説明

車両急速充電時における情報提供装置

【課題】
充電ステーションでのバッテリ充電を要する電動車において、充電ステーションにおける待ち時間に、ユーザに有益な情報を提供する。
【解決手段】
車両の乗員に提供する情報を探索する制御部(10)を備え、制御部(10)は、バッテリ(54)の充電場所に関する指示に応じてバッテリ(54)の充電予定位置を定めると共に、車両内又は車両外の情報源から乗員に提供する情報を探索し、車両が充電予定位置に到着した後、または、充電予定位置においてバッテリ(54)への充電が行われている間に、前記探索した情報を乗員に提供するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車(EV、Electric Vehicle)やプラグインハイブリッド車(PHV、plug-in hybrid car)などの電動車のユーザに情報を提供する情報提供装置、特に、充電ステーションにおけるバッテリ充電の際に発生する待ち時間に、電動車のユーザに有益な情報を提供する情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッド車などのバッテリを備える電動車では、バッテリの残容量に応じて定期的に、専用充電器や商用交流電源によりバッテリを充電する必要がある。このため、電動車のバッテリを急速充電することのできる専用充電器を備えた充電ステーションの整備が進んでいる。
【0003】
このような充電ステーションにおけるバッテリ充電においては、充電ステーションに到着した電動車が実際に充電を開始するまでに当該充電ステーションの混雑度に応じた待ち時間(開始待ち時間)が発生し、また、当該電動車が充電を開始した後も、充電完了までにバッテリ残容量に応じた待ち時間(充電待ち時間)が発生する。
【0004】
特に、充電ステーションにおける急速充電においては、充電作業自体に数分から数十分を要する状況が数年程度続くと予想されており、充電待ちの為に相当な時間にわたって電動車が待機しなければならない事象が予想される。
【0005】
このような、充電ステーションにおける待ち時間を短縮することを目的として、従来、電動車の車載装置と、当該車載装置と通信可能に接続された情報センタとを備え、当該情報センタが、各電動車の車載装置から当該電動車の現在位置やバッテリ残量の情報を収集して各充電ステーションの混雑動向を予測すると共に、車載装置からの要求に応じて、当該車載装置の現在位置周辺に存在する充電ステーションについての混雑予想情報を、当該車載装置に送信する、情報提供システムが知られている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、上記従来の情報提供システムにより充電開始までの待ち時間(開始待ち時間)を短縮することができるとしても、その短縮の程度には限界がある。したがって、上記従来の情報提供システムを用いたとしても、電動車のユーザは、充電ステーションへの到着後、バッテリ充電が完了するまでに、依然として相当の時間の経過を待つ必要がある。
【0007】
ところで、このような待ち時間においては、通常、電動車のユーザは特にすることもなく車内や充電ステーションの店内で時間を過ごさなければならないこととなる。特に、充電ステーションの多くは、電動車のユーザ自身が充電作業を行うセルフ運用を想定しており、充電以外の他のサービスの提供時間外となる深夜や休業日の充電もしばしば行われる事が予想される。この場合、電動車のユーザの活動はさらに制限され、充電の完了をひたすら車内で待機することとなる。
【0008】
したがって、このような待ち時間において、電動車のユーザに有益な情報を提供することができれば、当該ユーザにとり有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−13893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、充電ステーションにおけるバッテリ充電を要する電動車において、充電ステーションにおける待ち時間内にユーザに有益な情報を提供して、ユーザが当該待ち時間を快適に過ごせるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車両外部から充電されるバッテリを備えた車両に搭載され、当該車両の乗員に情報を提供する情報提供装置であって、前記乗員に提供する情報を探索する制御部を備え、該制御部は、前記バッテリの充電場所に関する指示に応じて前記バッテリの充電予定位置を定めると共に、前記車両内又は前記車両外の情報源から前記乗員に提供する情報を探索し、前記車両が前記充電予定位置に到着した後、または、前記充電予定位置において前記バッテリへの充電が行われている間に、前記探索した情報を乗員に提供するよう構成されている、情報提供装置である。
【0012】
本発明の他の態様では、前記制御部は、前記車両の現在位置と、前記充電予定位置と、前記バッテリの現在の残容量とに基づいて、前記充電予定位置における、前記バッテリの充電に要する予測時間を含んだ前記車両の停留時間を算出し、該停留時間に応じた時間内に提供することのできる情報を前記乗員に提供する情報として探索するよう構成されている、情報提供装置である。
【0013】
本発明の他の態様では、前記制御部は、前記車両が前記充電予定位置に至るまでの間、または、前記充電予定位置において前記バッテリへの充電が開始されるまでの間に、前記乗員に提供する情報を探索する、情報提供装置である。
【0014】
本発明の他の態様では、前記制御部は、前記探索した情報が前記車両外の情報源から提供されるものであるときは、前記車両が前記充電予定位置に至るまでの間、または、前記充電予定位置において前記バッテリへの充電が開始されるまでの間に、当該探索した情報を当該情報源から取得して記憶装置に記憶し、当該記憶した情報を前記乗員に提供するよう構成されている、情報提供装置である。
【0015】
本発明の他の態様では、さらに、前記乗員が提供を希望する情報のカテゴリを記憶する記憶装置を有し、前記制御部は、当該記憶装置が記憶する前記カテゴリに合致する情報を、前記乗員に提供する情報として探索する、情報提供装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの、充電ステーションにおけるバッテリ充電を要する電動車において、充電ステーションにおける待ち時間内にユーザに有益な情報を提供して、ユーザが当該待ち時間を快適に過ごせるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態に係る情報提供装置は、自車両の現在位置等に基づいて、自車両がバッテリ充電を行うべき充電ステーションを決定すると共に、自車両が当該充電ステーションに到達する時のバッテリの推定残量等から当該充電ステーションでの待ち時間(停留時間)を予測する。そして、上記予測した停留時間内にユーザに対して提供可能なコンテンツを、当該充電ステーションに到達するまでの期間等に放送電波等から探索し、必要であれば当該コンテンツを取得(録画やダウンロードなど)して、当該充電ステーションに到着後、待ち時間が開始したときに、上記探索したコンテンツをユーザに提供するものである。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報提供装置の構成を示すブロック図である。
本情報提供装置1は、車両制御部10と、情報表示手段でありかつ情報入力手段でもある操作表示部20と、放送電波を受信したり自車両の外部にあるサーバ等と無線通信を行うための通信インタフェースである通信制御部22と、GPS衛星から送信されるGPS電波を受信して自車両の現在位置を特定し、当該現在位置情報を車両制御部10に出力するGPSユニット24と、を有している。ここで、操作表示部20は、例えば、タッチパネルを備えた液晶表示装置により構成される。また、上記GPSユニット24は、ジャイロセンサ(不図示)を備え、GPS電波からの情報に加えて、上記ジャイロセンサからの進行方位情報と、自車両内に設けられた車速センサ(不図示)からの車速情報とに基づいて、自車両の現在位置を特定する。
【0019】
車両制御部10は、エンジン等の内燃機関50やモータ52の動作を制御すると共にバッテリ54の残容量等を管理する電子制御ユニット(ECU、Electronic Control Unit)12と、自車両の現在位置の周辺地図や道路情報等の各種の情報を操作表示部20に表示したり、ユーザ指定の目的地までの経路を探索して当該探索した経路の表示等を行うナビゲーション・コントロール・ユニット(NCU、Navigation Control Unit)14と、地図情報その他の情報を記憶する記憶装置16と、を有している。また、NCU14は、目的地までの経路を探索したときは、記憶装置16の地図情報を参照して、当該探索した経路の距離や起伏等の情報をECU12のエネルギ管理手段104(後述)に提供する。
【0020】
ここで、ECU12及びNCU14は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータであり、ECU12とNCU14とは、通信バス等により互いに通信可能に接続されている。また、記憶装置16は、固定ディスク装置(HDD、Hard Disk Drive)や、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された情報を読み取る読取装置等により構成することができる。
【0021】
図2は、ECU12の機能構成を示す機能ブロック図である。
ECU12は、内燃機関50の動作を制御するエンジン制御手段100と、モータ52の動作を制御するパワー制御手段102と、車両駆動動作における内燃機関50とモータ52のトルク分担を制御するエネルギ管理手段104と、を有している。なお、上述した各手段は、ECU12がプログラムを実行することにより実現される機能実現手段である。また、コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。
【0022】
エンジン制御手段100は、内燃機関50に対する燃料の供給と停止、燃料噴射量の調節、燃焼サイクルにおける点火タイミングの制御、及び、スロットルバルブ(不図示)によるトルク調節等、内燃機関50についての動作制御を行う。
【0023】
パワー制御手段102は、バッテリ54からモータ52への電流供給を制御してモータ52の駆動トルクを制御したり、モータ52の回生発電動作により得られた電力を用いてバッテリ54の充電を行う。また、パワー制御手段102は、充電状態(SOC、State Of Charge)センサ(不図示)等を用いて、バッテリ54の残容量(バッテリ残量)を管理し、バッテリ残量が所定量以下となったときに、外部電源を用いたバッテリへの充電が必要であることを示す充電要求信号を、NCU14へ出力する。
【0024】
エネルギ管理手段104は、エンジン制御手段100及びパワー制御手段102に指示して、内燃機関50とモータ52との間での駆動動作の切り替え制御やトルク分担制御を行ったり、モータ52からバッテリ54への充電タイミングを制御する。これにより、エネルギ管理手段104は、例えば、走行経路の距離や起伏についての情報をNCU14から取得して、内燃機関50とモータ52との間での動作切り替えタイミングやモータ52の回生発電によるバッテリ54への充電タイミングを計画して、内燃機関50とモータ52とで構成される駆動系全体としての燃費を最良状態又は所定の目標状態に維持する。
【0025】
図3は、NCU14の機能構成を示す機能ブロック図である。
NCU14は、位置情報取得手段200と、充電要求受付手段202と、充電位置決定手段204と、経路探索手段206と、停留時間算出手段208と、コンテンツ探索手段210と、コンテンツ提供手段212と、希望カテゴリ取得手段214と、を有している。なお、上述した各手段は、NCU14がプログラムを実行することにより実現される機能実現手段である。また、コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。
【0026】
位置情報取得手段200は、GPSユニット24から自車両の現在位置情報を所定の時間間隔で取得する。
充電要求受付手段202は、ECU12からバッテリ残容量が所定量以下となったことを示す充電要求信号を受信するか、または、ユーザが操作表示部20を介して行った充電要求命令の入力(充電要求入力)を取得することにより、充電要求を受け付ける。
【0027】
充電位置決定手段204は、上記充電要求受付手段202が充電要求信号を受信し、又は、ユーザからの充電要求入力を取得したことに応じて、位置情報取得手段200が取得した自車両の現在位置に基づき、記憶装置16が記憶する地図情報から、所定の数の最寄の充電ステーションについての、当該充電ステーションの名称及び位置情報を含むステーション情報を取得して、操作表示部20に表示する。これに対し、ユーザは、例えば操作表示部20を介して上記所定の数の充電ステーションの中から所望の一の充電ステーションを指定し、充電位置決定手段204は、指定された充電ステーションの位置を充電予定位置として決定する。
【0028】
経路探索手段206は、指定された充電ステーション(指定ステーション)の位置情報と、自車両の現在位置情報と、記憶装置16が記憶する地図情報から、指定ステーションまでの経路を探索し、探索した経路の経路上の各点の位置と経路の距離と経路の起伏についての情報を含む経路情報を出力する。
停留時間算出手段208は、上記経路情報に含まれる経路の距離及び起伏の情報と、ECU12のパワー制御手段102が提供する現在のバッテリ残情報とに基づき、自車両が指定ステーションに到達するときのバッテリ残容量の推定値を算出すると共に、当該算出したバッテリ残容量に基づいて、充電開始から充電完了までの予想時間(充電待ち予想時間)を、指定ステーションにおける待ち時間、すなわち停留時間として算出する。
【0029】
コンテンツ探索手段210は、上記算出された停留時間と、後述する希望カテゴリ取得手段214により予め取得されたユーザの希望カテゴリとに基づき、当該希望カテゴリに合致し、かつ、停留時間算出手段208が算出した停留時間内にユーザに提供することのできる情報コンテンツ(適合コンテンツ)を、記憶装置16や、通信制御部22を介して受信あるいはアクセスすることのできる全てのメディアから探索する。また、探索した適合コンテンツを、場合に応じて取得し、記憶装置16に記憶する。
【0030】
コンテンツ提供手段212は、指定ステーションにおいて自車両が停止している間に、コンテンツ探索手段210が探索し又は取得した情報コンテンツを、操作表示部20に表示してユーザに提供する。
希望カテゴリ取得手段214は、操作表示部20に対するユーザの操作に応じて、ユーザが入力する希望カテゴリ、すなわち、指定ステーションでの待ち時間の際にコンテンツ提供手段212からの提供を希望するコンテンツのカテゴリを取得する。取得された希望カテゴリは、例えば、記憶装置16に、ユーザ情報として記憶される。
【0031】
希望カテゴリとしては、例えば、「映画」、「ニュース」、「TV」等のジャンル別に指定するものとすることができ、「映画」であれば「SF映画」や「ホラー映画」等、「ニュース」であれば「スポーツニュース」や「経済ニュース」等、「TV」であれば「バラエティ番組」や「ドキュメンタリ番組」等、とすることができる。さらに、「音楽」や「ゲーム」等のジャンルについても、希望カテゴリを入力できるものとすることができる。また、操作表示部20を介した上記希望カテゴリの入力方法は、予め定めたカテゴリからユーザが選択するものとしてもよいし、ユーザが希望コンテンツを表わすフリーワードを入力するものとしてもよい。
【0032】
次に、本情報提供装置1の動作手順について説明する。以下の説明では、上述の希望カテゴリは、既にユーザに入力され、記憶装置16にユーザ情報として記憶されているものとする。
【0033】
まず、ユーザが自車両の起動用キースイッチ(不図示)を操作すると、ECU12及びNCU14の電源がオンとなり、ECU12が内燃機関50及びモータ52の動作制御を開始する。また、NCU14は、GPSユニット24から自車両の現在位置情報を所定の時間間隔で定期的に取得し、自車両の現在位置の周辺地図を含む、例えば図4に示すような地図表示画面を構成して、操作表示部20に表示する。
【0034】
図4に示す地図表示画面には、自車両の現在位置の周辺を示す地図300が表示されており、当該地図300の右側に各種の機能を選択して実行するための機能選択ボタン301〜308が表示されている。また、地図300の下部には、地図300の縮尺を変更して詳細図を表示するための詳細図表示ボタン309と、広域図を表示するための広域図表示ボタン310も表示されている。
【0035】
本発明に係る処理(情報提供処理)は、NCU14の充電要求受付手段202が、ECU12から充電要求信号を受信するか、又は、操作表示部20を介したユーザからの充電要求入力を取得することにより、その実行を開始する。ここで、ユーザからの充電要求入力は、例えば、図4に示す「充電要求」と書かれた機能選択ボタン303をユーザが押下することにより、充電要求受付手段202により取得される。
【0036】
次に、情報提供装置1の情報提供処理の手順を、図5及び図6に示すフロー図にしたがって説明する。
図5は、情報提供処理の手順を示すフロー図、図6は、図5に示すフロー図に含まれるコンテンツ探索処理の手順を示すフロー図である。
【0037】
情報提供処理(図5)を開始すると、まず、NCU14は、充電位置決定手段204により、位置情報取得手段200が定期的に取得している自車両の現在位置情報と、記憶装置16が記憶する地図情報とに基づいて、自車両の現在位置に最も近い所定数の充電ステーションを特定し、充電ステーション選択画面、例えば図7に示すような画面を、操作表示部20に表示する(S101)。
【0038】
図7の画面例では、特定された最寄の充電ステーションの名称(「充電ステーションA」等)と、自車両からの距離と、自車両の進行方向に対する充電ステーションの方向を表わす矢印とを表示した、ステーション選択ボタン320〜324が列挙表示されている。また、ステーション選択ボタン320〜324の左側には、本画面に表示されていない他のステーション選択ボタンを表示するためのスクロールバー325が表示されている。さらに、本画面の下部に、OKボタン326、およびキャンセルボタン327も表示されている。
【0039】
この画面に対し、ユーザは、ステーション選択ボタン320〜324のうちから所望の充電ステーションに対応するステーション選択ボタンを押下して、OKボタン326を押下することにより、当該所望の充電ステーションを一つ指定することができる。このユーザ入力により、充電位置決定手段204は、指定された充電ステーション(指定ステーション)を特定すると共に、当該指定ステーションの位置を充電予定位置として決定する(S102)。
【0040】
なお、図7の例では、最寄の充電ステーションが自車両の現在位置からの距離の順に列挙表示されるものとしたが、これに限らず、例えば、記憶装置16が記憶する地図情報に各充電ステーションについてのサービス提供情報や充電設備の充電能力情報(例えば、特開2006−112932号公報に記載の充電特性マップ)が含まれている場合には、充電位置決定手段204が、最寄の充電ステーションを、コンテンツ提供サービスの有無や充電速度の高低に基づいて順位付けして、操作表示部20に表示するものとしてもよい。この場合、充電位置決定手段204は、上記順位の順に各充電ステーションを表示するほか、当該順位の最上位の充電ステーションを推奨ステーションとして表示して、当該推奨ステーションの位置を充電予定位置とすることについてユーザの承認を取得するものとしてもよい。
【0041】
続いて、NCU14は、経路探索手段206により、記憶装置16が記憶する地図情報を参照して、自車両の現在位置から充電予定位置までの経路を探索し、探索した経路の経路上の各点の位置と経路の距離と経路の起伏についての情報を含む経路情報を停留時間算出手段208に出力する(S103)上記経路は、例えば、自車両の現在位置から充電予定位置までの最短距離の経路、または、道路の速度制限や渋滞情報等を勘案して指定ステーションに最短時間で到達できる経路、とすることができる。
【0042】
次に、NCU14は、停留時間算出手段208により、自車両のバッテリ残量と、上記経路情報に含まれる経路の距離と起伏とに基づいて、指定ステーションに到達するときの自車両のバッテリ残量の推定量を算出し、当該バッテリ残量の推定量に基づいて、指定ステーションにおける充電開始から完了までの予想時間(充電待ち予想時間)を、指定ステーションにおける停留時間として算出する(S104)。ここで、バッテリ残量の推定量は、例えば、上記経路の距離と起伏の情報に基づいて指定ステーションに到達するまでのバッテリ消費量の推定値を算出し、当該推定値を現在のバッテリ残量から減算して求めることができる。
【0043】
なお、本実施形態では指定ステーションに到達するときのバッテリ残量の推定量に基づいて停留時間を算出するものとしたが、これに限らず、指定ステーションに到達するときのバッテリ残量の目標値を設定し、当該目標値に基づく充電待ち予想時間を停留時間として算出してもよい。ここで、上記目標値は、例えば、NCU14がバッテリ残量と経路情報に基づいて決定するものとしてもよいし、ユーザからの指示に基づいて決定するものとしてもよい。このようなバッテリ残量の目標値を設定する場合には、NCU14は、当該目標値をエネルギ管理手段104に与え、エネルギ管理手段104は、バッテリ残量が目標値となるように、上記経路の距離と起伏の情報に基づいて内燃機関50とモータ52の動作切り替えタイミングおよびバッテリ54の回生充電タイミングを計画し実行する。
【0044】
また、本実施形態では充電待ち予想時間を停留時間としたが、これに限らず、指定ステーションへの到着時から充電開始までの予想待ち時間(開始待ち予想時間)を、上記停留時間に含めるものとしてもよい。このような開始待ち時間は、例えば、特許文献1に記載された方法により取得することができる。
【0045】
次に、コンテンツ探索手段210は、記憶装置16に記憶されたユーザ情報から希望カテゴリを参照し(S105)、コンテンツ探索処理を実行する(S106)。コンテンツ探索処理では、ユーザの希望カテゴリに合致し、かつ、上記算出された停留時間に相当する時間内において提供することができるコンテンツ(適合コンテンツ)を探索し、探索した各適合コンテンツの名称や所在等の情報を含むコンテンツ情報をまとめた目録情報を、記憶装置16に記憶する。また、場合に応じて、探索したコンテンツを、録画やダウンロードにより取得して、記憶装置16に保存する。
【0046】
ここで、コンテンツとは、メディアによって記録・伝送することのできる、映像、画像、音声、テキスト及びその組み合わせをいい、例えば、映画、TV番組、音楽などを含む。また、コンテンツには、コンピュータにより実行することのできるゲームソフトウェアが含まれるものとしてもよい。
なお、コンテンツ探索処理の詳細については後述する。
【0047】
次に、コンテンツ提供手段212は、自車両が指定ステーションに到着して停車すると、記憶装置16の目録情報を参照して、目録情報に一つ以上の適合コンテンツのコンテンツ情報が含まれているか否かを判断する(S107)。そして、目録情報の中に一つ以上の適合コンテンツのコンテンツ情報が含まれているときは(S107、Yes)、操作表示部20に、当該目録情報に含まれる全ての適合コンテンツのコンテンツ情報を表示したコンテンツ選択画面を表示する(S108)。
【0048】
図8は、コンテンツ選択画面の一例を示す図である。
本画面には、ステップS104において算出した停留時間(図8の例では「95分」)と共に、適合コンテンツのコンテンツ情報が、コンテンツ選択ボタン340〜344として列挙表示されている。また、図7の画面には、表示されていない他の適合コンテンツのコンテンツ情報を表示するためのスクロールバー345と、OKボタン346と、キャンセルボタン347も表示されている。
【0049】
本画面に対しユーザは、操作表示部20に列挙表示されたコンテンツ選択ボタン340等のうちから、所望の適合コンテンツに対応するコンテンツ選択ボタンを押下した後、OKボタン346を押下することにより、当該所望の適合コンテンツを指定することができる。
【0050】
なお、図7の例では、操作表示部20にコンテンツ情報を羅列して表示されているが、これに限らず、例えば、コンテンツ提供手段212が、希望カテゴリとの近似度や、停留時間と提供に要する時間との一致度(時間差)等に基づいて、各適合コンテンツの適性度を評価し、適性度の高い順に、各適合コンテンツのコンテンツ情報を操作表示部20に表示するものとしてもよい。
【0051】
次に、コンテンツ提供手段212は、ユーザにより所望の適合コンテンツが指定されたことに応じて、当該指定された適合コンテンツを操作表示部20に表示してサービスを実行した後(S109)、処理を終了する。
【0052】
一方、ステップS107において、目録情報の中にコンテンツ情報が一つも含まれていないときは(S107、No)、予め定めた所定の定型メッセージあるいは所定のコンテンツを操作表示部20に表示して(S110)、処理を終了する。
【0053】
本実施形態では、S108またはS110の情報(コンテンツ)の表示開始を許可する条件として、自車両が指定ステーションに到着したことをNCU14が認識していること、およびECU12が車両の停車状態を認識していること、を含むものとする。但し、本実施形態の例に限らず、車両の充電が行われていることをECU12が認識していること、を上記の条件に換えて又は加えても良い。また上記条件成立時に情報の表示開始可否をユーザに問い合わせ、ユーザの承認後に情報の表示開始を実行しても良い。
【0054】
次に、コンテンツ探索処理(図5に示すステップS106)の動作手順について、図6に示すフロー図にしたがって説明する。
【0055】
処理を開始すると、コンテンツ探索手段210は、まず、記憶装置16がユーザに提供可能なコンテンツを記憶しているか否かを判断し(S201)、記憶しているときは(S201、Yes)、当該コンテンツの中に適合コンテンツが含まれているか否かを判断する(S202)。そして、適合コンテンツが含まれているときは(S202、Yes)、当該各適合コンテンツの所在を特定して、当該各適合コンテンツの名称、所在、提供に要する時間等の情報を含むコンテンツ情報をまとめて目録情報とし、記憶装置16に記憶した後(S203)、次のステップS204に処理を移す。
一方、ステップS201において記憶装置16がユーザに提供可能なコンテンツを記憶していないとき(S201、No)、又は、コンテンツを記憶していても当該コンテンツの中に適合コンテンツが含まれていないときは(S202、No)、ステップS204に処理を移す。
【0056】
次に、コンテンツ探索手段210は、指定ステーションまでの経路を走行中に無線波を探索して、コンテンツを取得することのできる無線波があるか否かを判断する(S204)。当該無線波としては、例えば、ワンセグテレビ放送波、地上デジタルテレビ放送波、公衆無線LANの無線波、等とすることができる。ただし、これらは一例であり、これに限らず、コンテンツを取得することのできるあらゆる無線波を対象とすることができる。
【0057】
そして、ステップS204においてコンテンツを取得するこのとのできる無線波があるときは(S204、Yes)、当該無線波により提供されるコンテンツの中に適合コンテンツが含まれているか否かを判断する(S205)。この判断は、例えば、テレビ放送波の場合には当該放送波で受信される番組表、公衆無線LANの場合には所定のウェブサイト(website)においてアクセスすることのできるコンテンツメニュー等に基づいて行うことができる。なお、所定のウェブサイトは、例えば、予めユーザが操作表示部20により指定しておくものとすることができる。
【0058】
また、放送波のように、コンテンツの提供時間帯が定められている場合には、例えば、指定ステーションへの予想到着時刻までに提供が開始されるコンテンツを対象として、適合コンテンツが含まれているか否かを判断することができる。なお、上記予想到着時刻は、指定ステーションまでの距離等に応じてNCU14により算出することができる。
【0059】
次に、ステップS205において、上記無線波により提供されるコンテンツの中に適合コンテンツがあるときは(S205、Yes)、当該適合コンテンツをダウンロードし又は録画を開始して記憶装置16に記憶する(S206)。すなわち、コンテンツの情報源が自車両に備える記憶装置16でない場合、例えば無線波を介して接続される情報源である場合には、適合コンテンツを当該情報源から録画やダウンロード等により取得しておく。なお、コンテンツ探索手段210は、上記録画を開始した後は、当該適合コンテンツ終了後に適宜録画を終了する。
【0060】
次に、コンテンツ探索手段210は、当該各適合コンテンツの名称、所在、提供に要する時間、放送時刻等の情報を含むコンテンツ情報をまとめて、記憶装置16が記憶する目録情報に追加した後(S207)、次のステップS208に処理を移す。
【0061】
一方、ステップS204においてコンテンツを取得することのできる無線波がないとき(S204,No)、又は、コンテンツを取得することのできる無線波があっても、当該コンテンツの中に適合コンテンツが含まれていないときは(S205、No)、ステップS208に処理を移す。
【0062】
次に、コンテンツ探索手段210は、指定ステーションに到着した際に、当該指定ステーションにおいてコンテンツを取得することのできるローカル無線による情報提供サービス(ローカルサービス)が提供されているか否かを判断する(S208)。この判断は、例えば、記憶装置16が記憶する地図情報の中に、各充電ステーションについての、上記ローカルサービスの提供の有無を含むサービス提供情報が含まれている場合には、当該指定ステーションについてのサービス提供情報に基づいて行うことができる。あるいは、自車両が指定ステーションに接近するに伴って、指定ステーションに設置されたサービス機器からのローカル無線波の存在を通信制御部22により探知して、上記判断を行うこともできる。
【0063】
そして、ステップS208においてコンテンツを取得することのできるローカルサービスが提供されているときは(S208、Yes)、当該コンテンツの中に適合コンテンツがあるか否かを判断する(S209)。この判断は、例えば、ローカルサービスにより提供されるコンテンツメニューや番組表を受信することにより行うことができる。
【0064】
続いて、当該ローカルサービスにより提供されるコンテンツの中に適合コンテンツがあるときは(S209、Yes)、当該適合コンテンツの名称、提供に要する時間等を含むコンテンツ情報をまとめて、記憶装置16が記憶する目録情報に追加して(S210)、コンテンツ探索処理を終了する。
【0065】
一方、ステップS208においてコンテンツを取得することのできるローカルサービスが提供されていないとき(S208、No)、又は、ローカルサービスが提供されていても、当該ローカルサービスにより取得できるコンテンツの中に適合コンテンツが含まれていないときは(S209、No)、コンテンツ探索処理を終了する。
【0066】
なお、本実施形態では、NCU14の経路探索手段206は、指定ステーションまでの最短距離又は最短時間の経路を探索し(図5のステップS103)、当該経路に沿って自車両が走行する間に、コンテンツ探索手段210がコンテンツ探索処理(図6)により適合コンテンツを探索するものしたが、これに限らず、例えば、経路探索手段206は、最短距離の経路(最短距離経路)との距離の差が所定の範囲内である経路、又は、最短時間の経路(最短時間経路)との到達時間の差が所定の範囲内である経路であって、かつ、コンテンツの取得が可能な無線波を受信しやすい経路を探索するものとしてもよい。この場合、経路探索手段206は、最短距離経路又は最短時間経路と、無線波を受信しやすい経路とを、操作表示部20に表示して、ユーザがいずれかを選択する構成とすることもできる。
【0067】
また、本実施形態では、車両制御部10は、その内部に地図情報を記憶した記憶装置16を備え、ナビゲーションに関連する演算処理等はNCU14が独立して(スタンドアローンで)処理する構成となっているが、これに限らず、NCU14のナビゲーション機能の一部を自車両の外部に設置されたサーバに委託する形態とし、NCU14は、通信制御部22を介して、サーバに対し処理に必要な情報を送信し、サーバから当該処理の結果を受信する構成とすることができる。また、NCU14は、サーバに対し当該サーバが保存する情報(例えば地図情報)を要求して取得する構成とすることもできる。
【0068】
上記のように車外に置かれたサーバとの通信によりナビゲーション機能を実現する構成においては、例えば、図3に示す充電位置決定手段204、経路探索手段206、停留時間算出手段208等の機能をサーバに委託する構成とすることができる。また、ユーザ情報をサーバに保存することとし、希望カテゴリ取得手段214の機能もサーバに委託するものとしてもよい。この場合、ユーザは、例えば、当該サーバとインターネット等を介して通信可能に接続されたパーソナルコンピュータから希望カテゴリを入力し、希望カテゴリ取得手段214は、当該入力された希望カテゴリを上記パーソナルコンピュータから取得するものとすることもできる。
【0069】
以上、説明したように、本発明に係る情報提供装置は、充電ステーション到達時のバッテリ54の推定残量等に基づいて、当該充電ステーションにおける自車両の停留時間を予測し、当該充電ステーションへの移動中等に、当該停留時間内にユーザに提供することのできるコンテンツを探索し、場合によっては探索したコンテンツを取得して、当該充電ステーションに到着後の停留時間に、当該コンテンツを表示してユーザに提供する。これにより、ユーザは、充電ステーションでの待ち時間を快適に過ごすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すECUの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示すNCUの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図1に示すNCUにより操作表示部に表示される、地図表示画面の一例を示す図である。
【図5】図1に示す情報提供装置の動作手順を示すフロー図である。
【図6】図1に示す情報提供装置の動作手順のうちの、コンテンツ探索処理の手順を示すフロー図である。
【図7】図1に示すNCUにより操作表示部に表示される、充電ステーション選択画面の一例を示す図である。
【図8】図1に示すNCUにより操作表示部に表示される、コンテンツ選択画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1・・・情報提供装置、10・・・車両制御部、12・・・ECU、14・・・NCU、16・・・記憶装置、20・・・操作表示部、22・・・通信制御部、24・・・GPSユニット、50・・・内燃機関、52・・・モータ、54・・バッテリ、100・・・エンジン制御手段、102・・・パワー制御手段、104・・・エネルギ管理手段、200・・・位置情報取得手段、202・・・充電要求受付手段、204・・・充電位置決定手段、206・・・経路探索手段、208・・・停留時間算出手段、210・・・コンテンツ探索手段、212・・・コンテンツ提供手段、214・・・希望カテゴリ取得手段、300・・・地図、301〜308・・・機能選択ボタン、309・・・詳細図表示ボタン、310・・・広域図表示ボタン、320〜324・・・ステーション選択ボタン、325、345・・・スクロールバー、326、346・・・OKボタン、327、347・・キャンセルボタン、340〜344・・・コンテンツ選択ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部から充電されるバッテリを備えた車両に搭載され、当該車両の乗員に情報を提供する情報提供装置であって、
前記乗員に提供する情報を探索する制御部を備え、
該制御部は、前記バッテリの充電場所に関する指示に応じて前記バッテリの充電予定位置を定めると共に、前記車両内又は前記車両外の情報源から前記乗員に提供する情報を探索し、前記車両が前記充電予定位置に到着した後、または、前記充電予定位置において前記バッテリへの充電が行われている間に、前記探索した情報を乗員に提供するよう構成されている、
情報提供装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両の現在位置と、前記充電予定位置と、前記バッテリの現在の残容量とに基づいて、前記充電予定位置における、前記バッテリの充電に要する予測時間を含んだ前記車両の停留時間を算出し、該停留時間に応じた時間内に提供することのできる情報を前記乗員に提供する情報として探索するよう構成されている、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両が前記充電予定位置に至るまでの間、または、前記充電予定位置において前記バッテリへの充電が開始されるまでの間に、前記乗員に提供する情報を探索する、
請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記探索した情報が前記車両外の情報源から提供されるものであるときは、前記車両が前記充電予定位置に至るまでの間、または、前記充電予定位置において前記バッテリへの充電が開始されるまでの間に、当該探索した情報を当該情報源から取得して記憶装置に記憶し、当該記憶した情報を前記乗員に提供するよう構成されている、
請求項1ないし3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
さらに、前記乗員が提供を希望する情報のカテゴリを記憶する記憶装置を有し、
前記制御部は、当該記憶装置が記憶する前記カテゴリに合致する情報を、前記乗員に提供する情報として探索する、
請求項1ないし4に記載の情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−104683(P2013−104683A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246567(P2011−246567)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】