説明

車両用空調システム

【課題】冷凍サイクルの消費電力を抑制できる車両空調システムの提供。
【解決手段】空調用冷却媒体を圧縮する圧縮機と、空調用冷却媒体と室外空気との熱交換を行う室外熱交換器と、車室内へ吹き出す空気との熱交換を行う室内空調熱交換器とを順次環状に接続してなる冷凍サイクル回路と、発熱体と、車室内へ吹き出す空気との熱交換を行う室内冷却熱交換器と、発熱体を冷却する機器冷却媒体と冷凍サイクル回路中の空調用冷却媒体との熱交換を行う中間熱交換器と、機器冷却媒体を循環させるポンプとを環状に接続してなる機器冷却回路とを備えた車両用空調システムであって、中間熱交換器は、空調用冷却媒体の配管の一端が、室外熱交換器と室内空調熱交換器を接続する液配管に、他端が前記圧縮機の吸込口に接続するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるインバータ回路等の発熱体から発生する熱を空調に利用するシステムが知られている。例えば特許文献1には、冷却媒体を循環させる循環ポンプにより循環される冷却媒体により車載発熱体を冷却する冷却回路と、冷却回路内の冷却媒体から吸熱する蒸発器を有する冷凍サイクル装置において、前記冷却回路に前記冷却媒体と車室内に吹き出す空気との間で熱交換する車室内空調用熱交換器を有する車両用冷却システムの運転方法に関する技術が開示されている。特許文献1では、冷凍サイクルを用いて機器の冷却と冷房を同時に実現することが可能となっている。
【0003】
また、特許文献2には、暖房時にヒートポンプ式冷房装置において生じた熱とヒータによって発熱させた熱とを併用して空調風を加熱する技術が開示されており、エンジンなどの大きな熱源を持たない車両において、外気温が極低温状態であっても十分な暖房性能を発揮することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4285292号公報
【特許文献2】特開2008−230594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷凍サイクルを用いて発熱体の冷却と冷房を同時に行う場合に、従来技術では、同一の冷却媒体を、発熱体と空調用熱交換器へ供給して利用する構成のため、冷却媒体の温度を、空調負荷と発熱体の両方に対して必ずしも適切な温度に制御することができないという課題を有していた。このため、例えば冷房を行うために冷却媒体を10℃程度まで冷却する必要がある場合には、発熱体へ流れる冷却媒体の温度も10℃程度まで冷却されることになる。発熱体の温度が外気温度よりも低くなると、外気から発熱体へ熱が流入することになり、この熱侵入分だけ余計に冷凍サイクルで冷却する必要が生じる。このため冷凍サイクルにおける消費電力量が増大するという不具合があった。
【0006】
また、条件によっては発熱体の機器内部で結露を生じる恐れがあるため、結露対策を施す必要が生じるという課題も有していた。
【0007】
また、暖房を行う場合に、特許文献2では、空調用熱交換器へ流れる冷却媒体をヒータと冷凍サイクルの水冷コンデンサとを併用して加熱する構成となっている。このため水冷コンデンサにおける凝縮温度は、冷却媒体の温度の影響を受ける。ヒータを使用する場合には、冷却媒体の温度が上昇するため、水冷コンデンサにおける凝縮温度も上昇することになる。凝縮温度が上昇すると、同じ暖房能力を確保するための消費電力が増大するので、ヒータを利用すると、ヒータの消費電力に加えて、冷凍サイクルの消費電力も増加するという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決し、消費電力の少ない車両用空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、空調用冷却媒体を圧縮する圧縮機と、空調用冷却媒体と室外空気との熱交換を行う室外熱交換器と、車室内へ吹き出す空気との熱交換を行う室内空調熱交換器とを順次環状に接続してなる冷凍サイクル回路と、発熱体と、車室内へ吹き出す空気との熱交換を行う室内冷却熱交換器と、発熱体を冷却する機器冷却媒体と冷凍サイクル回路中の空調用冷却媒体との熱交換を行う中間熱交換器と、機器冷却媒体を循環させるポンプとを環状に接続してなる機器冷却回路とを備えた車両用空調システムであって、中間熱交換器は、空調用冷却媒体の配管の一端が、室外熱交換器と室内空調熱交換器を接続する液配管に、他端が前記圧縮機の吸込口に接続するようにした。
【0010】
また、室内空調熱交換器と、中間熱交換器はそれぞれ、液配管と接続する空調用冷却媒体の配管経路に、各熱交換器へ流れる空調用冷却媒体の流量を可変とする空調用流量制御手段と、冷却用流量制御手段を有している。
【0011】
また、室外熱交換器と液配管を接続する空調用冷却媒体の配管経路に、空調用冷却媒体の流量を可変とする室外流量制御手段を有している。
【0012】
また、室外熱交換器と、室内空調熱交換器と、中間熱交換器は、第一流路切換手段と第二流路切換手段とを介して、圧縮機の吐出口または圧縮機の吸込口に、任意に切換可能に接続されている。
【0013】
また、車室内へ吹き出す空気が室内空調熱交換器を通過した後に室内冷却熱交換器を通過する場合と、車室内へ吹き出す空気が室内冷却熱交換器を通過した後に室内空調熱交換器を通過する場合に切り換えられるようにした。
【0014】
また、室内冷却熱交換器を通過する空気が車室内へ吹き出す場合と車外へ吹き出す場合に切り換えられるようにした。
【0015】
また、機器冷却回路は、室内冷却熱交換器を機器冷却媒体が流れる主回路と、室内冷却熱交換器をバイパスして流れるバイパス回路とを備え、主回路とバイパス回路に流れる機器冷却媒体の流量制御手段を備えた。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、冷凍サイクルの消費電力を抑制可能な、車両空調システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の車両用空調システムの概略構成を示す図。
【図2】本発明の空調装置の構成を示す図。
【図3】機器冷却運転を説明する図。
【図4】冷房運転を説明する図。
【図5】冷房,機器冷却運転を説明する図。
【図6】暖房運転を説明する図。
【図7】暖房,機器冷却運転を説明する図。
【図8】除湿運転を説明する図。
【図9】暖房,除湿運転を説明する図。
【図10】加熱運転を説明する図。
【図11】除霜運転を説明する図。
【図12】室内空調熱交換器から室内冷却熱交換器への空気の流れを説明する図。
【図13】室内冷却熱交換器から室内空調熱交換器への空気の流れを説明する図。
【図14】室内ユニットの構成を説明する図。(第1状態)
【図15】室内ユニットの構成を説明する図。(第2状態)
【図16】室内ユニットの構成を説明する図。(第3状態)
【図17】外気温度と車室および各機器の空調との関係を示す図。
【図18】複数の発熱体を直列に配置した場合を説明する図。
【図19】複数の発熱体を直列に配置した場合を説明する図。
【図20】制御処理プログラムを示すフローチャート。
【図21】種々の車両状態と温調対象(車室内,各温調対象機器)の設定温度変更例を示す図。
【図22】電気自動車の制御装置の概略を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の車両用空調システムを電気自動車に適用した一実施の形態を説明する。なお、本発明は電気自動車に限定されず、ハイブリッド自動車、あるいは電気鉄道や建設車両などの電動車両に対しても適用することができる。また、この一実施の形態ではインバータにより駆動される交流モータを例に挙げて説明するが、本発明は交流モータに限定されず、例えばサイリスタレオナード装置などのコンバータにより駆動される直流モータ、あるいはチョッパ電源により駆動されるパルスモータなど、あらゆる種類の回転電機(モータ・ジェネレータ)に適用することができる。
【0019】
図1は、本発明の車両用空調システムの概略構成を示す図である。図1に示す車両用空調システムは、車室や温調が必要な機器の冷暖房、冷却/加熱を行うための空調装置60と、その空調装置60を制御する空調制御装置61を備えている。空調装置60に設けられた各種アクチュエータは、空調制御装置61からの制御信号により制御される。本実施の形態に関係するアクチュエータには、圧縮機1,流量制御手段としての膨張弁22A,22B,23,第一流路切換手段としての四方弁19,第二流路切換手段としての三方弁20,二方弁21,24,25,循環ポンプ5,室外ファン3および室内ファン8がある。
【0020】
空調制御装置61には、温度センサにより車室内温度62,温調が必要な機器の温度63が入力される。本実施の形態では、温調が必要な機器としてモータ,インバータ,バッテリおよびギヤボックス等の機器があり、それぞれに温度センサが設けられている。また、空調制御装置61には、車両運転情報64である車両速度およびアクセル開度が車速センサおよびアクセルセンサから入力されると共に、車両の走行計画情報65である道路情報や目的地情報などがナビゲーション装置から入力される。
【0021】
図2は、空調装置60の概略構成を示す図である。空調装置60は、室内空調および発熱体9の冷却を行う空調用冷却媒体(例えば冷媒)が循環する冷凍サイクル回路90と、発熱体9の冷却を行う機器冷却媒体(例えば冷却水)が循環する機器冷却回路41とを備えている。
【0022】
冷凍サイクル回路90には、冷媒を圧縮する圧縮機1、空調用冷却媒体と外気との熱交換を行う室外熱交換器2、分岐した冷凍サイクル回路90Aにあり空調用冷却媒体と機器冷却回路41内を流れる機器冷却媒体との熱交換を行う中間熱交換器4、冷凍サイクル回路90Bにあり空調用冷却媒体と車室内空気との熱交換を行う室内空調熱交換器7が、空調用冷却媒体を循環させる液配管により接続されている。
【0023】
圧縮機1の吸込配管11と吐出配管10との間には、四方弁19が設けられている。四方弁19を切り換えることにより、吸込配管11および吐出配管10のいずれか一方を室外熱交換器2に接続し、他方を中間熱交換器4,室内空調熱交換器7に接続することができる。図2に示す四方弁19は、吐出配管10を室外熱交換器2に接続し、吸込配管11を中間熱交換器4に接続している。
【0024】
室内空調熱交換器7は、一端が室外熱交換器2に接続されており、他端が三方弁20を介して圧縮機1の吐出配管10または吸込配管11のいずれか一方に切り換え可能に接続されている。空調用冷却媒体の流量制御手段として作用する膨張弁23,22A,22Bは、それぞれ室外熱交換器2の圧縮機1に接続されていない側、冷凍サイクル回路90Aにあり中間熱交換器4と室外熱交換器2との間、冷凍サイクル回路90Bにあり室内空調熱交換器7と室外熱交換器2との間に設けられている。また、室外熱交換器2には外気送風用の室外ファン3が備えられている。
【0025】
機器冷却回路41は、機器冷却媒体と車室内空気との熱交換を行う室内冷却熱交換器6と、中間熱交換器4と、機器冷却媒体を機器冷却回路41内に循環させる循環ポンプ5と、温調が必要な機器である発熱体9が順に環状に接続されている。
【0026】
機器冷却回路41には、室内冷却熱交換器6の両端をバイパスするバイパス回路41Cが設けられている。バイパス回路41Cには二方弁24が設けられ、室内冷却熱交換器6を通る主回路41Dには二方弁25が設けられている。これらの二方弁24,25の開閉動作により、機器冷却媒体の流路を切り換えることが可能となる。また、機器冷却回路41には、複数の発熱体9A,9Bを温調するために図2に示すように並列に接続している。発熱体9Bを備える機器冷却回路41Bには二方弁21を設置し、発熱体9Aを備える機器冷却回路41Aには二方弁を設置しない。これにより二方弁21を開いたときには発熱体9A,9Bの両方を温調できるが、二方弁21を閉じたときには発熱体9Aのみ温調できる。なお、発熱体9Aを備える機器冷却回路41Aに二方弁を備えてもよく、複数の発熱体9A,9Bを直列に接続しても良い。発熱体の温度条件により発熱体9の接続方法、二方弁の設置方法は変更できるものとする。
【0027】
室内空調のため、温調された空気を吹き出す室内ユニット42は、室内(車内)または室外(車外)の空気を吸い込み、室内または室外に吹き出す室内ファン8A,8Bと、室内冷却熱交換器6と、室内空調熱交換器7と、室内冷却熱交換器6で熱交換された空気を室内または室外に吹き出すように切り換える切り換えダンパ44と、室内または室外の空気の吸い込みや、室内または室外への空気の吹き出し口である空気出入り口43A,43B,43C,43Dとを備える。
【0028】
次に、図2に示した空調装置60の運転動作について説明する。本実施形態では、循環ポンプ5による機器冷却媒体の循環により発熱体9の温度調整を行う。その他の機器の動作は、空調負荷や発熱体9からの発熱量に応じて変化する。以下では、機器冷却,冷房,冷房+機器冷却,暖房,暖房+機器冷却,除湿,暖房除湿,機器加熱,除霜の運転について説明する。
【0029】
機器冷却運転は、室内空調が無しの状態で発熱体9を冷却する運転であり、図3を用いて説明する。この運転は、機器冷却回路41を循環する機器冷却媒体を室内冷却熱交換器6でのみ冷却する場合と、室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4で機器冷却媒体を冷却する場合がある。
【0030】
機器冷却回路41の二方弁24を閉じ、二方弁25を開けることで、機器冷却媒体が循環ポンプ5の駆動により室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4を循環するようになる。二方弁21を閉じた場合には機器冷却回路41Aにのみ機器冷却媒体が流れ、二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Aと41Bに機器冷却媒体が流れる。発熱体9A,9Bの両方を冷却する場合には、二方弁21を開けることになる。
【0031】
室内ユニット42内にある切り換えダンパ44は、図3に示すように空気出入り口43Aで吸い込んだ空気が室内冷却熱交換器6を通り空気出入り口43Cから吹き出すように設定する。この室内冷却熱交換器6を通過する空気により、機器冷却媒体を冷却することができる。このとき、室内ファン8Bは駆動せず、空気出入り口43Dから空気を吸い込まない。また、室内ファン8Aで吸い込まれる空気の風量により、冷却能力を調整することができる。なお、空気出入り口43Cは図示しないダクトにより室外(車外)に通じており、室内に暖かい空気を吹き出さないようにしている。
【0032】
中間熱交換器4で機器冷却媒体を冷却する場合には、図3に示すように四方弁19,三方弁20を接続し、圧縮機1の吐出配管10は室外熱交換器2に接続され、圧縮機1の吸込配管11は中間熱交換器4および室内空調熱交換器7に接続される。なお、膨張弁22Bは全閉とし、空調用冷却媒体が室内空調熱交換器7に流れないようにする。すなわち、室外熱交換器2を凝縮器、中間熱交換器4を蒸発器としている。
【0033】
圧縮機1で圧縮された空調用冷却媒体は、室外熱交換器2で放熱することによって液化した後、全開の膨張弁23を通り、中間熱交換器4を流れる。中間熱交換器4に流れる空調用冷却媒体は、膨張弁22Aで減圧されて低温・低圧となり、中間熱交換器4において機器冷却回路41の機器冷却媒体から吸熱することによって蒸発し、四方弁19を通って圧縮機1へ戻る。上記のように冷凍サイクル回路90を用いることにより、中間熱交換器4で機器冷却媒体と空調用冷却媒体の熱交換し、機器冷却媒体が冷却される。
【0034】
以上のように、室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4で機器冷却媒体を冷却することができる。機器冷却媒体が所定温度より低い場合には、冷凍サイクル回路90を用いず、室内冷却熱交換器6でのみ機器冷却媒体を冷却し、機器冷却媒体が所定温度より高い場合には、冷凍サイクル回路90を用いて室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4で機器冷却媒体を冷却する。
【0035】
なお、機器冷却媒体の温度を制御するためには、室内ファン8Aの風量と循環ポンプ5の流量と圧縮機1の回転数と膨張弁22Aの開度と室外ファン3の風量を制御すれば良い。機器冷却媒体が目標温度より高い場合には、室内ファン8Aの風量を増加、循環ポンプ5の流量を増加、圧縮機1の回転数増加、膨張弁22Aの開度を開け、室外ファン3の風量を増加すればよい。一方、機器冷却媒体が目標温度より低い場合には、室内ファン8Aの風量を減少、循環ポンプ5の流量を減少、圧縮機1の回転数減少、膨張弁22Aの開度を絞り、室外ファン3の風量を減少すればよい。なお、全てのアクチュエータを制御する必要はなく、少なくとも1つ制御すればよい。
【0036】
冷房運転は、発熱体9の冷却無しに室内を冷房する運転であり、図4を用いて説明する。
【0037】
機器冷却回路41は、二方弁25を閉じ、二方弁24を開けることで、機器冷却媒体が循環ポンプ5の駆動により室内冷却熱交換器6を流れず、機器冷却回路41Cを流れるようになる。このように発熱体9を冷却しない場合であっても、機器冷却回路41の機器冷却媒体を循環させるのは、発熱体9部分にある機器冷却媒体の偏った温度上昇を防ぐためである。二方弁21を閉じた場合には機器冷却回路41Aにのみ機器冷却媒体が流れ、二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Aと41Bに機器冷却媒体が流れる。
【0038】
室内ユニット42内にある切り換えダンパ44は、図4に示すように空気出入り口43Aで吸い込んだ空気が室内冷却熱交換器6,室内空調熱交換器7を通り空気出入り口43Bから吹き出すように設定する。このとき、室内ファン8Bは駆動せず、空気出入り口43Dから空気を吸い込まない。この室内冷却熱交換器6には機器冷却媒体が循環していないので、室内冷却熱交換器6を通過する空気の温度は変化しない。なお、空気出入り口43Bは図示しないダクトにより室内(車内)に通じており、室内の温調を行う。
【0039】
また、冷房運転では、図4に示すように四方弁19,三方弁20を接続し、圧縮機1の吐出配管10は室外熱交換器2に接続され、圧縮機1の吸込配管11は中間熱交換器4および室内空調熱交換器7に接続される。なお、膨張弁22Aは全閉とし、空調用冷却媒体が中間熱交換器4に流れないようにする。すなわち、室外熱交換器2を凝縮器、室内空調熱交換器7を蒸発器としている。
【0040】
圧縮機1で圧縮された空調用冷却媒体は、室外熱交換器2で放熱することによって液化した後、全開の膨張弁23を通り、室内空調熱交換器7を流れる。室内空調熱交換器7に流れる空調用冷却媒体は、膨張弁22Bで減圧されて低温・低圧となり、室内空調熱交換器7において空気出入り口43Aで吸い込んだ空気から吸熱することによって蒸発し、三方弁20を通って圧縮機1へ戻る。このように室内空調熱交換器7で熱交換して冷却された空気が空気出入り口43Bから車室内へ吹き出される。
【0041】
なお、空気出入り口43Bから吹き出す空気温度を調整するためには、室内ファン8Aの風量と圧縮機1の回転数と膨張弁22Bの開度、室外ファン3の風量を制御すれば良い。吹き出す空気が目標温度より高い場合には、室内ファン8Aの風量を増加、圧縮機1の回転数増加、膨張弁22Bの開度を開け、室外ファン3の風量を増加すればよい。一方、吹き出す空気が目標温度より低い場合には、室内ファン8Aの風量を減少、圧縮機1の回転数減少、膨張弁22Bの開度を絞り、室外ファン3の風量を減少すればよい。なお、全てのアクチュエータを制御する必要はなく、少なくとも1つ制御すればよい。
【0042】
冷房,機器冷却運転は、発熱体9を冷却し、室内を冷房する運転であり、図5を用いて説明する。この運転は、機器冷却回路41を循環する機器冷却媒体を室内冷却熱交換器6でのみ冷却する場合と、室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4で機器冷却媒体を冷却する場合がある。
【0043】
機器冷却回路41は、二方弁24を閉じ、二方弁25を開けることで、機器冷却媒体が循環ポンプ5の駆動により室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4を循環するようになる。二方弁21を閉じた場合には機器冷却回路41Aにのみ機器冷却媒体が流れ、二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Aと41Bに機器冷却媒体が流れる。発熱体9A,9Bの両方を冷却する場合には、二方弁21を開けることになる。
【0044】
室内ユニット42内にある切り換えダンパ44は、図5に示すように空気出入り口43Aで吸い込んだ空気が室内冷却熱交換器6を通り空気出入り口43Cから吹き出すようにする。空気出入り口43Cは図示しないダクトにより室外(車外)に通じており、室内に空気を吹き出さないようにしている。また、室内ファン8Bにより空気出入り口43Dで吸い込んだ空気が室内空調熱交換器7を通り空気出入り口43Bから吹き出すようにしている。この室内冷却熱交換器6を通過する空気により、機器冷却媒体を冷却することができる。空気出入り口43Dから吸い込み、室内空調熱交換器7を通過する空気は、室内空調熱交換器7により冷却され、室内(車内)に冷却された空気が吹き出される。
【0045】
また、冷房,機器冷却運転では、図5に示すように四方弁19,三方弁20を接続し、圧縮機1の吐出配管10は室外熱交換器2に接続され、圧縮機1の吸込配管11は中間熱交換器4および室内空調熱交換器7に接続される。すなわち、室外熱交換器2を凝縮器、中間熱交換器4と室内空調熱交換器7を蒸発器としている。
【0046】
圧縮機1で圧縮された空調用冷却媒体は、室外熱交換器2で放熱することによって液化した後、全開の膨張弁23を通り、中間熱交換器4および室内空調熱交換器7を流れる。中間熱交換器4に流れる空調用冷却媒体は、膨張弁22Aで減圧されて低温・低圧となり、中間熱交換器4において機器冷却回路41の機器冷却媒体から吸熱することによって蒸発し、四方弁19を通って圧縮機1へ戻る。このように、中間熱交換器4で機器冷却媒体と空調用冷却媒体の熱交換し、機器冷却媒体が冷却される。室内空調熱交換器7に流れる空調用冷却媒体は、膨張弁22Bで減圧されて低温・低圧となり、室内空調熱交換器7において空気出入り口43Dで吸い込んだ空気から吸熱することによって蒸発し、三方弁20を通って圧縮機1へ戻る。このように室内空調熱交換器7で熱交換して冷却された空気が空気出入り口43Bから室内へ吹き出される。
【0047】
以上のように、中間熱交換器4および室内空調熱交換器7の両方を蒸発器として利用できるので、車室内の冷房と発熱体9の冷却とを同時に実現することができる。さらに、中間熱交換器4と室内空調熱交換器7とを圧縮機1の吸込配管11に対して並列に接続し、それぞれの冷凍サイクル回路90A,90Bに膨張弁22A,22Bを設けているので、中間熱交換器4および室内空調熱交換器7へ流れる空調用冷却媒体の流量を、それぞれ任意に変えることができる。その結果、機器冷却媒体の温度と空調用冷却媒体の温度とを、それぞれ任意の所望の温度に制御することができる。したがって、冷房を行うために空調用冷却媒体の温度を十分下げた場合であっても、中間熱交換器4へ流れる冷媒流量を抑制することで、発熱体9の内部を流れる機器冷却媒体の温度を高く保つことができる。
【0048】
また、機器冷却媒体は上記のように室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4で冷却することができる。機器冷却媒体が所定温度より低い場合には、冷凍サイクル回路90を用いず、室内冷却熱交換器6でのみ機器冷却媒体を冷却し、機器冷却媒体が所定温度より高い場合には、冷凍サイクル回路90を用いて室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4で機器冷却媒体を冷却する。これは、膨張弁22Aの開度を調整することで制御する。膨張弁22Aを全閉とする場合には、中間熱交換器4に空調用冷却媒体が流れなくなるので、機器冷却媒体は室内冷却熱交換器6でのみ冷却するようになる。
【0049】
なお、機器冷却媒体の温度や空気出入り口43Bから吹き出す空気温度を制御するためには、室内ファン8A,8Bの風量と循環ポンプ5の流量と圧縮機1の回転数と膨張弁22A,22Bの開度と室外ファン3の風量を制御すれば良い。機器冷却媒体が目標温度より高い場合や吹き出す空気が目標温度より高い場合には、室内ファン8A,8Bの風量を増加、循環ポンプ5の流量を増加、圧縮機1の回転数増加、膨張弁22A,22Bの開度を開け、室外ファン3の風量を増加すればよい。一方、機器冷却媒体が目標温度より低い場合や吹き出す空気が目標温度より低い場合には、室内ファン8A,8Bの風量を減少、循環ポンプ5の流量を減少、圧縮機1の回転数減少、膨張弁22A,22Bの開度を絞り、室外ファン3の風量を減少すればよい。なお、全てのアクチュエータを制御する必要はなく、少なくとも1つ制御すればよい。
【0050】
暖房運転は、発熱体9の冷却無しに室内を暖房する運転であり、図6を用いて説明する。
【0051】
機器冷却回路41は、二方弁25を開け、二方弁24を閉じることで、機器冷却媒体が循環ポンプ5の駆動により室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4を流れるようになる。二方弁21を閉じた場合には機器冷却回路41Aにのみ機器冷却媒体が流れ、二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Aと41Bに機器冷却媒体が流れる。
【0052】
室内ユニット42内にある切り換えダンパ44は、図6に示すように空気出入り口43Aで吸い込んだ空気が室内冷却熱交換器6,室内空調熱交換器7を通り空気出入り口43Bから吹き出すように設定する。このとき、室内ファン8Bは駆動せず、空気出入り口43Dから空気を吸い込まない。この室内冷却熱交換器6には発熱体9で温められた機器冷却媒体が循環しているので、室内冷却熱交換器6を通過する空気の温度を上昇させる。なお、空気出入り口43Bは室内(車内)に通じており、室内の温調を行う。
【0053】
暖房負荷が小さい場合には、上記のように発熱体9からの排熱を暖房に利用することで、冷凍サイクル回路90は暖房に利用しない。このようにすることでエネルギー消費を抑えた空調を実現することができる。二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Bにも機器冷却媒体が流れ発熱体9Bの排熱を暖房に利用することができるので、さらにエネルギー消費を抑えることができる。発熱体9A,9Bの排熱だけでは暖房負荷に満たない場合には、発熱体9A,9Bの排熱に加えて冷凍サイクル回路90を併用するようにする。この場合、図6に示すように四方弁19,三方弁20を接続し、圧縮機1の吐出配管10は中間熱交換器4および室内空調熱交換器7に接続され、吸込配管11は室外熱交換器2に接続される。なお、膨張弁22Aは全閉、膨張弁22Bは全開とし、空調用冷却媒体が中間熱交換器4に流れず、室内空調熱交換器7にのみ流れるようにする。すなわち、室内空調熱交換器7を凝縮器、室外熱交換器2を蒸発器としている。
【0054】
圧縮機1で圧縮された空調用冷却媒体は、室内空調熱交換器7で放熱することによって凝縮液化する。その後、膨張弁23で減圧された後、室外熱交換器2において室外空気との熱交換によって蒸発・ガス化して圧縮機1へと戻る。
【0055】
以上のように、空気出入り口43Aで吸い込んだ空気は、機器冷却回路41を流れる機器冷却媒体によって室内冷却熱交換器6で加熱される。そして、下流側に配置された室内空調熱交換器7での熱交換により、さらに暖められた空気が空気出入り口43Bから室内へ吹き出される。このように、室内に吹き出される空気は、発熱体9の排熱で暖められた後、冷凍サイクル回路90でさらに暖められる構成となっている。冷凍サイクル回路90を用いた空気の加熱は、発熱体9の排熱で暖められた空気温度で足りない分を補うようにするので、エネルギー消費の少ない空調装置を構成することができる。
【0056】
なお、空気出入り口43Bから吹き出す空気温度を制御するためには、室内ファン8Aの風量と循環ポンプ5の流量と圧縮機1の回転数と膨張弁22Bの開度と室外ファン3の風量を制御すれば良い。吹き出す空気が目標温度より低い場合には、室内ファン8Aの風量を増加、循環ポンプ5の流量を増加、圧縮機1の回転数増加、膨張弁22Bの開度を開け、室外ファン3の風量を増加すればよい。一方、吹き出す空気が目標温度より高い場合には、室内ファン8Aの風量を減少、循環ポンプ5の流量を減少、圧縮機1の回転数減少、膨張弁22Bの開度を絞り、室外ファン3の風量を減少すればよい。なお、全てのアクチュエータを制御する必要はなく、少なくとも1つ制御すればよい。
【0057】
暖房,機器冷却運転は、発熱体9を冷却し、室内を暖房する運転であり、図7を用いて説明する。上記の暖房運転で記したように、室内冷却熱交換器6での放熱により、機器冷却媒体を目標温度以下に保つことができれば発熱体9の温度上昇を抑えることができるが、室内冷却熱交換器6での放熱で足りない場合や後述するように機器冷却媒体の温度を一時的に低くする場合には、冷凍サイクル回路90を用いた機器冷却が必要になる。
【0058】
暖房,機器冷却運転では、図7に示すように四方弁19,三方弁20を接続し、圧縮機1の吐出配管10は室外熱交換器2および室内空調熱交換器7に接続され、吸込配管11は中間熱交換器4に接続される。なお、膨張弁23は全閉、膨張弁22Bは全開とし、空調用冷却媒体が室外熱交換器2に流れないようにする。すなわち、室内空調熱交換器7を凝縮器、中間熱交換器4を蒸発器としている。
【0059】
圧縮機1で圧縮された空調用冷却媒体は、室内空調熱交換器7で放熱することによって凝縮液化する。その後、膨張弁22Aで減圧された後、中間熱交換器4において機器冷却回路41を流れる機器冷却媒体との熱交換によって蒸発・ガス化して圧縮機1へと戻る。中間熱交換器4では、機器冷却媒体と空調用冷却媒体が熱交換し、機器冷却媒体が冷却される。
【0060】
機器冷却回路41は、二方弁25を開け、二方弁24を閉じることで、機器冷却媒体が循環ポンプ5の駆動により室内冷却熱交換器6と中間熱交換器4を流れるようになる。二方弁21を閉じた場合には機器冷却回路41Aにのみ機器冷却媒体が流れ、二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Aと41Bに機器冷却媒体が流れる。
【0061】
室内ユニット42内にある切り換えダンパ44は、図7に示すように空気出入り口43Aで吸い込んだ空気が室内冷却熱交換器6,室内空調熱交換器7を通り空気出入り口43Bから吹き出すように設定する。このとき、室内ファン8Bは駆動せず、空気出入り口43Dから空気を吸い込まない。この室内冷却熱交換器6には発熱体9で温められた機器冷却媒体が循環しているので、室内冷却熱交換器6を通過する空気の温度を上昇させる。そして、下流側に配置された室内空調熱交換器7での熱交換により、さらに暖められた空気が空気出入り口43Bから車室内へ吹き出される。このように、室内に吹き出される空気は、発熱体9の排熱で暖められた後、冷凍サイクル回路90でさらに暖められる構成となっている。なお、空気出入り口43Bは図示しないダクトにより室内(車内)に通じており、室内の温調を行う。
【0062】
また、室内冷却熱交換器6での放熱と中間熱交換器4での熱交換により機器冷却媒体を冷却することが可能となる。なお、機器冷却媒体の温度や空気出入り口43Bから吹き出す空気温度を制御するためには、室内ファン8Aの風量と循環ポンプ5の流量と圧縮機1の回転数と膨張弁22Aの開度を制御すれば良い。機器冷却媒体が目標温度より高い場合や吹き出す空気が目標温度より低い場合には、室内ファン8Aの風量を増加、循環ポンプ5の流量を増加、圧縮機1の回転数増加、膨張弁22Aの開度を開ければよい。一方、機器冷却媒体が目標温度より低い場合や吹き出す空気が目標温度より高い場合には、室内ファン8Aの風量を減少、循環ポンプ5の流量を減少、圧縮機1の回転数減少、膨張弁22Aの開度を絞ればよい。なお、全てのアクチュエータを制御する必要はなく、少なくとも1つ制御すればよい。
【0063】
除湿運転は、室内を除湿する運転であり、図8を用いて説明する。
【0064】
除湿運転では、図8に示すように四方弁19,三方弁20を接続し、圧縮機1の吐出配管10は室外熱交換器2に接続され、圧縮機1の吸込配管11は中間熱交換器4および室内空調熱交換器7に接続される。なお、膨張弁22Aは全閉、膨張弁23は全開とし、空調用冷却媒体が中間熱交換器4に流れないようにする。すなわち、室外熱交換器2を凝縮器、室内空調熱交換器7を蒸発器としている。
【0065】
圧縮機1で圧縮された空調用冷却媒体は、室外熱交換器2で放熱することによって液化した後、全開の膨張弁23を通り、室内空調熱交換器7を流れる。室内空調熱交換器7に流れる空調用冷却媒体は、膨張弁22Bで減圧されて低温・低圧となり、室内空調熱交換器7において空気出入り口43Bで吸い込んだ空気から吸熱することによって蒸発し、三方弁20を通って圧縮機1へ戻る。
【0066】
機器冷却回路41は、二方弁25を開け、二方弁24を閉じることで、機器冷却媒体が循環ポンプ5の駆動により中間熱交換器4と室内冷却熱交換器6を流れるようになる。二方弁21を閉じた場合には機器冷却回路41Aにのみ機器冷却媒体が流れ、二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Aと41Bに機器冷却媒体が流れる。
【0067】
室内ユニット42内にある切り換えダンパ44は、図8に示すように空気出入り口43Bで吸い込んだ空気が室内空調熱交換器7,室内冷却熱交換器6を通り空気出入り口43Aから吹き出すように設定する。このとき、室内ファン8Bは駆動せず、空気出入り口43Dから空気を吸い込まない。空気出入り口43Bで吸い込んだ空気は、室内空調熱交換器7で熱交換して除湿,冷却される。そして、室内冷却熱交換器6には発熱体9で温められた機器冷却媒体が循環しているので、室内冷却熱交換器6を通過する空気の温度を上昇させる。このようにして、いわゆる再熱除湿運転が可能となる。車室内へ供給される空気は相対湿度が低くなるため、室内空間の快適性を向上できる。なお、空気出入り口43Aは図示しないダクトにより室内(車内)に通じており、室内の温調を行う。
【0068】
なお、再熱器として利用される室内冷却熱交換器6の熱源は、発熱体9で発生する排熱である。そのため、再熱用にヒータ等を用いる場合とは異なり、新たにエネルギーを投入する必要がないので、消費電力を増大させることなく車室内の快適性を向上させることが可能になる。
【0069】
なお、除湿量を制御するためには、室内ファン8Aの風量と循環ポンプ5の流量と圧縮機1の回転数と膨張弁22Bの開度と室外ファン3の風量を制御すれば良い。除湿量を増やすためには、室内ファン8Aの風量を増加、循環ポンプ5の流量を増加、圧縮機1の回転数増加、膨張弁22Bの開度を開け、室外ファン3の風量を増加すればよい。一方、除湿量を減らすためには、室内ファン8Aの風量を減少、循環ポンプ5の流量を減少、圧縮機1の回転数減少、膨張弁22Bの開度を絞り、室外ファン3の風量を減少すればよい。なお、全てのアクチュエータを制御する必要はなく、少なくとも1つ制御すればよい。
【0070】
暖房,除湿運転は、室内を暖房,除湿する運転であり、図9を用いて説明する。
【0071】
暖房,除湿運転では、図9に示すように四方弁19,三方弁20を接続し、圧縮機1の吐出配管10は中間熱交換器4に接続され、圧縮機1の吸込配管11は室外熱交換器2および室内空調熱交換器7に接続される。なお、膨張弁22Aは全開、膨張弁23は全閉とし、空調用冷却媒体が室外熱交換器2に流れないようにする。すなわち、中間熱交換器4を凝縮器、室内空調熱交換器7を蒸発器としている。
【0072】
圧縮機1で圧縮された空調用冷却媒体は、中間熱交換器4で放熱することによって液化した後、全開の膨張弁22Aを通り、室内空調熱交換器7を流れる。室内空調熱交換器7に流れる空調用冷却媒体は、膨張弁22Bで減圧されて低温・低圧となり、室内空調熱交換器7において空気出入り口43Bで吸い込んだ空気から吸熱することによって蒸発し、三方弁20を通って圧縮機1へ戻る。中間熱交換器4では、機器冷却媒体と空調用冷却媒体が熱交換し、機器冷却媒体が加熱される。
【0073】
機器冷却回路41は、二方弁25を開け、二方弁24を閉じることで、機器冷却媒体が循環ポンプ5の駆動により中間熱交換器4と室内冷却熱交換器6を流れるようになる。二方弁21を閉じた場合には機器冷却回路41Aにのみ機器冷却媒体が流れ、二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Aと41Bに機器冷却媒体が流れる。発熱体9の排熱を多く利用する場合には、二方弁21を開いた方がよい。
【0074】
室内ユニット42内にある切り換えダンパ44は、図9に示すように空気出入り口43Bで吸い込んだ空気が室内空調熱交換器7,室内冷却熱交換器6を通り空気出入り口43Aから吹き出すように設定する。このとき、室内ファン8Bは駆動せず、空気出入り口43Dから空気を吸い込まない。空気出入り口43Bで吸い込んだ空気は、室内空調熱交換器7で熱交換して除湿,冷却される。そして、室内冷却熱交換器6には中間熱交換器4と発熱体9で温められた機器冷却媒体が循環しているので、室内冷却熱交換器6を通過する空気の温度を上昇させる。このようにして、暖房,除湿運転が可能となる。なお、空気出入り口43Aは図示しないダクトにより室内(車内)に通じており、室内の温調を行う。
【0075】
なお、空気出入り口43Aから吹き出す空気温度を制御するためには、室内ファン8Aの風量と循環ポンプ5の流量と圧縮機1の回転数と膨張弁22Bの開度を制御すれば良い。吹き出す空気が目標温度より低い場合には、室内ファン8Aの風量を増加、循環ポンプ5の流量を増加、圧縮機1の回転数増加、膨張弁22Bの開度を開ければよい。一方、吹き出す空気が目標温度より高い場合には、室内ファン8Aの風量を減少、循環ポンプ5の流量を減少、圧縮機1の回転数減少、膨張弁22Bの開度を絞ればよい。なお、全てのアクチュエータを制御する必要はなく、少なくとも1つ制御すればよい。
【0076】
外気温度の低い冬季の始動時などでは、発熱体9をあらかじめ暖めておく方がよい場合がある。機器加熱運転は、室内空調をせず、発熱体9を暖める運転であり、図10を用いて説明する。
【0077】
機器加熱運転では、図10に示すように四方弁19,三方弁20を接続し、圧縮機1の吐出配管10は中間熱交換器4および室内空調熱交換器7に接続され、圧縮機1の吸込配管11は室外熱交換器2に接続される。なお、膨張弁22Aは全開、膨張弁22Bは全閉とし、空調用冷却媒体が室内空調熱交換器7に流れないようにする。すなわち、中間熱交換器4を凝縮器、室外熱交換器2を蒸発器としている。
【0078】
圧縮機1で圧縮された空調用冷却媒体は、中間熱交換器4で放熱することによって液化した後、全開の膨張弁22Aを通り、室外熱交換器2を流れる。室外熱交換器2に流れる空調用冷却媒体は、膨張弁23で減圧されて低温・低圧となり、室外熱交換器2において室外空気から吸熱することによって蒸発し、圧縮機1へ戻る。中間熱交換器4では、機器冷却媒体と空調用冷却媒体が熱交換し、機器冷却媒体が加熱される。
【0079】
機器冷却回路41は、二方弁25を閉じ、二方弁24を開けることで、機器冷却媒体が循環ポンプ5の駆動により室内冷却熱交換器6を流れないようになる。二方弁21を閉じた場合には機器冷却回路41Aにのみ機器冷却媒体が流れ、二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Aと41Bに機器冷却媒体が流れる。加熱する発熱体9に機器冷却媒体が流れるように、二方弁21を開くこととする。冷凍サイクル回路90により機器冷却媒体が加熱されるので、この機器冷却媒体を循環することで、発熱体9を加熱することができる。
【0080】
室内ユニット42は、空気の吸い込み、吐き出しを行わず、室内ファン8A,8Bを駆動しない。また、室内冷却熱交換器6と室内空調熱交換器7ではそれぞれ機器冷却媒体と空調用冷却媒体を流さないので熱交換しない。
【0081】
なお、加熱量を制御するためには、循環ポンプ5の流量と圧縮機1の回転数と膨張弁23の開度と室外ファン3の風量を制御すれば良い。加熱量を増やすためには、循環ポンプ5の流量を増加、圧縮機1の回転数増加、膨張弁23の開度を開け、室外ファン3の風量を増加すればよい。一方、加熱量を減らすためには、循環ポンプ5の流量を減少、圧縮機1の回転数減少、膨張弁23の開度を絞り、室外ファン3の風量を減少すればよい。なお、全てのアクチュエータを制御する必要はなく、少なくとも1つ制御すればよい。
【0082】
図6に示す暖房運転、図10に示す機器加熱運転において、室外熱交換器2への着霜が避けられない。除霜運転は、暖房運転,機器加熱運転から一時的に切り換えて、室外熱交換器2の除霜を行う運転であり、図11を用いて説明する。
【0083】
除霜運転では、図11に示すように四方弁19,三方弁20を接続し、圧縮機1の吐出配管10は室外熱交換器2および室内空調熱交換器7に接続され、圧縮機1の吸込配管11は中間熱交換器4に接続される。なお、膨張弁23,22Bは全開としている。すなわち、室外熱交換器2と室内空調熱交換器7を凝縮器、中間熱交換器4を蒸発器としている。
【0084】
圧縮機1で圧縮された空調用冷却媒体は、室外熱交換器2と室内空調熱交換器7で放熱することによって液化した後、全開の膨張弁22B,23を通り、中間熱交換器4を流れる。これにより、室外熱交換器2に着いた霜を取り除くことができる。中間熱交換器4に流れる空調用冷却媒体は、膨張弁22Aで減圧されて低温・低圧となり、中間熱交換器4において吸熱することによって蒸発し、圧縮機1に戻る。中間熱交換器4では、機器冷却媒体と空調用冷却媒体が熱交換し、機器冷却媒体が冷却される。
【0085】
機器冷却回路41は、二方弁25を閉じ、二方弁24を開けることで、機器冷却媒体が循環ポンプ5の駆動により室内冷却熱交換器6を流れないようになる。二方弁21を閉じた場合には機器冷却回路41Aにのみ機器冷却媒体が流れ、二方弁21を開いた場合には機器冷却回路41Aと41Bに機器冷却媒体が流れる。冷凍サイクル回路90により機器冷却媒体が冷却されるので、この機器冷却媒体を循環することで、発熱体9を冷却することができる。
【0086】
室内ユニット42内にある切り換えダンパ44は、図11に示すように空気出入り口43Aで吸い込んだ空気が室内冷却熱交換器6,室内空調熱交換器7を通り空気出入り口43Bから吹き出すように設定する。このとき、室内ファン8Bは駆動せず、空気出入り口43Dから空気を吸い込まない。この室内冷却熱交換器6には機器冷却媒体が循環していないので、室内冷却熱交換器6を通過する空気の温度は温度変化しない。
【0087】
そして、下流側に配置された室内空調熱交換器7での熱交換により、暖められた空気が空気出入り口43Bから車室内へ吹き出される。このように、除霜運転でも室内に暖かい空気を吹き出すことができる。なお、空気出入り口43Bは図示しないダクトにより室内(車内)に通じており、室内の温調を行う。
【0088】
また、室内に暖かい空気を吹き出さないことも可能である。上記の構成で膨張弁22Bを全閉とし、室内ファン8A,8Bを駆動しなければよい。
【0089】
なお、除霜量を制御するためには、室内ファン8Aの風量と循環ポンプ5の流量と圧縮機1の回転数と膨張弁22Aの開度と室外ファン3の風量を制御すれば良い。除霜量を増やすためには、室内ファン8Aの風量を増加、循環ポンプ5の流量を増加、圧縮機1の回転数増加、膨張弁22Aの開度を開け、室外ファン3の風量を増加すればよい。一方、除霜量を減らすためには、室内ファン8Aの風量を減少、循環ポンプ5の流量を減少、圧縮機1の回転数減少、膨張弁22Aの開度を絞り、室外ファン3の風量を減少すればよい。なお、全てのアクチュエータを制御する必要はなく、少なくとも1つ制御すればよい。
【0090】
上記の運転動作の説明において、室内ユニット42の空気の流れを動作モードによって切り換えるようにしている。その理由について説明する。
【0091】
除湿を行う場合には、図12に示すように室内空調熱交換器7で空気を冷却除湿してから、室内冷却熱交換器6で空気を暖める必要がある。ここで、図12に記す熱交換器の配列で発熱体9の排熱を利用した暖房運転を行う場合を考えることにする。図12に示すように室内空調熱交換器7,室内冷却熱交換器6の順に空気を通すとき、十分に機器冷却媒体が暖まっていない状態では室内空調熱交換器7で暖めた空気の温度を室内冷却熱交換器6で下げてしまうことになる。このように室内冷却熱交換器6を流れる機器冷却媒体の温度が低い場合には、二方弁24を開け、二方弁25を閉じることにより室内冷却熱交換器6に機器冷却媒体が流れないようにする。つまり、排熱を利用した暖房動作を行えない。このことを考慮すると、図13に示すように室内冷却熱交換器6,室内空調熱交換器7の順に空気を通す方が良い。室内冷却熱交換器6において機器冷却媒体により空気温度を上げた後、室内空調熱交換器7でさらに空気温度を上昇させることができるからである。発熱体9により機器冷却媒体の温度が少しでも上昇すれば、排熱を利用した暖房運転が可能となる。これにより、空調システムのエネルギー消費低減が可能となる。
【0092】
なお、図13に示すように空気を通すとき、上述のように除湿動作は行えない。したがって、動作モードにより、空気の流れ方向を切り換えるようにしている。すなわち、除湿運転と暖房除湿運転は図12に示すように空気を流し、それ以外の動作モードでは図13に示すように空気を通すことにした。
【0093】
また、図3,図5に示すように機器冷却する場合、かつ、室内を暖めない場合には、室内冷却熱交換器6において熱交換した暖かい空気が車内に入らないように切り換えダンパ44を設置した。
【0094】
次に図2に示す室内ユニット42の空気出入り口43A,43B,43C,43Dについて説明する。空気を吸い込む場合には、空気出入り口43A,43B,43Cが図示しないダクトにより室内空気(内気)または車外空気(外気)を吸い込めるようにしており、空気を吹き出す場合には、空気出入り口43A,43Bが図示しないダクトにより室内(車内)に吹き出すようにしている。室内に吹き出す空気は、図示しないダクトにより足元やフロントガラス等に切り換え可能である。なお、空気出入り口43Dは、室外(車外)に吹き出すように図示しないダクトが設置されている。
【0095】
次に上記を実現する室内ユニット42の一実施例を図14を用いて説明する。
【0096】
図14に示すように室内ユニット42は、機器冷却媒体が内部を流れ空気と熱交換する第一室内冷却熱交換器としての室内冷却熱交換器6Aと、第二室内冷却熱交換器としての室内冷却熱交換器6Bと、空調用冷却媒体が内部を流れ空気と熱交換する室内空調熱交換器7と、空気を室内ユニット42に吸い込む室内ファン54と、室内ユニット42内の空気の流れを切り換える切り換えダンパ52,53と、室内冷却熱交換器6A,6Bへの機器冷却媒体の流れを制御する流路切換手段としての二方弁25A,25Bとからなる。
【0097】
室内空調熱交換器7の上流側,下流側にはそれぞれ室内冷却熱交換器6A,6Bを設置し、室内空調熱交換器7,室内冷却熱交換器6Aの間に切り換えダンパ52,53を設けた。室内ユニット42は、室内ファン54により空気が空気吸込口55,56から吸い込まれ、空気吐出口57,58から吹き出される。
【0098】
空気吸込口55,56は、図示しないダクトにより室内空気(内気)または車外空気(外気)を吸い込めるようにしている。空気吐出口57は図示しないダクトにより室内(車内)に吹き出すようにしており、空気吐出口58は図示しないダクトにより室外(車外)に吹き出すようにしている。
【0099】
切り換えダンパ52は、空気吸込口56から吸い込む空気量を調整できるようにしており、開度を可変に制御できるようにしている。空気吸込口56から吸い込んだ空気は室内冷却熱交換器6Aを通らず、室内空調熱交換器7と室内冷却熱交換器6Bを通り、空気吐出口57から室内に吹き出すようになる。
【0100】
切り換えダンパ53は、空気吸込口55から吸い込んだ空気が室内冷却熱交換器6Aを通過した後、空気吐出口58から室外に吹き出すか、または空気吐出口57から室内に吹き出すようにしている。
【0101】
また、二方弁25A,25Bの開閉を制御することにより、図12,図13を用いて説明したように室内冷却熱交換器6と室内空調熱交換器7の空気が通過する順番を切り換えることができる。すなわち、二方弁25Aを開け、二方弁25Bを閉じることにより空気吸込口55で吸い込んだ空気は室内冷却熱交換器6を通った後、室内空調熱交換器7を通り空気吐出口57から吹き出される。また、二方弁25Aを閉じ、二方弁25Bを開けることにより空気吸込口55で吸い込んだ空気は室内空調熱交換器7を通った後、室内冷却熱交換器6を通り空気吐出口57から吹き出される。
【0102】
次に室内ユニット42の動作を図14〜図16を用いて説明する。
【0103】
図14に示すように、切り換えダンパ52,53を設定し、二方弁25Aを閉じ、二方弁25Bを開けた状態は、除湿運転と暖房除湿運転をする場合である。すなわち空気吸込口55で吸い込んだ空気は、室内空調熱交換器7で熱交換した後、室内冷却熱交換器6Bで熱交換し、空気吐出口57から吹き出される。
【0104】
図15に示すように、切り換えダンパ52,53を設定し、二方弁25Aを開け、二方弁25Bを閉じた状態は、冷房運転と暖房運転と暖房,機器冷却運転と機器加熱運転と除霜運転をする場合である。すなわち空気吸込口55で吸い込んだ空気は、室内冷却熱交換器6Aで熱交換した後、室内空調熱交換器7で熱交換し、空気吐出口57から吹き出される。
【0105】
なお、暖房運転と暖房,機器冷却運転では、図15において二方弁25Aと二方弁25Bの両方を開けた場合、室内冷却熱交換器6Aと6Bの両方で熱交換できるので、さらに発熱体9の排熱の利用が増えるので、空調システムのエネルギー消費低減になる。
【0106】
図16に示すように、切り換えダンパ52,53を設定し、二方弁25Aを開け、二方弁25Bを閉じた状態は、機器冷却運転と冷房,機器冷却運転をする場合である。すなわち空気吸込口55で吸い込んだ空気は、室内冷却熱交換器6Aで熱交換した後、空気吐出口58から吹き出され、空気吸込口56で吸い込んだ空気は、室内空調熱交換器7で熱交換した後、空気吐出口57から吹き出される。
【0107】
上記のように室内ユニット42の構成の一例を示したが、同様の効果が得られれば他の構成であっても構わない。
【0108】
ところで、機器冷却回路41に設けられた発熱体9は、車両に搭載された機器で車両運転時に温度を所定範囲に調整する必要のある機器である。発熱体9の具体例としては、走行駆動用のモータ73、そのモータ73を駆動するためのインバータ72、駆動用バッテリ76、走行駆動系に設けられた減速機構(ギヤボックス77)などがある。
【0109】
発熱体9を機器冷却回路41に設けて温調を行う場合、各機器の温度特性に応じて温調を行う必要がある。図17は、温調対象の条件を示す図である。温調対象としては車室内と発熱体9があるが、発熱体9についてはモータ73,インバータ72,バッテリ76,ギヤボックス77について示した。
【0110】
車室内の空調は、温度設定や外気温度等に基づいて冷暖房および除湿が適宜行われる。ただし、後述するように、発熱体9の冷却のために冷房を停止したり弱めたりする場合がある。
【0111】
モータ73やインバータ72は、一般に高いトルクを出力している時には、温度が高くなる。そのため、所定温度以上にならないように高いトルクの出力時間が制限される。モータ73,インバータ72の冷却能力を高めることにより、高いトルクの出力時間を延長できるようになる。モータ73およびインバータ72内を循環する機器冷却媒体の温度は、例えば60℃以下となるように制御される。
【0112】
バッテリ76は、その充放電能力を充分に発揮させるためには、すなわち充放電効率の向上を図るためにはバッテリ76温度を所定の温度範囲に保つのが好ましい。そのため、電池温度が低い場合(例えば、外気温が低い場合における起動時)には暖機(機器加熱)を必要とし、電池自体の発熱により電池温度が高くなりすぎる場合には冷却が必要となる。
【0113】
ギヤボックス77内の平行歯車列は、潤滑油に浸かった状態である。ギヤボックス77のケース内の潤滑油の粘度が駆動時の損失に影響し、潤滑油の温度が低い場合には(外気温が低い場合の始動時等)ギヤが潤滑油を撹拌する時の損失である攪拌損失が増大する。逆に、潤滑油温度が高すぎる場合には、ギヤの噛み合い面における油膜形成が充分に行われず、摩擦損失が増大する。そのため、冬季の始動時等においては暖機(機器加熱)が必要となり、潤滑油温度が高い場合には、ギヤボックス77からの放熱を促す必要がある。
【0114】
図18,図19は、発熱体9が複数の場合の配置を説明する図である。機器冷却回路41に複数の発熱体を設ける場合、図18に示すように並列配置する場合と、図19に示すように直列配置する場合がある。
【0115】
発熱体9を並列に配列する場合には、図18に示すように暖機が必要な機器(バッテリ76,ギヤボックス77)と暖機が不要な機器(インバータ72,モータ73)とが別の回路となるように並列配置する。図18の例では、インバータ72およびモータ73が直列配置されたラインと、バッテリ76のみが設けられたラインと、ギヤボックス77のみが設けられたラインとが並列接続されている。各ラインの流入側には二方弁21A,21B,21Cが設けられている。このような配置とすることにより、それぞれのライン毎に最適な温度に調整することができる。
【0116】
なお、全ての発熱体を並列に配置することも可能であるが、部品点数が増えるので好ましいとは言えない。また、バッテリ76とギヤボックス77とを直列配置しても良いが、一般的に駆動用のバッテリ76は座席下方に配置され、ギヤボックス77は駆動軸近傍に配置されるという車両搭載状況を考慮すると、図18の構成のように別のラインに並列配置するのが好ましい。
【0117】
発熱体を直列に配置する場合には、図19に示すように機器冷却媒体の流れに対して、設定温度の低い発熱体ほど上流側に配置する。ここでは、発熱体9として、インバータ72,モータ73,バッテリ76,ギヤボックス77を設ける場合について考える。この場合、設定温度はインバータ72が最も低く、モータ73,バッテリ76,ギヤボックス77の順に高くなる。図19では二方弁21A〜21Hを備えることで、特定の発熱体9に機器冷却媒体を循環しないようにすることができる。例えば二方弁21Aを開け、二方弁21Bを閉じることにより、インバータ72に機器冷却媒体が循環しなくなる。
【0118】
図18,図19に発熱体9の配置例を示したが、必ずしも同じ配置にする必要はなく、同様の効果が得られれば、他の配置であっても構わない。
【0119】
本実施の形態では、空調装置60を上述したような構成とすることで、車室内空調とモータやインバータ等の発熱体9の機器冷却・加熱とを、個別にそれぞれ制御することができる。そして、空調制御装置61は、車室内温度および温調が必要な機器の温度がそれぞれの設定温度となるように、空調装置60を制御する。
【0120】
本発明においては、図1に示すように、空調制御装置61は、車両運転情報64(車速情報,アクセル開度情報など)および走行計画情報65を取り込み、それらの情報と温調が必要な機器の温度63と車室内温度62に基づいて、空調装置60を制御する。例えば、温調が必要な機器や車室内の温度変化を予測し、その予測に基づいて予め空調用冷却媒体および機器冷却媒体の設定温度を変更することで各機器の冷却および暖機を効率良く行い、機器温度が最適となるように制御する。
【0121】
図20は、空調制御装置61における制御処理プログラムを示すフローチャートである。空調制御装置61に設けられたマイクロコンピュータは、ソフトウェア処理により図20に示す処理を順に実行する。なお、マクロコンピュータは、車両のイグニッションキースイッチがオンされると、図20に示すプログラムの処理を開始する。
【0122】
ステップS1では、車室内空調に用いる空調用冷却媒体と、発熱体9の冷却・加熱に用いる機器冷却媒体の初期設定温度を決定する。初期設定温度としては、例えば、外気温が常温で、所定速度での平坦道路走行を仮定した場合の適切温度とする。
【0123】
ステップS2では、空調システム駆動指令が有るか否かを判定する。車両オンオフによって空調システム駆動のオンオフさせるような構成の場合には、車両オンオフスイッチがオンか否かによって空調システム駆動指令の有無を判定する。ステップS2においてNOと判定されると、図20のプログラムを終了する。一方、ステップS2においてYESと判定されると、ステップS3へ進む。
【0124】
ステップS3では、車両運転情報64,走行計画情報65,各発熱体9の検出温度および冷却媒体の検出温度の少なくとも一つに基づいて、温調対象である車室や各発熱体9や空調用冷却媒体,機器冷却媒体の温度変化を予測する。
【0125】
ステップS4では、ステップS3で求めた温度変化予測に基づいて、空調用冷却媒体,機器冷却媒体の設定温度変更が必要か否かを判定する。
【0126】
ステップS4において変更必要と判定されると、ステップS5へ進んで冷却媒体の設定温度を変更し、ステップS6へ進む。一方、予測温度が算出されて、変更が必要ないと判定されると、ステップS5をスキップしてステップS6へ進む。
【0127】
ステップS6では、変更された設定温度に基づいて現在の冷却媒体の温度を変更するように、図1に示した空調装置60の各アクチュエータを制御する。
【0128】
なお、上述した説明では、ステップS4〜ステップS6では冷却媒体の設定温度を変更するようにしたが、発熱体9(車室内,各機器)の設定温度を変更するようにしても良い。
【0129】
次に車両の状態と温調が必要な機器である発熱体9の設定温度の変更について、図21を用いて説明する。車両状態は、車両運転情報64としてのアクセルセンサおよび車速センサからの検出信号や、ナビゲーション装置からの走行計画情報65に基づくものである。図21では、充電時,走行開始前,発進前,加減速および山道走行前と走行中,一般道走行時,高速道走行前と走行中,一時停止前(例えば、信号待待ち,渋滞など),停車前,停車時の9種類の車両状態について記載したが、車両状態はこれらに限るものではない。また、空調対象は、車室内,モータ,インバータ,バッテリ,ギヤボックスとした。
【0130】
車両運転情報64(車速,アクセル開度)より、ドライバの意図(加速したいのか等)を判断することができる。走行計画情報65は、ナビゲーション装置による目的地までの道路情報(渋滞具合,道路の勾配),目的地情報である。これにより予想されるモータの出力や室内空調の出力から発熱体9の発熱量を予測して、車室内の設定温度および温調対象機器の設定温度を変更する。
【0131】
例えば、車両運転情報64から加速意図を予測できた場合には、予めモータ,インバータを冷却するためにモータ,インバータの設定温度を低くする。また、走行計画情報65から山道走行が予測される場合、モータ,インバータの設定温度を初期設定よりも下げる。初期設定は、例えば、平坦道路における一般走行を仮定した設定とする。バッテリの設定温度は変更せず、効率良い充放電が行える所定温度範囲となるように機器冷却媒体の流れを制御して暖気または冷却を行う。ギヤボックスの設定温度についても変更せず、排熱の回収を行う。
【0132】
充電時の場合には、設定温度は変更せず、充電中のバッテリ温度が所定温度範囲となるように暖機・冷却を制御する。車室内,モータ,インバータ,ギヤボックスに関しては、冷暖房や冷却・暖機は行わない。
【0133】
走行開始前は、車両駐車中にAC電源によりバッテリ充電を行う場合を想定したものである。この場合、あらかじめ車室内をAC電源により冷暖房を行い、走行開始時には車室内温度が快適状態となっているようにする。
【0134】
車両状態が発進前においては、直後の走行に備えて、全ての温調対象の設定温度を変更なしの状態とし、バッテリの冷却・暖機およびギヤボックスの暖機を行う。走行開始前,発進前のように、車両走行前にバッテリ,ギヤボックスを暖機しておくことで、走行時の効率向上が図れる。
【0135】
車両状態が一般道走行時においては、すなわち標準的車両状態においては、全ての温調対象の設定温度を変更なしの状態とする。
【0136】
車両状態が高速道走行前および走行中においても、山道走行の場合と同様にモータ出力が大きくなるので、山道走行の場合と同様の設定温度および空調制御とする。
【0137】
信号待ちや渋滞時のような一時停止の状態では、モータおよびインバータの発熱が走行状態に比べて小さくなり、冷却力がより小さくても温度が上がらないので、モータおよびインバータの設定温度を上げて冷却力を弱める。その結果、省エネを図ることができる。バッテリの設定温度に関しては、温度範囲を広くする。
【0138】
目的地到着時のように走行計画情報から停車が予測される状態(停車前)では、モータ,インバータおよびバッテリの設定温度については一時停止前の場合と同様に設定される。ただし、車室内の冷暖房およびギヤボックスの冷却・暖機については、車両駆動が停止されることが予測されるので予め停止して、省エネを図る。
【0139】
さらに、停車時には、車室内の冷暖房および全ての温調対象機器の冷却・暖機が停止される。
【0140】
なお、車室内空調と各機器の冷却・暖機が行われている状態で、各機器の温度がそれらの上限温度に近い場合には、車室内空調よりも各機器の冷却・暖機を優先する。
【0141】
上述した図20のフローチャートの制御においては、ステップS3で温度変化を予測し、その予測結果に基づいて冷却媒体の設定温度(目標温度)を変更するようにしたが、車両運転情報64や走行計画情報65から図21に示す車両状態が予測し、その予測結果から直接に設定温度の変更を決定するようにしても良い。
【0142】
次に本発明の車両用空調システムが搭載される電気自動車の制御装置の構成を図22を用いて説明する。電気自動車の制御装置は、車両全体の制御を行う車両制御装置70と、空調装置60の制御を行う空調制御装置61と、モータ73,インバータ72,ブレーキ74の制駆動を制御する制駆動制御装置71と、バッテリ76の電力管理を行う電池制御装置75とからなる。なお、上記以外にも制御装置は存在するが、本実施例では記載を省略する。
【0143】
空調制御装置61は、上述した図3〜図11に示した空調装置60の動作の切り換え及び図20に示した空調用冷却媒体と機器冷却媒体の温度の制御を行う。空調制御装置61は、空調装置60と一体あるいは空調装置60の一部と一体構造とする場合、車両への搭載性が向上する。
【0144】
また、空調制御装置61は、車両制御装置70,制駆動制御装置71,電池制御装置75のうち少なくとも一つと一体構造とすることにより、制御装置間の配線や車両設置のための固定治具を省くことができるのでよい。
【0145】
上述した各実施形態はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施形態での効果を単独あるいは相乗して奏することができるからである。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0146】
1 圧縮機
2 室外熱交換器
3 室外ファン
4 中間熱交換器
5 循環ポンプ
6,6A,6B 室内冷却熱交換器
7 室内空調熱交換器
8,54 室内ファン
9,9A,9B 発熱体
9A,72 インバータ
9B,73 モータ
9C,76 バッテリ
9D ギヤボックス
10 吐出配管
11 吸込配管
19 四方弁
20 三方弁
21,24,25 二方弁
22A,22B,23 膨張弁
41,41A,41B,41C,41D,50,51 機器冷却回路
42 室内ユニット
43A,43B,43C,43D 空気出入り口
44,52,53 切り換えダンパ
55,56 吸込口
57,58 吐出口
60 空調装置
61 空調制御装置
62 車室内温度
63 温調が必要な機器の温度
64 車両運転情報
65 走行計画情報
70 車両制御装置
71 制駆動制御装置
74 ブレーキ
75 電池制御装置
90,90A,90B 冷凍サイクル回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用冷却媒体を圧縮する圧縮機と、前記空調用冷却媒体と室外空気との熱交換を行う室外熱交換器と、車室内へ吹き出す空気との熱交換を行う室内空調熱交換器と、を順次環状に接続してなる冷凍サイクル回路と、発熱体と、車室内へ吹き出す空気との熱交換を行う室内冷却熱交換器と、発熱体を冷却する機器冷却媒体と前記冷凍サイクル回路中の前記空調用冷却媒体との熱交換を行う中間熱交換器と、前記機器冷却媒体を循環させるポンプと、を環状に接続してなる機器冷却回路とを備えた車両用空調システムであって、前記中間熱交換器は、前記空調用冷却媒体の配管の一端が、前記室外熱交換器と前記室内空調熱交換器を接続する液配管に、他端が前記圧縮機の吸込口に接続されていることを特徴とする車両用空調システム。
【請求項2】
前記請求項1記載の車両用空調システムにおいて、前記室内空調熱交換器と、前記中間熱交換器はそれぞれ、前記液配管と接続する空調用冷却媒体の配管経路に、各熱交換器へ流れる前記空調用冷却媒体の流量を可変とする空調用流量制御手段と、冷却用流量制御手段を有していることを特徴とする車両用空調システム。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の車両用空調システムにおいて、前記室外熱交換器と液配管を接続する前記空調用冷却媒体の配管経路に、前記空調用冷却媒体の流量を可変とする室外流量制御手段を有していることを特徴とする車両用空調システム。
【請求項4】
前記請求項1〜3に記載の車両用空調システムにおいて、前記室外熱交換器と、前記室内空調熱交換器と、前記中間熱交換器は、第一流路切換手段と第二流路切換手段とを介して、前記圧縮機の吐出口または前記圧縮機の吸込口に、任意に切換可能に接続されていることを特徴とする車両用空調システム。
【請求項5】
前記請求項1〜4に記載の車両用空調システムにおいて、車室内へ吹き出す空気が前記室内空調熱交換器を通過した後に前記室内冷却熱交換器を通過する場合と、車室内へ吹き出す空気が前記室内冷却熱交換器を通過した後に前記室内空調熱交換器を通過する場合に切り換えられるようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項6】
前記請求項1〜5に記載の車両用空調システムにおいて、前記室内冷却熱交換器を通過する空気が車室内へ吹き出す場合と車外へ吹き出す場合に切り換えられるようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項7】
前記請求項1〜6に記載の車両用空調システムにおいて、前記機器冷却回路は、前記室内冷却熱交換器を前記機器冷却媒体が流れる主回路と、前記室内冷却熱交換器をバイパスして流れるバイパス回路とを備え、前記主回路と前記バイパス回路に流れる前記機器冷却媒体の流量制御手段を備えたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項8】
前記請求項1〜7に記載の車両用空調システムにおいて、前記発熱体を冷却する機器冷却時に、前記機器冷却回路を循環する前記機器冷却媒体を前記室内冷却熱交換器でのみ冷却する場合と、前記室内冷却熱交換器と前記中間熱交換器で前記機器冷却媒体を冷却する場合とを前記冷却用流量制御手段の開度を制御することにより切り換えることを特徴とする車両用空調システム。
【請求項9】
前記請求項1〜6記載の車両用空調システムにおいて、車室内を暖房する以外の時には、前記室内冷却熱交換器を通過する空気を車外へ吹き出すようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項10】
前記請求項1〜7に記載の車両用空調システムにおいて、車室内を冷房する場合には、前記機器冷却回路の前記機器冷却媒体を前記主回路ではなく、前記バイパス回路に流すようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項11】
前記請求項1〜7に記載の車両用空調システムにおいて、冷房運転,暖房運転,暖房・機器冷却運転,除霜運転をする場合には、車室内へ吹き出す空気が前記室内冷却熱交換器を通過した後に前記室内空調熱交換器を通過するようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項12】
前記請求項1〜7に記載の車両用空調システムにおいて、除湿運転,暖房・除湿運転をする場合には、車室内へ吹き出す空気が前記室内空調熱交換器を通過した後に前記室内冷却熱交換器を通過するようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項13】
前記請求項1〜7に記載の車両用空調システムにおいて、前記発熱体を加熱する機器加熱運転をする場合には、前記中間熱交換器を凝縮器とし、前記室外流量制御手段の開度を制御することにより、前記機器冷却回路を循環する前記機器冷却媒体の温度を調整するようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項14】
前記請求項5または6に記載の車両用空調システムにおいて、前記室内冷却熱交換器を2個(第一室内冷却熱交換器と第二室内冷却熱交換器)備え、前記室内空調熱交換器と、空気を吸い込む室内ファンと、空気の流れを切り換える第一切り換えダンパ,第二切り換えダンパと、前記第一室内冷却熱交換器と前記第二室内冷却熱交換器への機器冷却媒体の流れを切り換える第三流路切換手段,第四流路切換手段とからなる室内ユニットを備えたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項15】
前記請求項14に記載の車両用空調システムにおいて、前記室内ユニットは前記室内空調熱交換器の上流側,下流側にそれぞれ第一室内冷却熱交換器,第二室内冷却熱交換器を配置し、前記室内空調熱交換器と前記第一室内冷却熱交換器の間に前記第一切り換えダンパと前記第一切り換えダンパを備えたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項16】
前記請求項14または15に記載の車両用空調システムにおいて、前記室内ユニットは、空気を吸い込む第一空気吸込口、第二空気吸込口と、空気を吹き出す第一空気吐出口,第二空気吐出口を備え、前記第一空気吸込口および前記第二空気吸込口は室内空気または車外空気を吸い込み、前記第一空気吐出口は室内に吹き出し、前記第二空気吐出口は室外に吹き出すようにしていることを特徴とする車両用空調システム。
【請求項17】
前記請求項14〜16に記載の車両用空調システムにおいて、前記第一切り換えダンパは、前記第二空気吸込口から吸い込む空気量を調整できるようにしており、前記第二空気吸込口から吸い込んだ空気は前記第一室内冷却熱交換器を通らず、前記室内空調熱交換器と前記第二室内冷却熱交換器を通り、前記第一空気吐出口から吹き出すようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項18】
前記請求項14〜16に記載の車両用空調システムにおいて、前記第二切り換えダンパは、前記第一空気吸込口から吸い込んだ空気が前記第一室内冷却熱交換器を通過した後、前記第二空気吐出口から吹き出すか、または前記第一空気吐出口から吹き出すか切り換えるようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項19】
前記請求項14〜18に記載の車両用空調システムにおいて、除湿運転,暖房除湿運転をする場合には、前記第一空気吸込口で吸い込んだ空気を前記室内空調熱交換器で熱交換した後、前記第二室内冷却熱交換器で熱交換し、前記第一空気吐出口から吹き出すようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項20】
前記請求項14〜18に記載の車両用空調システムにおいて、冷房運転,暖房運転,暖房・機器冷却運転,機器加熱運転,除霜運転をする場合には、前記第一空気吸込口で吸い込んだ空気を前記第一室内冷却熱交換器で熱交換した後、前記室内空調熱交換器で熱交換し、前記第一空気吐出口から吹き出すようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項21】
前記請求項14〜18に記載の車両用空調システムにおいて、機器冷却運転,冷房,機器冷却運転をする場合には、前記第一空気吸込口で吸い込んだ空気を前記第一室内冷却熱交換器で熱交換した後、前記第二空気吐出口から吹き出され、前記第二空気吸込口で吸い込んだ空気は、前記室内空調熱交換器で熱交換した後、前記第一空気吐出口から吹き出すようにしたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項22】
前記請求項1〜13に記載の車両用空調システムにおいて、車速情報やアクセル開度情報などの車両運転情報および走行計画情報を取り込み、それらの情報と前記発熱体の温度と車室内の温度に基づいて車両用空調システムを制御する空調制御装置を備えたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項23】
前記請求項22に記載の車両用空調システムにおいて、前記空調制御装置は、前記圧縮機と、前記流量制御手段と、前記流路切換手段と、前記ポンプと、室外ファンと、室内ファンとからなる空調装置と一体、あるいは前記空調装置の一部と一体としたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項24】
前記請求項22に記載の車両用空調システムにおいて、前記空調制御装置は、車両全体の制御を行う車両制御装置、制駆動を制御する制駆動制御装置、バッテリの電力管理を行う電池制御装置のうち少なくとも一つと一体構造としたことを特徴とする車両用空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−35812(P2012−35812A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179925(P2010−179925)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】