説明

車両用エアガイド

【課題】 ブラケットを省略して車両側方からの熱気を容易に遮断できる形状に形成できると同時に、手つき剛性を低下させることなくバンパフェイシアを直接車両用エアガイドに固定できる車両用エアガイドの提供。
【解決手段】 ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートサイド1d,1eに車両前方側へ向けて張り出した状態で装着される車両用エアガイド2,3であって、車両用エアガイド2,3の一部をトラス構造体2aで構成すると共に、このトラス構造体2aにバンパフェイシア5を固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エアガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートサイドに車両前方へ向けて張り出した状態で装着される車両用エアガイドの技術が公知になっている(特許文献1参照)。
このような車両用エアガイドは、車両走行風を熱交換器の車両前方側へスムーズに導くための導風板としての役目と、エンジン側の熱気が車両側方から熱交換器の前方へ吹き返すのを防止する防風板としての役目を果たしている。
【特許文献1】特開2005−153612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明にあっては、車両用エアガイドに近接してバンパフェイシアを固定するためのブラケットを車両前方側へ突出した状態で設ける必要があるため、ブラケットと車両用エアガイドとの間に隙間が生じてエンジン側の熱気を完全に塞ぐことが困難であった。
【0004】
そこで、上記ブラケットを小型化したり、省略したいという要求があったが、車両整備点検時等におけるバンパフェイシアの手つき剛性を考慮すると実現が困難であった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、バンパフェイシアを固定するためのブラケットを省略して車両側方からの熱気を容易に遮断できると同時に、手つき剛性を低下させることなくバンパフェイシアを車両用エアガイドに固定できる車両用エアガイドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明では、ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートサイドに車両前方側へ向けて張り出した状態で装着される車両用エアガイドであって、前記車両用エアガイドの一部をトラス構造体で構成すると共に、このトラス構造体にバンパフェイシアを固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明にあっては、ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートサイドに車両前方側へ向けて張り出した状態で装着される車両用エアガイドであって、前記車両用エアガイドの一部をトラス構造体で構成すると共に、このトラス構造体にバンパフェイシアを固定したため、バンパフェイシアを固定するためのブラケットを省略して車両側方からの熱気を容易に遮断できると同時に、手つき剛性を低下させることなくバンパフェイシアを直接車両用エアガイドに固定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1の車両用エアガイドが採用された車両前部を示す全体分解斜視図、図2は同全体斜視図(バンパフェイシアは二点鎖線で図示)、図3は本実施例1のラジエータコアサポートを示す斜視図、図4は本実施例1の車両用エアガイドの斜視図である。
図5は図4の矢視Aによる車両用エアガイドの斜視図、図6は図4の矢視Bによる拡大図、図7は図6のS7−S7線における端面図である。
【0010】
先ず、全体構成を説明する。
図1、2に示すように、本実施例1の車両用エアガイドが採用された車両前部は、ラジエータコアサポート1と、車両用エアガイド2,3と、バンパアーマチュア4と、バンパフェイシア5が備えられている。
【0011】
図3に示すように、ラジエータコアサポート1は、車幅方向に延びるラジエータコアサポートアッパ1aと、このラジエータコアサポートアッパ1aと並行するラジエータコアサポートロア1bと、これらラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの中央部同士を結合するフードロックステイ1cと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド1d,1eを備え、全体が金属製である。なお、ラジエータコアサポート1はその全体を樹脂製、または、一部を金属製として樹脂モールドさせても良い。
【0012】
また、ラジエータコアサポートアッパ1aとフードロックステイ1cには3カ所のボルトB1で固定されたフードロックプレート1fが設けられている。
フードロックプレート1fの左右両側には車両前方側へ突出した板状のブラケット部1g,1gが設けられる他、各ブラケット部1gには上下方向に貫通した固定孔C1が形成されている。
ラジエータコアサポートサイド1d,1eには、それぞれ車両前方側から後述するバンパステイ6の後面が連結され、且つ、車両後方側から図外のサイドメンバが連結されるサイドメンバ取り付け部1hがそれぞれ設けられている。
また、ラジエータコアサポートサイド1d,1eには、縦長で板状のブラケット部1iがそれぞれ車両前方側へ張り出した状態で設けられると共に、各ブラケット部1iには上下方向に離間して車幅方向に貫通した固定孔C2,C3が形成されている。
【0013】
車両用エアガイド2,3は略左右対称形状であるため、ここでは車両用エアガイド2について詳述する。
図4に示すように、車両用エアガイド2は、その全体がLDPE材(ロー・デンシティ・ポリエチレン)を材料とする樹脂製で一体的に形成され、後述するトラス構造体2a以外の部位は板状に形成されている。なお、車両用エアガイド2の材料はLDPE材に限らない。
【0014】
車両用エアガイド2の上方部位には箱形状のトラス構造体2aで構成され、その下部はバンパアーマチュア4によって支持される窪み部2bが形成されている。
図5に示すように、車両用エアガイド2の内壁2cは各部において車幅方向に斜め前方へ向かって傾斜状に形成される他、下方部位2dは図外の周辺部材の形状に合わせて車幅方向へ膨らんだ立体的な形状になっている。
【0015】
図6、7に示すように、トラス構造体2aは、車両用エアガイド2の内壁2c、上面部2eと下面部2fの3方で囲まれた内部に形成された網目状のリブ2gによって構成され、これによって、トラス構造体2aの特に上下方向の剛性が大幅に向上している。なお、リブ2gは射出成形時の型抜きを可能にするために車幅方向へ向かって僅かに細くなるような傾斜状に形成されているが、この限りではない。
そして、トラス構造体2aの上面部2eには後述するバンパフェイシア5との固定部となる固定孔D1が設けられている。
その他、車両用エアガイド2にはラジエータコアサポートサイド1dの固定孔C2,C3と合致する位置に固定孔D2,D3が設けられている。
【0016】
バンパアーマチュア4は金属製で矩形断面を成して車幅方向に延在し、その両端部には金属製のパンパステイ6がそれぞれ装着されている。
【0017】
パンパフェイシア5はPP材(ポリプロピレン)を材料とする樹脂製でその中央部には、フードロックプレート1fのブラケット部1gの各固定孔C1とそれぞれ合致する位置に固定孔E1(図1参照)が、車両用エアガイド2,3のトラス構造体2aの固定孔D1とそれぞれ合致する位置に固定孔E2(図1参照)がそれぞれ設けられている。なお、パンパフェイシア5の材料はPP材に限らない。
【0018】
そして、図2に示すように、バンパアーマチュア4は、パンパステイ6の後面がそれぞれ対応するラジエータコアサポート1のサイドメンバ取り付け部1hに図外の固定手段を用いて連結されることにより、ラジエータコアサポート1に対して装着される。
【0019】
また、車両用エアガイド2,3は、固定孔D2,D3とブラケット部1iの固定孔C2,C3にそれぞれ図外のクリップ等の固定手段が挿入されて固定される他、窪み部2bがバンパアーマチュア4に固定支持されることにより、ラジエータコアサポート1に対して装着される。
【0020】
バンパフェイシア5は、各固定孔E1とそれぞれ対応するブラケット部1fの固定孔C1に図外のクリップ等の固定手段が挿入されて固定される他、各固定孔E2とそれぞれ対応する車両用エアガイド2,3のトラス構造体2aの固定孔D1に図外のクリップ等の固定手段が挿入されて固定されることにより、ラジエータコアサポートサイド1に対して装着される。
なお、前述したバンパアーマチュア4、車両用エアガイド2,3、パンパフェイシア5のラジエータコアサポートサイド1に対する固定手段はクリップに限らず、ボルトや螺子などの一般的な固定手段で構わない。
【0021】
従って、本実施例1の車両用エアガイド2,3は、ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートサイド1d,1eに車両前方側へ向けて張り出した状態で装着される。
また、車両用エアガイド2,3のトラス構造体2aにバンパフェイシア5が固定されることとなる。
【0022】
ここで、従来の発明にあっては、車両用エアガイドに近接してバンパフェイシアを固定するためのブラケットを車両前方側へ突出した状態で設ける必要があるため、ブラケットと車両用エアガイドとの間に隙間が生じてエンジン側の熱気を完全に塞ぐことが困難であった。
【0023】
しかしながら、本実施例1の車両用エアガイドにあっては、バンパフェイシアを固定するためのブラケットを省略できるため、車両用エアガイド2,3の形状を複雑な形状にする必要がなく、車両側方を完全に塞ぐことができ、エンジン側の熱気を完全に遮断できる。
【0024】
また、パンパフェイシア5をトラス構造体2aに固定したため、バンパフェイシア2aの良好な手つき剛性を確保できる。
【0025】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1の車両用エアガイド2,3にあっては、ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートサイド1d,1eに車両前方側へ向けて張り出した状態で装着される車両用エアガイド2,3であって、車両用エアガイド2,3の一部をトラス構造体2aで構成すると共に、このトラス構造体2aにバンパフェイシア5を固定したため、ブラケットを省略して車両側方からの熱気を容易に遮断できる形状に形成できると同時に、手つき剛性を低下させることなくバンパフェイシア5を直接車両用エアガイド2,3に固定できる。
【0026】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、車両用エアガイド2,3の詳細な部位の形状については適宜設定できる。同様に車両用エアガイド2,3におけるパンパフェイシア5との固定部位やその固定点の数は適宜設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1の車両用エアガイドが採用された車両前部を示す全体分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の車両用エアガイドが採用された車両前部を示す全体全体斜視図(バンパフェイシアは二点鎖線で図示)である。
【図3】本実施例1のラジエータコアサポートを示す斜視図である。
【図4】本実施例1の車両用エアガイドの斜視図である。
【図5】図4の矢視Aによる車両用エアガイドの斜視図である。
【図6】図4の矢視Bによる拡大図である。
【図7】図6のS7−S7線における断面図である。
【符号の説明】
【0028】
B1 ボルト
C1、C2、C3、D1、D2、D3、E1、E2 固定孔
1 ラジエータコアサポート
1a ラジエータコアサポートアッパ
1b ラジエータコアサポートロア
1c フードロックステイ
1d、1e ラジエータコアサポートサイド
1f フードロックプレート
1g、1i ブラケット部
1h サイドメンバ取り付け部
2、3 車両用エアガイド
2a トラス構造体
2b 窪み部
2c 内壁
2d 下方部位
2e 上面部
2f 下面部
2g リブ
4 バンパアーマチュア
5 バンパフェイシア
6 バンパステイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートサイドに車両前方側へ向けて張り出した状態で装着される車両用エアガイドであって、
前記車両用エアガイドの一部をトラス構造体で構成すると共に、このトラス構造体にバンパフェイシアを固定したことを特徴とする車両用エアガイド。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−131061(P2007−131061A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323970(P2005−323970)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】