説明

車両玩具

【課題】第1の形態の外観から変化可能な第2の形態の外観の予測を難しくした車両玩具を提供する。
【解決手段】第1の形態と第2の形態とに変化する車両玩具であって、表面が第1の形態の一部分を構成し裏面が第2の形態の一部分を構成する基部材と、基部材に各々回動可能に結合し、表面が第1の形態を呈し、裏面が第2の形態を呈するように表面と裏面に異なる外観が施された少なくとも2個以上の回動部材と、を有し、2個以上の回動部材のうち少なくとも2個の回動部材の各々の端部には、互いに連結して車両玩具1を第1の形態又は第2の形態に保持する連結部を備え、車両玩具1が第1の形態のとき、基部材の裏面は2個以上の回動部材によって覆われて不可視状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の形態の車両から、第1の形態とは異なる第2の形態の車両に変化する車両玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両玩具として、表裏に異なる外観を施した複数の部材を有し、操作者が各部材を回動させて各部材の表裏を逆にし、異なる外観の車両玩具に変化させるものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の車両玩具は、支持枠にボディ側壁とボディ前面とボディ後面が上下に回動可能に取付けられている。そして、操作者がボディ側壁とボディ前面とボディ後面を上方に回動させることで車両玩具の外観を変化させることが出来る。また、特許文献2に記載の車両玩具は、車両玩具の本体の前後に異なる車種のデザインが施されている。そして、本体の中央に表と裏でデザインが異なる複数の部材が枠に回動可能に取付けられ、この複数の部材が車両前部を覆うように枠を配置した場合と車両後部を覆うように枠を配置した場合とで車両玩具の外観が変化するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特昭58−36580号公報
【特許文献2】登録実用新案3047055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
次に従来の問題点について説明する。特許文献1に記載された車両玩具は、車両の外観を変化させる際にボディ側壁とボディ前面とボディ後面のみを上下に回動させて外観を変化させている。そのため、外観を変化させるために回動させる部分は車両玩具の一部分にとどまり、変化の予測が容易であるという問題点があった。また、特許文献2に記載された車両玩具は、複数の部材を車両玩具の前又は後の部分に重ねるように配置して車両の種類を変化させるため、本体を覆う部材の厚み分だけ車両玩具の前の部分と後の部分の間に段差が生じることになり、外観を損ねるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、車両玩具の変化前後の外観を予測することを難しくした車両玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両玩具は、第1の形態と第2の形態とに変化する車両玩具であって、表面が前記第1の形態の一部分を構成し裏面が前記第2の形態の一部分を構成する基部材と、前記基部材に各々回動可能に結合し、表面が前記第1の形態を呈し、裏面が前記第2の形態を呈するように前記表面と前記裏面に異なる外観が施された少なくとも2個以上の回動部材と、を有し、前記2個以上の回動部材のうち少なくとも2個の回動部材の各々の端部には、互いに連結して前記車両玩具を前記第1の形態又は前記第2の形態に保持する連結部を備え、前記車両玩具が前記第1の形態のとき、前記基部材の前記裏面は前記2個以上の回動部材によって覆われて不可視状態となることを特徴とする。
【0008】
なお、本発明にいうところの「不可視状態」とは、完全に外部から視認できない状態は勿論、第2の形態を予測させない程度に視認できない状態も含まれる。
【0009】
本発明にかかる車両玩具は、前記連結部は磁石を用いて前記回動部材同士を連結させていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る車両玩具は、前記回動部材に設けられ、操作者が前記回動部材の回動方向へ動かして前記回動部材を回動させる操作部と、前記操作部が設けられた回動部材とは異なる他の前記回動部材に設けられ、前記操作部が係止される係止部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る車両玩具は、前記基部材に、車両玩具の車輪が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る車両玩具は、前記車輪の周面が、前記基部材の表面および裏面から突出していることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る車両玩具は、前記基部材は、前記車両玩具の前端部を構成する部材であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る車両玩具は、前記2個以上の回動部材の少なくとも1個には車両玩具の車輪が設けられていることを特徴とする。また、本発明に係る車両玩具は、前記車輪が設けられた回動部材の表面および裏面から突出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る車両玩具によれば、第1の形態の外観から変化可能な第2の形態の外観を予測することを難しくした車両玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車両玩具の第1の形態としての普通乗用車を示す斜視図である。
【図2】図1に係る車両玩具の第1の形態である普通乗用車から第2の形態であるパトロールカーへの変化初期段階の状態を示す斜視図である。
【図3】図1に係る車両玩具の第1の形態である普通乗用車から第2の形態であるパトロールカーへの変化中期状態を示す斜視図である。
【図4】図1に係る車両玩具の第2の形態であるパトロールカーの完成状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の変形例に係る車両玩具の第1の形態としての超特急電車を示す斜視図である。
【図6】図5に係る車両玩具の第1の形態である超特急電車から第2の形態である普通電車への変化初期段階の状態を示す斜視図である。
【図7】図5に係る車両玩具の第1の形態である超特急電車から第2の形態である普通電車への変化中期状態を示す斜視図である。
【図8】図5に係る車両玩具の第1の形態である超特急電車から第2の形態である普通電車への変化終期状態を示す斜視図である。
【図9】図5に係る車両玩具の第2の形態である普通電車の完成状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明に係る車両玩具の第1の形態としての普通乗用車を示す斜視図である。図2は、図1に係る車両玩具の第1の形態としての普通乗用車から第2の形態としてパトロールカーへの変化初期段階の状態を示す斜視図である。
【0019】
図1と図2に示すように、車両玩具1は、シャーシ2と、車輪3と、ボディ前面5と、ボンネット6と、前側車室7と、側壁8と、側壁9と、ボディ後面10と、トランク11と、後側車室12とからなっている。ここで、車輪3が設けられているシャーシ2が本発明にいう基部材を構成している。また、ボディ前面5と、ボンネット6と、前側車室7と、側壁8と、側壁9と、ボディ後面10と、トランク11と、後側車室12は本発明にいう回動部材を構成している。これらは汎用の樹脂から作られている。そして、シャーシ2の表面は第1の形態としての普通乗用車の底面を構成し、裏面は第2の形態としてのパトロールカーの底面を構成している。ボディ前面5と、ボンネット6と、前側車室7と、ボディ後面10と、トランク11と、後側車室12と、側壁8と、側壁9の表面には第1の形態としての普通乗用車の外観が施されており、裏面には第2の形態としてのパトロールカーの外観が施されている。
【0020】
シャーシ2の裏面は、第1の形態である普通乗用車のときには、ボディ前面5と、ボンネット6と、前側車室7と、側壁8と、側壁9と、ボディ後面10と、トランク11と、後側車室12により覆われ、第2の形態を予測できない程度に外部から視認できない状態(本発明にいう「不可視状態」)になっている。また、第1の形態である普通乗用車のときには、第2の形態であるパトロールカーの形態を呈するシャーシ2、ボディ前面5、ボンネット6、前側車室7、ボディ後面10、トランク11、後側車室12と、側壁8と、側壁9の裏面は外観からは視認できないようになっているため、裏面にどのような外観を施しても、第1の形態を呈する表面には影響が少なく、また、第1の形態である普通乗用車の外観からは、第2の形態であるパトロールカーの外観を予測することが難しくなっている。さらに、車輪3が設けられているシャーシ2(本発明にいう基部材)に対して、車両玩具のボディを構成する、ボディ前面5と、ボンネット6と、前側車室7と、側壁8と、側壁9と、ボディ後面10と、トランク11と、後側車室12(本発明にいう回動部材)を会同させるため、車両玩具の大部分を占めるボディの外観を変化させることになるので、操作者は変化の予測が難しくなる。
【0021】
シャーシ2の4辺には、ボディ前面5とボディ後面10と側壁8と側壁9とがヒンジ部40〜43を介して回動可能に結合されている。そして、ボディ前面5とボンネット6と前側車室7とが、ヒンジ部44、45を介して回動可能に結合されている。また、ボディ後面10とトランク11と後側車室12が、ヒンジ部46、47を介して回動可能に結合されている。
【0022】
ボディ前面5とボンネット6と前側車室7とボディ後面10とトランク11と後側車室12と側壁8と側壁9は、夫々が接する端部が山状に形成されている。例えば、図2に示すように側壁9と後側車室12が接する箇所には、側壁9の端部9eの内側斜面と後側車室12の左側端部12gの下側斜面とが接するように側壁9の端部9eと後側車室12の左側端部12gは山状に形成されている。
【0023】
前側車室7の端部7fには、端部7fの表面から1mm程度凹むように磁石20Aが設けられている。後側車室12の端部12fには、磁石20Aと対応する位置に後側車室12の面12fの表面から1mm程度突出するように金属部品20Bが設けられている。そして、磁石20Aと金属部品20Bで本発明にいう連結部が構成されている。この構成により、外観を損なうことなく簡単に連結させたり連結を解いたりすることができ、また、車両玩具の形態を確実に保持できる。
【0024】
前側車室7の後部の左右側面には係止片7a、7bが設けられており、係止片7a、7bの後側の面には上下方向に溝部7d、7eが形成されている。また、後側車室12の前部の左右側面には係止片7a、7bに対応するように係止片12a、12bが設けられ、係止片12a、12bの前側の面には上下方向に溝部12d、12eが形成されている。ここでは、係止片7aと係止片12a、係止片7bと係止片12bで係止部が構成されている。
【0025】
側壁9の上端部には操作部9aが設けられており、操作部9aは支持部9cと支持部9cの端部に備えられるつまみ9bとからなっている。同様に、側壁8の上端部にも支持部8cとつまみ8bとからなる操作部8aが設けられている。この操作部8a、9aにより操作者は側壁8、9、すなわち、回動部材の回動を容易に行うことができるようになっている。また、操作部8a、9aは、他の回動部材である、前側車室7、後側車室12のそれぞれの係止片7a、7b、12a、12bに係止されているので、操作部8a、9aが設けられた回動部材(側壁8、9)を安定的に固定することができる。
【0026】
図3は、図1に係る車両玩具の第1の形態である普通乗用車から第2の形態であるパトロールカーへの変化中期状態を示す斜視図である。
【0027】
シャーシ2の表面2A及び裏面2Bには、ボディ前面5を位置決めする突出部31、突出部32、リブ33と、リブ34とが同じように立設されている。
【0028】
突出部31は、ボディ前面5をD方向に回動させると(すなわち、シャーシ2の裏面2Bに近づく方向へ回動させると)、突出部31の前側の面にボディ前面5の表面が接するように設けられている。また、シャーシ2の中央付近に立設するリブ33は、前側車室をD方向に回動させるとリブ33の頭頂部が前側車室7に接するように設けられている。そして、リブ33の頭頂部には、前側車室7の曲部7gに対応するように段差33aが形成されている。
【0029】
突出部32は突出部31と同様に、ボディ後面10をE方向に回動させると(すなわち、シャーシ2の裏面2Bに近づく方向へ回動させると)、ボディ後面10の表面が突出部32の後面に接するように設けられている。また、リブ34は、リブ33と同様に後側車室12をE方向に回動させるとリブ34の頭頂部が後側車室12の天井部12hに
当接するように設けられている。そしてリブ34の頭頂部には、より適切な角度で後側車室12を位置決めする事ができるように傾斜面34aが形成されている。
【0030】
図4は、図1に係る車両玩具の第2の形態であるパトロールカーの完成状態を示す斜視図である。パトロールカーの形態に変化した時でも、車両玩具1の左右が逆になっただけで基本構成は変わっておらず、シャーシ2の前端部2aに回動可能に結合したボディ前面5にボンネット6と前側車室7が更に回動可能に結合している。また、シャーシ2の後端部2cに回動可能に結合したボディ後面10にトランク11と後側車室12が更に回動可能に結合している。そして前側車室7と後側車室12が磁石20Aと金属部品20Bで吸着している。
【0031】
そして、シャーシ2の側端部には側壁8と側壁9が回動可能に結合し、操作部8aは係止片7bと係止片12bに挟まれ、操作部9aも係止片7aと係止片12aに挟まれている。
【0032】
車両玩具1を普通乗用車からパトロールカーに形態を変更させる際は図1の状態から、まず操作部8aと操作部9aをつまんで側壁8と側壁9を外側に回動させる。そして前側車室7と後側車室12を持って、磁石20Aと金属部品20Bの吸着力に抗するようにボディ前面5とボンネット6と前側車室7をA方向(シャーシ2の表面2Aから離間する方向)、ボディ後面10とトランク11と後側車室12をB方向(シャーシ2の表面2Aから離間する方向)に回動させて、図2に示すように分離する。
【0033】
次に、側壁8と側壁9とボディ前面5とボンネット6と前側車室7とボディ後面10とトランク11と後側車室12を回動させて図3に示すように展開する。
【0034】
次に、車両玩具1を裏返すようにC方向に回転させる。そして、ボディ前面5とボンネット6と前側車室7をD方向、ボディ後面10とトランク11と後側車室12をE方向に回動させて、磁石20Aと金属部品20Bを吸着させる。ここで磁石20Aの作る凹部に金属部品20Bの頭がはまるので、前側車室7と後側車室12の横方向や上下方向のズレの発生を抑えることが出来る。
【0035】
その後、側壁8、9をシャーシ2の裏面2Bに近づく方向へ回動して側壁8の上端部に設けられた操作部8aを係止片7bと係止片12bに挟んで側壁8を固定し、側壁9の上端部に設けられた操作部9aも係止片7aと係止片12aに挟んで側壁9を固定する。これにより普通乗用車から図4に示すパトロールカーへの変化が完了する。
【0036】
パトロールカーの状態から普通乗用車の状態に変化させる際も上述した手順と同じ操作を行なえばよく、操作者は容易に外観を変更することが出来る。
【0037】
なお、車輪3はその周面がシャーシ2の表面2Aおよび裏面2Bから突出するようにシャーシ2に設けられている。このことにより、第1の形態である普通乗用車のときも第2の形態であるパトロールカーのときも、車輪3については共用することができ、車両玩具の構造の簡素化と、形態の変化を両立できる。
【0038】
図5は、本発明の変形例に係る車両玩具の第1の形態としての超特急電車を示す斜視図である。図1から図4に基づく例では、シャーシ2を中心にして前側車室7や側壁8、9などを180度回動させて外観を変化させる例について説明した。変形例では、車両玩具の前端部を構成するボディ前面55を中心にしてシャーシ52や側壁58、59を180度回動させて外観を変化させる例について説明する。
【0039】
車両玩具50は、ボディ前面55と、車輪53が設けられたシャーシ52と、側壁58と、側壁59と、保持部62と、保持部63と、左側天井部60と、右側天井部61とからなっている。ここで、ボディ前面55が本発明にいう基部材を構成している。また、車輪53が設けられたシャーシ52と、側壁58と、側壁59と、保持部62と、保持部63と、左側天井部60と、右側天井部61が本発明にいう回動部材を構成している。そして、側壁58と、側壁59と、保持部62、保持部63と、左側天井部60と、右側天井部61には表面に超特急電車の外観が施され、裏面に普通電車の外観が施されている。更にボディ前面55の表面55bには第1の形態としての超特急電車の先端の形状が形成されている。また、ボディ前面55の裏面には第2の形態としての普通電車の前面の外観が施されているが、第1の形態である超特急電車のときには、側壁58と、側壁59と、保持部62、保持部63と、左側天井部60と、右側天井部61により覆われ、第2の形態を予測できない程度に外部から視認できない状態(本発明にいう「不可視状態」)になっている。また、第1の形態である超特急電車のときには、第2の形態である普通電車の形態を呈するボディ前面55、車輪53が設けられたシャーシ52、側壁58、側壁59、保持部62、保持部63、左側天井部60、右側天井部61の裏面は外観からは視認できないようになっているため、裏面にどのような外観を施しても、第1の形態を呈する表面には影響が少なく、また、第1の形態である超特急電車の外観からは、第2の形態である普通電車の外観を予測することが難しくなっている。さらに、ボディ前面55(本発明にいう基部材)の表面と裏面の一方のみを外部に呈し、他方を車両玩具の内側に隠すことができるので、それぞれの外観を全く異なるものに設定することができ、操作者は変化前後の外観の予測が難しくなる。
【0040】
ボディ前面55の底面後側には、シャーシ52がヒンジ部74を介して回動可能に結合している。また、ボディ前面55の左側面後側には側壁58の前端部がヒンジ部73Aを介して回動可能に結合している。更に、ボディ前面55の右側面後側には側壁59の前端部がヒンジ部73B(図6参照)を介して回動可能に結合している。ヒンジ部の構造についてヒンジ部73Aを例に説明すると、ボディ前面55の左側面後側に設けられたシャフト受け55aが、側壁58の前端部に設けられたシャフト受け58aの間に挿入され、シャフト受け55aとシャフト受け58aとを貫くようにシャフト81が挿入されている。
【0041】
側壁58の後端部には、ヒンジ部72Aを介して保持部62が回動可能に結合されている。そして、側壁85の上端部にはヒンジ部70Aと70Bを介して左側天井部60が回動可能に結合されている。また、後述する図6に示すように側壁59も側壁58と同様に、ヒンジ部72Bを介して保持部63が回動可能に結合され、側壁85の上端部にはヒンジ部71Aと71Bを介して右側天井部61が回動可能に結合されている。
【0042】
図6は、図5に係る車両玩具の第1の形態である超特急電車から第2の形態である普通電車への変化初期段階の状態を示す斜視図である。保持部62の内側面62bには磁石65Aが設けられており、磁石65Aの表面が内側面62bより1mm程度凹むように設定されている。また、保持部63の内側面63bには磁石65Aと対応するように金属部品65Bが設けられており、金属部品65Bの頭の表面が内側面63bより1mm程度突出するように設けられている。なお、金属部品65Bは磁石と吸着するように鉄やステンレス等から作られている。この構成により、外観を損なうことなく簡単に連結させたり連結を解いたりすることができ、また、車両玩具の形態を確実に保持できる。
【0043】
保持部62の下側には係止片62aが設けられ、保持部63の下側には係止片63aが設けられている。係止片62aには溝部62eが車両前後方向に形成されている。また、係止片63aには溝部63eが車両前後方向に形成されている。そして、係止片62aと係止片63aに対応する位置に、シャーシ52の後端には固定部52aがシャーシ52の後側に突出するように設けられている。
【0044】
図7は図5に係る車両玩具の第1の形態である超特急電車から第2の形態である普通電車への変化中期状態を示す斜視図である。図8は、図5に係る車両玩具の第1の形態である超特急電車から第2の形態である普通電車への変化終期状態を示す斜視図である。
【0045】
図7と図8に示すように左側天井部60の右側天井部61と当接する面には凹部60bが2つ設けられている。そして、右側天井部61の左側天井部60と当接する面には凹部60bと対応する位置に凸部61bが2つ設けられている。
【0046】
図9は、図5に係る車両玩具の第2の形態である普通電車の完成状態を示す斜視図である。図9に示すように、側壁58の上部にはテーパー面58bが形成されている。また左側天井部60の側面部60cにもテーパー面60cが形成されている。
【0047】
車両玩具50を第1の形態である超特急電車から第2の形態としての普通電車に形態を変更させる際は図5の状態から、まず保持部62と保持部63を持ち、磁石65Aと金属部品65Bの吸着力に抗するようにヒンジ部73Aを回動軸として保持部62と側壁58をH方向(ボディ前面55の左側面55dに近づく方向)に回動させ、ヒンジ部73Bを回動軸として保持部63と側壁59をI方向(ボディ前面55の表面55bに近づく方向)に回動させる。
【0048】
ここで、係止片62aと係止片63aは、超特急電車の状態や普通電車の状態であるときに、固定部52aを係止している。そのため保持部62と保持部63を離間させると、固定部52aは係止片62aと係止片63aの間から抜け落ちて、シャーシ52がヒンジ部74を回動軸としてJ方向(ボディ前面55の表面55bに近づく方向)に回動可能になる。
【0049】
次に、図6と図7に示すように、保持部62をヒンジ部72Aを回動軸として、保持部62が側壁58に接するまでK方向(側壁58の表面58bに近づく方向)に回動させる。同様に保持部63をヒンジ部72Bを回動軸として保持部63が側壁59に接するまでL方向(側壁59の表面に近づく方向)に回動させる。また、左側天井部60をヒンジ部70A、70Bを回動軸としてM方向(側壁58の表面58bに近づく方向)に回動させ、右側天井部61をヒンジ部71A、71Bを回動軸としてN方向(側壁59の表面に近づく方向)に回動させる。
【0050】
そして、図8に示すように側壁58の表面58bがボディ前面55の左側面55dに接するまで側壁58をH方向に回動させる。このように保持部62と左側天井部60と側壁58を回動させて、保持部62と左側天井部60と側壁58とボディ前面55が互いに接するように配置することで、操作者が簡単に位置決めしながら車両の外観を変化させることが出来る。次に、側壁59をI方向に回動させ、磁石65Aと金属部品65Bを吸着させる。
【0051】
ここで、左側天井部60と右側天井部61を当接させると、凹部60bに凸部61bがはまる。これにより、左側天井部60のM方向と逆の方向への動きを規制でき、右側天井部61のN方向と逆方向への動きを規制できるため、操作者が車両玩具50で遊んでも左側天井部60と右側天井部61が容易に車両上方に開くことを防げる。
【0052】
次に、シャーシ52をボディ前面55の下側前端部55cに接するまでJ方向に回動させる。そして、係止片62aと係止片63aの間に固定部52aを挟み込む。ここで、保持部62と保持部63は磁石65Aと金属部品65Bで吸着結合しているため、操作者がある程度の力を加えてシャーシ52をJ方向に回動させると、磁石65Aの吸着力に抗して若干係止片62aと係止片63aが左右方向に離れるため、固定部52aを容易に係止片62aと係止片63aの間に挟み込むことができる。
【0053】
これにより図9に示す普通電車への変化が完了する。ボディ前面55の表面55bは側壁58と側壁59と保持部62と保持部63と左側天井部60と右側天井部61とシャーシ52とで内側に包まれ、外側から視認できないように車両の内側に格納される。このように車両の内側に格納できる長さや大きさであればボディ前面55の形状を自由に設定でき、変化する車両の長さや形状が制限されない。
【0054】
またシャーシ52と、側壁58と、側壁59と、保持部62
、保持部63と、左側天井部60と、右側天井部61とがボディ前面55を中心にして180度回動し、超特急電車の外観が施された表面が全て車両内側に収まるため、普通電車の状態からは超特急電車の状態に変化可能であることの予測は難しくなる。
【0055】
なお、車輪53はその周面がシャーシ52の表面および裏面から突出するようにシャーシ52に設けられている。このことにより、第1の形態である超特急電車のときも第2の形態である普通電車のときも、車輪53については共用することができ、車両玩具の構造の簡素化と、形態の変化を両立できる。
【0056】
テーパー面58bとテーパー面60cが形成されているため、車両玩具50が超特急電車の形態を示すときに側壁58の上部と左側天井部60の側面部が干渉しない。そのため、ヒンジ部70A、70Bを回動軸として左側天井部60を回動させて表面と裏面を容易に呈することが出来る。また、ここでは普通電車のデザインとしてもテーパー面58bとテーパー面60cが形成されている。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明に係る車両玩具は上述した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変化が可能である。本実施例では、磁石と鉄やステンレスで作られた金属部品を用いる構成としたが、本発明はこれに限定されず、磁石を2つ用いて磁石同士を吸着させるようにしてもよい。
【0058】
また、本実施例では突出部31、突出部32、リブ33、リブ34をシャーシ2の一方の表面に2つずつ設ける構成としたが、本発明はこれに限定されず、突出部31、突出部32、リブ33、リブ34を1つ設ける構成としてもいいし、3つ以上設ける構成としても良い。また、位置決めが必要な箇所にのみ設ける構成としても良い。
【0059】
また本実施例では、前側車室7とボディ前面55の形状を大きく変える車種間で変更する構成としたが、本発明はこれに限定されず側壁の形状や保持部の形状などを車両の種類を変更した場合に車両内部に外観が格納できる範囲で自由に設計する事が出来る。
【0060】
また、本実施例に係る車両玩具は、本実施例と同じ手順で車両の種類を変化させる必要はなく、回動部材を回動させて任意に車両の種類を変化させることが出来る。
【0061】
また、本実施例にかかる車両玩具は、連結部として磁石と金属部品を用いる構成としたが、本発明はこれに限定されず、回動部材同士を係止させたりベルクロ等で連結させるようにしてもよい。
【0062】
また、本発明にかかる車両玩具は、樹脂から作られる構成としたが、本発明はこれに限定されず、金属や木材などから作られても良い。
【符号の説明】
【0063】
1 車両玩具 2 シャーシ 5 ボディ前面 6 ボンネット 7 前側車室 8、9 側壁 9 側壁 10 ボディ後面 11 トランク 12 後側車室 31、32 突出部 33、34 リブ 40〜47 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の形態と第2の形態とに変化する車両玩具であって、 表面が前記第1の形態の一部分を構成し裏面が前記第2の形態の一部分を構成する基部材と、 前記基部材に各々回動可能に結合し、表面が前記第1の形態を呈し、裏面が前記第2の形態を呈するように前記表面と前記裏面に異なる外観が施された少なくとも2個以上の回動部材と、を有し、 前記2個以上の回動部材のうち少なくとも2個の回動部材の各々の端部には、互いに連結して前記車両玩具を前記第1の形態又は前記第2の形態に保持する連結部を備え、前記車両玩具が前記第1の形態のとき、前記基部材の前記裏面は前記2個以上の回動部材によって覆われて不可視状態となることを特徴とする車両玩具。
【請求項2】
前記連結部は磁石を用いて前記回動部材同士を連結させていることを特徴とする請求項1に記載の車両玩具。
【請求項3】
前記回動部材に設けられ、操作者が前記回動部材の回動方向へ動かして前記回動部材を回動させる操作部と、 前記操作部が設けられた回動部材とは異なる他の前記回動部材に設けられ、前記操作部が係止される係止部と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両玩具。
【請求項4】
前記基部材には、車両玩具の車輪が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両玩具。
【請求項5】
前記車輪の周面は、前記基部材の表面および裏面から突出していることを特徴とする請求項4に記載の車両玩具。
【請求項6】
前記基部材は、車両玩具の前端部を構成する部材であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両玩具。
【請求項7】
前記2個以上の回動部材の少なくとも1個には車両玩具の車輪が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両玩具。
【請求項8】
前記車輪は、前記車輪が設けられた回動部材の表面および裏面から突出していることを特徴とする請求項7に記載の車両玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−210438(P2012−210438A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141632(P2012−141632)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2010−126350(P2010−126350)の分割
【原出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】