説明

車両周辺視認装置

【課題】運転者が、車両の走行状態に応じて必要性の高い範囲の画像を視認することができ、不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に運転を行うことができるようにする。
【解決手段】車両の状況を取得する状況取得装置と、前記車両の周辺を撮影する撮影装置と、該撮影装置が撮影した画像を表示する表示装置とを有する車両周辺視認装置であって、前記車両の後方の画像を前記表示装置に表示させるとともに、前記後方の画像中に前記車両の後端からの距離を表す目盛りを表示させ、前記状況取得装置が取得した車両の状況に基づいて前記目盛りの間隔を変更させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺視認装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載したカメラによって車両周辺の画像を撮影して、車両の運転を補助するための視認装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、車両が交差点に差し掛かると、車両の前方部分に取り付けられたカメラによって撮影した車両の左右方向の画像を表示させるようになっている。これにより、運転者は、運転席からは視認が困難な交差路を走行する他の車両等を視認することができる。
【特許文献1】特開2003−127772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の視認装置においては、車両が交差点に差し掛かるときに車両の前方部分における側方の画像を表示させるだけなので、他の状況下においては利用することができず、有用性に乏しかった。例えば、道路を走行中に車線変更を行う場合、後方から接近する他の車両や側方を走行する他の車両の有無を確認する必要があるが、車両の後方や側方の画像を表示させないので、運転者は車線変更のために必要な情報を的確に把握することができなかった。また、車両を後退させる際に車両の後方の画像を表示させる技術は既に提案されているが、車両の前進中に後方の画像を表示させることはできなかった。
【0004】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、車両の後方の画像を前記表示装置に表示させるとともに、前記後方の画像中に前記車両の後端からの距離を表す目盛りを表示させ、前記状況取得装置が取得した車両の状況に基づいて前記目盛りの間隔を変更させることによって、運転者が、車両の走行状態に応じて必要性の高い範囲の画像を視認することができ、不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に運転を行うことができる車両周辺視認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の車両周辺視認装置においては、車両の状況を取得する状況取得装置と、前記車両の周辺を撮影する撮影装置と、該撮影装置が撮影した画像を表示する表示装置とを有する車両周辺視認装置であって、前記車両の後方の画像を前記表示装置に表示させるとともに、前記後方の画像中に前記車両の後端からの距離を表す目盛りを表示させ、前記状況取得装置が取得した車両の状況に基づいて前記目盛りの間隔を変更させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両周辺視認装置は、車両の後方の画像を前記表示装置に表示させるとともに、前記後方の画像中に前記車両の後端からの距離を表す目盛りを表示させ、前記状況取得装置が取得した車両の状況に基づいて前記目盛りの間隔を変更させる。これにより、車両の走行状態に応じて必要性の高い範囲の画像を視認することができ、運転者は、不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に運転を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の実施の形態における車両周辺視認装置が取得する画像の範囲を示す図、図2は本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の構成を示す図である。
【0009】
図1及び2において、10は本実施の形態における車両周辺視認装置であり、25は該車両周辺視認装置10が搭載される車両である。該車両25は、乗用車、トラック、バス、二輪車等道路を走行可能なものであればいかなる種類のものであってもよいが、本実施の形態においては、説明の都合上、4つの車輪を備える乗用車であるものとして説明する。
【0010】
そして、前記車両周辺視認装置10は、図2に示されるような構成を有する。図2において、11は車両に搭載されたナビゲーション装置であり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、磁気テープ、磁気ドラム、フラッシュメモリ、CD−ROM、CD−R/W、MD、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R/W、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等の記憶手段、通信手段等を備える一種のコンピュータである。また、前記ナビゲーション装置11は、操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー、リモートコントローラ、タッチパネル等を備え、スイッチ入力(SW入力)を行うための図示されない入力装置、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、ホログラフィ装置等の表示装置17、マイクロホン等の図示されない音声入力装置、ラウドスピーカ、ヘッドホン等の音声出力装置18を有する。なお、前記表示装置17は、入力装置の機能を兼ね備えるタッチパネルであってもよい。
【0011】
また、21は前記車両に搭載されたカメラコントロール装置であり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、磁気テープ、磁気ドラム、フラッシュメモリ、CD−ROM、CD−R/W、MD、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R/W、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等の記憶手段等を備える一種のコンピュータである。そして、前記ナビゲーション装置11とカメラコントロール装置21とは、相互に通信可能に接続されている。なお、カメラコントロール装置21は、ナビゲーション装置11に内蔵されていてもよい。
【0012】
本実施の形態において、車両25には、カメラコントロール装置21によって制御されるカメラとして、前側方カメラ22、側方カメラ23及び後方カメラ24が搭載されている。前記前側方カメラ22、側方カメラ23及び後方カメラ24は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像手段を備え、車体の前面部、側面部、後面部等に取り付けられ、車両25の周辺の範囲を撮影してその画像を取得し、取得した画像をカメラコントロール装置21に送信する。そして、図1に示されるように、前側方カメラ22は前側方撮像範囲26を撮影し、側方カメラ23は左側方撮像範囲27及び右側方撮像範囲28を撮影し、後方カメラ24は後方撮像範囲29を撮影する。また、前側方撮像範囲26には、前側撮像範囲26a、前端左側方撮像範囲26b及び前端右側方撮像範囲26cが含まれる。なお、図1に示される前側方撮像範囲26、左側方撮像範囲27、右側方撮像範囲28及び後方撮像範囲29の示す範囲は一例に過ぎず、適宜変更することができる。
【0013】
ここで、前記前側方カメラ22、側方カメラ23及び後方カメラ24は、各々、単数であっても複数であってもよい。例えば、前側方カメラ22は、前側撮像範囲26a、前端左側方撮像範囲26b及び前端右側方撮像範囲26cを各々撮影する3つのカメラを含むものであってもよいし、魚眼レンズ、プリズム、光ファイバ等の光学系を備え、前側撮像範囲26a、前端左側方撮像範囲26b及び前端右側方撮像範囲26cを1つのカメラで撮影するものであってもよい。また、側方カメラ23は、左側方撮像範囲27及び右側方撮像範囲28を各々撮影する2つのカメラを含むものであってもよいし、左側方撮像範囲27及び右側方撮像範囲28の各範囲を2つ以上のカメラで撮影するものであってもよい。さらに、後方カメラ24も2つ以上のカメラで後方撮像範囲29を撮影するものであってもよい。
【0014】
また、前記前側方カメラ22、側方カメラ23及び後方カメラ24は、ズームレンズ等の焦点可変機構を備え、接写や望遠まで撮影モードを変更することができるもの、すなわち、ズーミング動作が可能なものであってもよい。さらに、前記前側方カメラ22、側方カメラ23及び後方カメラ24は、上下又は左右に回動可能に取り付けられ、撮影範囲を上下又は左右に移動させることができるもの、すなわち、チルティング動作又はパニング動作が可能なものであってもよい。この場合、前側方カメラ22、側方カメラ23及び後方カメラ24のズーミング動作、チルティング動作及びパニング動作は、カメラコントロール装置21によって制御される。
【0015】
そして、前記ナビゲーション装置11には位置検出手段12が接続されている。該位置検出手段12は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信された電波を受信することによって、地球上における現在位置を検出するGPSセンサ、地磁気を検出する地磁気センサ、車両の走行距離を検出する距離センサ、車両が向いている方位を検出するジャイロセンサ、道路に沿って配設されたビーコンからの位置情報を受信して現在位置を検出するビーコンセンサ、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ、運転者が操作するブレーキペダルの動きを検出するブレーキセンサ、運転者が操作するウィンカスイッチの動きを検出するウィンカセンサ、運転者が操作する変速機のシフトレバーの動きを検出するシフトレバーセンサ、高度計、車両の走行速度、すなわち、車速を検出する車速センサ等の各種センサによって、車両の現在位置、車速、車両の加速度、車両の向いている方位等を検出する。そして、前記ナビゲーション装置11は、位置検出手段12が検出した車両の現在位置、車速、車両の加速度、車両の向いている方位等に基づいて、ナビゲーション処理を実行する。なお、位置検出手段12は、ナビゲーション装置11に内蔵されていてもよい。
【0016】
また、該ナビゲーション装置11には、施設や地点を検索したり経路を探索したりするために必要な地図情報を格納する地図情報データベース13が接続されている。該地図情報データベース13は、道路データファイルを備える。ここで、該道路データファイルは、細街路も含めたすべての道路、例えば、日本全国のすべての道路に関するデータを格納する。ここで、前記道路データファイルには、交差点データ、ノードデータ、道路データ、交通規制データ及び経路表示データも格納されている。そして、前記交差点データには、データが格納されている交差点の数に加え、それぞれの交差点に関するデータが交差点データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。さらに、それぞれの前記交差点データには、該当する交差点に接続する道路、すなわち、接続道路の数に加え、それぞれの接続道路を識別するための番号が付与されて格納されている。なお、前記交差点データには、交差点の種類、すなわち、交通信号灯器の設置されている交差点であるか又は交通信号灯器の設置されていない交差点であるかの区別が含まれていてもよい。また、前記ノードデータは、地図データファイルに記録されたデータにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)、ノード、及び、各ノード間を連結するリンクを示すデータから成る。さらに、前記ノードは、少なくとも道路の屈曲点の位置を示す。
【0017】
また、前記道路データファイルには、データが格納されている道路の数に加え、それぞれの道路に関するデータが道路データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。そして、それぞれの前記道路データには、道路種別、それぞれの道路の長さとしての距離、それぞれの道路を走行するのに要する時間としての旅行時間等が格納されている。さらに、前記道路種別には、国道、県道、主要地方道、一般道、高速道路等の行政道路属性が含まれる。
【0018】
なお、前記道路データには、道路自体について、幅員、勾(こう)配、カント、高度、バンク、路面の状態、中央分離帯があるか否か、道路の車線数、該車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等のデータが含まれることが望ましい。そして、高速道路や幹線道路の場合、対向方向の車線のそれぞれが別個の道路データとして格納され、二条化道路として処理される。例えば、片側2車線以上の幹線道路の場合、二条化道路として処理され、上り方向の車線と下り方向の車線は、それぞれ、独立した道路として道路データに格納される。さらに、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等のデータが含まれることが望ましい。また、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路等の道路属性が含まれていてもよい。さらに、該道路属性については、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路、道路種別等のデータが含まれる。そして、前記地図データファイルは、地図を描画するためのノード、リンク、座標、施設名称等の地図情報を格納する。
【0019】
また、前記地図情報データベース13は、地図を描画するためのデータを格納する地図データファイル、POI(Point of Interest)データファイル等を有することが望ましい。ここで、前記地図データファイルは、地図を描画するためのノード、リンク、座標、施設名称等のデータを格納する。また、前記POIデータファイルは、出発地、目的地、通過点等となる地点を検索するための施設データ、タウンページ(R)データ、イベントデータ等を格納する。なお、地図情報データベース13は、ナビゲーション装置11に内蔵されていてもよい。
【0020】
さらに、該ナビゲーション装置11にはセンサ信号取得処理装置14が接続されている。該センサ信号取得処理装置14は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段等を備える一種のコンピュータであるが、ナビゲーション装置11に内蔵されていてもよい。そして、前記センサ信号取得処理装置14には、車両25の前後左右の4つの角、すなわち、コーナ部に配設されたコーナセンサ15、及び、運転者が操作するステアリングの舵(だ)角を検出するステアリングセンサ16が接続されている。前記コーナセンサ15は、例えば、超音波センサ、レーザレーダ、ミリ波レーダ等の距離測定用センサであり、車両25のコーナ部が障害物に所定の設定距離まで接近したことを検出する。なお、前記コーナセンサ15は、車両25の一部のコーナ部のみに配設されていてもよい。また、前記設定距離は任意に調整することができる。そして、センサ信号取得処理装置14は、コーナセンサ15及びステアリングセンサ16から取得した検出信号を処理してナビゲーション装置11に送信する。
【0021】
本実施の形態において、車両周辺視認装置10は、機能の観点から、車両25の状況を取得する状況取得装置と、車両25の周辺を撮影する撮影装置とを有する。この場合、状況取得装置には、ナビゲーション装置11、位置検出手段12、地図情報データベース13、センサ信号取得処理装置14、コーナセンサ15及びステアリングセンサ16が含まれる。また、撮影装置には、カメラコントロール装置21、前側方カメラ22、側方カメラ23及び後方カメラ24が含まれる。そして、車両周辺視認装置10は、状況取得装置が取得した車両25の状況に基づいて道路上を走行中であると判定すると、高速で走行している場合には、車両25の後方の画像を表示装置17に表示させるとともに、後方の画像中に目盛りが付与された車両25の延長線を表示させ、低速で走行している場合に車両25が旋回するときは、該車両25の旋回方向における側方の画像を表示装置17に表示させるようになっている。
【0022】
次に、前記構成の車両周辺視認装置10の動作について説明する。
【0023】
図3は本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の全体的な動作を示すフローチャートである。
【0024】
まず、車両周辺視認装置10は自車位置を取得する。この場合、位置検出手段12がGPSセンサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ等の各種センサによって検出した車両25の現在位置を自車位置として取得する。続いて、車両周辺視認装置10はナビ地図データベースの読み出しを行う。この場合、地図情報データベース13から、自車位置の地図情報を読み出す。該地図情報には、自車位置の道路に関するデータや施設データが含まれている。
【0025】
続いて、車両周辺視認装置10は自車位置が道路上から外れたか否かを判定する。すなわち、車両25の現在位置の属性を判定する。そして、自車位置が道路上から外れた場合、自車位置が駐車場内や施設の敷地内にあると推定することができるので、駐車用処理を実行する。ここで、ショッピングセンタ、テーマパーク、ゴルフ場等の比較的大型の施設のデータは地図情報データベース13に格納されているので、自車位置がこれらの施設の敷地内にある場合は、自車位置がこれらの施設の駐車場、駐車場への連絡道路等にあると考えられる。また、自車位置が地図情報データベース13に格納された施設の敷地内にない場合であっても、道路上から外れたときは、自車位置が道路脇(わき)に存在する商店の駐車場等のような駐車場にある蓋(がい)然性が高いと考えられる。そこで、本実施の形態においては、自車位置が道路上から外れた場合には駐車用処理を実行する。
【0026】
また、自車位置が道路上から外れていない場合、すなわち、道路上を走行中である場合、車両周辺視認装置10は自車位置が一般道路上か否かを判定する。この場合、該一般道路は、行政道路属性における国道、県道、主要地方道、一般道等の道路であり、高速道路及び細街路は含まないものとする。そして、自車位置が一般道路上の場合、一般道路用処理を実行する。
【0027】
一方、自車位置が一般道路上でない場合、車両周辺視認装置10は自車位置が高速道路上か否かを判定する。この場合、該高速道路は、東名高速道路、名神高速道路等の都市間高速道路だけでなく、首都、阪神、名古屋、福岡・北九州等の地域において供用に付されている都市高速道路も含むものとする。そして、自車位置が高速道路上の場合、高速道路用処理を実行する。
【0028】
さらに、自車位置が高速道路上でない場合、車両周辺視認装置10は自車位置が細街路上か否かを判定する。この場合、該細街路は、一般的に、生活道路のように地域の住人が生活のために使用する道路であって、交通量が少ない道路のことであるが、ここでは幅員が所定値、例えば、5.5〔m〕以下の道路を細街路とする。そして、自車位置が細街路上の場合、細街路用処理を実行する。なお、自車位置が細街路上でない場合には、そのまま処理を終了する。
【0029】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 自車位置を取得する。
ステップS2 ナビ地図データベースの読み出しを行う。
ステップS3 自車位置が道路上から外れたか否かを判定する。自車位置が道路上から外れた場合はステップS4に進み、自車位置が道路上から外れていない場合はステップS5に進む。
ステップS4 駐車用処理を実行し、処理を終了する。
ステップS5 自車位置が一般道路上か否かを判定する。自車位置が一般道路上である場合はステップS6に進み、自車位置が一般道路上でない場合はステップS7に進む。
ステップS6 一般道路用処理を実行し、処理を終了する。
ステップS7 自車位置が高速道路上か否かを判定する。自車位置が高速道路上である場合はステップS8に進み、自車位置が高速道路上でない場合はステップS9に進む。
ステップS8 高速道路用処理を実行し、処理を終了する。
ステップS9 自車位置が細街路上か否かを判定する。自車位置が細街路上である場合はステップS10に進み、自車位置が細街路上でない場合は処理を終了する。
ステップS10 細街路用処理を実行し、処理を終了する。
【0030】
次に、駐車用処理の動作について説明する。
【0031】
図4は本発明の実施の形態における駐車用処理の動作の際に表示される画面例を示す図、図5は本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の駐車用処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、図4(a−1)及び(b−1)は分割された画面の表示内容を示し、図4(a−2)及び(b−2)は画面表示例を示す。
【0032】
まず、駐車用処理が開始されると、車両周辺視認装置10は駐車開始操作が行われたか否か、すなわち、駐車開始操作ありか否かを判定する。この場合、駐車開始操作とは、例えば、運転者によるリバース(後退)ギヤへのシフト変更、後退灯(バックランプ)の点灯、運転者による駐車開始操作を示すスイッチの入力操作等である。
【0033】
そして、駐車開始操作が行われた場合、車両周辺視認装置10は、後方カメラ24によって撮影された車両25の後方の画像としての後方カメラ画像、及び、側方カメラ23によって撮影された車両25の側方の画像としての側方カメラ画像を表示させる。この場合、図4(a−2)に示されるような画面31が表示装置17に表示される。なお、画面31は、図4(a−1)に示されるように、後方カメラ画像が表示される後方カメラ画面31a、左側の側方カメラ画像が表示される側方カメラ画面(左)31b、右側の側方カメラ画像が表示される側方カメラ画面(右)31c及びコーナセンサアイコンが表示されるコーナセンサアイコン画面31dの4つの画面に分割されている。
【0034】
ここで、車両周辺視認装置10は、自車位置が道路上から外れている場合、車両25の進行方向に係わらず駐車が行われると判定するようになっている。そのため、前記画面31は、自車位置が駐車場内から道路上に出るまで保持される。すなわち、車両25が駐車場内にいる間は、リバースギヤが解除されても、図4(a−2)に示されるような画面31の表示が継続される。また、図4(a−2)に示される例においては、車両25の前方が図4における下方を向くように表示されているが、後方カメラ画面31a、側方カメラ画面(左)31b、側方カメラ画面(右)31c及びコーナセンサアイコン画面31dは、車両25の進行する向き等に応じて垂直反転等の処理を行うことによって、表示の向きを変更することができる。
【0035】
続いて、車両周辺視認装置10は、ステアリングセンサ16が検出したステアリングの舵角の読み取りを行う。そして、読み取ったステアリングの舵角に基づいて、図4(a−2)に示されるような全体予想進路線32、側方予想進路線33等の補助線の描画を行う。なお、図4(a−2)において、全体予想進路線32は車両25の後部の予測軌跡を示し、側方予想進路線33は車両25の前側端部、すなわち、前コーナ部の予測軌跡を示している。ここで、側方予想進路線33は、車両25が前進しているときには、左側又は右側の側方カメラ画像のうちの旋回内側に対応する画像内に描画され、旋回内側における後側端部、すなわち、後ろコーナ部又は後輪の予想進路を示す。また、車両25が後退しているときには、左側又は右側の側方カメラ画像のうちの旋回外側に対応する画像内に描画され、旋回外側における前コーナ部の予想進路を示す。なお、駐車開始操作が行われなかった場合、車両周辺視認装置10は、側方カメラ画像を表示させ、後方カメラ画像及び側方カメラ画像の表示から補助線の描画までの動作を行わない。
【0036】
続いて、車両周辺視認装置10は、車両25のコーナ部が障害物に設定距離まで接近したことをコーナセンサ15が検出したか否か、すなわち、コーナセンサ15の警告ありか否かを判定する。そして、コーナセンサ15が検出していない場合には、そのまま処理を終了する。また、コーナセンサ15が検出した場合、警告を出力する必要があるものとして、図4(b−2)に示されるように、該当するコーナ部の強調表示を行う。図4(b−2)に示される例においては、該当するコーナ部が枠35で囲まれて強調されている。この場合、運転者の注意を喚起するために、前記枠35内の色調を他の部分と相違させてもよいし、前記枠35内の画像を点滅させてもよいし、前記枠35内の画像だけを拡大させてもよい。また、コーナセンサアイコン画像34を表示させてもよい。さらに、音声出力装置18から警告音を出力させてもよい。
【0037】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS401 駐車開始操作ありか否かを判定する。駐車開始操作ありの場合はステップS402に進み、駐車開始操作なしの場合はステップS407に進む。
ステップS402 後方カメラ画像及び側方カメラ画像を表示させる。
ステップS403 ステアリングの舵角の読み取りを行う。
ステップS404 補助線の描画を行う。
ステップS405 コーナセンサ15の警告ありか否かを判定する。コーナセンサ15の警告ありの場合はステップS406に進み、コーナセンサ15の警告なしの場合は処理を終了する。
ステップS406 コーナセンサ15検出側のカメラ画像を強調表示し、処理を終了する。
ステップS407 側方カメラ画像を表示させる。
【0038】
次に、一般道路用処理の動作について説明する。
【0039】
図6は本発明の実施の形態における一般道路用処理の動作の際に表示される画面例を示す図、図7は本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の一般道路用処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、図6(a−1)、(b−1)及び(c−1)は分割された画面の表示内容を示し、図6(a−2)、(b−2)及び(c−2)は画面表示例を示す。
【0040】
まず、一般道路用処理が開始されると、車両周辺視認装置10は高速走行中か否かを判定する。この場合、位置検出手段12が検出した車速に基づき、あらかじめ設定された一般道路における所定速度、例えば、20〔km/h〕より高速であるか否かが判定される。
【0041】
そして、前記所定速度より高速である場合、すなわち、高速で走行している場合、車両25は道なりに走行していると考えることができるので、車両周辺視認装置10は、車線変更に備えて、後方カメラ24によって撮影された後方カメラ画像を表示させる。この場合、図6(a−2)に示されるような画面41が表示装置17に表示される。なお、画面41は、図6(a−1)に示されるように、後方カメラ画像が表示される後方カメラ画面41a、及び、ナビゲーション装置11によるナビゲーション画像が表示されるナビ画面41bの2つの画面に分割されている。そして、ナビゲーション画像中には、自車位置を示す自車位置マーク43、道路を示す道路ライン44等が表示される。
【0042】
また、車両周辺視認装置10は、後方カメラ画像に一般道路における後方監視用補助線42、すなわち、一般道路用補助線を描画する。後方監視用補助線42は、車両25の両側の位置を後方に延長した車両25の延長線であり、目盛りとしての距離目安補助線42aが付与されている。該距離目安補助線42aは、車両25の後端からの距離の目安となるものである。なお、前記後方監視用補助線42は、両隣の車線上に描画することもできる。この場合、車両25が片側2車線の道路を走行中のときには、車線の位置を検出して、片側のみに後方監視用補助線42を描画するようにしてもよい。なお、距離目安補助線42aの間隔は、例えば、一般的な乗用車の全長である5〔m〕とすることが望ましい。これにより、運転者は、自分の運転している車両25と後方に位置する他の車両との距離を把握することができる。また、距離目安補助線42aの間隔は、運転者が一般道路、高速道路等の道路種別毎に設定することもできるし、走行速度毎に設定することもできる。例えば、一般道路では10〔m〕間隔とし、高速道路では30〔m〕間隔とすることができる。また、走行速度が60〔km/h〕未満では10〔m〕間隔とし、60〔km/h〕以上では30〔m〕間隔とすることができる。さらに、前記後方監視用補助線42及び距離目安補助線42aは、後方カメラ画像中に他の車両が認識された場合にのみ表示されるようにしてもよい。
【0043】
続いて、車両周辺視認装置10は、車両25の方向指示器が作動しているか否かを判定する。そして、方向指示器が作動している場合、車線変更をすると考えられるので、車両周辺視認装置10は方向指示器作動側、すなわち、旋回方向の側方カメラ画像を表示させる。この場合、側方カメラ23によって撮影された側方カメラ画像を表示させる画面を後方カメラ画面41aとともに表示装置17に表示させることが望ましい。これにより、運転者は、後方から追い越しをかけて来る他の車両を視認することができる。なお、方向指示器が作動していない場合には、車線変更をしないと考えられるので、側方カメラ画像を表示させる必要がない。また、方向指示器の作動に代えて、ステアリングセンサ16が検出したステアリングの舵角に基づいて、車線変更をするか否かを判定するようにしてもよい。
【0044】
一方、所定速度より高速でない場合、すなわち、低速で走行している場合、車両周辺視認装置10は、自車位置は交差点手前であるか否かを判定する。この場合、自車位置からあらかじめ設定された所定距離、例えば、30〔m〕前方までの範囲に交差点があるか否かを判断する。そして、所定距離前方までの範囲に交差点がある場合、交差点手前であるとして、前記交差点が案内ルートの右左折ポイントか否かを判定する。すなわち、ナビゲーション装置11によって目的地までのルート(経路)案内が行われている場合におけるルート上で右折又は左折を行う右左折地点に前記交差点が該当するか否かを判定する。そして、前記交差点が案内ルートの右左折ポイントである場合には、右折又は左折を行うと考えられるので、車両周辺視認装置10は、旋回方向の側方カメラ画像に切り替える。すなわち、旋回方向の側方カメラ画像を表示装置17に表示させる。
【0045】
また、自車位置が交差点手前でない場合、及び、自車位置が交差点手前であっても、該交差点が案内ルートの右左折ポイントでない場合、車両周辺視認装置10は、車両25の方向指示器が作動しているか否かを判定する。そして、方向指示器が作動している場合、右折又は左折を行うと考えられるので、車両周辺視認装置10は、旋回方向の側方カメラ画像に切り替え、旋回方向の側方カメラ画像を表示装置17に表示させる。この場合、図6(b−2)に示されるような画面41が表示装置17に表示される。なお、図6(b−2)は、車両25が交差点において左折する場合の例を示している。そして、画面41は、図6(b−1)に示されるように、側方カメラ画像が表示される側方カメラ画面41c、コーナセンサアイコンが表示されるコーナセンサアイコン画面41d、及び、ナビゲーション装置11によるナビゲーション画像が表示されるナビ画面41bの3つの画面に分割されている。
【0046】
続いて、車両周辺視認装置10は、ステアリングセンサ16が検出したステアリングの舵角の読み取りを行う。そして、読み取ったステアリングの舵角に基づいて、図6(b−2)に示されるような側方予想進路線45等の補助線の描画を行う。なお、図6(b−2)において、側方予想進路線45は、車両25が前進しているので、旋回内側における後ろコーナ部又は後輪の予想進路として、車両25の左後ろコーナ部又は左後輪の予想軌跡を示している。
【0047】
続いて、車両周辺視認装置10は、車両25のコーナ部が障害物に設定距離まで接近したことをコーナセンサ15が検出したか否か、すなわち、コーナセンサ15の警告ありか否かを判定する。そして、コーナセンサ15が検出していない場合には、そのまま処理を終了する。また、コーナセンサ15が検出した場合、警告を出力する必要があるものとして、図6(c−2)に示されるように、該当するコーナ部の強調表示を行う。図6(c−2)に示される例においては、該当するコーナ部が枠46で囲まれて強調されている。この場合、運転者の注意を喚起するために、前記枠46内の色調を他の部分と相違させてもよいし、前記枠46内の画像を点滅させてもよいし、前記枠46内の画像だけを拡大させてもよい。また、コーナセンサアイコン画像を表示させてもよい。さらに、音声出力装置18から警告音を出力させてもよい。
【0048】
なお、所定速度より高速である場合において、旋回方向の側方カメラ画像を表示装置17に表示させた後、及び、方向指示器が作動していないとき、並びに、所定速度より高速でない場合において方向指示器が作動していないときも、車両周辺視認装置10はコーナセンサ15の警告ありか否かを判定する。
【0049】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS601 高速走行中であるか否かを判定する。高速走行中である場合はステップS602に進み、高速走行中でない場合はステップS606に進む。
ステップS602 後方カメラ画像を表示させる。
ステップS603 一般道路用補助線を描画する。
ステップS604 方向指示器が作動しているか否かを判定する。方向指示器が作動している場合はステップS605に進み、方向指示器が作動していない場合はステップS612に進む。
ステップS605 方向指示器作動側の側方カメラ画像を表示させる。
ステップS606 自車位置は交差点手前であるか否かを判定する。自車位置は交差点手前である場合はステップS607に進み、自車位置は交差点手前でない場合はステップS608に進む。
ステップS607 案内ルートの右左折ポイントであるか否かを判定する。案内ルートの右左折ポイントである場合はステップS609に進み、案内ルートの右左折ポイントでない場合はステップS608に進む。
ステップS608 方向指示器が作動しているか否かを判定する。方向指示器が作動している場合はステップS609に進み、方向指示器が作動していない場合はステップS612に進む。
ステップS609 旋回方向の側方カメラ画像に切り替える。
ステップS610 ステアリングの舵角の読み取りを行う。
ステップS611 補助線の描画を行う。
ステップS612 コーナセンサ15の警告ありか否かを判定する。コーナセンサ15の警告ありの場合はステップS613に進み、コーナセンサ15の警告なしの場合は処理を終了する。
ステップS613 コーナセンサ15検出側のカメラ画像を強調表示し、処理を終了する。
【0050】
次に、高速道路用処理の動作について説明する。
【0051】
図8は本発明の実施の形態における高速道路用処理の動作の際に表示される画面例を示す図、図9は本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の高速道路用処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、図8(a−1)及び(b−1)は分割された画面の表示内容を示し、図8(a−2)及び(b−2)は画面表示例を示す。
【0052】
まず、高速道路用処理が開始されると、車両周辺視認装置10は高速域で走行中か否かを判定する。この場合、位置検出手段12が検出した車速に基づき、あらかじめ設定された高速道路における所定速度、例えば、60〔km/h〕より高速であるか否かが判定される。
【0053】
そして、前記所定速度より高速である場合、すなわち、高速で走行している場合、車両25は高速走行中であり、渋滞に巻き込まれていないと考えることができるので、車両周辺視認装置10は、車線変更に備えて、後方カメラ24によって撮影された後方カメラ画像を表示させる。この場合、図8(a−2)に示されるような画面51が表示装置17に表示される。なお、画面51は、図8(a−1)に示されるように、後方カメラ画像が表示される後方カメラ画面51a、及び、ナビゲーション装置11によるナビゲーション画像が表示されるナビ画面51bの2つの画面に分割されている。そして、ナビゲーション画像中には、自車位置を示す自車位置マーク53、道路を示す道路ライン54等が表示される。また、車両周辺視認装置10は、後方カメラ画像に高速道路における後方監視用補助線52、すなわち、高速道路用補助線を描画する。後方監視用補助線52は、車両25の両側の位置を後方に延長した車両25の延長線であり、目盛りとしての距離目安補助線52aが付与されている。該距離目安補助線52aは、車両25の後端からの距離の目安となるものである。なお、前記距離目安補助線52aの間隔は、一般道路の場合よりも長くし、例えば、車間距離確認標識と同様に、50〔m〕とすることが望ましい。これにより、運転者は、自分の運転している車両25と後方に位置する他の車両との距離を把握することができる。また、距離目安補助線52aの間隔は、運転者が一般道路、高速道路等の道路種別毎に設定することもできるし、走行速度毎に設定することもできる。例えば、一般道路では10〔m〕間隔とし、高速道路では30〔m〕間隔とすることができる。また、走行速度が60〔km/h〕未満では10〔m〕間隔とし、60〔km/h〕以上では30〔m〕間隔とすることができる。さらに、前記後方監視用補助線52及び距離目安補助線52aは、後方カメラ画像中に他の車両が認識された場合にのみ表示されるようにしてもよい。
【0054】
続いて、車両周辺視認装置10は、車両25の方向指示器が作動しているか否かを判定する。そして、方向指示器が作動している場合、車線変更をすると考えられるので、車両周辺視認装置10は方向指示器作動側、すなわち、旋回方向の側方カメラ画像を表示させる。
【0055】
この場合、図8(b−2)に示されるように、側方カメラ23によって撮影された側方カメラ画像を表示させる側方カメラ画面51cを後方カメラ画面51aとともに表示装置17に表示させる。そして、画面51は、図8(b−1)に示されるように、後方カメラ画像が表示される後方カメラ画面51a、及び、側方カメラ画像を表示させる側方カメラ画面51cの2つの画面に分割されている。これにより、運転者は、後方から追い越しをかけて来る他の車両を視認することができる。また、後方カメラ画面51a及び側方カメラ画面51cを同時に表示させる場合、垂直反転等の処理を行うことによって、後方カメラ画面51aの向きに合わせて側方カメラ画面51cの向きを変更することが望ましい。なお、方向指示器が作動していない場合には、車線変更をしないと考えられるので、側方カメラ画像を表示させる必要がない。また、方向指示器の作動に代えて、ステアリングセンサ16が検出したステアリングの舵角に基づいて、車線変更をするか否かを判定するようにしてもよい。
【0056】
なお、高速域で走行中でない場合、すなわち、低速で走行している場合には、直ちに車両25の方向指示器が作動しているか否かを判定する。すなわち、渋滞中は方向指示器をトリガにして、側方カメラ画像を表示させるようになっている。
【0057】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS801 高速域で走行中であるか否かを判定する。高速域で走行中である場合はステップS802に進み、高速域で走行中でない場合はステップS804に進む。
ステップS802 後方カメラ画像を表示させる。
ステップS803 高速道路用補助線を描画する。
ステップS804 方向指示器が作動しているか否かを判定する。方向指示器が作動している場合はステップS805に進み、方向指示器が作動していない場合は処理を終了する。
ステップS805 方向指示器作動側の側方カメラ画像を表示し、処理を終了する。
【0058】
次に、細街路用処理の動作について説明する。
【0059】
図10は本発明の実施の形態における細街路用処理の動作の際に表示される画面例を示す図、図11は本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の細街路用処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、図10(a−1)、(b−1)及び(c−1)は分割された画面の表示内容を示し、図10(a−2)、(b−2)及び(c−2)は画面表示例を示す。
【0060】
まず、細街路用処理が開始されると、車両周辺視認装置10は低速域で走行中か否かを判定する。この場合、位置検出手段12が検出した車速に基づき、あらかじめ設定された細街路における所定速度、例えば、10〔km/h〕より低速であるか否かが判定される。
【0061】
そして、前記所定速度より低速である場合、運転者は周囲を気にして運転していると考えることができるので、車両周辺視認装置10は、側方カメラ23によって撮影された側方カメラ画像を表示させる。この場合、図10(a−2)に示されるような画面61が表示装置17に表示される。なお、画面61は、図10(a−1)に示されるように、ナビゲーション装置11によるナビゲーション画像が表示されるナビ画面61a、左側の側方カメラ画像が表示される側方カメラ画面(左)61b、右側の側方カメラ画像が表示される側方カメラ画面(右)61c及びコーナセンサアイコンが表示されるコーナセンサアイコン画面61dの4つの画面に分割されている。この場合、側方カメラ画面(左)61b、側方カメラ画面(右)61c及びコーナセンサアイコン画面61dは、車両25の前方が上を向くように表示される。そして、ナビゲーション画像中には、自車位置を示す自車位置マーク62、道路を示す道路ライン63等が表示される。
【0062】
続いて、車両周辺視認装置10は、ステアリングセンサ16が検出したステアリングの舵角の読み取りを行う。そして、読み取ったステアリングの舵角に基づいて、図10(a−2)に示されるような側方予想進路線64等の補助線の描画を行う。なお、図10(a−2)は、車両25が交差点において左折する場合の例を示している。そして、前記側方予想進路線64は、車両25が前進しているので、旋回内側における後ろコーナ部又は後輪の予想進路として、車両25の左後ろコーナ部又は左後輪の予想軌跡を示している。
【0063】
続いて、車両周辺視認装置10は、交差点手前であるか否かを判定する。この場合、自車位置からあらかじめ設定された所定距離、例えば、10〔m〕前方までの範囲に交差点があるか否かを判断する。そして、所定距離前方までの範囲に交差点がある場合、交差点手前であるとして、車両周辺視認装置10は、右左折に備えて、前側方カメラ22によって撮影された前側方カメラ画像を表示させる。この場合、図10(b−2)に示されるような画面61が表示装置17に表示される。そして、画面61は、図10(b−1)に示されるように、ナビ画面61a、側方カメラ画面(左)61b、側方カメラ画面(右)61c、並びに、前側方カメラ画像及びコーナセンサアイコンが表示される前側方カメラ及びコーナセンサアイコン画面61eの4つの画面に分割されている。なお、交差点手前でない場合には、前側方カメラ画像を表示させる必要がない。また、前記所定速度より低速でない場合には、車両周辺視認装置10は、側方カメラ画像の表示から前側方カメラ画像の表示までの動作を行わない。
【0064】
続いて、車両周辺視認装置10は、車両25のコーナ部が障害物に設定距離まで接近したことをコーナセンサ15が検出したか否か、すなわち、コーナセンサ15の警告ありか否かを判定する。そして、コーナセンサ15が検出していない場合には、そのまま処理を終了する。また、コーナセンサ15が検出した場合、図10(c−2)に示されるように、該当するコーナ部の強調表示を行う。図10(c−2)に示される例においては、該当するコーナ部が枠65で囲まれて強調されている。この場合、運転者の注意を喚起するために、前記枠65内の色調を他の部分と相違させてもよいし、前記枠65内の画像を点滅させてもよいし、前記枠65内の画像だけを拡大させてもよい。また、コーナセンサアイコン画像66を表示させてもよい。さらに、音声出力装置18から警告音を出力させてもよい。
【0065】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1001 低速域で走行中であるか否かを判定する。低速域で走行中である場合はステップS1002に進み、低速域で走行中でない場合はステップS1007に進む。
ステップS1002 側方カメラ画像を表示させる。
ステップS1003 ステアリングの舵角の読み取りを行う。
ステップS1004 補助線の描画を行う。
ステップS1005 自車位置は交差点手前であるか否かを判定する。自車位置は交差点手前である場合はステップS1006に進み、自車位置は交差点手前でない場合はステップS1007に進む。
ステップS1006 前側方カメラ画像を表示させる。
ステップS1007 コーナセンサ15の警告ありか否かを判定する。コーナセンサ15の警告ありの場合はステップS1008に進み、コーナセンサ15の警告なしの場合は処理を終了する。
ステップS1008 コーナセンサ15検出側のカメラ画像を強調表示し、処理を終了する。
【0066】
このように、本実施の形態においては、車両25周辺の所定範囲を示す複数の画像を状況に応じて切り替えて表示装置17に表示させるようになっている。そのため、運転者は、表示装置17に表示された画像を視認することによって、車両25周辺の情報を的確に把握することができ、不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に車両25の運転を行うことができる。
【0067】
すなわち、車両周辺視認装置10は、車両25の現在位置の属性に応じて複数の画像を切り替えて表示装置17に表示させる。なお、車両25の現在位置の属性とは、車両25の現在位置がどのような場所であるかを示すものであり、例えば、駐車場、道路等を識別するものであるが、行政道路属性等を識別するものであってもよい。具体的には、車両25の現在位置の属性が駐車場である場合、一般道路である場合、高速道路である場合、細街路である場合、及び、交差点である場合、それぞれの属性に応じて、後方カメラ24によって撮影された後方カメラ画像、側方カメラ23によって撮影された側方カメラ画像及び前側方カメラ22によって撮影された前側方カメラ画像を切り替えて表示装置17に表示させる。そのため、運転者は、車両25の現在位置の属性に応じて必要性の高い範囲の画像を視認することができ、車両25の現在位置の属性に応じた範囲の情報を的確に把握することができる。
【0068】
また、車両周辺視認装置10は、車両25の走行状態、すなわち、走行速度又は進行方向に応じて複数の画像を切り替えて表示装置17に表示させる。車両25の走行状態が走行速度である場合、具体的には、次のように表示させる。つまり、一般道路及び高速道路において所定速度より高速である場合には後方カメラ画像を、また、細街路において所定速度より低速である場合には側方カメラ画像を表示装置17に表示させる。そのため、運転者は、車両25の走行速度に応じて必要性の高い範囲の画像を視認することができ、車両25の走行速度に応じた範囲の情報を的確に把握することができる。
【0069】
さらに、車両周辺視認装置10は、車両25の走行状態が進行方向である場合、進行方向が直進方向か旋回方向かに応じて、更に、旋回方向が左右のいずれかに応じて、複数の画像を切り替えて表示装置17に表示させる。具体的には、一般道路及び高速道路において所定速度より高速である場合に進行方向が直進方向のときには後方カメラ画像を、また、進行方向が旋回方向のときには側方カメラ画像を表示装置17に表示させる。さらに、細街路において所定速度より低速である場合に交差点での進行方向が旋回方向のときには前側方カメラ画像を表示装置17に表示させる。そのため、運転者は、車両25の走行状態に応じて必要性の高い範囲の画像を視認することができ、車両25の走行状態に応じた範囲の情報を的確に把握することができる。
【0070】
さらに、車両周辺視認装置10は、車両25の状況に基づいて駐車が行われると判定すると、車両25の後方及び側方の画像を表示装置17に表示させるとともに、後方の画像中には車両25の後部の予測軌跡を表示させ、側方の画像中には車両25の前側端部の予測軌跡を表示させるようになっている。具体的には、自車位置が道路上から外れている場合には駐車が行われると判定し、後方カメラ画面31a、側方カメラ画面(左)31b及び側方カメラ画面(右)31cを表示装置17に表示させる。そして、後方カメラ画面31aには全体予想進路線32を表示させ、側方カメラ画面(左)31b又は側方カメラ画面(右)31cには側方予想進路線33を表示させる。なお、全体予想進路線32及び側方予想進路線33は、ステアリングセンサ16が検出したステアリングの舵角に基づいて描画される。そのため、運転者は、駐車の際に車両25の後方を視認することができるとともに、車両25の後部の予測軌跡も把握することができるので、不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に駐車を行うことができる。また、車両25の側方も視認することができるので、左右の障害物の存在も視認することができる。さらに、車両25を後退させて旋回する際に最外周を通過する外側の前側端部の予測軌跡も把握することができるので、左右の障害物への接触を回避することができる。
【0071】
さらに、車両周辺視認装置10は、車両25の状況に基づいて道路上を走行中であると判定すると、高速で走行している場合には、該車両25の後方の画像を表示装置17に表示させるとともに、後方の画像中に目盛りが付与された車両25の延長線を表示させ、低速で走行している場合に車両25が旋回するときは、該車両25の旋回方向における側方の画像を表示装置17に表示させるようになっている。
【0072】
具体的には、一般道路又は高速道路上を高速で走行している場合には、後方カメラ画面41a又は51aを表示装置17に表示させる。そして、後方カメラ画面41a又は51aには、距離目安補助線42a又は52aが付与された後方監視用補助線42又は52が描画される。これにより、運転者は、自分の運転している車両25と後方に位置する他の車両との距離を把握することができる。また、高速で走行している場合に車両25が旋回するときは、該車両25の旋回方向における側方の画像をともに表示させる。これにより、運転者は、後方から追い越しをかけて来る他の車両を視認することができる。
【0073】
一方、一般道路又は高速道路上を低速で走行している場合に車両25が旋回するときは、側方カメラ画面41c又は51cを表示装置17に表示させる。これにより、運転者は、車両25の旋回方向における側方に存在する障害物、他の車両等を視認することができる。さらに、一般道路上を低速で走行している場合に車両25が旋回するときは、側方カメラ画面41cに車両25の後側端部の予測軌跡としての側方予想進路線45が描画される。これにより、旋回する際に最内周を通過する内側の後側端部の予測軌跡を把握することができるので、左右の障害物への接触を回避することができる。
【0074】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態における車両周辺視認装置が取得する画像の範囲を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の全体的な動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における駐車用処理の動作の際に表示される画面例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の駐車用処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における一般道路用処理の動作の際に表示される画面例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の一般道路用処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における高速道路用処理の動作の際に表示される画面例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の高速道路用処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態における細街路用処理の動作の際に表示される画面例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における車両周辺視認装置の細街路用処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
10 車両周辺視認装置
11 ナビゲーション装置
12 位置検出手段
13 地図情報データベース
14 センサ信号取得処理装置
15 コーナセンサ
16 ステアリングセンサ
17 表示装置
21 カメラコントロール装置
22 前側方カメラ
23 側方カメラ
24 後方カメラ
25 車両
32 全体予想進路線
33、64 側方予想進路線
42、52 後方監視用補助線
42a、52a 距離目安補助線
44、54、63 道路ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)車両の状況を取得する状況取得装置と、
(b)前記車両の周辺を撮影する撮影装置と、
(c)該撮影装置が撮影した画像を表示する表示装置とを有する車両周辺視認装置であって、
(d)前記車両の後方の画像を前記表示装置に表示させるとともに、前記後方の画像中に前記車両の後端からの距離を表す目盛りを表示させ、
(e)前記状況取得装置が取得した車両の状況に基づいて前記目盛りの間隔を変更させることを特徴とする車両周辺視認装置。
【請求項2】
前記車両の状況は車両の走行速度であり、該走行速度に基づいて前記目盛りの間隔を変更させる請求項1に記載の車両周辺視認装置。
【請求項3】
前記車両の状況は車両の現在位置の属性であり、該現在位置の属性に基づいて前記目盛りの間隔を変更させる請求項1に記載の車両周辺視認装置。
【請求項4】
所定速度より低速で走行している場合に前記車両が旋回するときは、該車両の旋回方向における側方の画像を表示させ、所定速度より高速で走行している場合に前記車両が旋回するときは、該車両の旋回方向における側方の画像を前記車両の後方の画像とともに表示させる請求項1に記載の車両周辺視認装置。
【請求項5】
所定速度より低速で走行している場合に前記車両が旋回するときは、前記側方の画像中に車両の後側端部の予測軌跡を表示させる請求項4に記載の車両周辺視認装置。
【請求項6】
前記状況取得装置はステアリングの舵角を検出し、前記予測軌跡は前記舵角に基づいて描画される請求項5に記載の車両周辺視認装置。
【請求項7】
前記状況取得装置は方向指示器の作動状態及び前記車両の現在位置を検出し、前記方向指示器が作動している場合又は前記現在位置がルート上の右左折地点である場合に前記車両が旋回すると判定する請求項4〜6のいずれか1項に記載の車両周辺視認装置。
【請求項8】
(a)撮影装置が撮影した車両の後方の画像を表示装置に表示させるとともに、前記後方の画像中に車両の後端からの距離を表す目盛りを表示させ、
(b)車両の状況を取得する状況取得装置が取得した車両の状況に基づいて前記目盛りの間隔を変更させることを特徴とする車両周辺視認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−270586(P2006−270586A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86500(P2005−86500)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】