説明

車両および車両の制御方法

【課題】外部電源によって蓄電装置を充電可能な車両において、電費悪化や充電システムの耐久性劣化を抑制しつつ充電システムの異常診断を確実に実施する。
【解決手段】電圧センサ220は、充電装置200と充電リレーCHRとの間の電路の電圧VCHGを検出し、その検出値をHV−ECU300へ出力する。HV−ECU300は、充電リレーCHRの開状態が所定時間以上継続しているときは、充電装置200による蓄電装置111の充電開始前に電圧センサ220の異常診断を実行し、充電リレーCHRの開状態が所定時間継続していないときは、異常診断を実行することなく充電装置200による蓄電装置111の充電を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両および車両の制御方法に関し、特に、車両外部の電源によって車載蓄電装置を充電可能な車両およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境に配慮した車両として、二次電池やキャパシタ等の蓄電装置に電力を蓄え、蓄電装置から走行用モータへ電力を供給して走行する車両が注目されている。このような車両には、たとえば、電気自動車やハイブリッド自動車、燃料電池車等が含まれる。そして、これらの車両に搭載される蓄電装置を商用電源等の車両外部の電源(以下「外部電源」とも称する。)により充電する技術が提案されている。
【0003】
ハイブリッド自動車においても、電気自動車と同様に外部電源によって車載の蓄電装置を充電可能な車両が知られている(以下では、外部電源による蓄電装置の充電を「外部充電」とも称する。)。たとえば、家屋に設けられた電源コンセントと車両に設けられた充電口とを充電ケーブルで接続することにより、商用電源等の外部電源によって蓄電装置を充電可能ないわゆる「プラグイン・ハイブリッド車」が知られている。
【0004】
特開2006−81340号公報(特許文献1)は、蓄電装置から走行用モータへ電力を供給して走行する車両における電源回路の制御装置を開示する。電源回路は、インバータと走行用バッテリとの間に設けられるシステムメインリレー(System Main Relay)SMRを含む。制御装置は、バッテリ電圧、バッテリ電流およびインバータ電圧の少なくともいずれかに基づいて、イグニッションスイッチがスタート位置にされる前に、システムメインリレーSMRにおける通電側での固着および非導通側での固着を区別してシステムメインリレーSMRの異常を判定する。
【0005】
この電源回路の制御装置によれば、走行用バッテリと負荷とを接続するまでに電源回路の異常個所を特定することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−81340号公報
【特許文献2】特開2008−125160号公報
【特許文献3】特開2008−154439号公報
【特許文献4】特開2000−134707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラグイン・ハイブリッド車等のように外部充電が可能な充電システムを備えた車両においては、システムメインリレーSMRとは別に、充電装置と蓄電装置との間にリレー(以下「充電リレー」と称する。)が設けられる。さらに、充電システムには、電圧変動成分を抑制するための平滑コンデンサ等の充電部や、充電装置からの出力電圧を検出するための電圧センサ等も設けられる。
【0008】
そして、外部充電の要求に従って充電リレーを閉成(オン状態)する場合において、充電リレーをオンにする前に上記電圧センサの検出値が非零であるとき、この電圧が、平滑コンデンサ等の充電部の放電が未完了であることによるものか、電圧センサの異常によるものか、充電リレーがオン固着(オン状態で溶着)していることによるものか、を判断することができない。
【0009】
走行中は、充電システムは使用されないので、充電システムの充電部は通常放電されていることから、走行中に充電システムを起動して電圧センサ等の異常診断を実施することが考えられる。しかしながら、異常診断のために走行中に本来不必要な充電システムを起動することは、電費の悪化を招くとともに充電システムの耐久性の劣化を促進してしまう。また、電圧センサの異常診断を実施するために専用の電圧センサを別途設けることは、コスト増を招く。
【0010】
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電費悪化や充電システムの耐久性劣化を抑制しつつ充電システムの異常診断を確実に実施することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば、車両は、再充電可能な蓄電装置と、充電装置と、リレーと、電圧センサと、制御装置とを備える。充電装置は、外部電源によって蓄電装置を充電する。リレーは、充電装置と蓄電装置との間の電路に設けられる。電圧センサは、充電装置とリレーとの間の電路の電圧を検出する。制御装置は、充電装置による蓄電装置の充電を制御する。そして、制御装置は、リレーの開状態が所定時間以上継続しているときは、充電装置による蓄電装置の充電開始前に電圧センサの異常診断を実行し、リレーの開状態が所定時間継続していないときは、異常診断を実行することなく充電装置による蓄電装置の充電を開始する。
【0012】
好ましくは、車両は、受電部と、充電部とをさらに備える。受電部は、電源に接続される。充電部は、受電部とリレーとの間の電路に設けられる。そして、所定時間は、充電部に蓄えられた電荷がリレーの開状態時に放電するのに要する時間に基づいて決定される。
【0013】
好ましくは、制御装置は、電圧センサの検出電圧が予め定められた第1のしきい値よりも高い場合に蓄電装置の電圧と検出電圧との電圧差の絶対値が予め定められた第2のしきい値よりも大きいとき、電圧センサを異常であると診断する。
【0014】
好ましくは、制御装置は、リレーの開状態が所定時間以上継続しているときは、リレーが閉状態に固着しているか否かの異常診断を充電開始前にさらに実行し、リレーの開状態が所定時間継続していないときは、電圧センサおよびリレーの異常診断を実行することなく充電装置による蓄電装置の充電を開始する。
【0015】
さらに好ましくは、制御装置は、電圧センサの検出電圧が予め定められた第1のしきい値よりも高い場合に蓄電装置の電圧と検出電圧との電圧差の絶対値が予め定められた第2のしきい値よりも大きいとき、電圧センサを異常であると診断し、電圧センサの検出電圧が第1のしきい値よりも高い場合に上記電圧差の絶対値が第2のしきい値以下であるとき、リレーが閉状態に固着しているものと診断する。
【0016】
また、この発明においては、車両は、再充電可能な蓄電装置と、充電装置と、リレーと、電圧センサとを備える。充電装置は、車両外部の電源によって蓄電装置を充電する。リレーは、充電装置と蓄電装置との間の電路に設けられる。電圧センサは、充電装置とリレーとの間の電路の電圧を検出する。そして、この発明によれば、車両の制御方法は、リレーの閉状態の継続時間を計時するステップと、リレーの閉状態が所定時間以上継続しているとき、充電装置による蓄電装置の充電開始前に電圧センサの異常診断を実行するステップと、リレーの閉状態が所定時間継続していないとき、異常診断を実行することなく充電装置による蓄電装置の充電を開始するステップとを含む。
【0017】
好ましくは、車両は、受電部と、充電部とをさらに備える。受電部は、電源に接続される。充電部は、受電部とリレーとの間の電路に設けられる。そして、所定時間は、充電部に蓄えられた電荷がリレーの開状態時に放電するのに要する時間に基づいて決定される。
【0018】
好ましくは、制御方法は、リレーの開状態が所定時間以上継続しているとき、リレーが閉状態に固着しているか否かの異常診断を充電開始前に実行するステップをさらに含む。リレーの開状態が所定時間継続していないとき、電圧センサおよびリレーの異常診断を実行することなく、蓄電装置の充電を開始するステップにおいて蓄電装置の充電が開始される。
【発明の効果】
【0019】
この発明においては、充電装置と蓄電装置との間の電路に設けられるリレー(充電リレー)の開状態が所定時間以上継続しているときは、充電システムの充電部が放電されているものとして、充電装置による蓄電装置の充電開始前に電圧センサの異常診断が実行される。一方、充電リレーの開状態が所定時間継続していない場合は、電圧センサの検出値が非零を示したときに、その電圧が、充電部の放電が未完了であることによるものか、電圧センサの異常によるものか、を判断することができないので、異常診断を実行することなく充電装置による蓄電装置の充電が開始される。このような構成とすることにより、走行中に充電システムを起動して異常診断を実施する必要がなくなる。したがって、この発明によれば、電費悪化や充電システムの耐久性劣化を抑制しつつ充電システムの異常診断を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態による車両の全体ブロック図である。
【図2】充電システムが正常である場合に外部充電が開始されるときの、システムメインリレー、充電リレーおよび検出電圧の状態を説明するためのタイムチャートである。
【図3】充電リレーのリレーCHRBがオン固着している場合のタイムチャートである。
【図4】充電リレーのリレーCHRGがオン固着している場合のタイムチャートである。
【図5】外部充電が開始される場合に充電システムのコンデンサの放電が未完了のときのタイムチャートである。
【図6】図1に示すHV−ECUの機能ブロック図である。
【図7】HV−ECUにより実行される外部充電起動制御に関する処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7に示すフローチャートのステップS60により実行される外部充電起動制御処理のフローチャートである。
【図9】図8に示すフローチャートのステップS130により実行される異常診断処理のフローチャートである。
【図10】図8に示すフローチャートのステップS150により実行される充電リレーCHRの固着診断処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態による車両の全体ブロック図である。図1を参照して、車両100は、電池パック110と、電圧センサ115と、PCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130,131と、動力伝達ギヤ140と、駆動輪150とを備える。また、車両100は、補機バッテリ160と、補機負荷170と、HV−ECU(Electronic Control Unit)300と、電源ECU350とをさらに備える。さらに、車両100は、電池パック110の蓄電装置111(後述)を外部電源500によって充電するための充電システムとして、充電装置200と、インレット210と、電圧センサ220と、コンデンサC3と、抵抗R2と、ダイオードD1とをさらに備える。
【0023】
電池パック110は、蓄電装置111と、電圧センサ112と、システムメインリレーSMRと、充電リレーCHRとを含む。蓄電装置111は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池あるいは鉛蓄電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等によって構成される。蓄電装置111は、充電システムを用いて、外部電源500によって充電される。また、蓄電装置111は、モータジェネレータ130,131によって発電される電力を蓄える。そして、蓄電装置111は、蓄えられた電力をPCU120へ供給する。
【0024】
システムメインリレーSMRは、リレーSMRB,SMRG,SMRPと、抵抗R1とを含む。リレーSMRBは、蓄電装置111の正極とPCU120に接続される電力線PL1との間に介挿される。リレーSMRGは、蓄電装置111の負極とPCU120に接続される電力線NL1との間に介挿される。リレーSMRPは、抵抗R1に直列に接続され、抵抗R1とともにリレーSMRGに並列に接続される。リレーSMRB,SMRG,SMRPは、HV−ECU300からの制御信号SE1によって制御される。
【0025】
なお、抵抗R1は、システムメインリレーSMRを閉成する際に、電力線PL1,NL1間に接続されるコンデンサC1へ流れる突入電流を低減するために設けられるものである。すなわち、システムメインリレーSMRを閉成する際は、まずリレーSMRBおよびSMRPがオンにされ、低電流によってコンデンサC1が充電された後、リレーSMRGがオンされるとともにリレーSMRPがオフされる。
【0026】
電圧センサ112は、蓄電装置111の電圧VBを検出し、その検出値をHV−ECU300へ出力する。
【0027】
充電リレーCHRは、リレーCHRB,CHRGを含む。リレーCHRBは、電力線PL1と充電装置200に接続される電力線PL2との間に介挿される。リレーCHRGは、電力線NL1と充電装置200に接続される電力線NL2との間に介挿される。なお、充電リレーCHRは、電池パック110の外部に設けることも可能であるが、車両100の走行時などに電池パック110の外部の電力線PL2,NL2に電力線PL1,NL1の電圧が印加されないようにするために、電池パック110の内部に充電リレーCHRを設けることが望ましい。
【0028】
電圧センサ115は、コンデンサC1の電圧VL(すなわち、電力線PL1,NL1間の電圧)を検出し、その検出値をHV−ECU300へ出力する。
【0029】
PCU120は、コンバータ121と、インバータ122,123と、電圧センサ124と、DC/DCコンバータ125と、MG−ECU126とを含む。コンバータ121は、電力線PL1,NL1と電力線HPL,NL1との間に接続される。コンバータ121は、MG−ECU126からの制御信号PWCによって制御され、電力線PL1,NL1と電力線HPL,NL1との間で電圧変換を行なう。
【0030】
インバータ122,123は、互いに並列して電力線HPL,NL1に接続される。インバータ122,123は、MG−ECU126からの制御信号PWI1,PWI2によってそれぞれ制御され、コンバータ121から供給される直流電力を、モータジェネレータ130,131をそれぞれ駆動するための交流電力に変換する。また、インバータ122,123は、モータジェネレータ130,131により発電される交流電力を、蓄電装置111を充電可能な直流電力に変換する。
【0031】
電圧センサ124は、電力線HPL,NL1間に接続されるコンデンサC2間の電圧VHを検出し、その検出値をHV−ECU300へ出力する。DC/DCコンバータ125は、電力線PL1,NL1に接続され、MG−ECU126からの制御信号PWDに基づいて、蓄電装置111から供給される直流電圧を降圧する。そして、DC/DCコンバータ125は、補機バッテリ160や補機負荷170、各ECU等の低電圧系に電力を供給する。MG−ECU126は、HV−ECU300と信号の授受が可能であり、HV−ECU300から受ける制御信号SIGに基づいて、コンバータ121、インバータ122,123およびDC/DCコンバータ125を制御するための制御信号を生成する。
【0032】
モータジェネレータ130は、交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機によって構成される。モータジェネレータ130の出力トルクは、減速機や動力分割装置によって構成される動力伝達ギヤ140を介して駆動輪150に伝達される。また、モータジェネレータ130は、車両100の制動時には、駆動輪150の回転力によって発電することができる。そして、その発電された電力は、PCU120によって蓄電装置111の充電電力に変換される。
【0033】
なお、図1においては、モータジェネレータおよびインバータのペアが2つ設けられる構成が示されるが、モータジェネレータおよびインバータのペアの数はこれに限定されず、モータジェネレータおよびインバータのペアを1つまたは2つより多く設ける構成としてもよい。
【0034】
また、モータジェネレータ130の他にエンジン(図示せず)が搭載されたハイブリッド自動車では、エンジンおよびモータジェネレータ130を協調的に動作させることによって必要な車両駆動力が発生される。この場合、エンジンの出力を用いてモータジェネレータ131により発電された電力を用いて蓄電装置111を充電することも可能である。すなわち、この実施の形態による車両100は、車両駆動力発生用のモータを搭載する車両を示すものであり、エンジンおよびモータにより車両駆動力を発生するハイブリッド自動車、エンジンを搭載しない電気自動車、および燃料電池自動車等を含む。
【0035】
補機バッテリ160は、代表的には、鉛蓄電池によって構成される。補機負荷170は、車両100に搭載される各種補機を総括的に示したものであり、たとえば、ランプ類、ワイパー、ヒータ、オーディオ等を含む。
【0036】
一方、充電システムについて、インレット210は、車両100のボディに設けられ、充電ケーブル400のコネクタ410と接続可能に構成される。そして、充電ケーブル400のプラグ420が外部電源500のコンセント510に接続され、かつ、コネクタ410がインレット210に接続されることによって、外部電源500から車両100へ電力が供給される。なお、充電ケーブル400には、外部電源500から車両100への給電と遮断とを切替えるための充電回路遮断装置(「CCID(Charging Circuit Interrupt Device)」とも称される。)が介挿される。
【0037】
充電装置200は、電力線ACL1,ACL2を介してインレット210に接続される。また、充電装置200は、電力線PL2,NL2を介して充電リレーCHRに接続される。充電装置200は、HV−ECU300からの制御信号PWEによって制御され、インレット210から入力される交流電力を蓄電装置111の充電電力に変換する。
【0038】
コンデンサC3は、電力線PL2,NL2間に接続され、電力線PL2,NL2間の電圧変動を平滑化する。ダイオードD1は、電力線PL2上に設けられ、コンデンサC3の接続ノードにアノードが接続され、充電リレーCHRのリレーCHRBにカソードが接続される。抵抗R2は、電力線PL2,NL2間に、コンデンサC3に並列に接続され、充電リレーCHRが開放されている間にコンデンサC3の残留電荷を放電するための放電抵抗として機能する。
【0039】
電圧センサ220は、充電リレーCHRとダイオードD1との間において電力線PL2,NL2間の電圧VCHGを検出し、その検出値をHV−ECU300へ出力する。
【0040】
HV−ECU300は、システムメインリレーSMRおよび充電リレーCHRを制御するための制御信号SE1,SE2をそれぞれ生成して出力する。また、HV−ECU300は、PCU120のMG−ECU126と信号の授受が可能であり、MG−ECU126へ制御信号SIGを送信する。MG−ECU126は、この制御信号SIGに基づいて、PCU120内の各機器を制御するための制御信号を生成する。
【0041】
さらに、HV−ECU300は、外部充電時、電圧センサ112,220および蓄電装置111の電流を検出するための電流センサ(図示せず)の各検出値に基づいて、充電装置200を制御するための制御信号PWEを生成して出力する。ここで、HV−ECU300は、外部充電の開始が要求されると、外部充電の実行を開始する前に、充電システムの異常診断を含む外部充電起動制御(後述)を実行する。
【0042】
なお、ここでは、電池パック110、充電装置200およびPCU120の制御を全てHV−ECU300において行なうものとしているが、機能毎あるいは制御対象機器毎に別々に制御装置を設けてもよい。
【0043】
電源ECU350は、車両の走行開始を要求するスタート信号STと、外部充電の開始を要求する充電要求信号とを受ける。なお、スタート信号STは、たとえば、運転席に設けられたスタートスイッチが運転者により操作されると活性化される。また、充電要求信号は、たとえば、インレット210と充電ケーブル400のコネクタ410との接続が検知されると活性化される。
【0044】
そして、電源ECU350は、スタート信号STが活性化されると、補機バッテリ160から、充電システムを除く各装置(PCU120、電池パック110、その他走行に必要な装置)への動作電力の供給を許可する。一方、電源ECU350は、充電要求信号が活性化されると、補機バッテリ160から充電システムおよび電池パック110への供給を許可する。
【0045】
この車両100においては、電圧センサ220や充電リレーCHRのオン固着(閉状態での溶着)の異常診断が実施される。この異常診断については、後述のように、電圧センサ220の検出電圧VCHGを用いて判定し得るが、電圧VCHGが単に非零であるというだけでは、この非零の電圧が、コンデンサC3の放電が未完了であることによるものか、電圧センサ220の異常によるものか、充電リレーCHRがオン固着していることによるものか、を判定することができない。
【0046】
この場合、走行中に充電システムを起動して上記の異常診断を実施することが考えられる。走行中であれば、コンデンサC3は通常放電されていることから、コンデンサC3の放電が未完了であるケースを除外できるからである。しかしながら、異常診断のために走行中に本来不必要な充電システムを起動することは、電費の悪化を招くとともに充電システムの耐久性の劣化を促進してしまう。また、電圧センサ220の異常診断を実施するために専用の電圧センサを別途設けることは、コスト増を招く。そこで、この車両100においては、外部充電の実施が要求されると、外部充電の実行開始前に外部充電起動制御が実行され、この外部充電起動制御において充電システムの異常診断が実行される。この外部充電起動制御については、後ほど詳しく説明する。
【0047】
次に、図2〜図5を用いて、外部充電が開始されるときのシステムメインリレーSMRおよび充電リレーCHRの動作について説明する。
【0048】
図2は、充電システムが正常である場合に外部充電が開始されるときの、システムメインリレーSMR、充電リレーCHRおよび電圧VL,VCHGの状態を説明するためのタイムチャートである。図2とともに図1を参照して、充電ケーブル400のコネクタ410がインレット210に接続されると、HV−ECU300は、まずシステムメインリレーSMRを閉成する。
【0049】
時刻t1において、HV−ECU300は、システムメインリレーSMRのうち、正極側のリレーSMRBのみをオンにするように制御信号SE1を出力する。これにより、リレーSMRG,SMRPがオン固着しているか否かが判断される。具体的には、リレーSMRG,SMRPが正常であって、それらのリレーがオフされている場合は、回路がオープン状態であるのでコンデンサC1は充電されず、電圧センサ115により検出される電圧VLは零のままとなる。しかしながら、リレーSMRG,SMRPのいずれかがオン固着している場合には、回路がクローズ状態となって電圧VLが上昇する。したがって、リレーSMRBのみをオンにした状態において、この電圧VLを所定のしきい値と比較することによって、リレーSMRG,SMRPのオン固着の有無が判断される。
【0050】
リレーSMRGのみがオン固着している場合およびリレーSMRG,SMRPの双方がオン固着している場合は、電圧VLは、蓄電装置111の電圧VBとほぼ同じ値を示す。また、リレーSMRPのみがオン固着している場合には、電圧VLは、抵抗R1によって分圧された電圧を示す。
【0051】
その後、時刻t2において、HV−ECU300によってリレーSMRPがオンにされると、回路がクローズされて電圧VLが曲線W1のように上昇する。このときは、上述のように、抵抗R1を介して電流が流れることによって突入電流が抑制される。
【0052】
そして、所定の値まで電圧VLが上昇すると、時刻t3において、リレーSMRGがオンにされ、時刻t4においてリレーSMRPがオフされる。これにより、コンデンサC1に電荷が蓄えられた状態となる。
【0053】
次に、時刻t5〜t8において、上記のシステムメインリレーSMRと同様に、充電リレーCHRがオン固着しているか否かが判定される。具体的には、時刻t5〜t6において、正極側のリレーCHRBのみがオンにされ、電圧センサ220により検出される電圧VCHGによってリレーCHRGのオン固着が判定される。さらに、時刻t7〜t8において、負極側のリレーCHRGのみがオンされることによって、リレーCHRBがオン固着しているか否かが判定される。なお、リレーCHRB,CHRGがオン固着している場合の詳細は、図3および図4で後述する。
【0054】
この図2に示されるケースでは、充電リレーCHRおよび電圧センサ220は正常であるので、曲線W2で示されるように、時刻t5〜t8までの間、電圧VCHGは零のままである。そして、時刻t8において、リレーCHRB,CHRGの双方がオンされることによって、電圧VCHGが蓄電装置111の電圧VB付近まで上昇する(曲線W2)。その後、図示しないが、充電装置200が起動されることによって蓄電装置111の充電が開始される。
【0055】
図3は、充電リレーCHRのリレーCHRBがオン固着している場合のタイムチャートである。図3とともに図1を参照して、時刻t11〜t17までは、図2の時刻t1〜t7の状態と同様である。しかしながら、時刻t17において、HV−ECU300からの制御信号SE2によってリレーCHRGがオンにされると、リレーCHRBがオン固着していることによって電力線PL2,NL2の双方が蓄電装置111に電気的に接続されることになるので、曲線W12に示されるように電圧VCHGが上昇する。HV−ECU300は、電圧VCHGがしきい値γに到達する時刻t18において、リレーCHRBがオン固着していることを検出する(点P10)。そして、HV−ECU300は、アラームを出力するとともに、リレーCHRB,CHRGの双方をオンにするための制御信号SE2を出力する。その後、HV−ECU300は、充電装置200を起動して蓄電装置111の充電を開始する。
【0056】
図4は、充電リレーCHRのリレーCHRGがオン固着している場合のタイムチャートである。図4とともに図1を参照して、時刻t21〜t25までは、図2の時刻t1〜t5の状態と同様である。時刻t25において、HV−ECU300からの制御信号SE2によってリレーCHRBがオンされると、リレーCHRGがオン固着していることによって、曲線W22に示されるように電圧VCHGが上昇する。HV−ECU300は、電圧VCHGがしきい値γに到達する時刻t26において、リレーCHRGがオン固着していることを検出する(点P20)。そして、HV−ECU300は、アラームを出力するとともに、リレーCHRB,CHRGの双方をオンにするための制御信号SE2を出力する。その後、HV−ECU300は、充電装置200を起動して蓄電装置111の充電を開始する。
【0057】
図5は、外部充電が開始される場合に充電システムのコンデンサC3の放電が未完了のときのタイムチャートである。図5とともに図1を参照して、時刻t51より前においては、コンデンサC3の残留電荷により、電圧センサ220によって検出される電圧VCHGがしきい値αよりも高い状態となっている。充電ケーブル400のコネクタ410がインレット210に接続されると、時刻t51〜t54においてシステムメインリレーSMRが閉成される。時刻t51〜t54におけるシステムメインリレーSMRの動作については、上述の図2の説明と同様であるので繰返さない。
【0058】
充電リレーCHRが正常である場合は、コンデンサC3の残留電荷は、時間の経過とともに抵抗R2で消費されて低下する。これによって、電圧VCHGは、曲線W52に示されるように徐々に低下していき、時刻t55において零付近に到達する。なお、充電リレーCHRの2つのリレーCHRB,CHRGのいずれか一方のみがオン固着している場合も、同様に電圧VCHGは零に到達し得る。
【0059】
一方、リレーCHRB,CHRGの双方がオン固着している場合には、システムメインリレーSMRが閉成されると、電力線PL2,NL2が蓄電装置111と電気的に接続されることになるので、電圧VCHGは、破線W53で示されるように、蓄電装置111の電圧VB付近まで上昇する。
【0060】
すなわち、コンデンサC3が蓄電可能な最大電荷量が抵抗R2によって放電される時間以上の時間が経過した後の電圧VCHGについて、電圧VCHGがしきい値α以下の場合(図5の領域A1)は、充電リレーCHRは正常または片側のみがオン固着しているものと判定される。電圧VCHGと電圧VBとの差の絶対値がしきい値βよりも大きい場合(図5の領域A2,A4)は、電圧センサ220の出力異常であると判定される。一方、電圧VCHGと電圧VBとの差の絶対値がしきい値β以下である場合(図5の領域A3)は、リレーCHRB,CHRGの双方がオン固着しているものと判定される。
【0061】
また、図示していないが、時刻t55以降において電圧VCHGが領域A1となった場合に、図2で説明したように、充電リレーCHRの各々のリレーを片側ずつ交互にオンするような動作をさらに行なうことによって、リレーCHRB,CHRGのいずれか一方のオン固着の有無を検出することが可能である。
【0062】
以上のように、外部充電の開始時に、コンデンサC3が蓄電可能な最大電荷量が抵抗R2によって放電される時間以上の時間が経過していれば、電圧VCHGに基づいて、電圧センサ220の出力異常および充電リレーCHRのオン固着を検出することができる。
【0063】
図6は、図1に示したHV−ECU300の機能ブロック図である。図6を参照して、HV−ECU300は、走行制御部310と、充電リレー監視部320と、外部充電起動制御部330と、外部充電制御部340とを含む。
【0064】
走行制御部310は、電圧VL,VH,VBの検出値をそれぞれ電圧センサ115,124,112から受ける。そして、走行制御部310は、モータジェネレータ130,131のトルク目標値および回転数目標値や電圧VHの目標値等、PCU120の制御に必要な制御信号SIGを生成し、その生成された制御信号SIGをPCU120のMG−ECU126へ送信する。また、走行制御部310は、車両の走行開始を要求するスタート信号STを受けると、システムメインリレーSMRを閉成するための制御信号SE1を生成して出力し、充電リレーCHRを開放するための制御信号SE2を生成して出力する。
【0065】
充電リレー監視部320は、充電リレーCHRが継続的に開放(オフ状態)されている時間(積算時間TI)を計時する。充電リレーCHRが閉成(オン状態)されると、積算時間TIは零にクリアされる。そして、充電リレー監視部320は、その算出した積算時間TIを外部充電起動制御部330へ出力する。
【0066】
外部充電起動制御部330は、充電リレー監視部320によって計時される積算時間TIを受ける。また、外部充電起動制御部330は、電圧VCHG,VBの検出値をそれぞれ電圧センサ220,112から受ける。そして、外部充電起動制御部330は、外部充電の開始が要求されると、積算時間TIに基づいて、充電リレーCHRの開放状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する。この所定時間は、充電システムのコンデンサC3が蓄電可能な最大電荷量が充電リレーCHRのオフ時に放電されるのに要する時間に基づいて決定される。なお、外部充電の開始要求時は、たとえば、インレット210に充電ケーブル400のコネクタ410が接続されたときや、利用者が操作可能な外部充電スイッチが操作されたとき等とすることができる。
【0067】
そして、積算時間TIが上記所定時間以上の場合には、コンデンサC3の放電が未完了であるケースを除外できるので、外部充電起動制御部330は、電圧センサ220および充電リレーCHRの異常診断処理を実行する。なお、この異常診断処理の具体的な内容については、後ほど説明する。一方、積算時間TIが所定時間継続していない場合には、コンデンサC3の放電が未完了であるケースと、電圧センサ220の異常または充電リレーCHRのオン固着のケースとを区別できないので、外部充電起動制御部330は、電圧センサ220および充電リレーCHRの異常診断処理を実行しない。
【0068】
外部充電制御部340は、電圧VCHG,VBの検出値をそれぞれ電圧センサ220,112から受ける。そして、外部充電起動制御部330による、電圧センサ220および充電リレーCHRの異常診断処理を含む外部充電起動処理が終了すると、外部充電制御部340は、電圧VCHG,VB等に基づいて充電装置200を駆動するための制御信号PWEを生成し、その生成された制御信号PWEを充電装置200へ出力する。
【0069】
図7〜図10は、HV−ECU300により実行される外部充電起動制御に関する処理を説明するためのフローチャートである。なお、図7に示されるフローチャートの処理は、外部充電の実行時に拘わらず一定時間毎または所定の条件が成立する毎に実行される。また、図8に示されるフローチャートの処理は、図7に示される処理ルーチンから呼出されて実行され、図9,図10に示されるフローチャートの処理は、図8に示される処理ルーチンから呼出されて実行される。
【0070】
図7を参照して、HV−ECU300は、充電リレーCHRがオフ(開放)されているか否かを判定する(ステップS10)。充電リレーCHRがオフされていると判定されると(ステップS10においてYES)、HV−ECU300は、時間を積算する(ステップS20)。すなわち、ステップS20において、充電リレーCHRが継続的にオフ状態となっている時間が計時される。なお、後述のように、この積算時間によって、充電システムのコンデンサC3の放電が完了しているか否かが判定される。その後、HV−ECU300は、ステップS50へ処理を移行する。
【0071】
一方、ステップS10において充電リレーCHRはオン(閉成)されていると判定されると(ステップS10においてNO)、HV−ECU300は、システムメインリレーSMRがオン(開放)されているか否かを判定する(ステップS30)。システムメインリレーSMRがオンされていると判定されると(ステップS30においてYES)、積算時間が零にクリアされる(ステップS40)。なお、システムメインリレーSMRがオフのときは(ステップS30においてNO)、ステップS50へ処理が移行される。
【0072】
次いで、HV−ECU300は、外部充電の要求が有ったか否かを判定する(ステップS50)。たとえば、インレット210と充電ケーブル400のコネクタ410との接続が検知されたときや、利用者が操作可能な外部充電スイッチが操作されたとき、外部充電の要求が有ったものと判定される。そして、ステップS50において外部充電の要求が有ったものと判定されると(ステップS50においてYES)、HV−ECU300は、外部充電起動制御処理を実行する(ステップS60)。
【0073】
図8は、図7に示したフローチャートのステップS60により実行される外部充電起動制御処理のフローチャートである。図8を参照して、HV−ECU300は、システムメインリレーSMRをオン(閉成)にする(ステップS110)。このとき、図3,図4で説明したような、システムメインリレーSMRに含まれる各リレーのオン固着検出が行なわれる。
【0074】
次いで、HV−ECU300は、上述の積算時間(充電リレーCHRが継続的にオフされている時間)が所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS120)。上述のように、この所定時間は、充電システムのコンデンサC3が蓄電可能な最大電荷量が充電リレーCHRのオフ時に放電されるのに要する時間に基づいて決定される。
【0075】
ステップS120において積算時間が所定時間以上であると判定されると(ステップS120においてYES)、HV−ECU300は、電圧センサ220および充電リレーCHRの異常診断処理を実行する(ステップS130)。この処理の詳細については、後ほど説明する。なお、この異常診断処理では、充電リレーCHRの異常診断については、リレーCHRB,CHRGの双方がオン固着しているか否かが診断される。
【0076】
次いで、HV−ECU300は、異常診断の結果、電圧センサ220または充電リレーCHRの異常が検出されたか否かを判定する(ステップS140)。そして、異常が検出されたときは(ステップS140においてYES)、HV−ECU300は、外部充電処理を禁止する(ステップS190)。一方、ステップS130の異常診断処理において異常が検出されなかったときは(ステップS140においてNO)、HV−ECU300は、充電リレーCHRの固着診断処理を実行する(ステップS150)。この処理の詳細については、後ほど説明する。なお、この固着診断処理では、リレーCHRB,CHRG個別にオン固着しているか否かが診断される。
【0077】
続いて、HV−ECU300は、固着診断の結果、リレーCHRB,CHRGのいずれかでオン固着が検出されたか否かを判定する(ステップS160)。そして、リレーCHRB,CHRGのいずれのオン固着が検出されたときは(ステップS160においてYES)、HV−ECU300は、ステップS190へ処理を移行し、外部充電処理を禁止する。一方、リレーCHRB,CHRGのオン固着が検出されなかったときは(ステップS160においてNO)、HV−ECU300は、リレーCHRB,CHRGをオンにする(ステップS170)。
【0078】
なお、ステップS120において積算時間が所定時間よりも短いと判定されたときも(ステップS120においてNO)、HV−ECU300は、ステップS170へ処理を移行し、リレーCHRB,CHRGをオンにする。そして、HV−ECU300は、充電装置200を起動して充電装置200による外部充電処理を開始する(ステップS180)。
【0079】
図9は、図8に示したフローチャートのステップS130により実行される異常診断処理のフローチャートである。図9を参照して、HV−ECU300は、電圧センサ220により検出される電圧VCHGがしきい値α(図5)よりも高いか否かを判定する(ステップS210)。電圧VCHGがしきい値αよりも高いと判定されると(ステップS210においてYES)、HV−ECU300は、電圧センサ112により検出される電圧VBと電圧VCHGとの差の絶対値がしきい値β(図5)よりも大きいか否かを判定する(ステップS220)。
【0080】
そして、電圧VBと電圧VCHGとの差の絶対値がしきい値βよりも大きいと判定されると(ステップS220においてYES)、HV−ECU300は、電圧センサ220の出力が異常であると判断し、その旨のアラームを出力して利用者に異常の発生を報知する(ステップS230)。一方、ステップS220において、電圧VBと電圧VCHGとの差の絶対値がしきい値β以下であると判定されたときは(ステップS220においてNO)、HV−ECU300は、リレーCHRB,CHRGの双方がオン固着していると判断し、その旨のアラームを出力して利用者に異常の発生を報知する(ステップS240)。
【0081】
なお、ステップS210において、電圧VCHGがしきい値α以下であると判定されたときは(ステップS210においてNO)、HV−ECU300は、電圧センサ220は正常であり、かつ、リレーCHRB,CHRG双方のオン固着もないものと判断し、図8に示される処理ルーチンへ処理を返す。
【0082】
図10は、図8に示したフローチャートのステップS150により実行される充電リレーCHRの固着診断処理のフローチャートである。図10を参照して、HV−ECU300は、まず、リレーCHRBをオンにするための制御信号SE2を充電リレーCHRへ出力する(ステップS310)。
【0083】
次いで、HV−ECU300は、電圧センサ220により検出される電圧VCHGがしきい値γ(図3,4)よりも高いか否かを判定する(ステップS320)。なお、このしきい値γは、上記のしきい値αよりも大きい値であり、電圧VBに基づいて決定される。そして、電圧VCHGがしきい値γよりも高いと判定されると(ステップS320においてYES)、HV−ECU300は、リレーCHRGがオン固着しているものと判断し、その旨のアラームを出力して利用者に異常の発生を報知する(ステップS330)。
【0084】
一方、ステップS320において電圧VCHGがしきい値γ以下であると判定されると(ステップS320においてNO)、HV−ECU300は、リレーCHRBをオフにするための制御信号SE2を充電リレーCHRへ出力する(ステップS340)。次いで、HV−ECU300は、リレーCHRGをオンにするための制御信号SE2を充電リレーCHRへ出力する(ステップS350)。
【0085】
そして、HV−ECU300は、電圧VCHGがしきい値γよりも高いか否かを再び判定する(ステップS360)。電圧VCHGがしきい値γよりも高いと判定されると(ステップS360においてYES)、HV−ECU300は、リレーCHRBがオン固着しているものと判断し、その旨のアラームを出力して利用者に異常の発生を報知する(ステップS370)。一方、電圧VCHGがしきい値γ以下であると判定されたときは(ステップS360においてNO)、HV−ECU300は、リレーCHRB,CHRGから成る充電リレーCHRは正常であると判断する(ステップS380)。
【0086】
以上のように、この実施の形態においては、充電リレーCHRのオン状態が所定時間以上継続しているときは、充電システムのコンデンサC3が放電されているものとして、充電装置200による蓄電装置111の充電開始前に電圧センサ220の異常診断が実行される。一方、充電リレーCHRのオン状態が所定時間継続していない場合は、電圧センサ220により検出される電圧VCHGが非零を示したときに、その電圧が、コンデンサC3の放電が未完了であることによるものか、電圧センサ220の異常によるものか、を判断することができないので、異常診断を実行することなく充電装置200による蓄電装置111の充電が開始される。このような構成とすることにより、走行中に充電システムを起動して異常診断を実施する必要がなくなる。
【0087】
また、この実施の形態においては、充電リレーCHRのオン状態が所定時間以上継続しているときは、充電装置200による蓄電装置111の充電開始前に、電圧センサ220の異常診断とともに、充電リレーCHRがオン固着しているか否かの異常診断も実行される。充電リレーCHRのオン状態が所定時間継続していない場合は、電圧センサ220により検出される電圧VCHGが非零を示したときに、その電圧が、コンデンサC3の放電が未完了であることによるものか、電圧センサ220の異常によるものか、あるいは充電リレーCHRのオン固着によるものか、を判断することができないので、異常診断を実行することなく充電装置200による蓄電装置111の充電が開始される。
【0088】
このように、この実施の形態においては、走行中に充電システムを起動して異常診断を実施する必要がなくなる。したがって、この実施の形態によれば、電費悪化や充電システムの耐久性劣化を抑制しつつ充電システムの異常診断を実施することができる。
【0089】
なお、上記の実施の形態においては、充電システムは、システムメインリレーSMRとPCU120との間の電力線PL1,NL1に接続されるものとしたが、システムメインリレーSMRと蓄電装置111との間に充電リレーCHRを介して充電システムを接続してもよい。なお、この場合は、充電リレーCHRが閉成されれば、システムメインリレーSMRの状態に拘わらず充電システムが蓄電装置111に電気的に接続されるので、図7に示したステップS30の処理や図8に示したステップS110の処理は不要になる。
【0090】
なお、上記において、充電リレーCHRは、この発明における「リレー」の一実施例に対応し、電圧センサ220は、この発明における「電圧センサ」の一実施例に対応する。また、HV−ECU300は、この発明における「制御装置」の一実施例に対応し、インレット210は、この発明における「受電部」の一実施例に対応する。さらに、コンデンサC3は、この発明における「充電部」の一実施例に対応する。
【0091】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
100 車両、110 電池パック、111 蓄電装置、112,115,124,220 電圧センサ、120 PCU、121 コンバータ、122,123 インバータ、125 DC/DCコンバータ、126 MG−ECU、130,131 モータジェネレータ、140 動力伝達ギヤ、150 駆動輪、160 補機バッテリ、170 補機負荷、200 充電装置、210 インレット、300 HV−ECU、310 走行制御部、320 充電リレー監視部、330 外部充電起動制御部、340 外部充電制御部、350 電源ECU、400 充電ケーブル、410 コネクタ、420 プラグ、500 外部電源、510 コンセント、SMR システムメインリレー、SMRB,SMRG,SMRP,CHRB,CHRG リレー、CHR 充電リレー、PL1,NL1,PL2,NL2,HPL,PL3,ACL1,ACL2 電力線、R1,R2 抵抗、C1〜C3 コンデンサ、D1 ダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再充電可能な蓄電装置と、
車両外部の電源によって前記蓄電装置を充電するための充電装置と、
前記充電装置と前記蓄電装置との間の電路に設けられるリレーと、
前記充電装置と前記リレーとの間の電路の電圧を検出するための電圧センサと、
前記充電装置による前記蓄電装置の充電を制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記リレーの開状態が所定時間以上継続しているときは、前記充電装置による前記蓄電装置の充電開始前に前記電圧センサの異常診断を実行し、前記リレーの開状態が前記所定時間継続していないときは、前記異常診断を実行することなく前記充電装置による前記蓄電装置の充電を開始する、車両。
【請求項2】
前記電源に接続される受電部と、
前記受電部と前記リレーとの間の電路に設けられる充電部とをさらに備え、
前記所定時間は、前記充電部に蓄えられた電荷が前記リレーの開状態時に放電するのに要する時間に基づいて決定される、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記制御装置は、前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1のしきい値よりも高い場合に前記蓄電装置の電圧と前記検出電圧との電圧差の絶対値が予め定められた第2のしきい値よりも大きいとき、前記電圧センサを異常であると診断する、請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御装置は、前記リレーの開状態が前記所定時間以上継続しているときは、前記リレーが閉状態に固着しているか否かの異常診断を前記充電開始前にさらに実行し、前記リレーの開状態が前記所定時間継続していないときは、前記電圧センサおよび前記リレーの異常診断を実行することなく前記充電装置による前記蓄電装置の充電を開始する、請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項5】
前記制御装置は、前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1のしきい値よりも高い場合に前記蓄電装置の電圧と前記検出電圧との電圧差の絶対値が予め定められた第2のしきい値よりも大きいとき、前記電圧センサを異常であると診断し、前記電圧センサの検出電圧が前記第1のしきい値よりも高い場合に前記電圧差の絶対値が前記第2のしきい値以下であるとき、前記リレーが閉状態に固着しているものと診断する、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
車両の制御方法であって、
前記車両は、
再充電可能な蓄電装置と、
車両外部の電源によって前記蓄電装置を充電するための充電装置と、
前記充電装置と前記蓄電装置との間の電路に設けられるリレーと、
前記充電装置と前記リレーとの間の電路の電圧を検出するための電圧センサとを備え、
前記制御方法は、
前記リレーの閉状態の継続時間を計時するステップと、
前記リレーの閉状態が所定時間以上継続しているとき、前記充電装置による前記蓄電装置の充電開始前に前記電圧センサの異常診断を実行するステップと、
前記リレーの閉状態が前記所定時間継続していないとき、前記異常診断を実行することなく前記充電装置による前記蓄電装置の充電を開始するステップとを含む、車両の制御方法。
【請求項7】
前記車両は、
前記電源に接続される受電部と、
前記受電部と前記リレーとの間の電路に設けられる充電部とをさらに備え、
前記所定時間は、前記充電部に蓄えられた電荷が前記リレーの開状態時に放電するのに要する時間に基づいて決定される、請求項6に記載の車両の制御方法。
【請求項8】
前記リレーの開状態が前記所定時間以上継続しているとき、前記リレーが閉状態に固着しているか否かの異常診断を前記充電開始前に実行するステップをさらに含み、
前記リレーの開状態が前記所定時間継続していないとき、前記電圧センサおよび前記リレーの異常診断を実行することなく、前記蓄電装置の充電を開始するステップにおいて前記蓄電装置の充電が開始される、請求項6または請求項7に記載の車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−170286(P2012−170286A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30871(P2011−30871)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】