車体前部構造
【課題】車両衝突時の車体骨格部材の変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる車体前部構造を提供する。
【解決手段】車体前部構造において、バンパBの下部に設けられて車幅方向に延在するレインフォース20を、該レインフォース20に対して車両前後方向で後方に位置する車体骨格部材3に、連結部21を介して取り付ける。連結部21は、車体骨格部材3における車両前後方向に延在する面3aに固定されてレインフォース20を支持する弾性部材22を備える。
【解決手段】車体前部構造において、バンパBの下部に設けられて車幅方向に延在するレインフォース20を、該レインフォース20に対して車両前後方向で後方に位置する車体骨格部材3に、連結部21を介して取り付ける。連結部21は、車体骨格部材3における車両前後方向に延在する面3aに固定されてレインフォース20を支持する弾性部材22を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の前端部に設けられるバンパとして、衝撃受け部を上下に2段設けて、それぞれの衝撃受け部に車幅方向に延在するレインフォースを設けたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、バンパの上部にはバンパレインフォースを設け、このバンパレインフォースをバンパステイを介して車体骨格部材である左右一対のサイドメンバに取り付け、バンパの下部にはスポイラレインフォースを設け、このスポイラレインフォースを連結部であるスポイラステイを介して車体骨格部材であるラジコアロアメンバ(ファースロクロスメンバ)に取り付けた構造が開示されている。
【0004】
かかる構造にあっては、バンパが歩行者と衝突した場合、バンパの下部に設けたスポイラレインフォースによって、歩行者の下腿部をすくい上げて、歩行者が車体の下側に入り込むのを防止することができる。
【特許文献1】特開2005−324654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の車体前部構造にあっては、スポイラステイは、その前端部がスポイラレインフォースの後面に連結される一方、その後端部がラジコアロアメンバ(ファースロクロスメンバ)の前面に連結された状態で、レインフォースと車体骨格部材との間に配置されている。このため、車両が前面衝突した場合、スポイラステイが十分に潰れずに例えば30%の潰れ残りが発生し、スポイラステイによる衝突荷重の吸収が小さいものとなってしまう。これにより、ラジコアロアメンバへの衝突荷重の入力が大きくなってしまい、ラジコアロアメンバが大きく変形して車両の修理費が嵩んでしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、車両の前面衝突時の車体骨格部材の変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる車体前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車体前部構造は、車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定されてバンパのレインフォースを支持する弾性部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、弾性部材が、車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定されていることにより、車両が前面衝突して弾性部材にレインフォースから押圧荷重が入力した場合には、弾性部材は、その車体骨格部材の周囲で十分に弾性変形してその荷重を吸収することができるので、車両の前面衝突時の車体骨格部材の変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、車両として自動車の例である。図1は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図、図2は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す側面図、図3は、本実施形態にかかる柱部材とその周囲を示す斜視図、図4は、本実施形態にかかる衝突荷重が入力された際の車体前部構造の挙動を(a),(b)に順を追って示す説明図、図5は、本実施形態にかかる弾性部材の反力特性を示すグラフである。なお、説明の便宜上、車体前部構造を示す図面では車体前部構造の車幅方向の略片側部分を示してあるが、車体前部構造は、略左右対称形状となっている(他の実施形態でも同様)。
【0010】
図1及び図2に示すように、車両の前端部には、バンパBを配置してある。バンパBは、車幅方向に延在するバンパレインフォース10と、車幅方向に延在するレインフォースであってバンパレインフォース10の下方に配置されるスポイラレインフォース20と、を備える。バンパレインフォース10の前側及びスポイラレインフォース20の前側は、クッション材(図示せず)を介してバンパフェイシャ(図示せず)で覆われ、これにより、バンパBが構成されている。バンパレインフォース10は、バンパBの上部に設けられて、バンパBの上部衝撃受け部を構成している一方、スポイラレインフォース20は、バンパBの下部に設けられて、バンパBの下部衝撃受け部を構成している。かかる構造のバンパBでは、該バンパBが歩行者と衝突した場合、その下部に設けたスポイラレインフォース20が歩行者の下腿部をすくい上げて、歩行者が車体の下方に入り込むのを防止している。
【0011】
バンパレインフォース10及びスポイラレインフォース20は、それぞれ中空状であって断面矩形状に形成されている。スポイラレインフォース20は、車体前部の下部に設けられるエプロン構造の一部を構成する。
【0012】
バンパレインフォース10は、該バンパレインフォース10に対して車両前後方向で後方に位置し車両前後方向に延在する左右一対のフロントサイドメンバ1の前端に、バンパステイ11を介して連結してある。一方、スポイラレインフォース20は、該スポイラレインフォース20に対して車両前後方向で後方に位置する左右一対の柱部材3に、連結部21を介して取り付けてある。ここで、バンパステイ11、フロントサイドメンバ1及び柱部材3は、車体骨格部材である。
【0013】
各柱部材3は、左右一対のフロントサイドメンバ1の前端部下面からそれぞれ下方に延出して車体骨格部材であるラジコアロアメンバ2に連結してある。即ち、柱部材3は、ラジコアロアメンバ2とフロントサイドメンバ1とを連結している。柱部材3は、中空状に形成されて断面略矩形状をなしている。かかる構造の柱部材3は、車両前後方向に延在する面である一対の側面(外側面3a、内側面)を有している。
【0014】
ラジコアロアメンバ2は、図示省略したラジエータを取り付けるラジエータコアサポートの下辺を構成する部材である。バンパステイ11は、中空状に形成されて断面略矩形状を成している。
【0015】
連結部21は、スポイラレインフォース20と柱部材3とを連結してスポイラレインフォースを支持している弾性部材22と、スポイラレインフォース20と柱部材3とを連結してスポイラレインフォース20を支持している剛性部材24と、を備える。
【0016】
弾性部材22は、スポイラレインフォース20から押圧荷重が入力した際に弾性変形して該荷重を吸収する部材である。弾性部材22は、帯状の板ばねによって形成して、車両前後方向に延在して配置してある。この弾性部材22の前端部は、スポイラレインフォース20の車幅方向の端部の後面に固定してある。一方、弾性部材22の後端部は、柱部材3に固定してある。詳しくは、弾性部材22は、図3に示すように、その後端部に車外側から車内側に湾曲させて前方に折り返したU字状の折返し部22aを設けるとともに、その折返し部22aの先端部に形成した取付部22bを、第1のボルト23及び柱部材3のねじ孔(図示せず)によって、柱部材3の外側面3aに固定してある。
【0017】
剛性部材24は、図1及び図2に示すように、帯状の板材よって形成してあり、弾性部材22よりも高い剛性を有している。剛性部材24の前端部は、スポイラレインフォース20の車幅方向端部の後面に固定してある。一方、剛性部材24の後端部は、固定部25によって柱部材3に固定してある。
【0018】
固定部25は、剛性部材24を柱部材3の外側面3aに固定し、車両の前面衝突によって剛性部材24にスポイラレインフォース20から押圧荷重が入力した場合には該押圧荷重によって柱部材3に対する剛性部材24の固定を解除するようになっている。具体的には、固定部25は、図3に示すように、剛性部材24の後端部に拡幅形成した平板状の取付座24aと、その取付座24aの拡幅部分の前辺から後方に向かって切欠状に形成した案内路としてのボルト挿通溝24bと、このボルト挿通溝24bに挿通して柱部材3に締付け固定する第2のボルト24cと、を備えている。第2のボルト24cは、柱部材3の外側面3aに形成したねじ孔(図示せず)に螺合させてある。そして、第2のボルト24cをボルト挿通溝24bに挿通した状態で、柱部材3の外側面3aに締め付けることにより、剛性部材24の後端部を第2のボルト24cと柱部材3の外側面3aとで挟持し、かかる構造によって剛性部材24を柱部材3に固定してある。剛性部材24の前端部は、スポイラレインフォース20に固定してある。
【0019】
このような構成において、図4(a)の通常状態(非衝突状態)から車両が前面衝突して、バンパBに車両前方から車両後方(図中矢印aの方向)へ向かう衝突荷重が入力されて、剛性部材24にスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう規定以上の押圧荷重が作用し、スポイラレインフォース20とともに剛性部材24が、第2のボルト24cの締結力に抗して柱部材3に対して相対的に車両後方に向けて移動すると、ボルト挿通溝24bが第2のボルト24cから外れ、剛性部材24が柱部材3から離脱する。即ち、剛性部材24に入力されるスポイラレインフォース20からの押圧荷重によって固定部25による柱部材3に対する剛性部材24の固定が解除される。同時に、弾性部材22にスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう押圧荷重が作用して、弾性部材22が柱部材3の側方で撓み変形(弾性変形)する。
【0020】
このとき、荷重入力に対する弾性部材22の反力は、図5に線Cで示すように、歩行者を保護するに必要な最小限の耐力Faと、柱部材3に損傷を与えない最大限の耐力Fbと、の間で設定してある。
【0021】
以上説明したように、本実施形態では、弾性部材22が、柱部材3における車両前後方向に延在する外側面3aに固定されている。したがって、例えば弾性部材22が柱部材3の前面に取り付けられる構造に比べて、弾性部材22の変形量(変形ストローク)を大きくとることができる。よって、車両の前面衝突時において弾性部材22にスポイラレインフォース20から押圧荷重が入力した場合、弾性部材22は、柱部材3の側方で大きく弾性変形してその荷重を効率良く吸収することができるので、車両衝突時に、柱部材3やこの柱部材3に連結されたラジコアロアメンバ2などの変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【0022】
また、本実施形態では、連結部21には、剛性部材24を設け、剛性部材24は、固定部25によって柱部材3における車両前後方向に延在する面である外側面3aに固定してある。固定部25は、車両の前面衝突によって剛性部材24にスポイラレインフォース20から押圧荷重が入力した場合には該押圧荷重によって柱部材3に対する剛性部材24の固定を解除する。したがって、通常時(非衝突時)には、剛性部材24によってスポイラレインフォース20を強固に支持し、車両走行によってスポイラレインフォース20が振動するのを抑制できる。一方、車両の前面衝突時には、固定部25による柱部材3に対する剛性部材24の固定が解除されるので、弾性部材22に衝突荷重を吸収させることができる。
【0023】
また、車両の前面衝突時に、剛性部材24が柱部材3から離脱することにより、剛性部材24の変形を抑制して、ひいてはその修理や交換を不要とすることができる。
【0024】
なお、第2のボルト24cの螺合相手は、柱部材3に設けたねじ孔に限ることなく、例えば、ナットであっても良い。この場合には、第2のボルト24cが挿通する挿通孔を柱部材3に設ければ良い。
【0025】
また、連結部21に剛性部材24を設けず、連結部21においては弾性部材22だけでスポイラレインフォース20を支持するようにしても良い。
【0026】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
図6は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図である。本実施形態は、弾性部材22Aにおいて湾曲部22cを車両外方へ向けて膨出させて形成した点が第1の実施形態と異なる。
【0028】
したがって、本実施形態にあっても、弾性部材22Aが、第1の実施形態と同様に、車両の前面衝突時に撓み変形するので、車両の前面衝突時に、柱部材3やこの柱部材3に連結されたラジコアロアメンバ2などの変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【0029】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0030】
図7は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図である。本実施形態は、弾性部材22Bにおいて、第1の実施形態の湾曲部22cに代えて、その後端部に車両内方に屈曲する鉤状の屈曲部22eを設けた点が第1の実施形態の弾性部材22と異なる。
【0031】
したがって、本実施形態にあっても、弾性部材22Bが、第1の実施形態と同様に、車両の前面衝突時に撓み変形するので、車両の前面衝突時に、柱部材3やこの柱部材3に連結されたラジコアロアメンバ2などの変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【0032】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
図8は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図である。本実施形態は、弾性部材22Cにおいて、中間部及び後端部にそれぞれ車両内方に屈曲して屈曲部22g、22hを設け、弾性部材22Cを全体として略弓状に形成した点が第1の実施形態と異なる。
【0034】
したがって、本実施形態にあっても、弾性部材22Cが、第1の実施形態と同様に、車両の前面衝突時に撓み変形するので、車両の前面衝突時に、柱部材3やこの柱部材3に連結されたラジコアロアメンバ2などの変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【0035】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0036】
図9は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図、図10は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す側面図である。本実施形態の連結部21Aは、第1の実施形態と同様に弾性部材22と剛性部材24Aとを設けて構成してあり、弾性部材22は、第1の実施形態と同様の折返し部22aを設けて、その取付部22bを柱部材3の外側面3aに取り付けてある。
【0037】
本実施形態が第1の実施形態と主に異なる点は、連結部21Aにおける剛性部材24Aの後端部をバンパステイ11における前後方向に延在する面である外側面11aに固定部25によって固定したことにある。固定部25は、第1の実施形態と同様の構成である。
【0038】
このような構成において、車両が前面衝突して、剛性部材24Aにスポイラレインフォース20からバンパステイ11に向かう規定以上の押圧荷重が作用し、剛性部材24が第2のボルト24cの締結力に抗してバンパステイ11に対して相対的に車両後方、詳しくは車両後方斜め上方に向けて移動すると、ボルト挿通溝24bが第2のボルト24cから外れて剛性部材24がバンパステイ11から離脱する。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、弾性部材22に衝突荷重を効率良く吸収させることができ、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0039】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
図11は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図である。本実施形態の連結部21Bは、第1の実施形態と同様に弾性部材22と剛性部材24Bとを併設して構成してあり、弾性部材22は、第1の実施形態と同様の折返し部22aを設けて、その取付部22bを柱部材3の側面に取り付けてある。
【0041】
本実施形態が第1の実施形態と主に異なる点は、剛性部材24Bの後端部を車体骨格部材であるラジコアロアメンバ2の前後方向に延在する面である下面に固定部25(図11には図示せず)によって連結したことにある。固定部25は、第1の実施形態と同様の構成である。
【0042】
このような構成において、車両が前面衝突して、剛性部材24Bにスポイラレインフォース20からラジコアロアメンバ2に向かう規定以上の押圧荷重が作用し、剛性部材24が第2のボルト24c(図11には図示せず)の締結力に抗してラジコアロアメンバ2に対して相対的に車両後方に向けて移動すると、ボルト挿通溝24b(図11には図示せず)が第2のボルト24cから外れて剛性部材24Bがラジコアロアメンバ2から離脱する。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、弾性部材22に衝突荷重を効率良く吸収させることができ、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0043】
[第7の実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
図12は、本実施形態にかかる剛性部材を示す拡大図である。本実施形態は、剛性部材24Cが、スポイラレインフォース20から該剛性部材24Cに入力した押圧荷重によって変形する脆弱部としてのノッチ24dを備える点が、第1の実施形態と異なる。
【0045】
ノッチ24dは、スポイラレインフォース20から該剛性部材24Cに入力した押圧荷重によって、変形(破断)するようになっている。尚、本実施形態にあっては、剛性部材24Cは、第1の実施形態と同様に、弾性部材22よりも高い剛性を有し、柱部材3においては、柱部材3おける前後方向に延在する側面に固定部25によって固定されてスポイラレインフォース20を支持している。
【0046】
このような構成において、車両が前面衝突して、剛性部材24Cにスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう規定以上の押圧荷重(図中矢印aに向かう荷重)が作用すると、ノッチ24dを支点として剛性部材24Cの下部が車両後方へ回動する方向(図中矢印bの方向)に力が剛性部材24Cに作用し、これにより、ノッチ24dに応力が集中してノッチ24dが破断し、剛性部材24Cがノッチ24dを起点として折れ曲がりながら2つの部材に分断され、一方の分割部材が柱部材3から脱落する。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、弾性部材22に衝突荷重を効率良く吸収させることができ、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0047】
る。なお、図12には、剛性部材24Cの分断時に、剛性部材24Cに生じる亀裂Dを実線で模式的に示してある。
【0048】
[第8の実施形態]
次に、本発明の第8の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
図13は、本実施形態にかかる取付構造を示す平面図、図14は、本実施形態にかかる衝突荷重が入力されて変形した車体前部構造を示す平面図である。本実施形態が第1の実施形態と主に異なる点は、剛性部材24Dの中間部分に脆弱部24eを形成したことにある。脆弱部24eは、例えば、ノッチや切欠などによって構成されている。
【0050】
このような構成において、車両が前面衝突して、剛性部材24Dにスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう規定以上の押圧荷重が作用すると、剛性部材24Dが脆弱部24eを起点に折り曲げられ、同時に、弾性部材22にスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう押圧荷重が作用して、弾性部材22が柱部材3の側方で撓み変形(弾性変形)する。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0051】
勿論、本実施形態にあっても上述した脆弱部24eに併せて、第1の実施形態で説明した切欠状のボルト挿通溝24bを形成しても良い。
【0052】
また、図13及び図14には、第1の実施形態で説明した弾性部材22を設けて連結部21Cを構成してあるが、弾性部材は、第2〜第4の実施形態で説明した弾性部材22A〜22Cであっても良い。
【0053】
なお、本発明は、上記各実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる車体前部構造を示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる柱部材とその周囲を示す斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる衝突荷重が入力された際の車体前部構造の挙動を(a),(b)に順を追って示す説明図。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる弾性部材の反力特性を示すグラフ。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図。
【図7】本発明の第3の実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図。
【図8】本発明の第4の実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図。
【図9】本発明の第5の実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図。
【図10】本発明の第5の実施形態にかかる車体前部構造を示す側面図。
【図11】本発明の第6の実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図。
【図12】本発明の第7の実施形態にかかる剛性部材を示す拡大図。
【図13】本発明の第8の実施形態にかかる取付構造を示す平面図。
【図14】本発明の第8の実施形態にかかる衝突荷重が入力されて変形した車体前部構造を示す平面図。
【符号の説明】
【0055】
2 ラジコアロアメンバ(車体骨格部材)
3 柱部材(車体骨格部材)
3a 外側面(面)
11 バンパステイ(車体骨格部材)
11a 外側面(面)
20 スポイラレインフォース(レインフォース)
21、21A、21B、21C 連結部
22、22A、22B、22C 弾性部材
24、24A、24B、24C、24D 剛性部材
25 固定部
24d ノッチ(脆弱部)
24e 脆弱部
B バンパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の前端部に設けられるバンパとして、衝撃受け部を上下に2段設けて、それぞれの衝撃受け部に車幅方向に延在するレインフォースを設けたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、バンパの上部にはバンパレインフォースを設け、このバンパレインフォースをバンパステイを介して車体骨格部材である左右一対のサイドメンバに取り付け、バンパの下部にはスポイラレインフォースを設け、このスポイラレインフォースを連結部であるスポイラステイを介して車体骨格部材であるラジコアロアメンバ(ファースロクロスメンバ)に取り付けた構造が開示されている。
【0004】
かかる構造にあっては、バンパが歩行者と衝突した場合、バンパの下部に設けたスポイラレインフォースによって、歩行者の下腿部をすくい上げて、歩行者が車体の下側に入り込むのを防止することができる。
【特許文献1】特開2005−324654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の車体前部構造にあっては、スポイラステイは、その前端部がスポイラレインフォースの後面に連結される一方、その後端部がラジコアロアメンバ(ファースロクロスメンバ)の前面に連結された状態で、レインフォースと車体骨格部材との間に配置されている。このため、車両が前面衝突した場合、スポイラステイが十分に潰れずに例えば30%の潰れ残りが発生し、スポイラステイによる衝突荷重の吸収が小さいものとなってしまう。これにより、ラジコアロアメンバへの衝突荷重の入力が大きくなってしまい、ラジコアロアメンバが大きく変形して車両の修理費が嵩んでしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、車両の前面衝突時の車体骨格部材の変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる車体前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車体前部構造は、車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定されてバンパのレインフォースを支持する弾性部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、弾性部材が、車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定されていることにより、車両が前面衝突して弾性部材にレインフォースから押圧荷重が入力した場合には、弾性部材は、その車体骨格部材の周囲で十分に弾性変形してその荷重を吸収することができるので、車両の前面衝突時の車体骨格部材の変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、車両として自動車の例である。図1は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図、図2は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す側面図、図3は、本実施形態にかかる柱部材とその周囲を示す斜視図、図4は、本実施形態にかかる衝突荷重が入力された際の車体前部構造の挙動を(a),(b)に順を追って示す説明図、図5は、本実施形態にかかる弾性部材の反力特性を示すグラフである。なお、説明の便宜上、車体前部構造を示す図面では車体前部構造の車幅方向の略片側部分を示してあるが、車体前部構造は、略左右対称形状となっている(他の実施形態でも同様)。
【0010】
図1及び図2に示すように、車両の前端部には、バンパBを配置してある。バンパBは、車幅方向に延在するバンパレインフォース10と、車幅方向に延在するレインフォースであってバンパレインフォース10の下方に配置されるスポイラレインフォース20と、を備える。バンパレインフォース10の前側及びスポイラレインフォース20の前側は、クッション材(図示せず)を介してバンパフェイシャ(図示せず)で覆われ、これにより、バンパBが構成されている。バンパレインフォース10は、バンパBの上部に設けられて、バンパBの上部衝撃受け部を構成している一方、スポイラレインフォース20は、バンパBの下部に設けられて、バンパBの下部衝撃受け部を構成している。かかる構造のバンパBでは、該バンパBが歩行者と衝突した場合、その下部に設けたスポイラレインフォース20が歩行者の下腿部をすくい上げて、歩行者が車体の下方に入り込むのを防止している。
【0011】
バンパレインフォース10及びスポイラレインフォース20は、それぞれ中空状であって断面矩形状に形成されている。スポイラレインフォース20は、車体前部の下部に設けられるエプロン構造の一部を構成する。
【0012】
バンパレインフォース10は、該バンパレインフォース10に対して車両前後方向で後方に位置し車両前後方向に延在する左右一対のフロントサイドメンバ1の前端に、バンパステイ11を介して連結してある。一方、スポイラレインフォース20は、該スポイラレインフォース20に対して車両前後方向で後方に位置する左右一対の柱部材3に、連結部21を介して取り付けてある。ここで、バンパステイ11、フロントサイドメンバ1及び柱部材3は、車体骨格部材である。
【0013】
各柱部材3は、左右一対のフロントサイドメンバ1の前端部下面からそれぞれ下方に延出して車体骨格部材であるラジコアロアメンバ2に連結してある。即ち、柱部材3は、ラジコアロアメンバ2とフロントサイドメンバ1とを連結している。柱部材3は、中空状に形成されて断面略矩形状をなしている。かかる構造の柱部材3は、車両前後方向に延在する面である一対の側面(外側面3a、内側面)を有している。
【0014】
ラジコアロアメンバ2は、図示省略したラジエータを取り付けるラジエータコアサポートの下辺を構成する部材である。バンパステイ11は、中空状に形成されて断面略矩形状を成している。
【0015】
連結部21は、スポイラレインフォース20と柱部材3とを連結してスポイラレインフォースを支持している弾性部材22と、スポイラレインフォース20と柱部材3とを連結してスポイラレインフォース20を支持している剛性部材24と、を備える。
【0016】
弾性部材22は、スポイラレインフォース20から押圧荷重が入力した際に弾性変形して該荷重を吸収する部材である。弾性部材22は、帯状の板ばねによって形成して、車両前後方向に延在して配置してある。この弾性部材22の前端部は、スポイラレインフォース20の車幅方向の端部の後面に固定してある。一方、弾性部材22の後端部は、柱部材3に固定してある。詳しくは、弾性部材22は、図3に示すように、その後端部に車外側から車内側に湾曲させて前方に折り返したU字状の折返し部22aを設けるとともに、その折返し部22aの先端部に形成した取付部22bを、第1のボルト23及び柱部材3のねじ孔(図示せず)によって、柱部材3の外側面3aに固定してある。
【0017】
剛性部材24は、図1及び図2に示すように、帯状の板材よって形成してあり、弾性部材22よりも高い剛性を有している。剛性部材24の前端部は、スポイラレインフォース20の車幅方向端部の後面に固定してある。一方、剛性部材24の後端部は、固定部25によって柱部材3に固定してある。
【0018】
固定部25は、剛性部材24を柱部材3の外側面3aに固定し、車両の前面衝突によって剛性部材24にスポイラレインフォース20から押圧荷重が入力した場合には該押圧荷重によって柱部材3に対する剛性部材24の固定を解除するようになっている。具体的には、固定部25は、図3に示すように、剛性部材24の後端部に拡幅形成した平板状の取付座24aと、その取付座24aの拡幅部分の前辺から後方に向かって切欠状に形成した案内路としてのボルト挿通溝24bと、このボルト挿通溝24bに挿通して柱部材3に締付け固定する第2のボルト24cと、を備えている。第2のボルト24cは、柱部材3の外側面3aに形成したねじ孔(図示せず)に螺合させてある。そして、第2のボルト24cをボルト挿通溝24bに挿通した状態で、柱部材3の外側面3aに締め付けることにより、剛性部材24の後端部を第2のボルト24cと柱部材3の外側面3aとで挟持し、かかる構造によって剛性部材24を柱部材3に固定してある。剛性部材24の前端部は、スポイラレインフォース20に固定してある。
【0019】
このような構成において、図4(a)の通常状態(非衝突状態)から車両が前面衝突して、バンパBに車両前方から車両後方(図中矢印aの方向)へ向かう衝突荷重が入力されて、剛性部材24にスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう規定以上の押圧荷重が作用し、スポイラレインフォース20とともに剛性部材24が、第2のボルト24cの締結力に抗して柱部材3に対して相対的に車両後方に向けて移動すると、ボルト挿通溝24bが第2のボルト24cから外れ、剛性部材24が柱部材3から離脱する。即ち、剛性部材24に入力されるスポイラレインフォース20からの押圧荷重によって固定部25による柱部材3に対する剛性部材24の固定が解除される。同時に、弾性部材22にスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう押圧荷重が作用して、弾性部材22が柱部材3の側方で撓み変形(弾性変形)する。
【0020】
このとき、荷重入力に対する弾性部材22の反力は、図5に線Cで示すように、歩行者を保護するに必要な最小限の耐力Faと、柱部材3に損傷を与えない最大限の耐力Fbと、の間で設定してある。
【0021】
以上説明したように、本実施形態では、弾性部材22が、柱部材3における車両前後方向に延在する外側面3aに固定されている。したがって、例えば弾性部材22が柱部材3の前面に取り付けられる構造に比べて、弾性部材22の変形量(変形ストローク)を大きくとることができる。よって、車両の前面衝突時において弾性部材22にスポイラレインフォース20から押圧荷重が入力した場合、弾性部材22は、柱部材3の側方で大きく弾性変形してその荷重を効率良く吸収することができるので、車両衝突時に、柱部材3やこの柱部材3に連結されたラジコアロアメンバ2などの変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【0022】
また、本実施形態では、連結部21には、剛性部材24を設け、剛性部材24は、固定部25によって柱部材3における車両前後方向に延在する面である外側面3aに固定してある。固定部25は、車両の前面衝突によって剛性部材24にスポイラレインフォース20から押圧荷重が入力した場合には該押圧荷重によって柱部材3に対する剛性部材24の固定を解除する。したがって、通常時(非衝突時)には、剛性部材24によってスポイラレインフォース20を強固に支持し、車両走行によってスポイラレインフォース20が振動するのを抑制できる。一方、車両の前面衝突時には、固定部25による柱部材3に対する剛性部材24の固定が解除されるので、弾性部材22に衝突荷重を吸収させることができる。
【0023】
また、車両の前面衝突時に、剛性部材24が柱部材3から離脱することにより、剛性部材24の変形を抑制して、ひいてはその修理や交換を不要とすることができる。
【0024】
なお、第2のボルト24cの螺合相手は、柱部材3に設けたねじ孔に限ることなく、例えば、ナットであっても良い。この場合には、第2のボルト24cが挿通する挿通孔を柱部材3に設ければ良い。
【0025】
また、連結部21に剛性部材24を設けず、連結部21においては弾性部材22だけでスポイラレインフォース20を支持するようにしても良い。
【0026】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
図6は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図である。本実施形態は、弾性部材22Aにおいて湾曲部22cを車両外方へ向けて膨出させて形成した点が第1の実施形態と異なる。
【0028】
したがって、本実施形態にあっても、弾性部材22Aが、第1の実施形態と同様に、車両の前面衝突時に撓み変形するので、車両の前面衝突時に、柱部材3やこの柱部材3に連結されたラジコアロアメンバ2などの変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【0029】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0030】
図7は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図である。本実施形態は、弾性部材22Bにおいて、第1の実施形態の湾曲部22cに代えて、その後端部に車両内方に屈曲する鉤状の屈曲部22eを設けた点が第1の実施形態の弾性部材22と異なる。
【0031】
したがって、本実施形態にあっても、弾性部材22Bが、第1の実施形態と同様に、車両の前面衝突時に撓み変形するので、車両の前面衝突時に、柱部材3やこの柱部材3に連結されたラジコアロアメンバ2などの変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【0032】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
図8は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図である。本実施形態は、弾性部材22Cにおいて、中間部及び後端部にそれぞれ車両内方に屈曲して屈曲部22g、22hを設け、弾性部材22Cを全体として略弓状に形成した点が第1の実施形態と異なる。
【0034】
したがって、本実施形態にあっても、弾性部材22Cが、第1の実施形態と同様に、車両の前面衝突時に撓み変形するので、車両の前面衝突時に、柱部材3やこの柱部材3に連結されたラジコアロアメンバ2などの変形を抑制して、車両の修理費を低く抑えることができる。
【0035】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0036】
図9は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図、図10は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す側面図である。本実施形態の連結部21Aは、第1の実施形態と同様に弾性部材22と剛性部材24Aとを設けて構成してあり、弾性部材22は、第1の実施形態と同様の折返し部22aを設けて、その取付部22bを柱部材3の外側面3aに取り付けてある。
【0037】
本実施形態が第1の実施形態と主に異なる点は、連結部21Aにおける剛性部材24Aの後端部をバンパステイ11における前後方向に延在する面である外側面11aに固定部25によって固定したことにある。固定部25は、第1の実施形態と同様の構成である。
【0038】
このような構成において、車両が前面衝突して、剛性部材24Aにスポイラレインフォース20からバンパステイ11に向かう規定以上の押圧荷重が作用し、剛性部材24が第2のボルト24cの締結力に抗してバンパステイ11に対して相対的に車両後方、詳しくは車両後方斜め上方に向けて移動すると、ボルト挿通溝24bが第2のボルト24cから外れて剛性部材24がバンパステイ11から離脱する。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、弾性部材22に衝突荷重を効率良く吸収させることができ、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0039】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
図11は、本実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図である。本実施形態の連結部21Bは、第1の実施形態と同様に弾性部材22と剛性部材24Bとを併設して構成してあり、弾性部材22は、第1の実施形態と同様の折返し部22aを設けて、その取付部22bを柱部材3の側面に取り付けてある。
【0041】
本実施形態が第1の実施形態と主に異なる点は、剛性部材24Bの後端部を車体骨格部材であるラジコアロアメンバ2の前後方向に延在する面である下面に固定部25(図11には図示せず)によって連結したことにある。固定部25は、第1の実施形態と同様の構成である。
【0042】
このような構成において、車両が前面衝突して、剛性部材24Bにスポイラレインフォース20からラジコアロアメンバ2に向かう規定以上の押圧荷重が作用し、剛性部材24が第2のボルト24c(図11には図示せず)の締結力に抗してラジコアロアメンバ2に対して相対的に車両後方に向けて移動すると、ボルト挿通溝24b(図11には図示せず)が第2のボルト24cから外れて剛性部材24Bがラジコアロアメンバ2から離脱する。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、弾性部材22に衝突荷重を効率良く吸収させることができ、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0043】
[第7の実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
図12は、本実施形態にかかる剛性部材を示す拡大図である。本実施形態は、剛性部材24Cが、スポイラレインフォース20から該剛性部材24Cに入力した押圧荷重によって変形する脆弱部としてのノッチ24dを備える点が、第1の実施形態と異なる。
【0045】
ノッチ24dは、スポイラレインフォース20から該剛性部材24Cに入力した押圧荷重によって、変形(破断)するようになっている。尚、本実施形態にあっては、剛性部材24Cは、第1の実施形態と同様に、弾性部材22よりも高い剛性を有し、柱部材3においては、柱部材3おける前後方向に延在する側面に固定部25によって固定されてスポイラレインフォース20を支持している。
【0046】
このような構成において、車両が前面衝突して、剛性部材24Cにスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう規定以上の押圧荷重(図中矢印aに向かう荷重)が作用すると、ノッチ24dを支点として剛性部材24Cの下部が車両後方へ回動する方向(図中矢印bの方向)に力が剛性部材24Cに作用し、これにより、ノッチ24dに応力が集中してノッチ24dが破断し、剛性部材24Cがノッチ24dを起点として折れ曲がりながら2つの部材に分断され、一方の分割部材が柱部材3から脱落する。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、弾性部材22に衝突荷重を効率良く吸収させることができ、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0047】
る。なお、図12には、剛性部材24Cの分断時に、剛性部材24Cに生じる亀裂Dを実線で模式的に示してある。
【0048】
[第8の実施形態]
次に、本発明の第8の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
図13は、本実施形態にかかる取付構造を示す平面図、図14は、本実施形態にかかる衝突荷重が入力されて変形した車体前部構造を示す平面図である。本実施形態が第1の実施形態と主に異なる点は、剛性部材24Dの中間部分に脆弱部24eを形成したことにある。脆弱部24eは、例えば、ノッチや切欠などによって構成されている。
【0050】
このような構成において、車両が前面衝突して、剛性部材24Dにスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう規定以上の押圧荷重が作用すると、剛性部材24Dが脆弱部24eを起点に折り曲げられ、同時に、弾性部材22にスポイラレインフォース20から柱部材3に向かう押圧荷重が作用して、弾性部材22が柱部材3の側方で撓み変形(弾性変形)する。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0051】
勿論、本実施形態にあっても上述した脆弱部24eに併せて、第1の実施形態で説明した切欠状のボルト挿通溝24bを形成しても良い。
【0052】
また、図13及び図14には、第1の実施形態で説明した弾性部材22を設けて連結部21Cを構成してあるが、弾性部材は、第2〜第4の実施形態で説明した弾性部材22A〜22Cであっても良い。
【0053】
なお、本発明は、上記各実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる車体前部構造を示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる柱部材とその周囲を示す斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる衝突荷重が入力された際の車体前部構造の挙動を(a),(b)に順を追って示す説明図。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる弾性部材の反力特性を示すグラフ。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図。
【図7】本発明の第3の実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図。
【図8】本発明の第4の実施形態にかかる車体前部構造を示す平面図。
【図9】本発明の第5の実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図。
【図10】本発明の第5の実施形態にかかる車体前部構造を示す側面図。
【図11】本発明の第6の実施形態にかかる車体前部構造を示す斜視図。
【図12】本発明の第7の実施形態にかかる剛性部材を示す拡大図。
【図13】本発明の第8の実施形態にかかる取付構造を示す平面図。
【図14】本発明の第8の実施形態にかかる衝突荷重が入力されて変形した車体前部構造を示す平面図。
【符号の説明】
【0055】
2 ラジコアロアメンバ(車体骨格部材)
3 柱部材(車体骨格部材)
3a 外側面(面)
11 バンパステイ(車体骨格部材)
11a 外側面(面)
20 スポイラレインフォース(レインフォース)
21、21A、21B、21C 連結部
22、22A、22B、22C 弾性部材
24、24A、24B、24C、24D 剛性部材
25 固定部
24d ノッチ(脆弱部)
24e 脆弱部
B バンパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前端部に配置されたバンパの下部に設けられて車幅方向に延在するレインフォースを、該レインフォースに対して車両前後方向で後方に位置する車体骨格部材に、連結部を介して取り付ける車体前部構造において、
前記連結部は、前記車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定されて前記レインフォースを支持する弾性部材を備えることを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記連結部に設けられ、前記弾性部材よりも高い剛性を有して、前記レインフォースを支持する剛性部材と、
前記剛性部材を前記車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定し、車両の衝突によって前記剛性部材に前記レインフォースから押圧荷重が入力した場合には該押圧荷重によって前記固定を解除する固定部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記連結部に設けられ、前記弾性部材よりも高い剛性を有して、前記車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定されて前記レインフォースを支持する剛性部材と、
前記剛性部材に設けられ、車両の衝突によって前記レインフォースから前記剛性部材に入力した押圧荷重によって変形する脆弱部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項1】
車両の前端部に配置されたバンパの下部に設けられて車幅方向に延在するレインフォースを、該レインフォースに対して車両前後方向で後方に位置する車体骨格部材に、連結部を介して取り付ける車体前部構造において、
前記連結部は、前記車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定されて前記レインフォースを支持する弾性部材を備えることを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記連結部に設けられ、前記弾性部材よりも高い剛性を有して、前記レインフォースを支持する剛性部材と、
前記剛性部材を前記車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定し、車両の衝突によって前記剛性部材に前記レインフォースから押圧荷重が入力した場合には該押圧荷重によって前記固定を解除する固定部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記連結部に設けられ、前記弾性部材よりも高い剛性を有して、前記車体骨格部材における車両前後方向に延在する面に固定されて前記レインフォースを支持する剛性部材と、
前記剛性部材に設けられ、車両の衝突によって前記レインフォースから前記剛性部材に入力した押圧荷重によって変形する脆弱部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−36697(P2010−36697A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200876(P2008−200876)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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