説明

車体側部構造

【課題】サイドアウタパネルをサイドアウタ前部とサイドアウタ後部とに分割した場合の分割部の剛性を維持しつつ、ドアが設定されている車体構造と設定されていない車体構造のいずれにも対応できるように部品の共用化を図る。
【解決手段】車体側部の上部にて車体前後方向に延びるサイドパネルアウタセンタアッパ1の後方部分1aを、サイドパネルアウタリアアッパ3の前方部分3aの車体内側に配置して重ね合わせた状態で接合する。この車体内側に配置したサイドパネルアウタセンタアッパ1の後方部分1aの後端に、サイドパネルアウタリアアッパ3から離間するようにして内側に向けて屈曲する屈曲部1eを、車体上下方向に沿って設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部の上部にて車体前後方向に延びるサイドアウタ前部の後方部分に、サイドアウタ後部の前方部分を接合する車体側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体側部の上部にて車体前後方向に延びるサイドアウタ前部の後方部分に、サイドアウタ後部の前方部分を接合する際に、サイドアウタ前部を、ピラー部を含むものとしてサイドアウタ後部に重なるように後方に延長形成して剛性を高めた車体側部構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−211435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、サイドアウタを車体前後で2分割した構造では、該2分割部の接合部の剛性を高める必要がある。
【0005】
ところが、上記した従来の技術は、ドアが設定されている車体構造についてのものであって、ドアが設定されていない車体構造については特に考慮しておらず、いずれの車体構造にも対応できるようにするにあたっては、コスト低下を図るべく部品の共通化が求められる。
【0006】
そこで、本発明は、サイドアウタパネルをサイドアウタ前部とサイドアウタ後部とに分割した場合の接合部の剛性を維持しつつ、ドアが設定されている車体構造と設定されていない車体構造のいずれにも対応できるように部品の共通化を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、サイドアウタ前部の後方部分を、サイドアウタ後部の前方部分の車体内側に重ね合わせた状態で接合し、このサイドアウタ前部の後方部分の後端に、車体内側に向けて屈曲する屈曲部を車体上下方向に沿って設け、サイドアウタ後部は、サイドアウタ前部の車体下方にドア開口部が形成される第1の構造と、サイドアウタ前部の車体下方に窓枠が形成される第2の構造とで、互いに共通部品として機能していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サイドアウタ前部の後方部分に設けた屈曲部によって、サイドアウタ前部の後方部分を、サイドアウタ後部の前方部分の車体内側に重ね合わせた状態で面接合していても、サイドアウタ前部とサイドアウタ後部との接合部の剛性を確保することができる。その際、サイドアウタ後部は、サイドアウタ前部の車体下方にドア開口部が形成される第1の構造と、サイドアウタ前部の車体下方に窓枠が形成される第2の構造とで、互いに共通部品として機能しているので、これら各構造相互間で異なる形状とする必要がなくコスト低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係わるスライドドアを備える車体側部構造の要部の斜視図である。
【図2】(a)は図1のA−A(図5のC−C)断面図、(b)は図1のB−B断面図である。
【図3】図1の車体側部構造の分解斜視図である。
【図4】(a)は図1の車体側部構造を備える車体の斜視図、(b)は図5の車体側部構造を備える車体の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係わるスライドドアを備えていない車体側部構造の要部の斜視図である。
【図6】(a)は図5のD−D断面図、(b)は図5のE−E断面図である。
【図7】図5の車体側部構造の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0011】
図1、図3に示すように、車体側部の上部にて車体前後方向に延びるサイドアウタ前部としてのサイドパネルアウタセンタアッパ1は、その後方部分1aにサイドアウタ後部としてのサイドパネルアウタリアアッパ3の前方部分3aを接合している。
【0012】
なお、図中で矢印FRが車体前方、矢印OTRが車体外方、矢印UPRが車体上方をそれぞれ示している。
【0013】
サイドパネルアウタセンタアッパ1は、その下縁をサイドパネルアウタセンタ5の上縁に車体外側から接合している。このとき、図3に示すように、サイドパネルアウタセンタアッパ1の下縁に車体下方に突出する突起1bを形成してあり、この突起1bを、後述するサイドパネルアウタリア7の接合部7bを介してサイドパネルアウタセンタ5の接合部5aに接合する。
【0014】
一方、サイドパネルアウタリアアッパ3は、その下縁をサイドパネルアウタリア7に車体外側から接合している。このとき、図3に示すように、サイドパネルアウタリアアッパ3の下縁のフランジ3bを、サイドパネルアウタリア7の接合部7aに重ね合わせて接合する。
【0015】
ここで、サイドパネルアウタセンタアッパ1は、サイドパネルアウタセンタ5の接合部5aにサイドパネルアウタリア7の接合部7bを重ね合わせて接合した上に、突起1bを接合部7bに重ね合わせて接合する。つまり、接合順序としては、サイドパネルアウタセンタ5にサイドパネルアウタリア7を重ね合わせた後、サイドパネルアウタセンタアッパ1を重ね合わせ、最後にサイドパネルアウタリアアッパ3を重ね合わせることになる。
【0016】
ここで、サイドパネルアウタセンタ5のサイドパネルアウタリア7側には下方に延びるピラー部5bを備え、サイドパネルアウタリア7のサイドパネルアウタセンタ5側には下方に延びるピラー部7cを備えている。これら各ピラー部5b,7cによってピラー9を形成し、ピラー9の車体前方にドア開口部11が形成され、ピラー9の車体後方には窓開口部13が形成される。ドア開口部11には、図4に示すスライドドア12が車体前後方向にスライド移動可能に取り付ける。
【0017】
サイドパネルアウタセンタアッパ1は、ドア開口部11に対応する位置にあって車体の外表面を形成する表面形成部1cの車体後方側に、図2に示すように車体内側(図2(a)中で上側)に凹ませた凹部1dを形成してある。この凹部1dのさらに車体後方側に、前記した後方部分1aを形成している。
【0018】
凹部1dは、表面形成部1cから車体後方かつ車体内側へ向けて傾斜する前側傾斜面1d1と、前側傾斜面1d1から車体後方へ延びて表面形成部1cとほぼ平行な平面部1d2と、平面部1d2から車体後方かつ車体外側へ向けて傾斜する後側傾斜面1d3とを備えている。後側傾斜面1d3は前側傾斜面1d1よりも表面形成部1cに対して傾斜が緩やかになっている。後側傾斜面1d3の車体後端に連続する後方部分1aは、表面形成部1cの外表面よりも僅かに車体内側に位置して、表面形成部1cに対してほぼ平行となっている。
【0019】
そして、サイドパネルアウタセンタアッパ1の後方部分1aの後端には、車体内側に屈曲する屈曲部1eを形成している。この屈曲部1eは、後方部分1aの端部から車体内側(図2(a)中で上側)にほぼ直角に立ち上がる縦壁1e1と、縦壁1e1から後方部分1aとほぼ平行に車体後方へ延びる延長部1e2とを備えている。
【0020】
このように形成したサイドパネルアウタセンタアッパ1は、図3に示すように、後方部分1a及びその後端の屈曲部1eも含めて、車体外側が凸となるよう車体上下方向に沿って湾曲している。
【0021】
このようなサイドパネルアウタセンタアッパ1に対し、その後方部分1aの車体外側面に、サイドパネルアウタリアアッパ3を重ね合わせて接合している。すなわち、サイドパネルアウタセンタアッパ1の後方部分1aを、サイドパネルアウタリアアッパ3の前方部分3aの車体内側に配置して重ね合わせた状態で接合していることになる。
【0022】
このとき、後方部分1aの後端に形成してある屈曲部1eの延長部1e2は、サイドパネルアウタリアアッパ3から離間した状態となっている。すなわち、サイドパネルアウタリアアッパ3から離間するようにして内側に向けて屈曲する屈曲部1eを、車体上下方向に沿って設けていることになる。
【0023】
ここでサイドパネルアウタリアアッパ3は、サイドパネルアウタセンタアッパ1の後方部分1aに重ね合わせることで、サイドパネルアウタセンタアッパ1の表面形成部1cと外表面がほぼ同一面を形成する表面形成部3cを備えている。この表面形成部3cの車体前方側端部は、サイドパネルアウタセンタアッパ1の凹部1dに対応する位置にて内側に屈曲し、凹部1d内に入り込む屈曲端部3dを備えている。
【0024】
屈曲端部3dは、表面形成部3cに対して内角が鈍角となるよう屈曲し、その先端部は凹部1dの平面部1d2に対向する位置としている。これにより、外部(図2(a)中の下部)から露出する部位は、凹部1dにおける前側傾斜面1d1及び、平面部1d2の前側傾斜面1d1側の一部となる。
【0025】
サイドパネルアウタリアアッパ3は、図3に示すように、サイドパネルアウタセンタアッパ1の車体外側が凸となる湾曲形状に対応した湾曲形状部3eを有し、この湾曲形状部3eの車体下部側は、車体上下方向に延びるほぼ平面形状の平面形状部3fとしている。
【0026】
この平面形状部3fを、図2(b)に示すように、サイドパネルアウタリア7の上部に重ね合わせて接合する。このとき、前述したようにサイドパネルアウタリアアッパ3(平面形状部3f)の下端のフランジ3bを、サイドパネルアウタリア7の接合部7aに接合する。さらに、この接合部位の上部においては、フランジ3b上部の平面形状部3fの下部をサイドパネルアウタリア7の接合面7dに接合する。
【0027】
サイドパネルアウタリア7は、図2(b)に示すように接合面7dの車体前方側が車体内側に向けて、内角が鈍角となるよう屈曲する前方傾斜面7eを備えている。この前方傾斜面7eに対応してほぼ平行に、前記した屈曲端部3dの下部に連続する屈曲端部3d1を、サイドパネルアウタリアアッパ3の平面形状部3fに形成している。
【0028】
図2(b)に示すように、サイドパネルアウタリア7の接合面7dの車体後方側は、車体後方かつ車体内側に向けて屈曲する後方傾斜面7fを形成し、さらに後方傾斜面7fの車体後端部から車体後方に向けて延びる平面部7gを形成している。後方傾斜面7fは、前方傾斜面7eよりも接合面7dに対する傾斜角度を緩やかにしており、平面部7gは接合面7dとほぼ平行としている。
【0029】
このような車体側部構造では、図2(a)に示すように、サイドパネルアウタセンタアッパ1の後方部分1aを、サイドパネルアウタリアアッパ3の前方部分3aに面接合しているが、後方部分1aの後端には、屈曲部1eを車体上下方向に沿って形成している。
【0030】
このため、サイドパネルアウタセンタアッパ1(後方部分1a)とサイドパネルアウタリアアッパ3(前方部分3a)とが面接合であっても、屈曲部1eを有することによって、接合部周辺の剛性を高めることができる。
【0031】
その際、サイドパネルアウタセンタアッパ1の後方部分1aは、屈曲部1eを含めて車体外側が凸となるよう湾曲しており、その曲率をより小さくしているので、剛性を高める上で有効となっている。
【0032】
ここで、図1〜3の例は、車体左側部のスライドドア12を有する図4(a)のL部に相当する部分に対応している。これに対して車体右側部の図4(b)のR部、すなわちスライドドア12がなく、窓ガラス16を有する部位にも、図1のサイドパネルアウタリアアッパ3を共通部品として接合部周辺の剛性を高めることができる点を以下に説明する。
【0033】
なお、以下の図5〜図7では、図4(b)の車体右側部ではなく、図1〜3と同様に車体左側部に、スライドドア12に代わる窓ガラス16が設定された例を示している。
【0034】
前記図1に対応する図5に示すように、ここでのサイドパネルアウタセンタアッパ1Aは、車体上下方向下端部にフランジ1Afを形成してあり、フランジ1Afの下縁部と、サイドパネルアウタリアアッパ3のフランジ3bの下縁部とは、車体上下方向でほぼ同一位置としている。すなわち、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aの下端部は、サイドパネルアウタリアアッパ3の下端部と車体上下方向でほぼ同一位置にある。
【0035】
また、サイドパネルアウタリア7Aは、車体上下方向に延びるピラー部7Acと、ピラー部7Acの車体上下方向上端部にて車体前後方向に延びる接合部7Aaとを備えて、全体としてほぼT字形状としている。この接合部7Aaとピラー部7Acとに囲まれて、ピラー部7Acの車体後方には窓開口部13を、ピラー部7Acの車体前方には窓開口部15を、それぞれ形成している。この場合、接合部7Aaとピラー部7Acとで窓枠を構成している。
【0036】
図5のD−D断面形状(図6)において、サイドパネルアウタセンタアッパ1A及びサイドパネルアウタリアアッパ3の2つの部品については、図5のC−C断面形状(図2に相当)とほぼ同等である。ここで、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aについては、図1〜図3のサイドパネルアウタセンタアッパ1と同一部分には、サイドパネルアウタセンタアッパ1の各部の符号にアルファベットの大文字「A」を追加している。例えば、図1のサイドパネルアウタセンタアッパ1の屈曲部1eと同一部位は、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aの屈曲部1Aeとして示している。
【0037】
図6(a)に示すように、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aのさらに車体内側には、サイドパネルアウタリア7Aをサイドパネルアウタセンタアッパ1Aに対して離間した状態で配置してある。このサイドパネルアウタリア7Aは、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aの車体内側に突出して形成してある凹部1Ad及び屈曲部1Aeとの干渉を避けるために車体内側に突出するよう形成して凹み部7Ahを形成している。
【0038】
凹み部7Ahは、サイドパネルアウタリアアッパ3の表面形成部3cにほぼ平行な平面部7Ah1を備え、平面部7Ah1は、凹部1Adに対応する位置から屈曲部1Ae対応する位置まで延長されている。この平面部7Ah1の車体前方及び後方には、前方傾斜部7Ah2及び後方傾斜部7Ah3をそれぞれ形成している。
【0039】
図5のE−E断面図である図6(b)に示すように、サイドパネルアウタリア7Aの接合部7Aaは、図7に示すピラー部7Acの車体前後方向ほぼ中央部に、上記した凹み部7Ahの下方に位置する下部凹み部7Aiを形成している。この下部凹み部7Aiも、凹み部7Ahと同様に、平面部7Ai1と、その前後の前方傾斜部7Ai2及び後方傾斜部7Ai3をそれぞれ備えている。
【0040】
ここで、サイドパネルアウタリア7Aの車体外側に重ね合わされるサイドパネルアウタセンタアッパ1Aは、下部凹み部7Aiの車体前方に位置する前方接合部7Ajに接合される、フランジ1Afのフランジ接合部1Af1を備えている。フランジ接合部1Af1の車体後方には、サイドパネルアウタリア7Aの下部凹み部7Aiに対応するフランジ凹み部1Af2を形成している。フランジ凹み部1Af2も、下部凹み部7Aiと同様に、平面部1Af21と、その前後の前方傾斜部1Af22及び後方傾斜部部1Af23をそれぞれ備え、下部凹み部7Aiに対して離間している。
【0041】
フランジ凹み部1Af2のさらに後方には、フランジ後端接合部1Af3を形成している。このフランジ後端接合部1Af3の車体外側に、サイドパネルアウタリアアッパ3を重ね合わせて接合する。つまり、このフランジ後端接合部1Af3に対応する接合部位は、車体内側から、サイドパネルアウタリア7A、サイドパネルアウタセンタアッパ1A、サイドパネルアウタリアアッパ3の順に重ね合わせた3重構造となっている。サイドパネルアウタリアアッパ3の車体前方側端部は、フランジ凹み部1Af2に入り込むように車体内側に向けて屈曲する屈曲端部3gを形成している。
【0042】
フランジ後端接合部1Af3の車体外側に接合するサイドパネルアウタリアアッパ3のフランジ3bは、その外表面がサイドパネルアウタセンタアッパ1Aにおけるフランジ接合部1Af1の外表面とほぼ同一面となっている。このため、フランジ3bの内側に接合してあるフランジ後端接合部1Af3は、フランジ接合部1Af1の外表面に対して僅かに車体内側に位置している。さらに、これに対応して、フランジ後端接合部1Af3の車体内側に接合するサイドパネルアウタリア7Aにおける接合部7Aaの中央接合部7Akは、前方接合部7Ajの外表面に対して僅かに車体内側に位置している。
【0043】
中央接合部7Akのフランジ後端接合部1Af3より車体後方側は、車体外側に僅かに屈曲させて後方接合部7Amを形成し、この後方接合部7Amにサイドパネルアウタリアアッパ3のフランジ3bを重ね合わせて接合する。このため、サイドパネルアウタリアアッパ3の車体内側に接合する後方接合部7Am及びフランジ後端接合部1Af3の各外表面は互いにほぼ同一面となる。
【0044】
このような車体側部構造においても、図2(a)及び図6(a)に示すように、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aの後方部分1Aaを、サイドパネルアウタリアアッパ3の前方部分3aに面接合しているが、後方部分1Aaの後端には、屈曲部1Aeを車体上下方向に沿って形成している。
【0045】
このため、サイドパネルアウタセンタアッパ1A(後方部分1Aa)とサイドパネルアウタリアアッパ3(前方部分3a)とが面接合であっても、屈曲部1Aeを有することによって、接合部周辺の剛性を高めることができる。
【0046】
その際、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aの後方部分1Aaは、屈曲部1Aeを含めて車体外側が凸となるよう湾曲しており、その曲率をより小さくしているので、剛性を高める上で有効となっている。
【0047】
また、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aは、車体上下方向下端部に位置するフランジ後端接合部1Af3を、窓枠となる接合部7Aaの中央接合部7Akに接合し、車体上下方向上端部のフランジ1Anは、ルーフ部材としてのルーフパネル17に接合している。すなわち、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aの屈曲部1Aeを有する後方部分1Aaは、窓枠とルーフパネル17の車幅方向端部とを連結していることになる。
【0048】
これにより、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aとサイドパネルアウタリアアッパ3との接合部周辺の剛性をさらに高めることができる。
【0049】
そして、スライドドア12を有する図1〜図3の第1の構造となる車体側部構造と、窓ガラス16を有してスライドドア12を備えていない図5〜図7の第2の構造となる車体側部構造との間で、サイドパネルアウタリアアッパ3を共通部品として使用できる。
【0050】
これにより、スライドドア12を有する車体側部構造と、スライドドア12を備えていない車体側部構造との間で、サイドパネルアウタリアアッパ3を作り変える必要がなく、共通部品として使用できるので、コスト低下を図ることができる。
【0051】
さらに、本実施形態では、第1の構造は、サイドパネルアウタセンタアッパ1の下端部がサイドパネルアウタリアアッパ3の下端部よりも車体上方に位置し、第2の構造は、サイドパネルアウタセンタアッパ1Aの下端部がサイドパネルアウタリアアッパ3の下端部と車体上下方向同一位置にある。
【0052】
このため、スライドドア12を備える第1の構造では、サイドパネルアウタセンタアッパ1の下端部がより車体上方に位置する分、スライドドア12の上端をより上方位置に設定でき、スライドドア12の形状を規定の大きさにすることができる。一方、スライドドア12を備えていない第2の構造では、サイドパネルアウタセンタアッパ1及びサイドパネルアウタリアアッパ3の各下端部が上下方向同一位置となることで、ピラー部7Acを間に挟んで前後の窓ガラスの上端位置を揃えることができる。
【符号の説明】
【0053】
1,1A サイドパネルアウタセンタアッパ(サイドアウタ前部)
1a,1Aa サイドパネルアウタセンタアッパの後方部分
1e,1Ae 後方部分の後端の屈曲部
1Af サイドパネルアウタセンタアッパのフランジ(車体上下方向下端部)
3 サイドパネルアウタリアアッパ(サイドアウタ後部)
3b サイドパネルアウタリアアッパのフランジ(車体上下方向下端部)
7Aa サイドパネルアウタリアの接合部(窓枠)
7Ac サイドパネルアウタリアのピラー部(窓枠)
11 ドア開口部
17 ルーフパネル(ルーフ部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部の上部にて車体前後方向に延びるサイドアウタ前部の後方部分に、サイドアウタ後部の前方部分を接合する車体側部構造であって、前記サイドアウタ前部の後方部分を、前記サイドアウタ後部の前方部分の車体内側に配置して重ね合わせた状態で接合し、この車体内側に配置したサイドアウタ前部の後方部分の後端に、サイドアウタ後部から離間するようにして車体内側に向けて屈曲する屈曲部を、車体上下方向に沿って設け、前記サイドアウタ後部は、前記サイドアウタ前部の車体下方にドア開口部が形成される第1の構造と、前記サイドアウタ前部の車体下方に窓枠が形成される第2の構造とで、互いに共通部品として機能していることを特徴とする車体側部構造。
【請求項2】
前記第1の構造は、前記サイドアウタ前部の下端部が前記サイドアウタ後部の下端部よりも車体上方に位置する一方、前記第2の構造は、前記サイドアウタ前部の下端部が前記サイドアウタ後部の下端部と車体上下方向同一位置にあることを特徴とする請求項1に記載の車体側部構造。
【請求項3】
前記屈曲部を有するサイドアウタ前部の後方部分は、車体外側が凸となるよう車体上下方向に沿って湾曲していることを特徴とする請求項1または2に記載の車体側部構造。
【請求項4】
前記サイドアウタ前部の車体下方に窓枠が形成される第2の構造では、前記サイドアウタ前部は前記窓枠とルーフ部材の車幅方向端部とを連結していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車体側部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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