車両の前部構造
【課題】車両の前部構造において、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性を高くして、衝撃吸収性能と共に衝突安全性を向上させること、等である。
【解決手段】バンパレインフォースメント23の後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレーム22に架着された中間クロスメンバ25を備え、バンパレインフォースメント23のうち1対のフロントサイドフレーム22との連結部23aの間の車幅方向中間部23cが、中間クロスメンバ25に連結されている。
【解決手段】バンパレインフォースメント23の後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレーム22に架着された中間クロスメンバ25を備え、バンパレインフォースメント23のうち1対のフロントサイドフレーム22との連結部23aの間の車幅方向中間部23cが、中間クロスメンバ25に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の前部構造に関し、特に、バンパレインフォースメントの車幅方向中間部をバンパレインフォースメントの後側の中間クロスメンバに連結したものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両の前部構造では、車室の前端が(車室とエンジンルームとが)ダッシュパネルで仕切られ、このダッシュパネルから左右1対のフロントサイドフレームが前方へ延び、1対のフロントサイドフレームの前端側に車幅方向に長いバンパレインフォースメント(以下、バンパレインという)が架着され、このバンパレインが車両の前外装面を形成するバンパ部材で覆われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
バンパレインは、全体的に多少前方凸に湾曲しているものが多いが、こうしたものを含めて、基本的に、車幅方向に略ストレートに延びるように形成されている。また、1対のフロントサイドフレームの前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカンが取付けられ、この1対のクラッシュカンにバンパレインが連結されたものが公知である。
【0004】
ここで、本願出願人は、ダッシュパネル(ダッシュロアパネル)の車幅方向中央部分に後方へ凹む凹部を形成し、この凹部にエンジンの後端部が収容されて、エンジンが前輪の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジンをエンジンルームに後方配置した車両を実用化している(特許文献1〜3等参照)。
【0005】
特許文献1,3の車両の前部構造では、バンパレインの後側において車幅方向に延びる中間クロスメンバが1対のフロントサイドフレームに架着され、特許文献1の構造では、バンパレインの後方にラジエータが前傾姿勢で配設され、中間クロスメンバの上側にバッテリが配設され、特許文献3の構造では、バンパレインと中間クロスメンバとの間にフロントトランクボックスが配設されている。特許文献2,3の車両の前部構造では、バンパレインから後方へ比較的離隔した位置でエンジンの直ぐ前側にラジエータが鉛直姿勢で配設され、エンジンの前方且つラジエータの上側にエアクリーナが配設されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−326981号公報
【特許文献2】特開2005−28911号公報
【特許文献3】特開2005−29057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の車両の前部構造では、バンパレインは1対のフロントサイドフレームの前端側に連結され、車両衝突時、バンパレインに入力された衝突荷重は、主に1対のフロントサイドフレームにその前端側からのみ伝達されるため、バンパレインからの衝突荷重の分散性が低く、故に、バンパレインの1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が不適切に折曲がる等して損傷する虞もあり、1対のフロントサイドフレームの前端部に1対のクラッシュカンを取付け、この1対のクラッシュカンにバンパレインを連結しても、衝撃吸収性能と共に衝突安全性を向上させるに限界がある。
【0008】
更に、従来の車両の前部構造では、バンパレインが車幅方向に略ストレートに延びるように形成されているため、バンパレインの1対のフロントサイドフレームとの連結部の位置を後退させるのに限界があることから、重量物であるバンパレインの重心位置を後退させること、フロントオーバーハングを短縮すること、車両のヨー慣性モーメントを低減すること、車両の操縦安定性(ハンドリング性能)を向上させること、等に限界がある。
【0009】
エンジンが前輪の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジンをエンジンルームに後方配置した車両では、ヨー慣性モーメントの低減、操縦安定性の向上を実現しているが、こうした改善を更に図りたいという要望があるが、上記課題が障害となる。
【0010】
また、従来の車両の前部構造では、バンパレインが車幅方向に略ストレートに延びるように形成され、バンパレインの1対のフロントサイドフレームとの連結部の位置を後退させるのに限界があることから、エンジンルームに前後方向のデッドスペースが大きくなる場合があり、こうした問題は、特に、エンジンが前輪の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジンをエンジンルームに後方配置した場合に顕著になり、また、車両の前外装面を形成するバンパ部材の形状を含むデザインの自由度が小さいという問題もある。
【0011】
本発明の目的は、車両の前部構造において、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性を高くして、衝撃吸収性能と共に衝突安全性を向上させること、更に、重量物であるバンパレインフォースメントの重心位置を後退させること、フロントオーバーハングを部分的に短縮すること、車両のヨー慣性モーメントを低減すること、車両の操縦安定性(ハンドリング性能)を向上させること、エンジンルームの前後方向のデッドスペースを縮小すること、車両の前外装面を形成するバンパ部材の形状を含むデザインの自由度を向上させること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の車両の前部構造は、車室の前端を仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから前方へ延びる左右1対のフロントサイドフレームと、1対のフロントサイドフレームの前端側に架着された車幅方向に長いバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを覆うバンパ部材とを備えた車両の前部構造であって、前記バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレームに架着された中間クロスメンバを備え、前記バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が、中間クロスメンバに連結されたことを特徴とする。
【0013】
この車両の前部構造では、左右1対のフロントサイドフレームの前端側に車幅方向に長いバンパレインフォースメントが架着され、バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びる中間クロスメンバが1対のフロントサイドフレームに架着され、バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が中間クロスメンバに連結されているため、車両衝突時、バンパレインフォースメントに入力された衝突荷重は、1対のフロントサイドフレームにその前端側から伝達されるとともに、中間クロスメンバに伝達され中間クロスメンバから1対のバンパレインフォースメントの長さ方向途中部に伝達され、故に、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性が高くなる。
【0014】
請求項1の従属請求項として次の構成を採用可能である。
前記車幅方向中間部と中間クロスメンバとが、衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカンを介して連結される(請求項2)。前記バンパレインフォースメントは、前記車幅方向中間部に、フロントサイドフレームの前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部を有し、前記中間後退部が中間クロスメンバに連結される(請求項3)。
【0015】
前記バンパ部材は、前記中間後退部に沿って後退させたバンパ部材中間後退部を有する(請求項4)。前記中間クロスメンバと1対のフロントサイドフレームのうち中間クロスメンバよりも後方に位置する部分とを連結する左右1対の中間クロス連結部材であって、夫々が後方程車幅方向外方へ移行する傾斜状に配設された左右1対の中間クロス連結部材を備える(請求項5)。
【0016】
前記1対のフロントサイドフレームの前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカンが取付けられ、この1対のクラッシュカンにバンパレインフォースメントが連結される(請求項6)。前記ダッシュパネルの前方且つ1対のフロントサイドフレームの間にパワートレインが配設される(請求項7)。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の車両の前部構造によれば、バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレームに架着された中間クロスメンバを備え、バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部を中間クロスメンバに連結したので、この中間クロスメンバにより、車両の車体捩じれ剛性を高めるとともに、車両衝突時、バンパレインフォースメントに入力された衝突荷重は、1対のフロントサイドフレームにその前端側から伝達されるとともに、中間クロスメンバに伝達され中間クロスメンバから1対のフロントサイドフレームの長さ方向途中部に伝達され、故に、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性を高くして、バンパレインフォースメントの車幅方向中間部が不適切に折曲がる等して損傷することを防止し、衝撃吸収性能と共に衝突安全性を向上させることができ、また、中間クロスメンバを種々の車両装備品を連結支持するために有効利用することもできる。
【0018】
請求項2の車両の前部構造によれば、バンパレインフォースメントの車幅方向中間部と中間クロスメンバとを、衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカンを介して連結したので、衝撃吸収性能と共に衝突安全性が一層向上する。
【0019】
請求項3の車両の前部構造によれば、バンパレインフォースメントは、その車幅方向中間部に、フロントサイドフレームの前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部を有するので、バンパレインフォースメントのフロントサイドフレームとの連結部の位置を後退させるのに限界があっても、重量物であるバンパレインフォースメントの重心位置を後退させて、車幅方向中央部分におけるフロントオーバーハングを短縮でき、車両のヨー慣性モーメントを低減でき、車両の操縦安定性(ハンドリング性能)を向上させることができ、エンジンルームの前後方向のデッドスペースを縮小でき、車両の前外装面を形成するバンパ部材の形状を含むデザインの自由度を向上させることができ、そして、このバンパレインフォースメントの中間後退部を中間クロスメンバに連結したので、中間クロスメンバを前方へ寄せ過ぎないように適切に配置して、バンパレインフォースメントと中間クロスメンバとを確実に連結し、バンパレインフォースメントを安定的に連結支持して、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性を高くすることができる。
【0020】
請求項4の車両の前部構造によれば、バンパ部材は、バンパレインフォースメントの中間後退部に沿って後退させたバンパ部材中間後退部を有するので、バンパ部材の車幅方向中央部分を後方へ凹ませて、バンパ部材のデザイン性を高めることができる。
【0021】
請求項5の車両の前部構造によれば、中間クロスメンバと1対のフロントサイドフレームのうち中間クロスメンバよりも後方に位置する部分とを連結する左右1対の中間クロス連結部材であって、夫々が後方程車幅方向外方へ移行する傾斜状に配設された左右1対の中間クロス連結部材を備えたので、この1対の中間クロス連結部材により、車両の車体捩じれ剛性を一層高めるとともに、車両衝突時、中間クロスメンバと1対の中間クロス連結部材がバンパレインフォースメントから受ける衝突荷重を1対のフロントサイドフレームに分散させて伝達でき、故に、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性を一層高くすることができ、特に、オフセット衝突時でも、斜め前方から入力される衝突荷重を、その衝突荷重の入力方向に近い方向に延びる一方の中間クロス連結部材で確実に受け止めてフロントサイドフレームに伝達することができ、また、1対の中間クロス連結部材を種々の車両装備品を連結支持するために有効利用することもできる。
【0022】
請求項6の車両の前部構造によれば、1対のフロントサイドフレームの前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカンを取付け、この1対のクラッシュカンにバンパレインフォースメントを連結したので、衝撃吸収性能と共に衝突安全性が一層向上する。
【0023】
請求項7の車両の前部構造によれば、ダッシュパネルの前方且つ1対のフロントサイドフレームの間にパワートレインを配設したので、パワートレインの低重心化を図って、車両の操縦安定性を更に向上させ、また、エンジンが前輪の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジンをエンジンルームに後方配置する場合に有利になり、こうして、ヨー慣性モーメントの低減、操縦安定性の向上を一層図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の車両の前部構造は、車室の前端を仕切るダッシュパネル、ダッシュパネルから前方へ延びる左右1対のフロントサイドフレーム、1対のフロントサイドフレームの前端側に架着された車幅方向に長いバンパレインフォースメント、バンパレインフォースメントを覆うバンパ部材、バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレームに架着された中間クロスメンバを備え、バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が中間クロスメンバに連結されている。
【実施例】
【0025】
図1〜図4に示すように、車両1(自動車1)は、左右1対の前輪2、左右1対の後輪3を備え、車両1の前部のエンジンルーム4にエンジン5を搭載し、このエンジン5により後輪3を駆動するFR車である。
【0026】
車両1の前部構造20は、車室6の前端を(車室6とエンジンルーム4とを)仕切るダッシュパネル21、ダッシュパネル21から前方へ延びる左右1対のフロントサイドフレーム22、1対のフロントサイドフレーム22の前端側に架着された車幅方向に長いバンパレインフォースメント23(以下、バンパレイン23という)、バンパレイン23を覆うバンパ部材24、バンパレイン23の後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレーム22に架着された中間クロスメンバ25を備えている。
【0027】
ダッシュパネル21の下端部には、車室6のフロアを形成するフロアパネル7の前端部が結合され、フロアパネル7の車幅方向両端部に左右1対のサイドシル8が結合されている。1対のフロントサイドフレーム22の後端部分は、ダッシュパネル21の前面に沿って下方へ延び、ダッシュパネル21の下端部において、フロアパネル7の下面に結合されて前後方向へ延びる左右1対のフロアフレーム9の前端部に結合されている。
【0028】
車室6には、ダッシュボード10、ステアリングホイール11、左右1対の前席12、左右1対の後席13等が配設され、車室6の少なくとも前席12の外側方がサイドドア14(図4参照)により開閉される。尚、図4の符号15は左右1対のヘッドランプ、図4の符号16は左右1対のサイドミラーである。
【0029】
車両1の前部構造20について詳しく説明する。
エンジンルーム4は、ダッシュパネル21、ダッシュパネル21に結合された左右1対のフロントエプロン部材30、バンパ部材24等で囲まれた部分に形成され、ボンネット31により開閉される。ボンネット31は、その後端部がダッシュパネル21の上端側のカウル部材(図示略)にヒンジ結合され、その後端部を中心に上下に回動され開閉する。
【0030】
1対のフロントサイドフレーム22の前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカン26が取付けられ、また、中間クロスメンバ25の車幅方向中央部の前端部に衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカン27が取付けられ、これらクラッシュカン26,27にバンパレイン23が連結されている。
【0031】
バンパレイン23は、1対のフロントサイドフレーム22との(1対のフロントサイドフレーム22と連結される)連結部23aを有するとともに1対のフロントサイドフレーム22の前側に位置する左右1対のフレーム前側部23b、1対の連結部23a(フレーム前側部23b)の間の車幅方向中間部23c、1対の連結部23a(フレーム前側部23b)よりも車幅方向外側の左右1対の車幅方向外側部23dを有する。
【0032】
1対のフレーム前側部23bは、バンパレイン23の最前端部分であり、例えば、その前端面が前方へ向くように形成されている。車幅方向中間部23cは、全体的に連結部23aよりも後退するように形成され、フロントサイドフレーム22の前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部23eを有する。
【0033】
車幅方向中間部23cは、1対のフレーム前側部23bから夫々車幅方向内方且つ後方へ略ストレートに延びる左右の傾斜部を、車幅方向中央部で繋いで平面視にて前方開のV字形状に形成され、この繋ぎ部とその近傍部が中間後退部23eとなり、この中間後退部23eから後方へ少し隔てて中間クロスメンバ25が配置されて、中間後退部23eと中間クロスメンバ25とが中間クラッシュカン27を介して連結されている。
【0034】
1対の車幅方向外側部23dは、連結部23aよりも後方に位置するように後退させた外側後退部23fを有する。1対の車幅方向外側部23dは、1対のフレーム前側部23bから夫々車幅方向外方且つ後方へ略ストレートに延びる左右の傾斜部からなる。
【0035】
以上のように、バンパレイン23は、1対のフレーム前側部23b、車幅方向中間部23c、1対の車幅方向外側部23dにより平面視にて車幅方向へ引き延ばしたようなM字形状に形成されている。尚、バンパレイン23は、例えば、ハイドロフォーム成形により、或いは、2部材を結合して、閉断面構造に構成されている。尚、バンパレイン23として、断面コ字状の開断面構造のバンパレインを採用してもよい。
【0036】
バンパ部材24は、1対のフロントエプロン部材30及びボンネット31から略連続するように前方へ延びて車両1の前外装面を形成し、このバンパ部材24のうちバンパレイン23の前側に位置する部分は、全体的にバンパレイン23に沿った形状に形成されている。尚、バンパレイン23とバンパ部材24との間に、ウレタンフォーム等で構成された緩衝部材をバンパレイン23に取付けて設けてもよい。
【0037】
即ち、バンパ部材24は、1対のフレーム前側部23b、車幅方向中間部23c、1対の車幅方向外側部23dに夫々対応する、1対のバンパ部材フレーム前側部24b、バンパ部材車幅方向中間部24c、1対のバンパ部材車幅方向外側部24dを有し、バンパ部材車幅方向中間部24cは、中間後退部23eに対応する、即ち、中間後退部23eに沿って後退させたバンパ部材中間後退部24eを有する。
【0038】
中間クロスメンバ25は角筒状の閉断面構造に構成され、その車幅方向両端部は1対のフロントサイドフレーム22に溶接され、中間クラッシュカン27は中間クロスメンバ25にボルト結合されている。尚、前記溶接やボルト結合の構造について、適宜、中間クロスメンバ25、中間クラッシュカン27にフランジを設けて利用してもよい。尚、中間クロスメンバ25として、帯板状の又は開断面構造の中間クロスメンバを採用してもよい。
【0039】
パワートレインであるエンジン5は、エンジンルーム4において、ダッシュパネル21の前方且つ中間クロスメンバ25の後方且つ1対のフロントサイドフレーム22の間に、その大部分がフロントサイドフレーム22の上端よりも下方位置となるように配設されている。ダッシュパネル21の車幅方向中央部分に後方へ凹む凹部21aが形成され、この凹部21aにエンジン5の後端部が収容されて、エンジン5が前輪2の車軸位置よりも後方に位置するようにエンジンルーム4に後方配置されている。
【0040】
エンジン5の駆動力は、トランスミッション40、プロペラシャフト41、差動装置42、左右1対の後輪車軸43を介して1対の後輪3に伝達され、トランスミッション40、プロペラシャフト41等は、フロアパネル7の車幅方向中央部に形成された上方凸のトンネル部(図示略)の内部(下面側)に配設されている。
【0041】
エンジンルーム4の下端側には、フロントサスペンション(図示略)を支持するサスペンションクロスメンバ45、前輪2を操舵する為のパワーステアリング装置46、ラジエータとクーリングファンを有するクーリングユニット47が配設されている。
【0042】
クーリングユニット47は、1対のフロントサイドフレーム22間の距離と略同じ車幅方向幅を有し、フロントサイドフレーム22よりも下方位置であって、バンパレイン23の中間後退部23e及び中間クロスメンバ25の下側において、サスペンションクロスメンバ45、パワーステアリング装置46と干渉しないように後傾姿勢で配置されている。
【0043】
図4に示すように、バンパ部材24には、少なくともクーリングユニット47のラジエータを冷却するために、走行風を導入するエア導入口24fが形成されて、このエア導入口24fにバンパグリル24gが装着され、エア導入口24fからクーリングユニット47に走行風を導くエアダクトを配設してもよい。尚、エンジンルーム4には、図示略のオイルクーラ、エアクリーナ、バッテリ等の車両装備品が所定の配置で配設される。
【0044】
以上説明した車両1の前部構造20によれば次の効果を奏する。
バンパレイン23の後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレーム22に架着された中間クロスメンバ25を備え、バンパレイン23のうち1対のフロントサイドフレーム22との連結部23aの間の車幅方向中間部23cを中間クロスメンバ25に連結したので、この中間クロスメンバ25により、車両1の車体捩じれ剛性を高めるとともに、車両衝突時、バンパレイン23に入力された衝突荷重は、1対のフロントサイドフレーム22にその前端側から伝達されるとともに、中間クロスメンバ25に伝達され中間クロスメンバ25から1対のフロントサイドフレーム22の長さ方向途中部に伝達され、故に、バンパレイン23からの衝突荷重の分散性を高くして、バンパレイン23の車幅方向中間部23cが不適切に折曲がる等して損傷することを防止し、衝撃吸収性能と共に衝突安全性を向上させることができ、また、中間クロスメンバ25を種々の車両装備品を連結支持するために有効利用することもできる。
【0045】
しかも、バンパレイン23の車幅方向中間部23cと中間クロスメンバ25とを、衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカン27を介して連結したので、また、1対のフロントサイドフレーム22の前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカン26を取付け、この1対のクラッシュカン26にバンパレイン23を連結したので、衝撃吸収性能と共に衝突安全性が一層向上する。
【0046】
更に、バンパレイン23は、1対のフロントサイドフレーム22との連結部23aの間に、連結部23aよりも後退させるように形成された車幅方向中間部23cを有し、更に、この車幅方向中間部23cに、フロントサイドフレーム22の前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部23eを有する。
【0047】
従って、連結部23aの位置を後退させるのに限界があっても、重量物であるバンパレイン23の重心位置を後退させて、車幅方向中央部分におけるフロントオーバーハングを短縮でき、故に、車両1のヨー慣性モーメントを低減でき、車両1の操縦安定性(ハンドリング性能)を向上させることができ、また、エンジンルーム4の前後方向のデッドスペースを縮小でき、車両1の前外装面を形成するバンパ部材24の形状を含むデザインの自由度を向上させることができる。
【0048】
特に、この車両1では、エンジン5が前輪2の車軸位置よりも後方に位置するように且つ低重心にてエンジンルーム4に後方配置されることで、ヨー慣性モーメントの低減、操縦安定性の向上を実現しているが、バンパレイン23に中間後退部23eを設けたことで、こうした改善を更に図ることができ、また、エンジン5の前記後方配置により、従来のバンパレインでは、エンジンルーム4に前後方向のデッドスペースが大きくなり易いが、このデッドスペースを確実に縮小しつつ、上記効果を発揮できる。
【0049】
バンパレイン23は、連結部23aよりも車幅方向外側部23dに、連結部23aよりも後方に位置するように後退させた外側後退部23fを有するので、バンパレイン23の重心位置を一層後退させて、車幅方向両端部分におけるフロントオーバーハングを短縮でき、車両1のヨー慣性モーメントの低減、車両1の操縦安定性の向上、バンパ部材24のデザインの自由度の向上を更に図ることができる。
【0050】
バンパレイン23の最前端部分であるフレーム前側部23bに連結部21aを有するので、連結部21aの位置を従来の位置よりも後退させずに、バンパレイン23の重心位置を後退させて、フロントオーバーハングを部分的に短縮でき、また、衝突発生時には、バンパレイン23のフレーム前側部23bから衝突加重が入力されることが多く、故に、クラッシュカン26の機能を確実に発揮させて衝突安全性を向上させることができる。
【0051】
バンパ部材24は、バンパレイン23の中間後退部23eに沿って後退させたバンパ部材中間後退部24eを有するので、バンパ部材24の車幅方向中央部分を後方へ凹ませて、バンパ部材24のデザイン性を高めることができる。
【0052】
ダッシュパネル21の前方且つ1対のフロントサイドフレーム22の間にパワートレインであるエンジン5を配設したので、エンジン5の低重心化を図って、車両1の操縦安定性を更に向上させ、また、エンジン5が前輪2の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジン5をエンジンルーム4に後方配置する場合に有利になり、こうして、ヨー慣性モーメントの低減、操縦安定性の向上等を一層図ることが可能になる。
【0053】
尚、中間クラッシュカン27を省略し、バンパレイン23の車幅方向中間部23cを中間クラッシュカン27を介さずに中間クロスメンバ25に連結してもよい。この場合、何らかの連結部材を介して中間クロスメンバ25に連結してもよい。こうした構成については、以下説明する変形例の車両の前部構造にも採用可能である。
【0054】
次に、前記メイン実施例の構成を部分的に変更した車両の前部構造について説明する。但し、前記メイン実施例と同一又は類似する構成については、同一符号又は類似符号を付して説明して、適宜、詳細な説明を省略し、前記メイン実施例と基本的に同じ効果については説明を省略する。
【0055】
1]図5、図6に示すように、変形例1の車両の前部構造20Aは、中間クロスメンバ25Aと1対のフロントサイドフレーム22のうち中間クロスメンバ25Aよりも後方に位置する部分とを連結する左右1対の中間クロス連結部材28であって、夫々が後方程車幅方向外方へ移行する傾斜状に配設された左右1対の中間クロス連結部材28を備えている。
【0056】
1対の中間クロス連結部材28を設ける関係で、中間クロスメンバ25Aが前記中間クロスメンバ25よりも多少前側に配置され、中間クラッシュカン27Aが前記中間クラッシュカン27よりも多少短く形成されている。但し、前記中間クロスメンバ25及び中間クラッシュカン27と全く同様のものを採用してもよい。
【0057】
1対の中間クロス連結部材28の前端部は、中間クロスメンバ25Aの車幅方向中央部分に車幅方向に隣接状に結合され、1対の中間クロス連結部材28の後端部は、エンジン5と前後方向にオーバーラップし、エンジン5は、ダッシュパネル21、1対のフロントサイドフレーム22、1対の中間クロス連結部材28で囲まれた部分に配設されている。
【0058】
この車両の前部構造20Aによれば、1対の中間クロス連結部材28により、車両の車体捩じれ剛性を一層高めるとともに、車両衝突時、中間クロスメンバ25Aと1対の中間クロス連結部材28がバンパレイン23から受ける衝突荷重を1対のフロントサイドフレーム22に分散させて伝達でき、故に、バンパレイン23からの衝突荷重の分散性を一層高くすることができ、特に、オフセット衝突時でも、斜め前方から入力される衝突荷重を、その衝突荷重の入力方向に近い方向に延びる一方の中間クロス連結部材28で確実に受け止めてフロントサイドフレーム22に伝達することができ、また、1対の中間クロス連結部材28を種々の車両装備品を連結支持するために有効利用することもできる。
【0059】
尚、以下の変形例の車両の前部構造では、変形例1のような1対の中間クロス連結部材28を設けていないが、同様の1対の中間クロス連結部材を設けてもよい。
【0060】
2]図7に示す変形例2の車両の前部構造20Bでは、バンパレイン23Bにおいて、車幅方向中間部23Bcが、フロントサイドフレーム22の前端部よりも前方に位置するように、平面視にて前方開の凹形形状に形成され、この車幅方向中間部23Bcが左右1対の中間クラッシュカン27Bを介して中間クロスメンバ25Bに連結されている。尚、中間クラッシュカン27Bを1つとして車幅方向中央部に配設してもよい。
【0061】
3]図8に示す変形例3の車両の前部構造20Cでは、バンパレイン23Cが、全体的に多少前方凸に湾曲するように、車幅方向に略ストレートに延び、このバンパレイン23Cの車幅方向中間部23Ccが、中間クラッシュカン27Cを介して中間クロスメンバ25Cに連結されている。
【0062】
4]図9、図10に示すように、変形例4の車両の前部構造20Dでは、バンパレイン23の中間後退部23eの後方近傍位置に、左右1対の車両補機であるオイルクーラ48が左右対称に配設されている。各オイルクーラ48は、フロントサイドフレーム22と中間クラッシュカン27との間の距離と略同じ車幅方向幅を有し、平面視にてフロントサイドフレーム22とバンパレイン23と中間クロスメンバ25とクラッシュカン26,27とで囲まれた部分に、鉛直姿勢で前面部が少し前方斜め内側に向くように配置されている。
【0063】
オイルクーラ48は、その上端部がフロントサイドフレーム22の主部と同高さ位置で、それよりも下方の大部分がフロントサイドフレーム22の主部の下端よりも下方位置に配置され、フロントサイドフレーム22やバンパレイン23等に連結支持されている。尚、エア導入口24fからオイルクーラ48に走行風を導くエアダクトを配設してもよい。
【0064】
クーリングユニット47Dは、フロントサイドフレーム22よりも下方位置であって、バンパレイン23の中間後退部23e及び中間クロスメンバ25の下側において、サスペンションクロスメンバ45、パワーステアリング装置46、オイルクーラ48と干渉しないように、オイルクーラ48の後方から下方に亙って後傾姿勢で配置されている。
【0065】
この車両の前部構造1Dによれば、バンパレイン23の中間後退部23eの後方近傍位置にオイルクーラ48を配設したので、中間後退部23eの後方近傍位置をオイルクーラ48の配置に有効利用しつつ、中間クロスメンバ25を配設できて、車幅方向中央部分におけるフロントオーバーハングを確実に短縮できる。
【0066】
5]図11に示す変形例5の車両の前部構造20Eでは、バンパレイン23Eにおいて、車幅方向中間部23Ecが、平面視にて前方開の凹形形状に形成されている。この車幅方向中間部23Ecにおいて中間後退部23Eeが占める割合が前記車両の前部構造20よりも大きくなる。尚、バンパ部材24において、車幅方向中間部23Bcの前側に位置する部分を、仮想線で示すように、車幅方向中間部23Ecに沿って後退させてもよい。
【0067】
6]図12に示す変形例6の車両の前部構造20Fでは、バンパレイン23Fにおいて、1対の車幅方向外側部23Fdが、夫々、1対のフレーム前側部23bから車幅方向外方へ略ストレートに延びるように形成されている。
【0068】
7]図13に示す変形例7の車両の前部構造20Gでは、前記1対のクラッシュカン26が省略され、その分、左右1対のフロントサイドフレーム22Gが前記フロントサイドフレーム22よりも前方に長く延びるように形成され、この1対のフロントサイドフレーム22Gの前端部にバンパレイン23が直接連結されている。
【0069】
8]図14に示す変形例8の車両の前部構造20Hでは、バンパレイン23Hにおいて、車幅方向中間部23Hcは、その車幅方向両端部23Hc1がフレーム前側部23Hbよりも前方へ少し張出し、この車幅方向両端部23Hc1の間において、車幅方向両端部23Hc1よりも後退するように形成されるとともに、中間後退部23Heを有する。
【0070】
9]図15に示す変形例9の車両の前部構造20Iでは、バンパ部材24Iにおいて、バンパ部材車幅方向中間部24Icが、前記バンパ部材中間後退部24eを省略し、バンパレイン23の車幅方向中間部23cの前側で緩やかに凹む形状に形成されている。
【0071】
10]図16に示す変形例10の車両の前部構造20Jでは、バンパ部材24Jにおいて、バンパ部材車幅方向中間部24Jcが、前記バンパ部材中間後退部24eを省略し、従来のバンパレインを採用した場合と同様に、全体的に多少前方凸に湾曲した形状に形成されている。
【0072】
11]図17、図18に示すように、変形例11の車両の前部構造20Kでは、バンパ部材24Kにおいて、バンパ部材車幅方向中間部24Kcが、図16の車両の前部構造20Jと同様に、前記バンパ部材中間後退部24eを省略し、従来のバンパレインを採用した場合と同様に、全体的に多少前方凸に湾曲した形状に形成されている。
【0073】
バンパ部材車幅方向中間部24Kcには、前記エア導入口24f及びバンパグリル24gと同様に、走行風を導入するエア導入口24Kfが形成されて、このエア導入口24Kfにバンパグリル24Kgが装着されるとともに、エア導入口24Kfの上側に、ダウンフォースを発生させる為の走行風を導入する上側エア導入口24Khが形成されて、この上側エア導入口24Khに上側バンパグリル24Kiが装着されている。
【0074】
上側エア導入口24Khは、バンパレイン23の車幅方向中間部23cの前側に位置し、この上側エア導入口24Khとボンネット31の前端側に形成されたエア排出口50とを繋ぐエア通路51が、車幅方向中間部23cの前側から上側を通るように設けられている。エア通路51の上側に断面翼形状のスポイラー52が設けられ、このスポイラー52が、車両走行時、周知の翼理論によりダウンフォースを発生させる。
【0075】
この車両の前部構造20Kによれば、バンパレイン23は、1対のフロントサイドフレーム22との連結部23aの間の車幅方向中間部23cが連結部23aよりも後退するように形成され、更に、この車幅方向中間部23cに、フロントサイドフレーム22の前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部23eを有することから、前記のように、上側エア導入口24Khを車幅方向中間部23cの前側に位置させて、エア通路51を車幅方向中間部23cの前側から上側を通るように設けることができ、故に、スポイラー52を、ダウンフォースをより発生させ得る形状に形成して設けることができる。
【0076】
12]メイン実施例の各構成と変形例1〜11の各構成とを可能であれば組合わせて、車両の前部構造を構成してもよい。
【0077】
13]その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の構成を付加して実施可能であり、また、本発明については、実施例に開示の車両に限らず、FF車等の種々の車両に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】車両の前部構造を含む要部平断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII −III 線断面図である。
【図4】車両の前方斜め上側からの斜視図である。
【図5】変形例1の前部構造の要部平断面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】変形例2の前部構造の要部平断面図である。
【図8】変形例3の前部構造の要部平断面図である。
【図9】変形例4の前部構造の要部平断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】変形例5の前部構造の要部平断面図である。
【図12】変形例6の前部構造の要部平断面図である。
【図13】変形例7の前部構造の要部平断面図である。
【図14】変形例8の前部構造の要部平断面図である。
【図15】変形例9の前部構造の要部平断面図である。
【図16】変形例10の前部構造の要部平断面図である。
【図17】変形例11の車両の前方斜め上側からの斜視図である。
【図18】変形例11の車両の前部構造を含む要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 車両
5 エンジン
6 車室
20,20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K 前部構造
21 ダッシュパネル
22,22G フロントサイドフレーム
23,23B,23C,23E,23F,23H バンパレインフォースメント(バンパレイン)
23a 連結部
23c,23Bc,23Cc,23Ec,23Hc 車幅方向中間部
23e,23Ee,23He 中間後退部
24,24I,24J,24K バンパ部材
24e バンパ部材中間後退部
25,25A,25B,25C 中間クロスメンバ
26 クラッシュカン
27,27A,27B,27C 中間クラッシュカン
28 中間クロス連結部材
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の前部構造に関し、特に、バンパレインフォースメントの車幅方向中間部をバンパレインフォースメントの後側の中間クロスメンバに連結したものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両の前部構造では、車室の前端が(車室とエンジンルームとが)ダッシュパネルで仕切られ、このダッシュパネルから左右1対のフロントサイドフレームが前方へ延び、1対のフロントサイドフレームの前端側に車幅方向に長いバンパレインフォースメント(以下、バンパレインという)が架着され、このバンパレインが車両の前外装面を形成するバンパ部材で覆われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
バンパレインは、全体的に多少前方凸に湾曲しているものが多いが、こうしたものを含めて、基本的に、車幅方向に略ストレートに延びるように形成されている。また、1対のフロントサイドフレームの前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカンが取付けられ、この1対のクラッシュカンにバンパレインが連結されたものが公知である。
【0004】
ここで、本願出願人は、ダッシュパネル(ダッシュロアパネル)の車幅方向中央部分に後方へ凹む凹部を形成し、この凹部にエンジンの後端部が収容されて、エンジンが前輪の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジンをエンジンルームに後方配置した車両を実用化している(特許文献1〜3等参照)。
【0005】
特許文献1,3の車両の前部構造では、バンパレインの後側において車幅方向に延びる中間クロスメンバが1対のフロントサイドフレームに架着され、特許文献1の構造では、バンパレインの後方にラジエータが前傾姿勢で配設され、中間クロスメンバの上側にバッテリが配設され、特許文献3の構造では、バンパレインと中間クロスメンバとの間にフロントトランクボックスが配設されている。特許文献2,3の車両の前部構造では、バンパレインから後方へ比較的離隔した位置でエンジンの直ぐ前側にラジエータが鉛直姿勢で配設され、エンジンの前方且つラジエータの上側にエアクリーナが配設されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−326981号公報
【特許文献2】特開2005−28911号公報
【特許文献3】特開2005−29057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の車両の前部構造では、バンパレインは1対のフロントサイドフレームの前端側に連結され、車両衝突時、バンパレインに入力された衝突荷重は、主に1対のフロントサイドフレームにその前端側からのみ伝達されるため、バンパレインからの衝突荷重の分散性が低く、故に、バンパレインの1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が不適切に折曲がる等して損傷する虞もあり、1対のフロントサイドフレームの前端部に1対のクラッシュカンを取付け、この1対のクラッシュカンにバンパレインを連結しても、衝撃吸収性能と共に衝突安全性を向上させるに限界がある。
【0008】
更に、従来の車両の前部構造では、バンパレインが車幅方向に略ストレートに延びるように形成されているため、バンパレインの1対のフロントサイドフレームとの連結部の位置を後退させるのに限界があることから、重量物であるバンパレインの重心位置を後退させること、フロントオーバーハングを短縮すること、車両のヨー慣性モーメントを低減すること、車両の操縦安定性(ハンドリング性能)を向上させること、等に限界がある。
【0009】
エンジンが前輪の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジンをエンジンルームに後方配置した車両では、ヨー慣性モーメントの低減、操縦安定性の向上を実現しているが、こうした改善を更に図りたいという要望があるが、上記課題が障害となる。
【0010】
また、従来の車両の前部構造では、バンパレインが車幅方向に略ストレートに延びるように形成され、バンパレインの1対のフロントサイドフレームとの連結部の位置を後退させるのに限界があることから、エンジンルームに前後方向のデッドスペースが大きくなる場合があり、こうした問題は、特に、エンジンが前輪の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジンをエンジンルームに後方配置した場合に顕著になり、また、車両の前外装面を形成するバンパ部材の形状を含むデザインの自由度が小さいという問題もある。
【0011】
本発明の目的は、車両の前部構造において、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性を高くして、衝撃吸収性能と共に衝突安全性を向上させること、更に、重量物であるバンパレインフォースメントの重心位置を後退させること、フロントオーバーハングを部分的に短縮すること、車両のヨー慣性モーメントを低減すること、車両の操縦安定性(ハンドリング性能)を向上させること、エンジンルームの前後方向のデッドスペースを縮小すること、車両の前外装面を形成するバンパ部材の形状を含むデザインの自由度を向上させること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の車両の前部構造は、車室の前端を仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから前方へ延びる左右1対のフロントサイドフレームと、1対のフロントサイドフレームの前端側に架着された車幅方向に長いバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを覆うバンパ部材とを備えた車両の前部構造であって、前記バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレームに架着された中間クロスメンバを備え、前記バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が、中間クロスメンバに連結されたことを特徴とする。
【0013】
この車両の前部構造では、左右1対のフロントサイドフレームの前端側に車幅方向に長いバンパレインフォースメントが架着され、バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びる中間クロスメンバが1対のフロントサイドフレームに架着され、バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が中間クロスメンバに連結されているため、車両衝突時、バンパレインフォースメントに入力された衝突荷重は、1対のフロントサイドフレームにその前端側から伝達されるとともに、中間クロスメンバに伝達され中間クロスメンバから1対のバンパレインフォースメントの長さ方向途中部に伝達され、故に、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性が高くなる。
【0014】
請求項1の従属請求項として次の構成を採用可能である。
前記車幅方向中間部と中間クロスメンバとが、衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカンを介して連結される(請求項2)。前記バンパレインフォースメントは、前記車幅方向中間部に、フロントサイドフレームの前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部を有し、前記中間後退部が中間クロスメンバに連結される(請求項3)。
【0015】
前記バンパ部材は、前記中間後退部に沿って後退させたバンパ部材中間後退部を有する(請求項4)。前記中間クロスメンバと1対のフロントサイドフレームのうち中間クロスメンバよりも後方に位置する部分とを連結する左右1対の中間クロス連結部材であって、夫々が後方程車幅方向外方へ移行する傾斜状に配設された左右1対の中間クロス連結部材を備える(請求項5)。
【0016】
前記1対のフロントサイドフレームの前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカンが取付けられ、この1対のクラッシュカンにバンパレインフォースメントが連結される(請求項6)。前記ダッシュパネルの前方且つ1対のフロントサイドフレームの間にパワートレインが配設される(請求項7)。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の車両の前部構造によれば、バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレームに架着された中間クロスメンバを備え、バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部を中間クロスメンバに連結したので、この中間クロスメンバにより、車両の車体捩じれ剛性を高めるとともに、車両衝突時、バンパレインフォースメントに入力された衝突荷重は、1対のフロントサイドフレームにその前端側から伝達されるとともに、中間クロスメンバに伝達され中間クロスメンバから1対のフロントサイドフレームの長さ方向途中部に伝達され、故に、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性を高くして、バンパレインフォースメントの車幅方向中間部が不適切に折曲がる等して損傷することを防止し、衝撃吸収性能と共に衝突安全性を向上させることができ、また、中間クロスメンバを種々の車両装備品を連結支持するために有効利用することもできる。
【0018】
請求項2の車両の前部構造によれば、バンパレインフォースメントの車幅方向中間部と中間クロスメンバとを、衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカンを介して連結したので、衝撃吸収性能と共に衝突安全性が一層向上する。
【0019】
請求項3の車両の前部構造によれば、バンパレインフォースメントは、その車幅方向中間部に、フロントサイドフレームの前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部を有するので、バンパレインフォースメントのフロントサイドフレームとの連結部の位置を後退させるのに限界があっても、重量物であるバンパレインフォースメントの重心位置を後退させて、車幅方向中央部分におけるフロントオーバーハングを短縮でき、車両のヨー慣性モーメントを低減でき、車両の操縦安定性(ハンドリング性能)を向上させることができ、エンジンルームの前後方向のデッドスペースを縮小でき、車両の前外装面を形成するバンパ部材の形状を含むデザインの自由度を向上させることができ、そして、このバンパレインフォースメントの中間後退部を中間クロスメンバに連結したので、中間クロスメンバを前方へ寄せ過ぎないように適切に配置して、バンパレインフォースメントと中間クロスメンバとを確実に連結し、バンパレインフォースメントを安定的に連結支持して、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性を高くすることができる。
【0020】
請求項4の車両の前部構造によれば、バンパ部材は、バンパレインフォースメントの中間後退部に沿って後退させたバンパ部材中間後退部を有するので、バンパ部材の車幅方向中央部分を後方へ凹ませて、バンパ部材のデザイン性を高めることができる。
【0021】
請求項5の車両の前部構造によれば、中間クロスメンバと1対のフロントサイドフレームのうち中間クロスメンバよりも後方に位置する部分とを連結する左右1対の中間クロス連結部材であって、夫々が後方程車幅方向外方へ移行する傾斜状に配設された左右1対の中間クロス連結部材を備えたので、この1対の中間クロス連結部材により、車両の車体捩じれ剛性を一層高めるとともに、車両衝突時、中間クロスメンバと1対の中間クロス連結部材がバンパレインフォースメントから受ける衝突荷重を1対のフロントサイドフレームに分散させて伝達でき、故に、バンパレインフォースメントからの衝突荷重の分散性を一層高くすることができ、特に、オフセット衝突時でも、斜め前方から入力される衝突荷重を、その衝突荷重の入力方向に近い方向に延びる一方の中間クロス連結部材で確実に受け止めてフロントサイドフレームに伝達することができ、また、1対の中間クロス連結部材を種々の車両装備品を連結支持するために有効利用することもできる。
【0022】
請求項6の車両の前部構造によれば、1対のフロントサイドフレームの前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカンを取付け、この1対のクラッシュカンにバンパレインフォースメントを連結したので、衝撃吸収性能と共に衝突安全性が一層向上する。
【0023】
請求項7の車両の前部構造によれば、ダッシュパネルの前方且つ1対のフロントサイドフレームの間にパワートレインを配設したので、パワートレインの低重心化を図って、車両の操縦安定性を更に向上させ、また、エンジンが前輪の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジンをエンジンルームに後方配置する場合に有利になり、こうして、ヨー慣性モーメントの低減、操縦安定性の向上を一層図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の車両の前部構造は、車室の前端を仕切るダッシュパネル、ダッシュパネルから前方へ延びる左右1対のフロントサイドフレーム、1対のフロントサイドフレームの前端側に架着された車幅方向に長いバンパレインフォースメント、バンパレインフォースメントを覆うバンパ部材、バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレームに架着された中間クロスメンバを備え、バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が中間クロスメンバに連結されている。
【実施例】
【0025】
図1〜図4に示すように、車両1(自動車1)は、左右1対の前輪2、左右1対の後輪3を備え、車両1の前部のエンジンルーム4にエンジン5を搭載し、このエンジン5により後輪3を駆動するFR車である。
【0026】
車両1の前部構造20は、車室6の前端を(車室6とエンジンルーム4とを)仕切るダッシュパネル21、ダッシュパネル21から前方へ延びる左右1対のフロントサイドフレーム22、1対のフロントサイドフレーム22の前端側に架着された車幅方向に長いバンパレインフォースメント23(以下、バンパレイン23という)、バンパレイン23を覆うバンパ部材24、バンパレイン23の後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレーム22に架着された中間クロスメンバ25を備えている。
【0027】
ダッシュパネル21の下端部には、車室6のフロアを形成するフロアパネル7の前端部が結合され、フロアパネル7の車幅方向両端部に左右1対のサイドシル8が結合されている。1対のフロントサイドフレーム22の後端部分は、ダッシュパネル21の前面に沿って下方へ延び、ダッシュパネル21の下端部において、フロアパネル7の下面に結合されて前後方向へ延びる左右1対のフロアフレーム9の前端部に結合されている。
【0028】
車室6には、ダッシュボード10、ステアリングホイール11、左右1対の前席12、左右1対の後席13等が配設され、車室6の少なくとも前席12の外側方がサイドドア14(図4参照)により開閉される。尚、図4の符号15は左右1対のヘッドランプ、図4の符号16は左右1対のサイドミラーである。
【0029】
車両1の前部構造20について詳しく説明する。
エンジンルーム4は、ダッシュパネル21、ダッシュパネル21に結合された左右1対のフロントエプロン部材30、バンパ部材24等で囲まれた部分に形成され、ボンネット31により開閉される。ボンネット31は、その後端部がダッシュパネル21の上端側のカウル部材(図示略)にヒンジ結合され、その後端部を中心に上下に回動され開閉する。
【0030】
1対のフロントサイドフレーム22の前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカン26が取付けられ、また、中間クロスメンバ25の車幅方向中央部の前端部に衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカン27が取付けられ、これらクラッシュカン26,27にバンパレイン23が連結されている。
【0031】
バンパレイン23は、1対のフロントサイドフレーム22との(1対のフロントサイドフレーム22と連結される)連結部23aを有するとともに1対のフロントサイドフレーム22の前側に位置する左右1対のフレーム前側部23b、1対の連結部23a(フレーム前側部23b)の間の車幅方向中間部23c、1対の連結部23a(フレーム前側部23b)よりも車幅方向外側の左右1対の車幅方向外側部23dを有する。
【0032】
1対のフレーム前側部23bは、バンパレイン23の最前端部分であり、例えば、その前端面が前方へ向くように形成されている。車幅方向中間部23cは、全体的に連結部23aよりも後退するように形成され、フロントサイドフレーム22の前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部23eを有する。
【0033】
車幅方向中間部23cは、1対のフレーム前側部23bから夫々車幅方向内方且つ後方へ略ストレートに延びる左右の傾斜部を、車幅方向中央部で繋いで平面視にて前方開のV字形状に形成され、この繋ぎ部とその近傍部が中間後退部23eとなり、この中間後退部23eから後方へ少し隔てて中間クロスメンバ25が配置されて、中間後退部23eと中間クロスメンバ25とが中間クラッシュカン27を介して連結されている。
【0034】
1対の車幅方向外側部23dは、連結部23aよりも後方に位置するように後退させた外側後退部23fを有する。1対の車幅方向外側部23dは、1対のフレーム前側部23bから夫々車幅方向外方且つ後方へ略ストレートに延びる左右の傾斜部からなる。
【0035】
以上のように、バンパレイン23は、1対のフレーム前側部23b、車幅方向中間部23c、1対の車幅方向外側部23dにより平面視にて車幅方向へ引き延ばしたようなM字形状に形成されている。尚、バンパレイン23は、例えば、ハイドロフォーム成形により、或いは、2部材を結合して、閉断面構造に構成されている。尚、バンパレイン23として、断面コ字状の開断面構造のバンパレインを採用してもよい。
【0036】
バンパ部材24は、1対のフロントエプロン部材30及びボンネット31から略連続するように前方へ延びて車両1の前外装面を形成し、このバンパ部材24のうちバンパレイン23の前側に位置する部分は、全体的にバンパレイン23に沿った形状に形成されている。尚、バンパレイン23とバンパ部材24との間に、ウレタンフォーム等で構成された緩衝部材をバンパレイン23に取付けて設けてもよい。
【0037】
即ち、バンパ部材24は、1対のフレーム前側部23b、車幅方向中間部23c、1対の車幅方向外側部23dに夫々対応する、1対のバンパ部材フレーム前側部24b、バンパ部材車幅方向中間部24c、1対のバンパ部材車幅方向外側部24dを有し、バンパ部材車幅方向中間部24cは、中間後退部23eに対応する、即ち、中間後退部23eに沿って後退させたバンパ部材中間後退部24eを有する。
【0038】
中間クロスメンバ25は角筒状の閉断面構造に構成され、その車幅方向両端部は1対のフロントサイドフレーム22に溶接され、中間クラッシュカン27は中間クロスメンバ25にボルト結合されている。尚、前記溶接やボルト結合の構造について、適宜、中間クロスメンバ25、中間クラッシュカン27にフランジを設けて利用してもよい。尚、中間クロスメンバ25として、帯板状の又は開断面構造の中間クロスメンバを採用してもよい。
【0039】
パワートレインであるエンジン5は、エンジンルーム4において、ダッシュパネル21の前方且つ中間クロスメンバ25の後方且つ1対のフロントサイドフレーム22の間に、その大部分がフロントサイドフレーム22の上端よりも下方位置となるように配設されている。ダッシュパネル21の車幅方向中央部分に後方へ凹む凹部21aが形成され、この凹部21aにエンジン5の後端部が収容されて、エンジン5が前輪2の車軸位置よりも後方に位置するようにエンジンルーム4に後方配置されている。
【0040】
エンジン5の駆動力は、トランスミッション40、プロペラシャフト41、差動装置42、左右1対の後輪車軸43を介して1対の後輪3に伝達され、トランスミッション40、プロペラシャフト41等は、フロアパネル7の車幅方向中央部に形成された上方凸のトンネル部(図示略)の内部(下面側)に配設されている。
【0041】
エンジンルーム4の下端側には、フロントサスペンション(図示略)を支持するサスペンションクロスメンバ45、前輪2を操舵する為のパワーステアリング装置46、ラジエータとクーリングファンを有するクーリングユニット47が配設されている。
【0042】
クーリングユニット47は、1対のフロントサイドフレーム22間の距離と略同じ車幅方向幅を有し、フロントサイドフレーム22よりも下方位置であって、バンパレイン23の中間後退部23e及び中間クロスメンバ25の下側において、サスペンションクロスメンバ45、パワーステアリング装置46と干渉しないように後傾姿勢で配置されている。
【0043】
図4に示すように、バンパ部材24には、少なくともクーリングユニット47のラジエータを冷却するために、走行風を導入するエア導入口24fが形成されて、このエア導入口24fにバンパグリル24gが装着され、エア導入口24fからクーリングユニット47に走行風を導くエアダクトを配設してもよい。尚、エンジンルーム4には、図示略のオイルクーラ、エアクリーナ、バッテリ等の車両装備品が所定の配置で配設される。
【0044】
以上説明した車両1の前部構造20によれば次の効果を奏する。
バンパレイン23の後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレーム22に架着された中間クロスメンバ25を備え、バンパレイン23のうち1対のフロントサイドフレーム22との連結部23aの間の車幅方向中間部23cを中間クロスメンバ25に連結したので、この中間クロスメンバ25により、車両1の車体捩じれ剛性を高めるとともに、車両衝突時、バンパレイン23に入力された衝突荷重は、1対のフロントサイドフレーム22にその前端側から伝達されるとともに、中間クロスメンバ25に伝達され中間クロスメンバ25から1対のフロントサイドフレーム22の長さ方向途中部に伝達され、故に、バンパレイン23からの衝突荷重の分散性を高くして、バンパレイン23の車幅方向中間部23cが不適切に折曲がる等して損傷することを防止し、衝撃吸収性能と共に衝突安全性を向上させることができ、また、中間クロスメンバ25を種々の車両装備品を連結支持するために有効利用することもできる。
【0045】
しかも、バンパレイン23の車幅方向中間部23cと中間クロスメンバ25とを、衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカン27を介して連結したので、また、1対のフロントサイドフレーム22の前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカン26を取付け、この1対のクラッシュカン26にバンパレイン23を連結したので、衝撃吸収性能と共に衝突安全性が一層向上する。
【0046】
更に、バンパレイン23は、1対のフロントサイドフレーム22との連結部23aの間に、連結部23aよりも後退させるように形成された車幅方向中間部23cを有し、更に、この車幅方向中間部23cに、フロントサイドフレーム22の前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部23eを有する。
【0047】
従って、連結部23aの位置を後退させるのに限界があっても、重量物であるバンパレイン23の重心位置を後退させて、車幅方向中央部分におけるフロントオーバーハングを短縮でき、故に、車両1のヨー慣性モーメントを低減でき、車両1の操縦安定性(ハンドリング性能)を向上させることができ、また、エンジンルーム4の前後方向のデッドスペースを縮小でき、車両1の前外装面を形成するバンパ部材24の形状を含むデザインの自由度を向上させることができる。
【0048】
特に、この車両1では、エンジン5が前輪2の車軸位置よりも後方に位置するように且つ低重心にてエンジンルーム4に後方配置されることで、ヨー慣性モーメントの低減、操縦安定性の向上を実現しているが、バンパレイン23に中間後退部23eを設けたことで、こうした改善を更に図ることができ、また、エンジン5の前記後方配置により、従来のバンパレインでは、エンジンルーム4に前後方向のデッドスペースが大きくなり易いが、このデッドスペースを確実に縮小しつつ、上記効果を発揮できる。
【0049】
バンパレイン23は、連結部23aよりも車幅方向外側部23dに、連結部23aよりも後方に位置するように後退させた外側後退部23fを有するので、バンパレイン23の重心位置を一層後退させて、車幅方向両端部分におけるフロントオーバーハングを短縮でき、車両1のヨー慣性モーメントの低減、車両1の操縦安定性の向上、バンパ部材24のデザインの自由度の向上を更に図ることができる。
【0050】
バンパレイン23の最前端部分であるフレーム前側部23bに連結部21aを有するので、連結部21aの位置を従来の位置よりも後退させずに、バンパレイン23の重心位置を後退させて、フロントオーバーハングを部分的に短縮でき、また、衝突発生時には、バンパレイン23のフレーム前側部23bから衝突加重が入力されることが多く、故に、クラッシュカン26の機能を確実に発揮させて衝突安全性を向上させることができる。
【0051】
バンパ部材24は、バンパレイン23の中間後退部23eに沿って後退させたバンパ部材中間後退部24eを有するので、バンパ部材24の車幅方向中央部分を後方へ凹ませて、バンパ部材24のデザイン性を高めることができる。
【0052】
ダッシュパネル21の前方且つ1対のフロントサイドフレーム22の間にパワートレインであるエンジン5を配設したので、エンジン5の低重心化を図って、車両1の操縦安定性を更に向上させ、また、エンジン5が前輪2の車軸位置よりも後方に位置するように、エンジン5をエンジンルーム4に後方配置する場合に有利になり、こうして、ヨー慣性モーメントの低減、操縦安定性の向上等を一層図ることが可能になる。
【0053】
尚、中間クラッシュカン27を省略し、バンパレイン23の車幅方向中間部23cを中間クラッシュカン27を介さずに中間クロスメンバ25に連結してもよい。この場合、何らかの連結部材を介して中間クロスメンバ25に連結してもよい。こうした構成については、以下説明する変形例の車両の前部構造にも採用可能である。
【0054】
次に、前記メイン実施例の構成を部分的に変更した車両の前部構造について説明する。但し、前記メイン実施例と同一又は類似する構成については、同一符号又は類似符号を付して説明して、適宜、詳細な説明を省略し、前記メイン実施例と基本的に同じ効果については説明を省略する。
【0055】
1]図5、図6に示すように、変形例1の車両の前部構造20Aは、中間クロスメンバ25Aと1対のフロントサイドフレーム22のうち中間クロスメンバ25Aよりも後方に位置する部分とを連結する左右1対の中間クロス連結部材28であって、夫々が後方程車幅方向外方へ移行する傾斜状に配設された左右1対の中間クロス連結部材28を備えている。
【0056】
1対の中間クロス連結部材28を設ける関係で、中間クロスメンバ25Aが前記中間クロスメンバ25よりも多少前側に配置され、中間クラッシュカン27Aが前記中間クラッシュカン27よりも多少短く形成されている。但し、前記中間クロスメンバ25及び中間クラッシュカン27と全く同様のものを採用してもよい。
【0057】
1対の中間クロス連結部材28の前端部は、中間クロスメンバ25Aの車幅方向中央部分に車幅方向に隣接状に結合され、1対の中間クロス連結部材28の後端部は、エンジン5と前後方向にオーバーラップし、エンジン5は、ダッシュパネル21、1対のフロントサイドフレーム22、1対の中間クロス連結部材28で囲まれた部分に配設されている。
【0058】
この車両の前部構造20Aによれば、1対の中間クロス連結部材28により、車両の車体捩じれ剛性を一層高めるとともに、車両衝突時、中間クロスメンバ25Aと1対の中間クロス連結部材28がバンパレイン23から受ける衝突荷重を1対のフロントサイドフレーム22に分散させて伝達でき、故に、バンパレイン23からの衝突荷重の分散性を一層高くすることができ、特に、オフセット衝突時でも、斜め前方から入力される衝突荷重を、その衝突荷重の入力方向に近い方向に延びる一方の中間クロス連結部材28で確実に受け止めてフロントサイドフレーム22に伝達することができ、また、1対の中間クロス連結部材28を種々の車両装備品を連結支持するために有効利用することもできる。
【0059】
尚、以下の変形例の車両の前部構造では、変形例1のような1対の中間クロス連結部材28を設けていないが、同様の1対の中間クロス連結部材を設けてもよい。
【0060】
2]図7に示す変形例2の車両の前部構造20Bでは、バンパレイン23Bにおいて、車幅方向中間部23Bcが、フロントサイドフレーム22の前端部よりも前方に位置するように、平面視にて前方開の凹形形状に形成され、この車幅方向中間部23Bcが左右1対の中間クラッシュカン27Bを介して中間クロスメンバ25Bに連結されている。尚、中間クラッシュカン27Bを1つとして車幅方向中央部に配設してもよい。
【0061】
3]図8に示す変形例3の車両の前部構造20Cでは、バンパレイン23Cが、全体的に多少前方凸に湾曲するように、車幅方向に略ストレートに延び、このバンパレイン23Cの車幅方向中間部23Ccが、中間クラッシュカン27Cを介して中間クロスメンバ25Cに連結されている。
【0062】
4]図9、図10に示すように、変形例4の車両の前部構造20Dでは、バンパレイン23の中間後退部23eの後方近傍位置に、左右1対の車両補機であるオイルクーラ48が左右対称に配設されている。各オイルクーラ48は、フロントサイドフレーム22と中間クラッシュカン27との間の距離と略同じ車幅方向幅を有し、平面視にてフロントサイドフレーム22とバンパレイン23と中間クロスメンバ25とクラッシュカン26,27とで囲まれた部分に、鉛直姿勢で前面部が少し前方斜め内側に向くように配置されている。
【0063】
オイルクーラ48は、その上端部がフロントサイドフレーム22の主部と同高さ位置で、それよりも下方の大部分がフロントサイドフレーム22の主部の下端よりも下方位置に配置され、フロントサイドフレーム22やバンパレイン23等に連結支持されている。尚、エア導入口24fからオイルクーラ48に走行風を導くエアダクトを配設してもよい。
【0064】
クーリングユニット47Dは、フロントサイドフレーム22よりも下方位置であって、バンパレイン23の中間後退部23e及び中間クロスメンバ25の下側において、サスペンションクロスメンバ45、パワーステアリング装置46、オイルクーラ48と干渉しないように、オイルクーラ48の後方から下方に亙って後傾姿勢で配置されている。
【0065】
この車両の前部構造1Dによれば、バンパレイン23の中間後退部23eの後方近傍位置にオイルクーラ48を配設したので、中間後退部23eの後方近傍位置をオイルクーラ48の配置に有効利用しつつ、中間クロスメンバ25を配設できて、車幅方向中央部分におけるフロントオーバーハングを確実に短縮できる。
【0066】
5]図11に示す変形例5の車両の前部構造20Eでは、バンパレイン23Eにおいて、車幅方向中間部23Ecが、平面視にて前方開の凹形形状に形成されている。この車幅方向中間部23Ecにおいて中間後退部23Eeが占める割合が前記車両の前部構造20よりも大きくなる。尚、バンパ部材24において、車幅方向中間部23Bcの前側に位置する部分を、仮想線で示すように、車幅方向中間部23Ecに沿って後退させてもよい。
【0067】
6]図12に示す変形例6の車両の前部構造20Fでは、バンパレイン23Fにおいて、1対の車幅方向外側部23Fdが、夫々、1対のフレーム前側部23bから車幅方向外方へ略ストレートに延びるように形成されている。
【0068】
7]図13に示す変形例7の車両の前部構造20Gでは、前記1対のクラッシュカン26が省略され、その分、左右1対のフロントサイドフレーム22Gが前記フロントサイドフレーム22よりも前方に長く延びるように形成され、この1対のフロントサイドフレーム22Gの前端部にバンパレイン23が直接連結されている。
【0069】
8]図14に示す変形例8の車両の前部構造20Hでは、バンパレイン23Hにおいて、車幅方向中間部23Hcは、その車幅方向両端部23Hc1がフレーム前側部23Hbよりも前方へ少し張出し、この車幅方向両端部23Hc1の間において、車幅方向両端部23Hc1よりも後退するように形成されるとともに、中間後退部23Heを有する。
【0070】
9]図15に示す変形例9の車両の前部構造20Iでは、バンパ部材24Iにおいて、バンパ部材車幅方向中間部24Icが、前記バンパ部材中間後退部24eを省略し、バンパレイン23の車幅方向中間部23cの前側で緩やかに凹む形状に形成されている。
【0071】
10]図16に示す変形例10の車両の前部構造20Jでは、バンパ部材24Jにおいて、バンパ部材車幅方向中間部24Jcが、前記バンパ部材中間後退部24eを省略し、従来のバンパレインを採用した場合と同様に、全体的に多少前方凸に湾曲した形状に形成されている。
【0072】
11]図17、図18に示すように、変形例11の車両の前部構造20Kでは、バンパ部材24Kにおいて、バンパ部材車幅方向中間部24Kcが、図16の車両の前部構造20Jと同様に、前記バンパ部材中間後退部24eを省略し、従来のバンパレインを採用した場合と同様に、全体的に多少前方凸に湾曲した形状に形成されている。
【0073】
バンパ部材車幅方向中間部24Kcには、前記エア導入口24f及びバンパグリル24gと同様に、走行風を導入するエア導入口24Kfが形成されて、このエア導入口24Kfにバンパグリル24Kgが装着されるとともに、エア導入口24Kfの上側に、ダウンフォースを発生させる為の走行風を導入する上側エア導入口24Khが形成されて、この上側エア導入口24Khに上側バンパグリル24Kiが装着されている。
【0074】
上側エア導入口24Khは、バンパレイン23の車幅方向中間部23cの前側に位置し、この上側エア導入口24Khとボンネット31の前端側に形成されたエア排出口50とを繋ぐエア通路51が、車幅方向中間部23cの前側から上側を通るように設けられている。エア通路51の上側に断面翼形状のスポイラー52が設けられ、このスポイラー52が、車両走行時、周知の翼理論によりダウンフォースを発生させる。
【0075】
この車両の前部構造20Kによれば、バンパレイン23は、1対のフロントサイドフレーム22との連結部23aの間の車幅方向中間部23cが連結部23aよりも後退するように形成され、更に、この車幅方向中間部23cに、フロントサイドフレーム22の前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部23eを有することから、前記のように、上側エア導入口24Khを車幅方向中間部23cの前側に位置させて、エア通路51を車幅方向中間部23cの前側から上側を通るように設けることができ、故に、スポイラー52を、ダウンフォースをより発生させ得る形状に形成して設けることができる。
【0076】
12]メイン実施例の各構成と変形例1〜11の各構成とを可能であれば組合わせて、車両の前部構造を構成してもよい。
【0077】
13]その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の構成を付加して実施可能であり、また、本発明については、実施例に開示の車両に限らず、FF車等の種々の車両に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】車両の前部構造を含む要部平断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII −III 線断面図である。
【図4】車両の前方斜め上側からの斜視図である。
【図5】変形例1の前部構造の要部平断面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】変形例2の前部構造の要部平断面図である。
【図8】変形例3の前部構造の要部平断面図である。
【図9】変形例4の前部構造の要部平断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】変形例5の前部構造の要部平断面図である。
【図12】変形例6の前部構造の要部平断面図である。
【図13】変形例7の前部構造の要部平断面図である。
【図14】変形例8の前部構造の要部平断面図である。
【図15】変形例9の前部構造の要部平断面図である。
【図16】変形例10の前部構造の要部平断面図である。
【図17】変形例11の車両の前方斜め上側からの斜視図である。
【図18】変形例11の車両の前部構造を含む要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 車両
5 エンジン
6 車室
20,20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K 前部構造
21 ダッシュパネル
22,22G フロントサイドフレーム
23,23B,23C,23E,23F,23H バンパレインフォースメント(バンパレイン)
23a 連結部
23c,23Bc,23Cc,23Ec,23Hc 車幅方向中間部
23e,23Ee,23He 中間後退部
24,24I,24J,24K バンパ部材
24e バンパ部材中間後退部
25,25A,25B,25C 中間クロスメンバ
26 クラッシュカン
27,27A,27B,27C 中間クラッシュカン
28 中間クロス連結部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前端を仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから前方へ延びる左右1対のフロントサイドフレームと、1対のフロントサイドフレームの前端側に架着された車幅方向に長いバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを覆うバンパ部材とを備えた車両の前部構造であって、
前記バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレームに架着された中間クロスメンバを備え、
前記バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が、中間クロスメンバに連結されたことを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
前記車幅方向中間部と中間クロスメンバとが、衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカンを介して連結されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記バンパレインフォースメントは、前記車幅方向中間部に、フロントサイドフレームの前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部を有し、
前記中間後退部が中間クロスメンバに連結されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記バンパ部材は、前記中間後退部に沿って後退させたバンパ部材中間後退部を有することを特徴とする請求項3に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記中間クロスメンバと1対のフロントサイドフレームのうち中間クロスメンバよりも後方に位置する部分とを連結する左右1対の中間クロス連結部材であって、夫々が後方程車幅方向外方へ移行する傾斜状に配設された左右1対の中間クロス連結部材を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記1対のフロントサイドフレームの前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカンが取付けられ、この1対のクラッシュカンにバンパレインフォースメントが連結されたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の車両の前部構造。
【請求項7】
前記ダッシュパネルの前方且つ1対のフロントサイドフレームの間にパワートレインが配設されたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車両の前部構造。
【請求項1】
車室の前端を仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから前方へ延びる左右1対のフロントサイドフレームと、1対のフロントサイドフレームの前端側に架着された車幅方向に長いバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを覆うバンパ部材とを備えた車両の前部構造であって、
前記バンパレインフォースメントの後側において車幅方向に延びて1対のフロントサイドフレームに架着された中間クロスメンバを備え、
前記バンパレインフォースメントのうち1対のフロントサイドフレームとの連結部の間の車幅方向中間部が、中間クロスメンバに連結されたことを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
前記車幅方向中間部と中間クロスメンバとが、衝突荷重を吸収可能な中間クラッシュカンを介して連結されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記バンパレインフォースメントは、前記車幅方向中間部に、フロントサイドフレームの前端部よりも後方に位置するように後退させた中間後退部を有し、
前記中間後退部が中間クロスメンバに連結されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記バンパ部材は、前記中間後退部に沿って後退させたバンパ部材中間後退部を有することを特徴とする請求項3に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記中間クロスメンバと1対のフロントサイドフレームのうち中間クロスメンバよりも後方に位置する部分とを連結する左右1対の中間クロス連結部材であって、夫々が後方程車幅方向外方へ移行する傾斜状に配設された左右1対の中間クロス連結部材を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記1対のフロントサイドフレームの前端部に衝突荷重を吸収可能な1対のクラッシュカンが取付けられ、この1対のクラッシュカンにバンパレインフォースメントが連結されたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の車両の前部構造。
【請求項7】
前記ダッシュパネルの前方且つ1対のフロントサイドフレームの間にパワートレインが配設されたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車両の前部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−132260(P2009−132260A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309817(P2007−309817)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]