車両用空調装置
【課題】外部環境に応じて、車両起動時のエネルギー消費を抑制することができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両用空調装置では、操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき(イグニッションがONになったとき)、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、各部が制御される(図10のステップS406A参照)。これによって前回駐車したときの吹出モードを、新たに操作しなくとも継続して用いることができる。また駐車状態になったときの吹出モードがデフモード中であった場合には、駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、起動したときは吹出モードをデフモード以外のモードとなるように各部が制御される。
【解決手段】車両用空調装置では、操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき(イグニッションがONになったとき)、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、各部が制御される(図10のステップS406A参照)。これによって前回駐車したときの吹出モードを、新たに操作しなくとも継続して用いることができる。また駐車状態になったときの吹出モードがデフモード中であった場合には、駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、起動したときは吹出モードをデフモード以外のモードとなるように各部が制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用蓄電装置を搭載した車両の車室内を空調する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリット自動車の空調装置における暖房制御では、まず、内気センサおよび外気センサからのセンサ信号等に基づいて、水温センサにて検出したエンジンの冷却水温が低くても、車室内を暖房する必要があるか否かを判定している。そして、車室内を暖房する必要があると判定した場合には、ハイブリッド自動車の運転状態が発進時または低速走行時であっても、エンジンを作動させることにより、エンジンのウォータジャケット内で暖められた冷却水をヒータコア内に供給して、車室内を暖房するようにしている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−174042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来技術では、温風が必要な場合、車載用蓄電装置の蓄電量にかかわらず車両起動時にエンジンを起動する。したがって、満充電であっても外部環境などにかかわらずエンジンを起動するので、乗員に与える違和感が大きく、さらに充電電力が空調に用いられるので走行に用いる量が減ってしまい燃費が悪化するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、外部環境に応じて、車両起動時のエネルギー消費を抑制することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、車載用蓄電装置が搭載される車両において、サイクル(1)の冷媒流れを制御することによって車室内を空調する車両用空調装置(100)であって、
一方側に空気取入口(25a,25b)が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する複数の吹出口(27a,27b,27c)が形成される空調ケース(20)であって、空気取入口と吹出口との間に送風空気が通過する通風路を内部に有する空調ケースと、
空調ケースの通風路に対して空気を送風する空調用送風機(21)と、
吹出口から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(26a)と、
サイクルを循環する冷媒を吸入し吐出する圧縮機(2)と、
空調ケース内に設けられ、サイクルを循環する冷媒が蒸発して車室内への送風空気を冷却する冷却用熱交換器(8)と、
圧縮機の冷媒吐出量、空調用送風機の送風量、吹出風量調節手段の吹出風量を制御する制御手段(50)と、を含み、
制御手段は、
操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段を制御し、
駐車状態になったときの吹出モードが窓ガラスの曇りを除去する防曇モード中であった場合には、駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、起動したときは吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段を制御することを特徴とする車両用空調装置である。
【0008】
請求項1に記載の発明に従えば、操作者の操作によって車両が駐車状態から走行状態に起動したとき、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、制御手段によって圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段が制御される。これによって前回駐車したときの吹出モードを、新たに操作しなくとも継続して用いることができる。
【0009】
また駐車状態になったときの吹出モードが防曇モード中であった場合には、駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、起動したときは吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように制御手段によって各部が制御される。これによって防曇モードで起動する必要がない場合に、防曇モードで起動することが防止される。したがって操作性を向上することができる。また起動時に防曇モードに以外のモードにすることによって、車室内を防曇モードよりも快適に空調することができる。したがって防曇モードで起動するよりもエネルギー消費を抑制することができる。
【0010】
また請求項2に記載の発明では、車載用蓄電装置が搭載される車両において、サイクル(1)の冷媒流れを制御することによって車室内を空調する車両用空調装置(100)であって、
一方側に空気取入口(25a,25b)が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する複数の吹出口(27a,27b,27c)が形成される空調ケース(20)であって、空気取入口と吹出口との間に送風空気が通過する通風路を内部に有する空調ケースと、
空調ケースの通風路に対して空気を送風する空調用送風機(21)と、
吹出口から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(26a)と、
サイクルを循環する冷媒を吸入し吐出する圧縮機(2)と、
空調ケース内に設けられ、サイクルを循環する冷媒が蒸発して車室内への送風空気を冷却する冷却用熱交換器(8)と、
圧縮機の冷媒吐出量、空調用送風機の送風量、吹出風量調節手段の吹出風量を制御する制御手段(50)と、を含み、
制御手段は、
操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段を制御し、
駐車状態になったときの吹出モードが窓ガラスの曇りを除去する防曇モード中であった場合には、起動したときに、外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段を制御することを特徴とする車両用空調装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明に従えば、操作者の操作によって車両が駐車状態から走行状態に起動したとき、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、制御手段によって圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段が制御される。これによって前回駐車したときの吹出モードを、新たに操作しなくとも継続して用いることができる。
【0012】
また駐車状態になったときの吹出モードが防曇モード中であった場合には、起動したときに、外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように制御手段によって各部が制御される。これによって防曇モードで起動する必要がない場合に、防曇モードで起動することが防止される。したがって操作性を向上することができる。また起動時に防曇モードに以外のモードにすることによって、車室内を防曇モードよりも快適に空調することができる。したがって防曇モードで起動するよりもエネルギー消費を抑制することができる。
【0013】
さらに請求項3に記載の発明では、車室外の外気温を検出する外気温検出手段(43)をさらに含み、
制御手段は、駐車状態中に外気温が所定温度以上の場合に、防曇モードを維持する必要がないと判断することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明に従えば、制御手段は、駐車状態中に外気温が所定温度以上の場合に、防曇モードを維持する必要がないと判断する。これによって外気温が所定温度未満で低温であり、防曇モードが必要な場合に防曇モードが維持されるので、防曇性を確保することができる。
【0015】
さらに請求項4に記載の発明では、車両は、エンジン(30)および電動モータを駆動源とするハイブリッド車両であり、
空調ケース内に設けられ、エンジンの冷却水を熱源として、車室内への送風空気を加熱する加熱用熱交換器(23)をさらに含み、
制御手段は、
起動時に防曇モードを実施する場合は、エンジンの起動を要求する要求信号の出力し、
起動時に防曇モード以外のモードを実施する場合は、外部環境に応じて要求信号の出力を禁止することを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明に従えば、起動時に防曇モードを実施する場合は、エンジンの起動を要求する要求信号を出力するように制御される。これによって防曇モードにおいて、熱源を確保することができるので、窓曇りの除去を効率よく行うことができる。また起動時に防曇モード以外のモードを実施する場合は、外部環境に応じて要求信号の出力を禁止する。これによって外部環境によっては外気温が高温で不必要なエンジンの起動を抑制することができる。したがって窓晴らし性確保と燃費向上および車外音低減することができる。
【0017】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】車両用空調装置100の構成及びCOOLサイクル時の冷媒流れを説明するための模式図である。
【図2】HOTサイクル時の冷媒流れを説明するための模式図である。
【図3】DRY EVAサイクル時の冷媒流れを説明するための模式図である。
【図4】DRY ALLサイクル時の冷媒流れを説明するための模式図である。
【図5】上記各サイクルにおいて各電磁弁11〜14及び三方弁4の動作状態を示す図表である。
【図6】車両用空調装置100における制御構成を示すブロック図である。
【図7】エアコンECU50による制御処理を示したフローチャートである。
【図8】ブロワ電圧決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】吹出モード決定処理の第1段階の詳細を示すフローチャートである。
【図10】吹出モード決定処理の第2段階の詳細を示すフローチャートである。
【図11】エンジンON要求有無決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係る車両用空調装置101の構成を説明するための模式図である。
【図13】第3実施形態に係る車両用空調装置102の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各実施形態で先行する実施形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付すか、または先行の参照符号に一文字追加し、重複する説明を略する場合がある。また各実施形態にて構成の一部を説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している実施形態と同様とする。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図11を用いて詳細に説明する。第1実施形態は、蒸気圧縮式冷凍機をハイブリッド車両用の空調装置に適用したものである。
【0021】
ハイブリッド車両は、ガソリン等の液体燃料を爆発燃焼させて動力を発生させる走行用内燃機関をなすエンジン30、走行補助用電動機機能及び発電機機能を備える走行補助用の電動発電機、エンジン30への燃料供給量や点火時期等を制御するエンジン用電子制御装置(以下、エンジンECU60ともいう)、電動発電機やエンジンECU60等に電力を供給する電池、電動発電機の制御及び無断変速機や電磁クラッチの制御を行うと共にエンジンECU60に制御信号を出力するハイブリッド電子制御装置(以下、ハイブリッドECU70ともいう)を備えている。したがってハイブリッド車両は、走行するための駆動源としてエンジン30と電動発電機とを有する。ハイブリッドECU70は、電動発電機及びエンジン30のいずれの駆動力を駆動輪に伝達するかの駆動切替を制御する機能、及び電池(車載用蓄電装置)の充放電を制御する機能を備えている。
【0022】
また電池は、車載用蓄電装置であって、車室内空調、走行等によって消費した電力を充電するための充電装置を備えており、例えばニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池等が用いられる。この充電装置は、電力供給源としての電気スタンドや商業用電源(家庭用電源)に接続されるコンセントを備えており、このコンセントに電源供給源を接続することにより、電池の充電を行うこともできる。
【0023】
具体的には、以下のような制御を行う。
(1)車両が停止しているときは、基本的にエンジン30を停止させる。
(2)走行中は、減速時を除き、エンジン30で発生した駆動力を駆動輪に伝達する。なお、減速時は、エンジン30を停止させて電動発電機にて発電して電池に充電する(電気走行モード)。
(3)発進時、加速時、登坂時及び高速走行時等の走行負荷が大きいときには、電動発電機を電動モータとして機能させてエンジン30で発生した駆動力に加えて、電動発電機に発生した駆動力を駆動輪に伝達する(ハイブリッド走行モード)。
(4)電池の充電残量が充電開始目標値以下になったときには、エンジン30の動力を電動発電機に伝達して電動発電機を発電機として作動させて電池の充電を行う。
(5)車両が停止しているときに電池の充電残量が充電開始目標値以下になったときには、エンジンECU60に対してエンジン30を始動する指令を発するとともに、エンジン30の動力を電動発電機に伝達する。
【0024】
車両用空調装置100は、乗員の乗車前に行われる車室内空調(以下、乗車前空調またはプレ空調という)運転が実施可能な空調装置である。車両のユーザーが、乗車前空調運転を行いたいときに携帯する携帯機52を操作すると、エアコンECU50は、携帯機52から送信される乗車前空調運転の命令信号を受信し、所定のプログラムによる演算を行って乗車前空調運転を実行するものである。
【0025】
ユーザーは、車両に乗車しようとする前に車室内の空調環境を快適にしておくために、携帯機52を操作して、通信局であるセンターを通じて車両の空調装置に対して乗車前空調運転の指令を送信する。この乗車前空調運転は、原則として、車両のイグニッションスイッチがOFF状態であること、あるいはエアコンECU50に対して乗員が乗車している信号が送信されていないことが許容条件となる。
【0026】
図1は、車両用空調装置100の構成及びCOOLサイクル(以下、冷房サイクルともいう)時の冷媒流れを説明するための模式図である。図2は、HOTサイクル(以下、暖房サイクルともいう)時の冷媒流れを説明するための模式図である。図3はDRY EVAサイクル(以下、第1の除湿サイクルともいう)時の冷媒流れを説明するための模式図である。図4は、DRY ALLサイクル(以下、第2の除湿サイクルともいう)時の冷媒流れを説明するための模式図である。図5は、上記各サイクルにおいて各電磁弁11〜14及び三方弁4の動作状態を示す図表である。各サイクルにおいて、冷媒が流れる経路は太字実線で示し、冷媒が流れない経路は破線で示している。
【0027】
車両用空調装置100は、アキュムレータ式冷凍サイクルであるヒートポンプサイクル1を用いた装置であり、車室内に送風空気を導く空調ケース20、この空調ケース20内に空気を導入して車室内へ送る室内用ブロワ21(空調用送風機)、及びエンジンECU60に接続されたエアコン電子制御装置(以下、エアコンECU50ともいう)を備える。
【0028】
室内用ブロワ21は、ブロワケース(図示せず)、ファン、ブロワモータよりなり、このブロワモータへの印加電圧に応じて、ブロワモータの回転速度が決定される。ブロワモータへの印加電圧は、上記エアコンECU50からの制御信号に基づいて送風量が制御される。
【0029】
室内用ブロワ21のブロワケースの一方側には、空気を取り入れる空気取入口として、車室内空気(内気)を導入する内気導入口(図示せず)と、車室外空気(外気)を導入する外気導入口(図示せず)とが形成されるとともに、内気導入口と外気導入口との開口割合を調節する内外気切替手段を成す内外気切替ドア25が設けられている。
【0030】
室内用ブロワ21よりも送風空気の下流側における空調ケース20内の通風路には、上流側から下流側に進むにしたがい順に、蒸発器8(冷却用熱交換器)、エアミックスドア22、ヒータコア23、凝縮器3(加熱用熱交換器)、PTCヒータ24(電気式補助熱源)が配置されている。
【0031】
空調ケース20の他方側の下流端(図1の上方)は、車両のフロントウィンドウ(窓ガラス)の内表面に向かって送風空気を吐出するデフロスタ吹出口(図示せず)、乗員の上半身に向かって送風空気を吐出するフェイス吹出口(図示せず)、乗員足元に向かって送風空気を吐出するフット吹出口(図示せず)に接続されている。
【0032】
蒸発器8は室内用ブロワ21直後の通路(通風路)全体を横断するように配置されており、室内用ブロワ21から吹き出された空気全部が通過するようになっている。蒸発器8は冷房サイクル運転時や除湿サイクル運転時において内部を流れる冷媒の吸熱作用によって、送風空気を除湿したり冷却したりする冷却用熱交換器として機能する。
【0033】
ヒータコア23は少なくともその伝熱部分が空調ケース20内の温風側通路のみに位置するように蒸発器8よりも送風空気の下流側に配置されている。ヒータコア23は暖房サイクル運転時において、内部を流れるエンジン30の冷却水の熱を利用して周囲の空気を加熱する加熱用熱交換器として機能する。
【0034】
凝縮器3は、少なくともその伝熱部分が空調ケース20内の温風側通路のみに位置して配置されており、ヒータコア23よりもさらに送風空気の下流側に配置されている。凝縮器3は暖房サイクル運転時、除湿サイクル運転時および冷房サイクル運転時において内部を流れる冷媒の放熱作用によって温風側通路を流れる送風空気を加熱する熱交換器として機能する。
【0035】
PTCヒータ(positive temperature coefficient)24は、少なくともその伝熱部分が温風側通路のみに位置して設置されており、凝縮器3よりもさらに送風空気の下流側に配置されている。PTCヒータ24は暖房サイクル運転や冷房サイクル運転において温風側通路を流れる送風空気を加熱する補助的な加熱手段である。PTCヒータ24は、通電発熱素子部を備え、通電発熱素子部に通電されることによって発熱し、周囲の空気を暖めることができる。
【0036】
この通電発熱素子部は、耐熱性を有する樹脂材料(例えば、66ナイロンやポリブタジエンテレフタレートなど)で成形された樹脂枠の中に複数個のPTC素子を嵌め込むことにより構成したものである。また、PTCヒータ24は、さらに通電発熱素子部からの発熱を伝達する熱交換フィン部を有してもよい。この熱交換フィン部は、アルミニウムの薄板を波形状に成形したコルゲートフィンと、このコルゲートフィンを一定の形状に保つとともにPTC素子や電極板との接触面積を確保するアルミニウムプレートと、をろう付け接合することにより構成したものである。
【0037】
蒸発器8よりも下流側であってヒータコア23や凝縮器3よりも上流側の通風路には、蒸発器8を通過した空気を、凝縮器3を通る空気と凝縮器3を迂回する空気とに分けたり、切り替えたりして、これらの空気の風量比率を調整できるエアミックスドア22が設けられている。
【0038】
エアミックスドア22は、アクチュエータ等によりそのドア本体位置を変化させることで、空調ケース20内の二分された通路である温風側通路および冷風側通路のそれぞれの一部または全部を塞ぐことができる。そして、エアミックスドア22による温風側通路の開度は、温風側通路の横断方向の開口が開放される割合のことであり、0から100%の範囲で調整可能である。また、エアミックスドア22による冷風側通路の開度は、冷風側通路の横断方向の開口が開放される割合のことであり、0から100%の範囲で調整可能である。
【0039】
ヒートポンプサイクル1は、圧縮機2、凝縮器3、三方弁4、室外熱交換器5、第1膨張弁10、第2膨張弁7、蒸発器8、アキュムレータ9、及び各電磁弁11〜14を備える。ヒートポンプサイクル1は、冷凍サイクル内を流れる冷媒(例えば、R134a、CO2等)の状態変化を利用することにより、冷房用の蒸発器8と暖房用の凝縮器3によって冷房、暖房および除湿を行うことができる。また、蒸発器8と凝縮器3とは、室外熱交換器5に対して、室内熱交換器を構成する。
【0040】
冷房サイクル運転時の冷媒は、図1の太字実線の経路を白抜き矢印の向きに流れる。ヒートポンプサイクル1の冷房サイクルは、除湿能力が大きく、図1に示すように冷媒を吸入して吐出する圧縮機2と、圧縮機2から吐出された冷媒が流入する凝縮器3と、冷房サイクル運転時に凝縮器3から流入する冷媒が空気と熱交換して放熱する室外熱交換器5と、凝縮器3を流出した冷媒が室外熱交換器5に向かわせる三方弁4と、室外熱交換器5から蒸発器8への冷媒流れを制御するように設けられた電磁弁11と、電磁弁11によって開放された流路を通ってきた冷媒を減圧する第2膨張弁7と、第2膨張弁7で減圧された冷媒が蒸発して送風空気を冷却する蒸発器8と、冷媒を気液分離するアキュムレータ9と、を配管により環状に接続することにより形成されている。冷房サイクル運転経路は、圧縮機2→凝縮器3→三方弁4→室外熱交換器5→電磁弁11→第2膨張弁7→蒸発器8→アキュムレータ9→圧縮機2となる。
【0041】
このように冷房サイクル運転経路は、三方弁4を室外熱交換器5側の流路と連通するように切り替えることによって、冷房サイクル運転時に凝縮器3で送風空気と熱交換して冷却された冷媒が第1膨張弁10を通らないで室外熱交換器5に流入し、電磁弁11によって開放された流路を通り第2膨張弁7で減圧された後、蒸発器8に流入し、アキュムレータ9を経由して圧縮機2に吸入される経路である。冷房サイクル運転では、凝縮器として機能する室外熱交換器5から、熱が室外に放出され、蒸発器8から熱が吸収される。このとき、凝縮器3も発熱しているが、エアミックスドア22の位置制御で、車室内空気との熱交換量を少なくすることができる。また、電磁弁11と第2膨張弁7との間の通路には、逆流防止用の逆止弁15が設けられている。
【0042】
暖房サイクル運転時の冷媒は、図2の太字実線の経路を黒塗り矢印の向きに流れる。ヒートポンプサイクル1の暖房サイクルは、暖房性能が大であり、除湿能力無しの運転であり、図2に示すように圧縮機2と、暖房サイクル運転時に圧縮機2から吐出された冷媒と空気とを熱交換させて空気を加熱する凝縮器3と、暖房サイクル運転時に凝縮器3から流入した冷媒を減圧する減圧装置としての第1膨張弁10と、第1膨張弁10から室外熱交換器5への冷媒流れを制御するように設けられた電磁弁14と、暖房サイクル運転時に第1膨張弁10で減圧された冷媒を蒸発させる室外熱交換器5と、室外熱交換器5から圧縮機2への冷媒流れを制御するように設けられた電磁弁12と、アキュムレータ9と、を配管により環状に接続することにより形成されている。暖房サイクル運転経路は、圧縮機2→凝縮器3→三方弁4→第1膨張弁10→電磁弁14→室外熱交換器5→電磁弁12→アキュムレータ9→圧縮機2となる。また、電磁弁12とアキュムレータ9との間の通路には、逆流防止用の逆止弁16が設けられている。なお、室外空気が極めて低いときは、暖房サイクルによる暖房は効率が悪いので、冷房サイクルにてエンジン30を稼動させ、エンジン冷却水(温水)の温度を上げて、ヒータコア23の熱で車室内が暖房される。
【0043】
第1の除湿サイクル運転時の冷媒は、図3の太字実線の経路を斜線太矢印の向きに流れる。ヒートポンプサイクル1の第1の除湿サイクルは、暖房性能が小、除湿能力が中レベルの運転であり、例えば、操作パネル51の操作等により、暖房能力が小レベルで車室内の除湿を行うときに選択されて実行される。第1の除湿サイクルは、図3に示すように圧縮機2、凝縮器3、第1膨張弁10、第1膨張弁10から蒸発器8への冷媒流れを制御するように設けられた電磁弁13、第1膨張弁10で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器8、及びアキュムレータ9を配管により環状に接続することにより形成されている。第1の除湿サイクル運転経路は、圧縮機2→凝縮器3→三方弁4→第1膨張弁10→電磁弁13→蒸発器8→アキュムレータ9→圧縮機2となる。この第1の除湿サイクル運転経路は、第1膨張弁10で減圧された冷媒が室外熱交換器5に流入しないで蒸発器8に流入して送風空気を冷却した後、アキュムレータ9を経由して圧縮機2に吸入される経路である。
【0044】
第2の除湿サイクル運転時の冷媒は、図4の太字実線の経路を斜線太矢印の向きに流れる。ヒートポンプサイクル1の第2の除湿サイクルは、暖房性能が中レベル、除湿能力が小レベルの運転であり、例えば、操作パネル51の操作等により、暖房能力が中レベルで車室内の除湿を行うときに選択されて実行される。第2の除湿サイクルは、図4に示すように第1の除湿サイクル運転経路に加え、第1膨張弁10と電磁弁13の間で分岐した冷媒経路を有する。この分岐する冷媒経路は、第1膨張弁10と電磁弁13の間の通路から電磁弁14、室外熱交換器5及び電磁弁12を通り、蒸発器8とアキュムレータ9の間の通路に合流するようになっている。これにより、第2の除湿サイクル運転経路は、圧縮機2→凝縮器3→三方弁4→第1膨張弁10→電磁弁13→蒸発器8→アキュムレータ9→圧縮機2の経路と、第1膨張弁10→室外熱交換器5→電磁弁12→アキュムレータ9の経路とで構成される。この第2の除湿サイクル運転経路は、第1膨張弁10で減圧された冷媒が、室外熱交換器5に流入しないで蒸発器8に流入して送風空気を冷却した後、アキュムレータ9を経由して圧縮機2に吸入される経路と、室外熱交換器5に流入して空気から吸熱した後、アキュムレータ9を経由して圧縮機2に吸入される経路と、を有している。
【0045】
圧縮機2は、内蔵された電動モータ2aにより駆動され、回転数制御が可能であり、回転数に応じて冷媒吐出量が可変である。圧縮機2はインバータ90により周波数が調整された交流電圧が印加されてその電動モータ2aの回転速度が制御される。インバータ90は車載電池から直流電源の供給を受け、エアコンECU50により制御される。
【0046】
室外熱交換器5は、エンジンコンパートメント等の車室外に配置されて、外気と冷媒との熱交換を行うもので、室外ファン6から強制的に送風を受けて暖房サイクル運転時には蒸発器として機能し、冷房サイクル運転時には凝縮器として機能する。
【0047】
第1膨張弁10は固定絞り等の固定式膨張弁(例えばキャピラリチューブ)、定圧式膨張弁、機械式膨張弁等で構成される。第1膨張弁10は、暖房サイクル運転時に室外熱交換器5へ供給される冷媒を減圧膨脹させる。第2膨張弁7は感温筒を備え、蒸発器8出口の冷媒の蒸発状態が適度な過熱度をもつように出口冷媒温度をフィードバックし適切な弁開度によって冷媒流量を制御する温度作動方式を採用している。暖房サイクル及び各除湿サイクルでは、第2膨張弁7で減圧された低圧冷媒を蒸発器8で吸熱して蒸発させ、蒸発器8を通過した冷媒をアキュムレータ9に流入させ、アキュムレータ9で蒸発器8の出口冷媒の気液を分離し、アキュムレータ9内のガス冷媒を圧縮機2に吸入させる。
【0048】
蒸発器8は、送風空気を冷却する冷却用熱交換器であり、冷房サイクル運転時に蒸発器として機能する。この蒸発器8は、第2膨張弁7で減圧膨脹された低温低圧の冷媒と空気との熱交換を行うことにより、コア部を通過する空気を冷却する。
【0049】
凝縮器3は、送風空気を加熱する加熱用熱交換器であり、空調ケース20内で蒸発器8の下流(風下)に配設されて、圧縮機2で圧縮された高温高圧の冷媒と空気との熱交換を行うことにより、コア部を通過する空気を加熱する。ウォータポンプ31は、エンジン冷却水が循環する回路に設けられ、エンジン冷却水から成る温水をヒータコア23に供給する。このヒータコア23は、凝縮器3と共に送風空気を加熱する加熱器として機能する。
【0050】
エアミックスドア22は、蒸発器8からの冷風と凝縮器3等(加熱器)との暖風との混合割合を制御する。アキュムレータ9は、冷凍サイクル内の過剰冷媒を一時蓄えると共に、気相冷媒のみを送り出して、圧縮機2に液冷媒が吸い込まれるのを防止する。
【0051】
三方弁4、常開型の電磁弁11、常閉型の電磁弁12、常閉型の電磁弁13、及び常開型の電磁弁14は、流路切替手段であり、これらの上記各サイクルにおける動作状態は図5に示すとおりである。
【0052】
冷媒圧力センサ40は、ヒートポンプサイクル1の高圧側の流路に設けられ、凝縮器3よりも上流の冷媒の高圧圧力、すなわち圧縮機2の吐出圧力Preを検出する。また、冷媒吸入温度センサ41は、室外熱交換器5の冷媒流れの下流側に設けられ、冷媒吸入温度を検出する。
【0053】
エアコンECU50は、車室内の空調運転を制御する制御手段であり、マイクロコンピュータと、車室内前面に設けられた操作パネル51上の各種スイッチからの信号や、冷媒圧力センサ40、冷媒吸入温度センサ41、内気センサ42、外気センサ(外気温検出手段)43、日射センサ44、入口温度センサ45等からセンサ信号が入力される入力回路と、各種アクチュエータに出力信号を送る出力回路と、を備えている。マイクロコンピュータは、ROM(読み込み専用記憶装置)、RAM(読み込み書き込み可能記憶装置)等のメモリおよびCPU(中央演算装置)等から構成されており、操作パネル51等から送信された運転命令に基づいた演算に使用される各種プログラムを有している。
【0054】
エアコンECU50は、上記の各サイクル運転時に、エアコン環境情報、エアコン運転条件情報及び車両環境情報を受信してこれらを演算し、圧縮機2の設定すべき容量を算出する。そして、エアコンECU50は、演算結果に基づいてインバータ90に対して制御信号を出力し、インバータ90によって圧縮機2の出力量は制御される。
【0055】
このように乗員による操作パネル51や携帯機52の操作によって、空調装置の運転・停止および設定温度などの操作信号などがエアコンECU50に入力されて各種センサの検出信号が入力されると、エアコンECU50は、エンジンECU60、ハイブリッドECU70、ナビゲーションECU80等と通信し、各種の演算結果に基づいて、圧縮機2、室内用ブロワ21、室外ファン6、PTCヒータ24、三方弁4、電磁弁11〜14、内外気切替ドア25、吹出口切替ドア26等の各機器の運転を制御する。ナビゲーションECU80は、たとえば自車の位置情報をエアコンECU50に送信しする。
【0056】
図7は、エアコンECU50による基本的な制御処理を示したフローチャートである。図7において、イグニッションスイッチが投入されてエアコンECU50に電源が供給されると制御がスタートする。以降の各ステップSに係る処理は、エアコンECU50によって実行されるものである。
【0057】
(プレ空調判定)
エアコンECU50は、上記の各種センサからの信号、操作パネル51に設けられた各種操作部材からの信号、または遠隔操作可能な操作手段である携帯機52からの信号等に基づいて、車室内を空調するように構成されている。車両が継続的に停止して乗員が搭乗していないときには、エアコンECU50は、上記携帯機52からのプレ空調要求の有無、または予め設定されたプレ空調運転指令を監視している。
【0058】
図7のステップS1では、携帯機52からプレ空調要求があった場合、または予め送信入力された空調要求時刻に基づいてプレ空調を開始するタイミングとなった場合には、車両が停止状態であるか否かを判断するとともに、電源電力がプレ空調作動時の要求電力に対し大きいか否か判断する。車両が停止状態であり、電源電力がプレ空調要求電力より大きいことを確認したら、プレ空調の実施を許可するためにプレ空調フラグを立てる。
【0059】
(イニシャライズ)
次に、ステップS2で図6のエアコンECU50内のRAM等の記憶されている各パラメータ等を初期化する。
【0060】
(スイッチ信号読み込み)
次に、ステップS3で操作パネル51等からのスイッチ信号等を読み込む。
【0061】
(センサ信号読み込み)
次に、ステップS4で上記の各種センサからの信号を読み込む。
【0062】
(TAO算出基本制御)
次に、ステップS5で、ROMに記憶された下記の数式1を用いて、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを算出する。
【0063】
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C
…(1)
ここで、Tsetは、温度設定スイッチにて設定された設定温度、Trは内気センサ42にて検出された内気温度、Tamは外気センサ43にて検出された外気温度、Tsは日射センサ44にて検出された日射量である。また、Kset,Kr,Kam及びKsは各ゲインであり、Cは全体にかかる補正用の定数である。そして、このTAO及び上記各種センサからの信号により、エアミックスドア22のアクチュエータの制御値及びウォータポンプ31の回転数の制御値等を算出する。
【0064】
(サイクル・PTC選択)
次に、ステップS6で、運転すべきサイクルの選択及びPTCヒータ24の通電本数の選択を実行する。たとえばプレ空調フラグが立っており、外気温が−3℃より低い場合は、ヒートポンプサイクル1による暖房の効率が悪くなり、かつ室外熱交換器5に着霜しやすくなるため、PTCヒータ24によるプレ空調を実施するのでPTCヒータ24に通電する。外気温が−3℃以上の場合は、自動運転での吹出口モードがフェイスモードの場合には、ヒートポンプサイクル1による暖房の必要なしと判断して、冷房サイクルによるプレ空調を実施する。外気温が−3℃以上であり、フェイスモード以外の場合には、暖房サイクルによる暖房のプレ空調を実施する。
【0065】
プレ空調フラグが立っておらず、プレ空調でなく、外気温が−3℃より低い場合は、暖房サイクルによる暖房の効率が悪くなり、かつ、室外熱交換器5に着霜しやすくなるため、冷房サイクルによる空調を実施する。なお、このときは、エンジン30を稼動し、温水及びヒータコア23の温度を上昇させるようにする。プレ空調でなく、外気温が−3℃以上でフェイスモードである場合は、ヒートポンプサイクル1による暖房の必要なしと判断して、冷房サイクルでの空調を実施する。プレ空調でなく、外気温が−3℃以上でフェイスモードでないと判定された場合は、ヒートポンプサイクル1による暖房の必要有りと判断して、暖房サイクルでの空調を実施する。
【0066】
(ブロワ電圧決定)
次に、図7に示すステップS7において、ROMに記憶されたマップを用いて目標吹出温度TAOに対応するブロワ電圧(室内用ブロワ21のモータに印加する電圧)を決定する。すなわち、室内用ブロワ21のブロワモータへの印可電圧を決定する。このステップS7は、具体的には図8に基づいて実行される。図8は、図7のステップS7におけるブロワ電圧決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0067】
図9に示すように、まずステップS390で自動運転(オート)であるか否かを判定する。自動運転でない場合は、ステップS391にて、操作パネル51で操作された風量設定に相当する印加電圧が決定され(HIのときは12V、M3のときは10V、M2ときは8V、M1のときは6V、LOのときは4V)、ブロワ電圧決定処理を終了する。
【0068】
ステップS390で自動運転であると判定されると、ステップS392でTAOに応じて仮のブロワ電圧を算出する。この仮のブロワ電圧の算出処理は、図8に示すステップS392のマップを用いて算出される。このマップは、目標吹出温度TAO(℃)とブロワ電圧(V)との関係を表したものであり、仮のブロワ電圧は、TAOが10℃以上40℃以下のときは6Vに算出されるものである。
【0069】
次に、ステップS393において、ステップS393に示すマップを用いて、ヒータコア23の水温及びPTC作動本数に応じて仮のウオームアップ風量(f(TW))を算出する。次に、ステップS394において、吹出口がフット(FOOT)かバイレベル(B/L)かフットデフ(F/D)か否かを判定し、FOOT、B/L、F/Dの場合には、ステップS396にて、f(TAO)とf(TW)の小さい方をブロワレベルと決定する。
【0070】
ステップS394にて吹出口がFOOT、B/L、F/D以外の場合には、ステップS397にて吹出口がデフ(DEF)か否かを判定する。DEFの場合、ステップS399にて、風量下限値α=22に設定する。DEF以外の場合、ステップS398にて、風量下限値α=0に設定する。そして、ステップS400にて、ブロワレベルをf(TAO)とαの大きい方を選択する。最後に、S401にて、決定されたブロワレベルを、マップを用いてブロワ電圧に変換し、本制御を終了する。これによってDEF時に風量UPすることで、ウインドウ温度上昇およびウインドウ近傍湿度の低下を行う。
【0071】
(吸込口モード決定)
次に、図7のステップS8で、ROMに記憶されたマップから、目標吹出温度TAOに対応する吸込口モードを決定する。具体的には、目標吹出温度TAOが高いときには、内気循環モードが選択され、目標吹出温度TAOが低いときには、外気導入モードが選択される。
【0072】
(吹出口モード決定)
次に、図7のステップS9で、ROMに記憶されたマップから、目標吹出温度TAOに対応する吹出口モードを決定する。このステップS9は、具体的には図9および図10に基づいて実行される。図9は、図7のステップS9における吹出モード決定処理の第1段階の詳細を示すフローチャートである。図10は、図7のステップS9における吹出モード決定処理の第2段階の詳細を示すフローチャートである。図9および図10に示す処理は、並行して実施されるか、または順次(順不同)実施される。
【0073】
図9に示すように、ステップS400において、イグニッション(IG) ON中か否かを判定する。IG ON中の場合はステップS401でTAOを用いて吹出口を演算する。具体的には、目標吹出温度TAOが高いときには、フットモードが選択され、目標吹出温度TAOの低下に伴ってバイレベルモード、さらにはフェイスモードの順に選択され、本制御を終了する。
【0074】
ステップS400でIG OFFの場合、ステップS402でIG ON→OFFから予め設定される経過時間、たとえば60分経過したか否かを判定する。経過していた場合、ステップS403にて、IG OFF時DEFモードだったか否かを判定する。DEFモードだった場合、ステップS404にて、現在の外気温が所定温度、たとえば0℃を超えているか否かを判定する。超えている場合には、ステップS405Aで、DEFモードをキャンセルし、DEFになる以前のモード(オートorマニュアル固定)へ遷移して本制御を終了する。
【0075】
ステップS402で60分経過していない場合、ステップS403でIG OFF時DEFモードでない場合、およびステップS404で外気温が0℃以下の場合は、ステップS406で、IG OFF時の吹出モードが保持され、本制御を終了する。
【0076】
このような吹出口モード決定処理によって、IG OFF後、所定時間経過したら、エンジンONを要求するDEFモードをキャンセルすることで、操作性向上と燃費向上・車外音低減・充電電力の有効利用ができる。また、DEFモードがウインドウヒータ・ドアミラーヒータ・RrDEF・風量UP・コンプレッサ稼働率向上補助ヒータ作動等を伴っている場合、これらの作動もキャンセルできるので、充電電力の有効利用が更に達成できる。また、外気温が非常に低い時は、次回車両起動時に窓が曇っていたり凍っている可能性があるので、DEFモードの解除は行わないことで防曇性を確保する。ステップS405の判定条件は、外気温以外にも、室温、日射量、エバポレータ温度、ウインドウ温度、湿度等を用いても同様の効果が得られる。
【0077】
図10に示すように、ステップS402Aにおいて、IG OFF→ONになったか否かを判定する。ONになった場合、ステップS403Aにて、IG OFF時DEFモードだったか否かを判定する。DEFモードだった場合、ステップS404Aにて、現在の外気温が所定温度、たとえば0℃を超えているか否かを判定する。超えている場合には、ステップS405Aで、DEFモードをキャンセルし、DEFになる以前のモード(オートorマニュアル固定)へ遷移して本制御を終了する。
【0078】
ステップS402AでONになっていない場合、ステップS403AでIG OFF時DEFモードでない場合、およびステップS404Aで外気温が0℃以下の場合は、ステップS406Aで、IG OFF時の吹出モードが保持され、本制御を終了する。
【0079】
このような吹出口モード決定処理によって、IG ON時、外気温が所定以上高いなどの場合、エンジンONを要求するDEFモードをキャンセルすることで操作性向上と燃費向上・車外音低減・充電電力の有効利用ができる。また、DEFモードがウインドウヒータ・ドアミラーヒータ・RrDEF・風量UP・コンプレッサ稼働率向上補助ヒータ作動等を伴っている場合、これらの作動もキャンセルできるので、充電電力の有効利用が更に達成できる。S404Aの判定条件は、外気温以外にも、室温、日射量、エバポレータ温度、ウインドウ温度、湿度等を用いても同様の効果が得られる。
【0080】
(圧縮機回転数等決定)
次に、図7のステップS10で圧縮機回転数等の決定を実行する。圧縮機回転数の決定は、各種センサの検出信号を用いて算出した目標蒸発器後温度TEOと、実際の蒸発器後温度TEを用いた周知の方法を採用するものとし、ここでは説明を省略する。
【0081】
(室外ファンの出力量決定)
次に、図7に示すステップS11で室外ファン6の出力量を決定する。ここでは、室外ファン6の出力量に相当する風量、仕事量等を制御するために、室外ファン6のモータへの印可電圧を決定する。決定される印加電圧は、複数の段階から選択されるもので、大きい印加電圧ほどファンの回転数が大きく、同様に風量及び騒音値も大きくなる。
【0082】
(PTC・デフォッガの作動決定)
次に、図7のステップS12でPTC・デフォッガの作動決定を実行する。このステップSでは、空調運転に使用することが可能な使用許可電力と、実際の圧縮機2の消費電力との差に基づいて、圧縮機回転数の増減量を決定すると共に、PTCヒータ24またはデフォッガの作動を決定する。ここでいう使用許可電力は、プラグイン仕様により車両に供給される商用電源の電力量及び電池の充電量の少なくとも一方から求められる当該使用許可電力であり、空調運転に使用できる使用電力の制限を示している。また、当該使用許可電力は、電池から供給可能な電力またはプラグインにより供給される商用電源(100Vまたは200V)の電力の中から空調運転用に割り当てることができる電力であってもよい。
【0083】
(各弁ON/OFF決定)
次に、図7のステップS13において、所定の各サイクルで制御が実行できるよう、サイクル中の三方弁4及び電磁弁11〜14のONまたはOFF作動について決定する。この制御では、図5に示した各サイクルに対応する各弁の動作状態となるように、各弁の作動をオン、オフする出力信号を決定する。
【0084】
(エンジンON要求有無決定)
次に、図7に示すステップS14でエンジンONの要求有無を決定する。このステップS14は、具体的には図11に基づいて実行される。図11は、図7のステップS14におけるエンジンON要求有無決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0085】
図11に示すように、本制御がスタートすると、ステップS30にて、エンジン冷却水温度に基づくエンジンON要求の要否判定に用いる判定しきい値であるエンジンOFF水温と、エンジンON水温を算出する。エンジンOFF水温は、エンジンを停止させるときの判定基準となるエンジン冷却水温度であり、エンジンON水温は、エンジンを作動させるときの判定基準となるエンジン冷却水温度である。
【0086】
エンジンOFF水温は、次の数式2で算出された基準冷却水温度TWOと、70℃とのうちの小さい方に決定される(数式3参照)。なお、基準冷却水温度TWOは、エアミックス前の温風温度が目標吹出温度TAOになるものと仮定したときに、必要とされる冷却水温度である。TEは、エバ後温度である。ΔTptcは、PTCヒータ24による吹出温度の上昇推定温度である。
【0087】
TWO={TAO−ΔTptc)−(TE×0.2)}/0.8 …(2)
エンジンOFF水温=MIN(TWO,70) …(3)
一方、エンジンON水温は、頻繁にエンジンがON/OFFするのを防止するため、エンジンOFF水温よりも所定温度(本例では5℃)低く設定される。
【0088】
次に、ステップS31では、エンジン冷却水温度に基づくエンジンON要求の要否決定を行う。具体的には、実際の冷却水温度を、ステップS30で求めたエンジンOFF水温およびエンジンON水温と比較する。そして、冷却水温度がエンジンON水温より低ければ、f(TW)=ONとしてエンジンの作動を仮決定し、冷却水温度がエンジンOFF水温より高ければ、f(TW)=OFFとしてエンジンの停止を決定する。
【0089】
次に、ステップS32では、シートヒータがONになっているか否かを判断し、ONの場合は、ステップS33に移り、OFFの場合は、ステップS34に移る。シートヒータが搭載されていない車両では、常にOFFとなる。ステップS33では、シートヒータがONであるので、ステップS33に示すマップを用いて、シートヒータがONである場合の日射量に応じた補正量としてf(日射量)が決定され、ステップS35に移る。
【0090】
ステップS34では、シートヒータがOFFであるので、ステップS34に示すマップを用いて、シートヒータがOFFである場合の日射量に応じた補正量としてf(日射量)が決定され、ステップS35に移る。
【0091】
次に、ステップS35では、f(日射量)に基づくf(外気温)のオンオフを決定する。具体的には、実際の外気温を、求めたf(日射量)およびf(日射量)+2と比較する。そして、外気温がf(日射量)+2より低ければ、f(外気温)=ONとし、外気温がf(日射量)より高ければ、f(外気温)=OFFとして、ステップS36に移る。
【0092】
次に、ステップS36では、ステップS36に示すマップを用いて、エンジンON要求を決定し、本制御を終了する。出力のエンジンON要求に関して、ステップS31にて決定したf(TW)に原則従うが、太枠で示した場合、すなわち吹出口=DEF以外のモード、車両モード=エコモード、TAO=20℃以上、f(TW)=ONの時、通常はエンジンONを許可するが、f(外気温)=OFFの場合には、エンジンONを許可しない。DEFモードの場合は、防曇性を重視し、エンジンONを行うことで、DEF吹出温をUPし、ウインドウ温度の上昇及びDEF吹き出し風の相対湿度低減を行う。
【0093】
このようなエンジンON要求有無決定処理によって、DEF以外のモードの場合、外気温や日射量に応じて、f(TW)がONであっても、エンジン要求がOFFにされる。したがってf(外気温)がOFFの場合は、外部環境によって熱源が必要ないと判断されたからである。これによってエネルギー消費を抑制することができる。
【0094】
(着霜判定・除霜制御)
次に、図7のステップS15において、着霜判定を行い、着霜と判定されるときは除霜制御を実行する。着霜判定・除霜制御では、プレ空調及び乗車中空調(プレ空調以外の空調)において、冷媒吸入温度センサ41によって検出される冷媒吸入温度に応じて着霜か否かの判定を行い、着霜と判定された場合には暖房サイクル運転の停止、冷房サイクルによる除霜運転を実施する。
【0095】
(制御信号出力)
次に、図7のステップS16において、上記各ステップS1〜15で算出または決定された各制御状態が得られるように、エンジンECU60、インバータ90、PTCヒータ24、各種アクチュエータ、三方弁4及び電磁弁11〜14等に対して制御信号を出力する。そして、図7のステップS17において所定時間の経過を待って、ステップS3に戻り、継続して各ステップSが実行される。
【0096】
以上説明したように本実施形態の車両用空調装置では、操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき(イグニッションがONになったとき)、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、各部が制御される(図10のステップS406A参照)。これによって前回駐車したときの吹出モードを、新たに操作しなくとも継続して用いることができる。
【0097】
また駐車状態になったときの吹出モードがデフモード(防曇モード)中であった場合には、駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、起動したときは吹出モードをデフモード以外のモードとなるように各部が制御される(図9のステップS405)。これによってデフモードで起動する必要がない場合に、デフモードで起動することが防止される。したがって操作性を向上することができる。また起動時にデフモードに以外のモードにすることによって、車室内をデフモードよりも快適に空調することができる。したがってデフモードで起動するよりもエネルギー消費を抑制することができる。
【0098】
本実施形態では、換言すると窓を晴らすDEFモードを備えたハイブリッドシステムで、DEFモード中に車両システムが停止した場合、所定条件を満たした後、自動的にDEFモードをキャンセルする。これによってIG OFF後、所定時間経過したら、エンジンONを要求するDEFモードをキャンセルすることで、操作性向上と燃費向上・車外音低減・充電電力の有効利用ができる。
【0099】
また、DEFモードがウインドウヒータ・ドアミラーヒータ・RrDEF・風量UP・コンプレッサ稼働率向上・補助ヒータ作動等を伴っている場合、これらの作動もキャンセルできるので、充電電力の有効利用が更に達成できる。
【0100】
また本実施形態では、駐車状態になったときの吹出モードがデフモード中であった場合には、起動したときに、外部環境に基づいてデフモードを維持する必要がないと判断したとき、吹出モードをデフモード以外のモードとなるように各部が制御される(図10のステップS405A)。これによってデフモードで起動する必要がない場合に、デフモードで起動することが防止される。したがって操作性を向上することができる。また起動時にデフモードに以外のモードにすることによって、車室内をデフモードよりも快適に空調することができる。したがってデフモードで起動するよりもエネルギー消費を抑制することができる。
【0101】
また本実施形態では、換言すると、窓を晴らすDEFモードを備えたハイブリッドシステムで、前回走行でDEFモード時に車両システムが起動した場合、所定条件を満たしていた場合は、自動的にDEFモードをキャンセルする。これによってIG ON時、外気温が所定以上高いなどの場合、エンジンONを要求するDEFモードをキャンセルすることで、操作性向上と燃費向上・車外音低減・充電電力の有効利用ができる。また、DEFモードがウインドウヒータ・ドアミラーヒータ・RrDEF・風量UP・コンプレッサ稼働率向上・補助ヒータ作動等を伴っている場合、これらの作動もキャンセルできるので、充電電力の有効利用が更に達成できる。
【0102】
さらに本実施形態では、駐車状態中に外気温が所定温度(たとえば0℃)よりも大きい場合に、デフモードを維持する必要がないと判断する。これによって外気温が所定温度以下で低温であり、デフモードが必要な場合にデフモードが維持されるので、防曇性を確保することができる。
【0103】
さらに本実施形態では、換言すると、外気温が所定温度以上の時にDEFモードのキャンセルを行う。これによって外気温が非常に低い時は、次回車両起動時に窓が曇っていたり凍っている可能性があるので、DEFモードの解除は行わないことで防曇性を確保することができる。
【0104】
また本実施形態では、起動時にデフモードを実施する場合は、エンジンの起動を要求する要求信号の出力する(図11のステップS36参照)。これによってデフモードにおいて、熱源を確保することができるので、窓曇りの除去を効率よく行うことができる。また起動時にデフモード以外のモードを実施する場合は、外部環境に応じて要求信号の出力を禁止する(図11のステップS36参照)。これによって不必要なエンジンの起動を抑制することができる。したがって窓晴らし性確保と燃費向上および車外音低減することができる。
【0105】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に関して、図12を用いて説明する。図12は、第2実施形態に係る車両用空調装置101の構成を説明するための模式図である。本実施形態の車両用空調装置101における室内空調ユニットは、車室内最前部のインストルメントパネルの内側に配置されて、その外殻を形成する空調ケース20内に室内用ブロワ21、蒸発器8、ヒータコア23、PTCヒータ24等を収容している。また、車両用空調装置101における制御構成は、図6に示すブロック図と同様である。以下に、車両用空調装置101に係る説明として、図12に示す形態を中心に第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0106】
空調ケース20は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れたポリプロピレン等の樹脂にて成形されている。空調ケース20内の送風空気流れ最上流側には、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切り替え導入する内外気切替箱が配置されている。
【0107】
内外気切替箱には、空調ケース20内に内気を導入させる内気導入口25aおよび外気を導入させる外気導入口25bが形成されている。さらに、内外気切替箱の内部には、内気導入口25aおよび外気導入口25bの開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドア25が配置されている。
【0108】
内外気切替ドア25は、空調ケース20内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる吸込口モードを切り替える風量割合変更手段を構成する。内外気切替ドア25は、内外気切替ドア25用の電動アクチュエータによって駆動され、この電動アクチュエータは、エアコンECU50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0109】
また、吸込口モードとしては、内気導入口25aを全開とするとともに外気導入口25bを全閉として空調ケース20内へ内気を導入する内気モード、内気導入口25aを全閉とするとともに外気導入口25bを全開として空調ケース20内へ外気を導入する外気モード、さらに、内気モードと外気モードとの間で、内気導入口25aおよび外気導入口25bの開口面積を連続的に調整することにより、内気と外気の導入比率を連続的に変化させる内外気混入モードがある。
【0110】
内外気切替箱の空気流れ下流側には、内外気切替箱を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する室内用ブロワ21が配置されている。この室内用ブロワ21は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機であり、エアコンECU50から出力される制御電圧によって回転数が制御される。
【0111】
室内用ブロワ21の空気流れ下流側には、蒸発器8が配置されている。蒸発器8は、その内部を流通する冷媒と送風空気とを熱交換させて送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。蒸発器8は、圧縮機2、室外熱交換器5(凝縮器)、アキュムレータ9、膨張弁10等とともに、冷凍サイクル1Aを構成している。
【0112】
圧縮機2は、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル1Aにおいて冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。圧縮機2は、車両のエンジンルーム内に搭載されたエンジン30の出力軸によるベルト駆動されて、冷媒を吸入して、圧縮して吐出する。圧縮機2は、エンジン30から圧縮機2への回転動力の伝達を断続するクラッチ手段としての電磁クラッチ(図示せず)が連結されている。この電磁クラッチは、クラッチ駆動回路(図示せず)により制御される。
【0113】
電磁クラッチが通電(ON)された時に、エンジン30の回転動力が圧縮機2に伝達されて、蒸発器8による空気冷却作用が行われ、電磁クラッチの通電が停止(OFF)した時に、エンジン30と圧縮機2とが遮断され、蒸発器8による空気冷却作用が停止される。電磁クラッチのオンオフは、エバ後温度センサが検出するエバ後温度(TE)と、目標エバ後温度(TEO)との比較結果に応じて制御される。したがって圧縮機は、電動発電機30Aの電力を動力源の1つとしている。
【0114】
凝縮器として機能する室外熱交換器5は、エンジンルーム内に配置されて、内部を流通する冷媒と、室外ファン6から送風された車室外空気(外気)とを熱交換させることにより、圧縮された冷媒を凝縮液化させるものである。室外ファン6は、エアコンECU50から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち、回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
【0115】
アキュムレータ9は、凝縮液化された冷媒を気液分離して余剰液冷媒を蓄えるとともに、液冷媒のみを下流に流す。膨張弁10は、液冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。蒸発器8は、冷媒と送風空気との熱交換により、減圧膨張された冷媒を蒸発気化させる。
【0116】
空調ケース20内において、蒸発器8の空気流れ下流側には、蒸発器8を通過した後の空気を流す加熱用冷風通路28a、冷風バイパス通路28bといった空気通路、並びに、加熱用冷風通路28aおよび冷風バイパス通路28bから流出した空気を混合させる混合空間29が形成されている。
【0117】
加熱用冷風通路28aには、蒸発器8を通過後の空気を加熱するための加熱手段としてのヒータコア23、およびヒータコア23を通過後の空気を再加熱するための補助加熱手段としてのPTCヒータ24が、送風空気流れ方向に向かってこの順で配置されている。
【0118】
ヒータコア23は、車両走行用駆動力を出力するエンジン30の冷却水と蒸発器8を通過後の空気とを熱交換させて、蒸発器8を通過後の空気を加熱する加熱用熱交換器である。
【0119】
ヒータコア23とエンジン30との間に冷却水流路が設けられて、ヒータコア23とエンジン30との間を冷却水が循環する冷却水回路が構成されている。そして、この冷却水回路には、冷却水を循環させるためのウォータポンプ31が設置されている。ウォータポンプ31は、エアコンECU50から出力される制御電圧によって回転数(冷却水循環量)が制御される電動式の水ポンプである。
【0120】
PTCヒータ24は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して、ヒータコア23を通過後の空気を加熱する電気ヒータである。またPTCヒータ24としては、複数本、例えば、3本のPTCヒータ24a,24b,24cを用いている。エアコンECU50が、第1PTCヒータ24a、第2PTCヒータ24b、第3PTCヒータ24cの各PTC素子に対して設けられているスイッチ素子のON、OFFを制御することで、各PTCヒータ24a,24b,24cへの通電・非通電を制御するようになっている。そして、エアコンECU50が、通電するPTCヒータ24の本数を変化させることによって、複数のPTCヒータ24全体としての加熱能力が制御される。
【0121】
一方、冷風バイパス通路28bは、蒸発器8を通過後の空気を、ヒータコア23及びPTCヒータ24を通過させることなく、混合空間29に導くための空気通路である。したがって、混合空間29にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路28aを通過する空気および冷風バイパス通路28bを通過する空気の風量割合によって変化する。
【0122】
本実施形態では、蒸発器8の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路28a及び冷風バイパス通路28bの入口側には、加熱用冷風通路28a及び冷風バイパス通路28bへ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア22Aを配置している。
【0123】
したがって、エアミックスドア22Aは、混合空間29内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整手段を構成する。エアミックスドア22Aは、エアミックスドア用の電動アクチュエータによって駆動され、この電動アクチュエータは、エアコンECU50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0124】
さらに、空調ケース20の送風空気流れ最下流部には、混合空間29から空調対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す吹出口27a,27b,27cが配置されている。この吹出口27a,27b,27cとしては、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口27b、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口27c、および、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口27aが設けられている。
【0125】
また、フェイス吹出口27b、フット吹出口27c、及びデフロスタ吹出口27aの空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口27bの開口面積を調整するフェイスドア26b、フット吹出口27cの開口面積を調整するフットドア26c、デフロスタ吹出口27aの開口面積を調整するデフロスタドア26aが配置されている。
【0126】
これらのフェイスドア26ba、フットドア26c、デフロスタドア26aは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、リンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータに連結されて連動して回転操作される。またデフロスタドア26aは、窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段として機能する。この電動アクチュエータは、エアコンECU50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
【0127】
このような構成の車両用空調装置101でも、前述の第1実施形態と同様に、起動時に吹出モードを制御することによって、前述の第1実施形態と同様の作用および効果を達成することができる。
【0128】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に関して、図13を用いて説明する。図13は、第3実施形態に係る車両用空調装置102の構成を説明するための模式図である。本実施形態の車両用空調装置101における室内空調ユニットは、前述の第2実施形態の車両用空調装置101と特に類似しており、車両用空調装置101から空気を加熱する加熱手段を除去した構成となっている。すなわち、本実施形態の車両用空調装置102は、ヒータコア23、PTCヒータ24およびエアミックスドア22Aを除いた構成であり、いわゆる冷房および除霜が実施できるクーラサイクルによって実現される。
【0129】
また圧縮機2は、第1実施形態と同様の構成であって、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル1Aにおいて冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものであり、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構を電動モータ2aにて駆動する電動圧縮機として構成されている。電動モータ2aは、インバータ90から出力される交流電圧によって、その回転数が制御される交流モータである。
【0130】
このような構成の車両用空調装置101でも、前述の第1実施形態と同様に、起動時に吹出モードを制御することによって、操作性とエネルギー消費の抑制に関して、前述の第1実施形態と同様の作用および効果を達成することができる。
【0131】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0132】
前述の第1実施形態では、ハイブリッド自動車に本発明を適用しているが、ハイブリッド自動車に限るものではなく、電気自動車であってもよい。
【0133】
前述の第1実施形態では、電気式補助熱源としてPTCヒータ24を採用しているが、これに限定するものではない。電気式補助熱源は、通電されることにより、発熱体等から発熱して周囲の空気や物体を加熱できれば他の装置でもよい。
【符号の説明】
【0134】
1…ヒートポンプサイクル(サイクル)
1A…冷凍サイクル(サイクル)
2…圧縮機
5…室外熱交換器
6…室外ファン
8…蒸発器(冷却用熱交換器)
10…第1膨張弁(減圧装置)
20…空調ケース
21…室内用ブロワ(室内用送風機)
23…ヒータコア(加熱用熱交換器)
25a…内気導入口(空気取入口)
25b…外気導入口(空気取入口)
26a…デフロスタドア(吹出風量調節手段)
27a…デフロスタ吹出口(複数の吹出口)
27b…フェイス吹出口(複数の吹出口)
27c…フット吹出口(複数の吹出口)
30…エンジン
43…外気センサ(外気温検出手段)
50…エアコンECU(制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用蓄電装置を搭載した車両の車室内を空調する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリット自動車の空調装置における暖房制御では、まず、内気センサおよび外気センサからのセンサ信号等に基づいて、水温センサにて検出したエンジンの冷却水温が低くても、車室内を暖房する必要があるか否かを判定している。そして、車室内を暖房する必要があると判定した場合には、ハイブリッド自動車の運転状態が発進時または低速走行時であっても、エンジンを作動させることにより、エンジンのウォータジャケット内で暖められた冷却水をヒータコア内に供給して、車室内を暖房するようにしている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−174042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来技術では、温風が必要な場合、車載用蓄電装置の蓄電量にかかわらず車両起動時にエンジンを起動する。したがって、満充電であっても外部環境などにかかわらずエンジンを起動するので、乗員に与える違和感が大きく、さらに充電電力が空調に用いられるので走行に用いる量が減ってしまい燃費が悪化するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、外部環境に応じて、車両起動時のエネルギー消費を抑制することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、車載用蓄電装置が搭載される車両において、サイクル(1)の冷媒流れを制御することによって車室内を空調する車両用空調装置(100)であって、
一方側に空気取入口(25a,25b)が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する複数の吹出口(27a,27b,27c)が形成される空調ケース(20)であって、空気取入口と吹出口との間に送風空気が通過する通風路を内部に有する空調ケースと、
空調ケースの通風路に対して空気を送風する空調用送風機(21)と、
吹出口から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(26a)と、
サイクルを循環する冷媒を吸入し吐出する圧縮機(2)と、
空調ケース内に設けられ、サイクルを循環する冷媒が蒸発して車室内への送風空気を冷却する冷却用熱交換器(8)と、
圧縮機の冷媒吐出量、空調用送風機の送風量、吹出風量調節手段の吹出風量を制御する制御手段(50)と、を含み、
制御手段は、
操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段を制御し、
駐車状態になったときの吹出モードが窓ガラスの曇りを除去する防曇モード中であった場合には、駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、起動したときは吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段を制御することを特徴とする車両用空調装置である。
【0008】
請求項1に記載の発明に従えば、操作者の操作によって車両が駐車状態から走行状態に起動したとき、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、制御手段によって圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段が制御される。これによって前回駐車したときの吹出モードを、新たに操作しなくとも継続して用いることができる。
【0009】
また駐車状態になったときの吹出モードが防曇モード中であった場合には、駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、起動したときは吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように制御手段によって各部が制御される。これによって防曇モードで起動する必要がない場合に、防曇モードで起動することが防止される。したがって操作性を向上することができる。また起動時に防曇モードに以外のモードにすることによって、車室内を防曇モードよりも快適に空調することができる。したがって防曇モードで起動するよりもエネルギー消費を抑制することができる。
【0010】
また請求項2に記載の発明では、車載用蓄電装置が搭載される車両において、サイクル(1)の冷媒流れを制御することによって車室内を空調する車両用空調装置(100)であって、
一方側に空気取入口(25a,25b)が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する複数の吹出口(27a,27b,27c)が形成される空調ケース(20)であって、空気取入口と吹出口との間に送風空気が通過する通風路を内部に有する空調ケースと、
空調ケースの通風路に対して空気を送風する空調用送風機(21)と、
吹出口から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(26a)と、
サイクルを循環する冷媒を吸入し吐出する圧縮機(2)と、
空調ケース内に設けられ、サイクルを循環する冷媒が蒸発して車室内への送風空気を冷却する冷却用熱交換器(8)と、
圧縮機の冷媒吐出量、空調用送風機の送風量、吹出風量調節手段の吹出風量を制御する制御手段(50)と、を含み、
制御手段は、
操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段を制御し、
駐車状態になったときの吹出モードが窓ガラスの曇りを除去する防曇モード中であった場合には、起動したときに、外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段を制御することを特徴とする車両用空調装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明に従えば、操作者の操作によって車両が駐車状態から走行状態に起動したとき、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、制御手段によって圧縮機、空調用送風機および吹出風量調節手段が制御される。これによって前回駐車したときの吹出モードを、新たに操作しなくとも継続して用いることができる。
【0012】
また駐車状態になったときの吹出モードが防曇モード中であった場合には、起動したときに、外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように制御手段によって各部が制御される。これによって防曇モードで起動する必要がない場合に、防曇モードで起動することが防止される。したがって操作性を向上することができる。また起動時に防曇モードに以外のモードにすることによって、車室内を防曇モードよりも快適に空調することができる。したがって防曇モードで起動するよりもエネルギー消費を抑制することができる。
【0013】
さらに請求項3に記載の発明では、車室外の外気温を検出する外気温検出手段(43)をさらに含み、
制御手段は、駐車状態中に外気温が所定温度以上の場合に、防曇モードを維持する必要がないと判断することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明に従えば、制御手段は、駐車状態中に外気温が所定温度以上の場合に、防曇モードを維持する必要がないと判断する。これによって外気温が所定温度未満で低温であり、防曇モードが必要な場合に防曇モードが維持されるので、防曇性を確保することができる。
【0015】
さらに請求項4に記載の発明では、車両は、エンジン(30)および電動モータを駆動源とするハイブリッド車両であり、
空調ケース内に設けられ、エンジンの冷却水を熱源として、車室内への送風空気を加熱する加熱用熱交換器(23)をさらに含み、
制御手段は、
起動時に防曇モードを実施する場合は、エンジンの起動を要求する要求信号の出力し、
起動時に防曇モード以外のモードを実施する場合は、外部環境に応じて要求信号の出力を禁止することを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明に従えば、起動時に防曇モードを実施する場合は、エンジンの起動を要求する要求信号を出力するように制御される。これによって防曇モードにおいて、熱源を確保することができるので、窓曇りの除去を効率よく行うことができる。また起動時に防曇モード以外のモードを実施する場合は、外部環境に応じて要求信号の出力を禁止する。これによって外部環境によっては外気温が高温で不必要なエンジンの起動を抑制することができる。したがって窓晴らし性確保と燃費向上および車外音低減することができる。
【0017】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】車両用空調装置100の構成及びCOOLサイクル時の冷媒流れを説明するための模式図である。
【図2】HOTサイクル時の冷媒流れを説明するための模式図である。
【図3】DRY EVAサイクル時の冷媒流れを説明するための模式図である。
【図4】DRY ALLサイクル時の冷媒流れを説明するための模式図である。
【図5】上記各サイクルにおいて各電磁弁11〜14及び三方弁4の動作状態を示す図表である。
【図6】車両用空調装置100における制御構成を示すブロック図である。
【図7】エアコンECU50による制御処理を示したフローチャートである。
【図8】ブロワ電圧決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】吹出モード決定処理の第1段階の詳細を示すフローチャートである。
【図10】吹出モード決定処理の第2段階の詳細を示すフローチャートである。
【図11】エンジンON要求有無決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係る車両用空調装置101の構成を説明するための模式図である。
【図13】第3実施形態に係る車両用空調装置102の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各実施形態で先行する実施形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付すか、または先行の参照符号に一文字追加し、重複する説明を略する場合がある。また各実施形態にて構成の一部を説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している実施形態と同様とする。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図11を用いて詳細に説明する。第1実施形態は、蒸気圧縮式冷凍機をハイブリッド車両用の空調装置に適用したものである。
【0021】
ハイブリッド車両は、ガソリン等の液体燃料を爆発燃焼させて動力を発生させる走行用内燃機関をなすエンジン30、走行補助用電動機機能及び発電機機能を備える走行補助用の電動発電機、エンジン30への燃料供給量や点火時期等を制御するエンジン用電子制御装置(以下、エンジンECU60ともいう)、電動発電機やエンジンECU60等に電力を供給する電池、電動発電機の制御及び無断変速機や電磁クラッチの制御を行うと共にエンジンECU60に制御信号を出力するハイブリッド電子制御装置(以下、ハイブリッドECU70ともいう)を備えている。したがってハイブリッド車両は、走行するための駆動源としてエンジン30と電動発電機とを有する。ハイブリッドECU70は、電動発電機及びエンジン30のいずれの駆動力を駆動輪に伝達するかの駆動切替を制御する機能、及び電池(車載用蓄電装置)の充放電を制御する機能を備えている。
【0022】
また電池は、車載用蓄電装置であって、車室内空調、走行等によって消費した電力を充電するための充電装置を備えており、例えばニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池等が用いられる。この充電装置は、電力供給源としての電気スタンドや商業用電源(家庭用電源)に接続されるコンセントを備えており、このコンセントに電源供給源を接続することにより、電池の充電を行うこともできる。
【0023】
具体的には、以下のような制御を行う。
(1)車両が停止しているときは、基本的にエンジン30を停止させる。
(2)走行中は、減速時を除き、エンジン30で発生した駆動力を駆動輪に伝達する。なお、減速時は、エンジン30を停止させて電動発電機にて発電して電池に充電する(電気走行モード)。
(3)発進時、加速時、登坂時及び高速走行時等の走行負荷が大きいときには、電動発電機を電動モータとして機能させてエンジン30で発生した駆動力に加えて、電動発電機に発生した駆動力を駆動輪に伝達する(ハイブリッド走行モード)。
(4)電池の充電残量が充電開始目標値以下になったときには、エンジン30の動力を電動発電機に伝達して電動発電機を発電機として作動させて電池の充電を行う。
(5)車両が停止しているときに電池の充電残量が充電開始目標値以下になったときには、エンジンECU60に対してエンジン30を始動する指令を発するとともに、エンジン30の動力を電動発電機に伝達する。
【0024】
車両用空調装置100は、乗員の乗車前に行われる車室内空調(以下、乗車前空調またはプレ空調という)運転が実施可能な空調装置である。車両のユーザーが、乗車前空調運転を行いたいときに携帯する携帯機52を操作すると、エアコンECU50は、携帯機52から送信される乗車前空調運転の命令信号を受信し、所定のプログラムによる演算を行って乗車前空調運転を実行するものである。
【0025】
ユーザーは、車両に乗車しようとする前に車室内の空調環境を快適にしておくために、携帯機52を操作して、通信局であるセンターを通じて車両の空調装置に対して乗車前空調運転の指令を送信する。この乗車前空調運転は、原則として、車両のイグニッションスイッチがOFF状態であること、あるいはエアコンECU50に対して乗員が乗車している信号が送信されていないことが許容条件となる。
【0026】
図1は、車両用空調装置100の構成及びCOOLサイクル(以下、冷房サイクルともいう)時の冷媒流れを説明するための模式図である。図2は、HOTサイクル(以下、暖房サイクルともいう)時の冷媒流れを説明するための模式図である。図3はDRY EVAサイクル(以下、第1の除湿サイクルともいう)時の冷媒流れを説明するための模式図である。図4は、DRY ALLサイクル(以下、第2の除湿サイクルともいう)時の冷媒流れを説明するための模式図である。図5は、上記各サイクルにおいて各電磁弁11〜14及び三方弁4の動作状態を示す図表である。各サイクルにおいて、冷媒が流れる経路は太字実線で示し、冷媒が流れない経路は破線で示している。
【0027】
車両用空調装置100は、アキュムレータ式冷凍サイクルであるヒートポンプサイクル1を用いた装置であり、車室内に送風空気を導く空調ケース20、この空調ケース20内に空気を導入して車室内へ送る室内用ブロワ21(空調用送風機)、及びエンジンECU60に接続されたエアコン電子制御装置(以下、エアコンECU50ともいう)を備える。
【0028】
室内用ブロワ21は、ブロワケース(図示せず)、ファン、ブロワモータよりなり、このブロワモータへの印加電圧に応じて、ブロワモータの回転速度が決定される。ブロワモータへの印加電圧は、上記エアコンECU50からの制御信号に基づいて送風量が制御される。
【0029】
室内用ブロワ21のブロワケースの一方側には、空気を取り入れる空気取入口として、車室内空気(内気)を導入する内気導入口(図示せず)と、車室外空気(外気)を導入する外気導入口(図示せず)とが形成されるとともに、内気導入口と外気導入口との開口割合を調節する内外気切替手段を成す内外気切替ドア25が設けられている。
【0030】
室内用ブロワ21よりも送風空気の下流側における空調ケース20内の通風路には、上流側から下流側に進むにしたがい順に、蒸発器8(冷却用熱交換器)、エアミックスドア22、ヒータコア23、凝縮器3(加熱用熱交換器)、PTCヒータ24(電気式補助熱源)が配置されている。
【0031】
空調ケース20の他方側の下流端(図1の上方)は、車両のフロントウィンドウ(窓ガラス)の内表面に向かって送風空気を吐出するデフロスタ吹出口(図示せず)、乗員の上半身に向かって送風空気を吐出するフェイス吹出口(図示せず)、乗員足元に向かって送風空気を吐出するフット吹出口(図示せず)に接続されている。
【0032】
蒸発器8は室内用ブロワ21直後の通路(通風路)全体を横断するように配置されており、室内用ブロワ21から吹き出された空気全部が通過するようになっている。蒸発器8は冷房サイクル運転時や除湿サイクル運転時において内部を流れる冷媒の吸熱作用によって、送風空気を除湿したり冷却したりする冷却用熱交換器として機能する。
【0033】
ヒータコア23は少なくともその伝熱部分が空調ケース20内の温風側通路のみに位置するように蒸発器8よりも送風空気の下流側に配置されている。ヒータコア23は暖房サイクル運転時において、内部を流れるエンジン30の冷却水の熱を利用して周囲の空気を加熱する加熱用熱交換器として機能する。
【0034】
凝縮器3は、少なくともその伝熱部分が空調ケース20内の温風側通路のみに位置して配置されており、ヒータコア23よりもさらに送風空気の下流側に配置されている。凝縮器3は暖房サイクル運転時、除湿サイクル運転時および冷房サイクル運転時において内部を流れる冷媒の放熱作用によって温風側通路を流れる送風空気を加熱する熱交換器として機能する。
【0035】
PTCヒータ(positive temperature coefficient)24は、少なくともその伝熱部分が温風側通路のみに位置して設置されており、凝縮器3よりもさらに送風空気の下流側に配置されている。PTCヒータ24は暖房サイクル運転や冷房サイクル運転において温風側通路を流れる送風空気を加熱する補助的な加熱手段である。PTCヒータ24は、通電発熱素子部を備え、通電発熱素子部に通電されることによって発熱し、周囲の空気を暖めることができる。
【0036】
この通電発熱素子部は、耐熱性を有する樹脂材料(例えば、66ナイロンやポリブタジエンテレフタレートなど)で成形された樹脂枠の中に複数個のPTC素子を嵌め込むことにより構成したものである。また、PTCヒータ24は、さらに通電発熱素子部からの発熱を伝達する熱交換フィン部を有してもよい。この熱交換フィン部は、アルミニウムの薄板を波形状に成形したコルゲートフィンと、このコルゲートフィンを一定の形状に保つとともにPTC素子や電極板との接触面積を確保するアルミニウムプレートと、をろう付け接合することにより構成したものである。
【0037】
蒸発器8よりも下流側であってヒータコア23や凝縮器3よりも上流側の通風路には、蒸発器8を通過した空気を、凝縮器3を通る空気と凝縮器3を迂回する空気とに分けたり、切り替えたりして、これらの空気の風量比率を調整できるエアミックスドア22が設けられている。
【0038】
エアミックスドア22は、アクチュエータ等によりそのドア本体位置を変化させることで、空調ケース20内の二分された通路である温風側通路および冷風側通路のそれぞれの一部または全部を塞ぐことができる。そして、エアミックスドア22による温風側通路の開度は、温風側通路の横断方向の開口が開放される割合のことであり、0から100%の範囲で調整可能である。また、エアミックスドア22による冷風側通路の開度は、冷風側通路の横断方向の開口が開放される割合のことであり、0から100%の範囲で調整可能である。
【0039】
ヒートポンプサイクル1は、圧縮機2、凝縮器3、三方弁4、室外熱交換器5、第1膨張弁10、第2膨張弁7、蒸発器8、アキュムレータ9、及び各電磁弁11〜14を備える。ヒートポンプサイクル1は、冷凍サイクル内を流れる冷媒(例えば、R134a、CO2等)の状態変化を利用することにより、冷房用の蒸発器8と暖房用の凝縮器3によって冷房、暖房および除湿を行うことができる。また、蒸発器8と凝縮器3とは、室外熱交換器5に対して、室内熱交換器を構成する。
【0040】
冷房サイクル運転時の冷媒は、図1の太字実線の経路を白抜き矢印の向きに流れる。ヒートポンプサイクル1の冷房サイクルは、除湿能力が大きく、図1に示すように冷媒を吸入して吐出する圧縮機2と、圧縮機2から吐出された冷媒が流入する凝縮器3と、冷房サイクル運転時に凝縮器3から流入する冷媒が空気と熱交換して放熱する室外熱交換器5と、凝縮器3を流出した冷媒が室外熱交換器5に向かわせる三方弁4と、室外熱交換器5から蒸発器8への冷媒流れを制御するように設けられた電磁弁11と、電磁弁11によって開放された流路を通ってきた冷媒を減圧する第2膨張弁7と、第2膨張弁7で減圧された冷媒が蒸発して送風空気を冷却する蒸発器8と、冷媒を気液分離するアキュムレータ9と、を配管により環状に接続することにより形成されている。冷房サイクル運転経路は、圧縮機2→凝縮器3→三方弁4→室外熱交換器5→電磁弁11→第2膨張弁7→蒸発器8→アキュムレータ9→圧縮機2となる。
【0041】
このように冷房サイクル運転経路は、三方弁4を室外熱交換器5側の流路と連通するように切り替えることによって、冷房サイクル運転時に凝縮器3で送風空気と熱交換して冷却された冷媒が第1膨張弁10を通らないで室外熱交換器5に流入し、電磁弁11によって開放された流路を通り第2膨張弁7で減圧された後、蒸発器8に流入し、アキュムレータ9を経由して圧縮機2に吸入される経路である。冷房サイクル運転では、凝縮器として機能する室外熱交換器5から、熱が室外に放出され、蒸発器8から熱が吸収される。このとき、凝縮器3も発熱しているが、エアミックスドア22の位置制御で、車室内空気との熱交換量を少なくすることができる。また、電磁弁11と第2膨張弁7との間の通路には、逆流防止用の逆止弁15が設けられている。
【0042】
暖房サイクル運転時の冷媒は、図2の太字実線の経路を黒塗り矢印の向きに流れる。ヒートポンプサイクル1の暖房サイクルは、暖房性能が大であり、除湿能力無しの運転であり、図2に示すように圧縮機2と、暖房サイクル運転時に圧縮機2から吐出された冷媒と空気とを熱交換させて空気を加熱する凝縮器3と、暖房サイクル運転時に凝縮器3から流入した冷媒を減圧する減圧装置としての第1膨張弁10と、第1膨張弁10から室外熱交換器5への冷媒流れを制御するように設けられた電磁弁14と、暖房サイクル運転時に第1膨張弁10で減圧された冷媒を蒸発させる室外熱交換器5と、室外熱交換器5から圧縮機2への冷媒流れを制御するように設けられた電磁弁12と、アキュムレータ9と、を配管により環状に接続することにより形成されている。暖房サイクル運転経路は、圧縮機2→凝縮器3→三方弁4→第1膨張弁10→電磁弁14→室外熱交換器5→電磁弁12→アキュムレータ9→圧縮機2となる。また、電磁弁12とアキュムレータ9との間の通路には、逆流防止用の逆止弁16が設けられている。なお、室外空気が極めて低いときは、暖房サイクルによる暖房は効率が悪いので、冷房サイクルにてエンジン30を稼動させ、エンジン冷却水(温水)の温度を上げて、ヒータコア23の熱で車室内が暖房される。
【0043】
第1の除湿サイクル運転時の冷媒は、図3の太字実線の経路を斜線太矢印の向きに流れる。ヒートポンプサイクル1の第1の除湿サイクルは、暖房性能が小、除湿能力が中レベルの運転であり、例えば、操作パネル51の操作等により、暖房能力が小レベルで車室内の除湿を行うときに選択されて実行される。第1の除湿サイクルは、図3に示すように圧縮機2、凝縮器3、第1膨張弁10、第1膨張弁10から蒸発器8への冷媒流れを制御するように設けられた電磁弁13、第1膨張弁10で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器8、及びアキュムレータ9を配管により環状に接続することにより形成されている。第1の除湿サイクル運転経路は、圧縮機2→凝縮器3→三方弁4→第1膨張弁10→電磁弁13→蒸発器8→アキュムレータ9→圧縮機2となる。この第1の除湿サイクル運転経路は、第1膨張弁10で減圧された冷媒が室外熱交換器5に流入しないで蒸発器8に流入して送風空気を冷却した後、アキュムレータ9を経由して圧縮機2に吸入される経路である。
【0044】
第2の除湿サイクル運転時の冷媒は、図4の太字実線の経路を斜線太矢印の向きに流れる。ヒートポンプサイクル1の第2の除湿サイクルは、暖房性能が中レベル、除湿能力が小レベルの運転であり、例えば、操作パネル51の操作等により、暖房能力が中レベルで車室内の除湿を行うときに選択されて実行される。第2の除湿サイクルは、図4に示すように第1の除湿サイクル運転経路に加え、第1膨張弁10と電磁弁13の間で分岐した冷媒経路を有する。この分岐する冷媒経路は、第1膨張弁10と電磁弁13の間の通路から電磁弁14、室外熱交換器5及び電磁弁12を通り、蒸発器8とアキュムレータ9の間の通路に合流するようになっている。これにより、第2の除湿サイクル運転経路は、圧縮機2→凝縮器3→三方弁4→第1膨張弁10→電磁弁13→蒸発器8→アキュムレータ9→圧縮機2の経路と、第1膨張弁10→室外熱交換器5→電磁弁12→アキュムレータ9の経路とで構成される。この第2の除湿サイクル運転経路は、第1膨張弁10で減圧された冷媒が、室外熱交換器5に流入しないで蒸発器8に流入して送風空気を冷却した後、アキュムレータ9を経由して圧縮機2に吸入される経路と、室外熱交換器5に流入して空気から吸熱した後、アキュムレータ9を経由して圧縮機2に吸入される経路と、を有している。
【0045】
圧縮機2は、内蔵された電動モータ2aにより駆動され、回転数制御が可能であり、回転数に応じて冷媒吐出量が可変である。圧縮機2はインバータ90により周波数が調整された交流電圧が印加されてその電動モータ2aの回転速度が制御される。インバータ90は車載電池から直流電源の供給を受け、エアコンECU50により制御される。
【0046】
室外熱交換器5は、エンジンコンパートメント等の車室外に配置されて、外気と冷媒との熱交換を行うもので、室外ファン6から強制的に送風を受けて暖房サイクル運転時には蒸発器として機能し、冷房サイクル運転時には凝縮器として機能する。
【0047】
第1膨張弁10は固定絞り等の固定式膨張弁(例えばキャピラリチューブ)、定圧式膨張弁、機械式膨張弁等で構成される。第1膨張弁10は、暖房サイクル運転時に室外熱交換器5へ供給される冷媒を減圧膨脹させる。第2膨張弁7は感温筒を備え、蒸発器8出口の冷媒の蒸発状態が適度な過熱度をもつように出口冷媒温度をフィードバックし適切な弁開度によって冷媒流量を制御する温度作動方式を採用している。暖房サイクル及び各除湿サイクルでは、第2膨張弁7で減圧された低圧冷媒を蒸発器8で吸熱して蒸発させ、蒸発器8を通過した冷媒をアキュムレータ9に流入させ、アキュムレータ9で蒸発器8の出口冷媒の気液を分離し、アキュムレータ9内のガス冷媒を圧縮機2に吸入させる。
【0048】
蒸発器8は、送風空気を冷却する冷却用熱交換器であり、冷房サイクル運転時に蒸発器として機能する。この蒸発器8は、第2膨張弁7で減圧膨脹された低温低圧の冷媒と空気との熱交換を行うことにより、コア部を通過する空気を冷却する。
【0049】
凝縮器3は、送風空気を加熱する加熱用熱交換器であり、空調ケース20内で蒸発器8の下流(風下)に配設されて、圧縮機2で圧縮された高温高圧の冷媒と空気との熱交換を行うことにより、コア部を通過する空気を加熱する。ウォータポンプ31は、エンジン冷却水が循環する回路に設けられ、エンジン冷却水から成る温水をヒータコア23に供給する。このヒータコア23は、凝縮器3と共に送風空気を加熱する加熱器として機能する。
【0050】
エアミックスドア22は、蒸発器8からの冷風と凝縮器3等(加熱器)との暖風との混合割合を制御する。アキュムレータ9は、冷凍サイクル内の過剰冷媒を一時蓄えると共に、気相冷媒のみを送り出して、圧縮機2に液冷媒が吸い込まれるのを防止する。
【0051】
三方弁4、常開型の電磁弁11、常閉型の電磁弁12、常閉型の電磁弁13、及び常開型の電磁弁14は、流路切替手段であり、これらの上記各サイクルにおける動作状態は図5に示すとおりである。
【0052】
冷媒圧力センサ40は、ヒートポンプサイクル1の高圧側の流路に設けられ、凝縮器3よりも上流の冷媒の高圧圧力、すなわち圧縮機2の吐出圧力Preを検出する。また、冷媒吸入温度センサ41は、室外熱交換器5の冷媒流れの下流側に設けられ、冷媒吸入温度を検出する。
【0053】
エアコンECU50は、車室内の空調運転を制御する制御手段であり、マイクロコンピュータと、車室内前面に設けられた操作パネル51上の各種スイッチからの信号や、冷媒圧力センサ40、冷媒吸入温度センサ41、内気センサ42、外気センサ(外気温検出手段)43、日射センサ44、入口温度センサ45等からセンサ信号が入力される入力回路と、各種アクチュエータに出力信号を送る出力回路と、を備えている。マイクロコンピュータは、ROM(読み込み専用記憶装置)、RAM(読み込み書き込み可能記憶装置)等のメモリおよびCPU(中央演算装置)等から構成されており、操作パネル51等から送信された運転命令に基づいた演算に使用される各種プログラムを有している。
【0054】
エアコンECU50は、上記の各サイクル運転時に、エアコン環境情報、エアコン運転条件情報及び車両環境情報を受信してこれらを演算し、圧縮機2の設定すべき容量を算出する。そして、エアコンECU50は、演算結果に基づいてインバータ90に対して制御信号を出力し、インバータ90によって圧縮機2の出力量は制御される。
【0055】
このように乗員による操作パネル51や携帯機52の操作によって、空調装置の運転・停止および設定温度などの操作信号などがエアコンECU50に入力されて各種センサの検出信号が入力されると、エアコンECU50は、エンジンECU60、ハイブリッドECU70、ナビゲーションECU80等と通信し、各種の演算結果に基づいて、圧縮機2、室内用ブロワ21、室外ファン6、PTCヒータ24、三方弁4、電磁弁11〜14、内外気切替ドア25、吹出口切替ドア26等の各機器の運転を制御する。ナビゲーションECU80は、たとえば自車の位置情報をエアコンECU50に送信しする。
【0056】
図7は、エアコンECU50による基本的な制御処理を示したフローチャートである。図7において、イグニッションスイッチが投入されてエアコンECU50に電源が供給されると制御がスタートする。以降の各ステップSに係る処理は、エアコンECU50によって実行されるものである。
【0057】
(プレ空調判定)
エアコンECU50は、上記の各種センサからの信号、操作パネル51に設けられた各種操作部材からの信号、または遠隔操作可能な操作手段である携帯機52からの信号等に基づいて、車室内を空調するように構成されている。車両が継続的に停止して乗員が搭乗していないときには、エアコンECU50は、上記携帯機52からのプレ空調要求の有無、または予め設定されたプレ空調運転指令を監視している。
【0058】
図7のステップS1では、携帯機52からプレ空調要求があった場合、または予め送信入力された空調要求時刻に基づいてプレ空調を開始するタイミングとなった場合には、車両が停止状態であるか否かを判断するとともに、電源電力がプレ空調作動時の要求電力に対し大きいか否か判断する。車両が停止状態であり、電源電力がプレ空調要求電力より大きいことを確認したら、プレ空調の実施を許可するためにプレ空調フラグを立てる。
【0059】
(イニシャライズ)
次に、ステップS2で図6のエアコンECU50内のRAM等の記憶されている各パラメータ等を初期化する。
【0060】
(スイッチ信号読み込み)
次に、ステップS3で操作パネル51等からのスイッチ信号等を読み込む。
【0061】
(センサ信号読み込み)
次に、ステップS4で上記の各種センサからの信号を読み込む。
【0062】
(TAO算出基本制御)
次に、ステップS5で、ROMに記憶された下記の数式1を用いて、車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを算出する。
【0063】
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C
…(1)
ここで、Tsetは、温度設定スイッチにて設定された設定温度、Trは内気センサ42にて検出された内気温度、Tamは外気センサ43にて検出された外気温度、Tsは日射センサ44にて検出された日射量である。また、Kset,Kr,Kam及びKsは各ゲインであり、Cは全体にかかる補正用の定数である。そして、このTAO及び上記各種センサからの信号により、エアミックスドア22のアクチュエータの制御値及びウォータポンプ31の回転数の制御値等を算出する。
【0064】
(サイクル・PTC選択)
次に、ステップS6で、運転すべきサイクルの選択及びPTCヒータ24の通電本数の選択を実行する。たとえばプレ空調フラグが立っており、外気温が−3℃より低い場合は、ヒートポンプサイクル1による暖房の効率が悪くなり、かつ室外熱交換器5に着霜しやすくなるため、PTCヒータ24によるプレ空調を実施するのでPTCヒータ24に通電する。外気温が−3℃以上の場合は、自動運転での吹出口モードがフェイスモードの場合には、ヒートポンプサイクル1による暖房の必要なしと判断して、冷房サイクルによるプレ空調を実施する。外気温が−3℃以上であり、フェイスモード以外の場合には、暖房サイクルによる暖房のプレ空調を実施する。
【0065】
プレ空調フラグが立っておらず、プレ空調でなく、外気温が−3℃より低い場合は、暖房サイクルによる暖房の効率が悪くなり、かつ、室外熱交換器5に着霜しやすくなるため、冷房サイクルによる空調を実施する。なお、このときは、エンジン30を稼動し、温水及びヒータコア23の温度を上昇させるようにする。プレ空調でなく、外気温が−3℃以上でフェイスモードである場合は、ヒートポンプサイクル1による暖房の必要なしと判断して、冷房サイクルでの空調を実施する。プレ空調でなく、外気温が−3℃以上でフェイスモードでないと判定された場合は、ヒートポンプサイクル1による暖房の必要有りと判断して、暖房サイクルでの空調を実施する。
【0066】
(ブロワ電圧決定)
次に、図7に示すステップS7において、ROMに記憶されたマップを用いて目標吹出温度TAOに対応するブロワ電圧(室内用ブロワ21のモータに印加する電圧)を決定する。すなわち、室内用ブロワ21のブロワモータへの印可電圧を決定する。このステップS7は、具体的には図8に基づいて実行される。図8は、図7のステップS7におけるブロワ電圧決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0067】
図9に示すように、まずステップS390で自動運転(オート)であるか否かを判定する。自動運転でない場合は、ステップS391にて、操作パネル51で操作された風量設定に相当する印加電圧が決定され(HIのときは12V、M3のときは10V、M2ときは8V、M1のときは6V、LOのときは4V)、ブロワ電圧決定処理を終了する。
【0068】
ステップS390で自動運転であると判定されると、ステップS392でTAOに応じて仮のブロワ電圧を算出する。この仮のブロワ電圧の算出処理は、図8に示すステップS392のマップを用いて算出される。このマップは、目標吹出温度TAO(℃)とブロワ電圧(V)との関係を表したものであり、仮のブロワ電圧は、TAOが10℃以上40℃以下のときは6Vに算出されるものである。
【0069】
次に、ステップS393において、ステップS393に示すマップを用いて、ヒータコア23の水温及びPTC作動本数に応じて仮のウオームアップ風量(f(TW))を算出する。次に、ステップS394において、吹出口がフット(FOOT)かバイレベル(B/L)かフットデフ(F/D)か否かを判定し、FOOT、B/L、F/Dの場合には、ステップS396にて、f(TAO)とf(TW)の小さい方をブロワレベルと決定する。
【0070】
ステップS394にて吹出口がFOOT、B/L、F/D以外の場合には、ステップS397にて吹出口がデフ(DEF)か否かを判定する。DEFの場合、ステップS399にて、風量下限値α=22に設定する。DEF以外の場合、ステップS398にて、風量下限値α=0に設定する。そして、ステップS400にて、ブロワレベルをf(TAO)とαの大きい方を選択する。最後に、S401にて、決定されたブロワレベルを、マップを用いてブロワ電圧に変換し、本制御を終了する。これによってDEF時に風量UPすることで、ウインドウ温度上昇およびウインドウ近傍湿度の低下を行う。
【0071】
(吸込口モード決定)
次に、図7のステップS8で、ROMに記憶されたマップから、目標吹出温度TAOに対応する吸込口モードを決定する。具体的には、目標吹出温度TAOが高いときには、内気循環モードが選択され、目標吹出温度TAOが低いときには、外気導入モードが選択される。
【0072】
(吹出口モード決定)
次に、図7のステップS9で、ROMに記憶されたマップから、目標吹出温度TAOに対応する吹出口モードを決定する。このステップS9は、具体的には図9および図10に基づいて実行される。図9は、図7のステップS9における吹出モード決定処理の第1段階の詳細を示すフローチャートである。図10は、図7のステップS9における吹出モード決定処理の第2段階の詳細を示すフローチャートである。図9および図10に示す処理は、並行して実施されるか、または順次(順不同)実施される。
【0073】
図9に示すように、ステップS400において、イグニッション(IG) ON中か否かを判定する。IG ON中の場合はステップS401でTAOを用いて吹出口を演算する。具体的には、目標吹出温度TAOが高いときには、フットモードが選択され、目標吹出温度TAOの低下に伴ってバイレベルモード、さらにはフェイスモードの順に選択され、本制御を終了する。
【0074】
ステップS400でIG OFFの場合、ステップS402でIG ON→OFFから予め設定される経過時間、たとえば60分経過したか否かを判定する。経過していた場合、ステップS403にて、IG OFF時DEFモードだったか否かを判定する。DEFモードだった場合、ステップS404にて、現在の外気温が所定温度、たとえば0℃を超えているか否かを判定する。超えている場合には、ステップS405Aで、DEFモードをキャンセルし、DEFになる以前のモード(オートorマニュアル固定)へ遷移して本制御を終了する。
【0075】
ステップS402で60分経過していない場合、ステップS403でIG OFF時DEFモードでない場合、およびステップS404で外気温が0℃以下の場合は、ステップS406で、IG OFF時の吹出モードが保持され、本制御を終了する。
【0076】
このような吹出口モード決定処理によって、IG OFF後、所定時間経過したら、エンジンONを要求するDEFモードをキャンセルすることで、操作性向上と燃費向上・車外音低減・充電電力の有効利用ができる。また、DEFモードがウインドウヒータ・ドアミラーヒータ・RrDEF・風量UP・コンプレッサ稼働率向上補助ヒータ作動等を伴っている場合、これらの作動もキャンセルできるので、充電電力の有効利用が更に達成できる。また、外気温が非常に低い時は、次回車両起動時に窓が曇っていたり凍っている可能性があるので、DEFモードの解除は行わないことで防曇性を確保する。ステップS405の判定条件は、外気温以外にも、室温、日射量、エバポレータ温度、ウインドウ温度、湿度等を用いても同様の効果が得られる。
【0077】
図10に示すように、ステップS402Aにおいて、IG OFF→ONになったか否かを判定する。ONになった場合、ステップS403Aにて、IG OFF時DEFモードだったか否かを判定する。DEFモードだった場合、ステップS404Aにて、現在の外気温が所定温度、たとえば0℃を超えているか否かを判定する。超えている場合には、ステップS405Aで、DEFモードをキャンセルし、DEFになる以前のモード(オートorマニュアル固定)へ遷移して本制御を終了する。
【0078】
ステップS402AでONになっていない場合、ステップS403AでIG OFF時DEFモードでない場合、およびステップS404Aで外気温が0℃以下の場合は、ステップS406Aで、IG OFF時の吹出モードが保持され、本制御を終了する。
【0079】
このような吹出口モード決定処理によって、IG ON時、外気温が所定以上高いなどの場合、エンジンONを要求するDEFモードをキャンセルすることで操作性向上と燃費向上・車外音低減・充電電力の有効利用ができる。また、DEFモードがウインドウヒータ・ドアミラーヒータ・RrDEF・風量UP・コンプレッサ稼働率向上補助ヒータ作動等を伴っている場合、これらの作動もキャンセルできるので、充電電力の有効利用が更に達成できる。S404Aの判定条件は、外気温以外にも、室温、日射量、エバポレータ温度、ウインドウ温度、湿度等を用いても同様の効果が得られる。
【0080】
(圧縮機回転数等決定)
次に、図7のステップS10で圧縮機回転数等の決定を実行する。圧縮機回転数の決定は、各種センサの検出信号を用いて算出した目標蒸発器後温度TEOと、実際の蒸発器後温度TEを用いた周知の方法を採用するものとし、ここでは説明を省略する。
【0081】
(室外ファンの出力量決定)
次に、図7に示すステップS11で室外ファン6の出力量を決定する。ここでは、室外ファン6の出力量に相当する風量、仕事量等を制御するために、室外ファン6のモータへの印可電圧を決定する。決定される印加電圧は、複数の段階から選択されるもので、大きい印加電圧ほどファンの回転数が大きく、同様に風量及び騒音値も大きくなる。
【0082】
(PTC・デフォッガの作動決定)
次に、図7のステップS12でPTC・デフォッガの作動決定を実行する。このステップSでは、空調運転に使用することが可能な使用許可電力と、実際の圧縮機2の消費電力との差に基づいて、圧縮機回転数の増減量を決定すると共に、PTCヒータ24またはデフォッガの作動を決定する。ここでいう使用許可電力は、プラグイン仕様により車両に供給される商用電源の電力量及び電池の充電量の少なくとも一方から求められる当該使用許可電力であり、空調運転に使用できる使用電力の制限を示している。また、当該使用許可電力は、電池から供給可能な電力またはプラグインにより供給される商用電源(100Vまたは200V)の電力の中から空調運転用に割り当てることができる電力であってもよい。
【0083】
(各弁ON/OFF決定)
次に、図7のステップS13において、所定の各サイクルで制御が実行できるよう、サイクル中の三方弁4及び電磁弁11〜14のONまたはOFF作動について決定する。この制御では、図5に示した各サイクルに対応する各弁の動作状態となるように、各弁の作動をオン、オフする出力信号を決定する。
【0084】
(エンジンON要求有無決定)
次に、図7に示すステップS14でエンジンONの要求有無を決定する。このステップS14は、具体的には図11に基づいて実行される。図11は、図7のステップS14におけるエンジンON要求有無決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0085】
図11に示すように、本制御がスタートすると、ステップS30にて、エンジン冷却水温度に基づくエンジンON要求の要否判定に用いる判定しきい値であるエンジンOFF水温と、エンジンON水温を算出する。エンジンOFF水温は、エンジンを停止させるときの判定基準となるエンジン冷却水温度であり、エンジンON水温は、エンジンを作動させるときの判定基準となるエンジン冷却水温度である。
【0086】
エンジンOFF水温は、次の数式2で算出された基準冷却水温度TWOと、70℃とのうちの小さい方に決定される(数式3参照)。なお、基準冷却水温度TWOは、エアミックス前の温風温度が目標吹出温度TAOになるものと仮定したときに、必要とされる冷却水温度である。TEは、エバ後温度である。ΔTptcは、PTCヒータ24による吹出温度の上昇推定温度である。
【0087】
TWO={TAO−ΔTptc)−(TE×0.2)}/0.8 …(2)
エンジンOFF水温=MIN(TWO,70) …(3)
一方、エンジンON水温は、頻繁にエンジンがON/OFFするのを防止するため、エンジンOFF水温よりも所定温度(本例では5℃)低く設定される。
【0088】
次に、ステップS31では、エンジン冷却水温度に基づくエンジンON要求の要否決定を行う。具体的には、実際の冷却水温度を、ステップS30で求めたエンジンOFF水温およびエンジンON水温と比較する。そして、冷却水温度がエンジンON水温より低ければ、f(TW)=ONとしてエンジンの作動を仮決定し、冷却水温度がエンジンOFF水温より高ければ、f(TW)=OFFとしてエンジンの停止を決定する。
【0089】
次に、ステップS32では、シートヒータがONになっているか否かを判断し、ONの場合は、ステップS33に移り、OFFの場合は、ステップS34に移る。シートヒータが搭載されていない車両では、常にOFFとなる。ステップS33では、シートヒータがONであるので、ステップS33に示すマップを用いて、シートヒータがONである場合の日射量に応じた補正量としてf(日射量)が決定され、ステップS35に移る。
【0090】
ステップS34では、シートヒータがOFFであるので、ステップS34に示すマップを用いて、シートヒータがOFFである場合の日射量に応じた補正量としてf(日射量)が決定され、ステップS35に移る。
【0091】
次に、ステップS35では、f(日射量)に基づくf(外気温)のオンオフを決定する。具体的には、実際の外気温を、求めたf(日射量)およびf(日射量)+2と比較する。そして、外気温がf(日射量)+2より低ければ、f(外気温)=ONとし、外気温がf(日射量)より高ければ、f(外気温)=OFFとして、ステップS36に移る。
【0092】
次に、ステップS36では、ステップS36に示すマップを用いて、エンジンON要求を決定し、本制御を終了する。出力のエンジンON要求に関して、ステップS31にて決定したf(TW)に原則従うが、太枠で示した場合、すなわち吹出口=DEF以外のモード、車両モード=エコモード、TAO=20℃以上、f(TW)=ONの時、通常はエンジンONを許可するが、f(外気温)=OFFの場合には、エンジンONを許可しない。DEFモードの場合は、防曇性を重視し、エンジンONを行うことで、DEF吹出温をUPし、ウインドウ温度の上昇及びDEF吹き出し風の相対湿度低減を行う。
【0093】
このようなエンジンON要求有無決定処理によって、DEF以外のモードの場合、外気温や日射量に応じて、f(TW)がONであっても、エンジン要求がOFFにされる。したがってf(外気温)がOFFの場合は、外部環境によって熱源が必要ないと判断されたからである。これによってエネルギー消費を抑制することができる。
【0094】
(着霜判定・除霜制御)
次に、図7のステップS15において、着霜判定を行い、着霜と判定されるときは除霜制御を実行する。着霜判定・除霜制御では、プレ空調及び乗車中空調(プレ空調以外の空調)において、冷媒吸入温度センサ41によって検出される冷媒吸入温度に応じて着霜か否かの判定を行い、着霜と判定された場合には暖房サイクル運転の停止、冷房サイクルによる除霜運転を実施する。
【0095】
(制御信号出力)
次に、図7のステップS16において、上記各ステップS1〜15で算出または決定された各制御状態が得られるように、エンジンECU60、インバータ90、PTCヒータ24、各種アクチュエータ、三方弁4及び電磁弁11〜14等に対して制御信号を出力する。そして、図7のステップS17において所定時間の経過を待って、ステップS3に戻り、継続して各ステップSが実行される。
【0096】
以上説明したように本実施形態の車両用空調装置では、操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき(イグニッションがONになったとき)、駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、各部が制御される(図10のステップS406A参照)。これによって前回駐車したときの吹出モードを、新たに操作しなくとも継続して用いることができる。
【0097】
また駐車状態になったときの吹出モードがデフモード(防曇モード)中であった場合には、駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、起動したときは吹出モードをデフモード以外のモードとなるように各部が制御される(図9のステップS405)。これによってデフモードで起動する必要がない場合に、デフモードで起動することが防止される。したがって操作性を向上することができる。また起動時にデフモードに以外のモードにすることによって、車室内をデフモードよりも快適に空調することができる。したがってデフモードで起動するよりもエネルギー消費を抑制することができる。
【0098】
本実施形態では、換言すると窓を晴らすDEFモードを備えたハイブリッドシステムで、DEFモード中に車両システムが停止した場合、所定条件を満たした後、自動的にDEFモードをキャンセルする。これによってIG OFF後、所定時間経過したら、エンジンONを要求するDEFモードをキャンセルすることで、操作性向上と燃費向上・車外音低減・充電電力の有効利用ができる。
【0099】
また、DEFモードがウインドウヒータ・ドアミラーヒータ・RrDEF・風量UP・コンプレッサ稼働率向上・補助ヒータ作動等を伴っている場合、これらの作動もキャンセルできるので、充電電力の有効利用が更に達成できる。
【0100】
また本実施形態では、駐車状態になったときの吹出モードがデフモード中であった場合には、起動したときに、外部環境に基づいてデフモードを維持する必要がないと判断したとき、吹出モードをデフモード以外のモードとなるように各部が制御される(図10のステップS405A)。これによってデフモードで起動する必要がない場合に、デフモードで起動することが防止される。したがって操作性を向上することができる。また起動時にデフモードに以外のモードにすることによって、車室内をデフモードよりも快適に空調することができる。したがってデフモードで起動するよりもエネルギー消費を抑制することができる。
【0101】
また本実施形態では、換言すると、窓を晴らすDEFモードを備えたハイブリッドシステムで、前回走行でDEFモード時に車両システムが起動した場合、所定条件を満たしていた場合は、自動的にDEFモードをキャンセルする。これによってIG ON時、外気温が所定以上高いなどの場合、エンジンONを要求するDEFモードをキャンセルすることで、操作性向上と燃費向上・車外音低減・充電電力の有効利用ができる。また、DEFモードがウインドウヒータ・ドアミラーヒータ・RrDEF・風量UP・コンプレッサ稼働率向上・補助ヒータ作動等を伴っている場合、これらの作動もキャンセルできるので、充電電力の有効利用が更に達成できる。
【0102】
さらに本実施形態では、駐車状態中に外気温が所定温度(たとえば0℃)よりも大きい場合に、デフモードを維持する必要がないと判断する。これによって外気温が所定温度以下で低温であり、デフモードが必要な場合にデフモードが維持されるので、防曇性を確保することができる。
【0103】
さらに本実施形態では、換言すると、外気温が所定温度以上の時にDEFモードのキャンセルを行う。これによって外気温が非常に低い時は、次回車両起動時に窓が曇っていたり凍っている可能性があるので、DEFモードの解除は行わないことで防曇性を確保することができる。
【0104】
また本実施形態では、起動時にデフモードを実施する場合は、エンジンの起動を要求する要求信号の出力する(図11のステップS36参照)。これによってデフモードにおいて、熱源を確保することができるので、窓曇りの除去を効率よく行うことができる。また起動時にデフモード以外のモードを実施する場合は、外部環境に応じて要求信号の出力を禁止する(図11のステップS36参照)。これによって不必要なエンジンの起動を抑制することができる。したがって窓晴らし性確保と燃費向上および車外音低減することができる。
【0105】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に関して、図12を用いて説明する。図12は、第2実施形態に係る車両用空調装置101の構成を説明するための模式図である。本実施形態の車両用空調装置101における室内空調ユニットは、車室内最前部のインストルメントパネルの内側に配置されて、その外殻を形成する空調ケース20内に室内用ブロワ21、蒸発器8、ヒータコア23、PTCヒータ24等を収容している。また、車両用空調装置101における制御構成は、図6に示すブロック図と同様である。以下に、車両用空調装置101に係る説明として、図12に示す形態を中心に第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0106】
空調ケース20は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れたポリプロピレン等の樹脂にて成形されている。空調ケース20内の送風空気流れ最上流側には、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切り替え導入する内外気切替箱が配置されている。
【0107】
内外気切替箱には、空調ケース20内に内気を導入させる内気導入口25aおよび外気を導入させる外気導入口25bが形成されている。さらに、内外気切替箱の内部には、内気導入口25aおよび外気導入口25bの開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドア25が配置されている。
【0108】
内外気切替ドア25は、空調ケース20内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる吸込口モードを切り替える風量割合変更手段を構成する。内外気切替ドア25は、内外気切替ドア25用の電動アクチュエータによって駆動され、この電動アクチュエータは、エアコンECU50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0109】
また、吸込口モードとしては、内気導入口25aを全開とするとともに外気導入口25bを全閉として空調ケース20内へ内気を導入する内気モード、内気導入口25aを全閉とするとともに外気導入口25bを全開として空調ケース20内へ外気を導入する外気モード、さらに、内気モードと外気モードとの間で、内気導入口25aおよび外気導入口25bの開口面積を連続的に調整することにより、内気と外気の導入比率を連続的に変化させる内外気混入モードがある。
【0110】
内外気切替箱の空気流れ下流側には、内外気切替箱を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する室内用ブロワ21が配置されている。この室内用ブロワ21は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機であり、エアコンECU50から出力される制御電圧によって回転数が制御される。
【0111】
室内用ブロワ21の空気流れ下流側には、蒸発器8が配置されている。蒸発器8は、その内部を流通する冷媒と送風空気とを熱交換させて送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。蒸発器8は、圧縮機2、室外熱交換器5(凝縮器)、アキュムレータ9、膨張弁10等とともに、冷凍サイクル1Aを構成している。
【0112】
圧縮機2は、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル1Aにおいて冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。圧縮機2は、車両のエンジンルーム内に搭載されたエンジン30の出力軸によるベルト駆動されて、冷媒を吸入して、圧縮して吐出する。圧縮機2は、エンジン30から圧縮機2への回転動力の伝達を断続するクラッチ手段としての電磁クラッチ(図示せず)が連結されている。この電磁クラッチは、クラッチ駆動回路(図示せず)により制御される。
【0113】
電磁クラッチが通電(ON)された時に、エンジン30の回転動力が圧縮機2に伝達されて、蒸発器8による空気冷却作用が行われ、電磁クラッチの通電が停止(OFF)した時に、エンジン30と圧縮機2とが遮断され、蒸発器8による空気冷却作用が停止される。電磁クラッチのオンオフは、エバ後温度センサが検出するエバ後温度(TE)と、目標エバ後温度(TEO)との比較結果に応じて制御される。したがって圧縮機は、電動発電機30Aの電力を動力源の1つとしている。
【0114】
凝縮器として機能する室外熱交換器5は、エンジンルーム内に配置されて、内部を流通する冷媒と、室外ファン6から送風された車室外空気(外気)とを熱交換させることにより、圧縮された冷媒を凝縮液化させるものである。室外ファン6は、エアコンECU50から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち、回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
【0115】
アキュムレータ9は、凝縮液化された冷媒を気液分離して余剰液冷媒を蓄えるとともに、液冷媒のみを下流に流す。膨張弁10は、液冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。蒸発器8は、冷媒と送風空気との熱交換により、減圧膨張された冷媒を蒸発気化させる。
【0116】
空調ケース20内において、蒸発器8の空気流れ下流側には、蒸発器8を通過した後の空気を流す加熱用冷風通路28a、冷風バイパス通路28bといった空気通路、並びに、加熱用冷風通路28aおよび冷風バイパス通路28bから流出した空気を混合させる混合空間29が形成されている。
【0117】
加熱用冷風通路28aには、蒸発器8を通過後の空気を加熱するための加熱手段としてのヒータコア23、およびヒータコア23を通過後の空気を再加熱するための補助加熱手段としてのPTCヒータ24が、送風空気流れ方向に向かってこの順で配置されている。
【0118】
ヒータコア23は、車両走行用駆動力を出力するエンジン30の冷却水と蒸発器8を通過後の空気とを熱交換させて、蒸発器8を通過後の空気を加熱する加熱用熱交換器である。
【0119】
ヒータコア23とエンジン30との間に冷却水流路が設けられて、ヒータコア23とエンジン30との間を冷却水が循環する冷却水回路が構成されている。そして、この冷却水回路には、冷却水を循環させるためのウォータポンプ31が設置されている。ウォータポンプ31は、エアコンECU50から出力される制御電圧によって回転数(冷却水循環量)が制御される電動式の水ポンプである。
【0120】
PTCヒータ24は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して、ヒータコア23を通過後の空気を加熱する電気ヒータである。またPTCヒータ24としては、複数本、例えば、3本のPTCヒータ24a,24b,24cを用いている。エアコンECU50が、第1PTCヒータ24a、第2PTCヒータ24b、第3PTCヒータ24cの各PTC素子に対して設けられているスイッチ素子のON、OFFを制御することで、各PTCヒータ24a,24b,24cへの通電・非通電を制御するようになっている。そして、エアコンECU50が、通電するPTCヒータ24の本数を変化させることによって、複数のPTCヒータ24全体としての加熱能力が制御される。
【0121】
一方、冷風バイパス通路28bは、蒸発器8を通過後の空気を、ヒータコア23及びPTCヒータ24を通過させることなく、混合空間29に導くための空気通路である。したがって、混合空間29にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路28aを通過する空気および冷風バイパス通路28bを通過する空気の風量割合によって変化する。
【0122】
本実施形態では、蒸発器8の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路28a及び冷風バイパス通路28bの入口側には、加熱用冷風通路28a及び冷風バイパス通路28bへ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア22Aを配置している。
【0123】
したがって、エアミックスドア22Aは、混合空間29内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整手段を構成する。エアミックスドア22Aは、エアミックスドア用の電動アクチュエータによって駆動され、この電動アクチュエータは、エアコンECU50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
【0124】
さらに、空調ケース20の送風空気流れ最下流部には、混合空間29から空調対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す吹出口27a,27b,27cが配置されている。この吹出口27a,27b,27cとしては、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口27b、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口27c、および、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口27aが設けられている。
【0125】
また、フェイス吹出口27b、フット吹出口27c、及びデフロスタ吹出口27aの空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口27bの開口面積を調整するフェイスドア26b、フット吹出口27cの開口面積を調整するフットドア26c、デフロスタ吹出口27aの開口面積を調整するデフロスタドア26aが配置されている。
【0126】
これらのフェイスドア26ba、フットドア26c、デフロスタドア26aは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、リンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータに連結されて連動して回転操作される。またデフロスタドア26aは、窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段として機能する。この電動アクチュエータは、エアコンECU50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
【0127】
このような構成の車両用空調装置101でも、前述の第1実施形態と同様に、起動時に吹出モードを制御することによって、前述の第1実施形態と同様の作用および効果を達成することができる。
【0128】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に関して、図13を用いて説明する。図13は、第3実施形態に係る車両用空調装置102の構成を説明するための模式図である。本実施形態の車両用空調装置101における室内空調ユニットは、前述の第2実施形態の車両用空調装置101と特に類似しており、車両用空調装置101から空気を加熱する加熱手段を除去した構成となっている。すなわち、本実施形態の車両用空調装置102は、ヒータコア23、PTCヒータ24およびエアミックスドア22Aを除いた構成であり、いわゆる冷房および除霜が実施できるクーラサイクルによって実現される。
【0129】
また圧縮機2は、第1実施形態と同様の構成であって、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル1Aにおいて冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものであり、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構を電動モータ2aにて駆動する電動圧縮機として構成されている。電動モータ2aは、インバータ90から出力される交流電圧によって、その回転数が制御される交流モータである。
【0130】
このような構成の車両用空調装置101でも、前述の第1実施形態と同様に、起動時に吹出モードを制御することによって、操作性とエネルギー消費の抑制に関して、前述の第1実施形態と同様の作用および効果を達成することができる。
【0131】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0132】
前述の第1実施形態では、ハイブリッド自動車に本発明を適用しているが、ハイブリッド自動車に限るものではなく、電気自動車であってもよい。
【0133】
前述の第1実施形態では、電気式補助熱源としてPTCヒータ24を採用しているが、これに限定するものではない。電気式補助熱源は、通電されることにより、発熱体等から発熱して周囲の空気や物体を加熱できれば他の装置でもよい。
【符号の説明】
【0134】
1…ヒートポンプサイクル(サイクル)
1A…冷凍サイクル(サイクル)
2…圧縮機
5…室外熱交換器
6…室外ファン
8…蒸発器(冷却用熱交換器)
10…第1膨張弁(減圧装置)
20…空調ケース
21…室内用ブロワ(室内用送風機)
23…ヒータコア(加熱用熱交換器)
25a…内気導入口(空気取入口)
25b…外気導入口(空気取入口)
26a…デフロスタドア(吹出風量調節手段)
27a…デフロスタ吹出口(複数の吹出口)
27b…フェイス吹出口(複数の吹出口)
27c…フット吹出口(複数の吹出口)
30…エンジン
43…外気センサ(外気温検出手段)
50…エアコンECU(制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用蓄電装置が搭載される車両において、サイクル(1)の冷媒流れを制御することによって車室内を空調する車両用空調装置(100)であって、
一方側に空気取入口(25a,25b)が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する複数の吹出口(27a,27b,27c)が形成される空調ケース(20)であって、前記空気取入口と前記吹出口との間に送風空気が通過する通風路を内部に有する空調ケースと、
前記空調ケースの通風路に対して空気を送風する空調用送風機(21)と、
前記吹出口から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(26a)と、
前記サイクルを循環する冷媒を吸入し吐出する圧縮機(2)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記サイクルを循環する冷媒が蒸発して車室内への送風空気を冷却する冷却用熱交換器(8)と、
前記圧縮機の冷媒吐出量、前記空調用送風機の送風量、前記吹出風量調節手段の吹出風量を制御する制御手段(50)と、を含み、
前記制御手段は、
操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき、前記駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、前記圧縮機、前記空調用送風機および前記吹出風量調節手段を制御し、
前記駐車状態になったときの吹出モードが窓ガラスの曇りを除去する防曇モード中であった場合には、前記駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、前記起動したときは前記吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように前記圧縮機、前記空調用送風機および前記吹出風量調節手段を制御することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
車載用蓄電装置が搭載される車両において、サイクル(1)の冷媒流れを制御することによって車室内を空調する車両用空調装置(100)であって、
一方側に空気取入口(25a,25b)が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する複数の吹出口(27a,27b,27c)が形成される空調ケース(20)であって、前記空気取入口と前記吹出口との間に送風空気が通過する通風路を内部に有する空調ケースと、
前記空調ケースの通風路に対して空気を送風する空調用送風機(21)と、
前記吹出口から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(26a)と、
前記サイクルを循環する冷媒を吸入し吐出する圧縮機(2)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記サイクルを循環する冷媒が蒸発して車室内への送風空気を冷却する冷却用熱交換器(8)と、
前記圧縮機の冷媒吐出量、前記空調用送風機の送風量、前記吹出風量調節手段の吹出風量を制御する制御手段(50)と、を含み、
前記制御手段は、
操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき、前記駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、前記圧縮機、前記空調用送風機および前記吹出風量調節手段を制御し、
前記駐車状態になったときの吹出モードが窓ガラスの曇りを除去する防曇モード中であった場合には、前記起動したときに、外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、前記吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように前記圧縮機、前記空調用送風機および前記吹出風量調節手段を制御することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
車室外の外気温を検出する外気温検出手段(43)をさらに含み、
前記制御手段は、前記駐車状態中に前記外気温が所定温度以上の場合に、防曇モードを維持する必要がないと判断することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記車両は、エンジン(30)および電動モータを駆動源とするハイブリッド車両であり、
前記空調ケース内に設けられ、前記エンジンの冷却水を熱源として、車室内への送風空気を加熱する加熱用熱交換器(23)をさらに含み、
前記制御手段は、
前記起動時に前記防曇モードを実施する場合は、前記エンジンの起動を要求する要求信号の出力し、
前記起動時に前記防曇モード以外のモードを実施する場合は、外部環境に応じて前記要求信号の出力を禁止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項1】
車載用蓄電装置が搭載される車両において、サイクル(1)の冷媒流れを制御することによって車室内を空調する車両用空調装置(100)であって、
一方側に空気取入口(25a,25b)が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する複数の吹出口(27a,27b,27c)が形成される空調ケース(20)であって、前記空気取入口と前記吹出口との間に送風空気が通過する通風路を内部に有する空調ケースと、
前記空調ケースの通風路に対して空気を送風する空調用送風機(21)と、
前記吹出口から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(26a)と、
前記サイクルを循環する冷媒を吸入し吐出する圧縮機(2)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記サイクルを循環する冷媒が蒸発して車室内への送風空気を冷却する冷却用熱交換器(8)と、
前記圧縮機の冷媒吐出量、前記空調用送風機の送風量、前記吹出風量調節手段の吹出風量を制御する制御手段(50)と、を含み、
前記制御手段は、
操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき、前記駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、前記圧縮機、前記空調用送風機および前記吹出風量調節手段を制御し、
前記駐車状態になったときの吹出モードが窓ガラスの曇りを除去する防曇モード中であった場合には、前記駐車状態中に外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、前記起動したときは前記吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように前記圧縮機、前記空調用送風機および前記吹出風量調節手段を制御することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
車載用蓄電装置が搭載される車両において、サイクル(1)の冷媒流れを制御することによって車室内を空調する車両用空調装置(100)であって、
一方側に空気取入口(25a,25b)が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する複数の吹出口(27a,27b,27c)が形成される空調ケース(20)であって、前記空気取入口と前記吹出口との間に送風空気が通過する通風路を内部に有する空調ケースと、
前記空調ケースの通風路に対して空気を送風する空調用送風機(21)と、
前記吹出口から窓ガラスの内表面に向かう吹出風量を調節する吹出風量調節手段(26a)と、
前記サイクルを循環する冷媒を吸入し吐出する圧縮機(2)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記サイクルを循環する冷媒が蒸発して車室内への送風空気を冷却する冷却用熱交換器(8)と、
前記圧縮機の冷媒吐出量、前記空調用送風機の送風量、前記吹出風量調節手段の吹出風量を制御する制御手段(50)と、を含み、
前記制御手段は、
操作者の操作によって車両が駐車状態から走行可能な走行状態に起動したとき、前記駐車状態になったときの送風空気の吹出モードとなるように、前記圧縮機、前記空調用送風機および前記吹出風量調節手段を制御し、
前記駐車状態になったときの吹出モードが窓ガラスの曇りを除去する防曇モード中であった場合には、前記起動したときに、外部環境に基づいて防曇モードを維持する必要がないと判断したとき、前記吹出モードを防曇モード以外のモードとなるように前記圧縮機、前記空調用送風機および前記吹出風量調節手段を制御することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
車室外の外気温を検出する外気温検出手段(43)をさらに含み、
前記制御手段は、前記駐車状態中に前記外気温が所定温度以上の場合に、防曇モードを維持する必要がないと判断することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記車両は、エンジン(30)および電動モータを駆動源とするハイブリッド車両であり、
前記空調ケース内に設けられ、前記エンジンの冷却水を熱源として、車室内への送風空気を加熱する加熱用熱交換器(23)をさらに含み、
前記制御手段は、
前記起動時に前記防曇モードを実施する場合は、前記エンジンの起動を要求する要求信号の出力し、
前記起動時に前記防曇モード以外のモードを実施する場合は、外部環境に応じて前記要求信号の出力を禁止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−60145(P2013−60145A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200825(P2011−200825)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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