説明

身体導管を迅速に修復する機器

【課題】血管を含む、負傷した、部分的又は完全に切開された身体導管の一時的又は永久的な修復に有用な自己拡張型ステント・グラフトを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの端部40を有する自己拡張型ステント13を含む管腔内機器10であって、前記機器が、前記ステントの少なくとも一部を覆う被覆体を備えており、前記少なくとも1つの端部が、身体導管内に挿入するための圧縮状態と、拡張状態とを有しており、前記少なくとも1つの端部が、第1の拘束シース14によって圧縮状態に保持されており、前記拘束シースが、前記第1の端部を超えて延在して、前記圧縮された少なくとも1つの端部よりも小さな直径を有する導入体を内蔵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体導管に対する外傷の修復に有用な医療機器、詳細にはこのような修復に有用な植え込み可能な機器、より詳細にはこのような修復に有用な自己拡張型ステント・グラフトに関する。
【背景技術】
【0002】
身体導管に対する、特に血管系に対する負傷は、ありふれたことである。これらの負傷は生命を脅かすものであることが多く、このような負傷の結果として失血がしばしば生じる。血管は、手足の切断を伴う事故を含めて、引き裂かれることがあり、又は完全に切開されることもある。このような負傷を一時的又は永久的に修復するためにエンドプロテーゼ、例えばステント・グラフトを使用することによって、血液の損失及び生命を失うリスクをかなり低減する可能性が提供される。これらの機器は、このような負傷部位において直接可視化下で素早く植え込むことができ、血液の損失を止めるか又は実質的に低減し、そして患部の手足の灌流を維持する。このことは、緊急治療室での処置中に行われる場合もあり、また有資格救急隊員によって事故現場で可能な場合もある。
【0003】
外科的に形成された外傷部位に、直接可視化下でステント・グラフトを含むエンドプロテーゼを植え込むことが知られている。Ersekの米国特許第3,657,744号明細書には、大動脈の外科的に形成された切開部内への分岐型血管グラフトの植え込みが記載されており、グラフト端部は、個別に展開されたバルーン拡張ステントによって血管内部に固定される。
【0004】
同様に、Trerotola他の米国特許第5,591,226号明細書及び同第5,755,775号明細書には、切開された血管を直接可視化下で修復するために、非分岐型ステント・グラフトを使用することが教示されており、カニューレ機器(「血管アクセス手段」)が先ず、血管の露出した切開端部のそれぞれの中に挿入される。自己拡張型ステント・グラフトの2つの端部は、個々の長手方向に分割可能な保持シースによって、圧縮された小さな直径に保持される。ステント・グラフトの小さな圧縮された直径は、機器の端部を、切開された血管の露出端部内部のカニューレ機器内に個別に挿入するのを可能にする。血管の端部へ挿入後、ステント・グラフトの各端部は、カニューレ機器及び保持シースの長手方向の分割によって、初期の圧縮された直径から、より大きい最終的な直径に別個に展開され、これらの部品は、長手方向に分割されながら、血管の切開端部から同時に取り外される。保持シースの分割は、ステント・グラフトの長さの中央に最も近いシースの端部から始まって、ステント・グラフトの端部に向かって進んで行われ、これにより、ステント・グラフトが保持シースの分割と同じ方向でより大きい完全直径に展開するのを可能にする。ステント・グラフトの展開を中央から端部に向かって発生させることは望ましくない。それというのも、ステント・グラフトの直径がその方向に増大するにつれて、血管の端部からグラフトの端部が押し出されるおそれがあるからである。
【0005】
Butters他の米国特許第6,019,788号明細書には、y字形端部を有する動静脈シャント・グラフトが記載されており、これらのy字形端部は、切開血管内に直接可視化下で挿入することができ、また、挿入された時のより小さな直径から、血管の切開端部でy字形端部を固定するより大きな直径へ展開することができる。Kleshinskiの米国特許第5,755,778号明細書及び同第5,921,995号明細書には、血管の切開端部内に挿入され展開される吻合機器として使用するための管状ステント・グラフトが教示されている。
【0006】
経皮的に挿入されるステント・グラフトも、外傷の修復に使用されている。例えば、Vinay Kumar博士による論文(“Endovascular treatment of penetrating injury of axillary vein with Viabahn endoprosthesis”, Journal of Vascular Surgery, Dec. 2004, pp. 1243-1244)には、尺側皮静脈を介して負傷部位にエンドプロテーゼを送達することによって、腋窩静脈のナイフによる傷を修復することが記載されている。負傷部位における機器の展開により、出血が即座に制御された。
【0007】
国際公開第99/65420号パンフレットには、自己拡張型エンドプロテーゼを、展開前に、その圧縮された小さな直径状態に保持するための保持被覆体が記載されている。被覆体は、(収容されたエンドプロテーゼの2つの対向する端部の別個の展開を可能にする)別個に解放可能である対向する端部を有しており、収容されたエンドプロテーゼの個々の端部の展開は、被覆体の長さの中央から解放する別個のリップコードに引張り力を加えることにより開始される。国際公開第98/27894号パンフレットには、機器の長さの中央から始まって、同時に両端部に向かって進んで展開することができるステント・グラフトが教示されている。
【0008】
Nobleの米国特許第3,221,746号明細書には、切断が事故、病気又は手術のいずれの結果であるかとは無関係に、切断された管状部分を修復するために有用な吻合連結器具を使用することが教示されている。Healeyの米国特許第4,721,109号明細書には、損傷した血管内の血流を維持するための一時的な吻合機器が記載されている。Greenhalghは、米国特許出願公開第2002/0087176号明細書において、静脈及び動脈のための吻合機器として意図された管状支持体について論じており、この機器は、管状の編み上げ構造を覆うエラストマー膜被覆体を必要に応じて含む、弾性フィラメント繊維から成る管状の編み上げ構造を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術のこれらの種々の機器は、これまで、身体導管の緊急修復の分野において成功していない。大量の血液を損失するリスクと、これにともなう手足又は生命を失うことのリスクとを低減する即効性のある機器が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、身体導管(例えば血管)に対する偶発的又は意図的な外傷の修復に有用な医療機器、具体的にはこのような修復に有用なエンドプロテーゼ、より具体的にはこのような修復に有用な自己拡張型ステント・グラフトに関する。本発明のステント・グラフトは、部分的又は全体的に切開された身体導管、例えば血管の修復に有用である。機器は、植え込み可能な自己拡張型シャントとして役立つ。機器は、このような損傷した血管からの血液の損失を素早く止めるか又は実質的に低減するために、そして外傷部位に対して遠位側の灌流を素早く再確立するために使用できる。これらの機器は、主として事故によって引き起こされた外傷の修復を意図するものではあるが、事故の結果ではない外科的修復を達成するために使用することもできる。
【0011】
ステント・グラフトとは本明細書中では、典型的には金属フレームを含むステント部品であって、金属フレームがほぼ管形状を有し、そして、ステント部品の隣接する要素間のスペースを覆う、ステント部品の表面上の生体適合性グラフト材料から成る被覆体を備えているものであるとみなす。金属は好ましくはニチノールであり、そして好ましくは電解研磨されたニチノールワイヤであってよい。グラフト被覆体は、ステント部品の内面上、又はステント部品の外面上、又はステント部品の内面及び外面の両方の上に設けられてよい。ステントの被覆体はほとんどが、典型的にはステント部品の全長に沿って延在するが、その代わりに、ステント部品が、機器の一方又は両方の端部でグラフト被覆体を超えて延在してもよい。
【0012】
エンドプロテーゼという用語は本明細書中では、身体導管内への挿入のための小さな圧縮された直径と、身体導管内部の所期位置に置かれたときに展開されるその後のより大きな直径とを有する植え込み可能な機器を記述するために使用される。多くの予想される用途について、本明細書中に記載したように使用した場合、エンドプロテーゼの長さの一部だけを身体導管の一部に挿入してその内部で展開することができるのに対して、別の部分は身体導管の外側に残すことができる。すなわち、エンドプロテーゼの全長が身体導管に挿入される必要はない。
【0013】
主として自己拡張型のエンドプロテーゼが本明細書中に記載されているが、バルーン拡張可能でもあるこのような機器が有用な場合があることは明らかである。例えば、エンドプロテーゼの植え込みの次に、植え込まれた機器の直径を僅かに増大させるためにカテーテル・バルーンを続いて使用することが望ましい場合がある。このような自己拡張型のバルーン調節可能な機器は公知であり、例えば米国特許第6,336,937号明細書を参照されたい。
【0014】
本発明の機器(又は拘束型エンドプロテーゼアセンブリ)は、生命又は手足を失うリスクを低減するために、迅速な介入治療を必要とする状況に対する一時的な修復手段又は永久的(根治的)修復手段として意図される。本発明の機器は典型的には、直接可視化下で手によって露出部位に植え込まれることになる。手による植え込みは、医師の手を直接用いることを伴い、また、道具、例えば止血剤、鉗子などの使用を含んでよい。機器は、潜在的な合併症、例えば偶発的な外傷部位における感染のリスクのため、例えば96時間以下にわたって使用する一時的な修復手段として使用することができる。後で患者が安定になり、感染のリスクが低減したときには、これに続く永久的な修復を行うことができる(例えば従前の血管外科技術によって、又は最初に植え込まれた機器を別の同様又は等価の機器と交換することによって)。しかし好適な環境下で、機器を、根治的で永久的な修復手段として好ましくは植え込んだままにしてよいことは明らかである。
【0015】
機器は、典型的な緊急治療室条件下で植え込まれることが予想されるが、熟練した救急医療士又は衛生兵によって野外状況において使用されることもあり得る。
【0016】
機器は植え込まれた状態で、エンドプロテーゼと身体導管との間に効果的な無縫合の吻合を形成する。しかしながら、ステイ縫合を必要に応じて用いることができる。
【0017】
拘束型エンドプロテーゼアセンブリは分岐形態で提供することもできる。
【0018】
機器は、収容される液体例えば血液を損なうおそれのある、ステントを覆うグラフト材料の壁部分を通る穴又は穿孔を必要とせずに形成される。必要に応じてステイ縫合を用いることにより、機器の壁を通して形成された縫い目の穴を通って一時的な出血が生じるおそれがある。このタイプの出血は典型的には、従前の血管外科技術によって素早く解決される。ステント・グラフトの外部に設けられたステント要素を用いて作られたステント・グラフトの場合、機器は、機器の壁を通る穴を形成せずに縫合することもできる。このことは、グラフト材料の壁を刺さずに、ステントのワイヤ要素の下で縫合することによって達成される。
【0019】
好ましい実施態様の場合、機器の2つの対向する端部(それぞれは好ましくは機器のほぼ中央長さ部分のあたりへ延在する)は、血管内への挿入を意図した圧縮された小さな直径から、それら端部が血管の一部の中に干渉可能に嵌合して漏れがほとんど又は全くない血流用開放導管が得られる、より大きな直径に個別に展開可能である。また好ましくは、展開は、機器の長さの中央に向かって動く方向で機器端部から始まり、機器の各端部は、個別に且つ独立して展開可能である。対向する端部は、必要に応じて、所望ならば同時に展開することができる。機器は自己拡張型であり、展開前にはその圧縮された小さな直径で機器を保持するための1つ又は2つ以上の拘束シース内部に収容される。各拘束シースは好ましくは、自己拡張型機器の圧縮された小さな直径の周りに巻き付けられた、頑丈で可撓性且つ生体適合性の材料から成る薄いシートから形成されており、シートの対向する2つの縁部は、一時的に一緒に固定されて機器の周りに管状拘束体を形成する。2つの拘束シースが提供されるときには、これらは個別に機器の対向する端部を拘束し、そしてそれぞれが好ましくは、機器の長さのほぼ中央まで延在するが、2つのシースが長さの異なるグラフト部分を拘束してもよい。別の代替実施態様の場合、2つのシースは一緒に、グラフト長さの一部だけを拘束し、中央部分を拘束しないままにすることもできる。さらに、別の実施態様の場合、アセンブリの2つの拘束された端部分は異なる長さを有していてよい。
【0020】
上記の通り、展開は、機器の端部から始まり、そして中央に向かって進むことが好ましいが、反対方向に展開する機器、又は拘束された長さに沿って同時に展開する機器を形成することが可能である。
【0021】
拘束シースは、いくつかの形態を成すことができる。拘束シースは、圧縮されたエンドプロテーゼの外面の周りにシガレット状に巻き付けられた(長手方向に配向する隣接するシート縁部を有する)生体適合性材料のシートであってよく、巻き付けられたシートの隣接する縁部は、素早く解放可能であるように一緒に固定されている。或いは、拘束シースはほどくことができる管状ニットの形態を成してもよい。別の形態は、圧縮されたエンドプロテーゼの外側の周りに縛られた、ほどくことができるストランド構造であり、その一例は、Streckerの米国特許第5,405,378号明細書によって教示されている。加えて、拘束シースの任意の表面上に波形を付与することもできる。例えば、外方にめくり返された部分は波形にしなくてもよく、一方でその下側部分を波形にしてもよい。もちろん、波形部分と非波形部分との任意の組み合わせを用いることもできる。波形は拘束シースの全長にわたって均一、不均一、又はこれらの2つの組み合わせであってよい。
【0022】
拘束されたエンドプロテーゼの外面の周りに管状に巻き付けられた拘束シースを形成するために材料シートを使用する場合は、例えばフィラメントなどのカップリング部材によって圧縮された機器の周面の周りにシート材料を固定することができ、ここではフィラメントは長手方向に配向する縫い目を形成するように配置されており、その縫い目は、対向して長手方向に配向する拘束シースの縁部が隣り合うようにそれら縁部を一緒に保持する。縫い目は、例えば食品袋のクロージャとして使用される解放可能な縫い目と類似している(例えば、一連のループ又は引き結び目、例えば単一糸タイプ101のチェーンステッチとして配置された、ほどくことができるチェーンステッチ)。このような縫い目の1つの端部に引張り力を加えると、固定用の縫い目は、機器の1つの端部から始まって、機器の中央部分に向かって進んで順次解放され、これにより拘束シースを徐々に解放し、自己拡張型機器のその端部がより大きい直径に展開するのを可能にする。拘束シースは植え込み可能であり、機器が所定の位置に残される限り生体内に残すことができ、或いは、機器の展開中又は展開後に取り外し可能であってもよい。植え込み可能な拘束シースは、必要に応じて、任意の好適な方法によって、例えば接合されたシース縁部と直径方向について反対側のエンドプロテーゼの側部にある1つ又は2つ以上の縫い目によって、エンドプロテーゼに取り付けられており、これらの任意の縫い目はシースをステント部品に固定する。機器の全長を拘束するために単一の拘束シースを使用することができ、この場合、拘束シースのうち2つの別々の長さ部分は、拘束の解放を可能にして機器の別々の長さ部分の別個の展開を可能にするために、別個のカップリング部材を有している。こうして、2つのカップリング部材の一方だけに引張り力を加えることにより、対向する端部に影響を及ぼすことなしに、医師が機器の1つの端部を展開する準備ができたときに機器のその端部の拘束が解放される。
【0023】
或いは、拘束シースの縁部はピアノヒンジ状に構成されていてもよく、この場合、カップリング部材は、ヒンジピンと同様に、拘束シースの対向する縁部を一緒に固定するフィラメント又はワイヤである。機器の展開は、カップリング部材が拘束シースのピアノヒンジ状縁部から軸方向に滑り出るようにするために、カップリング部材に引張り力を加えることにより開始され、さらに説明するように、これらの縁部が分離して拘束された自己拡張型機器を解放するのを可能にする。
【0024】
別の好ましい実施態様の場合、拘束型エンドプロテーゼアセンブリは、機器の端部を損傷血管内に導入するのをより容易にする導入体として役立つテーパ先端(又は端部分)を備えている。尖った先端部分は、好ましくは拘束シースの先端又は端部分として形成され、拘束シースのこの先端部分は拘束されたエンドプロテーゼの端部を超えて延在する。この実施態様における拘束シースは、好ましくはエンドプロテーゼの展開に続いて取り外すことができる。展開に続く拘束シースの取り外しは、鉗子で拘束シースの露出部分を把持し、そして軸方向の引張り力を加えることにより行うことができ、これにより、拘束シースが、展開されたエンドプロテーゼの外面と身体導管の管腔表面との間の位置から軸方向に滑り出る。任意には、機器長さの中央近くの拘束シースの一部が、取り外し性をより良好に可能にするためにハンドルを備えていてよい。
【0025】
機器は、損傷血管の1つの端部内への導入のために機器を補剛するために、そしてまた機器の1つの端部に比較的尖った先端を設けるために、必要に応じて拘束シースに内蔵させるか又は単にシースとエンドプロテーゼとの間に内蔵させることができる導入体部品(すなわち軸方向補剛部品)を備えていてもよい。別の実施態様の場合、軸方向補剛部品を、機器の管腔内部に内蔵させることもできる。機器の第1の端部が外傷部位内に成功裡に導入された後、補剛部品の露出したアクセス可能な端部に引張り力を加えることにより、機器の第1の端部から離れる方向に補剛部品を引き出すことができる。
【0026】
これらの軸方向補剛部品は、所望の場合、これらの長さに沿って可変の剛性を備えていてよい。
【0027】
さらに別の実施態様において、特に完全に切開された血管の事例において、所期の修復を達成するために、2つの別個の機器を使用することができる。2つの機器を使用する好ましい方法によれば、第1の機器の1つの端部が切開血管の近位端内に挿入され展開されるのに対して、第2の機器の1つの端部が、切開血管の遠位端内に挿入され展開される。いずれかの機器の対向端部が展開され(好ましくは遠位側の機器)、そして他方の機器の対向端部は、好適な長さ(典型的には2cm〜5cm)にわたって、その展開された端部内に挿入され、そして展開される。
【0028】
機器の展開直径は、機器と血管との間の漏れを最小限にするために、修復部位で血管管腔内部に干渉可能に嵌合しなければならない。機器の展開直径は、機器がその中に嵌合されるように意図された血管の内径よりも約5〜100%大きいことが好ましい。より好ましくは、これは約5〜20%大きく形成される。これは150%大きいことも可能ではあるものの、このような大きい干渉は、血管への損傷のリスクを招き、そして展開された時に機器内に折り目、特に長手方向に配向する折り目が発生するリスクを生じさせる。典型的には、漏れのリスクを最小限にするために、約1cm〜約5cmの長さの機器が展開前に損傷血管管腔に挿入され、この場合約3cmが好ましい。完全に切開された血管に対しては、およそ3〜6cmの追加の機器長さが、切開血管の端部の典型的な退縮を埋め合わせるのに有用であると考えられる。
【0029】
好ましいエンドプロテーゼは、アリゾナ州Flagstaff在、W.L. Gore & Associatesから入手可能なHemobahn(登録商標)エンドプロテーゼ、及びViabahn(登録商標)エンドプロテーゼである。これらの機器は、ステント部品内部に多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(以後ePTFE)グラフト被覆体を備えた蛇行状ニチノールワイヤから成る螺旋状巻線の形態の自己拡張型ステントを含む。このステントの設計は、機器が、最小限の漏れしか伴わずに、血管の管腔表面を把持するのを可能にする。ステント部品と隣接するグラフト部品との間に、グラフト部品を通ることなく縫合糸を通すことにより、これらを隣接する組織(一時的又は永久的)に固定することができる。これらの機器が既に展開された血管の中から、機器に引張り力を加えることにより、これらの機器を続いて取り外すこともできる。5〜20cm長さのこのタイプの機器を使用することができ、例えば、6及び8mmの展開直径がほとんどの血管用途にとって好適であると考えられる。様々な長さ及び直径が有用であり得ることは明らかである。
【0030】
拘束型エンドプロテーゼは、任意の所望の治療薬、例えばヘパリンなどで全体的又は部分的に被覆してもよい。アセンブリのその部分にePTFE管状グラフトを使用することは、治療薬のリザーバとして利用できる多孔質の性質をその材料が有しているため、このことに関して特に効果的である。2種以上の治療薬を組み合わせて使用することができる。例えば、グラフトの外面は、抗菌薬、例えば銀クロルヘキシデンから成る被膜を備えていてよいのに対して、管腔表面にはヘパリン被膜が結合されていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】従来技術による、解放可能な拘束シース内部に収容された自己拡張型エンドプロテーゼを示す斜視図である。
【図1B】従来技術による、解放可能な拘束シース内部に収容された自己拡張型エンドプロテーゼを示す端面図である。
【図1C】従来技術による、拘束シース内部からの解放に続いて展開された図1A及び1Bの自己拡張型エンドプロテーゼを示す斜視図である。
【図1D】従来技術による、拘束シース内部からの解放に続いて展開された図1A及び1Bの自己拡張型エンドプロテーゼを示す端面図である。
【図1E】収容されたエンドプロテーゼの解放後に見える、図1C及び1Dの拘束シースを示す平面図である。
【図1F】ほどくことができるチェーンステッチを形成するフィラメントの1つの端部に引張り力を加えることにより、拘束シースの解放及びエンドプロテーゼの展開を可能にする、ほどくことができるチェーンステッチの詳細を示す図である。
【図1G】ほどくことができるチェーンステッチを形成するフィラメントの1つの端部に引張り力を加えることにより、拘束シースの解放及びエンドプロテーゼの展開を可能にする、ほどくことができるチェーンステッチの詳細を示す図である。
【図1H】ほどくことができるチェーンステッチを形成するフィラメントの1つの端部に引張り力を加えることにより、拘束シースの解放及びエンドプロテーゼの展開を可能にする、ほどくことができるチェーンステッチの詳細を示す図である。
【図1J】チェーンステッチをほどくために引張り力が加えられるフィラメントの別の経路を組み入れた、ほどくことができるチェーンステッチの詳細を示す図である。
【図1K】チェーンステッチをほどくために引張り力が加えられるフィラメントの別の経路を組み入れた、ほどくことができるチェーンステッチの詳細を示す図である。
【図1L】チェーンステッチをほどくために引張り力が加えられるフィラメントの別の経路を組み入れた、ほどくことができるチェーンステッチの詳細を示す図である。
【図2】従来技術による、ニット管状構造から形成された別の拘束シースを示す斜視図である。
【図3A】従来技術による、ピアノヒンジを内蔵する別の拘束シースを示す図である。
【図3B】従来技術による、ピアノヒンジを内蔵する別の拘束シースを示す図である。
【図3C】従来技術による、ピアノヒンジを内蔵する別の拘束シースを示す図である。
【図4A】本発明の拘束型エンドプロテーゼの1つの端部であって、拘束シースの少なくとも1つの端部が、拘束型エンドプロテーゼの隣接する端部を超えて延在しており、拘束シースの延長端部が、外傷血管内へのアセンブリ端部の導入を容易にするために、拘束型エンドプロテーゼよりも小さな直径を有する尖った端部を形成している、本発明の拘束型エンドプロテーゼの1つの端部を示す斜視図である。
【図4B】図4Aに示されたアセンブリの全長を示す長手方向破断図である。
【図4C】別のテーパ端部を有する拘束シースを示す部分的な縦断面図である。
【図4D】別のテーパ端部を有する拘束シースを示す部分的な縦断面図である。
【図4E】別のテーパ端部を有する拘束シースを示す部分的な縦断面図である。
【図4F】別のテーパ端部を有する拘束シースを示す部分的な縦断面図である。
【図5A】切開された動脈を修復するために使用されている、本発明のアセンブリを示す概略図である。
【図5B】切開された動脈を修復するために使用されている、本発明のアセンブリを示す概略図である。
【図5C】切開された動脈を修復するために使用されている、本発明のアセンブリを示す概略図である。
【図5D】切開された動脈を修復するために使用されている、本発明のアセンブリを示す概略図である。
【図5E】切開された動脈を修復するために使用されている、本発明のアセンブリを示す概略図である。
【図6A】その創傷が部分的にだけ血管を通る、血管に対する外傷を修復するために使用されている、本発明のアセンブリを示す概略図である。
【図6B】その創傷が部分的にだけ血管を通る、血管に対する外傷を修復するために使用されている、本発明のアセンブリを示す概略図である。
【図6C】その創傷が部分的にだけ血管を通る、血管に対する外傷を修復するために使用されている、本発明のアセンブリを示す概略図である。
【図6D】その創傷が部分的にだけ血管を通る、血管に対する外傷を修復するために使用されている、本発明のアセンブリを示す概略図である。
【図7A】本発明のハイブリッド型のステント・グラフト及び血管グラフトを示す図である。
【図7B】このハイブリッド型機器の適用を示す図である。
【図8A】本発明の拘束型エンドプロテーゼアセンブリと共に軸方向補剛部品(所定の長さのハイポチューブ)を任意に使用することを示す、横断面を含む斜視図である。
【図8B】本発明の拘束型エンドプロテーゼアセンブリと共に軸方向補剛部品(所定の長さのハイポチューブ)を任意に使用することを示す、横断面図である。
【図8C】本発明の拘束型エンドプロテーゼアセンブリと共に軸方向補剛部品(所定の長さのハイポチューブ)を任意に使用することを示す、適用概略図である。
【図9A】機器の全長にわたって延在する軸方向補剛材を内蔵する実施態様を示す側面図である。
【図9B】機器の全長にわたって延在する軸方向補剛材を内蔵する実施態様を示す側面図である。
【図9C】機器の全長にわたって延在する軸方向補剛材を内蔵する実施態様を示す側面図である。
【図10】ガイドワイヤの形態の別の軸方向補剛材を示す斜視図である。
【図11A】外方にめくり返された端部分を有する別の拘束シース内部に収容された、拘束され圧縮されたエンドプロテーゼの長さの約半分を示す斜視図である。
【図11B】図11Aに示された機器を示す縦断面図である。
【図12A】部分的に外方にめくり返された、波形の拘束シースを使用した別の実施態様を示す概略的な縦断面図である。
【図12B】シースのめくり返し部分が波形ではなく、これに対してシースの下側部分が波形である、図12Aとは別の実施態様を示す概略的な縦断面図である。
【図12C】図12Aの概略的な縦断面図の実施態様の長さの約半分を示す概略図である。
【図12D】プルリングを介して拘束シースの端部に引張り力を加えることにより、図12Cに示されている実施態様の展開を開始する様子を示す斜視図である。
【図12E】図12A、12C及び12Dによって記載された実施態様の1つの端部を示す縦断面図である。
【図13A】部分的に外方にめくり返された、波形の拘束シースを製造する様子を示す縦断面図である。
【図13B】部分的に外方にめくり返された、波形の拘束シースを製造する様子を示す縦断面図である。
【図13C】部分的に外方にめくり返された、波形の拘束シースを製造する様子を示す縦断面図である。
【図13D】部分的に外方にめくり返された、波形の拘束シースを製造する様子を示す縦断面図である。
【図13E】部分的に外方にめくり返された、波形の拘束シースを製造する様子を示す縦断面図である。
【図13F】部分的に外方にめくり返された、波形の拘束シースを製造する様子を示す縦断面図である。
【図14】展開を開始するためにシース端部に引張り力を加えることを容易にするために、機器の長さ中央にガイドが設けられている、別の実施態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1Aは、従来技術において周知の、拘束型エンドプロテーゼアセンブリ10を示す斜視図である。図1Bは同じアセンブリ10を示す端面図である。図示のアセンブリ10は、国際公開第98/27894号パンフレットによってさらに詳細に説明されている。エンドプロテーゼ12は典型的には、自己拡張型ステント・グラフト、すなわち、エンドプロテーゼ12がその端部間で流体例えば血液を損失無しに搬送して収容するのを可能にする、補綴グラフト材料(例えば多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン、すなわちePTFE)から成る管状被覆体15を備えた自己拡張型ステント13である。被覆グラフト材料15は、ステント13の内面又はステント13の外面に設けられてよく、或いはステント13の内面及び外面の両方に設けられて、その結果ステントが内側及び外側のグラフト被覆体15の間にカプセル化された状態にしてもよい。
【0033】
拘束型エンドプロテーゼアセンブリ10は、身体導管(例えば血管系)へ実際に挿入可能にするために小さな直径に圧縮された状態で示されている。自己拡張型エンドプロテーゼ12は、エンドプロテーゼ12をその小さな直径の拘束状態に維持するのに有用な管状形態を形成するために、圧縮されたエンドプロテーゼ12の周りに巻き付けられた拘束シース14、典型的には生体適合性材料シート(例えばePTFE)によって、圧縮された小さな直径状態に保持される。拘束シース14の隣接する縁部は、カップリング部材、例えばフィラメント16で一緒に固定されており、このフィラメント16は、所期の生体内位置(例えば血管系内)におけるより大きい直径への展開を可能にするために拘束型エンドプロテーゼ12を好都合に開放できるように、拘束シース14の隣接する縁部内に設けられた一連の孔18を通して縫われた、ほどくことができるチェーンステッチを成して配置されている。必要に応じて、拘束シース14の縁部は、所望の場合には、例えば埋め込まれたフィラメント20、例えば所定の長さのePTFE縫合材料で補強されてよい。
【0034】
図1C及び1Dはそれぞれ、例えばカップリング部材(フィラメント)16の端部に引張り力を加えることにより拘束シース14を解放した後のエンドプロテーゼアセンブリ10を示す斜視図及び端面図である。エンドプロテーゼ12は、所期の生体内位置において展開状態で見られるような完全拡張直径で示されている。拘束シース14は、その前の管状形態から完全に解放され、そして展開されたエンドプロテーゼ12の1つの側部に隣接して残る。エンドプロテーゼ12とともに生体内に拘束シース14を残すことが望まれるのであれば、必要に応じて本発明の拘束シース14を、好ましくはグラフト被覆体15を通すことなく、種々の方法、例えばステント13に取り付けられた拘束シース14を通して縫合することによって、図1C及び1Dに示された接触線に沿ってエンドプロテーゼ12の1つの側部に固定することができる。或いは、エンドプロテーゼ12の展開後にシース14が取り外し可能であることが意図されるのであれば、シース14をエンドプロテーゼ12に固定しないままにすることもできる。
【0035】
図1Eは、拘束シース14を示す平面図である。
【0036】
図1F、1G及び1Hは、拘束シース14(例えば図1A及び1Bに示すもの)の使用により圧縮状態で収容されるエンドプロテーゼと共に有用な、チェーンステッチを形成するフィラメント16の1つの端部19に引張り力を加えることにより拘束シース14の解放及びエンドプロテーゼ12の展開を可能にする、ほどくことができるチェーンステッチ17の詳細を示す図である。これらの図面は、フィラメント状又は糸状のカップリング部材16と共に使用することができる、ほどくことができるチェーンステッチ17のための1つの引き結び目形態を表す。拘束シース14は、単純化の目的で、その場所に配置されたインプラントなしで図示されている。図1Fは、解放前又は展開前の状態の引き結び目を示している。一般に、一連の結び目が加えるプロフィール(厚さ)は極めて僅かである。図1Gは、どのように鎖状結び目17Aを形成できるかを示すために糸状カップリング部材16が緩められた状態で、図1Fのアセンブリを示す。図1Hは、図1F又は1Gのアセンブリの解放を概略的に示す。図示の縫い目17は、カップリング部材16の1つの端部19を引っ張ることによって解放可能であり、その結果、管状拘束部材14が解放され、次いでエンドプロテーゼ12(図示せず)が展開される。この特定の縫い目は、ほどくことができるチェーンステッチ17の一種であり、単一の針及び単一のフィラメントで形成することができ、その結果、1つの引き結び目が、次の引き結び目の解放を防止するように互いを通ってループ形成された一連のループ又は引き結び目17Aをもたらす。引き結び目17Aを解放するためにフィラメント16が引っ張られると、後続の引き結び目17Aが次いで解放され、そしてこれが順に次の引き結び目を解放する。このプロセスはフィラメント16を引っ張っている間、フィラメント全体が拘束部材14から引き出されるまで続く。
【0037】
図1F〜1Hを参照すると、糸状カップリング部材16の端部分19が例えば参照矢印26によって示される方向に引っ張られると、それぞれの連続した鎖状結び目17は、次の隣接する鎖状結び目を解放する。カップリング部材16の鎖状結び目17は好ましくは、固定ループ21を使用することによって、エンドプロテーゼ12の端部分から離れてエンドプロテーゼ12の長さの中央部分に向かう方向に、圧縮されたエンドプロテーゼ12(図示せず)を徐々に解放するように配置されている。図1A及び1Bに示されたチェーンステッチの解放の向きとは異なり、図1F〜1Hは、どのようにしてフィラメント16が、最初に解放されるように意図されたアセンブリ10の端部から後退し、典型的にはアセンブリ10の長さの中央近くに配置された固定ループ21に戻る経路をたどるかを示している。固定ループ21はまた、さらに詳細に論じるように、アセンブリ10の長さに対して実質的に垂直な方向でフィラメント16の端部19に引張り力を加えることができるように、フィラメント16の方向を90度変えることを可能にする。
【0038】
展開中のフィラメント16が「弓の弦」状態になるおそれが懸念されるほどアセンブリ10が可撓性である場合、1つ又は2つ以上の付加的な固定ループを、アセンブリの端部分と中央部分との間に使用することができる。或いは、図1J〜1Lに示されるように、フィラメント16は、所定のインターバルを置いて1つ又は2つ以上のチェーンステッチループの下をくぐらせることもできる。
【0039】
図2は、従来技術による、ニット管状構造から形成された別の拘束シース14を示す斜視図である。この事例において、シース14は、Armstrong他の米国特許第6,224,627号明細書に詳細に記載されているように、ほどくことができる。図示の実施態様は、4つの繊維22、24のワープニット(又はニット編み上げ)構造である。拘束シース14の端部で4つの繊維に、矢印26によって示されるように引張り力を加えることにより、ニット管状構造はほどかれ、そしてこれにより下の円筒形機器を露出させる。この円筒形機器は判りやすさのためにマンドレル28として示すが、円筒形機器が、シース14をほどくことによって拘束力が解放された結果として展開する自己拡張型エンドプロテーゼであってよいことは明らかである。
【0040】
図3A〜3Cは、従来技術による、ピアノヒンジを内蔵する別の拘束シースを示す図であり、このタイプの拘束シースは、Armstrong他の米国特許第6,827,731号明細書によって詳細に記載されている。図3Aは、ピアノヒンジ・クロージャ30を利用する拘束シース14を内蔵する拘束型エンドプロテーゼアセンブリ10を示す平面図であり、拘束シース14の縁部は、引張り力を加えることによって軸方向に取り外し可能なヒンジピン部品32を介して一緒に固定されている。この解放は進行中の状態で、図3Cの平面図に示されており、ここでは拘束シース14を徐々に解放させ、これにより自己拡張型エンドプロテーゼ12の展開を可能にする方向26で、ヒンジピン部品32に引張り力が加えられている。
【0041】
ヒンジ・クロージャ30は任意には、図3Bの横断面に示された、所定の長さの、比較的小さな直径の高分子管34を内蔵することができる。このような所定の長さの管34を内蔵することは、拘束シース14を構成する材料の縁部を処理するための好都合な方法である。或いは、拘束シース14の材料は、単にヒンジピン部品32のための通路を作るために形成されるのであれば、このような所定の長さの管がなくても十分な場合もある。
【0042】
2つの別個のヒンジピン部品32を使用することができ、これによりそれぞれの部品が拘束型エンドプロテーゼ12の1つの端部を解放することは明らかである。これらは、引張り力が加えられることになっている露出した端部が、アセンブリの長さの中央近くで、拘束型エンドプロテーゼアセンブリ10から外方に向かって延在するように設定することができる。このようにすれば、アセンブリの各端部は別個に且つ独立して展開可能である。
【0043】
圧縮されたエンドプロテーゼ12を収容することを可能にするために、そして所望の場合に、制御された解放及び展開を可能にするために、好適な拘束シース14を形成できる数多くの方法があるのは明らかである。具体的には、これらの種々の拘束シース構造のうちの多く(全てではないが)は、本発明にとって好ましいことであるが、エンドプロテーゼの2つの対向する端部の別個の且つ独立した展開を可能にするように構成することができる。自己拡張型エンドプロテーゼを、患者に送達するための最も小さな実際の直径に圧縮する方法が、好適な拘束シース内部に圧縮されたエンドプロテーゼを捕捉する種々の方法と同様に知られている。エンドプロテーゼを圧縮する1つのこのような方法は、米国特許第6,702,845号明細書に記載されているような装置を使用することを伴う。圧縮されたエンドプロテーゼを次いで、圧縮装置から、エンドプロテーゼの長さよりも長い、所定長さの比較的薄壁の高分子管内に一時的に滑り入れる。所期長さ(やはり一時的な高分子管の長さよりも短い)の拘束シースを次いで、高分子管の周りに密に嵌め、その後、エンドプロテーゼが(圧縮されたエンドプロテーゼの外径よりも小さな外径を有する)所定の長さのマンドレルによって高分子管内部から移動することを軸方向にブロックされた状態で、高分子管を拘束シースから滑らせて出し、これにより圧縮されたエンドプロテーゼが、一時的高分子管の取り外し中及び取り外し後に、拘束シース内部に確実に残る。
【0044】
図4Aは、本発明の拘束型エンドプロテーゼアセンブリ10の1つの端部を示す斜視図であり、ここでは拘束シース14の少なくとも1つの端部が、拘束型エンドプロテーゼの隣接する端部を超えて延在しており、拘束シースの延長端部が、外傷血管内へのアセンブリ端部の導入を容易にするために、拘束型エンドプロテーゼの直径よりも小さな直径を有する尖端40を形成している。尖った先端はこのように、拘束型エンドプロテーゼアセンブリの外径の少なくとも85%以下の最小の測定可能な直径をその端部に有する。より好ましくは、尖った先端における最小の測定可能な直径は、拘束型エンドプロテーゼの外径の80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、又は10%よりも小さい。さらに、尖った部分の表面に対して平行に描かれた線は、アセンブリが真っ直ぐな形態を成すときには、円筒形アセンブリの長手方向軸41と交差することになり、また、エンドプロテーゼを覆う拘束シース部分の表面を通る別の線と交差することになり、この後者の線は、アセンブリの長手方向軸41に対して平行である。
【0045】
高分子成形体を形成する技術において周知の種々のモールディング及び成形技術を含めて、エンドプロテーゼの端部を超えて延在する尖った先端部分40を拘束シースに設けるための種々の方法がある。多孔質延伸PTFE(ePTFE)から形成された拘束シースの場合、この材料は、拘束シース14の尖った先端部分40における気孔を低減する又は排除するために緻密化することができる。この緻密化は、この先端領域においてePTFEを局所的に加熱することによって達成することができる。結果として気孔の実質的な低減又は排除は材料を収縮させ、これにより先端部分40における材料の寸法が低減され同時に材料の剛性が高まり、このことは尖った導入体先端40の形成のためにやはり望ましい。拘束シース14のこの尖った先端部分40の縁部は、エンドプロテーゼを拘束するシース14の隣接部分と連続して、解放可能なチェーンステッチで縫い合わせることができるので、チェーンステッチの端部でフィラメント16に引張り力が加えられると、拘束シースの接合された縁部の解放が、尖った先端40で始まって、拘束型エンドプロテーゼの先端から長さの中央に向かって継続する。
【0046】
図4Bは、図4Aに示された拘束型エンドプロテーゼアセンブリ10の全長を示す長手方向破断図であり、拘束型エンドプロテーゼ12が見えるように、拘束シース14が破断して示されている。拘束シース14内に形成された尖った端部40は、エンドプロテーゼ12の端部を超えて延在する。アセンブリ10の2つの端部の別個の展開を可能にするために、別個のフィラメント16A及び16Bの対が、ほどくことができるチェーンステッチ17として配置され、各フィラメント16は、端部から始まって、アセンブリの長さの中央に向かって後退する、アセンブリのそれぞれの端部の展開を開始するように配置されている。
【0047】
各フィラメント16A及び16Bの端部19は、プルリング42A及び42Bにそれぞれ取り付けられている。これらの好ましいプルリングの使用は、それぞれ個々のフィラメント16の使用時に医師に好都合なグリップを提供する。プルリングが異なる色を有していて、この場合、例えばプルリング42Aとフィラメント16Aとが同じ色を有し、そしてプルリング42Bとフィラメント16Bとが同じ色を有しているが、しかしその色はプルリング42A及びフィラメント16Aのために使用された色とは異なっていることがさらに好ましい。例えば、プルリング42Aとフィラメント16Aとは黒であるように形成されてよく、これに対してプルリング42Bとフィラメント16Bとは白であるように形成することができる。このようにすれば、どのプルリングがアセンブリのどの端部を展開するかが医師に明らかになる。さらに判りやすくするために、拘束シースの尖った端部を、それぞれのプルリング及びフィラメントと同じ色にする(2つの尖った端部のそれぞれに異なる色を使用する)ことが望ましい場合がある。別の実施態様の場合、それぞれの拘束シース端部全体を、2つの端部に使用された別々の色で着色することができ、この場合も、それぞれのプルリングは、これらが解放するように意図された端部と同じ色を有する。
【0048】
フィラメント16及びプルリング42が、アセンブリ10の長手方向軸41に対して約90度の角度を成して(展開を開始するために)引張り力を加えるのを可能にすることは明らかである。フィラメント及びプルリング42は、長手方向軸41に対して事実上平行な状態から、90度以上の角度まで、長手方向軸41に対する広範囲な角度にわたって引張り力を加えることができるように配置されている。
【0049】
図4C〜4Fは、別の尖った端部を有する拘束シースを示す部分的な縦断面図である。図4Cは、拘束シース14が丸みを帯びた尖端40を有する実施態様を示している。図4Dに示すように、拘束シース14は、単に、エンドプロテーゼ12の端部を超えて、そしてこの端部の周りに延在してよい。図4Eは、尖った尖端が非対称であり、一方の側が長手方向軸41と実質的に平行であり、そして他方の側がテーパのほとんどを有している実施態様を表す。尖端40のいずれかの側(例えばチェーンステッチ17を含む側)がテーパのほとんどを有してよいことは明らかである。この実施態様は、さらに説明するように、軸方向補剛部品を用いると特に有用な場合がある。図4Fは、ステント13の要素がグラフト部品15の端部を超えて延在する実施態様を示しており、これらの延在する端部は一時的に、長手方向中心線41に向かって内方に曲げられ、そして、尖端40を形成するためにチェーンステッチ17の端部で固定される。身体導管内にアセンブリ10のこの端部を挿入した後、フィラメント16に引張り力を加えると、機器10の端部でチェーンステッチ17がほどかれ始め、尖端40でステント13の接合端部が解放され、そしてステントの展開に伴ってステント本体の残りと整列した状態でステントの端部を開かせることにより、展開が始まる。
【0050】
図5A〜5Eは、切開された動脈50を修復するために使用されている、本発明の機器を示す概略図である。図5Aは、切開された血管を表し、この場合矢印52が、切開部の近位側50Pからの血液損失を示す。図5Bは、切開動脈50の近位側50P内にアセンブリ10の1つの端部が挿入されており、プルリング42A及びフィラメント16Aに引張り力(矢印26によって示されている)を加えることにより展開されるように準備する様子を示している。この概略図は、切開血管の管腔と、拘束型エンドプロテーゼアセンブリの外径との間の十分なクリアランスを示しているが、これは、僅かな干渉を有する滑り嵌めであってもよい。切開血管の場合、血管端部の退縮によって、アセンブリ10の1つの端部の挿入中に、血管端部を鉗子で把持する必要がしばしば生じる。典型的な切開部は、端部の展開前に、アセンブリの端部の2〜(より好ましくは)3cmの挿入長を必要とすることがある。しばしば5cm長のエンドプロテーゼが退縮した端部間に必要となり、従って、約11〜12cm長の機器が望ましい場合がある。展開された機器における望ましい直径方向の干渉量は、約30〜50%となる。例えば6mmの血管に対して、公称展開直径8mmを有するエンドプロテーゼが望ましい場合がある。
【0051】
図5Cは、切開動脈50の近位側50P内に挿入され、そして近位側50P内部で展開されているアセンブリ10の端部を示しており、展開は尖った先端40から生じて、アセンブリの長さの中央に向かって進んでいる。アセンブリのこの端部だけが展開されているので、血液損失が実質的に低減又は完全に止められ、矢印53によって示されているように、血圧は大部分が再確立される。その圧縮状態からまだ展開されていない、アセンブリ10の対向端部は、血流をブロックするのに役立つ。機器の端部を前に拘束していた、解放された拘束シースは、図示されていないが展開された機器の一部の外面と、動脈の近位端の隣接する管腔面との間に捕捉されている。必要に応じて、拘束シースのこの部分は、拘束シース14がエンドプロテーゼに物理的に取り付けられていない場合には、拘束シース14に軸方向の引張り力を加えることによって展開に続いて取り外すことができる。植え込み可能な拘束シースを利用し、そしてこれを、展開されたエンドプロテーゼと血管壁との間の所定の場所に残すことが好ましいと一般には考えられる。
【0052】
図5Dは、動脈50の遠位端部50D内にアセンブリ10の対向端部が挿入されており、残りのプルリング42B及びフィラメント16Bに引張り力(矢印26によって示されている)を加えることにより展開されるように準備する様子を示している。図5Eは、遠位端の展開が達成されており、矢印54によって示されるように、灌流が遠位側に再確立されている様子を示している。
【0053】
図5A〜5Eは、切開血管を修復するために本発明を用いる1つの可能な順序を表している。他の可能な順序があることが明らかである。例えば機器は、近位及び遠位の両血管端部内に挿入され、次いで両端部で同時に展開されてよい。
【0054】
図6Aは、その創傷が部分的にだけ血管を通る(すなわち血管は完全には切開されていない)血管、例えば動脈60に対する外傷を示す概略図である。
【0055】
図6Bは、まさに外傷部位の近位側に挿入されようとしている、本発明の拘束型エンドプロテーゼアセンブリ10をさらに示す、同じ創傷の概略図である。図6Cは、(図6Bのプルリング42Aに引張り力を加えることによって)創傷の近位側に完全に挿入され且つ展開されたアセンブリを示す。アセンブリ10の遠位端がまだ展開されていないので、エンドプロテーゼの圧縮された遠位部分は、栓又は閉塞体として役立ち、そしてさらなる血液損失を防止し、血圧が実質的に回復される(矢印53)。アセンブリ10の遠位部分は、ここで矢印27によって示すように、外傷の遠位部分60D内に向かうように適切に曲げられる。
【0056】
図6Dは、さらなる血液損失をほとんど又は全く伴わずに遠位部分の血流が再確立された(矢印54)、完全に展開されたアセンブリ10を示す。
【0057】
別の機器について図7Aの平面図において説明する。この図は、エンドプロテーゼが、血管グラフト72例えばePTFE血管グラフトの両端部の外面又は内面に適合されたステント部品13を有する、ハイブリッド型のステント・グラフト及び血管グラフト72であってよいことを示している。上記の同じタイプの拘束シース(拘束シースはこの図では示していない)を、グラフトの各端部で独立して使用することができる。このようなハイブリッド型の機器は、図7Bによって示されるように、体内の全く異なる位置からの外傷部位の灌流に役立てるために使用することができる。
【0058】
必要に応じて、本発明のアセンブリは、血管の開口内への導入をさらに容易にするために、アセンブリに軸方向の剛性を加えるように意図された種々の部品を備えていてよい。これらの軸方向補剛部品は、一旦導入が所望の通り達成されたら取り外すことができる。このような部品には、ハイポチューブ及びガイドワイヤ、又はここではガイド・マンドレルと呼ばれるロッド部品が含まれる。必要に応じて、これらをアセンブリの先端を超えて延在させてもよい。
【0059】
図8Aは、拘束型エンドプロテーゼアセンブリ10内部に嵌め込まれた所定の長さの小さな管部品例えばハイポチューブ82を示す、横断面で終端している斜視図である。図8Bは、補剛部品82としてのハイポチューブが嵌め込まれたアセンブリ10の端部の断面図である。ハイポチューブ82は、エンドプロテーゼ12と拘束シース14との間に位置している。アセンブリ10に追加されるように選択した適度な剛性について、その直径、壁厚及び材料が選択される。適切なニチノール・ハイポチューブは、カリフォルニア州Fremont在、Nitinol Devices and Componentsの部品番号SE508である。アセンブリ10は、植え込み中及び植え込み後の両方において、解剖学的構造に対して適切に追随するのに十分な可撓性を必要とする。しかしながら、補剛部品例えばハイポチューブ82によって付与される付加的な軸方向剛性は、外傷血管の開口内へアセンブリの先端40を挿入する過程で有用な場合がある。アセンブリの可撓性を過度に損なうことなく、適切な補剛部品を追加することが可能である。
【0060】
軸方向補剛部品82として中空ハイポチューブを使用することは、治療薬の局所的投与のための好都合なアクセスをも可能にする。同様に、中空ハイポチューブの使用により、損傷血管系へのアクセスをより良好に可能にするために、所望の場合にはガイドワイヤ機器を使用することが可能になる。ハイポチューブを展開フィラメントのための通路として利用することもできる。
【0061】
図8Cは、血管外傷部位における植え込みの準備状態の、拘束型エンドプロテーゼアセンブリ10を示す側面概略図である。この図面は、どのようにして軸方向補剛部品、この場合には所定の長さのハイポチューブ82が、アセンブリの長さの中央部分近くで、典型的にはフィラメント・セグメント16A及び16Bがそれぞれのプルリング42A及び42Bに接合するようにアセンブリ10から離れて延在する同じ位置で、アセンブリから離れて延在させられるかを示している。補剛部品82のこの端部には、好適なハンドル又は任意のルアー(luer)アクセス取り付け具84が取り付けられていてよい。一旦アセンブリが所望の距離にわたって血管系内に挿入されたら、医師はアセンブリ10をしっかりと所定の位置に保持しながら、補剛材82をアセンブリ10から引き出すことによって取り外すことができる。エンドプロテーゼ12のその端部の展開前又は展開後に、補剛材を取り外すことができる。或いは、局所的な薬物送達のアクセス又はガイドワイヤのアクセスのために所定の位置に残しておくこともできる。
【0062】
図8Cはまた、どのようにして補剛材82の対向端部をアセンブリ10の先端部分40を超えて延在させられるかを示している。このような構成は、アセンブリのまさに端部に特定の剛性を提供するために望ましい場合があり、そしてこのようなものとして、血管開口における配置及び進入を助けることができる。補剛材82は、尖った先端部分40の中心で終端するように、先端部分40でオフセットするよう適宜形成されている。
【0063】
図9A〜9Cは、機器の全長にわたって延在する軸方向補剛材を内蔵する実施態様を示す側面図である。図9Aは、どのようにして機器10が、機器の全長にわたって延在する軸方向補剛材82を備えることができるかを、縦断面図として示している。図示のように、この補剛材82は、機器管腔内部に配置されている。補剛材は或いは、拘束シース14とエンドプロテーゼ12との間に配置されてもよい。補剛材82は、ガイドワイヤ、マンドレル又はロッド、又は管、例えばハイポチューブの形態を成してよい。補剛材82は、その長さに沿って一定又は可変の剛性を有してもよい。補剛材82は、所望の場合には取り外しの便宜上、ハンドル84を備えていてよい。
【0064】
図9B及び9Cは、身体導管内に典型的に植え込まれたこの実施態様を示す側面図である。図9Bは、どのように補剛材82を、身体導管50の近位端50p内への機器10の導入を助けるのに使用できるかを表している。図9Cは、身体導管の近位端50p内への機器10の導入後に、どのように機器10の遠位端から補剛材82を取り外せるかを示している。身体導管の近位端50p内への挿入後に、機器10の近位端の展開前又は展開後に、補剛材82を取り外すことができる。
【0065】
図10は、ガイドワイヤ86の形態の別の軸方向補剛材を示す斜視図である。この実施態様の場合、中程度の剛性のガイドワイヤ86が、エンドプロテーゼ12を備えた拘束シース14内部に収容されており、ガイドワイヤ86の先端部分は、拘束型エンドプロテーゼ12の端部を超えて延在し、導入体として役立つように「J」字形に曲げられている。加えて、ガイドワイヤ86は軸方向補剛材として役立つ。これらの機能の両方は、機器10が血管外傷部位内に導入されるのをより良好に可能にする。所望の場合には、アセンブリ10を血管系内に導入した後で、しかしエンドプロテーゼ12の展開前に、(矢印26によって示された)引張り力を加えることにより、ガイドワイヤを取り外すことができる。
【0066】
図11A及び11Bは、別の拘束シース140内部に収容された、拘束され圧縮されたエンドプロテーゼ12の1つの端部(例えば近位端)を示す。図11Aは斜視図であり、図11Bは縦断面図である。この実施態様の場合、拘束シース140は、エンドプロテーゼ12の端部で外方にめくり返されている。シース140の縁部は、やはりこの場合にも、チェーンステッチ17を成して配置されたフィラメント16によって一緒に固定され、これによりフィラメント16の自由端に引張り力を加えると、チェーンステッチ17がほどける。図5A〜5Eによって示されているのと同様に、展開はエンドプロテーゼ12の端部から始まり、そしてエンドプロテーゼ12の長さの中央に向かって進む。この場合にも、エンドプロテーゼ12の対向する端部は好ましくは、別個に且つ独立して展開可能である。チェーンステッチ17によって一緒に固定されたシース140の隣接する縁部は、こうして分離するように解放され、シース140がエンドプロテーゼ12の端部で外方にめくり返された地点110で始まるエンドプロテーゼ12の展開を可能にする。この実施態様の利点は、シース140の端部142が、エンドプロテーゼ12の長さの中央近くに位置することである。エンドプロテーゼ12の全長の近位側の半分を展開した後、めくり返されたシース140の端部142に引張り力を加えて、シース140を、身体導管と展開されたエンドプロテーゼ12との間から引き出すことができる。
【0067】
図12Aは、部分的に外方にめくり返された、波形の拘束シース144を使用した別の実施態様を示す概略的な縦断面図である。好ましくは、機器の各端部はそれ自身の拘束シース144を有しており、2つのシース144は、エンドプロテーゼ12の長さのほぼ中央で互いに接する。こうして、エンドプロテーゼの各端部は別個に且つ独立して展開することができる。図11A及び11Bの実施態様と同様に、拘束シース144の部分144eが、圧縮され拘束されたエンドプロテーゼ12の両端部で外方にめくり返されており、その結果、拘束シース144の両端部146は、エンドプロテーゼ12の長さの中央近くに位置する。端部146はそれぞれ、グリップ手段、例えばプルリング42に固定されている。外方にめくり返されたシース144を使用すると、エンドプロテーゼ12の展開中に、身体導管と展開されたエンドプロテーゼとの間からシース144を取り外すことができる手段が提供される。図12Aに示された実施態様の場合、外方にめくり返された拘束シース144は波形に形成されており、波形145の方向は、エンドプロテーゼ12を囲む周方向である。波形145の使用によって提供されるより長いシースを使用すると、(波形シース144の長さが同等の非波形シース14の長さよりも長いことに起因して)シース144の取り外し及びエンドプロテーゼ12の展開を引き起こすのに必要な所要引張り力が低減される。波形145の使用はまた、フープ強度が高められたシースを提供する。
【0068】
図12Bの概略的な縦断面図によって示された別の実施態様の場合、外方にめくり返された部分144eは波形ではないのに対して、シース144の下側部分は波形である。
【0069】
図12Cは、図12Aの概略的な断面図に示した実施態様の長さの半分(例えば近位側の半分)を示す斜視図である。波形に形成された、外方にめくり返されたシース144は、圧縮され拘束されたエンドプロテーゼ12の長さに沿って延在しており、シース144の端部はシース144の長さの中央部分に被さるようにめくり返されている。シース144の1つの端部146が、シース144の管形状が長手方向に分割され、プルリング42に延在する状態で示されている。シース144はこうして、種々の手段、例えば線148に沿って設けられた穿孔によって、その長さに沿って分割可能である。シースに良好なフープ強度を提供するがシースの長さに沿って本質的に分割可能な異方性強度特性を有する薄い材料をシース144に使用することを含む、他の手段を用いることもできる。
【0070】
図12Dは、リング42を介してシース144の端部146に引張り力を加える(矢印26によって示す)ことにより、エンドプロテーゼ12の展開を開始する様子を示す斜視図である。この引張り力26は、端部146が徐々に波形でなくなるようにし、そして例えば穿孔線148の分割によって、シース144の継続した分割を引き起こす。シース144の外側のめくり返された部分144eは、穿孔線148に沿って分割されて引き出されており、そしてシース144の内側部分はこれも引き出されるのに伴って分割し、拘束型エンドプロテーゼ12の解放及び展開を可能にすることが示されている。同時に、引張り力26は結果として、展開中のエンドプロテーゼ12と、エンドプロテーゼ12が内部で展開されている隣接する身体導管の壁との間からシース144を引き出す。
【0071】
図12Eは、図12A、12C及び12Dによって記載された実施態様による機器10の1つの端部(例えば近位端)を示す縦断面図である。図示のように、波形145は不均一であってよく、このときシース144の外側のめくり返された部分の波形145は、シース144の内側部分の波形に必ずしも正確に対応しない(ひいては正確には合致しない)。
【0072】
部分的にめくり返された波形の拘束シース144のための好ましい管状材料は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)及びePTFEフィルムの複合材料である積層フィルムから形成されており、FEPは、フィルムが多孔質のままでいるのを可能にする不連続被膜としてePTFEフィルムに適用されている。これらの複合フィルムは、Myers他の米国特許第5,358,516号明細書によって教示されているように形成される。この積層体のための好ましいePTFEフィルムは、Brancaの米国特許第5,814,405号明細書に教示されている。
【0073】
10cm長の、部分的に外方にめくり返された波形シースを形成するために、130cm長のこのフィルムを、ゆっくりと回転するステンレス鋼マンドレル上に、130cmの長さがマンドレルの長さに対して平行になるように提供する。マンドレルは、拘束シースの内径に望ましい直径を有しており、フィルムは、フィルムのFEP被覆側をマンドレル表面と反対に向けて配向される。フィルムは、長さ方向及び幅方向において、同様の強度特性及び引き裂き特性を有しているので、ePTFEのマイクロ構造を、節の長さがマンドレルの周方向に配向されるか又はマンドレルの長さに対して平行に配向されるように配向することができる。このフィルムを2層適用し、その後、FEPを溶融させるのに十分な熱源例えばはんだごてからの熱を、得られたフィルム管の長さに沿った線に沿って加える。マンドレルの回転方向を逆転し、そしてこのフィルムを2層追加して適用する。回転の逆転の結果、フィルムのFEP被覆側がマンドレル表面に面するようになる。第4の層が完成した後、フィルムをマンドレルの長さに沿って刃で切断する。最後に、最初の4層の上に、螺旋状に適用されたePTFEフィルムから成るテープ(FEP被膜はない)の一時的な覆いを形成することにより、これらの層を所定の位置に保持し、そしてフィルムで覆われたマンドレルを10分間にわたって、320℃に設定された対流式オーブン内に入れる。その後、マンドレルをオーブンから取り出し、そして周囲温度まで冷ましておく。冷却に続いて、螺旋状に適用されたePTFEテープの一時的な上の覆いを取り除く。
【0074】
得られたフィルム管の壁厚は、約0.020〜0.025mmであった。
【0075】
次いで、得られたフィルム管を、フィルム管の1つの端部がマンドレルの端部を短い距離だけ(ほぼ1cm)超えるまで、マンドレルの1つの端部に向かってスライドさせた。注意深い手動操作によって、管の端部の10〜12cmが隣接する管部分上にめくり返されるまで、管の端部をマンドレル表面上に残る管部分上にめくり返した。このことをフィルム管の対向端部に対して繰り返し、その結果、管はそれぞれのめくり返された領域に2つの層を有することになった。次いで、同じマンドレル、又は必要に応じてめくり返し過程から生じた直径増加を補正するため僅かに大きい直径を有する別のマンドレル上に、管を嵌め戻した。管とマンドレルとのアセンブリを次いで、好適なプログラム可能なレーザー切断機(好適な機械は例えば、ニュージャージー州Woodcliff Lake在、Keyence Corporationから入手可能なCO2レーザーメーカー、モデルML-G9320Fである)の中に置いた。フィルム管の全長にわたって一列の穿孔を形成するように、機械を予めプログラミングしておいた。それぞれ個々の穿孔は、幅約0.15mm及び長さ約0.45mmであり、隣接する穿孔は0.2mm長のランドによって分離されていた。
【0076】
穿孔過程に続いて、得られたフィルム管を、エンドプロテーゼの各端部について別個のシースが生じる(これにより、エンドプロテーゼの各端部の別個の展開を可能にする)ように、鋭い刃を用いて横方向に(その長さの中間点で)半分に切断した。次いで、マンドレル上にまだある状態で、シースを軸方向に均一に圧縮することにより、波形を形成する。シースは、その長さが元の圧縮されていない長さの10%になるまで軸方向に圧縮される。図12Eに示されているように、管のめくり返された部分は、下側の管部分と同時に波形に形成される。この図面はまた、波形が比較的不均一であることも示している。
【0077】
図13Aは、波形のめくり返された拘束シース144の製造を示す縦断面図である。シース144を形成することになる管は、管の中央部分上にめくり返された端部146を有しており、シース144のめくり返された部分144eを形成する。得られためくり返された管144は、好適なマンドレル152に被せ嵌められ、マンドレルは、めくり返された管144内部に滑り嵌めを形成している。めくり返された管144の対向端部は次いで、互いに軸方向に圧縮され、図13Aに示されているようにシース144の長さに沿って波形145が形成される。
【0078】
図13Bは、自己拡張型エンドプロテーゼを圧縮し、そしてこれを拘束シース144内に挿入するのに有用な漏斗型装置132を示している。装置132は、自己拡張型エンドプロテーゼ製造技術において周知のタイプの漏斗134を含む。他の圧縮方法、例えば、米国特許第6,629,350号明細書によって記載されているようなアイリス・タイプの圧縮装置を用いることもできる。漏斗134は、漏斗134の小さな端部に固定された、所定の長さの薄壁金属管136を有しており、管136の内径は、漏斗134の小さな端部の内径に相当する。好適な薄壁管は、Microgroup, Inc.、部品番号304H11XX (マサチューセッツ州Meadway在)によって製造されたステンレス鋼ハイポチューブである。
【0079】
図13Cによって示されているように、管136の外側に、波形のめくり返されたシース144を次いで被せ嵌める。図13Dは、エンドプロテーゼ12が、一時的な牽引ライン138を介して漏斗134内に引き込まれ(ニチノール・ステントは、冷媒スプレーを用いて同時に冷却することを必要とする場合がある)、そして、エンドプロテーゼ12が圧縮されるにつれて、管136の管腔内に引き込まれる様子を示している。図13Eは管136の管腔内に収容された、圧縮されたエンドプロテーゼ12の全長を示す。図13Fによって示されているように、エンドプロテーゼ12が波形のめくり返された拘束シース144内部に完全に収容されるまで、圧縮されたエンドプロテーゼが、管136の端部から拘束シース144の管腔内へ引き出される。
【0080】
図14は、シース端部146のために、機器の長さの中央にガイド162が設けられている別の実施態様を示す斜視図である。ガイド162は、2つの拘束シース14の間にエンドプロテーゼ12の中央部分を保持するサドル164を備えており、サドル164は、干渉によりエンドプロテーゼ12を把持する。サドル164の基部に、それぞれのシース端部146に引張り力を加えると各シース14を徐々に分割する一対の切刃166が設けられている。各シース14が分割するのにともなって、シースは引き出され、エンドプロテーゼの端部で始まって中央に進行するエンドプロテーゼ12の展開を可能にする一方、シースは同時に、エンドプロテーゼと、プロテーゼが植え込まれようとしている身体導管との間から引き出される。
【0081】
本発明により種々異なるアセンブリを製造し、そして1頭の未成熟豚及び数匹の成熟グレイハウンド犬の腸骨動脈及び大腿動脈、並びに成熟グレイハウンド犬の大腿静脈に外科的に形成された血管創傷内に植え込んだ。概ね図5A〜6Dに示したように、直接可視化下で処置を施した。これらのアセンブリは、アリゾナ州Flagstaff在、W.L. Gore & Associatesから入手可能なHemobahn(登録商標) Endoprosthesis機器に基づいた。これらの機器を、ePTFE拘束シース内に圧縮して拘束した。拘束シースは、ほどくことができるチェーンステッチを形成するように配置されたePTFEフィラメントで固定された縁部を有した。各アセンブリの各端部が、ePTFEフィラメントの1つの端部に取り付けられたプルリングに引張り力を加えることによって個別に展開可能であり、その結果、展開が、アセンブリ端部から始まってプルリング及びフィラメント端部が配置されており医師にとってアクセス可能なアセンブリの長さの中央部分に向かって進むように、縫い目を配置した。拘束シースのいくつかは尖った先端部分を備えていた。いくつかは一時的な軸方向補剛部品を内蔵し、そしていくつかは内蔵しなかった。圧縮直径9〜12Frenchを有する公称展開直径6、7、8及び10mmの機器を使用した。完全に切開された創傷及び部分的に切開された創傷の両方を形成した。血管内の創傷開口に隣接する血管を把持するために鉗子を使用して、これらの機器を開口内に挿入し、そして過度の困難無しに展開した。展開の結果、血液損失は完全又は実質的に完全に止まり、そして外傷部位に対して遠位側の解剖学的構造への灌流が再確立された。完全な展開に続いて、これらの植え込み物のうちのいくつかの拘束シースを、エンドプロテーゼの展開端部と隣接する血管壁との間を占めるスペースから、鉗子によって拘束シースの露出部分を把持し、そして引張り力を加えることにより取り外した。
【0082】
これらの植え込みは概ね素早く、通常は約5分間以下で達成された。軸方向補剛材が嵌め込まれた機器は、時には有効であると考えられたものの、これらの補剛材は一般に、成功裡の速やかな結果を可能にするために、機器には不要であると考えられた。
【0083】
2つの付加的な5つのHemobahn(登録商標) Endoprosthesis機器を2匹のグレイハウンド犬の腸骨動脈内に植え込んだ。これらの機器は、部分的にめくり返された波形のシースを有した。シースの自由端を引っ張ることにより、近位側から始めて一度に1つの側について1動作でシースを展開した。シースを展開中に取り外した。出血はほとんど又は全くなく、これは2〜3分以内に自然に停止した。各機器の植え込みは、3分未満の所要時間で十分であった。挿入深さは、近位側で約2.5cmであり遠位側で2.4cmであった。
【0084】
本発明の特定の実施態様を本明細書中で例示し説明してきたが、本発明は、このような例示及び説明に限定されるべきではない。添付の特許請求の範囲内に含まれる本発明の部分として変更及び変形を取り入れて具体化できることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの端部を有する自己拡張型ステントを含む管腔内機器であって、前記機器が、前記ステントの少なくとも一部を覆う被覆体を備えており、前記端部が、身体導管内に挿入するための圧縮状態と、拡張状態とを有しており、前記端部のそれぞれが、前記端部を圧縮状態から拡張状態に展開させるために引張り力を加えることによって個別に操作可能な解放フィラメントを有している、管腔内機器。
【請求項2】
前記フィラメントのうちの少なくとも1つが、前記管腔内機器の1つの端部から、中央長さ部分に向かって延在する、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項3】
前記端部のうちの少なくとも1つが、拘束シースによって圧縮状態に保持される、請求項2に記載の管腔内機器。
【請求項4】
前記拘束シースが、前記フィラメントに引張り力を加えることによって、前記少なくとも1つの端部から解放される、請求項3に記載の管腔内機器。
【請求項5】
前記拘束シースが、前記少なくとも1つの端部で始まり前記管腔内機器の中央長さ部分に向かって進む方向で解放される、請求項4に記載の管腔内機器。
【請求項6】
前記拘束シースが、前記少なくとも1つの端部を超えて延在して、前記圧縮状態における前記端部の直径よりも小さな直径を有する尖った導入体先端を形成する、請求項5に記載の管腔内機器。
【請求項7】
前記端部のうちの少なくとも1つが、拘束シースによって圧縮状態に保持される、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項8】
前記拘束シースが、前記フィラメントに引張り力を加えることによって、前記少なくとも1つの端部から解放される、請求項7に記載の管腔内機器。
【請求項9】
前記拘束シースが、前記少なくとも1つの端部で始まり前記管腔内機器の中央長さ部分に向かって進む方向で解放される、請求項8に記載の管腔内機器。
【請求項10】
前記拘束シースが、前記少なくとも1つの端部を超えて延在して、前記圧縮状態における前記端部の直径よりも小さな直径を有する尖った導入体先端を形成する、請求項9に記載の管腔内機器。
【請求項11】
前記拘束シースが、前記少なくとも1つの端部で始まり前記管腔内機器の中央長さ部分に向かって進む方向で解放される、請求項7に記載の管腔内機器。
【請求項12】
前記拘束シースが、前記少なくとも1つの端部を超えて延在して、前記圧縮状態における前記端部の直径よりも小さな直径を有する尖った導入体先端を形成する、請求項7に記載の管腔内機器。
【請求項13】
前記管腔内機器の長さの少なくとも一部に沿って、軸方向補剛材が軸方向に延在する、請求項7に記載の管腔内機器。
【請求項14】
前記軸方向補剛材が前記拘束シースと前記管腔内機器との間に延在する、請求項13に記載の管腔内機器。
【請求項15】
前記軸方向補剛材がワイヤを含む、請求項14に記載の管腔内機器。
【請求項16】
前記軸方向補剛材がロッドを含む、請求項13に記載の管腔内機器。
【請求項17】
前記軸方向補剛材が管を含む、請求項13に記載の管腔内機器。
【請求項18】
前記軸方向補剛材が、前記軸方向補剛材の長さの少なくとも一部に沿って可変の剛性を有する、請求項13に記載の管腔内機器。
【請求項19】
前記機器が、直接可視化下で、手によって植え込み可能である、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項20】
被覆体を有する前記自己拡張型ステントが、前記端部間に延在する管腔を有し、そして前記管腔内部には他の部品を収容しない、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項21】
被覆体を有する前記自己拡張型ステントが、前記端部間に延在する管腔を有し、そして前記管腔内部に軸方向補剛部品を収容する、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項22】
前記被覆体が、外方にめくり返された部分を有する、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項23】
前記被覆体が、少なくとも1つの波形部分を有している、請求項1に記載の管腔内機器。
【請求項24】
前記被覆体が、外方にめくり返された部分を有する、請求項23に記載の管腔内機器。
【請求項25】
第1及び第2の端部を有する自己拡張型ステントを含む管腔内機器であって、前記機器が、前記ステントの少なくとも一部を覆う被覆体を備えており、前記第1及び第2の端部が、身体導管内に挿入するための圧縮状態と、拡張状態とを有しており、前記第1の端部が、第1の拘束シースを解放するように構成された第1の解放フィラメントによって圧縮状態から拡張状態に個別に展開可能な当該第1の拘束シースによって圧縮状態に保持されており、そして前記第2の端部が、第2の拘束シースを解放するように構成された第2の解放フィラメントによって圧縮状態から拡張状態に個別に展開可能な当該第2の拘束シースによって圧縮状態に保持されており、展開は前記端部で開始されて前記機器の中央長さ部分に向かって進む、管腔内機器。
【請求項26】
前記第1の拘束シースが、前記自己拡張型ステントの前記第1の端部を超えて延在する端部分を備えており、前記端部分が、前記自己拡張型ステントの前記圧縮状態よりも小さな直径を有する尖った導入体である、請求項25に記載の管腔内機器。
【請求項27】
前記自己拡張型ステントが所定の長さを有しており、そして前記管腔内機器が、前記自己拡張型ステントの長さの少なくとも一部に沿って軸方向補剛部品を内蔵している、請求項25に記載の管腔内機器。
【請求項28】
前記管腔内機器が、直接可視化下で、手によって植え込み可能である、請求項25に記載の管腔内機器。
【請求項29】
少なくとも1つの端部を有する自己拡張型ステントを含む管腔内機器であって、前記機器が、前記ステントの少なくとも一部を覆う被覆体を備えており、前記少なくとも1つの端部が、身体導管内に挿入するための圧縮状態と、拡張状態とを有しており、前記少なくとも1つの端部が、第1の拘束シースによって圧縮状態に保持されており、前記拘束シースが、前記第1の端部を超えて延在して、前記圧縮された少なくとも1つの端部よりも小さな直径を有する導入体を内蔵する、管腔内機器。
【請求項30】
前記少なくとも1つの端部が、前記拘束シースを解放するように構成された解放フィラメントによって圧縮状態から拡張状態に展開可能である、請求項29に記載の管腔内機器。
【請求項31】
前記少なくとも1つの端部が、概ね前記第1の端部から、前記機器の中央部分に向かって延びる方向で展開する、請求項30に記載の管腔内機器。
【請求項32】
前記管腔内機器が、直接可視化下で、手によって植え込み可能である、請求項29に記載の管腔内機器。
【請求項33】
近位部分と遠位部分とを有する損傷した血管を修復する方法であって、
(a)直接可視化によって、前記損傷した血管内に近位方向に自己拡張型ステント・グラフトの圧縮された第1の端部を挿入し;
(b)解放フィラメントを引っ張ることによって前記自己拡張型ステント・グラフトの前記第1の圧縮された端部を拡張状態に展開して、前記血管の損傷した近位部分から、前記自己拡張型ステント・グラフトの拡張された第1の端部内への通路を形成する
ことを含む、方法。
【請求項34】
前記第1の圧縮された端部の展開により、血液損失が実質的に止まる、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
(c)直接可視化によって、前記損傷した血管内に遠位方向に前記自己拡張型ステント・グラフトの圧縮された第2の端部を挿入し;
(d)解放フィラメントを引っ張ることによって前記自己拡張型ステント・グラフトの前記第2の圧縮された端部を拡張状態に展開して、前記自己拡張型ステント・グラフトの拡張された第2の端部から、前記血管の損傷した遠位部分内へ通路を延ばす、
付加的なステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(c)直接可視化によって、前記損傷した血管内に遠位方向に前記自己拡張型ステント・グラフトの圧縮された第2の端部を挿入し;
(d)解放フィラメントを引っ張ることによって前記自己拡張型ステント・グラフトの前記第2の圧縮された端部を拡張状態に展開して、前記自己拡張型ステント・グラフトの拡張された第2の端部から、前記血管の損傷した遠位部分内へ通路を延ばす、
付加的なステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
近位部分と遠位部分とを有する損傷した血管を修復する方法であって、
(a)直接可視化によって、前記損傷した血管内に遠位方向に自己拡張型ステント・グラフトの圧縮された第1の端部を挿入し;
(b)解放フィラメントを引っ張ることによって前記自己拡張型ステント・グラフトの前記第1の圧縮された端部を拡張状態に展開して、前記血管の損傷した遠位部分から、前記自己拡張型ステント・グラフトの拡張された第1の端部内への通路を形成する
ことを含む、方法。
【請求項38】
前記第1の圧縮された端部の展開により、血液損失が実質的に止まる、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
(c)直接可視化によって、前記損傷した血管内に近位方向に前記自己拡張型ステント・グラフトの圧縮された第2の端部を挿入し;
(d)解放フィラメントを引っ張ることによって前記自己拡張型ステント・グラフトの前記第2の圧縮された端部を拡張状態に展開して、前記自己拡張型ステント・グラフトの拡張された第2の端部から、前記血管の損傷した遠位部分内へ通路を延ばす、
付加的なステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
(c)直接可視化によって、前記損傷した血管内に近位方向に前記自己拡張型ステント・グラフトの圧縮された第2の端部を挿入し;
(d)解放フィラメントを引っ張ることによって前記自己拡張型ステント・グラフトの前記第2の圧縮された端部を拡張状態に展開して、前記自己拡張型ステント・グラフトの拡張された第2の端部から、前記血管の損傷した遠位部分内へ通路を延ばす、
付加的なステップを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
損傷した血管を修復する方法であって、
(a)直接可視化によって、前記損傷した血管内に自己拡張型ステント・グラフトの圧縮された第1の端部を挿入し;
(b)前記自己拡張型ステント・グラフトの前記第1の圧縮された端部を拡張状態に展開し、これにより、前記ステント・グラフトを締め付けることによらないで、前記損傷した血管からの血流を実質的に塞ぐ
ことを含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1J】
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【図1K】
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【図1L】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−236052(P2012−236052A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−169562(P2012−169562)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【分割の表示】特願2008−551457(P2008−551457)の分割
【原出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】