説明

識別コード読取装置および自動分析装置

【課題】装置の維持管理を容易にすることができる識別コード読取装置およびこの識別コード読取装置を備えた自動分析装置を提供すること。
【解決手段】識別コードを撮像し、該識別コードが含まれる識別コード画像をもとに識別コード情報を読み取る識別コード読取装置において、各試薬容器51a,52aに付された各識別コード51−1,52−1の画像の光をカメラ部に向けて反射させる反射鏡14と、各識別コード51−1,52−1の画像を1つの撮像画像内の異なる所定領域に撮像するカメラ部15と、カメラ部15によって撮像された撮像画像内の各所定領域内から各識別コード51−1,52−1の画像を抽出する識別コード抽出部12と、識別コード抽出部12によって抽出された各識別コード51−1,52−1の画像をもとに各識別コード情報を読み取りデコードするデコード部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、識別コードを撮像し、該識別コードが含まれる識別コード画像をもとに識別コード情報を読み取る識別コード読取装置およびこの識別コード読取装置を備えた自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、反応容器に試薬と検体とを分注し、この反応容器内で生じた反応を光学的に検出することによって、検体の分析等を行う自動分析装置が知られている。このような自動分析装置では、試薬が収容される試薬容器に試薬名等の試薬情報をコード化した識別コードを付し、識別コードを光学的に読み取る識別コード読取装置を備え、この識別コード読取装置によって、識別コード情報を読み取ることで、試薬容器に収容された試薬の試薬名等の情報を取得するようにしている。
【0003】
しかし、従来の自動分析装置に用いられる識別コード読取装置では、試薬容器が収納される試薬庫毎に識別コード読取装置を設置していた。たとえば、試薬庫が2つ有る場合、識別コード読取装置を2台設置し、1つの自動分析装置で、2つの識別コード読取装置の維持管理を行う必要があり、装置の維持管理に手間がかかるという問題があった。このため、1台の識別コード読取装置によって2つの試薬庫のそれぞれに収納された試薬容器の識別コード情報が読み取れるようにしたものがあった。
【0004】
例えば、特許文献1には、自動分析装置の2つの試薬庫のそれぞれに収納された試薬容器の識別コードを一定角度で反射する反射部と、この反射部を回転駆動する駆動部と、この反射部によって反射した識別コードの反射光から識別コード情報を読み取る識別コード読取部とを備えた識別コード読取装置が記載されている。この識別コード読取装置では、反射部を駆動させ、2つの試薬庫に収納された試薬容器の識別コードを交互に識別コード読取部に反射させることによって、2つの試薬庫に収納された試薬容器の識別コードを1台の識別コード読取装置で読み取っている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−89277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された自動分析装置に用いられる識別コード読取装置は、2つの試薬庫に収納された試薬容器の識別コードから識別コード情報を読み取る際に反射部を回転駆動させているため、駆動部に負荷がかかり、この駆動部に負荷がかかることによって駆動部が故障し易くなり、結果として、装置の維持管理に手間がかかってしまうという問題点があった。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置の維持管理を容易にすることができる識別コード読取装置および自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる識別コード取装置は、識別コードを撮像し、該識別コードが含まれる識別コード画像をもとに識別コード情報を読み取る識別コード読取装置において、複数の前記識別コード画像を1つの撮像画像内の異なる所定領域に撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された撮像画像内の各所定領域内から各識別コード画像を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された各識別コード画像をもとに各識別コード情報を読み取る読取手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる識別コード取装置は、上記の発明において、前記撮像手段は、異なる位置および/または異なる表示方向に配置された各識別コードの各識別コード画像が各所定領域に映し出されるように各識別コード画像光を反射する反射手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる識別コード取装置は、上記の発明において、各識別コード画像の光路を覆い、外部光を遮光する遮光手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる識別コード取装置は、上記の発明において、前記撮像手段は、各識別コードを照明する照明手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる識別コード取装置は、上記の発明において、前記撮像手段による撮像時に前記照明手段の点灯を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる自動分析装置は、上記の識別コード読取装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記識別コードは、複数の試薬庫内の各試薬容器の外周側側面に付され、前記撮像手段は、各試薬庫の側面に設けられた識別コード読取窓および各試薬庫間に設けられた前記反射手段を介して各識別コード画像を撮像することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記識別コードは、複数の試薬庫内の各試薬容器の上部平面に付され、前記遮光手段は、各試薬庫側と各試薬庫外部との間を結合する結合部を有し、各試薬庫側の遮光手段は、各試薬庫の開閉自在な上部蓋部内に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明にかかる識別コード読取装置は、撮像手段が、複数の識別コード画像を1つの撮像画像内の異なる所定領域に撮像し、抽出手段が、前記撮像手段によって撮像された撮像画像内の各所定領域内から各識別コード画像を抽出し、読取手段が、前記抽出手段によって抽出された各識別コード画像をもとに各識別コード情報を読み取るようにしているので、複数の識別コードを読み取る場合であっても、回転機構などの駆動部をもたなくてよいため故障が少なくなる。従って、装置の維持管理を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、この発明にかかる識別コード読取装置および自動分析装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかる識別コード読取装置を適用した自動分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、この実施の形態1にかかる自動分析装置100は、測定部101と、制御装置102とを有する。測定部101は、検体および試薬を反応容器40a内にそれぞれ分注し、反応容器40aで生じる反応を光学的に測定する。制御装置102は、測定部101を含む自動分析装置100全体の制御を行うとともに測定部101における測定結果の分析を行う。自動分析装置100は、これら各部が連携することによって複数の試料としての検体の生化学分析を順次自動的に行う。また、自動分析装置100は、識別コード読取装置によって、各試薬容器51a,52aに付された識別コード情報を読み取って、各試薬容器51a,52aに収容された試薬の試薬名等の情報を取得する。
【0019】
まず、測定部101について説明する。測定部101は、検体供給部30と、反応槽40と、第1試薬庫51と、第2試薬庫52と、検体分注機構60と、第1試薬分注機構71と、第2試薬分注機構72と、第1攪拌部81と、第2攪拌部82と、測光部90と、洗浄部91とを有する。
【0020】
検体供給部30は、血液等の液体の検体を収容した複数の検体容器30aを保持し、図中の矢印方向に順次移送される複数の検体ラック30bを有する。検体供給部30上の分注位置に移送された検体容器30a内の検体は、検体分注機構60によって、反応容器40aに分注される。
【0021】
反応槽40は、保温部材41と、ホイール42とを有する。保温部材41は、ホイール42の半径方向内側と外側とに配置され、測光部90より出射された測定光が照射される位置に測光用の開口部44が形成される。この反応槽40は、図示しない円盤状の蓋によって覆われており、保温部材41とともに、内部の温度を体温程度の温度に保温する保温槽を構成している。また、ホイール42は、複数の反応容器40aを保持し、図示しない駆動機構によって保温部材41と一体的に回転して反応容器40aを周方向に移送する。
【0022】
第1試薬庫51は、反応容器40a内に分注される2種類の試薬のうち、最初に分注される第1試薬が収容された複数の試薬容器51aを着脱自在に収納できる複数の収納室51bと、複数の収納室51bの上部を覆う図示しない開閉自在な蓋とを有している。また、第1試薬庫51の側面は、試薬容器51aの外部側面に付された識別コード51−1(図2参照)の識別コード情報を、反射鏡14を介してカメラ部15で撮像して読み取るための読取窓51cを有する。読取窓51cは、光が透過可能なガラスや合成樹脂等で構成される。第1試薬庫51は、制御装置102の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、第1試薬庫51の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器51aを、第1試薬分注機構71の試薬吸引位置まで移送し、または、読取窓51c近傍である識別コード情報の読取位置まで移送する。なお、反射鏡14およびカメラ部15は、撮像手段として機能する。
【0023】
第2試薬庫52は、反応容器40a内に分注される2種類の試薬のうち、第1試薬の次に分注される第2試薬が収容された試薬容器52aを着脱自在に複数収納できる複数の収納室52bと、複数の収納室52bの上部を覆う図示しない開閉自在な蓋とを有している。また、第2試薬庫52の側面は、試薬容器51aと同様に試薬容器52aに付された識別コード52−1の識別コード情報を読み取るための読取窓52cを有する。第2試薬庫52は、制御装置102の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、第2試薬庫52の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器52aを、第2試薬分注機構72の試薬吸引位置まで移送し、または、識別コード情報の読取位置まで移送する。なお、この実施の形態1では、識別コードとして1次元のバーコードを用いているが、これに限らず、2次元コードを用いてもよい。要は、識別コード読取装置による情報の読み取りができる識別コードであればよい。
【0024】
反射鏡14は、撮像手段の反射手段として機能し、図3に示すように、読取窓51cを通り、識別コード51−1の画像をカメラ部15側に反射させる平面鏡と、読取窓52cを通り、識別コード52−1の画像をカメラ部15側に反射させる平面鏡との2つの平面鏡を有する。このため、反射鏡14は、読取窓51cおよび読取窓52cの間に設けられる。反射鏡14は、第1試薬庫51および第2試薬庫52のそれぞれの識別コード情報の読取位置に移送された各試薬容器51a,52aに付された各識別コード51−1,52−1の画像の光L1,L2であって、各読取窓51c,52cを透過した各光L1,L2を、カメラ部15に向けて反射させる。カメラ部15は、各識別コード51−1,52−1の画像を1つの撮像画像(撮像領域)内の異なる所定領域に撮像するようにしている。すなわち、1つの撮像画像内に同時に各識別コード51−1,52−1の画像が撮像できるようにしている。なお、反射鏡14は2つの平面鏡を有するようにしていたが、これに限らず、最終的な各識別コード画像が読みやすいように光学的な修正を含めて反射するようにしてもよく、たとえば凹面鏡や凸面鏡などに適宜変更してもよい。
【0025】
各識別コード情報の読取位置近傍、たとえば各読取窓51c,52c近傍には、各識別コード51−1,52−1を照明する照明手段としての発光ダイオード29が、それぞれ配置されている。なお、発光ダイオード29に替えて白色電球を用いてもよい。
【0026】
カメラ部15は、上述したように、各識別コード51−1,52−1の画像の光L1,L2を、1つの撮像領域内の異なる領域で一括して撮像できる位置に配置されている。
【0027】
図1において、検体分注機構60は、検体の吸引および吐出を行うプローブ60bが先端部に取り付けられたアーム60aを有する。アーム60aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。検体分注機構60は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を有する。検体分注機構60は、上述した検体供給部30の所定位置に移送された検体容器30a内からプローブ60bによって検体を吸引し、アーム60aを図中時計回りに旋回させ、反応槽40上の検体吐出位置に搬送された反応容器40aに、検体を吐出して分注を行う。各検体の分注終了後、プローブ60bは、洗浄槽60cで洗浄され、繰り返し検体の分注に使用される。
【0028】
第1試薬分注機構71は、第1試薬の吸引および吐出を行うプローブ71bが先端部に取り付けられたアーム71aを有する。アーム71aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。第1試薬分注機構71は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を有する。第1試薬分注機構71は、第1試薬庫51上の所定位置に移動された試薬容器51a内の第1試薬をプローブ71bによって吸引し、アーム71aを図中時計回りに旋回させ、反応槽40上の所定位置に搬送された反応容器40aに、第1試薬を吐出して分注を行う。第1試薬の分注終了後、プローブ71bは、洗浄部71cで洗浄され、繰り返し第1試薬の分注に使用される。
【0029】
第2試薬分注機構72は、第1試薬分注機構71と同様に、第2試薬の吸引および吐出を行うプローブ72bが先端部に取り付けられたアーム72aと、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を有し、第2試薬庫52上の所定位置に移動された試薬容器52a内の第2試薬をプローブ72bによって吸引後、反応槽40上の所定位置に搬送された反応容器40aに、第2試薬を吐出して分注を行う。第2試薬の分注終了後、プローブ72bは、洗浄部72cで洗浄され、繰り返し第2試薬の分注に使用される。
【0030】
第1攪拌部81は、反応容器40aに分注された第1試薬と検体との混合液の攪拌を行い、反応を促進させる。また、第2攪拌部82は、反応容器40aに分注された第1試薬、検体および第2試薬の混合液の攪拌を行い、反応を促進させる。各攪拌棒81a,82aは、各々の中心を軸中心として回転可能に構成されており、反応容器40aに分注された検体と試薬とを攪拌して反応させる。
【0031】
測光部90は、所定の測定位置に移送された反応容器40aに光源から測定光を照射し、反応容器40a内の検体と試薬との混合液を透過した光を分光し、受光素子による各波長光の強度測定を行うことによって、分析対象である検体と試薬との混合液に特有の波長の吸光度を測定する。光源90aは、試薬と検体とが反応した反応容器40a内の混合液を分析するための測定光を出射する。測光センサ90bは、光源90aから出射され、開口部44を通って反応容器40a内の反応液を透過した光束を測光する。
【0032】
洗浄部91は、図示しないノズルによって、測光部90による測定が終了した反応容器40a内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行う。
【0033】
つぎに、制御装置102について説明する。制御装置102は、制御部110と、入力部120と、分析部130と、記憶部140と、出力部150とを有する。測定部101および制御装置102が備えるこれらの各部は、制御部110に接続されている。
【0034】
制御部110は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置100の各部の処理および動作を制御する。制御部110は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。制御部110は、カメラ部15による撮像を制御するカメラ制御部11と、カメラ部15によって撮像された1つの撮像画像からそれぞれ異なる領域に撮像された各識別コード51−1,52−1の画像を抽出する抽出手段としての識別コード抽出部12と、識別コード抽出部12によって抽出された各識別コード51−1,52−1の画像から各識別コード情報にデコードする読取手段としてのデコード部13とを有する。また、制御部110は、読み取った識別コード情報とこの識別コード情報を読み取った試薬容器51a,52aが収納された収納室51b,52bの位置とを対応付けて記憶部140に記憶する。記憶部140に記憶されたこれらの情報は、入力部120からの指示によって出力部150に表示すること等によって試薬管理や試薬容器51a,52aの有無の確認等に利用される。
【0035】
入力部120は、キーボード、マウス、入出力機能を兼ねたタッチパネル式表示画面等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を取得する。入力部120は、図示しない通信ネットワークを介し、外部装置から検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を取得してもよい。
【0036】
分析部130は、測光部90によって測定された測定結果をもとに、検体内における検出対象物の濃度を求め、検体の成分分析等を行う。
【0037】
記憶部140は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置100が処理を実行する際にこの処理にかかわる各種プログラムをハードディスクから読み出して電気的に記憶するメモリとを有する。記憶部140は、分析部130によって演算された吸光度等を含む情報を記憶する。記憶部140は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。また、記憶部140は、読み取った識別コード情報とこの識別コード51−1,52−1に対応する収納室51b,52bの位置とを対応付けた情報を記憶する。
【0038】
出力部150は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を有し、吸光度、検体の分析結果等を出力する。また、出力部150は、図示しない通信ネットワークを介し、外部装置に吸光度、検体の分析結果等を出力してもよい。
【0039】
以上のように構成された自動分析装置100では、順次搬送される複数の反応容器40aに対して、第1試薬分注機構71が、試薬容器51aから反応容器40aに第1試薬を分注し、検体分注機構60が、検体容器30aから反応容器40aに所定量の検体を分注する。続いて、第1攪拌部81が、反応容器40a内の第1試薬と検体とを撹拌して反応させた後、測光部90が、第1試薬と検体との混合液の吸光度測定を行う。また、必要に応じて第2試薬分注機構72が、試薬容器52aから反応容器40aに第2試薬を分注する。続いて、第2攪拌部82が、反応容器40a内の第1試薬、検体および第2試薬の混合液を撹拌して反応させた後、測光部90が、第1試薬と検体と第2試薬との混合液の吸光度測定を行う。そして、分析部130が、測定結果を分析し、検体の成分分析等を自動的に行う。また、洗浄部91が、測光部90による測定が終了した反応容器40aの洗浄・乾燥を行い、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0040】
ここで、制御部110は、入力部120から任意に指示された識別コード情報読取処理開始信号が入力された場合、あるいは制御部110内で予め設けられた識別コード情報読取処理を定期的に行わせる制御プログラムから識別コード情報読取処理開始信号を受け付けた場合、識別コード情報読取処理を行う。この識別コード情報読取処理は、制御部110が、所望する、あるいは全ての試薬容器51aおよび試薬容器52aを順次識別コード情報読取位置に移送させ、反射鏡14に映し出された像をカメラ部15によって撮像させ、撮像された画像を記憶部140に記憶させる。続いて、識別コード抽出部12は、カメラ部15によって撮像された画像を記憶部140から読み出し、図4に示すように、撮像された画像領域A内の異なる領域である識別コード抽出領域B−1,B−2から、試薬容器51aおよび試薬容器52aそれぞれの固定された位置に付与された各識別コード51−1,52−1の画像を抽出する。デコード部13は、識別コード抽出部12によって抽出された各識別コード51−1,52−1の画像をデコードし、各識別コード情報を読み取る。制御部110は、この読み取った識別コード情報と識別コード情報が読み取られた試薬容器51a,52aが収納された収納室51b,52bの位置とを対応付けて記憶部140に記憶する。このとき、試薬容器51a,52aが収容されていない収納室51b,52bは、識別コード51−1,52−1の画像が抽出されないので、制御部110は、この収納室51b,52bの位置を試薬容器51a,52aが未収容として記憶部140に記憶する。なお、図4では、画像領域A内で各識別コード51−1,52−1を含む画像が重複しないように撮像されているが、各識別コード抽出領域B−1,B−2が重複しなければ、他の領域は重複していてもよい。
【0041】
つぎに、図5に示すフローチャートを参照して、制御部110による識別コード情報読取処理手順を説明する。まず、制御部110は、試薬容器51aおよび試薬容器52aを識別コード情報読取位置に移送する(ステップS101)。次に、カメラ制御部11は、反射鏡14の各平面鏡によってそれぞれ映し出された各識別コード51−1,52−1を1つの画像領域A内の異なる識別コード抽出領域B−1,B−2に収まるように撮像し(ステップS102)、撮像した画像を記憶部140に記憶する。次に、識別コード抽出部12は、撮像した画像の各識別コード抽出領域B−1,B−2から、各識別コード51−1,52−1の画像をそれぞれ抽出する(ステップS103)。次に、デコード部13は、抽出された各識別コード51−1,52−1の画像をデコードして各識別コード情報を読み取り(ステップS104)、制御部110は、読み取られた識別コード情報と、この識別コード情報が読み取られた試薬容器51a,52aが収納される収納室51b,52bの位置とを対応付けて記憶部140に記憶する(ステップS105)。次に、制御部110は、第1試薬庫51および第2試薬庫52の全収納室51b,52bに対応した識別コード情報の記憶が完了したか否かを判断する(ステップS106)。全収納室51b,52bに対応した識別コード情報の読み取りが完了していない場合(ステップS106:No)、制御部110は、ステップS101に移行して上述した処理を繰り返す。一方、全収納室51b,52bに対応した識別コード情報の読み取りが完了した場合(ステップS106:Yes)、制御部110は、本処理を終了する。
【0042】
この実施の形態1では、1つの画像領域A内の異なる識別コード抽出領域B−1,B−2に、それぞれ異なる第1試薬庫51および第2試薬庫52の各試薬容器51a,52aに付された識別コード51−1および識別コード52−1を撮像し、抽出して各識別コード情報を読み取るようにしているので、1つの自動分析装置100内に2つの第1試薬庫51および第2試薬庫52がある場合であっても、1つのカメラ部15と反射鏡14とを設けるのみでよく、しかも回転機構などの駆動部もないため故障が少なく、自動分析装置100の維持管理が容易になる。
【0043】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、各試薬容器51a,52aの外部側面に各識別コード51−1,52−1が付され、この識別コード51−1および識別コード52−1それぞれを各読取窓51c,52cを介して読み取るようにしていたが、この実施の形態2では、各試薬容器51a,52aの上部平面に各識別コード51−1,52−1が付された場合であっても、各識別コード51−1,52−1を読み取ることができるようにしている。
【0044】
図6は、この発明の実施の形態2にかかる識別コード読取装置を適用した自動分析装置の試薬庫の要部断面図である。また、図7は、図6に示した識別コード読取装置を適用した場合の自動分析装置の制御装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、この識別コード読取装置は、各識別コード51−1,52−1とカメラ部15との間の各識別コード51−1,52−1の画像の光L1,L2の光路を覆い、外部光を遮光する遮光手段として機能する鏡筒24が新たに設けられる。鏡筒24は、パイプ状部材をT字型にした形状であり、各識別コード51−1,52−1側端部には、反射鏡25−1,25−2がそれぞれ設けられ、さらにT字の結合部分に各反射鏡25−1,25−2からの各画像の光L1,L2をカメラ部15にそれぞれ反射させる反射鏡14が設けられる。なお、鏡筒24は、第1試薬庫51および第2試薬庫52の各側壁を貫通して設けられる。また、鏡筒24の各識別コード51−1,52−1側端部には、各識別コード画像の光L1,L2を取り込む開口部26−1,26−2がそれぞれ形成される。さらに、各識別コード51−1,52−1の近傍には、それぞれ発光ダイオード29−1,29−2がそれぞれ設けられる。
【0045】
各識別コード51−1,52−1の画像の光L1,L2は、図6に示すように、各発光ダイオード29−1,29−2によって発せられた光であって、各識別コード51−1,52−1に反射してから、各開口部26−1,26−2から取り込まれ、各反射鏡25−1,25−2によって反射鏡14に向けて反射された後、反射鏡14によってカメラ部15に向けて反射される。
【0046】
また、この実施の形態2では、制御装置103の制御部111は、図7に示すように、各発光ダイオード29−1,29−2の点灯および消灯を制御する照明制御部16を有している。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0047】
照明制御部16は、試薬容器51aおよび試薬容器52aが、識別コード情報の読取位置に移送されると、各発光ダイオード29−1,29−2を点灯させ、記憶部140への識別コード情報の記憶処理が完了すると、各発光ダイオード29−1,29−2を消灯させる制御をする。なお、記憶部140への識別コード情報の記憶処理が完了すると、各発光ダイオード29−1,29−2を消灯させるものを例示したが、これに限らず、少なくとも、カメラ部15による撮像時に各発光ダイオード29−1,29−2を点灯させればよい。例えば、カメラ部15による撮像が完了すると各発光ダイオード29−1,29−2を消灯させるようにしてもよい。
【0048】
つぎに、図8に示すフローチャートを参照して、制御部111による識別コード情報読取処理手順を説明する。まず、制御部111は、試薬容器51aおよび試薬容器52aを識別コード情報読取位置に移送する(ステップS201)。次に、照明制御部16は、発光ダイオード29−1および発光ダイオード29−2を点灯する(ステップS202)。これにより、各識別コード51−1,52−1が各発光ダイオード29−1,29−2の発する光によって照明される。次に、カメラ制御部11は、反射鏡14の各平面鏡によってそれぞれ映し出された各識別コード51−1,52−1を1つの画像領域A内の異なる識別コード抽出領域B−1,B−2に収まるように撮像し(ステップS203)、撮像した画像を記憶部140に記憶する。次に、識別コード抽出部12は、撮像した画像の各識別コード抽出領域B−1,B−2から、各識別コード51−1,52−1の画像をそれぞれ抽出する(ステップS204)。次に、デコード部13は、抽出された各識別コード51−1,52−1の画像をデコードして各識別コード情報を読み取り(ステップS205)、制御部111は、読み取られた識別コード情報と、この識別コード情報が読み取られた試薬容器51a,52aが収納される収納室51b,52bとを対応付けて記憶部140に記憶する(ステップS206)。次に、照明制御部16は、各発光ダイオード29−1,29−2を消灯し(ステップS207)。次に、制御部111は、第1試薬庫51および第2試薬庫52の全収納室51b,52bに対応した識別コード情報の記憶処理が完了したか否かを判断する。(ステップS208)。全収納室51b,52bに対応した識別コード情報の読み取りが完了していない場合(ステップS208:No)、制御部111は、ステップS201に移行して上述した処理を繰り返す。一方、全収納室51b,52bに対応した識別コード情報の読み取りが完了した場合(ステップS208:Yes)、制御部111は、本処理を終了する。
【0049】
この実施の形態2の識別コード読取装置によれば、実施の形態1と同様に、1つの画像領域A内の異なる識別コード抽出領域B−1,B−2に、それぞれ異なる第1試薬庫51および第2試薬庫52の各試薬容器51a,52aに付された各識別コード51−1,52−1を撮像し、抽出して各識別コード情報を読み取るようにしているので、1つの自動分析装置内に2つの第1試薬庫51および第2試薬庫52がある場合であっても、1つのカメラ部15と反射鏡14とを設けるのみでよく、しかも回転機構などの駆動部もないため故障が少なく、自動分析装置の維持管理が容易になる。
【0050】
また、この実施の形態2では、鏡筒24が、各発光ダイオード29−1,29−2から発せられた各識別コードの画像の光L1,L2の光路を外部光から遮光しているため、各発光ダイオード29−1,29−2から発せられた光に対してのみカメラ部15の露出を制御することが可能となる。すなわち、カメラ部15の露出を固定することが可能となるため、撮像時間を短縮することができる。従って、識別コード情報の読み取り時間を短縮することができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態2では、照明制御部16によって、各発光ダイオード29−1,29−2の点灯および消灯を制御するものを例示したが、これに限らず、少なくとも、カメラ部15によって撮像する時に識別コード51−1,52−1を照明できればよい。例えば、発光ダイオード29−1,29−2を常時点灯するようにしてもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態2では、鏡筒24が、第1試薬庫51および第2試薬庫52の各側壁を貫通するものを例示したが、これに限らず、図9に示すように、鏡筒24が、各試薬庫51,52側と各試薬庫51,52外部との間を結合する結合部27を有し、各試薬庫51,52側の鏡筒24は、各試薬庫51,52上部の開閉自在な各蓋51d,52dの内部に設けられ、各蓋51d,52dの開閉に伴い、鏡筒24が結合部27を介して、分離および結合するようにしてもよい。この場合、各試薬容器51a,52aの交換作業等を容易に行うことができる。
【0053】
また、上述した実施の形態1,2では、反射鏡14を介して、各識別コード51−1,52−1の画像を1つの画像領域A内の異なる識別コード抽出領域B−1,B−2に撮像するものを例示したが、これに限らず、回転機構などの駆動部を用いずに、各識別コード51−1,52−1の画像を1つの画像領域A内の異なる識別コード抽出領域B−1,B−2に撮像できればよい。例えば、図10に示すように、各読取窓51c,52cをカメラ部15に向けて配置し、かつカメラ部15に広角レンズ17を適用することによって、反射鏡14を介さずに、各識別コード51−1,52−1を画像領域A内の異なる識別コード抽出領域B−1,B−2に撮像してもよい。
【0054】
また、上述した実施の形態1,2では、2つの識別コード51−1,52−1を、読み取るものを例示したが、これに限らず、複数の識別コードの画像を1つの画像領域A内の異なる所定領域に撮像し、抽出して複数の識別コード情報を読み取れればよい。例えば、1つの画像領域A内の異なる3つの識別コード抽出領域に、それぞれ異なる3つの試薬庫の各試薬容器に付された3つの識別コードを撮像し、抽出して3つの識別コード情報を読み取るようにしてもよい。
【0055】
また、上述した実施の形態2では、各試薬容器51a,52aの上部平面に各識別コード51−1,52−1が付された場合に、各識別コード51−1,52−1とカメラ部15との間の識別コード画像光の光路を覆い、外部光を遮光する遮光手段として機能する鏡筒24が設けられるものを例示したが、これに限らず、各識別コード51−1,52−1とカメラ部15との間の識別コード画像光の光路を覆えればよい。例えば、実施の形態1の各試薬容器51a,52aの外部側面に付された各識別コード51−1,52−1とカメラ部15との間の識別コード画像光の光路を鏡筒24で覆うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる識別コード読取装置を適用した自動分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示した試薬容器の斜視図である。
【図3】図1に示した識別コード読取装置を適用した自動分析装置の識別コード読取装置を含む試薬庫の周辺部分を示す図である。
【図4】カメラ部が撮像した所定領域の画像から識別コードを抽出することを説明する説明図である。
【図5】図1に示した制御部が実施する識別コード情報読取処理の内容を示したフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2にかかる識別コード読取装置を適用した自動分析装置の要部断面図である。
【図7】図6に示した識別コード読取装置を適用した自動分析装置の制御装置を示すブロック図である。
【図8】図7に示した制御部が実施する識別コード情報読取処理の内容を示したフローチャートである。
【図9】図6に示した識別コード読取装置を適用した自動分析装置の変形例の要部断面図である。
【図10】図1に示した識別コード読取装置を適用した自動分析装置の変形例の識別コード読取装置を含む試薬庫の周辺部分を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
11 カメラ制御部
12 識別コード抽出部
13 デコード部
14,25−1,25−2 反射鏡
15 カメラ部
16 照明制御部
17 広角レンズ
24 鏡筒
27 結合部
29,29−1,29−2 発光ダイオード
30 検体供給部
30a 検体容器
30b 検体ラック
40 反応槽
40a 反応容器
41 保温部材
42 ホイール
44 開口部
51 第1試薬庫
52 第2試薬庫
51a,52a 試薬容器
51b,52b 収納室
51c,52c 読取窓
51d,52d 蓋
51−1,52−1 識別コード
60 検体分注機構
60a,71a,72a アーム
60b,71b,72b プローブ
60c,71c,72c 洗浄槽
71 第1試薬分注機構
72 第2試薬分注機構
81 第1攪拌部
82 第2攪拌部
81a,82a 攪拌棒
90 測光部
90a 光源
90b 測光センサ
91 洗浄部
100 自動分析装置
101 測定部
102,103 制御装置
110,111 制御部
120 入力部
130 分析部
140 記憶部
150 出力部
A 領域
B−1,B−2 識別コード抽出領域
L1,L2 光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別コードを撮像し、該識別コードが含まれる識別コード画像をもとに識別コード情報を読み取る識別コード読取装置において、
複数の前記識別コード画像を1つの撮像画像内の異なる所定領域に撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された撮像画像内の各所定領域内から各識別コード画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された各識別コード画像をもとに各識別コード情報を読み取る読取手段と、
を備えたことを特徴とする識別コード読取装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、異なる位置および/または異なる表示方向に配置された各識別コードの各識別コード画像が各所定領域に映し出されるように各識別コード画像光を反射する反射手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の識別コード読取装置。
【請求項3】
各識別コード画像の光路を覆い、外部光を遮光する遮光手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の識別コード読取装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、各識別コードを照明する照明手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の識別コード読取装置。
【請求項5】
前記撮像手段による撮像時に前記照明手段の点灯を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の識別コード読取装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の識別コード読取装置を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
前記識別コードは、複数の試薬庫内の各試薬容器の外周側側面に付され、
前記撮像手段は、各試薬庫の側面に設けられた識別コード読取窓および各試薬庫間に設けられた前記反射手段を介して各識別コード画像を撮像することを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記識別コードは、複数の試薬庫内の各試薬容器の上部平面に付され、
前記遮光手段は、各試薬庫側と各試薬庫外部との間を結合する結合部を有し、
各試薬庫側の遮光手段は、各試薬庫の開閉自在な上部蓋部内に設けられることを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−198266(P2009−198266A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39349(P2008−39349)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】