説明

車両用灯具

【課題】フィルタの大きさを最小限に抑えつつ、迷路構造によって虫の灯室内への侵入を確実に防ぐことができる車両用灯具を提供すること。
【解決手段】ハウジング2とその開口部を覆うアウタレンズ3によって画成される灯室4内にバルブ(光源)5,6とリフレクタ7を収容して成るトランクリッドランプ(車両用灯具)1において、前記ハウジング2と前記リフレクタ7との間に形成される開口部9を迷路構造とする。又、前記迷路構造を前記ハウジング7に形成されたリブ2aと前記リフレクタ7に形成されたリブ7a,7bによって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯室内への虫の侵入を防ぐようにした車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に車両用灯具は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に光源やリフレクタ等を収容して構成される。図6に車両の後部に開閉可能に設けられるトランクリッドに取り付けられるトランクリッドランプ101の背面を示すが、斯かるトランクリッドランプ101においてはハウジング102と不図示のリフレクタに開口する孔の全てを覆うように大きなフィルタ111(図6において斜線にて示す)を貼り付け、光に集まる習性を有する虫が孔から灯室内に侵入しないようにしていた。
【0003】
又、特許文献1には、特定域の波長の光線に虫が誘引されることを防ぐため、特定の光線をカットするフィルムをヘッドランプに貼り合わせる構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−182852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6に示すように、トランクリッドランプ101のハウジング102と不図示のリフレクタに開口する孔の全てを覆うように大きなフィルタ111を貼り付ける構成を採用すると、フィルタ111の貼付作業が大変であり、作業工数が増加してコストアップを招くという問題があった。
【0006】
又、特許文献1において提案された構成においても、全ての虫の侵入を確実に防ぐことは困難である。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、フィルタの大きさを最小限に抑えつつ、迷路構造によって虫の灯室内への侵入を確実に防ぐことができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に光源とリフレクタを収容して成る車両用灯具において、前記ハウジングと前記リフレクタとの間に形成される開口部を迷路構造としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記迷路構造を前記ハウジングと前記リフレクタにそれぞれ形成されたリブによって構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ハウジングとリフレクタとの間に形成される開口部を迷路構造としたため、開口部から灯室内への虫の侵入を迷路構造によって確実に防ぐことができる。そして、迷路構造を採用しない開口部のみに小さなフィルタを貼り付ければ良いため、フィルタの貼付作業が容易化し、作業工数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、ハウジングとリフレクタにそれぞれ形成されたリブによって開口部の迷路構造を簡単に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る車両用灯具が設けられた車両のトランクリッドの部分斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図3】本発明に係る車両用灯具の背面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図4のB部拡大詳細図である。
【図6】従来の車両用灯具の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係る車両用灯具が設けられた車両のトランクリッドの部分斜視図、図2は本発明に係る車両用灯具の正面図、図3は同背面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図4のB部拡大詳細図である。
【0015】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、図1に示すように、車両(乗用車)の後部に設けられた不図示のトランクルームを開閉するためのトランクリッド20の後面の左右に取り付けられるトランクリッドランプ(図1には一方のみ図示)である。このトランクリッドランプ1は、図4に示すように、ハウジング2とその開口部を覆うアウタレンズ3によって画成される灯室4内に、光源であるランプ5,6とリフレクタ7及びインナレンズ8を収容して構成されている。尚、図1〜図4に示すトランクリッドランプ1は、車両の右側部に配されるものであって、左右のトランクリッドランプ1は左右対称に構成され、その基本構成は左右で同じであるため、以下、右側のトランクリッドランプ1についてのみ説明する。
【0016】
前記ハウジング2は光透過性樹脂によってボックス状に一体成形され、前記アウタレンズ3は光透過性樹脂によって一体成形されており、アウタレンズ3の周縁がハウジング2の開口部周縁に接着されることによって該アウタレンズ3がハウジング2に接合一体化されている。
【0017】
又、前記リフレクタ7は光不透過性の樹脂によって一体に成形されており、その内面は反射面を構成しており、この反射面には銀塗装やアルミ蒸着等の反射処理が施されている。そして、このリフレクタ7の車両後方(図4の左方)に向かって開口する開口部には前記インナレンズ8が嵌め込まれて固定されている。
【0018】
ところで、本実施の形態に係るトランクリッドランプ1においては、図4に示すように、ハウジング2とリフレクタ7の間には開口部9が形成され、その下方のリフレクタ7の背面には小さな開口部(孔)10が形成されており、上側の開口部9は迷路構造(ラビリンス構造)とされている。この迷路構造は、図5に詳細に示すように、ハウジング2の内面にリブ2aを突設し、リフレクタ7の外面の上下にリブ7a,7bを突設し、ハウジング2の内面に突設されたリブ2aとリフレクタ7の外面に突設された上側のリブ7aとを僅かな隙間(0.5mm以下)を介して重ね合わせ、リフレクタ7の外面に突設された下側のリブ7bにハウジング2の端縁を僅かな隙間(0.5mm以下)を介して突き合わせることによって形成されている。
【0019】
又、リフレクタ7に形成された下側の開口部(孔)10は、図3及び図4に示すように、リフレクタ7の外面に貼り付けられた小さなフィルタ11によって覆われており、この開口部(孔)10から灯室4内への虫の侵入はフィルタ11によって阻止される。
【0020】
以上のように構成されたトランクリッドランプ1においては、ハウジング2とリフレクタ7との間に形成される開口部9を迷路構造としたため、開口部9から灯室4内への虫の侵入を迷路構造によって確実に防ぐことができる。そして、迷路構造は、ハウジング2に突設されたリブ2aとリフレクタ7に突設されたリブ7a,7bによって簡単に構成することができる
又、本実施の形態では、迷路構造を採用しないリフレクタ7の小さな開口部(孔)10のみに小さなフィルタ11を貼り付けるようにしたため、このフィルタ11の貼付作業が容易化し、作業工数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0021】
尚、以上は本発明をトランクリッドランプに対して適用した形態について説明したが、本発明は、同様の構成を有する他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0022】
1 トランクリッドランプ(車両用灯具)
2 ハウジング
2a ハウジングのリブ
3 アウタレンズ
4 灯室
5,6 ランプ(光源)
7 リフレクタ
7a,7b リフレクタのリブ
8 インナレンズ
9,10 開口部
11 フィルタ
20 トランクリッド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に光源とリフレクタを収容して成る車両用灯具において、
前記ハウジングと前記リフレクタとの間に形成される開口部を迷路構造としたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記迷路構造を前記ハウジングと前記リフレクタにそれぞれ形成されたリブによって構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−171566(P2012−171566A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37855(P2011−37855)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】