調節可能な長さの呼吸回路
【課題】調節可能な長さの呼吸回路を提供する。
【解決手段】この単肢型呼吸回路は、近位端側連結部材と、遠位端側連結部材と、これらの近位端側および遠位端側の連結部材の間に延在している呼気管と、それらの近位端側および遠位端側の連結部材の間に延在している吸気管と、を有している。この呼気管は完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能である波形の呼気管であり、複数の中間の静止位置を有する。これらの複数の中間の静止位置において、上記呼気管は、外力を行使しなくても、その静止長を維持できる。一方、上記吸気管は完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で可変である長さを有する波形の吸気管であり、その完全に伸張された静止位置と完全に圧縮された静止位置との間に複数の中間の静止位置を有する。この吸気管も、外力を行使しなくても、その中間の静止位置を維持することができる。
【解決手段】この単肢型呼吸回路は、近位端側連結部材と、遠位端側連結部材と、これらの近位端側および遠位端側の連結部材の間に延在している呼気管と、それらの近位端側および遠位端側の連結部材の間に延在している吸気管と、を有している。この呼気管は完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能である波形の呼気管であり、複数の中間の静止位置を有する。これらの複数の中間の静止位置において、上記呼気管は、外力を行使しなくても、その静止長を維持できる。一方、上記吸気管は完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で可変である長さを有する波形の吸気管であり、その完全に伸張された静止位置と完全に圧縮された静止位置との間に複数の中間の静止位置を有する。この吸気管も、外力を行使しなくても、その中間の静止位置を維持することができる。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔優先権主張〕
本出願は、2004年1月9日に出願されている、米国仮特許出願第60/535,235号に基く恩典を主張している。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は呼吸および麻酔の装置に関連しており、特に、呼吸の管理または麻酔の環境において使用するための呼吸回路に関連している。
【0003】
〔発明の背景〕
手術中に患者に麻酔を施すために、複数の部品を含んでいる麻酔システムが用いられている。この中で、主要な部品は麻酔装置であり、この装置は患者との間の麻酔のガスおよび空気の流れを調節する。また、再呼吸回路内において患者の呼気から二酸化炭素を除去するために、二酸化炭素吸収装置を上記の麻酔装置に取り付けることもできる。
【0004】
患者の側においては、患者にガスを送達するためにその患者に連結できる顔面マスクまたは気管内管が備えられる。このような顔面マスクの例は、譲受人のウェブ・サイトであるwww.KingsSystems.comか、または、ヒンクル(Hinkle)の米国特許第4,896,666号において、見ることができる。また、気管内管(tracheal tubes)の例は、フラッセ(Frasse)の米国特許第5,449,625号、およびバートラム(Bertram)の米国特許第5,819,733号において開示されている。これらの患者連結型の装置(すなわち、顔面マスクおよび/または気管内管)は、その患者連結型の装置と麻酔装置との間に延在する呼吸回路を介して、流体(ガス体)により連通している麻酔装置、に連結されている。
【0005】
いくつかの異なる種類の呼吸回路が存在している。二つの主な種類の呼吸回路は、二肢型回路および単肢型回路、である。
【0006】
二肢型回路は、麻酔装置から患者にガスを送達するための吸気管と、患者から麻酔装置に吐き出されたガスを送達する呼気管と、を有している一対の分離された管、を備えている。このような二肢型回路において、上記の二種類の管は分離された管を構成しており、これらの管は、患者の側において、一般的に、「Y」字形または「T」字形の管により、一緒に、流体を介して連結されている。一方、単肢型回路の各管の装置側は分離していて、吸気管の装置側は麻酔装置の「流出」ポートに連結されており、呼気管の装置側は麻酔装置の「流入」ポートに連結されている。例えば、二肢型回路の概略的な表現の例は、フクナガ(Fukunaga)他の、米国特許出願公開第2003/0183232A1号(2003年10月2日)の図1cにおいて見ることができる。
【0007】
第2の種類の回路は単肢型回路であり、この場合に、吸気管は一緒に接合されている。このような単肢型呼吸回路の例は、レアグレ(Leagre)他の米国特許第5,404,873号、フクナガ(Fukunaga)の米国特許第4,265,235号、およびフクナガ(Fukunaga)他の米国特許第5,778,872号、同5,983,891号、同5,983,894号、同5,983,896号、同6,003,511号、同6,564,799号、フクナガ(Fukunaga)他の米国特許出願公開第2003/0075176号および同US2003/0183231号、およびシコラ(Sikora)の米国特許第5,121,746号、において開示されている。
【0008】
上記レアグレ(Leagre)の‘873号特許において開示されているように、単肢型回路は、一般的に、比較的に剛性の装置端側(近位側)のコネクタであって、これを通して、上記回路が麻酔装置に連結される装置側コネクタと、比較的に剛性の患者端側(遠位側)のコネクタであって、呼吸回路を患者に連結させるために、顔面マスクまたは気管内管に連結できる、患者側コネクタと、を含んでいる。さらに、比較的に柔軟な呼気管が、上記の患者端側コネクタと装置端側コネクタとの間に、延在している。また、比較的に柔軟な吸気管が呼気管と同軸に配置されている。吸気のガスを暖めるように、さらに良好な熱交換を助長するために、吸気管は、一般的に、比較的に大きな直径の呼気管よりも、小さい直径を有していて、この吸気管は呼気管の内側に存在できるようになっている。このような、レアグレ(Leagre)他の‘873号特許において開示されている、呼吸回路は、本特許出願の譲受人である、キング・システムズ・コーポレイション(KING SYSTEMS CORPORATION)により、ユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)呼吸回路の商品名で、市場において販売されている。
【0009】
さらに、本発明の譲受人である、キング・システムズ・コーポレイション(KING SYSTEMS CORPORATION)により販売されている別の呼吸回路が、上述の、フクナガ(Fukunaga)他の‘872号特許、同‘894号特許、同‘896号特許、同‘511号特許、および同‘799号特許において、少なくとも概略的に、開示されている。
【0010】
これらのフクナガ(Fukunaga)およびレアグレ(Leagre)の特許において示されている呼吸回路は単肢型回路として描かれており、この場合に、その呼気管および吸気管は互いに同軸に配置されている。一般的に、内側の比較的に小さい直径の管は吸気管として使われていて、外側の比較的に大きな直径の管は呼気管として用いられている。これらのレアグレ(Leagre)特許において示されている呼吸回路とフクナガ(Fukunaga)特許において示されている呼吸回路との間の注目すべき違いは、これらの回路における装置端側カップラーにおける違いにある。
【0011】
一方、上記のレアグレ(Leagre)およびフクナガ(Fukunaga)の装置における吸気管および呼気管は、ユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)において実施されているように、共に波形の吸気管および波形の呼気管を用いている点において、類似している。これらの波形の吸気管および波形の呼気管は単一の静止長(rest length)を有するように波形になっているが、その管の長さが伸縮されることを可能にしている。
【0012】
これらの波形の吸気管および呼気管の長さの可変性は、短期間にわたり延ばされたり(長くなったり)圧縮されたり(短くなったり)することを可能にするために、上記のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の回路の中に設計されている。この長さにおける変化は、しばしば、患者および麻酔装置の相対的な位置が変えられる時に生じ、通常において、その相対位置の変化の間に管を伸ばす必要性を含む。しかしながら、呼気管および吸気管は固定された静止長を有するように設計されているので、これらの固定された静止長からの吸気管および呼気管の長さの何らかの変化が呼気管に「応力」を及ぼして、その呼気管に圧縮力や伸びの力を生じさせ、(適宜に)その管がその一定の静止長に戻ることを可能にする。
【0013】
呼気管の伸びの間に、吸気管は上記のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の呼吸回路の中の装置側コネクタに連結されているだけであるので、この吸気管は一般的に伸びない。しかしながら、これらの吸気管および呼気管は共に、メリジアン・メディカル・システムズ(Meridian Medical Systems)により販売されている回路等のような呼吸回路の中においては、延びやすく、これは、このメリジアン・メディカル(Meridian Medical)の呼吸回路が、装置側および患者側の両方のコネクタに連結されている吸気管、を用いているためである。
【0014】
また、単一の静止長の波形の管を用いる別の理由は、これらの管がよじれることを防ぐためである。このようなよじれを防ぐことはきわめて望ましく、その理由は、このようなよじれが、ちょうど、庭用のホースがよじれる時に、その中を通る水の流れが閉塞または遮断されるように、管の中のガスの流れの閉塞や遮断を生じる可能性があるからである。
【0015】
さらに、別の単肢型呼吸回路がシコラ(Sikora)の米国特許第5,121,746号において開示されている。このシコラ(Sikora)の装置は単肢型回路を用いており、この場合に、呼気管および吸気管は、共通の壁部に接合していて、その呼吸回路に、θに似ている形態、を与えている。このシコラ(Sikora)の特許において開示されている管も、疑いなく、上述のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の装置において用いられている波形の管と、同じ多くの理由により、波形であるように見える。
【0016】
上述の装置、特にユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の装置は、きわめてみごとに、それぞれの目的とされる機能を実行するが、まだ、改善の余地が存在している。
【0017】
困難さの一つの原因は呼吸回路の単一の静止長にある。このような単一の静止長は、多数の長さの管を、異なる状況および選択に適合させるように、製造すること、を必要とする。例えば、一部の医療の専門家は比較的に短い長さ(例えば、44インチ、または112cm)の管を好む場合があるが、別の医療の専門家は、麻酔装置を目立たなくするように、その装置を患者からさらに離すことを好み、そのため、比較的に長い(例えば、88インチ、または224cm)の呼吸回路を必要とする場合もある。
【0018】
製造者の観点から、異なる回路の長さに対する要望により、製造者は、呼吸回路をさまざまな長さで製造することが必要になる。一方、使用者(例えば、病院や外科センター)の観点からは、そのような異なる要望される長さに対して、それぞれのエンド・ユーザーは、いくつかの異なる回路の長さを用意すること(在庫として保持したりすること)が必要になる。
【0019】
別の困難さは輸送において見られる。すなわち、波形の管を有する単一の静止長の回路は単一の静止長しか有していないので、このような装置を用いる場合に、その装置が伸ばされることも圧縮されることもなく、その目的を十分に果たすように、その管を、比較的に長い静止長(例えば、44インチまたは88インチ、すなわち、112または224cm)を有するような、長さに作る必要がある。また、このような単一の静止長の波形の管の弾性により、その管は、伸ばされると、その静止長に、その管を圧縮して短くして戻す傾向のある、圧縮力、を発揮する。
【0020】
上記のような管により及ぼされる圧縮力は、呼吸回路が、装置または患者のいずれかに対するその連結から引き放される、外側の分断と、波形の呼吸用の管が装置側または患者側の連結の内の一つから引き離される、内側の分断と、の両方を、容易にする可能性があるので、伸張される場合にその装置が用いられることは好ましくないと思われる。つまり、上記のような内側および外側の両方の分断を生じる状況を避けることが望ましい。
【0021】
上記の結果として、例えば、112cm(44インチ)の呼吸回路は、112cm(44インチ)の静止長を有しており、この長さは、通常において、外部のクランプ力を及ぼすことなく、任意の相当な長さの時間にわたり、圧縮させることができない(したがって、輸送のためにさらに小さくはできない)。したがって、このように、外部のクランプ力を加えずに、静止長を短く変えることができないので、製造者は、上記の仮の112cm(44インチ)の呼吸用の管の全体の112cm(44インチ)の長さに合わせるために、容器や箱の中に十分な貯蔵の空間を設けることが必要になる。加えて、上記のような呼吸回路の全体の112cm(44インチ)の長さに合わせるために十分な貯蔵の空間を、病院や外科センターの使用者が備えることも必要になる。
【0022】
上記のことから、輸送の間に、より小さな空間を占めるように圧縮させることが可能である、呼吸回路を有することが望ましくなることが認められるであろう。加えて、例えば、単一の装置がその完全に圧縮された(輸送用の)長さから、例えば、部分的に伸張された、112cm(約44インチ)の全長を有する「短い管の長さ」まで延長させることができ、さらに、224cm(88インチ)の呼吸回路等のような、長い呼吸回路の静止長に等しい静止長を有することが可能である、完全に伸張された(完全に圧力を除いた)位置に伸ばすことができるように、複数の持続可能な静止長を含む呼吸回路を構成することが望ましくなると考えられる。
【0023】
本発明の一例の目的は、装置が、輸送、貯蔵および一部の麻酔の適用において、長さを減少させるために、完全に圧縮された位置に配置できるが、その圧縮された位置よりも長い所望の長さを与えるために、複数の延長された静止位置に持続可能に保たれることも可能であるように、複数の固定された静止長を有する上記のような呼吸回路、を提供することである。好ましくは、上記の装置は、上記の呼吸回路における完全に圧縮された位置と完全に延長された位置との間において、長さが変わる多様な静止長において、持続可能でもある。
【0024】
〔発明の概要〕
本発明によれば、近位端側連結部材と、遠位端側連結部材と、これらの近位端側連結部材および遠位端側連結部材の間に延在する呼気管と、これらの近位端側連結部材および遠位端側連結部材の間に延在する吸気管と、を有している単肢型呼吸回路が開示されている。この呼気管は、完全に圧縮されている静止位置と完全に伸張されている静止位置との間において伸びることができ、複数の中間の静止位置を有する波形の呼気管、を構成している。複数の中間の静止位置において、上記の呼気管は、外力を行使しなくても、その静止長を維持できる。また、上記の吸気管は、完全に圧縮されている静止位置と完全に伸張されている静止位置との間において可変であり、それらの完全に伸張されている静止位置と完全に圧縮されている静止位置との間に複数の中間の静止位置を含む長さ、を有する波形の吸気管、を構成している。この吸気管は、呼気管と同様に、外力を行使しなくても、その中間の静止位置を維持することができる。
【0025】
好ましくは、上記吸気管の長さは上記呼気管の長さよりも、それぞれが完全に伸張されている時に、約2.5〜17.8cm(約1〜7インチ)、さらに最適には、約10.2cm(約4インチ)だけ、長い。
【0026】
一例の好ましい実施形態において、上記の呼気管および吸気管は互いに概ね同軸に配置されており、遠位端側連結部材は呼気管連結部材を含み、この呼気管連結部材は、患者側コネクタの近くにおいて、中心に置かれている状態および同軸の状態から、半径方向にずれている。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態において、上記吸気管は内径および外径を有しており、上記呼気管も内径および外径を有している。この吸気管の外径と呼気管の内径は、吸気管の外表面部と呼気管の内表面部が呼気の通路を定めていて、この場合に、その呼気の通路に沿う空気の流れの抵抗が最小限になるような大きさに、互いに、作られている。加えて、呼気管の内径と吸気管の外径との間の大きさの違いは、呼気管が線形に圧縮される時の、吸気管の概ね線形の圧縮を十分に助長する程度に、十分に小さくする必要がある。
【0028】
本発明の一例の特徴は、アコーデオン・タイプの波形の管が用いられていることであり、この場合に、それぞれのひだは、維持可能な伸張された静止位置および維持可能な圧縮された静止位置に置くことができる。呼吸管は多数の上記のようなひだにより構成されているので、この管は多数の静止長を有することができる。この特徴は、使用者が、自分の特定の要求に合わせるために、上記の管の動作の長さを変更することを可能にするという利点、を有している。加えて、このことは、上記の管を輸送および貯蔵の間に圧縮して、輸送および貯蔵の間にその管により必要とされる空間の量を減少させること、を可能にすると共に、その管を使用中に伸張して、手術室の作業員、特に、麻酔科医に適合する長さに伸張すること、を可能にしている。
【0029】
本発明の別の特徴は、上記呼気管の外径と上記吸気管の内径が、その吸気管の外表面部と呼気管の内表面部との間に存在している呼気の通路を通る空気の流れの抵抗を最小限にするような大きさに作られているということ、である。
【0030】
外科手術中において、ガスの通路を通るガスの自由な流れを促進させるために、可能な限り遮断されていない吸気の通路および呼気の通路等のように、ガスの通路を保つことが重要である。一般的な規則として、管の部材により引き起こされる空気の流れの抵抗を最小限にすることが望ましい。この点に関して、例えば、一連の半径方向に延出しているバッフル(自動車のマフラー(car muffler)において見られるようなもの)を有していて、したがって、これらのバッフルがその通路を通る流れの抵抗を増すと考えられる、管、を使用することには禁忌が示されるであろう。
【0031】
上述のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の装置等のような、通常の、単肢型の呼吸回路においては、上記の抵抗は、ガスが妨げられずに中を通して流れることを可能にするように、吸気管の外表面部と呼気管の内表面部との間に、十分な空間を与える外径の大きさを有する吸気管と内径の大きさを有する呼気管と、を選択することにより、最小限にされている。上記のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の装置は、共に、一体の静止状態停止型の管を用いているので、この管のエンジニアは、本質的に、その吸気管および呼気管の単一の相対的な長さ、における、呼気の流路の中の、吸気管と呼気管との間の、空気の抵抗について、関心を持つ必要がある。
【0032】
本発明においては、呼気管および吸気管の直径の寸法決めはかなり困難な仕事になる。このような寸法決めが比較的に困難になる一つの理由は、それぞれの管の外径および内径が、上記のひだがそれぞれの圧縮されたまたは伸張された位置であるか否かにより、変わること、である。なお、呼気管の内径は、その呼気管のひだが伸張されている時よりも、そのひだが圧縮されている時に、小さくなることが、一般に、分かっている。同様に、吸気管の外径は、その吸気管のひだが伸張されている時に比べた場合に、その吸気管が圧縮されている時に、大きくなる。
【0033】
一見して、呼気管の直径を大幅に拡大し、さらに/または、吸気管の直径を大幅に減少させることにより、生じると考えられるような、吸気管の外径と呼気管の内径との間の差を最大にすることにより、上記の寸法決めの問題に対して、簡単な解決方法が存在しているように思われる。しかしながら、このような方策は、十分に機能する呼吸回路、を必ずしも結果として生じるとは限らない。例えば、このような方策は抵抗を減少させるために役立つと考えられるが、この方策は、その呼吸回路の長さを調節するための、特に、吸気管の長さを変更するための、使用者の能力に、悪影響を及ぼすという欠陥、を有している。
【0034】
例えば、吸気管の外径と呼気管の内径との間の差が過度に大きければ、その吸気管は著しくよじれやすくなり、あるいは、管の長さが短縮される時に圧縮しにくくなる。上述のように、管のよじれはきわめて望ましくない。加えて、過度に大きな呼気管の内部の中における吸気管の圧縮は、その吸気管に、圧縮中にその線形を失わせることにより、「ヘビに似た状態」を採らせるので、抵抗性が損なわれる可能性がある。すなわち、呼気管の中における、吸気管のうねった波様の形態は、抵抗性を増すことを助長する可能性があることが、本特許出願人により分かっている。加えて、吸気管が、概ね線形の経路から、さらに湾曲しているうねった経路に変形するほど、吸気ガスの通路の中の抵抗性も増す可能性がある。
【0035】
また、吸気管および呼気管は互いに概ね同軸に配置されているが、吸気管の患者側の連結部分は、呼気管の軸線に対して、半径方向にずれている位置に、その吸気管を連結しているというということも、本発明の特徴である。このようなずれた配置は、呼気のガスが、患者から、呼気管と吸気管との間の、呼気の通路の中に流れるための、比較的に良好に定められた、比較的に低い抵抗性を有する通路、を与える。実際に、患者側の連結部分と呼気管との間に流れるガスはその患者側の連結部分から呼気管の中に概ね向かう方向に流れている。
【0036】
本発明の別の特徴は、それぞれの管のひだが、設計されている静止長を保持するためのそれぞれの能力を失わずに、それぞれの圧縮された位置とそれぞれの伸張された位置との間において、繰り返して移動できるように、吸気および呼気の柔軟な管が設計されていること、である。この特徴は、ある処置の開始時に、使用者が所望の長さを得ることができるように、あるいは、処置の間に、使用者が処置の中間において呼吸回路の有効長を変えることを決定する場合に、その管の寸法を決めて、サイズを変えることを可能にするという利点、を有している。このような呼吸回路の有効長における繰り返しの変更は、その呼吸管がその望まれる有効な静止長の内のいずれかの一つに後で設定できなくなるという恐れを伴うことなく、行なうことができる。
【0037】
本発明の上記のおよびその他の特徴は、以下において理解されるように、本発明を実施する最良の形態を示している、図面と詳細な説明とを参照することにより、明らかになるであろう。
【0038】
〔詳細な説明〕
本発明の呼吸回路10が図面において最良に示されている。図1において、呼吸回路10は、当該呼吸回路10の近位端側に配置されている装置側コネクタ12、を含み、図1において示されている実施形態においては、装置側コネクタ12とフィルター14の両方になるという二つの目的を果たしている。なお、装置側コネクタ12はフィルター14を含んでいるものとして示されているが、この装置側コネクタ12は無フィルター型の装置側コネクタ12を有するように設計することも可能である。
【0039】
一方、患者側コネクタ18は、回路10の遠位端側または患者側に、配置されている。複数の持続可能な静止長を有する柔軟な波形の吸気管が患者側コネクタ18と装置側コネクタ12との間に延在しており、矢印Iにより概略的に示されているように、装置側コネクタ12から患者側コネクタ18に向かって、吸気のガスを運ぶために備えられている。さらに、柔軟な波形の持続可能な多数の静止長の呼気管26も患者側コネクタ18と装置側コネクタ12との間に延在していて、矢印Eにより概略的に示されているように、患者側コネクタ18から装置側コネクタ12に向かって、患者から呼気のガスを運ぶために備えられている。
【0040】
吸気管22および呼気管26は共に、装置側コネクタ12に、それぞれの装置側において、固定して連結されている。同様に、これらの吸気管22および呼気管26は共に、患者側コネクタ18に、それぞれの患者側において、固定して連結されている。
【0041】
以下において、さらに詳細に論じられているように、吸気管22および呼気管26は波形であり、矢印Bにより示されているような、図1の図面の右側に示されている、伸張されている位置と、矢印Aにより示されているような、図面の左側に示されている、圧縮されている位置と、の両方を採るように、それぞれ設計されているひだ、を伴っている。先行技術の装置とは異なり、吸気管22および呼気管26は静止位置を採ることができ、この場合に、1個以上のひだが、それぞれの圧縮されている位置またはそれぞれの伸張されている位置の中に存在している。これらの圧縮されている位置および伸張されている位置において静止位置を採るためのひだの能力は、呼吸回路の長さが、大多数の異なる静止長のいずれか一つに固定されることを可能にする。また、これらの静止長は、管に外力を及ぼさずに、維持できる。
【0042】
上述のように、上記の特徴は、単一の静止長だけが採用されている場合の装置とは、異なっている。すなわち、単一のみの静止長の管は、このような先行技術における単一の静止長の波形の管の弾性およびばねの特性が、これらの管を、それぞれの、圧縮されているか伸張されている、状態から、それぞれの静止位置に向けて、移動して戻すために、それぞれの管に応力を及ぼすので、クランプまたはその類似物等のように、相当な外力を及すことなく、(静止長に対して)伸張されているか圧縮されている位置のいずれも維持することができない。
【0043】
装置側のコネクタ/フィルター14は、内部を定めているケーシング38、を含んでいる。このケーシング38は、上述のフクナガ(Fukunaga)の‘872号特許において記載されているような、近位端側の末端部分を取り付けることのできる装置係合端部40、を含んでおり、この係合端部40は麻酔装置に連結する。あるいは、この装置係合端部40は、麻酔装置(図示されていない)が、その装置係合端部40を受容するための適当な大きさに作られている連結部分またはポート、を含んでいれば、その麻酔装置に直接に連結できる。
【0044】
また、上記の装置係合端部は、レアグレ(Leagre)の米国特許第6,129,082号、またはレアグレ(Leagre)およびバロー(Barrow)の米国特許第5,404,873号において開示されている形態等のような、多様な別の形態も含むことができること、にも注目する必要がある。
【0045】
装置係合端部40は、呼気ポート48を定めるための、第1の概ね円筒形の呼気ポート・コネクタ46を含んでおり、このコネクタ46を通して、呼気のガスが呼気ポート48から麻酔装置の中に通過できる。また、第1の吸気ポート・コネクタ52は概ね円筒形であり、呼気ポート48と同軸である。この第1の吸気ポート・コネクタ52は麻酔装置の流出ポートに連結されるように備えられていて、内部に配置されている吸気ポート53を定めており、このコネクタ52を通して、ガスおよび吸い込まれた空気が麻酔装置から吸気ポート53の中に通過できる。
【0046】
第1の呼気管コネクタは、装置側コネクタ12の管係合端部44に配置されており、呼気管26の第1(近位側)の端部47を受容するための、半径方向に外側に向いていて軸線方向に延在している円筒形の表面部分57、を含んでいる。また、呼気管26の近位側端部47の、半径方向に内側に向いていて軸線方向に延在している内表面部は、第1の呼気管コネクタ56の半径方向に外側に向いている表面57に、固定して連結および係合している。好ましくは、呼気管26の第1の端部47と半径方向に外側に向いている表面57との間の連結は、これら2個の部材の間の分離を防ぐために、ぴったりと合って永久的になるように、設計されている。このようにぴったりと合った確実に固定された連結は、接着剤の使用により化学的に達成するか、ぴったりと合った嵌め合わせを形成するように寸法決めするか、バンドや音波溶接等のようなその他の取り付けプロトコル等の、一部の機械的な取り付けにより、達成できる。
【0047】
装置側コネクタ12の管係合端部44はまた、第1の吸気管コネクタ58も含んでおり、この吸気管コネクタ58は、その概ね円筒形の半径方向に外側に向いている表面部分において、吸気管22の第1(近位側)の端部53の半径方向に内側に向いている円筒形の表面部分、を受けるような大きさに作られている。また、上記の吸気管および呼気管のそれぞれの端部53,47はそれぞれのコネクタ58,56を受容するように寸法決めおよび構成されており、これらの管58,56の「カフス」としてしばしば呼ばれる場合がある。
【0048】
呼気管26と第1の呼気管コネクタ56との間の連結と同様に、吸気管22の第1の吸気管コネクタ58と第1の端部53との間の連結は、これらの間の分離を防ぐために、コネクタ58の上に吸気管22の第1の端部53を維持するように設計されている、ぴったりと合った永久的に固定された嵌め合わせである必要がある。さらに、吸気管22のカフスと、装置側コネクタ12および患者側コネクタ18との間の連結は、一般に、比較的に決定的であり、したがって、呼気管のカフスと、装置側コネクタ12および患者側コネクタ18との間の連結よりも強くなければ、可能な限り強くになるように設計する必要がある。
【0049】
なお、吸気管コネクタ58が、一般に、呼気管コネクタ56の端部を通過して外側に延出していることに気づくであろう。このような付加的な長さは、製造プロセスを容易にするために設けられており、吸気管22の第1の端部53を吸気管コネクタ58の第1の端部に取り付けることをさらに容易にしている。
【0050】
回路10の装置側において吸気および呼気のガスを混合することは一般に望ましくないので、ケーシング38の中において、呼気の流路70からの吸気の流路66の分離を維持することが重要である。この目的のために、ケーシング38は、呼気の流路70から吸気の流路66を分離していて異なるよう維持するように示されている。
【0051】
上記の機能を達成するフィルター・ケーシングの例は、キング・システムズ・コーポレイション(King Systems Corporation)により販売されていて、www.KingSystems.comにおいて説明されている、ユニバーサルF2(UNIVERSAL F2)(登録商標)同軸フィルター(Co-Axial Filter)に加えて、フクナガ(Fukunaga)の‘894号特許において示されているもの等のような、フィルターである。
【0052】
さらに、フィルター媒体72がケーシング38の内部に配置されている。このフィルター媒体72は、フィルター14を通過する、呼気のガスの全部と吸気のガスの全部とが、このフィルター媒体72を通過するように、設計されている。また、このフィルター媒体72は、病原体および他の微生物を捕捉して、これらの病原体や微生物がフィルター媒体72を通過することを阻止し、患者を発生源とする病原体や微生物による麻酔装置の汚染、あるいは、麻酔装置を発生源とする病原体や微生物による患者の汚染を防ぐように、設計されている。
【0053】
患者側コネクタ18は、顔面マスク(図示されていない)、または気管内管(endo-tracheal tube)(図示されていない)等のような気管用管(tracheal tube)を含む、患者用装置を受容するように設計されている患者用装置受容コネクタ78、を含んでいる。なお、顔面マスクおよび気管用管の例は、上記のwww.KingSystems.comにおいて見ることができる。患者用装置受容コネクタ78は、内側円筒形コネクタ部材80と、外側円筒形コネクタ部材82と、を含み、これらのコネクタ部材80,82はわずかな距離だけ空間的に分離されていて、円筒形のスロット84を形成している。この構成はさまざまな種類の患者用のコネクタ装置を受容するように設計されている。なお、上記の患者用装置受容コネクタ78の大きさおよび形状は、患者の安全性を確保して規格化を促進するために役立つように実施されているISO基準により、広く規定されている。
【0054】
上記の患者用装置受容コネクタ78は、内部に配置されているガス受容ポート86、を定めており、このポート86を通して、呼気および吸気の両方のガスが呼吸回路10と患者用の装置との間を通過できる。患者側コネクタ18はまた、第2(遠位側)の端部の呼気管受容コネクタ88も含んでおり、このコネクタ88は概ね円筒形の形態であり、呼気管26の第2の端部(カフス)89を受容するような大きさおよび形に作られている。呼気管受容コネクタ88は概ね円筒形の形態であるが、起立した半径方向に外側に延出している外周スパイク90を含んでおり、この外周スパイク90は相補的に形成されている外周スパイク受容リング91を受けるように設計されており、この受容リング91は呼気管の第2端部カフス89の中に形成されている。これらのスパイク90および受容リング91は相補的に構成されていて、スパイク90が受容リング91に係合して、呼気管の第2端部89を呼気管受容コネクタ88の上に係止して固定するために役立つようになっている。
【0055】
患者側コネクタは図1および図11〜図19に関連して最良に説明されている。次に、図17および図18において、患者側コネクタ18の患者用装置受容コネクタ78の二つの図が示されており、これらの図は患者側コネクタの患者用装置受容部分78の例示的な実施形態の患者用のコネクタにおける種々の部品、空間および隙間、を示している。
【0056】
図11において最良に示されているように、半径方向に外側に延出している外周係止リングが備えられており、この外周係止リングは呼気管受容コネクタ88の表面の上方に半径方向に外側に延出している。この係止リング95は呼気管受容コネクタ88における呼気管コネクタの不必要な軸線方向の移動を阻止するために役立つ。
【0057】
患者側コネクタ18の管受容部分はまた、吸気管受容コネクタ96も含んでおり、この吸気管受容コネクタ96は、一般に、遠位側端部98および近位側端部100を有する円筒形の管、を構成している。この吸気管受容コネクタ96は、一般に、管状で、円筒形に作られていて、半径方向に内側に向いている表面部分102を含んでおり、この表面部分102は、その遠位側端部98において、吸気管受容コネクタ96の中空の内部通路104からの吸気のガスの流出をさらに助長するために、斜めのカットアウト部分103まで伸びている。
【0058】
図13および図14において最良に示されているように、吸気管受容コネクタ96の遠位側端部は、軸線方向に外側に向いていて半径方向に延出している壁部材101、の一部として形成されていて、その壁部材101に連結されている。このような一体の構成/連結は、吸気管受容コネクタ96を患者側コネクタ18の残りの部分に、固定して連結している。
【0059】
図14に示されている寸法から、吸気管受容コネクタ96は患者側コネクタ18の中心から半径方向にずれていることに、当然に気づくであろう。すなわち、図14において示されているように、吸気管受容コネクタ96の中心は、患者側コネクタ18の中心軸から、好ましくは、概ね約0.2〜0.3cm(約0.08〜0.12インチ)だけずれており、最適には、約0.27cm(約0.106インチ)だけずれている。このような吸気管受容コネクタ96のずれた連結は、吸気管22の第2の端部110を、患者側コネクタ18の近くの領域内において呼気管26に対して概ね非同軸にしているが、この吸気管22は、概ね同軸の関係で、呼気管26の内部に依然として収容されている。
【0060】
本出願人は、上記のずれた連結が、図面において示されている種類の患者側コネクタ18と共に用いられる場合に、価値があることが分かっており、この理由は、このような連結が、より開けていて、より抵抗を少なくする呼気の流路を、この呼気の流路が吸気管受容コネクタ96の近くにおいて始まっている領域107(図14)の中に、与えるからである。また、このようなずれた構成は、比較的に従来の中心に置かれている構成よりも、良好な流れの特性を示すことが分かっている。
【0061】
吸気管受容コネクタ96は、半径方向に内側に向いている表面部分102、を含んでおり、この表面部分102は中空の内部通路104を定めており、この内部通路104は呼吸回路10の吸気管通路の遠位側に最も遠い端部を構成している。半径方向に外側に向いている表面部分106は吸気管の第2(遠位側)の端部110の半径方向に内側に向いている表面部分108により受容されるように設けられている。呼気管に関連して論じられているように、吸気管の第2の端部(カフス)110における半径方向に内側に向いている表面部分108と吸気管受容コネクタ96の半径方向に外側に向いている表面部分106との間の連結は、極めてぴったりと合っていて、極めて確実であり、さらに、その吸気管の第2の端部110と吸気管受容コネクタ96との間に分離が生じないことを確実にするために、実質的に永久的に固定された連結、である必要がある。
【0062】
上記の装置側および患者側のコネクタからの吸気管の分離の阻止に役立つためのさらに別の手段として、吸気管は呼気管よりもいくらか長くなるような大きさに作られているのが好ましい。好ましくは、この吸気管は、標準の112〜224cm(44〜88インチ)の上述の種類の管において、呼気管よりも2.54〜17.8cm(1〜7インチ)だけ長くする必要がある。最適には、吸気管22の完全に伸張された長さは、呼気管26の完全に伸張された長さよりも、およそ10.2cm(4インチ)だけ長い。
【0063】
上記のような付加的な長さは、呼気管26がその最も完全に伸張された位置まで引っ張られる時に、吸気管22が依然として伸びる余裕を持っていること、を確実にすることにより、分離を阻止するために役立つ。さらに、この付加的な伸びる余裕は、吸気管に分離を誘発させる応力が加わることを防ぐために役立ち、これにより患者側または装置側のコネクタのいずれからの吸気管22の分離の可能性も減少させることができる。
【0064】
なお、患者側コネクタ18の種々の部品および構成要素の間の寸法の関係をさらに良く認識するために、図11〜図19について参照されたい(これらの図はインチで表現されている)。
【0065】
次に、図1〜図9、および図27および図28を参照して、吸気管22および呼気管26をさらに詳細に説明する。
【0066】
上述のように、吸気管および呼気管は、それぞれ、つぶすことのできる、複数の静止長を有する波型の管であるので、それぞれの吸気管および呼気管は、完全に圧縮された位置から、完全に伸張された位置まで、移動できる。重要なことは、これらの吸気管および呼気管は、それぞれの完全に伸張された位置と完全に圧縮された位置との間で、複数の長さにおいて、維持可能な静止長を達成するために、選択的に伸張して圧縮することができる。
【0067】
図27において、第1の呼吸回路114、第2の呼吸回路116および第3の呼吸回路118、を含む、3種類の呼吸回路が示されている。これらの装置は、それぞれ、同等の長さの吸気管および呼気管を有しているが、これらの合計の全体の長さは、それぞれの異なる圧縮の状態により、異なっている。なお、これら3種類の呼吸回路114,116,118が、患者側コネクタ115と、装置側コネクタ113,117と、を含んでいることに気づくであろう。この点に関して、第2および第3の呼吸回路116および118の装置側コネクタ113は、図1において示されているフィルター14に類似しているフィルター、を有しているが、第1の呼吸回路における装置側コネクタ117は非フィルター支持式の装置側部分を有している。
【0068】
これらの装置側部分113,117の間に違いにもかかわらず、吸気管および呼気管は同一の長さを有するように概ね構成されている。第1の呼吸回路114は、そのほとんど完全に圧縮された位置において、概略的に示されている。このようなほとんど完全に圧縮された位置にある時に、この第1の呼吸回路の長さ114Lは第2の呼吸回路116の長さ116Lよりも著しく短い。さらに、この第2の呼吸回路の長さ116Lは第3の呼吸回路の長さ118Lよりも著しく短い。
【0069】
第3の呼吸回路は、そのひだのほとんどが全てそれぞれの伸張された位置にある状態により生じる、比較的に長い長さ118L、を有している。これに対して、第1の呼吸回路114Lにより達成されている比較的に短い長さは、吸気管および呼気管のひだのほとんどが圧縮された位置にある状態により生じている。さらに、第2の呼吸回路の中間域の長さ116Lは、最も短い呼吸回路114に比較した場合における、第2の呼吸回路116の比較的に大きな割合のひだがそれぞれの伸張された位置にある状態と、さらに、短縮された呼吸回路114に比較した場合における、第2の呼吸回路116の比較的に小さな割合のひだがそれぞれの圧縮された位置にある状態と、により達成されている。
【0070】
図27の目的は、本発明の呼吸回路が、大多数のひだがそれぞれの圧縮された位置に配置されている状態により達成されている第1の呼吸回路114の比較的に短い位置から、ほとんど全てのひだがそれぞれの伸張された位置に配置されている、第3の呼吸回路118の比較的に長い長さまで変わる、多数の静止位置において維持可能であること、を示すことである。
【0071】
好ましくは、上記の装置は、その完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間の長さの差が、3よりも大きい係数、好ましくは4、だけ、変化できるように、設計されているので、この呼吸回路がその完全に伸張された位置にある時に、その完全に圧縮された位置にある時のその呼吸回路の長さよりも、およそ3〜4倍だけ長くなる。
【0072】
次に、図2〜図4に戻り、吸気管22および呼気管26のそれぞれは、ひだ120,122等のような、複数の概ね同一のひだにより構成されている。便宜上、一つのひだは、隣接している最下点126の間に延在している管の部分として、本出願において示されている。これらのひだのそれぞれは、ピーク点124と、ピーク点124の一方の側に配置されている第1の足部128と、ピーク点124の別の側に配置されている第2の足部130と、を有している。これらの第1および第2の足部は、それぞれ、最下点126まで伸びており、本出願における定義の目的においては、単一のひだ、またはひだの部分を定めている。
【0073】
次に、図6〜図8において、金型ブロック150が、図示されているような波形の呼気管を作成するために、用いられている。この管を作成する方法は、一般に、その管がまず押出成形されてから、波形にされることを示すために、押出ひだ成形法として呼ばれている。
【0074】
呼気管は、最も好ましいと考えられる実施形態において、およそ25mmの一定の直径を有する概ね平滑な管を最初に押出成形することにより製造される。この結果、平滑な管が押出成形装置から抜け出ると、その管は、一般に、一定の直径の、平滑な壁部、を有する。さらに、この押出成形装置から抜け出たすぐ後に、そのプラスチック材料がその成形温度よりも低く冷却される前に、金型ブロック150等のような、一連のひだの形状を含む金型ブロックを、上記の呼気管の外表面部に係合させることにより、その呼気管にひだを形成する。この工程の間に、高圧の空気が呼気管の内部に押し込められて、その呼気管の平滑な壁部を、波形の金型ブロックに対して、半径方向に外側に押し出す。例示的な波形の金型ブロック150が図面において示されており、管がその金型ブロックの形状に概ね一致するので、それぞれのひだが形成される様式を理解するために有用である。
【0075】
金型ブロック150を考慮する際に、これらの金型ブロックは管の外表面部に係合していることを覚えておくことが重要である。したがって、この金型ブロックの最下点になると思われる点(例えば、図7の点224)は、この点224が仕上げされた呼気管のピーク点124の形状を定めるので、実際にはピーク点224になる。同様に、この金型ブロック(図7)の最下点226は、仕上げされた呼気管の最下点126の形状、を定める。また、第1の足部228は呼気管の第1の足部128を定め、第2の足部230は呼気管の第2の足部130を定める(図4)。
【0076】
図7において最良に示されているように、金型ブロック150の最下点226は、呼気管のまるみのある最下点130を形成するために、まるみが付けられている。また、するどい角部231が連結部分に配置されており、この場所において、最下点226は第1の足部228に接合する。
【0077】
本明細書において記載されている呼気管の構成および形状は、この呼気管に、そのつぶれる能力と、その伸張された位置と圧縮された位置との間において静止長を維持するその能力と、を与えるために役立っている。この点に関して、最下点226において成形ブロックにより形成される丸みを付けた最下点は、その管に、圧縮された位置と伸張された位置との間で移動する時に、複数の微視的な割れ目を含ませる。これらの、呼気管のプラスチック材料における、微視的な割れ目は、要望に応じて、それぞれの伸張された、さらに/または、圧縮された、位置において、ひだを維持するために役立つ。使用時に、それぞれのひだ、例えば、120,122(図4)は、一般に、二つの静止位置を維持でき、これらの静止位置の一方は完全に伸張された位置になり、他方は完全に圧縮された位置になる。一般論として、個々のひだは、それぞれの圧縮された位置と伸張された位置との間の各点において、静止位置を維持することはない。
【0078】
一方、全体的なスケールにおける2個のひだを考慮すると、上記の管により達成できる複数の静止位置は、主として、それぞれの伸張された位置と圧縮された位置とに配置されている特定の個々のひだの数の関数になる。例えば、上記の管が完全に伸ばされている時に、ひだの大部分(全てではないかもしれないが)、例えば、120,122、はそれぞれの伸張されている位置に配置されている。一方、その管が完全に圧縮された位置にある時には、ひだの大部分(全てではないかもしれないが)、例えば、120,122、はそれぞれの圧縮されている位置に配置されている。
【0079】
さらに、上記の管がその完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間の中間の長さである場合には、個々のひだ、例えば、120,122、の一部はそれぞれの伸張されている位置に配置されており、他のひだはそれぞれの比較的に圧縮されている位置に配置されている。
【0080】
図27および図21において最良に示されているように、管のセグメントのある部分が圧縮された位置に配置されている時に、それぞれの異なる第1および第2の足部128,130は互いにほとんど平行に配置されている。一方、それぞれの伸張された位置に配置されている、セグメント152等のような、任意のひだのセグメントにおいては、第1および第2の足部128,130は互いにおよそ90度の角度で配置されている。
【0081】
この点に関して、読者は特に図8を注意されたく、この図は、伸張されている位置にある時に、管の第1の足部128を形成する金型の第1の足部228は、呼気管の軸線に対して概ね垂直に延在する平面から、約40.1度の角度で配置されていること、を示している。同様に、呼気管の第2の足部130を形成する金型の第2の足部230は、呼気管の軸線に対して垂直に配置される平面に対して、約46.6度の角度で、配置されている。また、圧縮性の制御も、金型ブロックの第1の足部228および第2の足部230、したがって、仕上げされた呼気管の第1の足部128および第2の足部130、が、呼気管26の軸線に対して垂直の上述されている仮定の平面に対して、それぞれ、異なる角度で配置されているという事実により、助長される。
【0082】
一方、吸気管は、ひだ131,132等のような、複数の個々のひだ、を含む限りにおいて、呼気管26と概ね同様に構成されているものとして、図4において最良に示されている。それぞれのひだ131,132は、ピーク部分140と、最下部分138と、第1の足部146と、第2の足部148と、を含んでおり、これらの足部146および148はピーク部分140と最下部分138との間に延在している。また、呼気管26と同様に、吸気管22の第1および第2の足部146,148は同一ではなく、むしろ、わずかに異なっている。吸気管22はまた、呼気管26と同様に、押出成形、および、その後のひだをつける処理、により、形成される。吸気管22を製造するために使用可能であると考えられる種類の、例示的な金型ブロックが、図9および図10において最良に示されている。
【0083】
吸気管のために用いられる金型ブロック161を考慮すると、この金型ブロック161は吸気管22の外表面部に係合し、これにより、ピーク点140を形成するそのブロック161の各部分は最下点238として見えるが、本明細書においては、ピーク点238と呼ばれていること、を覚えておくことが重要である。同様に、ピーク点として見える各点288は、実際には最下点138を形成しており、さらに、この金型ブロックにおいて最下点として見える各点は、実際にはピーク点240になり、これらの点は吸気管の各ピーク点140を形成している。
【0084】
金型ブロック161の全体的な形状、およびこれにより形成される吸気管は、最下点238が、概して、丸みを付けられており、最下点238と第1の足部244との交点において鋭い角部239を形成していて、この角部239が吸気管において対応する位置に鋭い角部を形成する点において、上記の金型ブロック150および呼気管26に概ね類似している。
【0085】
なお、第2の足部246の角度および第1の足部244の角度が呼気管26の中において用いられている角度とはわずかに異なっていることに、注意する必要がある。すなわち、第2の足部246は吸気管22の軸線に対して垂直に配置される平面から、約49.6度の角度で、配置されていることが最も良く、第1の足部は吸気管22の軸に対して概ね垂直に配置される平面から、約40.1度の角度で、配置されていること、が分かっている。また、吸気管内の第1および第2の足部244,246の間の、ピーク点において形成される角度は、呼気管26の中において用いられている角度よりも大きい。これらの違いは本出願人による相当数の実験の後に想到されており、吸気管22と呼気管26との間の大きさの違いにより大きく異なる。
【0086】
上述のように、吸気管22と呼気管26との間の相対的な寸法を決めることは、本出願人にとって、達成することが、困難な技術課題であることを立証している。しかしながら、適当な寸法を達成するためには、本出願人は、図面において最下点130として示されている、呼気管の半径方向において最も内側の点と、図面においてピーク点140として示されている、吸気管22の半径方向において最も外側の点との間における呼気の通路34が十分になることを確実にすることにより、その呼気の通路34が十分に大きくなって、呼気のガスが最小限の抵抗を伴ってその通路34を通して流れることを可能にすることが重要である、と考えている。この点に関して、呼吸回路の流れの抵抗は、60L/分の流れにおいて、その回路を通過する圧力降下が5cm以下の水(no more than 5 cm of water)になるように、する必要がある。一方、寸法の差を過度に大きくする必要はなく、この理由は、吸気管22の外表面部と呼気管26の内表面部との間の隙間が過度に大きくなると、吸気管22の伸縮が困難になるからである。
【0087】
図3において示されているように、本出願人は、約0.68cm(約0.269インチ)の幅を有するドーナッツ形状の呼気の通路を形成するために、吸気管22のための最適な最大の外径寸法は2.05cm(0.807インチ)であり、呼気管26の最小限の内径の最適な最小限の内径寸法は2.73cm(1.076インチ)であることが分かっている。もちろん、それぞれの管22,26の柔軟な性質が、これらの吸気管22および呼気管26の長さに沿ってこれらの吸気管および呼気管の相対的な位置を変えるので、上記の0.68cm(0.269インチ)の直径が、吸気管22および呼気管26の全長に沿って、常に、全ての場所において、維持されるとは限らないということが認められるであろう。それでも、上記の隙間は呼気管26と吸気管22との間における平均の隙間の距離を表現している。
【0088】
以下において認められるように、呼気管および吸気管の随意的な寸法を決めることを考慮する別の方法は、吸気(内側)管の平均の外径(「MODIT」)(この場合に、2.05cm(0.807インチ))の、呼気(外側)管の平均の内径(「MIDET」)(この場合に、2.73cm(1.076インチ))に対する、比率を約0.75にすることである。なお、この約0.75のMODIT/MIDETの比率は最適であるが、本出願人は約0.65〜0.85の範囲内のMODIT/MIDETの比率も、一般に、許容可能に使えることが分かっている。
【0089】
また、上記のMIDETとMODITとの間の差は約0.69cm(約0.27インチ)であるのが最適であり、約0.63〜0.74cm(約0.25〜0.29インチ)の範囲内であることが好ましいと考えられることも気づくであろう。また、さらに好ましい範囲は約0.66〜0.72cm(約0.26〜0.28インチ)であると考えられる。
【0090】
別の実施形態の患者側コネクタ300が図22〜図26において示されている。この患者側コネクタ300は、患者用装置受容部分302と、管受容部分304と、を備えている。この患者用装置受容部分は図11において示されている最初の実施形態の患者側コネクタ18における患者用装置受容部分と概ね同様に構成されており、内側円筒形コネクタ部材308と、外側円筒形コネクタ部材310とを含んでおり、これらの部材308,310は、これらの間に、円筒形のスロット312を定める距離だけ分離されている。また、ガス受容ポート314が、内部の円筒形のコネクタ部材308の半径方向に内側に向いている表面部分により定められている。
【0091】
上記の管受容部分304は、呼気管26の半径方向に内側に向いている表面部分318(図25)により、ぴったり合って固定されて受容されるための、半径方向に外側に向いている表面部分316、を含んでいる。さらに、半径方向に外側に延出している外周スパイク320が、上記の半径方向に外側に向いている表面部分316に形成されていて、呼気管26を患者側コネクタ300の上にぴったりと固定して保持するために、呼気管26の受容リング321に嵌まり合うように、寸法決めおよび位置決めされている。
【0092】
吸気管受容コネクタ324も備えられている。この吸気管受容コネクタ324は、図11において示されている患者側コネクタ18の対応している吸気管受容コネクタとは、いくらか異なって構成されている。一例の主な違いは、患者側コネクタ300の吸気管受容コネクタ324はその患者側コネクタ300の残りの部分に対して相対的に同軸に配置されていること、である。
【0093】
吸気管受容コネクタ324は、患者側コネクタ300の患者用装置受容部分302に対して、一体に形成されていて、取り付けられている、遠位側端部326、を含んでいる。吸気管受容コネクタ324はまた、比較的に大きな直径の、半径方向に外側に延出している端部リップ329、を含むことのできる近位側端部328、も有している。スパイク320と同様に、リップ329は吸気管コネクタ324の上に吸気管を固定して保持するために役立つ。さらに、吸気管受容コネクタ324は、吸気管22の遠位側端部331の半径方向に内側に向いている表面部分333により、ぴったり係合して、受容されるための、半径方向に外側に向いている表面部分330、を含んでいる。この吸気管コネクタ部分はまた、吸気ガス通路334を定めている半径方向に内側に向いている表面部分332、も含んでいる。
【0094】
上記の患者側コネクタ300と患者側コネクタ18(図11)との間の重要な違いは、吸気管コネクタ324の遠位側端部326に隣接して配置されている孔336の存在である。これらの孔336は、ガス・ポート通路314と呼気通路334との間に、ガスが流れることを可能にしている。主に、これらの孔336を通って移動するガスは、吐き出されている呼気のガスを含む。このガスは、矢印Jにより概略的に示されている方向に、患者側コネクタの中を移動してから、矢印K(図25)に沿って外側に移動し、呼気ガス通路34の中に入り、最終的に麻酔装置に戻る。また、これらの孔336は、各図面において示されているように、これらの孔336を通り呼気ガス通路334の中に入る呼気のガスの比較的に小さい抵抗の流れに適合するような、大きさに作る必要がある。
【0095】
別の実施形態の呼吸回路400が図30において示されている。この呼吸回路400は、ユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)型の呼吸回路等のように、呼吸回路の有効長を伸張するように使用できる種類の延長型呼吸回路、を構成している。
【0096】
例えば、この延長型呼吸回路400は、図1において示されている呼吸回路10に関連して使用可能であり、これら2個の呼吸回路は端部対端部式の関係で配置された状態になり、この場合に、延長型呼吸回路400におけるオス形(患者側)のコネクタ406は呼吸回路10におけるメス形のコネクタ40に連結される。この延長型呼吸回路400は、空間やその他の考慮点が、製造者により製造されているか病院により保管されている、呼吸回路10の長さ(完全に伸張されている場合でも)よりも長い呼吸回路、を必要とする状況において、有用である。
【0097】
この延長型呼吸回路400は、呼吸回路10に連結されているオス形(患者端側)コネクタ406と、それ自体で麻酔装置に連結される近位側端部の患者側(遠位端側)を受容するように設計されているメス形(装置端側)のコネクタ408と、を含んでいる可変の静止長の呼吸回路、を構成している。すなわち、この呼吸回路400は、この回路を貫通している呼気通路411を定めている可変の静止長の呼気管410と、内部に吸気通路414を定めている可変の静止長の吸気管412と、を含んでいる。
【0098】
構造および構成において、上記の呼気管410および吸気管412は、図1における実施形態に関連して示されている呼気管26および吸気管22に、それぞれ、概ね類似している。これらの吸気管412および呼気管410は共に可変の静止長を有するように構成されているので、回路400の全体の静止長も、図30の右側において示されているような、比較的に圧縮されている位置から、図30の左側において示されているような、比較的に伸張されている位置まで、可変である。また、呼気管410および吸気管412の内径および外径の相対的な大きさ、および、これらの呼気管410および吸気管412の寸法決めおよび構成において採用される考慮点も、それぞれ、図1において示されている呼吸回路10に関連して上述されているのと同じ考慮点、寸法決めおよび構成と、概ね同様である。
【0099】
メス形(装置側)コネクタ408は呼気ポート・カップラー416および吸気ポート・カップラー417を含んでおり、これらのカップラー416,417はこれらの間に呼気通路418を定めている。一方、吸気管412の吸気通路414に流体を介して連通している吸気通路420は、吸気ポート・カップラー417の内部により定められている。同様に、呼気通路418は呼気ポート・カップラー416に流体を介して連通している。
【0100】
呼気ポート・カップラー416は比較的に拡大された直径の近位側端部の呼気ポート受容部分を含んでおり、この呼気ポート受容部分は、フクナガ(Fukunaga)の米国特許第5,778,872号において記載されている種類の、近位側端部における呼気ポート連結部分、を内部に受容するように、寸法決めおよび構成されている。この呼気ポート・カップラー416はまた、呼気管410の装置側に配置されているカフス430を外部において受けるための、比較的に減少された直径の呼気管受容部分428、も含んでいる。上記のオス形(患者側)コネクタ406は、図1において示されている呼吸回路10等のような、呼吸回路の装置端側カップラーに連結されるように、寸法決めおよび構成されている。
【0101】
上記の患者端側または遠位側のコネクタ406は、回路10の遠位端側により内部において受容されるための回路係合部分444と、比較的に減少された直径の呼気受容部分446と、を有している呼気ポート・カップラー442、を含んでおり、上記の呼気受容部分446は、呼気管410の遠位端側カフス448により受容されるように、寸法決めおよび構成されている。吸気ポート・コネクタ450は回路係合部分452を含んでおり、この回路係合部分452は回路10の吸気管コネクタの中に受容されるように設計されている。この吸気ポート・コネクタ450も吸気管受容部分454を含んでおり、この吸気管受容部分454は、吸気管412の遠位側端部に配置されているカフス455を受容するように、設計されている。
【0102】
上記の呼気ポート・カップラー442と吸気ポート・カップラー450との間に、これらのカップラーの呼気通路456が定められており、呼気通路411に対して流体を介して連通している。同様に、吸気通路458が吸気ポート・カップラー450の内部により定められていて、吸気管412の吸気通路414に対して流体を介して連通している。
【0103】
上述の別の回路と同様に、回路400は、圧縮された位置と伸張された位置との間において、移動可能であり、吸気管410および呼気管412の、可変の静止長を有する性能により、多様な異なる静止長のいずれかを採ることができる。この場合に、回路400の吸気管412の両端部438,455は、好ましくは、それぞれの呼気カップラー408,406の中において中心に置かれていることに注目するべきである。すなわち、図1の回路10の患者側に関連して示されている構成等のような、半径方向にずれている取り付けは必要とされていない。むしろ、吸気管は、その両方の近位側端部(proximal terminal)と回路10の近位側の端部(proximal end)との嵌め合わせを容易にするために、中心に置かれている必要がある。
【0104】
図31は第2の別の実施形態の呼吸回路500を示しており、この呼吸回路500は、レアグレ(Leagre)およびバロー(Barrow)の米国特許第5,404,873号において開示されている呼吸回路の装置側部分と概ね類似している装置側部分502と、本発明における、図1において示されている患者側部分18に概ね類似している患者側部分504と、を含んでいる。これらの装置側部分502および患者側部分504は、本発明の、可変の静止長の呼気管508と可変の静止長の吸気管510と共に、使用される。
【0105】
呼気管508および吸気管510は、図1において示されている呼気管26および吸気管22と、それぞれ、概ね同様に構成されている。これらの呼気管508および吸気管510は共に、複数のプリーツを含むアコーデオン型の管を構成しており、この場合に、それぞれのプリーツは、伸張された位置(装置側部分502の近くにおいて示されているような位置)と、圧縮された位置(患者側部分504の近くのような位置)との間において、移動可能である。
【0106】
装置側部分502は、吸気コネクタ520と呼気コネクタ522とを有するケーシング518、を含んでいる。この吸気コネクタ520は拡大された直径の装置受容コネクタ部材526を含んでおり、この装置受容コネクタ部材526は、麻酔装置の適当なポートまたは二酸化炭素吸収装置等のような麻酔装置に対する付属部品に連結されるように、寸法決めおよび構成されている。吸気コネクタ520はまた、吸気管510のカフス530を外部において受けるように寸法決めおよび構成されている、減少された直径の吸気管受容部分528、も含んでいる。この吸気コネクタ520は、吸気管510の吸気通路514に対して、そのコネクタ520の外部において連結する吸気通路532、を定めている。
【0107】
呼気ポート・コネクタ522は、吸気コネクタ520から分離していて、当該吸気コネクタ520の軸線に対して概ね非同軸であるように、示されている。この呼気ポート・コネクタ522は、ホースに連結されるように寸法決めおよび構成されているホース受容部分536により定められている呼気ポート535、を含んでおり、このホースは、麻酔装置における適当なポートに、呼気ポート535を、流体を介して連結している。この呼気ポートを麻酔装置に連結している管(図示されていない)は、好ましくは、麻酔装置における適当なポートに容易に連結可能になるように、十分な長さを有していて、十分に柔軟である。なお、上記のコネクタが吸気および呼気の流路を分離した状態に維持するように設計されていることに気づくであろうし、このことはレアグレ(Leagre)の‘873号特許においてさらに詳細に論じられている。
【0108】
患者側コネクタ504は、上述のように、図1において示されている患者側コネクタ18と、概ね同様であり、気管内管または顔面マスク等のような、患者用装置が連結可能である患者用装置受容コネクタ548、を含んでいる。この患者用装置受容コネクタ548は、顔面マスクを適当に受容するための、内側円筒形コネクタ550と、外側円筒形コネクタ552と、を含んでいる。呼気管受容部分554は、呼気管508の遠位端側カフス556を外部において受けるように、寸法決めおよび構成されている。さらに、患者用装置受容コネクタ548はガス・ポート555を定めており、このガス・ポート555を通して、吸気および呼気の両方のガスが流れる。
【0109】
半径方向にずれている吸気管の末端部分558は、図1の吸気管コネクタ96と、ほとんど同じ様式で、同じ理由により、中心から半径方向にずれている。この半径方向にずれている吸気管の末端部分558は、吸気管510の遠位端側に配置されているカフス560を外部において受けるように寸法決めおよび構成されている、近位側に配置された部分、を含んでいる。この吸気管の末端部分の半径方向にずれている状態は、吸気管510および呼気管508がそれぞれの伸張されている位置にある時と、これらがそれぞれの緩和されている位置にある時の両方において、患者により吐き出される呼気のガスが呼気通路512の中に入ることを可能にするために、患者側コネクタ548の近くの領域内に、比較的に開けた、比較的に低い抵抗性を有する通路、を与えている。
【0110】
本発明を、その好ましい実施形態に関連して、詳細に説明したが、上記の本発明が本明細書における記述により限定されず、むしろ、本明細書に添付されている特許請求の範囲の各請求項によってのみ限定されることが理解されるであろう。
【0111】
〔実施の態様〕
(1)単肢型呼吸回路において、
近位端側連結部材と、
遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記吸気管の長さは、前記呼気管の長さよりも長い、単肢型呼吸回路。
(2)実施態様1に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管および前記呼気管の各々が完全に伸張された位置にある時に、前記吸気管の長さは、2.5〜17.8cm(1〜7インチ)の間にある、単肢型呼吸回路。
(3)実施態様1に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管の長さは、前記呼気管の長さよりも、7.62〜12.7cm(3〜5インチ)だけ長い、単肢型呼吸回路。
(4)単肢型呼吸回路において、
軸線を有する近位端側連結部材と、
軸線を有する遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記遠位端側連結部材は、前記吸気管を受容するための軸線を含む末端部分を含み、当該末端部分の軸線は、前記遠位端側連結部材の軸線から半径方向にずれている、
単肢型呼吸回路。
(5)単肢型呼吸回路において、
近位端側連結部材と、
遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部、内径、および外径を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、波形の呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部、内径、および外径を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、前記吸気管と前記呼気管との間の流れの抵抗を最小限にし、前記吸気管および前記呼気管の概ね線形の圧縮性および伸縮性を助長するような大きさに決められている、
単肢型呼吸回路。
【0112】
(6)実施態様5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼吸回路の流れの抵抗は、60L/分の流れにおいて、前記回路を通過する圧力降下が5cmの水以下である、単肢型呼吸回路。
(7)実施態様5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、0.65〜0.85である、単肢型呼吸回路。
(8)実施態様7に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、0.70〜0.80である、単肢型呼吸回路。
(9)実施態様5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、ほぼ0.75である、単肢型呼吸回路。
(10)実施態様7に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管の外径と前記呼気管の内径との間の大きさの違いは、0.63〜0.74cm(0.25〜0.29インチ)の間にある、単肢型呼吸回路。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の側断面図であり、伸張されている形態における、本発明の呼吸回路の一部分と、圧縮されている形態における、本発明の別の部分と、を示している。
【図2】本発明の、吸気管および呼気管の一部分の、断面の斜視図である。
【図3】端部の連結部分が除去されている、本発明の、吸気管および呼気管の、端面図である。
【図4】図3の線4−4に概ね沿う断面図である。
【図5】本発明の呼気管が製造される様式を例示するための、2個の連結されている、本発明の呼気管の、平面図である。
【図6】本発明の呼気管を構成するために用いられる金型ブロックの呼気管係合面の平面図である。
【図7】図6の金型ブロックの呼気管係合面の大幅に拡大されている部分図である。
【図8】本発明の呼吸回路における呼気管を製造するために用いられる金型ブロックの呼気管係合面の(図6に対して)拡大図である。
【図9】本発明の吸気管の製造において用いられる金型ブロックの平面図であり、この金型の吸気管係合面を示している。
【図10】本発明の吸気管を作成するために用いられる金型ブロックの吸気管係合面の一部分の大幅に拡大されている図である。
【図11】本発明の呼吸回路の患者側コネクタの斜視図である。
【図12】本発明の患者側コネクタの上面図である。
【図13】本発明の患者側コネクタの側面図であり、内側の表面を仮想線で示している。
【図14】図12の線14−14に概ね沿う断面図である。
【図15】図13の線15−15に概ね沿う断面図である。
【図16】図13の線16−16に概ね沿う断面図である。
【図17】本発明の患者側コネクタのマスク/気管内管の連結器の大幅に拡大されている部分破断図である。
【図18】本発明の患者側コネクタの患者側の端面図である。
【図19】本発明の患者側コネクタの吸気管および呼気管の受容部分の大幅に拡大されている断面図である。
【図20】本発明の患者側コネクタの端面図であり、患者側コネクタの管受容端部から見た図を概略的に示している。
【図21】患者側コネクタの呼気管把持用スパイクの寸法決めを示している、概略図である。
【図22】本発明の別の実施形態の患者側コネクタの斜視図である。
【図23】図22において示されている患者側コネクタの管受容部分から示されている場合の、本発明の患者側コネクタの端面図である。
【図24】別の実施形態の患者側コネクタの上面図であり、内表面部を仮想線で示している。
【図25】図24の線a−aに概ね沿う断面図である。
【図26】図25において示されているものと類似の位置における、図22の別の実施形態の患者側コネクタを示している、平面図であり、内表面部が仮想線で示されている。
【図27】本発明の呼吸回路の3種類のサンプルの写真図であり、回路の長さの可変性を示すために、異なっている圧縮の状態における、3種類の回路を示している。
【図28】本発明の呼気管のひだの図である。
【図29】本発明の患者側コネクタの側面図である。
【図30】延長回路型の呼吸回路の中に用いられている、本発明を示している第2の別の実施形態の呼吸回路の側断面図である。
【図31】分離されている非同軸の装置側の吸気および呼気のポートを有している、呼吸回路の中に用いられている、本発明を示している第3の別の実施形態の呼吸回路の側断面図である。
【開示の内容】
【0001】
〔優先権主張〕
本出願は、2004年1月9日に出願されている、米国仮特許出願第60/535,235号に基く恩典を主張している。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は呼吸および麻酔の装置に関連しており、特に、呼吸の管理または麻酔の環境において使用するための呼吸回路に関連している。
【0003】
〔発明の背景〕
手術中に患者に麻酔を施すために、複数の部品を含んでいる麻酔システムが用いられている。この中で、主要な部品は麻酔装置であり、この装置は患者との間の麻酔のガスおよび空気の流れを調節する。また、再呼吸回路内において患者の呼気から二酸化炭素を除去するために、二酸化炭素吸収装置を上記の麻酔装置に取り付けることもできる。
【0004】
患者の側においては、患者にガスを送達するためにその患者に連結できる顔面マスクまたは気管内管が備えられる。このような顔面マスクの例は、譲受人のウェブ・サイトであるwww.KingsSystems.comか、または、ヒンクル(Hinkle)の米国特許第4,896,666号において、見ることができる。また、気管内管(tracheal tubes)の例は、フラッセ(Frasse)の米国特許第5,449,625号、およびバートラム(Bertram)の米国特許第5,819,733号において開示されている。これらの患者連結型の装置(すなわち、顔面マスクおよび/または気管内管)は、その患者連結型の装置と麻酔装置との間に延在する呼吸回路を介して、流体(ガス体)により連通している麻酔装置、に連結されている。
【0005】
いくつかの異なる種類の呼吸回路が存在している。二つの主な種類の呼吸回路は、二肢型回路および単肢型回路、である。
【0006】
二肢型回路は、麻酔装置から患者にガスを送達するための吸気管と、患者から麻酔装置に吐き出されたガスを送達する呼気管と、を有している一対の分離された管、を備えている。このような二肢型回路において、上記の二種類の管は分離された管を構成しており、これらの管は、患者の側において、一般的に、「Y」字形または「T」字形の管により、一緒に、流体を介して連結されている。一方、単肢型回路の各管の装置側は分離していて、吸気管の装置側は麻酔装置の「流出」ポートに連結されており、呼気管の装置側は麻酔装置の「流入」ポートに連結されている。例えば、二肢型回路の概略的な表現の例は、フクナガ(Fukunaga)他の、米国特許出願公開第2003/0183232A1号(2003年10月2日)の図1cにおいて見ることができる。
【0007】
第2の種類の回路は単肢型回路であり、この場合に、吸気管は一緒に接合されている。このような単肢型呼吸回路の例は、レアグレ(Leagre)他の米国特許第5,404,873号、フクナガ(Fukunaga)の米国特許第4,265,235号、およびフクナガ(Fukunaga)他の米国特許第5,778,872号、同5,983,891号、同5,983,894号、同5,983,896号、同6,003,511号、同6,564,799号、フクナガ(Fukunaga)他の米国特許出願公開第2003/0075176号および同US2003/0183231号、およびシコラ(Sikora)の米国特許第5,121,746号、において開示されている。
【0008】
上記レアグレ(Leagre)の‘873号特許において開示されているように、単肢型回路は、一般的に、比較的に剛性の装置端側(近位側)のコネクタであって、これを通して、上記回路が麻酔装置に連結される装置側コネクタと、比較的に剛性の患者端側(遠位側)のコネクタであって、呼吸回路を患者に連結させるために、顔面マスクまたは気管内管に連結できる、患者側コネクタと、を含んでいる。さらに、比較的に柔軟な呼気管が、上記の患者端側コネクタと装置端側コネクタとの間に、延在している。また、比較的に柔軟な吸気管が呼気管と同軸に配置されている。吸気のガスを暖めるように、さらに良好な熱交換を助長するために、吸気管は、一般的に、比較的に大きな直径の呼気管よりも、小さい直径を有していて、この吸気管は呼気管の内側に存在できるようになっている。このような、レアグレ(Leagre)他の‘873号特許において開示されている、呼吸回路は、本特許出願の譲受人である、キング・システムズ・コーポレイション(KING SYSTEMS CORPORATION)により、ユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)呼吸回路の商品名で、市場において販売されている。
【0009】
さらに、本発明の譲受人である、キング・システムズ・コーポレイション(KING SYSTEMS CORPORATION)により販売されている別の呼吸回路が、上述の、フクナガ(Fukunaga)他の‘872号特許、同‘894号特許、同‘896号特許、同‘511号特許、および同‘799号特許において、少なくとも概略的に、開示されている。
【0010】
これらのフクナガ(Fukunaga)およびレアグレ(Leagre)の特許において示されている呼吸回路は単肢型回路として描かれており、この場合に、その呼気管および吸気管は互いに同軸に配置されている。一般的に、内側の比較的に小さい直径の管は吸気管として使われていて、外側の比較的に大きな直径の管は呼気管として用いられている。これらのレアグレ(Leagre)特許において示されている呼吸回路とフクナガ(Fukunaga)特許において示されている呼吸回路との間の注目すべき違いは、これらの回路における装置端側カップラーにおける違いにある。
【0011】
一方、上記のレアグレ(Leagre)およびフクナガ(Fukunaga)の装置における吸気管および呼気管は、ユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)において実施されているように、共に波形の吸気管および波形の呼気管を用いている点において、類似している。これらの波形の吸気管および波形の呼気管は単一の静止長(rest length)を有するように波形になっているが、その管の長さが伸縮されることを可能にしている。
【0012】
これらの波形の吸気管および呼気管の長さの可変性は、短期間にわたり延ばされたり(長くなったり)圧縮されたり(短くなったり)することを可能にするために、上記のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の回路の中に設計されている。この長さにおける変化は、しばしば、患者および麻酔装置の相対的な位置が変えられる時に生じ、通常において、その相対位置の変化の間に管を伸ばす必要性を含む。しかしながら、呼気管および吸気管は固定された静止長を有するように設計されているので、これらの固定された静止長からの吸気管および呼気管の長さの何らかの変化が呼気管に「応力」を及ぼして、その呼気管に圧縮力や伸びの力を生じさせ、(適宜に)その管がその一定の静止長に戻ることを可能にする。
【0013】
呼気管の伸びの間に、吸気管は上記のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の呼吸回路の中の装置側コネクタに連結されているだけであるので、この吸気管は一般的に伸びない。しかしながら、これらの吸気管および呼気管は共に、メリジアン・メディカル・システムズ(Meridian Medical Systems)により販売されている回路等のような呼吸回路の中においては、延びやすく、これは、このメリジアン・メディカル(Meridian Medical)の呼吸回路が、装置側および患者側の両方のコネクタに連結されている吸気管、を用いているためである。
【0014】
また、単一の静止長の波形の管を用いる別の理由は、これらの管がよじれることを防ぐためである。このようなよじれを防ぐことはきわめて望ましく、その理由は、このようなよじれが、ちょうど、庭用のホースがよじれる時に、その中を通る水の流れが閉塞または遮断されるように、管の中のガスの流れの閉塞や遮断を生じる可能性があるからである。
【0015】
さらに、別の単肢型呼吸回路がシコラ(Sikora)の米国特許第5,121,746号において開示されている。このシコラ(Sikora)の装置は単肢型回路を用いており、この場合に、呼気管および吸気管は、共通の壁部に接合していて、その呼吸回路に、θに似ている形態、を与えている。このシコラ(Sikora)の特許において開示されている管も、疑いなく、上述のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の装置において用いられている波形の管と、同じ多くの理由により、波形であるように見える。
【0016】
上述の装置、特にユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の装置は、きわめてみごとに、それぞれの目的とされる機能を実行するが、まだ、改善の余地が存在している。
【0017】
困難さの一つの原因は呼吸回路の単一の静止長にある。このような単一の静止長は、多数の長さの管を、異なる状況および選択に適合させるように、製造すること、を必要とする。例えば、一部の医療の専門家は比較的に短い長さ(例えば、44インチ、または112cm)の管を好む場合があるが、別の医療の専門家は、麻酔装置を目立たなくするように、その装置を患者からさらに離すことを好み、そのため、比較的に長い(例えば、88インチ、または224cm)の呼吸回路を必要とする場合もある。
【0018】
製造者の観点から、異なる回路の長さに対する要望により、製造者は、呼吸回路をさまざまな長さで製造することが必要になる。一方、使用者(例えば、病院や外科センター)の観点からは、そのような異なる要望される長さに対して、それぞれのエンド・ユーザーは、いくつかの異なる回路の長さを用意すること(在庫として保持したりすること)が必要になる。
【0019】
別の困難さは輸送において見られる。すなわち、波形の管を有する単一の静止長の回路は単一の静止長しか有していないので、このような装置を用いる場合に、その装置が伸ばされることも圧縮されることもなく、その目的を十分に果たすように、その管を、比較的に長い静止長(例えば、44インチまたは88インチ、すなわち、112または224cm)を有するような、長さに作る必要がある。また、このような単一の静止長の波形の管の弾性により、その管は、伸ばされると、その静止長に、その管を圧縮して短くして戻す傾向のある、圧縮力、を発揮する。
【0020】
上記のような管により及ぼされる圧縮力は、呼吸回路が、装置または患者のいずれかに対するその連結から引き放される、外側の分断と、波形の呼吸用の管が装置側または患者側の連結の内の一つから引き離される、内側の分断と、の両方を、容易にする可能性があるので、伸張される場合にその装置が用いられることは好ましくないと思われる。つまり、上記のような内側および外側の両方の分断を生じる状況を避けることが望ましい。
【0021】
上記の結果として、例えば、112cm(44インチ)の呼吸回路は、112cm(44インチ)の静止長を有しており、この長さは、通常において、外部のクランプ力を及ぼすことなく、任意の相当な長さの時間にわたり、圧縮させることができない(したがって、輸送のためにさらに小さくはできない)。したがって、このように、外部のクランプ力を加えずに、静止長を短く変えることができないので、製造者は、上記の仮の112cm(44インチ)の呼吸用の管の全体の112cm(44インチ)の長さに合わせるために、容器や箱の中に十分な貯蔵の空間を設けることが必要になる。加えて、上記のような呼吸回路の全体の112cm(44インチ)の長さに合わせるために十分な貯蔵の空間を、病院や外科センターの使用者が備えることも必要になる。
【0022】
上記のことから、輸送の間に、より小さな空間を占めるように圧縮させることが可能である、呼吸回路を有することが望ましくなることが認められるであろう。加えて、例えば、単一の装置がその完全に圧縮された(輸送用の)長さから、例えば、部分的に伸張された、112cm(約44インチ)の全長を有する「短い管の長さ」まで延長させることができ、さらに、224cm(88インチ)の呼吸回路等のような、長い呼吸回路の静止長に等しい静止長を有することが可能である、完全に伸張された(完全に圧力を除いた)位置に伸ばすことができるように、複数の持続可能な静止長を含む呼吸回路を構成することが望ましくなると考えられる。
【0023】
本発明の一例の目的は、装置が、輸送、貯蔵および一部の麻酔の適用において、長さを減少させるために、完全に圧縮された位置に配置できるが、その圧縮された位置よりも長い所望の長さを与えるために、複数の延長された静止位置に持続可能に保たれることも可能であるように、複数の固定された静止長を有する上記のような呼吸回路、を提供することである。好ましくは、上記の装置は、上記の呼吸回路における完全に圧縮された位置と完全に延長された位置との間において、長さが変わる多様な静止長において、持続可能でもある。
【0024】
〔発明の概要〕
本発明によれば、近位端側連結部材と、遠位端側連結部材と、これらの近位端側連結部材および遠位端側連結部材の間に延在する呼気管と、これらの近位端側連結部材および遠位端側連結部材の間に延在する吸気管と、を有している単肢型呼吸回路が開示されている。この呼気管は、完全に圧縮されている静止位置と完全に伸張されている静止位置との間において伸びることができ、複数の中間の静止位置を有する波形の呼気管、を構成している。複数の中間の静止位置において、上記の呼気管は、外力を行使しなくても、その静止長を維持できる。また、上記の吸気管は、完全に圧縮されている静止位置と完全に伸張されている静止位置との間において可変であり、それらの完全に伸張されている静止位置と完全に圧縮されている静止位置との間に複数の中間の静止位置を含む長さ、を有する波形の吸気管、を構成している。この吸気管は、呼気管と同様に、外力を行使しなくても、その中間の静止位置を維持することができる。
【0025】
好ましくは、上記吸気管の長さは上記呼気管の長さよりも、それぞれが完全に伸張されている時に、約2.5〜17.8cm(約1〜7インチ)、さらに最適には、約10.2cm(約4インチ)だけ、長い。
【0026】
一例の好ましい実施形態において、上記の呼気管および吸気管は互いに概ね同軸に配置されており、遠位端側連結部材は呼気管連結部材を含み、この呼気管連結部材は、患者側コネクタの近くにおいて、中心に置かれている状態および同軸の状態から、半径方向にずれている。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態において、上記吸気管は内径および外径を有しており、上記呼気管も内径および外径を有している。この吸気管の外径と呼気管の内径は、吸気管の外表面部と呼気管の内表面部が呼気の通路を定めていて、この場合に、その呼気の通路に沿う空気の流れの抵抗が最小限になるような大きさに、互いに、作られている。加えて、呼気管の内径と吸気管の外径との間の大きさの違いは、呼気管が線形に圧縮される時の、吸気管の概ね線形の圧縮を十分に助長する程度に、十分に小さくする必要がある。
【0028】
本発明の一例の特徴は、アコーデオン・タイプの波形の管が用いられていることであり、この場合に、それぞれのひだは、維持可能な伸張された静止位置および維持可能な圧縮された静止位置に置くことができる。呼吸管は多数の上記のようなひだにより構成されているので、この管は多数の静止長を有することができる。この特徴は、使用者が、自分の特定の要求に合わせるために、上記の管の動作の長さを変更することを可能にするという利点、を有している。加えて、このことは、上記の管を輸送および貯蔵の間に圧縮して、輸送および貯蔵の間にその管により必要とされる空間の量を減少させること、を可能にすると共に、その管を使用中に伸張して、手術室の作業員、特に、麻酔科医に適合する長さに伸張すること、を可能にしている。
【0029】
本発明の別の特徴は、上記呼気管の外径と上記吸気管の内径が、その吸気管の外表面部と呼気管の内表面部との間に存在している呼気の通路を通る空気の流れの抵抗を最小限にするような大きさに作られているということ、である。
【0030】
外科手術中において、ガスの通路を通るガスの自由な流れを促進させるために、可能な限り遮断されていない吸気の通路および呼気の通路等のように、ガスの通路を保つことが重要である。一般的な規則として、管の部材により引き起こされる空気の流れの抵抗を最小限にすることが望ましい。この点に関して、例えば、一連の半径方向に延出しているバッフル(自動車のマフラー(car muffler)において見られるようなもの)を有していて、したがって、これらのバッフルがその通路を通る流れの抵抗を増すと考えられる、管、を使用することには禁忌が示されるであろう。
【0031】
上述のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の装置等のような、通常の、単肢型の呼吸回路においては、上記の抵抗は、ガスが妨げられずに中を通して流れることを可能にするように、吸気管の外表面部と呼気管の内表面部との間に、十分な空間を与える外径の大きさを有する吸気管と内径の大きさを有する呼気管と、を選択することにより、最小限にされている。上記のユニバーサル・エフ(UNIVERSAL F)(登録商標)およびユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)の装置は、共に、一体の静止状態停止型の管を用いているので、この管のエンジニアは、本質的に、その吸気管および呼気管の単一の相対的な長さ、における、呼気の流路の中の、吸気管と呼気管との間の、空気の抵抗について、関心を持つ必要がある。
【0032】
本発明においては、呼気管および吸気管の直径の寸法決めはかなり困難な仕事になる。このような寸法決めが比較的に困難になる一つの理由は、それぞれの管の外径および内径が、上記のひだがそれぞれの圧縮されたまたは伸張された位置であるか否かにより、変わること、である。なお、呼気管の内径は、その呼気管のひだが伸張されている時よりも、そのひだが圧縮されている時に、小さくなることが、一般に、分かっている。同様に、吸気管の外径は、その吸気管のひだが伸張されている時に比べた場合に、その吸気管が圧縮されている時に、大きくなる。
【0033】
一見して、呼気管の直径を大幅に拡大し、さらに/または、吸気管の直径を大幅に減少させることにより、生じると考えられるような、吸気管の外径と呼気管の内径との間の差を最大にすることにより、上記の寸法決めの問題に対して、簡単な解決方法が存在しているように思われる。しかしながら、このような方策は、十分に機能する呼吸回路、を必ずしも結果として生じるとは限らない。例えば、このような方策は抵抗を減少させるために役立つと考えられるが、この方策は、その呼吸回路の長さを調節するための、特に、吸気管の長さを変更するための、使用者の能力に、悪影響を及ぼすという欠陥、を有している。
【0034】
例えば、吸気管の外径と呼気管の内径との間の差が過度に大きければ、その吸気管は著しくよじれやすくなり、あるいは、管の長さが短縮される時に圧縮しにくくなる。上述のように、管のよじれはきわめて望ましくない。加えて、過度に大きな呼気管の内部の中における吸気管の圧縮は、その吸気管に、圧縮中にその線形を失わせることにより、「ヘビに似た状態」を採らせるので、抵抗性が損なわれる可能性がある。すなわち、呼気管の中における、吸気管のうねった波様の形態は、抵抗性を増すことを助長する可能性があることが、本特許出願人により分かっている。加えて、吸気管が、概ね線形の経路から、さらに湾曲しているうねった経路に変形するほど、吸気ガスの通路の中の抵抗性も増す可能性がある。
【0035】
また、吸気管および呼気管は互いに概ね同軸に配置されているが、吸気管の患者側の連結部分は、呼気管の軸線に対して、半径方向にずれている位置に、その吸気管を連結しているというということも、本発明の特徴である。このようなずれた配置は、呼気のガスが、患者から、呼気管と吸気管との間の、呼気の通路の中に流れるための、比較的に良好に定められた、比較的に低い抵抗性を有する通路、を与える。実際に、患者側の連結部分と呼気管との間に流れるガスはその患者側の連結部分から呼気管の中に概ね向かう方向に流れている。
【0036】
本発明の別の特徴は、それぞれの管のひだが、設計されている静止長を保持するためのそれぞれの能力を失わずに、それぞれの圧縮された位置とそれぞれの伸張された位置との間において、繰り返して移動できるように、吸気および呼気の柔軟な管が設計されていること、である。この特徴は、ある処置の開始時に、使用者が所望の長さを得ることができるように、あるいは、処置の間に、使用者が処置の中間において呼吸回路の有効長を変えることを決定する場合に、その管の寸法を決めて、サイズを変えることを可能にするという利点、を有している。このような呼吸回路の有効長における繰り返しの変更は、その呼吸管がその望まれる有効な静止長の内のいずれかの一つに後で設定できなくなるという恐れを伴うことなく、行なうことができる。
【0037】
本発明の上記のおよびその他の特徴は、以下において理解されるように、本発明を実施する最良の形態を示している、図面と詳細な説明とを参照することにより、明らかになるであろう。
【0038】
〔詳細な説明〕
本発明の呼吸回路10が図面において最良に示されている。図1において、呼吸回路10は、当該呼吸回路10の近位端側に配置されている装置側コネクタ12、を含み、図1において示されている実施形態においては、装置側コネクタ12とフィルター14の両方になるという二つの目的を果たしている。なお、装置側コネクタ12はフィルター14を含んでいるものとして示されているが、この装置側コネクタ12は無フィルター型の装置側コネクタ12を有するように設計することも可能である。
【0039】
一方、患者側コネクタ18は、回路10の遠位端側または患者側に、配置されている。複数の持続可能な静止長を有する柔軟な波形の吸気管が患者側コネクタ18と装置側コネクタ12との間に延在しており、矢印Iにより概略的に示されているように、装置側コネクタ12から患者側コネクタ18に向かって、吸気のガスを運ぶために備えられている。さらに、柔軟な波形の持続可能な多数の静止長の呼気管26も患者側コネクタ18と装置側コネクタ12との間に延在していて、矢印Eにより概略的に示されているように、患者側コネクタ18から装置側コネクタ12に向かって、患者から呼気のガスを運ぶために備えられている。
【0040】
吸気管22および呼気管26は共に、装置側コネクタ12に、それぞれの装置側において、固定して連結されている。同様に、これらの吸気管22および呼気管26は共に、患者側コネクタ18に、それぞれの患者側において、固定して連結されている。
【0041】
以下において、さらに詳細に論じられているように、吸気管22および呼気管26は波形であり、矢印Bにより示されているような、図1の図面の右側に示されている、伸張されている位置と、矢印Aにより示されているような、図面の左側に示されている、圧縮されている位置と、の両方を採るように、それぞれ設計されているひだ、を伴っている。先行技術の装置とは異なり、吸気管22および呼気管26は静止位置を採ることができ、この場合に、1個以上のひだが、それぞれの圧縮されている位置またはそれぞれの伸張されている位置の中に存在している。これらの圧縮されている位置および伸張されている位置において静止位置を採るためのひだの能力は、呼吸回路の長さが、大多数の異なる静止長のいずれか一つに固定されることを可能にする。また、これらの静止長は、管に外力を及ぼさずに、維持できる。
【0042】
上述のように、上記の特徴は、単一の静止長だけが採用されている場合の装置とは、異なっている。すなわち、単一のみの静止長の管は、このような先行技術における単一の静止長の波形の管の弾性およびばねの特性が、これらの管を、それぞれの、圧縮されているか伸張されている、状態から、それぞれの静止位置に向けて、移動して戻すために、それぞれの管に応力を及ぼすので、クランプまたはその類似物等のように、相当な外力を及すことなく、(静止長に対して)伸張されているか圧縮されている位置のいずれも維持することができない。
【0043】
装置側のコネクタ/フィルター14は、内部を定めているケーシング38、を含んでいる。このケーシング38は、上述のフクナガ(Fukunaga)の‘872号特許において記載されているような、近位端側の末端部分を取り付けることのできる装置係合端部40、を含んでおり、この係合端部40は麻酔装置に連結する。あるいは、この装置係合端部40は、麻酔装置(図示されていない)が、その装置係合端部40を受容するための適当な大きさに作られている連結部分またはポート、を含んでいれば、その麻酔装置に直接に連結できる。
【0044】
また、上記の装置係合端部は、レアグレ(Leagre)の米国特許第6,129,082号、またはレアグレ(Leagre)およびバロー(Barrow)の米国特許第5,404,873号において開示されている形態等のような、多様な別の形態も含むことができること、にも注目する必要がある。
【0045】
装置係合端部40は、呼気ポート48を定めるための、第1の概ね円筒形の呼気ポート・コネクタ46を含んでおり、このコネクタ46を通して、呼気のガスが呼気ポート48から麻酔装置の中に通過できる。また、第1の吸気ポート・コネクタ52は概ね円筒形であり、呼気ポート48と同軸である。この第1の吸気ポート・コネクタ52は麻酔装置の流出ポートに連結されるように備えられていて、内部に配置されている吸気ポート53を定めており、このコネクタ52を通して、ガスおよび吸い込まれた空気が麻酔装置から吸気ポート53の中に通過できる。
【0046】
第1の呼気管コネクタは、装置側コネクタ12の管係合端部44に配置されており、呼気管26の第1(近位側)の端部47を受容するための、半径方向に外側に向いていて軸線方向に延在している円筒形の表面部分57、を含んでいる。また、呼気管26の近位側端部47の、半径方向に内側に向いていて軸線方向に延在している内表面部は、第1の呼気管コネクタ56の半径方向に外側に向いている表面57に、固定して連結および係合している。好ましくは、呼気管26の第1の端部47と半径方向に外側に向いている表面57との間の連結は、これら2個の部材の間の分離を防ぐために、ぴったりと合って永久的になるように、設計されている。このようにぴったりと合った確実に固定された連結は、接着剤の使用により化学的に達成するか、ぴったりと合った嵌め合わせを形成するように寸法決めするか、バンドや音波溶接等のようなその他の取り付けプロトコル等の、一部の機械的な取り付けにより、達成できる。
【0047】
装置側コネクタ12の管係合端部44はまた、第1の吸気管コネクタ58も含んでおり、この吸気管コネクタ58は、その概ね円筒形の半径方向に外側に向いている表面部分において、吸気管22の第1(近位側)の端部53の半径方向に内側に向いている円筒形の表面部分、を受けるような大きさに作られている。また、上記の吸気管および呼気管のそれぞれの端部53,47はそれぞれのコネクタ58,56を受容するように寸法決めおよび構成されており、これらの管58,56の「カフス」としてしばしば呼ばれる場合がある。
【0048】
呼気管26と第1の呼気管コネクタ56との間の連結と同様に、吸気管22の第1の吸気管コネクタ58と第1の端部53との間の連結は、これらの間の分離を防ぐために、コネクタ58の上に吸気管22の第1の端部53を維持するように設計されている、ぴったりと合った永久的に固定された嵌め合わせである必要がある。さらに、吸気管22のカフスと、装置側コネクタ12および患者側コネクタ18との間の連結は、一般に、比較的に決定的であり、したがって、呼気管のカフスと、装置側コネクタ12および患者側コネクタ18との間の連結よりも強くなければ、可能な限り強くになるように設計する必要がある。
【0049】
なお、吸気管コネクタ58が、一般に、呼気管コネクタ56の端部を通過して外側に延出していることに気づくであろう。このような付加的な長さは、製造プロセスを容易にするために設けられており、吸気管22の第1の端部53を吸気管コネクタ58の第1の端部に取り付けることをさらに容易にしている。
【0050】
回路10の装置側において吸気および呼気のガスを混合することは一般に望ましくないので、ケーシング38の中において、呼気の流路70からの吸気の流路66の分離を維持することが重要である。この目的のために、ケーシング38は、呼気の流路70から吸気の流路66を分離していて異なるよう維持するように示されている。
【0051】
上記の機能を達成するフィルター・ケーシングの例は、キング・システムズ・コーポレイション(King Systems Corporation)により販売されていて、www.KingSystems.comにおいて説明されている、ユニバーサルF2(UNIVERSAL F2)(登録商標)同軸フィルター(Co-Axial Filter)に加えて、フクナガ(Fukunaga)の‘894号特許において示されているもの等のような、フィルターである。
【0052】
さらに、フィルター媒体72がケーシング38の内部に配置されている。このフィルター媒体72は、フィルター14を通過する、呼気のガスの全部と吸気のガスの全部とが、このフィルター媒体72を通過するように、設計されている。また、このフィルター媒体72は、病原体および他の微生物を捕捉して、これらの病原体や微生物がフィルター媒体72を通過することを阻止し、患者を発生源とする病原体や微生物による麻酔装置の汚染、あるいは、麻酔装置を発生源とする病原体や微生物による患者の汚染を防ぐように、設計されている。
【0053】
患者側コネクタ18は、顔面マスク(図示されていない)、または気管内管(endo-tracheal tube)(図示されていない)等のような気管用管(tracheal tube)を含む、患者用装置を受容するように設計されている患者用装置受容コネクタ78、を含んでいる。なお、顔面マスクおよび気管用管の例は、上記のwww.KingSystems.comにおいて見ることができる。患者用装置受容コネクタ78は、内側円筒形コネクタ部材80と、外側円筒形コネクタ部材82と、を含み、これらのコネクタ部材80,82はわずかな距離だけ空間的に分離されていて、円筒形のスロット84を形成している。この構成はさまざまな種類の患者用のコネクタ装置を受容するように設計されている。なお、上記の患者用装置受容コネクタ78の大きさおよび形状は、患者の安全性を確保して規格化を促進するために役立つように実施されているISO基準により、広く規定されている。
【0054】
上記の患者用装置受容コネクタ78は、内部に配置されているガス受容ポート86、を定めており、このポート86を通して、呼気および吸気の両方のガスが呼吸回路10と患者用の装置との間を通過できる。患者側コネクタ18はまた、第2(遠位側)の端部の呼気管受容コネクタ88も含んでおり、このコネクタ88は概ね円筒形の形態であり、呼気管26の第2の端部(カフス)89を受容するような大きさおよび形に作られている。呼気管受容コネクタ88は概ね円筒形の形態であるが、起立した半径方向に外側に延出している外周スパイク90を含んでおり、この外周スパイク90は相補的に形成されている外周スパイク受容リング91を受けるように設計されており、この受容リング91は呼気管の第2端部カフス89の中に形成されている。これらのスパイク90および受容リング91は相補的に構成されていて、スパイク90が受容リング91に係合して、呼気管の第2端部89を呼気管受容コネクタ88の上に係止して固定するために役立つようになっている。
【0055】
患者側コネクタは図1および図11〜図19に関連して最良に説明されている。次に、図17および図18において、患者側コネクタ18の患者用装置受容コネクタ78の二つの図が示されており、これらの図は患者側コネクタの患者用装置受容部分78の例示的な実施形態の患者用のコネクタにおける種々の部品、空間および隙間、を示している。
【0056】
図11において最良に示されているように、半径方向に外側に延出している外周係止リングが備えられており、この外周係止リングは呼気管受容コネクタ88の表面の上方に半径方向に外側に延出している。この係止リング95は呼気管受容コネクタ88における呼気管コネクタの不必要な軸線方向の移動を阻止するために役立つ。
【0057】
患者側コネクタ18の管受容部分はまた、吸気管受容コネクタ96も含んでおり、この吸気管受容コネクタ96は、一般に、遠位側端部98および近位側端部100を有する円筒形の管、を構成している。この吸気管受容コネクタ96は、一般に、管状で、円筒形に作られていて、半径方向に内側に向いている表面部分102を含んでおり、この表面部分102は、その遠位側端部98において、吸気管受容コネクタ96の中空の内部通路104からの吸気のガスの流出をさらに助長するために、斜めのカットアウト部分103まで伸びている。
【0058】
図13および図14において最良に示されているように、吸気管受容コネクタ96の遠位側端部は、軸線方向に外側に向いていて半径方向に延出している壁部材101、の一部として形成されていて、その壁部材101に連結されている。このような一体の構成/連結は、吸気管受容コネクタ96を患者側コネクタ18の残りの部分に、固定して連結している。
【0059】
図14に示されている寸法から、吸気管受容コネクタ96は患者側コネクタ18の中心から半径方向にずれていることに、当然に気づくであろう。すなわち、図14において示されているように、吸気管受容コネクタ96の中心は、患者側コネクタ18の中心軸から、好ましくは、概ね約0.2〜0.3cm(約0.08〜0.12インチ)だけずれており、最適には、約0.27cm(約0.106インチ)だけずれている。このような吸気管受容コネクタ96のずれた連結は、吸気管22の第2の端部110を、患者側コネクタ18の近くの領域内において呼気管26に対して概ね非同軸にしているが、この吸気管22は、概ね同軸の関係で、呼気管26の内部に依然として収容されている。
【0060】
本出願人は、上記のずれた連結が、図面において示されている種類の患者側コネクタ18と共に用いられる場合に、価値があることが分かっており、この理由は、このような連結が、より開けていて、より抵抗を少なくする呼気の流路を、この呼気の流路が吸気管受容コネクタ96の近くにおいて始まっている領域107(図14)の中に、与えるからである。また、このようなずれた構成は、比較的に従来の中心に置かれている構成よりも、良好な流れの特性を示すことが分かっている。
【0061】
吸気管受容コネクタ96は、半径方向に内側に向いている表面部分102、を含んでおり、この表面部分102は中空の内部通路104を定めており、この内部通路104は呼吸回路10の吸気管通路の遠位側に最も遠い端部を構成している。半径方向に外側に向いている表面部分106は吸気管の第2(遠位側)の端部110の半径方向に内側に向いている表面部分108により受容されるように設けられている。呼気管に関連して論じられているように、吸気管の第2の端部(カフス)110における半径方向に内側に向いている表面部分108と吸気管受容コネクタ96の半径方向に外側に向いている表面部分106との間の連結は、極めてぴったりと合っていて、極めて確実であり、さらに、その吸気管の第2の端部110と吸気管受容コネクタ96との間に分離が生じないことを確実にするために、実質的に永久的に固定された連結、である必要がある。
【0062】
上記の装置側および患者側のコネクタからの吸気管の分離の阻止に役立つためのさらに別の手段として、吸気管は呼気管よりもいくらか長くなるような大きさに作られているのが好ましい。好ましくは、この吸気管は、標準の112〜224cm(44〜88インチ)の上述の種類の管において、呼気管よりも2.54〜17.8cm(1〜7インチ)だけ長くする必要がある。最適には、吸気管22の完全に伸張された長さは、呼気管26の完全に伸張された長さよりも、およそ10.2cm(4インチ)だけ長い。
【0063】
上記のような付加的な長さは、呼気管26がその最も完全に伸張された位置まで引っ張られる時に、吸気管22が依然として伸びる余裕を持っていること、を確実にすることにより、分離を阻止するために役立つ。さらに、この付加的な伸びる余裕は、吸気管に分離を誘発させる応力が加わることを防ぐために役立ち、これにより患者側または装置側のコネクタのいずれからの吸気管22の分離の可能性も減少させることができる。
【0064】
なお、患者側コネクタ18の種々の部品および構成要素の間の寸法の関係をさらに良く認識するために、図11〜図19について参照されたい(これらの図はインチで表現されている)。
【0065】
次に、図1〜図9、および図27および図28を参照して、吸気管22および呼気管26をさらに詳細に説明する。
【0066】
上述のように、吸気管および呼気管は、それぞれ、つぶすことのできる、複数の静止長を有する波型の管であるので、それぞれの吸気管および呼気管は、完全に圧縮された位置から、完全に伸張された位置まで、移動できる。重要なことは、これらの吸気管および呼気管は、それぞれの完全に伸張された位置と完全に圧縮された位置との間で、複数の長さにおいて、維持可能な静止長を達成するために、選択的に伸張して圧縮することができる。
【0067】
図27において、第1の呼吸回路114、第2の呼吸回路116および第3の呼吸回路118、を含む、3種類の呼吸回路が示されている。これらの装置は、それぞれ、同等の長さの吸気管および呼気管を有しているが、これらの合計の全体の長さは、それぞれの異なる圧縮の状態により、異なっている。なお、これら3種類の呼吸回路114,116,118が、患者側コネクタ115と、装置側コネクタ113,117と、を含んでいることに気づくであろう。この点に関して、第2および第3の呼吸回路116および118の装置側コネクタ113は、図1において示されているフィルター14に類似しているフィルター、を有しているが、第1の呼吸回路における装置側コネクタ117は非フィルター支持式の装置側部分を有している。
【0068】
これらの装置側部分113,117の間に違いにもかかわらず、吸気管および呼気管は同一の長さを有するように概ね構成されている。第1の呼吸回路114は、そのほとんど完全に圧縮された位置において、概略的に示されている。このようなほとんど完全に圧縮された位置にある時に、この第1の呼吸回路の長さ114Lは第2の呼吸回路116の長さ116Lよりも著しく短い。さらに、この第2の呼吸回路の長さ116Lは第3の呼吸回路の長さ118Lよりも著しく短い。
【0069】
第3の呼吸回路は、そのひだのほとんどが全てそれぞれの伸張された位置にある状態により生じる、比較的に長い長さ118L、を有している。これに対して、第1の呼吸回路114Lにより達成されている比較的に短い長さは、吸気管および呼気管のひだのほとんどが圧縮された位置にある状態により生じている。さらに、第2の呼吸回路の中間域の長さ116Lは、最も短い呼吸回路114に比較した場合における、第2の呼吸回路116の比較的に大きな割合のひだがそれぞれの伸張された位置にある状態と、さらに、短縮された呼吸回路114に比較した場合における、第2の呼吸回路116の比較的に小さな割合のひだがそれぞれの圧縮された位置にある状態と、により達成されている。
【0070】
図27の目的は、本発明の呼吸回路が、大多数のひだがそれぞれの圧縮された位置に配置されている状態により達成されている第1の呼吸回路114の比較的に短い位置から、ほとんど全てのひだがそれぞれの伸張された位置に配置されている、第3の呼吸回路118の比較的に長い長さまで変わる、多数の静止位置において維持可能であること、を示すことである。
【0071】
好ましくは、上記の装置は、その完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間の長さの差が、3よりも大きい係数、好ましくは4、だけ、変化できるように、設計されているので、この呼吸回路がその完全に伸張された位置にある時に、その完全に圧縮された位置にある時のその呼吸回路の長さよりも、およそ3〜4倍だけ長くなる。
【0072】
次に、図2〜図4に戻り、吸気管22および呼気管26のそれぞれは、ひだ120,122等のような、複数の概ね同一のひだにより構成されている。便宜上、一つのひだは、隣接している最下点126の間に延在している管の部分として、本出願において示されている。これらのひだのそれぞれは、ピーク点124と、ピーク点124の一方の側に配置されている第1の足部128と、ピーク点124の別の側に配置されている第2の足部130と、を有している。これらの第1および第2の足部は、それぞれ、最下点126まで伸びており、本出願における定義の目的においては、単一のひだ、またはひだの部分を定めている。
【0073】
次に、図6〜図8において、金型ブロック150が、図示されているような波形の呼気管を作成するために、用いられている。この管を作成する方法は、一般に、その管がまず押出成形されてから、波形にされることを示すために、押出ひだ成形法として呼ばれている。
【0074】
呼気管は、最も好ましいと考えられる実施形態において、およそ25mmの一定の直径を有する概ね平滑な管を最初に押出成形することにより製造される。この結果、平滑な管が押出成形装置から抜け出ると、その管は、一般に、一定の直径の、平滑な壁部、を有する。さらに、この押出成形装置から抜け出たすぐ後に、そのプラスチック材料がその成形温度よりも低く冷却される前に、金型ブロック150等のような、一連のひだの形状を含む金型ブロックを、上記の呼気管の外表面部に係合させることにより、その呼気管にひだを形成する。この工程の間に、高圧の空気が呼気管の内部に押し込められて、その呼気管の平滑な壁部を、波形の金型ブロックに対して、半径方向に外側に押し出す。例示的な波形の金型ブロック150が図面において示されており、管がその金型ブロックの形状に概ね一致するので、それぞれのひだが形成される様式を理解するために有用である。
【0075】
金型ブロック150を考慮する際に、これらの金型ブロックは管の外表面部に係合していることを覚えておくことが重要である。したがって、この金型ブロックの最下点になると思われる点(例えば、図7の点224)は、この点224が仕上げされた呼気管のピーク点124の形状を定めるので、実際にはピーク点224になる。同様に、この金型ブロック(図7)の最下点226は、仕上げされた呼気管の最下点126の形状、を定める。また、第1の足部228は呼気管の第1の足部128を定め、第2の足部230は呼気管の第2の足部130を定める(図4)。
【0076】
図7において最良に示されているように、金型ブロック150の最下点226は、呼気管のまるみのある最下点130を形成するために、まるみが付けられている。また、するどい角部231が連結部分に配置されており、この場所において、最下点226は第1の足部228に接合する。
【0077】
本明細書において記載されている呼気管の構成および形状は、この呼気管に、そのつぶれる能力と、その伸張された位置と圧縮された位置との間において静止長を維持するその能力と、を与えるために役立っている。この点に関して、最下点226において成形ブロックにより形成される丸みを付けた最下点は、その管に、圧縮された位置と伸張された位置との間で移動する時に、複数の微視的な割れ目を含ませる。これらの、呼気管のプラスチック材料における、微視的な割れ目は、要望に応じて、それぞれの伸張された、さらに/または、圧縮された、位置において、ひだを維持するために役立つ。使用時に、それぞれのひだ、例えば、120,122(図4)は、一般に、二つの静止位置を維持でき、これらの静止位置の一方は完全に伸張された位置になり、他方は完全に圧縮された位置になる。一般論として、個々のひだは、それぞれの圧縮された位置と伸張された位置との間の各点において、静止位置を維持することはない。
【0078】
一方、全体的なスケールにおける2個のひだを考慮すると、上記の管により達成できる複数の静止位置は、主として、それぞれの伸張された位置と圧縮された位置とに配置されている特定の個々のひだの数の関数になる。例えば、上記の管が完全に伸ばされている時に、ひだの大部分(全てではないかもしれないが)、例えば、120,122、はそれぞれの伸張されている位置に配置されている。一方、その管が完全に圧縮された位置にある時には、ひだの大部分(全てではないかもしれないが)、例えば、120,122、はそれぞれの圧縮されている位置に配置されている。
【0079】
さらに、上記の管がその完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間の中間の長さである場合には、個々のひだ、例えば、120,122、の一部はそれぞれの伸張されている位置に配置されており、他のひだはそれぞれの比較的に圧縮されている位置に配置されている。
【0080】
図27および図21において最良に示されているように、管のセグメントのある部分が圧縮された位置に配置されている時に、それぞれの異なる第1および第2の足部128,130は互いにほとんど平行に配置されている。一方、それぞれの伸張された位置に配置されている、セグメント152等のような、任意のひだのセグメントにおいては、第1および第2の足部128,130は互いにおよそ90度の角度で配置されている。
【0081】
この点に関して、読者は特に図8を注意されたく、この図は、伸張されている位置にある時に、管の第1の足部128を形成する金型の第1の足部228は、呼気管の軸線に対して概ね垂直に延在する平面から、約40.1度の角度で配置されていること、を示している。同様に、呼気管の第2の足部130を形成する金型の第2の足部230は、呼気管の軸線に対して垂直に配置される平面に対して、約46.6度の角度で、配置されている。また、圧縮性の制御も、金型ブロックの第1の足部228および第2の足部230、したがって、仕上げされた呼気管の第1の足部128および第2の足部130、が、呼気管26の軸線に対して垂直の上述されている仮定の平面に対して、それぞれ、異なる角度で配置されているという事実により、助長される。
【0082】
一方、吸気管は、ひだ131,132等のような、複数の個々のひだ、を含む限りにおいて、呼気管26と概ね同様に構成されているものとして、図4において最良に示されている。それぞれのひだ131,132は、ピーク部分140と、最下部分138と、第1の足部146と、第2の足部148と、を含んでおり、これらの足部146および148はピーク部分140と最下部分138との間に延在している。また、呼気管26と同様に、吸気管22の第1および第2の足部146,148は同一ではなく、むしろ、わずかに異なっている。吸気管22はまた、呼気管26と同様に、押出成形、および、その後のひだをつける処理、により、形成される。吸気管22を製造するために使用可能であると考えられる種類の、例示的な金型ブロックが、図9および図10において最良に示されている。
【0083】
吸気管のために用いられる金型ブロック161を考慮すると、この金型ブロック161は吸気管22の外表面部に係合し、これにより、ピーク点140を形成するそのブロック161の各部分は最下点238として見えるが、本明細書においては、ピーク点238と呼ばれていること、を覚えておくことが重要である。同様に、ピーク点として見える各点288は、実際には最下点138を形成しており、さらに、この金型ブロックにおいて最下点として見える各点は、実際にはピーク点240になり、これらの点は吸気管の各ピーク点140を形成している。
【0084】
金型ブロック161の全体的な形状、およびこれにより形成される吸気管は、最下点238が、概して、丸みを付けられており、最下点238と第1の足部244との交点において鋭い角部239を形成していて、この角部239が吸気管において対応する位置に鋭い角部を形成する点において、上記の金型ブロック150および呼気管26に概ね類似している。
【0085】
なお、第2の足部246の角度および第1の足部244の角度が呼気管26の中において用いられている角度とはわずかに異なっていることに、注意する必要がある。すなわち、第2の足部246は吸気管22の軸線に対して垂直に配置される平面から、約49.6度の角度で、配置されていることが最も良く、第1の足部は吸気管22の軸に対して概ね垂直に配置される平面から、約40.1度の角度で、配置されていること、が分かっている。また、吸気管内の第1および第2の足部244,246の間の、ピーク点において形成される角度は、呼気管26の中において用いられている角度よりも大きい。これらの違いは本出願人による相当数の実験の後に想到されており、吸気管22と呼気管26との間の大きさの違いにより大きく異なる。
【0086】
上述のように、吸気管22と呼気管26との間の相対的な寸法を決めることは、本出願人にとって、達成することが、困難な技術課題であることを立証している。しかしながら、適当な寸法を達成するためには、本出願人は、図面において最下点130として示されている、呼気管の半径方向において最も内側の点と、図面においてピーク点140として示されている、吸気管22の半径方向において最も外側の点との間における呼気の通路34が十分になることを確実にすることにより、その呼気の通路34が十分に大きくなって、呼気のガスが最小限の抵抗を伴ってその通路34を通して流れることを可能にすることが重要である、と考えている。この点に関して、呼吸回路の流れの抵抗は、60L/分の流れにおいて、その回路を通過する圧力降下が5cm以下の水(no more than 5 cm of water)になるように、する必要がある。一方、寸法の差を過度に大きくする必要はなく、この理由は、吸気管22の外表面部と呼気管26の内表面部との間の隙間が過度に大きくなると、吸気管22の伸縮が困難になるからである。
【0087】
図3において示されているように、本出願人は、約0.68cm(約0.269インチ)の幅を有するドーナッツ形状の呼気の通路を形成するために、吸気管22のための最適な最大の外径寸法は2.05cm(0.807インチ)であり、呼気管26の最小限の内径の最適な最小限の内径寸法は2.73cm(1.076インチ)であることが分かっている。もちろん、それぞれの管22,26の柔軟な性質が、これらの吸気管22および呼気管26の長さに沿ってこれらの吸気管および呼気管の相対的な位置を変えるので、上記の0.68cm(0.269インチ)の直径が、吸気管22および呼気管26の全長に沿って、常に、全ての場所において、維持されるとは限らないということが認められるであろう。それでも、上記の隙間は呼気管26と吸気管22との間における平均の隙間の距離を表現している。
【0088】
以下において認められるように、呼気管および吸気管の随意的な寸法を決めることを考慮する別の方法は、吸気(内側)管の平均の外径(「MODIT」)(この場合に、2.05cm(0.807インチ))の、呼気(外側)管の平均の内径(「MIDET」)(この場合に、2.73cm(1.076インチ))に対する、比率を約0.75にすることである。なお、この約0.75のMODIT/MIDETの比率は最適であるが、本出願人は約0.65〜0.85の範囲内のMODIT/MIDETの比率も、一般に、許容可能に使えることが分かっている。
【0089】
また、上記のMIDETとMODITとの間の差は約0.69cm(約0.27インチ)であるのが最適であり、約0.63〜0.74cm(約0.25〜0.29インチ)の範囲内であることが好ましいと考えられることも気づくであろう。また、さらに好ましい範囲は約0.66〜0.72cm(約0.26〜0.28インチ)であると考えられる。
【0090】
別の実施形態の患者側コネクタ300が図22〜図26において示されている。この患者側コネクタ300は、患者用装置受容部分302と、管受容部分304と、を備えている。この患者用装置受容部分は図11において示されている最初の実施形態の患者側コネクタ18における患者用装置受容部分と概ね同様に構成されており、内側円筒形コネクタ部材308と、外側円筒形コネクタ部材310とを含んでおり、これらの部材308,310は、これらの間に、円筒形のスロット312を定める距離だけ分離されている。また、ガス受容ポート314が、内部の円筒形のコネクタ部材308の半径方向に内側に向いている表面部分により定められている。
【0091】
上記の管受容部分304は、呼気管26の半径方向に内側に向いている表面部分318(図25)により、ぴったり合って固定されて受容されるための、半径方向に外側に向いている表面部分316、を含んでいる。さらに、半径方向に外側に延出している外周スパイク320が、上記の半径方向に外側に向いている表面部分316に形成されていて、呼気管26を患者側コネクタ300の上にぴったりと固定して保持するために、呼気管26の受容リング321に嵌まり合うように、寸法決めおよび位置決めされている。
【0092】
吸気管受容コネクタ324も備えられている。この吸気管受容コネクタ324は、図11において示されている患者側コネクタ18の対応している吸気管受容コネクタとは、いくらか異なって構成されている。一例の主な違いは、患者側コネクタ300の吸気管受容コネクタ324はその患者側コネクタ300の残りの部分に対して相対的に同軸に配置されていること、である。
【0093】
吸気管受容コネクタ324は、患者側コネクタ300の患者用装置受容部分302に対して、一体に形成されていて、取り付けられている、遠位側端部326、を含んでいる。吸気管受容コネクタ324はまた、比較的に大きな直径の、半径方向に外側に延出している端部リップ329、を含むことのできる近位側端部328、も有している。スパイク320と同様に、リップ329は吸気管コネクタ324の上に吸気管を固定して保持するために役立つ。さらに、吸気管受容コネクタ324は、吸気管22の遠位側端部331の半径方向に内側に向いている表面部分333により、ぴったり係合して、受容されるための、半径方向に外側に向いている表面部分330、を含んでいる。この吸気管コネクタ部分はまた、吸気ガス通路334を定めている半径方向に内側に向いている表面部分332、も含んでいる。
【0094】
上記の患者側コネクタ300と患者側コネクタ18(図11)との間の重要な違いは、吸気管コネクタ324の遠位側端部326に隣接して配置されている孔336の存在である。これらの孔336は、ガス・ポート通路314と呼気通路334との間に、ガスが流れることを可能にしている。主に、これらの孔336を通って移動するガスは、吐き出されている呼気のガスを含む。このガスは、矢印Jにより概略的に示されている方向に、患者側コネクタの中を移動してから、矢印K(図25)に沿って外側に移動し、呼気ガス通路34の中に入り、最終的に麻酔装置に戻る。また、これらの孔336は、各図面において示されているように、これらの孔336を通り呼気ガス通路334の中に入る呼気のガスの比較的に小さい抵抗の流れに適合するような、大きさに作る必要がある。
【0095】
別の実施形態の呼吸回路400が図30において示されている。この呼吸回路400は、ユニバーサル・エフ2(UNIVERSAL F2)(登録商標)型の呼吸回路等のように、呼吸回路の有効長を伸張するように使用できる種類の延長型呼吸回路、を構成している。
【0096】
例えば、この延長型呼吸回路400は、図1において示されている呼吸回路10に関連して使用可能であり、これら2個の呼吸回路は端部対端部式の関係で配置された状態になり、この場合に、延長型呼吸回路400におけるオス形(患者側)のコネクタ406は呼吸回路10におけるメス形のコネクタ40に連結される。この延長型呼吸回路400は、空間やその他の考慮点が、製造者により製造されているか病院により保管されている、呼吸回路10の長さ(完全に伸張されている場合でも)よりも長い呼吸回路、を必要とする状況において、有用である。
【0097】
この延長型呼吸回路400は、呼吸回路10に連結されているオス形(患者端側)コネクタ406と、それ自体で麻酔装置に連結される近位側端部の患者側(遠位端側)を受容するように設計されているメス形(装置端側)のコネクタ408と、を含んでいる可変の静止長の呼吸回路、を構成している。すなわち、この呼吸回路400は、この回路を貫通している呼気通路411を定めている可変の静止長の呼気管410と、内部に吸気通路414を定めている可変の静止長の吸気管412と、を含んでいる。
【0098】
構造および構成において、上記の呼気管410および吸気管412は、図1における実施形態に関連して示されている呼気管26および吸気管22に、それぞれ、概ね類似している。これらの吸気管412および呼気管410は共に可変の静止長を有するように構成されているので、回路400の全体の静止長も、図30の右側において示されているような、比較的に圧縮されている位置から、図30の左側において示されているような、比較的に伸張されている位置まで、可変である。また、呼気管410および吸気管412の内径および外径の相対的な大きさ、および、これらの呼気管410および吸気管412の寸法決めおよび構成において採用される考慮点も、それぞれ、図1において示されている呼吸回路10に関連して上述されているのと同じ考慮点、寸法決めおよび構成と、概ね同様である。
【0099】
メス形(装置側)コネクタ408は呼気ポート・カップラー416および吸気ポート・カップラー417を含んでおり、これらのカップラー416,417はこれらの間に呼気通路418を定めている。一方、吸気管412の吸気通路414に流体を介して連通している吸気通路420は、吸気ポート・カップラー417の内部により定められている。同様に、呼気通路418は呼気ポート・カップラー416に流体を介して連通している。
【0100】
呼気ポート・カップラー416は比較的に拡大された直径の近位側端部の呼気ポート受容部分を含んでおり、この呼気ポート受容部分は、フクナガ(Fukunaga)の米国特許第5,778,872号において記載されている種類の、近位側端部における呼気ポート連結部分、を内部に受容するように、寸法決めおよび構成されている。この呼気ポート・カップラー416はまた、呼気管410の装置側に配置されているカフス430を外部において受けるための、比較的に減少された直径の呼気管受容部分428、も含んでいる。上記のオス形(患者側)コネクタ406は、図1において示されている呼吸回路10等のような、呼吸回路の装置端側カップラーに連結されるように、寸法決めおよび構成されている。
【0101】
上記の患者端側または遠位側のコネクタ406は、回路10の遠位端側により内部において受容されるための回路係合部分444と、比較的に減少された直径の呼気受容部分446と、を有している呼気ポート・カップラー442、を含んでおり、上記の呼気受容部分446は、呼気管410の遠位端側カフス448により受容されるように、寸法決めおよび構成されている。吸気ポート・コネクタ450は回路係合部分452を含んでおり、この回路係合部分452は回路10の吸気管コネクタの中に受容されるように設計されている。この吸気ポート・コネクタ450も吸気管受容部分454を含んでおり、この吸気管受容部分454は、吸気管412の遠位側端部に配置されているカフス455を受容するように、設計されている。
【0102】
上記の呼気ポート・カップラー442と吸気ポート・カップラー450との間に、これらのカップラーの呼気通路456が定められており、呼気通路411に対して流体を介して連通している。同様に、吸気通路458が吸気ポート・カップラー450の内部により定められていて、吸気管412の吸気通路414に対して流体を介して連通している。
【0103】
上述の別の回路と同様に、回路400は、圧縮された位置と伸張された位置との間において、移動可能であり、吸気管410および呼気管412の、可変の静止長を有する性能により、多様な異なる静止長のいずれかを採ることができる。この場合に、回路400の吸気管412の両端部438,455は、好ましくは、それぞれの呼気カップラー408,406の中において中心に置かれていることに注目するべきである。すなわち、図1の回路10の患者側に関連して示されている構成等のような、半径方向にずれている取り付けは必要とされていない。むしろ、吸気管は、その両方の近位側端部(proximal terminal)と回路10の近位側の端部(proximal end)との嵌め合わせを容易にするために、中心に置かれている必要がある。
【0104】
図31は第2の別の実施形態の呼吸回路500を示しており、この呼吸回路500は、レアグレ(Leagre)およびバロー(Barrow)の米国特許第5,404,873号において開示されている呼吸回路の装置側部分と概ね類似している装置側部分502と、本発明における、図1において示されている患者側部分18に概ね類似している患者側部分504と、を含んでいる。これらの装置側部分502および患者側部分504は、本発明の、可変の静止長の呼気管508と可変の静止長の吸気管510と共に、使用される。
【0105】
呼気管508および吸気管510は、図1において示されている呼気管26および吸気管22と、それぞれ、概ね同様に構成されている。これらの呼気管508および吸気管510は共に、複数のプリーツを含むアコーデオン型の管を構成しており、この場合に、それぞれのプリーツは、伸張された位置(装置側部分502の近くにおいて示されているような位置)と、圧縮された位置(患者側部分504の近くのような位置)との間において、移動可能である。
【0106】
装置側部分502は、吸気コネクタ520と呼気コネクタ522とを有するケーシング518、を含んでいる。この吸気コネクタ520は拡大された直径の装置受容コネクタ部材526を含んでおり、この装置受容コネクタ部材526は、麻酔装置の適当なポートまたは二酸化炭素吸収装置等のような麻酔装置に対する付属部品に連結されるように、寸法決めおよび構成されている。吸気コネクタ520はまた、吸気管510のカフス530を外部において受けるように寸法決めおよび構成されている、減少された直径の吸気管受容部分528、も含んでいる。この吸気コネクタ520は、吸気管510の吸気通路514に対して、そのコネクタ520の外部において連結する吸気通路532、を定めている。
【0107】
呼気ポート・コネクタ522は、吸気コネクタ520から分離していて、当該吸気コネクタ520の軸線に対して概ね非同軸であるように、示されている。この呼気ポート・コネクタ522は、ホースに連結されるように寸法決めおよび構成されているホース受容部分536により定められている呼気ポート535、を含んでおり、このホースは、麻酔装置における適当なポートに、呼気ポート535を、流体を介して連結している。この呼気ポートを麻酔装置に連結している管(図示されていない)は、好ましくは、麻酔装置における適当なポートに容易に連結可能になるように、十分な長さを有していて、十分に柔軟である。なお、上記のコネクタが吸気および呼気の流路を分離した状態に維持するように設計されていることに気づくであろうし、このことはレアグレ(Leagre)の‘873号特許においてさらに詳細に論じられている。
【0108】
患者側コネクタ504は、上述のように、図1において示されている患者側コネクタ18と、概ね同様であり、気管内管または顔面マスク等のような、患者用装置が連結可能である患者用装置受容コネクタ548、を含んでいる。この患者用装置受容コネクタ548は、顔面マスクを適当に受容するための、内側円筒形コネクタ550と、外側円筒形コネクタ552と、を含んでいる。呼気管受容部分554は、呼気管508の遠位端側カフス556を外部において受けるように、寸法決めおよび構成されている。さらに、患者用装置受容コネクタ548はガス・ポート555を定めており、このガス・ポート555を通して、吸気および呼気の両方のガスが流れる。
【0109】
半径方向にずれている吸気管の末端部分558は、図1の吸気管コネクタ96と、ほとんど同じ様式で、同じ理由により、中心から半径方向にずれている。この半径方向にずれている吸気管の末端部分558は、吸気管510の遠位端側に配置されているカフス560を外部において受けるように寸法決めおよび構成されている、近位側に配置された部分、を含んでいる。この吸気管の末端部分の半径方向にずれている状態は、吸気管510および呼気管508がそれぞれの伸張されている位置にある時と、これらがそれぞれの緩和されている位置にある時の両方において、患者により吐き出される呼気のガスが呼気通路512の中に入ることを可能にするために、患者側コネクタ548の近くの領域内に、比較的に開けた、比較的に低い抵抗性を有する通路、を与えている。
【0110】
本発明を、その好ましい実施形態に関連して、詳細に説明したが、上記の本発明が本明細書における記述により限定されず、むしろ、本明細書に添付されている特許請求の範囲の各請求項によってのみ限定されることが理解されるであろう。
【0111】
〔実施の態様〕
(1)単肢型呼吸回路において、
近位端側連結部材と、
遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記吸気管の長さは、前記呼気管の長さよりも長い、単肢型呼吸回路。
(2)実施態様1に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管および前記呼気管の各々が完全に伸張された位置にある時に、前記吸気管の長さは、2.5〜17.8cm(1〜7インチ)の間にある、単肢型呼吸回路。
(3)実施態様1に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管の長さは、前記呼気管の長さよりも、7.62〜12.7cm(3〜5インチ)だけ長い、単肢型呼吸回路。
(4)単肢型呼吸回路において、
軸線を有する近位端側連結部材と、
軸線を有する遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記遠位端側連結部材は、前記吸気管を受容するための軸線を含む末端部分を含み、当該末端部分の軸線は、前記遠位端側連結部材の軸線から半径方向にずれている、
単肢型呼吸回路。
(5)単肢型呼吸回路において、
近位端側連結部材と、
遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部、内径、および外径を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、波形の呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部、内径、および外径を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、前記吸気管と前記呼気管との間の流れの抵抗を最小限にし、前記吸気管および前記呼気管の概ね線形の圧縮性および伸縮性を助長するような大きさに決められている、
単肢型呼吸回路。
【0112】
(6)実施態様5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼吸回路の流れの抵抗は、60L/分の流れにおいて、前記回路を通過する圧力降下が5cmの水以下である、単肢型呼吸回路。
(7)実施態様5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、0.65〜0.85である、単肢型呼吸回路。
(8)実施態様7に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、0.70〜0.80である、単肢型呼吸回路。
(9)実施態様5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、ほぼ0.75である、単肢型呼吸回路。
(10)実施態様7に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管の外径と前記呼気管の内径との間の大きさの違いは、0.63〜0.74cm(0.25〜0.29インチ)の間にある、単肢型呼吸回路。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の側断面図であり、伸張されている形態における、本発明の呼吸回路の一部分と、圧縮されている形態における、本発明の別の部分と、を示している。
【図2】本発明の、吸気管および呼気管の一部分の、断面の斜視図である。
【図3】端部の連結部分が除去されている、本発明の、吸気管および呼気管の、端面図である。
【図4】図3の線4−4に概ね沿う断面図である。
【図5】本発明の呼気管が製造される様式を例示するための、2個の連結されている、本発明の呼気管の、平面図である。
【図6】本発明の呼気管を構成するために用いられる金型ブロックの呼気管係合面の平面図である。
【図7】図6の金型ブロックの呼気管係合面の大幅に拡大されている部分図である。
【図8】本発明の呼吸回路における呼気管を製造するために用いられる金型ブロックの呼気管係合面の(図6に対して)拡大図である。
【図9】本発明の吸気管の製造において用いられる金型ブロックの平面図であり、この金型の吸気管係合面を示している。
【図10】本発明の吸気管を作成するために用いられる金型ブロックの吸気管係合面の一部分の大幅に拡大されている図である。
【図11】本発明の呼吸回路の患者側コネクタの斜視図である。
【図12】本発明の患者側コネクタの上面図である。
【図13】本発明の患者側コネクタの側面図であり、内側の表面を仮想線で示している。
【図14】図12の線14−14に概ね沿う断面図である。
【図15】図13の線15−15に概ね沿う断面図である。
【図16】図13の線16−16に概ね沿う断面図である。
【図17】本発明の患者側コネクタのマスク/気管内管の連結器の大幅に拡大されている部分破断図である。
【図18】本発明の患者側コネクタの患者側の端面図である。
【図19】本発明の患者側コネクタの吸気管および呼気管の受容部分の大幅に拡大されている断面図である。
【図20】本発明の患者側コネクタの端面図であり、患者側コネクタの管受容端部から見た図を概略的に示している。
【図21】患者側コネクタの呼気管把持用スパイクの寸法決めを示している、概略図である。
【図22】本発明の別の実施形態の患者側コネクタの斜視図である。
【図23】図22において示されている患者側コネクタの管受容部分から示されている場合の、本発明の患者側コネクタの端面図である。
【図24】別の実施形態の患者側コネクタの上面図であり、内表面部を仮想線で示している。
【図25】図24の線a−aに概ね沿う断面図である。
【図26】図25において示されているものと類似の位置における、図22の別の実施形態の患者側コネクタを示している、平面図であり、内表面部が仮想線で示されている。
【図27】本発明の呼吸回路の3種類のサンプルの写真図であり、回路の長さの可変性を示すために、異なっている圧縮の状態における、3種類の回路を示している。
【図28】本発明の呼気管のひだの図である。
【図29】本発明の患者側コネクタの側面図である。
【図30】延長回路型の呼吸回路の中に用いられている、本発明を示している第2の別の実施形態の呼吸回路の側断面図である。
【図31】分離されている非同軸の装置側の吸気および呼気のポートを有している、呼吸回路の中に用いられている、本発明を示している第3の別の実施形態の呼吸回路の側断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単肢型呼吸回路において、
近位端側連結部材と、
遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記吸気管の長さは、前記呼気管の長さよりも長い、単肢型呼吸回路。
【請求項2】
請求項1に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管および前記呼気管の各々が完全に伸張された位置にある時に、前記吸気管の長さは、2.5〜17.8cm(1〜7インチ)の間にある、単肢型呼吸回路。
【請求項3】
請求項1に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管の長さは、前記呼気管の長さよりも、7.62〜12.7cm(3〜5インチ)だけ長い、単肢型呼吸回路。
【請求項4】
単肢型呼吸回路において、
軸線を有する近位端側連結部材と、
軸線を有する遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記遠位端側連結部材は、前記吸気管を受容するための軸線を含む末端部分を含み、当該末端部分の軸線は、前記遠位端側連結部材の軸線から半径方向にずれている、
単肢型呼吸回路。
【請求項5】
単肢型呼吸回路において、
近位端側連結部材と、
遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部、内径、および外径を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部、内径、および外径を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、前記吸気管と前記呼気管との間の流れの抵抗を最小限にし、前記吸気管および前記呼気管の概ね線形の圧縮性および伸縮性を助長するような大きさに決められている、
単肢型呼吸回路。
【請求項6】
請求項5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼吸回路の流れの抵抗は、60L/分の流れにおいて、前記回路を通過する圧力降下が5cmの水以下である、単肢型呼吸回路。
【請求項7】
請求項5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、0.65〜0.85である、単肢型呼吸回路。
【請求項8】
請求項7に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、0.70〜0.80である、単肢型呼吸回路。
【請求項9】
請求項5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、ほぼ0.75である、単肢型呼吸回路。
【請求項10】
請求項7に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管の外径と前記呼気管の内径との間の大きさの違いは、0.63〜0.74cm(0.25〜0.29インチ)の間にある、単肢型呼吸回路。
【請求項1】
単肢型呼吸回路において、
近位端側連結部材と、
遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記吸気管の長さは、前記呼気管の長さよりも長い、単肢型呼吸回路。
【請求項2】
請求項1に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管および前記呼気管の各々が完全に伸張された位置にある時に、前記吸気管の長さは、2.5〜17.8cm(1〜7インチ)の間にある、単肢型呼吸回路。
【請求項3】
請求項1に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管の長さは、前記呼気管の長さよりも、7.62〜12.7cm(3〜5インチ)だけ長い、単肢型呼吸回路。
【請求項4】
単肢型呼吸回路において、
軸線を有する近位端側連結部材と、
軸線を有する遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、および前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記遠位端側連結部材は、前記吸気管を受容するための軸線を含む末端部分を含み、当該末端部分の軸線は、前記遠位端側連結部材の軸線から半径方向にずれている、
単肢型呼吸回路。
【請求項5】
単肢型呼吸回路において、
近位端側連結部材と、
遠位端側連結部材と、
波形の呼気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部、内径、および外径を有し、完全に圧縮された静止位置と完全に伸張された静止位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、呼気管と、
吸気管であって、前記近位端側連結部材に連結されている第1の端部、前記遠位端側連結部材に連結されている第2の端部、内径、および外径を有し、完全に圧縮された位置と完全に伸張された位置との間で伸縮可能であり、複数の中間の静止位置を有していて、外力を行使しなくても、その静止長を維持することができる、吸気管と、
を備えており、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、前記吸気管と前記呼気管との間の流れの抵抗を最小限にし、前記吸気管および前記呼気管の概ね線形の圧縮性および伸縮性を助長するような大きさに決められている、
単肢型呼吸回路。
【請求項6】
請求項5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼吸回路の流れの抵抗は、60L/分の流れにおいて、前記回路を通過する圧力降下が5cmの水以下である、単肢型呼吸回路。
【請求項7】
請求項5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、0.65〜0.85である、単肢型呼吸回路。
【請求項8】
請求項7に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、0.70〜0.80である、単肢型呼吸回路。
【請求項9】
請求項5に記載の単肢型呼吸回路において、
前記呼気管の内径に対する前記吸気管の外径の比率は、ほぼ0.75である、単肢型呼吸回路。
【請求項10】
請求項7に記載の単肢型呼吸回路において、
前記吸気管の外径と前記呼気管の内径との間の大きさの違いは、0.63〜0.74cm(0.25〜0.29インチ)の間にある、単肢型呼吸回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2007−517601(P2007−517601A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549410(P2006−549410)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/000402
【国際公開番号】WO2005/070063
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(500108666)キング システムズ コーポレイション (2)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/000402
【国際公開番号】WO2005/070063
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(500108666)キング システムズ コーポレイション (2)
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