説明

路線価流れ図作成装置及び路線価流れ図作成プログラム

【課題】路線価の流れを視覚的に簡易に確認することができる路線価流れ図作成装置及び路線価流れ図作成プログラムを提供する。
【解決手段】地図データ取得部28が、路線価の評価区間毎に、各区間の間の接続関係が定義されたトポロジー情報が設定された地図データを取得し、路線抽出部30は、上記地図データから、直線及び曲線で構成された同一系統路線を抽出し、トポロジー情報取得部32は、上記トポロジー情報を取得し、組合せ決定部34は、上記トポロジー情報に含まれる各区間の間の接続関係のうち、路線価を比較する区間の組み合わせを、同一系統路線の接続関係に基づいて決定し、差分取得部38は、上記各組み合わせの区間毎に路線価の差分を取得し、矢印発生部40は、上記差分から、予め定めた基準に基づき矢印画像を発生し、表示制御部42は、上記矢印画像を上記区間の中点から路線に重ねて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路線価流れ図作成装置及び路線価流れ図作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
路線価は、道路に面する宅地1m当たりの土地評価額であり、課税価格を計算する目安となる価額である。この路線価の決定は、不動産鑑定士により算出された基準の路線価、駅等の公共施設からの距離、道路幅員、道路種別(国道、県道等)等の様々な要因に基づいて行う必要があり、作業が非常に煩雑である。このため、従来より、コンピュータシステムの活用が進められてきたが、入力すべき情報の量は膨大となっていた。
【0003】
そこで、例えば下記特許文献1では、人手による情報入力の量を減らすことができるとともに路線価を一貫した基準で算出できる路線価評価システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−106966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
路線価は、上述したように、課税の目安となるものであるので、公平性、納税者の納得性等を担保できる価額とすることが重要である。このため、各路線に沿った路線価の流れ(設定された路線価の変化の状況)を確認できることが重要である。
【0006】
路線価は、各路線について、例えば交差点と交差点の間の区間等、路線の状況に応じて区分された評価区間毎に一定値が設定されている。従って、上記路線価の流れの確認は、隣接区間との路線価の差分の観察となるが、上記従来技術においては、この差分を視覚的に簡易に確認することができないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、路線価の流れを視覚的に簡易に確認することができる路線価流れ図作成装置及び路線価流れ図作成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の実施形態は、路線価流れ図作成装置であって、各路線において、路線価の評価区間毎に、各区間の間の接続関係が定義されたトポロジー情報が設定された地図データを取得する地図データ取得手段と、前記地図データから直線または曲線で構成された同一系統路線を抽出する路線抽出手段と、前記各路線に設定されたトポロジー情報を取得するトポロジー情報取得手段と、前記トポロジー情報に含まれる各区間の間の接続関係のうち、路線価を比較する区間の組み合わせを、同一系統路線内の前記区間の接続関係、及び複数の同一系統路線間における前記区間の接続関係に基づき、予め定めた基準に基づいて決定する組み合わせ決定手段と、前記各組み合わせの路線の路線価の差分を取得する差分取得手段と、前記取得した差分から、予め定めた基準に基づき方向指標画像を発生する方向指標発生手段と、前記方向指標画像を、前記路線の中点から路線に重ねて表示する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の実施形態は、上記路線価流れ図作成装置において、前記組み合わせ決定手段が、異なる同一系統路線同士が交わらない場合には、前記同一系統路線上の区間の組み合わせを選択し、異なる同一系統路線同士が交わる場合には、前記区間が接続される接続点における接続関係により、前記区間の組み合わせのうち予め定めた組み合わせを選択することを特徴とする。
【0010】
また、第3の実施形態は、上記路線価流れ図作成装置において、前記接続関係が、T字路、十字路、5差路、6差路を含むことを特徴とする。
【0011】
また、第4の実施形態は、上記路線価流れ図作成装置において、前記方向指標発生手段が、路線価が低い方の区間から路線価が高い方の区間に向かう方向の方向指標画像を発生し、前記表示制御手段が、前記差分取得手段が取得した差分の大きさに基づいて、表示する方向指標の濃淡または色、形状を変更することを特徴とする。
【0012】
また、第5の実施形態は、路線価流れ図作成プログラムであって、コンピュータを各路線において、路線価の評価区間毎に、各区間の間の接続関係が定義されたトポロジー情報が設定された地図データを取得する地図データ取得手段、前記地図データから直線または曲線で構成された同一系統路線を抽出する路線抽出手段、前記各路線に設定されたトポロジー情報を取得するトポロジー情報取得手段、前記トポロジー情報に含まれる各区間の間の接続関係のうち、路線価を比較する区間の組み合わせを、同一系統路線内の前記区間の接続関係、及び複数の同一系統路線間における前記区間の接続関係に基づき、予め定めた基準に基づいて決定する組み合わせ決定手段、前記各組み合わせの路線の路線価の差分を取得する差分取得手段、前記取得した差分から、予め定めた基準に基づき方向指標画像を発生する方向指標発生手段、前記方向指標画像を、前記路線の中点から路線に重ねて表示する表示制御手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
発明によれば、路線価の流れを視覚的に簡易に確認することができる
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態にかかる路線価流れ図作成装置を構成するコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【図2】実施形態にかかる路線価流れ図作成装置の機能ブロック図である。
【図3】トポロジー情報に含まれる各区間の間の接続関係の説明図である。
【図4】図3に示された接続関係毎に、路線価を比較する区間の組み合わせを示す図である。
【図5】接続関係の数と矢印画像の発生数との関係を接続関係毎に示す図である。
【図6】実施形態にかかる路線価流れ図作成装置の動作例のフロー図である。
【図7】図6の処理の結果作成された路線価流れ図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0016】
図1には、実施形態にかかる路線価流れ図作成装置を構成するコンピュータのハードウェア構成の例が示される。図1において、路線価流れ図作成装置は、中央処理装置(例えばマイクロプロセッサ等のCPUを使用することができる)10、ランダムアクセスメモリ(RAM)12、読み出し専用メモリ(ROM)14、入力装置16、表示装置18、通信装置20及び記憶装置22を含んで構成されており、これらの構成要素は、バス24により互いに接続されている。また、入力装置16、表示装置18、通信装置20及び記憶装置22は、それぞれ入出力インターフェース26を介してバス24に接続されている。
【0017】
CPU10は、RAM12またはROM14に格納されている制御プログラムに基づいて、後述する各部の動作を制御する。RAM12は主としてCPU10の作業領域として機能し、ROM14にはBIOS等の制御プログラムが格納されている。
【0018】
また、入力装置16は、キーボード、ポインティングデバイス等により構成され、使用者が動作指示等を入力するために使用する。
【0019】
また、表示装置18は、液晶ディスプレイ等により構成され、路線価の流れ図等の画像を表示する。なお、表示装置18は、他のコンピュータ等に設けてもよい。
【0020】
また、通信装置20は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポート、ネットワークポートその他の適宜なインターフェースにより構成され、CPU10がネットワーク等の通信手段を介して外部の装置とデータをやり取りするために使用する。
【0021】
また、記憶装置22は、ハードディスク等の記憶装置であり、後述する処理に必要となる種々のデータを記憶する。なお、記憶装置22としては、ハードディスクの代わりに、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ等を使用してもよい。
【0022】
図2には、実施形態にかかる路線価流れ図作成装置の機能ブロック図が示される。図2において、路線価流れ図作成装置は、地図データ取得部28、路線抽出部30、トポロジー情報取得部32、組合せ決定部34、中点発生部36、差分取得部38、矢印発生部40、表示制御部42及び通信部44を含んで構成されており、これらの機能は、例えばCPU10とCPU10の処理動作を制御するプログラムとにより実現される。
【0023】
地図データ取得部28は、路線価の評価対象である各路線(道路)において、路線価の評価区間(以後、区間ということがある)毎に、各区間の間の接続関係が定義されたトポロジー情報が設定された地図データを取得する。ここで、トポロジー情報には、各区間の始点・終点、当該区間が接続している他の区間の情報等が含まれている。また、上記接続している他の区間の情報により、当該区間がいずれの区間と接続している(隣接している)かが規定できる。
【0024】
路線抽出部30は、上記地図データから直線及び曲線で構成された同一系統路線を抽出する。ここで、同一系統路線は、同一の道路であって、例えば同一の国道、県道等が該当する。ただし、上述したように、同一の道路であっても、直線及び曲線で構成される(繋がっている)範囲とする。なお、同一系統路線とするか否かは、予め記憶装置22等に記憶された路線の定義に従うものとし、道路が成す角度には依存しない。また、同一系統路線及びその上の各区間に適宜な識別番号(ID)を付して管理してもよい。なお、各同一系統路線には、上述したトポロジー情報が設定されている。
【0025】
トポロジー情報取得部32は、上記各同一系統路線に設定されたトポロジー情報を取得する。
【0026】
組合せ決定部34は、上記トポロジー情報に含まれる各区間(路線価の評価区間)の間の接続関係のうち、路線価を比較する区間の組み合わせを、同一系統路線内の上記区間の接続関係、及び複数の同一系統路線間における上記区間の接続関係に基づき、予め定めた基準に基づいて決定する。本実施形態は、路線価の流れすなわち隣接区間の間の路線価の差分が同一系統路線に沿ってどのように変化しているかを視覚的に表示するものであるので、異なる同一系統路線同士が交わらない場合には、組合せ決定部34は、同一系統路線上で隣接する区間の組み合わせを優先的に選択する。一方、異なる同一系統路線同士が交わる場合には、異なる同一系統路線上のいずれかの区間同士が、上記異なる同一系統路線の接続点で接続されていることになる。この場合、組合せ決定部34は、上記区間が接続される接続点における接続関係により、上記区間の組み合わせのうちいずれを選択するかを決定する。接続関係には、T字路、十字路、5差路、6差路等の接続の状況及び各同一系統路線の間に街路条件の相違、例えば国道と県市道の相違等の情報が含まれる。この場合には、組合せ決定部34は、原則として同一系統路線上で隣接する区間の組み合わせを優先的に選択し、異なる同一系統路線上の区間同士については、上記接続関係毎に、路線価の流れを把握するために路線価の差分を取得する必要がある区間の組み合わせもあわせて選択する。この場合、後述するように、上記接続関係毎に予めどの区間の組み合わせを選択するかを決定しておくのが好適である。
【0027】
中点発生部36は、上記組合せ決定部34により決定された組み合わせの区間毎に区間の中点を発生させる。
【0028】
差分取得部38は、上記各組み合わせの区間毎に路線価の差分を取得する。この場合、取得した差分から、どちらの区間の路線価が高いかの情報を矢印発生部40に出力する。なお、差分取得処理の演算に使用する路線価は、例えば予め路線価データベース等の適宜なデータベースに格納されている情報を使用する。この路線価の情報は、トポロジーデータに含まれる各路線上の区間IDをキーとして各区間に紐付ける構成とすることができる。上記路線価データベースが他のコンピュータ上に設置されている場合には、差分取得部38は、通信部44を介して路線価の情報を取得する。
【0029】
矢印発生部40は、上記差分取得部38が取得した差分から、予め定めた基準に基づき矢印画像を発生する。この場合、組合せ決定部34が決定した比較対象の区間のうち、路線価が高い方の区間では、路線価が低い方の区間との接続点から路線価が高い方の区間の中点に向かう矢印画像とし、路線価が低い方の区間では、路線価が低い方の区間の中点から路線価が高い方の区間との接続点に向かう矢印画像とするのが好適である。
【0030】
なお、本実施形態では、路線価が低い方の区間との接続点から路線価が高い方の区間の中点に向かう方向に矢印を発生しているが、逆に路線価が高い方の区間との接続点から路線価が低い方の区間の中点に向かう方向に矢印を発生させることも可能である。
【0031】
また、矢印画像は必ずしも区間上にある必要なく、例えば区間に隣接して配置しても構わない。
【0032】
更に、必ずしも矢印で示す必要はなく、三角形等の記号や、濃淡や色、あるいは形状(長さ、太さ、線種等)の異なる線分など、路線価の流れの方向を視覚的に表現することができる指標(これを方向指標と称する)であれば限定されない。
【0033】
表示制御部42は、上記矢印発生部40が発生した矢印画像を、上記中点発生部36が発生した区間の中点から路線に重ねて表示する。路線に重ねてとは、路線が直線の場合には直線の矢印画像とし、路線が曲線の場合には、同じ曲線の矢印画像とし、一定角度で折れ曲がっている路線の場合には、同じ角度で折れ曲がる矢印画像とすることをいう。また、上記差分取得部38が取得した差分の大きさに基づいて、表示する矢印画像の色、形状等を決定し、または変更する構成としてもよい。
【0034】
通信部44は、通信装置20を介して地図データ等のデータを外部の装置とやり取りする。
【0035】
図3(a)〜(g)には、トポロジー情報に含まれる各区間の間の接続関係の説明図が示される。各区間は、同一系統路線上で連続的に設定されており、図3(a)〜(g)では、その一部の区間が示されている。
【0036】
図3(a)は、同一系統路線上において隣接する区間の接続関係を示す例である。なお、図3(a)の例では、二つの区間A1、A2が直線状に交わっているが、これには限定されない。同一系統路線の定義を満たすのであれば、例えば曲線状に交わっていてもよいし、接続点である角度をなして交わっていてもよい。図3(a)の例では、区間A1とA2とで別々に路線価が設定されている。ただし、これは区間A1とA2の路線価の価額が常に異なることを意味せず、結果として同じ価額の路線価が設定されることもある。この場合、トポロジー情報として規定される接続関係の数は、一方の区間から見た他方の区間と、他方の区間から見た一方の区間の2通り(2つの区間から2つをとる順列の数)がある。なお、図3(a)に示される接続関係を、以後ペアという。
【0037】
図3(b)は、異なる同一系統路線同士がT字に交わる場合の接続関係を示す例である。なお、図3(b)の例では、互いに90度の角度でT字状に交わっているが、この角度は90度に限定されるものではなく、他の角度でY字状に交わっていてもよい。図3(b)の例では、区間B2が区間B1に接した所で、区間B2が設定された同一系統路線が終了している。また、区間B2は、一定の路線価が設定されている区間B1の途中で区間B1に接続されている。この場合、トポロジー情報として規定される接続関係の数は、図3(a)と同様に、一方の区間B1から見た他方の区間B2と、他方の区間B2から見た一方の区間B1の2通り(順列の数)がある。図3(b)に示される接続関係を、以後T字路2交差という。
【0038】
図3(c)は、異なる同一系統路線同士がT字に交わる場合の他の接続関係を示す例である。なお、図3(c)においても、区間が交わる角度は90度に限定されない。図3(c)の例では、区間C1とC2とが、図3(a)に示されたペアの接続関係であり、区間C1とC2との接続点で他の同一系統路線上の区間C3が交わっている。図3(b)の例との相違点は、区間C3が交わっている区間C1とC2とで別々に路線価が設定されている点である。ただし、これは区間C1とC2の路線価の価額が常に異なることを意味せず、結果として同じ価額の路線価が設定されることもある。区間C3は、別々に路線価が設定される区間C1とC2の接続点でこれらの区間と交わることになる。この場合、トポロジー情報として規定される接続関係の数は、それぞれの区間C1、C2、C3から見た他の区間それぞれ2通りとなり、全部で6通り(3つの区間から2つをとる順列の数)がある。図3(c)に示される接続関係を、以後T字路3交差という。
【0039】
図3(d)は、異なる同一系統路線同士が十字に交わる場合の接続関係を示す例である。なお、図3(d)の例では、互いに90度の角度で十字状に交わっているが、この角度は90度に限定されるものではなく、他の角度で十字状に交わっていてもよい。図3(d)の例では、区間D2、D3が、一定の路線価が設定されている区間D1の途中で区間D1に接続されている。なお、区間D2、D3は、図3(a)に示されたペアの接続関係となっている。この場合、トポロジー情報として規定される接続関係の数は、図3(c)と同様に、それぞれの区間D1、D2、D3から見た他の区間それぞれ2通りとなり、全部で6通り(順列の数)がある。図3(d)に示される接続関係を、以後十字路3交差という。
【0040】
図3(e)は、異なる同一系統路線同士が十字に交わる場合の他の接続関係を示す例である。なお、図3(e)においても、区間が交わる角度は90度に限定されない。図3(e)の例では、区間E1とE2、及び区間E3とE4が、それぞれ図3(a)に示されたペアの接続関係となっている。図3(d)の例との相違点は、一つの接続点で、2つずつペアの接続関係にある4つの区間が交わっており、それぞれ別々に路線価が設定されている点である。なお、図3(c)の例と同様に、4つの区間それぞれに、結果として同じ価額の路線価が設定されることもある。この場合、トポロジー情報として規定される接続関係の数は、それぞれの区間E1、E2、E3、E4から見た他の区間それぞれ3通りとなり、全部で12通り(4つの区間から2つをとる順列の数)がある。図3(e)に示される接続関係を、以後十字路(または十字路4交差)という。
【0041】
図3(f)は、3つの異なる同一系統路線同士が共通の接続点において5差路で交わる場合の接続関係を示す例である。5差路を形成する5つの区間の内、二組(区間F1とF2、及び区間F3とF4の4区間)が、図3(a)に示されたペアの接続関係となっている。また、区間F1〜F4の共通の接続点で他の同一系統路線上の区間F5が交わっている。なお、図3(f)の例では、5つの区間の間の角度は特に限定されるものではないが、ペアの接続関係の区間同士は、曲線または上述した所定角度で接続されている。図3(f)の例では、5つの区間に別々に路線価が設定されているが、必ずしも路線価の価額がそれぞれ異なることを意味せず、結果として同じ価額の路線価が設定されることもある。この場合、トポロジー情報として規定される接続関係の数は、それぞれの区間F1、F2、F3、F4、F5から見た他の区間それぞれ4通りとなり、全部で20通り(5つの区間から2つをとる順列の数)がある。図3(f)に示される接続関係を、以後5差路(または5差路5交差)という。
【0042】
図3(g)は、3つの異なる同一系統路線同士が共通の接続点において6差路で交わる場合の接続関係を示す例である。6差路を形成する6つの区間の内、三組(区間G1とG2、G3とG4、G5とG6の6区間)が、図3(a)に示されたペアの接続関係となっている。なお、図3(g)の例では、6つの区間の間の角度は特に限定されるものではないが、ペアの接続関係の区間同士は、曲線または上述した所定角度で接続されている。図3(g)の例では、6つの区間に別々に路線価が設定されているが、必ずしも路線価の価額がそれぞれ異なることを意味せず、結果として同じ価額の路線価が設定されることもある。この場合、トポロジー情報として規定される接続関係の数は、それぞれの区間G1、G2、G3、G4、G5、G6から見た他の区間それぞれ5通りとなり、全部で30通り(6つの区間から2つをとる順列の数)がある。図3(g)に示される接続関係を、以後6差路(または6差路6交差)という。
【0043】
上記図3(a)〜(g)では、トポロジー情報として規定される接続関係の数を説明したが、組合せ決定部34は、各区間の間の接続関係のうち、路線価を比較する区間の組み合わせを決定する必要がある。このため、上記各接続関係について、予めどの区間の組み合わせで路線価を比較するかを決定しておく。
【0044】
以下、路線価を比較する区間の組み合わせについて説明する。図4(a)〜(g)には、図3(a)〜(g)に示された接続関係毎に、路線価を比較する区間の組み合わせが示される。
【0045】
図4(a)は、図3(a)に示されたペアの場合の例である。図4(a)では、同一系統路線上において隣接する区間A1とA2とが上記路線価を比較する区間の組み合わせとして組合せ決定部34により選択される。この選択は、同一系統路線上の一方の端の区間から、全ての区間について順次行われ、同一系統路線の他方の端の区間まで行われる。なお、図4(a)の例では、区間A1とA2の端点が白丸(○)で示され、両区間の間の端点により区間A1とA2とが接続されている。また、各区間A1、A2の中点が黒丸(●)で示されている。なお、中点は、各区間の中央の点であるが、厳密に中央である必要はない。
【0046】
図4(a)の例では、区間A1よりも区間A2の方が路線価が高い場合を示している。中点発生部36は、各区間A1、A2に中点ma1、ma2を発生させる。また、差分取得部38は、組合せ決定部34が選択した区間A1、A2の組み合わせで路線価の差分を取得し、矢印発生部40は、この差分から予め定めた基準に基づき矢印画像を発生する。ここで、ペアの場合の上記予め定めた基準とは、各中点から、または中点に向かって、路線価の低い区間から路線価の高い区間に向かう方向で矢印画像を発生させることをいう。図4(a)の例では、区間A1よりも区間A2の方が路線価が高いので、路線価が低い方の区間A1では、その中点ma1から区間A1とA2との間の端点(接続点)に向けて矢印画像Ya1が発生されている。また、路線価が高い方の区間A2では、上記接続点から区間A2の中点ma2に向けて区間A1の矢印画像Ya1と同じ方向の矢印画像Ya2が発生されている。このように、接続点を挟んだ矢印画像を同じ方向とすることにより、路線価の流れを容易に視認することができる。この矢印画像は、表示制御部42により路線とともに表示される。なお、図4(a)では、区間A1と区間A2以外の区間との路線価の差分及び区間A2と区間A1以外の区間との路線価の差分をそれぞれ表す矢印画像は記載を省略している。
【0047】
以上述べたように、区間の接続関係がペアの場合には、この接続関係について矢印画像が2本発生される。この矢印画像の発生数は、上記接続点で接続される区間の数(図4(a)では区間A1とA2の二つ)となる。
【0048】
図4(b)は、図3(b)に示されたT字路2交差の場合の例である。図4(b)では、区間B1と、この区間B1の途中で区間B1に接続された区間B2とが上記路線価を比較する区間の組み合わせとして組合せ決定部34により選択される。図4(b)でも、各区間の端点が白丸で示され、中点が黒丸で示されている。
【0049】
図4(b)の例では、区間B2よりも区間B1の方が路線価が高い場合を示している。T字路2交差の場合では、区間B2を端部の区間とする同一系統路線が、区間B1を含む他の同一系統路線に接続した点で終了している状態である。差分取得部38は、組合せ決定部34が選択した区間B1、B2の組み合わせで路線価の差分を取得し、矢印発生部40は、この差分から予め定めた基準に基づき矢印画像Yb2を発生する。ここで、T字路2交差の場合の上記予め定めた基準とは、同一系統路線が終了する区間である区間B2に矢印画像Yb2を発生することである。この結果、図4(b)の例では、区間B2において、区間B2の中点mb2から区間B1との接続点に向けて矢印画像Yb2が発生されている。なお、区間B1に発生される矢印画像は記載を省略している。
【0050】
以上述べたように、区間の接続関係がT字路2交差の場合には、この接続関係について矢印画像が1本発生される。この矢印画像の発生数も、上記接続点で接続される区間の数となる。ただし、図4(b)の場合には、区間B1と区間B2との接続点が区間B1の途中の点であるので、当該接続点を端点とする区間の数(区間B2のみの一つ)を矢印画像の発生数としている。
【0051】
図4(c)は、図3(c)に示されたT字路3交差の場合の例である。図4(c)では、区間C1と区間C2とがペアの接続関係であり、図4(a)と同様に、同一系統路線上において隣接する区間C1とC2とが上記路線価を比較する区間の組み合わせとして組合せ決定部34により選択される。また、区間C1とC2との接続点に、他の同一系統路線上の区間C3が接続されている。区間C3は、それが属する同一系統路線の端部の区間であり、当該同一系統路線は、上記接続点で終了している。この場合、組合せ決定部34は、区間C1とC2の内、いずれか路線価が高い区間と区間C3との組み合わせを上記路線価を比較する区間の組み合わせとして選択する。図4(c)でも、各区間の端点が白丸で示され、中点が黒丸で示されている。
【0052】
図4(c)の例では、区間C2よりも区間C1の方が路線価が高い場合を示している。従って、区間C3の路線価は、区間C1の路線価と比較される。また、区間C1は区間C3よりも路線価が高くなっている。差分取得部38は、組合せ決定部34が選択した区間C1、C2及び区間C1、C3の組み合わせで路線価の差分を取得し、矢印発生部40は、この差分から予め定めた基準に基づき矢印画像を発生する。ここで、T字路3交差の場合の上記予め定めた基準とは、ペアの区間(区間C1、C2の組み合わせ)ではペアの基準に従い、T字の接続点で終了している同一系統路線上の区間C3と区間C1との組み合わせについてはT字路2交差の基準に従うことである。従って、矢印画像は、上記差分に応じて区間C1、C2、C3上に発生される。この結果、図4(c)の例では、区間C2の中点mc2から区間C1とC2との間の接続点に向けて矢印画像Yc2が発生され、区間C1にも、上記接続点から区間C1の中点mc1に向けて区間C2の矢印画像Yc2と同じ方向の矢印画像Yc1が発生される。さらに、区間C3では、区間C3の中点mc3から区間C1とC2との接続点に向けて矢印画像Yc3が発生されている。
【0053】
以上述べたように、区間の接続関係がT字路3交差の場合には、この接続関係について矢印画像が3本発生される。この矢印画像の発生数は、上記接続点で接続される区間の数(図4(c)では区間C1、C2、C3の三つ)となる。
【0054】
図4(d)は、図3(d)に示された十字路3交差の場合の例である。図4(d)では、区間D2と区間D3とがペアの接続関係であり、図4(a)と同様に、同一系統路線上において隣接する区間D2とD3とが上記路線価を比較する区間の組み合わせとして組合せ決定部34により選択される。一方、組合せ決定部34は、区間D1と区間D2及び区間D1と区間D3との組み合わせを路線価を比較する区間の組み合わせとして選択しない。これは、区間D2、D3と区間D1との接続点は区間D1の途中の点であり、当該接続点では区間D1の路線価が変化していない(一定である)ため、区間D1と区間D2及び区間D1と区間D3との組み合わせを路線価を比較する区間の組み合わせとして選択し、区間D1上にこれらの差分を表す矢印画像を表示すると、区間D1が属する同一系統路線上で隣接する他の区間との間の路線価の差分を表す矢印画像と重複し、路線価の流れを視認しにくくなるからである。図4(d)でも、各区間の端点が白丸で示され、中点が黒丸で示されている。ただし、区間D1の途中に記載された白丸は、区間D2と区間D3との接続点であり、区間D1の端点ではない。区間D2と区間D3との接続点が、区間D1上の点と位置的に一致したために、説明の都合上区間D1上に区間D2と区間D3との接続点を表す白丸を記載してある。
【0055】
図4(d)の例では、区間D2よりも区間D3の方が路線価が高い場合を示している。差分取得部38は、組合せ決定部34が選択した区間D2、D3の組み合わせで路線価の差分を取得し、矢印発生部40は、この差分から予め定めた基準に基づき矢印画像を発生する。ここで、十字路3交差の場合の上記予め定めた基準とは、同一系統路線上でペアの接続関係にある区間D2と区間D3に矢印画像Yd2、Yd3を発生することである。矢印画像Yd2、Yd3の方向は、路線価の低い区間D2から路線価の高い区間D3に向かう方向である。図4(d)の例では、区間D2よりも区間D3の方が路線価が高いので、路線価が低い方の区間D2では、その中点md2から区間D2とD3との間の接続点に向けて矢印画像Yd2が発生されている。また、路線価が高い方の区間D3では、上記接続点から区間D3の中点md3に向けて区間D2の矢印画像Yd2と同じ方向の矢印画像Yd3が発生されている。なお、区間D1に発生される矢印画像(区間D1が属する同一系統路線上で隣接する他の区間との間の路線価の差分を表す矢印画像)は記載を省略している。
【0056】
以上述べたように、区間の接続関係が十字路3交差の場合には、この接続関係について矢印画像が2本発生される。この矢印画像の発生数も、上記接続点で接続される区間の数となる。ただし、図4(d)の場合には、区間D2と区間D3との接続点が区間D1の途中の点であるので、当該接続点を端点とする区間の数(区間D2、D3の二つ)を矢印画像の発生数としている。
【0057】
図4(e)は、図3(e)に示された十字路の場合の例である。図4(e)では、4つの区間E1、E2、E3及びE4が共通の接続点で接続されている。また、区間E1とE2、及び区間E3とE4が、それぞれの同一系統路線上でペアの接続関係となっており、図4(a)と同様に、同一系統路線上において隣接する区間E1とE2、及び区間E3とE4とが上記路線価を比較する区間の組み合わせとして組合せ決定部34により選択される。一方、組合せ決定部34は、区間E1またはE2と、区間E3またはE4との4通りの組み合わせについては、路線価を比較する区間の組み合わせとして選択しない。これらの組み合わせは、路線価の流れを把握するとの本実施形態の目的から、必要性が低く、かつ、これらの組み合わせを路線価を比較する区間の組み合わせとして選択し、各区間上にこれらの差分を表す矢印画像を表示すると、各区間が属する同一系統路線上で隣接する他の区間との間の路線価の差分を表す矢印画像と重複し、路線価の流れを視認しにくくなるからである。図4(e)でも、各区間の端点が白丸で示され、中点が黒丸で示されている。
【0058】
図4(e)の例では、区間E2よりも区間E1の方が路線価が高く、区間E3よりも区間E4の方が路線価が高い場合を示している。差分取得部38は、組合せ決定部34が選択した区間E1とE2、及び区間E3とE4との組み合わせでそれぞれ路線価の差分を取得し、矢印発生部40は、この差分から予め定めた基準に基づき矢印画像を発生する。ここで、十字路の場合の上記予め定めた基準とは、各ペアの区間(区間E1とE2、及び区間E3とE4の組み合わせ)毎にペアの基準に従うことである。図4(e)の例では、区間E2よりも区間E1の方が路線価が高いので、路線価が低い方の区間E2では、その中点me2から区間E1とE2との間の接続点に向けて矢印画像Ye2が発生されている。また、路線価が高い方の区間E1では、上記接続点から区間E1の中点me1に向けて区間E2の矢印画像Ye2と同じ方向の矢印画像Ye1が発生されている。また、区間E3よりも区間E4の方が路線価が高いので、路線価が低い方の区間E3では、その中点me3から区間E3とE4との間の接続点に向けて矢印画像Ye3が発生されている。また、路線価が高い方の区間E4では、上記接続点から区間E4の中点me4に向けて区間E3の矢印画像Ye3と同じ方向の矢印画像Ye4が発生されている。
【0059】
以上述べたように、区間の接続関係が十字路の場合には、この接続関係について矢印画像が4本発生される。この矢印画像の発生数は、上記接続点で接続される区間の数(図4(e)では区間E1、E2、E3、E4の四つ)となる。
【0060】
図4(f)は、図3(f)に示された5差路の場合の例である。図4(f)では、4つの区間F1、F2、F3及びF4が共通の接続点で接続されている。また、区間F1とF2、及び区間F3とF4が、それぞれの同一系統路線上でペアの接続関係となっており、図4(a)と同様に、同一系統路線上において隣接する区間F1とF2、及び区間F3とF4とが上記路線価を比較する区間の組み合わせとして組合せ決定部34により選択される。一方、組合せ決定部34は、ペアの接続関係にある上記4つの区間については、上記4通りの組み合わせ以外、すなわち区間F1またはF2と、区間F3またはF4との4通りの組み合わせについては、路線価を比較する区間の組み合わせとして選択しない。これらの組み合わせは、路線価の流れを把握するとの本実施形態の目的から、必要性が低く、かつ、これらの組み合わせを路線価を比較する区間の組み合わせとして選択し、各区間上にこれらの差分を表す矢印画像を表示すると、各区間が属する同一系統路線上で隣接する他の区間との間の路線価の差分を表す矢印画像と重複し、路線価の流れを視認しにくくなるからである。また、上記共通の接続点には、他の同一系統路線上の区間F5が接続されている。区間F5は、それが属する同一系統路線の端部の区間であり、当該同一系統路線は、上記接続点で終了している。この場合、組合せ決定部34は、区間F1からF4の内、いずれか路線価が最も高い区間と区間F5との組み合わせを、上記路線価を比較する区間の組み合わせとして選択する。図4(f)でも、各区間の端点が白丸で示され、中点が黒丸で示されている。
【0061】
図4(f)の例では、区間F2よりも区間F1の方が路線価が高く、区間F3よりも区間F4の方が路線価が高い場合を示している。また、区間F1が区間F1からF4の中で最も路線価が高くなっている。従って、区間F5の路線価は、区間F1の路線価と比較される。差分取得部38は、組合せ決定部34が選択した区間F1とF2、区間F3とF4、及び区間F1とF5との組み合わせでそれぞれ路線価の差分を取得し、矢印発生部40は、この差分から予め定めた基準に基づき矢印画像を発生する。ここで、5差路の場合の上記予め定めた基準とは、各ペアの区間(区間F1とF2、及び区間F3とF4の組み合わせ)ではペアの基準に従い、上記共通の接続点で終了している同一系統路線上の区間F5と区間F1との組み合わせについてはT字路2交差の基準に従うことである。従って、矢印画像は、上記差分に応じて区間F1〜F5上に発生される。この結果、図4(f)の例では、区間F2よりも区間F1の方が路線価が高いので、路線価が低い方の区間F2では、その中点mf2から区間F1とF2との間の接続点に向けて矢印画像Yf2が発生されている。また、路線価が高い方の区間F1では、上記接続点から区間F1の中点mf1に向けて区間F2の矢印画像Yf2と同じ方向の矢印画像Yf1が発生されている。また、区間F3よりも区間F4の方が路線価が高いので、路線価が低い方の区間F3では、その中点mf3から区間F3とF4との間の接続点に向けて矢印画像Yf3が発生されている。また、路線価が高い方の区間F4では、上記接続点から区間F4の中点mf4に向けて区間F3の矢印画像Yf3と同じ方向の矢印画像Yf4が発生されている。さらに、区間F5では、区間F5の中点mf5から区間F5と区間F1との間の接続点(上記共通の接続点)に向けて矢印画像Yf5が発生されている。
【0062】
以上述べたように、区間の接続関係が5差路の場合には、この接続関係について矢印画像が5本発生される。この矢印画像の発生数は、上記接続点で接続される区間の数(図4(f)では区間F1、F2、F3、F4、F5の五つ)となる。
【0063】
図4(g)は、図3(g)に示めされた6差路の場合の例である。図4(g)では、6つの区間G1、G2、G3、G4、G5及びG6が共通の接続点で接続されている。また、区間G1とG2、区間G3とG4及び区間G5とG6が、それぞれの同一系統路線上でペアの接続関係となっており、図4(a)と同様に、同一系統路線上において隣接する区間G1とG2、区間G3とG4及び区間G5とG6とが上記路線価を比較する区間の組み合わせとして組合せ決定部34により選択される。一方、組合せ決定部34は、上記3通りの組み合わせ以外については、路線価を比較する区間の組み合わせとして選択しない。これらの組み合わせは、路線価の流れを把握するとの本実施形態の目的から、必要性が低く、かつ、これらの組み合わせを路線価を比較する区間の組み合わせとして選択し、各区間上にこれらの差分を表す矢印画像を表示すると、各区間が属する同一系統路線上で隣接する他の区間との間の路線価の差分を表す矢印画像と重複し、路線価の流れを視認しにくくなるからである。図4(g)でも、各区間の端点が白丸で示され、中点が黒丸で示されている。
【0064】
図4(g)の例では、区間G2よりも区間G1の方が路線価が高く、区間G3よりも区間G4の方が路線価が高く、区間G5よりも区間G6の方が路線価が高い場合を示している。差分取得部38は、組合せ決定部34が選択した区間G1とG2、区間G3とG4及び区間G5とG6との組み合わせでそれぞれ路線価の差分を取得し、矢印発生部40は、この差分から予め定めた基準に基づき矢印画像を発生する。ここで、6差路の場合の上記予め定めた基準とは、各ペアの区間(区間G1とG2、区間G3とG4及び区間G5とG6の組み合わせ)毎にペアの基準に従うことである。図4(g)の例では、区間G2よりも区間G1の方が路線価が高いので、路線価が低い方の区間G2では、その中点mg2から区間G1とG2との間の接続点に向けて矢印画像Yg2が発生されている。また、路線価が高い方の区間G1では、上記接続点から区間G1の中点mg1に向けて区間G2の矢印画像Yg2と同じ方向の矢印画像Yg1が発生されている。また、区間G3よりも区間G4の方が路線価が高いので、路線価が低い方の区間G3では、その中点mg3から区間G3とG4との間の接続点に向けて矢印画像Yg3が発生されている。また、路線価が高い方の区間G4では、上記接続点から区間G4の中点mg4に向けて区間G3の矢印画像Yg3と同じ方向の矢印画像Yg4が発生されている。また、区間G5よりも区間G6の方が路線価が高いので、路線価が低い方の区間G5では、その中点mg5から区間G5とG6との間の接続点に向けて矢印画像Yg5が発生されている。また、路線価が高い方の区間G6では、上記接続点から区間G6の中点mg6に向けて区間G5の矢印画像Yg5と同じ方向の矢印画像Yg6が発生されている。
【0065】
以上述べたように、区間の接続関係が6差路の場合には、この接続関係について矢印画像が6本発生される。この矢印画像の発生数は、上記接続点で接続される区間の数(図4(g)では区間G1、G2、G3、G4、G5、G6の六つ)となる。
【0066】
図5には、以上に説明した接続関係の数と矢印画像の発生数(これを路線交差数という)との関係が接続関係毎に示される。本実施形態において、接続関係の数と矢印画像の発生数とは、図5に示される関係となっているので、この組み合わせの数値からいずれの接続関係であるかを判別することもできる。
【0067】
図6には、本実施形態にかかる路線価流れ図作成装置の動作例のフローが示される。図6において、地図データ取得部28が、路線価の評価対象である各路線において、路線価の評価区間毎に、各区間の間の接続関係が定義されたトポロジー情報が設定された地図データを取得する(S1)。
【0068】
路線抽出部30は、上記地図データ取得部28が取得した地図データから、直線及び曲線で構成された同一系統路線を抽出する(S2)。また、トポロジー情報取得部32は、上記地図データにおいて各同一系統路線に設定されたトポロジー情報を取得する(S3)。
【0069】
次に、組合せ決定部34は、路線価の評価対象である各路線の間の接続関係を把握する(S4)。接続関係としては、図5に例示される接続関係の数と路線交差数との関係等から把握される、ペア、T字路2交差、T字路3交差、十字路3交差、5差路、6差路等がある。
【0070】
また、組合せ決定部34は、上記トポロジー情報に含まれる各区間(路線価の評価区間)の間の接続関係のうち、路線価を比較する区間の組み合わせを、同一系統路線内の上記区間の接続関係、及び複数の同一系統路線間における上記区間の接続関係に基づき、図4(a)〜(g)で説明した、予め定めた基準に基づいて決定する(S5)。
【0071】
差分取得部38は、上記組合せ決定部34が決定した各組み合わせの区間毎に路線価の差分を取得する(S6)。この場合、取得した差分から、どちらの区間の路線価が高いかの情報を矢印発生部40に出力する。また、中点発生部36は、上記決定された組み合わせの区間毎に区間の中点を発生させる(S7)。
【0072】
矢印発生部40は、上記差分取得部38が取得した差分から、予め定めた基準に基づき矢印画像を発生する(S8)。このときの矢印の向きは、差分取得部38が出力した、どちらの区間の路線価が高いかの情報に基づき、路線価が低い方の区間から路線価が高い方の区間に向かう方向とする。
【0073】
表示制御部42は、上記矢印発生部40が発生した矢印画像を、上記中点発生部36が発生した区間の中点から路線に重ねて表示装置18等に表示する(S9)。このとき、差分取得部38が取得した差分の大きさに基づいて、表示する矢印画像の色、形状等を変更する。
【0074】
上述した、図6の各ステップを実行するためのプログラムは、記録媒体に格納することも可能であり、また、そのプログラムを通信手段によって提供しても良い。その場合、例えば、上記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明または「データ信号」の発明としてとらえてもよい。
【0075】
なお、本実施形態では、矢印画像の始点または終点として同一系統路線上の区間の中点を用いた場合について説明しているが、必ずしも中点である必要はない、例えば、区間両端点から所定距離だけ離れた点、あるいは区間長に対して所定割合だけ両端点から離れた点を矢印画像の始点または終点としてもよい。また、方向指標として線分の長さを用いる場合などには、区間両端において端点からの距離を異ならせることも可能である。
【0076】
図7には、図6の処理の結果作成された路線価流れ図の一例が示される。この路線価流れ図は、表示制御部42により表示装置18等に表示される。図7において、白丸(○)が各区間の端点または各区間の接続点であり、黒丸(●)が各区間の中点である。一つの同一系統路線Aには、四つの区間A1、A2、A3、A4が示されており、これらはペアの接続関係となっている。また、この同一系統路線Aには、他の同一系統路線B(区間B1、B2)、C、D(区間D1、D2)、Eとの間で、それぞれ十字路α、T字路3交差β、十字路3交差γ、T字路2交差δの接続関係となっている。なお、同一系統路線AとDとの接続点(十字路3交差γ)及び同一系統路線AとEとの接続点(T字路2交差δ)では、接続点を表す白丸を同一系統路線A上に記載すべきであるが、十字路3交差γ及びT字路2交差δでは、同一系統路線A側には接続点がない(路線価が変化しない区間内である)であるので、図が見にくくなることを回避するため、それぞれ同一系統路線Aの脇に白丸を記載した。この場合、十字路3交差γには、白丸が二つ記載されているが、同一系統路線Aとの接続点に一つ記載すべきものを二つに分けて記載してある。
【0077】
同一系統路線A上のペアでは、それぞれ矢印画像で示される路線価の流れとなっている。すなわち、区間A1とA2では区間A2の方が路線価が高くなっており、区間A2とA3では区間A2の方が路線価が高くなっており、区間A3とA4では、区間A3の方が路線価が高くなっている。なお、区間A1の端点側(図の上側)及び区間A4の端点側(図の下側)の矢印画像は、それぞれ図示しない隣接区間との間の路線価の大小関係を表している。
【0078】
また、同一系統路線Aと同一系統路線Bとの間の十字路αでは、同一系統路線A上の区間A1よりも区間A2の方が路線価が高く、また、同一系統路線B上の区間B1よりも区間B2の方が路線価が高いことがわかる。また、同一系統路線Aと同一系統路線Cとの間のT字路3交差βでは、同一系統路線A上の区間A2、A3のいずれよりも同一系統路線C上の同一系統路線Aに接続する端部の区間の方が路線価が高いことがわかる。また、同一系統路線Aと同一系統路線Dとの間の十字路3交差γでは、同一系統路線D上の区間D1よりも区間D2の方が路線価が高いことがわかる。また、同一系統路線Aと同一系統路線Eとの間のT字路2交差δでは、同一系統路線A上の区間A4よりも同一系統路線E上の同一系統路線Aに接続する端部の区間の方が路線価が高いことがわかる。
【0079】
以上のように、本実施形態にかかる路線価流れ図作成装置によれば、路線価の流れを視覚的に簡易に確認することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 CPU、12 RAM、14 ROM、16 入力装置、18 表示装置、20 通信装置、22 記憶装置、24 バス、26 入出力インターフェース、28 地図データ取得部、30 路線抽出部、32 トポロジー情報取得部、34 組合せ決定部、36 中点発生部、38 差分取得部、40 矢印発生部、42 表示制御部、44 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各路線において、路線価の評価区間毎に、各区間の間の接続関係が定義されたトポロジー情報が設定された地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記地図データから直線または曲線で構成された同一系統路線を抽出する路線抽出手段と、
前記各路線に設定されたトポロジー情報を取得するトポロジー情報取得手段と、
前記トポロジー情報に含まれる各区間の間の接続関係のうち、路線価を比較する区間の組み合わせを、同一系統路線内の前記区間の接続関係、及び複数の同一系統路線間における前記区間の接続関係に基づき、予め定めた基準に基づいて決定する組み合わせ決定手段と、
前記各組み合わせの路線の路線価の差分を取得する差分取得手段と、
前記取得した差分から、予め定めた基準に基づき方向指標画像を発生する方向指標発生手段と、
前記方向指標画像を、前記路線の中点から路線に重ねて表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする路線価流れ図作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の路線価流れ図作成装置において、前記組み合わせ決定手段は、異なる同一系統路線同士が交わらない場合には、前記同一系統路線上の区間の組み合わせを選択し、異なる同一系統路線同士が交わる場合には、前記区間が接続される接続点における接続関係により、前記区間の組み合わせのうち予め定めた組み合わせを選択することを特徴とする路線価流れ図作成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の路線価流れ図作成装置において、前記接続関係が、T字路、十字路、5差路、6差路を含むことを特徴とする路線価流れ図作成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の路線価流れ図作成装置において、前記方向指標発生手段は、路線価が低い方の区間から路線価が高い方の区間に向かう方向の方向指標画像を発生し、前記表示制御手段は、前記差分取得手段が取得した差分の大きさに基づいて、表示する方向指標の濃淡または色、形状を変更することを特徴とする路線価流れ図作成装置。
【請求項5】
コンピュータを
各路線において、路線価の評価区間毎に、各区間の間の接続関係が定義されたトポロジー情報が設定された地図データを取得する地図データ取得手段、
前記地図データから直線または曲線で構成された同一系統路線を抽出する路線抽出手段、
前記各路線に設定されたトポロジー情報を取得するトポロジー情報取得手段、
前記トポロジー情報に含まれる各区間の間の接続関係のうち、路線価を比較する区間の組み合わせを、同一系統路線内の前記区間の接続関係、及び複数の同一系統路線間における前記区間の接続関係に基づき、予め定めた基準に基づいて決定する組み合わせ決定手段、
前記各組み合わせの路線の路線価の差分を取得する差分取得手段、
前記取得した差分から、予め定めた基準に基づき方向指標画像を発生する方向指標発生手段、
前記方向指標画像を、前記路線の中点から路線に重ねて表示する表示制御手段、
として機能させることを特徴とする路線価流れ図作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89143(P2013−89143A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231155(P2011−231155)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】