説明

車両用表示装置

【課題】 故障診断など車両を管理する際に、車載の表示手段を兼用するとともに、セキュリティを確保できる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 画像を表示する表示手段3と、車載された外部機器からの情報を入力し、この情報に基づく車両情報を表示手段3に表示させる制御手段2とを備えた車両用表示装置であって、制御手段2は、前記情報に基づく第1の車両情報を表示手段3に表示する通常モードと、前記第1の車両情報とは異なる情報を含む第2の車両情報を表示手段3に表示する管理モードとを切り換え可能にするとともに、専用の外部端末5の接続によって、前記通常モードから前記管理モードへの移行を許可してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの信号に基づいて管理モードに移行し、記憶部に格納された所定のプログラムに基づいて表示手段が作動するように制御する制御手段を備えた車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
確認モードにおいて、車両からの情報に依存せず、計器に搭載された指針や照明などに対して、適正に作動することができるか確認するなど、故障の自己診断を行うことができるシステムが提案されており、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−182473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらのシステムにあっては、故障診断するための確認モードへ移行するために、車両に備えられたスイッチ類を用いて行うため、誰もが故障データ等を読み取り、更新など操作できる可能性があるため、充分な管理ができない虞があった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、上述した課題に着目してなされたものであって、故障診断など車両を管理する際に、車載の表示手段を兼用するとともに、セキュリティを確保できる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用表示装置は、画像を表示する表示手段と、車載された外部機器からの情報を入力し、この情報に基づく車両情報を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えた車両用表示装置であって、前記制御手段は、前記情報に基づく第1の車両情報を前記表示手段に表示する通常モードと、前記第1の車両情報とは異なる情報を含む第2の車両情報を前記表示手段に表示する管理モードとを切り換え可能にするとともに、専用の外部端末の接続によって、前記通常モードから前記管理モードへの移行を許可してなることを特徴とする。
【0007】
また、前記制御手段は、所定の入力手段によって前記表示手段に表示される表示内容を切り換え表示させるとともに、前記管理モードにおいて、前記入力手段の操作に基づいて、前記第2の車両情報の更新を促す更新処理を行うことを特徴とする。
【0008】
また、前記表示手段及び前記制御手段は、車両用計器内に設けられ、前記通常モード時に、少なくとも走行距離を含む第1の車両情報を表示し、前記管理モード時に、少なくとも故障データを含む第2の車両情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、外部からの信号に基づいて管理モードに移行し、記憶部に格納された所定のプログラムに基づいて表示手段が作動するように制御する制御手段を備えた車両用表示装置に関し、故障診断など車両を管理する際に、車載の表示手段を兼用するとともに、セキュリティを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の車両用表示装置の構成を示す図。
【図2】同上実施の形態の制御手段の処理について示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態として、本発明の車両用表示装置を車両用計器に適用したものについて、添付図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、車両用計器の構成を示す図であり、入力手段1と、制御手段2と、表示手段3と、鳴動手段4と、から構成されている。
【0013】
入力手段1は、確認者が押し圧操作できるスイッチを適用でき、操作に応じて制御手段2に信号を出力するものである。入力手段1は、この場合、通常モード時において、計器に搭載された照明輝度の調整用スイッチや液晶表示画面の切り換え用スイッチとして用いてなる。なお、入力手段1は、例えば、ステアリングスイッチなど計器外の車両インターフェースを用いることもできる。
【0014】
制御手段2は、マイクロコンピュータを適用でき、入力される情報や所定のプログラムを格納するための記憶部と、これらの情報やプログラムに基づいて演算処理を行う演算部と、入力手段1からの信号、シリアル通信用のケーブルを介して、電子制御ユニット(ECU)など外部機器からの車両情報や外部端末(専用端末)5を介して許可信号等を入力、または表示手段3や鳴動手段4へ制御信号を出力するための入出力インターフェース等を設けてなる。
【0015】
また、制御手段2は、入力手段1による所定操作によって、通常モードと管理モードとを切り換えることができ、各々用意されたプログラムに基づいて、表示手段3や鳴動手段4を作動させるための制御信号を生成し出力する。
【0016】
表示手段3は、制御手段2からの制御信号に基づいて、画像を表示することができるマトリックス状の表示パネルを適用でき、この場合、薄膜トランジスタ(TFT)タイプの液晶表示パネルとこの液晶表示パネルを透過照明するバックライトとから構成される。なお、車両用計器は、この場合、車両の各種計測値(第1の車両情報)を表示するため、積算走行処理や燃費情報、外気温度などの計測値を数値やゲージにて表現する液晶表示部の他に、車両速度などの計測値を表示するため、回動する指針と、この指針の指示対象となる指標を備えた文字板と、指針の駆動源となるモータとを設けてなる所謂アナログ表示部を設けてなる。
【0017】
鳴動手段4は、スピーカを適用でき、制御手段2からの制御信号に基づいて、所望の音を発するように構成される。鳴動手段4は、この場合、通常モードにおいて、警報時の注意喚起や音声ガイドなどを行うために作動する。
【0018】
次に、制御手段2による管理モードに関する処理について説明する。
【0019】
制御手段2は、通常モード時において、車両の通信ケーブルに外部端末5が接続され、通信状態であるか否かを判定する接続判定処理(ステップS1)を行う。なお、外部端末5は、シリアル通信用のケーブルに読み出し許可信号を定期的に出力(送信)するようにしている。従って、制御手段2は、外部端末5から読み出し許可信号が受信されているかを監視し、外部端末5がシリアル通信上に接続されたか否かを判別することができる。
【0020】
制御手段2は、前述の接続判定処理によって、外部端末5が通信ネットワーク上にある場合には、管理者が操作しているものと判別し、通常モードから管理モードへと移行し(ステップS2)、表示手段3の表示を、通常の車両情報(積算走行距離情報などの第1の車両情報)の表示画面から、例えば、故障データなどの車両情報(第2の車両情報)を含む表示画面へ画面切換えして、これら第2の車両情報を閲覧可能にしている。なお、制御手段2は、管理モードにおいても、入力手段1の操作や外部端末5の操作に基づく信号を受けて、表示手段3に表示する表示内容を切り換えて、多様な表示を行うように制御している。
【0021】
さらに制御手段2は、外部端末5から更新許可信号が送信されているか否かを判定する信号判定処理(ステップS3)を行う。なお、外部端末5は、外部端末5に設けられた所定のスイッチを操作することによって、シリアル通信用ケーブルに更新許可信号を送信するように構成されている。
【0022】
従って、制御手段2は、管理モードにおいて読み出したデータについて更新できる権限を有する管理者が操作しているものと判別し、入力手段1や外部端末5のスイッチ操作に応じて、例えば、故障データやその他の履歴情報のリセットや、設定値の変更など、第2の車両情報を更新して格納するような状態(更新可能状態)に移行する(ステップS4)。これによって、例えば、故障データに基づいて、対象部品を交換してから、日時や部品番号などの部品交換情報を入力したり、故障データをリセットするなどして、車載の記憶媒体の情報を管理できる。なお、制御手段2は、管理モードにおいて、車両用計器内の不揮発性記憶媒体に格納された故障データを含む車両情報(第2の車両情報)を更新させることや、シリアル通信ケーブルを介した通信によって外部機器に設けられる記憶媒体に格納された車両情報(第2の車両情報)を更新させることができる。
【0023】
なお、制御手段2は、これら管理モード中においての操作方法や機能説明など、鳴動手段4を用いて音声案内させることができる。従って、管理者は、操作や確認など容易に車両の管理作業を行うことができる。
【0024】
また、制御手段2は、所定の条件が継続しているか否かを条件判定し(ステップS5)、所定の条件でない場合には、通常モードへ移行し(ステップS6)、管理モードへの移行を禁止状態にする。なお、制御手段2は、イグニッションスイッチのオフ状態や、ギアポジションのパーキング位置、読み出し許可信号や更新許可信号の定期的な入力、所定時間(例えば、10分間)内に入力手段1や外部端末5の操作があったことなどの条件を前述した所定の条件として判定している。
【0025】
これらの処理を繰り返すことによって、状態に応じて各モードの切り換えや更新可能状態への移行ができる。
【0026】
斯かる車両用表示装置は、画像を表示する表示手段3と、車載された外部機器からの情報を入力し、この情報に基づく車両情報を表示手段3に表示させる制御手段2とを備えた車両用表示装置であって、制御手段2は、前記情報に基づく第1の車両情報を表示手段3に表示する通常モードと、前記第1の車両情報とは異なる情報を含む第2の車両情報を表示手段3に表示する管理モードとを切り換え可能にするとともに、専用の外部端末5の接続によって、前記通常モードから前記管理モードへの移行を許可してなることを特徴とする。
【0027】
従って、車種毎に異なる管理方法や管理項目については、車種毎に異なって設けられる車両用計器を用いて管理することができるため、外部端末5については、読み出し許可信号や更新許可信号などの送信出力のように単純なプログラムで済むため、外部端末5の汎用化が容易となる。また、表示手段3を通常の計測値表示(第1の車両情報の表示)と管理用のデータ表示(第2の車両情報の表示)とを兼用することができる。また、外部端末5を用いることによって、セキュリティを確保できる車両用表示装置となる。
【0028】
また、制御手段2は、所定の入力手段1によって表示手段3に表示される表示内容を切り換え表示させるとともに、前記管理モードにおいて、入力手段1の操作に基づいて、前記第2の車両情報の更新を促す更新処理を行うことができる。また、表示手段3及び制御手段2は、車両用計器内に設けられ、前記通常モード時に、少なくとも走行距離を含む第1の車両情報を表示し、前記管理モード時に、少なくとも故障データを含む第2の車両情報を表示する。
【0029】
従って、管理者は、例えば、車両の運転用座席に着座した状態で、ステアリングや各種操作パネルの操作を伴う故障診断等の確認操作を行うとともに、故障データなどを管理する操作ができるため、作業性が良好となる。
【0030】
なお、本発明の車両用表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。例えば、鳴動手段4としてスピーカを用いたものを説明したが、通常モードにおいて音声出力など精細な出力が必要ない場合には、ブザーを代替してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、例えば、自動車、あるいは農業機械や建設機械などの移動体に搭載される車両用計器として適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 入力手段
2 制御手段
3 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
車載された外部機器からの情報を入力し、この情報に基づく車両情報を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えた車両用表示装置であって、
前記制御手段は、前記情報に基づく第1の車両情報を前記表示手段に表示する通常モードと、前記第1の車両情報とは異なる情報を含む第2の車両情報を前記表示手段に表示する管理モードとを切り換え可能にするとともに、専用の外部端末の接続によって、前記通常モードから前記管理モードへの移行を許可してなることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、所定の入力手段によって前記表示手段に表示される表示内容を切り換え表示させるとともに、前記管理モードにおいて、前記入力手段の操作に基づいて、前記第2の車両情報の更新を促す更新処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示手段及び前記制御手段は、車両用計器内に設けられ、前記通常モード時に、少なくとも走行距離を含む第1の車両情報を表示し、前記管理モード時に、少なくとも故障データを含む第2の車両情報を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−76585(P2012−76585A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223433(P2010−223433)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】