車両用前照灯
【課題】光学設計が容易で所定の性能を達成することができ、試作・実験も短期間で費用負担も少なくできる車両用前照灯の提供。
【解決手段】透明カバー20と、ランプボディ10と、ランプボディ10内に収容されて透明カバー20を介して車両前方の所定の照明領域に光を投光する照明光学系40と、を有するフォグランプ1であって、照明光学系40は、光軸Axが透明カバー20に向けて設定されたLED41と、LED41と透明カバー20との間に設けられると共に光軸Axの周りを囲って上記照明領域を規定する光束ガイド筒44と、を有するという構成を採用する。
【解決手段】透明カバー20と、ランプボディ10と、ランプボディ10内に収容されて透明カバー20を介して車両前方の所定の照明領域に光を投光する照明光学系40と、を有するフォグランプ1であって、照明光学系40は、光軸Axが透明カバー20に向けて設定されたLED41と、LED41と透明カバー20との間に設けられると共に光軸Axの周りを囲って上記照明領域を規定する光束ガイド筒44と、を有するという構成を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用前照灯は、走行安全上の観点から、車両前方の所定の照明領域に光を投光する構成となっている。この照明領域は、車両の仕様や所定の法規によって定められており、車両用前照灯の照明光学系は、当該定められた照明領域に光を投光できるように光学設計されている。下記特許文献には、照明光学系として、光源、レンズ、リフレクタ等を備える車両用前照灯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−207528号公報
【特許文献2】特開2010−108637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術の光学設計においては、多くの時間と費用を有するという問題がある。具体的には、光源、レンズ、リフレクタの焦点位置の合わせ、また、レンズによる集光、拡散等の光学設計をする必要がある。そして、製品開発までには、上記光学設計を数回から十数回繰り返し、試作・実験もその度行うこととなっているため、開発が完了するまでに、多くの時間と費用とが費やされているという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、光学設計が容易で所定の性能を達成することができ、試作・実験も短期間で費用負担も少なくできる車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、透明カバーと、ランプボディと、上記ランプボディ内に収容されて上記透明カバーを介して車両前方の所定の照明領域に光を投光する照明光学系と、を有する車両用前照灯であって、上記照明光学系は、光軸が上記透明カバーに向けて設定された半導体発光素子と、上記半導体発光素子と上記透明カバーとの間に設けられると共に上記光軸の周りを囲って上記照明領域を規定する光束ガイド筒と、を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、半導体発光素子から発せられた指向性の高い光が、その光軸周りに配置された光束ガイド筒によってガイドされて、透明カバーを介し車両前方の所定の照明領域に投光される。照明領域は、光束ガイド筒によって規定される。この光束ガイド筒は、形状が単純で、従来のように焦点合わせをする必要がないため配置の自由度が高く、設計変更が容易である。加えて、光束ガイド筒の開口形状を設計変更することで、照射方向、照射範囲、光量を調整することができるので、所定の要求性能を達成することが容易にできる。
【0007】
また、本発明では、上記光束ガイド筒は、上記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、上記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有し、上記光導入口の少なくとも一部と上記光導出口の少なくとも一部とが、上記光軸の延びる方向において重なって配置されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光軸の延びる方向において、光導入口の少なくとも一部と光導出口の少なくとも一部とが重なって配置されているので、半導体発光素子から発せられた光量の多い直接光が、透明カバーに導かれ、照明領域に投光される。
【0008】
また、本発明では、上記光束ガイド筒は、開口面積が、上記光導入口から上記光導出口に向かうに従い上方以外の方向において漸次大きくなる形状を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、半導体発光素子から発せられた光は放射・拡散するが、光束ガイド筒の開口面積は光導入口から光導出口に向かうに従い漸次大きくなっているので、当該放射・拡散により光束ガイド筒の内面に光が衝突することが低減され、その衝突による光損失を低減することができる。また、光束ガイド筒を上方以外の方向において漸次大きくすることにより、上方の光量を減らし、対向車に対して眩しさを無くすことができる。
【0009】
また、本発明では、上記光導出口の位置を調整する位置調整機構を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光束ガイド筒を組み付けた後であっても光導出口の位置を調整することにより、照射方向の調整ができる。
【0010】
また、本発明では、上記光束ガイド筒の内面側には、光反射面が設けられているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、放射・拡散により光束ガイド筒の内面に衝突した光は、光反射面によって反射されて、最終的に光導出口から導出されるため、発光した光を無駄なく照射領域に投光することができる。
【0011】
また、本発明では、上記光反射面は、曲率を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光反射面に曲率を持たせて反射光の拡散範囲をコントロールすることができる。
【0012】
また、本発明では、上記光束ガイド筒の内面側において、上方に設けられる上記光反射面と、下方に設けられる上記光反射面とは、互いに異なる光反射率を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、上方の光反射面で反射した反射光と、下方の光反射面で反射した反射光とが偏光し干渉し合うことを回避して、照明領域を一様に照明することができる。
【0013】
また、本発明では、上記半導体発光素子の光軸は、水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、半導体発光素子の光軸を水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定することで、路面上の照明領域に対して直接光が投光されるので、光量の有効利用が可能となる。
【0014】
また、本発明では、上記光束ガイド筒の上記透明カバーと対向する側の一端部の下部は、上記半導体発光素子に対向する側の他端部に向けて所定距離で切り欠かれた形状を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光束ガイド筒の上側に対して下側が相対的に短くなるので、上側に向かう光を制限しつつ下側に向かう光の光量を増加させることができる。
【0015】
また、本発明では、上記切り欠かれた形状は、上記光軸を挟んだ左右方向において間隔をあけて対となって設けられているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、車両前方直下の照明領域の光量を抑えつつ、その左右方向の照明領域における光量を増加させることができる。
【0016】
また、本発明では、上記光束ガイド筒は、上記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、上記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有しており、上記光導入口は、上記半導体発光素子と隙間をあけて配置されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光導入口と半導体発光素子との隙間から光を漏らし、光束ガイド筒の内部だけでなく外部を照らすことで、見栄えを向上させることができる。
【0017】
また、本発明では、上記光束ガイド筒は、上記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、上記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有しており、上記光束ガイド筒の胴部には、上記光導入口を介して内部に導入した光の一部を外部に導出する第2の光導出口が形成されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光束ガイド筒の胴部に形成された第2の光導出口から光を積極的に外部に漏らすことで、見栄えを向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光学設計が容易で所定の性能を達成することができ、試作・実験も短期間で費用負担も少なくできる車両用前照灯が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態におけるフォグランプが設けられた乗用車を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるフォグランプの取付構造を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるフォグランプを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態におけるフォグランプを示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態におけるフォグランプを示す分解断面図である。
【図7】LEDの指向特性を示す図である。
【図8】図6におけるA−A断面図及びB−B断面図である。
【図9】本発明の一別実施形態における光導出口の開口形状を示す図である。
【図10】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図11】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図12】本発明の一別実施形態における透明カバーを示す正面図である。
【図13】本発明の一別実施形態における透明カバーを示す断面図である。
【図14】本発明の一別実施形態における透明カバーを示す断面図である。
【図15】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す正面図及び断面図である。
【図16】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す正面図及び断面図である。
【図17】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図18】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図19】本発明の一別実施形態における光束ガイド筒を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、本発明をフォグランプに適用した場合を例示する。
図1は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1が設けられた乗用車100を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1の取付構造を示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の乗用車100には、車両用前照灯として、ヘッドランプ(走行用前照灯、すれ違い用前照灯)101と、フォグランプ(前部霧灯)1と、が設けられている。なお、フォグランプ1は、補助前照灯とも称される。
フォグランプ1は、図2に示すように、フロントバンパー102に設けられた凹部103に挿入され、凹部103の底部とフォグランプ1の後部とがネジ部材2により締結されて、取り付けられている。なお、フォグランプ1の取り付け構造は、この構造に限定されず、車両の仕様等により適宜変更され得る。
【0022】
図3は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1を示す斜視図である。図4は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1を示す分解斜視図である。図5は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1を示す断面図である。図6は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1を示す分解断面図である。
図に示すように、フォグランプ1は、ランプボディ10と、透明カバー20及び後部カバー30と、で形成された灯室内に照明光学系40を収容する構成となっている。
【0023】
ランプボディ10は、所定方向に延在する筒形状を有する。本実施形態のランプボディ10は、押し出し成形材から形成されている。より詳しくは、押し出し成形されたパイプ材を所定長さで切断することでランプボディ10が形成されている。なお、本実施形態のランプボディ10は丸型パイプ形状であるが、楕円型パイプ形状や四角型パイプ形状等、車両の仕様に応じて適宜、設計変更され得る。このランプボディ10は、照明光学系40から発せられる熱を灯室外に逃がすヒートシンクとしても機能する。本実施形態のランプボディ10は、放熱性能を向上させるために黒色アルマイト処理がされたアルミニウム材から構成されている。なお、放熱性能を向上させるため、黒色アルマイト処理の代わりに黒色塗装する構成であっても良い。
【0024】
透明カバー20は、ランプボディ10の一端部側開口11を覆うようにして取り付けられている。透明カバー20は、一端部側開口11の内面に沿って嵌合する嵌合部21を有する。透明カバー20は、ランプボディ10に接着されて、灯室内への異物(水、埃、泥等)の浸入を阻止する構成となっている。この透明カバー20は、ガラス材や樹脂材等から形成されており、車両前方へ光を投光可能とさせる構成となっている。
【0025】
後部カバー30は、ランプボディ10の他端部側開口12を覆うようにして取り付けられている。後部カバー30は、他端部側開口12の内面に沿って嵌合する嵌合部31を有する。後部カバー30は、接着、カシメあるいは不図示のネジ部材によってランプボディ10に固着される。後部カバー30は、照明光学系40を支持する構成となっている。また、後部カバー30は、照明光学系40から発せられる熱を灯室外に逃がすヒートシンクとして機能する。
【0026】
後部カバー30は、照明光学系40から発せられる熱の少なくとも一部をランプボディ10に伝熱する熱伝導材から形成されている。本実施形態の後部カバー30は、放熱特性を向上させるため黒色アルマイト処理がされたアルミニウム材から構成されている。後部カバー30には、灯室内が完全密封されないようにするための通気孔32(図4参照)が形成されている。上記構成によれば、LEDモジュール43の熱は、後部カバー30に伝熱されて、外部に放熱される。また、後部カバー30における熱は、より表面積(放熱面積)が広いランプボディ10に伝熱されて、外部に放熱される。このため、LED41の発光効率が、温度上昇により低下することを防止することができる。
【0027】
なお、ランプボディ10及び後部カバー30のいずれか一方には、照明光学系40に電気的に接続される電源ケーブル等を含む不図示のケーブルハーネスを灯室内に導き入れるため、不図示の貫通孔が形成されている。
照明光学系40は、LED(半導体発光素子)41と基板42とを有するLEDモジュール43と、光束ガイド筒44と、から構成されている。不図示のケーブルハーネスは、基板42を介してLED41と電気的に接続される構成となっている。LEDモジュール43は、放熱グリス(本実施形態ではシリコーングリス)を挟んで、後部カバー30に対してネジ部材33によって固定されている。また、図5に示すように、LED41の光軸Axは、透明カバー20に向けて設定されている。なお、本実施形態のLED41は、図4に示すように、面発光する矩形の発光領域が左右方向(水平方向、車両幅方向)に直列に4個配置された発光部41aを備えるが、ここでいう光軸Axとは、発光部41aを一つの光源とみなしたときの中心の光軸を意味する。
【0028】
図7は、LEDの指向特性を示す図である。なお、同図に示すLEDの指向特性は、非特許文献(出典:山崎浩 著、省エネLED/EL照明設計入門、日刊工業新聞社、2010)に詳しく開示されている。
図7に示すように、LED41は、従来のバルブ(電球)と比べて出射光の指向性が高く、拡散性が低い。具体的には、光軸Ax(放射角度0度)における相対照度を1とすると、放射角度30度程度までは、相対照度0.8を維持できる。また、放射角度30度を超えると、相対照度が急激に低下する。
【0029】
光束ガイド筒44は、LED41と透明カバー20との間に設けられると共に、光軸Axの周りを囲って、フォグランプ1の照明領域を規定する構成となっている。具体的に光束ガイド筒44は、所定の法規(保安基準、ECE規則等)を満たすように、フォグランプ1の照明領域を規定する構成となっている。
【0030】
光束ガイド筒44は、LED41が配置される側に設けられる光導入口45と、透明カバー20が配置される側に設けられる光導出口46と、を有する。光導入口45の少なくとも一部と、光導出口46の少なくとも一部とは、光軸Axが延びる方向において重なって配置されている。この構成によれば、LED41から発せられた光は、上記指向特性を有するので、光量の多い直接光が透明カバー20に導かれて、所定の照明領域に投光されることとなる。
【0031】
また、光束ガイド筒44は、LED41の上記指向特性に基づいて、開口面積が、光導入口45から光導出口46に向かうに従って漸次大きくなる形状を有する(図4〜図6参照)。なお、本実施形態では、所定の法規を満たすように(対向車に対して眩しさを無くすように)、光束ガイド筒44が、上方以外の方向において漸次大きくなる形状を有する。
具体的に、光束ガイド筒44は、左右方向(車両幅方向)において、光軸Axに対し角度±40度の範囲内で両側に大きくなる形状となるように設計されて、また、上下方向(車両高さ方向)において、光軸Ax(水平面)に対し下方0度〜40度の範囲内で大きくなる形状となるように設計されることが好ましい。
【0032】
図8(a)は、図6におけるA−A断面図である。図8(b)は、図6におけるB−B断面図である。
光導入口45は、LED41の発光部41a(図4参照)の周りを囲うように配置される。本実施形態の発光部41aは、面発光する矩形の発光領域が左右方向(水平方向、車両幅方向)に直列に4個配置されている。このため、光導入口45は、図8(a)に示すように、略長方形状を有する。一方、光導出口46は、図8(b)に示すように、略台形形状を有する。この台形形状により光が絞られ、フォグランプ1の照明領域が定まる。
【0033】
光束ガイド筒44は、光導出口46の位置を調整する位置調整機構50を有する(図4〜図6参照)。本実施形態の位置調整機構50は、光導出口46の上下方向における位置を調整する構成となっている。光束ガイド筒44の下部には、弾性変形が可能な金属製の板バネ51が設けられている。この板バネ51は、ネジ部材52によって、後部カバー30に固定されている。ネジ部材52は、左右方向において間隔をあけて対で板バネ51を固定し、光束ガイド筒44の水平度を確保する構成となっている。
【0034】
一方、光束ガイド筒44の上部には、位置調整用のネジ部材53の回転によりその軸方向に進退する雌ネジ部54が設けられている。ネジ部材53は、後部カバー30を貫通する貫通孔34に回転自在に支持されている。なお、ネジ部材53は、そのヘッド部と後部カバー30を挟んだ逆側に、抜け止めの不図示のフランジ部が設けられている。上記構成によれば、灯室外部からネジ部材53を軸周りに任意の方向に回転することで、雌ネジ部54がネジ部材53の軸方向に進退する。そうすると、雌ネジ部54の位置に応じて、光束ガイド筒44が板バネ51の固定位置を支点として上下方向に傾く。これにより、光導出口46の位置を調整することが可能となる。なお、図中、光束ガイド筒44とLEDモジュール43とが接するように配置されているが、実際には両者の間に位置調整用の微小な隙間が形成されている。
【0035】
光束ガイド筒44は、例えばアルミニウム材から形成されている。光束ガイド筒44の内面側には、光反射面47が設けられている。本実施形態における光反射面47は、めっき処理により形成されている。なお、光反射面47は、蒸着処理により形成してもよいし、光反射コーティング剤を塗布することにより形成してもよい。光反射コーティング剤としては、例えばシリコン樹脂に高反射フィラーを入れて光拡散能に優れ、反射率98%で膜厚が100μm程度になる光反射コーティング剤(オキツモ株式会社製)を好適に用いることができる。
【0036】
なお、光束ガイド筒44の内面側において、上方に設けられる光反射面47と、下方に設けられる光反射面47とは、互いに異なる光反射率を有するといった構成を採用することが好ましい。この構成によれば、上方の光反射面47で反射した反射光と、下方の光反射面47で反射した反射光とが偏光し干渉し合い、照明領域に縞状の紋様を生じさせることを回避することができる。上記光反射率を異ならせるための手段として、上方向の光反射面47と下方の光反射面47との表面処理を変えて(例えば、上方向の光反射面47の表面処理を粗くして)対応させることができる。
【0037】
続いて、上記構成のフォグランプ1による作用について説明する。
【0038】
LED41に電気が給電されると、発光部41aが面発光する。LED41から発せられた光は、図7に示すように指向性が高いので、裏面側に回り込むことなく、ほとんど全てが光導入口45を介して、光束ガイド筒44内に導入される。光導入口45の少なくとも一部と、光導出口46の少なくとも一部とは、光軸Axが延びる方向において重なって配置されているので、光軸Axに沿う最も光量の多い直接光が、光導出口46から導出される。また、光束ガイド筒44は、開口面積が、光導入口45から光導出口46に向かうに従って漸次大きくなる形状を有するので、光軸Axから所定角度内の光量の多い光が、光束ガイド筒44の内面に衝突・反射することなく、直接光として光導出口46から導出される。また、放射角度が大きく光束ガイド筒44の内面に衝突した光量の少ない光等も、光反射面47によって反射されて、最終的に光導出口46から導出される。
【0039】
光導出口46から導出された直接光及び反射光は、透明カバー20を介して、車両前方の所定の照明領域に投光される。光導出口46は、フォグランプ1の照明領域を規定する形状を有する。具体的には、光導出口46の開口形状は、所定の法規に基づいて、上方を絞り、下方を広げる台形形状を有する。したがって、本実施形態のフォグランプ1によれば、対向車に眩しさを与えることなく、車両前方を幅広で照明でき、所定の法規を満たすことができる。なお、フォグランプ1には、光導出口46の位置を調整する位置調整機構50が設けられているため、光束ガイド筒44を灯室内に組み付けた後であっても、外部からネジ部材53を回転させることで、照射方向の微調整ができる。
【0040】
また、本実施形態の照明光学系40は、光束ガイド筒44を設ける代わりにレンズを備えないので、該レンズを通過することによる光損失がない。また、直接光を投光することで、光路長も短くなるので、光量の損失が従来よりも少なくなる。さらに、光反射面47によって、LED41において発光した光を無駄なく照射領域に投光することが可能である。このため、エネルギー効率の良い高効率のフォグランプ1を提供することができる。また、エネルギー効率が高まると、低出力のLED41に設計変更しても、所定の要求性能を達成することができるため、コスト安に寄与することができる。さらに、エネルギー効率が高まると、フォグランプ1の小型化にも寄与できる。小型化は、デザイン面の自由度を広げると共に、車両レイアウトの自由度拡大にも貢献できる。
【0041】
照明光学系40の光学設計では、LED41は、従来のバルブタイプの光源と比べて、発光面積を小さく集中させることができるので、照射方向と照射範囲を規定することが容易にできる。
また、光束ガイド筒44は、形状が単純で、従来のように焦点合わせをする必要がないため配置の自由度が高く、設計変更が容易である。加えて、光束ガイド筒44の光導出口46の形状を設計変更することで、照射方向、照射範囲、光量を調整することができるので、所定の要求性能を達成することが容易にできる。
【0042】
したがって、上述した本実施形態によれば、法規を満足する配光特性を複雑なレンズの光学設計無しに行うことができる。このため、本実施形態では、光学設計が容易で所定の性能を達成することができ、試作・実験も短期間で費用負担も少なくできるフォグランプ1が得られる。
【0043】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態では、光導出口46の開口形状は、図8(b)に示す台形形状であると説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、所定の法規を満たせば図9に示すような構成であっても良い。
例えば、図9(a)に示すように、光導出口46は、上記実施形態よりも上下方向を狭め左右方向に拡張した形状であっても良い。また、光導出口46は、図9(b)に示すように、光導入口45の相似形状であっても良い。また、光導出口46は、図9(c)に示すように、車両前方手前側を照明するべく、図9(b)の開口形状を下方に拡張した形状であっても良い。また、光導出口46は、図9(d)に示すように、対向車へ光を届かせたくない場合は、対向車側(道路中央側)の形状をカットした形状としても良い。また、光導出口46は、図9(e)に示すように、上下方向に短辺を備え左右方向に長辺を備える長方形状であっても良い。また、図9(e)に対応して、光導入口45の形状は、該長方形状と相似の長方形状としても良い。また、上記長方形状の角部を丸く、曲率を持たせる構成としても良い。
【0045】
また、例えば、上記実施形態では、光束ガイド筒44の光反射面47の形状は、図5に示すように直線状である構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図10に示すように、上側の光反射面47a及び下側の光反射面47bに所定の曲率を付けることで、反射光の拡散範囲をコントロールすることが可能となる。これは、左右側面における光反射面47においても同様のことが言える。なお、図10(a)によれば、上側の光反射面47aは上に凸となる形状を有し、下側の光反射面は下に凸となる形状を有する。また、図10(b)によれば、上側の光反射面47aは上に凸となる形状を有し、下側の光反射面も上に凸となる形状を有する。
【0046】
また、例えば、上記実施形態では、光軸Axが水平面に沿う方向に設定される構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図11に示すように、LED41の光軸Axを、水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定しても良い。この構成によれば、LED41の光軸Axを水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定することで、路面に対して光軸Axが向かい、直接光が投光されるので、光量の有効利用が可能となる。光軸Axは、図7に示すLEDの指向特性から、水平面に対して下方0度〜40度の範囲内の角度で設定することが効果的である。なお、本発明をフォグランプに適用する場合に、所定の法規を満たすには、光軸Axを下方2.5度の角度で設定することが最適である。
【0047】
また、例えば、上記実施形態では、透明カバー20は正面視で円形状である構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。透明カバー20は、単なる水・埃除けであるから、以下に示す構成とすることで、外観見栄えの向上、差別化が容易に行える。
例えば、図12に示すように、透明カバー20の形状をランプボディ10よりも大きくし、正面視で楕円形状としても良い。また、図13に示すように、透明カバー20に角度を付けてスラントカバーとし、バンパーの曲部等に対応させても良い。また、図14に示すように、透明カバー20の内側に、蒸着層22を形成し、光沢を出させる構成であっても良い。なお、この蒸着層22は、金属(例えばインジウム)の粒が海島状に、透明カバー20の内側に配置されて構成されており、当該金属粒の隙間からはLED41の光を投光することが可能な構成となっている。また、透明カバー20の外径を、丸型パイプ状のランプボディ10の外径に合わせた形状としても良い。
【0048】
また、例えば、上記実施形態では、LED41からの光の略全てを光束ガイド筒44によって前方に導く構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。LED41からの光の略全てを光束ガイド筒44によって前方に導く構成とすると、正面視で、光導出口46と対向する領域以外の領域(光束ガイド筒44の外部)が殆ど光っていない状態となる。
そこで、図15(b)に示すように、光導入口45を、LED41と隙間をあけて配置し、該隙間から光を適量漏らし、光束ガイド筒44の内部だけでなく外部を照らすことで、図15(a)に示すように、正面視の見栄え及び被視認性を向上させることができる。なお、図15(a)においては、ドットの濃淡で、光の強さを示している。
【0049】
また、図16(b)に示すように、光束ガイド筒44の胴部に、光導入口45を介して内部に導入した光の一部を外部に導出する第2の光導出口48を形成することによって、光を積極的に外部に漏らすことでも、正面視の見栄え及び被視認性を向上させることができる。さらに、透明カバー20にリング状の蛍光体23を設ければ、リングイルミネーション効果を簡単に演出することができる。また、第2の光導出口48の形成位置を調整することで、蛍光体23に光を積極的に導く構成としても良い。
加えて、図17に示すように、光束ガイド筒44の外部に漏らした光を、蛍光体23に向けて積極的に反射する光反射面24をさらに設けても良い。
【0050】
また、例えば、図18に示すように、光束ガイド筒44の形状を工夫して、下側に向かう光の光量を増加させる構成であっても良い。具体的に、光束ガイド筒44の透明カバー20が配置される側(光導出口46側)の一端部の下部60は、LED41が配置される側(光導入口45側)の他端部に向けて所定距離で切り欠かれた形状61を有する構成となっている。この構成によれば、光束ガイド筒44の上側に対して下側が相対的に短くなるので、上側に向かう光を制限しつつ下側に向かう光の光量を増加させることができるので、より所定の法規に対応し易くすることができる。
【0051】
また、例えば、図19に示すように、切り欠かれた形状61を設ける位置を工夫して、所定の法規を満足させる構成としても良い。図19は、光束ガイド筒44の底面図である。具体的に、切り欠かれた形状61は、光軸Axを挟んだ左右方向において間隔をあけて対となって設けられている。なお、切り欠かれた形状61の間隔は、光軸Axに対し左右方向±10度の角度以上に設定されている。これは、法規において、車両前方直下の±10度の角度の範囲内の照明領域の光量がある一定の光量に制限されているためである。したがって、この構成によれば、車両前方直下の照明領域の光量を抑えつつ、その左右方向の照明領域における光量を増加させることで所定の法規を満足させることができる。
【0052】
また、例えば、上記実施形態では、本発明をフォグランプ1に適用した構成について説明したが、本発明は他の車両用前照灯、例えばヘッドランプについても適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…フォグランプ(車両用前照灯)、10…ランプボディ、20…透明カバー、40…照明光学系、41…LED(半導体発光素子)、44…光束ガイド筒、45…光導入口、46…光導出口、47…光反射面、48…第2の光導出口、50…位置調整機構、60…下部、61…切り欠かれた形状
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用前照灯は、走行安全上の観点から、車両前方の所定の照明領域に光を投光する構成となっている。この照明領域は、車両の仕様や所定の法規によって定められており、車両用前照灯の照明光学系は、当該定められた照明領域に光を投光できるように光学設計されている。下記特許文献には、照明光学系として、光源、レンズ、リフレクタ等を備える車両用前照灯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−207528号公報
【特許文献2】特開2010−108637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術の光学設計においては、多くの時間と費用を有するという問題がある。具体的には、光源、レンズ、リフレクタの焦点位置の合わせ、また、レンズによる集光、拡散等の光学設計をする必要がある。そして、製品開発までには、上記光学設計を数回から十数回繰り返し、試作・実験もその度行うこととなっているため、開発が完了するまでに、多くの時間と費用とが費やされているという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、光学設計が容易で所定の性能を達成することができ、試作・実験も短期間で費用負担も少なくできる車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、透明カバーと、ランプボディと、上記ランプボディ内に収容されて上記透明カバーを介して車両前方の所定の照明領域に光を投光する照明光学系と、を有する車両用前照灯であって、上記照明光学系は、光軸が上記透明カバーに向けて設定された半導体発光素子と、上記半導体発光素子と上記透明カバーとの間に設けられると共に上記光軸の周りを囲って上記照明領域を規定する光束ガイド筒と、を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、半導体発光素子から発せられた指向性の高い光が、その光軸周りに配置された光束ガイド筒によってガイドされて、透明カバーを介し車両前方の所定の照明領域に投光される。照明領域は、光束ガイド筒によって規定される。この光束ガイド筒は、形状が単純で、従来のように焦点合わせをする必要がないため配置の自由度が高く、設計変更が容易である。加えて、光束ガイド筒の開口形状を設計変更することで、照射方向、照射範囲、光量を調整することができるので、所定の要求性能を達成することが容易にできる。
【0007】
また、本発明では、上記光束ガイド筒は、上記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、上記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有し、上記光導入口の少なくとも一部と上記光導出口の少なくとも一部とが、上記光軸の延びる方向において重なって配置されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光軸の延びる方向において、光導入口の少なくとも一部と光導出口の少なくとも一部とが重なって配置されているので、半導体発光素子から発せられた光量の多い直接光が、透明カバーに導かれ、照明領域に投光される。
【0008】
また、本発明では、上記光束ガイド筒は、開口面積が、上記光導入口から上記光導出口に向かうに従い上方以外の方向において漸次大きくなる形状を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、半導体発光素子から発せられた光は放射・拡散するが、光束ガイド筒の開口面積は光導入口から光導出口に向かうに従い漸次大きくなっているので、当該放射・拡散により光束ガイド筒の内面に光が衝突することが低減され、その衝突による光損失を低減することができる。また、光束ガイド筒を上方以外の方向において漸次大きくすることにより、上方の光量を減らし、対向車に対して眩しさを無くすことができる。
【0009】
また、本発明では、上記光導出口の位置を調整する位置調整機構を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光束ガイド筒を組み付けた後であっても光導出口の位置を調整することにより、照射方向の調整ができる。
【0010】
また、本発明では、上記光束ガイド筒の内面側には、光反射面が設けられているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、放射・拡散により光束ガイド筒の内面に衝突した光は、光反射面によって反射されて、最終的に光導出口から導出されるため、発光した光を無駄なく照射領域に投光することができる。
【0011】
また、本発明では、上記光反射面は、曲率を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光反射面に曲率を持たせて反射光の拡散範囲をコントロールすることができる。
【0012】
また、本発明では、上記光束ガイド筒の内面側において、上方に設けられる上記光反射面と、下方に設けられる上記光反射面とは、互いに異なる光反射率を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、上方の光反射面で反射した反射光と、下方の光反射面で反射した反射光とが偏光し干渉し合うことを回避して、照明領域を一様に照明することができる。
【0013】
また、本発明では、上記半導体発光素子の光軸は、水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、半導体発光素子の光軸を水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定することで、路面上の照明領域に対して直接光が投光されるので、光量の有効利用が可能となる。
【0014】
また、本発明では、上記光束ガイド筒の上記透明カバーと対向する側の一端部の下部は、上記半導体発光素子に対向する側の他端部に向けて所定距離で切り欠かれた形状を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光束ガイド筒の上側に対して下側が相対的に短くなるので、上側に向かう光を制限しつつ下側に向かう光の光量を増加させることができる。
【0015】
また、本発明では、上記切り欠かれた形状は、上記光軸を挟んだ左右方向において間隔をあけて対となって設けられているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、車両前方直下の照明領域の光量を抑えつつ、その左右方向の照明領域における光量を増加させることができる。
【0016】
また、本発明では、上記光束ガイド筒は、上記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、上記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有しており、上記光導入口は、上記半導体発光素子と隙間をあけて配置されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光導入口と半導体発光素子との隙間から光を漏らし、光束ガイド筒の内部だけでなく外部を照らすことで、見栄えを向上させることができる。
【0017】
また、本発明では、上記光束ガイド筒は、上記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、上記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有しており、上記光束ガイド筒の胴部には、上記光導入口を介して内部に導入した光の一部を外部に導出する第2の光導出口が形成されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、光束ガイド筒の胴部に形成された第2の光導出口から光を積極的に外部に漏らすことで、見栄えを向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光学設計が容易で所定の性能を達成することができ、試作・実験も短期間で費用負担も少なくできる車両用前照灯が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態におけるフォグランプが設けられた乗用車を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるフォグランプの取付構造を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるフォグランプを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態におけるフォグランプを示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態におけるフォグランプを示す分解断面図である。
【図7】LEDの指向特性を示す図である。
【図8】図6におけるA−A断面図及びB−B断面図である。
【図9】本発明の一別実施形態における光導出口の開口形状を示す図である。
【図10】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図11】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図12】本発明の一別実施形態における透明カバーを示す正面図である。
【図13】本発明の一別実施形態における透明カバーを示す断面図である。
【図14】本発明の一別実施形態における透明カバーを示す断面図である。
【図15】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す正面図及び断面図である。
【図16】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す正面図及び断面図である。
【図17】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図18】本発明の一別実施形態におけるフォグランプを示す断面図である。
【図19】本発明の一別実施形態における光束ガイド筒を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、本発明をフォグランプに適用した場合を例示する。
図1は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1が設けられた乗用車100を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1の取付構造を示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の乗用車100には、車両用前照灯として、ヘッドランプ(走行用前照灯、すれ違い用前照灯)101と、フォグランプ(前部霧灯)1と、が設けられている。なお、フォグランプ1は、補助前照灯とも称される。
フォグランプ1は、図2に示すように、フロントバンパー102に設けられた凹部103に挿入され、凹部103の底部とフォグランプ1の後部とがネジ部材2により締結されて、取り付けられている。なお、フォグランプ1の取り付け構造は、この構造に限定されず、車両の仕様等により適宜変更され得る。
【0022】
図3は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1を示す斜視図である。図4は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1を示す分解斜視図である。図5は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1を示す断面図である。図6は、本発明の実施形態におけるフォグランプ1を示す分解断面図である。
図に示すように、フォグランプ1は、ランプボディ10と、透明カバー20及び後部カバー30と、で形成された灯室内に照明光学系40を収容する構成となっている。
【0023】
ランプボディ10は、所定方向に延在する筒形状を有する。本実施形態のランプボディ10は、押し出し成形材から形成されている。より詳しくは、押し出し成形されたパイプ材を所定長さで切断することでランプボディ10が形成されている。なお、本実施形態のランプボディ10は丸型パイプ形状であるが、楕円型パイプ形状や四角型パイプ形状等、車両の仕様に応じて適宜、設計変更され得る。このランプボディ10は、照明光学系40から発せられる熱を灯室外に逃がすヒートシンクとしても機能する。本実施形態のランプボディ10は、放熱性能を向上させるために黒色アルマイト処理がされたアルミニウム材から構成されている。なお、放熱性能を向上させるため、黒色アルマイト処理の代わりに黒色塗装する構成であっても良い。
【0024】
透明カバー20は、ランプボディ10の一端部側開口11を覆うようにして取り付けられている。透明カバー20は、一端部側開口11の内面に沿って嵌合する嵌合部21を有する。透明カバー20は、ランプボディ10に接着されて、灯室内への異物(水、埃、泥等)の浸入を阻止する構成となっている。この透明カバー20は、ガラス材や樹脂材等から形成されており、車両前方へ光を投光可能とさせる構成となっている。
【0025】
後部カバー30は、ランプボディ10の他端部側開口12を覆うようにして取り付けられている。後部カバー30は、他端部側開口12の内面に沿って嵌合する嵌合部31を有する。後部カバー30は、接着、カシメあるいは不図示のネジ部材によってランプボディ10に固着される。後部カバー30は、照明光学系40を支持する構成となっている。また、後部カバー30は、照明光学系40から発せられる熱を灯室外に逃がすヒートシンクとして機能する。
【0026】
後部カバー30は、照明光学系40から発せられる熱の少なくとも一部をランプボディ10に伝熱する熱伝導材から形成されている。本実施形態の後部カバー30は、放熱特性を向上させるため黒色アルマイト処理がされたアルミニウム材から構成されている。後部カバー30には、灯室内が完全密封されないようにするための通気孔32(図4参照)が形成されている。上記構成によれば、LEDモジュール43の熱は、後部カバー30に伝熱されて、外部に放熱される。また、後部カバー30における熱は、より表面積(放熱面積)が広いランプボディ10に伝熱されて、外部に放熱される。このため、LED41の発光効率が、温度上昇により低下することを防止することができる。
【0027】
なお、ランプボディ10及び後部カバー30のいずれか一方には、照明光学系40に電気的に接続される電源ケーブル等を含む不図示のケーブルハーネスを灯室内に導き入れるため、不図示の貫通孔が形成されている。
照明光学系40は、LED(半導体発光素子)41と基板42とを有するLEDモジュール43と、光束ガイド筒44と、から構成されている。不図示のケーブルハーネスは、基板42を介してLED41と電気的に接続される構成となっている。LEDモジュール43は、放熱グリス(本実施形態ではシリコーングリス)を挟んで、後部カバー30に対してネジ部材33によって固定されている。また、図5に示すように、LED41の光軸Axは、透明カバー20に向けて設定されている。なお、本実施形態のLED41は、図4に示すように、面発光する矩形の発光領域が左右方向(水平方向、車両幅方向)に直列に4個配置された発光部41aを備えるが、ここでいう光軸Axとは、発光部41aを一つの光源とみなしたときの中心の光軸を意味する。
【0028】
図7は、LEDの指向特性を示す図である。なお、同図に示すLEDの指向特性は、非特許文献(出典:山崎浩 著、省エネLED/EL照明設計入門、日刊工業新聞社、2010)に詳しく開示されている。
図7に示すように、LED41は、従来のバルブ(電球)と比べて出射光の指向性が高く、拡散性が低い。具体的には、光軸Ax(放射角度0度)における相対照度を1とすると、放射角度30度程度までは、相対照度0.8を維持できる。また、放射角度30度を超えると、相対照度が急激に低下する。
【0029】
光束ガイド筒44は、LED41と透明カバー20との間に設けられると共に、光軸Axの周りを囲って、フォグランプ1の照明領域を規定する構成となっている。具体的に光束ガイド筒44は、所定の法規(保安基準、ECE規則等)を満たすように、フォグランプ1の照明領域を規定する構成となっている。
【0030】
光束ガイド筒44は、LED41が配置される側に設けられる光導入口45と、透明カバー20が配置される側に設けられる光導出口46と、を有する。光導入口45の少なくとも一部と、光導出口46の少なくとも一部とは、光軸Axが延びる方向において重なって配置されている。この構成によれば、LED41から発せられた光は、上記指向特性を有するので、光量の多い直接光が透明カバー20に導かれて、所定の照明領域に投光されることとなる。
【0031】
また、光束ガイド筒44は、LED41の上記指向特性に基づいて、開口面積が、光導入口45から光導出口46に向かうに従って漸次大きくなる形状を有する(図4〜図6参照)。なお、本実施形態では、所定の法規を満たすように(対向車に対して眩しさを無くすように)、光束ガイド筒44が、上方以外の方向において漸次大きくなる形状を有する。
具体的に、光束ガイド筒44は、左右方向(車両幅方向)において、光軸Axに対し角度±40度の範囲内で両側に大きくなる形状となるように設計されて、また、上下方向(車両高さ方向)において、光軸Ax(水平面)に対し下方0度〜40度の範囲内で大きくなる形状となるように設計されることが好ましい。
【0032】
図8(a)は、図6におけるA−A断面図である。図8(b)は、図6におけるB−B断面図である。
光導入口45は、LED41の発光部41a(図4参照)の周りを囲うように配置される。本実施形態の発光部41aは、面発光する矩形の発光領域が左右方向(水平方向、車両幅方向)に直列に4個配置されている。このため、光導入口45は、図8(a)に示すように、略長方形状を有する。一方、光導出口46は、図8(b)に示すように、略台形形状を有する。この台形形状により光が絞られ、フォグランプ1の照明領域が定まる。
【0033】
光束ガイド筒44は、光導出口46の位置を調整する位置調整機構50を有する(図4〜図6参照)。本実施形態の位置調整機構50は、光導出口46の上下方向における位置を調整する構成となっている。光束ガイド筒44の下部には、弾性変形が可能な金属製の板バネ51が設けられている。この板バネ51は、ネジ部材52によって、後部カバー30に固定されている。ネジ部材52は、左右方向において間隔をあけて対で板バネ51を固定し、光束ガイド筒44の水平度を確保する構成となっている。
【0034】
一方、光束ガイド筒44の上部には、位置調整用のネジ部材53の回転によりその軸方向に進退する雌ネジ部54が設けられている。ネジ部材53は、後部カバー30を貫通する貫通孔34に回転自在に支持されている。なお、ネジ部材53は、そのヘッド部と後部カバー30を挟んだ逆側に、抜け止めの不図示のフランジ部が設けられている。上記構成によれば、灯室外部からネジ部材53を軸周りに任意の方向に回転することで、雌ネジ部54がネジ部材53の軸方向に進退する。そうすると、雌ネジ部54の位置に応じて、光束ガイド筒44が板バネ51の固定位置を支点として上下方向に傾く。これにより、光導出口46の位置を調整することが可能となる。なお、図中、光束ガイド筒44とLEDモジュール43とが接するように配置されているが、実際には両者の間に位置調整用の微小な隙間が形成されている。
【0035】
光束ガイド筒44は、例えばアルミニウム材から形成されている。光束ガイド筒44の内面側には、光反射面47が設けられている。本実施形態における光反射面47は、めっき処理により形成されている。なお、光反射面47は、蒸着処理により形成してもよいし、光反射コーティング剤を塗布することにより形成してもよい。光反射コーティング剤としては、例えばシリコン樹脂に高反射フィラーを入れて光拡散能に優れ、反射率98%で膜厚が100μm程度になる光反射コーティング剤(オキツモ株式会社製)を好適に用いることができる。
【0036】
なお、光束ガイド筒44の内面側において、上方に設けられる光反射面47と、下方に設けられる光反射面47とは、互いに異なる光反射率を有するといった構成を採用することが好ましい。この構成によれば、上方の光反射面47で反射した反射光と、下方の光反射面47で反射した反射光とが偏光し干渉し合い、照明領域に縞状の紋様を生じさせることを回避することができる。上記光反射率を異ならせるための手段として、上方向の光反射面47と下方の光反射面47との表面処理を変えて(例えば、上方向の光反射面47の表面処理を粗くして)対応させることができる。
【0037】
続いて、上記構成のフォグランプ1による作用について説明する。
【0038】
LED41に電気が給電されると、発光部41aが面発光する。LED41から発せられた光は、図7に示すように指向性が高いので、裏面側に回り込むことなく、ほとんど全てが光導入口45を介して、光束ガイド筒44内に導入される。光導入口45の少なくとも一部と、光導出口46の少なくとも一部とは、光軸Axが延びる方向において重なって配置されているので、光軸Axに沿う最も光量の多い直接光が、光導出口46から導出される。また、光束ガイド筒44は、開口面積が、光導入口45から光導出口46に向かうに従って漸次大きくなる形状を有するので、光軸Axから所定角度内の光量の多い光が、光束ガイド筒44の内面に衝突・反射することなく、直接光として光導出口46から導出される。また、放射角度が大きく光束ガイド筒44の内面に衝突した光量の少ない光等も、光反射面47によって反射されて、最終的に光導出口46から導出される。
【0039】
光導出口46から導出された直接光及び反射光は、透明カバー20を介して、車両前方の所定の照明領域に投光される。光導出口46は、フォグランプ1の照明領域を規定する形状を有する。具体的には、光導出口46の開口形状は、所定の法規に基づいて、上方を絞り、下方を広げる台形形状を有する。したがって、本実施形態のフォグランプ1によれば、対向車に眩しさを与えることなく、車両前方を幅広で照明でき、所定の法規を満たすことができる。なお、フォグランプ1には、光導出口46の位置を調整する位置調整機構50が設けられているため、光束ガイド筒44を灯室内に組み付けた後であっても、外部からネジ部材53を回転させることで、照射方向の微調整ができる。
【0040】
また、本実施形態の照明光学系40は、光束ガイド筒44を設ける代わりにレンズを備えないので、該レンズを通過することによる光損失がない。また、直接光を投光することで、光路長も短くなるので、光量の損失が従来よりも少なくなる。さらに、光反射面47によって、LED41において発光した光を無駄なく照射領域に投光することが可能である。このため、エネルギー効率の良い高効率のフォグランプ1を提供することができる。また、エネルギー効率が高まると、低出力のLED41に設計変更しても、所定の要求性能を達成することができるため、コスト安に寄与することができる。さらに、エネルギー効率が高まると、フォグランプ1の小型化にも寄与できる。小型化は、デザイン面の自由度を広げると共に、車両レイアウトの自由度拡大にも貢献できる。
【0041】
照明光学系40の光学設計では、LED41は、従来のバルブタイプの光源と比べて、発光面積を小さく集中させることができるので、照射方向と照射範囲を規定することが容易にできる。
また、光束ガイド筒44は、形状が単純で、従来のように焦点合わせをする必要がないため配置の自由度が高く、設計変更が容易である。加えて、光束ガイド筒44の光導出口46の形状を設計変更することで、照射方向、照射範囲、光量を調整することができるので、所定の要求性能を達成することが容易にできる。
【0042】
したがって、上述した本実施形態によれば、法規を満足する配光特性を複雑なレンズの光学設計無しに行うことができる。このため、本実施形態では、光学設計が容易で所定の性能を達成することができ、試作・実験も短期間で費用負担も少なくできるフォグランプ1が得られる。
【0043】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態では、光導出口46の開口形状は、図8(b)に示す台形形状であると説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、所定の法規を満たせば図9に示すような構成であっても良い。
例えば、図9(a)に示すように、光導出口46は、上記実施形態よりも上下方向を狭め左右方向に拡張した形状であっても良い。また、光導出口46は、図9(b)に示すように、光導入口45の相似形状であっても良い。また、光導出口46は、図9(c)に示すように、車両前方手前側を照明するべく、図9(b)の開口形状を下方に拡張した形状であっても良い。また、光導出口46は、図9(d)に示すように、対向車へ光を届かせたくない場合は、対向車側(道路中央側)の形状をカットした形状としても良い。また、光導出口46は、図9(e)に示すように、上下方向に短辺を備え左右方向に長辺を備える長方形状であっても良い。また、図9(e)に対応して、光導入口45の形状は、該長方形状と相似の長方形状としても良い。また、上記長方形状の角部を丸く、曲率を持たせる構成としても良い。
【0045】
また、例えば、上記実施形態では、光束ガイド筒44の光反射面47の形状は、図5に示すように直線状である構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図10に示すように、上側の光反射面47a及び下側の光反射面47bに所定の曲率を付けることで、反射光の拡散範囲をコントロールすることが可能となる。これは、左右側面における光反射面47においても同様のことが言える。なお、図10(a)によれば、上側の光反射面47aは上に凸となる形状を有し、下側の光反射面は下に凸となる形状を有する。また、図10(b)によれば、上側の光反射面47aは上に凸となる形状を有し、下側の光反射面も上に凸となる形状を有する。
【0046】
また、例えば、上記実施形態では、光軸Axが水平面に沿う方向に設定される構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図11に示すように、LED41の光軸Axを、水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定しても良い。この構成によれば、LED41の光軸Axを水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定することで、路面に対して光軸Axが向かい、直接光が投光されるので、光量の有効利用が可能となる。光軸Axは、図7に示すLEDの指向特性から、水平面に対して下方0度〜40度の範囲内の角度で設定することが効果的である。なお、本発明をフォグランプに適用する場合に、所定の法規を満たすには、光軸Axを下方2.5度の角度で設定することが最適である。
【0047】
また、例えば、上記実施形態では、透明カバー20は正面視で円形状である構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。透明カバー20は、単なる水・埃除けであるから、以下に示す構成とすることで、外観見栄えの向上、差別化が容易に行える。
例えば、図12に示すように、透明カバー20の形状をランプボディ10よりも大きくし、正面視で楕円形状としても良い。また、図13に示すように、透明カバー20に角度を付けてスラントカバーとし、バンパーの曲部等に対応させても良い。また、図14に示すように、透明カバー20の内側に、蒸着層22を形成し、光沢を出させる構成であっても良い。なお、この蒸着層22は、金属(例えばインジウム)の粒が海島状に、透明カバー20の内側に配置されて構成されており、当該金属粒の隙間からはLED41の光を投光することが可能な構成となっている。また、透明カバー20の外径を、丸型パイプ状のランプボディ10の外径に合わせた形状としても良い。
【0048】
また、例えば、上記実施形態では、LED41からの光の略全てを光束ガイド筒44によって前方に導く構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。LED41からの光の略全てを光束ガイド筒44によって前方に導く構成とすると、正面視で、光導出口46と対向する領域以外の領域(光束ガイド筒44の外部)が殆ど光っていない状態となる。
そこで、図15(b)に示すように、光導入口45を、LED41と隙間をあけて配置し、該隙間から光を適量漏らし、光束ガイド筒44の内部だけでなく外部を照らすことで、図15(a)に示すように、正面視の見栄え及び被視認性を向上させることができる。なお、図15(a)においては、ドットの濃淡で、光の強さを示している。
【0049】
また、図16(b)に示すように、光束ガイド筒44の胴部に、光導入口45を介して内部に導入した光の一部を外部に導出する第2の光導出口48を形成することによって、光を積極的に外部に漏らすことでも、正面視の見栄え及び被視認性を向上させることができる。さらに、透明カバー20にリング状の蛍光体23を設ければ、リングイルミネーション効果を簡単に演出することができる。また、第2の光導出口48の形成位置を調整することで、蛍光体23に光を積極的に導く構成としても良い。
加えて、図17に示すように、光束ガイド筒44の外部に漏らした光を、蛍光体23に向けて積極的に反射する光反射面24をさらに設けても良い。
【0050】
また、例えば、図18に示すように、光束ガイド筒44の形状を工夫して、下側に向かう光の光量を増加させる構成であっても良い。具体的に、光束ガイド筒44の透明カバー20が配置される側(光導出口46側)の一端部の下部60は、LED41が配置される側(光導入口45側)の他端部に向けて所定距離で切り欠かれた形状61を有する構成となっている。この構成によれば、光束ガイド筒44の上側に対して下側が相対的に短くなるので、上側に向かう光を制限しつつ下側に向かう光の光量を増加させることができるので、より所定の法規に対応し易くすることができる。
【0051】
また、例えば、図19に示すように、切り欠かれた形状61を設ける位置を工夫して、所定の法規を満足させる構成としても良い。図19は、光束ガイド筒44の底面図である。具体的に、切り欠かれた形状61は、光軸Axを挟んだ左右方向において間隔をあけて対となって設けられている。なお、切り欠かれた形状61の間隔は、光軸Axに対し左右方向±10度の角度以上に設定されている。これは、法規において、車両前方直下の±10度の角度の範囲内の照明領域の光量がある一定の光量に制限されているためである。したがって、この構成によれば、車両前方直下の照明領域の光量を抑えつつ、その左右方向の照明領域における光量を増加させることで所定の法規を満足させることができる。
【0052】
また、例えば、上記実施形態では、本発明をフォグランプ1に適用した構成について説明したが、本発明は他の車両用前照灯、例えばヘッドランプについても適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…フォグランプ(車両用前照灯)、10…ランプボディ、20…透明カバー、40…照明光学系、41…LED(半導体発光素子)、44…光束ガイド筒、45…光導入口、46…光導出口、47…光反射面、48…第2の光導出口、50…位置調整機構、60…下部、61…切り欠かれた形状
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明カバーと、ランプボディと、前記ランプボディ内に収容されて前記透明カバーを介して車両前方の所定の照明領域に光を投光する照明光学系と、を有する車両用前照灯であって、
前記照明光学系は、
光軸が前記透明カバーに向けて設定された半導体発光素子と、
前記半導体発光素子と前記透明カバーとの間に設けられると共に前記光軸の周りを囲って前記照明領域を規定する光束ガイド筒と、を有することを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記光束ガイド筒は、前記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、前記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有し、
前記光導入口の少なくとも一部と前記光導出口の少なくとも一部とが、前記光軸の延びる方向において重なって配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記光束ガイド筒は、開口面積が、前記光導入口から前記光導出口に向かうに従い上方以外の方向において漸次大きくなる形状を有することを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記光導出口の位置を調整する位置調整機構を有することを特徴とする請求項2または3に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記光束ガイド筒の内面側には、光反射面が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記光反射面は、曲率を有することを特徴とする請求項5に記載の車両用前照灯。
【請求項7】
前記光束ガイド筒の内面側において、上方に設けられる前記光反射面と、下方に設けられる前記光反射面とは、互いに異なる光反射率を有することを特徴とする請求項5または6に記載の車両用前照灯。
【請求項8】
前記半導体発光素子の光軸は、水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項9】
前記光束ガイド筒の前記透明カバーが配置される側の一端部の下部は、前記半導体発光素子が配置される側の他端部に向けて所定距離で切り欠かれた形状を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項10】
前記切り欠かれた形状は、前記光軸を挟んだ左右方向において間隔をあけて対となって設けられていることを特徴とする請求項9に記載の車両用前照灯。
【請求項11】
前記光束ガイド筒は、前記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、前記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有しており、
前記光導入口は、前記半導体発光素子と隙間をあけて配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項12】
前記光束ガイド筒は、前記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、前記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有しており、
前記光束ガイド筒の胴部には、前記光導入口を介して内部に導入した光の一部を外部に導出する第2の光導出口が形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項1】
透明カバーと、ランプボディと、前記ランプボディ内に収容されて前記透明カバーを介して車両前方の所定の照明領域に光を投光する照明光学系と、を有する車両用前照灯であって、
前記照明光学系は、
光軸が前記透明カバーに向けて設定された半導体発光素子と、
前記半導体発光素子と前記透明カバーとの間に設けられると共に前記光軸の周りを囲って前記照明領域を規定する光束ガイド筒と、を有することを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記光束ガイド筒は、前記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、前記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有し、
前記光導入口の少なくとも一部と前記光導出口の少なくとも一部とが、前記光軸の延びる方向において重なって配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記光束ガイド筒は、開口面積が、前記光導入口から前記光導出口に向かうに従い上方以外の方向において漸次大きくなる形状を有することを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記光導出口の位置を調整する位置調整機構を有することを特徴とする請求項2または3に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記光束ガイド筒の内面側には、光反射面が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記光反射面は、曲率を有することを特徴とする請求項5に記載の車両用前照灯。
【請求項7】
前記光束ガイド筒の内面側において、上方に設けられる前記光反射面と、下方に設けられる前記光反射面とは、互いに異なる光反射率を有することを特徴とする請求項5または6に記載の車両用前照灯。
【請求項8】
前記半導体発光素子の光軸は、水平面に沿う方向よりも下方に向けて設定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項9】
前記光束ガイド筒の前記透明カバーが配置される側の一端部の下部は、前記半導体発光素子が配置される側の他端部に向けて所定距離で切り欠かれた形状を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項10】
前記切り欠かれた形状は、前記光軸を挟んだ左右方向において間隔をあけて対となって設けられていることを特徴とする請求項9に記載の車両用前照灯。
【請求項11】
前記光束ガイド筒は、前記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、前記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有しており、
前記光導入口は、前記半導体発光素子と隙間をあけて配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項12】
前記光束ガイド筒は、前記半導体発光素子が配置される側に設けられる光導入口と、前記透明カバーが配置される側に設けられる光導出口と、を有しており、
前記光束ガイド筒の胴部には、前記光導入口を介して内部に導入した光の一部を外部に導出する第2の光導出口が形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−64515(P2012−64515A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209502(P2010−209502)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(504136889)株式会社ファルテック (57)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(504136889)株式会社ファルテック (57)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]