説明

超音波診断装置

【課題】 弾性ボリュームデータにおいてノイズフレームが発生した位置情報を操作者に提示することができる超音波診断装置を提供することである。
【解決手段】 弾性ボリュームデータにおいてノイズを含む2次元弾性画像をノイズフレームとして判定する表示価値判定部30と、ノイズフレームの位置情報を含む判定情報を構成する判定情報構成部31とを備え、画像表示部13は判定情報70を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して被検体内の診断部位について断層画像を表示する超音波診断装置に関し、特に歪み或いは弾性率などの弾性情報による弾性画像を表示する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は超音波を利用して被検体内の生体組織の超音波反射率を計測し、それを輝度とし診断部位の断層画像を表示していた。さらに、近年では超音波診断装置において、画像相関を取り、生体組織の移動量、例えば変位を空間微分して歪みを計測したり、組織状診断として生体組織に対して圧力変化を与えて弾性率を計測したりし、歪み、或いは弾性率などの弾性情報による弾性画像を表示することが行われている。弾性画像は、生体組織の歪みや弾性率に応じて赤や青その他の色相情報を付与して、表示される。弾性画像によって主に生体組織の硬い部位を表示させることにより、容易に腫瘍の広がりや大きさを診断することができる(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、3次元断層画像に3次元弾性画像を重ねて表示する際に、3次元弾性画像の硬い部位又は軟らかい部位の形状や容積を認識できるように3次元断層画像の不透明度を設定することが行なわれている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-60853号公報
【特許文献2】特開2008-259605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3次元弾性画像を得るためには、圧迫を行いながら3次元スキャンを行い、2次元弾性画像を複数収集して弾性ボリュームデータを構成する。ノイズのない弾性ボリュームデータを得るためには、ノイズを含む2次元弾性画像(以下ノイズフレーム)を生じさせないことが重要であり、超音波探触子と被検体との接触面に対して均一な圧迫を行う必要がある。しかし、3次元スキャンが可能な超音波探触子は、被検体との接触面が大きい場合が多く、操作者の圧迫手技などによって圧迫に偏りが生じ、弾性ボリュームデータにノイズフレームが発生してしまう可能性がある。ノイズフレームが発生した位置は弾性ボリュームデータから構成された3次元弾性画像からも把握できるが、3次元弾性画像が回転している場合などはノイズフレームが発生した位置を操作者が把握することができず、操作者の圧迫手技の改善などを行なうことが困難である。
【0006】
本発明の目的は、弾性ボリュームデータにおいてノイズフレームが発生した位置情報を操作者に提示することができる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するため、超音波探触子と、前記超音波探触子を介して受信された反射エコー信号によって算出された弾性情報に基づく2次元弾性画像によって弾性ボリュームデータを作成する弾性ボリュームデータ作成部と、前記弾性ボリュームデータに基づいて3次元弾性画像を構成する3次元弾性画像構成部と、前記3次元弾性画像を表示する画像表示部とを備えた超音波診断装置であって、前記弾性ボリュームデータにおいてノイズを含む2次元弾性画像をノイズフレームとして判定する表示価値判定部と、前記ノイズフレームの位置情報含む判定情報を構成する判定情報構成部とを備え、前記画像表示部は前記判定情報を表示する。
【0008】
前記判定情報は、前記超音波探触子における前記被検体との接触面においてノイズフレームの位置を特定できる情報である。例えば、前記超音波探触子の模式図に前記ノイズフレームの位置情報を付与した判定情報が表示される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、弾性ボリュームデータにおいてノイズフレームが発生した位置情報を操作者に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明に係る画像表示部13の一表示形態を示す図
【図3】本発明に係る実施例1を示す図
【図4】本発明に係る画像表示部13の一表示形態を示す図
【図5】本発明に係る実施例1を示す図
【図6】本発明に係る実施例2を示す図
【図7】本発明に係る実施例3を示す図
【図8】本発明に係る実施例3を示す図
【図9】本発明に係る実施例4を示す図
【図10】本発明に係る実施例5を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1に示すように、超音波診断装置には、被検体1に当接させて用いる超音波探触子2と、超音波探触子2を介して被検体1に時間間隔をおいて超音波を繰り返し送信する送信部3と、被検体1から発生する時系列の反射エコー信号を受信する受信部4と、受信された反射エコーを整相加算してRF信号データを時系列に生成する整相加算部6とが設けられている。
【0013】
また、超音波診断装置には、整相加算部6で生成されたRF信号フレームデータに基づいて2次元断層画像を構成する断層画像構成部7と、断層画像構成部7で構成された2次元断層画像を取得位置と合わせて記憶する2次元断層画像記憶部8と、2次元断層画像記憶部8に記憶した2次元断層画像と2次元断層画像の取得位置に基づいて3次元座標変換を行ない、断層ボリュームデータを生成する断層ボリュームデータ作成部9と、断層ボリュームデータの輝度と不透明度に基づいてボリュームレンダリングを行ない、3次元断層画像を構成する3次元断層画像構成部10と、断層ボリュームデータ作成部9で作成された断層ボリュームデータから任意断面の2次元断層画像を作成する断層マルチフレーム構成部11とが設けられている。
【0014】
また、超音波診断装置には、整相加算部6から出力されるRF信号フレームデータを記憶するRF信号フレームデータ記憶部14と、少なくとも2枚のRF信号フレームデータを選択するRF信号フレームデータ選択部15と、選択されたRF信号フレームデータを用いて被検体1の生体組織の変位を計測する変位計測部16と、変位計測部16で計測された変位から弾性情報を求める弾性情報演算部17と、弾性情報演算部17で演算した弾性情報から2次元弾性画像を構成する弾性画像構成部18と、弾性画像構成部18で構成される2次元弾性画像とその取得位置を記憶する2次元弾性画像記憶部19と、2次元弾性画像記憶部19に記憶された2次元弾性画像とその取得位置に基づいて3次元座標変換を行ない、弾性ボリュームデータを生成する弾性ボリュームデータ作成部20と、弾性ボリュームデータの弾性情報と不透明度に基づいてボリュームレンダリングを行い、3次元弾性画像を構成する3次元弾性画像構成部21と、弾性ボリュームデータ作成部20で作成された弾性ボリュームデータから任意断面の2次元弾性画像を作成する弾性マルチフレーム構成部22と、2次元断層画像と2次元弾性画像とを合成したり、3次元断層画像と3次元弾性画像とを合成したりする切替合成部12と、切替合成部12で合成された合成画像、2次元断層画像等を表示する画像表示部13とが備えられている。
【0015】
さらに、超音波診断装置には、弾性ボリュームデータにおいてノイズを含む2次元弾性画像をノイズフレームとして判定する表示価値判定部30と、ノイズフレームの位置情報を含む判定情報を構成する判定情報構成部31とを備えている。
【0016】
そして、超音波診断装置には、それぞれの構成要素を制御するCPUからなる制御部24と、制御部24に指示を与える操作部23とを備えている。操作者は、操作部23で2次元弾性画像、3次元弾性画像の色合い、2次元弾性画像を表示する関心領域(ROI)、フレームレート等を指示することができる。
【0017】
超音波探触子2は、複数の振動子を配設して形成されており、電子的にビーム走査を行って被検体1に振動子を介して超音波を送受信する機能を有している。超音波探触子2は、矩形又は扇形をなす複数の振動子からなる探触子ヘッドを備え、複数の振動子の配列方向と直交する方向に探触子ヘッドを機械的に振り、超音波を3次元に送受信することができる。なお、超音波探触子2は、複数の振動子が2次元配列され、超音波の送受信を電子的に制御することができるものでもよいが、本実施例では機械的に探触子ヘッドを振るものとして説明する。
【0018】
送信部3は、超音波探触子2を駆動して超音波を発生させるための送波パルスを生成するとともに、送信される超音波の収束点をある深さに設定する機能を有している。また、受信部4は、超音波探触子2で受信した反射エコー信号について所定のゲインで増幅してRF信号すなわち受波信号を生成するものである。整相加算部6は、受信部4で増幅されたRF信号を入力して位相制御し、複数の収束点に対し収束した超音波ビームを形成してRF信号フレームデータを生成するものである。
【0019】
断層画像構成部7は、整相加算部6からのRF信号フレームデータに基づいて被検体1の濃淡断層画像、例えば白黒の2次元断層画像を構成する。断層画像構成部7は、制御部24における設定条件に基づいて、整相加算部6から出力されるRF信号フレームデータを入力してゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の信号処理を行ない、2次元断層画像を構成する。
【0020】
RF信号フレームデータ選択部15は、RF信号フレームデータ記憶部14に格納された整相加算部6からの複数のRF信号フレームデータから1組すなわち2つのRF信号フレームデータを選び出すものである。例えば、RF信号フレームデータ記憶部14は、整相加算部6から時系列すなわち画像のフレームレートに基づいて生成されるRF信号フレームデータをフレームメモリ内に順次確保し、制御部24からの指令に応じて現在確保されたRF信号フレームデータ(N)を第1のデータとしてRF信号フレームデータ選択部15で選択すると同時に、時間的に過去に確保されたRF信号フレームデータ群(N-1、N-2、N-3…N―M)の中から1つのRF信号フレームデータ(X)を選択するものである。なお、ここでN、M、XはRF信号フレームデータに付されたインデックス番号であり、自然数とする。
【0021】
変位計測部16は、1組のRF信号フレームデータから生体組織の変位などを求めるものである。例えば、変位計測部16は、RF信号フレームデータ選択部15により選択された1組のデータすなわちRF信号フレームデータ(N)及びRF信号フレームデータ(X)から1次元或いは2次元相関処理を行って、断層画像の各点に対応する生体組織おける変位や移動ベクトルすなわち変位の方向と大きさに関する1次元又は2次元変位分布を求める。ここで、移動ベクトルの検出にはブロックマッチング法を用いる。ブロックマッチング法とは、画像を例えばN×N画素からなるブロックに分け、関心領域内のブロックに着目し、着目しているブロックに最も近似しているブロックを前のフレームから探し、これを参照して予測符号化すなわち差分により標本値を決定する処理を行う。
【0022】
弾性情報演算部17は、変位計測部16から出力される計測値、例えば変位と、圧力計測部(図示しない)から出力される圧力値とから断層画像上の各点に対応する生体組織の弾性情報を演算するものである。弾性情報とは、歪み、弾性率、変位、粘性、歪み比等のいずれかである。例えば、歪みは、生体組織の移動量例えば変位を空間微分することによって算出される。
【0023】
弾性画像構成部18は、フレームメモリと画像処理部とを含んで構成されており、弾性情報演算部17から時系列に出力される弾性フレームデータをフレームメモリに確保し、確保されたフレームデータを画像処理部により画像処理を行うものである。
【0024】
弾性画像は、弾性フレームデータに基づいて光の3原色すなわち赤(R)、緑(G)、青(B)に変換されカラー像として画像表示部13で表示される。例えば、歪みが大きい弾性データを赤色コードに変換すると同時に、歪みが小さい弾性データを青色コードに変換する。なお、赤(R)緑(G)青(B)の階調は256段階有し、255は最大輝度で表示すること、逆に0は全く表示されないことを意味する。
【0025】
超音波探触子2は、超音波の送受信と同時に送受信方向(θ、φ)を計測することができ、断層ボリュームデータ作成部9は、2次元断層画像の取得位置に相当する送受信方向(θ、φ)に基づいて、複数の2次元断層画像について3次元変換を行ない、断層ボリュームデータを生成する。
【0026】
3次元断層画像構成部10は、断層ボリュームデータから3次元断層画像を構成する次式(1)〜(3)を用いてボリュームレンダリングを行なう。
【0027】
Cout(i) = Cout(i-1)+(1-Aout(i-1))・A(i)・C(i)・S(i)・・・(1)
Aout(i) = Aout(i-1)+(1-Aout(i-1))・A(i) ・・・(2)
A(i) = BOpacity[C(i)] ・・・(3)
C(i)は作成される2次元投影面上のある点から3次元断層画像を見た場合、視線上i番目に存在するボクセルの輝度値である。Cout(i)は、出力されるピクセル値である。例えば、視線上にNボクセルの輝度値が並んだとき、i =0〜N-1までを積算した輝度値Cout(N-1)が最終的に出力されるピクセル値となる。Cout(i-1)はi-1番目までの積算値を示す。
【0028】
また、A(i)は視線上i番目に存在する輝度値の不透明度であり、上記(3)に示すとおり、0〜1.0の値をとる断層不透明度テーブル(断層オパシティテーブル)である。断層不透明度テーブルは、輝度値から不透明度を参照することによって、出力する2次元投影面(3次元断層画像)上への寄与率を決定する。
【0029】
S(i)は、輝度C(i)とその周辺の画素値より求めた勾配より算定される陰影付けのための重み成分で、たとえば、光源とボクセルiを中心とした面の法線が一致する場合、もっとも強く反射するため1.0が与えられ、光源と法線が直交する場合には0.0が与えられるなどの強調効果を指し示す。
【0030】
Cout(i)Aout(i) は、ともに0を初期値としている。上記(2)に示されるように、Aout(i)はボクセルを通過するたびに積算され1.0に収束される。よって、上記(1)に示されるようにi-1番目までの不透明度の積算値Aout(i-1)がおよそ1.0となった場合、i番目以降の輝度値C(i)は出力画像に反映されない。
【0031】
断層マルチフレーム構成部11は、断層ボリュームデータから任意断面位置の2次元断層画像を構成する。任意断面位置は操作者が操作部23を用いて任意に設定可能であり、設定された任意断面位置は制御部24を通して断層マルチフレーム構成部11に出力される。なお、操作者は任意断面位置を複数設定することができ、断層マルチフレーム構成部11は複数の任意断面位置に対して、複数の2次元断層画像を構成することができる。
【0032】
3次元走査が可能な探触子では、RF信号フレームデータが複数の振動子の配列方向と直交する方向に空間的に連続して得られるので、弾性画像もそれに応じて得られる。弾性画像構成部18によって空間的に連続して得られた2次元弾性画像とその取得位置を2次元弾性画像記憶部19において記憶する。弾性ボリュームデータ作成部20は、2次元弾性画像記憶部19で記憶された2次元弾性画像と、取得位置に相当する送受信方向(θ、φ)に基づいて、複数の2次元弾性画像について3次元変換を行ない、弾性ボリュームデータを生成する。
【0033】
3次元弾性画像構成部21は、変換後弾性ボリュームデータについて下記式(4)〜(6)を用いてボリュームレンダリングを行ない、3次元弾性画像を作成する。
【0034】
Eout(i) = Eout(i-1)+(1-Aout(i-1))・A(i)・E (i)・S(i)・・・(4)
Aout(i) = Aout(i-1)+(1-Aout(i-1))・A(i) ・・・(5)
A(i) = EOpacity[E (i)] ・・・(6)
E(i)は作成される2次元投影面上のある点から3次元弾性画像を見た場合の視線上i番目に存在する弾性情報である。Eout(i)は、出力されるピクセル値である。例えば、視線上にNボクセルの弾性情報が並んだとき、i =0〜N-1まで弾性情報を積算した積算値Eout(N-1)が 最終的に出力されるピクセル値となる。Eout(i-1)はi-1番目までの積算値を示す。また、A(i)は視線上i番目に存在する弾性情報の不透明度であり、式(6)に示す弾性不透明度テーブルである。
【0035】
S(i)は弾性情報E(i)とその周辺の弾性情報より求めた勾配より算定される陰影付けのための重み成分で、たとえば、光源とボクセルiを中心とした面の法線が一致する場合、もっとも強く反射するため1.0が与えられ、光源と法線が直交する場合には0.0が与えられるなどの強調効果を指し示す。
【0036】
Eout(i)Aout(i) はともに0を初期値とし、式(5)に示される様にAout(i)はボクセルを通過するたびに積算され1.0に収束する。よって、式(4)に示されるようにi -1番目までのボクセルの不透明度の積算値Aout(i-1)がおよそ1.0となった場合、i番目以降のボクセル値E(i)は出力画像に反映されない。
【0037】
弾性マルチフレーム構成部22は弾性ボリュームデータから任意断面位置の2次元弾性画像を構成する。任意断面位置は操作者が操作部23を用いて任意に設定可能であり、設定された任意断面位置は制御部24を通して弾性マルチフレーム構成部22に出力される。なお、操作者は任意断面位置を複数設定することができ、弾性マルチフレーム構成部22は複数の任意断面位置に対して、複数の2次元弾性画像を構成することができる。
【0038】
切替合成部12は、3次元弾性画像と3次元断層画像を合成する。切替合成部12は、フレームメモリと、画像処理部と、画像選択部とを備えて構成されている。ここで、フレームメモリは、3次元断層画像構成部10からの3次元断層画像と、断層マルチフレーム構成部11からの任意断面の2次元断層画像と、3次元弾性画像構成部21からの3次元弾性画像と弾性マルチフレーム構成部22からの任意断面の2次元弾性画像とを格納するものである。また、画像処理部は、フレームメモリに確保された3次元断層画像と3次元弾性画像とを、または任意断面の2次元断層画像と任意断面の2次元弾性画像とを制御部24の指令に応じて設定割合で加算して合成するものである。合成画像の各画素の輝度情報及び色相情報は、白黒断層画像とカラー弾性画像の各情報を設定割合で加算したものとなる。
【0039】
さらに、画像選択部は、フレームメモリ内の3次元断層画像と3次元弾性画像とを、または任意断面の2次元断層画像と任意断面の2次元弾性画像とを及び画像処理部の合成画像データのうちから画像表示部13に表示する画像を制御部24の指令に応じて選択するものである。なお、これらの2次元断層画像と2次元弾性画像とを合成せずに別々に表示させてもよい。
【0040】
次に、本発明の特徴部について説明する。図2は画像表示部13の一表示形態を示している。ここでは、2次元弾性画像51および3次元弾性画像52を並列に表示する画像表示部13の表示状態を示している。なお、本実施例はこの表示形態によらず、直交3断面の複数の2次元弾性画像と3次元弾性画像を同時に表示する表示形態においても有効である。複数の2次元弾性画像は弾性マルチフレーム構成部22によって構成される。
【0041】
図2では、2次元弾性画像51においては硬い領域53と軟らかい領域54を示し、3次元弾性画像52においては硬い3次元領域55と軟らかい3次元領域56を示す。図示は省略するが、2次元弾性画像51と2次元断層画像を合成した2次元合成画像を表示したり、3次元弾性画像52と3次元断層画像との合成した3次元合成画像を表示したりしてもよい。2次元合成画像を表示する際、断層マルチフレーム構成部11によって、2次元弾性画像と同じ断面の2次元断層画像が構成される。
【0042】
図2では、弾性ボリュームデータを構成する2次元弾性画像にノイズフレームがない状態を示している。そのため、3次元弾性画像52において球状の硬い3次元領域55が表示されている。3次元弾性画像52に表示されている断面57は、並列して表示されている2次元弾性画像51の断面の位置を示している。
【0043】
表示価値判定部30は、弾性ボリュームデータにおいてノイズを含む2次元弾性画像をノイズフレームとして判定し、判定情報構成部31は、ノイズフレームの位置情報を含む判定情報を構成する。判定情報構成部31によって構成されたノイズフレームの位置情報を含む判定情報について、図3を用いて説明する。
【0044】
図3(a)は、超音波探触子2の正面図を示しており、超音波探触子2の側面を示している。図3(b)は、超音波探触子2の平面図(底面図)を示しており、被検体1との接触面を示している。図3(c)は、超音波探触子2における被検体1との接触面を模式的に示した超音波探触子2の模式図(マーク)にノイズフレームの位置情報を付与した判定情報の一例である。
【0045】
超音波探触子2は、矩形又は扇形をなす複数の振動子からなる探触子ヘッド60を備え、複数の振動子の配列方向と直交する方向に探触子ヘッド60を端A62から端B64の間で機械的に振り、超音波を3次元に送受信する。突起部66は超音波探触子2の片側の側面に設置されており、操作者は突起部66の位置で超音波探触子2の側面を特定することができる。
【0046】
3次元スキャンを行う際、端A62の位置からスキャンを始めると定める。もちろん端B64の位置からスキャンを始めると定めてもよい。
【0047】
図3(c)に示すように、画像表示部13はノイズフレームの位置情報含む判定情報70を表示する。判定情報70は、超音波探触子2における被検体1との接触面においてノイズフレームの位置を特定できる情報である。
【0048】
探触子ヘッド60が端A62から端B64まで移動する間に取得される2次元弾性画像のフレーム数がN枚と定められているものとする。Nは2以上の自然数とする。つまり、弾性ボリュームデータはN枚のフレームで構成される。
【0049】
弾性画像構成部18は、探触子ヘッド60が端A62から端B64まで移動する際、例えば2次元弾性画像の1フレーム分の位置を示すindex(指標)を付与する。indexは0からN-1の値をとる。端A62のとき0、端B64のときN-1の値となる。具体的には、弾性画像構成部18における処理は2次元弾性画像に該当するフレームにindexを付与する。indexを参照することで、弾性ボリュームデータを構成する2次元弾性画像のフレームの位置情報を特定することができる。
【0050】
次に、表示価値判定部30における2次元弾性画像のノイズフレームの判定について説明する。表示価値判定部30は、2次元弾性画像の基となる一対のRF信号フレームデータ間の自己相関値又は2次元弾性画像において表示価値があると判定された領域から求められる評価値に基づいて2次元弾性画像がノイズフレームであるか否かの判定を行なう。例えば、2次元弾性画像の基となった一対のRF信号フレームデータ間の自己相関値が所定値よりも高い場合、この一対のRF信号フレームデータの一致度が高くなり、2次元弾性画像がノイズフレームである可能性が低い。
【0051】
そこで、表示価値判定部30は、一対のRF信号フレームデータの自己相関値が所定値よりも高い場合、安定した計測状態で計測されたと認識し、2次元弾性画像がノイズフレームでないと判定する。表示価値判定部30は、一対のRF信号フレームデータの自己相関値が所定値よりも低い場合、不安定な計測状態で計測されたと認識し、2次元弾性画像がノイズフレームであると判定する。
【0052】
また、表示価値判定部30は、2次元弾性画像の各計測点についての弾性情報が正常に計測された結果か否かを判定して、2次元弾性画像がノイズフレームであるか否かの判定を行なうこともできる。表示価値判定部30は、例えば、各計測点の弾性情報と2次元弾性画像の弾性情報の平均値又は標準偏差値とを比較して、各計測点の弾性情報が正常に計測されたか否かに基づいて表示価値があるか否かを判定する。表示価値判定部30は、表示価値があると判定された領域が所定領域より大きい場合、2次元弾性画像がノイズフレームではないと判定する。表示価値判定部30は、表示価値がないと判定された領域が所定領域より大きい場合、2次元弾性画像がノイズフレームであると判定する。
【0053】
このように、表示価値判定部30は、弾性ボリュームデータを構成する全ての2次元弾性画像に対してノイズフレームであるか否かを判定する。そして、ノイズフレームであった場合はnoise_frame(ノイズフレームに関するフラグ)を1に、ノイズフレームではない場合はnoise_frameを0にしてindexとともに判定情報構成部31へ出力する。
【0054】
判定情報構成部31は、超音波探触子2における被検体1との接触面を模式的に示した模式図(マーク)にノイズフレームの位置情報を付与した判定情報70を構成し、画像表示部13に出力する。判定情報70における突起部78は、図3(a)(b)における超音波探触子2の突起部66を示すものであり、超音波探触子2の側面(左右方向)を区別するものである。AからBの矢印は探触子ヘッド60の振り方向を示している。
【0055】
判定情報構成部31は、判定情報70を構成する際、まず、判定情報70を縦方向にN個の区間(位置)に分割する。そして、端A62に対応する区間72にindex=0を割り当て、端A62に対応する区間72の隣の区間にindex=1を割り当てる。そして、順次、区間にindexを割り当て、端B64に対応する区間74にindex=(N-1)を割り当てる。表示価値判定部30から出力されたindex(指標)とnoise_frameに基づいて、判定情報構成部31は、ノイズフレームである位置とノイズフレームではない位置とを区別して判定情報70を構成する。
【0056】
具体的には、noise_frame=0のindexの区間は所定の色(例えば、白色)に、noise_frame=1の区間は所定の色とは異なる色(例えば、黒色)に描画する。図3(c)では区間72と区間76がノイズフレームの領域として黒く描画されていることを表している。なお、ノイズフレームの位置が区別できれば何色で描画してもよい。
【0057】
2次元弾性画像は圧迫を繰り返しながら取得されるため、圧迫が適切でない場合に取得された2次元弾性画像によるノイズフレームが発生する場合がある。図4に示すように、ノイズフレームが含まれる2次元弾性画像から構成された弾性ボリュームデータをレンダリングすると3次元弾性画像58のように表示される。3次元弾性画像58には手前側にノイズフレーム60、奥側にノイズフレーム61がある。
【0058】
本実施例によれば、弾性ボリュームデータにおいてノイズを含む2次元弾性画像をノイズフレームとして判定する表示価値判定部30と、ノイズフレームの位置情報を含む判定情報を構成する判定情報構成部31とを備え、画像表示部13は判定情報70を表示する。判定情報70は、ノイズフレームを含む3次元弾性画像58とともに画像表示部13に表示される。
【0059】
よって、3次元弾性画像58のようにノイズフレーム60、61が含まれていても、判定情報によってノイズフレーム60、61が発生した位置情報を操作者に提示することができる。よって、操作者はノイズフレーム60、61が発生した位置情報から圧迫手技を改善することができる。
【0060】
なお、図5(a)に示すように、超音波探触子2の側面に、N個の区間(位置)に分割して割り当てられたindexを付与することもできる。具体的には、超音波探触子2の側面における探触子ヘッド60の振り方向に沿って、端A62に対応する区間72にindex=0を割り当て、端A62に対応する区間72の隣の区間にindex=1を割り当て、順次、区間にindexを割り当て、端B64に対応する区間74にindex=(N-1)を割り当てる。このように、超音波探触子2の側面にそれぞれindexを付与する。
【0061】
よって、操作者は、画像表示部13に表示された判定情報70と超音波探触子2との対応付けを行うことが容易になる。
【0062】
また、図5(b)に示すように、表示価値判定部30は、階層的にnoise_frame(ノイズフレームに関するフラグ)を判定することができる。具体的には、表示価値判定部30は、表示価値がある、若しくはないと判定された領域の面積に応じて、階層的にフラグを設定する。つまり、ノイズフレームの悪性度に応じて、階層的にnoise_frame(ノイズフレームに関するフラグ)が設定される。
【0063】
判定情報構成部31は、ノイズフレームの悪性度に応じて、ノイズフレームにおける位置と悪性度が区別できるように判定情報70を構成する。図5(b)では区間72よりも区間76の方がノイズフレームの悪性度が高い場合を示している。区間76の方がノイズフレームの領域として区間72よりもより黒く描画されている。
【実施例2】
【0064】
次に実施例2について図6を用いて説明する。実施例1と異なる点は、判定情報構成部31はノイズフレームと判定された2次元弾性画像に判定情報を付与し、画像表示部13は2次元弾性画像を判定情報とともに表示する点である。
【0065】
図6では、時間軸90に沿って左から右へ時間が経過している様子を示している。探触子ヘッドは探触子ヘッド位置91から探触子ヘッド位置92、探触子ヘッド位置93へと移動する。さらに、表示状態94は探触子ヘッド位置91のときの画像表示部13の表示状態、表示状態95は探触子ヘッド位置92のときの画像表示部13の表示状態、表示状態96は探触子ヘッド位置93のときの画像表示部13の表示状態を示している。ここでは、探触子ヘッド位置91及び探触子ヘッド位置93の時点でノイズフレームが発生していることとする。
【0066】
本実施例では、3次元スキャン中に弾性画像構成部18は2次元弾性画像を画像表示部13へ直接出力し、2次元弾性画像を順次表示することができる。つまり、2次元弾性画像97は探触子ヘッド位置91で取得された2次元弾性画像であり、同様に、2次元弾性画像98は探触子ヘッド位置92で取得された2次元弾性画像であり、2次元弾性画像99は探触子ヘッド位置93で取得された2次元弾性画像である。
【0067】
弾性画像構成部18は2次元弾性画像を画像表示部13へ出力すると同時に表示価値判定部30にも出力を行う。表示価値判定部30は実施例1と同様に2次元弾性画像がノイズフレームか否かを判定し、判定情報であるnoise_frame(ノイズフレームに関するフラグ)を判定情報構成部31に出力する。
【0068】
判定情報構成部31は、表示価値判定部30からnoise_frameを受け取り、noise_frame=1として、ノイズフレームと判定された2次元弾性画像に判定情報を付与する。判定情報構成部31は、ノイズフレームである2次元弾性画像とノイズフレームではない2次元弾性画像とを区別して判定情報70を付与する。例えば、ノイズフレームである2次元弾性画像97には判定情報が警告情報80として付与され、ノイズフレームである2次元弾性画像98には判定情報が警告情報81として付与される。なお、ノイズフレームではない2次元弾性画像98は、通常通り、そのまま表示される。
【0069】
本実施例では、警告情報80と警告情報81は、2次元弾性画像のROIの枠線に警告情報を施している。2次元弾性画像のROIの枠線を点線又は色で表示する、文字又は記号を表示するなど、ノイズフレームではない2次元弾性画像と区別ができる表示ならば他の手法でもよい。
【0070】
本実施例によれば、画像表示部13に表示される2次元弾性画像がノイズフレームである場合、2次元弾性画像に判定情報が付与されることから、操作者は圧迫手技をリアルタイムに改善することができる。
【実施例3】
【0071】
次に実施例3について図7、8を用いて説明する。実施例1、2と異なる点は、画像表示部13は弾性マルチフレーム構成部22で構成された任意断面の2次元弾性画像上に弾性ボリュームデータにおけるノイズフレームの位置を表示する点である。
【0072】
弾性ボリュームデータ作成部20は、表示価値判定部30でノイズフレームと判定された2次元弾性画像に該当する弾性ボリュームデータに判定情報を付与する。弾性ボリュームデータ作成部20から読み出された弾性ボリュームデータを用いて弾性マルチフレーム構成部22で2次元弾性画像を構成すると、2次元弾性画像に弾性ボリュームデータにおけるノイズフレームの位置が反映される。
【0073】
具体的には、表示価値判定部30は、実施例1と同様に2次元弾性画像がノイズフレームか否かを判定し、判定結果であるnoise_frame(ノイズフレームに関するフラグ)を弾性ボリュームデータ作成部20に出力する。弾性ボリュームデータ作成部20は弾性ボリュームデータを作成する際に、noise_frame=1のフレーム、つまりノイズフレームと判定されたフレームについてはそのフレーム内の全要素が区別して認識できるように置換する。
【0074】
例えば、弾性ボリュームデータにおいて0をとるボクセルが、画面表示部13で黒色として置換して表示されることとする。弾性ボリュームデータのあるボクセルの値をEV(i,j,k)とする。i,j,kはそれぞれx座標、y座標、z座標を表し、iは0から(X-1)、jは0から(Y-1)、zは0から(Z-1)の値をとるものとする。更に弾性ボリュームデータに入力されるk枚目の弾性フレームデータをEF(i,j)kとする。
【0075】
ここで、探触子ヘッドはz座標の方向に振るものとし、1つの弾性ボリュームデータを作成するのにZ枚のフレームが必要とする。つまり、1枚目のフレームは弾性ボリュームデータのz=0の位置に、Z枚目のフレームは弾性ボリュームデータのz=(Z-1)の位置に格納される。
【0076】
弾性ボリュームデータ作成部20は、以下の処理をi=0〜(X-1)、j=0〜(Y-1)の範囲で行い、k枚目の弾性フレームデータを弾性ボリュームデータに格納し、弾性ボリュームデータを作成する。
【0077】
k枚目のフレームのnoise_frameが0であるとき、EV(i,j,k) = EF(i,j)k (i=0〜X、j=0〜Y)とする。k枚目のフレームのnoise_frameが1であるとき、EV(i,j,k) = 0 (i=0〜X、j=0〜Y)とする。これにより、ノイズフレームの位置が0で満たされた弾性ボリュームデータが作成される。
【0078】
弾性マルチフレーム構成部22は、ノイズフレームの位置が0で満たされた弾性ボリュームデータに基づいて任意断面の2次元弾性画像を作成する。これにより、任意断面の2次元弾性画像上でもノイズフレームの領域は0となり、画像表示部13では黒色で表示される。
【0079】
図7にノイズフレームの位置が0で満たされた弾性ボリュームデータと、それを基に作成した任意断面の2次元弾性画像を示す。弾性ボリュームデータ100は本実施例の処理を行っていない状態であり、ノイズフレーム領域101が存在することを示している。本実施例を適用することで、ノイズフレームの位置が0で満たされた弾性ボリュームデータ102が作成される。ノイズフレーム領域103が0で満たされていることを黒色で示す。このノイズフレームの位置が0で満たされた弾性ボリュームデータ102に基づいて作成した断面104の任意断面の2次元弾性画像105を示す。画像表示部13は、2次元弾性画像105においてノイズフレームの存在する位置106を黒色で表示する。
【0080】
図8に本実施例の表示形態の一例を示す。表示状態107にはXY面の2次元弾性画像108、YZ面の2次元弾性画像109、ZX面の2次元弾性画像110、3次元弾性画像111が表示されている。
【0081】
本実施例によれば、YZ面弾性画像109、ZX面弾性画像110にはノイズフレームの位置が黒色で表示されている。これにより、操作者はノイズフレームが発生している位置を把握でき、圧迫手技を改善することができる。
【0082】
なお、弾性ボリュームデータ作成部20は、noise_frameに基づいてノイズフレームの領域は1、ノイズフレームではない領域は0であるボクセルからなるマスクボリュームデータを作成してもよい。
【実施例4】
【0083】
次に実施例4について図9を用いて説明する。実施例1〜3と異なる点は、画像表示部13は弾性マルチフレーム構成部22で構成された任意断面の2次元弾性画像の付近に弾性ボリュームデータにおけるノイズフレームの位置を示すマークを表示する点である。
【0084】
図9は本実施例の表示形態の一例を示し、表示状態120にはXY面の2次元弾性画像121、YZ面の2次元弾性画像122、ZX面の2次元弾性画像123、3次元弾性画像124が表示されている。
【0085】
表示価値判定部30は、実施例1と同様に2次元弾性画像がノイズフレームか否かを判定し、判定結果であるnoise_frame(ノイズフレームに関するフラグ)とindexを判定情報構成部31に出力する。
【0086】
また、画像表示部13上の座標は表示状態110の左上の端を(0,0)とし、判定情報構成部31は任意断面の2次元弾性画像を表示する座標を画像表示部13に出力しているものとする。ここでは、ZX面の2次元弾性画像123の左上の端が座標(s,t)に一致するように表示を行っている。弾性ボリュームデータがZ枚のフレームから構成されるとすると、index=0の座標は(s,t+(Z-1))、index=Z-1の座標は(s,t)となる。
【0087】
判定情報構成部31は、表示価値判定部30から出力されたindexとnoise_frameに基づいて、noise_frame=1のとき、つまりノイズフレームと判定されたindexに対応する座標の付近にマーク125を表示するように画像表示部13に出力する。よって、ZX面の2次元弾性画像の付近に弾性ボリュームデータにおけるノイズフレームの位置を示すマークが表示される。また、YZ面の2次元弾性画像122についても同様にマーク126が表示される。
【0088】
本実施例によれば、操作者はノイズフレームが発生している位置を把握でき、圧迫手技を改善することができる。
【実施例5】
【0089】
次に実施例5について図10を用いて説明する。実施例1〜4と異なる点は、判定情報構成部31はノイズフレームと判定された2次元弾性画像の偏りに関する判定分布情報を構成する点である。
【0090】
図10は本実施例の表示形態の一例を示し、表示状態130には弾性ボリュームデータを構成する一部の2次元弾性画像131と3次元弾性画像132が表示され、ノイズフレーム133が発生している様子を示している。
【0091】
表示価値判定部30は実施例1と同様に2次元弾性画像がノイズフレームか否かを判定し、判定結果であるnoise_frame(ノイズフレームに関するフラグ)とindexを判定情報構成部31に出力する。
【0092】
判定情報構成部31は、noise_frame=1、つまりノイズフレームと判定されたindexの偏りに基づく判定分布情報を構成する。例えば、indexの最大値をNとし、判定情報構成部31はnoise_frame=1となるindex、つまりノイズフレームの数を所定の区間毎に計測し、所定の区間毎に計測されたノイズフレームの偏りに関する判定分布情報を構成する。
【0093】
手前側の区間と奥側の区間の2区間で計測する場合、判定情報構成部31は、例えば、index=0からindex=N/2の区間と、index=N/2+1からindex=Nまでの区間でそれぞれ計測する。
【0094】
index=0からindex=N/2の区間でnoise_frame=1となったindexの総数をpre_number_of_noise、index=N/2+1からindex=Nの区間でnoise_frame=1となったindexの総数をpost_number_of_noiseとする。
【0095】
予め定められた閾値M(0<M<N/2)に基づいて、判定情報構成部31は、以下の動作を行う。
(1)pre_number_of_noise>Mかつpost_number_of_noise>Mのとき、判定情報構成部31は“全体にノイズが多いです”の文章を表示するように画像表示部13に出力する。
(2)pre_number_of_noise>Mかつpost_number_of_noise<=Mのとき、判定情報構成部31は“手前にノイズが多いです”の文章を表示するように画像表示部13に出力する。
(3)pre_number_of_noise<=Mかつpost_number_of_noise>Mのとき、判定情報構成部31は“奥にノイズが多いです”の文章を表示するように画像表示部13に出力する。
【0096】
画像表示部13は判定情報構成部31からの出力を基に基づいて画像表示部13における文章表示部134に文章を表示する。
【0097】
これにより、操作者はノイズフレームの多い位置を画像表示部13から認識でき、圧迫の改善を行うことができる。
【0098】
なお、閾値Mは定数でもよいし、操作者が操作部23から入力できてもよい。また、文章を表示するだけでなく、音声で操作者に伝える手法でもよい。ノイズフレームと判定されたindexの偏りの計算に統計を用いてもよい。
【0099】
判定情報構成部31が上記の動作を行う場合、index=0に対応する位置が操作者にとって手前側、index=Nに対応する位置が操作者にとって奥側にある必要がある。そのためには端A85がindex=0に対応する場合、図5の超音波探触子2の突起部66が操作者から見て左側になければならない。この情報は通常、操作者が操作部23を用いて判定情報構成部31に入力される。したがって、操作部23から判定情報構成部31への入力により超音波探触子2の突起部66が操作者から見て左側の場合は上記のように制御し、操作部23から判定情報構成部31への入力により超音波探触子2の突起部66が操作者から見て右側の場合は以下のように制御するものとする。
【0100】
(1)pre_number_of_noise>Mかつpost_number_of_noise>Mのとき、“全体にノイズが多いです”の文章を表示するように画像表示部13に出力する。
【0101】
(2)pre_number_of_noise>Mかつpost_number_of_noise<=Mのとき、“奥にノイズが多いです”の文章を表示するように画像表示部13に出力する。
【0102】
(3)pre_number_of_noise<=Mかつpost_number_of_noise>Mのとき、“手前にノイズが多いです”の文章を表示するように画像表示部13に出力する。
【0103】
なお、判定情報構成部31は、ノイズフレームの数を計測する区間を任意に設定することもできる。例えば、手前側の区間と真ん中の区間と奥側の区間の3区間で計測する場合、判定情報構成部31は、例えば、index=0からindex=N/3の区間と、index=N/3+1からindex=2N/3 の区間と、index=2N/3+1index=Nまでの区間でそれぞれ計測する。そして、判定情報構成部31は、ノイズフレームの数を3区間毎に計測し、3区間毎に計測されたノイズフレームの偏りに関する判定分布情報を構成する。
【0104】
本実施例によれば、操作者はノイズフレームが発生している位置を分布として把握でき、圧迫手技を改善することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 被検体、2 探触子、3 送信部、4 受信部、5 超音波送受信制御部、6 整相加算部、7 断層画像構成部、8 2次元断層画像記憶部、9 断層ボリュームデータ作成部、10 3次元断層画像構成部、11 断層マルチフレーム構成部、12 切替合成部、13 画像表示部、14 RF信号フレームデータ記憶部、15 RF信号フレームデータ選択部、16 変位計測部、17 弾性情報演算部、18 弾性画像構成部、19 2次元弾性画像記憶部、20 弾性ボリュームデータ作成部、21 3次元弾性画像構成部、22 弾性マルチフレーム構成部、23 操作部、24 制御部、30 表示価値判定部、31 判定情報構成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探触子と、前記超音波探触子を介して受信された反射エコー信号によって算出された弾性情報に基づく2次元弾性画像によって弾性ボリュームデータを作成する弾性ボリュームデータ作成部と、前記弾性ボリュームデータに基づいて3次元弾性画像を構成する3次元弾性画像構成部と、前記3次元弾性画像を表示する画像表示部とを備えた超音波診断装置であって、
前記弾性ボリュームデータにおいてノイズを含む2次元弾性画像をノイズフレームとして判定する表示価値判定部と、前記ノイズフレームの位置情報含む判定情報を構成する判定情報構成部とを備え、前記画像表示部は前記判定情報を表示することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記判定情報は、前記超音波探触子における前記被検体との接触面においてノイズフレームの位置を特定できる情報であることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記画像表示部は、前記超音波探触子の模式図に前記ノイズフレームの位置情報を付与した判定情報を表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記判定情報構成部は、前記ノイズフレームと判定された前記2次元弾性画像に判定情報を付与し、前記画像表示部は前記2次元弾性画像を前記判定情報とともに表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記弾性ボリュームデータ作成部で作成された弾性ボリュームデータから任意断面の2次元弾性画像を作成する弾性マルチフレーム構成部を備え、前記画像表示部は、前記任意断面の2次元弾性画像上に前記弾性ボリュームデータにおけるノイズフレームの位置を表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記画像表示部は、前記任意断面の2次元弾性画像を表示する際、前記ノイズフレームと判定された2次元弾性画像に基づいて構成された領域を単一色で表示することを特徴とする請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記弾性ボリュームデータ作成部で作成された弾性ボリュームデータから任意断面の2次元弾性画像を作成する弾性マルチフレーム構成部を備え、前記画像表示部は、前記任意断面の2次元弾性画像の付近に前記弾性ボリュームデータにおけるノイズフレームの位置を示すマークを表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記判定情報構成部はノイズフレームと判定された2次元弾性画像の偏りに関する判定分布情報を構成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−111102(P2013−111102A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257307(P2011−257307)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】