための補正式を以下の式(2)に示す。
【0070】
Z=[{X+(A−1)Y}/A]×{1+α1(T2−25)}
=[[X+(A−1)Y1/{1+α0(T1−25)}]/A]×{1+α1(T2−25)}・・・・・(2)
上記式(2)において、Zは、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬のT2℃における電気伝導度の目標値(ms/cm)、Y1は、RO水のT1℃における電気伝導度(ms/cm)、T1は、RO水の温度(℃)、T2は、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬の温度(℃)、α0は、RO水の電気伝導度の25℃に対する温度係数、α1は、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬の電気伝導度の25℃に対する温度係数をそれぞれ表す。なお、温度係数α0およびα1は、液体の種類や濃度によって異なるが、JIS(日本工業規格)では、簡易的に0.02が用いられる。
【0071】
また、CPU49aは、上記した式(2)により目標値Zを算出するように構成されている。したがって、CPU49aは、所望する希釈倍率A(既知)、RO水の電気伝導度の検出値Y1、RO水の温度の測定値T1、混合攪拌された試薬の温度の測定値T2および高濃度試薬の電気伝導度X(既知)に基づいて、目標値を決定する。
【0072】
また、CPU49aは、タッチパネル式の表示部48を介して、ユーザから試薬調製装置6の起動指示およびシャットダウン指示を受け付けるように構成されている。
【0073】
また、CPU49aは、空圧部5のモータ53を駆動させるための電源のオン、オフを切り替える制御を行うように構成されている。具体的には、CPU49aは、後述する空圧電源制御回路50のNPNバイポーラトランジスタ50aにベース電流を供給し、または、供給しないことによって、空圧部5のモータ53を駆動させるための電源のオン、オフを制御する。また、CPU49aは、試薬調製部本体4がスタンバイ状態、すなわち、試薬の調製動作が実行されない場合に、空圧部5のモータ53を駆動させるための電源をオフにし、試薬の調製動作が実行される場合に、空圧部5のモータ53を駆動させるための電源をオンにするように構成されている。また、3つの試薬調製部本体4に設けられた各CPU49aは、互いに独立して、空圧部5のモータ53を駆動させるための電源をオンにすることが可能に構成されている。すなわち、3つのCPU49aの全てが空圧部5のモータ53の電源をオフにしている場合にだけ、空圧部5のモータ53の電源がオフにされる。
【0074】
通信インターフェース49dは、試薬調製装置6内で発生したエラーに関するエラー情報をデータ処理部3に伝達可能に構成されている。エラー情報としては、高濃度試薬タンク41aの交換を促すための情報、RO水が供給されなくなったことを知らせる情報、陰圧源51および陽圧源52の異常を知らせる情報などがある。
【0075】
I/O部49eは、図7に示すように、各センサ回路を介して、フロートスイッチ100〜107、気泡センサ402、403、導電率センサ404、温度センサ405および圧力センサ400、401から信号が入力されるように構成されている。また、I/O部49eは、各駆動回路を介して、電磁バルブ200〜221および空圧部5の駆動を制御するために、各駆動回路に信号を出力するように構成されている。また、I/O部49eは、タッチパネル式の表示部48からユーザの指示に応じた信号が入力されるとともに、表示部48に画像データなどの映像信号を出力するように構成されている。
【0076】
また、各試薬調製部本体4は、図8に示すように、直接的または間接的に空圧部5に電気的に接続されている。具体的には、3つの試薬調製部本体4のうちの1つが、空圧部5の後述する電磁リレー55のコイル部551に直接的に接続されており、他の2つの試薬調製部本体4が、隣接する試薬調製部本体4を介して後述する電磁リレー55のコイル部551に間接的に接続されている。詳細には、各試薬調製部本体4は、それぞれ、図8に示すように、内部にNPNバイポーラトランジスタ50aを含む空圧電源制御回路50を有している。そして、各試薬調製部本体4の空圧電源制御回路50は、NPNバイポーラトランジスタ50aのコレクタが直接的または間接的に後述する電磁リレー55のコイル部551の一方端に接続されており、NPNバイポーラトランジスタ50aのエミッタが接地されている。また、各試薬調製部本体4の空圧電源制御回路50において、電源電圧Vccは直接的または間接的に後述する電磁リレー55のコイル部551の他方端に接続されている。これにより、NPNバイポーラトランジスタ50aにベース電流を供給すれば、NPNバイポーラトランジスタ50aがオン状態になることにより、電源電圧Vccから電磁リレー55のコイル部551を介してNPNバイポーラトランジスタ50aのコレクタおよびエミッタに至る経路に電流が流れる。また、3つの試薬調製部本体4は、各NPNバイポーラトランジスタ50aにベース電流を供給することによって、互いに独立して電磁リレー55のコイル部551に電流を流すことが可能である。すなわち、3つの試薬調製部本体4の全てでNPNバイポーラトランジスタ50aにベース電流が供給されていない場合には、電磁リレー55のコイル部551に電流が流れない。
【0077】
試薬調製装置6の空圧部5は、図8に示すように、ピストンポンプからなる陰圧源51および陽圧源52と、陰圧源51および陽圧源52を動作させるためのモータ53と、空圧部5内の温度を冷却するための冷却ファン54と、モータ53および冷却ファン54の電源のオン、オフを切り替えるための電磁リレー55とを含んでいる。
【0078】
陰圧源51および陽圧源52は、モータ53の回転駆動により図示しないピストンが往復駆動されることによって、それぞれ、陰圧力および陽圧力を連続的に生成するように構成されている。また、陰圧源51および陽圧源52は、それぞれ、図1に示すように、3つの試薬調製部本体4に流路を介して接続されており、各試薬調製部本体4に生成した陰圧力および陽圧力を供給可能に構成されている。
【0079】
モータ53は、陰圧源51および陽圧源52の両方のピストン(図示せず)を動作させるように構成されている。また、モータ53は、電磁リレー55のスイッチ部552を介してAC電源500に接続されている。これにより、モータ53は、電磁リレー55が通電状態(オン状態)の場合には電流が供給されて駆動し、電磁リレー55が非通電状態(オフ状態)の場合には電流が供給されずに駆動しない。すなわち、モータ53は、電磁リレー55のスイッチ部552により、駆動および停止が切り替えられるように構成されている。
【0080】
冷却ファン54も、モータ53と同様に、電磁リレー55のスイッチ部552を介してAC電源500に接続されている。すなわち、冷却ファン54は、モータ53が動作している場合には動作し、モータ53が停止している場合には停止するように構成されている。これにより、モータ53が動作して空圧部5内の温度が上昇する場合にだけ冷却ファン54が動作されるので、冷却ファン54を常時動作させておく場合に比べて消費電力を低減することが可能である。
【0081】
電磁リレー55は、コイル部551と、コイル部551近傍に配置されたスイッチ部552とを有している。また、電磁リレー55は、通電状態(オン状態)および非通電状態(オフ状態)に切り替え可能に構成されている。具体的には、電磁リレー55は、コイル部551に電流が流れると、コイル部551周辺に発生する電磁力によりスイッチ部552が移動されて通電状態(オン状態)となり、コイル部551への電流供給が停止されると、スイッチ部552が戻されて非通電状態(オフ状態)となる。
【0082】
上記のように試薬調製部本体4および空圧部5を構成することによって、各試薬調製部本体4に設けられたCPU49aは、NPNバイポーラトランジスタ50aにベース電流を供給するか否かを制御するだけで、空圧部5の電磁リレー55を通電状態(オン状態)または非通電状態(オフ状態)に切り替えてモータ53の動作を制御することが可能となる。言い換えれば、CPU49aがNPNバイポーラトランジスタ50aにベース電流を供給または停止することによって、空圧部5による陰圧力および陽圧力の生成動作を実行し、または生成動作を停止することが可能である。
【0083】
RO水作製部7は、高濃度試薬を希釈するための希釈用液体としてのRO水を、水道水を用いて作製することが可能なように構成されている。また、RO水作製部7は、図6に示すように、RO水貯留タンク7aと、RO膜7bと、水道水に含まれる不純物を取り除くことによってRO膜7bを保護するためのフィルタ7cとを含んでいる。さらに、RO水作製部7は、水分子がRO膜7bを透過するようにフィルタ7cを通過した水に高圧をかける高圧ポンプ7dと、水道水の供給を制御する電磁バルブ222とを含んでいる。
【0084】
RO水貯留タンク7aは、RO膜7bを透過したRO水を貯留するために設けられている。RO水貯留タンク7aには、所定量のRO水が貯留されていることを検知するためのフロートスイッチ108が設けられている。さらに、RO水貯留タンク7aには、RO水貯留タンク7a内のRO水の電気伝導度を測定するための導電率センサ406が設けられている。導電率センサ406は、RO水の温度を測定するための温度センサ407を含んでいる。
【0085】
また、RO水作製部7は、電磁バルブ222を開放することによって、水道水をフィルタ7cに到達させることが可能に構成されている。また、RO水作製部7は、高圧ポンプ7dを駆動することによって、フィルタ7cを通過した水を高圧でRO膜7bを透過させることが可能である。そして、RO水作製部7は、フロートスイッチ108の検知結果に基づいて、所定量のRO水をRO水貯留タンク7aに収容するように構成されている。なお、RO水作製部7によりRO水がRO水貯留タンク7aに供給される速度、すなわち、RO水作製部7によるRO水の作製速度は、約20L/時間以上約50L/時間以下である。
【0086】
次に、図6、図9および図10を参照して、本発明の一実施形態による試薬調製部本体4の試薬調製処理動作について説明する。
【0087】
まず、図9のステップS1において、CPU49aにより、ROM49bに記憶されているコンピュータプログラムの初期化が行われる。次に、ステップS2において、CPU49aにより、前回の動作終了時において試薬調製装置6が正常にシャットダウンされたか否かが判断される。具体的には、後述するように、正常にシャットダウンされた場合にONに設定されるフラグに基づいて判断される。正常にシャットダウンされていた場合には、ステップS6に進み、正常にシャットダウンされていない場合には、ステップS3に進む。
【0088】
ステップS3では、高濃度試薬チャンバ41および供給チャンバ47以外のチャンバ42、43、44および46内の液体を全て廃棄する。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ206、207および208を閉じた状態で、電磁バルブ204および205を開放させて、RO水チャンバ42内のRO水を廃棄する。なお、RO水チャンバ42から廃棄されたRO水を再びRO水作製部7に移送して、廃棄されたRO水から新たなRO水を作製してもよい。また、CPU49aにより、電磁バルブ211、212、217および219を閉じた状態で、電磁バルブ218および221を開放させて、陽圧力で攪拌チャンバ46内の混合液を廃棄流路に押し出す。さらに、CPU49aにより、電磁バルブ212、218、219および221を閉じた状態で、電磁バルブ211および217を開放させて、陰圧力で希釈チャンバ43内の混合液を攪拌チャンバ46に移送し、その後、上記の動作により攪拌チャンバ46から混合液を廃棄する。また、希釈チャンバ44の混合液についても、CPU49aにより、電磁バルブ211、218、219および221を閉じた状態で、電磁バルブ212および217を開放させることによって、陰圧力で攪拌チャンバ46に移送する。
【0089】
このように、ステップS3において、高濃度試薬チャンバ41および供給チャンバ47以外のチャンバ42、43、44および46内の液体を全て廃棄することによって、長時間滞留された可能性のあるRO水を試薬調製に使用してしまうこと、および、希釈倍率が不明な試薬を生成してしまうことを防止することが可能である。
【0090】
その後、ステップS4において、流路、RO水チャンバ42、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46の洗浄を行う。具体的には、RO水作製部7で新たに作製されたRO水がRO水チャンバ42に供給された後、CPU49aにより、電磁バルブ206、208および213(215)を開放させることによって、ダイアフラムポンプ45a(45b)に陰圧力で約12mL(各ダイアフラムポンプにそれぞれ約6mL)のRO水が流入される。次に、電磁バルブ208および213(215)を閉じた状態で、電磁バルブ214(216)および209を開放させることによって、ダイアフラムポンプ45a(45b)内の約12mL(各ダイアフラムポンプそれぞれに約6mL)のRO水を陽圧力で希釈チャンバ43に移送する。そして、上記の動作を25回繰り返すことによって、希釈チャンバ43に新たに作製された約300mLのRO水が供給される。
【0091】
その後、CPU49aにより、電磁バルブ211および217を開放させることによって、希釈チャンバ43から攪拌チャンバ46に約300mLのRO水を移送する。そして、CPU49aにより、電磁バルブ217および219を閉じた状態で、電磁バルブ218および221を開放させることによって、攪拌チャンバ46内のRO水を廃棄する。
【0092】
また、希釈チャンバ43から攪拌チャンバ46にRO水が移送されている間に、希釈チャンバ44には、希釈チャンバ43に移送するのと同様の動作によって、新たに作製された約300mLのRO水が供給される。希釈チャンバ44から攪拌チャンバ46へのRO水の移送も、希釈チャンバ43から攪拌チャンバ46への移送と同様の動作によって行われる。このように、上記の一連の動作によって、流路、RO水チャンバ42、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46それぞれの内部が新たに作製されたRO水により洗浄される。なお、上記ステップS3の前に、RO水チャンバ42には既に所定量のRO水が貯留されている。
【0093】
次に、ステップS5において、所望濃度の試薬を生成する動作と同様の動作によって、攪拌チャンバ46に試薬を調製し、調製した試薬を全て廃棄する。具体的には、後述するステップS10およびS11の動作によって所望濃度の試薬を攪拌チャンバ46に供給した後、CPU49aにより、電磁バルブ217および219を閉じた状態で、電磁バルブ218および221を開放させることによって攪拌チャンバ46内の試薬を廃棄する。これにより、たとえ流路、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に所望濃度を超える濃度の試薬が残留していたとしても、上記したRO水による洗浄に加えて、所望濃度の試薬によっても洗浄されるので、試薬が所望濃度以外の濃度に調製されてしまうのを抑制することが可能となる。
【0094】
次に、ステップS6において、RO水チャンバ42にRO水を供給する。そして、ステップS7において、CPU49aにより、フロートスイッチ100の検知結果に基づいて、高濃度試薬チャンバ41に所定量の高濃度試薬が収容されているか否かが判断される。所定量の高濃度試薬が貯留されていない場合には、ステップS8において、高濃度試薬タンク41aから高濃度試薬チャンバ41に高濃度試薬が補充される。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ202および203を閉じた状態で、電磁バルブ200および201を開放させることによって、高濃度試薬を陰圧力で高濃度試薬チャンバ41に供給する。
【0095】
所定量の高濃度試薬が高濃度試薬チャンバ41に収容されている場合には、ステップS9において、CPU49aにより、供給チャンバ47に所定量の試薬が貯留されているか否かが判断される。すなわち、供給チャンバ47に約300mL以上約600mL以下の試薬が貯留されているか否かが判断される。所定量の試薬が貯留されている場合には、ステップS16に移行される。一方、所定量の試薬が貯留されていない場合には、ステップS10において、電磁バルブ218および219が開放されて、試薬が攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に移送される。この際、ステップS11において、導電率センサ404により、電気伝導度Cが測定されるとともに、温度センサ405により試薬の温度T2が測定される。
【0096】
そして、ステップS12において、CPU49aにより、電気伝導度Cが所定範囲内にあるか否かが判断される。具体的には、上記式(2)により算出される、希釈倍率25倍における電気伝導度の目標値Zに対して、測定された電気伝導度Cが所定範囲内にあるか否かが判断される。電気伝導度Cが所定範囲内にない場合には、ステップS13において、電磁バルブ219が閉じられるとともに、電磁バルブ221が開放されて、電気伝導度Cが所定範囲内にない試薬が廃棄流路を介して廃棄される。これにより、精度よく希釈された試薬のみを供給チャンバ47に貯留させることが可能となる。
【0097】
そして、ステップS14において、CPU49aにより、電磁バルブ211(212)および217が開放させて、陰圧力で希釈チャンバ43(44)内の混合液を攪拌チャンバ46に移送する。この際、移送される混合液は、攪拌チャンバ46内に設けられたパイプ461により、攪拌チャンバ46の内壁に沿うように流されることによって、攪拌チャンバ46内で攪拌される。その後、ステップS15において、高濃度試薬およびRO水の供給処理動作が実行される。
【0098】
次に、図6および図11を参照して、図10に示した試薬調製処理動作のステップS15における高濃度試薬およびRO水の供給処理動作について説明する。
【0099】
まず、試薬調製装置6の初期状態(試薬調製処理の直前の状態)として、図6に示す流路301〜304は、実質的にRO水により満たされているとともに、流路300は、実質的に高濃度試薬により満たされている。
【0100】
図11のステップS151において、ダイアフラムポンプ45aおよび45bにより、RO水チャンバ42から約12mL(各ダイアフラムポンプでそれぞれ約6mL)のRO水が吸引される。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ213(215)および208が開放されることによって、ダイアフラムポンプ45a(45b)にRO水が流入される。次に、ステップS152において、電磁バルブ213(215)および208が閉じられた後、電磁バルブ214(216)および209が開放されることにより、ダイアフラムポンプ45a(45b)に陽圧が供給されてRO水が吐出される。これにより、流路301および303を介して、約12mL(各ダイアフラムポンプでそれぞれ約6mL)のRO水が希釈チャンバ43に供給される。
【0101】
その後、ステップS153において、ダイアフラムポンプ45aおよび45bにより、高濃度試薬チャンバ41から約12mL(各ダイアフラムポンプでそれぞれ約6mL)の高濃度試薬が吸引される。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ214(216)および209が閉じられた後、電磁バルブ202、203および213(215)が開放されることにより、陰圧が供給されてダイアフラムポンプ45a(45b)に高濃度試薬が吸引される。詳細には、高濃度試薬チャンバ41から流出された約12mLの高濃度試薬が流路301に残留しているRO水と混合されることにより、ダイアフラムポンプ45a(45b)にRO水と高濃度試薬との混合液が吸引される。また、このときの流路301には、RO水と高濃度試薬との混合液が充満されている。すなわち、この状態においては、ダイアフラムポンプ45a(45b)および流路301を合わせた領域に、高濃度試薬チャンバ41から流出された約12mLの高濃度試薬が存在している。なお、高濃度試薬は、流路300aにも存在するが、上述のように、流路300aに存在する高濃度試薬の量は極めて少量であるので、実質的に無視することができる。さらに、2回目の試薬調製処理動作以降の高濃度試薬の吸引時には、前回の試薬調製処理動作により流路300aに残留していた高濃度試薬が流路301側に押し出されるので、ダイアフラムポンプ45a(45b)および流路301を合わせた領域に、より正確に約12mLの高濃度試薬が存在することになる。
【0102】
次に、ステップS154において、電磁バルブ202、203および213(215)が閉じられた後、電磁バルブ214(216)および209が開放されることにより、陽圧が供給されてダイアフラムポンプ45a(45b)からRO水および高濃度試薬の混合液が吐出される。これにより、流路301および303を介して、RO水および高濃度試薬の混合液が希釈チャンバ43に供給される。この際、流路301および303には、数mLの高濃度試薬がRO水と混合された状態で残留している。
【0103】
そして、ステップS155において、CPU49aにより、n=1に設定される。ここで、nは、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによるRO水の吐出回数を表しており、1から始まる実数で定義される。次に、ステップS156において、上記ステップS151と同様に、ダイアフラムポンプ45aおよび45bにより、RO水チャンバ42から約12mLのRO水が吸引される。そして、ステップS157において、上記ステップS152と同様に、ダイアフラムポンプ45aおよび45bからRO水が吐出される。これにより、流路301および303に残留していた高濃度試薬が、RO水とともに希釈チャンバ43に移送される。
【0104】
その後、ステップS158において、CPU49aにより、nが22よりも大きいか否かが判断される。nが22よりも大きくない場合には、ステップS159において、n=n+1に設定され、nが22よりも大きくなるまでステップS156〜ステップS159の動作が繰り返される。すなわち、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによる高濃度試薬の吸引および吐出動作1回に対して、RO水の吸引および吐出動作が24回行われるまでステップS156〜ステップS159の動作が繰り返される。そして、nが22よりも大きくなると、動作は終了される。これにより、希釈チャンバ43には、約12mL×24回=約288mLのRO水と、約12mL×1回=約12mLの高濃度試薬とで約288mL+約12mL=約300mLの混合液が供給される。また、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによる高濃度試薬の吸引および吐出動作の後、RO水の吸引および吐出動作を23回行うため、流路301および303に残留していた高濃度試薬は全て希釈チャンバ43に移送され、その結果、流路301および303には、RO水のみが存在する状態となる。
【0105】
なお、上記の動作において、電磁バルブ209に替えて、電磁バルブ210を駆動すれば、希釈チャンバ44に、約288mLのRO水と約12mLの高濃度試薬とからなる約300mLの混合液を移送することが可能である。
【0106】
図10のステップS15による高濃度試薬およびRO水の供給処理が行われた後、ステップS16において、CPU49aにより、データ処理部3を介して伝達される測定部2からの試薬供給指示があるか否かが判断され、指示がない場合には、ステップS18に進む。試薬供給指示がある場合には、ステップS17において、測定部2から供給される陰圧力により供給チャンバ47内の試薬がフィルタ471を介して測定部2に移送される。そして、ステップS18において、CPU49aにより、ユーザからのシャットダウン指示の有無が判断され、指示がない場合にはステップS6に移行される。
【0107】
シャットダウン指示がある場合には、ステップS19において、調製途中の試薬が最終的に供給チャンバ47に移送されるまで、上記の動作が継続される。具体的には、上記ステップS9〜ステップS15の動作により試薬調製が継続されているので、調製途中で動作を停止すると、所望濃度とは異なる濃度に希釈された試薬が流路、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に残留することとなる。このため、ステップS19において調製動作を継続させることによって、所望濃度とは異なる濃度に希釈された試薬が流路、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に残留することを防止することが可能である。
【0108】
そして、ステップS20において、シャットダウンを実行する。この際、RO水チャンバ42からRO水を排出する。これにより、試薬調製部本体4が次回起動されるまでRO水がRO水チャンバ42に滞留してしまうのを防止することが可能である。その後、ステップS21において、シャットダウンが正常に行われたことを示すフラグをONに設定し、試薬調製処理動作を終了する。なお、図9および図10に示した試薬調製処理と、図12に示す後述する空圧部動作開始・停止処理とは、CPU49aにより、試薬調製装置6が稼働している間、継続的に並行して実行されている。
【0109】
次に、図12を参照して、本発明の一実施形態による試薬調製装置6の空圧部動作開始・停止処理動作について説明する。
【0110】
まず、試薬調製装置6が起動されると、図9および図10に示した試薬調製処理動作が実行されるため、液体の移送に用いられる空圧部5は動作状態となる。すなわち、試薬調製装置6が起動されると、空圧部5のモータ53が駆動され、陰圧源51および陽圧源52によりそれぞれ陰圧力および陽圧力が生成される。言い換えると、試薬調製装置6が起動されると、CPU49aは、空圧電源制御回路50のNPNバイポーラトランジスタ50aへのベース電流の供給を開始する。この状態で、CPU49aは、ステップS31において、試薬調製部本体4が試薬の調製動作を実行しないスタンバイ状態であるか否かを判断する。具体的には、(1)供給チャンバ47に約300mL以上の試薬が貯留されていること、(2)攪拌チャンバ46から供給チャンバ47への試薬の移送(図9に示す試薬調製処理のステップS10の動作)が終了していること、(3)希釈チャンバ43(44)から攪拌チャンバ46への混合液の移送(図9に示す試薬調製処理のステップS14の動作)が終了していること、(4)希釈チャンバ43(44)への高濃度試薬およびRO水の移送(図9に示す試薬調製処理のステップS15の動作)が終了していること、(5)RO水チャンバ42に約300mL以上のRO水が貯留されていること、(6)高濃度試薬チャンバ41に約300mLの高濃度試薬が貯留されていることの6つの条件を全て満たしている場合に、CPU49aは、試薬調製部本体4が試薬の調製動作を実行しないスタンバイ状態であると判断する。
【0111】
詳細には、CPU49aは、供給チャンバ47のフロートスイッチ106のフロート部が下限位置よりも上側にあることに基づいて、(1)供給チャンバ47に約300mL以上の試薬が貯留されていることを検知する。また、CPU49aは、攪拌チャンバ46のフロートスイッチ105のフロート部が下限位置に到達したことに基づいて、(2)攪拌チャンバ46から供給チャンバ47への試薬の移送(図9に示す試薬調製処理のステップS10の動作)が終了していることを検知する。また、CPU49aは、希釈チャンバ43(44)のフロートスイッチ103(104)のフロート部が下限位置に到達し、気泡センサ402(403)により気泡が検知されたことに基づいて、(3)希釈チャンバ43(44)から攪拌チャンバ46への混合液の移送(図9に示す試薬調製処理のステップS14の動作)が終了していることを検知する。また、CPU49aは、図11に示す高濃度試薬およびRO水の供給処理動作を終了したことに基づいて、(4)希釈チャンバ43(44)への高濃度試薬およびRO水の移送(図9に示す試薬調製処理のステップS15の動作)が終了していることを検知する。また、CPU49aは、RO水チャンバ42のフロートスイッチ102のフロート部が下限位置よりも上側にあることに基づいて、(5)RO水チャンバ42に約300mL以上のRO水が貯留されていることを検知する。そして、CPU49aは、高濃度試薬チャンバ41のフロートスイッチ100のフロート部が上限位置にあることに基づいて、(6)高濃度試薬チャンバ41に約300mLの高濃度試薬が貯留されていることを検知する。
【0112】
そして、CPU49aは、試薬調製部本体4がスタンバイ状態になるまでこの判断を繰り返し、スタンバイ状態になると、ステップS32において、空圧部5の電源をオフにする。具体的には、CPU49aは、空圧電源制御回路50のNPNバイポーラトランジスタ50aへのベース電流の供給を停止することによって、空圧部5の電磁リレー55のコイル部551への電流の供給を停止する。これにより、スイッチ部552が戻されて電磁リレー55が非通電状態(オフ状態)となり、モータ53および冷却ファン54への電流の供給が停止される。その結果、モータ53および冷却ファン54の動作が停止され、陰圧源51および陽圧源52による圧力の生成動作が停止される。
【0113】
その後、ステップS33において、CPU49aは、スタンバイ状態が終了したか否かを判断し、スタンバイ状態が終了するまでこの判断を繰り返す。具体的には、CPU49aは、上記(1)〜(6)の6つの条件のうち、いずれか1つでも満たさなくなった場合に、試薬調製部本体4のスタンバイ状態が終了したと判断する。
【0114】
そして、スタンバイ状態が終了すると、ステップS34において、CPU49aは、空圧部5の電源をオンにする。具体的には、CPU49aは、空圧電源制御回路50のNPNバイポーラトランジスタ50aへのベース電流の供給を再開することによって、空圧部5の電磁リレー55のコイル部551への電流の供給を再開する。これにより、スイッチ部552が移動されて電磁リレー55が通電状態(オン状態)となる。その結果、モータ53および冷却ファン54への電流の供給が再開され、モータ53および冷却ファン54の動作が再開される。
【0115】
その後、ステップS35において、CPU49aは、圧力センサ400および401を用いて圧力監視を行う。そして、ステップS36において、CPU49aは、空圧部5から試薬調製部本体4に供給される陰圧力および陽圧力の大きさがそれぞれ所定範囲内か否かを判断し、所定範囲内でない場合には、ステップS37において、空圧部5により生成される圧力に異常があることを知らせる旨のエラー表示を表示部48に表示する。一方、陰圧力および陽圧力の大きさがそれぞれ所定範囲内である場合には、CPU49aは、ステップS38において、試薬の調製動作を再開する。すなわち、CPU49aは、空圧部5から供給される陰圧力および陽圧力を用いた液体の移送動作を再開させる。
【0116】
本実施形態では、上記のように、スタンバイ状態であるか否かを判断し、その判断結果に応じて、空圧部5による圧力の生成を制御するCPU49aを設けることによって、調製動作が実行されないスタンバイ状態の場合に、圧力の生成を停止して空圧部5の消費電力を低減させることができる。これにより、試薬調製装置6の消費電力の低減を図ることができる。また、スタンバイ状態の場合に空圧部5による圧力の生成動作を停止させることによって、常時圧力を生成する場合に比べて、空圧部5のピストンポンプからなる陰圧源51および陽圧源52やモータ53および冷却ファン54の寿命を延ばすことができる。
【0117】
また、本実施形態では、(1)供給チャンバ47に約300mL以上の試薬が貯留されていること、(2)攪拌チャンバ46から供給チャンバ47への試薬の移送(図9に示す試薬調製処理のステップS10の動作)が終了していること、(3)希釈チャンバ43(44)から攪拌チャンバ46への混合液の移送(図9に示す試薬調製処理のステップS14の動作)が終了していること、(4)希釈チャンバ43(44)への高濃度試薬およびRO水の移送(図9に示す試薬調製処理のステップS15の動作)が終了していること、(5)RO水チャンバ42に約300mL以上のRO水が貯留されていること、(6)高濃度試薬チャンバ41に約300mLの高濃度試薬が貯留されていることの6つの条件を全て満たしている場合に、試薬調製部本体4が試薬の調製動作を実行しないスタンバイ状態であると判断するようにCPU49aを構成することによって、上記(1)〜(6)の6つの条件を全て満たした場合に、空圧部5による圧力の生成動作を停止させて消費電力の低減を図ることができる。
【0118】
また、本実施形態では、空圧部5による圧力の生成動作を停止させた後、上記(1)〜(6)の6つの条件のうちの少なくとも(1)供給チャンバ47に約300mL以上の試薬が貯留されていることの条件を満たさなくなった場合に、空圧部5による圧力の生成動作を再開させるようにCPU49aを構成することによって、供給チャンバ47に約300mL以上の試薬が貯留されておらず、新たに試薬を調製する必要がある場合には、圧力の生成動作が再開されて所定の大きさの圧力が生成されるので、消費電力の低減を図っている状態から容易に新たに試薬の調製を行なう状態に復帰させて調製動作を再開することができる。
【0119】
また、本実施形態では、空圧部5により生成された圧力の大きさを検知する圧力センサ400(401)を設け、生成された圧力の大きさが所定範囲内である場合に、調製動作を再開させるようにCPU49aを構成することによって、圧力の大きさが所定の大きさまで増加されたことを確認した後に調製動作が再開されるので、空圧部5により生成された所定の大きさの圧力を用いて、試薬の調製動作を確実に再開することができる。
【0120】
また、本実施形態では、空圧部5に、ピストンポンプからなる陰圧源51および陽圧源52と、ピストンを動作させるモータ53と、モータ53に電流を供給するか否かを切り替える電磁リレー55とを設け、電磁リレー55の通電状態(オン状態)と非通電状態(オフ状態)との切り替え動作を制御することで、圧力の生成動作を停止するようにCPU49aを構成することによって、電磁リレー55を通電状態(オン状態)と非通電状態(オフ状態)とに切り替えるだけで容易にモータ53への電流の供給を停止することができるので、調製動作が実行されないスタンバイ状態の場合に、容易に、消費電力を低減することができる。
【0121】
また、本実施形態では、1つの空圧部5に3つの試薬調製部本体4を接続し、3つの試薬調製部本体4の全てが調製動作を実行しないスタンバイ状態の場合に、圧力の生成動作を停止するようにCPU49aを構成することによって、1つの空圧部5に複数の試薬調製部本体4を接続している場合でも、空圧部5の消費電力を低減させることができる。
【0122】
また、本実施形態では、1つの空圧部5に接続されている3つの試薬調製部本体4の各々を、他の試薬調製部本体4が調製動作を実行しているか否かにかかわらず、独立して調製動作を実行可能に構成するとともに、1つの空圧部5に接続されている3つの試薬調製部本体4のうちのいずれか1つでも調製動作を実行している場合には、圧力の生成動作が停止されないように空圧部5を構成することによって、各試薬調製部本体4のCPU49aは、調製動作の実行状況を独立して別々に判断することができるので、各試薬調製部本体4の調製動作の実行状況を容易に判断することができる。これにより、1つの空圧部5に複数の試薬調製部本体4を接続する場合でも、各試薬調製部本体4の調製動作の実行状況に基づいて、容易に、空圧部5を制御することができる。
【0123】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0124】
たとえば、上記実施形態では、スタンバイ状態であると判断するとすぐに空圧部の電源をオフにする構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、スタンバイ状態であると判断した後、所定時間経過後に空圧部の電源をオフにする構成であってもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、圧力生成部としての空圧部により圧力を連続的に生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、空圧部により圧力を断続的に生成する構成であってもよい。この場合、たとえば、生成した圧力を気密性の高い密閉空間で保持し、保持する圧力が試薬の調製動作に使用されて圧力の大きさが所定範囲外となった場合に、再度圧力を生成して大きさを増加するようにすれば、連続的に圧力を生成することなく、断続的に圧力を生成して所定の大きさの圧力を提供することが可能である。
【0126】
また、上記実施形態では、スタンバイ状態の場合に、空圧部の電源をオフにして圧力の生成動作を停止する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、駆動源としてのモータへの電流の大きさを減少させて、生成される圧力の大きさを減少させる構成であってもよい。この場合でも、モータへの電流の大きさが減少する分、消費電力の低減を図ることができる。
【0127】
また、上記実施形態では、スタンバイ状態が終了した場合に、圧力の生成動作を再開する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、測定部から送信される試薬供給要求信号に基づいて、圧力の生成動作を再開する構成であってもよい。この場合、測定部は、検体の測定が開始されたときに試薬供給要求信号を送信してもよいし、検体を吸引するときに試薬供給要求信号を送信してもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、スタンバイ状態の場合に、圧力の生成動作を停止する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、試薬の調製動作が実行されていないときであれば、スタンバイ状態以外の他の状態のときにも、圧力の生成動作が停止状態である構成であってもよい。スタンバイ状態以外の状態の例として、たとえば、試薬調製装置のメンテナンスを行うためのローカル状態の場合にも、圧力の生成動作が停止されていてもよい。この際、メンテナンス中に液体を圧力で移送する必要が生じた場合にだけ、圧力の生成動作を再開するように構成してもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、1つの圧力生成部としての空圧部に、3つの試薬調製部を接続する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、1つの圧力生成部に1つの試薬調製部を接続する構成であってもよいし、1つの圧力生成部に3つ以外の複数の試薬調製部を接続する構成であってもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、複数の試薬調製部本体の各々に実行判断手段および生成制御手段としてのCPUを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、複数の試薬調製部本体に対して実行判断手段および生成制御手段としてのCPUを1つだけ設ける構成であってもよい。この場合、1つのCPUが、全ての試薬調製部本体における調製動作の実行状況を判断し、その判断結果に基づいて圧力の生成動作を停止させる構成であってもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、試薬調製装置の表示部に、圧力に異常があることを知らせる旨のエラー表示を表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、試薬調製装置に表示部を設けないで、データ処理部の表示部に圧力に異常があることを知らせる旨のエラー表示を表示する構成であってもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、圧力検知手段としての圧力センサを陰圧源および陽圧源に接続される流路全てに配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、陰圧源から供給される陰圧力を検知する圧力センサ、および陽圧源から供給される陽圧力を検知する圧力センサの2つの圧力センサだけを設け、検知後の陰圧力および陽圧力を各部に分配する構成であってもよい。また、圧力センサを圧力生成部としての空圧部側に設けてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、試薬調製装置の外部にRO水作製部を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、試薬調製装置の内部にRO水作製部を設ける構成であってもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、試薬調製装置により、高濃度試薬とRO水とから試薬を調製する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、試薬調製装置により、高濃度試薬およびRO水以外の異なる複数種類の液体から試薬を調製する構成であってもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、試薬調製装置の一例として、測定部と別個に設置される試薬調製装置を示したが、本発明はこれに限らず、図13に示すように、測定部内に設けられ、試薬調製機構として機能する試薬調製装置であってもよい。このように試薬調製機構を備える測定部(装置)としては、たとえば、血球計数装置、免疫測定装置および塗抹標本作製装置などがある。
【符号の説明】
【0136】
1 血液検体処理システム
2 測定部
4 試薬調製部本体
5 空圧部
6 試薬調製装置
41 高濃度試薬チャンバ
42 RO水チャンバ
43、44 希釈チャンバ
46 攪拌チャンバ
47 供給チャンバ
49a CPU
51 陰圧源
52 陽圧源
53 モータ
55 電磁リレー
100、102、106 フロートスイッチ
400、401 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を移送するための圧力を生成する圧力生成部と、
前記圧力生成部により生成された圧力を用いて、第1液体と前記第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬の調製動作を実行する試薬調製部と、
前記試薬調製部が前記調製動作を実行しているか否かを判断する実行判断手段と、
前記実行判断手段による判断結果に応じて、前記圧力生成部による圧力の生成を制御する生成制御手段とを備える、試薬調製装置。
【請求項2】
前記生成制御手段は、前記実行判断手段により前記調製動作が実行されていないと判断された場合に、生成される圧力の大きさが減少するように前記圧力生成部を制御するように構成されている、請求項1に記載の試薬調製装置。
【請求項3】
前記生成制御手段は、前記実行判断手段により前記調製動作が実行されていないと判断された場合に、圧力の生成を停止するように前記圧力生成部を制御するように構成されている、請求項2に記載の試薬調製装置。
【請求項4】
前記圧力生成部は、圧力を生成する圧力生成機構部と、前記圧力生成機構部を動作させる駆動源と、前記駆動源に電流を供給するか否かを切り替える切替部とを含み、
前記生成制御手段は、前記切替部の切り替え動作を制御することによって、圧力の生成を停止するように前記圧力生成部を制御するように構成されている、請求項3に記載の試薬調製装置。
【請求項5】
前記所定の試薬を用いて検体を測定する測定部に接続され、前記試薬調製部により調製された前記所定の試薬を収容する試薬収容部と、
前記試薬収容部に所定量の前記所定の試薬が収容されているか否かを検知する試薬検知手段とをさらに備え、
前記実行判断手段は、前記試薬検知手段による検知結果に基づいて、前記試薬調製部が前記調製動作を実行しているか否かを判断するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試薬調製装置。
【請求項6】
前記試薬調製部は、前記第1液体を収容する第1液体収容部と、前記第2液体を収容する第2液体収容部とを含み、
前記第1液体収容部に所定量の前記第1液体が収容されているか否かを検知する第1液体検知手段と、
前記第2液体収容部に所定量の前記第2液体が収容されているか否かを検知する第2液体検知手段とをさらに備え、
前記実行判断手段は、前記試薬検知手段による検知結果と、前記第1液体検知手段による検知結果と、前記第2液体検知手段による検知結果とに基づいて、前記試薬調製部が前記調製動作を実行しているか否かを判断するように構成されている、請求項5に記載の試薬調製装置。
【請求項7】
前記生成制御手段は、前記実行判断手段により前記調製動作が実行されていないと判断された場合に、生成される圧力の大きさが減少するように前記圧力生成部を制御するとともに、前記圧力生成部により生成される圧力が減少した後、前記試薬検知手段により所定量の前記所定の試薬が収容されていないことが検知された場合に、生成される圧力の大きさを増加させるように前記圧力生成部を制御するように構成されている、請求項5または6に記載の試薬調製装置。
【請求項8】
前記圧力生成部により生成された圧力の大きさを検知する圧力検知手段と、
前記試薬調製部による前記調製動作を制御する調製制御手段とをさらに備え、
前記調製制御手段は、前記圧力検知手段により検知された増加後の圧力の大きさが所定範囲内である場合に、前記試薬調製部による前記調製動作を再開させるように構成されている、請求項7に記載の試薬調製装置。
【請求項9】
前記試薬調製部は、1つの前記圧力生成部に複数接続されており、
前記生成制御手段は、前記実行判断手段により前記1つの圧力生成部に接続されている全ての前記試薬調製部が前記調製動作を実行していないと判断された場合に、生成される圧力の大きさが減少するように前記圧力生成部を制御するように構成されている、請求項2〜8のいずれか1項に記載の試薬調製装置。
【請求項10】
前記生成制御手段は、前記実行判断手段により前記調製動作が実行されていないと判断されるスタンバイ状態の場合に、生成される圧力の大きさが減少するように前記圧力生成部を制御するように構成されている、請求項2〜9のいずれか1項に記載の試薬調製装置。
【請求項11】
第1液体と前記第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を用いて検体を測定する測定部と、
液体を移送するための圧力を生成する圧力生成部と、
前記圧力生成部により生成された圧力を用いて前記所定の試薬の調製動作を実行する試薬調製部と、
前記試薬調製部が前記調製動作を実行しているか否かを判断する実行判断手段と、
前記実行判断手段による判断結果に応じて、前記圧力生成部による圧力の生成を制御する生成制御手段とを備える、検体処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−236993(P2010−236993A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84488(P2009−84488)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】