車両位置検出装置
【課題】本発明は、簡単な構成で精度良く車両の位置を検出する車両位置検出装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の車両位置検出装置は、GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する突起物センサー12と、道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた突起物位置情報を取得する突起物位置情報取得手段16と、突起物センサー12の感知結果と突起物位置情報との比較に基づき、車両の位置を検出する車両位置検出手段17と、を備える。
【解決手段】本発明の車両位置検出装置は、GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する突起物センサー12と、道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた突起物位置情報を取得する突起物位置情報取得手段16と、突起物センサー12の感知結果と突起物位置情報との比較に基づき、車両の位置を検出する車両位置検出手段17と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネル内などGPS情報を受信できない環境下で、自車の位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両位置を検出する方法には、GPS衛星から電波を受信して測位するGPS方式と、車速センサ、加速度センサ、及びジャイロセンサなど、各種車載センサの測定情報を利用した自律航法方式の2種類があり、これらを併用することによって、高精度に自車の位置を検出することが出来る。
【0003】
トンネル内などGPS衛星からの電波を受信することができない環境下では、自律航法方式のみを用いて車両位置を検出せざるを得ない。しかし、自律航法方式による位置測定では、車両の進行方位が変化したり走行距離が長くなるに従って誤差が蓄積し、検出精度が低くなるという問題点がある。
【0004】
これに対して特許文献1では、車両に設置した撮像カメラと画像処理部により、トンネル内の照明と自車との相対的な位置関係を検出し、トンネル内での自車位置を特定するトンネル内位置検出装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−240380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のトンネル内位置検出装置は、撮影画像を用いて位置検出を行うので、時間帯による照明の明るさ変化や、高湿度によるカメラの結露といったトンネル内の環境変化の影響を受け易く、画像認識の精度が低いという問題点がある。
【0007】
さらに、画像認識を行う画像処理手段を新たに追加する必要がある他、自車がトンネルに侵入したことを検知する光センサーも必要であり、装置の構成が複雑になるという問題点もある。
【0008】
本発明は上述の問題点に鑑み、簡単な構成で精度良く車両の位置を検出する車両位置検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両位置検出装置は、GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する地物センサーと、道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた地物位置情報を取得する地物位置情報取得手段と、前記地物センサーの感知結果と前記地物位置情報との比較に基づき、前記車両の位置を検出する車両位置検出手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両位置検出装置は、GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する地物センサーと、道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた地物位置情報を取得する地物位置情報取得手段と、前記地物センサーの感知結果と前記地物位置情報との比較に基づき、前記車両の位置を検出する車両位置検出手段とを備えるので、簡単な構成で高精度に車両の位置を検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】前提技術に係る車両位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】突起物位置情報作成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】突起物位置情報の調査方法を説明する図である。
【図4】エッジテーブルとエッジデータを示す図である。
【図5】エッジテーブルの作成方法を説明する図である。
【図6】変動量と変動レベルの関係を示す図である。
【図7】エッジテーブルを示す図である。
【図8】車両位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態1に係る車両位置検出装置の車両位置検出動作を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係る車両位置検出装置の位置情報取得動作を示すフローチャートである。
【図11】地物センサーのサンプリング周期の設定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<A.前提技術>
本発明の前提技術として、画像認識を用いた車両位置検出装置の構成を図1に示す。図1に示す車両位置検出装置100は、撮像カメラ101,102、画像処理手段107、光センサー103、マイクロコントローラ104、メモリ105、出力手段106を備えている。撮像カメラ101,102と光センサー103は車両に設置され、光センサー103により車両がトンネルに進入したことを検知する。画像処理手段107は、撮像カメラ101,102の撮影画像からトンネル内の照明と自車との角度を認識する。マイクロコントローラ112は、画像処理手段107が認識したトンネル内の照明と自車との角度から、当該照明と自車との距離を算出する。照明の位置から自車の位置を検出することが可能である。
【0013】
このような画像認識を用いた車両位置検出装置によれば、トンネルに侵入したことを判断するための光センサー、撮像カメラ、及び画像処理手段が必要になるため、装置構成が複雑になってしまう。さらに、画像処理の対象となるデータ量が大きいため画像処理手段にはある程度の処理能力が求められる。また、画像認識の結果はトンネル内の環境変化によって左右されてしまい、精度が低いという問題がある。
【0014】
そこで、本発明では画像認識によらず、車両上部の地物を感知する測距センサーを用いることにより、より簡単な装置構成で、GPS情報が十分に取得できない環境下での車両位置の推定を可能にする。
【0015】
<B.実施の形態1>
トンネルの内壁面には、看板や照明、ファンなどの突起物が設置されている。車両に設置した測距センサーで車両上方との距離を測定しながらトンネルを走行した場合、測定距離は突起物の出現によって変動するので、測定距離の変動から突起物を検出することが可能である。そこで、トンネル内の突起物に関する位置情報(突起物位置情報)を予め取得しておけば、車両が突起物を通過したタイミングで車両の位置を検出することが可能である。
【0016】
本発明は突起物位置情報を用いて車両の位置を検出する車両位置検出装置に関するものである。まず、突起物位置情報を作成する突起物位置情報作成装置について説明する。
【0017】
<B−1.突起物位置情報>
図2に、突起物位置情報作成装置1の構成を示す。突起物位置情報作成装置1は、測距センサーである突起物センサー2と、突起物センサー2の測定結果から突起物位置情報を作成するマイクロコントローラ3とを備えている。
【0018】
突起物センサー2は、例えば超音波センサーであって図3に示すように調査車両に設置され、上方に向けてセンサー信号2aを出力し、センサー信号2aの出力範囲内に存在するトンネル壁面8や、トンネル壁面8に設置された看板6や照明7などの突起物との距離を測定する。センサー信号2aの出力範囲に複数の突起物がある場合、突起物センサー2は最も近接した突起物との距離を測定する。突起物センサー2は、調査車両がトンネルに進入してから通過するまで所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果をマイクロコントローラ3に出力する。
【0019】
マイクロコントローラ3は、突起物センサー2の測定結果からエッジを検出してエッジデータを作成するエッジ検出手段4と、当該エッジデータからエッジテーブルを作成するエッジテーブル作成手段5とを備えている。
【0020】
図3には、突起物センサー2の測定距離を時系列でグラフ表示したものを併せて示している。以下、このグラフに基づき突起物センサー2の測定動作を説明する。調査車両がトンネル外を走行している間は、突起物センサー2の測定範囲内に地物が存在しないので、突起物センサー2は測定不能の状態である。トンネル内に進入すると、突起物センサー2はトンネル壁面との距離を測定する。図では、測定不能状態からの変動を立下りエッジで表現している。次に、調査車両が看板の下を走行すると、突起物センサー2は看板との距離を測定するので、測定距離は小さくなり立下りエッジが発生する。看板を通過すると、突起物センサー2は再びトンネル壁面との距離を測定するので、測定距離は大きくなり立上りエッジが発生する。
【0021】
このように、トンネル壁面8に設置された看板6が、突起物センサー2の測定距離の変動、すなわち、図3に示す立下りエッジと立上りエッジによって表現されている。エッジ検出手段4は、調査車両がトンネルの入口から出口まで走行した際の突起物センサー2の測定結果からエッジを検出してエッジデータを作成する。エッジテーブル作成手段5は、一つのトンネルについて全てのエッジデータをエッジの検出順に配列したエッジテーブルETを突起物位置情報として作成する。
【0022】
図4にエッジテーブルの概要を示す。エッジテーブルは1つのトンネルの1方向について作成され、トンネルの入口から出口にかけて走行した際にエッジが検出される順番に、エッジデータ(1)〜エッジデータ(N)が格納されている。各エッジデータは、エッジの検出順番を示すデータIDと、立上りエッジか立下りエッジかを示すエッジ方向と、測定距離の変動量から後述する方法によって算出する(トンネル壁面からの)高さレベルと、位置情報としての緯度経度が記されている。なお、エッジ方向の判定では、前回サンプリング点から測定距離が増加していれば立上りエッジとし、前回サンプリング点から測定距離が減少していれば立下りエッジとする。
【0023】
図5〜図7を用いて、高さレベルの算出方法を説明する。図5は、トンネル8を走行方向の側面から見た図であり、突起物センサー2の測定結果から算出した高さレベルを、サンプリング点と対応付けて表示している。トンネル壁面8には看板6や照明7が設置されている他、微小な突起物9が存在している。
【0024】
エッジ検出手段4は、突起物センサー2の測定結果から高さレベルを算出する。図5に示すように、調査車両がトンネル外にある時点では、突起物センサー2は測定不能状態にあり、高さレベルを−1とする。測定不能状態にあった突起物センサー2が初めて地物との距離を測定し、当該測定結果がエッジ検出手段4に渡されると、エッジ検出手段4は調査車両がトンネルに進入したことを把握する。トンネルに進入して最初に取得した測定値は、トンネル壁面8との距離を測定したものであると判断し、高さレベルを初期値として0と設定し、立下りエッジAを検出する。
【0025】
エッジ検出手段4は突起物センサー2から次の測定値を取得すると、前回の測定値からの変動量を算出し、さらに変動量を図6に例示する区分に従って変動レベルに変換する。そして、変動レベルを前回の高さレベルに加減算することによって、今回の高さレベルを算出する。突起物センサー2の測定値の前回測定値からの変動量が0m以上0.3m未満であれば、変動レベルは0であるので、高さレベルは前回から変動しない。つまり、エッジは発生しない。ここで、変動量0mだけでなく0.3m未満までを変動レベル0としているのは、微小な突起物9や調査車両の振動により生じる微小な変動量を、エッジとして検出しないためである。
【0026】
調査車両が看板に差し掛かると、突起物センサー2の測定距離は前回サンプリング点の測定距離よりも小さくなり、エッジ検出手段4は立下りエッジBを検出する。例えば前回の測定距離が5mであり、今回の測定距離が3mであるとすると、変動量は2mであるので、図6によれば変動レベルは3となる。立下りエッジであるので、前回の高さレベル0に変動レベル3を加算して、今回の高さレベルは3となる。このように、立下りエッジでは前回の高さレベルに変動レベルを加算して今回の高さレベルを算出する。
【0027】
調査車両が看板を通過すると、突起物センサー2の測定距離は前回サンプリング点の測定距離よりも大きくなり、エッジ検出手段4は立上りエッジCを検出する。前回の測定距離が3mであり、今回の測定距離が5mであるとすると、変動量は2mであるので、図6によれば変動レベルは3となる。立上りエッジであるので、前回の高さレベル3から変動レベル3を減算し、今回の高さレベルは0となる。このように、立上りエッジでは前回サンプリング点の高さレベルから変動レベルを減算して今回の高さレベルを算出する。
【0028】
次に、調査車両が照明に差し掛かると、突起物センサー2の測定距離は前回サンプリング点の測定距離よりも小さくなり、エッジ検出手段4は立下りエッジDを検出する。例えば前回の測定距離が5mであり、今回の測定距離が4.5mであるとすると、変動量は0.5mであるので、図6によれば変動レベルは1となる。立下りエッジであるので、前回の高さレベル0に変動レベル1を加算して、今回の高さレベルは1となる。
【0029】
調査車両が照明を通過すると、突起物センサー2の測定距離は前回サンプリング点の測定距離よりも大きくなり、エッジ検出手段4は立ち上りエッジEを検出する。例えば前回の測定距離が4.5mであり、今回の測定距離が5mであるとすると、変動量は0.5mであるので、図6によれば変動レベルは1となる。立ち上りエッジであるので、前回の高さレベル1から変動レベル1を減算して、今回の高さレベルは0となる。
【0030】
調査車両がトンネルを通過すると、突起物センサー2は測定不能の状態になる。エッジ検出手段4は高さレベルを−1として、立ち上がりエッジFを検出する。
【0031】
上記のように検出したエッジから、エッジテーブル作成手段5が突起物位置情報として作成するエッジテーブルを図7に示す。
【0032】
エッジテーブル作成手段5は、エッジ検出手段4が検出した各エッジのエッジデータをエッジの検出順に配列したエッジテーブルを作成する。エッジテーブルの先頭には識別コード、テーブルID、データ数が示されている。図7においてA〜Fで示すエッジデータは、それぞれ図5のエッジA〜Fに対応したエッジデータである。エッジデータは、エッジ方向と高さレベルの他、位置情報として緯度経度や、データIDを含んでいる。データIDは、エッジを検出した順番を示している。
【0033】
なお、進入方向が異なればエッジデータの配列は逆になるので、エッジテーブルは1つのトンネルについて進入方向別に2つ作成される。こうして作成されたエッジテーブルETは、図2に示すように地図データに含められ、例えばナビゲーション装置20の記憶媒体に格納される。
【0034】
<B−2.車両位置検出装置>
図8に、対象車両の位置を検出する車両位置検出装置の構成を示す。車両位置検出装置11は、対象車両に搭載された突起物センサー12と、マイクロコントローラ13と、メモリ18とを備える。
【0035】
突起物センサー12は突起物センサー2と同様の測距センサーであって、車両の上方の地物との距離を測定する。突起物センサー12は、例えば、対象車両がトンネルから所定距離内に近づいた時点で測定を開始する。
【0036】
マイクロコントローラ13は、エッジ検出手段14と、突起物位置情報取得手段16と、車両位置検出手段17とを備える。
【0037】
突起物位置情報取得手段16は、例えばGPS情報により対象車両がトンネルから所定距離内に近づいたと判断した時点で、進入方向に対応した当該トンネルのエッジテーブルETを突起物位置情報としてナビゲーション装置20の地図データから取得し、メモリ18に格納する。
【0038】
エッジ検出手段14は、随時突起物センサー12の測定結果を受け取ってエッジを検出し、検出したエッジのエッジ方向と高さレベルを算出する。エッジ方向や高さレベルの算出方法は、突起物位置情報作成装置1のマイクロコントローラ3におけるエッジ検出手段4と同様であるため、ここでは省略する。
【0039】
車両位置検出手段17は、エッジ検出手段14で検出したエッジ(以下、「検出エッジ」とも称する)と、メモリ18に格納したエッジテーブルETが整合しているか否かを判定し、整合している場合にはエッジテーブルETから位置情報を取得し、ナビゲーション装置20に出力する。整合判定の詳細については図9を用いて後述する。
【0040】
ナビゲーション装置20は、GPS情報を用いて車両位置の検出を行っているが、車両位置検出装置11から取得した位置情報を用いてGPS情報による測位を補完する。
【0041】
<B−3.位置情報取得動作>
図9は、マイクロコントローラ13の位置情報取得動作を示すフローチャートである。以下、図9に沿ってマイクロコントローラ13の位置情報取得動作を説明する。
【0042】
まず、突起物位置情報取得手段16は、トンネルから所定距離内に近づいたことをGPS情報から認識した時点で、ナビゲーション装置20から突起物位置情報としてエッジテーブルETを取得し(ステップS1)、以降の処理で使用するためメモリ18に格納する(ステップS2)。
【0043】
次に、エッジテーブルETのポインタ(カウンタ)を初期化する(ステップS3)。エッジテーブルETのポインタとは、後述するエッジの整合判定ステップにおいて、整合判定対象のエッジデータを示すものであり、先頭のエッジデータから順番に整合判定を行うためにポインタを初期化する。
【0044】
以上、説明したステップS1〜S3は対象車両がトンネルに進入する前に行う初期化処理である。
【0045】
突起物センサー12は、対象車両がトンネルに近づいた任意のタイミングで測定を開始し、エッジ検出手段14は、突起物センサー12の測定結果を取得する(ステップS4)。突起物センサー12は、所定のサンプリング周期でトンネル壁面8との距離や、トンネル壁面8に設置された看板などの突起物との距離を測定し、エッジ検出手段14は随時、測定結果を突起物センサー12から取得する。エッジ検出手段14は各測定結果についてエッジの有無を判定し、エッジを検出した場合には当該エッジの方向と高さレベルを算出する。
【0046】
エッジ検出手段14は、前回の測定距離から今回の測定距離への変動量が所定の閾値以上である場合に、変動のベクトルをエッジと検出する。エッジ方向の判定では、前回サンプリング点から測定距離が増加していれば立上りエッジとし、前回サンプリング点から測定距離が減少していれば立下りエッジとする。また、変動レベルを前回のエッジの高さレベルに加減算して、今回検出したエッジの高さレベルを算出する。その他、突起物センサー12が測定不能の状態から初めて測定距離を出力した場合にも、エッジを検出し、トンネル壁面8との距離を測定した値であると判断して高さレベルを0と設定する。また、突起物センサー12の測定結果が測定不能の状態に転じた場合にも、対象車両がトンネルを通過したものと判断してエッジを検出し、高さレベルを−1と設定する。
【0047】
次に、マイクロコントローラ13は突起物センサー12の測定結果から、対象車両がトンネル内にあるか否かを判定する(ステップS5)。突起物センサー12が測定不能であれば、対象車両がトンネルに未だ進入していないか、あるいは既にトンネルを通過したものと判断し(ステップS5でNO)、処理終了に分岐する。一方、突起物センサー12が有意の測定値を出力していれば、対象車両がトンネル内を走行中であると判断し(ステップS5でYES)、ステップS6に移行する。
【0048】
ステップS6では、ステップS4にてエッジを検出したか否かを判断し、エッジが無い場合、すなわち変動レベルが0の場合や、突起物センサー12が測定不能である場合は、ステップS4に戻って、サンプリング周期経過後に再び突起物センサー12から測定結果を取得する。一方、エッジが検出された場合は、車両位置検出手段17が位置情報取得処理を行う(ステップS7)。
【0049】
図10は、車両位置検出手段17が行う位置情報取得処理のフローチャートである。以下、位置情報取得処理について説明する。図10において、まずエッジの整合判定を行う(ステップS71)。すなわち、エッジ検出手段14が検出したエッジ(以下、検出エッジとも称する)とエッジテーブルETのポインタが指し示すエッジデータ(以下、指定エッジデータとも称する)とが整合しているか否かを判定し、エッジ方向と高さレベルが一致している場合に整合していると判定する。図7のエッジテーブルを例に説明すると、ポインタがエッジデータ(データID001)を示している場合、検出エッジとエッジデータ(データID001)との整合判定を行う。検出エッジが立下りエッジであり、高さレベルが0であれば整合していると判定する。
【0050】
例えばトンネル内の看板が増設されたり、あるいは撤去されたにも関わらず、エッジテーブルETが更新されていない場合には、検出エッジと指定エッジデータが整合しない。そのような場合は、エッジテーブルETの全てのエッジデータの中から検出エッジと整合するエッジデータを検索する(ステップS74)。
【0051】
ステップS74で検出エッジと整合するエッジデータが見つかった場合には(ステップS75でYES)、整合するエッジデータを指示するようにエッジテーブルETのポインタを補正する。例えば、検出エッジがステップS71でエッジデータ(データID002)と整合せず、ステップS74でエッジデータ(データID003)と整合したケースでは、エッジデータ(データID002)が表す突起物がトンネルから撤去されているにも関わらずエッジテーブルETに反映されていない。そこで、エッジテーブルETのポインタをエッジデータ(データID003)を示すように補正して、エッジデータ(データID002)を無視する。
【0052】
検出エッジがエッジテーブルET中のいずれのエッジデータとも整合しない場合には(ステップS75でNO)、検出エッジを廃棄する、すなわち読み捨てる(ステップS77)。このケースでは、トンネル内に突起物が増設されたにも関わらず、当該突起物を表すエッジデータがエッジテーブルETに追加されていない。
【0053】
図9のフローチャートに戻り、ステップS8でエッジテーブルETのポインタを更新し、エッジテーブルET内で次に配列されたエッジデータを整合判定対象に指定する。そして、エッジテーブルET内の全てのエッジデータについて整合判定を行った場合は(ステップS9でYES)、処理を終了する。一方、未だ整合判定を行っていないエッジデータがエッジテーブルET内に残っていれば(ステップS9でNO)、ステップS4に戻って、突起物センサー12の次の測定結果を取得する。
【0054】
このように、マイクロコントローラ13は、全てのエッジデータについて整合判定を行うまでステップS4〜S9を繰り返す。
【0055】
図10に示すステップS71で、検出エッジと指定エッジデータとが整合する場合は、一定回数連続して検出エッジとエッジテーブルETのポインタが指し示すエッジデータとが整合しているか否かを判断する(ステップS72)。ステップS72でYESであれば、今回整合がとれたエッジデータから位置情報として緯度経度情報を取得し、ナビゲーション装置20に緯度経度情報を引き渡す(ステップS73)。
【0056】
例えば、図7のエッジテーブルETを例に上記一定回数を2回とすると、1回目の検出エッジがエッジデータ(データID001)と整合し、さらにその次の検出エッジがエッジデータ(データID002)と整合した時点で、エッジデータ(データID002)から緯度経度情報を取得する。また、不整合が生じてエッジデータのポインタを補正(ステップS76)したり検出エッジを廃棄(ステップS77)した場合にも、その後一定回数連続して整合が取れた時点で、緯度経度情報を取得する。このように、一定回数連続して整合が取れることを緯度経度情報を取得する条件とすることによって、高精度に車両の位置情報を検出することが出来る。
【0057】
<B−4.サンプリング周期>
図6に示すように、エッジ検出手段14は前回の測定距離と今回の測定距離の変動量が0.3m未満の場合には、変動レベルを0とし、エッジを検出しない。このように、エッジを検出する変動量に閾値を設けている。
【0058】
図11には、トンネル内を走行する対象車両が車線8aから車線8bに車線変更する際の走行軌跡10と、対象車両に設置された突起物センサー12の測定距離の前回サンプリング点からの変動量のグラフを示している。変動量のグラフには、車線変更により生じた変動量と、突起物との距離を測定した際に生じた変動量とを示している。
【0059】
車線変更を行うと対象車両の位置がトンネル幅方向で変化するので、天井が地面と平行でないトンネルでは、突起物センサー12の測定距離が変動する。この変動は突起物によるものではないためエッジとして検出しないことが望ましい。
【0060】
車線変更による変動は突起物による変動と異なり緩やかであるという特徴がある。そのため、突起物センサー12のサンプリング周期Tsを短くするほど、車線変更による変動量は小さくなるのに対して、突起物による変動量は変化しない。さらに、車線変更による変動量は対象車両の走行速度にも左右され、高速で走行するほどサンプリング地点の間隔が広がるため変動量が大きくなる。そこで、対象車両が想定し得る走行速度の上限で走行した場合にも車線変更による変動量が閾値以下となるように、サンプリング周期Tsを予め設定しておく。これにより、車線変更による測定距離の変動を除外し、突起物による変動のみをエッジとして検出することが可能になり、精度良く位置情報を検出することが出来る。
【0061】
<変形例>
なお、本明細書において、突起物位置情報作成装置1が作成したエッジテーブルETは、地図データに含められてナビゲーション装置20の記憶媒体に格納され、車両位置検出装置11の突起物位置情報取得手段16は、ナビゲーション装置20からエッジテーブルETを取得するものと説明した。ここで、ナビゲーション装置20は車載のものの他、PNDなどの携帯端末であっても良い。また、エッジテーブルETは必ずしもナビゲーション装置20の記憶媒体に格納される必要はなく、GPS情報を受信可能な環境下で走行中の車両から取得可能な状態にあれば良い。
【0062】
また、突起物位置情報取得手段16は、GPS情報により対象車両がトンネルから所定距離内に近づいたと判断した時点でエッジテーブルETを取得すると説明したが、他の判定方法によっても良く、対象車両がトンネルに進入する前にエッジテーブルETを取得できれば良い。
【0063】
また、突起物センサー2,12は超音波センサーであると述べたが、例えばレーダー等、車両上方の地物を検出することが可能な他のセンサーであっても良い。
【0064】
また、本実施の形態ではトンネル内を走行中の車両の位置検出について説明したが、トンネル内に限らず、GPS情報を十分に受信することが出来ない他の環境下でも本発明に適用することが可能である。
【0065】
例えば、GPS電波がマルチパスとなるビル街では、信号や歩道橋などの位置情報を予め取得しておくことにより、車両に設置した測距センサー等で信号や歩道橋を感知した際に車両の位置情報を検出することが出来る。
【0066】
さらに、一般道路の上に高速道路が敷設されているような状況では、GPS情報で車両の位置を緯度経度で把握することが可能であるものの、いずれの道路を走行しているかを判断することは困難である。しかし、例えば車両に設置した測距センサーが地物を連続的に検出する場合には、高架下の一般道路を走行していると判断することが可能である。
【0067】
<効果>
本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置は、GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する突起物センサー12(地物センサー)と、道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた突起物位置情報(地物位置情報)を取得する突起物位置情報取得手段16(地物位置情報取得手段)と、突起物センサー12の感知結果と突起物位置情報との比較に基づき、車両の位置を検出する車両位置検出手段17と、を備える。車両上方の地物の感知結果に基づいて車両位置を検出するので、画像認識による方法を用いる場合に比べ、簡単な装置構成で車両位置の検出が可能である。
【0068】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、前記道路上方の地物はトンネル壁面であり、突起物センサー12はトンネル壁面の有無及び当該壁面の凹凸を感知する。トンネル壁面の有無や凹凸に基づき車両位置を検出することにより、画像認識による方法を用いる場合に比べて簡単な構成で車両位置検出装置を構成することが出来る。
【0069】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物位置情報と比較される突起物センサー12の感知結果は、所定の閾値を超える前記凹凸の感知結果にフィルタリングするので、突起物位置情報のデータ容量をコンパクトにすることが出来る。
【0070】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物位置情報と比較される突起物センサー12の感知結果は、前記凹凸の複数のエッジのパターンの感知結果を含むので、精度良く車両位置を検出することが可能である。
【0071】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物位置情報取得手段16は、車両の進行方向に応じた突起物位置情報を取得するので、精度良く車両位置を検出することが可能である。
【0072】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、車両位置検出手段17は、所定個数を超える前記エッジのパターンの前記地物位置情報との整合をもって、前記比較を有効と判定するので、精度良く車両位置を検出することが可能である。
【0073】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物センサー12は、車両が車線変更を行った際に生じるサンプリング点間の測定距離の変動量が所定の閾値未満となるサンプリング周期で測定を行うので、車線変更による測定距離の変動をトンネル壁面の凹凸による測定距離の変動と区別することにより、トンネル壁面の凹凸を精度良く感知することが出来る。
【0074】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物位置情報取得手段16は、対象車両が前記地物から所定距離以内に近づいた際に突起物位置情報を取得する。GPS情報を取得できる環境下で事前に突起物位置情報を取得しておくことにより、GPS情報が取得できない環境下でも当該突起物位置情報を用いた車両位置の検出が可能である。
【0075】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 突起物位置情報作成装置、2,12 突起物センサー、2a センサー信号、3,13,104 マイクロコントローラ、4,14 エッジ検出手段、5 エッジテーブル作成手段、6 看板、7 照明、8 トンネル壁面、8a,8b 車線、9 微小突起、10 進路、11 車両位置検出装置、16 突起物位置情報取得手段、17 車両位置検出手段、18,105 メモリ、20 ナビゲーション装置、106 出力手段、100 車両位置検出装置、101,102 撮像カメラ、103 光センサー、107 画像処理手段、ET エッジテーブル。
【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネル内などGPS情報を受信できない環境下で、自車の位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両位置を検出する方法には、GPS衛星から電波を受信して測位するGPS方式と、車速センサ、加速度センサ、及びジャイロセンサなど、各種車載センサの測定情報を利用した自律航法方式の2種類があり、これらを併用することによって、高精度に自車の位置を検出することが出来る。
【0003】
トンネル内などGPS衛星からの電波を受信することができない環境下では、自律航法方式のみを用いて車両位置を検出せざるを得ない。しかし、自律航法方式による位置測定では、車両の進行方位が変化したり走行距離が長くなるに従って誤差が蓄積し、検出精度が低くなるという問題点がある。
【0004】
これに対して特許文献1では、車両に設置した撮像カメラと画像処理部により、トンネル内の照明と自車との相対的な位置関係を検出し、トンネル内での自車位置を特定するトンネル内位置検出装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−240380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のトンネル内位置検出装置は、撮影画像を用いて位置検出を行うので、時間帯による照明の明るさ変化や、高湿度によるカメラの結露といったトンネル内の環境変化の影響を受け易く、画像認識の精度が低いという問題点がある。
【0007】
さらに、画像認識を行う画像処理手段を新たに追加する必要がある他、自車がトンネルに侵入したことを検知する光センサーも必要であり、装置の構成が複雑になるという問題点もある。
【0008】
本発明は上述の問題点に鑑み、簡単な構成で精度良く車両の位置を検出する車両位置検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両位置検出装置は、GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する地物センサーと、道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた地物位置情報を取得する地物位置情報取得手段と、前記地物センサーの感知結果と前記地物位置情報との比較に基づき、前記車両の位置を検出する車両位置検出手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両位置検出装置は、GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する地物センサーと、道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた地物位置情報を取得する地物位置情報取得手段と、前記地物センサーの感知結果と前記地物位置情報との比較に基づき、前記車両の位置を検出する車両位置検出手段とを備えるので、簡単な構成で高精度に車両の位置を検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】前提技術に係る車両位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】突起物位置情報作成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】突起物位置情報の調査方法を説明する図である。
【図4】エッジテーブルとエッジデータを示す図である。
【図5】エッジテーブルの作成方法を説明する図である。
【図6】変動量と変動レベルの関係を示す図である。
【図7】エッジテーブルを示す図である。
【図8】車両位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態1に係る車両位置検出装置の車両位置検出動作を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係る車両位置検出装置の位置情報取得動作を示すフローチャートである。
【図11】地物センサーのサンプリング周期の設定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<A.前提技術>
本発明の前提技術として、画像認識を用いた車両位置検出装置の構成を図1に示す。図1に示す車両位置検出装置100は、撮像カメラ101,102、画像処理手段107、光センサー103、マイクロコントローラ104、メモリ105、出力手段106を備えている。撮像カメラ101,102と光センサー103は車両に設置され、光センサー103により車両がトンネルに進入したことを検知する。画像処理手段107は、撮像カメラ101,102の撮影画像からトンネル内の照明と自車との角度を認識する。マイクロコントローラ112は、画像処理手段107が認識したトンネル内の照明と自車との角度から、当該照明と自車との距離を算出する。照明の位置から自車の位置を検出することが可能である。
【0013】
このような画像認識を用いた車両位置検出装置によれば、トンネルに侵入したことを判断するための光センサー、撮像カメラ、及び画像処理手段が必要になるため、装置構成が複雑になってしまう。さらに、画像処理の対象となるデータ量が大きいため画像処理手段にはある程度の処理能力が求められる。また、画像認識の結果はトンネル内の環境変化によって左右されてしまい、精度が低いという問題がある。
【0014】
そこで、本発明では画像認識によらず、車両上部の地物を感知する測距センサーを用いることにより、より簡単な装置構成で、GPS情報が十分に取得できない環境下での車両位置の推定を可能にする。
【0015】
<B.実施の形態1>
トンネルの内壁面には、看板や照明、ファンなどの突起物が設置されている。車両に設置した測距センサーで車両上方との距離を測定しながらトンネルを走行した場合、測定距離は突起物の出現によって変動するので、測定距離の変動から突起物を検出することが可能である。そこで、トンネル内の突起物に関する位置情報(突起物位置情報)を予め取得しておけば、車両が突起物を通過したタイミングで車両の位置を検出することが可能である。
【0016】
本発明は突起物位置情報を用いて車両の位置を検出する車両位置検出装置に関するものである。まず、突起物位置情報を作成する突起物位置情報作成装置について説明する。
【0017】
<B−1.突起物位置情報>
図2に、突起物位置情報作成装置1の構成を示す。突起物位置情報作成装置1は、測距センサーである突起物センサー2と、突起物センサー2の測定結果から突起物位置情報を作成するマイクロコントローラ3とを備えている。
【0018】
突起物センサー2は、例えば超音波センサーであって図3に示すように調査車両に設置され、上方に向けてセンサー信号2aを出力し、センサー信号2aの出力範囲内に存在するトンネル壁面8や、トンネル壁面8に設置された看板6や照明7などの突起物との距離を測定する。センサー信号2aの出力範囲に複数の突起物がある場合、突起物センサー2は最も近接した突起物との距離を測定する。突起物センサー2は、調査車両がトンネルに進入してから通過するまで所定のサンプリング間隔で測定を行い、測定結果をマイクロコントローラ3に出力する。
【0019】
マイクロコントローラ3は、突起物センサー2の測定結果からエッジを検出してエッジデータを作成するエッジ検出手段4と、当該エッジデータからエッジテーブルを作成するエッジテーブル作成手段5とを備えている。
【0020】
図3には、突起物センサー2の測定距離を時系列でグラフ表示したものを併せて示している。以下、このグラフに基づき突起物センサー2の測定動作を説明する。調査車両がトンネル外を走行している間は、突起物センサー2の測定範囲内に地物が存在しないので、突起物センサー2は測定不能の状態である。トンネル内に進入すると、突起物センサー2はトンネル壁面との距離を測定する。図では、測定不能状態からの変動を立下りエッジで表現している。次に、調査車両が看板の下を走行すると、突起物センサー2は看板との距離を測定するので、測定距離は小さくなり立下りエッジが発生する。看板を通過すると、突起物センサー2は再びトンネル壁面との距離を測定するので、測定距離は大きくなり立上りエッジが発生する。
【0021】
このように、トンネル壁面8に設置された看板6が、突起物センサー2の測定距離の変動、すなわち、図3に示す立下りエッジと立上りエッジによって表現されている。エッジ検出手段4は、調査車両がトンネルの入口から出口まで走行した際の突起物センサー2の測定結果からエッジを検出してエッジデータを作成する。エッジテーブル作成手段5は、一つのトンネルについて全てのエッジデータをエッジの検出順に配列したエッジテーブルETを突起物位置情報として作成する。
【0022】
図4にエッジテーブルの概要を示す。エッジテーブルは1つのトンネルの1方向について作成され、トンネルの入口から出口にかけて走行した際にエッジが検出される順番に、エッジデータ(1)〜エッジデータ(N)が格納されている。各エッジデータは、エッジの検出順番を示すデータIDと、立上りエッジか立下りエッジかを示すエッジ方向と、測定距離の変動量から後述する方法によって算出する(トンネル壁面からの)高さレベルと、位置情報としての緯度経度が記されている。なお、エッジ方向の判定では、前回サンプリング点から測定距離が増加していれば立上りエッジとし、前回サンプリング点から測定距離が減少していれば立下りエッジとする。
【0023】
図5〜図7を用いて、高さレベルの算出方法を説明する。図5は、トンネル8を走行方向の側面から見た図であり、突起物センサー2の測定結果から算出した高さレベルを、サンプリング点と対応付けて表示している。トンネル壁面8には看板6や照明7が設置されている他、微小な突起物9が存在している。
【0024】
エッジ検出手段4は、突起物センサー2の測定結果から高さレベルを算出する。図5に示すように、調査車両がトンネル外にある時点では、突起物センサー2は測定不能状態にあり、高さレベルを−1とする。測定不能状態にあった突起物センサー2が初めて地物との距離を測定し、当該測定結果がエッジ検出手段4に渡されると、エッジ検出手段4は調査車両がトンネルに進入したことを把握する。トンネルに進入して最初に取得した測定値は、トンネル壁面8との距離を測定したものであると判断し、高さレベルを初期値として0と設定し、立下りエッジAを検出する。
【0025】
エッジ検出手段4は突起物センサー2から次の測定値を取得すると、前回の測定値からの変動量を算出し、さらに変動量を図6に例示する区分に従って変動レベルに変換する。そして、変動レベルを前回の高さレベルに加減算することによって、今回の高さレベルを算出する。突起物センサー2の測定値の前回測定値からの変動量が0m以上0.3m未満であれば、変動レベルは0であるので、高さレベルは前回から変動しない。つまり、エッジは発生しない。ここで、変動量0mだけでなく0.3m未満までを変動レベル0としているのは、微小な突起物9や調査車両の振動により生じる微小な変動量を、エッジとして検出しないためである。
【0026】
調査車両が看板に差し掛かると、突起物センサー2の測定距離は前回サンプリング点の測定距離よりも小さくなり、エッジ検出手段4は立下りエッジBを検出する。例えば前回の測定距離が5mであり、今回の測定距離が3mであるとすると、変動量は2mであるので、図6によれば変動レベルは3となる。立下りエッジであるので、前回の高さレベル0に変動レベル3を加算して、今回の高さレベルは3となる。このように、立下りエッジでは前回の高さレベルに変動レベルを加算して今回の高さレベルを算出する。
【0027】
調査車両が看板を通過すると、突起物センサー2の測定距離は前回サンプリング点の測定距離よりも大きくなり、エッジ検出手段4は立上りエッジCを検出する。前回の測定距離が3mであり、今回の測定距離が5mであるとすると、変動量は2mであるので、図6によれば変動レベルは3となる。立上りエッジであるので、前回の高さレベル3から変動レベル3を減算し、今回の高さレベルは0となる。このように、立上りエッジでは前回サンプリング点の高さレベルから変動レベルを減算して今回の高さレベルを算出する。
【0028】
次に、調査車両が照明に差し掛かると、突起物センサー2の測定距離は前回サンプリング点の測定距離よりも小さくなり、エッジ検出手段4は立下りエッジDを検出する。例えば前回の測定距離が5mであり、今回の測定距離が4.5mであるとすると、変動量は0.5mであるので、図6によれば変動レベルは1となる。立下りエッジであるので、前回の高さレベル0に変動レベル1を加算して、今回の高さレベルは1となる。
【0029】
調査車両が照明を通過すると、突起物センサー2の測定距離は前回サンプリング点の測定距離よりも大きくなり、エッジ検出手段4は立ち上りエッジEを検出する。例えば前回の測定距離が4.5mであり、今回の測定距離が5mであるとすると、変動量は0.5mであるので、図6によれば変動レベルは1となる。立ち上りエッジであるので、前回の高さレベル1から変動レベル1を減算して、今回の高さレベルは0となる。
【0030】
調査車両がトンネルを通過すると、突起物センサー2は測定不能の状態になる。エッジ検出手段4は高さレベルを−1として、立ち上がりエッジFを検出する。
【0031】
上記のように検出したエッジから、エッジテーブル作成手段5が突起物位置情報として作成するエッジテーブルを図7に示す。
【0032】
エッジテーブル作成手段5は、エッジ検出手段4が検出した各エッジのエッジデータをエッジの検出順に配列したエッジテーブルを作成する。エッジテーブルの先頭には識別コード、テーブルID、データ数が示されている。図7においてA〜Fで示すエッジデータは、それぞれ図5のエッジA〜Fに対応したエッジデータである。エッジデータは、エッジ方向と高さレベルの他、位置情報として緯度経度や、データIDを含んでいる。データIDは、エッジを検出した順番を示している。
【0033】
なお、進入方向が異なればエッジデータの配列は逆になるので、エッジテーブルは1つのトンネルについて進入方向別に2つ作成される。こうして作成されたエッジテーブルETは、図2に示すように地図データに含められ、例えばナビゲーション装置20の記憶媒体に格納される。
【0034】
<B−2.車両位置検出装置>
図8に、対象車両の位置を検出する車両位置検出装置の構成を示す。車両位置検出装置11は、対象車両に搭載された突起物センサー12と、マイクロコントローラ13と、メモリ18とを備える。
【0035】
突起物センサー12は突起物センサー2と同様の測距センサーであって、車両の上方の地物との距離を測定する。突起物センサー12は、例えば、対象車両がトンネルから所定距離内に近づいた時点で測定を開始する。
【0036】
マイクロコントローラ13は、エッジ検出手段14と、突起物位置情報取得手段16と、車両位置検出手段17とを備える。
【0037】
突起物位置情報取得手段16は、例えばGPS情報により対象車両がトンネルから所定距離内に近づいたと判断した時点で、進入方向に対応した当該トンネルのエッジテーブルETを突起物位置情報としてナビゲーション装置20の地図データから取得し、メモリ18に格納する。
【0038】
エッジ検出手段14は、随時突起物センサー12の測定結果を受け取ってエッジを検出し、検出したエッジのエッジ方向と高さレベルを算出する。エッジ方向や高さレベルの算出方法は、突起物位置情報作成装置1のマイクロコントローラ3におけるエッジ検出手段4と同様であるため、ここでは省略する。
【0039】
車両位置検出手段17は、エッジ検出手段14で検出したエッジ(以下、「検出エッジ」とも称する)と、メモリ18に格納したエッジテーブルETが整合しているか否かを判定し、整合している場合にはエッジテーブルETから位置情報を取得し、ナビゲーション装置20に出力する。整合判定の詳細については図9を用いて後述する。
【0040】
ナビゲーション装置20は、GPS情報を用いて車両位置の検出を行っているが、車両位置検出装置11から取得した位置情報を用いてGPS情報による測位を補完する。
【0041】
<B−3.位置情報取得動作>
図9は、マイクロコントローラ13の位置情報取得動作を示すフローチャートである。以下、図9に沿ってマイクロコントローラ13の位置情報取得動作を説明する。
【0042】
まず、突起物位置情報取得手段16は、トンネルから所定距離内に近づいたことをGPS情報から認識した時点で、ナビゲーション装置20から突起物位置情報としてエッジテーブルETを取得し(ステップS1)、以降の処理で使用するためメモリ18に格納する(ステップS2)。
【0043】
次に、エッジテーブルETのポインタ(カウンタ)を初期化する(ステップS3)。エッジテーブルETのポインタとは、後述するエッジの整合判定ステップにおいて、整合判定対象のエッジデータを示すものであり、先頭のエッジデータから順番に整合判定を行うためにポインタを初期化する。
【0044】
以上、説明したステップS1〜S3は対象車両がトンネルに進入する前に行う初期化処理である。
【0045】
突起物センサー12は、対象車両がトンネルに近づいた任意のタイミングで測定を開始し、エッジ検出手段14は、突起物センサー12の測定結果を取得する(ステップS4)。突起物センサー12は、所定のサンプリング周期でトンネル壁面8との距離や、トンネル壁面8に設置された看板などの突起物との距離を測定し、エッジ検出手段14は随時、測定結果を突起物センサー12から取得する。エッジ検出手段14は各測定結果についてエッジの有無を判定し、エッジを検出した場合には当該エッジの方向と高さレベルを算出する。
【0046】
エッジ検出手段14は、前回の測定距離から今回の測定距離への変動量が所定の閾値以上である場合に、変動のベクトルをエッジと検出する。エッジ方向の判定では、前回サンプリング点から測定距離が増加していれば立上りエッジとし、前回サンプリング点から測定距離が減少していれば立下りエッジとする。また、変動レベルを前回のエッジの高さレベルに加減算して、今回検出したエッジの高さレベルを算出する。その他、突起物センサー12が測定不能の状態から初めて測定距離を出力した場合にも、エッジを検出し、トンネル壁面8との距離を測定した値であると判断して高さレベルを0と設定する。また、突起物センサー12の測定結果が測定不能の状態に転じた場合にも、対象車両がトンネルを通過したものと判断してエッジを検出し、高さレベルを−1と設定する。
【0047】
次に、マイクロコントローラ13は突起物センサー12の測定結果から、対象車両がトンネル内にあるか否かを判定する(ステップS5)。突起物センサー12が測定不能であれば、対象車両がトンネルに未だ進入していないか、あるいは既にトンネルを通過したものと判断し(ステップS5でNO)、処理終了に分岐する。一方、突起物センサー12が有意の測定値を出力していれば、対象車両がトンネル内を走行中であると判断し(ステップS5でYES)、ステップS6に移行する。
【0048】
ステップS6では、ステップS4にてエッジを検出したか否かを判断し、エッジが無い場合、すなわち変動レベルが0の場合や、突起物センサー12が測定不能である場合は、ステップS4に戻って、サンプリング周期経過後に再び突起物センサー12から測定結果を取得する。一方、エッジが検出された場合は、車両位置検出手段17が位置情報取得処理を行う(ステップS7)。
【0049】
図10は、車両位置検出手段17が行う位置情報取得処理のフローチャートである。以下、位置情報取得処理について説明する。図10において、まずエッジの整合判定を行う(ステップS71)。すなわち、エッジ検出手段14が検出したエッジ(以下、検出エッジとも称する)とエッジテーブルETのポインタが指し示すエッジデータ(以下、指定エッジデータとも称する)とが整合しているか否かを判定し、エッジ方向と高さレベルが一致している場合に整合していると判定する。図7のエッジテーブルを例に説明すると、ポインタがエッジデータ(データID001)を示している場合、検出エッジとエッジデータ(データID001)との整合判定を行う。検出エッジが立下りエッジであり、高さレベルが0であれば整合していると判定する。
【0050】
例えばトンネル内の看板が増設されたり、あるいは撤去されたにも関わらず、エッジテーブルETが更新されていない場合には、検出エッジと指定エッジデータが整合しない。そのような場合は、エッジテーブルETの全てのエッジデータの中から検出エッジと整合するエッジデータを検索する(ステップS74)。
【0051】
ステップS74で検出エッジと整合するエッジデータが見つかった場合には(ステップS75でYES)、整合するエッジデータを指示するようにエッジテーブルETのポインタを補正する。例えば、検出エッジがステップS71でエッジデータ(データID002)と整合せず、ステップS74でエッジデータ(データID003)と整合したケースでは、エッジデータ(データID002)が表す突起物がトンネルから撤去されているにも関わらずエッジテーブルETに反映されていない。そこで、エッジテーブルETのポインタをエッジデータ(データID003)を示すように補正して、エッジデータ(データID002)を無視する。
【0052】
検出エッジがエッジテーブルET中のいずれのエッジデータとも整合しない場合には(ステップS75でNO)、検出エッジを廃棄する、すなわち読み捨てる(ステップS77)。このケースでは、トンネル内に突起物が増設されたにも関わらず、当該突起物を表すエッジデータがエッジテーブルETに追加されていない。
【0053】
図9のフローチャートに戻り、ステップS8でエッジテーブルETのポインタを更新し、エッジテーブルET内で次に配列されたエッジデータを整合判定対象に指定する。そして、エッジテーブルET内の全てのエッジデータについて整合判定を行った場合は(ステップS9でYES)、処理を終了する。一方、未だ整合判定を行っていないエッジデータがエッジテーブルET内に残っていれば(ステップS9でNO)、ステップS4に戻って、突起物センサー12の次の測定結果を取得する。
【0054】
このように、マイクロコントローラ13は、全てのエッジデータについて整合判定を行うまでステップS4〜S9を繰り返す。
【0055】
図10に示すステップS71で、検出エッジと指定エッジデータとが整合する場合は、一定回数連続して検出エッジとエッジテーブルETのポインタが指し示すエッジデータとが整合しているか否かを判断する(ステップS72)。ステップS72でYESであれば、今回整合がとれたエッジデータから位置情報として緯度経度情報を取得し、ナビゲーション装置20に緯度経度情報を引き渡す(ステップS73)。
【0056】
例えば、図7のエッジテーブルETを例に上記一定回数を2回とすると、1回目の検出エッジがエッジデータ(データID001)と整合し、さらにその次の検出エッジがエッジデータ(データID002)と整合した時点で、エッジデータ(データID002)から緯度経度情報を取得する。また、不整合が生じてエッジデータのポインタを補正(ステップS76)したり検出エッジを廃棄(ステップS77)した場合にも、その後一定回数連続して整合が取れた時点で、緯度経度情報を取得する。このように、一定回数連続して整合が取れることを緯度経度情報を取得する条件とすることによって、高精度に車両の位置情報を検出することが出来る。
【0057】
<B−4.サンプリング周期>
図6に示すように、エッジ検出手段14は前回の測定距離と今回の測定距離の変動量が0.3m未満の場合には、変動レベルを0とし、エッジを検出しない。このように、エッジを検出する変動量に閾値を設けている。
【0058】
図11には、トンネル内を走行する対象車両が車線8aから車線8bに車線変更する際の走行軌跡10と、対象車両に設置された突起物センサー12の測定距離の前回サンプリング点からの変動量のグラフを示している。変動量のグラフには、車線変更により生じた変動量と、突起物との距離を測定した際に生じた変動量とを示している。
【0059】
車線変更を行うと対象車両の位置がトンネル幅方向で変化するので、天井が地面と平行でないトンネルでは、突起物センサー12の測定距離が変動する。この変動は突起物によるものではないためエッジとして検出しないことが望ましい。
【0060】
車線変更による変動は突起物による変動と異なり緩やかであるという特徴がある。そのため、突起物センサー12のサンプリング周期Tsを短くするほど、車線変更による変動量は小さくなるのに対して、突起物による変動量は変化しない。さらに、車線変更による変動量は対象車両の走行速度にも左右され、高速で走行するほどサンプリング地点の間隔が広がるため変動量が大きくなる。そこで、対象車両が想定し得る走行速度の上限で走行した場合にも車線変更による変動量が閾値以下となるように、サンプリング周期Tsを予め設定しておく。これにより、車線変更による測定距離の変動を除外し、突起物による変動のみをエッジとして検出することが可能になり、精度良く位置情報を検出することが出来る。
【0061】
<変形例>
なお、本明細書において、突起物位置情報作成装置1が作成したエッジテーブルETは、地図データに含められてナビゲーション装置20の記憶媒体に格納され、車両位置検出装置11の突起物位置情報取得手段16は、ナビゲーション装置20からエッジテーブルETを取得するものと説明した。ここで、ナビゲーション装置20は車載のものの他、PNDなどの携帯端末であっても良い。また、エッジテーブルETは必ずしもナビゲーション装置20の記憶媒体に格納される必要はなく、GPS情報を受信可能な環境下で走行中の車両から取得可能な状態にあれば良い。
【0062】
また、突起物位置情報取得手段16は、GPS情報により対象車両がトンネルから所定距離内に近づいたと判断した時点でエッジテーブルETを取得すると説明したが、他の判定方法によっても良く、対象車両がトンネルに進入する前にエッジテーブルETを取得できれば良い。
【0063】
また、突起物センサー2,12は超音波センサーであると述べたが、例えばレーダー等、車両上方の地物を検出することが可能な他のセンサーであっても良い。
【0064】
また、本実施の形態ではトンネル内を走行中の車両の位置検出について説明したが、トンネル内に限らず、GPS情報を十分に受信することが出来ない他の環境下でも本発明に適用することが可能である。
【0065】
例えば、GPS電波がマルチパスとなるビル街では、信号や歩道橋などの位置情報を予め取得しておくことにより、車両に設置した測距センサー等で信号や歩道橋を感知した際に車両の位置情報を検出することが出来る。
【0066】
さらに、一般道路の上に高速道路が敷設されているような状況では、GPS情報で車両の位置を緯度経度で把握することが可能であるものの、いずれの道路を走行しているかを判断することは困難である。しかし、例えば車両に設置した測距センサーが地物を連続的に検出する場合には、高架下の一般道路を走行していると判断することが可能である。
【0067】
<効果>
本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置は、GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する突起物センサー12(地物センサー)と、道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた突起物位置情報(地物位置情報)を取得する突起物位置情報取得手段16(地物位置情報取得手段)と、突起物センサー12の感知結果と突起物位置情報との比較に基づき、車両の位置を検出する車両位置検出手段17と、を備える。車両上方の地物の感知結果に基づいて車両位置を検出するので、画像認識による方法を用いる場合に比べ、簡単な装置構成で車両位置の検出が可能である。
【0068】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、前記道路上方の地物はトンネル壁面であり、突起物センサー12はトンネル壁面の有無及び当該壁面の凹凸を感知する。トンネル壁面の有無や凹凸に基づき車両位置を検出することにより、画像認識による方法を用いる場合に比べて簡単な構成で車両位置検出装置を構成することが出来る。
【0069】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物位置情報と比較される突起物センサー12の感知結果は、所定の閾値を超える前記凹凸の感知結果にフィルタリングするので、突起物位置情報のデータ容量をコンパクトにすることが出来る。
【0070】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物位置情報と比較される突起物センサー12の感知結果は、前記凹凸の複数のエッジのパターンの感知結果を含むので、精度良く車両位置を検出することが可能である。
【0071】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物位置情報取得手段16は、車両の進行方向に応じた突起物位置情報を取得するので、精度良く車両位置を検出することが可能である。
【0072】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、車両位置検出手段17は、所定個数を超える前記エッジのパターンの前記地物位置情報との整合をもって、前記比較を有効と判定するので、精度良く車両位置を検出することが可能である。
【0073】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物センサー12は、車両が車線変更を行った際に生じるサンプリング点間の測定距離の変動量が所定の閾値未満となるサンプリング周期で測定を行うので、車線変更による測定距離の変動をトンネル壁面の凹凸による測定距離の変動と区別することにより、トンネル壁面の凹凸を精度良く感知することが出来る。
【0074】
また、本発明の実施の形態1に係る車両位置検出装置において、突起物位置情報取得手段16は、対象車両が前記地物から所定距離以内に近づいた際に突起物位置情報を取得する。GPS情報を取得できる環境下で事前に突起物位置情報を取得しておくことにより、GPS情報が取得できない環境下でも当該突起物位置情報を用いた車両位置の検出が可能である。
【0075】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 突起物位置情報作成装置、2,12 突起物センサー、2a センサー信号、3,13,104 マイクロコントローラ、4,14 エッジ検出手段、5 エッジテーブル作成手段、6 看板、7 照明、8 トンネル壁面、8a,8b 車線、9 微小突起、10 進路、11 車両位置検出装置、16 突起物位置情報取得手段、17 車両位置検出手段、18,105 メモリ、20 ナビゲーション装置、106 出力手段、100 車両位置検出装置、101,102 撮像カメラ、103 光センサー、107 画像処理手段、ET エッジテーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、
車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する地物センサーと、
道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた地物位置情報を取得する地物位置情報取得手段と、
前記地物センサーの感知結果と前記地物位置情報との比較に基づき、前記車両の位置を検出する車両位置検出手段と、
を備える車両位置検出装置。
【請求項2】
前記道路上方の地物はトンネル壁面であり、
前記地物センサーは前記トンネル壁面の有無及び当該壁面の凹凸を感知する、
請求項1に記載の車両位置検出装置。
【請求項3】
前記地物位置情報と比較される前記地物センサーの感知結果は、所定の閾値を超える前記凹凸の感知結果を含む、
請求項2に記載の車両位置検出装置。
【請求項4】
前記地物位置情報と比較される前記地物センサーの感知結果は、前記凹凸の複数のエッジのパターンの感知結果を含む、
請求項2又は3に記載の車両位置検出装置。
【請求項5】
前記地物位置情報取得手段は、前記車両の進行方向に応じた前記地物位置情報を取得する、
請求項4に記載の車両位置検出装置。
【請求項6】
前記車両位置検出手段は、所定個数を超える前記エッジのパターンの前記地物位置情報との整合をもって、前記比較を有効と判定する、
請求項4又は5に記載の車両位置検出装置。
【請求項7】
前記地物センサーは、前記車両が車線変更を行った際に生じるサンプリング点間の測定距離の変動量が所定の閾値未満となるサンプリング周期で測定を行う、
請求項2〜6のいずれかに記載の車両位置検出装置。
【請求項8】
前記地物位置情報取得手段は、前記車両が前記地物から所定距離以内に近づいた際に、前記地物位置情報を取得する、
請求項1〜7のいずれかに記載の車両位置検出装置。
【請求項1】
GPS電波による自車位置の測定を補助するための車両位置検出装置であって、
車両に設置され、当該車両の上方における地物を感知する地物センサーと、
道路上方の地物についての予めの調査結果に基づく情報を位置情報と紐付けた地物位置情報を取得する地物位置情報取得手段と、
前記地物センサーの感知結果と前記地物位置情報との比較に基づき、前記車両の位置を検出する車両位置検出手段と、
を備える車両位置検出装置。
【請求項2】
前記道路上方の地物はトンネル壁面であり、
前記地物センサーは前記トンネル壁面の有無及び当該壁面の凹凸を感知する、
請求項1に記載の車両位置検出装置。
【請求項3】
前記地物位置情報と比較される前記地物センサーの感知結果は、所定の閾値を超える前記凹凸の感知結果を含む、
請求項2に記載の車両位置検出装置。
【請求項4】
前記地物位置情報と比較される前記地物センサーの感知結果は、前記凹凸の複数のエッジのパターンの感知結果を含む、
請求項2又は3に記載の車両位置検出装置。
【請求項5】
前記地物位置情報取得手段は、前記車両の進行方向に応じた前記地物位置情報を取得する、
請求項4に記載の車両位置検出装置。
【請求項6】
前記車両位置検出手段は、所定個数を超える前記エッジのパターンの前記地物位置情報との整合をもって、前記比較を有効と判定する、
請求項4又は5に記載の車両位置検出装置。
【請求項7】
前記地物センサーは、前記車両が車線変更を行った際に生じるサンプリング点間の測定距離の変動量が所定の閾値未満となるサンプリング周期で測定を行う、
請求項2〜6のいずれかに記載の車両位置検出装置。
【請求項8】
前記地物位置情報取得手段は、前記車両が前記地物から所定距離以内に近づいた際に、前記地物位置情報を取得する、
請求項1〜7のいずれかに記載の車両位置検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−104692(P2013−104692A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246807(P2011−246807)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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