説明

車両後部構造

【課題】リアホイールハウス内の空気を排出する機能と車室内の空気を車外に排出する機能を共に向上することができる車両後部構造を得る。
【解決手段】リアバンパカバー12の内側かつリアホイールハウス16の車両後方側に、リアホイールハウス16内の空気をリアバンパカバー12の車両後部側に向けて排出する空気通路部としてのリアアウトレットダクト20が設けられている。リアアウトレットダクト20の車両幅方向内側の側壁28Bには、開口部38が形成されており、開口部38の周囲の側壁28Bにベントダクト40が一体的に設けられている。車室60内の空気は、ベントダクト40の通路部43から開口部38を通ってリアアウトレットダクト20内に流れ、リアアウトレットダクト20内を通って車外に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、リアバンパとクォータパネルとによって形成された通路部を備え、リアホイールハウス内の空気を通路部によりリアバンパの車両後部に向けて排出する構造が開示されている。この構造では、リアホイールハウス内の空気をリアバンパの車両後部に向けて排出することで、空気抵抗の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−25369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、リアバンパの内部には、車室内の空気を車外に排出するための排出口が設けられているが、上記特許文献1のようにリアホイールハウス内の空気を排出するための通路部を形成すると、排出口と通路部とが干渉する可能性がある。例えば、通路部の内径寸法や排出口の排出空間が十分に確保できない場合、各々の機能が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、リアホイールハウス内の空気を排出する機能と車室内の空気を車外に排出する機能を共に向上することができる車両後部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る車両後部構造は、リアバンパカバーの内側で、かつリアホイールハウスの車両後方側に設けられ、前記リアホイールハウス内の空気を前記リアバンパカバーの後部域に設けられた排出開口から車両後方へ排出する空気通路部と、前記空気通路部の壁部に形成された開口部を介して連通され、車室内の空気を車外に排出する排出通路部と、を有するものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両後部構造において、前記開口部は、前記空気通路部の車両幅方向内側の側壁に形成されており、前記側壁に前記排出通路部が連結されているものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両後部構造において、前記空気通路部と前記排出通路部とが連結された部位に、衝突荷重の入力により破断する脆弱部が形成されているものである。
【0009】
請求項1記載の本発明によれば、リアバンパカバーの内側かつリアホイールハウスの車両後方側に空気通路部が設けられており、リアホイールハウス内の空気が空気通路部に流入してリアバンパカバーの後部域に設けられた排出開口から車両後方へ排出される。空気通路部には、空気通路部の壁部に形成された開口部を介して排出通路部が連通されており、車室内の空気が排出通路部に流入し、さらに空気が空気通路部の壁部に形成された開口部から空気通路部に流入して車外に排出される。これによって、通気に十分な空気通路部の内寸を確保してリアホイールハウス内の空気を空気通路部により車両後方へ排出することができると共に、車室内の空気も排出通路部から開口部を通って空気通路部に流入し、空気通路部内を流れる空気とともに車外に排出される。このため、室内換気も十分に行うことができる。
【0010】
請求項2記載の本発明によれば、空気通路部の車両幅方向内側の側壁に開口部が形成され、この側壁に排出通路部が連結されており、空気通路部の車両幅方向内側に排出通路部を設けても、空気通路部の内寸(特に車両幅方向の内寸)を十分に確保することができる。これにより、通気に十分な空気通路部の内寸を確保しながら、車室内の空気も排出通路部から空気通路部の車両幅方向内側の側壁に形成された開口部を通って空気通路部内を流れる空気とともに車外に排出され、室内換気も十分に行うことができる。
【0011】
請求項3記載の本発明によれば、空気通路部と排出通路部とが連結された部位に脆弱部が形成されており、車両後部からの衝突荷重の入力により脆弱部が破断し、空気通路部と排出通路部とを分離させることにより、ボデー本体の変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両後部構造によれば、リアホイールハウス内の空気を排出する機能と車室内の空気を車外に排出する機能を共に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係る車両後部構造が適用された車両を車両後方側から見た状態で示す斜視図である。
【図2】図1に示す車両後部構造に用いられるリアバンパカバーの内側のリアアウトレットダクトダクト及びベントダクト付近の構成を車両前方側から見た状態で示す斜視図である。
【図3】図2に示すリアアウトレットダクトダクト及びベントダクト付近の構成を車両後方側から見た状態で示す斜視図である。
【図4】図3中の2−2線に沿った横断面図である。
【図5】図2に示すリアアウトレットダクトダクト及びベントダクトの構成を車両幅方向内側から見た状態で示す斜視図である。
【図6】比較例に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットダクトダクト及びベントダクト付近の構成を車両後方側から見た状態で示す斜視図である。
【図7】図6中の4−4線に沿った横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜図5を用いて、本発明に係る車両後部構造の一実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印RRは車両後方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0015】
図1には、本実施形態に係る車両後部構造が適用される車両が車両後方側から見た斜視図にて示されている。図2には、本実施形態に係る車両後部構造が適用される車両の後部のリアバンパ付近が車両前方側から見た斜視図にて示されており、図3には、本実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットダクトダクト及びベントダクト付近が車両後方側から見た斜視図にて示されている。これらの図に示されるように、車両10の後部11には、車両下方側の後端部に樹脂製のリアバンパカバー12が取り付けられている。リアバンパカバー12は、車両10の後端部に車両幅方向に沿って配置される後面部12Aと、後面部12Aの車両幅方向両端部から車両前方側に延びる側面部12Bと、を備えている。車両10の後部11には、リアバンパカバー12の後面部12Aと側面部12Bとが交差する位置の上方側にリアコンビネーションランプ22が取り付けられている。なお、図2、図3では、車両10の一方の側部のリアバンパカバー12の側面部12Bのみが図示されており、車両10の他方の側部は左右対称であるので図示を省略する。
【0016】
車両10の後部11には、リアバンパカバー12の側面部12Bの車両前方側に、リアタイヤ14を格納するリアホイールハウス16が設けられている。リアバンパカバー12の側面部12Bの前端には、リアタイヤ14と対向する位置にフェンダライナー18が設けられている。フェンダライナー18は、リアタイヤ14の周面に沿って車両上下方向及び車両幅方向に湾曲して形成されている。
【0017】
リアバンパカバー12の側面部12Bの車両幅方向内側には、車両前後方向に沿って空気通路部の一例としてのリアアウトレットダクト20が設けられている。リアアウトレットダクト20は、リアバンパカバー12の側面部12Bとその車両幅方向内側のボデー本体との間に配置されており、ボデー本体に図示しない取付具により固定されている。リアアウトレットダクト20は、リアホイールハウス16の車両後方側に配置されている。
【0018】
図3〜図5に示されるように、リアアウトレットダクト20は、筒状体からなり、車両幅方向外側に配置されたダクトアウタ26と、車両幅方向内側に配置されたダクトインナ28と、を備えている。ダクトアウタ26は、車両幅方向に沿った断面が略ハット状に形成されており、車両上下方向に延びた一対のフランジ部26Aを備えている。ダクトインナ28は、車両幅方向に沿った断面が略ハット状に形成されており、車両上下方向に延びた一対のフランジ部28Aを備えている。ダクトインナ28の一対のフランジ部26Aと、ダクトインナ28の一対のフランジ部28Aとが面接触状態で配置されてフランジ部26Aとフランジ部28Aとが接着等により接合されている。これにより、リアアウトレットダクト20が車両前後方向に沿った筒状体とされており、リアアウトレットダクト20の内部には、車両幅方向に沿った断面が車両上下方向に長い略矩形状の通路部21が形成されている。
【0019】
リアアウトレットダクト20の前端部には、リアホイールハウス16内の空気が流入される流入開口30が形成されており、リアアウトレットダクト20の後端部には、リアアウトレットダクト20内を通った空気が排出される排出開口32が形成されている。
【0020】
図4に示されるように、フェンダライナー18には、リアアウトレットダクト20の流入開口30とほぼ同じ形状の開口18Aが設けられており、流入開口30付近のダクトインナ28及びダクトアウタ26がフェンダライナー18の開口18Aの壁面に連結されている。
【0021】
リアバンパカバー12の後面部12Aが側面部12Bと隣接する位置には、車両前方側に窪んだ凹部12Cが形成されている(図1及び図3参照)。凹部12Cの奥側の壁面には、リアアウトレットダクト20の排出開口32とほぼ同じ形状の開口12Dが設けられており、排出開口32付近のダクトインナ28及びダクトアウタ26が凹部12Cの開口12Dの壁面に連結されている。
【0022】
すなわち、リアアウトレットダクト20の流入開口30はフェンダライナー18の開口18Aを介してリアホイールハウス16と連通している。また、リアアウトレットダクト20の排出開口32はリアバンパカバー12の凹部12Cの開口12Dを介して車両10の後部11の外部側(車外)と連通している。これによって、リアホイールハウス16内の空気が流入開口30からリアアウトレットダクト20内(通路部21)に流入し、空気がリアアウトレットダクト20内(通路部21)を通って排出開口32からリアバンパカバー12の後面部12Aの後方側に向けて排出されるようになっている。
【0023】
図3〜図5に示されるように、ダクトインナ28は、車両幅方向内側に車両上下方向に沿って延在される側壁28Bを備えており、車両平面視にて側壁28Bは車両前後方向に沿ってほぼ真っ直ぐに配置されている。側壁28Bの車両前後方向及び車両上下方向の中間部には、車両側面視にて略矩形状の開口部38が形成されている。開口部38の周囲の側壁28Bには、車室60内の空気を車外に排出するための排出通路部の一例としてのベントダクト40が設けられている。ベントダクト40は、側壁28Bから車両幅方向内側に突出する矩形状の筒状体42を備えている。本実施形態では、筒状体42とダクトインナ28とは一体成形されており、筒状体42とダクトインナ28の側壁28Bとは連続して形成されている。
【0024】
図5に示されるように、筒状体42は、車両前後方向に沿った上壁42Aと、上壁42Aの車両前端部から車両下方側に延びた縦壁42Bと、上壁42Aの車両後端部から車両下方側に延びた縦壁42Cと、縦壁42Bと縦壁42Cの下端部同士を繋ぐ下壁42Dと、を備えている。ダクトインナ28の側壁28Bと上壁42Aとの屈曲部と、ダクトインナ28の側壁28Bと下壁42Dとの屈曲部には、脆弱部の一例としてのスリット状の開口44が車両前後方向に沿って設けられている。スリット状の開口44は、車両前後に2つ形成されている。また、ダクトインナ28の側壁28Bと縦壁42Bとの屈曲部と、ダクトインナ28の側壁28Bと縦壁42Cとの屈曲部には、脆弱部の一例としてのスリット状の開口46が車両上下方向に沿って設けられている。車両10の後部11から衝突荷重が入力されたときに、ダクトインナ28の側壁28Bと筒状体42との屈曲部におけるスリット状の開口44、46の間が破断し、リアアウトレットダクト20とベントダクト40とを分離させることで、ボデー本体の変形が抑制されるようになっている。
【0025】
また、ダクトインナ28の側壁28Bと縦壁42Bとの屈曲部と、ダクトインナ28の側壁28Bと縦壁42Cとの屈曲部には、スリット状の開口46の上下に孔部48が設けられている。孔部48には、それぞれ縦壁42B、42Cから側壁28Bの方向に延びる爪部50が設けられている(図4参照)。
【0026】
図4及び図5に示されるように、ベントダクト40は、筒状体42の内部に車室60内の空気が排出される通路部43を備えており、通路部43は、ダクトインナ28の側壁28Bに形成された開口部38を介してリアアウトレットダクト20の通路部21と連通している。筒状体42の縦壁42Bと縦壁42Cとの間(通路部43)には、車両上下に所定の間隔をおいて複数のルーバー52が掛け渡されている。ルーバー52は、車両幅方向外側端部が下方側で車両幅方向内側端部が上方側となるように斜め方向に取り付けられている(図5参照)。これによって、車室60内の空気が通路部43の複数のルーバー52の傾斜面に沿って車両幅方向外側(矢印C方向)に排出されるようになっている。さらに、空気は、ダクトインナ28の側壁28Bに形成された開口部38を通ってリアアウトレットダクト20の通路部21に流入され、リアアウトレットダクト20の通路部21を車両後方側に流れる空気と共に排出開口32から車外(矢印B方向)に排出されるようになっている。
【0027】
図4に示されるように、ボデー本体には、リアバンパカバー12の側面部12Bの車両幅方向内側にインナパネル62が設けられており、インナパネル62には、ダクトインナ28の側壁28Bと対向する位置に車両前後方向に沿って縦壁62Aが形成されている。縦壁62Aには、ダクトインナ28の側壁28Bの開口部38と対向する位置に開口部62Bが設けられている。ベントダクト40の筒状体42に設けられた爪部50は、インナパネル62の縦壁62Aにおける開口部62Bの縁部に係止されている。これによって、ベントダクト40がインナパネル62の縦壁62Aに取り付けられている。また、ダクトインナ28の側壁28Bは、インナパネル62の縦壁62Aに接着剤64により接合されている。
【0028】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0029】
リアバンパカバー12の側面部12Bの車両幅方向内側には、車両前後方向に沿って筒状のリアアウトレットダクト20が設けられており、リアアウトレットダクト20の前端部の流入開口30はフェンダライナー18の開口18Aに連通しており、リアアウトレットダクト20の排出開口32はリアバンパカバー12の凹部12Cの開口12Dに連通している。これによって、図4に示されるように、リアホイールハウス16内の空気が矢印Aに示すように流入開口30からリアアウトレットダクト20の通路部21に流入し、更に空気が矢印Bに示すようにリアアウトレットダクト20の通路部21を通って排出開口32からリアバンパカバー12の後面部12Aの後方側(車外)に排出される。
【0030】
リアアウトレットダクト20のダクトインナ28の側壁28Bには、ベントダクト40の筒状体42が一体的に設けられており、ダクトインナ28の側壁28Bに形成された開口部38を介してベントダクト40の通路部43がリアアウトレットダクト20の通路部21と連通している。リアホイールハウス16からの空気がリアアウトレットダクト20内(通路部21)を流れるときのリアアウトレットダクト20内の通気により、リアアウトレットダクト20内が負圧となる。リアアウトレットダクト20の車両幅方向内側の車室60内は正圧であり、これにより、車室60内の空気が矢印Cに示すようにベントダクト40の通路部43を通って開口部38からリアアウトレットダクト20内に流入しやすくなる。このため、車室60内の空気をベントダクト40からリアアウトレットダクト20を通して車外へ換気することが容易となり、喚起性能が向上する。したがって、車室60内の換気を十分に行うことができる。
【0031】
また、リアアウトレットダクト20の車両幅方向内側の側壁28Bに開口部38を設け、開口部38の周囲の側壁28Bにベントダクト40の筒状体42を一体的に設けることで、リアアウトレットダクト20の通路部21の内寸(特に通路部21の車両幅方向の寸法)を十分に確保することができる。このため、リアホイールハウス16内の空気をリアアウトレットダクト20の通路部21に流入させて車両後方側に排出するときの通気性能を向上することができる。したがって、リアホイールハウス16内の空気をリアバンパカバー12の後方側に排出する機能と車室60内の空気を車外に排出する機能とを共に向上することができる。
【0032】
また、ベントダクト40の筒状体42とダクトインナ28の側壁28Bとの屈曲部に車両前後方向及び車両上下方向に沿って複数のスリット状の開口44、46が形成されている。これによって、車両10の後部11から衝突荷重が入力されたときに、ダクトインナ28の側壁28Bと筒状体42との屈曲部におけるスリット状の開口44、46の間が破断し、リアアウトレットダクト20とベントダクト40とを分離させることにより、車両10のボデー本体の変形を抑制することができる。これにより、修理費を低減することができる。
【0033】
図6及び図7には、比較例に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットダクト100及びベントダクト110が示されている。
【0034】
図6及び図7に示されるように、リアアウトレットダクト100は、車両幅方向外側に配置されるダクトアウタ26と、車両幅方向内側に配置されるダクトインナ102と、を備えている。ダクトインナ102は、車両幅方向に沿った断面が略ハット状に形成されており、上下一対のフランジ部102Aを備えている。リアアウトレットダクト100は、ダクトインナ102の上下一対のフランジ部102Aとダクトアウタ26の上下一対のフランジ部26Aとが接合されることで、筒状体とされている。ダクトインナ102の側壁102Bの車両前後方向の中間部には、車両幅方向外側に窪んだ凹部104が形成されている(図7参照)。リアアウトレットダクト100内には、空気が流れる通路部101が車両前後方向に沿って設けられており、リアホイールハウス16内の空気が流入開口30からリアアウトレットダクト100の通路部101を流入し、排出開口32から排出される。
【0035】
図7に示されるように、リアアウトレットダクト100の車両幅方向内側には、車室60内の空気を車外に排出するベントダクト110が設けられている。ベントダクト110は、空気が流れる通路部113が車両幅方向に沿って配置される筒状体112を備えている。ベントダクト110の通路部113から空気が排出される排出口114は、ダクトインナ102の凹部104と対向する位置に設けられている。車室60内の空気はベントダクト110の通路部113に流入し、矢印Dに示すように空気が排出口114から排出され、ダクトインナ102の凹部104に当たる。さらに空気は矢印Eに示すようにダクトインナ102の側壁102Bに沿って車両前後方向に排出される。
【0036】
このような車両後部構造では、ベントダクト110の排出口114とリアアウトレットダクト100との隙を確保するため、ダクトインナ102に車両幅方向外側に窪んだ凹部104が設けているが、リアアウトレットダクト100がベントダクト110の排出口114を塞ぐ方向に配置されているため、車室60内の空気のベントダクト110による換気性能が低下する可能性がある。
【0037】
また、ベントダクト110の排出口114と対向する位置にダクトインナ102の凹部104を設けているため、本実施形態のリアアウトレットダクト20に比べて、リアアウトレットダクト100の通路部101の車両幅方向の寸法(内寸)が小さくなる。このため、通路部101の断面積が小さくなり、通気性能が低下する可能性がある。
【0038】
これに対して、本実施形態では、リアアウトレットダクト20の車両幅方向内側の側壁28Bに開口部38を設け、開口部38の周囲の側壁28Bにベントダクト40の筒状体42を一体的に設けることで、リアアウトレットダクト20の通路部21の車両幅方向の寸法(内寸)を十分に確保することができる。このため、リアホイールハウス16内の空気をリアアウトレットダクト20の通路部21に流入させて車両後方側に排出するときの通気性能を向上することができる。また、車室60内の空気をベントダクト40の通路部43に流入させ、さらに開口部38からリアアウトレットダクト20の通路部21に流入させて通路部21を流れる空気とともに車外へ排出するため、車室60内の換気を十分に行うことができる。
【0039】
なお、本実施形態では、車両幅方向に沿った断面が車両上下方向に長い筒状のリアアウトレットダクト20を設けたが、リアアウトレットダクトを構成する筒状体の形状は変更可能である。また、ベントダクト40の筒状体の形状も変更可能である。
【0040】
また、本実施形態では、リアアウトレットダクト20のダクトインナ28とベントダクト40の筒状体42とが一体成形されているが、これに限定されず、リアアウトレットダクト20とベントダクト40とを別体で形成し、リアアウトレットダクト20の開口部38の周囲の壁部にベントダクト40を接着等により連結する構成としてもよい。すなわち、本発明の「空気通路部の側壁に連結される排出通路部」には、空気通路部と排出通路部とを一体成形した構成と、空気通路部と排出通路部とを別体で形成して接合した場合を含む趣旨である。
【0041】
また、本実施形態では、リアアウトレットダクト20の車両幅方向内側の側壁28Bに開口部38を形成し、この側壁28Bにベントダクト40を設けたが、これに限定されず、リアアウトレットダクト20の他の壁部(例えば上壁、下壁)に開口部を形成してベントダクト40を設ける構成でもよい。
【0042】
また、本実施形態では、ダクトインナ28の側壁28Bとベントダクト40の筒状体42との屈曲部にスリット状の開口44、46を設けたが、これに限定されず、ダクトインナ28の側壁28Bとベントダクト40の筒状体42との屈曲部に、脆弱部として板厚を薄くした薄肉部などを設ける構成でもよい。これにより、衝突荷重の入力により薄肉部付近が破断し、ベントダクト40とリアアウトレットダクト20とを分離させることができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、リアバンパカバー12の車両幅方向内側に、車両前後方向に沿って筒状のリアアウトレットを設けたが、これに限定されず、リアバンパカバーとその車両幅方向内側に配置されるパネルとを用いてダクト(空気通路部)を形成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 車両
11 後部
12 リアバンパカバー
16 リアホイールハウス
20 リアアウトレットダクト(空気通路部)
28B 側壁
32 排出開口
38 開口部
40 ベントダクト(排出通路部)
44 スリット状の開口(脆弱部)
46 スリット状の開口(脆弱部)
60 車室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアバンパカバーの内側で、かつリアホイールハウスの車両後方側に設けられ、前記リアホイールハウス内の空気を前記リアバンパカバーの後部域に設けられた排出開口から車両後方へ排出する空気通路部と、
前記空気通路部の壁部に形成された開口部を介して連通され、車室内の空気を車外に排出する排出通路部と、
を有する車両後部構造。
【請求項2】
前記開口部は、前記空気通路部の車両幅方向内側の側壁に形成されており、
前記側壁に前記排出通路部が連結されている請求項1に記載の車両後部構造。
【請求項3】
前記空気通路部と前記排出通路部とが連結された部位に、衝突荷重の入力により破断する脆弱部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の車両後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−71462(P2013−71462A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209475(P2011−209475)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】