説明

警告システムを備えたポータブル装置および方法

本発明は、画像またはテキスト情報を出力するためのディスプレイと、検出システム(5)と、出力ユニット(2,3,11)とを備える、情報を表示するためのポータブル装置、とりわけ携帯電話に関する。前記検出システム(5)は、前記ポータブル装置(1)のオブジェクト(13)への接近を識別するよう構成されており、前記オブジェクト(13)に対する所定の接近時、とりわけ所定の間隔において、前記出力ユニット(2,3,11)によって信号を出力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の、情報を表示するためのポータブル装置、および請求項11に記載の、情報を出力するための方法に関する。
【0002】
近年例えば携帯電話のようなポータブル装置や、例えばMP3プレイヤー、PDA、ナビゲーション装置のようなポータブル装置のために、例えばSMS、ゲームアプリケーション、写真、動画、および距離測定のような種々異なる付加機能が発達している。
【0003】
結果として歩行者の側にはどこにでもポータブル装置が存在しており、使用されているということは明らかである。モバイルアプリケーションに集中するせいで注意が散漫になり、道路交通における安全性に対する歩行者の注意力が低下することによって事故はますます増えている。
【0004】
本発明の課題は、情報を表示するためのポータブル装置を改善し、情報を出力するための方法を改善することである。
【0005】
本発明の課題は、請求項1に記載のポータブル装置および請求項11に記載の方法によって解決される。
【0006】
本発明の利点は、ポータブル装置のユーザがオブジェクトへの接近時に警告されることにある。このことは、ポータブル装置のオブジェクトへの接近を識別して信号を出力する検出システムを設けることによって達成される。このようにしてポータブル装置のユーザの安全性が増加する。
【0007】
本発明の別の有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【0008】
ポータブル装置は例えば携帯電話、ナビゲーション装置、ビデオ装置、MP3プレイヤー、またはPDAとすることができる。
【0009】
選択した実施形態に応じて、例えばオブジェクトへの所定の間隔、またはオブジェクトに関する衝突進路を検出し、警告信号の出力のために使用することができる。
【0010】
動きを識別するために慣性センサを使用することができる。このようにして、動きまたは動き方向を正確に識別するために公知のシステムを使用することができる。
【0011】
別の1つの実施形態においては、検出システムは、超音波ユニット、赤外線ユニット、光ユニット、またはレーダーユニットを有しており、これらのユニットによってオブジェクトへの距離を測定することができる。
【0012】
別の1つの実施形態においては、検出システムはカメラおよび画像評価装置を有しており、これらを用いてオブジェクトへの接近を検出することができる。このようにして例えば携帯電話に既に組み込まれているカメラを、付加的にオブジェクトへの接近を識別するために使用することができる。したがってさほど大きな付加コストは生じない。
【0013】
別の1つの実施形態においては、検出システムは、デジタルマップおよび位置決定システムを有する。デジタルマップを用いてオブジェクトの位置を検出し、オブジェクトに対するポータブル装置の相対位置を算出することができる。このシステムを用いても、オブジェクトへの接近を簡単かつ精確に算出することができる。
【0014】
別の1つの実施形態においては、検出システムは歩行測定システムを有しており、この歩行測定システムによってポータブル装置のユーザの歩みを算出し、ひいてはポータブル装置の動きを簡単に算出することができる。
【0015】
別の1つの実施形態においては、この装置は視覚障害者を支援するために使用され、オブジェクトに対する警告が視覚障害者の動きに対する安全性を付加的に改善する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、光学的および/または音響的情報を出力するためのポータブル装置の概略図である。
【図2】図2は、ポータブル装置を使用する歩行者を示す図である。
【0017】
図1はポータブル装置1の概略図である。ポータブル装置は、光学的および/または音響的情報を表示および出力するために使用される。ポータブル装置は例えば携帯電話、MP3プレイヤー、PDA(携帯情報端末)、ナビゲーション装置、ビデオ装置、または視覚障害者を支援するための装置の形態で構成することができる。ポータブル装置1は、実施形態に応じて実施形態の相応の電子部材および機械部材を有する。例えばポータブル装置1は、ディスプレイ2、スピーカ3、データ・プログラムメモリ4、検出システム5、キーボード6、カメラ7、慣性センサシステム8、距離測定システム9、スピーカ10、および/または、振動発生器11を有することができる。ディスプレイ2を用いて例えばコンピュータゲーム、SMSテキスト、ナビゲーション情報、写真、動画、距離測定情報のようなビデオ情報を出力することができる。さらにスピーカ10を用いて例えば音楽または音声出力のような音響情報を出力することができる。
【0018】
検出システム5は、ポータブル装置1がオブジェクト、例えば建築物または街灯の支柱、または道路、または自動車に接近するのを検出するために使用される。この接近は、例えばオブジェクトとポータブル装置と間隔が所定の間隔を下回ることとすることができる。このことは例えば距離測定システム9を用いてチェックすることができる。距離測定システムは、ポータブル装置1とオブジェクトとの間の間隔を検出する例えば超音波システム、赤外線システム、光システム、またはレーダーシステムの形態で構成することができる。検出システム5が、ポータブル装置1とオブジェクトとの間隔が所定の間隔よりも小さいことを識別すると、例えば音響信号および/または光学信号および/または振動発生器11による振動信号のような警告信号が出力される。
【0019】
この間隔は必ずしも精確に決定する必要はない。さらには、危機的な周囲状況が識別されれば十分であるとすることができる。このためには例えば光学的な接近スイッチを使用することができる。
【0020】
別の1つの実施形態においては、検出システム5は、周囲画像を撮影するカメラ7を使用することができる。さらに検出システム5は、この実施形態においては、カメラ7によって撮影された画像に基づいて例えば建築物、道路、街灯の支柱、木、他人、自動車などといったオブジェクトへの接近を識別する画像評価ユニットと接続されている。このために画像評価ユニットはオブジェクトを自力で検出し、オブジェクトのサイズの変化に基づいて接近を決定することができる。接近とは、所定の間隔ならびにオブジェクトへの所定の衝突進路であると理解されたい。検出システム5が、オブジェクトに関する衝突進路が存在するまたはオブジェクトへの所定の間隔が下回っていると識別した場合には、音響信号、光学信号、または振動信号が出力される。衝突進路は、ポータブル装置1がオブジェクトの方向に移動しており、かつ所定の最低距離を下回った場合に存在する。
【0021】
例えばポータブル装置1の動きおよび動き方向を算出するために、慣性センサシステム8を使用することができる。慣性センサシステム8は、動き方向および動き加速度を検出するか、または、ポータブル装置1が歩行中に使用されているのか否かを決定する(歩行識別)。
【0022】
別の1つの実施形態においては、検出システム5は例えばGPSのような位置決定システムを有する。位置決定システムによってポータブル装置1の位置および動き方向および動きを検出することができる。さらにデータ・プログラムメモリ4にはデジタルマップを格納しておくことができる。デジタルマップは位置決定の修正および/またはオブジェクト位置の決定のために使用される。例えばデジタルマップには道路や建築物の位置が格納されており、道路への接近または建築物への接近をデジタルマップのデータに基づいて検出し、注意喚起のためのリマインド信号を警告することができる。
【0023】
別の1つの実施形態においては、検出システムは、ポータブル装置1の動きをユーザの歩みに基づいて識別する歩行測定システムを有することができる。リマインダ機能は歩行中にしか興味を持たれないことが多い。
【0024】
検出システム5の種々の実施形態の信号および測定値は、オブジェクトへの接近を算出するために、部分システムの形態または全体システムの形態で互いに組み合わせることができる。
【0025】
例えばデジタルマップのオブジェクトの関するデータを使用して、画像識別を用いて接近を改善することができる。さらには位置決定ユニットのデータを使用して、慣性センサシステム8の信号を考慮してポータブル装置1の位置を改善することができる。さらにデジタルマップのデータを距離測定システム9の信号と組み合わせて、オブジェクトへの接近に関してより精確な予測を得ることができる。
【0026】
上に述べたポータブル装置は、ポータブル装置がオブジェクトに接近した場合、とりわけ所定の距離を下回って接近した場合、またはオブジェクトへの衝突進路が存在する場合に、視覚障害者に付加的に警告信号を供給するためにも特に適している。
【0027】
図2は、人12がポータブル装置1を携帯している状況を示しており、ここではポータブル装置1は音響的および/または光学的情報を出力する。さらにポータブル装置1は、街灯の支柱の形態で構成されているオブジェクト13への接近を算出する。検出システム5によってポータブル装置1が、人12がオブジェクト13に対して所定の最低間隔、例えば1mよりも接近していると識別すると、ポータブル装置1は音響信号および/または光学信号および/または振動信号を出力する。さらに検出システムは、オブジェクトの方向への衝突進路を算出することができ、例えば所定の最低距離を下回った場合に音響信号、光学信号、または振動信号を出力することができる。このようにして人12は、オブジェクト13との不所望の衝突に対して警告される。これによってポータブル装置の操作員に対する安全性が増加する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像またはテキスト情報を出力するためのディスプレイと、検出システム(5)と、出力ユニット(2,3,11)とを備える、情報を表示するためのポータブル装置、とりわけ携帯電話において、
前記検出システム(5)は、前記ポータブル装置(1)のオブジェクト(13)への接近を識別するよう構成されており、前記オブジェクト(13)への所定の接近時、とりわけ所定の間隔において、前記出力ユニット(2,3,11)を用いて信号を出力する、
ことを特徴とするポータブル装置。
【請求項2】
前記ポータブル装置は、携帯電話、ナビゲーション装置、ビデオ装置、MP3プレイヤー、またはPDAである、
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記検出システム(5)は、前記ポータブル装置と前記オブジェクトとの間の衝突進路を所定の接近として識別する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記検出システム(5)は、前記ポータブル装置の動きおよび/または動き方向を検出するために慣性センサを有している、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の装置。
【請求項5】
前記検出システム(5)は、前記オブジェクト(13)への距離を測定する超音波ユニット、赤外線ユニット、光ユニット、またはレーダーユニット(9)を有している、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の装置。
【請求項6】
前記検出システム(5)は、前記オブジェクト(13)への接近を検出するためにカメラ(7)および画像評価ユニット(14)を有している、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の装置。
【請求項7】
前記検出システム(5)は、デジタルマップおよび位置決定システム、とりわけGPSシステムを有しており、
前記デジタルマップおよび位置決定システムを用いて、前記オブジェクト(13)または前記デジタルマップに含まれる位置への接近が検出される、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の装置。
【請求項8】
オブジェクト(13)の位置を備えたデジタルマップを有するメモリが設けられている、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の装置。
【請求項9】
前記検出システムは、操作員の動きを検出する歩行測定システムを有する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、視覚障害者を支援するよう構成されている、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の装置。
【請求項11】
ポータブル装置(1)によって音響的および/または光学的情報を出力するため、とりわけ画像またはテキストを出力するための方法において、
前記ポータブル装置(1)は、該ポータブル装置(1)がオブジェクト(13)に接近しているか否かを監視し、オブジェクト(13)に対する所定の接近時に、前記ポータブル装置(1)によって信号が出力される、
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−526432(P2011−526432A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512837(P2011−512837)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066608
【国際公開番号】WO2009/149770
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】