説明

車両用映像記録装置、再生装置、プログラム

【課題】 ドライバーが単に運転操作を行うだけでドライバーの意図に沿った映像を表示させる。
【解決手段】カメラ映像表示処理では、リアビューカメラ13からの映像信号に映像信号が入力されている場合には、表示装置16に表示させる映像を、リアビューカメラ13からの映像に切り替え、リアビューカメラ13からの映像信号に映像信号が入力されなくなったら、表示装置16に表示させる映像を、リアビューカメラ13からの映像に切り替える前の映像に切り替える処理を行う。このようにすれば、ドライバーは、シフトポジションをバックにするだけで、リアビューカメラ13によって撮影された映像が表示装置16に表示されることとなり、車両後方の状況を、表示装置16を見て確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用映像記録装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の事故発生時の前後の車両状況情報(前方映像、車両速度、急加減速など)を記憶するドライブレコーダは、自動車の衝突事故などの際の検証に有益な情報を提供することになるので、特にトラック等の運送用の車両や、タクシー,バス等の営業用車両への搭載が広まっており、さらに、一般の車両にも搭載されつつある。
【0003】
このドライブレコーダは、事故時及び急制動時等において、その発生前後の一定期間についての前方映像とドライバーの運転操作(ブレーキ操作、ウインカー操作、走行経路等)状況を示す走行データとを記憶可能な構成となっている。映像データの記憶をする構成について簡単に説明すると、CCDカメラ等にて常時、運転者の視点(視野)から自車と周辺状況を撮像するとともに、その撮像した映像をリングバッファ等の一時記憶メモリに記憶する。この一時記憶メモリに記憶する映像は、逐次最新のものに更新され、設定された時間分だけ過去の映像データが保持される。一方、ドライブレコーダは、加速度センサ等の事故や急ブレーキ・急ハンドル時に発生する衝撃を検知するセンサを備え、そのセンサの出力値が閾値を超えた場合、閾値を超えた(衝撃検出)時点より前の一定期間の映像を一時記憶メモリから読み出して不揮発性メモリ(SDメモリカード等)に格納すると共に、閾値を超えた時点以降はその後に撮像したCCDカメラ等の映像を不揮発性メモリに直接或いは一時記憶メモリを経由して格納することで衝撃前及び衝撃後の所定時間にわたる映像と前記走行データ等を不揮発性メモリ(SDカード)に保存する機能を備える。
【0004】
そして、事故が発生したときには、不揮発性メモリに保存されている自車の車両状況情報(映像等)に基づいて、運転者の正当性を明確に証明することを可能としている。この種のドライブレコーダは、たとえば、特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−321423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種のドライブレコーダは、記録した車両周辺の映像をモニタ等の表示手段に再生して表示する機能を備えるものがある。また、車両周辺映像を取得し、取得した映像を表示手段に表示する機能を備えるものがある。これらの映像のうちいずれの映像を表示装置に表示させるかは、リモコンやスイッチで指示する必要がある。そのため、ドライバーは、運転操作中に所望の映像に切り替えることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、(1)車両状態と複数の車両周辺映像を取得し、取得した車両状態と複数の車両周辺映像とを時間的に同期させて再生可能なデータとして記録手段に対して記録する車両用映像記録装置において、前記複数の車両周辺映像の中から、ドライバーによる車両の操作状態に基づき、表示手段に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御を行うことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、ドライバーによる車両の操作状態に基づき、表示手段に対して優先して出力する映像を決定して出力するため、ドライバーは、運転操作とともにリモコンやスイッチで映像を切り替える必要がない。
【0009】
なお、車両周辺映像は、車両外部の映像としてもよいし、車両内部(例えば車室内)の映像としてもよい。
【0010】
(2)特に、ドライバーによる車両の操作状態としては、ドライバーが車両を走行させようとする方向を示す運転状態とするとよい。このようにすれば、ドライバーがこれから走行させる方向の映像が出力されることになり、ドライバーの意思に沿った適切な映像が適切なタイミングで表示されることとなる。例えば後述する(8)(9)に示す構成とするとよい。
【0011】
(3)前記表示手段に対して出力する映像を生成する映像生成手段を備え、前記映像生成手段が生成する映像は、前記表示手段に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御に関する設定項目を示す映像、前記記録手段に記録された車両状態を示す映像、取得した前記車両周辺映像のうちの少なくともいずれか1つの映像、前記記録手段に記録された少なくともいずれか1の映像を再生した映像、のうち少なくともいずれか1つを含み、前記表示手段に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御は、当該映像のみに切り替える制御、当該映像に所定の映像を重ね合わせた映像に切り替える制御、当該映像を他の映像よりも大きなサイズの映像で表示する制御、当該映像を他の映像よりも表示手段の中心部に表示させる制御の少なくともいずれか1つとするとよい。
【0012】
(4)(3)の構成を前提として、前記映像生成手段はコンピュータによるプログラムを実行することで前記表示手段に対して出力する映像を生成する構成であって、さらに当該コンピュータによるプログラムの実行による映像の生成が可能でない状態であっても、前記表示手段に対して優先して出力する映像の信号が検出された場合には当該映像を他の映像よりも優先して出力する制御を行うハードウェアを備えるとよい。
【0013】
コンピュータによるプログラムの実行により、映像を生成する機能を実現する場合、例えば、コンピュータが起動処理中であったり、コンピュータの処理負荷が高い状態であったりするために、コンピュータによるプログラムの実行による映像の生成が可能でない状態である場合がある。このような場合には、コンピュータによるプログラムの実行によって、ドライバーによる車両の操作状態を即座に反映させた映像を出力することが困難である。しかし、このような構成にすれば、ハードウェアにより表示手段に対して優先して出力する映像の信号が検出された場合には当該映像を他の映像よりも優先して出力されるので、ドライバーによる車両の操作状態を即座に反映させて、表示手段に対して優先して出力する映像を表示させることができる。
【0014】
(5)前記ドライバーによる車両の操作状態に基づき、前記表示手段に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御は、優先して出力する映像の映像信号が入力された場合に、当該映像を表示手段に対して出力する構成であり、前記ドライバーによる車両の操作状態が所定の操作状態になっていない場合に、当該優先して出力する映像の映像信号を出力する装置に対して電源を供給せず、前記ドライバーによる車両の操作状態が所定の操作状態になった場合に、当該優先して出力する映像の映像信号を出力する装置に対して電源を供給する構成とするとよい。
【0015】
このような構成によれば、ドライバーによる車両の操作状態が所定の操作状態になっていない場合には、当該優先して出力する映像の映像信号が出力されず、当該映像は表示手段に表示されない。一方、ドライバーによる車両の操作状態が所定の操作状態になった場合に、当該優先して出力する映像の映像信号が出力され当該映像が表示手段に表示される。
【0016】
(6)前記複数の車両周辺映像を入力するための複数の映像入力端子を備え、前記表示手段に対して優先して出力する映像の映像入力端子は、他の映像の映像入力端子とは異なる形状とするとよい。このようにすれば、どの映像入力端子に優先して出力する映像の撮像手段(例えばカメラなど)を接続すればよいのかが、容易に分かる。
【0017】
(7)(6)の構成を前提として、前記前記表示手段に対して優先して出力する映像の映像入力端子と、前記他の映像の映像入力端子とは、筐体の同一面内に配置し、これらの映像入力端子を設けた面と対向する面に、前記記録手段を構成する記録媒体の挿入口を設けるとよい。このようにすれば、記録媒体を挿入口へ挿入したり、挿入口から取り出したりする際に、映像入力端子に接続されたケーブル類が邪魔にならない。また、記録媒体を挿入口へ挿入したり、挿入口から取り出したりする際に、映像入力端子に接続されたケーブル類を、引っ掛けて抜いてしまうといった問題も発生しにくくなる。
【0018】
(8)前記複数の車両周辺映像のうち少なくとも1つは車両後方映像であって、前記ドライバーによる車両の操作状態として、シフトポジションがバックになった場合に、前記車両後方映像を他の映像よりも優先して出力する制御を行う構成とするとよい。このようにすれば、ドライバーは、シフトポジションをバックにするだけで、車両後方の状況を、表示手段を見て確認することができる。
【0019】
(9)前記複数の車両周辺映像のうち少なくとも1つは車両右側映像であり、前記複数の車両周辺映像のうち少なくとも1つは車両左側映像であって、前記ドライバーによる車両の操作状態として、所定の車両速度以下の状態で右ウインカーの出された場合には、前記車両右側映像を他の映像よりも優先して出力する制御を行い、前記ドライバーによる車両の操作状態として、所定の車両速度以下の状態で左ウインカーを出された場合には、前記車両左側映像を他の映像よりも優先して出力する制御を行う構成とするとよい。
【0020】
このようにすれば、例えば、駐車場から左右いずれかの方向に退出するときや、見通しの悪い交差点を曲がろうとするときなど、所定の車両速度以下の状態でウインカーを出した方向の車両周辺映像が表示手段に表示されることとなる。したがって、ドライバーは、このような注意を要する状況で、表示のための特段の操作をすることなく、その方向の車両周辺映像を確認することが容易にできる。一方、所定の車両速度を越える場合には、ウインカーを出したとしても、ウインカーを出した方向の車両周辺映像が表示手段に表示されることはない。したがって、ドライバーが、所定の車両速度以上で走行中に車両周辺映像が表示手段に表示されることによって煩わしさを感じることや、運転操作への意識の集中をそがれるといったことがない。
【0021】
(10)前記表示手段に対して優先して出力する映像の中に人が写っている場合に警報を発する機能を備えるとよい。このようにすれば、警報が発せられた際に車両を停止させるなど、回避行動を容易かつ即座に採ることができる。また、ドライバーは、特段の操作をすることなく、単に警報があった際に表示手段を見るだけで、警報の対象物が、回避対象であるかなどを、容易に確認することができる。例えば、ウインカーを出している方向で、サイドカメラの映像に人が写っている場合、アラームにて知らせたり、バックポジションを出しているとき、バックカメラの映像に人が写っている場合、アラームにて知らせるようにするとよい。
【0022】
(11)車両の衝突に相当する状態を検出する衝突検出手段を備え、前記表示手段に対して出力している映像にかかわらず、前記取得した前記車両状態と前記複数の車両周辺映像との前記記録手段に対する記録を、前記衝突検出手段によって衝突が検出された場合に行う構成とするとよい。このようにすれば、衝突時の複数の車両周辺映像を確実に記録することができる。
【0023】
(12)前記表示手段に対して出力している映像にかかわらず、前記取得した前記車両状態と前記複数の車両周辺映像との前記記録手段に対する記録を行う構成とするとよい。このようにすれば、衝突時の複数の車両周辺映像を確実に記録することができる。
【0024】
(13)車両の衝突に相当する状態を検出する衝突検出手段を備え、前記衝突検出手段によって衝突が検出された場合に、前記表示手段に対して出力している映像を優先して前記記録手段に対して記録するようにしてもよい。このようにすれば、衝突の瞬間が記録される可能性の高い映像を確実に記録することができる。特に(2)の構成を前提とする構成によれば、ドライバーが車両を走行させようとする方向の映像を記録することができるので、優れた効果を発揮する。
【0025】
(14)前記複数の車両周辺映像の中から、ドライバーによる車両の操作状態に基づき、表示手段に対して優先して出力する映像を決定した際に、前記再生可能なデータとして記録手段に対する記録を行なう構成としてもよい。例えば、(9)の構成を前提として、車のスピードが所定値より遅いときであって、ウインカーが出された場合に、サイドカメラの映像を室内モニタに表示させる構成とし、録画はウインカーを出したタイミングで行うようにしてもよい。
【0026】
(15)前記記録手段に記録された前記車両周辺映像のデータを再生する際に、再生映像を左右または上下に反転して再生する機能を備えるとよい。このようにすれば、車両周辺映像を撮影するカメラを上下反転して設置させても、正しい向きで映像を再生させることができる。また、例えば左右反転映像の映像信号を出力するリアビューカメラが撮影した映像を、左右反転させて再生させることもできる。
【0027】
(16)前記ドライバーによる車両の操作状態と前記取得した車両状態と複数の車両周辺映像とを時間的に同期させて再生可能なデータとして記録手段に対して記録する構成とするとよい。例えば、ドライバーによる車両の操作状態として、シフトポジションがなにであるかを記録しておくことで、バック中にぶつかった、下り坂でエンジンブレーキかけているか、停車中、ニュートラルまたはパーキングにしている(ECO運転)
などがわかる。
【0028】
(17)前記表示手段に対して優先して出力した映像を示す情報と前記ドライバーによる車両の操作状態と前記取得した車両状態と複数の車両周辺映像と、時間的に同期させて再生可能なデータとして記録手段に対して記録する構成とするとよい。
【0029】
(18)(1)〜(17)に記載の車両用映像記録装置によって前記記録手段に記録されたデータを再生する再生装置であって、前記記録手段に記録された前記車両周辺映像のデータを再生する際に、再生映像を左右または上下に反転して再生する機能を備えるとよい。再生装置は例えばパソコンのように車外に主として設置されるものとしてもよいし、車内に設置するナビゲーション装置等の機能として構成してもよい。
【0030】
(19)(17)に記載の車両用映像記録装置によって前記記録手段に記録されたデータを再生する再生装置であって、前記表示手段に対して優先して出力した映像を示す情報に基づき、再生中の複数の車両周辺映像の中から、前記表示手段に対して優先して出力した映像を示す所定の表示を行う構成とするとよい。このようにすれば、表示手段にどの映像が表示されていたのか、後で、再生装置で再生した際に容易に把握することができる。
(20)(18)または(19)に記載の再生装置としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして構成することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ドライバーは、運転操作とともにリモコンやスイッチで映像を切り替えるなど特段の操作をする必要がなく、単に運転操作を行うだけで、ドライバーの意図に沿った映像を表示手段に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の好適な一実施形態であるドライブレコーダの構成を示すブロック図である。
【図2】ドライブレコーダのメインユニットと各部の接続関係を示す図である。
【図3】ドライブレコーダのメインユニットの正面と背面を示す斜視図である。
【図4】メモリカードのメインユニットへの挿入方法とメインユニットの車両への取付例を示す図である。
【図5】フロントビューカメラの車両への取り付け状態を示す図である。
【図6】増設カメラの取付例とカメラの構成を示す図である。
【図7】リアビューカメラの車両への取り付け状態と撮影範囲を示す図である。
【図8】リアビューカメラへの電源供給方法等を示す図である。
【図9】リモコンの構成と車両への取付位置の例を示す図である。
【図10】カメラの映像を表示装置に対して表示する表示内容の例を示す図である。
【図11】再生時に表示装置に対して表示する表示内容の例を示す図である。
【図12】再生画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1〜図9は、本発明の好適な一実施の形態として、車両用映像記録装置としてのドライブレコーダの構成を示す図である。図1は機能ブロック図、図2は装置構成図である。
【0034】
図1及び図2に示すように、制御部10を備えたメインユニット1(以下本体とも称する)と、メインユニット1の制御部10に接続されるリモコン11・GPSユニット12・リアビューカメラ13・増設カメラ14・フロントビューカメラ15・表示装置16・内蔵マイク17・外部マイク18・メモリカードスロット19・加速度センサ20・スピーカ21を備える。
【0035】
図2、図3(a)等に示すように、メインユニット1の正面には、表示装置16に対して映像信号と音声信号とを出力する端子であるAV出力端子16bと、外部マイク18から音声信号を入力する端子であるマイク端子18bと、SDカードスロット19b(図1のメモリカードスロット19に対応)と、SDカードスロット19bへSDカード2(図4(a)参照)を挿入した際にSDカードをロックして固定するためのスライドレバー19cを備える。スライドレバー19cは、SDカード2の挿入時にSDカード2をロックするためのものであり、図4(a)に示すようにスライドレバー19cを左側へ動かしてSDカード2をSDカードスロット19bへ挿入し、スライドレバー19cから手を離すと元の位置(図4(a))にスライドレバー19cが戻りSDカード2をロックする構造となっている。
【0036】
メインユニット1の背面(正面と対向する面)には、図3(b)に示すように、車両信号接続端子40bと、リモコン接続端子11bと、GPSユニット接続端子12bと、リアビューカメラ接続端子13bと、増設カメラ接続端子14bと、フロントビューカメラ接続端子15bとを備え、それぞれ制御部10へ接続されている。また、メインユニットの上面には、開口部を設け、開口部内に制御部10に接続された内蔵マイク17を有する。
【0037】
これらの各端子には、図2に示すように、それぞれ対応する各コネクタが接続され、各コネクタに接続されたコード(ケーブル)を介して対応する各機器(各部)に接続される。すなわち、制御部10は、AV出力端子16bに接続されたAV出力コネクタ16aを介して表示装置16と接続され、マイク端子18bに接続されたマイクコネクタ18aを介して外部マイク18と接続される。また、制御部10は、車両信号接続端子40bに接続された車両信号接続コネクタ40aを介して車両のブレーキランプ線33、車両の左ウインカー線32、車両の右ウインカー線31、車両の車速信号線30、車両のアース線、車両のACC系電源へと接続されている。また、制御部10はリモコン接続端子11bに接続されたリモコン接続コネクタ11aを介してリモコン11と接続され、GPSユニット接続端子12bに接続されたGPSユニット接続コネクタ12aを介してGPSユニット12と接続され、リアビューカメラ接続端子13bに接続されたリアビューカメラ接続コネクタ13aを介してリアビューカメラ13と接続され、増設カメラ接続端子14bに接続された増設カメラ接続コネクタ14aを介して増設カメラ14と接続され、フロントビューカメラ接続端子15bと接続されたフロントビューカメラ接続コネクタ15aを介してフロントビューカメラ15と接続されている。フロントビューカメラ接続端子15bと増設カメラ接続端子14bはミニピンジャックであり、リアビューカメラ接続端子13bはRCA端子であり、両者は異なる形状の端子としている。
【0038】
メインユニット1は、車両内に設置する。例えば、図4(b)に示すように、運転席近傍で、ドライバーがSDカード2を取り出しやすい位置であって、かつ、前述した各端子へ接続されたケーブルが運転操作の邪魔にならない位置に設置する。例えば、図4(b)に示すように、運転席の左前方の位置のセンターコンソールやインパネのアンダーカバーなどに両面テープを用いて底面を貼り付けて固定する。このとき、図4(b)の右側方向に、本体正面側を向け、左方向に本体背面側を向けて設置する。
【0039】
フロントビューカメラ15は、車両前方を撮影するためのカメラであり、撮影した映像の映像信号としてNTSC信号を出力する。フロントビューカメラ15は、図5に示すように、車両前方を撮影する方向としてレンズが進行方向を向くように車室内のフロントガラスに両面テープで固定する。固定位置は、車室内のフロントガラスの上部からフロントガラス全体の20%以内の位置(図中符号dで示す範囲)とする。フロントビューカメラ15の電源は、制御部10から供給される。
【0040】
増設カメラ14は、任意の位置に取り付けて車両周辺映像を撮影することのできるカメラであり、撮影した映像の映像信号としてNTSC信号を出力する。例えば、図6(a)に示すように、室内方向(フロントガラスから車両後方方向)を撮影する方向として向けて、車室内のフロントガラスに両面テープで固定する。増設カメラ14の電源は、制御部10から供給される。
【0041】
増設カメラ14は、図6(b)に示すように、撮影した映像をそのまま出力する正像モードと、撮影した映像を左右反転して出力する鏡像モードを備え、モードの設定を行うための設定スイッチ14sを備える。増設カメラ14は、設定スイッチ14sの状態に応じて、正像モードと鏡像モードとを切り替え、対応する映像信号を出力する。例えば、車両前方方向を撮影する場合には正像モード、室内方向や車両後方方向を撮影する場合には、鏡像モードに設定するとよい。
【0042】
リアビューカメラ13は、車両後方を撮影するためのカメラであり、撮影した映像の映像信号としてNTSC信号を出力する。リアビューカメラ13は、例えば、図7(a)(b)に示すように、車両のバックドアの外側のナンバープレート近辺に設置する。リアビューカメラ13の撮影する画角を、図7(c)(d)に示す。図7(c)は車両上面側から車両を見た状態を示す図であり、表示装置16に表示した際の左右方向の画角を示しており、その画角は、撮影方向に対して左右60度(全体で120度)である。図7(d)は、車両側面側から車両を見た状態を示す図であり、表示装置16に表示した際の上下方向の画角を示しており、その画角は、撮影方向に対して左右43度(全体で86度)である。
【0043】
リアビューカメラ13の電源の配線及びリアビューカメラ13からの映像信号の配線について図8を参照して説明する。リアビューカメラ13の電源は、車両のリバースランプのプラス側配線93から供給される。すなわち、リバースランプのプラス側配線93と電源線81とがエレクトロタップ80によって接続され、電源線81及びヒューズ82を介してリアビューカメラ13の電源ラインに接続される構成としている。車両のリバースランプのプラス側配線93はリバースランプの一端とシフトレバーのバックポジションスイッチ92の一端に接続されており、リバースランプ94の他端はバッテリのマイナス端子に、バックポジションスイッチ92の他端はバッテリのプラス端子にそれぞれ接続されている。グランド線83は、一端が車両の塗装されていない既存のビスなどに接続され、他端がリアビューカメラ13のグランドラインに接続されており、車両の塗装されていないビスは、バッテリ91のマイナス端子に接続されている。車両のバックポジションスイッチ92は、シフトレバーがバックポジションのときオンになり、シフトレバーがバックポジション以外のときオフとなる構成である。その結果、シフトレバーがバックポジションになっている間、車両のリバースランプのプラス側配線93に電流が流れ、リバースランプ94が点灯する。このとき、エレクトロタップ83から電源線81及びヒューズ82を介してリアビューカメラ13に電源が供給される。リアビューカメラ13は、電源が供給されている間、映像信号を出力する。この映像信号は、リアビューカメラ接続端子13bに接続したリアビューカメラ接続コネクタ13aを介して制御部10へ入力される。一方、シフトレバーがバックポジション以外の状態になっている間は、車両のリバースランプのプラス側配線93に電流は流れず、リバースランプ94は消灯するとともに、リアビューカメラ13への電源供給もなされなくなる。その結果、シフトレバーがバックポジション以外の状態になっている間は、リアビューカメラ13からは、映像信号が出力されなくなり、制御部10へもリアビューカメラ13からの映像信号が入力されなくなる。
【0044】
GPSユニット12は、ダッシュボードの前方位置に設置され、GPS信号を受信し、その受信したGPS信号から現在位置を求め、その求めた現在位置の位置情報(経度,緯度)等をNMEA形式のデータで制御部10へ送る。
【0045】
リモコン11は、図9(a)に示すように、第一ボタン11p、第二ボタン11q、第三ボタン11rと、第一ランプ11x、第二ランプ12yを備える。図9(b)に3つの設置パターンを示すように、センターコンソールやインパネのアンダーカバーなどドライバーが操作しやすい位置に、両面テープを用いて裏面を貼り付けて固定する。
表示装置16は、カーナビやカーテレビなどNTSC信号を入力して表示する液晶モニタである。
【0046】
加速度センサ20は、メインユニット1の内部に設けられ、制御部10と接続されている。メインユニット1の車両への固定後(例えば図4(b)のような固定後)、制御部10が、リモコン11の第一ボタン11pと第二ボタン11qの両ボタンの同時押下が2秒以上検出した場合に、初期設定を行う。この初期設定は、車両をまっすぐに前後させ、この前後させたときの加速度の発生方向を、加速度センサ20で検出し、加速度センサ20の3軸(x軸、y軸、z軸)と、車両の前後方向との対応関係を検出して、以後、加速度センサ20が、車両の前後方向をX軸、車両の左右方向をY軸、車両の上下方向をZ軸とした値を出力するようにする設定処理である。前方向をX軸の正の方向、左方向をY軸の正の方向、上方向をZ軸の正の方向とする。このような初期設定方法は、公知の方法を用いることができる。
スピーカ21は、メインユニット1の内部に設けられ、制御部10と接続されている。
【0047】
制御部10は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、各種の周辺回路、インターフェース等を備えるマイコンを備え、図1に示して説明した各部にそれぞれの信号を入力または出力するインターフェースを介して接続されている。制御部10は、車両のACCがONになった場合、電源が供給され、動作を開始する。制御部10は、ROMに記録されたブートローダーによって、フラッシュメモリに記録されたOSとアプリケーションプログラムをRAM上に展開し、RAM上のOS及びアプリケーションプログラムを実行することで、これから述べる各種の処理を実行して、各種の機能を実現する。OSは、マルチタスクOSであり、各種のアプリケーションプログラムを切り替えて実行することで、並行処理を実現している。
【0048】
制御部10は、電源投入後、随時、車両状態として、GPSユニット12からのNMEAデータ、加速度センサ20、ブレーキランプ線33、左ウインカー線32、右ウインカー線31の信号状態を取得して、メモリカードスロット19に装着されたメモリカード2に対して、所定の時間間隔(例えば1秒あたり30回)でこれらのデータ及び信号状態をファイルに記録していくデータ・信号状態記録処理を行なう。
【0049】
また、制御部10は、複数の車両周辺映像としてフロントビューカメラ15、リアビューカメラ13、増設カメラ14の映像を取得して、表示装置10に表示させるカメラ映像表示処理や、データ・信号状態記録処理によって記録する車両状態とこれらの車両周辺映像とを時間的に同期させて再生可能なデータとしてメモリカード2に対して記録する映像音声記録処理を行う。
【0050】
制御部10は、周辺回路として、フロントビューカメラ15、リアビューカメラ13、増設カメラ14からのNTSC信号を、それぞれ映像データとしてRAM上に取り込むビデオキャプチャ回路を備えている。また、制御部10には、周辺回路として、ビデオメモリ(VRAM)等を備え、ビデオメモリに描画された描画データを、NTSC信号として、後述する電子スイッチを介して、表示装置16へ出力する映像生成回路を備える。
【0051】
制御部10は、電源投入後、随時、キャプチャした各映像データを、ビデオメモリに転送して、表示装置16へ表示させるカメラ映像表示処理を行う。カメラ映像表示処理は、デフォルトの処理として、フロントビューカメラ15の映像を表示装置16へ出力する処理を行う。また、カメラ映像表示処理では、リモコン11の第一ボタン11pの押下が検出された場合に、ビデオメモリに転送して表示装置16に表示させる映像を、フロントビューカメラ15、増設カメラ14、リアビューカメラ13の映像の順に切り替える処理を行う。例えば、ドライバーが、本装置の起動後、2回、第一ボタン11pの押下した場合であって、シフトポジションがバックになっていれば、図10に示すように、リアビューカメラ13によって撮影された映像が表示装置16の表示領域16aに表示されることとなる。また、カメラ映像表示処理では、リアビューカメラ13からの映像信号に映像信号が入力されている場合には、ビデオメモリに転送して表示装置16に表示させる映像を、リアビューカメラ13からの映像に切り替え、リアビューカメラ13からの映像信号に映像信号が入力されなくなったら、ビデオメモリに転送して表示装置16に表示させる映像を、リアビューカメラ13からの映像に切り替える前の映像に切り替える処理を行う。
【0052】
このようにすれば、ドライバーは、シフトポジションをバックにするだけで、図10に示すように、リアビューカメラ13によって撮影された映像が表示装置16の表示領域16aに表示されることとなり、車両後方の状況を、表示装置16を見て確認することができる。このように、ドライバーによる車両の操作状態に基づき、制御部10は、表示装置16に対して優先して出力する映像を決定して出力するため、ドライバーは、運転操作とともにリモコン11で映像を切り替える必要がなく、これから走行させる方向の映像が出力されることになり、ドライバーの意思に沿った適切な映像が適切なタイミングで表示されることとなる。
【0053】
映像音声記録処理は、電源投入後、内蔵マイク17から取得した音声及び外部マイク18から取得した音声データを、フロントビューカメラ15、リアビューカメラ13、増設カメラ14のキャプチャした各映像データと併せて記録する処理である。フロントビューカメラ15の映像データ、リアビューカメラ13の映像データ、増設カメラ14の映像データのそれぞれに対して、内蔵マイク17から取得した音声データを左チャンネル、外部マイク18から取得した音声データを右チャンネルとして、MPEG形式でエンコードして、3つのファイルに記録していく。
【0054】
データ・信号状態記録処理で記録する信号状態のファイルのファイル名及び映像音声記録処理によって記録する3つのMPEGファイルのファイル名は、マイコンの周辺回路として備えるリアルタイムクロック(時計)からそれぞれの処理において各ファイルを記録開始した日時を用いて記録する。したがって、このファイル名の日時を読み出すことで、各ファイルのデータの同一日時に記録された位置を特定することができる。よって、これらのファイルを時間的な同期を取りながら再生する再生処理が可能である。なお、これらのファイルの記録の終了は、本体へのACC電源の供給が遮断された際に行う。制御部18には、ACC電源が遮断された場合に、ファイルの記録終了に必要な時間の間(5秒間)、制御部18及び接続された各部を動作させる電池を有するバックアップ電源を備えており、ACC電源の遮断が検出された際に、OSから記録処理に通知され、すべてのファイルの記録の終了処理が実行される。したがって、車両のACCONによる電源投入からACCOFFによる電源遮断の間で各記録ファイルが生成されることとなる。
【0055】
制御部10は、リモコン11の第二ボタン11qの長押し(2秒以上の連続押下)が検出された場合、フロントビューカメラ15の映像及び音声について現在記録中のMPEGファイルの先頭から映像を再生する再生処理を開始する(録画しながら再生するいわゆる追いかけ再生を開始する)。再生処理の開始から一定時間(5秒間)は、図11に示すように、再生映像81に重ね合わせて、操作ヘルプ82、再生映像のカメラ情報85、再生状態84、再生映像日時83を表示する。これらの表示は、再生処理中にリモコン11のいずれかのボタンの押下が検出された場合にも、所定時間の間(3秒間)行う。
【0056】
操作ヘルプ82は、リモコン11のどのボタンが押下された場合に、どのような処理がなされるのかを示すものである。図11に示すように、図9のリモコン11を時計周りに45度回転させた状態のリモコン11のボタン位置と処理内容との対応関係を示しており、図中黒色で示されるボタンを押下すると、その右側に文字で記載された処理が実行されることを示している。例えば、図11において「再生/停止/スロー」と描画された箇所の左側にあるリモコン11の模式図において黒色で示されたボタンは第二ボタン11qに対応し、この第二ボタン11qのみの押下が検出されるごとに、再生→停止→スローの順に画面表示処理(すなわち制御部10の再生処理内容)が切り替わることを示している。この現在の画面表示処理の状態は、再生状態84に「再生中」「停止中」「スロー中」のように表示する。また、現在再生している映像を記録したカメラがどのカメラかを示す情報をカメラ情報85として表示する。カメラ情報85は、フロントビューカメラ15によって記録されたファイルの映像を表示中は「CAM1」、増設カメラ14によって記録されたファイルの映像を表示中は「CAM2」、リアビューカメラ13によって記録されたファイルの映像を表示中は「REAR」と表示する。再生映像日時83は、表示中のファイルの映像の日時を表示する領域であり、ファイル名から取得したファイル先頭の記録日時と、ファイルのフレーム情報に基づいて現在表示中のフレームの記録された日時を求めて表示するものである。
【0057】
再生処理中に、第一ボタン11pのみの押下が検出された場合、再生するファイルを切り替え、現在再生中のフレームと同一日時のフレームから映像を再生する。このようにすることで、再生するファイルの切り替えがあっても、映像は時間的に連続したものが表示されることになる。その結果、再生映像日時83についても、再生するファイルの切り替えがあっても、連続して進んでいくことになる。
再生処理中に、第三ボタン11rのみの押下が検出された場合、再生処理を終了してカメラ映像表示処理を行う(再生終了)。
【0058】
再生処理中に、第二ボタン11qと第三ボタン11rの同時押下が検出された場合、再生するファイル自体を現在再生中のファイルから一つ古いファイルへ切り替えていく。すなわち、ファイル名を参照して、ファイル名に含まれる日時から、現在再生中のファイルの1つ前に記録されたファイルを特定して、そのファイルの先頭から映像を再生する。現在再生中のファイルよりも古いファイルがない場合には、現在再生中のファイルを先頭から再生する。
【0059】
再生処理中に、第一ボタン11pと第二ボタン11qとの同時押下が検出された場合、再生するファイル自体を現在再生中のファイルから一つ新しいファイルへ切り替えていく。すなわち、ファイル名を参照して、ファイル名に含まれる日時から、現在再生中のファイルの1つ後に記録されたファイルを特定して、そのファイルの先頭から映像を再生する。現在再生中のファイルよりも新しいファイルがない場合には、現在再生中のファイルを先頭から再生する。
【0060】
このように、リモコン11の操作によって、フロントビューカメラ15、増設カメラ14、リアビューカメラ13の映像を切り替えて、所望の現在の映像を表示装置16に表示させたり、フロントビューカメラ15、増設カメラ14、リアビューカメラ13によって撮影されメモリカード2にすでに記録されている映像を再生させて、リモコン11の操作によって、フロントビューカメラ15、増設カメラ14、リアビューカメラ13の再生映像を切り替えて、所望の過去の映像を表示装置16に表示させたりすることができる。このように取得した車両周辺映像のうちの少なくともいずれか1つの映像か、メモリカード2に記録された少なくともいずれか1の映像を再生した映像のみに切り替える制御を制御部10が行う。
【0061】
本実施例では、制御部10は、取得した車両周辺映像のうちの少なくともいずれか1つの映像、メモリカード2に記録された少なくともいずれか1の映像を再生した映像のみに切り替える制御を制御部10が行うこととしたが、さらに制御部10は、表示装置16に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御に関する設定項目を示す映像、メモリカード2に記録された車両状態を示す映像を表示するようにしてもよい。また表示装置16に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御は、当該映像のみに切り替える制御としたが、さらに、当該映像に所定の映像を重ね合わせた映像に切り替える制御、当該映像を他の映像よりも大きなサイズの映像で表示する制御、当該映像を他の映像よりも表示装置16の中心部に表示させる制御の少なくともいずれか1つとしてもよい。
【0062】
本実施例の処理によれば、表示装置16に対して出力している映像にかかわらず、取得した車両状態とフロントビューカメラ15、リアビューカメラ13、増設カメラ14から取得した複数の車両周辺映像とのメモリカード2に対する記録を行う。このようにすれば、衝突時の複数の車両周辺映像を確実に記録することができる。
【0063】
なお、本実施例では、ACCONからACCOFFまで、常時、映像を記録するようにしたが、常時記録は行なわず、または、常時記録を行いつつ、加速度センサ20によって、車両の衝突に相当する状態を検出した場合に、表示装置16に対して出力している映像にかかわらず、車両状態とフロントビューカメラ15、リアビューカメラ13、増設カメラ14から取得した車両周辺映像とのメモリカード2に対する記録を行う構成としてもよい。このようにすれば、衝突時の複数の車両周辺映像を確実に記録することができる。また、衝突が検出された場合に、表示装置16に対して出力している映像を優先してメモリカード2に対して記録するようにしてもよい。このようにすれば、衝突の瞬間が記録される可能性の高い映像を確実に記録することができる。
【0064】
本実施例では、車両後方を撮影するリアビューカメラ15の映像を記録することとしたが、これに限らず任意の映像を記録するようにしてもよい。また、車両の操作状態としても任意の状態を取得して記録するようにしてもよい。例えば、車両右側映像と車両左側映像を取得するサイドカメラをそれぞれ設け、制御部10は、車内LANと接続され、ドライバーによる車両の操作状態として、車内LANを流れるパケットから所定の車両速度以下(例えば10km/h以下)の状態で、右ウインカーの出されたことを検出した場合には、車両右側映像を他の映像よりも優先して出力する制御を行う一方、所定の車両速度以下(例えば10km/h以下)の状態で左ウインカーを出されたことを検出した場合には、車両左側映像を他の映像よりも優先して出力する制御を行う構成とするとよい。このようにすれば、例えば、駐車場から左右いずれかの方向に退出するときや、見通しの悪い交差点を曲がろうとするときなど、所定の車両速度以下の状態でウインカーを出した方向の車両周辺映像が表示装置16に表示されることとなる。したがって、ドライバーは、このような注意を要する状況で、表示のための特段の操作をすることなく、その方向の車両周辺映像を、表示装置16をみて確認することが容易にできる。一方、所定の車両速度を越える場合には、ウインカーを出したとしても、ウインカーを出した方向の車両周辺映像が表示装置16に表示されることはない。したがって、ドライバーが、所定の車両速度以上で走行中に車両周辺映像が表示装置16されることによって煩わしさを感じることや、意識の集中をそがれるといったことがない。また、制御部10は、複数の車両周辺映像の中から、ドライバーによる車両の操作状態に基づき、表示装置16に対して優先して出力する映像を決定した際に、再生可能なデータとしてメモリカード2に対する記録を行なう構成としてもよい。例えば、車のスピードが所定値より遅いときであって、ウインカーが出された場合に、サイドカメラの映像を室内モニタに表示させる構成とし、録画はウインカーを出したタイミングで行うようにしてもよい。
【0065】
メモリカード2に記録された車両周辺映像のデータを再生する際に、再生映像を左右または上下に反転して再生する機能を備えるとよい。このようにすれば、車両周辺映像を撮影するカメラを上下反転して設置させても、正しい向きで映像を再生させることができる。また、例えば左右反転映像の映像信号を出力するリアビューカメラが撮影した映像を、左右反転させて再生させることもできる。
【0066】
なお、ドライバーによる車両の操作状態と取得した車両状態と複数の車両周辺映像とを時間的に同期させて再生可能なデータとしてメモリカード2に対して記録する構成とするとよい。例えば、ドライバーによる車両の操作状態として、シフトポジションがなにであるかを記録しておくことで、バック中にぶつかった、下り坂でエンジンブレーキかけているか、停車中、ニュートラルまたはパーキングにしている(ECO運転)などがわかる。そして、表示装置16に対して優先して出力した映像を示す情報とドライバーによる車両の操作状態と前記取得した車両状態と複数の車両周辺映像と、時間的に同期させて再生可能なデータとしてメモリカード2に対して記録する処理を行うとよい。
【0067】
本実施例では、コンピュータによるプログラムの実行によってカメラ映像表示処理を行い、出力する映像を生成する構成であるが、コンピュータによるプログラムの実行による映像の生成が可能でない状態であっても、表示装置16に対して優先して出力する映像の信号が検出された場合には当該映像を他の映像よりも優先して出力する制御を行うハードウェアを備えるとよい。すなわち、制御部10は、さらに、シフトポジションがバックになった場合に、リアビューカメラ13の映像をフロントビューカメラ15の映像及び増設カメラ14の映像よりも優先して出力する制御を行うハードウェアである電子スイッチ(映像信号セレクタ)を制御部10に備える。この電子スイッチには、リアビューカメラ13からの映像信号線と、制御部10の映像生成回路からの出力線が接続されており、電子スイッチは、リアビューカメラ13からの映像信号に映像信号が入力されている場合には、リアビューカメラ13からの映像信号を表示装置16へ出力し、リアビューカメラ13からの映像信号に映像信号が入力されていない場合には、映像生成回路からの出力を表示装置16へ出力する。また、リアビューカメラ13からの映像信号が入力されているかいないかを示す信号を、制御部18に備えるマイコンに対して出力し、前述した再生処理中にリアビューカメラ13からの映像信号に映像信号が入力されている信号を検出した場合には、再生処理を一時停止する。図8に示して説明した構成により、シフトレバーがバックポジション以外の状態になっている間は、リアビューカメラ13からの映像信号は、制御部10の電子スイッチへ入力されず、シフトレバーがバックポジションの状態になっている間は、リアビューカメラ13からの映像信号が、制御部10の電子スイッチへ入力される。
【0068】
このようにすれば、ドライバーは、シフトポジションをバックにするだけで、すぐに車両後方の状況を、表示装置16を見て確認することができる。このように、ドライバーによる車両の操作状態に基づき、制御部10は、表示装置16に対して優先して出力する映像を決定して出力するため、ドライバーは、運転操作とともにリモコン11で映像を切り替える必要がなく、これから走行させる方向の映像が出力されることになり、ドライバーの意思に沿った適切な映像が適切なタイミングで表示されることとなる。マイコンによるプログラムの実行により、カメラ映像表示処理を実現しているため、例えば、マイコンでOSの起動処理中であったり、マイコンの処理負荷が高い状態であったりするために、カメラ映像表示処理による映像の生成が可能でない状態である場合がある。このような状態の場合には、カメラ映像表示処理によって、ドライバーによる車両の操作状態を即座に反映させ、リアビューカメラ13の映像を出力することが困難である。しかし、電子スイッチ(ハードウェア)によってリアビューカメラ13からの映像の信号が検出された場合には、リアビューカメラ13からの映像を他の映像よりも優先して出力するので、ドライバーによる車両の操作状態を即座に反映させて、表示装置16に対してリアビューカメラ13からの映像を表示させることができる。
【0069】
さらに、リアビューカメラ13の映像のように表示装置16に対して優先して出力する映像の中に人が写っているか否かを、制御部10のリアビューカメラ13から取得した映像データに対するパターンマッチング処理によって判定し、人に相当するパターンにマッチした場合に、スピーカ21から、警報音を発する処理を行うとよい。このようにすれば、警報音がなった際に車両を停止させるなど、回避行動を容易かつ即座に採ることができる。また、ドライバーは、特段の操作をすることなく、単に警報音が鳴った際に表示装置16を見るだけで、警報の対象物が、回避対象であるかなどを、容易に確認することができる。例えば、ウインカーを出している方向で、サイドカメラの映像に人が写っている場合、アラーム音にて知らせたり、バックポジションを出しているとき、バックカメラの映像に人が写っている場合、アラーム音にて知らせたりするとよい。
【0070】
本実施例では、表示装置16に対して優先して出力する映像であるリアビュー映像の入力端子であるリアビューカメラ接続端子13bはRCA端子とする一方、他の映像の映像入力端子であるフロントビューカメラ接続端子15bと増設カメラ接続端子14bはミニピンジャックとして、異なる形状としている。このようにすれば、どの映像入力端子に、優先して出力する映像のカメラ(リアビューカメラ13)を接続すればよいのかが、容易に分かる。そして、リアビューカメラ接続端子13bとフロントビューカメラ接続端子15bと増設カメラ接続端子14bとは、メインユニット1の背面内に配置し、これらの映像入力端子を設けた面と対向する面であるメインユニット1の正面に、メモリカード2の挿入口であるメモリカードスロット19を設けている。このようにすれば、メモリカード2をメモリカードスロット19へ挿入したり、メモリカードスロット19から取り出したりする際に、映像入力端子に接続されたケーブル類が邪魔にならない。また、メモリカード2をメモリカードスロット19へ挿入したり、メモリカードスロット19から取り出したりする際に、映像入力端子に接続されたケーブル類を、引っ掛けて抜いてしまうといった問題も発生しにくくなる。
【0071】
メモリカード2に記録されたデータは、メモリカード2をメモリカードスロット19から取り出して、パソコンに挿入し、パソコン上のプログラムを用いて再生することができる。パソコン上のプログラムによる処理によって、例えば、図12に示すようなビュアー画面100を表示させる。ビュアー画面100は、図12に示すように、メニューバー101、表示エリア102、表示切替ボタン103、音量つまみ104、速度表示105、ブレーキウインカー表示106、加速度表示107、緯度経度表示108、表示操作ボタン109、加速度センサーグラフ110、日付時刻表示111、地図112、プレイリスト一覧113を備える。
【0072】
表示エリア102は、フロントビューカメラ映像再生エリア102a、増設カメラ映像再生エリア102b、リアビューカメラ映像再生エリア102cを備える。メモリカード2に記録されたフロントビューカメラ・増設カメラ・リアビューカメラの車両周辺映像のデータを再生する際に、再生映像を左右または上下に反転して再生する機能を備える。フロントビューカメラ映像再生エリア102a、増設カメラ映像再生エリア102b、リアビューカメラ映像再生エリア102cを右クリックすると、左右反転、上下反転、左右上下反転、反転なしの順で再生映像を切り替える。
【0073】
また、前述した、表示装置16に対して優先して出力した映像を示す情報に基づき、再生中の複数の車両周辺映像の中から、表示装置16に対して優先して出力した映像を示す所定の表示を行う構成とするとよい。このようにすれば、表示装置16にどの映像が表示されていたのか、後で、パソコン等の再生装置で再生した際に容易に把握することができる。例えば、リアビューカメラからの映像が入力された開始日時と終了日時を記録おき、その日時の映像を再生している間は、リアビューカメラ映像再生エリア102cの外枠部分をハイライト表示するようにする。
【0074】
なお、ビュアー画面100は、パソコン上で表示する画面としたが、例えば、車内に設置するナビゲーション装置等の画面に出力したり、表示装置16に出力したりする構成してもよい。
【0075】
以上、本発明を、実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に記載の例を任意の組み合わせで組み合わせたり、多様な変更または改良を加えたりしてもよい。また、特許請求の範囲、背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段の記載内容を適宜各実施形態に当てはめ、当業者の技術常識を適用して実施の形態とすることができる。
【符号の説明】
【0076】
2 メモリカード
10 制御部
11 リモコン
12 GPSユニット
13 リアビューカメラ
14 増設カメラ
15 フロントビューカメラ
16 表示装置
17 内蔵マイク
18 外部マイク
19 メモリカードスロット
20 加速度センサ
21 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両状態と複数の車両周辺映像を取得し、取得した車両状態と複数の車両周辺映像とを時間的に同期させて再生可能なデータとして記録手段に対して記録する車両用映像記録装置において、
前記複数の車両周辺映像の中から、ドライバーによる車両の操作状態に基づき、表示手段に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御を行う機能を備え、
前記表示手段に対して出力する映像を生成する映像生成手段を備え、
前記映像生成手段が生成する映像は、前記表示手段に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御に関する設定項目を示す映像、前記記録手段に記録された車両状態を示す映像、取得した前記車両周辺映像のうちの少なくともいずれか1つの映像、前記記録手段に記録された少なくともいずれか1の映像を再生した映像、のうち少なくともいずれか1つを含み、
前記表示手段に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御は、当該映像に所定の映像を重ね合わせた映像に切り替える制御、当該映像を他の映像よりも大きなサイズの映像で表示する制御、当該映像を他の映像よりも表示手段の中心部に表示させる制御の少なくともいずれか1つであること
を特徴とする車両用映像記録装置。
【請求項2】
前記ドライバーによる車両の操作状態に基づき、前記表示手段に対して優先して出力する映像を決定して出力する制御は、優先して出力する映像の映像信号が入力された場合に、当該映像を表示手段に対して出力する構成であり、
前記ドライバーによる車両の操作状態が所定の操作状態になっていない場合に、当該優先して出力する映像の映像信号を出力する装置に対して電源を供給せず、前記ドライバーによる車両の操作状態が所定の操作状態になった場合に、当該優先して出力する映像の映像信号を出力する装置に対して電源を供給する構成としたこと
を特徴とする請求項1に記載の車両用映像記録装置。
【請求項3】
車両の衝突に相当する状態を検出する衝突検出手段を備え、
前記表示手段に対して出力している映像にかかわらず、前記取得した前記車両状態と前記複数の車両周辺映像との前記記録手段に対する記録を、前記衝突検出手段によって衝突が検出された場合に行うこと
を特徴とする請求項1または2に記載の車両用映像記録装置。
【請求項4】
前記表示手段に対して出力している映像にかかわらず、前記取得した前記車両状態と前記複数の車両周辺映像との前記記録手段に対する記録を行うこと
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用映像記録装置。
【請求項5】
車両の衝突に相当する状態を検出する衝突検出手段を備え、
前記衝突検出手段によって衝突が検出された場合に、前記複数の車両周辺映像の中から、ドライバーによる車両の操作状態に基づき、表示手段に対して優先して出力すると決定された映像を、前記記録手段に対して記録すること
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用映像記録装置。
【請求項6】
取得した音声情報を、前記車両周辺映像と併せて記録する機能を備えたこと
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用映像記録装置。
【請求項7】
前記音声情報は、車両の室内で取得した音声情報と、車両の外部から取得した音声情報であること
を特徴とする請求項6に記載の車両用映像記録装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の車両用映像記録装置によって前記記録手段に記録されたデータを再生する再生装置であって、
前記表示手段に対して優先して出力した映像を示す情報に基づき、再生中の複数の車両周辺映像の中から、前記表示手段に対して優先して出力した映像を示す所定の表示を行うこと
を特徴とする再生装置。
【請求項9】
請求項8に記載の再生装置としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−102494(P2013−102494A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−220(P2013−220)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2009−272456(P2009−272456)の分割
【原出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】