説明

認知機能障害の予防及び/または治療用組成物

【課題】認知機能の予防・改善に有用な化合物や、Aβ凝集抑制作用を有する物質の提供。
【解決手段】下式(I)で例示される化合物の一種または二種以上を有効成分として含有する認知機能障害の予防及び/または治療用組成物並びに上記化合物を含有する植物体からの抽出物を有効成分とする認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。


(式中、R1は水素原子またはグルコピラノシル基を示し、R2は水素原子またはラムノシルオキシ基を示す)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知機能障害の予防及び/または治療用組成物に関し、更に詳しくは、新規な、アミロイドβ蛋白の凝集抑制作用、及び抗酸化作用(ヒドロキシルラジカル(・OH)消去能)に基づき、医薬、食品等の分野で使用可能な認知機能障害の予防及び/または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
超高齢化社会に至った日本では、医学的・医療経済的にもっとも懸念されるものに、アルツハイマー病(以下、「AD」と略称する)や脳血管性認知症(以下、「VD」と略称する)などの認知症患者の増加がある。認知症の最大の原因が「老化・加齢」である以上、社会の高齢化と共に認知症患者の増加は避けられない。
【0003】
認知症のうちADは約30〜50%と推定されており、先進国ではその割合は次第に増加している。米国では、所謂後期高齢者のAD患者の割合は2000年での40%から2050年には60%に増加するといわれている。日本でもさまざまな地域で行われた調査や、東京都武蔵野病院の大塚俊男院長が中心となって作成した将来推計から、65歳以上の高齢者全体に占めるAD病患者の割合は、1980年代の1.8%から2000年には4.4%に増え、2020年には6.5%に上昇すると推計されている。
【0004】
この率に高齢者人口の上昇が加わると、65歳以上のAD病患者は2000年に約100万人だったものが、2020年には約250万人と2.5倍になる。現在では65歳以上の25人に1人以上はADである可能性があるが、20年後には15人に1人ぐらいになると予想される。
【0005】
この病気の病理的特徴として、脳の老人斑形成やタウ蛋白の異常リン酸化および神経原繊維変化が挙げられる。このうち老人斑は、アミロイド蛋白(以下、「Aβ蛋白」と略称する)が凝集・蓄積することによって形成される。この蛋白が蓄積することにより、活性酸素が生成されて神経細胞を破壊し、脳の萎縮が起こることが報告されている。しかも、Aβ蛋白の凝集は、アルツハイマー病の症状が認められる数十年前から起こることが知られている。現在のアルツハイマー病治療薬は、神経賦活作用が主要であり、対処療法に過ぎず、その効果はきわめて限定的である。
【0006】
一方、早期治療の観点から医学会では、ADの前駆段階といわれる軽度認知障害の時期での正確な診断の必要性と予防効果のある薬剤の必要性の認識が高まっている。
【0007】
こうした予防という視点から、従来欧米では古くから関心がもたれ、野菜・果物、魚、総摂取カロリー制限からのAD予防効果がそれなりに受け入れられている。ビタミンC、E、非栄養素であるフィトケミカルな抗酸化物、EPA、DHAなどのω3系PUFAなども有用とされ日本でも販売されている。
【0008】
現在ヒトにおいて認知機能の予防・改善に有望とされている天然素材としてはEPA、DHA、ローズマリー、米ぬか等が知られており(非特許文献1〜7)、文献上、Aβ凝集抑制作用の明確なものとして、主に、クルクミン、ケルセチン、ミリセチン、ワインポリフェノール、フェルラ酸などの天然抗酸化物質が知られている(非特許文献8〜)、特許上もブドウ科ヤブガラシ、牡丹皮エキス、 桂皮エキス、オンジ(遠志)、カンゾウ(甘草)、カテキンおよび緑茶抽出物、プロシアニジンBなどの天然抗酸化物質が知られている(特許文献1〜9)。しかしながら、更に、認知機能の予防・改善に有用な化合物や、Aβ凝集抑制作用を有する物質を見出し、医薬等への利用可能性を検討することも強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−206584号公報
【特許文献2】特開平10−226668号公報
【特許文献3】特開2005−350391号公報
【特許文献4】特開平1−246224号公報
【特許文献5】特開平1−316313号公報
【特許文献6】特表2003−519192号公報
【特許文献7】特表2006−507357号公報
【特許文献8】特開2007−230938号公報
【特許文献9】特開平9-30984号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Neurosci,25,3032-3040(2005)
【非特許文献2】J.Neurochem,107,1634-1646(2008)
【非特許文献3】J.Neurochem,111,568-579(2009)
【非特許文献4】JAMA,287,3223-3239(2002)
【非特許文献5】J.Neurochem,90,758-764(2004)
【非特許文献6】Am.J.Med.,119,751-759(2006)
【非特許文献7】J.Neurosci.,25,8807-8814(2005)
【非特許文献8】J.Bio.Chem.,280,5892-5901(2005)
【非特許文献9】J.Neurochem.,87,172-181(2003)
【非特許文献10】J.Neurosci.Res.,75,742-750(2004)
【非特許文献11】Biochemistry,45,6085-6094(2006)
【非特許文献12】Neurosci.Lett.,444,280-285(2008)
【非特許文献13】Tetrahedron,34, 1389-1397 (1978)
【非特許文献14】Journal of Chromatography, A (2008), 1185(1), 117-129
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこうした状況下になされたものであり、天然物を中心に、Aβ凝集を阻害する化合物をスクリニーングしてADの予防効果を有する安全な物質を見出し、これを含有する認知機能障害の予防及び/または治療用組成物の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、フラボノイド系化合物について、その薬理作用を検討していたところ、ADの予防効果を有するいくつかの化合物を見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち本発明は、次の式(I)ないし(III)
【化1】

(式中、Rは水素原子またはグルコピラノシル基を示し、Rは水素原子またはラ
ムノシルオキシ基を示す)
【化2】

(式中、Rは水素原子または水酸基を示す)
【化3】

(式中、Rはアラビノシル基またはラムノシル基を示す)
で表される化合物の一種または二種以上を有効成分として含有する認知機能障害の予防及び/または治療用組成物である。
【0014】
また本発明は、上記式(I)ないし(III)で表される化合物の一種または二種以上を含有する植物体からの抽出物を有効成分として含有する認知機能障害の予防及び/または治療用組成物である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の式(I)ないし(III)で表される化合物は、いずれも優れた抗酸化作用およびAβ凝集抑制作用を有するものであり、これを含む認知機能障害の予防及び/または治療用組成物は、AD等の認知機能障害による疾患の予防や治療に有用なものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物は、上記式(I)、(II)または(III)で表される化合物を、その有効成分として含有するものである。
【0017】
このうち、式(I)には、次の(Ia)および(Ib)の化合物が含まれる。
【0018】
【化4】

【0019】
上記式(Ia)の化合物は、既にアスチルビン(astilbin)として公知の化合物である。このアスチルビン(Ia)は、クルミ科の常緑高木である黄杞(コウキ;Engelhardtia chrysolepis)の葉の部分に含まれているほか、ネジキ(Lyonia ovalifolia)、センリョウ(Chloranthus glaber)、ケナシサルトリイバラ(Smilax glabra)、チダケサシ(Astilbe microphylla)、トリアシショウマ(Astilbe odontophylla)等にも含まれていることが確認されており(特許文献9)、これらの植物体から抽出するのが最も簡単な入手方法である。
【0020】
これらアスチルビン(Ia)含有植物のうち、その原料として最も利用し易いのは「黄杞」(Engelhardita chrysolepis ;HANCE)である。「黄杞」は中国南部の山地に自生するクルミ科の常緑高木であって、その葉は微かな甘味を有する。昔から鶴山茶として僧侶の保健茶として飲用されてきたから、味や安全性の点でも問題がない。
【0021】
この鶴山茶の効能には、「発熱とその毒性を直す、利尿作用により毒性を去る、脂肪を除きアルコールを分解する、血中脂肪を下げる、胃腸を丈夫にし消化を助ける、シミ・ソバカスを去りニキビを除く、口の苦味及び口臭を除く、顔を美しく肌に潤いを与える」とあり健康維持、痩身、美容にも有効であることが記載されている。この鶴山茶は、日本では、「黄杞茶」として丸善製薬株式会社よりすでに市販されており、抗アレルギー作用、抗炎症作用、抗酸化作用、過酸化脂質生成抑制作用、血清脂質(コレステロール、中性脂肪等)低下作用、中性脂肪分解作用、アルドースリダクターゼ阻害作用、がん予防作用が学会発表されているが、認知症の予防・改善に関する報告はない。
【0022】
このアスチルビン(Ia)の取得は、上記非特許文献13に記載の方法に従って、水や極性を有する有機溶媒で前記アスチルビン含有植物を抽出する方法により得られる。より具体的には、アスチルビン(Ia)を含有する植物体、好ましくはその葉部を、中間極性を有する有機溶媒、低級アルコールまたは水を用いて抽出すると、アスチルビン(Ia)が抽出されて来る。この抽出処理は、たとえば原料植物体を約5〜15倍量の抽出溶媒に、常温ないし還流加熱下に浸漬して行われる。好ましい抽出溶媒の具体例としては、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水等が挙げられる。これらの有機溶媒および水は、混合して用いてもよい。得られるアスチルビン(Ia)含有抽出物は、そのままでも認知機能障害の予防及び治療用組成物として使用可能であるが、これを液−液分配抽出、クロマトグラフィー、イオン交換樹脂処理、膜分離処理等によって精製することによりアスチルビン(Ia)を得ることができ、より強い活性を示す認知機能障害の予防及び治療用組成物として使用することができる。
【0023】
一方、上記式(Ib)の化合物は、エリオジクチオール 7−O−グルコピラノシド(eriodictyol 7-O-glucopyranoside)と呼ばれるものであり、山茶(サザン)に含まれる既知物質であるが(非特許文献14)、これが認知機能障害の予防及び改善作用を有することは知られていなかった。
【0024】
このエリオジクチオール 7−O−グルコピラノシド(Ib)の取得は、上記非特許文献14に記載の方法に従って、水や極性を有する有機溶媒で前記エリオジクチオール 7−O−グルコピラノシド含有植物を抽出する方法により得られる。より具体的には、エリオジクチオール 7−O−グルコピラノシド(Ib)を含有する植物体、好ましくはその地上部を、中間極性を有する有機溶媒、低級アルコールまたは水を用いて抽出すると、エリオジクチオール 7−O−グルコピラノシド(Ib)が抽出されて来る。この抽出処理は、たとえば原料植物体を約5〜15倍量の抽出溶媒に、常温ないし還流加熱下に浸漬して行われる。
【0025】
好ましい抽出溶媒の具体例としては、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水等が挙げられる。これらの有機溶媒および水は、混合して用いてもよい。
【0026】
得られるエリオジクチオール 7−O−グルコピラノシド(Ib)含有抽出物は、そのままでも認知機能障害の予防及び治療用組成物として使用可能であるが、これを液−液分配抽出、クロマトグラフィー、イオン交換樹脂処理、膜分離処理等によって精製することによりエリオジクチオール 7−O−グルコピラノシド(Ib)を得ることができ、より強い活性を示す認知機能障害の予防及び治療用組成物として使用することができる。
【0027】
また、本発明の式(II)には、次の(IIa)および(IIb)の化合物が含まれる。
【0028】
【化5】

【0029】
上記式(IIa)の化合物は、6”−O−(3,5−O−ジメチルガロイル)−カンナビシトリン[6"-O-(3,5-O-dimethylgalloyl)-cannabiscitrin]と命名されるものであり、また、式(IIb)の化合物は、6”−O−(3,5−O−ジメチルガロイル)−ケルセチン 3’−O−グルコシド[6"-O-(3,5-O-dimethylgalloyl)-quercetin 3'-O-glucoside]と命名されるものであって、何れも文献未記載の新規化合物である。
【0030】
これら化合物は、勿忘草(学名:Myosotis scorpioides L. )から、実施例1に記載の方法より取得することができる。
【0031】
更に、本発明の式(III)の化合物のうち、Rがラムノシル基である化合物は、ミリセチン3−O−ラムノシド(myricetin 3-O-rhamnoside)と命名された化合物であり、天人花(テンニンカ)に含まれる既知物質である(非特許文献13)。
【0032】
このミリセチン3−O−ラムノシドの取得は、上記非特許文献13に記載の方法に従って、水や極性を有する有機溶媒で前記ミリセチン3−O−ラムノシド(III)含有植物を抽出する方法により得られる。より具体的には、ミリセチン3−O−ラムノシド(III)を含有する植物体、好ましくはその地上部を、中間極性を有する有機溶媒、低級アルコールまたは水を用いて抽出すると、ミリセチン3−O−ラムノシド(III)が抽出されて来る。この抽出処理は、たとえば原料植物体を約5〜15倍量の抽出溶媒に、常温ないし還流加熱下に浸漬して行われる。
【0033】
好ましい抽出溶媒の具体例としては、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水等が挙げられる。これらの有機溶媒および水は、混合して用いてもよい。
【0034】
得られるミリセチン3−O−ラムノシド(III)含有抽出物は、そのままでも認知機能障害の予防及び治療用組成物として使用可能であるが、これを液−液分配抽出、クロマトグラフィー、イオン交換樹脂処理、膜分離処理等によって精製することによりミリセチン3−O−ラムノシド(III)を得ることができ、より強い活性を示す認知機能障害の予防及び治療用組成物として使用することができる。
【0035】
本発明の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物(以下、「認知症予防・治療用組成物」という)は、上記した式(I)ないし(III)の化合物(以下、「ケルセチン関連化合物」ということがある)の一種もしくは二種以上を有効成分として配合し、医薬品または健康機能食品の形態とすることにより調製される。
【0036】
より具体的に、医薬品形態の認知症予防・治療用組成物を調製するには、公知の薬学的組成物の製造に通常使用される適切な担体、賦形剤、希釈剤等に、ケルセチン関連化合物を配合し、通常の方法に従って経口投与剤や非経口投与剤の形態で剤型化すれば良い。
【0037】
この際、ケルセチン関連化合物は、0.01〜99.9質量%(以下、単に「%」で示す)含有せしめることが望ましく、特に0.1〜90%含有することが望ましい。しかしながら、上記のような組成は、必ずしも、これに限定されるものではなく、患者の状態及び疾患の種類、並びに、進行の程度に応じて変化可能である。
【0038】
なお、経口投与剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤等の経口固形製剤や、懸濁剤、内用液剤、油剤、シロップ剤、エマルジョン、エアロゾルなどの経口液剤が挙げられる。また、非経口投与剤としては、外用剤、座剤、滅菌注射溶液、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、油剤、凍結乾燥製剤が含まれる。
【0039】
上記医薬品形態の認知症予防・治療用組成物において使用可能な担体、賦形剤、及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ザイリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムフォスフェイト、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、カルシウムカーボネート、リキッドパラフィンや鉱物油類を挙げることができる。
【0040】
また、製剤化に当たっては、更に通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを使用しても良い。
【0041】
特に、非経口投与用の製剤では、非水性溶剤、懸濁剤として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどを使用可能である。また、坐剤の基剤としてはウィテプソル(witepsol)、マクロゴール、トゥウィーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどを使用可能である。
【0042】
以上のようにして調製された医薬品形態の認知症予防・治療用組成物は、人間の他、家畜、ネズミ、ハツカネズミなどの哺乳動物に多様な経路で投与可能である。投与のすべての方式を予想可能であるが、例えば、経口、直腸、又は静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜、又は脳血管内(intracerebroventricular)注射によって投与可能である。
【0043】
上記投与における、ケルセチン関連化合物の望ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路、及び期間に応じて異なり、当業者が適切に選択可能である。しかしながら、望ましい効果のためには、ケルセチン関連化合物を、1日に0.01mg/kg〜10g/kg、望ましくは、1mg/kg〜1g/kg程度で投与するのがよい。この投与は、一日に一回投与することも可能であり、数回に分けて投与することも可能である。従って、上記の投与量は、どのような面においても、本発明の範囲を限定するものではない。
【0044】
また、本発明の認知症予防・治療用組成物を健康機能食品形態のものとするには、公知の食品素材中にケルセチン関連化合物を添加し、食品とすれば良い。この食品形態としては、例えば、各種食品類、飲料、ガム、茶、ビタミン複合剤、健康補助食品などが挙げられ、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、健康飲料等の形態で使用可能である。
【0045】
上記の健康機能食品形態の認知症予防・治療用組成物において、粉末、顆粒、錠剤、カプセルの形態のものは、上記医薬品形態のものの製造法に準じて調製可能であるが、健康飲料の形態のものは、必須成分としてケルセチン関連化合物を配合し、液体成分に、必要に応じて通常の飲料に用いられる様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として加えることで製造される。
【0046】
上述の天然炭水化物の例としては、モノサッカライド(例えば、ブドウ糖、果糖など)、ジサッカライド(例えば、マルトース、シュクロースなど)、ポリサッカライド(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。上述のもの以外の香味剤として、天然香味剤(タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイド)、グリシルリチンなど)、及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に使用可能である。
【0047】
上記の天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100ml当たりに、一般的には、約1〜20g、望ましくは、約5〜12gである。
【0048】
上記以外に、本発明の健康飲料形態の認知症予防・治療用組成物には、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤、及び天然風味剤などの風味剤、着色剤、及び充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有せしめることが可能である。
【0049】
それ以外にも、本発明の健康飲料形態の組成物は、天然果物ジュースや果物ジュース飲料、並びに野菜飲料の製造のための果肉を含有せしめることも可能である。このような成分は、独立的に、又は組み合わせて使用可能である。このような添加剤の比率は、あまり重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たりに、0〜約20重量部の範囲において選択されるのが一般的である。
【0050】
本発明のケルセチン関連化合物自体は、毒性及び副作用をほとんど有していないため、予防及び改善の目的で長期間服用する場合にも、安心して使用可能である。
【0051】
本発明の上記のケルセチン関連化合物は、認知機能障害の予防及び改善を目的として食品素材又は飲料素材に添加し、健康機能食品とできるが、そのときの、食品又は飲料に対する上記化合物の添加量は、一般的に、健康食品組成物の場合には、全体食品重量の0.01〜15%程度であり、健康飲料の場合には、100mlを基準として、0.02〜10g、望ましくは、0.3〜1gで添加可能である。
【0052】
なお、本発明の別の形態としては、ケルセチン関連化合物を含有する植物体からの抽出物、すなわち、ケルセチン関連化合物を高濃度で含む抽出物を有効成分とする認知症予防・治療用組成物を挙げることができる。このような抽出物は、ケルセチン関連化合物を少なくとも、5%以上含有するものである。
【0053】
更に、本発明の他の別の形態としては、ケルセチン関連化合物含有率の高い植物体乾燥粉砕物を有効成分とする認知症予防・治療用組成物を挙げることができる。このような植物体乾燥粉砕物は、ケルセチン関連化合物を少なくとも、乾物重量で20%以上含有するものである。
【実施例】
【0054】
以下、実施例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
【0055】
実 施 例 1
6”−O−(3,5−O−ジメチルガロイル)−カンナビシトリン(IIa)
6”−O−(3,5−O−ジメチルガロイル)−ケルセチン 3’−O−グル
コシド(IIb):
勿忘草(ワスレナグサ;(学名)Myosotis scorpioides L. )の花100gをフラスコにとり、これに50%水性アルコール1000mLを加えて、2時間加熱還流を行い、ろ過した。このろ過後の固形物に対して、再度同様の操作を行ない、ろ液を得た。合わせたろ液を、50℃以下の温度で減圧下濃縮した後、40℃で減圧乾燥を行い、勿忘草花抽出物32gを得た。
【0056】
得られた勿忘草花抽出物32gに、水100mLを加えて懸濁させ、多孔性樹脂(DIAION HP20、500mL)上に付し、水1.5L、メタノール1.5L、アセトン1.5Lの順で溶出させた。前記メタノール1.5Lで溶出させた画分からメタノールを留去してメタノール溶出画分8.9gを得た。
【0057】
このメタノール溶出画分をクロロホルム/メタノール/水=10:5:1(容量比)の混合溶液に溶解し、シリカゲル(商品名:シリカゲル60、メルク社製)を充填したガラス製のカラム上部より流入して、シリカゲルに吸着させた。次いで、移動相としてクロロホルム/メタノール/水=10:5:1(容量比)の混合溶液を流し、その溶出液を集め、脱溶媒して、フラボノイド配糖体濃縮物(1.4g)を得た。得たれたフラボノイド配糖体濃縮物を下記の条件で液体クロマトグラフィーを用いて分画した。
【0058】
固定相:JAIGEL GS−310(日本分析工業製)
カラム径:20mm
カラム長:500mm (2本連結)
移動層:メタノール
移動層流量:5ml/分
検出:UV280nm およびRI
【0059】
この液体クロマトグラフィーにより、保持時間75分から90分に流出する画分を、リサイクルにより精製を行い、化合物1(43mg)、化合物2(48mg)、化合物3(183mg)を得た。
【0060】
かくして抽出し、シリカゲルによる分離、更に液体クロマトグラフィーで精製して得た化合物1〜3について、その構造を表1に示す13CNMRデータならびに二次元NMR解析から調べた結果、化合物1は、6”−O−(3,5−O−ジメチルガロイル)−ケルセチン 3’−O−グルコシド(一般式IIb)と、化合物2は、6”−O−(3,5−O−ジメチルガロイル)−カンナビシトリン(一般式IIa)と、化合物3は、イソオリエンチン(isoorientin)とそれぞれ同定した。
【0061】
【表1】

【0062】
実 施 例 2
アスチルビン(Ia);
黄杞 (コウキ 学名 Engelhardtia chrysolepis)の葉 200gをフラスコにとり、これに90%水性エタノール2Lを加え2時間抽出し、得られた抽出液を50℃以下の温度で減圧下濃縮した後、40℃以下の温度で減圧乾燥し、黄杞抽出物 34gを得た。
【0063】
得られた黄杞抽出物 34gを、200mLの水に懸濁させ、200mLのクロロホルムで3回抽出し、続いて200mlの酢酸エチルで3回抽出した。得られた酢酸エチル抽出物をさらに高速液体クロマトグラフィー(カラム:TSKgel ODS−120T,21.5mm×30cm;溶出溶媒:アセトニトリル/0.05%トリフルオロ酢酸=20:80)により分離し、アスチルビン2.29g、ネオアスチルビン0.22g、イソアスチルビン0.21g、ネオイソアスチルビン0.18gを得た。
【0064】
実 施 例 3
エリオジクチオール 7−O−グルコピラノシド(Ib):
山茶(サンザ: (学名) Elsholtzia bodinieri )の地上部42.7gをフラスコにとり、これに50%水性アルコール500mLを加えて、2時間加熱還流を行い、ろ過した。このろ過後の固形物に対して、再度同様の操作を行ない、ろ液を得た。合わせたろ液を、50℃以下の温度で減圧下濃縮した後、凍結乾燥を行い、山茶地上部抽出物12.6gを得た。
【0065】
得られた山茶地上部抽出物11.3gを水100mLを加えて懸濁させ、多孔性樹脂(DIAION HP20、500mL)上に付し、水1.5L、50%水性メタノール1.5L、メタノール1.5L、アセトン1.5Lの順で溶出させた。前記50%水性メタノール1.5Lで溶出させた画分からメタノールを留去して50%水性メタノール溶出画分5.2gを得た。
【0066】
この50%水性メタノール溶出画分3.4gを40%水性メタノールで溶解し、オクタデシルシリカゲル(商品名:クロマトレックスODS 富士シリシア化学製)を充填したガラス製のカラム上部より流入して、オクタデシルシリカゲルに吸着させた。 ついで、移動相として40%水性メタノールを流し、その溶出液を集め、脱溶媒して、フラボノイド配糖体濃縮物A 1.3gとフラボノイド配糖体濃縮物B 0.7gを得た。
得たれたフラボノイド配糖体濃縮物Aを下記の条件で液体クロマトグラフィーを用いて分画した。
【0067】
固定相:JAIGEL GS−310(日本分析工業製)
カラム径:20mm
カラム長:500mm (2本連結)
移動層:メタノール
移動層流量:5ml/分
検出:UV280nm およびRI
【0068】
この液体クロマトグラフィーにより、保持時間75分から90分に流出する画分を、リサイクルにより精製を行い、化合物1(703mg)を得た。フラボノイド配糖体濃縮物Bは水性メタノールから再結晶を行い、化合物2(312mg)を得た。
【0069】
かくして抽出し、シリカゲルによる分離、更に液体クロマトグラフィーで精製して得た化合物1〜2について、その構造を表2に示す13CNMRデータならびに二次元NMR解析から調べた結果、化合物1は、(2RS)エリオジクチオール 7−O−グルコピラノシドと、化合物2は、ルテオリン7−O−グルコピラノシドとそれぞれ同定した。
【0070】
【表2】

< References >
1.Roemmelt S., Zimmermann N., Rademacher W.,Treutter D., Phytochemistry,
64, 709 (2003).
2.Mizuno M., Kato M., Iinuma M., Tanaka T.,Kimura A., Ohashi H., Sakai
H., Phtochemistry, 26, 2418-2480(1987)
【0071】
実 施 例 4
ミリセチン3−O−ラムノシド(III):
天人花(テンニンカ;(学名)Rhodomyrtus tomentosa)の葉300gをフラスコにとり、これに80%水性アルコール3000mLを加えて、2時間加熱還流を行い、ろ過した。このろ過後の固形物に対して、再度同様の操作を行ない、ろ液を得た。合わせたろ液を、50℃以下の温度で減圧下濃縮した後、40℃で減圧乾燥を行い、天人花葉抽出物75gを得た。
【0072】
得られた天人花葉抽出物72gに、水100mLを加えて懸濁させ、多孔性樹脂(DIAION HP20、1000mL)上に付し、水3L、メタノール3L、アセトン3Lの順で溶出させた。前記メタノール3Lで溶出させた画分からメタノールを留去してメタノール溶出画分26.5gを得た。
【0073】
このメタノール溶出画分をクロロホルム/メタノール/水=10:5:1(容量比)の混合溶液に溶解し、シリカゲル(商品名:シリカゲル60、メルク社製)を充填したガラス製のカラム上部より流入して、シリカゲルに吸着させた。次いで、移動相としてクロロホルム/メタノール/水=10:5:1(容量比)の混合溶液を流し、その溶出液を集め、脱溶媒して得られた濃縮物を40%水性メタノールで溶解し、オクタデシルシリカゲル(商品名:クロマトレックスODS 富士シリシア化学製)を充填したガラス製のカラム上部より流入して、オクタデシルシリカゲルに吸着させた。ついで、移動相として40%水性メタノールを流し、その溶出液を集め、脱溶媒して、フラボノイド配糖体濃縮物 1.2gを得た。
【0074】
得られたフラボノイド配糖体濃縮物を下記の条件で液体クロマトグラフィーを用いて分画した。
【0075】
固定相:JAIGEL GS−310(日本分析工業製)
カラム径:20mm
カラム長:500mm (2本連結)
移動層:メタノール
移動層流量:5ml/分
検出:UV280nm およびRI
【0076】
この液体クロマトグラフィーにより、保持時間75分から90分に流出する画分を、リサイクルにより精製を行い、化合物1 (385mg)および化合物2(171mg)を得た。
【0077】
かくして抽出し、シリカゲルによる分離、更に液体クロマトグラフィーで精製して得た化合物1〜2について、その構造を表3に示す13CNMRデータならびに二次元NMR解析から調べた結果、化合物1は、ミリセチン3−O−ラムノシドと、化合物2は、ミリセチン 3−O−アラビノフラノシドとそれぞれ同定した。
【0078】
【表3】

< References >
1) Tetrahedron, 34, 1389-1397 (1978)
2) Phytochemistry, 29, 1707-1708 (1990)
【0079】
試 験 例 1
抗酸化作用の評価:
下記表4に示す化合物について、下記方法でその抗酸化作用(ヒドロキシルラジカル(・OH)消去能)を調べた。その結果を表5に示す。
【0080】
< 被験化合物 >
【表4】

【0081】
< 試験方法 >
( 使用試薬および装置 )
試薬として、5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド(DMPO;ラボテック(株))、トロロックス(SIGMA社)、アセトン(国産化学社)を入手し、使用した。その他の試薬は和光純薬より購入した.また、使用するESR機器としては、JEOL TE−100(日本電子(株))を使用し、ESR用扁平セル(LC−12:有効容積130μL)を用いて測定した。なお、具体的測定条件は、「薬学雑誌」、118巻、第609〜615頁(1998)の条件を参考に、磁界335.5±5mT、出力4mW、周波数9.41GHz、掃引時間2分、モデュレーション幅79μT、アンプリチュード200、時定数0.3sとした。
【0082】
( 測定試料の調製 )
測定試料は、アセトンで約0.5mM(最終溶液濃度0.125mM)としてから測定を開始した。その濃度で発生させたヒドロキシルラジカルを消去できない物質は、消去能なしと判断した。また、全てのヒドロキシルラジカルを消去してしまう物質(活性が強い物質)はさらにアセトンで希釈して測定した。なお、陽性対照としてクルクミン及びケルセチンを用いたが、これらはそれぞれアセトンで約0.5mM,0.3mM(最終溶液濃度 約0.125,0.075mM)に調製して測定に用いた。
【0083】
( 標準溶液の調製 )
ORAC法で抗酸化能の標準物質として使用されているトロロックス(J.Agric.Food Chem. 2003,51,3273-3279)を標準物質として用いた。このものは、約0.05〜0.4mM(最終溶液濃度 約0.0125〜0.1mM)になるようにアセトンで希釈して標準溶液を調製した。
【0084】
( ヒドロキシルラジカルの発生とESR測定 )
「薬学雑誌」、118巻、第609〜615頁(1998)の記載を参考に、試験管に0.064M DMPO溶液(最終溶液濃度0.016M)、1.36mM過酸化水素(最終溶液濃度0.34mM)および標準溶液または試料溶液をそれぞれ50μLずつとりミキサーで1〜2秒間混和した。その液に、0.136mM硫酸鉄溶液(最終溶液濃度0.034mM)50μLを添加し、約5秒間混和後、ESR測定用扁平セルにとり硫酸鉄溶液を添加し、60秒後にESR測定を行った。
【0085】
( トロロックス検量線の作成およびトロロックス様活性値の算出 )
各トロロックス濃度の溶液を用いて、日本電子のESRアプリケーションのSOD様活性値算出方法(日本電子株式会社HP ESRアプリケーションノート ER−040004(http://www.jeol.co.jp/technical/ai/esr/esr-an/er-040004/index.htm)を応用し、下記式にしたがってトロロックス濃度(X)と消去能(I/I−1)の間の検量線(1)を作成し、更に式(2)からトロロックス様活性値(A:・OH消去能)を求めた。
【0086】
/I−1=40.436X−0.3424 … … (1)
I: ESRスペクトルから得られる相対強度
[R(DMPO−OHのピーク高さ)/Mn(Mn2+のピーク高さ)]
:トロロックス濃度が0mMのときの相対強度
X:トロロックス濃度(mM)
【0087】
A=[(I/I−1)−切片]/傾き/C×1000… … (2)
A:トロロックス様活性値
C:試料溶液濃度(μM)
切片および傾きは、作成したトロロックス検量線(1)から求める。
【0088】
< 試験結果 >
各被験試料についてのヒドロキシルラジカル消去能を、陽性対照であるケルセチン及びクルクミンとともに、上記試験方法に従い測定した。なお、表5中の各試料のヒドロキシルラジカル消去能はケルセチンのトロロックス様活性値を100%とした相対値として算出した。
【0089】
【表5】

【0090】
表5から、いずれの化合物についてもケルセチンには及ばないもののクルクミンと同等以上の抗酸化作用(ヒドロキシルラジカル(・OH)消去能)を示した。
【0091】
試 験 例 2
Aβ蛋白の凝集抑制作用:
下記表6に示す化合物について、下記方法でそのAβ蛋白の凝集抑制作用を調べた。この結果を表7に示す。
【0092】
< 被験化合物 >
【表6】

【0093】
< 試験方法 >
アミロイドβ(Aβ)蛋白凝集量は、チオフラビンTを用いて測定した。具体的には、チオフラビンTは凝集したAβ蛋白のβシートに結合して蛍光を発することが知られているため、この蛍光強度をプレートリーダーにて検出し、これをAβ凝集量の指標とした。すなわち、被験物質のAβ蛋白凝集抑制作用を、蛍光強度の減弱率として算出した。
【0094】
具体的なプロトコールは以下の通りである。
1.DMSOに希釈した被験物質を、20μMになるように、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBS)で希釈し、96穴プレートに25μLずつ分注した。
2.Aβ(1−42)を40μMになるようにPBSに溶解し、上記のプレートに25μMずつ分注した。
3.被験物質10μMとAβ(1−42)20μMとを300rpm、37℃にて48時間インキュベートした。
4.チオフラビンTを10μMとなるようにPBSに溶解し、上記プレートに50μLずつ分注して最終濃度5μMとし、300rpm、37℃にて30分間攪拌した。
5.その後、励起波長442nm及び吸収波長485nmにて、各ウェルの蛍光強度を測定した。
6.Aβ(1−42)のみのウェルが発する蛍光強度から、それぞれの被験物質とA
β(1−42)とが混合したウェルの発する蛍光強度を差し引いた値を、被験物質が有するAβ(1−42)凝集抑制作用と見なした。
7.ケルセチン10μMが有するAβ(1−42)凝集抑制作用を100%とし、それぞれの被験物質の有するAβ(1−42)凝集抑制作用はこれに対する割合として算出し、表7に示した。
【0095】
< 試験結果 >
【表7】

【0096】
表7から、それぞれの被験物質はケルセチン及びクルクミンと同等の優れたアミロイドβ蛋白凝集抑制作用を有することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の式(I)ないし(III)で表される化合物は、いずれも優れた抗酸化作用およびAβ凝集抑制作用を有するものである。従って、これを含む認知機能障害の予防及び/または治療用組成物は、医薬品としてあるいは健康機能食品として、AD等の認知機能障害による疾患の予防や治療に有用なものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I)ないし(III)
【化1】

(式中、Rは水素原子またはグルコピラノシル基を示し、Rは水素原子またはラ
ムノシルオキシ基を示す)
【化2】

(式中、Rは水素原子または水酸基を示す)
【化3】

(式中、Rはアラビノシル基またはラムノシル基を示す)
で表される化合物の一種または二種以上を有効成分として含有する認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項2】
組成物の総重量に対し、前記式(I)ないし(III)の化合物を0.1〜90質量%含む請求項1記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項3】
認知機能障害が、アルツハイマー型認知症である請求項1または2記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項4】
医薬品または健康機能食品の形態である請求項1ないし3の何れかの項記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項5】
粉末、顆粒、錠剤、カプセル又は飲料の剤型である請求項1ないし3の何れかの項記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項6】
次の式(I)ないし(III)
【化4】

(式中、Rは水素原子またはグルコピラノシル基を示し、Rは水素原子またはラムノシルオキシ基を示す)
【化5】

(式中、Rは水素原子または水酸基を示す)
【化6】

(式中、Rはアラビノシル基またはラムノシル基を示す)
で表される化合物の一種または二種以上を含有する植物体からの抽出物を有効成分とする認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項7】
前記抽出物が、中間極性を有する有機溶媒、低級アルコールまたは水を抽出溶媒ちとして抽出されたものである請求項6記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項8】
前記植物体が、コウキ、サザン、ワスレナグサ、テンニンカである請求項6または7記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項9】
組成物の総重量に対し、前記抽出物を0.1〜90質量%含む請求項6ないし8の何れかの項記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項10】
認知機能障害が、アルツハイマー型認知症である請求項6ないし9の何れかの項記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項11】
医薬品または健康機能食品の形態である請求項6ないし10の何れかの項記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。
【請求項12】
粉末、顆粒、錠剤、カプセル又は飲料の剤型である請求項6ないし10の何れかの項記載の認知機能障害の予防及び/または治療用組成物。


【公開番号】特開2013−53133(P2013−53133A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−166158(P2012−166158)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】