説明

走行支援システム

【課題】車両が走行する道路の特性や車両自身の特性に基づいて気象情報を取得する領域を設定することにより、適切なタイミングで気象情報を提供する走行支援システムを提供する。
【解決手段】気象情報を取得する取得領域を設定する領域設定部は、車両11が走行する走行道路51が高速道路や過疎地の道路のように分岐道路52、53の接続が希な道路であるか否かを示す道路属性、悪天候の走破性を高める車両11の装備の有無、または車両11の車種や最低地上高などの車両情報の少なくとも一つ以上を用いて、取得領域を設定している。これにより、車両11の進路上に種々の気象情報が含まれる場合、走行道路51の属性に応じて早期に気象情報を提供したり、車両11の装備あるいは車両の特性に応じて不要な気象情報の提供が制限される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援システムに関し、特に気象情報を利用して車両の走行を支援する走行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
目的地までの経路を案内するナビゲーション装置を利用して、目的地または案内経路上の気象情報を提供することが知られている。このようなナビゲーション装置は、取得した気象情報を地図とともに表示することにより、ユーザに気象条件に対する注意を促している。例えば特許文献1に開示されているシステムでは、目的地や現在地などが台風の影響領域内に含まれるとき、道路地図を表示する表示手段に台風の予想進路を含む割り込み情報を表示している。これにより、特許文献1では、ユーザに対し、行き先方面等における気象情報への注意を促している。
【0003】
しかしながら、特許文献1の場合、ナビゲーション装置を搭載している車両の特性や走行している道路の特性は考慮されていない。例えば高速道路などの分岐の少ない道路を走行中に進路上の荒天を警告しても、車両が分岐点を通過した後であれば、車両は目的地や案内経路中の荒天の回避が困難である。一方、車両の種類によっては、少々の荒天であれば走破可能な場合がある。このような場合、一律に荒天の警告を発すると、無用な回避が必要となり、所要時間の延長などを招くという問題がある。
【特許文献1】特開2006−84250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両が走行する道路の特性や車両自身の特性に基づいて気象情報を取得する領域を設定することにより、適切なタイミングで気象情報を提供する走行支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、気象情報を取得する取得領域を設定する気象情報取得領域設定手段は、車両が走行する走行道路の属性、車両の装備、または車両情報の少なくとも一つ以上を用いて、取得領域を設定している。これにより、車両の進路上に例えば荒天などの気象情報が含まれる場合、走行道路の属性に応じて早期に気象情報を提供したり、車両の装備あるいは車両の特性に応じて不要な気象情報の提供が制限される。したがって、適切なタイミングで気象情報を提供することができる。
【0006】
ところで、例えば高速道路や郊外の一般道路のように至近に分岐道路が接続しない走行道路の場合、設定した取得領域に気象情報が含まれていても、車両は走行道路から回避できないおそれがある。そこで、請求項2記載の発明では、道路属性取得手段は、車両が走行している走行道路の属性として分岐道路の接続の有無を判断する。これにより、気象情報領域設定手段は、走行道路の属性に基づいて取得領域を設定する。したがって、取得領域に危険な気象情報が含まれているとき、車両は早めに走行道路から回避することができる。
【0007】
また、例えば高速道路などは、所定の間隔で設けられたインターチェンジにおいて分岐道路が分岐している。車両の進路上に設定された取得領域に含まれる気象情報の危険度が高いとき、気象情報を取得したときには車両が走行道路と分岐道路との分岐部を通過しているおそれがある。この場合、進路上の取得領域に危険な気象情報が含まれていても、車両は走行道路を回避することができない。そこで、請求項3記載の発明では気象情報取得領域設定手段は、取得領域を車両に近い側へ拡大する。これにより、車両は、進路上に危険な気象情報が含まれるとき、分岐部を通過する前にその情報を取得でき、危険な領域を回避可能となる。したがって、車両のより安全な走行を確保することができる。
【0008】
また、車両は、その装備によって天候に関わらず走行道路を走行可能な場合がある。例えば積雪あるいは凍結した走行道路を走行する場合、チェーンやスタッドレスタイヤを装備する車両は、それらを装備しない車両に比較して安全な走行が確保しやすい。このようなとき、一律に気象情報を提供すると、車両が進路上を走行可能であるにも関わらず、進路を回避するおそれがある。そこで、請求項4記載の発明では、車両装備取得手段は車内通信またはユーザからの入力によって車両の装備を取得する。したがって、天候状況と車両の装備とを勘案した安全な走行を確保することができる。
【0009】
例えば大雨などにより冠水した走行道路を走行する場合、オフロード車のように車高の高い車両は、スポーツ車のような車高の低い車両に比較して安全な走行が確保しやすい。このようなとき、一律に気象情報を提供すると、車両が進路上を走行可能であるにも関わらず、進路を回避するおそれあある。そこで、請求項5記載の発明では、車両情報取得手段は車両の最低地上高を取得する。したがって、天候状況と車両の形式とを勘案した安全な走行を確保することができる。
【0010】
例えばバスなどのように旅客運搬を行う車両は、自家用車に比較してより高い安全性が要求される。そのため、旅客運搬を行う車両にも一律に気象情報を提供すると、回避が必要な気象情報の取得が遅れるおそれがある。そこで、請求項6記載の発明では、車両情報取得手段は車両が旅客運搬に適用されるのか否かも含めて取得する。したがって、車両に要求される安全性も勘案して早期に気象情報を提供することができ、より安全な走行を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の走行支援システムを図面に基づいて説明する。
図2に示すように、本発明の一実施形態による走行支援システムは、ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置を含む走行支援システムは、「車載装置」と称する)10と一体に構成されている。車載装置10は、図3に示すように車両11に搭載され、情報センター12から気象情報を含む各種の情報を取得する。車載装置10は、図2に示すように制御部13、位置検出部14、地図データ入力部15、操作スイッチ部16、外部メモリ17、表示部18、音声コントローラ19、リモコンセンサ21、通信部22、道路属性取得部23、車両装備取得部24、車両情報取得部25、気象情報取得部26、気象情報取得領域設定部(以下、「領域設定部」という。)27および警告部28を備えている。制御部13は、図示しないCPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。
【0012】
位置検出部14は、車載装置10を搭載した車両11の現在位置を検出する。位置検出部14は、方位センサ31、ジャイロセンサ32、距離センサ33およびGPS受信器34を有している。方位センサ31は、車両11の方位を検出する。ジャイロセンサ32は、車両11の回転角度を検出する。距離センサ33は、車両11の走行距離を検出する。GPS受信器34は、GPS(Global Positioning System)により車両11の現在位置を測位するために、図示しないGPS衛星から送信される電波を受信する。
【0013】
地図データ入力部15は、地図データ記憶部35から地図データを取得する。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、複数のノードおよびノード同士をつなぐリンクにより形成された道路地図データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種のデータを含んでいる。この地図データには、地名や施設名などが地点名として含まれている。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、図示しないドライブ装置によって地図データ入力部15に読み取られる。地図データ記憶部35としては、例えばDVDやCDなどの大容量記憶媒体、メモリカードあるいはハードディスクドライブなどの記憶媒体が用いられる。
【0014】
操作スイッチ部16は、表示部18の画面の近傍に設けられているメカニカルスイッチ、および表示部18の画面に設けられているタッチパネルスイッチなどから構成されている。ユーザは、操作スイッチ部16の各スイッチを用いて、車両11の目的地、表示部18の画面や表示態様の切り替え(例えば、地図縮尺の変更、メニュー画面の選択、経路の探索、経路案内の開始、現在位置の修正および音量の調整など)を行う各種のコマンドの入力を行う。これにより、車載装置10は、ユーザの指示にしたがって作動する。リモコンセンサ21は、リモコン36との間でコマンドなどの送受信を行う。リモコン36には、複数の操作スイッチが設けられている。リモコン36の操作スイッチを操作することにより、リモコン36からリモコンセンサ21を経由して各種の指令信号が制御部13へ送信される。操作スイッチ部16およびリモコン36は、いずれの操作によっても制御部13へ同一の機能を実行させることができる。これら操作スイッチ部16およびリモコン36は、特許請求の範囲の「入力受付手段」を構成している。
【0015】
外部メモリ17は、例えば着脱可能なフラッシュメモリカードやハードディスクドライブによって構成されている。なお、外部メモリ17は、例えば車載装置10の制御部13に設けられているRAMやEEPROM、あるいは地図データ記憶部35などと共用してもよい。表示部18は、例えば液晶や有機ELなどのカラーディスプレイを有している。表示部18の画面は、車両の現在位置周辺の地図が各種縮尺で表示されるとともに、この地図表示に重ねて車両の現在位置および進行方向を示す現在地マークが表示される。また、目的地までの経路案内を実行するとき、表示部18の画面には経路案内用の画面が表示される。
【0016】
音声コントローラ19は、車載スピーカ37に接続している。音声コントローラ19は、制御部13からの音声出力信号に基づいて、音声出力信号を車載スピーカ37へ出力する。車載スピーカ37から出力される音声は、案内に関する音声、操作説明に関する音声、盗難防止機能の動作中であることを報知する音声、ならびに音声認識結果に応じたトークバック音声などである。
【0017】
制御部13は、車両11が走行経路に沿って移動可能とするために、表示部18の画面に現在地周辺の道路地図を表示するとともに、車両11の位置および進行方向を示す現在地マークを道路に重ねて表示する。この場合、車両11の走行にともなって現在地の表示は、表示部18に表示された地図上を移動する。表示部18に表示された地図は、車両11の位置に応じてスクロールされる。このとき、制御部13は、車両11の現在位置を道路上にあわせるマップマッチングを実施する。通信部22は、有線または無線の通信回線38を経由して情報センター12との間で通信を行う。
【0018】
道路属性取得部23は、車両11が走行している走行道路の属性を取得する。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、地図に含まれる道路ごとにその属性を含んでいる。道路属性取得部23は、地図データから走行道路に分岐道路が接続しているか否かを道路属性として取得する。例えば高速道路などの自動車専用道路の場合、分岐道路はインターチェンジごと、すなわち走行道路に対し数kmから数十kmごとに接続している。そのため、道路属性取得部23は、マップマッチングによって特定した走行道路が例えば高速道路や自動車専用道路のような分岐道路への回避が困難な道路であるか否かを道路属性として取得する。また、道路属性取得部23は、地図データからマップマッチングによって特定した走行道路上の走行位置から進路上の至近位置に分岐道路が接続しているか否かを判断してもよい。例えば郊外や過疎地の道路の場合、自動車専用道路でない一般道路であっても分岐道路の接続が希なことがある。このような場合、道路属性取得部23は、分岐道路の接続が希な走行道路であるか否かを道路属性として取得する。
【0019】
車両装備取得部24は、車載装置10を搭載する車両11の装備を取得する。車両装備取得部24は、制御部13と車両11の各部とを接続する車内通信手段としての車内LANなどを利用して車両11の装備を取得する。車両装備取得部24が車内LANを経由して取得する情報としては、例えばフォグランプの装備の有無、あるいは四輪駆動の装備の有無などである。また、車両装備取得部24は、入力受付手段である操作スイッチ部16やリモコン36から車両11の装備の入力を受け付ける。ユーザは、操作スイッチ部16およびリモコン36を操作することにより、車載装置10へ車両11の装備を入力する。車両装備取得部24が操作スイッチ部16あるいはリモコン36を経由して入力を受け付ける情報としては、例えばスタッドレスタイヤの装着の有無、あるいはタイヤチェーンの搭載の有無などである。
【0020】
車両情報取得部25は、車載装置10を搭載する車両11の情報を取得する。車両情報取得部25は、予め設定され、例えば外部メモリ17などに記憶されている車両11に関する情報を取得する。車両情報取得部25が取得する情報としては、例えば車両11の種類および車両11の最低地上高などである。車両11の種類とは、例えばスポーツカー、セダンまたはオフロードカーのように車両が属するカテゴリである。また、車両11の種類には、例えばバスやタクシーなどの旅客用車両、あるいはトラックなどの貨物用車両などの分類も含まれる。さらに、最低地上高とは、車載装置10を搭載した車両11の最低地上高である。例えばオフロードカー、バスあるいはトラックなどは、スポーツカーに比較して最低地上高が高い。これらのように、車両情報取得部25は、例えば外部メモリ17などに記憶されている車載装置10を搭載した車両11の各種情報を取得する。
【0021】
気象情報取得部26は、通信部22を経由して情報センター12から気象情報を取得する。情報センター12は、通信回線38を経由して各車両11の車載装置10と通信可能に接続している。そして、情報センター12は、通信部41を経由して車載装置10との間で無線通信を実施し、気象情報を車載装置10へ送信する。具体的には、情報センター12は、通信部41に加え、サーバ42を備えている。サーバ42は、制御部43および記憶部44などから構成されている。記憶部44は、車載装置10へ送信するための気象情報を蓄積した気象情報データベースを記憶している。
【0022】
気象情報データベースは、天候の観測情報を提供する機関などから随時情報を収集し、比較的広域の気象情報を蓄積している。この気象情報は、地図上の所定区画単位に対応して蓄積されている。この所定区画は、例えば経度緯度で区切られたグリッド単位の区画、あるいは市町村などのように行政区画で分割された区画などが適用される。なお、区画は、群(County)や都市(City)などの地域の形状を示す多角形(ポリゴン)単位の区画としてもよい。気象情報データベースに蓄積される気象情報は、例えば竜巻や洪水などの気象警報、現在の気象状態を示す現況情報、現在以降の気象状態を予測した予報情報、ならびに凍結や冠水などの道路情報などを含んでいる。車載装置10の気象情報取得部26は、情報センター12に蓄積された上述の気象情報を、通信回線38を経由して随時取得する。
【0023】
領域設定部27は、上述の道路属性取得部23で取得した走行道路の属性、車両装備取得部24で取得した車両の装備、または車両情報取得部25で取得した車両情報のうち少なくとも一つ以上に基づいて気象情報取得部26で取得する気象情報の領域を取得領域として設定する。警告部28は、取得した取得領域における気象情報に危険度の高い情報が含まれるとき、警告を発する。警告部28が発する警告は、例えば表示部18を用いた視覚的な警告、車載スピーカ37を用いた聴覚的な警告、あるいは振動などの触覚的な警告など、ユーザの五感に訴える警告を含んでいる。
【0024】
次に、上記の構成による車載装置10の作動の流れについて説明する。
(道路の属性に基づく取得領域の設定)
まず、道路の属性に基づく取得領域の設定の流れについて図4に基づいて説明する。ここで、図1に示すように、車両11は、走行道路51を走行している。この走行道路51には、分岐道路52および分岐道路53が接続している。走行道路51と分岐道路52との接続部分を分岐部54とし、走行道路51と分岐道路53との接続部分を分岐部55とする。
【0025】
領域設定部27は、車載装置10を搭載した車両11が走行している走行道路51の属性を取得する(S101)。道路属性取得部23は、地図データ記憶部35に記憶されている地図データから車両11が走行している走行道路51の属性を取得する。このとき、道路属性取得部23は、車両11が走行している走行道路51が例えば高速道路や自動車専用道路などのようにインターチェンジが設けられた道路であるか、あるいは一般道であっても分岐道路52、53の接続が希な道路であるかなど、走行道路51に固有の属性を取得する。領域設定部27は、道路属性取得部23から走行道路51の属性に関する情報を受け取る。
【0026】
領域設定部27は、ステップS101で取得した走行道路51の属性が分岐道路52、53の接続頻度の低い道路であるか否かを判断する(S102)。領域設定部27は、走行道路51の属性が分岐道路52、53の接続頻度の低い道路であると判断したとき、気象情報を取得する取得領域を拡大する(S103)。一方、領域設定部27は、走行道路51の属性が分岐道路52、53の接続頻度の高い道路であると判断したとき、気象情報を取得する取得領域を変更することなく処理を終了する(S104)。警告部28は、拡大して設定された取得領域A1に警告位置Wが含まれているとき、ユーザに対し警告を発する。
【0027】
図1に示すように、領域設定部27は、情報センター12から気象情報を取得する取得領域A1を車両11の走行位置に近い位置まで拡大する。通常、領域設定部27は、図5に示すように車両11が走行する走行道路51において進路上に設定された取得領域A2に含まれる気象情報を取得する。この取得領域A2は、例えば車両11の走行速度や目的地などを考慮して、車両11の進路上において、車両11の至近ではなく車両11からやや離れた前方に設定される。この場合、例えば高速道路のように分岐道路52との分岐部54から分岐道路53の分岐部55まで距離があるとき、車両11が分岐部54を通過すると、車両11は分岐部55まで進路を変更することができない。そのため、走行道路51を走行する車両11は、取得領域A2に含まれる警告対象となっている警告位置Wに接近することになる。
【0028】
そこで、領域設定部27は、図1に示すように取得領域A1を車両11の走行位置に近い位置まで拡大する。すなわち、図1に示す場合、取得領域A1は、より車両11に近い分岐部54を含む位置まで拡大される。これにより、車両11は、分岐部54を通過するまでに十分な距離および時間が確保される。そのため、走行道路51を走行する車両11は、取得領域A1に警告位置Wが含まれる場合でも、これに接近する前に分岐部54において進路を変更可能となる。その結果、車両11は、進路を変更する機会が増加し、警告位置Wの回避が容易になる。
【0029】
以上説明したように、領域設定部27は、車載装置10を搭載した車両11が走行する走行道路51の属性に基づいて気象情報を取得する取得領域A1を設定している。そのため、例えば高速道路や過疎地の道路など、走行道路51から分岐する分岐道路52、53が少ない場合でも、取得領域A1に含まれる危険度の高い警告位置Wに接近する前に走行道路51から進路を変更する機会が増加する。したがって、危険な気象条件を回避することが容易となり、適切なタイミングで気象情報を提供することができる。
【0030】
(車両の装備に基づく取得領域の設定)
次に、車両11の装備に基づく取得領域の設定の流れについて図6に基づいて説明する。
領域設定部27は、車載装置10を搭載した車両11の装備と、その装備に対応する気象条件とが関連づけられたテーブルを読み出す(S201)。領域設定部27は、図7に示すような車両の装備とその装備を反映する気象情報とを関連づけたテーブル60を例えば外部メモリ17などに記憶している。そのため、領域設定部27は、例えば外部メモリ17に記憶しているテーブル60を読み出す。車両11の装備は、気象条件と関連づけられてテーブル60として外部メモリ17に記憶されている。
【0031】
図7に示すテーブル60について説明する。車両が「タイヤチェーン」を装備しているとき、この装備は気象条件のうち「積雪」および「凍結」に関連づけられる。車両が「スタッドレスタイヤ」を装備しているとき、この装備は気象条件のうち「凍結」および「積雪」に関連づけられる。車両11が「フォグランプ」を装備しているとき、この装備は気象条件のうち「霧」に関連づけられる。車両11が「四輪駆動」を装備しているとき、この装備は気象条件のうち「降雨」、「積雪」、「凍結」などに関連づけられる。また、このテーブル60では、これらの車両11の装備が車内LANによって取得可能であるか、操作スイッチ部16やリモコン36を経由したユーザからの入力によって取得可能であるか否かについても含んでいる。図7の場合、取得可能な情報は「○」で示し、取得不可能な情報は「×」で示している。装備が「タイヤチェーン」および「スタッドレスタイヤ」の場合、車内LANでの装備の取得は不可能である。したがって、「タイヤチェーン」および「スタッドレスタイヤ」に関する装備の情報は、操作スイッチ部16やリモコン36を経由したユーザからの入力によって取得される。一方、「フォグランプ」や「四輪駆動」の装備に関する情報は、車内LANによって取得可能であるとともに、操作スイッチ部16やリモコン36を経由したユーザからの入力によっても取得可能である。
【0032】
領域設定部27は、ステップS201で設定されたテーブル60を用いて、各種の装備の有無に基づく取得領域の設定を行う。具体的には、領域設定部27は、車両11に「フォグランプ」が装備されているか否かを判断する(S202)。領域設定部27は、車両装備取得部24から「フォグランプ」の装備の有無を取得する。車両11に「フォグランプ」が装備されている場合、車両11は気象条件のうち「霧」に対する走破性が向上する。そのため、車両11に「フォグランプ」が装備されている場合、領域設定部27は通常設定されている取得領域を変更しない。一方、車両11に「フォグランプ」が装備されていない場合、車両11は「霧」に対する走破性が低下する。そのため、車両11に「フォグランプ」が装備されていない場合、領域設定部27は「霧」に関する気象情報の取得領域を通常設定されている取得領域よりも拡大する(S203)。これにより、車両11の進路上に「霧」の発生が考えられる場合、車両11のユーザは早期の回避など対応に時間的な余裕を確保することができる。
【0033】
次に、領域設定部27は、車両11に「タイヤチェーン」が装備されているか否かを判断する(S204)。領域設定部27は、車両装備取得部24から「タイヤチェーン」の装備の有無を取得する。車両11に「タイヤチェーン」が装備されている場合、車両11は気象条件のうち「積雪」、「凍結」に対する走破性が向上する。そのため、車両11に「タイヤチェーン」が装備されている場合、領域設定部27は通常設定されている取得領域、またはステップS203で設定された取得領域を変更しない。一方、車両11に「タイヤチェーン」が装備されていない場合、車両は「積雪」、「凍結」に対する走破性が低下する。そのため、車両11に「タイヤチェーン」が装備されていない場合、領域設定部27は「積雪」、「凍結」に関する気象情報の取得領域を通常設定されている取得領域またはステップS203で設定された取得領域よりも拡大する(S205)。これにより、車両11の進路上に「積雪」や「凍結」のおそれが考えられる場合、車両11のユーザは早期の回避など対応に時間的な余裕を確保することができる。
【0034】
次に、領域設定部27は、車両11に「スタッドレスタイヤ」が装備されているか否かを判断する(S206)。領域設定部27は、車両装備取得部24から「スタッドレスタイヤ」の装備の有無を取得する。車両11に「スタッドレスタイヤ」が装備されている場合、車両11は気象条件のうち「積雪」、「凍結」に対する走破性が向上する。そのため、車両11に「スタッドレスタイヤ」が装備されている場合、領域設定部27は通常設定されている取得領域、ステップS203で設定された取得領域、またはステップS205設定された取得領域を変更しない。一方、車両11に「スタッドレスタイヤ」が装備されていない場合、車両11は「積雪」、「凍結」に対する走破性が低下する。そのため、車両11に「スタッドレスタイヤ」が装備されていない場合、領域設定部27は「凍結」に関する気象情報の取得領域を通常設定されている取得領域、ステップS203で設定された取得領域、またはステップS205で設定された取得領域よりも拡大する(S207)。これにより、車両11の進路上に「積雪」、「凍結」のおそれが考えられる場合、車両11のユーザは早期の回避など対応に時間的な余裕を確保することができる。
気象情報取得部26は、ステップS203、ステップS205またはステップS207において領域設定部27で設定された取得領域に基づいて、設定された取得領域に含まれる各種の気象情報を情報センター12から取得する(S208)。警告部28は、拡大して設定された取得領域に警告位置Wが含まれているとき、ユーザに対し警告を発する。
【0035】
また、領域設定部27は、車両11に「四輪駆動」が装備されているか否かを判断してもよい。この場合、領域設定部27は、車両装備取得部24から「四輪駆動」の装備の有無を取得する。車両11に「四輪駆動」が装備されている場合、車両は気象条件のうち「降雨」、「積雪」および「凍結」のいずれも走破性が向上する。そのため、車両11に「四輪駆動」が装備されている場合、領域設定部27は通常あるいは既に設定された取得領域を変更しない。一方、車両11に「四輪駆動」が装備されていない場合、車両11は「降雨」、「積雪」および「凍結」に対する走破性が低下する。そのため、車両11に「四輪駆動」が装備されていない場合、領域設定部27は「降雨」、「積雪」および「凍結」のいずれについても関連する気象情報の取得領域を通常設定されている取得領域、または既に設定された取得領域よりも拡大する。これにより、車両11の進路上に「降雨」、「積雪」または「凍結」のおそれが考えられる場合、車両11のユーザは早期の回避など対応に時間的な余裕を確保することができる。
【0036】
以上説明したように、領域設定部27は、車載装置10を搭載した車両11の装備に基づいて気象情報を取得する取得領域を設定している。そのため、車両11の進路上に種々の気象条件が予想される場合でも、取得領域に含まれる危険度の高い警告位置に接近する前に気象条件を回避する機会が増加する。一方、領域設定部27は、車両11の装備に基づいて取得領域を設定しているため、個々の車両11の装備状況に応じて取得領域を設定する。したがって、危険な気象条件を回避することが容易になるとともに、無用な警告が低減され、適切なタイミングで気象情報を提供することができる。
【0037】
なお、図6に示す例では、領域設定部27は、車両11の装備を「フォグランプ」、「タイヤチェーン」および「スタッドレスタイヤ」の順で取得した。しかし、車両11の装備を取得する順序は、任意に設定することができる。
【0038】
(車両の種類に基づく取得領域の設定)
次に、車両11の種類に基づく取得領域の設定の流れについて図8に基づいて説明する。
領域設定部27は、車載装置10を搭載した車両11の種類を取得する(S301)。車両情報取得部25は、例えば外部メモリ17に記憶されている車両11の種類を取得する。領域設定部27は、車両情報取得部25から車両11の種類を受け取る。ここで、車両11の種類は、スポーツカーやオフロードカーなどの車種そのものであってもよく、車両11の最低地上高であってもよい。
【0039】
領域設定部27は、ステップS301で取得した車両11の種類が冠水時の走破性を有するか否かを判断する(S302)。領域設定部27は、例えば車両11がオフロードカーである場合、および車両11の最低地上高が十分に確保されている場合、車両11は冠水時の走破性を有すると判断する。一方、領域設定部27は、例えば車両11がスポーツカーである場合、および車両11の最低地上高が十分に確保されていない場合、車両11は冠水時の走破性を有しないと判断する。
【0040】
領域設定部27は、ステップS302において車両11が冠水時の走破性を有すると判断した場合、「降雨」、特に「洪水」に関する気象情報を取得する取得領域を縮小する(S303)。これにより、車両11に十分な冠水時の走破性があるにも関わらず、車両11に「降雨」あるいは「洪水」の情報が提供されることは回避される。なお、逆にステップS302において車両11が冠水時の走破性を有していないと判断した場合、領域設定部27は「降雨」特に「洪水」に関する気象情報を取得する取得領域を拡大してもよい。警告部28は、拡大して設定された取得領域に警告位置Wが含まれているとき、ユーザに対し警告を発する。
【0041】
以上説明したように、領域設定部27は、車載装置10を搭載した車両11の種類に基づいて気象情報を取得する取得領域を設定している。そのため、例えばオフロードカーのように冠水時の走破性が高いとき、取得領域が縮小され、無用な警告が低減される。したがって、危険な気象条件を回避することが容易となり、適切なタイミングで気象情報を提供することができる。
また、領域設定部27は、車両11の種類として「旅客用」であるか否かを判断してもよい。例えばバスやタクシーなどの「旅客用」の車両11は、旅客を運搬するという性質上、より高い安全性が要求される。そのため、領域設定部27は、車両11の種類が「旅客用」であると判断したとき、気象情報を取得する取得領域を拡大する構成としてもよい。このように取得領域を拡大することにより、危険な気象条件を早期に取得することができ、車両の安全性をより高めることができる。
【0042】
以上説明したように、本発明の一実施形態では、領域設定部27は、車両11が走行する走行道路51の属性、車両11の装備、または車両情報の少なくとも一つ以上を用いて、取得領域を設定している。すなわち、上記の例では、走行道路51の属性に基づく取得領域の設定、車両11の装備に基づく取得領域の設定、および車両11の種類に基づく取得領域の設定を、それぞれ個別に説明したが、領域設定部27はこれらを組み合わせて気象情報を提供するタイミングを設定する。これにより、車両11の進路上に種々の気象情報が含まれる場合、走行道路51の属性に応じて早期に気象情報を提供したり、車両11の装備あるいは車両の特性に応じて不要な気象情報の提供が制限される。したがって、適切なタイミングで気象情報を提供することができる。
【0043】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態による走行支援システムにおいて、車両と気象情報を取得する取得領域との関係を示す模式図
【図2】本発明の一実施形態による走行支援システムを適用した車載装置および情報センターを示すブロック図
【図3】本発明の一実施形態による走行支援システムを適用した車載装置を搭載した車両および情報センターを示す模式図
【図4】本発明の一実施形態による走行支援システムを適用した車載装置による走行道路の特性に基づく取得領域の設定の流れを示す概略図
【図5】従来の走行支援システムにおいて、車両と気象情報を取得する取得領域との関係を示す模式図
【図6】本発明の一実施形態による走行支援システムを適用した車載装置による車両の装備に基づく取得領域の設定の流れを示す概略図
【図7】本発明の一実施形態による走行支援システムを適用した車載装置のテーブルのデータ構成を示す模式図
【図8】本発明の一実施形態による走行支援システムを適用した車載装置による車両の種類に基づく取得領域の設定の流れを示す概略図
【符号の説明】
【0045】
図面中、10は車載装置(走行支援システム、ナビゲーション装置)、11は車両、16は操作スイッチ部(入力受付手段)、23は道路属性取得部(道路属性取得手段)、24は車両装備取得部(車両装備取得手段)、25は車両情報取得部(車両情報取得手段)、26は気象情報取得部(気象情報取得手段)、27は領域設定部(気象情報取得領域設定手段)、36はリモコン(入力受付手段)、51は走行道路、52、53は分岐道路、54、55は分岐部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の車両の位置を地図上に一致させるナビゲーション装置と、
前記ナビゲーション装置から前記車両が走行している走行道路の属性を取得する道路属性取得手段と、
前記車両の装備に関する装備情報を取得する車両装備取得手段と、
前記車両の種類を含む車両情報を取得する車両情報取得手段と、
前記車両が走行する前記走行道路の進路上における気象情報を取得する気象情報取得手段と、
前記道路属性取得手段で取得した前記走行道路の属性、前記車両装備取得手段で取得した前記車両の装備、または前記車両情報取得手段で取得した前記車両情報の少なくとも一つ以上に基づいて、前記気象情報取得手段で取得する気象情報の領域を取得領域として設定する気象情報取得領域設定手段と、
を備えることを特徴とする走行支援システム。
【請求項2】
前記道路属性取得手段は、前記ナビゲーション装置が記憶する地図情報から、前記走行道路に、前記走行道路から分岐する分岐道路が接続しているか否かを取得することを特徴とする請求項1記載の走行支援システム。
【請求項3】
前記気象情報取得領域設定手段は、前記道路属性取得手段で取得した前記走行道路の属性が前記分岐道路の少ない道路であると判断したとき、前記取得領域を前記車両に近い側へ拡大することを特徴とする請求項2記載の走行支援システム。
【請求項4】
前記車両装備取得手段は、前記車両の車内通信手段を用いて前記車両の装備を取得する通信取得手段と、前記車両の装備の入力を受け付ける入力受付手段と、を有することを特徴とする請求項1、2または3記載の走行支援システム。
【請求項5】
前記車両情報取得手段は、前記車両の最低地上高を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の走行支援システム。
【請求項6】
前記車両情報取得手段は、前記車両が旅客運搬用の車両であるか否かを取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の走行支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−54340(P2010−54340A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219600(P2008−219600)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】